説明

セル状フィルムを直接製造する方法

本発明の目的は、a)少なくとも1つのフィルム形成剤を含有するフィルム形成混合物を調製するステップと、b)本装入ステップ中の前記フィルム形成混合物の温度において1〜8000mPa・sの粘度範囲を有する一定用量の前記混合物をセル基材(2)のセル(4)内に装入するステップと、c)前記混合物をフィルム(6)を得るように硬化するステップと、d)前記セル(4)を気密シール手段(3)によって閉鎖するステップとを含んでなる、フィルム(6)を製造する方法である。本発明はまた、本方法に特に適した装置(1)、および本方法の具現が意図される装置にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に食品または製薬産業に応用できるフィルムを得る方法に関する。本発明はまた、特に前記方法の具現が意図されるキャビティ支持材にも関する。
【0002】
本発明に従った方法は、特に活性成分を含有するフィルムまたは芳香性フィルムを調製するのに適する。これらのフィルムはパッチの場合のように支持材つきで想定されてもよく、または例えばフレーバーシートの場合のように支持材なしで想定されてもよい。フレーバーシートは、所望の用途に応じて、経口フィルムの場合は舌の上にのせてもよく、例えばミントのようなフレーバーを拡散しながら瞬時に溶解する極薄シートである。フィルムはまた、例えば活性成分の放出制御または粘膜接着など、特にフィルムの瞬時の溶解が必要でない製薬用途にも適するかもしれない。
【背景技術】
【0003】
ビデオのための磁気ストリップに由来する技術から経口フィルムを得る方法は、特に製薬または食品産業の当業者に知られている。
【0004】
先行技術の方法は一般に、
− フィルム形成混合物からフィルムのリールを得られるようにする第1のステップと、
− リールを所望の寸法に切断する第2のステップと、
− 得られたフィルムを包装する第3のステップと
を含んでなる。
【0005】
第1のステップは、前記混合物を広幅のストリップとして、支持材の役割を果たす可塑性フィルムの表面に延展するステップからなる。混合物の薄層を気流で乾燥させるステップがそれに続く。乾燥させるステップは、これが食品または製薬用途を意図するフィルムの文脈であるかどうかに関わらず、フィルムストリップ上にパルス状に吹き付けられる空気のモニタリングと処理が必要である。パルス状に吹き付けられる空気は、場合によっては、環境中へ放出する前に処理が必要であるかもしれない。これは特に人体または環境に毒性がある製品を使用する場合に当てはまる。実際、空気は、混合物からの揮発性添加剤に起因する毒性物質、または混合物の乾燥スプレーにより、または気相を通過する得られたフィルムストリップにより放出された微粒子を多量に含むかもしれない。
【0006】
この第1のステップの終わりに、フィルムのリールを得るようにフィルムストリップとその支持材を巻き上げる。それほど頻繁ではないがフィルムの塑性特性次第で、フィルムストリップを支持材なしに得てリールに巻いてもよい。しかし支持材の不在は、ストリップ破断の危険性を高める。
【0007】
第2のステップでは、所望の形状とサイズに切断するために、フィルムリールを巻き戻してフィルムストリップをその支持材から分離する。実施される切断次第ではストリップの全幅が必ずしも使用されないため、このステップは多くの損失の元である。したがって廃棄する前に、使用する化合物または活性成分の毒性レベルに応じて、全ての裁ちくずを再加工しなくてはならない。このステップでは、フィルムストリップを所望の最終幅を有するいくつかの小型フィルムストリップに切断し、所望の長さに切断する前にこれらの小型フィルムストリップをグループにまとめることが一般的である。したがって切断操作の終わりに、フィルムはグループにまとめられて積み重ねられる。
【0008】
次に包装を待つ間、得られたフィルムを保存する。
【0009】
包装は所定数のフィルムを分離することからなるので、この方法の重要なステップである。本ステップは、厚さ数μmのフィルムを断裂または崩壊させることなく分離することからなるので、注意を要する。
【0010】
食品部門では多回用量包装が非常に良く普及しているが、製薬部門では、一般に包装が薬学的活性用量を画定する。したがって摂取用量次第で、危険または有益のどちらかであることが判明する製品の問題であるために、この包装あたりのフィルム数の画定は必須である。包装は、一般に単一フィルムのために提供される。
【0011】
したがってフィルムあたりの投薬量の概念が、大きな重要性を帯びてくる。しかしこの先行技術の方法によって得られるフィルム中に含有される活性成分の用量は、(i)製造の始めに実施される混合、(ii)延展ステップにおけるフィルムストリップ厚の調節、(iii)小型フィルムストリップの、次に切断フィルムの面積、および(iv)個別化され包装されたフィルムの完全性にもまた左右される。したがって包装あたりの所定用量を保証するには、製造ラインの各ステップにおいて多数のチェック・ポイントが必要である。
【0012】
先行技術の方法のステップは、一般に互いに独立した機械によって実施されるので、一方では1つの機械から次の機械へのフィルムリールの、次に小型フィルムストリップの輸送が必要であるばかりでなく、何よりもリールが加工の各ステップ間で保存されることから、周囲条件の調節が必要である。特に経口フィルムなどの水溶性フィルムは、環境湿度に対して非常に敏感である。したがってそれらの製造中における環境湿度のあらゆる変動は、フィルムストリップ相互の凝塊形成と、全ての製品の喪失をもたらすかもしれない。同様に水は可塑化作用を有するので、乾燥条件下ではフィルムは砕けやすくなるかもしれない。したがってフィルムの可塑性の低下は、製造ラインの停止につながるかもしれないフィルム破断の危険性により、あらゆる取り扱いをなおさらに難しいものにする。
【0013】
さらに多数の取り扱い操作は、それがリールの巻き取りまたは巻戻しなのか、または支持材からのフィルムストリップの分離なのか、ストリップの小型ストリップへの切断なのか、次に小型ストリップのフィルムへの切断なのか、最後に包装操作中の得られたフィルムの分離なのかに関わらず、製造ラインに沿った多くの損失の元である。
同様の方法は、先行技術、特に米国特許出願公開第2004/0076799号明細書に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0076799号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、個別包装内のマイクロ用量フィルムを得られるようにする連続流れ工程を提案することで、先行技術の様々な問題に応えられるようにする。本発明に従った方法は、
a)少なくとも1つのフィルム形成剤を含んでなるフィルム形成混合物を調製するステップと、
b)本ステップ中のフィルム形成混合物の温度において1〜8000mPa・sの粘度、好ましくは10〜5500mPa・sの粘度を有する一定用量の前記混合物をキャビティ支持材のキャビティ内に装入するステップと、
c)フィルムを得るように前記混合物を硬化させるステップと、
