説明

セルロースエーテル/ネットワーク構築ポリマー流体ゲル増粘剤を含む改良された塗料配合物

中に濃化剤系としてのセルロースエーテル(カルボキシメチルセルロースおよび/またはヒドロキシエチルセルロース)とネットワーク構築ポリマー(例として、ジェランガム、カラゲナンなど)の組合せが存在することに起因して、改良された性能特徴を示す塗料配合物が提供される。かかる組み合わせによって、同時に効果的な流動、レベリングおよび他の重要な特性を最終塗料配合物にもたらしつつ、塗料配合物の長期の保存安定性が可能になる。セルロースエーテルおよびネットワーク構築ポリマーの組み合わせは、より低粘度のセルロース化合物が、上記の他の望ましい特徴を許容しつつも、塗料において所望のレオロジー挙動を賦与することを可能にする。かかる塗料組成物はまた、かかる濃化剤系を用いたスプレー用途のための改良された霧化をも示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中に濃化剤系としてのセルロースエーテル(例として、カルボキシメチルセルロースおよび/またはヒドロキシエチルセルロース)とネットワーク構築ポリマー(例として、ジェランガム、カラゲナンなど)の組合せが存在することに起因して、改良された性能特徴を示す塗料配合物に関する。かかる組み合わせによって、同時に効果的な流動性、レベリングおよび他の重要な特性を最終塗料配合物にもたらしつつ、塗料配合物の長期の保存安定性が可能になる。セルロースエーテルおよびネットワーク構築ポリマーの組み合わせは、より低粘度のセルロース化合物が、上記の他の望ましい特徴を許容しつつも、塗料において所望のレオロジー挙動を賦与することを可能にする。かかる塗料組成物はまた、かかる濃化剤系を用いたスプレー用途のための改良された霧化をも示す。
【背景技術】
【0002】
増粘剤は、レオロジーを制御する目的のため、特に粘度を高めてチキソトロピー性を製品に賦与するために多くの製品で使用される。水に分散した組成物のための増粘剤は、特にラテックス塗料においては、相溶性および安定性を必要とする。塗料は、基材上に塗布され、乾燥されて、装飾目的のためおよびその基材を保護するための連続的な膜を形成する表面コーティングである。一般消費者用塗料は、内面または外面に塗布される、常乾性の、主に装飾的な建築用コーティングであり、この場合、コーティングは、流れて連続的な塗膜を形成するのに十分流動性であり、その後に常温で乾燥する。工業的なメンテナンス用コーティングは、主に基材を保護するために工業的な環境で基材に塗布される類似のコーティングである。スプレー式塗料は、噴霧用開口と、はけ塗りによるのではなく、力で塗布するための推進剤とを使用して塗布される。
【0003】
塗料は、通常、有機ポリマー結合剤、顔料、および種々の塗料添加剤を含む。乾燥した塗膜では、このポリマー結合剤は、顔料のための結合剤としての機能を果たし、乾燥した塗膜を基材に接着させる。顔料は、有機または無機のものであってよく、乾燥した塗膜の耐久性および硬度に加えて、不透明性および色に機能的に貢献するが、一部の塗料は、不透明顔料をほとんどまたはまったく含有しておらず、それらはクリアコーティングまたは不透明コーティングと記述することができる。塗料の製造には、塗料添加剤(例えば殺生物剤、pH制御要素、表面調整剤(surface control agent)、泡調整剤(foam control agent)、顔料分散剤、湿潤剤)の添加、顔料の添加および顔料の粉砕、レオロジー制御用の増粘剤の添加ならびにポリマー結合剤の添加が関与する。
【0004】
ラテックス塗料は、その適正な利用を可能にするための多くの特性が有効であることを必要とする。例えば、塗料は、保存容器から外への適切な流動性およびはけへの付着性を示すべきである。表面へ塗布した際に、その塗料は、中に筋がない均一なコーティングを作り出すために、その表面上に残されたはけのストロークまたは塗装用ローラーの通った跡の範囲内で流れて平滑化するべきである。さらに、ラテックス塗料は、垂直面に塗布されたあらゆるものが塗布後に目的の基材を流れ落ちるかまたは垂れることを重力が引き起こすのを防止するために、迅速な乾燥時間を示すべきである。加えて、同じストロークが目的表面全体にわたって加えられれば、結果として得られる外観は一様かつ平滑であろうというユーザーの予測があるため、ラテックス塗料は、塗布された顔料、およびコーティング全体に関して、目的の表面にわたって均一な配色を示すべきである。最後に、ラテックス塗料が、現場または購入場所での所望の色の最初の混合後に保存したときに安定である傾向を示すこともまた好ましい。従って、相分離は、主題のラテックス塗料にとっては非常に望ましくない。なぜなら、かなりの混合をせずに相分離が起こってしまうと、上で述べたように、最終の塗布された配色の不均一性が非常に高い確率で生じるためである。
【0005】
上記のように、ラテックスポリマーにおける連続的な水相に起因して、ラテックス塗料は、適正な塗布時のレオロジーおよび流動性とともに顔料の十分な懸濁を促すために、分散剤および増粘剤を含有せねばならない。保存中の塗料粘度は、沈降を防止するために十分高くなければならないが、一様に広がり流れるために、加えられたせん断によって直ちに低下しなければならない。ラテックス塗料は、典型的には、塗料がはけまたはローラーまたはスプレー塗布によって直ちに塗布され得るように、チキソトロピー的なレオロジーを示す。垂直面では、チキソトロピーによって、塗布された塗料が垂れることなく滑らかな連続的な塗膜へと流れることが可能になるであろう。
【0006】
多年の間、ラテックス塗料用に選択される増粘剤は、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、メチルセルロース(MC)、メチルヒドロキシルエチルセルロース(MHEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)エーテル単独、およびこれらのブレンドを含めたセルロースの誘導体であった。これらのポリマーは、塗料の水層を濃厚化し、その塗料全体の粘度を高める。これらのポリマーは、その塗料の高せん断速度での粘度を高める際に特に有用である。
【0007】
しかしながら、これらのポリマーは、一般的には、静置時または低せん断速度時(これは、塗料配合物の懸濁能力に関係する)には高い粘度を生成せず、またそれらは、一般的には、懸濁について同様に有用である降伏値を塗料にもたらさない。近年、疎水的に修飾されたヒドロキシエチルセルロース、および末端の疎水性物質がウレタン結合によって結合されている疎水的に修飾されたポリエチレングリコール(HEUR)を含めた会合性(associative)増粘剤が使用されてきた。これらの系は、それ自身および/または結合剤と会合し、非常に良好な流動性およびレベリングをもたらすが、顔料を懸濁させること、または塗料の垂れを制御することについては効果的ではない。これらの増粘剤のすべては、ローラーの跳ね返り抵抗性(roller spatter resistance)ならびに流動性およびレベリングを含めた種々のレベルの塗布特性を提供するが、上記のポリマーのいずれも、容器内安定性(in−can stability)を塗料にもたらすこと、または垂れ制御をもたらすことには特に優れていない。他のポリマーは、これらの恩恵をもたらすことはできるが、通常は、他の特徴を犠牲にしている。例えば、キサンタンガムは、優れた容器内懸濁および垂れ制御をもたらすが、その塗料の流動性およびレベリングにも影響を及すであろうし、コストを上昇させるであろう。そのため、その使用は、主に生地のコーティングに制限されている。種々のセルロースエーテルおよび疎水的に修飾された会合性増粘剤の組み合わせが使用されているが、それらはまた不都合、例えば、離漿および特に高温での低い懸濁特性をも有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、流動性およびレベリングに顕著に悪影響を及ぼすことのない、特に顔料の懸濁および垂れ制御に関してこれまでに利用された濃化剤系に対する改良が、非常に望ましい。本発明は、セルロースエーテルの会合および補助的なネットワーク構築ポリマー(例えば、1つの非限定的な例として、ジェランガム)流体ゲルのゲル機構によって、望ましいレオロジーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つの明らかな利点は、セルロースエーテルとともに少量のジェランガムを添加することで、ラテックス塗料配合物についての許容できるレベルの性能が効果的にもたらされることであり、他方、他の濃化剤系は、全面的な許容性レベルではなく、かかる特徴の特定のカテゴリーにおける改良をもたらす。本発明の別の利点は、セルロースエーテルと組み合わせた少量のジェランガムのかかる塗料濃化剤系が、それによって濃厚化されたスプレー式塗料配合物の霧化を改良することができることである。
【0010】
