説明

セルロース繊維を含む水流絡合(hydroentangled)製品の製造方法

本発明は、セルロース繊維を含む水流絡合製品を製造する方法であって、リヨセルメルトブローウェブを水の細かい高圧ジェットを用いた処理に供し、少なくとも3つの処理工程において、ウェブを前記細かい高圧ジェットに供すること、前記処理工程のそれぞれにおいて、前記高圧ジェットの圧力が75バール以下であることにより特徴づけられる、該方法に関する。さらに、本発明は、前記製品により得られる製品、およびそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロース繊維を含む水流絡合(hydroentangled)セルロース製品を製造する方法、および前記方法によって得られる製品に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な合成ポリマーから、いわゆる「メルトブローイング」法によって不織ウェブ(nonwoven webs)を製造することが知られている。
【0003】
また、N−メチル−モルフォリン−N−オキシド(「NMMO」)におけるセルロース溶液を採用したメルトブローイング法によって作られる不織ウェブを製造することが、とりわけ、WO 98/26122、WO 99/47733、WO 98/07911、US 6,197,230、WO 99/64649、WO 05/106085、EP 1 358 369、WO 02/52070、およびUS 2005/56956から知られている。そのような製品は、DE 101 40 772 A1およびWO 2007/000319 A1にも一般的に言及されている。
【0004】
上記の参照文献中に記載されているメルトブローイング法は、NMMOにおけるセルロース溶液の押し出し糸(extruded threads)が、通常、繊維の方向と平行な方向に流れているガス流によって取得されることにより特徴付けられる。セルロース溶液は、オリフィスから押し出されるのであるが、液体の糸(liquid strands)または潜在性のフィラメント(latent filaments)に形成され、それらは、ガス流によって延伸される(drawn)(または著しく直径を減少させて長さを増大させ、いくつかのサブフィラメントに裂いてもよい)。
【0005】
その後、フィラメントは、例えば回転ドラム上に集められ、それによって繊維が形成される。
【0006】
以下において、この方法は「リヨセルメルトブローイング法」と呼ばれる。リヨセルメルトブローイング法によって作られた不織のメルトブロー(melt-blown)ウェブは、以下において「リヨセルメルトブローウェブ」と呼ばれる。本発明の目的に関して、「リヨセルメルトブローイング法」の語は、終わりのないフィラメントが得られる方法(このような方法は文字通り「スパンボンド法」とも呼ばれる)と、別個の長さの繊維が得られる方法、および終わりのないフィラメントと別個の長さの繊維との混合物が得られる方法を包含する。
【0007】
その一方、WO 06/035458は、いわゆる「スパンレイド不織布(spunlaid nonwovens)」の製造方法、すなわち押し出されたフィラメントをガス流によって延伸せず、落下液の流れによって延伸する方法を開示する。
【0008】
現在、不織ウェブを結合する様々な手段が知られている。これらの手段は、不織ウェブの性質によって採用されるが、ケミカルボンド法、サーマルボンド法、ニードル結合法および水流絡合による結合法を含む。
【0009】
PCT/AT2007/000192(早期公開されていない)は、リヨセルメルトブローイング法を水流絡合工程と組み合わせ、それにより様々な最終用途に好適な性質を有し、様々な相乗効果というさらなる利点を有する、結合されたウェブを製造することができる方法を開示している。
【0010】
PCT/AT2007/000192に従うセルロース繊維を含む水流絡合製品を製造する方法は、
・水溶性の第3級アミンオキシドに溶解されたセルロースを含む溶液を、紡糸口金を介して空隙に押出することによって、フィラメントを形成する工程
・空隙中の前記フィラメントを、少なくとも部分的にフィラメントを凝固させる媒体と接触させる工程
・前記フィラメントをガス流によって延伸する工程
・ウェブを形成するために前記フィラメントを回収し、沈殿させる工程
・水流絡合過程を用いて前記ウェブを結合する工程
を含む。
【0011】
この方法により、メルトブロー法により生じる安定した軽量のウェブを、特に便利な方法で、結合したウェブにさらに加工することができる。