d)前記キャビティを密封手段によって閉鎖するステップと
を含んでなる。
【0016】
損失のまたは投薬量誤りの元である、先行技術の方法における、フィルムのストリップおよび小型ストリップの、またはフィルムの、多数の取り扱い操作に関わる困難さは本発明に従った方法では観察されない。実際、フィルムはその将来の包装で直接得られる。同様に切断操作の不在下では、製品または活性成分の損失はない。さらにフィルムは、選択されるキャビティ、およびこのキャビティに装入される混合物の量に応じて、所望の形状および厚さであってもよい。
【0017】
「フィルム」という用語は、3000μmの最大厚さを有する、本質的に平らな表面を有する薄く平らな製品を意味するものと理解され、その中では厚さが長さおよび幅と比較して非常に小さい。本発明の意味におけるフィルムは、好ましくは10〜3000μm、好ましくは20〜2000μmの厚さを有する。
【0018】
さらに加工は連続的に実施されるので、製造ラインに沿った製品の保存の問題がない。さらにひとたびフィルムがキャビティ内に得られたら、このキャビティは例えばシールによって密封され、したがっていかなる特別の事前注意もなしに保存されてもよい。
【0019】
取扱者または環境にとって危険な製品が使用されるのか、または再利用不能または高価な製品であるのかに関わらず、取り扱い操作、ラインに沿った損失、および中間生成物の保存の完全な不在は、製造コストを相当に低下させる。事実、製造ラインに沿って処理される空気の体積が、相当に低下される。
【0020】
さらに包装に装入される用量は製造ライン全体にわたり正確に測定されるため、包装あたりの投薬量は信頼できる。
【0021】
したがって本発明に従った方法は、特に例えば経口フィルムまたはフレーバーフィルムなどの遊離型フィルム、パッチなどの支持材を含んでなるフィルムのような多くのタイプのフィルムの製造に適する一方、製造コスト削減、精度レベル増大、および投薬量調節、そしてまた再現性を可能にする。
【0022】
出願人によって克服された困難さは、一方ではその粘度のために、キャビティに充填した際に良く流れるようになり、フィルムを形成するために良く延びるようになる、フィルム形成混合物の製造である。「フィルム形成剤または物質」という表現は、フィルムを形成できるあらゆる物質を意味するものと理解される。
【0023】
先行技術の方法は異なる制約に応え、したがって異なる物理化学的特徴があるフィルム形成混合物を使用する。実際、これらの方法では、各混合物について高い、正確な粘度が必要である。わずかにより低い粘度レベルでは、フィルム形成組成物は支持材の外に流れる。わずかにより高い粘度レベルでは、フィルムストリップの厚さが一定にならない。
【0024】
硬化後フィルムを形成することが意図される層の厚さは、フィルム形成混合物の性質とフィルムの用途に応じて、したがって混合物の硬化、ひいてはフィルムを得ることに付随する体積損失に応じて、0.01〜10mmであってもよい。
【0025】
本発明に従った方法は、装入された瞬間の混合物温度において、その装入中に1〜8000mPa・s、好ましくは10〜5500mPa・s、なおもより好ましくは50〜1500mPa・sの範囲の粘度を有する混物によって可能になる。フィルム製造のために多様な粘度の混合物を使用できるようになることから、この方法は特に有利である。
【0026】
所望の粘度は、デンプンベースのフィルム形成混合物の場合、10〜95℃の温度範囲で達成される。高分子量ポリエチレングリコールでは、それは約50℃を超え、好ましくは60〜90℃の温度で達成される。
【0027】
本発明の意味の範囲内では、粘度は、例えばRV1、RV2、RV3、RV4、RV5、RV6またはRV7と称されるスピンドルの1つを使用して、「Helipath Stand」と称される装置を使用せずに、RDVD−I+ Brookfield粘度計(Brookfield Engineering Laboratories,Inc.,Middleboro,MA,USA)の手段によって測定されるブルックフィールド粘度である。スピンドルの回転は20rpmに設定される。スピンドルRV1〜RV7は、製造業者によって示されるように、表示される粘度値が、前記スピンドルで可能な総粘度スケールの10%〜100%の間であるように選択される。この粘度測定を実施するために、高さが低い400mlビーカー(直径約7.5cm)に、300mlのフィルム形成混合物を入れる。粘度値は、3回転の終わりに読み取る。測定は、例えばマニュアル「Operating Instructions,Manual No.M/92−021−M0101,Brookfield Digital Viscometer,Model DV−I+)」で、信頼できる粘度測定を得るために本製造業者が指定する、あらゆる推奨事項に従って実施される。
【0028】
本発明の一特徴に従って、方法のステップb)およびc)は、ステップd)の前に少なくとも1回繰り返すことができる。この方法は、異なる性質のフィルム形成剤との水性および/または有機混合物に適合できるので、使用してもよい活性成分またはフレーバーは多種多様である。したがってステップb)およびc)を繰り返すことで、本発明に従った方法は、互いに混和性でない、または混合物として不適合性である製品または活性成分から、同じ1枚のフィルムが得られるようにする。具体的には、この場合フィルムは、異なる特徴の2つのフィルム形成混合物から、2回がかりで製造される。
【0029】
別の有利な変法に従って、本発明に従った方法は、ステップd)の前に、前記キャビティ内に、顆粒または固体化合物または半液体または液体調製品を装入するステップを提供する。換言すれば、顆粒化合物、固体または液体の装入は、ステップb)の前または後に実施してもよく、またはステップc)の後でさえあってもよい。したがってステップb)およびc)が繰り返される場合、化合物または液体または半液体組成物は、2つのフィルム層の間に含まれてもよい。さらに前記キャビティの底に可逆的に結合する可撓性シートなどの脱離できる支持材上にフィルム形成混合物を装入する場合、化合物または組成物は、フィルム形成混合物層と可撓性シートの間に含まれてもよい。前述のどちらの場合でも、化合物または組成物は、フィルム層の溶解時に制御された様式で放出されてもよい。半液体または液体を装入する、または顆粒または固体さえも装入する特定の事例では、物質はキャビティ中に含まれるフィルムまたは支持材の印刷であってもよい。
【0030】
したがって有利な一変法に従って、顆粒または固体化合物または半液体または液体調製品を装入する前記ステップは、印刷するステップである。したがってフィルムは、前記キャビティが閉鎖される前に、含まれる製品、投薬量を示すためにあらゆる文字で、またはシンボルの形態で印刷されてもよい。製薬用途が意図されないフィルムにおける、画像、写真またはデザインの印刷もまた想定し得る。
【0031】
有利には前記印刷するステップは、前記混合物を硬化するステップc)の前に実施される。したがって所望の効果、および選択される印刷システムに応じて、印刷は、未硬化混合物上、または混合物を硬化するステップc)後のフィルム上で想定されてもよい。
【0032】
