説明

セルロースアシレートフィルム

【課題】10〜30%の延伸時に光散乱度(ヘイズ)が0.3%以下であり、延伸前のヘイズに比べて±0.001〜0.2%という、延伸前と比較して増加程度の低いセルロースアシレートフィルムの提供。
【解決手段】室温で液相であり、融点が−50〜50℃であり、沸点が300℃以上であり、固有屈折率が1.4〜1.6の添加剤が含まれることを特徴とするセルロースアシレートフィルム。セルロースアシレートフィルムは、光散乱度(ヘイズ)が低いことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロースアシレートフィルムに関する。より具体的には、本発明は、光散乱度(ヘイズ)の低いセルロースアシレートフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
セルロースアシレートフィルムは、高強度で、難燃性であるため、各種写真または光学材料に用いられている。セルロースアシレートフィルムは、その他の重合体フィルムと比較して光学異方性が低く、相対的に低いレターデーション(retardation)を提供する。したがって、偏光板などに用いられている。
【0003】
最近、液晶表示装置は、画質改善のような高機能化の要求が高まっており、その材料である偏光板用セルロースアシレートフィルムに対してもこれに満足する特性が求められている。
【0004】
しかし、セルロースアシレートフィルムは、用いられる添加剤に応じて延伸過程でヘイズが高まる傾向があり、これによって、正面コントラストが低下する問題が発生する。
【0005】
したがって、セルロースアシレートフィルムのヘイズを低減するために、特許文献1(2008年9月18日)には延伸時に延伸率及び温度を調節してヘイズの増加を防止するためのセルロースエステルフィルムの製造方法が記載されている。
【0006】
しかし、この製造方法で調節するのは限界があり、本発明者は添加剤を調節して低ヘイズのセルロースアシレートフィルムを製造しようとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−213469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、10〜30%の延伸時に光散乱度(ヘイズ)が0.3%以下であり、延伸前のヘイズに比べて±0.001〜0.2%という、延伸前と比較して増加程度の低いセルロースアシレートフィルムを提供しようとする。
【0009】
また、本発明は、前記セルロースアシレートフィルムを用いて画質歪みがなく、高いコントラスト比を有する液晶表示装置を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、低ヘイズのセルロースアシレートフィルムに関する。
【0011】
本発明者は、延伸後のセルロースアシレートフィルムのヘイズが急激に増加して光学フィルムへの使用に適していないという問題を解決するために研究した結果、セルロースアシレート光学フィルムの光散乱度(ヘイズ)は、添加剤とセルロースアシレート高分子との間の溶解性、そしてセルロースアシレートフィルム内部の微細構造で発生する屈折率差により発生し、特に、延伸工程時の光散乱度の増加は、一般的な高分子フィルムとは異なり、高分子の延伸による添加剤の結晶化に大きく起因することを見出して本発明を完成した。
【0012】
本発明は、セルロースアシレートフィルム上で高分子との溶解度を改善し、内部微細構造で発生する屈折率差を補償し、延伸による結晶化を抑制することにより、延伸後にもヘイズが低いセルロースアシレートフィルムに関する。
【0013】
より具体的に、本発明は、室温で液相であり、融点が−50〜50℃であり、沸点が300℃以上であり、固有屈折率が1.4〜1.6の添加剤が含まれているセルロースアシレートフィルムに関する。
【0014】
前記セルロースアシレートフィルムは、延伸前のヘイズが下記式1を満足し、10〜30%の延伸後のヘイズが下記式2を満足し、延伸前のヘイズと延伸後のヘイズとの差が下記式3を満足することが好ましい。
【0015】
[式1]
延伸前のフィルムのヘイズ(Hi)≦0.3%
[式2]
10〜30%の延伸後のフィルムのヘイズ(Hs)≦0.3%
[式3]
Hs=Hi±(0.001〜0.2%)
(式中、Hsは10〜30%の延伸後のヘイズであり、Hiは延伸前のヘイズである。)
【0016】
前記添加剤は、下記化学式1から選択されることが好ましい。
【0017】
[化学式1]
−(R−L−(R−(L−(R−R
(式中、Rは、(C1−C50)アルキル、(C6−C20)アリール、(C3−C20)シクロアルキル、(C2−C7)アルケニル、(C6−C20)アル(C1−C20)アルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C50)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む5員〜7員のヘテロシクロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールから選択され、
前記L、Lは、それぞれ独立してエステル基、アミド基、エーテル基、ウレア基、チオエステル基、カルボキシ基、カルバメート基から選択される連結基であり、
前記Rは、(C1−C50)アルキル、(C6−C20)アリール、(C3−C20)シクロアルキル、(C2−C7)アルケニル、(C6−C20)アル(C1−C20)アルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C50)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む5員〜7員のヘテロシクロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールから選択され、
前記R、R及びRは、それぞれ独立して(C1−C50)アルキレン、(C6−C20)アリーレン、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C50)のヘテロアルキレン、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリーレンから選択され、
前記R、R、R、R及びRのアルキル、アリール、シクロアルキル、アルケニル、アルアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールは、(C1−C50)アルキル、(C6−C20)アリール(C3−C20)シクロアルキル、(C2−C7)アルケニル、(C6−C20)アル(C1−C20)アルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C50)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む5員〜7員のヘテロシクロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールがさらに置換されてもよく、
前記a、b、c及びdは、それぞれ独立して0または1である。)
【0018】
前記化学式1の化合物は下記化合物から選択されてもよい。
【化1】

