説明

セルロース繊維用染料組成物、及びセルロース繊維を含む染色物を製造する方法

【課題】十分に高い汗耐光堅牢度を有する、セルロース繊維を含む染色物を得ること。
【解決手段】ポリアミド繊維用反応染料を含有する、セルロース繊維用染料組成物。染料組成物は、例えば、当該ポリアミド繊維用反応染料としてC.I.Reactive Yellow 213、C.I.Reactive Yellow 211、C.I.Reactive Blue 272、C.I.Reactive Red 274、C.I.Reactive Orange 139、及びC.I.Reactive Blue 273からなる群より選択される少なくとも1種の染料を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロース繊維用染料組成物、及びセルロース繊維を含む染色物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
反応染料は、一般に耐光性及び湿潤堅牢度の点で優れており、セルロース繊維等の天然又は再生繊維を染色するためにも用いられている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、従来の標準的な染料は一般に繊維の種類毎に適正化され、繊維の種類に応じて専用の染料が使い分けられている。例えば、セルロース繊維用染料としては、C.I.Reactive Yellow 145、C.I.Reactive Yellow 176、C.I.Reactive Blue 2、C.I.Reactive Blue 144及びC.I.Reactive Blue 261が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3754712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のセルロース繊維用染料によれば、汗及び光による複合的な劣化要因に対する堅牢度、すなわち汗耐光堅牢度の点で更なる改善が望まれていた。特に、屋外で着用されるスポーツウェア等の用途において、例えば、三原色を構成する赤系色の染料の汗耐光堅牢度の不足が問題視される状況となっていた。
【0006】
そこで、本発明は、十分に高い汗耐光堅牢度を有する、セルロース繊維を含む染色物を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、鋭意検討の結果、本来、ナイロン繊維などのポリアミド繊維の染色を主目的に開発されたポリアミド繊維用染料をセルロース繊維用染料として転用することにより、十分な汗耐光堅牢度を有する染色物が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、ポリアミド繊維用反応染料を含有する、セルロース繊維用染料組成物に関する。また、別の側面において、本発明は、セルロース繊維を含む基材の該セルロース繊維を、ポリアミド繊維用反応染料を含有するセルロース繊維用染料組成物により染色する工程を備える、セルロース繊維を含む染色物を製造する方法に関する。
【0009】
上記ポリアミド繊維用反応染料は、好ましくは、C.I.Reactive Yellow 213、C.I.Reactive Yellow 211、C.I.Reactive Blue 272、C.I.Reactive Red 274、C.I.Reactive Orange 139(CAS番号488791−14−6)、及びC.I.Reactive Blue 273(CAS番号500717−36−2)からなる群より選択される少なくとも1種の染料である。
【0010】
上記セルロース繊維用染料組成物は、C.I.Reactive Yellow 145、C.I.Reactive Yellow 176、C.I.Reactive Red 271、C.I.Reactive Blue 2、C.I.Reactive Blue 144、及びC.I.Reactive Blue 261からなる群より選ばれる少なくとも1種の反応染料を更に含有することが好ましい。
【0011】
セルロース繊維は、例えば、綿、麻、レーヨン、キュプラ、及びテンセルからなる群より選択される少なくとも1種の繊維である。本発明に係るセルロース繊維による汗耐光堅牢度向上の効果は、これら繊維の染色において特に重要である。
【0012】
染色物を製造する方法においては、セルロース繊維を、40〜90℃のセルロース繊維用染色組成物により染色することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、十分に高い汗耐光堅牢度を有する、セルロース繊維含有染色物を得ることができる。また、本発明によれば、特に淡色に染めたときであっても高い汗耐光堅牢度及び良好な染色再現性が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0015】
本実施形態に係る染料組成物は、セルロース繊維を染色するために使用されるものであり、有効成分としてポリアミド繊維用反応染料を含有する。ポリアミド繊維用反応染料は、反応染料のうち特にポリアミド繊維への染色を主目的として開発された反応染料(例えば、ナイロン繊維用反応染料)である。
