説明

セルロース系繊維のマーセル化

非束縛セルロース系繊維をマーセル化する方法であって、繊維を通行路に沿って、繊維がマーセル化用液体と接触させられるところのマーセル化ゾーンと、それに続いて、繊維がすすぎ洗いされるところのすすぎ洗いゾーンとを通って、搬送することを含み、そこでは、非束縛セルロース系繊維は両ゾーンを通る搬送中に長さ方向の収縮が起こらないように保持されている、前記方法。繊維たとえばスライバー形態の綿繊維はこれらゾーンを通る1対のベルト間で加圧されることによって保持されてもよい。この方法を行うための装置は、マーセル化ゾーンおよびすすぎ洗いゾーンと、収縮が起こらないように繊維を保持するための1対の表面たとえばベルト表面を含むコンベアとを含有している。ベルトは繊維を僅かに延伸させるように僅かに弾性で且つ緊張下にあることができる。ベルトはベルトとそれらの間の繊維とに緊張を維持するために短い距離の間隔をもって分離された複数のローラーの周りを回っていく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は非束縛セルロース系繊維(unconstrained cellulosic fibres)のマーセル化(mercerisation)のための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な試薬の濃溶液で綿(cotton)を処理することによって得られる有益な効果はジョン・マーセル(John Mercer)によって1850年付英国特許第13,296号明細書の中に記載された。特に、彼は綿の織物(fabric)を水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムで処理しその後に徹底的にすすぎ洗い(rinsing)すると毛織物を製造するときに得られるものに似た収縮と厚みを生じるということに注目した。彼は処理後の引張強さの増大と色素に対する改善された親和性にも注目した。
【0003】
マーセルによって開発された元の方法は綿織物の強度を改善したが、織物は収縮のせいでより厚く且つより目の詰んだものになった。織物の「手ざわり(handle)」または光沢(luster)は処理の結果として悪化もした。
【0004】
1890年には、今やマーセル化として知られている方法が最初にロー(Lowe)によって英国特許第4452号明細書の中に記載された。マーセル化はマーセルによって開発された元の方法に対する変形であり、そこでは、綿の織物または糸(yarn)は緊張状態においてマーセル化用試薬(通常、水酸化ナトリウム)で処理され、その後に試薬を除去するためにすすぎ洗いされる。ローは処理およびすすぎ洗いの工程中に綿の布(cloth)または糸に緊張を維持させることによって綿布または綿糸の収縮を防止できることを明らかにした。ローによって解明されたもう一つの重要な効果は非常に高度な光沢の発現であった。マーセルによって先に解明されたその他の利点、たとえば、増大した強度および改善された染料親和性、はこの方法によっても得られた。
【0005】
現在最も普通に実施されている通りのマーセル化方法は、緊張させた綿糸または綿織物を水酸化ナトリウムの濃い水溶液(または、より一般的ではないが、別のマーセル化用液体)の中に浸漬し、その後で水ですすぎ洗し、そしてその水洗済みの綿の中に残留しているアルカリを希酸によって中和することを伴う。水酸化ナトリウム(または他のマーセル化用液体)の強力な膨潤作用はセルロースの構造および性質に対して顕著な効果を有する。未処理綿繊維に存在するねじれ(convolution)が除かれ、そしてその形状は平坦なリボン様構造からより滑らかなより円柱状の形態に変化する。セルロースの膨潤におけるマーセル化用液体の効果は原綿の中に存在した中心空洞(ルーメン)が大幅に消滅しそして繊維材料が断面全体を満たす傾向にあるということである。生来の綿は結晶質セルロースと非晶質セルロースの両方を含有しており、そしてマーセル化は繊維の中の非晶質物質の割合を増大させる。マーセル化はまた、綿の下記性質を改善する:
与えられた染料濃度についての着色歩留まり(colour yield)
生硬繊維(immature fibres)の染料付着量(dye coverage)
化学反応性
引張強さ
手入れしやすくする仕上げ剤を適用した後の強度保留性(strength retention)
光沢
【0006】
綿の集合体(assembly)を糸または織物にするのに先立って綿にマーセル化を施す利点を得ることは可能とは考えられなかった。
【0007】
綿繊維は繊維長さが半インチ未満の長さから約2インチにまで及ぶことがあり得るけれどもおおよそ1インチの長さである。繊維を整列させそして紡糸して糸形態にするまでは、梳られた綿(carded cotton)やスライバー(sliver)や粗撚り糸(roving)のような繊維の集合体は集合体の両端を引っ張ることによって緊張させることができるとは考えられなかった。たとえば、綿のスライバーの両端を引っ張ると、綿繊維は互いの上で滑るであろう、そして個々には緊張されないであろう。結果として、綿は織物または糸の形態でマーセル化される。
