説明

セルロースアセテートを含む繊維製品の、染色用又は印刷用の染料組成物

本願は、式(1)(式は添付の明細書を参照)の染料を一種以上、および式(2)(式は添付の明細書を参照)の染料を一種以上含み、ここで置換基は、それぞれ特許請求の範囲に規定されている、染料混合物に関する。これらの混合物は、ポリエステル及び/又はセルロースアセテートを含む繊維材料を染色又は印刷するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染料混合物、それらの調製、及びポリエステルを含む繊維材料の染色用又は印刷用のそれらの用途に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステル染色用の染料及び染料混合物が知られている。同様に、例えば、セルロースジアセテート及びセルローストリアセテート等のセルロースアセテートを含む、半合成又は合成の、疎水性繊維材料の染色用の染料及び染料混合物が知られている。セルロースジアセテートは、それぞれ、2.5−アセテート、又は2.5−セルロースアセテート、又はセルロース−2.5−アセテートとしても知られている、無水グルコース単位あたり2〜2.5個のアセチル基を有する、部分的にエステル化されたセルロースを表す。
【0003】
このように、これらの染料又は染料混合物は、特に、再現性、染浴温度に関する過敏性、又は特定の染色法に対する適性に関する(特に、ジッガー染色機、又は液流染色機を用いることに関する)最も厳しい要件を、充分に満たすとは限らないと判断されている。
【0004】
さらに、ポリエステルを良好に染色する染料が、セルロースジアセテート繊維又はセルローストリアセテート繊維上には容易には移動しないことが多い。一方、セルロースジアセテート繊維又は、セルローストリアセテート繊維を良好に染色する染料は、ポリエステル上には容易には移動しないことが多い。
【0005】
欧州特許第347685号明細書は、未染色又は未汚染同等のポリエステルから作られる以外の、羊毛、綿、又は再生セルロース等の付随する繊維をそのままにしておくブルーの分散染料を開示している。
英国特許第2346150号明細書は、分散染料混合物及び半合成疎水性セルロースアセテートを含む繊維材料の、染色用又は印刷用のこれら混合物の分散染料混合物の用途を開示している。これら混合物は、セルロースアセテートとのブレンドで存在する場合、羊毛又は綿を汚染しない。
【0006】
さらに、アセテート繊維に好適なある染料は、かなりの温度過敏性を示し、染色溶液の温度分布が一様でない場合に、同様に外観不良又はシェードの深み不良の結果となる。
C. I. Disperse Blue 183及びその誘導体を、セルロースアセテート上へ染色することはできず、そしてポリエステル上へ吸尽染色した場合、一様な染色をほとんど与えない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、これらの短所を有さず、かつさらにポリエステル上の1/1標準染色濃度表(DIN5033第3部に規定される)において295〜305°(好ましくは、298〜302°)の色相角(DIN5033−1:1979−03に規定される色相)、及び同等か若しくは優れた堅牢度で結合するC. I. Disperse Blue 183と同様の色相か又は実質的に同様の色相を有する染色をなおももたらす、新規な染料又は染料混合物に関する必要性がある。
【0008】
驚くべきことに、本発明に従う混合物は、上記で示された基準を実質的に満足し、一方、個々の染料の性質は、仮にあったとしても、これらの基準をわずかのみ満たさないことにとどまる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明は式(1):
【化1】

の染料を1種以上、及び式(2):
【化2】

の染料を1種以上含む染料混合物を提供し、
ここで、
は、水素、ハロゲン、ニトロ又はシアノである。
は、水素、ハロゲン、ニトロ又はシアノである。
は、水素、ハロゲン、C〜C−アルコキシ又はC〜C−アルキルである。
は、水素、C〜C−アルキルである。
は、水素、未置換の又はヒドロキシル−、シアノ−、C〜C−アルキルカルボニルオキシ−によって置換された、C〜C−アルキル若しくはC〜C−アルケニルである。
は、未置換の又はヒドロキシル−、シアノ−、C〜C−アルキルカルボニルオキシ−、C〜C−アルコキシカルボニル−によって置換された、C〜C−アルキル若しくはC〜C−アルケニルであり、
は、ニトロ、C〜C−アルコキシ又は−SOCH基である。
は、水素又はC〜C−アルキルであり、
は、水素又はC〜C−アルキルであり、
10は、未置換の又はヒドロキシル−若しくはシアノ−によって置換された、C〜C−アルキルであり、
11は、未置換のC〜C−アルキルであるか、又は−O−COR12基によって置換されているC〜C−アルキルであり、ここでR12はC〜C−アルキルである。
【0010】
このように、本発明は、ポリエステル上の1/1標準染色濃度表(DIN5033第3部に規定される)において295〜305°(好ましくは、298〜302°)の色相角(DIN5033−1:1979−03に規定される色相)、及び同等か若しくは優れた堅牢度で結合するC. I. Disperse Blue 183と同様の又は実質的に同様の色相を有する染色をなおももたらす染料混合物を提供し、それらは式(1):
【化3】

