説明

セレン分析装置及びセレン分別定量方法

【課題】排水中の4価セレンと6価セレンとを迅速かつ正確にそれぞれの濃度が測定可能なセレン分析装置及びセレンの分別定量法を提供する。
【解決手段】セレン分析装置10は、4価及び6価セレンを含む排水11から採取した試料の一部を、前記4価セレンと前記6価セレンとを分別するセレン分離部12と、前記試料の他の一部を、有機還元剤14と酸16と光触媒17とを含有する溶液に供給して紫外光18を照射し、前記6価セレンと前記4価セレンとを金属セレン、セレン化水素に還元するセレン還元部19と、酸21と還元剤23とにより、前記4価セレン又は前記金属セレンをセレン化水素に還元するセレン水素化部24と、前記セレン水素化部24において還元されたセレン化水素を分析し、前記4価セレン濃度と全セレンの濃度を測定するセレン分析部25とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4価及び6価セレンが溶解した溶液中の4価及び6価セレンのそれぞれの濃度の測定可能なセレン分析装置及びセレンの分別定量法に関する。
【背景技術】
【0002】
水道水などの上水や各種排水などの水質基準においてはセレン(Se)の濃度が規定されており、セレン(Se)の排水基準は0.1mg/lと規定されている。そのため、このようなセレン(Se)を含む排水の処理方法として、触媒還元法、微生物還元法及び薬注処理法等の様々な処理法がある。
【0003】
また、例えば製錬所、火力発電所において燃焼される石炭及び重油中には、セレン(Se)を高濃度含有する種類があり、ガス化したセレン(Se)の一部が脱硫吸収液に吸収されることにより、セレン(Se)を含有した排水が基準値を満たさなくなるため、排水処理が必要になる。
【0004】
また、セレンには4価、6価の形態があり、4価セレン(Se4+)は鉄などの水酸化物と共沈処理が可能であり比較的容易に処理できる形態であるが、6価セレン(Se6+)は難処理性の形態である。また、4価セレン(Se4+)と6価セレン(Se6+)とでは、最適処理条件が異なる場合が多く、適切な処理方法の確立のため、溶液中における4価セレン(Se4+)と6価セレン(Se6+)との分別定量が必要である。
【0005】
セレン(Se)を形態ごとに分別定量する方法として、試料液中のセレン化合物をイオン交換クロマトグラフィー装置のイオン交換分離カラムに溶離液と共に通液することにより化合物ないし存在形態毎に分離し、セレン含有量を定量する方法がある(特許文献1)。
【0006】
また、4価セレン(Se4+)及び6価セレン(Se6+)が溶解した溶液中の4価セレン濃度を測定し、別途4価セレン(Se4+)及び6価セレン(Se6+)が溶解した溶液の6価セレン(Se6+)を4価セレン(Se4+)に還元し、4価セレン(Se4+)と6価セレン(Se6+)の合計量である全セレン濃度を測定し、得られた4価セレン濃度と全セレン濃度から4価セレン(Se4+)及び6価セレン(Se6+)の各々の濃度を算出する方法がある(特許文献2)。
【0007】
【特許文献1】特開平11−2623号公報
【特許文献2】特開平11−142387号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、4価セレン(Se4+)と6価セレン(Se6+)の合計量である全セレン濃度を測定する際、4価セレン(Se4+)及び6価セレン(Se6+)の還元が十分行われないと、排水中の全セレン濃度を正確に測定できない場合がある。そのため、排水中の4価セレン濃度及び6価セレン濃度を正確に定量できない、という問題がある。この結果、排水処理での必要な薬品の添加量を排水に供給できず、セレンの排水基準である0.1mg/l以下に常時満たすことができない、という問題がある。
【0009】
本発明は、前記問題に鑑み、排水中の4価セレン(Se4+)と6価セレン(Se6+)とを迅速かつ正確にそれぞれの濃度が測定可能なセレン分析装置及びセレンの分別定量法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、4価及び6価セレンを含む排水の一部を抜き出し、前記排水中に含まれる前記4価セレンと前記6価セレンとを分別するセレン分離部と、前記排水の他の一部を抜き出し、有機還元剤供給部より供給された有機還元剤と、第一の酸供給部より供給された酸と、光触媒とを含有する溶液に供給して紫外光を照射して前記排水中に含まれる前記6価セレンと前記4価セレンとを金属セレン又はセレン化水素に還元するセレン還元部と、第二の酸供給部より供給された酸と、還元剤供給部より供給された還元剤とにより、前記セレン分離部及び前記セレン還元部より供給された前記4価セレン又は前記金属セレンをセレン化水素に還元するセレン水素化部と、前記セレン水素化部において還元されたセレン化水素を分析し、前記排水中に含まれる前記4価セレンの濃度と、前記排水中に含まれる前記4価セレンと前記6価セレンとの全セレンの濃度を測定するセレン分析部とを有することを特徴とするセレン分析装置にある。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、前記セレン分離部が、前記排水中の前記4価セレンと前記6価セレンとを分離するイオン交換分離カラムであることを特徴とするセレン分析装置にある。