なおもより有利には、前記印刷するステップは、装入するステップb)の前に実施される。実際、支持材と組み合わせられたフィルムの場合、印刷は、代案として支持材と混合物の間、または装入後の混合物上で想定されてもよい。
【0033】
印刷は、前記フィルムにパターン、画像、写真またはテキストが固定できるように、前記フィルム形成混合物とは異なるテクスチャまたは不透明度を有する着色組成物または組成物を放出できるようにする、インクジェットプリンタまたはあらゆるその他の手段によって実施してもよい。
【0034】
有利には、本発明に従った方法の硬化するステップc)は、混合物を周囲温度に冷却するステップである。「混合物を硬化する」という表現は、この混合物が液体または粘稠な相から固相に推移することを意味するものと理解される。例えば溶剤の組み込みなしに、熱の作用下で溶解して液体になるフィルム形成剤を使用した場合などが挙げられる。これは特に、高分子量ポリエチレングリコール(PEG)およびその誘導体、ポリエチレンオキシドおよびその誘導体、グリセリド、ポリグリセリドおよびその誘導体に当てはまる。
【0035】
フィルム形成混合物の物理化学的特徴、特に前記フィルム形成混合物の溶剤揮発性に応じて、本方法は、硬化するステップc)が、前記フィルム形成混合物中に含有される溶剤を蒸発させるステップであることを規定する。
【0036】
本方法は全てのタイプのフィルム形成混合物に応用し得るので、溶剤がエタノール、プロパノール、イソプロパノールを含んでなる水性アルコール溶液である、またはあらゆるその他の揮発性溶剤である、有機混合物の場合、その硬化のためには周囲温度での単純な溶剤蒸発で十分である。これはフィルム形成剤が、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸セルロース、ポリメタクリル酸、またはポリ酢酸フタル酸ビニルなどのセルロース誘導体である場合に当てはまる。
【0037】
フィルム形成剤が親水性ポリマーである場合、水が溶剤として使用され、ポリマーは場合により、単独でまたは混合物として、例えばアルギン酸塩およびカラゲナンなどの藻類抽出物、変性セルロース、プルランやゼラチンやペクチンなどの多糖類、植物または動物起源のガム、ポリエチレングリコール、ポロキサマー、天然デンプン、変性および/または加水分解デンプン、マルトデキストリン、ポリビニルアルコールおよびその誘導体などの植物起源または合成起源のポリマーであるが、この一覧は限定的ではない。
【0038】
有利には、溶剤を蒸発させるステップは、混合物の温度を上昇させることで、圧力を変動させることで、またはその組み合わせによって実施される。熱に対して不安定なまたは非常に反応性の化合物を使用する場合、溶剤を蒸発させるステップは、活性成分の昇華現象を避けるように、またそれらの安定性を保つために、低温および減圧で実施してもよい。混合物を加熱する手段は、混合物の蒸煮、またはマイクロ波または赤外線加熱、またはこれらの手段の組み合わせであることができる。
【0039】
フィルムの乾燥は制御されなくてはならず、すなわち20〜80%の平衡相対湿度において、それに特定の構造、特定の可塑性、および安定性を同時に与える溶剤含量に制御されなくてはならないので、硬化ステップc)は重要である。したがって水性溶剤の場合、フィルムのひび割れをもたらすことなくこのフィルムの良好な保存を可能にするために、フィルム含水量はほとんどの場合、20%未満、好ましくはほぼ5〜10%程度である。実際、フィルム形成構造は保存されなくてはならないが、乾燥は好ましくはキャビティ内のフィルムの接着なしに実施されなくてはならない。
【0040】
好ましくは、フィルム形成混合物は、
− 40〜99重量%のフィルム形成剤、
− 少なくとも1重量%の添加剤
を含んでなる。
【0041】
「添加剤」という用語は、フレーバー、甘味料、可塑剤、湿潤剤、界面活性剤、活性成分またはそのためにフィルム形成剤がキャリアを構成できるあらゆる分子を意味するものと理解される。
【0042】
好ましくはフィルム形成混合物は、水性または有機溶媒を含んでなる。有利にはフィルム形成剤は、デンプン、またはデンプン混合物を含んでなる。
【0043】
より好ましくはデンプン、またはデンプン混合物の少なくとも1つのデンプンは、マメ科植物に由来する。
【0044】
本方法は特に、アミラーゼ含量が25〜45%に調節されるような、様々な起源のデンプン混合物から得られるフィルム形成混合物に適する。例えばアミロペクチンに富むデンプン(もちデンプンとして知られる)と、アミロースに富むデンプンとの混合物。デンプンまたは混合物の少なくとも1つのデンプンは特に、化学的処理、物理的処理、および酵素的処理を含んでなる群から選択される、少なくとも1つの変性処理を受けていてもよい。
【0045】
化学的処理は、特に酸、酸化または酵素的経路による、エステル化、エーテル化、架橋、または加水分解の全ての既知の操作を含んでなる。特にフィルム形成溶液を得るのに適した化学的処理は「安定化」処理であり、これはヒドロキシプロピル化またはアセチル化であり、これらの処理は、例えば酸処理による液化または制御された加水分解で任意に補うことができる。
【0046】
方法は、より具体的にはマメ科植物デンプンから得られるフィルム形成混合物に適している。「マメ科植物」という用語は、ジャケツイバラ科(Caesalpiniaceae)、ネムノキ科(Mimosaceae)または狭義のマメ科(Papilionaceae)に属する植物、特に例えばエンドウマメ、マメ、ソラマメ(broad bean)、ソラマメ(horse bean)、レンズマメ、アルファルファ、クローバーまたはルピナスなどの狭義のマメ科(Papilionaceae)に属するあらゆる植物を意味するものと理解される。
【0047】
この定義は特に、「Composition,Structure,Functionality and Chemical Modification of Legume Starches:A Review」と題された、R.Hooverらによる論文で示される表のいずれか1つに記載される全ての植物を含む。
【0048】
有利にはそれはエンドウマメであり、「エンドウマメ」という用語は、この場合、その最も広い意味で考慮され、特に
− 丸エンドウマメの全ての野生変種および
− 丸エンドウマメおよびしわエンドウマメの全ての突然変異種
を含み、これは前記の変種の一般に意図される用途(ヒト用食品、動物栄養および/またはその他の用途)が何であっても当てはまる。
【0049】
前記突然変異種は、具体的には「Developing Novel Pea Starches」と題されたC−L Heydleyらによる論文(Proceedings of the Symposium of the Industrial Biochemistry and Biotechnology Group of the Biochemical Society,1996年,77〜87頁)に記載される「r変異体」、「rb変異体」、「rug3変異体」、「rug4変異体」、「rug5変異体」、および「1am変異体」と称されるものである。
【0050】