の染料のうち1種以上、及び式(2):
【化4】

の染料のうち1種以上を含み、
ここで、置換基はそれぞれ上記に規定されている、ことで特徴付けられる。
【0011】
好ましい染料混合物は、RがC〜C−アルキルであり、そしてRがニトロである、式(1)の染料を1種以上と式(2)の染料を1種以上とを含む。
【0012】
好ましい染料混合物は、染料(1)及び染料(2)の合計に基づき、式(1)に従う染料を最大60%含む。特に好ましい染料混合物は、染料(1)及び染料(2)の合計に基づき、式(1)に従う染料を最大50%含む。さらに特に好ましい染料混合物において、(1)及び(2)の比は、0.9〜1.1:1.8〜2.2、すなわち、およそ1:2である。(2)の割合は、染料(1)及び染料(2)の合計に基づき、最大99%となることができ、好ましい場合では、染料(1)及び染料(2)の合計に基づき、最大95%である。
【0013】
特に好ましくは、式(1’):
【化5】

の染料を1種以上、及び式(2’):
【化6】

の染料を1種以上含む混合物に与えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
特に好ましくは、ポリエステル上の1/1標準染色濃度表(DIN5033第3部に規定される)において、295〜305°(好ましくは、298〜302°)の色相角(DIN5033−1:1979−03に規定される色相)、及び同等か若しくは優れた堅牢度で結合するC. I. Disperse Blue 183と同様の色相か又は実質的に同様の色相とを有する染色をなおももたらす混合物に与えられ、それらは式(1’)の染料のうち1種以上、及び式(2’)の染料のうち1種以上を含むことを特徴とする。
【0015】
本発明の染料混合物は、最大5重量%の量で、染料混合物にシェードを与える分散染料をさらに含むことができる。慣用の混合法で、これらの「シェーディング染料」を添加することができる。
本発明に従う染料混合物は、5重量%より多い量で、分散染料をさらに含むことができる。これらの染料混合物もまた、慣用の混合法で調製することができ、とりわけ、ポリエステル及び/又はセルロースアセテート等の繊維材料の上に、濃い、ブルー、ブラウン及びブラックの、染色を調製することができる。
【0016】
濃い、ブルー、ブラウン及びブラックの染色(例えば、ポリエステル上への、並びに/又はポリエステルのブレンドから成ることができるセルロースアセテートの材料及び/若しくは繊維材料上への、並びに/又はセルロースアセテート繊維材料上への)は、イエロー、レッド及び/又はオレンジの分散染料から選択される分散染料を1種以上と、式(1)及び式(2)の染料を2種以上又は(1’)及び式(2’)の染料を2種以上とを含む、上述の染料混合物を用いて、容易に得ることができる。
【0017】
オレンジ、イエロー、又はレッドの組成物として、染料が本発明に従う混合物に適合する限り、任意のオレンジ、イエロー、レッドの分散染料を用いることができる。これらのオレンジ、イエロー又はレッドの組成物はまた、これらの混合物が本発明に従う混合物に適合する限り、異なる、イエロー、レッド及び/又はオレンジの分散染料種の混合物であることができる。
【0018】
本発明は、式(1)の染料の1種以上と、(2)の染料の1種以上と、下記式(3)又は(4)又は(5)又は(6)又は(7)又は(8)又は(9)又は(10)又は(11)又は(12)の染料の1種以上とを含む混合物をさらに提供する。
【0019】
【化7】

