説明

セロトニン作動性および/またはノルエピネフリン作動性の活性を有する置換フェネチルアミン

向精神病、不安障害、全般性不安障害、鬱病、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害、パニック障害、体のほてり、老年性認知症、片頭痛、肝肺症候群、慢性疼痛、侵害受容性疼痛、神経因性疼痛、有痛性糖尿病性網膜症、双極性鬱病、閉塞性睡眠時無呼吸、精神障害、月経前不快気分障害、対人恐怖、社会不安障害、尿失禁、拒食症、神経性大食症、肥満、虚血、頭部損傷、脳細胞カルシウム過負荷、薬物依存症、および/または早漏の治療および/または管理のための、モノアミン神経伝達物質の摂取に関する新規抑制剤およびその薬学的に許容可能な塩もしくはプロドラッグの化学合成および医学的用途を記載する。


(1)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
【化1】

【0002】
本出願は、2005年12月1日に出願された第60/741,315号、名称「SUBSTITUTED PHENETHYLAMINES WITH SEROTONINERGIC AND/OR NOREPINEPHRINERGIC ACTIVITY」、および2006年8月30日に出願された第60/841,366号、名称「SUBSTITUTED PHENETHYLAMINES WITH SEROTONINERGIC AND/OR NOREPINEPHRINERGIC ACTIVITY」に対して優先権を要求するものであり、それらは双方とも全体を参照することによって組み込まれる。
【0003】
(発明の背景)
発明の分野
本発明は、向精神病、不安障害、全般性不安障害、鬱病、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害、パニック障害、体のほてり、老年性認知症、片頭痛、肝肺症候群、慢性疼痛、侵害受容性疼痛、神経因性疼痛、有痛性糖尿病性網膜症、双極性鬱病、閉塞性睡眠時無呼吸、精神障害、月経前不快気分障害、対人恐怖、社会不安障害、尿失禁、拒食症、神経性大食症、肥満、虚血、頭部損傷、脳細胞カルシウム過負荷、薬物依存症、および/または早漏の処置および/または管理のための、モノアミン神経伝達物質ならびにその医薬的に許容可能な塩およびプロドラッグの摂取の抑制剤、その化学合成、およびかかる化合物の医学的用途に関連する。
【背景技術】
【0004】
(関連技術の説明)
血液に吸収された化学物質および栄養素を分解する、または可溶化を助長する試みにおいて、人体は、化学物質および栄養素と反応する種々の酵素(例えば、シトクロムP450酵素またはCYP、エステラーゼ、プロテアーゼ、レダクターゼ、デヒドロゲナーゼ、および同等物)を放出して、新規中間体または代謝産物を生成する。薬剤化合物の最も一般的な代謝反応の一部は、炭素−酸素(C−O)か、または炭素−炭素(C−C)π−結合への炭素−水素(C−H)結合の酸化を伴う。得られた代謝産物は、生理学的条件下で安定または不安定である場合があり、親化合物に対して、実質上異なる薬物動態的、薬力学的、急性的、および長期的毒性プロフィールを有することができる。大部分の薬物にとって、かかる酸化は概して急速であり、最終的に複数回投与または高日用量につながる。従って、かかる薬物の疑う余地のない差し迫った改善の必要性がある。
【0005】
化学反応速度論は、反応速度の研究である。化学において活性化エネルギーEactは、特定の化学工程を開始するために、組織に供給されなければならないエネルギーである。言い換えれば、これは、特定の化学反応が起こるために要求される最小エネルギーである。最低必要なエネルギーを保有する場合、適切に方向付けられた2つの分子間で反応は発生する。本取り組みにおいて、それぞれの分子の外殻電子は、反発力を誘発する。この反発力を克服するには、組織の熱、すなわち、それぞれの分子の翻訳エネルギー、振動エネルギー、および回転エネルギーに起因する、エネルギーの入力(すなわち、活性化エネルギー)を必要とする。十分なエネルギーが利用できる場合は、分子は、新しい物質を形成する結合の転位を引き起こすために必要な近接および配向を獲得することがある。
【0006】
活性化エネルギーと反応速度との間の関係は、エネルギー障壁を克服するために十分なエネルギーを有する分子の一部分、少なくとも活性化エネルギー、Eactに相当するエネルギーを有するものが、熱エネルギーk=Ae−Eact/RTに対する活性化度に指数関数的に依存することを提示するアレニウスの式によって定量化されることがある。この式では、RTは、分子が特定の温度Tで保有する熱エネルギーの平均値であり、式中、Rはモル気体定数、kは反応の速度定数、A(頻度因子)は、分子が正しい配向に衝突する確率に依存する、それぞれの反応に特有の定数である。
【0007】
反応における遷移状態は、元の結合が限界まで引き伸ばされる間の反応経路に従った束の間の状態(約10−14秒)である。定義によれば、反応するための活性化エネルギーEactは、その反応の遷移状態に達するために要求されるエネルギーである。複数のステップを伴う反応は、必然的に種々の遷移状態を有し、これらの場合では、反応するための活性化エネルギーは、反応物質と最も不安定な遷移状態との間のエネルギー差に相当する。遷移状態に達すると、分子は逆戻りする、つまり元の反応物質を形成するか、または新しい結合が形成され、結果として生成物を生成する。両方の経路、前方および後方は、エネルギーの放出をもたらすので、この二分法は可能となる。触媒は、遷移状態に導く活性化エネルギーを低下させることによって反応過程を促進する。酵素は、特定の遷移状態を達成するために必要なエネルギーを低下させる生物学的触媒の例である。
【0008】
炭素−水素結合は、生来、共有化学結合である。同様の電気陰性度の2つの原子が、それらの価電子のいくつかを共有し、それによって原子を結合させる力を創出する場合に、かかる結合が形成する。この力または結合強度は定量化することができ、エネルギーの単位で表され、従って、種々の原子の共有結合は、2つの原子結合または分離するために、どのくらいの量のエネルギーを結合に与えなければならないかにより、分類することができる。
【0009】
結合強度は、結合の基底状態の振動エネルギーの絶対値に正比例する。零点振動エネルギーとしても知られている、この振動エネルギーは、結合を形成する原子の質量に依存する。結合を構成する原子のうちの1つまたは双方の質量が増加するにつれて、零点振動エネルギーの絶対値は増加する重水素(D)は水素(H)より2倍大量なので、C−D結合は、対応するC−H結合より強力であるという結果になる。C−D結合を有する化合物は、HO中でしばしば無期限に安定しており、同位体研究に広く使用されてきた。C−H結合が、化学反応における律速ステップ(すなわち、最も高い遷移状態エネルギーを使用するステップ)の間に切断される場合は、重水素をその水素に置換することは、反応速度の低下を引き起こし、過程速度が減速する。この現象は、速度論的重水素同位体効果(DKIE)としても知られており、約1(同位体効果なし)から、重水素が水素に置換されると、反応が50倍以上遅くなる可能性のあることを意味する、50以上などの非常に大きな数に及ぶことができる。高DKIE値は、一部分において、不確定性原理の結果である、トンネル現象として知られている現象に起因する場合がある。トンネル現象は、水素原子の小さなサイズが原因であり、プロトンを含む遷移状態が、所要活性化エネルギーの非存在下で時々形成することができるために発生する。重水素は比較的大きく、統計的にこの現象を受ける確率が非常に低い。水素を三重水素に置換すると、重水素よりさらに強力な結合が得られ、数値的に大きな同位体効果を与える。
【0010】
1932年Ureyにより発見されたように、重水素(D)は安定しており、水素の非放射性同位体である。それは純型としてその元素から分離した最初の同位体であり、水素の2倍大量であり、地球上での水素の総質量(この慣用法では、すべての水素同位体を意味する)の約0.02%を構成する。2つの重水素が1つ酸素と結合する場合、酸化重水素(DOまたは「重水」)が形成される。DOは外観も味もHOに似ているが、異なる物理的性質を有する。その沸点は101.41℃で、凝固点は3.79℃である。熱容量、融解熱、気化熱、およびエントロピーはすべてHOより高い。さらに、より粘性があり、HOほど強力な溶媒ではない。
【0011】
三重水素(T)は、水素の放射性同位体であり、調査、核融合炉、中性子発生装置、および放射性医薬品に使用される。三重水素とリン光体を混合すると、腕時計、コンパス、ライフル照準器および出口標識に一般に使用されている技術、連続スペクトル光源が得られる。それは1934年にRutherford、OliphantおよびHarteckによって発見され、宇宙線がH分子と反応する場合に上層大気中に自然に発生する。三重水素は、中心部分に2つのニュートロンを有する水素原子であり、3に近い原子量を有する。無色無臭の液体であるTOに最も一般的に見られる極低濃度の環境で自然に発生する。三重水素はゆっくりと崩壊し(半減期=12.3年)、ヒト皮膚の外層に浸透することができない低エネルギーベータ粒子を放出する。内部被曝は、本同位体に関連する困難を引き起こす主な原因であるが、大量に取り込まざるを得ず、健康上の大きなリスクを引き起こす。
【0012】
純DOを齧歯動物に投与すると、直ちに吸収され、動物が消費する通常約80パーセントの濃度である均衡レベルに達する。毒性を誘発するために要求される重水素量は極めて高い。0から15%と同程度の体内水分がDOと置換された場合は、動物は健康ではあるが、対照(未処理)群ほど速く体重が増加することはない。15から20%のDOの間では、動物は興奮しやすくなる。20から25%では、動物は非常に興奮しやすいので、刺激を受けると頻繁に痙攣を起こす。皮膚損傷、足および鼻口部での潰瘍、ならびに尾部の壊死が見られる。さらに、動物は非常に攻撃的になり、雄はほとんど管理不能となる。30%では、動物は食べるのを拒否し、昏睡状態になる。体重は急激に減少し、代謝速度は正常よりはるかに下回るほど減少し、30から35%の置換では、死亡する場合がある。DOに起因して前体重の30パーセントよりも多く失われない限り、効果は可逆性である。さらに、研究報告書は、DOの使用は、癌細胞の増殖を遅らせ、特定の抗腫瘍薬の細胞毒性を増すことを示してきた。
【0013】
薬物動態学的(PK)、薬力学的(PD)、および毒性プロフィールを改善する調合薬の重水素化は、一部の薬物群により既に示してきた。例えば、DKIEは、塩化トリフルオロアセチルなどの反応種の生成を推定上限定することによって、ハロタンの肝毒性を低下させるのに使用された。しかしながら、本方法は、すべての薬物群に適用可能というわけではない。例えば、重水素混和は、結果として活性化第I相酵素(例えば、シトクロムP4503A4)からのより迅速なオフレイトを有する酸化中間体さえも生成することがある代謝交換をもたらすことができる。代謝交換の概念は、第I相酵素によって隔離される場合、異種は一時的に結合し、化学反応(例えば、酸化)の前に種々の立体構造に再結合する場合があることを断言する。この主張は、多くの第I相酵素のおける比較的巨大な大きさの結合ポケット、および多くの代謝反応の無差別な性質によって支持されている。代謝交換は、新しい代謝産物全体と同様に異なる割合の既知の代謝産物を潜在的にもたらすことができる。この新しい代謝プロフィールは、程度の差はあるが毒性を与えることがある。かかる不測の事態は非自明的であるため、任意の薬物群に対して先験的に十分に予測可能とはなっていない。
【0014】
ベンラファクシン(Effexor登録商標)の有効性は、セロトニン再摂取、場合によっては、神経細胞におけるノルエピネフリン再摂取を抑制する能力に主として起因すると仮定されてきた。後者は、高用量のみで効果を生じると表明されている。薬物材料は、R−エナンチオマーとS−エナンチオマーとの50/50ラセミ混合物として販売されている。本薬物の作用機序は、広範囲にわたって研究されてきた。
【化2】

ベンラファクシン
【0015】