【0012】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記光触媒が、二酸化チタン、三酸化タングステン、白金担持二酸化チタンの何れか一つ又はこれらの組み合わせであることを特徴とするセレン分析装置にある。
【0013】
第4の発明は、第1乃至第3の発明の何れか一つにおいて、前記有機還元剤が、蟻酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、メタノール、エタノール、グリコール、フェノールの何れか一つ又はこれらの組み合わせであることを特徴とするセレン分析装置にある。
【0014】
第5の発明は、第1乃至第4の発明の何れか一つにおいて、前記酸が、硝酸、塩酸の何れか一つ又はこれらの組み合わせであることを特徴とするセレン分析装置にある。
【0015】
第6の発明は、第1乃至第5の発明の何れか一つにおいて、前記紫外光が、300〜400nmの波長の光であることを特徴とするセレン分析装置にある。
【0016】
第7の発明は、第1乃至第6の発明の何れか一つにおいて、前記還元剤が、水素化ホウ素ナトリウムであることを特徴とするセレン分析装置にある。
【0017】
第8の発明は、第1乃至第7の発明の何れか一つにおいて、前記セレン分析部が、セレン濃度を高感度で分析する水素化物発生−プラズマ発光分光分析計、又は水素化物発生−原子吸光分析計であることを特徴とするセレン分析装置にある。
【0018】
第9の発明は、第1乃至第8の発明の何れか一つにおいて、前記セレン分析部において、測定された前記4価セレンの濃度及び前記4価セレンと前記6価セレンとの全セレンの濃度から前記6価セレンの濃度を定量する制御装置を有することを特徴とするセレン分析装置にある。
【0019】
第10の発明は、4価及び6価セレンを含む排水を採取し、前記排水の一部を前記排水中に含まれる前記4価セレンと前記6価セレンとをイオン交換分離カラムを用いて分離し、分離された前記4価セレンを酸と還元剤とから溶液に供給してセレン化水素に還元し、前記4価セレンの濃度を測定を行うと共に、前記排水の他の一部を光触媒を含有する有機還元剤と酸とからなる溶液に供給して紫外光を照射し、前記排水中に含まれる前記6価セレン及び前記4価セレンを金属セレン又はセレン化水素に還元し、前記4価セレンと前記6価セレンとの全セレンの濃度の測定を行い、全セレンの濃度及び前記4価セレンの濃度から前記6価セレンの濃度の定量を行うことを特徴とするセレン分別定量方法にある。
【0020】
第11の発明は、第10の発明において、前記光触媒が、二酸化チタン、三酸化タングステン、白金担持二酸化チタンの何れか一つ又はこれらの組み合わせであることを特徴とするセレン分別定量方法にある。
【0021】
第12の発明は、第10又は第11の発明において、前記有機還元剤が、蟻酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、メタノール、エタノール、グリコール、フェノールの何れか一つ又はこれらの組み合わせであることを特徴とするセレン分別定量方法にある。
【0022】
第13の発明は、第10乃至第12の発明の何れか一つにおいて、前記酸が、硝酸、塩酸の何れか一つ又はこれらの組み合わせであることを特徴とするセレン分別定量方法にある。
【0023】
第14の発明は、第10乃至第13の発明の何れか一つにおいて、前記紫外光が、300〜400nmの波長の光であることを特徴とするセレン分別定量方法にある。
【0024】
第15の発明は、第10乃至第14の発明の何れか一つにおいて、前記還元剤が、水素化ホウ素ナトリウムであることを特徴とするセレン分別定量方法にある。
【0025】
第16の発明は、第10乃至第15の発明の何れか一つにおいて、セレン濃度を水素化物発生−プラズマ発光分光分析計、又は水素化物発生−原子吸光分析計を用いて分析することを特徴とするセレン分別定量方法にある。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、前記セレン還元部において、有機還元剤と酸と光触媒とを含有する溶液に前記排水から抜き出した試料の一部を供給して紫外光(UV)を照射することにより、前記排水中に含まれる前記4価セレン(Se4+)と前記6価セレン(Se6+)とを金属セレン又はセレン化水素(H2Se)に迅速に還元することができるため、精度良く確実に前記4価セレン(Se4+)と前記6価セレン(Se6+)とを定量することができる。これにより、セレンの排水基準を常に維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【実施例】
【0028】
本発明による本実施例に係るセレン分析装置について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施例に係るセレン分析装置を示す概略図である。
