説明

セル電圧検出コネクタ

【課題】多数極のコネクタ・ユニットにおいて、端子金具の配置に伴う累積公差を解消させ、作業性を向上させる技術を提供する。
【解決手段】レセプタクル端子94が全てレセクタプル挿入溝部22に挿入されると、レセプタクル根元部95とレセプタクル前部96の境界として形成されている屈曲用穴97及びけがき部98で座屈する。レセクタプル挿入溝部22は、公差が実質ない状態で形成されるため、端子ピッチ公差矯正ハウジング10がレセプタクル・ユニット90に取り付けられ、レセクタプル挿入溝部22から底部内面15へ飛び出たレセプタクル端子94(レセプタクル前部96)は、公差が無い状態に矯正された状態になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セル電圧検出コネクタに係り、特に、複数極(複数ピン)のオス端子及びメス端子が接続するセル電圧検出コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車や電気機器における配線には種々のコネクタ・ユニット(接続コネクタ)が使用されている。そのようなコネクタ・ユニットとして、複数のオス端子をハウジングに収容したオス端子コネクタと、それに対応して複数のメス端子をハウジングに収容したメス端子コネクタとをかん合させるタイプの多極型コネクタ・ユニットが知られている。自動車では、電子制御の高度化等に伴って多くの電装品が使用され、それに伴い上述のコネクタ・ユニットが多く使用されるようになっている。
【0003】
さらに近年、ハイブリッド型自動車が環境負荷の小さな自動車として大きな注目を集め市場において大きな存在感を示すに至っている。さらに、電気自動車の普及に向けて自動車メーカは開発のピッチを早め、特に搭載される電池を中心として技術革新が急激に進んでいる。自動車に搭載される電池は、一般には多数のセルを積層配置したタイプが用いられることが多い。そして、燃料電池では、異常セルの早期発見等のために各セルの発電状態を管理する必要があり、そのためにセル毎に電圧の検出を行っている。
【0004】
燃料電池のセル電圧検出を確実に行えるように、セル電圧検出装置の端子と燃料電池のセパレータとの接続状態を確実にする技術がある(例えば特許文献1参照)。この技術では、複数の板状のセパレータが積層状に配列されている。そして、セパレータには、その一部を構成する形状として出力端子が設けられている。これら出力端子は、セパレータの積層配置に対応して、所定間隔で配置されている。さらに、出力端子の一群を一括して覆って、各出力端子と当接して電気的に接続する端子を備えた端子ホルダが設けられている。端子ホルダは、端子口を跨いで配置される一対の脚部を有し、脚部の先端と頭部の先端の少なくとも一方に弾性体(クッション)を有する。このように構成することにより、弾性体で振動を吸収することが可能となっている。さらに、端子ホルダは、上記一対の脚部の間で端子の一端を保持する。このように構成することにより、端子カバーから端子ホルダに荷重が加わったときにも、端子ホルダが変位しにくくなり、その結果、端子が変位しにくくなる。
【0005】
また、図11に燃料電池等に用いられる別のコネクタ・ユニット100の例を示している。コネクタ・ユニット100は、セルV端子400に取り付けられるセル側コネクタ300と、プラグ側コネクタ200とから構成されている。プラグ側コネクタ200を組み立てる場合、プラグハウジング260に電線250及び電線シール240を有するプラグ端子230をプラグハウジング260に収容し、プラグ端子230をプラグガイドロック210とプラグガイドハウジング220で覆う。セル側コネクタ300は、セルインシュレータ330と、かん合シール320と、セルフロントホルダ310を備え、セルV端子400に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−86219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1や図11に開示の技術では、端子数が複数極であることに伴って生じる、端子ピッチ公差のばらつきを吸収するために、つまり、端子等の部品配置が累積公差によって不適切になって端子の収容できなくなることを回避するために、端子を一つ一つ挿入抜去していた。