【0019】
前記セルロースアシレートフィルムは、X線回折(XRD)の分析結果、結晶性を示すピークが観測されない。
【0020】
本発明は、前記セルロースアシレートフィルムを含む偏光板も提供する。
【0021】
また、本発明は、前記偏光板を含む液晶表示装置も提供する。
【0022】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、フィルム1枚において、延伸前のヘイズが下記式1を満足し、10〜30%の延伸後のヘイズが下記式2を満足し、延伸前のヘイズと延伸後のヘイズとの差が下記式3を満足することが好ましい。
【0023】
[式1]
延伸前のフィルムのヘイズ(Hi)≦0.3%
[式2]
10〜30%の延伸後のフィルムのヘイズ(Hs)≦0.3%
[式3]
Hs=Hi±(0.001〜0.2%)
(式中、Hsは10〜30%の延伸後のヘイズであり、Hiは延伸前のヘイズである。)
【0024】
本発明でヘイズは、JIS K7136基準に基づいてヘーズメーター(Hazemeter)(モデル名:HM−150、株式会社村上色彩技術研究所製(Murakami Color Research Lab.))測定機器を用いて測定された値(%)である。
【0025】
前記光散乱度(ヘイズ)が0.3%を超える場合、液晶表示装置から出てくる光が散乱されて透過率が減少し、結果的に液晶表示装置のコントラストを減少させる原因となる。したがって、光散乱度は低ければ低いほどよく、より具体的にはフィルム1枚における延伸前と延伸後のヘイズが0.1〜0.3%範囲であることがよい。
【0026】
本発明は、室温で液相であり、融点が−50〜50℃であり、沸点が300℃以上であり、固有屈折率が1.4〜1.6の添加剤を含むことにより、前記式3のように延伸前のヘイズに比べて±0.001〜0.2%という、延伸前と比較して増加程度の低いセルロースアシレートフィルムを提供することができる。
【0027】
本発明で前記セルロースアシレートは、セルロースを構成するグルコース単位の2位、3位、及び6位に存在するヒドロキシル基の水素原子の全部または一部がアセチル基で置換されている。置換度は2.4〜2.9であることが好ましく、2.7〜2.9であることがさらに好ましい。前記置換度はASTMのD−817−91に準じて測定することができる。
【0028】
本発明でセルロースアシレート樹脂の分子量範囲は制限されることはないが、重量平均分子量が200,000〜350,000範囲であることが好ましい。また、セルロースアシレート樹脂の分子量分布もMw/Mn(Mwは重量平均分子量、Mnは水平均分子量)が1.4〜1.8であることが好ましく、1.5〜1.7であることがさらに好ましい。
【0029】
本発明で前記添加剤は、室温で液相で存在しなければならず、強い分子間結合による固体化を防止するために、極性が非常に高いイオン結合、水素結合部分がないことが好ましい。また、極性は弱いが、エステル基、アミド基、エーテル基、ウレア基、チオエステル基、カルボキシ基、カルバメート基などの連結基を含むことが好ましく、前記連結基の個数が増加する場合、固体化する可能性が高くなり、セルロースアシレートに対する溶解性が低下してコストアップすることになるため、好ましくない。
【0030】
セルロースアシレートフィルムの製造工程性を図るために、融点が−50〜50℃であり、沸点が300℃以上であり、固有屈折率が1.4〜1.6である物性を満足することが好ましい。融点が−50℃未満であれば、室温で揮発性を有するか、低温で沸くことがあり、50℃を超えると、室温で固体結晶で存在する可能性が高い。沸点が300℃未満であれば、室温蒸気圧が高く、フィルム製造工程過程で熱的に不安定になる虞があり、沸点が600℃を超えると、可塑剤としての性能、光学的機能、フィルム製造工程性が低下し、工程装備が汚染に耐えられないことがあるため、具体的には300〜600℃であることが好ましい。また、屈折率が1.4未満である場合と1.6を超える場合は、約1.48のセルロースアシレートフィルムの屈折率と固有屈折率との差が大きくなって光散乱が発生することになるため、ヘイズの減少に効果的でない。前記屈折率は、波長589.3nm(Na−D線)で光屈折臨界角検出方法により屈折計(モデル名:1T、株式会社アタゴ製(ATAGO ABBE))を用いて測定した物性を意味する。
【0031】
また、分子量(Mw)が200〜1000の範囲が物理化学的に安定しており、効果的にヘイズを低減できる範囲であるから好ましい。分子量が200よりも低い場合は、加工工程中に扱い難く、化学的に分解される虞があり、1000よりも高い場合は、高粘度により溶剤及びセルロースアシレートとの相溶性が低下し、流動性が低くて効果的なヘイズの減少を見込みにくい。
【0032】
より具体的には、前記添加剤は下記化学式1を満足する化合物を使用することが好ましい。
【0033】
[化学式1]
−(R−L−(R−(L−(R−R
(式中、Rは、(C1−C50)アルキル、(C6−C20)アリール、(C3−C20)シクロアルキル、(C2−C7)アルケニル、(C6−C20)アル(C1−C20)アルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C50)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む5員〜7員のヘテロシクロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールから選択され、
前記L、Lは、それぞれ独立してエステル基、アミド基、エーテル基、ウレア基、チオエステル基、カルボキシ基、カルバメート基から選択される連結基であり、
前記Rは、(C1−C50)アルキル、(C6−C20)アリール、(C3−C20)シクロアルキル、(C2−C7)アルケニル、(C6−C20)アル(C1−C20)アルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C50)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む5員〜7員のヘテロシクロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールから選択され、
前記R、R及びRは、それぞれ独立して(C1−C50)アルキレン、(C6−C20)アリーレン、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C50)のヘテロアルキレン、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリーレンから選択され、
前記R、R、R、R及びRのアルキル、アリール、シクロアルキル、アルケニル、アルアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールは、(C1−C50)アルキル、(C6−C20)アリール(C3−C20)シクロアルキル、(C2−C7)アルケニル、(C6−C20)アル(C1−C20)アルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C50)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む5員〜7員のヘテロシクロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールがさらに置換されてもよく、
前記a、b、c及びdは、それぞれ独立して0または1である。)
【0034】
具体的に前記化学式1の化合物は下記化学式2で表される。
【0035】
[化学式2]
−L−R
(式中、Rは、(C1−C20)アルキル、(C6−C20)アリール、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C20)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールから選択され、
前記Lは、エステル基、アミド基、エーテル基、ウレア基、チオエステル基、カルボキシ基、カルバメート基から選択される連結基であり、
前記Rは、(C1−C20)アルキル、(C6−C20)アリール、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C50)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールから選択され、
前記R及びRのアルキル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリールは、(C1−C50)アルキル、(C6−C20)アリール(C3−C20)シクロアルキル、(C2−C7)アルケニル、(C6−C20)アル(C1−C20)アルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C50)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む5員〜7員のヘテロシクロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールがさらに置換されてもよい。)
【0036】
より具体的には、前記化学式2の化合物は下記化学式2−1から選択されてもよい。
【0037】
【化2】