要するに、一般的な増粘剤および低レベルのゲル化ポリマーを用いる塗料配合物のための有用なブレンドが調製できることが本発明において明らかになった。例えば、他のセルロースエーテルの中でもとりわけCMC、HEC、HPMC、HPC、MCと、低濃度の低または高アシルジェランガムとのブレンドは、多くの塗料系について理想的なレオロジーを提供することができる。この技術は、低レベルのゲル化ポリマーを用いることによって実現される。このレベルは、ゲル化ポリマーの濃度が連続的なゲルを形成するにはあまりに低すぎるか、または連続的なゲルが生成する場合でも、それは非常に弱いものであり、流体へと容易に機械的に崩壊し得るように選択される。低および高アシルジェランについては、この濃度は、典型的には目的の塗料配合物の全配合物重量の0.025−0.2%の範囲にある。潜在的に好ましい実施形態では、低アシルジェランガム流体ゲルが、カルボキシメチルセルロース(CMC)と組み合わせて特に良好に作用することが明らかになった。別の潜在的に好ましい実施形態では、低アシルジェランガムは、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)と組み合わせて良好に機能する。
【0011】
従って、本発明は、少なくとも1種の結合剤と、少なくとも1種の溶媒と、少なくとも1種の顔料と、少なくとも1種のセルロースエーテルおよび少なくとも1種のネットワーク構築ポリマーを含む濃化剤系とを含む塗料配合物であって、セルロースエーテルとネットワーク構築ポリマーとの量の比が4:1〜40:1、好ましくは4:1〜20:1であることを特徴とする塗料配合物を包含する。また、少なくとも1種の顔料と、少なくとも1種の結合剤と、少なくとも1種の溶媒と、少なくとも1種のセルロースエーテルおよび少なくとも1種のネットワーク構築ポリマーかならる濃化剤系とを含む塗料配合物であって、前記濃化剤系が前記塗料配合物全体の0.1〜5重量%の量で存在し、前記塗料配合物が、より高い垂れの等級、少なくとも15%の粘度上昇を示し、かつ25℃で7週間の包装後安定性(package stability)試験にかけられた後に、前記ネットワーク構築ポリマーの存在以外は同じ成分を含む塗料配合物が示すレベルに等しいかまたはそれよりも改良された離漿制御のレベルを示すことを特徴とする塗料配合物である[本発明について%で表された粘度上昇は、(0.3rpmのブルックフィールド(Brookfield)読み取り値での本発明の系の粘度 − 0.3rpmのブルックフィールド読み取り値での基準塗料の粘度)*100%/(0.3rpmのブルックフィールド読み取り値での基準塗料の粘度)として定義され、式中、この基準塗料はネットワーク構築ポリマー画分を含まず、かつ(セルロースポリマーおよびネットワーク構築ポリマーを含有する)本発明の系と等しいストーマー(Stormer)粘度または等しいICI粘度を有しており、かつ0.3rpmにおける値は、以下に詳述するように、より高せん断速度より生じるものが記録される]。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記のように、本発明は、セルロースエーテル増粘剤と組み合わせた少量のゲル化ポリマー、つまり高または低アシルジェランガムが、塗料の多くの非常に所望される特徴についての優れた特徴をもたらす塗料配合物用濃化剤系をもたらすという判断に基づく。必要とされる増粘剤およびガムの組み合わせは、単純な混合ではかかる組成物の解ゲル化には効果的ではないであろうという程度まで塗料配合物をゲル化させることなく信頼性のある粘度調整系を創出する。従って、ジェランガム成分は、ゲル化した系の恩恵の多くをいまだ保持してセルロースエーテルベースの増粘剤を用いたときの流動性を保持するために、ゲル化剤としてというよりはむしろ、流体としての能力(fluid capacity)において作用し、これによって上に概略を示しかつさらに詳細に後述する望ましい特性に寄与する。
【0013】
一般に、いかなる特定の科学的理論にも限定されることは意図していないが、少量のネットワーク構築ポリマー(すなわち、ジェランガム)を、セルロースエーテル増粘剤を含む塗料配合物に含めることは、塗料についての良好な懸濁能力と同時に滑らかな流動性を賦与すると考えられる。セルロースエーテルは、注いだ際に滑らかな流動性を有することが公知であるが、単独では懸濁能力に問題がある。ネットワーク構築ポリマー(ジェランガム、カラゲナンなど)はすべて、単独で優れた懸濁能力を示す。しかしながら、これらの物質は、注がれたときに構造化した組織(structured texture)をも示す。従って、ネットワーク構築ポリマー増粘剤を含む塗料配合物では、その配合物はその中に存在する顔料および他の固形分成分に対して優れた懸濁特徴を示し得るが、その配合物自体は滑らかに、または塗料にとって望ましいほどに滑らかには流動しないであろう。かかる状況では、一例として、塗料は、塗布中に目的の面積にわたって容易には広がらないであろうし、そして塗布するためのはけの剛毛に起因する仕上げ処理での明確な線を示すであろう。同様に、セルロースエーテル濃化剤系を単独で用いると、塗料配合物は、その中での固形分のかなり劣悪な懸濁を示すであろうが、滑らかな流動性を示すであろう。従って、優れた懸濁特性を伴う改良された流動性は、セルロースエーテルまたはネットワーク構築ポリマーを単独で含む従来の系に対する、本発明で見出されたとおりのセルロースエーテル/ネットワーク構築ポリマー(ジェランガムなど)濃化剤系の(多くの他の特徴に加えての)明確な利点である。
【0014】
本発明の配合物の濃化剤系成分は、セルロースエーテルおよびネットワーク構築ポリマーを含む。潜在的に好ましい成分は、さらに詳細に以下で列挙され説明される。
【0015】
カルボキシメチルセルロースは、以前にはヒドロキシル基が存在した場所にカルボキシメチルエーテル基を導入することによって、セルロースから(例えば、綿のリンターまたは木材パルプから)調製される。
【0016】
セルロースの構造は、カルボキシメチル基へとエーテル化することができる各々3つのヒドロキシル部位を有するグルコピラノシル単位を含む。従って、すべての部位が反応した場合には、CMCの置換度(DS)は3.0になることになる。実際は、DSは、典型的には0.5〜1.5の間である。CMCの分子量は、典型的には約30,000〜1,000,000ダルトンの範囲であろう。1%溶液として塗布する場合、25℃での粘度は、10−50,000mPasの典型的な粘度を示す。
【0017】
CMC(および他のセルロースエーテル)の溶液は、異なるレオロジー挙動を示すことができる。典型的には、偽塑性挙動が得られるが、その系でさえ、低モル質量(および/または低濃度)ではニュートン的であり得る。加熱したとき、その溶液は薄化するであろうし、冷却するとそれは濃化するであろう。CMCのアニオン性およびヒドロキシル基の存在に起因して、異なる種類の(分子間、分子内、および他の添加剤との)相互作用が存在するであろう。電解質の条件(種類およびレベル)ならびに置換パターン(DSおよびDS−分布)のようなパラーメータに依存して、系は、チキソトロピー挙動をも示すことができる。ヒドロキシエチル−セルロース(HEC)は、冷水であろうと熱水であろうと水に容易に溶解する非イオン性セルロースエーテルである。それは、広い範囲の粘度を有する溶液を生成するために使用され、その粘度はHECの分子量に比例する。HECは、種々の工業的用途において増粘剤、保護コロイド、結合剤、安定剤および懸濁剤(水系塗料、接着剤、エマルジョンポリマー、練り歯磨き、化粧品および建材など)として一般に使用される。
【0018】
綿のリンターまたは木材パルプは原料として使用でき、エチレンオキシドはHECを生産するために使用することができる。HECは、エチレンオキシドを、セルロース鎖を構成するアンヒドログルコース単位の反応性ヒドロキシと反応させることによって製造される。セルロースが水酸化ナトリウムによって活性化される場合、アンヒドログルコース単位の各々の3つのヒドロキシ基。その後、これらの基はエチレンオキシドでエーテル化され、セルロースのヒドロキシエチルエーテルを形成する。エチレンオキシドは、以前に置換されたヒドロキシ基で反応して重合し、側鎖を形成することができる。反応生成物は精製され、微細な粒状の粉末へと粉砕される。
【0019】
HECの分子置換(molecular substitution)またはMSは、上記の2つの方法でセルロース中の各アンヒドログルコース単位に結合されたエチレンオキシドの平均モル数である。市販されているHECにおける置換度(DS)は0.8−1.2であり、MSは1.5−3である。HECの溶液は偽塑性挙動を示し、非常に高い粘度を有するHEC溶液はいくらかのチキソトロピーを示すことができる。ほとんどのHEC製品は、水だけではなく、40%を超える含水率の水および水混和性有機溶媒の混合物にも可溶性である。
【0020】
ジェランガムは、Sphingomonas elodea、ATCC 31461の発酵によって調製されるヘテロ多糖類である。ジェランガムは、ケルコゲル(KELCOGEL)(登録商標)、ケルコゲル(KELCOGEL)AFT、およびケルコゲル(KELCOGEL)LT100が挙げられる種々の名称でシーピーケルコユーエス社(CPKelco U.S. Inc.)から入手できる。ジェランガムを調製するためのプロセスとしては、米国特許第4,326,052号および同第4,326,053号に記載されているものが挙げられる。それは、種々のゲル化用途、微細構造化(texturing)用途、安定化用途および膜形成用途、特に食品におけるゲル化剤、パーソナルケア製品および工業用途のために有用である。