図1に示すように、本実施例に係るセレン分析装置10は、4価セレン(Se4+)及び6価セレン(Se6+)を含む排水11から採取した試料の一部を抜き出し、前記排水11中に含まれる前記4価セレン(Se4+)と前記6価セレン(Se6+)とを分別するセレン分離部12と、前記試料の他の一部を抜き出し、有機還元剤供給部13より供給された有機還元剤14と、第一の酸供給部15より供給された酸16と、光触媒17とを含有する溶液に供給して紫外光(UV)18を照射して前記排水11中に含まれる前記6価セレン(Se6+)と前記4価セレン(Se4+)とを金属セレン(Se0)又はセレン化水素(H2Se)に還元するセレン還元部19と、第二の酸供給部20より供給された酸21と、還元剤供給部22より供給された還元剤23とにより、前記セレン分離部12及び前記セレン還元部19より供給された前記4価セレン(Se4+)又は前記金属セレン(Se0)をセレン化水素(H2Se)に還元するセレン水素化部24と、前記セレン水素化部24において還元されたセレン化水素(H2Se)を分析し、前記排水11中に含まれる前記4価セレン(Se4+)の濃度と、前記排水11中に含まれる前記4価セレン(Se4+)と前記6価セレン(Se6+)との全セレンの濃度を測定するセレン分析部25とを有するものである。
また、本実施例では、前記排水11から採取した試料が前記セレン還元部19に供給される系統を全セレン還元処理系統Aとし、前記セレン分離部12に供給される系統を分別処理系統Bとする。
【0029】
本実施例では、前記全セレン処理系統Aにおいて、試料供給ラインL0より供給された前記排水11の一部が分別処理ラインL1を介して前記セレン還元部19に供給され、前記排水11中に含まれる前記6価セレン(Se6+)及び前記4価セレン(Se4+)の全セレンを還元するようにしている。
【0030】
前記セレン還元部19は、有機還元剤14を供給する有機還元剤供給部13と、前記酸16を供給する第一の酸供給部15と、有機還元剤供給部13より供給された有機還元剤14と第一の酸供給部15より供給された前記酸16と二酸化チタン(TiO2)とを含有する溶液を収容するセレン還元槽26とからなるものである。
【0031】
また、本実施例では、前記有機還元剤14として蟻酸(HCOOH)を用いている。この蟻酸(HCOOH)を添加することにより、前記排水11中に含まれる前記6価セレン(Se6+)と前記4価セレン(Se4+)との還元効果を促進することができる。
【0032】
また、本実施例では、前記酸16として塩酸(HCl)を用いている。この塩酸(HCl)を添加することにより、前記排水11中に含まれる前記6価セレン(Se6+)と前記4価セレン(Se4+)との還元効果を促進することができる。
【0033】
前記セレン還元槽26内の前記溶液に紫外光(UV)18を照射することにより、前記排水11中に含まれる前記6価セレン(Se6+)と前記4価セレン(Se4+)とは、金属セレン(Se0)又はセレン化水素(H2Se)に還元される。
【0034】
即ち、前記6価セレン(Se6+)は、以下の数式(I)のように前記4価セレン(Se4+)に還元される。
SeO42- + 2H+ + 2e- → SeO32- + H2O ・・・(I)
【0035】
そして、前記4価セレン(Se4+)は、以下の数式(II)のように前記金属セレン(Se0)に還元される。
SeO32- + 6H+ → Se0 + 3H2O ・・・(II)
【0036】
更に、前記金属セレン(Se0)は、以下の数式(III)、(IV)のように前記セレン化水素(H2Se)に水素化して還元される。
Se0 + 2e- → Se2- ・・・(III)
Se2- + 2H+ → H2Se ・・・(IV)
【0037】
このように、蟻酸(HCOOH)と塩酸(HCl)と酸化チタン(TiO2)とを含有する溶液に紫外光(UV)を照射することにより、前記排水11中に含まれる前記6価セレン(Se6+)と前記4価セレン(Se4+)とを金属セレン(Se0)又はセレン化水素(H2Se)に短時間で還元することができる。
【0038】
前記排水11中に含まれる前記6価セレン(Se6+)と前記4価セレン(Se4+)とを全て短時間で還元することにより、セレン化水素(H2Se)に還元して前記排水11中に含まれる前記4価セレン(Se4+)のセレン濃度と前記6価セレン(Se6+)のセレン濃度とをそれぞれ測定することができるため、前記排水11中に含まれる前記4価セレン(Se4+)と前記6価セレン(Se6+)との全セレン濃度を正確に測定することができる。
【0039】
そして、前記セレン還元部19において、前記4価セレン(Se4+)と前記6価セレン(Se6+)とが金属セレン(Se0)に還元された場合、金属セレン(Se0)は金属セレン供給ラインL2-1を介して前記セレン水素化部24に供給されるようにしている。
【0040】
また、前記セレン還元部19において、前記4価セレン(Se4+)と前記6価セレン(Se6+)とが前記セレン化水素(H2Se)まで還元された場合、前記セレン化水素(H2Se)はセレン水素化物供給ラインL2-2を介して直接前記セレン分析部25に供給されるようにしている。