【0008】
糸または織物の形態での綿のマーセル化は従来考えられていたよりも完全ではないということも本発明者によって解明された。水酸化ナトリウムの高度に濃厚な溶液は低温では粘稠すぎて全ての繊維を十分に湿潤させることができない。これは糸の撚り(yarn twist)と織物の織り(fabric weave)によって繊維に付与された束縛に起因している。アルカリの不十分な浸透をもってすると、繊維の外側層だけがマーセル化され、糸内部の繊維が不十分に処理された状態で残される。露出表面、特に、自由繊維端、はしばしば糸内部に深く埋まった繊維よりもよりよく処理される。表面的にマーセル化されるけれども、濃く染色された色合いは不均一に染まっていることがあり、それゆえに、後に洗濯中に退色するか又は表面の摩滅による「糸返り(frosting)」に悩まされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的はセルロース系繊維をマーセル化するための代替方法を提供することである。好ましくは、この方法は連続的に行うことが可能であるべきであり、そして繊維長さの保留性と光沢の発現を含めた緊張マーセル化の全利点を与えるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の概要)
本発明は
非束縛セルロース系繊維を通行路(transit path)に沿って、非束縛セルロース系繊維がマーセル化用液体と接触させられるところのマーセル化ゾーンと、それに続いて、非束縛セルロース系繊維がすすぎ洗いされるところのすすぎ洗いゾーンとを通って、搬送し、
そこでは、非束縛セルロース系繊維は両ゾーンを通る搬送中に長さ方向の収縮が起こらないよう保持されている、
ことを含む、非束縛セルロース系繊維をマーセル化する方法を提供する。
【0011】
本明細書中に使用されるときの用語「非束縛」セルロース系繊維は糸を形成する度合までは紡糸または加撚されていない配向または非配向セルロース系繊維を称している。従って、この用語は、原繊維、梳られた繊維、スライバーおよび粗撚り糸を包含するが、糸および織物を排除する。セルロース系繊維は適切にはスライバーの形態にある。
【0012】
用語「セルロース系繊維」は本明細書においてはその最も広い意味で使用されており、綿繊維、亜麻(linen)繊維、ビスコースおよびそれらの組合せを包含する。
【0013】
繊維はマーセル化工程とすすぎ洗い工程の各々およびこれら2工程間の通路の全てを通して保持された状態にあるべきである。繊維はマーセル化工程に続くすすぎ洗い工程に至る通路の全体を通して収縮を防ぐように保持されていなければ、繊維は保持力(holding force)の解放によって収縮するであろう。元の繊維長さを回復するには、繊維を再緊張させる必要があろう。この理由で、繊維がすすぎ洗い前に再緊張されない限りは、理想的には、繊維はマーセル化工程とそれに続くすすぎ洗い工程の全シーケンスの間中、繊維長さを維持するように保持される。マーセル化用液体の大部分がすすぎ洗い工程中に除去されてしまえば、保持または緊張はたとえばすすぎ洗い工程の後の酸中和工程において不利益なしに解放されることができる。
【0014】
好ましくは、非束縛セルロース系繊維はそれらが通行路に沿って移動するときに2つの表面の間で圧縮されることによって保持される。実際、セルロース系繊維は通行路の中の複数の位置において加圧され合う1対のベルトの間で通行路に沿って搬送されることが好ましい。ベルトは繊維をしっかり保持するためにそして従って長さ方向の収縮を防止するために繊維上に圧縮力を維持するように緊張下にあるべきである。
【0015】
本発明者によって、マーセル化ゾーンおよびすすぎ洗いゾーンを通しての搬送中に繊維が延伸される(延伸緊張下に置かれる)ときに優れた結果が得られるということが解明された。延伸度は好ましくは約4%またはそれ未満である。4%超の延伸は繊維強度を低下させることがあるので避ける方が好ましい。2つのゾーンにおける繊維の延伸はマーセル化ゾーンおよびすすぎ洗いゾーンを通して緊張下に置かれている僅かに弾性のベルトを使用することによって達成できる。この配置はベルトの運動の方向に繊維を延伸させるであろうので、非束縛セルロース系繊維は配向されていることが好ましい。好ましくは、非束縛セルロース系繊維は梳られた綿、スライバーまたは粗撚り糸の形態にある。
【0016】
ベルトはマーセル化用液体の作用に対して耐性であるいずれの適する材料から製造されてもよい。この目的のためには様々な高分子材料たとえばポリエステルが特に適する。ベルトはいずれの適する構成または構造のものであってもよい。たとえば、ベルトは織布、不織布、メッシュ、ネット様、孔あき、非孔あき、またはその他、であってもよい。
【0017】
好ましくは、通行路は通行路の最初と最後のところにニップローラーを包含しており、それらはそれらの間の2つのゾーンを通してベルトを緊張下に置く。配向された非束縛セルロース系繊維は最初のニップローラーのところで2本のベルトの間にてプロセスの中へ給送されてもよい。この結果、ベルトが緊張下にありそして僅かに弾性であるならば、繊維はそれらがプロセスの中へ給送されるときにベルトによって僅かに延伸される。