【0016】
ポリアミド繊維用反応染料は、種々のカラーインデックス(C.I.)番号で表わされる、イエロー成分、マゼンダ成分、またはシアン成分としての反応染料を含む。イエロー、マゼンダ及びシアン成分の各反応染料は、単独で、又は複数を組み合わせて使用される。複数の成分を組み合わせる場合の各成分の構成比は特に限定されず、目的の色相、用途等に応じて当業者により任意に設定され得る。
【0017】
イエロー成分としてのポリアミド繊維用反応染料は、例えば、(1)C.I.Reactive Yellow 213、及び(2)C.I.Reactive Yellow 211から選ばれる。マゼンダ成分としてのポリアミド繊維用反応染料は、例えば、(4)C.I.Reactive Red 274、及び(5)C.I.Reactive Orange 139から選ばれる。シアン成分としてのポリアミド繊維用反応染料は、例えば、(3)C.I.Reactive Blue 272、及び(6)C.I.Reactive Blue 273から選ばれる。これらの反応染料は、1種単独で、又は複数種組み合わせて用いられる。
【0018】
あるいは、このようなポリアミド繊維用反応染料は、例えば、「Eriofast Yellow 5G」、「Eriofast Yellow R」、「Eriofast Red 2B」、「Eriofast Blue 3R」、「Eriofast Orange 4R」、「Eriofast Blue 3G」、「Telon Yellow RN」、「Telon Red RNC」、「Telon Rubine RN」、又は「Telon Royal RN」の商品名で、ハンツマン社またはダイスター社より市販されている。
【0019】
染色組成物は、ポリアミド繊維用反応染料に加えて、セルロース繊維用反応染料を第二染料として含有してもよい。セルロース繊維用反応染料を併用することにより、セルロース繊維への染色における鮮明性、生産性及び堅牢性を更に向上させることができる。第二染料成分はイエロー、マゼンダ、シアン又はその他の色相を呈する任意のセルロース繊維用反応染料である。
【0020】
第二染料成分として用いられるセルロース繊維用反応染料は、例えば、C.I.Reactive Yellow 145、C.I.Reactive Yellow 176、C.I.Reactive Red 271、C.I.Reactive Blue 2、C.I.Reactive Bule 114、C.I.Reactive Blue 261、及びこれらの組合せから選ばれる。
【0021】
これらセルロース繊維用反応染料は、例えば、「Sumifix Supra Yellow 3RF」、「Remazol Yellow 3RS」、「Novacron Red FN−2BL」、「Kayacion Blue A−B」、「Levafix Brilliant Blue E−BRA」、又は「Novacron Blue 4R」の商品名で、ハンツマン社、ダイスター社、住友化学(株)、又は日本化薬(株)より市販されている。
【0022】
染料組成物における第二染料の含有割合は、特に限定されないが、例えば、ポリアミド繊維用反応染料100質量部に対して、好ましくは1質量部〜99質量部、より好ましくは20質量部〜80質量部である。
【0023】
染料組成物における各染料の濃度は、染色方法、目的等に応じて、当業者によって適宜設定され得る。染料組成物は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、その他の染料成分、各種助剤などの他の成分を含有していてもよい。他の成分の例としては、上記反応染料を溶解する水、無水芒硝、ソーダ灰、尿素、酢酸、硫酸アンモニウム、及びアルギン酸ソーダ及び還元防止剤等が挙げられる。これらの他の成分の含有量は特に限定されず、目的に応じて、適宜設定され得る。
【0024】
ポリアミド繊維用反応染料をそのまま染料組成物として用いてもよい。あるいは、ポリアミド繊維用反応染料と、必要に応じて含有する第二染料成分及び/又はその他成分とを、当業者に周知の手段を用いて混合して、染料組成物を調製することもできる。
【0025】
本実施形態に係る染料組成物を用いて染色に供されるセルロース繊維は、例えば、綿、麻、レーヨン、キュプラ、テンセル、又はそれらの混紡繊維である。特に綿は、汗耐光堅牢度の点で要求レベルが高い用途に用いられる場合が多く、本実施形態の染料組成物を適用することの技術的意義が大きい。
【0026】
次に、染色物の製造方法について説明する。
【0027】
本実施形態に係る製造方法は、セルロース繊維を含む基材の該セルロース繊維を、上述の実施形態に係る染料組成物により染色する工程を備える。
【0028】
染色に供される基材は、少なくともセルロース繊維を含み、セルロース繊維と混紡された他の天然及び/又は合成繊維を含んでいてもよい。セルロース繊維は、例えば、綿、麻、レーヨン、キュプラ、テンセル及びこれらの組み合わせから選ばれる。
【0029】