(式中、R13はC〜C−アルキルであり、R14はC〜C−アルキルであり、そしてHalogenはハロゲン原子を表す。)
【0020】
【化8】

(式中、環A及び環Bは、さらに置換されていてもよい。)
【0021】
【化9】

(式中、R15はC〜C−アルキルであり、そして環C及び環Dはさらに置換されていてもよい。)
【0022】
【化10】

(式中、R16は未置換の又はヒドロキシル−若しくはシアノ−によって置換されたC〜C−アルキルであり、R17は未置換のC〜C−アルキル又は−O−COR18基によって置換されたC〜C−アルキルであり、ここでR18はC〜C−アルキルであり、R32はニトロ、C〜C−アルコキシ又は−SOCH基であり、そしてR33は水素又はC〜C−アルキルである。)
【0023】
【化11】

(式中、R19はC〜C−アルキルであり、R20はC〜C−アルキルであり、R15はC〜C−アルキルであり、そしてR22はC〜C−アルキル又は−NHCOR23基であり、ここでR23はC〜C−アルキルである。)
【0024】
【化12】

(式中、R24はハロゲンである。)
【0025】
【化13】

(式中、R25はシアノ、ニトロ又はハロゲンであり、R26はハロゲンであり、R27は未置換の又はヒドロキシルによって置換された、C〜C−アルキルであり、R28は未置換の又はヒドロキシル−によって置換された、C〜C−アルキルであり、及びナフチル環Eはさらに置換されていてもよい。)
【0026】
及び/又は、
【化14】

(式中、R26はC〜C−アルキル又はNHCOR17基であり、ここでR17はC〜C−アルキルであり、R27はC〜C−アルキル又はC〜C−アルキルカルボニルオキシ−C〜C−アルキルであり、そしてR28はC〜C−アルキル又はC〜C−アルキルカルボニルオキシ−C〜C−アルキルである。)
【0027】
〜C−アルキルカルボニルアミノ又はC〜C−アルキルカルボニルオキシ中の基のような及び基としてのC〜C−アルキルは、メチル、エチル、プロピル、n=ブチル、イソブチル、sec−ブチル、又はtert−ブチルである。
【0028】
〜C−アルコキシカルボニル中の基のような又は基としてのC〜C−アルコキシは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、又はブトキシ等である。
ハロゲンとしてのR、R、R25及びR26は、例えば、臭素、又は好ましくは、塩素である。
ハロゲンとしてのR及びR24は、例えば、塩素、又は好ましくは、臭素である。
式(3)中のハロゲンは、例えば、臭素、又は好ましくは、塩素である。
〜C−アルキルとしてのR、R及びR16は、プロピル又はイソプロピル、及び、特にエチルである。
〜C−アルキルとしてのR13、R15、R18、R22、R23、R、R31及びR33は、好ましくはエチル、及び、特にメチルである。
〜C−アルキルとしてのR14、R19、R21、R11、R30及びR25は、好ましくはメチル、及び、特にエチルである。
〜C−アルキルとしてのR19、R20、R27、及びR28は、好ましくはエチル、及び、特にプロピルである。
30及びR31は、好ましくはC〜C−アルキルである。
26は、好ましくは、ニトロ又は−SOCH基である。
【0029】
〜C−アルキル基は、一般的に、前述の置換基によって、1又は2箇所置換されている。
環A〜Eは、C〜C−アルキル、C〜C−アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ又はアシルアミノ等によって、それぞれ独立に置換されていてもよい。
【0030】
本発明は、式(1’)の染料を1種以上、染料(2’)を1種以上、及び(3)及び/又は(4)及び/又は(5)及び/又は(6)及び/又は(7)及び/又は(8)及び/又は(9)及び/又は(10)及び/又は(11)及び/又は(12)の式を有する各染料の1種以上を含む混合物をさらに提供する。
【0031】
好ましい混合物は、式(1)の染料を1種以上、染料(2)を1種以上、及び次の化合物を1種以上含む、混合物である:
【化15】

