説明

セルロースエステルフィルムおよびその製造方法

【課題】良好な生産効率を達成しながらも気泡や異物の混入が十分に防止されたセルロースエステルフィルムおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】撹拌翼を回転させて撹拌することによりセルロースエステルを溶媒に溶解しドープを得た後、該ドープを用いて溶液流延法によりセルロースエステルフィルムを製造する方法であって、セルロースエステルの溶解工程において、撹拌翼が、比較的高速Vで回転する高速回転Sと該速度Vよりも低速で回転する低速回転Sとを交互に繰り返すことを特徴とするセルロースエステルフィルムの製造方法、および該方法によって製造されたセルロースエステルフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロースエステルフィルムおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶テレビ、液晶ディスプレイ、PCモニタ、携帯電話等の液晶表示装置の高画質化、高精細化が一段と加速している。それに伴って液晶表示装置に用いられる偏光板用保護フィルムや位相差フィルムなどの光学フィルムに対しても、フィルムに含まれる気泡や異物の低減に対する要求が強くなってきている。
【0003】
光学フィルムは様々な製造方法が知られているが、溶液流延法では、セルロースエステルを溶媒中に溶解したもの(ドープ)を支持体上に流延した後、溶媒を乾燥してフィルム状に成形する。セルロースエステルを溶媒に溶解させる際は、溶解効率の観点から、一般に、撹拌翼を高速で定速回転させる。
【0004】
しかしながら、上記した方法でセルロースエステルを溶媒に溶解させると、ドープ中に気泡が発生し、これをフィルムに成形した場合には、やはりフィルムに気泡が含有され、外観品質に問題が生じた。
【0005】
そこで、気泡が発生したドープを静置するなどして、脱泡させることが知られているが、そのような方法では脱泡を十分に達成することはできなかった。たとえ脱泡できたとしても、静置に比較的長時間を要するため、生産効率が悪化した。またドープ中に気泡が存在すると、当該気泡の周りに未溶解のセルロースエステルが付着するので、セルロースエステルの溶解が不十分になり、セルロースエステル未溶解物がフィルムにおいて異物として認識された。そのような気泡や異物の問題は、ドープの粘度が高いときに特に顕著であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、良好な生産効率を達成しながらも気泡や異物の混入が十分に防止されたセルロースエステルフィルムおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、撹拌翼を回転させて撹拌することによりセルロースエステルを溶媒に溶解しドープを得た後、該ドープを用いて溶液流延法によりセルロースエステルフィルムを製造する方法であって、
セルロースエステルの溶解工程において、撹拌翼が、比較的高速Vで回転する高速回転と該速度Vよりも低速で回転する低速回転とを交互に繰り返すことを特徴とするセルロースエステルフィルムの製造方法、および該方法によって製造されたセルロースエステルフィルムに関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るセルロースエステルフィルムの製造方法では、セルロースエステルの溶解工程において撹拌翼の回転速度を制御するので、良好な生産効率を達成しながらも気泡や異物の混入を十分に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明においては、セルロースエステルを溶媒に溶解し、ドープ(セルロースエステル溶液)を調製するに際し、当該溶解工程を行う撹拌装置における撹拌翼の回転速度を制御する。詳しくはセルロースエステルの溶解工程において、撹拌翼が、比較的高速Vで回転する高速回転と該速度Vよりも低速で回転する低速回転とを交互に繰り返す。
【0010】
撹拌翼は、水平面に対する垂直方向に1段のみで撹拌翼を備えた1段式撹拌翼が使用されてもよいし、または当該垂直方向にn段(nは2以上の整数)で撹拌翼を備えた多段式撹拌翼が使用されてもよい。以下、撹拌翼が1段式の場合と、多段式の場合とにわけて詳しく説明する。セルロースエステルの溶解をより一層有効に行う観点から、多段式撹拌翼を使用することが好ましい。
【0011】
(第1実施形態)