そのような作業を経ることで、公差ばらつきに関する不具合の解消はできるものの、組み付けの際の工数増大や誤配線等が発生することがあり、さらに小型化の観点から限界があり、新たな技術が求められていた。また、多極数で累積公差が大きく、プラグ側端子(プラグ側コネクタ200)ピッチとレセプタクル側端子(セルV端子400)ピッチが大きくずれる可能性があり、その場合、かん合ができなくなってしまう。そのような状態で、無理にかん合させようとすると、コネクタ及びその周辺部品の破壊につながるおそれがあった。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、多数極のセル電圧検出コネクタにおいて、端子金具の配置に伴う累積公差を解消させ、作業性を向上させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある態様は、夫々電線を介して外部接続される複数のメス端子が配置されたメスコネクタと、複数の積層整列されたセルからなるセルユニットに組み付けられて前記各セルより突出する板状端子が配置されたオスコネクタとを有し、前記メスコネクタと前記オスコネクタがかん合することで、前記メス端子と前記板状端子が接続するセル電圧検出コネクタであって、前記オスコネクタは、前記板状端子を変形させてセル同士の積層による積み上げ公差を矯正する矯正手段を具備し、前記矯正手段は、前記複数の板状端子をそれぞれ挿通する複数の挿通孔と、それぞれの前記挿通孔から前記板状端子が挿入される側に向かって拡径するように形成されるガイド部と、を具備する。
また、前記板状端子は、前記複数のセルの積み上げ方向と沿った方向に幅広面が向くように設けられ、且つ積み上げ方向に沿って屈曲を伴って変形可能となる屈曲可能部を具備してもよい。
また、前記屈曲可能部は、前記板状端子の幅広面に形成された穴からなってもよい。
また、前記メスコネクタと前記オスコネクタは、それぞれ所定の極数からなるユニットに分割された複数のインナコネクタと、前記複数のインナコネクタを収容するホルダからなり、前記矯正手段は、分割された前記オスコネクタの各インナコネクタに備わってもよい。
また、前記オスコネクタと前記メスコネクタは、分割されたユニット単位でかん合の位置決めを行う調芯手段を備えてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、多数極のセル電圧検出コネクタにおいて、端子金具の配置に伴う累積公差を解消させ、作業性を向上させる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】発明の実施形態に係る、コネクタ・セットの斜視図である。
【図2】発明の実施形態に係る、コネクタ・セットの断面構造の一部を示す図である。
【図3】発明の実施形態に係る、メス端子ハウジングとメス端子とを示す図である。
【図4】発明の実施形態に係る、端子ピッチ公差矯正ハウジングとレセプタクル・ユニットが分離した状態を示す斜視図である。
【図5】発明の実施形態に係る、端子ピッチ公差矯正ハウジングとレセプタクル・ユニットとを組み付けた状態を示す斜視図である。
【図6】発明の実施形態に係る、端子ピッチ公差矯正ハウジングとレセプタクル・ユニットとの分離した状態と組み付けした状態とを示す図である。
【図7】発明の実施形態に係る、図6の一部領域を拡大しレセプタクル端子を示す図である。
【図8】発明の実施形態に係る、端子ピッチ公差矯正ハウジングについて、レセクタプル配置部の形状を分かりやすく示すために一部構造を取り除いて一部断面として示す斜視図である。
【図9】発明の実施形態に係る、レセプタクル端子を示す図である。
【図10】発明の実施形態に係る、レセプタクル・ユニットと端子ピッチ公差矯正ハウジングの取り付け態様を説明する図である。
