説明

セロオリゴ糖を含有する冷菓

【課題】本発明は、セロオリゴ糖を含有し、低カロリーで保形性に優れた冷菓を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明は、セロオリゴ糖を配合することで、低カロリーで保形性に優れた冷菓を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セロオリゴ糖を含有し、低カロリーで保形性に優れた冷菓に関する。
【背景技術】
【0002】
セロオリゴ糖は、腸内細菌叢改善などの様々な生理活性効果を有し、且つ、難消化性で低カロリーであることからも、その用途展開が望まれる食品素材の1つである。
アイスクリーム類をはじめとする冷菓は、需要の高い食品組成物の1つである。しかしながら、糖分や脂肪分などを多く含有し、高カロリーであるために、一般消費者、特に生活習慣病あるいはその予備軍とされる消費者にとっては、摂取量が制限される場合も多い。
【0003】
上記問題を解決する手段として、高甘味度甘味料の利用が提案されているが、その味質が不自然であることや、糖類の配合効果による保形性等の物性維持が困難であることから、単純に低カロリーであるという理由で置き換えることはできない。
特許文献1には、セロオリゴ糖を配合した食品組成物に関する記述があるが、冷菓に関する記載はなく、その目的も味質改善であり、本発明とは内容を異にする。
【0004】
特許文献2には、β−グルコオリゴ糖を配合した食品組成物に関する記述があるが、その実態はゲンチオオリゴ糖であり、本発明のセロオリゴ糖とは化学構造の異なる、別の物質である。またゲンチオオリゴ糖が配合された、ヨーグルトアイスの記載があるが、その効果は味質改善であり、本発明の保形性改善等に関しては、何ら言及されていない。
特許文献3には、ある特定の水不溶性天然セルロース系物質を、セルラーゼの存在下で酵素分解して得られた、セロオリゴ糖を含むことを特徴とする食品組成物や医薬品組成物の記載がある。しかしながら、具体的にセロオリゴ糖を含有する食品組成物や医薬品組成物の例は示されておらず、その効果の実態は不明である。
【0005】
特許文献4には、セロオリゴ糖を含有する食品組成物についての記載があるが、冷菓については何ら言及されていない。
特許文献5には、オリゴ糖を配合することによる、冷菓の食感改善効果(柔らかさの付与)についての発明とあるが、セロオリゴ糖に関しては全く記載が無く、本発明とは内容を異にする。
【0006】
【特許文献1】特開2002−223721号公報
【特許文献2】特開2002−335903号公報
【特許文献3】WO/2006/011479
【特許文献4】WO/2007/037249
【特許文献5】特開2003−250455号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、セロオリゴ糖を含有し、低カロリーで保形性に優れた冷菓を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、セロオリゴ糖を配合することで、低カロリーで保形性に優れた冷菓を提供できることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち本発明は、以下の通りである。
【0009】
(1) セロオリゴ糖を含有することを特徴とする冷菓。
(2) セロオリゴ糖におけるセロビオース含有量が90質量%以上である、(1)に記載の冷菓。
(3) セロオリゴ糖の配合量が0.001〜40質量%である、(1)または(2)に記載の冷菓。
(4) さらに0.0001〜10質量%の高甘味度甘味料を含有する、(1)から(3)の何れかに記載の冷菓。
(5) アイスクリーム類である、(1)から(4)の何れかに記載の冷菓。
(6) ソフトクリームである、(5)に記載の冷菓。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、セロオリゴ糖を含有し、低カロリーで保形性に優れた冷菓を提供することを可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明者は、セロオリゴ糖を配合することで、低カロリーで保形性に優れた冷菓を提供できることを見出し、本発明をなすに至った。
以下、本発明について具体的に説明する。
【0012】