本薬物の利点および欠点も同様に広範囲にわたって精査されてきた。これらの欠点の一部は、代謝作用に関連する現象までたどることができる。ベンラファクシンは、生体内で酸化力のある共役した分解によって、立証されたものは少なくとも48の複数の代謝産物に変化する。主な代謝産物には、ヒドロキシル化代謝産物のグルクロン酸化を含む重要な第II相代謝作用と同様に、酸素中心および/または窒素中心での脱メチル化、ならびにシクロヘキシル環ヒドロキシル化をもたらす多量の第I相代謝作用が含まれる。この薬物は、CYP2C19および2D6を含むシトクロムP450の多様な形態で発現するアイソザイムによって代謝され、CYP2D6の抑制剤の役割を果たすことができるので、ポリファーマシーにおける適用は、必然的に複雑となり、有害事象の可能性を有する。これらのCYPは、通常ベンラファクシンと同時に処方される多くの医薬品の代謝作用に関与する。この現象は、ポリファーマシーに応えて患者間の変動を拡大する。改善の重要な必要性の例は、不完全なCYP2D6対立遺伝子か、またはCYP2D6発現の完全な欠乏を有する「不全代謝者」に認められる、公告された患者間の変動である。これらの患者は、ベンラファクシンを鼻汁分泌促進剤代謝産物、O−デスメチルベンラファクシンに変化させることができない。さらに、ベンラファクシンは、セロトニン再摂取抑制剤の大部分と比較して、短い半減期に悩まされる。ヒトにおけるベンラファクシンの半減期は、〜5時間であるが、活性代謝産物は、〜11時間のT1/2を有する。5〜11時間の薬理学的な半減期の結果として、薬物が突然中断されると、ベンラファクシンの服用者は、SRI中断症状の著しい危険にさらされる。さらに、短い半減期を克服するために、薬物は1日2(BID)回または3(TID)回服用されなければならず、患者の薬剤服用非順守および中断の可能性を高める。大部分の他のセロトニン再摂取抑制剤(SRI)は、半減期24時間である。24〜72時間の半減期は、大多数の臨床医学者によって、この群の化合物にとって理想的であると見なされている。従って、パロキセチンなどのモノアミン再摂取抑制剤の開発において、疑う余地のない差し迫った改善の必要性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
式1の化合物、
【化3】

式1
またはその単一エナンチオマー、(+)−エナンチオマーと(−)−エナンチオマーの混合物、約90重量%以上の(−)−エナンチオマーと約10重量%以下の(+)−エナンチオマーの混合物、約90重量%以上の(+)−エナンチオマーと約10重量%以下の(−)−エナンチオマーの混合物、単独ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、あるいは医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグであって、
式1の化合物が、少なくとも1つの重水素原子を含有し、
式1の化合物中の重水素濃縮が少なくとも約1%である場合、
式中、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、およびR18は、水素、および重水素より成るグループから独立して選択され、
19、R20、およびR21は、−CH、−CHD、−CHD、および−CDより成るグループから独立して選択される化合物を本明細書に開示している。
【0017】
さらに、式1の化合物、式1の化合物の単一エナンチオマー、(+)−エナンチオマーと(−)−エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(−)−エナンチオマーと約10重量%以下(+)−エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(+)−エナンチオマーと約10重量%以下の(−)−エナンチオマーとの混合物、式1の化合物の単独ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、あるいは医薬的に許容可能な担体を有する、その医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを含む薬剤組成物を本明細書に開示している。
【0018】
さらに、セロトニンおよび/またはノルエピネフリンを含むモノアミン神経伝達物質の再摂取を誘発、調節および/または調整する方法を本明細書に開示している。
【0019】
さらに、不安障害、全般性不安障害、鬱病、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害、パニック障害、体のほてり、老年性認知症、片頭痛、肝肺症候群、慢性疼痛、侵害受容性疼痛、神経因性疼痛、有痛性糖尿病性網膜症、双極性鬱病、閉塞性睡眠時無呼吸、精神障害、月経前不快気分障害、対人恐怖、社会不安障害、尿失禁、拒食症、神経性大食症、肥満、虚血、頭部損傷、脳細胞カルシウム過負荷、薬物依存症、および/または早漏より成る群から選択される疾病または症状といった、疾病または症状などを有する、有する疑いがある、または傾向がある哺乳類の対象を処置する方法を本明細書に開示する。
【0020】
(本発明の詳細な説明)
特定のモノアミン再摂取抑制剤は、本技術分野で既知であり、本明細書に示されている。ベンラファクシン(Effexor登録商標)は、かかる一化合物である。ベンラファクシンの炭素−水素結合は、水素同位体の自然発生的な分布、すなわち、Hまたはプロチウム(約99.9844%)、Hまたは重水素(約0.0156%)、およびHまたは三重水素(1018プロチウム原子当たり約0.5と67三重水素原子との範囲内にある)を含有する。重水素混和レベルの上昇は、重水素の自然発生的なレベルを有する化合物に対して、かかるモノアミン再摂取抑制剤の薬物動態学的、薬理学的および/または毒物学的パラメータに影響を与える可能性もある、検出可能な速度論的同位体効果(KIE)を発生させる。本明細書に開示されている本発明の側面は、モジュレータの炭素−水素結合の化学修飾および誘導ならびに/または前記モジュレータを合成するために使用される化学的前駆体を経てこれらのモノアミン再摂取抑制剤の新しい類似体を設計および合成する新規手法を記載する。特定の炭素−水素結合の炭素−重水素結合への適切な修飾は、非同位体濃縮モノアミン再摂取抑制剤と比較して、薬理学的、薬物動態学的および毒物学的性質の予想外で非自明的改善を有する新規モノアミン再摂取抑制剤を発生させることがある。本発明は、薬物設計に対する反応速度論の賢明で成功した適用によるものである。本発明の化合物における重水素混和レベルは、自然発生的なレベルより極めて高く、本明細書に記載のように少なくとも1つの実質的改善をもたらすには十分である。
【0021】
ベンラファクシンのためにPDならびに吸収、分布、代謝作用、排出および毒物学的(ADMET)欠点を解決する際に、重水素の賢明な使用を可能にする情報が明らかになった。例えば、N−メチル基、単一O−メチルの両方、およびベンラファクシンのシクロヘキシル環上のいくつかの位置は、シトクロムP450代謝作用の位置であることが現在では知られている。得られたすべての代謝産物の毒性が知られているわけではない。さらに、2C19および2D6などの多様な形態で発現するCYPは、ベンラファクシン酸化し、またベンラファクシンは、多様な形態で発現するCYP2D6を抑制するので、かかる相互作用の防止は、患者間の変動を低下し、薬物相互作用を低下し、T1/2を増加し、必要なCmaxを減少し、いくつかの他のADMETパラメータを改善する。例えば、ベンラファクシンの親薬物の半減期は、3〜7時間に及ぶ。等電位代謝産物、O−脱メチル化ベンラファクシンは、平均すると11時間の半減期を有する。種々の重水素化パターンは、a)活性代謝産物率の修正、b)不要な代謝産物の減少または除去、c)親薬物の半減期の延長、ならびに/またはd)活性代謝産物の半減期の延長、およびポリファーマシーが意図的であろうとなかろうと、ポリファーマシーのためにさらに効果的な薬物および安全な薬物の開発をするために使用することができる。ノルエピネフリン再摂取を抑制できるレベルに達成するために、ベンラファクシンの高用量は頻繁に処方される。残念なことに、高用量はまた、高血圧症を伴う。これらの現象は、薬理学的な標的よりはむしろ調合薬剤に関連するので、2つの現象は、半減期を延長することによって、ひいてはCmaxを低下させる範囲で投薬を許容することによって、理論的に分離可能であり、従って高血圧症につながる機序の誘因となることを回避する場合がある。さらにこの点を説明すると、ベンラファクシンは、用量範囲の下端、75mg/日で線形反応速度論を表示することで知られているが、クリアランス機序の飽和の結果として、用量範囲の上端、〜400mg/日で非線形反応速度論を示す。この非線形性はベンラファクシンのために、横ばい状態よりはむしろ、上行性曲線を生成する。重水素化手法は、用量範囲(さらに、本発明によってより低下する)全体にわたり、線形で、より予測可能なADMET応答を可能にする前もって飽和された機序を介して、代謝作用を低下する強力な可能性を有する。これは、血圧上昇効果をもたらすことができる型のより少ない患者間の変動につながる。
【0022】
本発明の重水素化類似体は、半減期(T1/2)を実質上延長、最小有効用量(MED)の最大血漿濃度(Cmax)を低下、有効用量を減少、ひいては非機序関連的毒性を低下、および/または薬物相互作用の確率を低下させる一方で、非同位体濃縮薬物の有利な側面を独自に維持する可能性を有する。さらに、これらの薬物は、治療用量を低下させるための先述の可能性と相まって、重水素化試薬の入手しやすい安価な調達源のおかげで、商品原価(COG)削減の強力な可能性を有する。本発明者は、メチレンジオキシ部分単独での重水素化、および/またはメチレンジオキシ部分での重水素化に加えて、代謝交換の結果として不安定になると見られるさらなる位置の重水素化は、本明細書に開示されている目的の一部を達成する際に効果的であることを発見した。
【0023】
このように、一側面では、構造式1を有する化合物、
【化4】

式1
またはその単一エナンチオマー、(+)−エナンチオマーと(−)−エナンチオマーの混合物、約90重量%以上の(−)−エナンチオマーと約10重量%以下の(+)−エナンチオマーの混合物、約90重量%以上の(+)−エナンチオマーと約10重量%以下の(−)−エナンチオマーの混合物、単独ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、あるいは医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグであって、
式1の化合物が、少なくとも1つの重水素原子を含有し、式1の化合物中の重水素濃縮が少なくとも約1%である場合、
式中、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、およびR18は、水素、および重水素より成る群から独立して選択され、
19、R20、およびR21は、−CH、−CHD、−CHD、および−CDより成る群から独立して選択される化合物を本明細書で提供している。
【0024】
本発明の化合物は、半減期(T1/2)を実質上修正、最小有効用量(MED)の最大血漿濃度(Cmax)を低下、有効用量を減少、ひいては非機序関連的毒性を低下、および/または薬物相互作用の確率を低下させる一方で、非同位体濃縮モノアミン再摂取抑制剤の有利な側面を独自に維持する可能性を有する。同様に、これらの薬物は、非同位体濃縮モノアミン再摂取抑制剤と比較した場合、治療用量を低下させるための可能性に起因して、商品原価(COG)削減の可能性を有する。つまり、非同位体濃縮モノアミン再摂取抑制剤のADMETの多くの側面は、本発明によって実質上改善される。
【0025】
一部の実施形態では、本発明の薬剤は、患者を最高約0.000005%DO(さらに約0.00001%DHOとして表すことも可能)に暴露することになる。この量は、循環においてごく小量な自然発生的なバックグラウンドレベルのDO(またはDHO)である。重水素濃縮薬物のC−D結合のすべてが代謝する場合に、この最高暴露限度が獲得される。しかしながら、DKIEのために、重水素濃縮薬物のC−D結合の全部ではないが大部分は、対象からの前記重水素濃縮薬物の排出の前には代謝しない。従って、患者のDOの実際の暴露は、前述の最高限度よりずっと少なくなる。上記に論じるように、動物において毒性を引き起こすと見られるDOのレベルは、重水素濃縮薬物があることが理由で、最高限度よりさらに極めて高い。従って、本発明の重水素濃縮化合物は、重水素を使用することが理由で、毒性をさらに引き起こすことはない。
【0026】