(式中、R11は(C1−C15)アルキルであり、R12は(C1−C15)アルキルである。)
【0038】
前記化学式2−1の化合物は、例えば、下記化合物を含むが、これに制限されることはない。
【化3】

【0039】
また、前記化学式1の化合物は下記化学式3で表される。
【0040】
[化学式3]
−R−L−R
(式中、Rは、(C1−C20)アルキル、(C6−C20)アリール、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C20)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールから選択され、
前記Lは、エステル基、アミド基、エーテル基、ウレア基、チオエステル基、カルボキシ基、カルバメート基から選択される連結基であり、
前記Rは、(C1−C20)アルキル、(C6−C20)アリール、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C50)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールから選択され、
前記Rは、(C1−C20)アルキレン、(C6−C20)アリーレン、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C20)のヘテロアルキレン、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリーレンから選択され、
前記R、R及びRのアルキル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリールは、(C1−C50)アルキル、(C6−C20)アリール(C3−C20)シクロアルキル、(C2−C7)アルケニル、(C6−C20)アル(C1−C20)アルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C50)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む5員〜7員のヘテロシクロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールがさらに置換されてもよい。)
【0041】
より具体的には、前記化学式3の化合物は下記化学式3−1から選択されてもよい。
【0042】
【化4】

(式中、R11は(C1−C15)アルキルであり、R12は(C1−C15)アルキルであり、R13は−(OCHCH−であり、前記nは1〜4から選択される整数である。)
【0043】
また、前記化学式1の化合物は下記化学式4で表される。
【0044】
[化学式4]
−L−R−R
(式中、Rは、(C1−C20)アルキル、(C6−C20)アリール、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C20)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールから選択され、
前記Lは、エステル基、アミド基、エーテル基、ウレア基、チオエステル基、カルボキシ基、カルバメート基から選択される連結基であり、
前記Rは、(C1−C20)アルキル、(C6−C20)アリール、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C50)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールから選択され、
前記Rは、(C1−C20)アルキレン、(C6−C20)アリーレン、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C20)のヘテロアルキレン、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリーレンから選択され、
前記R、R及びRのアルキル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリールは、(C1−C50)アルキル、(C6−C20)アリール(C3−C20)シクロアルキル、(C2−C7)アルケニル、(C6−C20)アル(C1−C20)アルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C50)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む5員〜7員のヘテロシクロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールがさらに置換されてもよい。)
【0045】
より具体的には、前記化学式4の化合物は下記化学式4−1から選択されてもよい。
【0046】
【化5】

(式中、R11は、(C1−C15)アルキルであり、R12は(C1−C15)アルキルであり、R14は−(CHCHO)−であり、前記nは1〜4から選択される整数である。)
【0047】
また、前記化学式1の化合物は下記化学式5で表される。
【0048】
[化学式5]
−R−L−R−R
(式中、Rは、(C1−C20)アルキル、(C6−C20)アリール、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C20)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールから選択され、
前記Lは、エステル基、アミド基、エーテル基、ウレア基、チオエステル基、カルボキシ基、カルバメート基から選択される連結基であり、
前記Rは、(C1−C20)アルキル、(C6−C20)アリール、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C50)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールから選択され、
前記R及びRは、それぞれ独立して(C1−C20)アルキレン、(C6−C20)アリーレン、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C20)のヘテロアルキレン、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリーレンから選択され、
前記R、R、R及びRのアルキル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリールは、(C1−C50)アルキル、(C6−C20)アリール(C3−C20)シクロアルキル、(C2−C7)アルケニル、(C6−C20)アル(C1−C20)アルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C50)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む5員〜7員のヘテロシクロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールがさらに置換されてもよい。)
【0049】
より具体的には、前記化学式5の化合物は下記化学式5−1から選択されてもよい。
【0050】
【化6】