【0021】
ジェランガムの一次構造は、直鎖状の四糖の繰り返し構造からなる。各繰り返し単位は、1,3−β−D−グルコース;1,4−β−D−グルクロン酸;1,4−β−D−グルコースおよび1,4−α−L−ラムノースという4つの糖単位を含む。その天然型または高アシル型では、2つのアシル置換基−アセテートおよびグリセレート−が存在する。ジェランガムの分子量は、約400,000〜700,000ダルトンの範囲であってよい。これらのガムは、約10〜15重量%の水を含有する自由流動性粉末として供給される。
【0022】
米国特許第4,326,053号に記載される脱アシル化ジェランガム(ヘテロ多糖類S−60)は、適切な条件下で適切な発酵培地中でSphingomonas elodeaを発酵させることにより調製され、その後、pHはKOHで10まで調整され、温度は90−95℃に15分間維持される。次いでpHは、希HClまたはH2SO4を用いて6−8まで下げられ、このガムは、典型的な濾過および沈殿の工程を用いて回収される。分子量は、典型的には、400,000〜600,000ダルトンの範囲である。
【0023】
ジェランガムの両方の形態を低濃度で使用して、「流体ゲル」を生成することができる。ジェランガム「流体ゲル」は、ゲル化プロセス中またはゲル化プロセス後のいずれかにせん断に供された弱いゲル化系である。せん断を加えると通常のゲル化は崩壊し、滑らかな、均一な、注ぎ込める「構造化された液体」を生じる。これらの流体ゲルは、塗料およびコーティングで使用される不溶性無機物を含めた種々の物質を懸濁させるのに非常に効率よいが、それでもなお容易に噴霧することができる。それらは、ジェランの品質等級および他の材料の性質に依存して、透明または不透明である。
【0024】
流体ゲルを調製することができるジェランの濃度範囲は、水の0.025〜0.2重量%である。より高濃度は、一般に、非常にきめが粗く滑らかに流動性しないであろう崩壊したゲルにつながる。流体ゲルは、低アシルジェランガム(例えば、ケルコゲル(KELCOGEL)AFT)または高アシルジェランガム(例えば、ケルコゲル(KELCOGEL)LT100)のいずれかを用いて調製することができる。低アシルジェランガムの場合、電解質を加えることが必要である。これが二価の金属塩である場合、必要とされる濃度は非常に低い(1mM Ca2+程度の低さ)。例えば、低アシルジェランガム流体ゲルは、5mM Ca2+(0.02% Ca2+)で特に良好な降伏の発達をもたらす。一価の塩は、良好な降伏を得るためにはより高濃度(二価のイオンの濃度のおよそ20倍)を必要とする。例えば、NaClを使用する場合、1% NaCl(0.4% Na+)で良好な降伏値を得ることができる。対照的に、高アシルジェランガムは、意味のある降伏値を提供するためには、通常、保存料または軟水が寄与するイオンを超えるさらなるイオンを必要としない。低アシルジェランガムは、8以上のpHを有する配合物について通常好ましい。なぜなら高アシルジェランガムは、アルカリ性pHで経時的に脱アシル化する可能性があり、安定性の問題を生じる可能性があるからである。しかしながら、両方の形態のジェランガムは、pH 3−7の範囲にわたって安定な流体ゲルを形成し、この場合でも低アシル形態は、3より低いpH範囲で好ましい。
【0025】
低アシルジェランガムを伴うHECまたはCMCの好ましい場合では、このHECまたはCMCは高せん断粘度を提供し、他方、低アシルジェランガムは低せん断速度での高粘度および真の降伏点を配合物にもたらす。この低せん断速度での高粘度および降伏値の存在は、特に優れた懸濁を顔料にもたらし、それゆえ容器内安定性は改善される。適切なレベルで、垂れ制御もまた改良され得る。なぜなら、配合物の滑らかな質感(texture)は、(上で考察したような)ジェランガム成分を含めることによって、都合よくもたらされるからである。低分子量のHECまたはCMCの組み合わせは、まだ所望の容器内安定性および垂れ制御を維持しながら、十分な流動性およびレベリングをもたらすことができる。言い換えれば、HECまたはCMCと低アシルジェランとのブレンドは、セルロース単独よりもはるかに高い静置時または低せん断速度時の粘度を賦与しつつ、高せん断速度(はけまたはローラーによる塗料の塗布の際に経験する速度)でのセルロースのレオロジーを変えないという利点を有する。加えて、ジェランが存在する場合には、顔料の粉砕中の混合容器の壁上での跳ね返り(spattering)は、セルロースのみを含む類似のストーマー粘度の系と比べて有意に減少した。
【0026】
1:4〜1:20の重量比のジェランガムとカルボキシメチルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロースのいずれかとの組み合わせが、ラテックス塗料組成物について上記の非常に望ましい特性を賦与するであろうということが見出された。かかる濃化剤の組み合わせの1つの利点は、特にラテックス塗料系についてかかる組み合わせを用いて創出される粘度調整は、他方を含まずに存在するジェランまたはセルロースエーテルのいずれかよりも顕著である、ということである。かかる塗料濃化剤の組み合わせの別の利点は、望ましい塗料特徴の多くにおける改良が結果としてもたらされる−例えば、その組み合わせを含む結果として得られるラテックス塗料配合物は、セルロース対照のものよりも改良された垂れ制御、より低い跳ね返りおよび効果的な耐摩耗性(scrub resistance)を示す、ということである。この塗料増粘剤の組み合わせのさらに別の利点は、結果として得られる塗料は、長期保存後にも何らの認められる顔料の沈降または沈殿を示さないであろう、ということである。
【0027】
従って、本発明は、少なくとも1種の顔料と、少なくとも1種の結合剤と、少なくとも1種の溶媒と、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、エチルヒドロキシルエチルセルロース(EHEC)、メチルセルロース(MC)、メチルヒドロキシルエチルセルロース(MHEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)エーテル単独およびこれらの混合物からなる群から選択されるセルロースエーテル、ならびにジェランガム、ι−カラゲナン、κ−カラゲナンもしくはこれらのブレンド、高もしくは低メトキシペクチンまたはこれらのブレンド、アルギネート、寒天、ゼラチンなど、あるいはこれらのブレンドからなる群から選択される少なくとも1種のネットワーク構築ポリマーの組み合わせと、を含む塗料配合物であって、このセルロースエーテルおよびネットワーク構築ポリマーが合わせて全配合物の約0.1〜約5重量%の量で存在し、かつ両成分の比が4:1〜約40:1(好ましくは、それぞれ4:1〜約20:1である塗料配合物を包含する。
【0028】
少量のネットワーク構築ポリマー(この場合でも、好ましくはジェランガムであるが、必ずしもそうでなくてもよい)を使用することによって、より低い粘度等級のセルロースエーテルを使用して改良された流動性、レベル、跳ね返りを目的の塗装された基材に同時にもたらすことができる、ということが見出された。この組み合わせは、ラテックス塗料における優れた粘度上昇(viscosity build)をもたらし、さらに顔料を懸濁させる際の助けとなる。本発明のこれらの利点および他の利点は、詳細な説明および例証となる実施例を参照することによって、より明らかとなるであろう。
【0029】
上記のように、ネットワーク構築ポリマーおよびセルロースエーテルの特定の組み合わせは、非常に所望される特性を(はけで塗布されるか、ローラーで塗布されるか、スプレー式の場合なの多様な場合のいずれかの)ラテックス塗料配合物に賦与するであろう。
【0030】
ジェランガムの例は、シーピーケルコユーエス(CPKelco US,Inc.)から入手できるケルコゲル(KELCOGEL)(登録商標)、ケルコゲル AFT、ケルコゲル CG−LA、ケルコゲル CG−HAおよびケルコゲル LT100である。カルボキシメチルセルロース(CMC)の例は、シーピーケルコ オーワイ(CPKelco Oy)またはシーピーケルコ ビーブイ(CPKelco BV)から入手できるフィンフィックス(FINNFIX)(登録商標)およびセコール(Cekol)(登録商標)である。ヒドロキシエチルセルロース(HEC)の例は、ダウケミカル(Dow Chemical)から入手できるセロサイズ(CELLOSIZE)(登録商標) ER4400およびアクアロン(Aqualon)から入手できるナトロゾール(NATROSOL)(登録商標) 250HBRである。カラゲナンの例は、シーピーケルコユーエス(CPKelco US,Inc.)から入手できる種々のジェヌゲル(GENUGEL)(登録商標)およびジェヌビスコ(GENUVISCO)(登録商標)製品である。他のネットワーク構築ポリマーとしては、多くの他のものの中でも、ペクチン(シーピーケルコユーエス(CPKelco US,Inc.)から種々のジェヌ(GENU)製品として入手できる)、アルギン酸ナトリウム(ケルギン(Kelgin)の商標名でISPから入手できる)、寒天およびゼラチンが挙げられる。
【0031】