「マメ科植物デンプン」という表現は、マメ科植物から、特に狭義のマメ科(Papilionaceae)からあらゆるやり方で抽出された、あらゆる組成物を意味するものと理解され、そのデンプン含量は40%を超え、好ましくは50%を超え、なおもより好ましくは75%を超え、これらの百分率は、前記組成物の乾燥重量に対する乾燥重量によって表わされる。
【0051】
キャビティ底に混合物を直接装入して得られるフィルム、およびキャビティ底に保持される支持材の上に混合物を直接装入して得られるフィルムのどちらの場合も、本方法は、10〜3000μm、好ましくは20〜2000μm、より好ましくは30〜500μm、なおもより好ましくは35〜200μmの厚さを有するフィルムに応用し得る。したがってこの方法は、これらが食品または製薬フィルムであるかどうかに関わらずフィルムの製造に、経口フィルムに、そしてまた皮膚にパッチをあてがうことで活性成分を投与できるようにする経皮パッチなどの支持材があるフィルムに、またはこのような厚さのフィルムを得ることが有利であるあらゆるその他の用途に応用し得る。例えば粘膜に、創傷に、または皮膚にそのまま固着される、または使用前に別の美容製品に添加される、局所用薬剤フィルム、薬剤または美容フィルムまたはパッチ、そのまま摂取される、または摂取前に食物に載せられる食品フィルム。本方法はまた、摂取前にフィルムを水またはあらゆるその他の飲料に溶解できる、高度に水溶性のフィルムの製造にも特に適する。
【0052】
フィルムの硬化後、選択されたフィルム形成剤に応じて、そして使用された溶剤に応じて、活性薬剤は固体分散体の形態、結晶質および/または非晶質の形態であることができる。これはこの活性薬剤の可溶化が調節できるようになる利点を有する。
【0053】
添加剤は、フレーバー、活性成分、賦形剤、栄養補助食品またはビタミン補給剤、薬用エキス、美容活性薬剤、着色剤、顔料、pH調整剤、植物抽出物、獣医用活性薬剤、または栄養補助食品であってもよい。
【0054】
想定し得る活性成分は、特に抗真菌剤(antifungals)、抗真菌剤(antimycotics)、コルチコイド、抗座瘡剤、抗生物質、駆虫薬、抗ヒスタミン剤、角質溶解剤、消毒剤、忌避剤分子、発赤剤、色素除去剤、抗炎症薬、抗リウマチ剤、鎮痛剤、静脈局所用薬剤、抗肥満症活性薬剤、避妊薬、成長調節物質;ホルモン、制嘔吐剤などの経皮投与されてもよいものである。
【0055】
または消毒剤、抗真菌剤(antifungals)、抗真菌剤(antimycotics)、抗生物質、抗ヒスタミン剤、抗炎症薬、抗片頭痛薬、下痢止め剤、鎮痛剤、抗うつ薬、局所麻酔薬、駆虫薬、解熱剤、鎮痙薬などの局所または全身作用のための経口用活性成分、またはヒトまたは動物疾患に対して治療または予防特性を有するあらゆるその他の物質、そしてまたマーカーまたはトレーサーとして機能する分子などの医学的診断の確立を目的とした、またはそれらの有機機能の復元、補正または改変を目的とした、ヒトまたは動物に投与してもよいあらゆる製品。
【0056】
必然的にフィルム形成混合物は様々な性質であってもよいので、選択するキャビティ支持材材料は、フィルム形成混合物に対して、特にこの混合物中に含有される化合物または化合物に対して、不活性でなくてはならない。
【0057】
有利には本発明に従った方法は、前記キャビティ支持材を製造するステップを含んでなる。
【0058】
前記キャビティ支持材は所望のフィルムに応じて製造し得るので、この方法はあらゆる形状とサイズのフィルムのために使用してもよい。
【0059】
本発明に従ったキャビティ支持材は、特に本発明に従った方法を具現するために適応され、特に10〜3000μmの厚さ、または15000μmに達してもよい構造を有するフィルムを含むことが特に意図される。
【0060】
本発明はまた、前記キャビティ支持材を含んでなる装置にも関する。
【0061】
本発明に従って、この装置はキャビティ支持材を含んでなり、キャビティと前記キャビティ支持材を閉鎖する手段とを備えており、前記キャビティは気密シール域を含んでなる横方向フランジで取り囲まれ、前記キャビティには本質的に平らな基部を備えており、前記基部(4b)は前記キャビティ(4)の深さ1mmあたり1cmを超える面積を有する。この比率はフィルムの容易なアクセスを可能にし、ひいてはそれを容易に掴めるようにする。本発明に従ったキャビティは、混合物を硬化するステップの前にフィルム形成組成物を受け入れるのに十分な深さと、フィルムを容易に掴むのに十分小さいがそれを劣化または脆化させない深さとの双方を有することを可能にする。実際、硬化前のフィルム形成組成物の体積は、溶剤蒸発またはフィルム形成剤重合のために、得られるフィルム体積よりもはるかにより大きくあってもよい。したがって口腔内崩壊性フィルムの場合、6cmのキャビティ基部面積では、それは1〜2mmの高さを有してもよい。パッチの場合、64cmの面積では、キャビティは1cmの深さを有してもよい。
【0062】
有利には、前記キャビティは2cm未満の深さ、好ましくは0.02〜1cm、より好ましくは0.05mm〜10mm、なおもより好ましくは0.2〜2mmの深さを有する。
【0063】
「本質的に平ら」という表現は、一般に平らな形状を有する構造を意味するものと理解される。したがってキャビティ基部はわずかに湾曲していてもよく、または微小突起または微小隆起を備えていてもよく、または微小キャビティまたは浅い溝さえをも備えていてもよい。キャビティ基部の湾曲は、同一面積とその端部の同一厚さを維持しながら、フィルム厚の増大、ひいてはフィルム内に含有される活性成分または活性薬剤の用量の増大を可能にする。微小突起または微小キャビティまたは微小隆起または浅い溝は、それ自体が、非均質表面を作り出すことで、キャビティ基部へのフィルムの接着を防止できるようにし、または控えめに言ってもその離脱を容易にする。これらの微小キャビティまたは浅い溝には、フィルム表面に付加的厚さとしてパターンを形成する構造を作り出すように、装入後にフィルム形成組成物に接着できる、液体または粉末形態の微量の着色物質が充填されてもよい。
【0064】
有利には、キャビティには変形域を含む。第1の好ましい変法に従って、キャビティ側壁には変形域を含む。変形域は側壁の高さ全体を占め、またはその高さの中央部または辺縁部を占める。この変形域はキャビティの高さを低下できるようにし、したがってキャビティの下縁または基部に力を及ぼすことで、本発明に従ったフィルムのアクセスしやすさを改善する。第2の好ましい変法に従って、キャビティはその基部に変形域を含んでなる。この変形域は、フィルムの回復を促進できるようにする。有利には変形域は、その中央で装入域が区切られるキャビティ基部の辺縁に位置する。代案としては、変形域はキャビティ基部表面の全体に伸びる。辺縁の存在によってキャビティ基部の周辺が区切られるようになり、したがって装入域の容積が正確に調節される。
【0065】
有利な一変法に従って、基部には外周溝を備える。この溝はフランジに対してキャビティ基部を上昇させられるようにし、したがってキャビティの容積を低下させながらフィルムへのアクセスを容易にする。
【0066】
キャビティ支持材の好ましい特徴は、
− 2cm未満の深さ、好ましくは0.02〜1cm、より好ましくは0.05mm〜10mm、なおもより好ましくは0.1〜5mmの深さ、