【0012】
PCT/AT2007/000192に従うと、リヨセルメルトブローウェブは、約20バールで作用する第1の先端、約100バールで上部で作用する第2の先端および約100バールで下部で作用する第3の先端である3つの圧力先端を有するスパンレースライン(spunlace line)を用いて結合されてもよい。ライン速度は、約40m/分であり得る。水流絡合工程が、未乾燥のリヨセルメルトブローにおける連続的な過程の全体に渡って実施される場合、スパンレースラインの製造速度は、ウェブの供給速度に従って調整され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
水流絡合されたリヨセルメルトブローウェブの性質をさらに高めることが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、セルロース繊維を含む水流絡合製品を製造する方法であって、リヨセルメルトブローウェブを、水の細かい高圧ジェットを用いた処理に供する方法により解決され、前記方法は
・少なくとも3つの処理工程において、ウェブを前記水の細かい高圧ジェットに供すること
・前記処理工程のそれぞれにおいて、前記高圧ジェットの圧力が75バール以下であること
により特徴づけられる。
【0015】
驚くべきことに、水流絡合法のあるパラメーターを変更することによって、リヨセルメルトブローウェブの性質を顕著に高めることができることが発見された。特に、本発明に従う方法によって得られる製品は、従来技術の製品に比べて、強化された強度を示す。
【0016】
これはとても驚くべきことである。なぜなら、本発明に従う方法は、とりわけ、高圧ジェットによってウェブにかけられる圧力が比較的小さい、すなわち75バール以下であることにより特徴付けられるからである。しかしながら、通常、水流絡合成品の強度は水圧とともに増大することはよく知られている(例えば、Kamath et al. "Spunlace (Hydroentanglement)" http://web.utk.edu/〜mse/pages/Textiles/Spunlace.htm参照)。
【0017】
本発明に従うと、ウェブは、少なくとも3つの処理工程において、前記細かい高圧ジェットにさらされる。「処理工程」は、細かい高圧水ジェットがウェブに向いているジェット連結管(manifold)の下または上をウェブが通過することを意味する。ウェブが一つのジェット連結管を何回か通過することによって、および/またはウェブがいくつかのジェット連結管を通過することによって、いくつかの処理工程が行われうると理解される。
【0018】
「水のジェット」の用語は、本質的に水からなるジェットを言うと理解されるべきであるが、ジェットは、変性剤等のような他の物質を少量含んでもよい。
【0019】
好ましくは、ウェブは、少なくとも4つの処理工程に供される。ウェブは、例えば、5つの処理工程に供されうる。
【0020】
本発明のさらに好ましい実施態様に従うと、前記高圧ジェットの圧力は、前記処理工程のそれぞれにおいて、55バール以下である。特に好ましくは、圧力は50バールまたは30バールとしてもよい。それぞれ、ステップ毎に30バールの圧力を用いた5回の処理工程、またはステップ毎に50バールの圧力を用いた5回の処理工程を用いて、非常によい結果が達成された。
【0021】
10g/m2以下の面積重量(area weight)を有する非常に軽量の製品を製造するためには、約20バールの圧力が適していることが証明された。
【0022】
さらなる実施態様において、ウェブの各面(side)を、少なくとも一つの処理工程に供してもよい。水流絡合法において、ウェブの両面は、ウォータージェットによる少なくとも1つの処理に供してもよいことが知られている。例えば、ウェブの上側の面を2つの処理に供してもよく、ウェブの下側の面を1つの処理に供してもよい。しかしながら、本発明の枠組み内において、ウェブの一方の面だけをウォータージェットに供することも可能である。
【0023】
水流絡合法の処理速度は、当業者が一般的な知識に従って選択することができる。約20m/分の処理速度が適していることが証明された。
【0024】
リヨセルメルトブローウェブは、特に、PCT/AT2007/000192、WO 02/52070、またはUS 2005/56956から知られている方法によって製造してもよい。
【0025】
本発明のさらなる好ましい実施態様に従うと、リヨセルメルトブローウェブは、