【図11】従来技術に係る、コネクタ・ユニットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を、図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、200極の端子金具、特にレセプタクル端子(オス端子金具)の配置に関して、累積公差を矯正する技術について説明する。ここでは、複数の積層配列されたセルからなるセルユニットの電圧検出装置に用いられるセル電圧検出コネクタに適用する技術について例示する。一般に、200極のレセプタクル端子が配置されることで、累積する公差によって端子接続に不具合が生じるおそれがある。そのような状態で無理にかん合作業を行った場合、破壊を発生させてしまうこともある。このため、従来では、一括でオス端子金具をメス端子金具に挿入する構成は、現実的には成立しなかった。しかし、本実施形態では一括挿入可能とすべく、端子ピッチ公差矯正ハウジングを採用することで、200極のレセプタクル端子(オス端子金具)を必要に応じて座屈させ端子ピッチ公差を矯正させて、一括挿入可能とする。さらに、200極を20極毎に分割した構成としたことで、公差の累積を抑制する。さらにまた、分割した20極毎に調芯構造を有するこことで、公差の累積を分割した20極単位に収めている。また、レセプタクル端子を適正に座屈させるために、レセプタクル端子に穴を持たせている。そして、穴の形状を略四角形状とすることで、座屈させる際に、穴形状に作用する応力を適正に分散させ、亀裂等の破壊に対して配慮した形状を採用した。以下、具体的に説明する。
【0013】
図1は、本実施形態に係るコネクタ・セット1の概略外観を示す斜視図である。本実施形態では便宜的に、コネクタ・セット1の長手方向を左右方向とし、短手方向を前後方向として説明する。また、図2に、コネクタ・セット1の断面構造の一部を示す。なお、図2の断面構造は、図1の奥行き方向の中間部分を前後方向に分ける平面で切った構造の一部を示している。また、以降の図面において、断面部分については、図面が煩雑になる場合に、ハッチングを省略して示している。コネクタ・セット1は、セル電圧検出コネクタとして機能するものであって、図示で上側のメスユニット2と下側のオスユニット3とを備えて構成されている。メスユニット2とオスユニット3とをかん合させるときには、それぞれの両サイドに設けられた、かん合用凸部58をかん合用穴78に嵌め合わせて位置決めを行う。
【0014】
メスユニット2はメス端子40が配設される部品であり、オスユニット3はメス端子と接続されるレセプタクル端子94(図2参照)が配設される部品である。メスユニット2とオスユニット3とを適正にかん合させることで、図示上側のメス端子40に図示下側のレセプタクル端子94が接続される。なお、メスユニット2及びオスユニット3の各構成部品は、メス端子40とレセプタクル端子94とを除き、樹脂成型品であるため、原則として、累積公差は発生しない。また、各レセプタクル端子94は、複数の積層配列されたセルのそれぞれから突出している。したがって、セル同士の積層による積み上げ公差(累積公差)が、レセプタクル端子94の位置に反映される。
【0015】
具体的には、メスユニット2は、メス端子40と、メス端子ハウジング30と、メスハウジングホルダ50とを備える。このメスユニット2は、20極のメス端子40を収容するメス端子ハウジング30を一単位として、10個のメス端子ハウジング30を保持するように構成されている。つまり、メス端子40は、全体で200極収容される。また、オスユニット3は、レセプタクル・ユニット90と、端子ピッチ公差矯正ハウジング10とを備えている。より具体的には、20極のレセプタクル端子94を備えたレセプタクル・ユニット90に、それらレセプタクル端子94が挿入されることでレセプタクル・ユニット90が一体に取り付けられる組を一単位(1セット)として、10セットがレセプタクルユニットホルダ70に収容される。
【0016】
図3にメス端子ハウジング30とメス端子40とを示す。図示のように、メス端子40は、端子金具42と、端子金具42に接続されるケーブル44とを備える。端子金具42は、一般的な箱状の形状を有し、板状のレセプタクル端子94を下側から内部に挿入し接続状態を保持する機能を有する。
【0017】