(式中、R11は(C1−C15)アルキル、(C6−C20)アリールから選択され、R12は(C1−C15)アルキル、(C6−C20)アリールから選択され、R13は(C1−C20)アルキレンまたは−(OCHCH−であり、R14は(C1−C20)アルキレンまたは−(CHCHO)−であり、前記nは1〜4から選択される整数であり、前記R11及びR12のアリールは(C1−C20)アルキルまたはN、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C20)のヘテロアルキルがさらに置換されてもよい。)
【0051】
前記化学式5−1の化合物は、例えば、下記化合物を含むが、これに制限されることはない。
【化7】

【0052】
また、前記化学式1の化合物は下記化学式6で表される。
【0053】
[化学式6]
−L−R−L−R
(式中、Rは、(C1−C20)アルキル、(C6−C20)アリール、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C20)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールから選択され、
前記L、Lは、それぞれ独立してエステル基、アミド基、エーテル基、ウレア基、チオエステル基、カルボキシ基、カルバメート基から選択される連結基であり、
前記Rは、(C1−C20)アルキル、(C6−C20)アリール、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C50)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールから選択され、
前記Rは、(C1−C20)アルキレン、(C6−C20)アリーレン、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C20)のヘテロアルキレン、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリーレンから選択され、
前記R、R及びRのアルキル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリールは、(C1−C50)アルキル、(C6−C20)アリール(C3−C20)シクロアルキル、(C2−C7)アルケニル、(C6−C20)アル(C1−C20)アルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C50)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む5員〜7員のヘテロシクロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールがさらに置換されてもよい。)
【0054】
より具体的には、前記化学式6の化合物は下記化学式6−1から選択されてもよい。
【0055】
【化8】

(式中、R11は(C1−C15)アルキルであり、R12は(C1−C15)アルキルであり、R15は(C1−C20)アルキレンである。)
【0056】
また、前記化学式1の化合物は下記化学式7で表される。
【0057】
[化学式7]
−R−L−R−L−R−R
(式中、Rは、(C1−C20)アルキル、(C6−C20)アリール、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C20)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールから選択され、
前記L、Lは、それぞれ独立してエステル基、アミド基、エーテル基、ウレア基、チオエステル基、カルボキシ基、カルバメート基から選択される連結基であり、
前記Rは、(C1−C20)アルキル、(C6−C20)アリール、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C50)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールから選択され、
前記R、R及びRは、(C1−C20)アルキレン、(C6−C20)アリーレン、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C20)のヘテロアルキレン、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリーレンから選択され、
前記R、R、R、R及びRのアルキル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリールは、(C1−C50)アルキル、(C6−C20)アリール(C3−C20)シクロアルキル、(C2−C7)アルケニル、(C6−C20)アル(C1−C20)アルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C50)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む5員〜7員のヘテロシクロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールがさらに置換されてもよい。)
【0058】
より具体的には、前記化学式7の化合物は、下記化学式7−1〜化学式7−6から選択されてもよい。
【0059】
【化9】

(式中、R11は(C1−C15)アルキルであり、R12は(C1−C15)アルキルであり、R13は(C1−C20)アルキレンまたは−(OCHCH−であり、R14は(C1−C20)アルキレンまたは−(CHCHO)−であり、前記nは1〜4から選択される整数であり、R15は(C1−C20)アルキレン、(C6−C20)アリーレンまたは−(CHCHO)CHCH−であり、前記mは1〜3から選択される整数である。)
【0060】
前記化学式7−6の化合物は、例えば、下記化合物を含むが、これに制限されることはない。
【化10】

【0061】
本発明に記載した「アルキル」、「アルコキシ」、及びその他の「アルキル」部分を含む置換体は直鎖または分岐鎖の形態を両方とも含む。
【0062】
本発明に記載した「アリール」は、1つの水素を除去して芳香族炭化水素から誘導した有機ラジカルであって、各環に適切に4個〜7個、好ましくは、5個または6個の環原子を含む単一または融合環系を含む。具体的には、フェニル、ナフチル、ビフェニル、トリルなどを含むが、これに限定されることはない。
【0063】
本発明に記載した「ヘテロアリール」は、芳香族環骨格原子であって、N、O、Sから選択される1個〜3個のヘテロ原子を含み、残り芳香族環骨格原子が炭素であるアリール群を意味しており、前記ヘテロアリール基は環内のヘテロ原子が酸化されるか、または四級化され、例えば、N−オキシドまたは4級塩を形成する2価アリール群を含む。具体的には、フリル、チオフェニル、ピロリル、ピラニル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアジニル、テトラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラザニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニルなどが含まれるが、これに制限されることはない。
【0064】
本発明に記載した「アルキレン」は、炭素及び水素原子だけで構成された2価の線形または分岐形の飽和炭化水素ラジカルを意味する。アルキレンラジカルの例は、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、エチルエチレンなどを含むが、これに制限されることはない。
【0065】
本発明に記載した「ヘテロアルキレン」は、炭素及び水素原子だけで構成された2価の線形または分岐形の飽和炭化水素ラジカルのうち1つ以上がN、OまたはSで置換されたものを意味し、例えば−O−CH−、−O−CH−CH−などを含むが、これに制限されることはない。
【0066】
より具体的には、前記化学式1の化合物は下記化合物で具体化してもよいが、これらに制限されることはない。
【化11】