【0041】
ここで、セレン還元部19において前記4価セレン(Se4+)と前記6価セレン(Se6+)とからなる全セレンを還元した試験結果について説明する。
【0042】
図2は、試験に用いた装置の構成を示す構成図である。
図2に示すように、試験装置30は、前記6価セレン(Se6+)を含有する試料溶液31を入れる反応槽32と、該反応槽32内に紫外光(UV)照射を行う高圧水銀ランプ33とからなる。また、前記反応層32内を前記試料溶液31の冷却用に水(H2O)34を循環させるようにし、不活性ガスとして窒素ガス(N2)35を用いて前記反応層32内に供給するようにした。
また、前記反応層32はスターラー36の上に設置し、前記反応層32内に攪拌子37を入れて回転させ、前記試料溶液31中の前記6価セレン(Se6+)が前記試料溶液31中で均一となるように前記試料溶液31を攪拌した。
また、発生したセレン化水素(H2Se)を捕集する吸収液として硫酸銅溶液(CuSO4)38を用いた。
これら前記反応槽32と前記高圧水銀ランプ33と硫酸銅溶液(CuSO4)38とは簡易ドラフト39内で試験を行なった。
また、紫外光(UV)を発生させる前記高圧水銀ランプ33には、「UM−102」(USHIO製)を使用し、高圧水銀ランプ電源40により前記高圧水銀ランプ33の点灯の調整を行なった。
また、照射した紫外光(UV)の波長は、例えば254(nm)とした。
【0043】
試験開始してから30分、60分、90分経過時点で前記試料溶液31中の前記4価セレン(Se4+)と前記6価セレン(Se6+)とのセレン濃度(mg/l)を測定した。また、発生したセレン化水素(H2Se)を捕集した硫酸銅溶液(CuSO4)38の液の色を確認した。
【0044】
試験に用いた光触媒と、前記試料溶液31の液量(ml)と、前記試料溶液31中の前記6価セレン(Se6+)の濃度(mg/l)と、用いた有機還元剤及びその濃度(nmol)と、紫外光(UV)照射の有無と、塩酸(HCl)の添加の有無とを表した試験条件を表1に示す。
【0045】
【表1】

【0046】
試験開始してから30分、60分、90分経過後の前記試料溶液31中の前記4価セレン(Se4+)と前記6価セレン(Se6+)とのセレン濃度(mg/l)と発生したセレン化水素(H2Se)を捕集した硫酸銅溶液(CuSO4)38の液色を表1に示す。
また、本試験例のうち、表1の試験例1乃至試験例4の試験開始時間(min)と前記6価セレン(Se6+)の濃度(mg/l)との関係を表した関係図を図3に示す。
【0047】
表1に示すように、試験開始時に10(mg/l)あった前記6価セレン(Se6+)のセレン濃度(mg/l)が、試験開始から30分経過後には減少していることが確認された。特に、白金担持二酸化チタン(Pt‐TiO2)を光触媒として用い、蟻酸(HCOOH)を有機還元剤として用い、紫外光(UV)を照射した試験例2では、前記6価セレン(Se6+)のセレン濃度(mg/l)が試験開始から30分経過後には5.1(mg/l)に減少していることが確認された。
【0048】
また、試験開始から60分経過以降は前記6価セレン(Se6+)のセレン濃度(mg/l)が、1.0(mg/l)以下に減少していることが確認された。また、前記4価セレン(Se4+)のセレン濃度(mg/l)も試験開始から30分経過以降は1.0以下に減少していることが確認された。
【0049】
また、白金担持二酸化チタン(Pt‐TiO2)を光触媒として用い、蟻酸(HCOOH)を有機還元剤として用い、塩酸(HCl)を加え酸性溶液とし、紫外光(UV)を照射した試験例4と、二酸化チタン(TiO2)を光触媒として用い、蟻酸(HCOOH)を有機還元剤として用い、塩酸(HCl)を加え酸性溶液とし、紫外光(UV)を照射した試験例6では、試験開始から30分経過以降は前記6価セレン(Se6+)のセレン濃度(mg/l)がすでに1.0以下に減少していることが確認された。また、前記4価セレン(Se4+)のセレン濃度(mg/l)も試験開始から30分経過以降は1.0以下に減少していることが確認された。
【0050】
よって、本試験結果より、光触媒として二酸化チタン(TiO2)又は白金担持二酸化チタン(Pt‐TiO2)を用い、蟻酸(HCOOH)を有機還元剤として用いて紫外光(UV)を照射することにより、試験開始から30分程度での前記6価セレン(Se6+)の還元処理が可能であることが確認された。
【0051】
また、光触媒と有機還元剤とを含有する溶液に更に塩酸(HCl)を加え酸性溶液とすることにより、前記6価セレン(Se6+)の還元反応が迅速化することが確認された。
【0052】
また、本試験において、前記4価セレン(Se4+)がほとんど確認されなかったことから、前記6価セレン(Se6+)から前記4価セレン(Se4+)に還元され金属セレン(Se0)への還元反応が瞬時に行われていると考えられる。
【0053】
また、試験例7及び試験例8において、発生したセレン化水素(H2Se)を捕集した硫酸銅溶液(CuSO4)38にセレン化銅(I)(Cu2Se)の黒色沈殿が生成したことが確認された。
【0054】