− 1〜500cm、好ましくは2〜250cm、より好ましくは3〜125cmの範囲のキャビティ基部の面積
である。
【0067】
使用される熱成形材料は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリスチレン(PS)、またはポリプロピレン、好ましくはPVCであってもよい。
【0068】
変形域は、既述したポリマーの1つ、またはその混合物、またはそれに弾性特性を与えるあらゆるその他のポリマーから構成されてもよい。
【0069】
キャビティはまた、アルミニウムの、またはアルミニウムを含んでなる合金の加圧成形によっても得られる。
【0070】
有利には、装置のキャビティには、キャビティ基部に配置されて、フィルムによって少なくとも部分的に覆われることが意図される、脱離できる支持材を備えていてもよい。前記脱離できる支持材は、有利には前記キャビティ基部に可逆的に結合してもよい。脱離できる支持材は、織布または不織布または可撓性プラスチックまたは金属シートから選択される。得られる製品は、(例えばフィルムの破壊または切断によって)フィルムに一時的に含まれる構成要素であってもよく、または恒久的に含まれてもよく、フィルムそれ自体が支持材に接着する。
【0071】
一変法に従って、前記脱離できる支持材は、その端の少なくとも1つの上に、表面に塗布されてそれに接着することが意図される接着域が提供される。この場合、得られる製品はパッチなどの支持材を含んでなるフィルムであってもよい。したがってこの装置は、フィルム形成混合物/支持材アセンブリーの結合を弱める危険性なしに、単一ステップで得られた直接包装されたパッチを有することができるようにする。
【0072】
有利には、本発明はフィルムを含む装置に関する。「フィルム」という用語は、遊離型フィルム、支持材に接着するフィルム、または互いに接着して同じ1枚のフィルムを形成するフィルム形成混合物のいくつかの層のアセンブリーを意味するものと理解される。
【0073】
別の本発明の目的は、ブリスター包装を形成するいくつかの装置を連結することで形成されるアセンブリーであり、ブリスター包装装置は、場合により少なくとも1本の断裂可能分離線によって隔てられる。
【0074】
さらに本発明はまた、
− フィルム形成混合物を製造して均質化する手段、
− フィルム形成混合物を装入する手段、
− 混合物を硬化する手段、
− キャビティを密封する手段、および所望ならば
− 印刷する手段
の一連の手段を含んでなる方法を実施するためのユニットにも関する。
【0075】
一変法に従って、ユニットには、有利には特に方法の具現を意図する装置を製造する手段を備え得る。
【0076】
本発明に従った装置は、下でより完全に例示される。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1A】キャビティ支持材と閉鎖シートとから構成される、装置の第1の変法の側面斜視図である。
【図1B】閉鎖手段が部分的に開いている、フィルムを含む装置の第1の変法の垂直断面図である。
【図2】キャビティ支持材ブリスター包装のキャビティ中にフィルム形成混合物を装入するためのユニットの一部の斜視図である。
【図3A】いくつかの分離可能な装置を含むブリスター包装の上面図であり、各装置の各キャビティはフィルムを含む。
【図3B】いくつかの分離可能な装置を含むブリスター包装の上面図であり、各装置の各キャビティはフィルムを含む。
【図4A】パッチを含む閉鎖された装置の上面図である。
【図4B】パッチが部分的にキャビティから取り出されている、パッチを含む開放された装置の上面図である。
【図5A】キャビティ支持材が空である、本発明に従った装置の第2の変法の垂直断面図である。
【図5B】部分的に開いてパッチを含む、同一装置の垂直断面図である。
【図5C】キャビティ支持材が空である、本発明に従った装置の第3の変法の垂直断面図である。
【図5D】部分的に開いてパッチを含む、同一装置の垂直断面図である。
【図6A】非変形形態において開いている装置を図示する、キャビティ壁の高さ全体の上に位置する変形域を含んでなる本発明に従った装置の第4の変法の垂直断面図である。
【図6B】圧縮力をかけられて側壁が圧縮形態にある装置を図示する、キャビティ壁の高さ全体の上に位置する変形域を含んでなる本発明に従った装置の第4の変法の垂直断面図である。
【図7A】変形前の空のキャビティ支持材を図示する、キャビティ壁の一部に位置する変形域を含んでなる本発明に従った装置の第5の変法の横断面図である。
【図7B】キャビティ壁が変形した圧縮構造にありパッチまたはフィルムを含む、開いている装置を図示する、キャビティ壁の一部に位置する変形域を含んでなる本発明に従った装置の第5の変法の横断面図である。
【図7C】変形前の空のキャビティ支持材を図示する、キャビティ壁の一部に位置する変形域を含んでなる本発明に従った装置の第6の変法の横断面図である。
【図7D】キャビティ壁が変形した圧縮形態にありパッチまたはフィルムを含む、開いている装置を図示する、キャビティ壁の一部に位置する変形域を含んでなる本発明に従った装置の第6の変法の横断面図である。
【図8A】弛緩形態にあって開いておりフィルムを含む装置を図示する、圧縮形態でキャビティ壁に変形域を有しキャビティ基部に変形域を有する本発明に従った装置の第7の変法の横断面図である。
【図8B】キャビティ基部へ力が加えられた後の変形形態において開いておりフィルムを含む装置を図示する、圧縮形態でキャビティ壁に変形域を有しキャビティ基部に変形域を有する本発明に従った装置の第8の変法の横断面図である。
【図8C】弛緩形態にあって開いておりフィルムを含む装置を図示する、圧縮形態でキャビティ壁に変形域が、キャビティ基部に変形域を有する本発明に従った装置の第7の変法の横断面図である。
【図8D】キャビティ基部へ力が加えられた後の変形形態において開いておりフィルムを含む装置を図示する、圧縮形態でキャビティ壁に変形域を有しキャビティ基部に変形域を有する本発明に従った装置の第8の変法の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0078】
図1Aは、キャビティ支持材2と、可撓性シート3の形態の閉鎖手段との2つの構造物から構成される装置1を図示する。キャビティ支持材2はキャビティ4によって空洞化され、シート3はその周辺で、キャビティ支持材2のフランジ5の溶着域7に溶着される。装置の第1の変法に従って、キャビティ4の基部4aは平らである。
【0079】
閉鎖手段3は、光、熱、水分、または内容物の適切な保存に有害になりがちなあらゆるその他の条件に対する保護を与えるようにキャビティ支持材2に接着またはシールできる、アルミニウム、プラスチック、またはあらゆるその他の材料からできたシートであってもよい。
【0080】
本発明に従った装置は、特にフィルム6(図1B)のような、ほぼ10μm〜5000μm程度の厚さを有する本質的に平らな構造物を含むことが特に意図される。図1Bで示されるフィルム6は2つの異なる重なり合う構造物から構成されて、同じ1枚のフィルムを形成する。したがって2つの異なる活性成分または2つの異なるフレーバーがある異なるフィルム形成混合物を使用し、またはその中に液体または顆粒物質を含むフィルムでさえも使用することが想定できる。