「重水素濃縮」とは、水素原子の代わりに分子上の所与の位置での重水素の混和のパーセンテージを指す。例えば、1%の重水素濃縮とは、所与の試料における分子の1%において、特定の位置が重水素によって占領されることを意味する。重水素の自然発生的な分布は約0.0156%なので、非濃縮出発物質を使用して合成された化合物における重水素濃縮は約0.0156%である。一部の実施形態では、本発明の化合物における重水素濃縮は10%を上回る。その他の実施形態では、本発明の化合物における重水素濃縮は20%を上回る。さらなる実施形態では、本発明の化合物における重水素濃縮は50%を上回る。一部の実施形態では、本発明の化合物における重水素濃縮は70%を上回る。一部の実施形態では、本発明の化合物における重水素濃縮は90%を上回る。
【0027】
「同位体濃縮」とは、元素のより一般的な同位体の代わりに、分子上の所与の位置での元素のより一般的でない同位体の混和のパーセンテージを指す。「非同位体濃縮」とは、種々の同位体のパーセンテージが、自然発生的なパーセンテージと実質上同じである分子を指す。
【0028】
特定の実施形態では、式1の化合物は、化合物の約60重量%以上の(−)−エナンチオマー、および化合物の約40重量%以下の(+)−エナンチオマーを含有する。一部の実施形態では、式1の化合物は、化合物の約70重量%以上の(−)−エナンチオマー、および化合物の約30重量%以下の(+)−エナンチオマーを含有する。一部の実施形態では、式1の化合物は、化合物の約80重量%以上の(−)−エナンチオマー、および化合物の約20重量%以下の(+)−エナンチオマーを含有する。一部の実施形態では、式1の化合物は、化合物の約90重量%以上の(−)−エナンチオマー、および化合物の約10重量%以下の(+)−エナンチオマーを含有する。一部の実施形態では、式1の化合物は、化合物の約95重量%以上の(−)−エナンチオマー、および化合物の約5重量%以下の(+)−エナンチオマーを含有する。一部の実施形態では、式1の化合物は、化合物の約99重量%以上の(−)−エナンチオマー、および化合物の約1重量%以下の(+)−エナンチオマーを含有する。
【0029】
特定の実施形態では、式1の化合物は、化合物の約60重量%以上の(+)−エナンチオマー、および化合物の約40重量%以下の(−)−エナンチオマーを含有する。一部の実施形態では、式1の化合物は、化合物の約70重量%以上の(+)−エナンチオマー、および化合物の約30重量%以下の(−)−エナンチオマーを含有する。一部の実施形態では、式1の化合物は、化合物の約80重量%以上の(+)−エナンチオマー、および化合物の約20重量%以下の(−)−エナンチオマーを含有する。一部の実施形態では、式1の化合物は、化合物の約90重量%以上の(+)−エナンチオマー、および化合物の約10重量%以下の(−)−エナンチオマーを含有する。一部の実施形態では、式1の化合物は、化合物の約95重量%以上の(+)−エナンチオマー、および化合物の約5重量%以下の(−)−エナンチオマーを含有する。一部の実施形態では、式1の化合物は、化合物の約99重量%以上の(+)−エナンチオマー、および化合物の約1重量%以下の(−)−エナンチオマーを含有する。
【0030】
特定の実施形態では、Rは、水素である。その他の実施形態では、Rは、水素である。一部の実施形態では、Rは、水素である。その他の実施形態では、Rは、水素である。さらに他の実施形態では、Rは、水素である。もっと他の実施形態では、Rは、水素である。さらに他の実施形態では、Rは、水素である。さらに他の実施形態では、Rは、水素である。もっと他の実施形態では、Rは、水素である。もっと他の実施形態では、R10は、水素である。その他の実施形態では、R11は、水素である。一部の実施形態では、R12は、水素である。その他の実施形態では、R13は、水素である。もっと他の実施形態では、R14は、水素である。さらに他の実施形態では、R15は、水素である。さらに他の実施形態では、R16は、水素である。もっと他の実施形態では、R17は、水素である。さらに他の実施形態では、R18は、水素である。
【0031】
特定の実施形態では、Rは、重水素である。その他の実施形態では、Rは、重水素である。一部の実施形態では、Rは、重水素である。その他の実施形態では、Rは、重水素である。さらに他の実施形態では、Rは、重水素である。もっと他の実施形態では、Rは、重水素である。さらに他の実施形態では、Rは、重水素である。さらに他の実施形態では、Rは、重水素である。もっと他の実施形態では、Rは、重水素である。もっと他の実施形態では、R10は、重水素である。その他の実施形態では、R11は、重水素である。一部の実施形態では、R12は、重水素である。その他の実施形態では、R13は、重水素である。もっと他の実施形態では、R14は、重水素である。さらに他の実施形態では、R15は、重水素である。さらに他の実施形態では、R16は、重水素である。もっと他の実施形態では、R17は、重水素である。さらに他の実施形態では、R18は、重水素である。
【0032】
特定の実施形態では、Rは、水素ではない。その他の実施形態では、Rは、水素ではない。一部の実施形態では、Rは、水素ではない。その他の実施形態では、Rは、水素ではない。さらに他の実施形態では、Rは、水素ではない。もっと他の実施形態では、Rは、水素ではない。さらに他の実施形態では、Rは、水素ではない。さらに他の実施形態では、Rは、水素ではない。もっと他の実施形態では、Rは、水素ではない。もっと他の実施形態では、R10は、水素ではない。その他の実施形態では、R11は、水素ではない。一部の実施形態では、R12は、水素ではない。その他の実施形態では、R13は、水素ではない。もっと他の実施形態では、R14は、水素ではない。さらに他の実施形態では、R15は、水素ではない。さらに他の実施形態では、R16は、水素ではない。さらに他の実施形態では、R17は、水素ではない。もっと他の実施形態では、R18は、水素ではない。
【0033】
特定の実施形態では、Rは、重水素ではない。その他の実施形態では、Rは、重水素ではない。一部の実施形態では、Rは、重水素ではない。その他の実施形態では、Rは、重水素ではない。さらに他の実施形態では、Rは、重水素ではない。もっと他の実施形態では、Rは、重水素ではない。さらに他の実施形態では、Rは、重水素ではない。さらに他の実施形態では、Rは、重水素ではない。もっと他の実施形態では、Rは、重水素ではない。もっと他の実施形態では、R10は、重水素ではない。その他の実施形態では、R11は、重水素ではない。一部の実施形態では、R12は、重水素ではない。その他の実施形態では、R13は、重水素ではない。もっと他の実施形態では、R14は、重水素ではない。さらに他の実施形態では、R15は、重水素ではない。さらに他の実施形態では、R16は、重水素ではない。さらに他の実施形態では、R17は、重水素ではない。もっと他の実施形態では、R18は、水素ではない。
【0034】
さらなる実施形態では、R19は−CHである。その他の実施形態では、R20は、−CHである。もっと他の実施形態では、R21は、−CHである。
【0035】
さらなる実施形態では、R19は、−CDである。その他の実施形態では、R20は、−CDである。もっと他の実施形態では、R21は、−CDである。
【0036】
さらなる実施形態では、R19は、−CHではない。その他の実施形態では、R20は、−CHではない。もっと他の実施形態では、R21は、−CHではない。
【0037】
さらなる実施形態では、R19は、−CDではない。その他の実施形態では、R20は、−CDではない。もっと他の実施形態では、R21は、−CDではない。
【0038】
本発明のその他の実施形態では、腸内、静脈内注入、経口、非経口、局所性および/または眼球投与のための、医薬的に許容可能な増量剤、担体、希釈剤、もしくは賦形剤、またはその組み合わせにおける、式1の化合物、式1の化合物の単一エナンチオマー、(+)−エナンチオマーと(−)−エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(−)−エナンチオマーと約10重量%以下の(+)−エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(+)−エナンチオマーと約10重量%以下の(−)−エナンチオマーの混合物、式1の化合物の単独ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、あるいはその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグのうちの少なくとも1つを含む薬剤組成物を提供している。
【0039】
本発明のさらに他の実施形態では、モノアミン再摂取の抑制に関連する症状の処置のための、医薬的に許容可能な増量剤、担体、希釈剤、もしくは賦形剤、またはその組み合わせにおける、式1の化合物、式1の化合物の単一エナンチオマー、(+)−エナンチオマーと(−)−エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(−)−エナンチオマーと約10重量%以下の(+)−エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(+)−エナンチオマーと約10重量%以下の(−)−エナンチオマーの混合物、式1の化合物の単独ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、あるいはその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグのうちの少なくとも1つを含む薬剤組成物を提供している。
【0040】
本発明のその他の実施形態では、式1の化合物または組成物、式1の化合物の単一エナンチオマー、(+)−エナンチオマーと(−)−エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(−)−エナンチオマーと約10重量%以下(+)−エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(+)−エナンチオマーと約10重量%以下の(−)−エナンチオマーとの混合物、式1の化合物の単独ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、あるいはその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグのうちの1つ以上を使用して、モノアミン再摂取を調節する方法を提供している。
【0041】
本発明のさらに他の実施形態では、以下の構造のうちの1つを有する式1による化合物、
【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

またはその単一エナンチオマー、(+)−エナンチオマーと(−)−エナンチオマーの混合物、約90重量%以上の(−)−エナンチオマーと約10重量%以下の(+)−エナンチオマーの混合物、約90重量%以上の(+)−エナンチオマーと約10重量%以下の(−)−エナンチオマーの混合物、単独ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、あるいは医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを提供している。
【0042】
本発明は、本化合物で発生するすべての原子のすべての同位体を含むよう意図されている。同位体は、同一の原子番号を有するが、異なる質量数を有する原子を含む。一般的な例を示す目的で、また限定されるものではないが、水素の同位体には、重水素(D)および三重水素(T)が含まれる。炭素の同位体には、13Cおよび14Cが含まれる。硫黄の同位体には、32S、33S、34S、および36Sが含まれる。窒素の同位体には、14Nおよび15Nが含まれる。酸素の同位体には、16O、17O、および18Oが含まれる。
【0043】
同位体水素は、重水素化試薬を用い、それによって混和率が所定される合成的技法、および/または混和率が均衡条件によって決定され、反応条件に応じて極めて変わりやすい場合がある交換的技法によって有機分子に組み込むことができる。三重水素または重水素が、既知の同位体容積の三重水素化または重水素化試薬によって直接的および明確に挿入される合成技法は、極めて多量の三重水素または重水素を生成することがあるが、要求される化学的性質によって制限される可能性がある。さらに、標識化されている分子は、用いられる合成反応の重大度に応じて変化する場合がある。他方では、交換的技法は、同位体が頻繁に分子上の多くの位置にわたり分布される状態となり、比較的低い三重水素または重水素混和をもたらすが、別個の合成ステップを要求せず、標識化されている分子構造を分裂する可能性が低いという利点を提供する。