本実施形態では1段式撹拌翼を用いてセルロースエステルの溶解を行う。1段式撹拌翼を使用する場合において、高速回転と低速回転とを交互に周期的に繰り返すと、高速回転時に発生した気泡が、低速回転時に有効に脱泡されるので、良好な生産効率を達成しながらも気泡や異物の混入を十分に防止できる。詳しくは、高速回転時には気泡や渦が発生し、気泡は渦の拘束力により渦の中に巻き込まれ、渦の中心近傍に集まる。そこで、本発明のように低速回転を周期的に行うことにより、渦が一旦、消失し、気泡が渦の拘束力から開放されるため、脱泡が有効に達成される。その結果、良好な生産効率を達成しながらも気泡や異物の混入を十分に防止できるものと考えられる。
【0012】
高速回転工程Sは、例えば図1に示すように、撹拌翼が、低速回転工程Sと比較して高速のVで回転する工程であり、低速回転時の最低速度をVとしたとき、V/Vは0.1〜0.4、特に0.2〜0.4が好ましい。図1は1段式撹拌翼の回転速度の経時変化をV(t)として表したときのグラフの一例である。V/Vが小さすぎると、セルロースエステルの溶解効率が低下し、フィルムの生産効率が悪化する。V/Vが大きすぎると、十分な脱泡が行われないので、フィルムに気泡や異物が混入する。低速回転工程Sは、回転速度が高速回転工程Sの回転速度Vより減速されてから速度Vを経て次の高速回転工程の回転速度Vに達するまでの間の回転工程である。
【0013】
高速回転工程での回転速度Vおよび低速回転工程での最低速度Vは、本発明の目的が達成される限り特に制限されるものではなく、通常はVは20〜50rpm、好ましくは20〜40rpmであり、Vは5〜15rpm、好ましくは7〜13rpmである。
【0014】
高速回転工程と低速回転工程とは交互に周期的に繰り返され、1周期における高速回転時間をT、低速回転時間をTとしたとき、T/Tは好ましくは0.05〜0.35であり、より好ましくは0.15〜0.25である。TおよびTは本発明の目的が達成される限り特に制限されず、通常はTは300〜600秒間、好ましくは400〜500秒間であり、Tは1800〜3600秒間、好ましくは2400〜3000秒間である。
【0015】
本溶解工程の開始時において高速回転工程および低速回転工程を周期的に繰り返す前は、任意の速度で回転されてよい。通常は撹拌翼は高速回転時の所定の速度まで増速され、まず高速回転を行った後、低速回転を行い、その後、所定の高速回転および低速回転を繰り返し行えばよい。
【0016】
撹拌翼が回転を開始してから、高速回転と低速回転を繰り返して本溶解工程を終えるまでの撹拌時間は、本発明の目的が達成される限り特に制限されるものではない。フィルムへの気泡混入防止と生産効率の向上とのバランスの観点から、当該撹拌時間は60〜240分間、特に180〜240分間が好ましい。本溶解工程を終える時、撹拌翼は高速回転または低速回転のいずれの回転を行っていてもよい。
【0017】
上記した高速回転および低速回転は1段式撹拌翼および撹拌槽を備えた撹拌装置において1段式撹拌翼の駆動出力を制御することよって実施可能である。
【0018】
1段式撹拌翼の形状は、従来から混合装置や粉砕装置として使用されている撹拌装置に具備されている撹拌翼と同様の形状が使用可能であり、例えば、スクリュー翼、ヘリカルリボン翼、広幅パドル翼、アンカー翼、ビッチドパドル翼等であってよい。好ましい形状はアンカー翼、ビッチドパドル翼である。
【0019】
本実施形態で使用可能な1段式撹拌翼を備えた撹拌装置は、佐竹化学機械工業(株)、阪和化工機(株)、(株)竹内製作所等から市販品として入手可能である。
【0020】
(第2実施形態)
本実施形態では多段式撹拌翼を用いてセルロースエステルの溶解を行う。多段式撹拌翼は撹拌翼を水平面に対する垂直方向にn段で備えたものであり、nは2以上、特に2〜3の整数であり、好ましくは2である。2段式撹拌翼の概略模式図を図2に示す。そのような多段式撹拌翼を使用する場合において、各段の撹拌翼は独立して、第1実施形態と同様の高速回転と低速回転とを交互に周期的に繰り返す。その際、本実施形態においては、隣接する上下2段の撹拌翼について、上段の撹拌翼による回転周期を、下段の撹拌翼による回転周期よりも適度に遅らせて設定する。
【0021】
具体的には、例えば、図3に示すようなタイミングで各段の撹拌翼の高速回転および低速回転を行う。図3は、下から第「x」段の撹拌翼を撹拌翼(x)と表すとき、撹拌翼(k)の回転速度の経時変化をV(t)、撹拌翼(k−1)の回転速度の経時変化をVk−1(t)として表したときのグラフの一例を示す。本実施形態では、図3に示すように、
(A)撹拌翼(k−1)(kは2以上n以下の整数)による高速回転工程SH(k−1)の終了P1、すなわち当該高速回転工程直後の低速回転工程SL(k−1)の開始P1を、撹拌翼(k)の高速回転工程SH(k)中に行う。通常はさらに、