(a)水溶性の第3級アミンオキシドに溶解されたセルロースを含む溶液を、紡糸口金を介して空隙に押出することによって、フィラメントを形成する工程
(b)空隙中の前記フィラメントを、少なくとも部分的にフィラメントを凝固させる媒体と接触させる工程
(c)空隙中の前記フィラメントをガス流によって延伸する工程
(d)ウェブを形成するために前記フィラメントを回収し、沈殿させる工程
を含む方法により製造される。
【0026】
好ましくは、工程(b)において使用される前記媒体は、蒸気のミストであり、好ましくは水性のミストである。
【0027】
工程(b)は、空隙中のフィラメントを部分的に凝固させる媒体を用いて処理することにより、すべてのプロセスを改良する。蒸気のミストを用いて空隙中のフィラメントを処理することは、例えばWO99/64649から知られている。
【0028】
工程(b)を経て、フィラメントは、ウェブを形成する前に、少なくとも一部分は沈殿する。この程度(measure)は、このようにして製造されたウェブに、ウェブの形成後にのみウェブを凝固させることによって形成された製品の、より「紙のような」性能にくらべて、より柔らかく織物のような性能を与えることを示した。
【0029】
さらに、ウェブを形成する前に、フィラメントを少なくとも部分的に沈殿させることによって、フィラメントを沈殿させる前に形成されたウェブ中と同じ程度に、ウェブ中のフィラメントがくっつかないと考えられる(NMMO中でのセルロースのドープ(dope)から紡がれた非沈殿フィラメントは、非常に粘着性がある)。これは、水流絡合法の効果を促進し、高める。これは、水流絡合法を効率的に動かすために、個々のフィラメントはウェブ中で自由に動けるべきである、すなわち、重なりにおいて融合すべきではないからである。
【0030】
さらなる好ましい実施態様において、水流絡合法は、未乾燥のウェブに対して行われる。「未乾燥のウェブ」とは、フィラメントを回収し沈殿させることによって形成された後、まだ乾燥されていないウェブと理解される。
【0031】
この実施態様は、それと一緒に様々な相乗効果をもたらす。以前の方法においては、まず、(濡れた経路によって製造される場合)乾燥され、乾燥状態で外部の水流絡合設備に供されなければならない繊維ウェブが製造された。
【0032】
メルトブロー法と水流絡合法を、製品の事前の乾燥なしで組み合わせることにより、最初のウェブを乾燥するために先に必要なエネルギーおよび(製品を再び濡らすのに先に必要な)水のどちらも節約することができる。
【0033】
さらに、そのようなものとして知られているとおり、リヨセル法において、残留溶媒は、水性洗浄液によって洗い流されなければならない。水流絡合法は、たいてい水を処理溶液として採用しており、よって、任意の先の洗浄工程に加えて、さらなる効果的な洗浄工程としての役割を果たすことが可能であり、それによりウェブを洗浄するのに他に必要な洗浄の量を減らす。
【0034】
未乾燥のウェブに対して水流絡合工程を実施する好ましい実施態様は、以下において、「オンラインボンド法(Online-bonding)」と呼ばれる。
【0035】
本発明に従う方法は、さらに
(e)ウェブのエンボス加工、穿孔加工(perforating)、およびマーキングから成る群から選択される処理によって、前記ウェブを処理する工程
を含んでもよい。
【0036】
ウェブをエンボス、穿孔、またはその他のマーキングする(色模様等を適用するなどのような)手段は、そのようなものとして当業者に知られている。先に既に結合されている結合ウェブに対して、工程(e)を実施することも可能である。
【0037】
好ましい実施態様において、工程(e)は水流絡合法と一緒に実施される。例えば、周期的な変化またはウェブ全体にわたる異なる部分における高圧の変化等のように、水流絡合法中に水圧を変化させることによって、ウェブの効果および異なる密度をマーキングすること、エンボス加工の模様をつけることが達成されうる。
【0038】
本発明に従う方法のさらなる実施態様は、
(f)さらなる材料を、水溶性の第3級アミンオキシドに溶解されたセルロースを含む溶液、それらの前駆物質(precursor)および/または前記ウェブのいずれかに混合する工程
を含む。
【0039】
「前駆物質」とは、例えば、溶液を作るために使用されるセルロースパルプ、NMMO溶媒、溶液を作る前の中間産物として使用されるパルプとNMMO溶媒の懸濁液等、リヨセル法の任意の出発物質または中間産物を意味する。
【0040】