【0044】
本発明のその他の側面では、治療上有効量の、式1の化合物、式1の化合物の単一エナンチオマー、(+)−エナンチオマーと(−)−エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(−)−エナンチオマーと約10重量%以下(+)−エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(+)−エナンチオマーと約10重量%以下の(−)−エナンチオマーとの混合物、式1の化合物の単独ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、あるいはその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを必要としている哺乳類の対象に投与するステップを含む、モノアミン再摂取に関連する疾病または症状を有する疑いがある、または傾向がある哺乳類の対象、特にヒトを治療する方法を提供している。
【0045】
一部の実施形態では、上記の方法での投与するステップは、例えば、投与量が、1日当たりの総量で約0.5ミリグラムから400ミリグラムである、単一錠剤、丸薬、カプセル、静脈注射用単一液剤、飲用に適する単一液剤、単一糖衣錠調剤またはパッチ、および同等物など、一部の組成物の形で本発明の化合物を投与するステップを含む。
【0046】
本発明のその他の側面では、非同位体濃縮化合物と比較すると、上述の疾病の治療の間に、式1の化合物、またはその代謝産物の血漿中濃度における個人間の偏差の減少に影響を与えるために、式1の化合物、式1の化合物の単一エナンチオマー、(+)−エナンチオマーと(−)−エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(−)−エナンチオマーと約10重量%以下(+)−エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(+)−エナンチオマーと約10重量%以下の(−)−エナンチオマーとの混合物、式1の化合物の単独ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、あるいはその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグのうちの少なくとも1つを含む治療上有効量のモノアミン再摂取抑制剤を必要としている哺乳類の対象に投与するステップを含む、モノアミン再摂取に関連する疾病または症状を有する疑いがある、または傾向がある哺乳類の対象、特にヒトを治療する方法を提供している。
【0047】
一部の実施形態では、非同位体濃縮化合物と比較すると、本発明の化合物、またはその代謝産物の血漿中濃度における個人間の偏差は、約5%を越えて減少する。その他の実施形態では、非同位体濃縮化合物と比較すると、本発明の化合物、またはその代謝産物の血漿中濃度における個人間の偏差は、約10%を越えて減少する。その他の実施形態では、非同位体濃縮化合物と比較すると、本発明の化合物、またはその代謝産物の血漿中濃度における個人間の偏差は、約20%を越えて減少する。その他の実施形態では、非同位体濃縮化合物と比較すると、本発明の化合物、またはその代謝産物の血漿中濃度における個人間の偏差は、約30%を越えて減少する。その他の実施形態では、非同位体濃縮化合物と比較すると、本発明の化合物、またはその代謝産物の血漿中濃度における個人間の偏差は、約40%を越えて減少する。その他の実施形態では、非同位体濃縮化合物と比較すると、本発明の化合物、またはその代謝産物の血漿中濃度における個人間の偏差は、約50%を越えて減少する。本発明の化合物、またはその代謝産物の血漿中濃度は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる、Li et al、Rapid Communications in Mass Spectrometry2005、19(14)、1943−1950の方法によって測定される。
【0048】
本発明のその他の側面では、非同位体濃縮化合物と比較すると、投薬単位当たりの式1の化合物の平均血漿中濃度の上昇、または前記化合物の少なくとも1つの代謝産物の平均血漿中濃度の低下に影響を与えるために、式1の化合物、式1の化合物の単一エナンチオマー、(+)−エナンチオマーと(−)−エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(−)−エナンチオマーと約10重量%以下(+)−エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(+)−エナンチオマーと約10重量%以下の(−)−エナンチオマーとの混合物、式1の化合物の単独ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、あるいはその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグのうちの少なくとも1つを含む治療上有効量のモノアミン再摂取抑制剤を、必要としている哺乳類の対象に投与するステップを含む、モノアミン再摂取に関連する疾病または症状を有する疑いがある、または傾向がある哺乳類の対象、特にヒトを治療する方法を提供している。
【0049】
一部の実施形態では、非同位体濃縮化合物と比較すると、本発明の化合物の平均血漿中濃度は、約5%を越えて上昇する。その他の実施形態では、非同位体濃縮化合物と比較すると、本発明の化合物の平均血漿中濃度は、約10%を越えて上昇する。その他の実施形態では、非同位体濃縮化合物と比較すると、本発明の化合物の平均血漿中濃度は、約20%を越えて上昇する。その他の実施形態では、非同位体濃縮化合物と比較すると、本発明の化合物の平均血漿中濃度は、約30%を越えて上昇する。その他の実施形態では、非同位体濃縮化合物と比較すると、本発明の化合物の平均血漿中濃度は、約40%を越えて上昇する。その他の実施形態では、非同位体濃縮化合物と比較すると、本発明の化合物の平均血漿中濃度は、約50%を越えて上昇する。
【0050】
一部の実施形態では、非同位体濃縮化合物と比較すると、本発明の化合物の代謝産物の平均血漿中濃度は、約5%を越えて低下する。その他の実施形態では、非同位体濃縮化合物と比較すると、本発明の化合物の代謝産物の平均血漿中濃度は、約10%を越えて低下する。その他の実施形態では、非同位体濃縮化合物と比較すると、本発明の化合物の代謝産物の平均血漿中濃度は、約20%を越えて低下する。その他の実施形態では、非同位体濃縮化合物と比較すると、本発明の化合物の代謝産物の平均血漿中濃度は、約30%を越えて低下する。その他の実施形態では、非同位体濃縮化合物と比較すると、本発明の化合物の代謝産物の平均血漿中濃度は、約40%を越えて低下する。その他の実施形態では、非同位体濃縮化合物と比較すると、本発明の化合物の代謝産物の平均血漿中濃度は、約50%を越えて低下する。
【0051】
本発明の化合物、またはその代謝産物の血漿中濃度は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる、Li et al、Rapid Communications in Mass Spectrometry2005、19(14)、1943−1950の方法によって測定される。
【0052】
本発明のその他の側面では、非同位体濃縮化合物と比較すると、上述の疾病の治療の間に、哺乳類の対象において、少なくとも1つのシトクロムP450アイソフォームの抑制、および/または前記アイソフォームによる代謝作用の低下に影響を与えるために、式1の化合物、式1の化合物の単一エナンチオマー、(+)−エナンチオマーと(−)−エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(−)−エナンチオマーと約10重量%以下(+)−エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(+)−エナンチオマーと約10重量%以下の(−)−エナンチオマーとの混合物、式1の化合物の単独ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、あるいはその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグのうちの少なくとも1つを含む治療上有効量のモノアミン再摂取抑制剤を、必要としている哺乳類の対象に投与するステップを含む、モノアミン再摂取に関連する疾病または症状を有する疑いがある、または傾向がある哺乳類の対象、特にヒトを治療する方法を提供している。哺乳類の対象におけるシトクロムP450アイソフォームの例には、CYP1Al、CYP1A2、CYP1B1、CYP2A6、CYP2A13、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C18、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP2G1、CYP2J2、CYP2R1、CYP2S1、CYP3A4、CYP3A5、CYP3A5P1、CYP3A5P2、CYP3A7、CYP4A11、CYP4B1、CYP4F2、CYP4F3、CYP4F8、CYP4F11、CYP4F12、CYP4X1、CYP4Z1、CYP5A1、CYP7A1、CYP7B1、CYP8A1、CYP8B1、CYP11Al、CYP11B1、CYP11B2、CYP17、CYP19、CYP21、CYP24、CYP26A1、CYP26B1、CYP27A1、CYP27B1、CYP39、CYP46、CYP51および同等物が含まれる。
【0053】
一部の実施形態では、非同位体濃縮化合物と比較すると、本発明の化合物によるシトクロムP450アイソフォームの抑制の減少は、約5%を上回る。その他の実施形態では、非同位体濃縮化合物と比較すると、本発明の化合物によるシトクロムP450アイソフォームの抑制の減少は、約10%を上回る。その他の実施形態では、非同位体濃縮化合物と比較すると、本発明の化合物によるシトクロムP450アイソフォームの抑制の減少は、約20%を上回る。その他の実施形態では、非同位体濃縮化合物と比較すると、本発明の化合物によるシトクロムP450アイソフォームの抑制の減少は、約30%を上回る。その他の実施形態では、非同位体濃縮化合物と比較すると、本発明の化合物によるシトクロムP450アイソフォームの抑制の減少は、約40%を上回る。その他の実施形態では、非同位体濃縮化合物と比較すると、本発明の化合物によるシトクロムP450アイソフォームの抑制の減少は、約50%を上回る。
【0054】
シトクロムP450アイソフォームの抑制は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる、Ko et al、British Journal of Clinical Pharmacology2000、49(4)、343−351の方法によって測定される。
【0055】
本発明のその他の側面では、非同位体濃縮化合物と比較すると、上述の疾病の治療の間に、哺乳類の対象において、少なくとも1つの多様な形態で発現するシトクロムP450アイソフォームを介した代謝作用の低下に影響を与えるために、式1の化合物、式1の化合物の単一エナンチオマー、(+)−エナンチオマーと(−)−エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(−)−エナンチオマーと約10重量%以下(+)−エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(+)−エナンチオマーと約10重量%以下の(−)−エナンチオマーとの混合物、式1の化合物の単独ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、あるいはその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグのうちの少なくとも1つを含む治療上有効量のモノアミン再摂取抑制剤を、必要としている哺乳類の対象に投与するステップを含む、モノアミン再摂取に関連する疾病または症状を有する疑いがある、または傾向がある哺乳類の対象、特にヒトを治療する方法を提供している。哺乳類の対象において、多様な形態で発現するシトクロムP450アイソフォームの例には、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、およびCYP2D6が含まれる。