よって、本試験結果より、硫酸銅溶液(CuSO4)にセレン化銅(I)(Cu2Se)の黒色沈殿が生成されたことから、金属セレン(Se0)からセレン化水素(H2Se)への還元反応も行われていることが確認された。
【0055】
また、本実施例では、前記4価セレン(Se4+)及び前記6価セレン(Se6+)の還元する方法として光触媒を用いているが、本発明はこれに限定されるものでなく、例えば、塩酸添加−煮沸還元による公定法に基づく方法、微生物利用還元法、触媒による還元処理法、第一鉄イオン還元法、ヒドラジン還元法、銅板置換と鉄粉置換と消石灰中和を組み合わせた方法等の還元剤添加による還元処理法を用いるようにしてもよい。
【0056】
また、本実施例では、前記光触媒17として、二酸化チタン(TiO2)又は白金担持二酸化チタン(Pt‐TiO2)を用いているが、本発明はこれに限定されるものでなく、例えば、三酸化タングステン(WO3)を用いても良く、二酸化チタン(TiO2)、三酸化タングステン(WO3)、白金担持二酸化チタン(Pt‐TiO2)の何れかの組み合わせを用いるようにしてもよい。
【0057】
また、本実施例では、前記有機還元剤14として、蟻酸(HCOOH)を用いているが、本発明はこれに限定されるものでなく、例えば、酢酸(CH3COOH)、シュウ酸(((COOH)2))、クエン酸(C687)等の有機カルボン酸、メタノール(CH3OH)、エタノール(C25OH)、エチレングリコール((CH2OH)2)、フェノール(C65OH)等のヒドロキシル有機カルボン酸の何れか一つ又はこれらの組み合わせを用いるようにしてもよい。
【0058】
また、本実施例では、前記酸16として、塩酸(HCl)を用いているが、本発明はこれに限定されるものでなく、例えば、硝酸(HNO3)又はこれらの組み合わせを用いるようにしてもよい。
【0059】
また、本実施例では、前記紫外光(UV)18は、光触媒の効果を効率的に発揮させるようにするためにするため、300〜400nmの波長の光であることが好ましい。
【0060】
また、本実施例は、前記分別処理系統Bにおいて、試料供給ラインL0より供給された前記排水11の一部が分別処理ラインL3を介して前記セレン分離部12に供給され、前記排水11中に含まれる前記4価セレン(Se4+)を還元し、前記4価セレン(Se4+)の定量を行うようにしている。
また、前記分別処理系統Bには前記セレン分離部12としてイオン交換分離カラム41を設けている。
【0061】
イオン交換樹脂(好ましくは強塩基性アニオン交換樹脂)を充填したイオン交換クロマトグラフィーの前記イオン交換分離カラム41に溶離槽42から供給される溶離液43に前記試料を供給し、前記試料を含んだ前記溶離液43を用いて通液する。これにより、各々のセレン化合物とイオン交換樹脂との親和性が異なるため、前記試料液中のセレン化合物毎に分離することができる。例えば、前記の各セレン化物イオン又はセレン酸素酸イオンの強塩基性アニオン交換樹脂への親和性は、Se2-<SeO32- <SeO42- である。
【0062】
このように、イオン交換分離カラム41を用いて前記排水11中の前記4価セレン(Se4+)であるSeO32-と前記6価セレン(Se6+)であるSeO42-とを分離することにより、分離された前記6価セレン(Se6+)のセレン化物イオンを排出し前記4価セレン(Se4+)のセレン化物イオンのみを取り出すことができる。これにより、後述するように前期セレン水素化部24において前記4価セレン(Se4+)を水素化し、前記セレン分析部25においてセレン濃度を測定することができる。
【0063】
そして、前記イオン交換分離カラム41において分離された前記4価セレン(Se4+)は4価セレン供給ラインL4を介して前記セレン水素化部24に供給されるようにしている。
【0064】
また、前記溶離液43として、例えば水酸化ナトリウム溶液(NaOH)などのアルカリ溶液を用いる。
【0065】
また、前記試料は、必要に応じて塩酸、硝酸又は硫酸等の酸を添加すること等により酸性とすることにより、セレン化合物は試料液中で電離した状態で存在させるようにすることができる。
【0066】
また、本実施例は、前記セレン分離部12より4価セレン供給ラインL4を介して供給された前記4価セレン(Se4+)と、前記セレン還元部19より金属セレン供給ラインL2-1を介して供給された前記金属セレン(Se0)とを水素化するために、酸21を供給する第二の酸供給部20と還元剤23を供給する還元剤供給部22とを有する前記セレン水素化部24を設けるようにしている。また、不活性ガス供給部44より不活性ガス45を前記セレン水素化部24に供給するようにしている。本実施例では前記不活性ガス45としてアルゴン(Ar)ガスを用いている。
【0067】
前記セレン水素化部24において前記セレン分離部12より4価セレン供給ラインL4を介して供給された前記4価セレン(Se4+)を第二の酸供給部20より供給された塩酸(HCl)と、還元剤供給部22より供給された水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)とにより、セレン化水素(H2Se)に還元するようにしている。