本発明のセロオリゴ糖とは、グルコピラノース単位が2〜6個程度、β−1,4結合した構造を持つオリゴ糖であり、セロビオース、セロトリオース、セロテトラオース、セロペンタオースおよびセロヘキサオースからなる群より選択される主成分を、50質量%以上含有する。この主成分とその含有量としては、セロビオースを70質量%以上含有することが好ましく、90質量%以上であれば、さらに好ましい。これは上述のセロオリゴ糖主成分の中で、溶解度はセロビオースが最も高く扱いやすいからである。
また上述のセロオリゴ糖は、副成分としてグルコースを含有しても構わないが、吸湿性やカロリーの問題から、含有量は10質量%以下であることが好ましい。
【0013】
本発明のセロオリゴ糖の製造方法としては、特に規定するものではないが、安全性の点からは、パルプをはじめとするセルロース系物質を、セルラーゼで酵素分解して得られるものを使用するのが好ましい。
本発明におけるセロオリゴ糖の、主たる成分であるセロビオースのエネルギー換算係数は、2kcal/gであり、難消化性糖質である。昨今の消費者の健康志向からみて、品質改良を目的に、高カロリーの消化性糖質を使用することは問題がある。
ここで言う消化性糖質とは、健康増進法に基づく、健康表示基準対応のエネルギー換算係数が、4kcal/gの糖質であり、トレハロースなどがこれに含まれる。
【0014】
ここで言うセルラーゼとは、セルラーゼを分解する酵素の総称であり、セルロースの分解活性を有する酵素が全て含まれる。セルラーゼ酵素源は、特に限定されるものではないが、例えばセルラーゼ産生菌体、菌体の産生する酵素を精製したもの、精製酵素を添加剤等とともに製剤化したものなどがあげられる。またその剤形も、特に限定されるものではないが、例えば液体、粉末、顆粒などがある。
さらに、本発明のセロオリゴ糖の甘味度は、30程度であり、高甘味度甘味料とは異なり、自然な甘みを有する。
【0015】
セルラーゼの起源についても、特に限定されるものではなく、公知のセルラーゼ産生微生物としては、Tricoderma属、Acremonium属、Aspergillus属、Bacillus属、Pseudomonas属、Penicillium属、Aeromonus属、Irpex属、Sporotrichum属、Humicola属、Cellovibrio属などがあるが、セルロースを分解する酵素であれば、上記公知の菌由来の酵素に限らず、新規の菌由来の酵素も、本発明でいうセルラーゼに含まれる。
【0016】
本発明におけるセロオリゴ糖の配合量は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.001〜40質量%、さらに好ましくは0.1〜20質量%である。0.001質量%未満であると効果が現れにくい場合があり、40質量%を超えると冷菓の物性に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0017】
本発明の冷菓とは、氷点下に冷やして供される菓子であれば、特に限定されるものではないが、例えば、アイスクリーム類や氷菓などがあげられる。
ここで言うアイスクリーム類とは、食品衛生法に基づく「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(以下、乳等省令と言う)で規定され、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイスに分類される。上述の乳等省令に合致するものであれば、特に限定されるものではないが、その形状としては、例えば、カップ充填された固形タイプ、ソフトクリームのような半液状タイプ、ソフトクリームミックスやアイスクリームミックスのような液状タイプなどがあげられる。
【0018】
ここで言うアイスクリーム類の製造方法は、特に限定されるものではないが、一般的には、各原料を配合し、加温・溶解・混合工程を経た後、さらにろ過、均質化、殺菌処理、冷却(5℃以下)、香料添加、熟成(エージング)、フリージング、容器充填、包装、硬化(−20℃〜−40℃)などの工程を経て製造される。
上述のフリージング工程を経たものが、そのままソフトクリームとして提供される場合もある。一般にソフトクリームの性状は、軟らかく滑らかであり、その組成は、乳等省令におけるアイスクリーム類の規格を満たすものが大部分である。
【0019】