【0056】
一部の実施形態では、非同位体濃縮化合物と比較すると、シトクロムP450アイソフォームによる本発明の化合物の代謝作用の低下は、約5%を上回る。その他の実施形態では、非同位体濃縮化合物と比較すると、シトクロムP450アイソフォームによる本発明の化合物の代謝作用の低下は、約10%を上回る。その他の実施形態では、非同位体濃縮化合物と比較すると、シトクロムP450アイソフォームによる本発明の化合物の代謝作用の低下は、約20%を上回る。その他の実施形態では、非同位体濃縮化合物と比較すると、シトクロムP450アイソフォームによる本発明の化合物の代謝作用の低下は、約30%を上回る。その他の実施形態では、非同位体濃縮化合物と比較すると、シトクロムP450アイソフォームによる本発明の化合物の代謝作用の低下は、約40%を上回る。その他の実施形態では、非同位体濃縮化合物と比較すると、シトクロムP450アイソフォームによる本発明の化合物の代謝作用の低下は、約50%を上回る。
【0057】
シトクロムP450アイソフォームの代謝活性は、以下の実施例14に記載の方法によって測定される。
【0058】
本発明のその他の実施形態では、非同位体濃縮化合物と比較すると、生体モノアミン濃度の改善に影響を与えるために、式1の化合物、式1の化合物の単一エナンチオマー、(+)−エナンチオマーと(−)−エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(−)−エナンチオマーと約10重量%以下(+)−エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(+)−エナンチオマーと約10重量%以下の(−)−エナンチオマーとの混合物、式1の化合物の単独ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、あるいはその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグのうちの少なくとも1つを含む治療上有効量のモノアミン再摂取抑制剤を、必要としている哺乳類の対象に投与するステップを含む、モノアミン再摂取に関連する疾病または症状を有する疑いがある、または傾向がある哺乳類の対象、特にヒトを治療する方法を提供している。
【0059】
一部の実施形態では、生体モノアミン濃度は、約5%を越えて上昇する。その他の実施形態では、生体モノアミン濃度は、約10%を越えて上昇する。その他の実施形態では、生体モノアミン濃度は、約20%を越えて上昇する。その他の実施形態では、生体モノアミン濃度は、約30%を越えて上昇する。その他の実施形態では、生体モノアミン濃度は、約40%を越えて上昇する。その他の実施形態では、生体モノアミン濃度は、約50%を越えて上昇する。
【0060】
生体モノアミン濃度は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる、Li et al、、Rapid Communications in Mass Spectrometry2005、19(14)、1943−1950の方法によって測定される。
【0061】
本発明のその他の側面では、非同位体濃縮化合物と比較すると、臨床効果の向上に影響を与えるために、式1の化合物、式1の化合物の単一エナンチオマー、(+)−エナンチオマーと(−)−エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(−)−エナンチオマーと約10重量%以下(+)−エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(+)−エナンチオマーと約10重量%以下の(−)−エナンチオマーとの混合物、式1の化合物の単独ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、あるいはその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグのうちの少なくとも1つを含む治療上有効量のモノアミン再摂取抑制剤を、必要としている哺乳類の対象に投与するステップを含む、モノアミン再摂取に関連する疾病または症状を有する疑いがある、または傾向がある哺乳類の対象、特にヒトを治療する方法を提供している。臨床効果の向上の例には、治癒の促進率、症状緩和の促進率、患者の薬剤服用順守の強化、および/または治療中の薬物乱用禁断症状の緩和が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0062】
本発明のその他の側面では、式1の化合物が、少なくとも1つの重水素原子を含有しているならば、また式1の前記化合物中の重水素濃縮が少なくとも約1%であるならば、式1の化合物、式1の化合物の単一エナンチオマー、(+)−エナンチオマーと(−)−エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(−)−エナンチオマーと約10重量%以下(+)−エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(+)−エナンチオマーと約10重量%以下の(−)−エナンチオマーとの混合物、式1の化合物の単独ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、あるいはその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグのうちの少なくとも1つを含む治療上有効量のモノアミン再摂取抑制剤を必要としている哺乳類の対象に投与するステップを含む、モノアミン再摂取に関連する疾病または症状を有する疑いがある、または傾向がある哺乳類の対象、特にヒトを治療する方法を提供している。
【0063】
一部の実施形態では、モノアミン再摂取に関連する疾病または症状は、不安障害、全般性不安障害、鬱病、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害、パニック障害、体のほてり、老年性認知症、片頭痛、肝肺症候群、慢性疼痛、侵害受容性疼痛、神経因性疼痛、有痛性糖尿病性網膜症、双極性鬱病、閉塞性睡眠時無呼吸、精神障害、月経前不快気分障害、対人恐怖、社会不安障害、尿失禁、拒食症、神経性大食症、肥満、虚血、頭部損傷、脳細胞カルシウム過負荷、薬物依存症、および早漏よりなる群から選択される。
【0064】
本発明のその他の側面では、薬物中毒の治療のために第1の成分および第2の成分を含む、複数単位の経口用錠剤型薬剤組成物を提供している。一部の実施形態では、第1の成分は、式1の化合物、式1の化合物の単一エナンチオマー、(+)−エナンチオマーと(−)−エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(−)−エナンチオマーと約10重量%以下(+)−エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(+)−エナンチオマーと約10重量%以下の(−)−エナンチオマーとの混合物、式1の化合物の単独ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、あるいはその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグのうちの少なくとも1つを含む。特定の実施形態では、第2の成分は1つ以上のオピオイド拮抗薬を含む。これらの実施形態のいくつかでは、オピオイド拮抗薬は、ナルメフェン、ナロキソン、およびナルトレキソン、ならびに同等物より成る群から選択される。さらなる実施形態では、薬物中毒は、たばこ中毒、アルコール中毒、マリファナ中毒、およびコカイン中毒より成る群から選択される。特定の実施形態では、第1の成分は、第1および第2の成分を覆うコーティング層によって第2の成分から分離される。かかるコーティング剤は、当業者には既知である。
【0065】
本発明のその他の側面では、第1の成分および第2の成分を含む組成物を哺乳動物に投与するステップを含む、薬物中毒のために哺乳動物を治療する方法を提供しており、ここで第1の成分は、式1の化合物、式1の化合物の単一エナンチオマー、(+)−エナンチオマーと(−)−エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(−)−エナンチオマーと約10重量%以下(+)−エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(+)−エナンチオマーと約10重量%以下の(−)−エナンチオマーとの混合物、式1の化合物の単独ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、あるいはその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグのうちの少なくとも1つより成り、第2の成分は、1つ以上のオピオイド拮抗薬を含む。これらの実施形態のいくつかでは、オピオイド拮抗薬は、ナルメフェン、ナロキソン、およびナルトレキソン、ならびに同等物より成る群から選択される。さらなる実施形態では、薬物中毒は、たばこ中毒、アルコール中毒、マリファナ中毒、およびコカイン中毒より成る群から選択される。もっとさらなる実施形態では、第1の成分は、第1の成分の非同位体濃縮類似体と比較して、薬物中毒の治療に対する臨床効果の向上を誘発することができる(例えば、治癒の促進率、症状緩和の促進率、患者の薬剤服用順守の強化、および/または治療中の薬物乱用禁断症状の緩和)。
【0066】
一部の実施形態では、投与するステップは、第1の成分および第2の成分をほぼ同時に投与するステップを含む。これらの実施形態には、2つの化合物が、同じ投与可能な組成物中にあるものが含まれ、すわなち、単一錠剤、丸薬、もしくはカプセル、または静脈注射用単一液剤、もしくは飲用に適する単一液剤、または単一糖衣錠調剤もしくはパッチは、両方の化合物を含有する。さらに、実施形態には、それぞれの化合物が別個の投与可能な組成物中にあるが、患者は別個の組成物をほぼ同時に服用するように指示されるものが含まれ、すなわち、1つの丸薬がもう1つの直後に服用される、または1つの化合物の1つの注射が、もう1つの化合物の注射の直後に投与されるなどのことである。一部の実施形態では、患者は、1つの化合物の静脈内投与調剤の注入の前に、もう1つの化合物の静脈内投与調剤を注入される。これらの実施形態では、注入は、数分、30分、もしくは1時間またはそれより長くなるなど、ある程度時間がかかることがある。2つの静脈内注入で、1つの直後にもう1つが行われる場合は、たとえ1つの注入の開始と次の注入の開始との間にある程度の時間の経過があったとしても、かかる投与は、本開示の範囲内ではほぼ同時と見なされる。
【0067】
その他の実施形態では、投与するステップは、第1の成分および第2の成分のうちの1つを投与し、その後第1の成分および第2の成分のうちのもう1つの方を投与するステップを含む。これらの実施形態では、患者は、化合物のうちの1つを含む組成物を投与され、その後ある程度の時間、数分または数時間が経過して、化合物のうちのもう1つの方を含むもう1つの組成物を投与される場合がある。さらに、これらの実施形態には、患者が、定期的または継続的に化合物のうちの1つを含む組成物を投与される一方で、もう1つの化合物を含む組成物を時々受ける場合があるものが含まれる。さらなる実施形態では、患者は、静脈ライン経由で化合物の継続的注入など、定期的または継続的に両方の化合物を受ける場合がある。
【0068】
本発明のもっとその他の実施形態では、第1の成分および第2の成分を含む発泡性投薬形態を提供しており、ここで第1の成分は、1つ以上の発泡性賦形剤であり、第2の成分は、式1の化合物、式1の化合物の単一エナンチオマー、(+)−エナンチオマーと(−)−エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(−)−エナンチオマーと約10重量%以下(+)−エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(+)−エナンチオマーと約10重量%以下の(−)−エナンチオマーとの混合物、式1の化合物の単独ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、あるいはその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ、および任意に1つ以上の医薬的に許容可能な賦形剤のうちの少なくとも1つである。