【0081】
混合物Mを装入するステップは、ブリスター包装Pのキャビティ4内に用量A(図2)を定量供給する多様なシステムによって実施されてもよい。Industria Macchine Automatiche S.p.A.(I.M.A S.p.A.)によって販売される、計量または充填タイプの機械に特に言及できる。
【0082】
同時に製造されるフィルム数は使用し得るブリスター包装Pの幅に左右され、したがって用量を装入するシステムAの能力に、また混合物を硬化させるシステムの能力にも左右される。
【0083】
装入に続いて、混合物をキャビティ4の基部4aの上に広げる。この延展ステップは、装入中のフィルム形成混合物の温度において1〜8000mPa・sであってもよい、混合物の粘度に左右される。それはまた、湿潤剤または界面活性剤の添加によって最適化される混合物の表面張力にも左右される。最大粘度では、混合物の延展を促進するために、ブリスター包装を振動させるシステムが想定されてもよい。
【0084】
硬化後にフィルムを形成することが意図される層の厚さは、フィルム形成混合物の性質およびフィルムの用途に応じて0.01〜10mmであってもよく、したがって混合物の硬化に、ひいてはフィルムを得ることに付随する体積の損失に左右される。
【0085】
フィルムを形成させるように混合物を硬化させる技術の選択は、使用する混合物に左右される。無溶媒混合物では、単に混合物を放冷することによる硬化が想定されてもよい。
【0086】
揮発性溶剤を含む混合物の場合、硬化は周囲温度で溶剤を単に蒸発させることで実施してもよい。そうは言うものの熱および減圧の使用によって、硬化を加速できる。
【0087】
水性混合物の場合、水の蒸発による硬化技術の選択は様々であってもよく、例えばオーブン、赤外線またはマイクロ波加熱が使用され、または減圧さえも使用される。
【0088】
選択された技術は、フィルム構造が保たれるようにしなくてはならない。
【0089】
例えば不適合性であるため、または異なる物理化学的性質を有するため同一フィルム形成混合物に組み込めない2つの活性成分を組み込む場合、フィルムを得た後、装入および硬化するステップb)およびc)を含んでなる新しいサイクルを想定し得る。フィルムの第2の層は液体形態で塗布されるので、それは第1の層に接着し、アセンブリーに構造の統一性を与える。
【0090】
キャビティ4は、閉鎖手段3の密封域7の上を密封または接着することで閉鎖してもよく、上記閉鎖手段3は、キャビティ4を隔てるフランジ5の全表面上の(図3A)、またはキャビティ周辺上の(図3B)可撓性または硬質シートであってもよい。
【0091】
装置はブリスター包装P(図3)の形態で包装されてもよく、または装置1(図4)の形態で個々に包装されてもよい。装置1をブリスター包装Pとしてアセンブルする場合、装置1は断裂可能分離線8(図3)の形成によって個別化できるかもしれない。
【0092】
密封域7がフランジ5全体の上に伸びる場合、装置1の開封を容易にするように、フランジ5のゾーン9は破断可能である(図3Aおよび図4)。
【0093】
破断可能域9は、断裂可能分離線9aを確立することによって得られる。
【0094】
図4Aおよび4Bからのキャビティ4は支持材があるフィルムを含み、パッチ6の例が一例として図示される。このパッチは、フィルム形成域6aと、粘着シートの形態の支持材6bとで形成される。
【0095】
支持材なしのフィルムの上と同様に、パッチ6の上に印刷6cが想定されてもよい。パッチの場合、印刷域6cは、支持材6bの上に、またはフィルム形成域6aの上に直接作られてもよい。
【0096】
フィルム形成域上の印刷は、フィルム形成域を得るために使用したのとは異なるカラーまたはテキスト印刷用の組成物から得られてもよい。印刷組成物は単純な着色剤であってもよく、または第1のフィルム形成組成物に混和性でない分子を含有する第2のフィルム形成組成物でさえあってもよい。これは支持材なしのフィルムに置き換え得る。
【0097】
装置の第2の変法は、特に支持材上のフィルムから構成される製品を得ることを意図し、これは例えばパッチの場合に当てはまる。この変法は、フィルム形成混合物を流し込む前に、織布、不織布または可撓性または非可撓性のプラスチックまたは金属シートであってもよい支持材6b(図5)を含む。その上にフィルム形成域6aが流し込まれる面、すなわちパッチ6の場合は皮膚に接する面に相当する、脱離できる支持材6bの1つの面の上に、接着域6dが提供されてもよい。しかしこの接着域は、支持材6b周辺だけから、またはこの周辺の一部だけから構成されてもよく、接着は例えば粘着剤の使用により得られる。
【0098】
キャビティ4の基部4a、4bに支持材6bを貼り付ける。フィルム形成域6aを流し込む前に、支持材6bがキャビティ4の基部4a、4bに軽く固定されるように、支持材6bをキャビティ4の基部4a、4bに接着させるゾーン10を提供してもよい。したがって装置を開封すると、単にパッチ6を引っ張るだけで、その放出と使用ができるようになる。
【0099】
閉鎖手段3を硬化および密封するステップは、先に記載した変法と同様である。
【0100】
さらに混合物として不適合性である2つの活性成分を同一フィルム形成域6a内に装入しなくてはならない場合、または第2の層が支持材に接着力を与える場合、フィルム形成域6aを粘着剤支持材6b上に2回に分けて流しこんでもよい。後者の場合、第2のフィルムを支持材の全表面上に流し込んでもよい。
【0101】
本発明に従ったキャビティ4の基部4a、4bは本質的に平らであり、すなわちそれは特定の小さな不規則性または微小な不規則性またはわずかな湾曲または傾斜を有してもよいが、それは混合物の延展、およびフィルム6の比較的一定の厚さを可能にするように、大部分平らな構造を保持する。
【0102】
したがって図5Aおよび5Bは、平らな基部4aを有する装置を示し、図5Cおよび5Dは、第3の変法に従って、わずかに湾曲しているキャビティ4の基部4bを含んでなる装置を示す。第1の変法の亜変形に従って、支持材6bを含んでなる変法の場合、支持材6bがキャビティ4の基部4bに形成された空洞を代償してもよく、したがって平らなキャビティ基部が再確立される。したがってその中で支持材6bがレベルの差(図5C)を再現してもよい第2の変法の亜変形を想定できる。後者の場合、得られるフィルム形成域6aは、局在するより分厚い部分を含んでなる。図5Dで示される例では、この局在化は中心性である。
【0103】
キャビティ4の基部4a、4bに支持材6bを備えるこれらの変法に従って、フィルム形成混合物の装入前に、支持材6b上に直接、液体または半液体組成物を装入し、または顆粒または固体化合物を装入することが想定できる。したがって組成物または化合物は、片側にフィルム形成域6a、別の側に支持材6bの2つの表面の間に含まれ、溶融させる、またはフィルム形成域6aと皮膚とを単に接触させることで、化合物または組成物が放出制御できるようになり、またはパッチの接着ができるようになる。フィルムのフィルム形成混合物の2枚の層の間に組成物または化合物を含めることで、同様の結果が得られるかもしれない。