(B)上記(A)で開始された撹拌翼(k−1)による低速回転工程SL(k−1)の終了P2を、撹拌翼(k)の上記高速回転工程SH(k)直後の低速回転工程SL(k)中に行う。そのようなタイミングでの撹拌翼の高速回転および低速回転は、隣接する全ての上下2段の撹拌翼について行われる。これによって、隣接する全ての上下2段の撹拌翼間において、下段の撹拌翼の高速回転工程で発生した気泡が、当該撹拌翼の低速回転工程への移行により渦の拘束力から開放されたとき、上段の撹拌翼の高速回転工程で発生している渦に巻き込まれ、気泡が上昇する。その結果、下方の撹拌翼の高速回転で発生した気泡を順次、上昇させることができるので、多段式撹拌翼を使用する場合であっても、良好な生産効率を達成しながらも気泡や異物の混入を十分に防止できるものと考えられる。
【0022】
本実施形態において、撹拌翼(k)の回転速度の経時変化をV(t)、撹拌翼(k−1)の回転速度の経時変化をVk−1(t)として表したとき、フィルムへの気泡混入防止と生産効率向上とのバランスの観点から、V(t)/Vk−1(t)は0.1〜10が好ましく、より好ましくは2.5〜4の範囲である。
【0023】
多段式撹拌翼における全段の撹拌翼は通常、同じ方向に回転する。
【0024】
各段における高速回転工程での速度V、低速回転工程での最低速度V、およびそれらの比率V/Vは各段においてそれぞれ独立して第1実施形態と同様の範囲内に設定される。特に2段式撹拌翼を使用する場合において、上下段の撹拌翼のVはそれぞれ独立して20〜50rpm、特に20〜40rpmが好ましく、Vはそれぞれ独立して5〜15rpm、特に7〜13rpmが好ましく、V/Vはそれぞれ独立して0.1〜0.4、特に0.15〜0.35が好ましい。そのような場合において、上段の撹拌翼によるV、V、およびV/Vはそれぞれ下段の撹拌翼におけるそれらの値と同様の値に設定されることがより好ましい。
【0025】
各段における回転周期(1周期における高速回転時間TH(k)および低速回転時間TL(k)の和ならびに高速回転時間TH(k−1)および低速回転時間TL(k−1)の和)は通常、等しい値に設定される。そのような回転周期は特に制限されるものではなく、通常は2100〜4200秒間、好ましくは2400〜3500秒間である。
【0026】
各段において1周期における高速回転時間TH(k)およびTH(k−1)、低速回転時間TL(k)およびTL(k−1)、ならびにそれらの比率TL(k)/TH(k)およびTL(k−1)/TH(k−1)はそれぞれ第1実施形態におけるT、TおよびT/Tと同様の範囲内に設定される。特に2段式撹拌翼を使用する場合において、上下段の撹拌翼のTH(k)およびTH(k−1)はそれぞれ独立して1800〜3600秒間、特に2400〜3000秒間が好ましく、TL(k)およびTL(k−1)はそれぞれ独立して300〜600秒間、特に400〜500秒間が好ましく、TL(k)/TH(k)およびTL(k−1)/TH(k−1)はそれぞれ独立して0.05〜0.35、特に0.1〜0.3が好ましい。そのような場合において、上段の撹拌翼によるTH(k)、TL(k)、およびTL(k)/TH(k)はそれぞれ下段の撹拌翼におけるそれらの値と同様の値に設定されることがより好ましい。
【0027】
各段の撹拌翼は、本溶解工程の開始時において高速回転工程および低速回転工程を周期的に繰り返す前は、任意の速度で回転されてよい。通常は全段の撹拌翼は同じ加速度で高速回転時の所定の速度まで増速され、まず高速回転を行った後、各段毎に所定のタイミングで低速回転を行い、その後、所定の高速回転および低速回転を繰り返し行えばよい。
【0028】
各段において撹拌翼が回転を開始してから、高速回転と低速回転を繰り返して本溶解工程を終えるまでの撹拌時間は、本発明の目的が達成される限り特に制限されるものではない。フィルムへの気泡混入防止と生産効率の向上とのバランスの観点から、当該撹拌時間は60〜240分間、特に180〜240分間が好ましい。本溶解工程を終える時、各段の撹拌翼は高速回転または低速回転のいずれの回転を行っていてもよい。
【0029】
本実施形態において、上記した高速回転および低速回転は多段式撹拌翼および撹拌槽を備えた撹拌装置において各段の撹拌翼の駆動出力を独立して制御することよって実施可能である。
【0030】
多段式撹拌翼における各段の撹拌翼形状はそれぞれ独立して、1段式撹拌翼においてと同様である。
【0031】
(第1実施形態および第2実施形態に共通の説明)
セルロースエステルの溶解工程において詳しくは、セルロースエステルを撹拌装置中の溶媒に添加し、前記した方法で撹拌翼を回転させることにより、混合物の撹拌を行い、セルロースエステルを溶解させる。撹拌時の環境条件は、本発明の目的が達成される限り特に制限されるものではなく、例えば、混合物を加熱した状態または非加熱の状態で、常圧または加圧下にて撹拌を行う。加熱温度は、溶媒を構成する主溶媒の沸点以下であっても、当該沸点以上であってもよい。好ましくは加圧下で、主溶媒の常圧での沸点以上でかつ主溶媒が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら、攪拌して溶解する。