【0032】
【化16】

(式中、R’13はC〜Cのアルキルである。)
上述の染料の調製法が知られている。
【0033】
ポリエステル繊維材料、特にテキスタイル材料の染色用又は印刷用の染料として、本発明の染料混合物を用いることができる。さらに、これらの繊維材料は、ビスコースレーヨン又はポリアミド等の、半合成疎水性及び/又はセルロースアセテートの繊維をさらに含むことができる。半合成又は疎水性セルロースアセテートのテキスタイル材料、及びビスコースレーヨン又はポリアミド等を含むブレンド布帛から構成されるテキスタイル材料は、本発明に従う染料混合物の補助を用いて、同様に染色できるか、又は印刷できる。
【0034】
ポリエステルを含む半合成疎水性テキスタイル材料として、特にセルロースジアセテート及びセルローストリアセテート及びセルロースアセテートを用いることが可能である。
公知の染色法にしたがって、本発明に従う化合物のテキスタイル材料への適用を行う。例えば、セルロースジアセテートを、好ましくは、約65〜95℃で染色し、そしてセルローストリアセテートを65〜130℃、特に90〜125℃で染色する。最大130℃で純粋なポリエステル繊維材料を染色することができる。
【0035】
本発明に従う染料混合物は、隣接する羊毛又は綿を、仮にあったとしてもほんのわずかしか染色しない、非常に良好な羊毛又はコットンの留保を示す。したがって、セルロースアセテート−ウール及びセルロースアセテート−セルロースブレンド布帛又はポリエステル単体を染色する場合、本発明に従う染料混合物をまた、良好に実施するのに用いることができる。
【0036】
本発明に従う染料混合物は、エキゾースト法、パッドスチーム法、パッドロール法、及びパッドジッグ法中、サーモゾル法による染色法に対して、並びに印刷法に対して有用である。ここで、ロール印刷並びに/又はスクリーン印刷及び転写捺染等の古典的方法と同様に、印刷法もまた、インクジェット、バブルジェット(登録商標)、コンパウンドジェット、ドライインクジェット又はホットメルトインクジェット法等のインクジェット印刷法を含む。
【0037】
言及したテキスタイル材料は、繊維、スレッド、又はウェッブとして、織物として、又はループ状のニッテド・ファブリック等として、様々な製法の形態中に存在することができる。
【0038】
用いる前に、本発明に従う染料混合物を染料配合物に変えることが有利である。このために、染料混合物の粒径を0.1〜10ミクロンとするように、染料混合物を粉砕する。好ましくは、分散剤の存在下で、この粉砕を行うことができる。例えば、乾燥した染料混合物を、1種以上の分散剤と共に粉砕するか、又は1種以上の分散剤と共にペースト形態で混練し、そしてその後、減圧乾燥するか又は噴霧乾燥する。水を添加して印刷ペースト及び染浴を調製するために、そのようにして得られた配合を用いることができる。有用な分散剤は、分散染料を用いて染色するための、一般的で、慣用的な分散剤を含む。例えば、これらは、欧州特許第0280654号明細書、5ページ、40〜56行に、分散剤として言及されている分散剤である。例えば、これは、リグニンスルフォネートのナトリウム塩、又は亜硫酸二ナトリウム及びホルムアルデヒドとリグニンの反応から得られるさらなるリグニンスルフォネートのナトリウム塩であることができる。
【0039】
しかし、上述のように、この染料を単体で処方して、そしてその後、単純な混合操作で、この染料を対応する染料配合に変えることもできる。
染料配合中の分散剤又は複数種の分散剤の量は、染料配合物の重量に基づき、0%〜75%とすることができる。
【0040】
染料溶液中の染料混合物の量は、所望のシェードに依存する;すなわち染色する繊維材料の重量に基づき、一般的に有用であると分かっている量、0.01〜15、特に0.02〜10、及び特に0.1〜5重量%の範囲である。