前記さらなる材料は、好ましくは、セルロース繊維およびパルプ(例えばフラッフパルプ)等のようなセルロース系材料;非セルロース系ポリマー、特に非セルロース系ポリマー繊維、二成分繊維;染料、抗菌製品、イオン交換製品、活性炭、ナノ粒子、ローション、難燃製品、高吸収剤、含浸剤、染料、仕上げ剤、架橋剤、グラフト剤(grafting agent)、結合剤等のような変性物質;およびそれらの混合物からなる群から選択されうる。
【0041】
「結合剤」とは、例えば熱硬化性によって、さらにウェブを結合することができる薬剤を意味する。
【0042】
当業者は、上記の材料が、リヨセルメルトブロー法の工程において、およびその様式において、添加されうることを十分に認識している。
【0043】
特に、工程(f)は、水流絡合プロセスの前に行われてもよい。よって変性材料は、結合工程の前に、ウェブまたはその前駆物質に添加される。ウェブを結合した後、材料は、ウェブの結合後にのみ材料を添加するプロセスに比べて、より密接にウェブ中に組み込まれる。
【0044】
前記さらなる材料は、採用されている水流絡合液体中に前記材料を溶解させることまたは分散させることによって、ウェブに混合させることもできる。これは、例えば、変性材料が水流絡合液体に添加され、水流絡合を介した結合が起こるのと同じようにウェブに組み込まれることを意味する。
【0045】
本発明に従う方法のさらなる実施態様は、
(g)前記ウェブに、一方の面または両面上で、さらなる材料の層、特に繊維層、フィルム層、またはウェブ層を付着させる工程
を含む。
【0046】
この実施態様を用いて、例えば本発明に従って製造されるセルロースウェブの1つの層と、ウェブの一方の面または両面上の1つ以上の付加的な層とによって作られた複合材料を製造することができる。セルロースウェブが2つの任意に異なる層、例えばフィルムまたはウェブのような材料の層の間に組み込まれる「サンドイッチ」構造が、可能である。
【0047】
前記層は、本質的に、セルロース繊維およびパルプ等のようなセルロース系材料;非セルロース系ポリマー;およびそれらの混合物からなる群から選択される材料からなってもよい。
【0048】
複合製品または「サンドイッチ」製品の例としては、合成ポリマー、セルロースフラッフパルプ、セルロースもしくは合成ポリマー繊維の不織ウェブ、二成分繊維、セルロースパルプ(例えば、エアレイドパルプ)のウェブ、高引っ張り強さ(tenacity)の繊維のウェブまたは織物、疎水性材料、高性能繊維(例えば、防弾材料、熱耐性材料または難燃性材料、最終産物に変化した機械的特性を与える層(例えば、ポリプロピレン層またはポリエステル層)、生分解性材料(例えば、ポリ酪酸由来のフィルム、繊維またはウェブ)、および/またはかさ高い材料(例えば、ポリアクリルニトリル)が挙げられる。
【0049】
さらに、例えば合成ポリマー材料の1つの層が、本発明に従って製造されるセルロースウェブの2つ以上の層の間に組み込まれている複合材料を製造することができる。例えば、強固であるが、生理学的に心地よさのないサンドイッチ構造、例えば2つのセルロースウェブ層の間に組み込まれている疎水性層が製造され得る。さらなる例は、セルロースメルトブローウェブの1つまたは2つの層を有するエアレイドパルプの層を含むサンドイッチ製品である。
【0050】
他の代替物は、例えば、おむつまたはスポーツ利用等のための複合材料を含み、ここで、製品の要求に応じて、親水性または疎水性の層のいずれかが皮膚と接触する。
【0051】
本発明の一の実施態様において、工程(g)、すなわち1つ以上の層をセルロースウェブに付着させる工程は、水流絡合法の前に行われる。
【0052】
特に、メルトブローリヨセルウェブを製造し、このウェブを、例えばポリマー繊維材料の層と接触させ、次に水流絡合プロセスによって複合材料を強化することが可能である。
【0053】
リヨセルメルトブローウェブのいくつかの層を結合させることもできる。
【0054】
様々な「サンドイッチ」構造を製造するために、NMMOにおけるセルロース溶液を押し出すためのいくつかの押し出し先端を配置して、それによってセルロースメルトブローウェブのいくつかの層を製造し、フィルム層、繊維層、またはウェブ層等のような付加的な層の供給源を、目的とする順番で様々な層が接触するように好適に配置し、最終的に異なる層の目的とする構成(composition)を有する「サンドイッチ」製品を得ることができる。
【0055】
付加的な層のそのような付加的な供給源は、合成ポリマー繊維材料のメルトブロー製品またはスパンレイド製品を製造するための押し出し先端としてもよい。
【0056】