【0104】
好ましい変法に従って、キャビティ4aの基部をフランジ5に連結するキャビティ壁4cは、変形可能域12a、12b、および下縁4dを含んでなる。この変形可能域は12aを折りたたむことで、または12bを捻ることで形成され、フィルムまたはパッチを掴むのを容易にするよう、キャビティの基部4aをフランジ5のレベルに上昇させるように(図6および7)、基部4a(図6)に、またはキャビティ壁の下縁4d(図6)にかけられた圧力(図6および7に二重矢印で例示される)が、キャビティ壁4cの変形をもたらすようにする。
【0105】
変形可能域12aおよび12bは、側壁(図7)の一部の上に、または壁全体(図6)の上に伸びてもよい。
【0106】
有利な一変法に従って、基部4aは周辺溝4eを含んでなり、側壁4cの下縁4dに対して基部4aを上昇できるようにする(図7)。この基部4aの上昇は、下縁4dへの加圧によるキャビティ壁4cの変形において、フィルムへのアクセスを容易にする。基部4aの中央部分は平らであってもよく(図7A)、または装入域4fがその中に作られていてもよい(図7B)。辺縁4gで取り囲まれる装入域4fは、フィルムの流し込みのために、フィルム形成組成物の受け入れが意図される非常に小さな容積を作れるようにする。
【0107】
別の変法に従って(図8Aおよび8B参照)、辺縁4gは新しい変形域12cを構成して、装入域4fの基部に圧力をかけることで、フィルムを装入域から排出できるようにする。代案としては、別の変法に従って、装入域4fは、その全体で変形域12d(図8B)を構成してフィルムを排出できるようにする。辺縁4gの不在下、したがって装入域4fの境界の不在下では、変形域12dは、キャビティ4の基部4a、4b全体の上に伸びてもよい。これらの2つの変法は、支持材に固着するフィルムに置き換え得る。
【0108】
キャビティ4の基部4a、4bに位置する変形域12c、12dには、独立してキャビティ壁の、または周辺溝4eの変形域12a、12bを含んでいてもよいことに留意すべきである。しかしキャビティ壁の第1の変形域12a、12bと、周辺溝4eと、辺縁4gのまたは基部4aの装入域4f中の変形域12a、12bとの組み合わせみよって、本発明に従って得られるフィルムまたはパッチに非常に容易にアクセスできるようになる。
【0109】
本発明に従った方法を具現化する条件、および組成物の非網羅的例を下で説明する。
【実施例】
【0110】
フィルム形成剤としてデンプンを含有する口腔内崩壊性フィルムの実施例
実施例1:清涼フィルム
混合物の製造:
組成および比率は、表1に詳細に示される。水と、可塑剤、すなわちグリセロール(混合物E1)、セバシン酸ジブチル(混合物E2およびE4)または25/75プロピレングリコール/オレイン酸(混合物E3およびE5)とを混合する。着色剤およびサッカリン酸塩を混合物に添加して、5分間均質化する。次に混合物E1、E2、E3が12%のデンプンを含有して、混合物E4およびE5が6%のデンプンを含有するように、得られた各溶液に、出願人によってLYCOAT(登録商標)NG73の名称の下に販売される安定化液化エンドウマメデンプンを分散する。
【0111】
各溶液を5分間混合し、次に3分間均質化して、次にそれが70℃の温度に達するまで加熱する。
【0112】
【表1】

【0113】
次に混合物を40または45℃に冷却して、香味料、ポリソルベート、およびダイズレシチンを組み込み、真空下で10分間混合する。キャビティに充填するまで、混合物をオーブン内で45℃または40℃に保つ。
【0114】
混合物粘度(表1参照)は、速度20rpmで、キャビティ内における延展に好ましい混合物の理想的粘度を得るように選択された装入温度である40℃または45℃で、混合物E1、E2、およびE3ではRV5スピンドル、混合物E4およびE5ではRV3スピンドルを用いて、ブルックフィールドRDVD−I+粘度計により測定する。
【0115】
装入体積に応じたフィルム厚の変動:
様々な厚さのフィルムを得るように、様々な体積の混合物をキャビティ基部に装入する。
【0116】
混合物E1、E2、およびE3では、流し込まれるV1、V2、およびV3の体積は、V1=0.4cm、V2=0.3cm、およびV3=0.2cmである。
【0117】
熱成形可能可塑性のシートから得られるキャビティは、
− 5mmの深さ、
− 406mmのキャビティ基部面積
の特徴を有する。
【0118】
10%未満の含水量を有するフィルムを得るように、マイクロ波乾燥機によって乾燥を実施する。
【0119】
Microondes Energie Systemes(MES)からのPulsar ST22マイクロ波乾燥機を使用し、2つの異なる条件に従ってマイクロ波乾燥を実施した。
1.ベルト速度:5.25m/分
マイクロ波出力:100Wで47分間、次に200Wで18分間。
2.ベルト速度:5.25m/分
マイクロ波出力:300Wで50分間
【0120】
装入された体積で得られるフィルムは、混合物E1、E2、およびE3について、ほぼ200μm(V1)、150μm(V2)および100μm(V3)程度の実質的に等しい厚さを有する。
【0121】
これらの条件によりは、キャビティ基部に接着していないフィルムを得られるようになる。さらにこれらの口腔内崩壊性フィルムは、非常に良好な味覚特性と良好な口当たりを有する。
【0122】
乾燥技術の変法:
混合物E1、E2、およびE3で、0.3cmの体積を装入した。45℃のオーブン内での乾燥、真空を確立することによる減圧乾燥、これらの2つの方法の併用をはじめとする様々な乾燥方法を試験する。
1.オーブン内において45℃で2時間乾燥する。
2.真空を確立して周囲温度で3時間乾燥する。(3608−Ic真空オーブン、LAB−LINE Instruments,Inc.,Melrose Park,Ill.,USA)
3.真空を確立してオーブン内で45℃で45分間乾燥する。(3608−Ic真空オーブン、LAB−LINE Instruments,Inc.,Melrose Park,Ill.,USA)
【0123】
これらの様々な乾燥方法は、マイクロ波乾燥によって得られるものと同様の特徴を有するフィルム、すなわち非常に良好な官能特性および構造を有する口腔内崩壊性フィルムをもたらす。
【0124】
減圧と45℃での加熱を組み合わせる技術は、乾燥時間を大幅に短縮できるようにし、ひいては水溶液中で不安定な化合物の保存に有利である。
【0125】
実施例2:活性成分添加口腔内崩壊性フィルム
水、グリセロール着色剤(E133 Silesia)、およびサッカリン酸塩を表2に記載される比率で最初に混合して、組成物E6が得られる。混合物を5分間均質化する。活性薬剤メロキシカムをデンプンとの混合物として添加し、次に3分間均質化する。混合物を70℃の温度に達するまで加熱する。
【0126】
次に混合物を45℃に冷却し、香味料、ポリソルベート、およびダイズレシチンを組み込んで、真空下で10分間混合する。キャビティに充填するまで、混合物をオーブン内で45℃に保つ。
【0127】
【表2】

【0128】