他の天然繊維の例としては、シルク、ウール及びカシミヤなどが挙げられる。他の合成繊維の例としては、ポリエチレンテレフタレート(2GT)、ポリプロピレンテレフタレート(3GT)、ポリブチレンテレフタレート(4GT)、アセテート、ナイロン、カチオンダイアブルポリエステル(CDP)、ポリ乳酸及びビニロンの繊維が挙げられる。基材における他の天然及び/又は合成繊維の割合は特に限定されず、当業者によって適宜決定され得る。
【0030】
本明細書中に用いられる用語「基材」は、繊維から構成される任意の繊維製品を包括するものである。基材としての繊維製品は、フィラメント及び糸、並びにそれらから形成された布帛を含むアパレル製品全体を包含する。フィラメント及び糸の例には、モノフィラメント、マルチフィラメント、ステープルファイバー、トウ、ハイバルクスフ、ハイバルクトウ、紡績糸、混紡糸、加工糸、仮撚糸、異形断面糸、中空糸、コンジュゲート糸、部分配向糸(POY)、延伸加工糸(DTY)、POY−DTY、及びスライバーが含まれる。布帛の例としては、織布、編物、不織布、紐及び/又は縄を含む組物、綿状ハイバルクスフ、スライバー、並びに多孔質スポンジが含まれる。
【0031】
基材の大きさ、厚み、寸法などは特に限定されない。基材には、目的に応じて当該分野で一般に利用される各種添加剤が付与または含有されていてもよい。添加剤としては、可塑剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、充填剤、付着防止剤、帯電防止剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、滑り防止剤及び顔料などが挙げられる。
【0032】
染料組成物による基材の染色には、当該技術分野において通常使用される染色手法が採用され得る。例えば、浸染(吸尽染色法)、連染(パディング染色法)、及び捺染法等の当該技術分野において通常用いられている方法を適宜適用することができる。浸染としては、例えば、ウインス、ジッガー、又はチーズ染色による方法がある。連染としては、コールドパッドバッチ法、又はパッドスチーム法による方法がある。捺染法としては、スクリーン印刷、ローラー印刷、インクジェット法、又は電子写真法による方法がある。
【0033】
染料組成物の基材への付与量は、必ずしも限定されない。浸染の場合、基材に対し、好ましくは0.001%owf〜10%owf、より好ましくは0.1%owf〜6%owfの割合で染料組成物が用いられる。連染の場合、パディング液濃度として、好ましくは0.01g/リットル〜100g/リットル、より好ましくは1g/リットル〜60g/リットルの染料組成物が用いられる。捺染の場合、捺染糊の濃度として、好ましくは0.01g/kg〜100g/kg、より好ましくは1g/kg〜60g/kgの染料組成物が用いられる。
【0034】
染色にあたっては、好ましくは、染色助剤として例えば芒硝(硫酸ナトリウム)及びソーダ灰(炭酸ナトリウム)が染料組成物に加えられる。炭酸ナトリウムの濃度は、染料組成物中、好ましくは5g/リットル〜100g/リットル、より好ましくは10g/リットル〜80g/リットルである。炭酸ナトリウムの濃度は、染料組成物中、好ましくは1g/リットル〜30g/リットル、より好ましくは5g/リットル〜25g/リットルである。
【0035】
染色温度は、特に限定されないが、通常のポリアミド繊維の染色の場合よりも低い温度に設定することができる。染色温度(染料組成物の温度)は、好ましくは40〜90℃であり、より好ましくは60〜80℃である。ポリアミド繊維の染色の温度よりも低温で基材を染色することにより、基材中のセルロース繊維が高温下で変質することを回避できる。
【0036】
基材の染色の後、必要に応じて、当業者に周知の手段を用いてヒートセット、洗浄、ソーピング及び乾燥等の処理を基材に対して施して、染色物を得ることができる。
【0037】
本実施形態に係る製造方法により得られた染色物は、鮮明性、堅牢性に富み、かつ優れた汗耐光性堅牢性を有する。この染色物は、例えば、野外環境下に晒されるゴルフウエアなどの高級スポールウエアの材料として有用である。
【実施例】
【0038】
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0039】
染料組成物の調製に用いたナイロン繊維用反応染料又はセルロース繊維用反応染料は以下の通りである。
(ナイロン繊維用反応染料)
・C.I.Reactive Red 274
・C.I.Reactive Yellow 213
・C.I.Reactive Yellow 211
・C.I.Reactive Blue 273
・C.I.Reactive Blue 272
・Telon Yellow RN(ダイスター社)
・Telon Royal RN(ダイスター社)
・Telon Red RNC(ダイスター社)
・Telon Rubine RN(ダイスター社)
(セルロース繊維用反応染料)
・Sumifix Supra Yellow 3RF gran(住友化学)
・Remazol Yellow 3RS gran(ダイスター社)