本発明によれば、この組み合わせは、所望の特性をラテックス塗料に賦与するために、ラテックス塗料の外で最初に形成されるか、または、できれば目的の組成物に(いずれかの成分を最初にして)逐次的に加えられるかのいずれかである。
【0032】
種々の成分が塗料配合物内に存在してよく、その成分としては、ラテックス、顔料、および溶媒、ならびに融合助剤(coalescing agent)、ならびに他の成分が挙げられる。増粘剤のレベルは、塗料で所望されるレオロジー特性によって決定される。いずれの固形分成分(顔料など)もその形態には制限がないが、しかしながら、粉末、顆粒、薄片またはペレットが特に適している。
【0033】
塗料は、一般に、その顔料体積率(PVC)(これは、乾燥塗膜における全固形分に対する顔料の体積の関係である)によって特徴付けられる。通常百分率で表されるPVCは、全顔料体積を乾燥塗膜中の顔料および結合剤の全体積で割ったものである。本発明の水性塗料についてのPVCの最小値は、好ましくは約15%である。最大値は、好ましくは約85%、もっとも好ましくは約80%である。顔料および結合剤の典型的なレベルは、塗料の種類、すなわち光沢、半光沢および艶なしまたは艶消し仕上げに依存する。
【0034】
顔料および結合剤の典型的なレベルは、塗料の種類、すなわち光沢、半光沢および艶なしまたは艶消し仕上げに依存する。半光沢および艶なしの両方の例が、典型的なレベルを提示するのに十分であるはずである。
【0035】
適切な顔料および充填剤としては、例えば、Luckert、Pigment+Fullstoff Tabellen、第5版、Laatzen、1994から導かれ得るような、先行技術から公知のものが挙げられる。無機の白色顔料としては、特に酸化物(二酸化チタン、酸化亜鉛(ZnO、亜鉛白)、酸化ジルコニウムなど)、炭酸塩(鉛白など)、硫酸塩(硫酸鉛など)および硫化物(硫化亜鉛およびリトポンなど)が言及されるべきであり、二酸化チタンが特に好ましい。無機有色顔料としては、その個々の無機化合物または混合相の形態の酸化物および水酸化物の群に属する顔料、特に酸化鉄顔料、酸化クロム顔料、およびルチルまたはスピネル構造を有する酸化物混合相(oxidic mixed−phase)顔料、そしてバナジン酸ビスマス、カドミウム、硫化セリウム、クロム酸塩、ウルトラマリンおよび鉄青色顔料が言及されるべきである。酸化鉄顔料の例はColour Index Pigment Yellow42,Pigment Red 101,Pigment Blue 11,Pigment Brown 6および透明な酸化鉄顔料である。酸化クロム顔料の例はColour Index Pigment Green17およびPigment Green 18である。酸化物混合相顔料の例は、ニッケルチタンイエローおよびクロムチタンイエロー、コバルトグリーンおよびコバルトブルー、亜鉛鉄ブラウンおよびクロム鉄ブラウンそしてまた鉄マンガンブラックおよびスピネルブラックである。
【0036】
好適な有機顔料の例は、モノアゾ、ジスアゾ、レーキアゾ、β−ナフトール、ナフィオール(Naphiol) AS、ベンズイミダゾロン、ジスアゾ縮合、アゾ金属錯体、イソインドリンおよびイソインドリノン系列の顔料、更に多環状顔料、例えばフタロシアニン、キナクリドン、ペリレン、ペリノン、チオインジゴ、アントラキノン、ジオキサジン、キノフタロンおよびジケトピロロピロール系列などの顔料である。また、レーキ着色剤、例えばスルホン酸もしくはカルボン酸基を含む色素のCa、MgおよびAlレーキも適切であり、また、カーボンブラックも好適であり、これも本願明細書の目的で顔料であると見なし、そしてこれの大多数はColour Index、第2版などから公知である。特に挙げるべきカーボンブラックは、ファーネスブラック方法(furnace black process)で得られる酸性およびアルカリ性のカーボンブラック、そして表面に化学的修飾を受けさせたカーボンブラック、例えば硫黄含有もしくはカルボキシル含有カーボンブラックである。
【0037】
言及すべき無機の黒色顔料の例としては、無機の有色顔料と合わせて上にすでに記載したようなもの、特に黒色酸化鉄、スピネルブラック、および黒色酸化物混合相顔料が挙げられる。
【0038】
充填剤は、特に、言及した顔料以外の物質を含み、これらの物質は、主に色が淡く成分b)の結合剤に対して不活性である。特に好ましいのは、この充填剤は、上述の白色顔料よりも低い光学的屈折率を有する。言及してもよい無機の充填剤の例としては、炭酸塩(例えば、白亜(chalk)、カルシド(calcide)または白雲石など)、二酸化ケイ素(石英粉)、天然シリカまたは合成シリカ、ケイ酸塩(例えば、タルク、カオリンもしくはマイカ)、ならびに硫酸塩(例えば重晶石もしくは硫酸バリウムなど)が挙げられる。有機充填剤の例としては、ポリマー粉末および中空球として公知の有機充填剤が挙げられる。
【0039】
添加剤として、塗料配合物は、任意に、表面活性剤、消泡剤ならびに、例えば、泡止め剤(foam preventative)および硬水軟化補助物質(water−softening auxiliary)を含んでいてもよい。本発明によれば、表面活性剤に適した化合物の選択に関して何らの制限を課する必要はない。それらは、好ましくは、固形分成分の調製中および/または完成した塗料およびコーティング材料それ自体における微粉化した顔料および充填剤粒子の物理的安定化のために使用される。使用される表面活性剤は、好ましくは商業的に慣用的な塗料およびコーティング材料で広く使用されているような分散剤、湿潤剤および乳化剤である。特に、それらは、性質が非イオン性、イオン性、カチオン性もしくは両性、および単量体もしくはポリマー状であってよい。好ましい分散剤としては、フェノール性OH含有芳香族化合物をホルムアルデヒドおよびNH官能基と縮合させることによって得ることができるオキシアルキル化生成物;親水性ポリエーテル鎖を含み、かつ好ましくは1.0重量%の最大イソシアネート基含有量を有し、30−99.5重量%のポリエーテル鎖内に配置されかつ一価アルコールによって組み込まれたエチレンオキシド単位を含み、かつ0−200ミリ当量/100gポリイソシアネート付加体のイオン性基含有量を有する水溶性ポリイソシアネー付加体;アルカリ金属およびアルカリ土類金属ならびに他の金属、およびアンモニウムの水溶性の無機塩、特にホウ酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、セレン酸塩、塩化物、フッ化物、リン酸塩、硝酸塩およびアルミン酸塩;繰り返しスクシニル単位、特にポリアスパラギン酸から構成されるポリマー;ならびに非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性化合物(単に例として、非イオン性アルコキシラート、アルキロールアミド、エステル、アミンオキシドおよびアルキルポリグルコシドなど)が挙げられる。
【0040】
他の増粘剤もまた、これらの塗料配合物で利用されてもよく、例えばデキストリンまたはシクロデキストリン、デンプンおよびデンプン誘導体、特に分解されたかもしくは部分的に分解されたデンプン、キサンタン、ポリアクリレート、ポリエーテルポリオールまたはポリウレタン誘導体、70%を超える程度まで加水分解されている酢酸ビニルの部分加水分解ポリマー、好ましくはポリビニルアルコール、および/または部分的もしくは完全けん化されているビニルアルコールコポリマー、好ましくは酢酸ビニルおよびアルキルビニルエステルのコポリマー、ならびにまたポリビニルアルコールそれ自体、N−ビニルピロリドンのポリマー、あるいはビニルエステルとのコポリマーが挙げられる。
【0041】
特定の適切なチキソトロピー剤(thixotropic agent)もまた、これらの塗料配合物内に同様に含まれてもよい。これらとしては、フィロケイ酸塩、焼成シリカ、および例えば高分子量ポリオレフィン、硬化ヒマシ油、ポリアミド、ポリアクリレートベースの有機化合物が挙げられるであろうが、これらに限定されない。尿素ベースの低分子量、半結晶性(gemicrystalline)有機化合物も、および所望の塗料およびコーティング材料の中でミクロゲルを形成するアクリレートコポリマー微粒子もまた適切である。
【0042】
適切な消泡剤および泡止め剤もまた添加されてよく、その製品としては、ここでも限定するものではないが、天然油または鉱油、任意に化学修飾したアルコールおよび化学修飾したシリコーンならびにシリカ材料ベースの製品が挙げられる。
【0043】
上述した添加剤のほかに、本塗料配合物は、他の標準的な塗料添加剤およびアジュバント(硬水軟化剤、pH調整剤、さらに膜形成助剤およびレベリング助剤、乾燥剤(dryer)(乾燥剤(siccative))、皮張り防止剤、防汚剤、UV保護剤および安定剤、殺生物剤、木材防腐剤などを挙げることができる。
【0044】
ラテックス成分は、任意の標準的な種類のものであってよく、他の結合剤材料を含んでいてもよい。適切な結合剤としては、有機化合物および無機化合物の両方が挙げられる。本発明によれば、これらの化合物に関しては、何らの制限もない。好ましい有機結合剤は水溶性、水分散性または水乳化性の、天然の、天然物を修飾したまたは合成の、一般的に膜を形成する化合物である。合成結合剤は、例えば、アクリル、ビニル、スチレンまたはイソシアネート単量体ベースのポリマーおよびまたこれらの混合物ならびにそれらのコポリマーである。天然物を修飾した結合剤として、特にセルロース誘導体を挙げてもよい。