【0067】
その他、本発明のセルロースアシレートフィルムは、必要に応じて各種添加剤、例えば、レターデーション調節剤、可塑剤、紫外線防止剤、劣化防止剤、微粒子、剥離剤、赤外線吸収剤、光学異方性コントロール剤などをさらに添加してもよい。このような添加剤は、通常、該当分野で使用されるものであれば制限されることなく用いることができる。
【0068】
このような添加剤の具体的な種類は、該当分野で通常的に使用されるものであれば制限されることなく用いることができ、その含量はフィルムの物性を低下しない範囲内で使用することが好ましい。添加剤を添加する時期は、添加剤の種類に応じて決める。ドープ調製の最後に添加剤を添加する工程を実施してもよい。
【発明の効果】
【0069】
本発明のセルロースアシレートフィルムは、室温で液相であり、融点が−50〜50℃であり、沸点が300℃以上であり、固有屈折率が1.4〜1.6の添加剤、より具体的には前記化学式1〜化学式7で表される添加剤を添加することにより、添加剤固有の流動性と相溶性でセルロースアシレートによく溶解され、セルロースアシレートの屈折率とほぼ同様の屈折率で低光散乱度(ヘイズ)の特性を有し、延伸後にも添加剤の結晶化が発生しないため、光散乱度(ヘイズ)の増加を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0070】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を用いて説明するが、本発明が下記実施例に限定されることはない。
【0071】
以下の物性は次の測定方法で測定した。
1)ヘイズ
ヘイズは、JIS K 7136基準に基づいてヘーズメーター(Hazemeter)(モデル名:HM−150株式会社村上色彩技術研究所製(Murakami Color Research Lab.))測定機器を用いて測定された値(%)である。測定機器をオンし、通常の空気中でランプの光量とキャリブレーションを実施した後、測定を実施する。厚さ60〜80μmで製造したセルロースアシレートフィルムを横縦それぞれ4cmのサイズにしてサンプリングし、同じサンプルを3回測定して平均値を求める。
【0072】
2)屈折率
589.3nmのD光線ナトリウムランプを光源として用いて屈折計(モデル名:1T、 株式会社アタゴ製(ATAGO ABBE))を用いて屈折率を測定した。
【0073】
3)XRD分析
セルロースアシレートフィルムを30〜40%延伸した後、フィルム状態でXRD測定装置(モデル名:XRD−7000S、株式会社島津製作所製(SHIMADZU))にロードして測定する。回折角による検出信号の強度結果値をデータベース内の有機物結晶に対する数値と比較することにより、添加剤の結晶化の有無を判断する。
【0074】
[実施例1]
セルロースアシレート組成物(1)の製造
置換度2.87のセルロースアセテート分体100重量部に対し、下記化学式8のフェニルエチル2−フェニルアセテート(融点:28℃(760mmHg)、沸点:324℃(760mmHg)、屈折率:1.545(20℃))5重量部、塩化メチレン440重量部、及びメタノール50重量部を撹拌器に入れて30℃温度で溶解した。次に、ギアポンプで送液し、絶対濾過精密度0.01mmの濾過紙で濾過し、再び絶対濾過精密度5μmのカートリッジ濾過装置で濾過した。
【0075】
【化12】

【0076】
フィルムの製造
前記組成物(1)を鏡面ステンレス支持体上にキャスティングして剥離した。剥離時の残留溶媒量は25wt%となるように調節した。テンターに連結した後、フィルムの幅方向に10%(%は長さに対する%である)延伸し、テンターからフィルムが出た後、フィルムの左右側の末端を150mmずつ除去した。末端が除去されたフィルムを乾燥器で乾燥させ、乾燥器から出たフィルムの両端を30mm切り落とした。再びフィルムの両端に幅10mm、高さ68μmのナーリング加工を実施した後、ロール状に巻き取った。
製造されたフィルムの物性を下記表1に示した。
【0077】
[実施例2]
セルロースアシレート組成物(2)の製造
置換度2.87のセルロースアセテート分体100重量部に対し、下記化学式9のオクチルオクタノエート(融点:−18℃(760mmHg)、沸点:306℃(760mmHg)、屈折率:1.435(20℃))5重量部、塩化メチレン440重量部、及びメタノール50重量部を撹拌器に入れて30℃温度で溶解した。次に、ギアポンプで送液し、絶対濾過精密度0.01mmの濾過紙で濾過し、再び絶対濾過精密度5μmのカートリッジ濾過装置で濾過した。
【0078】
【化13】