【0032】
本工程で得られるドープは、フィルムへの泡の混入をより有効に防止する観点から、40℃換算で1000〜25000cP、特に10000〜20000cPの粘度を有することが好ましい。特に10000〜20000cPの比較的高粘度を有するドープを得ることが、本発明においてより一層好ましい。ドープがそのような高粘度を有する場合であっても、ドープおよびフィルムへの気泡の混入を有効に防止でき、本発明の効果が顕著に表れるためである。
【0033】
本明細書中、粘度はエンジニアリング業界で通常に扱われる市販の振動式粘度計(例えばビスコメイトシリーズFVM−80A、FVM−80A−EX、FVM−80A−EXTH;シービーシー株式会社製)によって密閉配管内で0.03〜0.05m/secの流速下で下方から上方への流れ中に挿入したプローブにより測定された値であり、40℃における測定値に読みかえた値である。
【0034】
セルロースエステルは光学フィルムの分野で従来より使用されているセルロースエステルであれば特に制限されず、例えば、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、またはセルロースアセテートプロピオネートブチレートなどが使用可能である。
【0035】
セルロースエステルは、ドープ粘度を低減し、フィルムへの泡の混入をより有効に防止する観点から、アセチル基の置換度とプロピオニル基及びブチリル基の置換度との合計が2.4以上3.0以下、特に2.4以上2.8以下であることが好ましい。
【0036】
セルロースエステルの原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ(針葉樹パルプ、広葉樹パルプ)、ケナフなどを挙げることが出来る。またそれらから得られたセルロースエステルはそれぞれ任意の割合で混合使用することが出来る。
【0037】
セルロースエステルは、セルロース原料をアシル化することによって得ることができる。例えば、アシル化剤が酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)である場合には、酢酸のような有機酸やメチレンクロライド等の有機溶媒を用い、硫酸のようなプロトン性触媒を用いて合成する。また例えば、アシル化剤が酸クロライド(CHCOCl、CCOCl、CCOCl)の場合には、触媒としてアミンのような塩基性化合物を用いて反応が行われる。具体的には特開平10−45804号公報に記載の方法で合成することが出来る。アシル基をセルロース分子の水酸基に反応させる。セルロース分子はグルコースユニットが多数連結したものからなっており、グルコースユニットに3個の水酸基がある。この3個の水酸基にアシル基が誘導された数を置換度という。例えば、セルローストリアセテートはグルコースユニットの3個の水酸基全てにアセチル基が結合している。
アシル基の置換度はASTM−D817−96に準じて測定することができる。
【0038】
セルロースエステルは、溶媒の粘度の観点から、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)が1.8〜3.5、特に2.0〜3.2であることが好ましい。
【0039】
分子量分布の測定方法としては、高速液体クロマトグラフィーを用いることができ、これを用いて数平均分子量、重量平均分子量を算出し、その比を計算することができる。
測定条件の一例を以下に示す。
溶媒:メチレンクロライドカラム: Shodex K806,K805,K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した。)
カラム温度:25℃試料濃度: 0.1質量%検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用する。13サンプルは、ほぼ等間隔に得ることが好ましい。
【0040】
セルロースエステルのMnは通常、50000〜200000であり、Mwは通常、150000〜400000である。
【0041】
セルロースエステルは粒径0.5〜5mm、特に0.5〜3mmの粒状に粉砕されて使用されることが好ましい。
【0042】
セルロースエステルが溶解される溶媒は、良溶媒と貧溶媒との混合溶媒を用いる。良溶媒とは、30℃の溶媒(単独)100mlに対して、使用されるセルロースエステルを粒径3mmで添加し、1時間混合したとき、全てのセルロースエステルが溶解される溶媒を指すものとする。貧溶媒とは、上記と同様の混合を行ったとき、少なくとも一部のセルロースエステルが溶解されることなく、残留する溶媒を指すものとする。そのため、セルロースエステルの結合酢酸量によって良溶媒、貧溶媒が変わり、例えばアセトンは結合酢酸量55%のセルロースアセテートに対しては良溶媒であり、結合酢酸量60%のセルロースアセテートに対しては貧溶媒である。結合酢酸量は酢化度とも表現され、セルロースアセテート中の酢酸の量(重量%)を示す。