【0045】
言及してもよい天然の結合剤としては、天然の樹脂(ロジンまたはシェラックなど)、天然油、特に飽和であるかまたは様々な不飽和度を含む脂肪酸を含む油(前記油は、所望の場合は酸化的に乾燥する)(アマニ油、リシネン油、大豆油、ヒマシ油など)、瀝青、アスファルトまたはピッチが挙げられる。
【0046】
天然物を修飾した結合剤は、特に、化学修飾した天然の樹脂、例えばロジン−マレエート樹脂であり、また変性油、例えば濃化油、異性化油、スチレン化油およびアクリレート化油、サイクロオイル、およびまたマレエート油、ウレタン油およびファクトライズドオイル(factorized oil)である。さらなる天然物を修飾した結合剤は、セルロース誘導体(硝酸セルロース、有機酸のセルロースエステルなど)、およびまた改質天然ゴム(例えば、環化ゴムおよび塩化ゴムなど)である。
【0047】
合成結合剤の例は、二官能性またはより高い多官能性アルコールを多官能性飽和脂肪族、脂環式または芳香族カルボン酸および/またはその無水物とポリエステル化することにより得られる飽和ポリエステルであり、ヒドロキシ官能性ポリエステルおよびカルボキシ官能性ポリエステルの両方が適切である。
【0048】
さらに、必要に応じてメタクリレート単量体、アリル化合物、他の不飽和単量体、特にスチレンとフリーラジカル共重合された不飽和ポリエステル、ならびにまた不飽和の放射線硬化アクリレート樹脂(例えば、ポリエステル、ポリエーテル、エポキシおよびウレタンアクリレートなど)に言及してもよい。
【0049】
さらなる合成有機結合剤は、アルキド樹脂(脂肪酸、脂肪油またはより高級の合成カルボン酸で修飾されたポリエステル)、ならびにまた化学修飾したアルキド樹脂であり、その例は、スチレン化、アクリレート化、ウレタン化、シリコーン変性、ポリアミド変性および樹脂変性アルキド樹脂、およびまた特に例えば中和可能な短油(short−oil)および中油(medium−oil)ベースの水で希釈できるアルキド樹脂、カルボン酸性(carboxy acidic)アルキド樹脂、不変的に親水性のポリエーテル鎖を分子中に有する低い酸価の自己乳化型アルキル樹脂、およびまた界面活性剤によって乳化し得るアルキド樹脂である。
【0050】
さらなる適切な有機結合剤としては、ホモポリマーおよびコポリマーの形態のアクリル樹脂(ポリアクリレート)、例えばスチレンアクリレート、およびまたポリアクリルポリオールが挙げられる。水で希釈できるアクリル樹脂が特に好ましい。
【0051】
溶媒もまた、これらの塗料配合物内に存在してもよい。好ましい溶媒としては、水溶性または水混和性溶媒が挙げられる。溶媒は、ラテックスおよび/もしくは結合剤成分のための共溶媒として、または塗料およびコーティング材料の乾燥性および膜形成性を改善するための補助物質として、のいずれかとして作用することができる。異なる溶媒の混合物もまた適切であり、また、適切な場合には、ポリマー状、250℃を超える沸点を有する高沸点溶媒も適切である。本発明によれば、使用するべき溶媒に関しては何ら制限はない。しかしながら、先行技術の塗料およびコーティング材料で使用される溶媒が好ましい。これらとしては、特に、脂肪族、脂環式または芳香族炭化水素およびテルペン炭化水素、およびまたアルコール、グリコールエーテルおよびポリグリコールエーテル、エステルならびにケトンの群に属する化合物が挙げられる。アミンタイプの溶媒、特に、一級、二級および三級の、脂肪族およびまた芳香族または脂環式アミン、ならびにまたこれらの混合物および誘導体ベースのものもまた適切である。
【0052】
適切な場合に本発明の系に導入される溶媒の量は、所望の加工特性によって、および塗料およびコーティング材料の用途によって、およびまた塗布の環境的態様によって導かれる。一般に、溶媒は、特定の膜形成条件下で塗布される際に、コーティング材料および揮発成分と相溶性でなければならない。上記の溶媒は、塗料およびコーティング材料用の希釈剤または増量剤として機能することもできる。前記系に基づき、溶媒含有量は、好ましくは55重量%未満、特に30重量%未満である。
【0053】
典型的に、ラテックス塗料は、全組成物の重量に対して、約10〜50%のラテックス、約10〜50%の不透明顔料(例えばTiO2、粘土、炭酸カルシウム、シリカなど)、および約0.1〜2%の分散剤/界面活性剤(例えば、ポリアクリレート、トリポリリン酸カリウム、2−アミン−2−メチル−1−プロパノールなど)を含む。加えて、塗料配合物は、4.9〜98.9重量%、特に10〜80重量%の水、および適切な場合には水溶性もしくは水混和性溶媒をも含んでよい。本発明の増粘効果(viscosifying effect)は、セルロースエーテルの分子量および塗料に加えられる量に依存する。典型的には、セルロースエーテル/ジェランガムの組み合わせの量は、全組成物の重量基準で0.05%〜5%、好ましくは0.1%〜1.0%の範囲であろう。
【0054】
しかし、塗料配合物は、これらの成分および塗料配向物中のそれらの比率の点で大きく異なる可能性があるため(すなわち、光沢および半光沢タイプ)、一般に、本発明の塗料およびコーティング材料系は、任意の標準的な量の溶媒および固形分を含むことが好ましい。重要な問題は、これまでに注記した比の適正なセルロースエーテル/ネットワーク構築ポリマー増粘剤系の選択である。これまでに述べたことを踏まえて、広い範囲の潜在的な比率の塗料成分は、以下のように反映される:1〜95重量%、特に5〜70重量%の少なくとも1種の固形分顔料および0.1〜60重量%、特に1〜30重量%の結合剤/ラテックス成分、および0.1〜5重量%の本発明の濃化剤系。加えて、本塗料配合物は、4.9〜98.9重量%、特に10〜80重量%の水および、適切な場合には水溶性もしくは水混和性溶媒を含んでもよい。しかしながら、ここでも多くの異なる配合物が可能であり得るため、これらは、従うべき指針に過ぎない。PVC量がこれらの広い範囲内に含まれる。
【実施例】
【0055】
本発明の塗料配合物の一部の実施形態を、以下の非限定的な実施例に従って調製した。
【0056】
(粘性のある流体ゲルの調製)
3つの異なる方法に従って、濃化剤系流体ゲルを以下のようにして調製した。
【0057】
方法A。熱混合物(低アシル−ジェランガムまたは高アシル−ジェランガムを含む)
フィンフィックス(Finnfix) 2000:ケルコゲル(KELCOGEL)(登録商標) CG−LAまたはフィンフィックス(FINNFIX)(登録商標) 2000:ケルコゲル(KELCOGEL) LT100−HA粉末を乾式ブレンドし、混合しながら常温(約25℃)で脱イオン水に加えた。この内容物を90℃に加熱し、混合しながら5分間維持した。この混合物に5mM Ca++(CaCl2として)または1% NaClを加え、混合せずに約25℃に冷却し、この時点で、穏やかな混合を再開して弱いゲルを形成させ、殺生物剤を加え、この流体ゲルを容器の中に置き、製造プロセスのいずれかの時点で、例えば顔料分散液後またはラテックス結合剤の添加後に、塗料に加えた。
【0058】
方法B。(低アシルジェランガムとともに)顔料粉砕の開始時の(あるがままの)冷混合物
標準的な塗料プロセス容器に、チタン顔料を分散するのに十分な水道水を加え、次いで0.20重量%(水の重量基準で)に等しい量のクエン酸ナトリウムを、ケルコゲル(Kelcogel) CG−LA粉末と乾式ブレンドし、混合しながらその水に加えた。セルロースガム、例えばフィンフィックス(Finnfix) 2000(CMC)をプロピレングリコール中でスラリー化し、上記水に加え、全ガム組み合わせが0.4−0.53重量%(全塗料重量基準で)であり、CMC:ジェランガムの比が8:1と10:1との間であるようにした。このガムブレンドを高速分散機、例えばコールズ式撹拌機(Cowles Dissolver)で30分間混合した。次いで他の液体材料および顔料を加え、分散させた。顔料分散が完了したとき、10mM Ca++(CaCl2として)を混合しながら加えて、ラテックスおよび残りの材料を加える前に流体ゲルを生成させた。このゲル化塩は、塗料製造プロセスの完了時に加えることもできる。
【0059】
方法C。熱混合物:後添加(高アシルジェランガム溶液とともに)
0.50重量% ケルコゲル(Kelcogel) HA(高アシルジェランガム)の別の溶液を脱イオン水中で90℃に加熱し、混合しながら5分間保持し、混合せずに冷却し、流体ゲルを形成させた。殺生物剤をこの冷却した溶液に加えた。0.50重量%のジェランガム溶液を、混合しながらラテックスを加えた後に、この塗料に加えた。ある量のCMC(フィンフィックス(Finnfix) 2000)を、塗料プロセスの顔料粉砕段階の間にプロピレングリコール中のスラリーとして加え、最終の組み合わせたガム濃度が0.50重量% (全塗料重量基準で)であり、CMC:ジェランガム比が8:1であるようにした。
【0060】
以下の実施例は、さらに、上に列記した方法の範囲内で調製した系を用いて製造した塗料配合物に関して、本発明の利点を例証する。塗布したセルロース材料は以下の仕様を有していた。
【0061】
【表1】