【0069】
本発明のその他の側面では、式1の化合物、式1の化合物の単一エナンチオマー、(+)−エナンチオマーと(−)−エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(−)−エナンチオマーと約10重量%以下の(+)−エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(+)−エナンチオマーと約10重量%以下の(−)−エナンチオマーの混合物、式1の化合物の単独ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、あるいはその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ、親水性または疎水性マトリクス、水溶性分離層、腸溶性コーティング層、および任意に1つ以上の医薬的に許容可能な賦形剤のうちの少なくとも1つを含む持続放出性薬剤投薬形態を提供している。
【0070】
本発明のもっと他の側面では、式1の化合物、式1の化合物の単一エナンチオマー、(+)−エナンチオマーと(−)−エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(−)−エナンチオマーと約10重量%以下(+)−エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(+)−エナンチオマーと約10重量%以下の(−)−エナンチオマーとの混合物、式1の化合物の単独ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、あるいはその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ、分裂可能な半透膜および1つ以上の膨潤性物質のうちの少なくとも1つを含む腸溶コーティングの薬剤投薬形態を提供しており、ここで投薬形態は、即時性抑制剤放出部分および少なくとも1つの遅発性抑制剤放出部分を有し、0.1時間から最大24時間の時間的な隔たりがある少なくとも連続2回のパルスの形で、化合物の不連続放出を与えることができる。
【0071】
本発明のもっと他の側面では、式1の化合物、式1の化合物の単一エナンチオマー、(+)−エナンチオマーと(−)−エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(−)−エナンチオマーと約10重量%以下(+)−エナンチオマーとの混合物、約90重量%以上の(+)−エナンチオマーと約10重量%以下の(−)−エナンチオマーとの混合物、式1の化合物の単独ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、あるいはその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ、およびでアルカリによって部分的に中和された胃液抵抗性ポリマー層状材料を備え、また陽イオン交換容量および胃液抵抗性外層を有する中間体反応性層で包まれた任意に1つ以上の補助薬のうちの少なくとも1つを含む、哺乳類の対象への経口投与用の安定した薬剤投薬形態を提供している。
【0072】
他に指示がない限り、置換基が「任意に置換した」と見なされる場合は、置換基は、水素、重水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環式、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ハロ、カルボニル、チオカルボニル、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、S−スルホンアミド、N−スルホンアミド、C−カルボキシ、O−カルボキシ、イソシアナート、チオシアナート、イソチオシアナート、ニトロ、シリル、トリハロメタンスルホニル、ならびにモノおよびジ置換アミノ基を含むアミノ、ならびにその保護誘導体より成る群から個別におよび独立して選択される1つ以上の基で置換されることがある基であることを意味する。上記の置換基の保護誘導体を形成することがある保護基は、当業者には既知であり、その例は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる、GreeneおよびWuts、Protective Groupsin Organic Synthesis,3rdEd.,JohnWiley&Sons,New York,NY,1999などの文献に見られることがある。
【0073】
本発明による化合物は、当業者によって認識される任意の適当な互変異性体、またはかかる互変異性体の混合物として発生する場合がある。用語「互変異性体」または「互変異性」とは、均衡状態で存在し、1つの異性体からもう1つの異性体へ直ちに変化する2つ以上の構造異性体のうちの1つを指す。例えば、アセトン/プロペン−2−オールおよび同等物などのケトエノール互変異性体、グルコース/2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシ−ヘキサナールおよび同等物などの環鎖互変異性体が含まれる。本明細書に記載の化合物は、1つ以上の互変異性体を有する場合があり、従って種々の異性体を含むことがある。これらの化合物のかかる異性体のすべては、明示的に本発明に含まれる。
【0074】
本発明による化合物は、1つ以上の不斉原子を含有することがあり、従ってラセミ化合物およびラセミ混合物、単一エナンチオマー、ジアステレオマー混合物、または単独ジアステレオマーとして発生することができる。用語「立体異性体」とは、もう1つと同じ分子量、化学組成、および構成を有するが、異なるように基を成している原子を有する化合物を指す。すなわち、特定の同一の化学的部分は、間隙を介して異なる方位にあり、従って、純粋であるならば、偏光面を回転させる能力を有する。しかしながら、一部の純粋な立体異性体は、極めて少量のため現在の器具類では検知できない旋光度を有する場合がある。本明細書に記載の化合物は、1つ以上の不斉原子を有する場合があり、従って種々の立体異性体を含むことがある。これらの化合物のかかる異性体のすべては、明示的に本発明に含まれる。
【0075】
それぞれの立体炭素または硫黄は、RまたはS構造から成ってもよい。本願で例示された特定の化合物は、特定の構造で示される場合があるが、任意の所与のキラル中心またはその混合物での反対の原子の空間的配置を有する化合物も想定される。キラル中心が本発明の誘導体に見られる場合、本発明は、すべての可能な立体異性体を含むということを理解されたい。
【0076】
用語「光学的に純粋な化合物」または「光学的に純粋な異性体」とは、前記化合物の構造にかかわらず、キラル化合物の単一立体異性体を指す。
【0077】
用語「実質上均一」とは、少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%、さらに好ましくは少なくとも約95%の分子が、単一化合物またはその単一立体異性体である分子の集合、または少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%、さらに好ましくは少なくとも約95%の分子が、規定の位置で完全に置換される(例えば、重水素で置換される)分子の集合を指す。
【0078】
本明細書で使用される限り、用語「結合される」とは、安定共有結合、結合の好ましい特定の点を表し、当業者には明白である。
【0079】
用語「任意の」または「任意に」とは、その後に記載される事象または状況が発生すること、または発生しないこと、ならびに記載事項が、前記事象または状況が発生する場合、および発生しない場合を含むことである。かかる状況では、文「任意に置換したアルキル基」とは、アルキル基は置換されてもよく、または置換されなくてもよく、該記述は、置換および非置換アルキル基の両方を含む。
【0080】
用語「有効量」の化合物とは、所望の効果を提供するが、無毒性または許容可能な毒性である、十分な量の化合物を指す。この量は、対象の種、年齢、および健康状態、治療される疾病の重症度、使用される特定の化合物、投与方法、および同等物に応じて、対象から対象によって異なる場合がある。適切な有効量は、当業者が決定してもよい。
【0081】
用語「医薬的に許容可能な」とは、生物学またはその他の側面から望ましくないことがない化合物、添加物、または組成物を指す。例えば、添加物または組成物は、任意の望ましくない生物学的効果を引き起こすことなく、または含有される薬剤組成物の他の成分のいずれとも望ましくない方法で相互に作用することなく、本発明の化合物とともに対象に投与してもよい。
【0082】
用語「医薬的に許容可能な塩」には、塩化水素塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、フッ化水素塩、硫黄塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、ニコチン酸塩、コハク酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩、マロン酸塩、サリチル酸塩、フェニル酢酸塩、ステアリン酸塩、ピリジン塩、アンモニウム塩、ピペラジン塩、ジエチルアミン塩、ニコチンアミド塩、ギ酸塩、尿酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、リチウム塩、桂皮酸塩、メチルアミノ酸塩、メタンスルホン酸塩、ピクリン酸塩、酒石酸塩、トリエチルアミノ酸塩、ジメチルアミノ酸塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩、および同等物が含まれる。さらなる医薬的に許容可能な塩は、当業者には既知である。
【0083】
本発明の化合物とともに使用される場合は、用語、活性を「誘発する」、「誘発している」、「モジュレータ」、「調節する」、「調節している」、「レギュレータ」、「調整する」、または「調整している」とは、特定の酵素または例えばセロトニン受容体などの受容体の作動薬、逆作動薬、抑制剤、または拮抗薬として役割を果たすことができる化合物を指す。
【0084】
用語「薬物」、「治療薬」および「化学療法薬」とは、疾病または病状の治療に対する予防薬または医薬品として哺乳類の対象に投与される、単一化合物または複数の化合物およびその医薬的に許容可能な組成物を指す。かかる化合物は、経口調剤、吸入、静脈内注入、点眼、注射による経皮調剤によって対象に投与してもよい。
【0085】
用語「対象」とは、治療、観察または実験の対象である動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを指す。哺乳動物は、マウス、ラット、ハムスター、アレチネズミ、ウサギ、モルモット、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、キリン、カモノハシ、サル、チンパンジー、および類人猿などの霊長類、ならびにヒトより成る群から選択してもよい。
【0086】
用語「治療的に有効量」は、表示される生物学的反応または薬効のある応答を誘発する、活性のある化合物、または調合薬剤の有効量を表示するために使用される。この応答は、研究者、獣医、医師、または他の臨床医学者によって探求されている組織、体系(ヒトを含む動物)に発生する場合がある。
【0087】
用語「治療している」、「治療」、「療法上」、または「療法」は、侵害受容が全てなくなることを必ずしも意味するわけではない。どの程度であっても、モノアミン再摂取、不安障害、全般性不安障害、鬱病、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害、パニック障害、体のほてり、老年性認知症、片頭痛、肝肺症候群、慢性疼痛、侵害受容性疼痛、神経因性疼痛、有痛性糖尿病性網膜症、双極性鬱病、閉塞性睡眠時無呼吸、精神障害、月経前不快気分障害、対人恐怖、社会不安障害、尿失禁、拒食症、神経性大食症、肥満、虚血、頭部損傷、脳細胞カルシウム過負荷、薬物依存症、および/もしくは早漏、またはこれらの症状のサブセットに関連するものなどの疾病の望ましくない任意の徴候または症状のいかなる緩和も、治療または療法と見なすことができる。さらに、治療は、患者の全般的な幸福感または外見を悪化させることがある行為を含む場合がある。