一つのメス端子ハウジング30は、20極のメス端子40(端子金具42)を収容する為に、20個の端子収容部36が設けられている。なお、上述した図2に、端子収容部36にメス端子40が収容された状態の断面構造が示されている。メス端子40は、端子収容部36に上から挿入され保持される。図2に示すように、端子収容部36の下側には、オス端子であるレセプタクル端子94を端子金具42に挿入可能とするガイド付きの開口(溝)38が形成されている。そして、図3に示すように、隣り合うメス端子40は、端子収容部36に挿入される位置が前後交互に入れ替わり、したがって、ケーブル44の端子収容部36からの延出位置が前後交互になっている。
【0018】
また、メス端子ハウジング30の前後の側面には、幅方向の中心位置に断面突状の調芯突部34が形成されている。調芯突部34において、下側端部が三角形になっている。この調芯突部34は、オスユニット3の端子ピッチ公差矯正ハウジング10に設けられたひろい部16に作用し、メスユニット2がオスユニット3にかん合するときのガイド手段及び位置決め手段(調芯手段)として機能する。具体的なかん合時の作用については後述する。
【0019】
つぎに、図4〜8を参照して端子ピッチ公差矯正ハウジング10及びレセプタクル・ユニット90について説明する。図4は、端子ピッチ公差矯正ハウジング10とレセプタクル・ユニット90が分離した状態を示した斜視図である。なお、図4(a)は、通常視の斜視図であり、図4(b)は図4(a)について本実施形態について特有の構造につき隠れている部分を一部破線で示している。図5(a)及び(b)は、図4(a)及び(b)に対応して端子ピッチ公差矯正ハウジング10とレセプタクル・ユニット90とを組み付けた状態を示している。また、図6(a)及び(b)は、端子ピッチ公差矯正ハウジング10とレセプタクル・ユニット90との分離した状態と組み付けした状態とをそれぞれ正面図として示している。さらに、図7は、レセプタクル・ユニット90に着目して示した斜視図であり、図7(a)は、図6(a)の領域A1部分のレセプタクル端子94の状態を示し、図7(b)は図6(b)の領域A2部分のレセプタクル端子94の状態を示している。
【0020】
レセプタクル・ユニット90は、主に図7に示すように、ベース部92に20極の導電性の板状体(金属板)であるレセプタクル端子94が、隣接するレセプタクル端子94同士が幅広面を対向させて、所定間隔で一列に配置されている。
【0021】
図9(a)にレセプタクル端子94を示す。図9(a)や図7に示すように、一つのレセプタクル端子94は、ベース部92に取り付けられる側のレセプタクル根元部95と、メス端子40に接続される側のレセプタクル前部96とから構成されている。レセプタクル根元部95とレセプタクル前部96とは、けがき部98及び屈曲用穴97によって領域が分けられる。より具体的には、レセプタクル端子94の幅広面の上下の中心より下側部分に屈曲用穴97が設けられている。そして、屈曲用穴97の両サイドには、けがき部98が左右方向に端部まで延びて形成されている。屈曲用穴97及びけがき部98の部分で必要に応じて座屈(屈曲)できるようになっている。つまり、レセプタクル端子94は、複数のセルの積み上げ方向と沿った方向に幅広面が向くように設けられ、且つ、積み上げ方向に沿って屈曲を伴って変形可能になっている。
【0022】
図9(b)には、比較例として、円形の屈曲用穴197を有するレセプタクル端子194を示している。図9(a)と同様に、レセプタクル根元部195とレセプタクル前部196とは、けがき部198及び屈曲用穴197によって領域が分けられる。図9(b)に示すように、屈曲用穴197が円形の場合、応力集中が発生して亀裂等の不具合が起きることがある。そこで、図9(a)に示すように、屈曲用穴97を四角形とすることにより、応力を適正に分散できる。つまり、レセプタクル端子94が屈曲方向(けがき部98の形成方向)に対して、境界が直角になるような形状とすることで、応力の分散ができる。
【0023】
図8は、端子ピッチ公差矯正ハウジング10について、レセクタプル配置部20の形状を分かりやすく示すために一部構造を取り除いて一部断面とした斜視図を示している。端子ピッチ公差矯正ハウジング10は、断面略U字状であり、上側が開口となっている。より具体的には、底部11と、底部11から延出する前側及び後側の側壁13とを備える。左右の両サイドには、壁面が設けられていない。
【0024】