ただし本発明においては、乳等省令に定める原料である、牛、山羊、めん羊等に由来する乳に加え、「羊、馬、水牛、ラクダなど、他の動物から得られる乳」、人乳、「豆乳などの植物から得られる乳」など、由来の異なる乳も原料として使用することが可能である。
【0020】
ここで言う氷菓とは、食品衛生法に基づく厚生省告示である「食品、添加物等の規格基準(以下、規格基準と言う)」により規定される。上述の規格基準における、氷菓の規格に合致するものであれば、特に限定されるものではないが、アイスキャンディー、シャーベット、ジェラート、ソルベ、スムージー、かき氷、水まんじゅうなどの多くが、これに該当する。
【0021】
冷菓の製造において、フリージングにより、冷却しながら攪拌しミックスに空気を混合させる際、ミックスに対する空気の含有率(%)のことをオーバーランという。本発明の冷菓におけるオーバーランは、特に規定されるものではないが、通常は10〜200%程度である。この中でも一般消費者の嗜好を考慮した場合、例えば、固形タイプのアイスクリーム類で40〜150%、ソフトクリームで30〜80%、シャーベットで20〜60%、ジェラートで20〜40%程度になるように、商品設計することが好ましい。
【0022】
また本発明の冷菓には、必要に応じて0.0001〜10質量%の高甘味度甘味料を含有させることができる。本発明の高甘味度甘味料とは、砂糖と比較して、数倍〜数万倍程度の甘味度を持ち、例えば、サッカリン、サッカリンNa、アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース、甘草抽出物、ステビア、ソーマチン、グリチルリチン、ネオテームなどがあげられる。
【0023】
本発明の冷菓における保形性とは、耐ヒートショック性のことをさす。一般に、冷菓の保存中に温度変化(温度の上がり下がり)が発生すると、氷結晶が成長して食感にざらつきが生じる現象が起こる。この現象がヒートショックと呼ばれるものである。つまり耐ヒートショック性とは、この氷晶の成長を抑制する機能、つまり、「氷晶成長防止機能」と同義の性質のことである。ただし例外的に、上述の冷菓がソフトクリームである場合の保形性は、耐ドリップ性のことをさすものとする。
【0024】
本発明の冷菓には、本発明の効果を妨げない限りにおいて、上記の成分以外に、後述の食品素材、食品添加物、医薬品、医薬品添加物などを適宜配合しても良い。
ここで言う食品素材とは、一般に食品の原材料として使用される素材のことであり、薬事法で規定される医薬品および医薬部外品と、食品衛生法で規定される食品添加物を除き、飲食に供される全てのものが含まれる。
ここで言う食品添加物とは、食品の加工もしくは保存の目的で添加される物質のことである。
【0025】
食品添加物の例としては、厚生労働省の「指定添加物リスト」、「既存添加物名簿収載品目リスト」、「天然香料基原物質リスト」、「一般に食品として飲食に供させている物であって添加物として使用される品目リスト」などに収載される食品添加物や、JECFAなどの国際機関で安全性が確認されたもの、米国・欧州などの諸外国で使用が認可されている食品添加物などがあげられ、保存料・日持向上剤、酸化防止剤、甘味料、着色料・色素、乳化剤、増粘ゲル化剤、品質改良剤、調味料、酸味料、強化剤、香料、酵素などに分類される。
食品素材や食品添加物の例としては、以下のようなものがあげられる。
【0026】
ここで言う食品素材としては、例えば、果実・野菜およびそのエキス類、果実・野菜加工品(フルーツプレパレーション、フルーツソース、ジャム等)、乾燥果実(干しぶどう、干しパイナップル等)、ナッツ・種子類(くるみ、ピーナッツ、アーモンド、マカデミアナッツ、ピーカンナッツ、カシューナッツ、大豆、ゴマ、芥子、ゴマ等)、豆類(大豆、いんげん豆、うずら豆、グリーンピース、うぐいす豆、小豆等)、カカオ・チョコレート類(チョコレート、ココア、カカオマス、チョコレートソース等)、シロップ類(メープルシロップ、キャラメルソース、蜂蜜等)、茶類(抹茶、緑茶、紅茶、ウーロン茶等)、牛乳、加工乳、豆乳、果汁、野菜汁、卵類(液卵、全卵粉末、卵黄粉末、卵白粉末、メレンゲ等)、ココア末、糖や糖アルコール類、肉や魚のエキス類、タンパク質、ペプチド、アミノ酸類、食物繊維、天然由来高分子(コラーゲン、ヒアルロン酸、天然繊維等)、ビタミン類、生理活性物質(コエンザイムQ10、α−リポ酸、β−グルカン、セラミド等)、澱粉類、デキストリン、油脂類(サラダ油、ゴマ油、ラード、菜種油、ショートニング等)、アルコール類、塩類(食塩、Caなどのミネラル類等)、調味料(醤油、味噌、酢、みりん、砂糖、マヨネーズ、ドレッシング、タレ、豆板醤、ソース類等)、香辛料(シナモン、コショウ、わさび、唐辛子等)、酒類(ブランデー、ウイスキー、ウォッカ、ラム等)などがあげられる。