【0088】
用語「ルイス酸」とは、非共有電子対を許容することができる分子を指し、従って当業者には明白であろう。「ルイス酸」の定義には、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素エーテラート、三フッ化ホウ素テトラヒドロフラン錯体、三フッ化ホウ素tert−ブチル−メチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素ジブチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素二水和物、三フッ化ホウ素アセト酢酸錯体、三フッ化ホウ素ジメチル硫化物錯体、三塩化ホウ素、三塩化ホウ素ジメチル硫化物錯体、三臭化ホウ素、三臭化ホウ素ジメチル硫化物錯体、三ヨウ化ホウ素、トリメトキシボラン、トリエトキシボラン、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、三塩化アルミニウム、三塩化アルミニウムテトラヒドロフラン錯体、三臭化アルミニウム、四塩化チタン、四臭化チタン、ヨウ化チタン、テトラエトキシチタン、チタンテトライソプロポキシド、スカンジウム(III)トリフルオロメタンスルホン酸、イットリウム(III)トリフルオロメタンスルホン酸、イッテルビウム(III)トリフルオロメタンスルホン酸、ランタン(III)トリフルオロメタンスルホン酸、塩化亜鉛(II)、臭化亜鉛(II)、ヨウ化亜鉛(II)、亜鉛(II)トリフルオロメタンスルホン酸、硫酸亜鉛(II)、硫酸マグネシウム、過塩素酸リチウム、銅(II)トリフルオロメタンスルホン酸、銅(II)テトラフルオロホウ酸塩および同等物が含まれるが、これらに限定されるものではない。特定のルイス酸は、Corey,E.J.Angewandte Chemie,International Edition(2002),41(10),1650−1667;Aspinall H.C.Chemical Reviews(Washington,DC,United States)(2002),102(6),1807−1850;Groger,H.ChemistryA European Journal(2001),7(24),5246−5251;Davies,H.M.L.Chemtracts(2001),14(11),642−645;Wan,Y.Chemtracts(2001),14(11),610−615;Kim,Y.H.Accounts of Chemical Research(2001),34(12),955−962;Seebach,D.Angewandte Chemie,International Edition(2001),40(1),92−138;Blaser,H.U.Applied Catalysis,A:General(2001),221(1−2),119−143;Yet,L.Angewandte Chemie,International Edition(2001),40(5),875−877;Jorgensen,K.A.Angewandte Chemie,International Edition(2000),39(20),3558−3588;Dias,L.C.Current Organic Chemistry(2000),4(3),305−342;Spindler,F.Enantiomer(1999),4(6),557−568;Fodor,K.Enantiomer(1999),4(6),497−511;Shimizu,K.D.;Comprehensive Asymmetric Catalysis I−III(1999),3,1389−1399;Kagan,H.B.Comprehensive Asymmetric Catalysis I−III(1999),1,9−30;Mikami,K.Lewis Acid Reagents(1999),93−136および本明細書に引用されるすべての文献に説明されるように、電子受容体原子に結合される光学的に純粋なリガンドを有する場合がある。当業者は、アキラル出発物質から光学的に純粋な化合物を生成するために、かかるルイス酸を使用してもよい。
【0089】
用語「アシル化剤」とは、アルキルカルボニル、置換アルキルカルボニルまたはアリールカルボニル基をその他の分子に移動させることができる分子を指す。「アシル化剤」の定義には、酢酸エチル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ブチル、酢酸イソプロペニル、1−酢酸エトキシビニル、トリクロロエチル酪酸塩、トリフルオロエチル酪酸塩、トリフルオロエチルラウリン塩酸、S−エチルチオオクタン酸塩、ビアセチルモノオキシム酢酸塩、無水酢酸、塩化アセチル、無水コハク酸、ジケテン、ジアリル炭酸塩、炭酸ブト−3−エニルエステルシアノメチルエステル,アミノ酸および同等物が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0090】
用語「求核試薬」とは、非共有電子対を有する負に帯電した分子または中性分子を指し、従って当業者には明白であろう。「求核試薬」の定義には、水、アルキルヒドロキシ、アルコキシアニオン、アリールヒドロキシ、アリールオキシアニオン、アルキルチオール、アルキルチオアニオン、アリールチオール、アリールチオアニオン、アンモニア、アルキルアミン、アリールアミン、アルキルアミンアニオン、アリールアミンアニオン、ヒドラジン、アルキルヒドラジン、アリールヒドラジン、アルキルカルボニルヒドラジン、アリールカルボニルヒドラジン、ヒドラジンアニオン、アルキルヒドラジンアニオン、アリールヒドラジンアニオン、アルキルカルボニルヒドラジンアニオン、アリールカルボニルヒドラジンアニオン、シアン化物、アジド、水素化物、アルキルアニオン、アリールアニオンおよび同等物が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0091】
用語「求電子試薬」とは、開放原子価殻または電子が豊富な反応物質のための引力を有する正に帯電した分子または中性分子を指し、従って当業者には明白であろう。「求電子試薬」の定義には、ヒドロニウムイオン、アシリウム、例えば、三フッ化ホウ素および同等物などのルイス酸、例えば、Brおよび同等物などのハロゲン、例えば、tert−ブチルカチオンおよび同等物などのカルボカチオン、ジアゾメタン、トリメチルシリルジアゾメタン、例えば、ヨウ化メチル、ヨウ化トリジュウテロメチル(CDI)、臭化ベンジルおよび同等物などのアルキルハライド、例えば、メチルトリフレートおよび同等物などのアルキルトリフレート、例えば、エチルトルエンスルホナート、メタンスルホン酸ブチル、ジメチル硫酸、ヘキサジュウテロジメチル硫酸((CDSO)および同等物などのスルホン酸アルキル、例えば、塩化アセチル、臭化ベンゾイルおよび同等物などのハロゲン化アシル、例えば、無水酢酸、無水コハク酸、無水マレイン酸および同等物などの酸無水物、例えば、イソシアン酸メチル、フェニルイソシアネートおよび同等物などのイソシアネート、例えば、クロロギ酸メチル、クロロギ酸エチル、クロロギ酸ベンジルおよび同等物などのクロロギ酸、例えば、塩化メタンスルホニル、塩化p−トルエンスルホニルおよび同等物などのハロゲン化スルホニル、例えば、塩化トリメチルシリル、塩化tert−ブチルジメチルシリルおよび同等物などのハロゲン化シリル、例えば、クロロリン酸ジメチルおよび同等物などのハロゲン化ホスホリル、例えば、アクロレイン、メチルビニルケトン、桂皮アルデヒドおよび同等物などのα−β−不飽和カルボニル化合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0092】
用語「離脱基」(LG)とは、求核試薬によって移動された後、アニオン型または中性型で安定している任意の原子(または原子団)を指し、従って当業者には明白であろう。「離脱基」の定義には、水、メタノール、エタノール、塩化物、臭化物、ヨウ化物、メタンスルホン酸、トリルスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、酢酸、トリクロロ酢酸、安息香酸および同等物が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0093】
用語「酸化剤」とは、原子に酸素を加えるか、またはこの原子から電子を除去することによって、出発物質において、例えば、水素、炭素、窒素、硫黄、リンおよび同等物などの原子の酸化状態を強化する任意の試薬を指し、従って当業者には明白であろう。「酸化剤」の定義には、四酸化オスミウム、四酸化ルテニウム、三塩化ルテニウム、過マンガン酸カリウム、メタクロロ過安息香酸、過酸化水素、ジメチルジオキシランおよび同等物が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0094】
用語「金属リガンド」とは、非共有電子対を有し、金属原子を配位することができる分子を指し、従って当業者には明白であろう。「金属リガンド」の定義には、水、アルコキシアニオン、アルキルチオアニオン、アンモニア、トリアルキルアミン、トリアリールアミン、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、シアン化物、アジドおよび同等物が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0095】
用語「還元試薬」とは、原子に水素を加えるか、またはこの原子に電子を加えるか、またはこの原子から酸素を除去することによって、出発物質において原子の酸化状態を弱化させる任意の試薬を指し、従って当業者には明白であろう。「還元試薬」の定義には、ボラン−ジメチル硫化物錯体、9−ボラビシクロ[3,3,1,]ノナン(9−BBN)、カテコールボラン、水素化ホウ素リチウム、重水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、重水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム−メタノール錯体、水素化ホウ素カリウム、ヒドロキシ水素化ホウ素ナトリウム、トリエチル水素化ホウ素リチウム、n−ブチル水素化ホウ素リチウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、シアノ重水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カルシウム(II)、水素化アルミニウムリチウム、重水素化アルミニウムリチウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化n−ブチル−ジイソブチルアルミニウム、水素化ビス−メトキシエトキシアルミニウムナトリウム、トリエトキシシラン、ジエトキシメチルシラン、水素化リチウム、リチウム、ナトリウム、水素Ni/B、および同等物が含まれるが、これらに限定されるものではない。特定の酸性試薬およびルイス酸性試薬は、還元試薬の活性を高める。かかる酸性試薬の例には、酢酸、メタンスルホン酸、塩酸、および同等物が含まれる。かかるルイス酸性試薬の例には、トリメトキシボラン、トリエトキシボラン、三塩化アルミニウム、塩化リチウム、三塩化バナジウム、二塩化チタンジシクロペンタジエニル、フッ化セシウム、フッ化カリウム、塩化亜鉛(II)、臭化亜鉛(II)、ヨウ化亜鉛(II)、および同等物が含まれる。
【0096】