側壁13の側壁内面14には、ひろい部16と調芯かん合部17とが、連続して凹状に設けられている。詳細には、調芯かん合部17は、側壁内面14の左右中心部分に底部11から所定幅の凹状形状が上方に直線上に延びて形成されている。その所定幅は、メス端子ハウジング30の調芯突部34の幅に相当する。また、調芯かん合部17の高さは、例えば、側壁13の1/3程度である。さらに、調芯かん合部17の上端部分から、一対のひろい部16が、斜め外方向に向かって互いの距離を広げるように形成されている。
【0025】
端子ピッチ公差矯正ハウジング10の底部11には、20極のレセプタクル端子94を適正位置に配置するためのレセクタプル配置部20が20個形成されている。具体的には、一つのレセクタプル配置部20は、底部11を連通する溝形状となっており、レセプタクル・ガイド部21とレセクタプル挿入溝部22とから構成されている。
【0026】
レセプタクル・ガイド部21は、断面が三角形であって前後方向に延びる溝形状を有している。ここで、レセプタクル・ガイド部21の高さは、底部11の厚さの概ね1/2であり、底部外面12に三角形の底面を開口部とする形状を呈している。したがって、20個のレセプタクル・ガイド部21が連続して形成されることから、断面形状は鋸歯状になっている。さらに、レセプタクル・ガイド部21の上端部分(断面三角形状の頂部)から底部内面15に垂直に連通するレセクタプル挿入溝部22が形成されている。20極分のレセクタプル挿入溝部22は、所定間隔で形成されている。
【0027】
図7(a)に示したレセプタクル・ユニット90が端子ピッチ公差矯正ハウジング10に取り付けられ場合、つまり、レセプタクル端子94がレセクタプル挿入溝部22に挿入される場合、公差の累積によってレセプタクル端子94のレセクタプル挿入溝部22への挿入位置がずれていても、レセプタクル端子94のレセプタクル前部96が、レセプタクル・ガイド部21によってレセクタプル挿入溝部22へ案内される。さらに、図2や図7(b)で示した様な状態で、レセプタクル端子94は屈曲用穴97とけがき部98の部分で座屈し、レセクタプル挿入溝部22に挿入され底部内面15から垂直に突き出ることができる。そして、座屈することで、レセプタクル端子94は、左右方向の累積公差が矯正されるため、メス端子ハウジング30のメス端子40との接続が確実になされる。
【0028】
つづいて、レセプタクル・ユニット90と端子ピッチ公差矯正ハウジング10の取り付けについて主に図10を参照して詳細に説明する。
【0029】
図10(a)が、端子ピッチ公差矯正ハウジング10とレセプタクル・ユニット90との結合前の状態を示し、図6(a)の状態に対応している。そして、レセプタクル・ユニット90において、ベース部92に取り付けられたレセプタクル端子94では、図示で一番右側のレセプタクル端子94は取り付け位置の誤差(公差)が無く、一番左側のレセプタクル端子94は取り付け位置の誤差(公差)が一番大きくなっている。
【0030】
図10(b)は、端子ピッチ公差矯正ハウジング10とレセプタクル・ユニット90との結合途中の状態を示している。上述のごとく、左側及び真ん中のレセプタクル端子94は、累積公差による取り付け位置の誤差の関係上、レセクタプル挿入溝部22に直接挿入することができない位置にある。この状態では、ちょうど左側のレセプタクル端子94がレセプタクル・ガイド部21に当たっている。一方、図示で真ん中及び右側のレセプタクル端子94は、レセプタクル・ガイド部21に当たっていない。
【0031】
ここで、レセプタクル・ガイド部21がレセクタプル挿入溝部22に向かって斜めに形成されている。したがって、端子ピッチ公差矯正ハウジング10をレセプタクル・ユニット90の方へ移動させると、レセプタクル・ガイド部21に当接したレセプタクル端子94は、レセプタクル・ガイド部21へ押しつけられる力によって、撓みながらその先端部をレセクタプル挿入溝部22へ向ける。
【0032】