【0043】
良溶媒の具体例として、例えば、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類等がある。貧溶媒の具体例として、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン等がある。使用される溶媒のうち、最も使用割合の大きい溶媒を主溶媒と呼ぶものとする。良溶媒と貧溶媒の混合比率は良溶媒70〜95質量%、貧溶媒は30〜5質量%が好ましい。又、セルロースエステルの濃度は10〜30質量%が好ましく、15〜25質量%がより好ましい。セルロースエステル濃度はドープ全体に対する割合である。
【0044】
ドープには、セルロースエステルと溶媒の他に、必要に応じて、可塑剤、紫外線吸収剤、マット剤等の添加剤を含有させてもよい。添加剤は、予め溶媒と混合し、溶解または分散してから、セルロースエステル溶解前の溶媒に投入しても、セルロースエステル溶解後のドープへ投入しても良い。また添加剤はセルロースエステルと同時に使用してもよく、同時に使用することが調製コストの観点から好ましい。
【0045】
可塑剤としては特に限定されず、例えば、リン酸エステル系化合物、フタル酸エステル系化合物、グリコール酸エステル系化合物等が使用可能である。
リン酸エステル系化合物の具体例として、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が挙げられる。
フタル酸エステル系化合物の具体例として、例えば、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート等が挙げられる。
グリコール酸エステル系化合物の具体例として、例えば、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等が挙げられる。
可塑剤は単独で用いてもよいし、または2種類以上を併用して用いてもよい。これらの可塑剤を含有することにより、寸法安定性、耐水性に優れたフィルムが得られるため、特に好ましい。
可塑剤の添加量は特に制限されず、通常はセルロースエステルに対して12重量%以下が好適である。可塑剤を2種類以上併用する場合には、これらの可塑剤の合計量が上記範囲内であれば良い。
【0046】
紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ波長400nm以上の可視光の吸収が可及的に少ないものが好ましく用いられる。具体例として、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などがあげられるが、これらに限定されない。
【0047】
マット剤としては、無機化合物が使用可能であり、具体例として、例えば二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。
【0048】
ドープを調製した後は、所望によりドープの濾過を行い、その後、溶液流延法によりセルロースエステルフィルムを製造する。
【0049】
本発明においてドープ調製後のセルロースエステルフィルムの製造工程は特に制限されるものではなく、光学フィルムの分野で一般に採用されている溶液流延法を採用した光学フィルム製造工程であればよい。例えば、ドープを支持体上に流延(キャスト工程)し、加熱して溶剤の一部を除去(支持体上乾燥工程)した後、支持体から剥離し、剥離したフィルムを乾燥(フィルム乾燥工程)して、フィルムを得る。フィルムの製造工程では、例えば、米国特許第2,492,978号、同2,739,070号、同2,739,069号、同2,492,977号、同2,336,310号、同2,367,603号、同2,607,704号、英国特許64,071号、同735,892号、特公昭45−9074号、同49−4554号、同49−5614号、同60−27562号、同61−39890号、同62−4208号に記載の方法を参照して製膜できる。
【0050】
キャスト工程における支持体は、ベルト状もしくはドラム状のステンレスを鏡面仕上げした支持体が好ましく用いられる。キャスト工程の支持体の温度は一般的な温度範囲0℃〜溶剤の沸点未満の温度で、流延することができるが、0〜40℃の支持体上に流延するほうが、ドープをゲル化させ剥離限界時間をあげられるため好ましい。剥離限界時間とは透明で平面性の良好なフィルムを連続的に得られる流延速度の限界において、流延されたドープが支持体上にある時間をいう。剥離限界時間は短い方が生産性に優れていて好ましい。