混合物粘度(表2参照)は、速度20rpmで、キャビティ内における延展に好ましい混合物の理想的粘度を得るように選択された装入温度である45℃で、RV3スピンドルを用いてブルックフィールドRDVD−I+粘度計で測定される。
【0129】
混合物E7は、混合物E1〜E5と同様にして得られ、デンプン添加前に活性薬剤を混合物に単独で添加して、次に5分間均質化する。
【0130】
キャビティあたり0.3cmの混合物E6およびE7を装入し、乾燥するために半数を45℃のオーブンに一晩入れ、半数を周囲温度で一晩放置する。
【0131】
周囲温度での乾燥は45℃のオーブン内での乾燥よりも穏やかであるので、水分含量がより高いフィルム、ひいては脆性の低いフィルムが、周囲温度での乾燥により得られる。
【0132】
フィルム形成剤としてポリエチレングリコールを含有する口腔内崩壊性フィルムの例(実施例3)
【0133】
【表3】

【0134】
溶剤の添加なしに、ポリエチレングリコールからフィルム形成組成物E8が得られ(表3参照)、ポリエチレングリコールは60℃で融解することにより液体形態である。粘度測定(表3)は前述同様に実施する。
【0135】
15mgのデキストロメトルファンの単位用量に相当する、800mgを各キャビティに装入する。
【0136】
装入物を冷却することで、フィルムを周囲温度で硬化させる。良好なテクスチャを有する口腔内崩壊性フィルムが得られる。
【符号の説明】
【0137】
1 装置
2 キャビティ支持材
3 可撓性シート
4 キャビティ
5 フランジ
6 フィルム
7 溶着域
8 断裂可能分離線
9 破断可能域
10 ゾーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム(6)を製造する方法であって、
a)少なくとも1つのフィルム形成剤を含んでなるフィルム形成混合物を調製するステップと、
b)本ステップb)中のフィルム形成混合物温度において1〜8000mPa・sの粘度を有する一定用量の前記混合物をキャビティ支持材のキャビティ内に装入するステップと、
c)フィルム(6)を得るように前記混合物を硬化させるステップと、
d)前記キャビティ(4)を密封手段(3)によって閉鎖するステップと
を含んでなる方法。
【請求項2】
ステップb)およびc)がステップd)の前に少なくとも1回繰り返される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップd)の前に、顆粒または固体化合物または半液体または液体調製品を前記キャビティ(4)内に装入するステップが提供されることを特徴とする、請求項1または2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記顆粒または固体化合物または半液体または液体調製品を装入するステップが、印刷するステップであることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記硬化ステップc)が、混合物を冷却するステップ、または前記フィルム形成混合物中に含有される溶剤を蒸発させるステップであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記溶剤を蒸発させるステップが、混合物の温度を上昇させる、圧力を変動させる、またはその組み合わせによって実施されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記混合物が、
− 40〜99重量%のフィルム形成剤、
− 少なくとも1重量%の添加剤
を含んでなることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記フィルム形成剤がデンプンまたはデンプン混合物を含んでなることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記フィルム形成剤がマメ科植物デンプン、好ましくはエンドウマメデンプンを含んでなることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記キャビティ支持材(2)を製造するステップを含んでなることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
フィルム(6)を含むことができる装置(1)であって、キャビティ(4)とキャビティ支持材(2)を閉鎖する手段(3)とを備えるキャビティ支持材(2)を含んでなり、前記キャビティ(4)が気密シール域(7)を含んでなる横方向フランジ(5)で取り囲まれ、前記キャビティ(4)に本質的に平らな基部(4a;4b)を備えており、前記基部(4a;4b)が前記キャビティ(4)の深さ1mmあたり1cmを超える面積を有することを特徴とする、装置(1)。
【請求項12】
変形域(12a;12b;12c;12d)を含むことを特徴とする、請求項11に記載の装置(1)。
【請求項13】
前記キャビティ(4)に、前記キャビティ(4)の基部(4a;4b)に配置された脱離できる支持材(6b)を備えていることを特徴とする、請求項11または12のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項14】
前記脱離できる支持材(6b)が、その端の少なくとも1つの上に、表面に塗布されてそれに接着することが意図される接着域(6d)を提供されることを特徴とする、請求項13に記載の装置(1)。
【請求項15】
前記キャビティ(4)がフィルムを含んでなることを特徴とする、請求項11〜14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
請求項11〜15のいずれか一項に記載のいくつかの装置(1)を連結することで形成される、ブリスター包装(P)を形成するアセンブリー。
【請求項17】
フィルム形成混合物を製造して均質化する手段、
フィルム形成混合物を装入する手段、
混合物を硬化する手段、
キャビティ(4)を密閉する手段、および所望ならば
印刷する手段
の一連の手段を含んでなることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法を実施するユニット。
【請求項18】
請求項11〜15のいずれか一項に記載の装置(1)を製造するための手段を含んでなることを特徴とする、請求項10に記載の方法を実行するための請求項17に記載のユニット。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【公表番号】特表2011−528029(P2011−528029A)
【公表日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517975(P2011−517975)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051402
【国際公開番号】WO2010/007312
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(592097428)ロケット・フルーレ (58)
【Fターム(参考)】