【0079】
フィルムの製造
前記組成物(2)を鏡面ステンレス支持体上にキャスティングして剥離した。剥離時の残留溶媒量は25wt%となるように調節した。テンターに連結した後、フィルムの幅方向に10%(%は長さに対する%である)延伸し、テンターからフィルムが出た後、フィルムの左右側の末端を150mmずつ除去した。末端が除去されたフィルムを乾燥器で乾燥させ、乾燥器から出たフィルムの両端を30mm切り落とした。再びフィルムの両端に幅10mm、高さ68μmのナーリング加工を実施した後、ロール状に巻き取った。
製造されたフィルムの物性を下記表1に示した。
【0080】
[実施例3]
セルロースアシレート組成物(3)の製造
置換度2.87のセルロースアセテート分体100重量部に対し、下記化学式10のビス(2−エチルヘキシル)テレフタレート(融点:30℃(760mmHg)、沸点:400℃(760mmHg)、屈折率:1.49(20℃))5重量部、塩化メチレン440重量部、及びメタノール50重量部を撹拌器に入れて30℃温度で溶解した。次に、ギアポンプで送液し、絶対濾過精密度0.01mmの濾過紙で濾過し、再び絶対濾過精密度5μmのカートリッジ濾過装置で濾過した。
【0081】
【化14】

【0082】
フィルムの製造
前記組成物(3)を鏡面ステンレス支持体上にキャスティングして剥離した。剥離時の残留溶媒量は25wt%となるように調節した。テンターに連結した後、フィルムの幅方向に10%(%は長さに対する%である)延伸し、テンターからフィルムが出た後、フィルムの左右側の末端を150mmずつ除去した。末端が除去されたフィルムを乾燥器で乾燥させ、乾燥器から出たフィルムの両端を30mm切り落とした。再びフィルムの両端に幅10mm、高さ68μmのナーリング加工を実施した後、ロール状に巻き取った。
製造されたフィルムの物性を下記表1に示した。
【0083】
[実施例4]
セルロースアシレート組成物(4)の製造
置換度2.87のセルロースアセテート分体100重量部に対し、下記化学式10のビス(2−エチルヘキシル)テレフタレート(融点:30℃(760mmHg)、沸点:400℃(760mmHg)、屈折率:1.49(20℃))7重量部、塩化メチレン440重量部、及びメタノール50重量部を撹拌器に入れて30℃温度で溶解した。次に、ギアポンプで送液し、絶対濾過精密度0.01mmの濾過紙で濾過し、再び絶対濾過精密度5μmのカートリッジ濾過装置で濾過した。
【0084】
【化15】

【0085】
フィルムの製造
前記組成物(4)を鏡面ステンレス支持体上にキャスティングして剥離した。剥離時の残留溶媒量は25wt%となるように調節した。テンターに連結した後、フィルムの幅方向に10%(%は長さに対する%である)延伸し、テンターからフィルムが出た後、フィルムの左右側の末端を150mmずつ除去した。末端が除去されたフィルムを乾燥器で乾燥させ、乾燥器から出たフィルムの両端を30mm切り落とした。再びフィルムの両端に幅10mm、高さ68μmのナーリング加工を実施した後、ロール状に巻き取った。
製造されたフィルムの物性を下記表1に示した。
【0086】
[実施例5]
セルロースアシレート組成物(5)の製造
置換度2.87のセルロースアセテート分体100重量部に対し、下記化学式10のビス(2−エチルヘキシル)テレフタレート(融点:30℃(760mmHg)、沸点:400℃(760mmHg)、屈折率:1.49(20℃))10重量部、塩化メチレン440重量部、及びメタノール50重量部を撹拌器に入れて30℃温度で溶解した。次に、ギアポンプで送液し、絶対濾過精密度0.01mmの濾過紙で濾過し、再び絶対濾過精密度5μmのカートリッジ濾過装置で濾過した。
【0087】
【化16】

【0088】
フィルムの製造
前記組成物(5)を鏡面ステンレス支持体上にキャスティングして剥離した。剥離時の残留溶媒量は25wt%となるように調節した。テンターに連結した後、フィルムの幅方向に10%(%は長さに対する%である)延伸し、テンターからフィルムが出た後、フィルムの左右側の末端を150mmずつ除去した。末端が除去されたフィルムを乾燥器で乾燥させ、乾燥器から出たフィルムの両端を30mm切り落とした。再びフィルムの両端に幅10mm、高さ68μmのナーリング加工を実施した後、ロール状に巻き取った。
製造されたフィルムの物性を下記表1に示した。
【0089】
[比較例1]
セルロースアシレート組成物(6)の製造
置換度2.87のセルロースアセテート分体100重量部に対し、リン酸トリフェニル(融点:48℃(760mmHg)、沸点:244℃(10mmHg))5重量部、塩化メチレン440重量部、及びメタノール50重量部を撹拌器に入れて30℃温度で溶解した。次に、ギアポンプで送液し、絶対濾過精密度0.01mmの濾過紙で濾過し、再び絶対濾過精密度5μmのカートリッジ濾過装置で濾過した。
【0090】
フィルムの製造
前記組成物(6)を鏡面ステンレス支持体上にキャスティングして剥離した。剥離時の残留溶媒量は25wt%となるように調節した。テンターに連結した後、フィルムの幅方向に10%(%は長さに対する%である)延伸し、テンターからフィルムが出た後、フィルムの左右側の末端を150mmずつ除去した。末端が除去されたフィルムを乾燥器で乾燥させ、乾燥器から出たフィルムの両端を30mm切り落とした。再びフィルムの両端に幅10mm、高さ68μmのナーリング加工を実施した後、ロール状に巻き取った。
製造されたフィルムの物性を下記表1に示した。
【0091】
[比較例2]
セルロースアシレート組成物(7)の製造
置換度2.87のセルロースアセテート分体100重量部に対し、リン酸トリフェニル10重量部、塩化メチレン440重量部、及びメタノール50重量部を撹拌器に入れて30℃温度で溶解した。次に、ギアポンプで送液し、絶対濾過精密度0.01mmの濾過紙で濾過し、再び絶対濾過精密度5μmのカートリッジ濾過装置で濾過した。
【0092】
フィルムの製造
前記組成物(7)を鏡面ステンレス支持体上にキャスティングして剥離した。剥離時の残留溶媒量は25wt%となるように調節した。テンターに連結した後、フィルムの幅方向に10%(%は長さに対する%である)延伸し、テンターからフィルムが出た後、フィルムの左右側の末端を150mmずつ除去した。末端が除去されたフィルムを乾燥器で乾燥させ、乾燥器から出たフィルムの両端を30mm切り落とした。再びフィルムの両端に幅10mm、高さ68μmのナーリング加工を実施した後、ロール状に巻き取った。
製造されたフィルムの物性を下記表1に示した。
【0093】
【表1】