例えば、ポリプロピレン不織ウェブの供給源は、不織ポリプロピレンウェブが未乾燥のリヨセルメルトブローウェブ上に供給されるように、リヨセルメルトブローウェブの供給源と組み合わせることができる。組み合わされたウェブは、その後、水流絡合される。
【0057】
このすべては、「オンライン」で、すなわち、リヨセルメルトブロー法の枠組みにおいて、そのようにして得られる複合材料を強化するのに好ましい選択肢を用いて、本発明に従う水流絡合プロセスを介した「オンライン」で達成することができる。
【0058】
不織ウェブがさらなる層として使用される場合、これらは先に結合してもよいし、まだ結合していなくてもよい。係るウェブがまだ結合していない場合、水流絡合プロセスによって結合されてもよい。
【0059】
さらに、不織廃棄物を、例えば付加的な層として、または、例えばWO 04/53216に提案されているように、織物中に織られた不織廃棄物の切れ(strip)を含む織物を採用することによって、メルトブローリヨセルウェブと組み合わせてもよい。
【0060】
セルロースウェブ中に組み込まれている、および/またはそれに付着している1つ以上の層の一部である二成分繊維の使用は、それぞれ、例えば、WO 03/56088から知られるような、横方向(CD)に対する機械方向(MD)の割合が一定の割合である製品を製造することを可能にする。
【0061】
水流絡合プロセスの後、結合されたウェブは、さらに、洗浄され、乾燥され、回収されて巻かれた織物(rolled goods)となりうる。
【0062】
さらなる側面において、本発明は、本発明の方法に従って得ることができるセルロース繊維を含む水流絡合メルトブローウェブに関する。本発明に従って得ることができる水流絡合ウェブは、特に強度に関して、既知のウェブを上回る。
【0063】
典型的には、本発明に従う水流絡合メルトブローウェブは、10g/m2から250g/m2、好ましくは30g/m2から150g/m2、より好ましくは50g/m2から120g/m2の重さを示しうる。
【0064】
しかしながら、本発明に従う好ましい実施態様の水流絡合ウェブは、10g/m2未満の面積重量を示すことを特徴とする。10g/m2未満の面積重量を有し、様々な適用に使用されるのに十分な強度を有する水流絡合リヨセルメルトブローウェブは、今まで開示されていない。
【0065】
本発明に従うウェブは、穿孔加工された状態、エンボス加工された状態、および/またはマーキングされた状態で存在してもよい。
【0066】
本発明の一の実施態様において、ウェブは本質的にセルロースからなる。
【0067】
その他の実施態様において、本発明に従うウェブは、セルロース繊維およびパルプ等のようなセルロース系材料;非セルロース系ポリマー、特に非セルロース系ポリマー繊維、二成分繊維;変性物質、抗菌製品、イオン交換製品、ナノ粒子、ローション、難燃製品、高吸収樹脂等のような吸収性改善添加剤、活性炭、グラファイト、電気伝導率のための炭素等のような炭素樹脂;X線コントラスト樹脂(X-ray contrast resin)、蛍光色素、染料、化学的安定性および機械的安定性の向上のための樹脂、仕上げ剤、架橋剤、グラフト剤、結合剤;およびそれらの混合物からなる群から選択されるさらなる材料を含む。
【0068】
本発明のさらなるもう一つの側面は、本発明に従うウェブを含む製品(article)に関するものであり、前記ウェブは、さらなる材料の層、特に繊維層、フィルム層、またはウェブ層の一面または両面に付着している。
【0069】
すでに上述したとおり、前記層は、本質的にセルロース繊維およびパルプ等のようなセルロース系材料;非セルロース系ポリマー、特に非セルロース系ポリマー繊維、二成分繊維;およびそれらの混合物からなる群から選択される材料からなってもよい。
【0070】
本発明に従うウェブおよび製品は、拭き取り織物、フィルター、吸収性の衛生製品、医療製品、ジオテキスタイル、衣料品、建築用製品、自動車用製品、備え付け家具、工業製品、レジャー用および旅行用製品、学校用およびオフィス用製品からなる群から選択される製品として;またはそのような製品の一部として使用してもよい。
【0071】