【0051】
支持体上での乾燥は残留溶媒量60〜150%で支持体から剥離することが、支持体からの剥離強度が小さくなるため好ましく、80〜120%がより好ましい。剥離するときのドープの温度は0〜30℃にすることが剥離時のベース強度をあげることができ、剥離時のベース破断を防止できるため好ましく、5〜20℃がより好ましい。残留溶媒量は次式の様に固形分に対する残留溶媒量の重量割合で示される。
残留溶媒量=残存揮発分重量/加熱処理後フィルム重量×100%
なお残存揮発分重量はフィルムを115℃で1時間加熱処理したとき、加熱処理前のフィルム重量から加熱処理後のフィルム重量を引いた値である。この様な剥離時の残留溶媒量にする為には、支持体上で温風による乾燥をするのが一般的であるが、支持体上でのドープの発泡や支持体の振動等を調整する為、複数の工程で温度や静圧を変えた風で乾燥するのが好ましい。
【0052】
フィルム乾燥工程においては支持体より剥離したフィルムをさらに乾燥し、残留溶媒量を3質量%以下、好ましくは0.5質量%以下にする。フィルム乾燥工程では一般にロール懸垂方式か、テンター方式でフィルムを搬送しながら乾燥する方式が採られる。テンター方式はピンテンター方式でもクリップテンター方式でも構わないが、テンターにはいるフィルムの残留溶媒量やフィルム端のカール状態により最適な方法を選択するのが好ましい。液晶表示部材用としては、テンター方式で巾を保持したり、巾方向に延伸しながら乾燥させる工程を設けることが、光学特性やフィルム表面の平面性を向上させるために好ましい。フィルムを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行う。簡便さの点で熱風で行うのが好ましい。乾燥温度は40〜150℃の範囲で3〜5段階の温度に分けて、段々高くしていくことが好ましく、80〜140℃の範囲で行うことが寸法安定性を良くするためさらに好ましい。
【0053】
溶液流延法において、支持体からフィルムを剥離した後であって、当該フィルムを乾燥させる前に、ピンテンター方法、クリップテンター方式等の公知の延伸方法によりフィルムの幅方向および/または搬送方向に延伸処理を行ってもよい。
【0054】
本発明のセルロースエステルフィルムの厚さは特に制限されないが、10〜100μmであることが液晶表示部材用として好ましい。本発明では厚みは30〜80μmがより好ましい。
【0055】
本発明のセルロースエステルフィルムは液晶表示用部材として有用である。液晶表示用部材とは液晶表示装置に使用される部材のことで、例えば、偏光板用保護フィルム、位相差板、反射板、視野角向上フィルム、防眩フィルム、無反射フィルム、帯電防止フィルムなどがあげられる。
【0056】
本発明のセルロースエステルフィルムを用いて偏光板を一般的な方法で作製することができる。例えば、セルロースエステルフィルムをアルカリ処理し、これを、沃素溶液中で浸漬延伸して作製した偏光膜の両面に、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号、特開平6−118232号に記載されているような接着性を高める方法を使用しても良い。
【実施例】
【0057】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0058】
(ドープ1の組成)
セルローストリアセテート 100重量部
(Mn=148000、Mw=310000、Mw/Mn=2.1、粒径3mm)
トリフェニルフォスフェート 8重量部
エチルフタリルエチルグリコレート 2重量部
メチレンクロライド 450重量部
エタノール 30重量部
チヌビン109(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.5重量部
チヌビン171(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.5重量部
アエロジル972V(日本アエロジル(株)製) 0.2重量部
【0059】
(ドープ2の組成)
メチレンクロライドを430重量部、エタノールを50重量部用いたこと以外は、ドープ1と同様の組成である。
【0060】
(ドープ3の組成)
セルロースアセテートプロピオネート 100重量部
(アセチル基置換度+プロピオニル基置換度=2.70、粒径3mm)
(Mn=70000、Mw=220000、Mw/Mn=3.14)
トリフェニルフォスフェート 8重量部
エチルフタリルエチルグリコレート 2重量部
メチレンクロライド 300重量部
エタノール 60重量部
チヌビン109(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 0.5重量部