染色溶液はまた、染色助剤、湿潤剤及び消泡剤等の添加剤をさらに含むことができる。
【0041】
この染色溶液は、硫酸若しくは燐酸等の鉱酸、特に、蟻酸若しくは酢酸等の有機酸、及び/又はアンモニウムアセテート若しくは硫酸ナトリウム等の塩をさらに含むことができる。この酸は、染色溶液のpHを調製するために特に作用し、pHは好ましくは4〜7の間である。
【0042】
印刷には、アルギン酸塩、デキストリン、アラビアゴム、クリスタルガム、イナゴマメ粉、トラガカントガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、スターチ等の変性した又は変性していない天然物等、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸若しくはそれらの共重合体、又はポリビニルアルコール等の合成物等の、慣用的な増粘剤を利用する。
【0043】
本発明に従う染料混合物は、言及した各材料、特に、セルロースジアセテート及びセルローストリアセテートに、非常に良好な各種堅牢度、例えば、特に、良好な耐光堅牢度、ヒートセット及びプリーツ加工堅牢度、塩素及び水堅牢度、汗堅牢度及び洗濯堅牢度等の水堅牢度を有する均整色相を付与する:この染料は非常に良好な摩擦堅牢度によって、さらに特徴付けられる。本発明に従う染料混合物は、染料の歩留まりの高さ、及び付着の良さに関し、さらに顕著である。
【0044】
本発明に従う染料混合物もまた、他の染料と共にシェードの組合せを作り出す場合に、非常に有効である。
本発明に従う染料混合物はまた、超臨界CO2からの疎水性テキスタイル材料の染色に関し非常に有効である。
【0045】
本発明に従う染料混合物の上述の用途は、ポリエステル及び/又は半合成疎水性セルロースアセテート繊維材料、特に、言及され又はそこに導入された材料に適用され、本発明に従う染料混合物中に存在するセルロースジアセテート、セルローストリアセテート及びポリエステルから構成されるテキスタイル材料を染色又は印刷するための方法と同様に、本発明の要旨の一部を構成する。本発明に従う方法によって処理できるさらなる生地、及び好ましい方法の条件が、本発明に従う染料混合物の用途のさらなる特定の記述に関連して、上記に見出される。本発明に従い用いられる染料混合物は、染料又は染料混合物に対して上記で示された規定及び選択の影響を受ける。
【0046】
本発明は、言及した方法によって染色又は印刷された、ポリエステル、半合成アセテート疎水性繊維材料、好ましくは、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、及びポリエステルから構成されるテキスタイル材料をさらに提供する。
次の例は、本発明を具体的に説明するのに役に立つ。
【実施例】
【0047】
例1
90〜110℃の温度分布を有する染浴中でセルロースジアセテートを染色するため、12.5部の染料(1’)及び26.25部の染料(2’)から成る染料(1’)及び染料(2’)(残り(添加して100部にする)は、リグニンスルフォネートをベースとする市販の分散剤から成る)の混合物を用いた。通常の方法(例4参照)で、セルロースジアセテートテキスタイル片を還元洗浄した後、良好な汗堅牢度及び良好な耐光堅牢度を有し、そして均染されたブリリアントブルーのセルロースジアセテート布帛が得られた。
【0048】
例2
染浴全体で、温度を100℃に維持したことを除き、例1を繰り返した。例1の結果と同様の結果であった。
【0049】
例3
通常の条件下、次の染料混合物を用いて、セルロースジアセテート布帛を染浴中で染色した:4.5部の染料(1’)、18部の染料(2’)、3部の次の染料:
【化17】