特に、本発明に従うウェブおよび/または製品は、ベビー用拭き取り織物、台所用拭き取り織物、ウェットティッシュ、化粧用拭き取り織物、衛生用拭き取り織物、清掃用拭き取り織物、ガラス拭き取り織物、レンズクリーニング用拭き取り織物、研磨用織物(例えば車用および家具用)、粉塵拭き取り織物、工業用拭き取り織物、密接拭き取り織物(intimate wipes)、トイレ拭き取り織物、床拭き取り織物、グラス拭き取り織物(glas wipes)、医療用拭き取り織物(洗浄用拭き取り織物および手術前の拭き取り織物等)、雑巾およびモップ等のような拭き取り織物;エアフィルターフィルター(例えば、HVACフィルタ、HEPAフィルタおよびULPAフィルタ)、排煙ガスフィルター、液体フィルター、コーヒーフィルター、ティーバッグ、コーヒーバッグ、食品フィルター、浄水フィルター、血液フィルター、タバコのフィルター、キャビンフィルター、燃料フィルター、オイルフィルター、カートリッジフィルター、真空フィルター、電気掃除機用バッグ、ダストフィルター、油圧フィルター、キッチンフィルター、送風機フィルター、ビール用フィルター、ミルク用フィルター、冷却液フィルター、果汁フィルター、フェイスマスクおよび活性炭フィルター等のようなフィルター;捕捉層(acquisition layer)、カバーストック(cover stock)、分配層、吸収カバー、生理用ナプキン、パンティーライナー、おむつ、失禁用製品、タオル、タンポン、衛生パッド、バックシート、レッグカフス(leg cuffs)、トイレの水で流すことができる製品、パッド、授乳パッド、使い捨ての下着、トイレトレーニングおむつ、化粧用除去パッドおよび洗面用タオル等のような使い捨て吸収性製品;使い捨てのキャップ、ガウン、マスクおよび靴カバー、創部のケア、無菌包装、カバーストック、包帯材料、使い捨ての衣類(one way clothing)、透析製品、ネーザルストリップ(nasal strip)、義歯床用の接着剤、ドレープ、覆い(wrapes)および包み、スポンジ包袋および拭き取り織物、シーツと枕カバー、経皮的な薬物送達、覆い(shroud)、アンダーパッド(underpad)、処置パック(procedure pack)、ヒートパック、オストミーバッグライナー(ostomy bag liners)、固定テープおよび保育器のマットレス等のような医療製品;ジオテキスタイル製品、毛細管マット材料、浄水製品、灌漑用調節製品、アスファルトの上敷き、土壌安定化製品、排水製品(例えば、排水路の裏打ち)、堆積および腐食調節製品、池の裏打ち、含浸ベース製品(impregnation base product)、地盤安定化製品、穴の裏打ち(pit lining)、シードブランケット、雑草抑制シート、温室の覆い、ルートバッグ(root bag)および生分解性の植木鉢等のような構造的な製品および/または補強製品;屋根葺き用およびタイルの下敷き、下敷き用スレート、断熱材および防音材、ハウスラップ(house wrap)、石膏ボード用の上塗り、パイプ覆い(pipe wrap)、コンクリート成型層、土台および地盤の安定化製品、縦型の排水管(vertical drainage)、屋根板、屋根葺きフェルト、騒音軽減材、補強材料、密閉材料、機械的制振材、耐火材料、ビチューメンコ−ティング用の支持材、補強コンクリートおよび補強ポリマー等のような建築用製品;キャビンフィルター、トランクの裏打ち、小荷物棚、熱シールド、シェルフトリム(shelf trim)、成型ボンネットの裏打ち、トランク床の裏打ち、オイルフィルター、天井、後部の小荷物棚、装飾布、エアバッグ、消音パッド、絶縁材、車のカバー、アンダーパッド(under padding)、カーマット、テープ、裏打ちおよび房のある(tufted)カーペット、シートカバー、ドアトリム(door trim)、ニードルカーペット、自動車のカーペット裏地、および補強ポリマー等のような自動車用製品;家具の構造、アームおよび背もたれの断熱材、クッション肥厚材、ダストカバー、裏張り、縫い目の補強剤、エッジトリム(edge trim)材料、寝具類の構造、キルト裏地(auilt backing)、バネの覆い、マットレスパッド構成材、マットレスカバー、窓のカーテン、壁の覆い、カーペットの裏打ち、ランプシェード、マットレス構成材、バネ断熱材(insulator)、シーリング(sealing)、枕肥厚材、マットレス肥厚材、および使い捨ての羽毛布団のような充填適用のための高ロフトのウェブ等のような家具製品;電子製品、フロッピー(登録商標)ディスクの裏打ち、ケーブル絶縁体、研磨剤、絶縁テープ、コンベヤーベルト、騒音吸収層、空調製品、電池セパレーター、酸性系(acid system)、滑り止めマット、染み抜き、食品ラップ、接着テープ、ソーセージのケーシング(casing)、チーズのケーシング、人工皮革、油回収ブーム(boom)およびソックス(socks)、紙製のフェルト、やかんスケーラ−バッグ(kettle descaler bag)、および防炎バリア(flame barrier)等のような工業製品;寝袋、テント、旅行かばん、ハンドバッグ、買い物袋、飛行機用のヘッドレスト、CD保護製品、枕カバー、サンドイッチの包装材およびサーフボード等のような旅行またはレジャー製品;ならびにブックカバー、封筒、地図、掲示板(sign)およびペナント、タオル、旗および紙幣(bank note)等のような学校用またはオフィス用製品からなる群から選択される製品において、またはそのような製品の一部として使用されてもよい。