【0027】
保存料・日持向上剤としては、例えば、例えば、過酸化水素、ソルビン酸およびソルビン酸K、デヒドロ酢酸Na、パラオキシ安息香酸エステル類、安息香酸および安息香酸Na、プロピオン酸およびその塩類、次亜塩素酸Na、酢酸、酢酸ナトリウム、グリシン、エチルアルコール、ポリリジンおよびその製剤、プロタミンおよびその製剤、リゾチームおよびその製剤、ペクチン分解物、アラニン、チアミンラウリル硫酸塩、ユッカフォーム抽出物、キトサンおよびその製剤、プロピレングリコールなどがあげられる。
酸化防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、L−アスコルビン酸およびアスコルビン酸Na、エリソルビン酸およびエリソルビン酸Na、ミックストコフェノールなどがあげられる。
【0028】
甘味料としては、例えば、上述の高甘味度甘味料、単糖類(アロース、タロース、グロース、グルコース、アルトロース、マンノース、ガラクトース、イドース、フルクトース、リボース、リキソース、キシロース、アラビノース、アピオース、エリトロース、トレオース、グリセルアルデヒド、セドヘプツロース、コリオース、プシコース、ソルボース、タガトース、リブロース、キシルロース、エリトルロース、ジヒドロキシアセトン等)、二糖類やオリゴ糖類(スクロース、トレハロース、コージビオース、ニゲロース、マルトース、イソマルトース、イソトレハロース、ソホロース、ラミナリビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、パラチノース、トレハルオース、フラクトオリゴ糖、パラチノースオリゴ糖、グリコシルスクロース、ラクトスクロース、テアンデロース、ガラクトシルラクトース、ラクチュロース、α−結合ガラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、パノース、ニゲロオリゴ糖、デキストリン、サイクロデキストリン、分岐サイクロデキストリン、ゲンチオオリゴ糖、キシロオリゴ糖、キチンオリゴ糖、キトサンオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ラフィノース、ビートオリゴ等)、糖アルコール類(グリセロール、エリスリトール、キシリトール、リビトール、アラビトール、ガラクチトール、ソルビトール、マンニトール、還元パラチノース、マルオトリイトール、イソマルトトリイトール、マルトテトライトール、イソマルトテトライトール等)、水飴、還元水飴、糖含有シロップ、液糖、糖蜜、蜂蜜などがあげられ、その化学構造や性状(固体、液体、顆粒など)は特に限定されない。
【0029】
着色料としては、β−カロチン色素、抽出カロチン色素、ビタミンB2、銅クロロフィルおよび銅クロロフィルNa、アナトー、アカキャベツ、アカダイコン、イカスミ、植物炭末、ウコン、エルダーベリー、カカオ、カロブ、クロロフィル、クチナシ黄、クチナシ青、クチナシ赤、グレープスキン、コチニール、コーリャン、シソ、シアナット、スピルリナ、タマリンド、タマネギ、トマト、パプリカ、ビートレッド、ブドウ果汁、ベニコウジ、ベニバナ黄、ベニバナ赤、マリーゴールド、ムラサキイモ、ムラサキコーン、ラック、カラメルなどがあげられる。
色素としては、例えば、赤色2号、赤色3号、赤色40号、赤色102号、赤色105号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、青色1号、青色2号、赤色3号レーキ、赤色40号レーキ、黄色4号レーキ、黄色5号レーキ、青色1号レーキ、青色2号レーキなどがあげられる。
【0030】
乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、PGエステル、ショ糖脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン類(レシチン、酵素分解レシチン、酵素処理レシチン等)、植物ステロールなどがあげられる。中でも、冷菓用乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン類を選択することが好ましい。