及び22部の次の染料:
【化18】

(残り(添加して100部にする)は、リグニンスルフォネートをベースとする市販の分散剤から成る)
通常の還元洗浄(例4参照)の後、濃いブラックに均染され、良好な堅牢度を有した布帛が得られた。
【0050】
例4
HT法に従いポリエステルを染色するため、例1に従う染料からの混合物を用いた。このため、60℃において、染浴に通常の染色化学物質を混ぜ、10分後に、毎分1.5℃の割合で130℃まで加熱した。この染浴を10分間、130℃に保った。その後、この染浴を冷却し、テキスタイル材料を冷すすぎ及び温すすぎし、そして3g/Lのハイドロスルファイト、2.5g/Lの固体のNaOH(6mL/L NaOH 36°Be)、0.5mol/LのEkaline F Liquidの混合物で、テキスタイル材料を還元洗浄し、そして、再度、テキスタイル材料を冷すすぎ及び温すすぎした。得られたポリエステル布帛は、ブリリアントブルーに均染され、そして良好な汗堅牢度及び良好な耐光堅牢度を有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】

の染料を1種以上、及び式(2):
【化2】

の染料を1種以上含む、染料混合物。
(式中、
は、水素、ハロゲン、ニトロ又はシアノである。
は、水素、ハロゲン、ニトロ又はシアノである。
は、水素、ハロゲン、C〜C−アルコキシ又はC〜C−アルキルである。
は、水素、C〜C−アルキルである。
は、水素、未置換の又はヒドロキシル−、シアノ−、C〜C−アルキルカルボニルオキシ−によって置換されている、C〜C−アルキル若しくはC〜C−アルケニルである。
は、未置換の又はヒドロキシル−、シアノ−、C〜C−アルキルカルボニルオキシ−、C〜C−アルコキシカルボニル−によって置換されている、C〜C−アルキル若しくはC〜C−アルケニルである。
は、ニトロ、C〜C−アルコキシ又は−SOCH基である。
は、水素又はC〜C−アルキルである。
は、水素又はC〜C−アルキルである。
10は、未置換の又はヒドロキシル−若しくはシアノ−によって置換されている、C〜C−アルキルである。
11は未置換のC〜C−アルキルであるか、又は−O−COR12基によって置換されているC〜C−アルキルであり、ここでR12はC〜C−アルキルである。)
【請求項2】
染料混合物が、染料(1)及び染料(2)の合計に基づき、最大60%の式(1)に従う染料を含むことを特徴とする、請求項1に記載の染料混合物。
【請求項3】
染料混合物が、次の各染料の1種以上をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の染料混合物:
【化3】

(式中、R13はC〜C−アルキルであり、R14はC〜C−アルキルであり、そしてHalogenはハロゲン原子を表す。)
【化4】

(式中、環A及び環Bは、さらに置換されていてもよい。)
【化5】

(式中、R15はC〜C−アルキルであり、そして環C及びDはさらに置換されていてもよい。)
【化6】

(式中、R16は未置換の又はヒドロキシル−若しくはシアノ−によって置換されたC〜C−アルキルであり、R17は未置換のC〜C−アルキル又は−O−COR18基によって置換されているC〜C−アルキルであり、ここでR18はC〜C−アルキルであり、R32はニトロ、C〜C−アルコキシ又は−SOCH基であり、R33は水素又はC〜C−アルキルである。)
【化7】

(式中、R19はC〜C−アルキルであり、R20はC〜C−アルキルであり、R15はC〜C−アルキルであり、そしてR22はC〜C−アルキル又は−NHCOR23基であり、ここでR23はC〜C−アルキルである。)
【化8】

(式中、R24はハロゲンである。)
【化9】

(式中、R25はシアノ、ニトロ又はハロゲンであり、R26はハロゲンであり、R27は未置換の又はヒドロキシルによって置換されたC〜C−アルキルであり、そしてR28は未置換の又はヒドロキシルによって置換されたC〜C−アルキルであり、そしてナフチル環Eはさらに置換されていてもよい。)
及び/又は、
【化10】

(式中、R26はC〜C−アルキル又はNHCOR17基であり、ここでR17はC〜C−アルキルであり、R27はC〜C−アルキル又はC〜C−アルキルカルボニルオキシ−C〜C−アルキルであり、そしてR28はC〜C−アルキル又はC〜C−アルキルカルボニルオキシ−C〜C−アルキルである。)
【請求項4】
1種以上の式(1)式(1’)の染料および1種以上の式(2’)の染料:
【化11】

並びに1種以上の式(2)式(2’)の染料:
【化12】

によって特徴付けられる、請求項1に記載の染料混合物。
【請求項5】
セルロースアセテートを含む半合成又は合成の疎水性繊維材料の染色用又は印刷用の、請求項1に記載の染料混合物の用途。
【請求項6】
ポリエステル及び/又はセルロースジアセテートを含む、繊維構成の染色用又は印刷用の、請求項1に記載の染料混合物の用途。
【請求項7】
請求項1に記載の染料混合物を用いて染色又は印刷された、繊維構造体。

【公表番号】特表2006−513308(P2006−513308A)
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502608(P2005−502608)
【出願日】平成15年12月18日(2003.12.18)
【国際出願番号】PCT/IB2003/006147
【国際公開番号】WO2004/056925
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(596033657)クラリアント インターナショナル リミティド (48)
【Fターム(参考)】