【0094】
前記表1に示すように、本発明による添加剤は、延伸後のヘイズが大きく増加しないことが分かった。特に、実施例3は延伸後のヘイズが増加せず、実施例4及び5はヘイズが減少し、XRD分析結果、結晶性ピークが見られなかった。
【0095】
これに対し、粉末状のリン酸トリフェニルを用いた比較例1及び2は、延伸後のフィルムのヘイズが大きく増加したことを確認し、XRD分析結果、結晶性ピークを確認した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室温で液相であり、融点が−50〜50℃であり、沸点が300℃以上であり、固有屈折率が1.4〜1.6の添加剤が含まれることを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
【請求項2】
前記セルロースアシレートフィルムは、延伸前のヘイズが下記式1を満足し、10〜30%の延伸後のヘイズが下記式2を満足し、延伸前のヘイズと延伸後のヘイズとの差が下記式3を満足することを特徴とする請求項1に記載のセルロースアシレートフィルム。
[式1]
延伸前のフィルムのヘイズ(Hi)≦0.3%
[式2]
10〜30%の延伸後のフィルムのヘイズ(Hs)≦0.3%
[式3]
Hs=Hi±(0.001〜0.2%)
(式中、Hsは10〜30%の延伸後のヘイズであり、Hiは延伸前のヘイズである。)
【請求項3】
前記添加剤は、下記化学式1から選択されることを特徴とする請求項1に記載のセルロースアシレートフィルム。
[化学式1]
−(R−L−(R−(L−(R−R
(式中、Rは、(C1−C50)アルキル、(C6−C20)アリール、(C3−C20)シクロアルキル、(C2−C7)アルケニル、(C6−C20)アル(C1−C20)アルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C50)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む5員〜7員のヘテロシクロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールから選択され、
前記L、Lは、それぞれ独立してエステル基、アミド基、エーテル基、ウレア基、チオエステル基、カルボキシ基、カルバメート基から選択される連結基であり、
前記Rは、(C1−C50)アルキル、(C6−C20)アリール、(C3−C20)シクロアルキル、(C2−C7)アルケニル、(C6−C20)アル(C1−C20)アルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C50)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む5員〜7員のヘテロシクロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールから選択され、
前記R、R及びRは、それぞれ独立して(C1−C50)アルキレン、(C6−C20)アリーレン、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C50)のヘテロアルキレン、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリーレンから選択され、
前記R、R、R、R及びRのアルキル、アリール、シクロアルキル、アルケニル、アルアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールは、(C1−C50)アルキル、(C6−C20)アリール(C3−C20)シクロアルキル、(C2−C7)アルケニル、(C6−C20)アル(C1−C20)アルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C50)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む5員〜7員のヘテロシクロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールがさらに置換されてもよく、
前記a、b、c及びdは、それぞれ独立して0または1である。)
【請求項4】
前記化学式1は、下記化学式2から選択される化合物であることを特徴とする請求項3に記載のセルロースアシレートフィルム。
[化学式2]
−L−R
(式中、Rは、(C1−C20)アルキル、(C6−C20)アリール、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C20)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールから選択され、
前記Lは、エステル基、アミド基、エーテル基、ウレア基、チオエステル基、カルボキシ基、カルバメート基から選択される連結基であり、
前記Rは、(C1−C20)アルキル、(C6−C20)アリール、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C50)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールから選択され、
前記R及びRのアルキル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリールは、(C1−C50)アルキル、(C6−C20)アリール(C3−C20)シクロアルキル、(C2−C7)アルケニル、(C6−C20)アル(C1−C20)アルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C50)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む5員〜7員のヘテロシクロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールがさらに置換されてもよい。)
【請求項5】
前記化学式1は、下記化学式3から選択される化合物であることを特徴とする請求項3に記載のセルロースアシレートフィルム。
[化学式3]
−R−L−R
(式中、Rは、(C1−C20)アルキル、(C6−C20)アリール、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C20)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールから選択され、
前記Lは、エステル基、アミド基、エーテル基、ウレア基、チオエステル基、カルボキシ基、カルバメート基から選択される連結基であり、
前記Rは、(C1−C20)アルキル、(C6−C20)アリール、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C50)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールから選択され、
前記Rは、(C1−C20)アルキレン、(C6−C20)アリーレン、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C20)のヘテロアルキレン、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリーレンから選択され、
前記R、R及びRのアルキル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリールは、(C1−C50)アルキル、(C6−C20)アリール(C3−C20)シクロアルキル、(C2−C7)アルケニル、(C6−C20)アル(C1−C20)アルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C50)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む5員〜7員のヘテロシクロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールがさらに置換されてもよい。)
【請求項6】
前記化学式1は、下記化学式4から選択される化合物であることを特徴とする請求項3に記載のセルロースアシレートフィルム。
[化学式4]
−L−R−R
(式中、Rは、(C1−C20)アルキル、(C6−C20)アリール、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C20)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールから選択され、
前記Lは、エステル基、アミド基、エーテル基、ウレア基、チオエステル基、カルボキシ基、カルバメート基から選択される連結基であり、