【0018】
好ましくは、ベルトは通行路に沿った多数の地点において案内手段の上を通過する。ベルト間での繊維の滑りを防止することにおいて最適効率を得るためには、ベルトが案内手段に接触している地点間の直線路長(straight path length)がセルロース系繊維の平均長さの範囲内またはこの距離未満であるべきだということが本発明者によって解明された。たとえば、約1インチ(2.5cm)の平均長さを有する綿繊維については、直線路長は2.8cm未満、好ましくは2.5cmまたはそれ未満、であるべきである。
【0019】
案内手段はベルトを案内するロールを実現するいずれか適する構成のものであってもよく、従って、この用語は表面、バー、ローラーなどを包含する。好ましくは、案内手段はローラーである。ローラーの直径はローラー間の路長よりも重要なものではないが、小さな直径のローラーが好ましい。ローラーの直径は有利には処理される繊維の平均長さの2倍未満であろう。より好ましくは、ローラーの直径は処理される繊維の平均長さの1.5倍未満であり、そして最も好ましくは、繊維の平均長さ未満であるか又は平均長さに等しい。
【0020】
通行路はそれを関連ゾーンの中に通す如何なるデザインのものであってもよく、好ましくは、通行路は複数のローラーの周りを回っていく巡回路である。より好ましくは、通行路の中のローラーの周りの左カーブと右カーブがほぼ等しい数で存在している。
【0021】
通行路の最初と最後におけるニップローラーの他に更なるニップロールが用意されていてもよい。たとえば、過剰のマーセル化用液体を繊維とベルトから絞り出すためにマーセル化ゾーンとすすぎ洗いゾーンの間の領域にニップローラーが設けられてもよい。
【0022】
ベルトはいずれの適切な手段によって駆動されてもよい。たとえば、通行路の最後におけるニップローラーは通行路の中からベルトを引っ張るパッドマングル(pad mangle)として構成されていてもよい。
【0023】
マーセル化用液体は好ましくはマーセル化用の浴の中に、そしてすすぎ洗い用液体はすすぎ洗い用の浴の中に、収容されている。
【0024】
本発明の方法にはいずれの適するマーセル化用液体が使用されてもよい。しかしながら、マーセル化用液体はアルカリであることが好ましい。好ましくは更には、アルカリは水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの濃溶液である。アルカリの適切な濃度はこの技術分野では知られている。好ましくは、アルカリの濃度は15〜30%w/v(グラム数/100mL)である、又は35〜55°Tw(トワドル度数(Degrees Twaddell)−本発明の技術分野において使用される比重の尺度)である。より好ましくは、濃度は約20〜22%または約40°Twである。代わりのマーセル化用液体は強酸(たとえば、硫酸または燐酸)、塩化亜鉛、塩化カルシウムなどを包含してもよい。
【0025】
好ましくは、マーセル化用液体は湿潤剤も含有している。湿潤剤はマーセル化用液体が低温においてそして予備の高温ステージ無しに繊維と接触するような状況にとっては特に好ましい。適する湿潤剤(すなわち、アルカリの濃溶液の中で安定であるもの)はこの技術分野では知られている。
【0026】
好ましくは、すすぎ洗い用液体は水であるが、マーセル化用液体がアルカリである場合にはすすぎ洗い用液体はマーセル化用溶液のそれより低いpHを有する他のいずれの液体であってもよい。
【0027】
セルロース系繊維はすすぎ洗いの後の追加ゾーンの中を搬送されてもよい。たとえば、セルロース系繊維はセルロース系繊維を中和用液体で中和する中和ゾーンを通って運ばれてもよい。中和用液体はたとえば希酸であってもよい。
【0028】
本発明によれば、また、
(i)マーセル化ゾーン;
(ii)マーセル化ゾーンの後のすすぎ洗いゾーン;
(iii)マーセル化ゾーンとすすぎ洗いゾーンを通る通行路に沿っての非束縛セルロース系繊維の搬送中に長さ方向の収縮が起こらないように非束縛セルロース系繊維を保持するための一対の表面を含むコンベア;
(iv)コンベアを駆動するための駆動手段;および
(v)マーセル化ゾーンおよびすすぎ洗いゾーンの中でコンベアの表面を互いに押しつけ合わせるための、それによって非束縛セルロース系繊維を保持してそれらゾーンを通して繊維の長さ方向の収縮を防止するようにするための、加圧手段;
を含んでいる、非束縛セルロース系繊維をマーセル化する装置が提供される。
【0029】
好ましくは、装置はすすぎ洗いゾーンの後の中和ゾーンも包含している。装置には、その他のいずれの処理ゾーンが組み込まれていてもよく、1例としては、染色ゾーンが挙げられる。
【0030】
好ましくは、コンベアは、非束縛セルロース系繊維がマーセル化ゾーンとすすぎ洗いゾーンとこれら2つのゾーン間の通路の全てを通して長さ方向の収縮を防ぐように保持されることが可能であるように、構成されている。しかしながら、繊維が中和ゾーンを通っての搬送中に保持されることは要求されない。
【0031】