【0072】
本発明の好ましい実施態様は、以下の実施例に基づいてより詳細に論じられる。
【発明を実施するための形態】
【0073】
実施例
PCT/AT2007/000192に開示されている方法、特にフィラメント形成の前に部分的に凝固させること(前記工程(b))を含む、を用いて、様々な重量の未乾燥メルトブローリヨセルウェブを調製した。これらのウェブは、様々な方法の条件の下で、水流絡合された。生じたウェブの強度試験により、非水流絡合製品(参照強度=100%)に比べて、以下の平均結果を得た:
【0074】
実施例1−50g/m2セルロースウェブ、20m/分処理速度
【表1】

【0075】
本発明に従う方法の製品(それぞれ試験1、2、および3)が、従来技術の製品よりも顕著によい強度を示すことが、はっきりと理解できる。
【0076】
実施例2−5g/m2マイクロファイバーセルロースウェブ、20m/分処理速度
【表2】

【0077】
(本発明に従う)試験4に従って製造されたウェブは、様々な適用に使用するために十分な強度を有した。それとは対照的に、PCT/AT2007/000192に開示されているように水流絡合法を用いると、十分な強度を有する製品を製造することができなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロース繊維を含む水流絡合製品を製造する方法であって、リヨセルメルトブローウェブを、水の細かい高圧ジェットを用いた処理に供し、
・少なくとも3つの処理工程において、ウェブを前記細かい高圧ジェットに供すること
・前記処理工程のそれぞれにおいて、前記高圧ジェットの圧力が75バール以下であること
を特徴とする、該方法。
【請求項2】
ウェブを少なくとも4つの処理工程に供することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記処理工程のそれぞれにおいて、前記高圧ジェットの圧力が55バール以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ウェブの各面を少なくとも1つの処理工程に供することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ウェブが
(a)水溶性の第3級アミンオキシドに溶解されたセルロースを含む溶液を、紡糸口金を介して空隙に押出することによって、フィラメントを形成する工程
(b)空隙中の前記フィラメントを、少なくとも部分的にフィラメントを凝固させる媒体と接触させる工程
(c)空隙中の前記フィラメントをガス流によって延伸する工程
(d)ウェブを形成するために前記フィラメントを回収し、沈殿させる工程
を含む方法により製造されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記媒体が、蒸気のミスト、好ましくは水性のミストであることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ウェブが未乾燥のウェブであることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法により得られる、水流絡合されたリヨセルメルトブローウェブ。
【請求項9】
10g/m2未満の面積重量を示すことを特徴とする、請求項8に記載のウェブ。

【公表番号】特表2011−503368(P2011−503368A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531374(P2010−531374)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際出願番号】PCT/AT2008/000394
【国際公開番号】WO2009/059342
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(500077889)レンツィング アクチェンゲゼルシャフト (20)
【Fターム(参考)】