【0031】
増粘ゲル化剤としては、例えば、アルギン酸およびその塩(例えば、アルギン酸Naなど)、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロースカルシウム(以下、CMC−Caと言う)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(以下、CMC−Naと言う)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム、メチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、アーモンドガム、アラビアガム、キサンタンガム、アラビノガラクタン、エレミ樹脂、カラヤガム、ガッディガム、ダンマル樹脂、トラガントガム、モモ樹脂、アマシードガム、カシアガム、グアーガム、グアーガム分解物、ローカストビーンガム、タラガム、サイリウムシードガム、サバクヨモギシードガム、セスバニアガム、タマリンドシードガム、ジェランガム、トリアカンソスガム、カラギーナン、フクロノリ抽出物、ファーセルラン、アロエベラ抽出物、オクラ抽出物、キダチアロエ抽出物、トロロアオイ、ペクチン、アエロモナスガム、アウレオバシジウム培養液、アゾトバクター・ビネランジーガム、ウェランガム、エルウィニア・ミツエンシスガム、エンテロバクター・シマナスガム、エンテロバクターガム、カードラン、ジェランガム、スクレロガム、デキストラン、納豆菌ガム、プルラン、大豆多糖類、水溶性ヘミセルロース、カラギーナン、マクロホモプシスガム、ラムザンガム、レバン、酵母細胞壁、微小繊維状セルロースおよびその製剤、バクテリアセルロースおよびその製剤、結晶セルロースおよびその製剤、粉末セルロースおよびその製剤、キチン、キトサン、グルコサミン、オリゴグルコサミン、グルコマンナン、こんにゃく粉、寒天、デキストリン、分岐デキストリン、難消化性デキストリン、PGA、ポルフィラン、ファーセルラン、フコイダン、ゼラチンなどがあげられる。中でも、冷菓用増粘ゲル化剤としては、アルギン酸Na、CMC−Na、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、ジェランガム、カラギーナン、微小繊維状セルロースおよびその製剤、バクテリアセルロースおよびその製剤、結晶セルロースおよびその製剤を、選択することが好ましい。
【0032】
品質改良剤としては、ステアロイル乳酸Ca、フィチン酸、プロピレングリコール、リン酸Ca、リン酸Na、ピロリン酸Na、ポリリン酸Na、メタ・ヘキサリン酸Na、リン酸K、リン酸アンモニウム、リン酸、焼みょうばん、生みょうばん、ホエーたん白、カゼイン、カゼイネート、プラズマパウダー、粉末状大豆たん白、粉末状小麦たん白、ペースト状小麦たん白、EDTA塩類などがあげられる。
調味料としては、例えば、グルタミン酸Na、核酸系調味料、アミノ酸系調味料、エキス系調味料、酵母エキス、グリシン、アラニンなどがあげられる。
【0033】
酸味料としては、例えば、クエン酸およびその塩、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、アジピン酸、グルコン酸液、グルコノデルタラクトンなどがあげられる。
強化剤としては、例えば、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ニコチン酸およびニコチン酸アミド、葉酸、パトテン酸Ca、グルコン酸Ca、乳酸Ca、天然Ca、ミルクCaなどがあげられる。
【0034】
香料としては、例えば、ピーチフレーバー、オレンジフレーバー、レモンフレーバー等のフルーツフレーバー類、アロマフレーバー類、マルトール、フラネオール等のシュガーフレーバー類、ソトロン等のフレーバーエンハンサー類、フラボノイド類、カカオマス等のポリフェノール類、プリカーサーフレーバー類、ミートフレーバー類、コーヒーフレーバー類、ミルクフレーバー、メントール類、デカラクトン類などがあげられる。
酵素としては、例えば、αアミラーゼ、βアミラーゼ、グルコアミラーゼ、プルラナーゼ、グルコースイソメラーゼ、プロテアーゼ、レンネット、パンクレアチン、パパインなどがあげられる。