(実施例1)
塗料を、pH 約8.3のアクリル系半光沢ラテックス塗料(25% PVC)における顔料の懸濁を評価するために、調製方法Bに従って調製した。1種のガムCMC含有系とセルロースガムおよびLA−ジェランガムのブレンドで安定化した系との間で比較を行った。この塗料を適切な量の増粘剤と混合し、最後に塗料のストーマー粘度が77±1 KUとなるようにした。
【0062】
【表2】

(実施例2)
塗料を、pH 約8.5の艶なしラテックス塗料(63% PVC)における顔料の懸濁を評価するために、調製方法Bに従って調製した。1種のガムのcmc含有系とセルロースガムおよびLA−ジェランガムのブレンドで安定化した系との間で比較を行った。加えて、会合性増粘剤をも含む基準との比較を行った。ジェランを含有する系へ、塩をゲル化剤として加え、添加の時期を、比較のために変えた。この塗料を、0.5wt%増粘剤を用いて調製した。
【表3】

【表4】

【0063】
(実施例3)
塗料を、pH 約7.6の74% PVCラテックス塗料における顔料の懸濁を評価するために、調製方法Aに従って調製した。1種のガムセルロース(CMCまたはHEC)含有系とセルロース(セルロースガムまたはHEC)およびLA−ジェランガムのブレンドで安定化した系との間で比較を行った。この塗料を適切な量の増粘剤と混合し、最後に塗料のストーマー粘度が93±1 KUとなるようにした。ガム溶液調製において、0.06% CaCl2×2H2Oを加えた。
【表5】