【0068】
また、前記セレン還元部19より金属セレン供給ラインL2-1を介して供給された前記金属セレン(Se0)を第二の酸供給部20より供給された塩酸(HCl)と、還元剤供給部22より供給された水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)とにより、セレン化水素(H2Se)に還元するようにしている。
【0069】
また、本実施例では、前記第二の酸供給部20より供給する前記酸21として、塩酸(HCl)を用いているが、本発明はこれに限定されるものでなく、例えば、硝酸(HNO3)又はこれらの組み合わせを用いるようにしてもよい。
【0070】
また、本実施例では、前記還元剤供給部22より供給する前記還元剤23として、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)を用いているが、本発明はこれに限定されるものでなく、他の還元剤を用いるようにしてもよい。
【0071】
また、本実施例では、前記不活性ガス45として、アルゴン(Ar)ガスを用いているが、本発明はこれに限定されるものでなく、窒素(N2)ガスを用いるようにしてもよい。
【0072】
また、本実施例は、前記セレン水素化部24において還元されたセレン化水素(H2Se)を分析し、前記排水11中に含まれる前記4価セレン(Se4+)の濃度と、前記排水中に含まれる前記4価セレン(Se4+)と前記6価セレン(Se6+)との全セレンの濃度を測定する前記セレン分析部25を設けるようにしている。
【0073】
これにより、前記セレン分離部12から供給され前記セレン水素化部24において還元されたセレン化水素(H2Se)のセレンの濃度を分析することができるため、前記排水中に含まれる前記4価セレン(Se4+)の濃度を測定することができる。
【0074】
また、前記セレン還元部19から供給され前記セレン水素化部24において還元されたセレン化水素(H2Se)及び前記セレン還元部19から供給されたセレン化水素(H2Se)のセレンの濃度を分析することができるため、前記排水中に含まれる前記4価セレン(Se4+)及び6価セレン(Se6+)の全セレンの濃度を測定することができる。
【0075】
また、本実施例にかかるセレン分析装置10は前記セレン分析部25に制御装置(CPU)46を有しており、前記制御装置46により測定された前記4価セレン(Se4+)の濃度及び前記4価セレン(Se4+)と前記6価セレン(Se6+)との全セレンの濃度から前記6価セレン(Se6+)の濃度を定量するようにしている。
【0076】
このようにして、測定された前記4価セレン(Se4+)及び6価セレン(Se6+)の全セレンの濃度の値と前記4価セレン(Se4+)の濃度の値とを測定することにより6価セレン(Se6+)の濃度を定量することができる。
【0077】
また、本実施例では、前記セレン分析部25として、水素化物発生原子吸光分析計又は水素化物発生プラズマ発光分光分析計を用いているが、本発明はこれに限定されるものでなく、例えば、プラズマ発光質量分析計、液体クロマト−プラズマ発光−質量分光分析計等を用いるようにしてもよい。
【0078】
また、本実施例では、セレン化水素(H2Se)は前記4価セレン(Se4+)と塩酸(HCl)、ホウ素化水素ナトリウム(NaBH4)と水酸化ナトリウム溶液(NaOH)の反応によってのみ生成し、排水中に共存する塩素イオン(Cl-)、硫酸化物イオン(SO42-)、硝酸化物イオン(NO3-)及び6価セレン(Se6+)の影響は受けないため、これらセレン化水素(H2Se)以外のものをドレイン47として排出してもセレン化水素(H2Se)のセレン濃度を正確に分析することができる。
【0079】
このように、本実施例によれば、前記排水中の前記6価セレン(Se6+)を迅速に全て還元することができるため、前記4価セレン(Se4+)及び前記6価セレン(Se6+)の前記全セレン濃度を正確に測定することができるため、前記排水中の前記4価セレン濃度及び前記6価セレン濃度を正確に定量することができる。
【0080】
これにより、排水処理において必要な薬品の添加量を排水に供給でき、前記セレンの排水基準である0.1mg/l以下に常時満たすことができる。
【0081】
本発明に係るセレン分析装置は、例えばセレンを含む排水のみならず、その他の金属、重金属(水銀、砒素等)等の有害成分を含む排水の分析についても用いることができる。
【0082】
ここで、本発明の実施例に係るセレン分析装置を用いた排水中のセレンを処理する排ガス処理システムについて、図4を参照して説明する。
図4は、排ガス処理システムの構成を示す概念図である。
図4に示すように、本実施例に係るセレン分析装置を用いた排ガス処理システム50は、蒸気タービンを駆動する蒸気を発生させるボイラ51と、該ボイラ51からの前記排ガス52中の煤塵を除去する電気集塵装置(EP)53と、除塵された前記排ガス52中のSOxを希硫酸(H2SO4)へ脱硫反応させる脱硫装置54と、該脱硫装置54から脱硫された浄化ガス55を外部へ排出する煙突56と、前記脱硫装置54から排出された排水中のセレン濃度を分析するセレン分析装置10を具備してなる。また、前記セレン分析装置10は、本発明の実施例1に係るセレン分析装置10と同様であるため、ここでは説明は省略する。