好ましくは、コンベアは1対のベルトを含む。好ましくは、ベルトは緊張下にあるので、使用中には、繊維をしっかり保持しそして従って長さ方向の収縮を防止するように繊維上には圧縮力が維持される。上記に説明した理由で、好ましくは、ベルトは僅かに弾性であるので、使用中にベルト間に供給される配列された非束縛セルロース系繊維の集合体はマーセル化ゾーンとすすぎ洗いゾーンの中でベルトによって延伸力を受ける。ベルトのその他の局面は上記に記載されている。
【0032】
好ましくは、加圧手段は少なくとも2対のニップローラーを包含しており、一方の対のニップローラーはマーセル化ゾーンの最後に配置されていて過剰のマーセル化用液体を絞り出し、そして他方の対はすすぎ洗いゾーンの最後に又は最後の後に配置されている。これら対のニップローラーはこれらの間のマーセル化ゾーンとすすぎ洗いゾーンの中でベルトを緊張下に置くはずである。
【0033】
好ましくは、通行路に沿ってベルトが加圧手段に接触する地点間の直線距離(「路長」)はこの装置で処理されるべきセルロース系繊維の平均長さの範囲内にあるか又はこの距離未満である。好ましくは、路長は2.8cm未満であり、より好ましくは、2.5cmであるか又はそれ未満である。
【0034】
好ましくは、加圧手段はマーセル化ゾーンとすすぎ洗いゾーンの中の通行路に沿って配置された複数のローラーを包含している。好ましくは、ローラーの直径はこの装置で処理されるべき繊維の平均長さの2倍未満、より好ましくは1.5倍未満であり、最も好ましくは繊維の平均長さ未満であるか又はそれに等しい。
【0035】
好ましくは、通行路は複数のローラーの周りを回っていく巡回路であり、そして通行路の中のローラーの周りの左カーブと右カーブがほぼ等しい数で存在している。
【0036】
好ましくは、駆動手段は通行路の最後における又は最後より下流のマングルの形態である。駆動手段は通行路の最後における最終対のニップローラーによって構成されていてもよく、それは繊維からの絞り出しという2重の効果を有する。
【0037】
装置はさらなる構成要素、たとえば、マーセル化用液体とすすぎ洗い用の及び中和用の液体の中を通ってのベルトの搬送をコントロールするための更なるニップローラー、を包含していてもよい。
【0038】
好ましくは、マーセル化ゾーンはマーセル化用液体を収容するためのマーセル化用の浴を包含しており、すすぎ洗いゾーンはすすぎ洗い用液体を収容するためのすすぎ洗い用の浴を包含しており、そして中和ゾーン(存在するならば)は中和用液体を収容するための中和用の浴を包含している。中和用液体はたとえば希酸であってもよい。
【0039】
当業者によって認識されるであろう通り、上記装置は、セルロース系繊維および非セルロース系繊維(羊毛を含む)を含めた繊維を処理するための、そこでは繊維が処理中の収縮を防止するように保持されることを要望されている、いずれか他のプロセスに利用されてもよい。結局、本発明はより広くは
処理ゾーン;
処理すべき繊維を、処理ゾーンを通して材料の収縮が起こらないように保持するための1対の表面を含むコンベア;
コンベアを駆動するための駆動手段;および
繊維の収縮が起こらないように繊維を保持するためにコンベアの表面を互いに押しつけ合わせるための加圧手段;
を含む、繊維処理装置に関する。
【0040】
その他の処理ゾーンの例は繊維を染色させるためのゾーン、マーセル化を伴わないアルカリ性処理を繊維に受けさせるためのゾーン、など、である。
【0041】
装置のその他特徴は上記に記載されている通りである。
【0042】
添付図面を参照して、例をもって更に本発明を説明する。
【0043】
(発明の詳細な説明)
図1は本発明の好ましい態様による装置を概略的に図解している。
【0044】
非束縛セルロース系繊維をマーセル化するための、図1に図解されている通りの好ましい態様による装置は、マーセル化用液体を収容している第一浴10、すすぎ洗い用液体を収容している第二浴12、これら浴の上を通過するリターンループを有する上方ベルト14とこれら浴の下を通過するリターンループを有する下方ベルト16を含む1対の包囲コンベヤーベルト(enveloping conveying belts)、および、ニップローラー18、20、22そしてローラー18と22の間ではベルトを互いに押しつけ合わせるための加圧力を適用するためのガイドローラー24a〜kを含めた一連のローラー、を包含している。ニップローラー22はパッドマングルとして構成されており、それはベルトを矢印によって示された方向に駆動させる。
【0045】
ベルト14、16は、僅かに弾性でありそして第一浴10の中のマーセル化用液体に対して耐性である材料(ポリエステル)から形成されている。ベルトは約1mm厚さであるが、異なる厚さのベルトが使用されてもよい。ベルトの構成はプロセスに使用されるマーセル化用液体がスライバーの中に浸透することを可能にし、かつ、すすぎ洗い用液体がスライバーを十分にすすぎ洗いすることも可能にする。ベルトはニップローラー18からニップローラー22まで延びている通行路を通って駆動される。ベルトの通行路は第一浴10の中を通って、第一浴から出て、そして第二浴12の中を通って、ベルト14、16の移動方向に、走行する。
【0046】