・Novacron Blue 4R(ハンツマン社)
・Kayacion Blue A−B(日本化薬)
・Levafix Brilliant Blue E−BRA(ダイスター社)
・Novacron Blue FN−R(ハンツマン社)
・Sumifix Supra Red 3BF gran(住友化学)
・Sumifix Supra Blue BRF gran(住友化学)
・Sumifix HF Yellow 3R(住友化学)
・Sumifix HF Red 3G(住友化学)
・Sumifix HF Blue 2R(住友化学)
・Novacron Yellow P−6GS(ハンツマン社)
・Novacron Red P−BN(ハンツマン社)
・Novacron Blue P−3R(ハンツマン社)
【0040】
実施例1
C.I.Reactive Red 274を0.2%owf.、無水芒硝50g/L、及びソーダ灰20g/Lを含む水溶液100mLを染料組成物として調製した。この染料組成物に、シルケット加工をしていない綿ニット5g(浴比1:20)を投入し、30℃で20分の処理の後、1℃/分の昇温速度で染料組成物を80℃まで昇温し、その温度で60分間染色を行った。染色後、排液し、水洗後、熱湯中で10分間のボイルによりソーピングを行って、赤色の染色物を得た。同様の方法により、綿ニットに代えてレーヨンスフ、又は麻を染色して、赤色の染色物を得た。
【0041】
実施例2
Telon Yellow RNを0.2%owf.、無水芒硝50g/L、及びソーダ灰20g/Lを含む水溶液100mLを染料組成物として調製した。この染料組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、綿ニットのレモンイエロー色の染色物を得た。
【0042】
実施例3
C.I.Reactive Yellow 213を0.4%owf.、無水芒硝50g/L、及びソーダ灰20g/Lを含む水溶液100mLを染料組成物として調製した。この染料組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、綿ニットのレモンイエロー色の染色物を得た。
【0043】
実施例4
C.I.Reactive Yellow 211を0.2%owf.、無水芒硝50g/L、及びソーダ灰20g/Lを含む水溶液100mLを染料組成物として調製した。この染料組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、綿ニットの黄色の染色物を得た。
【0044】
実施例5
Telon Royal RNを0.2%owf.、無水芒硝50g/L、及びソーダ灰20g/Lを含む水溶液100mLを染料組成物として調製した。この染料組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、綿ニットの黄色の染色物を得た。
【0045】
実施例6
Telon Red RNCを0.2%owf.、C.I.Reactive Orange 139を0.2%owf.、無水芒硝50g/L、及びソーダ灰20g/Lを含む水溶液100mLを染料組成物として調製した。この染料組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、綿ニットのスカーレット色の染色物を得た。
【0046】
実施例7
C.I.Reactive Yellow 211を0.18%owf.、C.I.Reactive Red 274を0.14%owf.、C.I.Reactive Blue 272を0.64%owf.、無水芒硝50g/L、及びソーダ灰20g/Lを含む水溶液100mLを染料組成物として調製した。この染料組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、綿ニットのグレー色の染色物を得た。同様の方法により、綿ニットに代えてレーヨンスフ、又は麻を染色して、グレー色の染色物を得た。
【0047】
実施例8
Telon Yellow RNを0.2%owf.、Telon Rubine RNを0.1%owf.、C.I.Reactive Orange 139を0.1%owf.、C.I.Reactive Blue 273を2.5%owf.、無水芒硝50g/L、及びソーダ灰20g/Lを含む水溶液100mLを染料組成物として調製した。この染料組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、綿ニットのグレー色の染色物を得た。同様の方法により、綿ニットに代えてレーヨンスフ、又は麻を染色して、グレー色の染色物を得た。
【0048】
実施例9
C.I.Reactive Yellow 211を1.25g/kg、C.I.Reactive Red 274を1.25g/kg、C.I.Reactive Blue 273を2.5g/kg、尿素50g/kg、重曹20g/kg、アルギン酸5質量%及びメタニトロベンゼンスルホン酸2質量%を含む元糊を調製した。各成分の濃度は元糊の質量に対する比率である。この元糊50質量部に水を加えて、100質量部の色糊を染料組成物として得た。この色糊をシルケット加工綿ブロードに印捺し、100℃で3分間乾燥した後、HTスチーム(103℃)により7分間処理した。その後、水洗及びソーピングを行い、グレーの捺染物(染色物)を得た。