【0035】
ここで言う医薬品とは、薬事法に規定される医薬品をさす。つまり以下の(1)〜(3)に該当するものであり、医薬品薬効成分の多くがこれに含まれる。
(1)日本薬局方に収められている物
(2)人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であって、機械器具、歯科材料、医療用品及び衛生用品(以下「機械器具等」という。)でないもの(医薬部外品を除く。)
(3)人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であって、機械器具等でないもの(医薬部外品及び化粧品を除く。)
【0036】
ここで言う医薬品添加物とは、薬事法上の医薬品や医薬部外品に該当しない、医薬品製剤に含まれる有効成分以外の物質であり、「製剤化を容易にする」、「品質の安定化を図る」、「有用性を高める」などを目的として、医薬品や医薬部外品などに添加される物質の総称である。用途により、賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、矯味剤、香料、着色剤、甘味剤、溶剤、油脂、増粘剤、界面活性剤、ゲル化剤、安定剤、保存剤、緩衝剤、懸濁化剤、粘稠剤などに分類される。代表的な医薬品添加物は、「医薬品添加剤事典」(株式会社薬事日報社)、「医薬品添加物ハンドブック」(株式会社薬事日報社)などに収載されている。
【0037】
次に実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお本願発明にかかる物質の諸物性の評価は以下の手法に拠った。
<糖組成>
以下の条件で、糖組成分析を行った。
装置:高速液体クロマトグラフ「LC−20A型」(株式会社島津製作所製)
検出器:示差屈折率検出器(RI検出器)
カラム:「Asahipak NH2P−50」(昭和電工株式会社製)
カラム温度:40℃
移動相:アセトニトリル/水=75/25(容積比)
流量:1mL/min
【0038】
<エネルギー値>
冷菓100gあたりのエネルギー値(但し、食品添加物は除く)を、以下に示す原材料のエネルギー値の総和から求めた。
ここで、水あめ(3.2kcal/g)、脱脂粉乳(3.6kcal/g)、ヤシ油(9kcal/g)、加糖脱脂練乳(2.8kcal/g)、粉飴(3.9kcal/g)、無塩バター(7.5kcal/g)、ショ糖(4kcal/g)、セロオリゴ糖(2kcal/g)、フラクトオリゴ糖(2kcal/g、但しケストースの場合)である。
【0039】
<冷菓の耐ヒートショック性試験/食感評価(ザラツキ)>
製造した冷菓をカップに入れたまま、−25℃で24時間保存し、さらに5℃で10分間保存する操作を1セットとして、5セット繰り返したものをサンプルとして、健常男女各10名(計20名)による食感評価を実施し、氷結晶のザラツキ感を評価した。
評価は「5点/人」を持ち点として、以下の基準で点数化して合算し、100点満点で実施した。
5点:基準より顕著に良好(基準より顕著にザラツキが少ない)
4点:基準より良好(基準よりザラツキが少ない)
3点:基準と同等
2点:基準より劣る(基準よりザラツキを感じる)
1点:基準より顕著に劣る(基準より顕著にザラツキを感じる)
得られた合算値を、以下の基準にあてはめて評価を行った。
◎:基準より顕著に良好(75点≦合算値)
○:基準より良好(65点≦合算値<75点)
−:基準と同等(55点≦合算値<65点)
×:基準より劣る(合算値<55点)
【0040】
<ソフトクリームの耐ドリップ性試験>
25℃の雰囲気下で、コーンの上に成型したソフトクリームから、最初の溶解ドリップがコーンの側面へ流れ落ちるまでの時間(ドリップ時間)を測定し、耐ドリップ性を評価した。このドリップ時間が基準より長い場合、耐ドリップ性が改善されたと判断した。
【実施例】
【0041】
以下、本発明を実施例と比較例を示して、具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
実施例で使用する原材料について、次の(1)〜(9)に示す。
【0042】