ベルトの通行路は巡回的であり、そして一連の正確に間隔をとった小さな直径のローラー20および24a〜kの周りを走行する。図解された好ましい態様のローラーの直径は5cmである。これは約2.5cmの平均長さのセルロース系繊維向けには適している。ローラーの直径は調節されてもよい。隣接ローラー間のベルトの直線路長はそれが隣接ローラーに接触する地点間で測定されている。直線路長は平均繊維長さ(この事例では2.5cm)にほぼ等しいか又はそれより小さい。図解された好ましい態様においては、隣接ローラー間の直線路長は2.8cmから0(ニップローラーの場合)までの範囲にある。ローラー間の距離も調節されてもよい。
【0047】
ローラーは、ベルトがほぼ等しい数の左カーブと右カーブをもってマーセル化用の浴とすすぎ洗い用の浴の中をうねっていく路に従うように、配列されている。勿論、ローラーについては他のローラー配置が可能である。
【0048】
非束縛セルロース系繊維(好ましくは、1個またはそれ以上のスライバー26の形態での)は2本のベルトの間でニップローラー18からニップローラー22まで給送される。スライバーの中の繊維はベルトの移動方向およびスライバーを装置の中へ送り込む方向(矢印A)に配列される。
【0049】
パッドマングル22はベルトを通行路に沿って引っ張り、そしてパッドマングルとニップローラー18の間ではベルトに緊張を付与する。ベルトは僅かに弾性であるので、ベルトはニップローラー18で始まって延伸される。ニップローラー18のところでベルト間に供給された投入スライバー26はそれが通行路を通って進んでいくときに繊維の収縮が起こらないように十分にしっかり保持されるようにベルト間で圧縮される。スライバーは圧迫されると僅かに拡がる。ベルト幅にわたって数個のスライバーが装置の中に供給される場合には、それらスライバーは単一層になるように互いに隣り合って適切に間隔を置かされる。スライバーの拡がりにおいては、隣接スライバーの押し拡げられた端同士の間には僅かな重なりが存在してもよい。
【0050】
ベルトはそれがニップローラー18のところで通行路を開始すると僅かに延伸されるので、ベルト間の繊維もそうなる。繊維の延伸度は約1〜2%である。繊維は、それらが通行路に沿ってマーセル化用の浴の中を通って、そしてマーセル化用の浴から出て、そしてすすぎ洗い用の浴の中を通って移動するときに、延伸状態のままである。繊維に適用された緊張もまた、繊維を装置の中での移動の方向に平行に維持するのを助ける。図解された態様においては、装置に供給される綿繊維装填量はベルト間隔(この事例では、ベルト自体の幅を含まないベルト間の距離)が約2〜3mm以下になるようなものである。これは5kTexの厚さの綿スライバーが装置の中に供給されたことに相当している。この大きさの綿スライバーは僅かに拡がって約10〜15mm幅になるので、3個の5kTexスライバーの配列は約30〜40mmのベルト幅を覆うであろう。ベルト幅30mm当り15kTexまでの、もっと厚いスライバーの綿繊維またはその他繊維が装置の中に供給されてもよい。
【0051】
先に説明した通り、ローラー20および24a〜kの小さな直径と、これらローラー間の短い路長は、対のベルト14、16の対面する表面間での繊維の滑りを防止するのに最適な効率を与えることが判明した。
【0052】
ニップローラー20はマーセル化用の浴の上に位置しており、そしてスライバーとベルトから過剰のマーセル化用液体を絞り出す。過剰のマーセル化用液体はこの浴の中に排出される。
【0053】
本発明の好ましい態様においては、マーセル化用液体は水酸化ナトリウムの水溶液である。水酸化ナトリウムの濃度は15℃において20〜22%w/vまたは40°Twであり、それは比重1.2の又は水100mLにつき約21gの水酸化ナトリウムに相当している。マーセル化用液体は湿潤剤を5g/L〜25g/Lの量で含有している。この技術分野で知られている強アルカリの中で安定である湿潤剤の一つが好ましい態様においては使用されている。湿潤剤はマーセル化用液体が低温で繊維と接触する状況下では有用である。より高い温度でマーセル化用液体を繊維と接触させた後に、この繊維と接触しているマーセル化用液体の温度をマーセル化処理温度にまで低下させるようにプロセルが変更された場合には、湿潤剤は免除されてもよい。
【0054】
マーセル化用溶液は−5℃から25℃までの範囲の温度に維持される。温度はこの範囲の下方に近い方が適切である。
【0055】
すすぎ洗い用液体はマーセル化用溶液のpHより低いpHを有する。好ましい態様においては水が使用される。
【0056】
スライバー26は更なる溶液にスライバーを曝すために追加ゾーン(図示されてない)を通って搬送されてもよい。更なるゾーンはスライバーおよび/またはベルトの中に残留しているマーセル化用液体を更に中和するための希酸を含有する溶液を包含していてもよい。
【0057】
図解された好ましい態様においてはマーセル化用液体およびすすぎ洗い用液体を収容するために浴が使用されているが、当業者は、浴の代わりに、非束縛セルロース系繊維に液体を吹き付けるチャンバー(単数または複数)が使用できるということを認識するであろう。従って、用語「ゾーン」はこれを包含するように広く解釈されるべきである。
【0058】