【0049】
実施例10
Sumifix Supra Yellow 3RF gran(150%)を0.2%owf.、C.I.Reactive Red 274を0.14%owf.、C.I.Reactive Blue 273を0.53%owf.、無水芒硝50g/L、及びソーダ灰20g/Lを含む水溶液100mLを染料組成物として調製した。この染料組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、綿ニットのグレー色の染色物を得た。同様の方法により、綿ニットに代えてレーヨンスフ、又は麻を染色して、グレー色の染色物を得た。
【0050】
実施例11
Remazol Yellow 3RS gran(133%)を0.23%owf.、Novacron Blue 4Rを0.4%owf.、C.I.Reactive Red 274を0.21%owf.、C.I.Reactive Blue 273を0.3%owf.、無水芒硝50g/L、及びソーダ灰20g/Lを含む水溶液100mLを染料組成物として調製した。この染料組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、綿ニットのグレー色の染色物を得た。
【0051】
実施例12
Sumifix Supra Yellow 3RF gran(150%)を0.2%owf.、Novacron Blue 4Rを0.64%owf.、C.I.Reactive Red 274を0.2%owf.、無水芒硝50g/L、及びソーダ灰20g/Lを含む水溶液100mLを染料組成物として調製した。この染料組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、綿ニットのブラウン色の染色物を得た。
【0052】
実施例13
Remazol Yellow 3RS gran(133%)を0.46%owf.、Kayacion Blue A−Bを0.25%owf.、C.I.Reactive Red 274を0.46%owf.、C.I.Reactive Blue 273を0.25%owf.、無水芒硝50g/L、及びソーダ灰20g/Lを含む水溶液100mLを染料組成物として調製した。この染料組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、綿ニットのブラウン色の染色物を得た。
【0053】
実施例14
Remazol Yellow 3RS gran(133%)を0.46%owf.、Levafix Brilliant Blue E−BRAを0.25%owf.、C.I.Reactive Red 274を0.46%owf.、C.I.Reactive Blue 272を0.3%owf.、無水芒硝50g/L、及びソーダ灰20g/Lを含む水溶液100mLを染料組成物として調製した。この染料組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、綿ニットのブラウン色の染色物を得た。
【0054】
比較例1
Sumifix Supra Red 3BF gran(150%)を0.2%owf.、無水芒硝50g/L、及びソーダ灰20g/Lを含む水溶液100mLを染料組成物として調製した。この染料組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、綿ニットの赤色の染色物を得た。同様の方法により、綿ニットに代えてレーヨンスフ、又は麻を染色して、赤色の染色物を得た。
【0055】
比較例2
Novacron Blue FN−Rを0.2%owf.、無水芒硝50g/L、及びソーダ灰20g/Lを含む水溶液100mLを染料組成物として調製した。この染料組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、綿ニットの青色の染色物を得た。
【0056】
比較例3
Sumifix Supra Yellow 3RF gran(150%)を0.14%owf.、Sumifix Supra Red 3BF gran(150%)を0.1%owf.、Sumifix Supra Blue BRF gran(150%)を0.26%owf.、無水芒硝50g/L、及びソーダ灰20g/Lを含む水溶液100mLを染料組成物として調製した。この染料組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、綿ニットのグレー色の染色物を得た。同様の方法により、綿ニットに代えてレーヨンスフ、又は麻を染色して、グレー色の染色物を得た。
【0057】
比較例4
Sumifix HF Yellow 3Rを0.08%owf.、Sumifix HF Red 3Gを0.1%owf.、Sumifix HF Blue 2Rを0.07%owf.、無水芒硝50g/L、及びソーダ灰20g/Lを含む水溶液100mLを染料組成物として調製した。この染料組成物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、綿ニットのグレー色の染色物を得た。