そして、レセプタクル端子94が全てレセクタプル挿入溝部22に挿入されると、図10(c)や図7(b)に示すように、レセプタクル根元部95とレセプタクル前部96の境界として形成されている屈曲用穴97及びけがき部98で座屈した状態となっている。上述のように、レセクタプル挿入溝部22は、公差が実質ない状態で樹脂成形されている。そのため、端子ピッチ公差矯正ハウジング10がレセプタクル・ユニット90に取り付けられると、レセクタプル挿入溝部22から底部内面15へ突き出たレセプタクル端子94(レセプタクル前部96)は、公差が無い状態に矯正された状態になる。その結果、メスユニット2とオスユニット3のかん合は円滑に行われ、メス端子40とレセプタクル端子94との接続が200極一括で行われても、不具合が発生することはない。その結果、作業効率の向上が実現でき、さらに、部品を一つ一つ組み付ける作業に伴う誤作業(誤組み付け等)を防止できる。
【0033】
以上、本発明を実施形態を基に説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素及びその組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。例えば、実施形態では、レセプタクル端子94を屈曲させたが、撓ませるように変形させて誤差を矯正するようにしてもよい。また、レセプタクル端子94は、屈曲するために屈曲用穴97とけがき部98とを備えたが、材料の特性や想定される応力の大きさに応じていずれかのみとしてもよいし、また、それらの大きさ等が適宜変更されてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 コネクタ・セット
2 メスユニット
3 オスユニット
10 端子ピッチ公差矯正ハウジング
11 底部
13 側壁
16 ひろい部
17 調芯かん合部
20 レセクタプル配置部
21 レセプタクル・ガイド部
22 レセクタプル挿入溝部
30 メス端子ハウジング
36 端子収容部
40 メス端子
42 端子金具
50 メスハウジングホルダ
70 レセプタクルユニットホルダ
78 かん合用穴
90 レセプタクル・ユニット
94 レセプタクル端子
95 レセプタクル根元部
96 レセプタクル前部
97 屈曲用穴
98 けがき部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
夫々電線を介して外部接続される複数のメス端子が配置されたメスコネクタと、複数の積層整列されたセルからなるセルユニットに組み付けられて前記各セルより突出する板状端子が配置されたオスコネクタとを有し、前記メスコネクタと前記オスコネクタがかん合することで、前記メス端子と前記板状端子が接続するセル電圧検出コネクタであって、
前記オスコネクタは、前記板状端子を変形させてセル同士の積層による積み上げ公差を矯正する矯正手段を具備し、
前記矯正手段は、
前記複数の板状端子をそれぞれ挿通する複数の挿通孔と、
それぞれの前記挿通孔から前記板状端子が挿入される側に向かって拡径するように形成されるガイド部と、を具備する
ことを特徴とするセル電圧検出コネクタ。
【請求項2】
前記板状端子は、前記複数のセルの積み上げ方向と沿った方向に幅広面が向くように設けられ、且つ積み上げ方向に沿って屈曲を伴って変形可能となる屈曲可能部を具備することを特徴とする請求項1に記載のセル電圧検出コネクタ。
【請求項3】
前記屈曲可能部は、前記板状端子の幅広面に形成された穴からなることを特徴とする請求項2に記載のセル電圧検出コネクタ。
【請求項4】
前記メスコネクタと前記オスコネクタは、それぞれ所定の極数からなるユニットに分割された複数のインナコネクタと、前記複数のインナコネクタを収容するホルダからなり、
前記矯正手段は、分割された前記オスコネクタの各インナコネクタに備わることを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載のセル電圧検出コネクタ。
【請求項5】
前記オスコネクタと前記メスコネクタは、分割されたユニット単位でかん合の位置決めを行う調芯手段を備えることを特徴とする請求項4に記載のセル電圧検出コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−69476(P2012−69476A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215290(P2010−215290)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】