(1)セロオリゴ糖の製造:普通寒天培地にTricoderma reesei、GL−1株(独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター、受領番号FERM BP−10323)を接種し、37℃で7日間培養後、その培地表面から胞子を1白金耳取り、ポリペプトン1g、酵母エキス0.5g、リン酸1カリウム2g、硫酸アンモニウム1.5g、硫酸マグネシウム0.3g、塩化カルシウム0.3g、トレースエレメント1mL(硼酸6mg、モリブデン酸アンモニウム4水和物26mg、塩化鉄(3)6水和物100mg、硫酸銅5水和物40mg、硫酸マンガン4水和物8mg、硫酸亜鉛7水和物200mgを全量100mLの精製水に溶解させたもの)、アデカノール1mL、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ株式会社製「セオラスPH−101」)10gを全量1Lの精製水に懸濁および溶解させた培地に植菌し、28℃で5日間通気攪拌培養した。
培養中は、水酸化ナトリウム水溶液を用いて、培地のpHを2.8〜4.7となるように調節した。培養後の液を遠心分離し、上清を目開き0.46μmの精密ろ過膜で除菌し、ろ液を分画分子量13000の限外ろ過膜(旭化成ケミカルズ株式会社製 「マイクローザペンシル型モジュール ACP−0013」)を使用して、容積比で10倍濃縮し粗酵素を得た。
【0043】
次に、市販針葉樹由来の溶解パルプを使用し、加水分解条件を塩酸濃度0.4%塩酸水溶液、120℃、1時間として、加水分解し、酸不溶性残渣を洗浄、ろ過し、ウェットケークを得た。このウェットケークをセルロース10%濃度の水分散体とし、超高性能分散機・湿式微粉砕機(アシザワ株式会社製、「パールミルRL」、φ1mmジルコニアビーズ使用 充填率80%)を使用し、圧密・磨砕処理を施し、セルロース微粒子分散体を得た。
この磨砕セルロースが2質量%、粗酵素をタンパク質濃度0.25%になるように50mM酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)に懸濁溶解させ、全量1000mLとし、ガラス製フラスコに仕込んだ。
【0044】
このガラス製フラスコを、55℃の水槽に仕込み、内部を攪拌しながら4時間反応させた。反応終了後、反応液を懸濁状態で300μL分注し、限外ろ過モジュール(分画分子量10000)を使用し、酵素、未分解セルロースを取り除いた後、高速液体クロマトグラフィーで糖濃度を分析した。該反応液の糖濃度は、グルコース0.3質量%、セロビオース1.5質量%であった。
該反応液を、分画分子量13000の限外ろ過膜(旭化成ケミカルズ株式会社製、「マイクローザペンシル型モジュール ACP−0013」)でろ過し、得られたろ液を陽・陰イオン交換樹脂で脱イオン処理し、70℃、減圧下で蒸留し、20倍の糖濃度の水溶液を得た。
【0045】
上記で得られたセロオリゴ糖水溶液100mLを、200mLのガラス製フラスコに導入し、攪拌しながら、毎時10℃の速度で、70℃から5℃まで冷却した後、エタノールを水に加え晶析した。水溶液中に晶出したセロオリゴ糖を、減圧ろ過、乾燥、粉砕、篩下し、セロオリゴ糖粉末を得た。得たれたセロオリゴ糖粉末の糖組成は、グルコース0.9質量%、セロビオース98.2質量%、セロトリオース0.4質量%、セロテトラオース0.2質量%であった。
【0046】
(2)ショ糖(三井製糖株式会社)
(3)スクラロース(三栄源エフ・エフ・アイ製)
(4)アスパルテーム(味の素株式会社)
(5)フラクトオリゴ糖(株式会社明治フードマテリア製、ケストース、「メイオリゴCR」)
(6)グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン株式会社製、食品添加物、「エマルジーSNP」)
(7)CMC−Na(第一工業製薬株式会社製、食品添加物)
(8)結晶セルロース製剤(旭化成ケミカルズ株式会社製、食品添加物、「セオラスRC−N81」)
(9)κ−カラギーナン(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、食品添加物)
【0047】
[実施例1]
表1の配合に従い、85℃の水に、グリセリン脂肪酸エステル、CMC−Na、ショ糖、セロオリゴ糖を添加し、回転型ホモジナイザー(プライミクス株式会社製、「T.K.ホモミクサー」)を使用して、6000rpmで10分間攪拌して溶解する。この溶液を40℃に調整し、水あめと脱脂粉乳を加え、さらに5分間攪拌を続ける。