【0064】
(実施例4)
塗料を、pH 約7.6の74% PVCラテックス塗料における顔料の懸濁を評価するために、調製方法Aに従って調製した。この組成を変えて、ジェランの性質(低アシル対高アシル)がどのように(3つの異なるガムレベルおよび/または比において)塗料性能に影響を及ぼすかを決定した。ガム溶液調製において、1% NaClを加えた。
【表6】

【0065】
(実施例5)
塗料を、pH 約7.8のアクリル系半光沢ラテックス塗料(25% PVC)における顔料の懸濁を評価するために、調製方法Cに従って調製した。1種のガムCMC含有系とセルロースガムおよびHA−ジェランガムのブレンドで安定化した系との間で比較を行った。この塗料を、0.50重量%増粘剤と混合した。
【表7】

【0066】
(塗料配合物の試験)
次いで、これらの塗料配合物を、多くの異なる特性について分析した。以下の方法を、これらの目的のために適用した。
【0067】
(塗料のレベリング、ASTM D−4062)
この試験方法は、塗料が塗布後に流動し、従って、塗布の機械的プロセスによって生成されたはけの跡、オレンジの皮のような凹凸のある表面、山またはへこみのようなあらゆる表面の凹凸の痕跡を消し去る能力を評価する。はけによる塗布によって生み出されるせん断を模擬するために、シリンジおよび針を通して試料を排出することによって塗料試料に予めせん断をかける。塗料試料を、はけの跡を模擬する平行な隆線をもつ膜を置くように設計された特別のレベリング試験ブレードによって、密封したチャート上に塗布する。水平位置で一定条件(23±2℃および50±5%相対湿度)下で24時間乾燥した後、ドローダウン(draw−down)を強い斜め方向の光源の下で観察し、塗料隆線によって引き起こされる明部および影のコントラストを、同じ条件下での一連のプラスチックのレベリング標品のコントラストと比較することによって、試験塗料のレベリングを等級付けした。レベリングは0〜10と等級付けされ、0は非常に劣悪なレベリングを表し、10は完璧なレベリングまたは認識できる隆線がないことを表す。
【0068】
(塗料の垂れ抵抗性、ASTM D4400)
この試験方法は、塗料の垂れ耐性(sag resistance)、未乾燥の塗料が垂直面に塗布されたときに下方向に流動しようとする傾向を評価する。チキソトロピー性の塗料で起こる構造の崩壊を確実にするために、予めのせん断は、ドローダウン垂れ試験にとって必須である。塗料試料を、シリンジおよび針を通して試料を排出することによって塗料試料に予めせん断をかける。予めせん断を加えた後、コーティングを、10個のだんだん深くなる長方形のノッチを有するマルチノッチ塗布装置によって、試験チャートに塗布する。ノッチのクリアランスは、100μm〜600μm(4〜24ミル)の範囲である。このチャートを直ちに垂直にぶら下げ、このドローダウンの縞模様が最も薄い縞模様を一番上にして水平になるようにした。この位置で乾燥した後、ドローダウンを調べ、たるみ(sagging)を、直下のむき出しの試験パネルの縞模様と重ならない最も厚い縞模様について等級付けする。
【0069】
(塗料の跳ね返り抵抗性、ASTM D4707)
この試験方法は、塗料がローラーを用いて塗布されたときに跳ね返ろうとする傾向を測定する。試験塗料を、特別のドローダウン塗布装置によって黒色のプラスチックパネルに塗布する。このコーティングしたプラスチックパネルを、黒色の紙のシートの上に(塗料が白色の場合)垂直面に直ちに取り付け、この黒色の紙のシートを、各々の方向に10回の通過(合計で20回の通過)を行うあらゆる跳ね返りを捕らえるために使用する。特別に設計されたノッチつきのスプールローラー(spool roller)を、跳ね返りを生成させやすい膜を通して転がす。跳ね返り捕捉用の紙上に落ちた、そして乾燥後のあらゆる跳ね返りを、絵模様の標品(pictorial standard)に対して等級付けする。跳ね返り抵抗性を、1〜10の尺度で等級付けし、1は数百滴の跳ね返りを表し、10は跳ね返りがないことを表す。等級付けは、滴の大きさよりはむしろ数に依存する。
【0070】
(ストーマー粘度計による塗料粘度、ASTM D562)
この試験方法は、容器内の塗料のせん断速度に対応する低せん断速度、200rpmを用いた場合の塗料の粘度を測定する。粘度は、25℃でストーマー粘度計を用いて測定し、その場合、200rpmで回転するスピンドルのトルクがクレブス単位(KU)の粘度に変換される。
【0071】
(ICI Cone & Plate粘度計による塗料粘度、ASTM D4287)
この試験方法は、塗料がローラーを用いて塗布されるときのせん断速度に対応する高せん断速度、10000s−1に対する塗料の粘度を測定する。粘度は、25℃でICI Cone & Plate粘度計を用いて測定する。このとき、回転する錐体と固定されたプレートとの間に試料を置く。粘度の結果は、ポアズ(P)またはセンチポアズ(cP)で与えられる。
【0072】
(ブルックフィールド LVTDV−II粘度計による塗料粘度、ASTM D1439−83a)
粘度は、ブルックフィールド LVTDV−II粘度計を用いて25℃で測定し、この場合、スピンドルのトルクは、ミリパスカル秒(mPas)単位の粘度に変換される。
【0073】
(塗料の安定性試験、「静置」試験)
この試験は、室温および50℃での保存中の塗料安定性を測定する。塗料中の固形物の静置による評価は、室温および50℃で保存した透明な閉じたガラス容器から視覚により行う。塗料を、2つの部分に分け、他方を室温で保存し、他方を50℃で保存する。塗料を、特定した期間、例えば1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月などの間、保存した。
【0074】
(プログラム制御できるブルックフィールド LVTDV−III粘度計によって測定した塗料粘度)
水性塗料を、スクリュータイプの蓋がついた透明なプラスチック容器(直径およそ5.5cm、高さ9cm)の中で保存する。この容器は、およそ200グラムの水性塗料を保持する。この塗料のブルックフィールド粘度を、直径が一定であり、粘度値が容易に比較できるように、この容器の中で測定する。円筒状のブルックフィールドスピンドルを使用して、粘度(5〜95%の間のトルク)を測定する。粘度プログラムは以下のとおりである。
粘度計の速度 保持時間
60RPM 1分間、次いで値を読み取る
30RPM 1分間、次いで値を読み取る
3RPM 2分間、次いで値を読み取る
0.3RPM 5分間、次いで値を読み取る。
注記:高せん断速度から低せん断速度への進行は、存在するかも知れずかつ整合しないデータを生成するであろうあらゆるチキソトロピーを回避する。
【0075】
上記試験の結果を、以下、実施例1−5の各々についての以下の表に提示する。
【0076】
(実施例1結果)
半光沢ラテックス塗料中のCMC/ジェランガム
【表8】