チヌビン171(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 0.5重量部
アエロジル972V(日本アエロジル(株)製) 0.2重量部
【0061】
(実施例1)
前記ドープ1の組成における全ての成分を、1段式撹拌翼を有する密閉型撹拌装置に投入し、70℃まで昇温し70℃で1時間攪拌して、セルロースエステルを溶解した。撹拌時において撹拌翼は、図1に示すように、高速回転と低速回転とを繰り返した。詳しくは撹拌翼の回転速度を2400秒間(t)かけて20rpm(V)まで増速した後、当該速度で回転させる高速回転と、回転速度を7rpm(V)まで減速した後、20rpm(V)まで増速する低速回転とを、撹拌開始から10800秒間(t)経過するまで繰り返した。1周期における高速回転時間Tは2400秒間、低速回転時間Tは180秒間であった。
【0062】
その後、攪拌を停止し、40℃に保温してドープを調製した。得られたドープを連続的に溶液流延法に供してフィルムを作製した。詳しくは、ベルト流延装置を用い、濾過したドープを温度35℃、1800mm幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。その後、ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が100%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレスバンド支持体上から剥離した。剥離したフィルムを残留溶媒量が0.1%になるまで乾燥し、厚み80μmのセルロースエステルフィルムを得た。
【0063】
(実施例2)
前記ドープ2の組成を採用したこと、図2に示すような2段式撹拌翼を有する密閉型撹拌装置を用いたこと、セルロースエステルの溶解工程において以下に示す撹拌制御を行ったこと以外、実施例1と同様の方法によりセルロースエステルフィルムを得た。
【0064】
撹拌時において下部の第1撹拌翼1および上部の第2撹拌翼2はそれぞれ、図3(k=2)に示すように、高速回転と低速回転とを、撹拌開始から10800秒間(t)経過するまで繰り返した。詳しくは第1撹拌翼による回転速度はVk−1(t)に従って経時変化するように制御し、第2撹拌翼による回転速度はV(t)に従って経時変化するように制御した。具体的な値は表1に示す通りであった。
【0065】
(実施例3)
前記ドープ3の組成を採用したこと、図2に示すような2段式撹拌翼を有する密閉型撹拌装置を用いたこと、セルロースエステルの溶解工程において以下に示す撹拌制御を行ったこと以外、実施例1と同様の方法によりセルロースエステルフィルムを得た。
【0066】
撹拌時において下部の第1撹拌翼1および上部の第2撹拌翼2はそれぞれ、図3(k=2)に示すように、高速回転と低速回転とを、撹拌開始から3600秒間(t)経過するまで繰り返した。詳しくは第1撹拌翼による回転速度はVk−1(t)に従って経時変化するように制御し、第2撹拌翼による回転速度はV(t)に従って経時変化するように制御した。具体的な値は表1に示す通りであった。
【0067】
(比較例1)
セルロースエステルの溶解工程において以下に示す撹拌制御を行ったこと以外、実施例1と同様の方法によりセルロースエステルフィルムを得た。
【0068】
撹拌時において1段式撹拌翼は定速回転させた。詳しくは撹拌翼の回転速度を300秒間(t)かけて20rpm(V)まで増速した後、当該速度で回転を、撹拌開始から10800秒間(t)経過するまで行った。
【0069】
(比較例2)
セルロースエステルの溶解工程において以下に示す撹拌制御を行ったこと以外、実施例2と同様の方法によりセルロースエステルフィルムを得た。
【0070】
撹拌時において下部の第1撹拌翼および上部の第2撹拌翼はいずれも定速回転させた。詳しくは第1撹拌翼および第2撹拌翼の回転速度をともに300秒間(t)かけて50rpm(V)まで増速した後、当該速度で回転を、撹拌開始から10800秒間(t)経過するまで行った。
【0071】
<評価>
・ドープ粘度
各実施例/比較例においてセルロースエステルの溶解工程直後に得られたドープの粘度を40℃換算で求めた。
【0072】
・脱泡効果
各実施例/比較例で得られたフィルムを観察し、フィルム中における気泡の発生個数を測定した。
(測定方法)
フィルムを複数のCCDカメラで撮影し、その画像により直径1mm以上の泡の数をカウントし、長手方向長さ100mあたりの平均値を求めた。
◎;泡の発生個数≦0.10個/100m;
○;0.10個/100m<泡の発生個数≦0.15個/100m;
△;0.15個/100m<泡の発生個数≦0.20個/100m(実用上問題なし);