スライバー26がマーセル化用の浴10を通って搬送される速度(および浴の長さ)は、マーセル化用液体がスライバーに十分に浸透してしまうであろうことを確実にするのに且つ繊維のマーセル化が行われてしまうように、十分であるべきである。このことはスライバーがその中を通って運ばれるところのその他の浴に対しても応用される。関連した理由で、繊維がその上を又はそこを通って前進するところのローラーの数は、十分な浸透およびマーセル化が行われるのに足る時間にわたって繊維がマーセル化用液体と接触したままでいるのに十分であるべきである。
【0059】
セルロース系繊維は緊張ベルト14、16の間に圧縮状態で保持されているけれども、驚くべきことには、これら繊維はなお膨潤しそして直径を拡張することができるということが本発明者らによって解明された。結局、繊維は未処理セルロース系繊維の代表的なものである平坦なリボン様形状から、マーセル化プロセルによって、マーセル化セルロース系繊維の特徴であるより円形の断面へと変化する。
【実施例1】
【0060】
綿繊維から構成された5ktexスライバーを、図1に示された装置で処理した。スライバーは1対のニップローラーの中へ入っていく2本のベルトの間に供給された。それはベルトの間で、10℃未満の温度に保たれた21.4%(重量/体積)の濃度の水酸化ナトリウムの水溶液からなるマーセル化用の液を収容しているタンクの中に浸漬された一連のローラーの周りを運ばれた。この処理液は湿潤剤(レオフェン(Leophen)MC[BASF])7g/Lも含有していた。ベルトおよびスライバーの速度は水酸化ナトリウム溶液中への浸漬時間40秒を与えるように設定された。過剰の水酸化ナトリウム溶液を絞り出した後に、なお緊張下に保持されているスライバーは水を収容しているすすぎ洗い用の浴の中を30秒間で通過させられた。すすぎ洗い後、過剰液体が1対の絞りローラー(図1には示されてない)によって除去された。それから、スライバーはpH5に保たれた希酢酸を収容した浴(図1には示されてない)の中を通過させられ、そこで残留アルカリが中和された。
【0061】
対照は上記の水酸化ナトリウムと湿潤剤の溶液によって綿スライバーを処理することによって製造された;しかし、この事例では、材料は処理溶液の中でそしてすすぎ洗いおよび中和の工程中に完全に弛緩するのが許された(このサンプルはスラック(slack)マーセル化と称される)。
【0062】
乾燥後のスライバーの試験は、ベルトマーセル化マシンにおいて緊張下でマーセル化されたサンプルは未処理材料よりも光沢があり、また、スラックマーセル化されたサンプルよりも光沢があるということを示した。スライバーの光沢は未処理材料のそれの2倍であった。未処理スライバーおよび処理スライバーの繊維長さ、強度および破断点伸びが測定された。第1表のデータは、スラックマーセル化された繊維は長さが縮まったのに対して、緊張下でマーセル化された繊維は未処理材料よりも僅かに長かった、ということを示している。スラックマーセル化繊維もベルトマーセル化繊維もどちらも未処理綿より強く、しかも破断点伸びが大きかった。
【0063】
第1表:
未処理綿、スラックマーセル化綿及びベルト(緊張)マーセル化綿の物理的性質
【0064】
【表1】

【0065】
カッコ内の数字は未処理綿と比較した変化%を示している、ゲージ長さ1/8インチ−上記の中央欄を参照。
【0066】
未処理綿およびベルトマーセル化綿の走査電子顕微鏡写真(図2および3)は、ベルトマーセル化技法は成功裡に、繊維断面を、通常綿繊維の片側のへこんだ長円形(kidney−shaped)のリボン様断面から、マーセル化綿のより円形の形状の特徴へと変化させた、ということを示している。図3はマーセル化繊維表面がより平滑であり、よりねじれてなく、そしてより円柱状であることを示しているので、それらは向上した光沢を示すであろう。
【実施例2】
【0067】
綿繊維の別の2種類のサンプルの5ktexスライバーを使用して実施例1を繰り返した。結果を対照例と比較した。対照例の一つはマーセル化されず、そして第二の対照例はスラックマーセル化された。溶液の組成および濃度は実施例1に概説された通りであった。
【0068】
繊維の性質を試験し、そして結果を第2表に概説した。第2表の中の結果には第1表に概説されたものを組み入れてある。
【0069】
綿の与えられたサンプルについては、「ベルト」(保持)マーセル化スライバーとスラックマーセル化スライバーの破断点靭性(tenacity−at−break)は似ていたが、それらの非マーセル化対照よりも有意に高かった。ベルトマーセル化サンプルの破断点伸びはそれらの対照と似ていたが、スラックマーセル化スライバーは伸びの有意な増加を示した−これは繊維が処理中に非束縛であるときに起こる高度の繊維収縮の影響についての更なる確認。
【0070】
サンプル2のスライバーは、ベルトマーセル化プロセスの後では、それの非マーセル化対照よりも2.5倍も光沢があった。
【0071】
第2表:
3種類のマーセル化綿サンプルについての繊維長さ、強度、精巧さ(fineness)
対照と「ベルト」マーセル化または長さ束縛無しでの(スラック)マーセル化の比較
【0072】
【表2】