結果は、CMC−ジェランの存在下でこの塗料配合物が、CMCのみを含む塗料と比べて、高せん断粘度および安定性について許容できかつ類似の値を維持しつつ、低せん断速度(0.3rpm BF)でのより高い粘度ならびにより高い垂れの等級およびより良好なレベリングを与えることを明瞭に示す。
【0077】
(実施例2結果)
艶なしラテックス塗料中のCMC/ジェランガム
【表9】

本発明に属する塗料は、ストーマー粘度がCMCのみを含む塗料配合物よりもいくらか低いとしても、低せん断速度(0.3RPM BF)でのより高い粘度ならびに同様のレベリングおよび垂れスコアを明らかに示した。
【0078】
塗料製造プロセスの最後にゲル化塩を流体ゲルに加えることによって調製した塗料系は、塗料プロセスの最中にゲル化塩を加えることよりも、より高い低せん断粘度(ブルックフィールド 0.3RPM)および高温におけるより高い包装後安定性をもたらした。
【0079】
0.10%固形分の疎水的に修飾したアルカリ膨潤性(HASE)タイプの会合性増粘剤を添加すると、改良された垂れ制御をもたらしたが、CMC対照に対して有意には包装後安定性を高めなかった。
【0080】
注記:流動性およびレベリングの特性は、レオロジー調整剤(rheological agent)としての流体ゲルの使用によっても、CMC対照と比べて損なわれなかった。
【0081】
(実施例3結果)
【表10】


試料A(基準−2)は、加熱を加えておらず、かつ塩を加えなかったため、試料A(基準)とは異なる。
【0082】
CMC−ジェラン配合物は、低せん断速度粘度(0.3RPM BF)の大きな増加、許容できる程度の改良された垂れの等級を示す。HEC−ジェランもまた、他の基本的な塗料性能を維持したまま、低せん断速度粘度の明瞭な増加を示す。
【0083】
(実施例4結果)
【表11】


高アシルジェランガムは、各々調べた全ガムレベルについて、低アシル試料と比べてより高い低せん断速度粘度を示す。他の塗料特性は、すべて2種のジェランタイプの間でかなり類似していた。
【0084】
(実施例5結果)
【表12】


HA−ジェランガムは、対照のセルロースガム増粘剤よりも、はるかに高い中せん断(60RPM)粘度、および有意に高い低せん断(0.30RPM)粘度を示す。低せん断粘度は、明瞭にジェランガム(特に、高アシルジェランガム)とセルロースとの組み合わせの長期の高温安定性に関連する。加えて、流動性およびレベリングの特性は、HA−ジェランガムのより高い粘度によって悪影響を受けないようであった。
【0085】
従って、これらの配合物の各々において、各特性の許容できるレベルが満たされることは明白である。かかる全面的な結果は、非常に望ましく、塗料業界の中の他の典型的な濃化剤系によってこれまで実現されなかったものである。
【0086】
本発明は、一部の好ましい実施形態および実施例(practice)に関連して記され開示されるであろうが、本発明をそれらの具体的な実施形態に限定することは決して意図されておらず、むしろ、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲によって画定され得る均等な構造体、構造的均等物ならびにすべての代替的な実施形態および修正を網羅することが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の顔料と、少なくとも1種の結合剤と、少なくとも1種の溶媒と、少なくとも1種のセルロースエーテルおよび少なくとも1種のネットワーク構築ポリマーの組み合わせとを含む塗料配合物であって、前記セルロースエーテルおよびネットワーク構築ポリマーが合わせて前記全配合物の約0.1〜約5重量%の量で存在し、かつ両成分の比が、それぞれ4:1〜約40:1である塗料配合物。
【請求項2】
前記セルロースエーテルと前記ネットワーク構築ポリマーとの比が4:1〜約20:1である、請求項1に記載の塗料配合物。
【請求項3】
前記少なくとも1種のセルロースエーテルが、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、エチルヒドロキシルエチルセルロース(EHEC)、メチルセルロース(MC)、メチルヒドロキシルエチルセルロース(MHEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)エーテル、およびこれらの任意の混合物からなる群から選択され、かつ前記少なくとも1種のネットワーク構築ポリマーが、ジェランガム、カラゲナン、ペクチン、アルギネート、寒天、ゼラチンなど、またはこれらのブレンドからなる群から選択される、請求項1に記載の塗料配合物。
【請求項4】
前記少なくとも1種のセルロースエーテルがCMCであり、かつ前記少なくとも1種のネットワーク構築ポリマーがジェランガムである、請求項3に記載の塗料配合物。
【請求項5】
前記少なくとも1種のセルロースエーテルがHECであり、前記少なくとも1種のネットワーク構築ポリマーがジェランガムである、請求項3に記載の塗料配合物。
【請求項6】
前記ジェランガムが低アシルジェランガムである、請求項4に記載の塗料配合物。
【請求項7】
前記ジェランガムが高アシルジェランガムである、請求項5に記載の塗料配合物。
【請求項8】
前記配合物がラテックス塗料である、請求項1に記載の塗料配合物。
【請求項9】
前記配合物がラテックス塗料である、請求項3に記載の塗料配合物。
【請求項10】
前記配合物がラテックス塗料である、請求項4に記載の塗料配合物。
【請求項11】
少なくとも1種の顔料と、少なくとも1種の結合剤と、少なくとも1種の溶媒と、少なくとも1種のセルロースエーテルおよび少なくとも1種のネットワーク構築ポリマーからなる濃化剤系とを含む塗料配合物であって、前記濃化剤系が前記塗料配合物全体の0.1〜5重量%の量で存在し、前記塗料配合物が、より高い垂れの等級と、0.3rpmにおいてブルックフィールド粘度計で測定した場合の少なくとも15%の粘度上昇とを示し、かつ25℃で7週間の包装後安定性試験にかけられた後に、前記ネットワーク構築ポリマーの存在以外は同じ成分を含む塗料配合物が示すレベルの離漿のレベルを少なくとも示すことを特徴とする、塗料配合物。
【請求項12】
前記少なくとも1種のセルロースエーテルが、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、エチルヒドロキシルエチルセルロース(EHEC)、メチルセルロース(MC)、メチルヒドロキシルエチルセルロース(MHEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)エーテル、およびこれらの任意の混合物からなる群から選択され、かつ前記少なくとも1種のネットワーク構築ポリマーが、ジェランガム、カラゲナン、ペクチン、アルギネート、寒天、ゼラチン、またはこれらのブレンドからなる群から選択される、請求項10に記載の塗料配合物。
【請求項13】
前記少なくとも1種のセルロースエーテルがCMCであり、かつ前記少なくとも1種のネットワーク構築ポリマーがジェランガムである、請求項11に記載の塗料配合物。
【請求項14】
前記少なくとも1種のセルロースエーテルがHECであり、かつ前記少なくとも1種のネットワーク構築ポリマーがジェランガムである、請求項11に記載の塗料配合物。
【請求項15】
前記ジェランガムが低アシルジェランガムである、請求項12に記載の塗料配合物。
【請求項16】
前記ジェランガムが高アシルジェランガムである、請求項13に記載の塗料配合物。
【請求項17】
前記配合物がラテックス塗料である、請求項10に記載の塗料配合物。
【請求項18】
前記配合物がラテックス塗料である、請求項12に記載の塗料配合物。
【請求項19】
前記配合物がラテックス塗料である、請求項13に記載の塗料配合物。

【公表番号】特表2010−521554(P2010−521554A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553676(P2009−553676)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【国際出願番号】PCT/US2008/054955
【国際公開番号】WO2008/112419
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(506128352)シーピー・ケルコ・ユーエス・インコーポレーテッド (18)
【Fターム(参考)】