【0083】
ここで、前記ボイラ51では、例えば、火力発電設備の図示しない蒸気タービンを駆動するための蒸気を発生させるために、石炭や重油等の燃料が炉で燃焼されるようになっている。前記ボイラ51の前記排ガス52には硫黄酸化物(SOx)が含有され、排ガス11は図示しない脱硝装置で脱硝されてガスヒータで冷却された後に電気集塵装置(EP)53で除塵されている。
【0084】
そして、前記脱硫装置54において前記排ガス52中の脱硫を行ない、脱硫された前記排ガス52は前記浄化ガス55となり、前記煙突56から排出される。
【0085】
また、前記脱硫装置54において脱硫に用いた給水は排水57として排出される。そして、前記脱硫装置54から排出された排水57は、セレン分析装置10において前記排水57の一部を採取して前記排水57中に含まれる4価セレン(Se4+)のセレン濃度と4価セレン(Se4+)と6価セレン(Se6+)の合計量である全セレンのセレン濃度の分析を行い、前記排水57中に含まれる4価セレン(Se4+)及び6価セレン(Se6+)のセレン濃度の定量を行う。
【0086】
前記4価セレン(Se4+)のセレン濃度及び全セレンのセレン濃度が分析された結果、前記排水57中に含まれる4価セレン(Se4+)及び6価セレン(Se6+)のセレン濃度の値が基準値以上である場合には、排水処理58を行った後排出する。
【0087】
また、前記セレン分析装置10において分析された前記排水57中に含まれる4価セレン(Se4+)及び6価セレン(Se6+)のセレン濃度の値が基準値以下である場合には、そのまま前記排水57を排出する。
【0088】
このように、本実施例に係るセレン分析装置を用いた排ガス処理システムによれば、前記排水中の前記6価セレン(Se6+)を金属セレン(Se0)又はセレン化水素(H2Se)に迅速に全て還元することにより、前記4価セレン(Se4+)及び前記6価セレン(Se6+)の前記全セレン濃度を正確に測定することができるため、前記排水中の前記4価セレン濃度及び前記6価セレン濃度を正確に定量することができる。
【0089】
これにより、排水処理において必要な薬品の添加量を排水に供給でき、前記セレンの排水基準である0.1mg/l以下に常時満たすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
以上のように、本発明に係るセレン分析装置及びセレンの分別定量法は、有機還元剤と酸と光触媒とを含有する溶液に前記排水から抜き出した試料の一部を供給して紫外光(UV)を照射することにより、前記排水中に含まれる前記4価セレン(Se4+)と前記6価セレン(Se6+)とを金属セレン(Se0)又はセレン化水素(H2Se)に迅速に還元することができるため、排水中の4価セレン濃度及び6価セレン濃度を正確に定量するのに用いて適している。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本実施例に係るセレン分析装置を示す概略図である。
【図2】試験に用いた装置の構成を示す構成図である。
【図3】表1の試験例1乃至試験例4の試験開始時間(min)と前記6価セレン(Se6+)の濃度(mg/l)との関係を表した関係図である。
【図4】排ガス処理システムの構成を示す概念図である。
【符号の説明】
【0092】
10 セレン分析装置
11 排水
12 セレン分離部
13 有機還元剤供給部
14 有機還元剤
15 第一の酸供給部
16 酸
17 光触媒
18 紫外光(UV)
19 セレン還元部
20 第二の酸供給部
21 酸
22 還元剤供給部
23 還元剤
24 セレン水素化部
25 セレン分析部
26 セレン還元槽
30 試験装置
31 試料溶液
32 反応槽
33 高圧水銀ランプ
34 水(H2O)
35 窒素ガス(N2
36 スターラー
37 攪拌子
38 硫酸銅溶液(CuSO4
39 簡易ドラフト
40 高圧水銀ランプ電源
41 イオン交換分離カラム
42 溶離槽
43 溶離液
44 不活性ガス供給部
45 不活性ガス
A 全セレン還元処理系統
B 分別処理系統
0 試料供給ライン
1 分別処理ライン
2-1 金属セレン供給ライン
2-2 セレン水素化物供給ライン
3 分別処理ライン
4 4価セレン供給ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
4価及び6価セレンを含む排水の一部を抜き出し、前記排水中に含まれる前記4価セレンと前記6価セレンとを分別するセレン分離部と、
前記排水の他の一部を抜き出し、有機還元剤供給部より供給された有機還元剤と、第一の酸供給部より供給された酸と、光触媒とを含有する溶液に供給して紫外光を照射して前記排水中に含まれる前記6価セレンと前記4価セレンとを金属セレン又はセレン化水素に還元するセレン還元部と、