【0058】
比較例5
Novacron Yellow P−6GSを1.25g/kg、Novacron Red P−BNを1.25g/kg、Novacron Blue P−3Rを2.5g/kg、尿素50g/kg、重曹20g/kg、アルギン酸5質量%及びメタニトロベンゼンスルホン酸2質量%を含む元糊を調製した。各成分の濃度は元糊の質量に対する比率である。この元糊50質量部に水を加えて、100質量部の色糊を染料組成物として得た。この色糊をシルケット加工綿ブロードに印捺し、100℃で3分間乾燥した後、HTスチーム(103℃)により7分間処理した。その後、水洗及びソーピングを行い、グレーの捺染物(染色物)を得た。
【0059】
汗耐光堅牢度
実施例及び比較例で得られた染色物について、繊維製品技術研究会(ATTS)により開発された評価方法である4級照射を実施し、ブルースケールで評価した。評価結果を表1及び表2に示す。
【0060】
【表1】

【0061】
【表2】

【0062】
【表3】

【0063】
表1、2に示されるように、ポリアミド繊維用反応染料を含む染色組成物によって染色された染色物は、十分な汗耐光堅牢度を有していることが確認された。一方、表3に示されるように、従来のセルロース繊維用染料のみを用いた比較例の染色組成物によって染色物は、汗耐光堅牢度が十分なものではなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド繊維用反応染料を含有する、セルロース繊維用染料組成物。
【請求項2】
前記ポリアミド繊維用反応染料が、C.I.Reactive Yellow 213、C.I.Reactive Yellow 211、C.I.Reactive Blue 272、C.I.Reactive Red 274、C.I.Reactive Orange 139、及びC.I.Reactive Blue 273からなる群より選択される少なくとも1種の染料である、請求項1に記載のセルロース繊維用染料組成物。
【請求項3】
C.I.Reactive Yellow 145、C.I.Reactive Yellow 176、C.I.Reactive Red 271、C.I.Reactive Blue 2、C.I.Reactive Blue 144、及びC.I.Reactive Blue 261からなる群より選ばれる少なくとも1種の反応染料を更に含有する、請求項1又は2に記載のセルロース繊維用染料組成物。
【請求項4】
前記セルロース繊維が、綿、麻、レーヨン、キュプラ、及びテンセルからなる群より選択される少なくとも1種の繊維である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のセルロース繊維用染料組成物。
【請求項5】
セルロース繊維を含む基材の該セルロース繊維を、ポリアミド繊維用反応染料を含有するセルロース繊維用染料組成物により染色する工程を備える、
セルロース繊維を含む染色物を製造する方法。
【請求項6】
前記ポリアミド繊維用反応染料が、C.I.Reactive Yellow 213、C.I.Reactive Yellow 211、C.I.Reactive Blue 272、C.I.Reactive Red 274、C.I.Reactive Orange 139、及びC.I.Reactive Blue 273からなる群より選択される少なくとも1種の染料である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記セルロース繊維用染色組成物が、C.I.Reactive Yellow 145、C.I.Reactive Yellow 176、C.I.Reactive Red 271、C.I.Reactive Blue 2、C.I.Reactive Blue 144、及びC.I.Reactive Blue 261からなる群より選ばれる少なくとも1種の反応染料を更に含有する、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記セルロース繊維を、40〜90℃の前記セルロース繊維用染色組成物により染色する、請求項5〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記セルロース繊維が、綿、麻、レーヨン、キュプラ、及びテンセルからなる群から選択される少なくとも1種の繊維である、請求項5〜8のいずれか一項に記載の方法。

【公開番号】特開2012−207107(P2012−207107A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73196(P2011−73196)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(501072016)オー・ジー長瀬カラーケミカル株式会社 (7)
【Fターム(参考)】