前記Rは、(C1−C20)アルキル、(C6−C20)アリール、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C50)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールから選択され、
前記Rは、(C1−C20)アルキレン、(C6−C20)アリーレン、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C20)のヘテロアルキレン、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリーレンから選択され、
前記R、R及びRのアルキル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリールは、(C1−C50)アルキル、(C6−C20)アリール(C3−C20)シクロアルキル、(C2−C7)アルケニル、(C6−C20)アル(C1−C20)アルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C50)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む5員〜7員のヘテロシクロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールがさらに置換されてもよい。)
【請求項7】
前記化学式1は、下記化学式5から選択される化合物であることを特徴とする請求項3に記載のセルロースアシレートフィルム。
[化学式5]
−R−L−R−R
(式中、Rは、(C1−C20)アルキル、(C6−C20)アリール、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C20)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールから選択され、
前記Lは、エステル基、アミド基、エーテル基、ウレア基、チオエステル基、カルボキシ基、カルバメート基から選択される連結基であり、
前記Rは、(C1−C20)アルキル、(C6−C20)アリール、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C50)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールから選択され、
前記R及びRは、それぞれ独立して(C1−C20)アルキレン、(C6−C20)アリーレン、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C20)のヘテロアルキレン、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリーレンから選択され、
前記R、R、R及びRのアルキル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリールは、(C1−C50)アルキル、(C6−C20)アリール(C3−C20)シクロアルキル、(C2−C7)アルケニル、(C6−C20)アル(C1−C20)アルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C50)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む5員〜7員のヘテロシクロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールがさらに置換されてもよい。)
【請求項8】
前記化学式1は、下記化学式6から選択される化合物であることを特徴とする請求項3に記載のセルロースアシレートフィルム。
[化学式6]
−L−R−L−R
(式中、Rは、(C1−C20)アルキル、(C6−C20)アリール、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C20)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールから選択され、
前記L、Lは、それぞれ独立してエステル基、アミド基、エーテル基、ウレア基、チオエステル基、カルボキシ基、カルバメート基から選択される連結基であり、
前記Rは、(C1−C20)アルキル、(C6−C20)アリール、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C50)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールから選択され、
前記Rは、(C1−C20)アルキレン、(C6−C20)アリーレン、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C20)のヘテロアルキレン、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリーレンから選択され、
前記R、R及びRのアルキル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリールは、(C1−C50)アルキル、(C6−C20)アリール(C3−C20)シクロアルキル、(C2−C7)アルケニル、(C6−C20)アル(C1−C20)アルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C50)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む5員〜7員のヘテロシクロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールがさらに置換されてもよい。)
【請求項9】
前記化学式1は、下記化学式7から選択される化合物であることを特徴とする請求項3に記載のセルロースアシレートフィルム。
[化学式7]
−R−L−R−L−R−R
(式中、Rは、(C1−C20)アルキル、(C6−C20)アリール、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C20)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールから選択され、
前記L、Lは、それぞれ独立してエステル基、アミド基、エーテル基、ウレア基、チオエステル基、カルボキシ基、カルバメート基から選択される連結基であり、
前記Rは、(C1−C20)アルキル、(C6−C20)アリール、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C50)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールから選択され、
前記R、R及びRは、(C1−C20)アルキレン、(C6−C20)アリーレン、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C20)のヘテロアルキレン、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリーレンから選択され、
前記R、R、R、R及びRのアルキル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリールは、(C1−C50)アルキル、(C6−C20)アリール(C3−C20)シクロアルキル、(C2−C7)アルケニル、(C6−C20)アル(C1−C20)アルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C1−C50)のヘテロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む5員〜7員のヘテロシクロアルキル、N、O、Sから選択される1つ以上の元素を含む(C4−C20)のヘテロアリールがさらに置換されてもよい。)
【請求項10】
前記化学式1の化合物は、下記化合物から選択されることを特徴とする請求項3に記載のセルロースアシレートフィルム。
【化1】

【請求項11】
前記セルロースアシレートフィルムは、X線回折(XRD)の分析結果、結晶性を示すピークが観測されないことを特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
【請求項12】
請求項1から10の何れか1項に記載のセルロースアシレートフィルムを含む偏光板。
【請求項13】
請求項12に記載の偏光板を含む液晶表示装置。

【公開番号】特開2013−100502(P2013−100502A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−244219(P2012−244219)
【出願日】平成24年11月6日(2012.11.6)
【出願人】(507268341)エスケー イノベーション カンパニー リミテッド (57)
【Fターム(参考)】