×;0.20個/100m<泡の発生個数≦1.00個/100m(実用上問題あり);
××;1.00個/100m<泡の発生個数。
【0073】
・異物低減効果
各実施例/比較例で得られたフィルムにおける異物の個数を測定した。
(測定方法)
直交状態(クロスニコル)で配置した2枚の偏光板の間に、サンプルを置き、一方の偏光板の外側から光を当てて、他方の偏光板の外側を透過型顕微鏡にて50倍の倍率で観察し、25cmの面積で光って見える異物(輝点異物)の数をカウントし、1cmあたりに換算した。上記観察を、1サンプル当り10箇所測定し、その平均値とした。
◎;異物の個数≦0.15;
○;0.15<異物の個数≦0.20;
△;0.20<異物の個数≦0.25;(実用上問題なし);
×;0.25<異物の個数≦0.35(実用上問題あり);
××;0.35<異物の個数。
【0074】
【表1】

【0075】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の方法は、液晶表示装置に使用される偏光板用保護フィルム、位相差板、反射板、視野角向上フィルム、防眩フィルム、無反射フィルム、帯電防止フィルム等の光学フィルムの製造に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明において1段式撹拌翼の回転速度の経時変化をV(t)として表したときのグラフの一例である。
【図2】本発明において使用可能な2段式撹拌翼の概略模式図の一例である。
【図3】本発明で多段式撹拌翼を使用した場合において、下から第「x」段の撹拌翼を撹拌翼(x)と表すとき、撹拌翼(k)の回転速度の経時変化をV(t)、撹拌翼(k−1)の回転速度の経時変化をVk−1(t)として表したときのグラフの一例を示す。
【符号の説明】
【0078】
1:下部の第1撹拌翼、2:上部の第2撹拌翼。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撹拌翼を回転させて撹拌することによりセルロースエステルを溶媒に溶解しドープを得た後、該ドープを用いて溶液流延法によりセルロースエステルフィルムを製造する方法であって、
セルロースエステルの溶解工程において、撹拌翼が、比較的高速Vで回転する高速回転と該速度Vよりも低速で回転する低速回転とを交互に繰り返すことを特徴とするセルロースエステルフィルムの製造方法。
【請求項2】
セルロースエステルの溶解工程において、低速回転時の最低速度をVとしたとき、V/Vが0.1〜0.4である請求項1に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
【請求項3】
セルロースエステルの溶解工程において、高速回転時間をT、低速回転時間をTとしたとき、T/Tが0.05〜0.35である請求項1または2に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
【請求項4】
セルロースエステルの溶解工程において、撹拌翼を水平面に対する垂直方向にn段(nは2以上の整数)で備えた多段式撹拌翼を用い、各段の撹拌翼が独立して高速回転と低速回転とを交互に繰り返す請求項1に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法であって、
下から第「x」段の撹拌翼を撹拌翼(x)と表すとき、撹拌翼(k−1)(kは2以上n以下の整数)による高速回転の終了を、撹拌翼(k)の高速回転中に行う請求項1〜3のいずれかに記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
【請求項5】
セルロースエステルの溶解工程において、撹拌翼(k)の回転速度の経時変化をV(t)、撹拌翼(k−1)の回転速度の経時変化をVk−1(t)として表したとき、V(t)/Vk−1(t)が0.1〜10の範囲である請求項4に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
【請求項6】
セルロースエステルの溶解工程によって得られたドープの粘度が1000〜25000cPである請求項1〜5のいずれかに記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の方法によって製造されたセルロースエステルフィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−23336(P2010−23336A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−186832(P2008−186832)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】