第二の酸供給部より供給された酸と、還元剤供給部より供給された還元剤とにより、前記セレン分離部及び前記セレン還元部より供給された前記4価セレン又は前記金属セレンをセレン化水素に還元するセレン水素化部と、
前記セレン水素化部において還元されたセレン化水素を分析し、前記排水中に含まれる前記4価セレンの濃度と、前記排水中に含まれる前記4価セレンと前記6価セレンとの全セレンの濃度を測定するセレン分析部とを有することを特徴とするセレン分析装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記セレン分離部が、前記排水中の前記4価セレンと前記6価セレンとを分離するイオン交換分離カラムであることを特徴とするセレン分析装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記光触媒が、二酸化チタン、三酸化タングステン、白金担持二酸化チタンの何れか一つ又はこれらの組み合わせであることを特徴とするセレン分析装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一つにおいて、
前記有機還元剤が、蟻酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、メタノール、エタノール、グリコール、フェノールの何れか一つ又はこれらの組み合わせであることを特徴とするセレン分析装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一つにおいて、
前記酸が、硝酸、塩酸の何れか一つ又はこれらの組み合わせであることを特徴とするセレン分析装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一つにおいて、
前記紫外光が、300〜400nmの波長の光であることを特徴とするセレン分析装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一つにおいて、
前記還元剤が、水素化ホウ素ナトリウムであることを特徴とするセレン分析装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一つにおいて、
前記セレン分析部が、セレン濃度を高感度で分析する水素化物発生−プラズマ発光分光分析計、又は水素化物発生−原子吸光分析計であることを特徴とするセレン分析装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一つにおいて、
前記セレン分析部において、測定された前記4価セレンの濃度及び前記4価セレンと前記6価セレンとの全セレンの濃度から前記6価セレンの濃度を定量する制御装置を有することを特徴とするセレン分析装置。
【請求項10】
4価及び6価セレンを含む排水を採取し、
前記排水の一部を前記排水中に含まれる前記4価セレンと前記6価セレンとをイオン交換分離カラムを用いて分離し、分離された前記4価セレンを酸と還元剤とから溶液に供給してセレン化水素に還元し、前記4価セレンの濃度を測定を行うと共に、
前記排水の他の一部を光触媒を含有する有機還元剤と酸とからなる溶液に供給して紫外光を照射し、前記排水中に含まれる前記6価セレン及び前記4価セレンを金属セレン又はセレン化水素に還元し、前記4価セレンと前記6価セレンとの全セレンの濃度の測定を行い、
全セレンの濃度及び前記4価セレンの濃度から前記6価セレンの濃度の定量を行うことを特徴とするセレン分別定量方法。
【請求項11】
請求項10において、
前記光触媒が、二酸化チタン、三酸化タングステン、白金担持二酸化チタンの何れか一つ又はこれらの組み合わせであることを特徴とするセレン分別定量方法。
【請求項12】
請求項10又は11において、
前記有機還元剤が、蟻酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、メタノール、エタノール、グリコール、フェノールの何れか一つ又はこれらの組み合わせであることを特徴とするセレン分別定量方法。
【請求項13】
請求項10乃至12の何れか一つにおいて、
前記酸が、硝酸、塩酸の何れか一つ又はこれらの組み合わせであることを特徴とするセレン分別定量方法。
【請求項14】
請求項10乃至13の何れか一つにおいて、
前記紫外光が、300〜400nmの波長の光であることを特徴とするセレン分別定量方法。
【請求項15】
請求項10乃至14の何れか一つにおいて、
前記還元剤が、水素化ホウ素ナトリウムであることを特徴とするセレン分別定量方法。
【請求項16】
請求項10乃至15の何れか一つにおいて、
セレン濃度を水素化物発生−プラズマ発光分光分析計、又は水素化物発生−原子吸光分析計を用いて分析することを特徴とするセレン分別定量方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−76253(P2008−76253A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−256371(P2006−256371)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】