【0073】
(注:収縮の欄の正数は収縮を表わしており;負数は伸長を表わしている−負数を得ることが求められている)
【0074】
紡糸と染色の結果
「ベルト」(保持)マーセル化スライバーおよび対照スライバーのサンプル(サンプル2の綿)を成功裡に5ktexから1ktexに延伸し、それから700tpmにおいて40texの単糸に紡糸した。400tpmにおける2−フォルディング(two−folding)も成功裡に完了した。どの時も、延伸(drawing)および紡糸の過程中に潤滑剤を添加する必要がなかった。このことで、実施例のマーセル化プロセスが繊維から天然蝋被覆(natural wax coating)を除去するほどには過酷ではないということが確認される。
【0075】
ベルトマーセル化糸と対照糸を同じ浴の中で同時にコーン染色し(cone dyed)、そして小さな見本に編んだ。糸およびメリヤスサンプル(knitted sample)の両方の試験から、ベルトマーセル化糸については光沢の増加とより深い色合いを確認した。
【0076】
上記プロセスは次のような利点を生じさせる:
繊維をマーセル化した後に行われた後続加工から得られる改善された処理均一性。
通常綿と比べて増大した繊維強度。これは紡糸性能の改善、特に、より高い紡糸フレーム速度(spinning frame speed)の可能性、に導く。
マーセル化した綿繊維をアルカリ感受性材料特にケラチン繊維たとえば羊毛とブレンドすることの可能性。
マーセル化綿からメリヤス生地を製造できる。メリヤス生地はマーセル化できるけれども、マーセル化プロセスは生地の大きさ(fabric bulk)の減少を生じる傾向がある。この問題は綿がばらばらの繊維またはスライバーとしてマーセル化されるときには回避される。
【0077】
上記の好ましい態様および実施例は発明的概念の例証としてのみ提供されている。この好ましい態様および実施例に対しては、本発明の思想および範囲から離れることなく様々な変更がなされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の好ましい態様によるマーセル化装置の概略図である。
【図2】図1の装置での処理の前と後の綿繊維の断面の走査電子顕微鏡写真を成す。
【図3】処理の前と後の図2の綿繊維の側面の走査電子顕微鏡写真を成す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非束縛セルロース系繊維を通行路に沿って、非束縛セルロース系繊維がマーセル化用液体と接触させられるところのマーセル化ゾーンと、それに続いて、非束縛セルロース系繊維がすすぎ洗いされるところのすすぎ洗いゾーンとを通って、搬送し、
そこでは、非束縛セルロース系繊維は両ゾーンを通る搬送中に長さ方向の収縮が起こらないよう保持されている、
ことを含む、非束縛セルロース系繊維をマーセル化する方法。
【請求項2】
非束縛セルロース系繊維が原繊維、梳られた繊維、スライバーまたは粗撚り糸である、請求項1の方法。
【請求項3】
非束縛セルロース系繊維がスライバーの形態にある、請求項1の方法。
【請求項4】
繊維は、マーセル化工程とその後に続くすすぎ洗い工程の、両工程間の通路も含めての、全シーケンス中に、繊維長さを維持するように保持されている、請求項1〜3のいずれか一項の方法。
【請求項5】
非束縛セルロース系繊維はそれらが通行路に沿って移動するときに2つの表面の間で圧縮されることによって保持されている、請求項1〜4のいずれか一項の方法。
【請求項6】
セルロース系繊維は、通行路の中の複数の位置において加圧され合う1対のベルトの間で、通行路に沿って搬送される、請求項5の方法。
【請求項7】
繊維はマーセル化ゾーンとすすぎ洗いゾーンを通る搬送中に延伸される、請求項5または6の方法。
【請求項8】
延伸度が約4%であるか又はそれ未満である、請求項7の方法。
【請求項9】
ベルトはわずかに弾性であり、そしてマーセル化ゾーンとすすぎ洗いゾーンを通して緊張下に置かれる、請求項7または8の方法。
【請求項10】
非束縛セルロース系繊維が配向されている、請求項7〜9のいずれか一項の方法。
【請求項11】
通行路は通行路の最初と最後のところにそれらの間の2つのゾーン中でベルトを緊張下に置くニップローラーを包含している、請求項6〜10のいずれか一項の方法。
【請求項12】
ベルトは通行路に沿った多数の地点において案内手段上を通過する、請求項6〜11のいずれか一項の方法。
【請求項13】
ベルトが案内手段に接触している地点間の直線路長はセルロース系繊維の平均長さの範囲内にあるか又はこの距離未満である、請求項12の方法。
【請求項14】
直線路長が2.8cm未満である、請求項13の方法。
【請求項15】
案内手段がローラーである、請求項12〜14のいずれか一項の方法。
【請求項16】
ローラーの直径は処理される繊維の平均長さの2倍未満である、請求項15の方法。
【請求項17】
ローラーの直径は処理される繊維の平均長さの1.5倍未満である、請求項16の方法。
【請求項18】
通行路は複数のローラーの周りを回っていく巡回路である、請求項15〜17のいずれか一項の方法。
【請求項19】