この溶液を80℃まで加温後、さらに7000rpmで攪拌させながら、ヤシ油を加え、10分間攪拌する。
【0048】
上述の溶液を、さらに高圧ホモジナイザー(APV Gaulin社製、「15MR−8TA」)を使用し、15MPaの圧力で均質化した後、5℃で18時間エージングし、さらに−25℃で、フリージング・硬化させて、ラクトアイスAを製造した。エネルギー値は、132.6kcal/100gであり、比較例1よりも低カロリーであった。
表2に示す通り、保形性の指標である耐ヒートショック性は、比較例1の基準に対して顕著に改善されていた。
【0049】
[実施例2]
表1の配合に従って、実施例のセロオリゴ糖に加えスクラロースを配合し、実施例1と同様の方法で、ラクトアイスBを製造し、評価した。エネルギー値は、136.6kcal/100gであり、比較例1よりも低カロリーであった。
表2に示す通り、保形性の指標である耐ヒートショック性は、比較例1の基準に対して改善されていた。
【0050】
[実施例3]
表3の配合に従って、80℃の水に、CMC−Na、結晶セルロース製剤、κ−カラギーナン、ショ糖、セロオリゴ糖を添加し、実施例1の回転型ホモジナイザーを使用して、7000rpmで5分間攪拌した。さらにグリセリン脂肪酸エステルと脱脂粉乳を加え、5分間攪拌を続けた。次に、この溶液に加糖脱脂練乳、溶かした無塩バター、ヤシ油を加え、混合し、ろ過した。
上述の溶液を、実施例1の高圧ホモジナイザーを使用して、15MPaで1回、さらに10MPaでもう1回、均質化した後、UHT殺菌機(株式会社日阪製作所製)で、140℃で5秒間殺菌処理し、10℃まで冷却したものをソフトクリームミックスとした。
【0051】
上述のソフトクリームミックスを、ソフトクリームサーバー(日世株式会社製)に投入し、コーンの上に成型したものを、ソフトクリームCとした。エネルギー値は、148.7kcal/100gであり、基準である比較例3よりも低カロリーであった。
また表4に示す通り、保形性の指標である耐ドリップ性は、比較例3の基準に対して顕著に改善されていた。
【0052】
[実施例4]
表3の配合に従って、実施例3のセロオリゴ糖に加え、アスパルテームを添加して、実施例3と同様の方法で、ソフトクリームDを製造し、評価した。エネルギー値は、152.7kcal/100gであり、基準である比較例3よりも低カロリーであった。
また表4に示す通り、保形性の指標である耐ドリップ性は、比較例3の基準に対して改善がみられた。
【0053】
[比較例1]
表1の配合に従って、実施例1と同様の方法で、ラクトアイスXを製造し、評価した。エネルギー値は、146.6kcal/100gであった。
【0054】
[比較例2]
表1の配合に従って、セロオリゴ糖の代わりにフラクトオリゴ糖を使用して、実施例1と同様の方法で、ラクトアイスYを製造し、評価した。エネルギー値は、132.6kcal/100gであり、実施例1と同等であった。
しかしながら、表2に示す通り、比較例1の基準と比較して、耐ヒートショック性の改善は見られなかった。
【0055】
[比較例3]
表3の配合に従って、実施例3と同様の方法で、ソフトクリームZを製造し、評価した。エネルギー値は、160.7kcal/100gであり、実施例3および4と比較して、高カロリーであった。
また表4に示す通り、保形性の指標である耐ヒートショック性が、実施例3および4より劣っていた。
【0056】
【表1】

【0057】
【表2】

【0058】
【表3】

【0059】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、セロオリゴ糖を含有し、低カロリーで保形性に優れた冷菓を提供することを可能とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セロオリゴ糖を含有することを特徴とする冷菓。
【請求項2】
セロオリゴ糖におけるセロビオース含有量が90質量%以上である、請求項1に記載の冷菓。
【請求項3】
セロオリゴ糖の配合量が0.001〜40質量%である、請求項1または2に記載の冷菓。
【請求項4】
さらに0.0001〜10質量%の高甘味度甘味料を含有する、請求項1から3の何れかに記載の冷菓。
【請求項5】
アイスクリーム類である、請求項1から4の何れかに記載の冷菓。
【請求項6】
ソフトクリームである、請求項5に記載の冷菓。