マーセル化ゾーンとすすぎ洗いゾーンの間の領域にニップローラーが設けられていて繊維およびベルトから過剰のマーセル化用液体を絞り出す、請求項12〜18のいずれか一項の方法。
【請求項20】
通行路の最後のところに位置して通行路からベルトを引っ張るパッドマングルによってベルトが駆動される、請求項6〜19のいずれか一項の方法。
【請求項21】
セルロース系繊維はすすぎ洗い後に追加ゾーンを通って搬送される、請求項1〜20のいずれか一項の方法。
【請求項22】
セルロース系繊維はセルロース系繊維が中和用液体で中和されるところの中和ゾーンを通って搬送される、請求項21の方法。
【請求項23】
(i)マーセル化ゾーン;
(ii)マーセル化ゾーンの後のすすぎ洗いゾーン;
(iii)マーセル化ゾーンとすすぎ洗いゾーンを通る通行路に沿っての非束縛セルロース系繊維の搬送中に長さ方向の収縮が起こらないように非束縛セルロース系繊維を保持するための一対の表面を含むコンベア;
(iv)コンベアを駆動するための駆動手段;および
(v)マーセル化ゾーンおよびすすぎ洗いゾーンの中でコンベアの表面を互いに押しつけ合わせるための、それによって非束縛セルロース系繊維を保持してそれらゾーンを通して繊維の長さ方向の収縮を防止するようにするための、加圧手段;
を含んでいる、非束縛セルロース系繊維をマーセル化する装置。
【請求項24】
装置がすすぎ洗いゾーンの後に中和ゾーンを包含している、請求項23の装置。
【請求項25】
コンベアは、非束縛セルロース系繊維をして、マーセル化ゾーン、すすぎ洗いゾーンおよびこれら2つのゾーン間の通路の全てを通して長さ方向の収縮を防止するように保持されることを可能ならしめるように、構成されている、請求項23または24の装置。
【請求項26】
コンベアが一対のベルトを含む、請求項23〜25のいずれか一項の装置。
【請求項27】
ベルトが緊張下にあるので、使用中には、繊維をしっかり保持しそして従って長さ方向の収縮を防止するように繊維には圧縮力が維持される、請求項26の装置。
【請求項28】
ベルトが僅かに弾性であるので、使用中には、ベルト間に供給された配列された非束縛セルロース系繊維の集合体はマーセル化ゾーンおよびすすぎ洗いゾーンに中でベルトによって延伸力を受ける、請求項27の装置。
【請求項29】
加圧手段は少なくとも2対のニップローラーを包含しており、一方の対のニップローラーは過剰のマーセル化用液体を絞り出すためにマーセル化ゾーンの最後に配置されており、そして他方の対はすすぎ洗いゾーンの最後に又は最後の後に配置されている、請求項26〜28のいずれか一項の装置。
【請求項30】
ベルトが通行路に沿って加圧手段に接触する地点間の直線距離(「路長」)はこの装置で処理されるべきセルロース系繊維の平均長さの範囲内にあるか又はこの距離未満である、請求項26〜29のいずれか一項の装置。
【請求項31】
路長が2.8cm未満である、請求項30の装置。
【請求項32】
加圧手段はマーセル化ゾーンとすすぎ洗いゾーンの中に通行路に沿って配置された複数のローラーを包含している、請求項26〜31のいずれか一項の装置。
【請求項33】
ローラーの直径はこの装置で処理されるべき繊維の平均長さの2倍未満である、請求項32の装置。
【請求項34】
通行路は複数のローラーの周りを回っていく巡回路であり、そして通行路の中のローラーの周りの左カーブと右カーブがほぼ等しい数で存在している、請求項32または33のいずれか一項の装置。
【請求項35】
駆動手段は、通行路の最後にある又は最後より下流にあるマングルの形態である、請求項26〜34のいずれか一項の装置。
【請求項36】
マーセル化ゾーンはマーセル化用液体を収容するためのマーセル化用の浴を包含しており、すすぎ洗いゾーンはすすぎ洗い用液体を収容するためのすすぎ洗い用の浴を包含している、請求項23〜35のいずれか一項の装置。
【請求項37】
処理ゾーン;
処理すべき繊維を、処理ゾーンを通して材料の収縮が起こらないように保持するための1対の表面を含むコンベア;
コンベアを駆動するための駆動手段;および
繊維の収縮が起こらないように繊維を保持するためにコンベアの表面を互いに押しつけ合わせるための加圧手段;
を含む、繊維処理装置。
【請求項38】
請求項1〜22のいずれか一項の方法によって又は請求項23〜37のいずれか一項の装置で製造された製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−508271(P2006−508271A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−555851(P2004−555851)
【出願日】平成15年11月13日(2003.11.13)
【国際出願番号】PCT/AU2003/001496
【国際公開番号】WO2004/050979
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(500053399)コモンウエルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ オーガナイゼーション (8)
【Fターム(参考)】