用語「カップリング試薬」とは、カルボン酸のカルボニルを活性化し、エステルまたはアミド結合の形成を促進する任意の試薬を指す。「カップリング試薬」の定義には、塩化アセチル、クロロギ酸エチル、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI)、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)N−ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)、4−ニトロフェノール、ペンタフルオロフェノール、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩(TBTU)、O−ベンゾトリアゾール−N,N,N’N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸(HBTU)、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−(ジメチルアミノ)−ホスホニウムヘキサフルオロリン酸(BOP)、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−ピロリジノホスホニウムヘキサフルオロリン酸、ブロモ−トリスピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロリン酸、2−(5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩(TNTU),O−(N−スクシンイミジル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩(TSTU)、テトラメチルフルオロホルムアミディニウムヘキサフルオロリン酸および同等物が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0097】
用語「除去可能な保護基」または「保護基」とは、ヒドロキシル基もしくはカルボキシル基の酸素原子、またはアミノ基の窒素原子などの官能基と結合される場合、これらの官能基で反応が発生することを阻止し、また官能基を回復させるために、従来の化学的または酵素的ステップによって保護基を除去することができる、任意の基を指す。用いられる特定の除去可能な保護基は重要ではない。
【0098】
「ヒドロキシル保護基」の定義には、
a)メチル、tert−ブチル、アリル、プロパルギル、p−クロロフェニル、p−メトキシフェニル、p−ニトロフェニル、2,4−ジニトロフェニル、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル、メトキシメチル、メチルチオメチル、(フェニルジメチルシリル)メトキシメチル、ベンジルオキシメチル、p−メトキシ−ベンジルオキシメチル、p−ニトロベンジルオキシメチル、o−ニトロベンジルオキシメチル、(4−メトキシフェノキシ)メチル、グアヤコールメチル、tert−ブトキシメチル、4−ペンテニルオキシメチル、tert−ブチルジメチルシロキシメチル、tヘキシルジメチルシロキシメチル、tert−ブチルジフェニルシロキシメチル、2−メトキシエトキシメチル、2,2,2−トリクロロエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、メントキシメチル、1−エトキシエチル、1−(2−クロロエトキシ)エチル、1−[2−(トリメチルシリル)エトキシ]エチル、1−メチル−1−エトキシエチル、1−メチル−1−ベンジルオキシエチル、1−メチル−1−ベンジルオキシ−2−フルオロエチル、1−メチル−1−フェノキシエチル、2,2,2−トリクロロエチル、1−ジアニシル−2,2,2−トリクロロエチル、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−フェニルイソプロピル、2−トリメチルシリルエチル、2−(ベンジルチオ)エチル、2−(フェニルセレニル)エチル、テトラヒドロピラニル、3−ブロモテトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、1−メトキシシクロヘキシル、4−メトキシテトラヒドロピラニル、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル、4−メトキシテトラヒドロピラニル、S,S−ジオキシド、1−[(2−クロロ−4−メチル)フェニル]−4−メトキシピペリジン−4−イル、1−(2−フルオロフェニル)−4−メトキシピペリジン−4−イル、1,4−ジオキサン−2−イル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニルおよび同等物、
【0099】
b)ベンジル、2−ニトロベンジル、2−トリフルオロメチルベンジル、4−メトキシベンジル、4−ニトロベンジル、4−クロロベンジル、4−ブロモベンジル、4−シアノベンジル、4−フェニルベンジル、4−アシルアミノベンジル、4−アジドベンジル、4−(メチルスルフィニル)ベンジル、2,4−ジメトキシベンジル、4−アジド−3−クロロベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、2,6−ジクロロベンジル、2,6−ジフルオロベンジル、1−ピレニルメチル、ジフェニルメチル、4,4’−ジニトロベンズヒドリル、5−ベンゾスベリル、トリフェニルメチル(トリチル)、α−ナフチルジフェニルメチル、(4−メトキシフェニル)−ジフェニル−メチル、ジ−(p−メトキシフェニル)−フェニルメチル、トリ−(p−メトキシフェニル)メチル、4−(4’−ブロモフェナシルオキシ)−フェニルジフェニルメチル、4,4’,4”−トリス(4,5−ジクロロフタルイミドフェニル)メチル、4,4’,4”−トリス(レブリノイルオキシフェニル)メチル、4,4’−ジメトキシ−3”−[N−(イミダゾリルメチル)]トリチル、4,4’−ジメトキシ−3”−[N−(イミダゾリルエチル)カルバモイル]トリチル、1,1−ビス(4−メトキシフェニル)−1’−ピレニルメチル、4−(17−テトラベンゾ[a,c,g,i]フルオレニルメチル)−4,4’−ジメトキシトリチル、9−アントリル、9−(9−フェニル)キサンテニル、9−(9−フェニル−10−オキソ)アントリルおよび同等物、
c)トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、ジメチルイソプロピルシリル、ジエチルイソプロピルシリル、ジメチルヘキシルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、トリベンジルシリル、トリ−p−キシリルシリル、トリフェニルシリル、ジフェニルメチルシリル、ジ−tert−ブチルメチルシリル、トリス(トリメチルシリル)シリル、(2−ヒドロキシスチリル)ジメチルシリル、(2−ヒドロキシスチリル)ジイソプロピルシリル、tert−ブチルメトキシフェニルシリル、tert−ブトキシジフェニルシリルおよび同等物、
【0100】
d)式中、R30は、アルキル、置換アルキル、アリール、より具体的には、R30=水素、メチル、エチル、tert−ブチル、アダマンチル、クロチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、メトキシメチル、トリフェニルメトキシメチル、フェノキシメチル、4−クロロフェノキシメチル、フェニルメチル、ジフェニルメチル、4−メトキシクロチル、3−フェニルプロピル、4−ペンテニル、4−オキソペンチル、4,4−(エチレンジチオ)ペンチル、5−[3−ビス(4−メトキシフェニル)ヒドロキシメチルフェノキシ]−4−オキソペンチル、フェニル、4−メチルフェニル、4−ニトロフェニル、4−フルオロフェニル、4−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、4−フェニルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、α−ナフチル、ベンゾイルおよび同等物より成る群から選択される−C(O)R30
e)式中、R30は、アルキル、置換アルキル、アリール、より具体的には、R30=メチル、メトキシメチル、9−フルオレニルメチル、エチル、2,2,2−トリクロロメチル、1,1−ジメチル−2,2,2−トリクロロエチル、2−(トリメチルシリル)エチル、2−(フェニルスルホニル)エチル、イソブチル、tert−ブチル、ビニル、アリル、4−ニトロフェニル、ベンジル、2−ニトロベンジル、4−ニトロベンジル、4−メトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、2−(メチルチオメトキシ)エチル、2−ダンシルエチル、2−(4−ニトロフェニル)エチル、2−(2,4−ジニトロフェニル)エチル、2−シアノ−1−フェニルエチル、チオベンジル、4−エトキシ−1−ナフチルおよび同等物より成る群から選択される−C(O)OR30が含まれるが、これらに限定されるのもではない。ヒドロキシル保護基のその他の例は、上記のGreenおよびWuttsに記載されている。
【0101】
「アミノ保護基」の定義は、
2−メチルチオエチル、2−メチルスルホニルエチル、2−(p−トルエンスルホニル)エチル、[2−(l,3−ジチアニル)]メチル、4−メチルチオフェニル、2,4−ジメチルチオフェニル、2−ホスホニオエチル、1−メチル−1−(トリフェニルホスホニオ)エチル、1,1−ジメチル−2−シアノエチル、2−ダンシルエチル、2−(4−ニトロフェニル)エチル、4−フェニルアセトキシベンジル、4−アジドベンジル、4−アジドメトキシベンジル、m−クロロ−p−アシルオキシベンジル、p−(ジヒドロキシボリル)ベンジル、5−ベンズイソキサゾリルメチル、2−(トリフルオロメチル)−6−クロモニルメチル、m−ニトロフェニル、3.5−ジメトキシベンジル、1−メチル−1−(3,5−ジメトキシフェニル)エチル、o−ニトロベンジル、α−メチルニトロピペロニル、3,4−ジメトキシ−6−ニトロベンジル、N−ベンゼンスルフェニル、N−o−ニトロベンゼンスルフェニル、N−2,4−ジニトロベンゼンスルフェニル、N−ペンタクロロベンゼンスルフェニル、N−2−ニトロ−4−メトキシベンゼンスルフェニル、N−トリフェニルメチルスルフェニル、N−1−(2,2,2−トリフルオロ−1、1−ジフェニル)エチルスルフェニル、N−3−ニトロ−2−ピリジンスルフェニル、N−p−トルエンスルホニル、N−ベンゼンスルホニル、N−2,3,6−トリメチル−4−メトキシベンゼンスルホニル、N−2,4,6−トリメトキシベンゼン−スルホニル、N−2,6−ジメチル−4−メトキシベンゼンスルホニル、N−ペンタメチルベンゼンスルホニル、N−2,3,5.6−テトラメチル−4−メトキシベンゼンスルホニルなどを含むがそれらに限定されず、
−C(O)OR3Oにおいて、R30は、アルキル、置換されたアルキル、アリールから成る群から選択され、より具体的には、R30は、メチル、エチル、9−フルオレニルメチル、9−(2−スルホ)フルオレニルメチル、9−(2,7−ジブロモ)フルオレニルメチル、17−テトラベンゾ[a,c,g,i]フルオレニルメチル、2−クロロ−3−インデニルメチル、ベンツ[f]インデン−3−イルメチル、2,7−di−t−ブチル−[9−(10,10−ジオキソ−10,10,10,10−テトラヒドロチオキサンチル)]メチル、1,1−ジオキソベンゾ[b]チオフェン−2−イルメチル、2,2,2−トリクロロエチル、2−トリメチルシリルエチル、2−フェニルエチル、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチル、2−クロロエチル、1.1−ジメチル−2−ハロエチル、1,1−ジメチル−2,2−ジブロモエチル、1,1−ジメチル−2,2,2−トリクロロエチル、1−メチル−1−(4−ビフェニルイル)エチル、1−(3,5−di−tert−ブチルフェニル)−1−メチルエチル、2−(2’−ピリジル)エチル、2−(4’−ピリジル)エチル、2,2−bis(4’−ニトロフェニル)エチル、N−(2−ピバロイルアミノ)−1,1−ジメチルエチル、2−[(2−ニトロフェニル)ジチオ]−1−フェニルエチル、tert−ブチル、1−アダマンチル、2−アダマンチル、ビニル、アリル、1−イソプロピルアリル、シンナミル、4−ニトロシンナミル、3−(3−ピリジル)プロプ−2−エニル、8−キノリル、N−ヒドロキシピペリジニル、アルキルジチオ、ベンジル、p−メトキシベンジル、p−ニトロベンジル、p−ブロモベンジル、p−クロロベンジル、2,4−ジクロロベンジル、4−メチルスルフィニルベンジル、9−アンスリルメチル、ジフェニルメチル、tert−アミル、S−ベンジルチオカルバメート、ブチニル、p−シアノベンジル、シクロブチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロプロピルメチル、p−デシルオキシベンジル、ジイソプロピルメチル、2,2−ジメトキシカルボニルビニル、o−(N,N’−ジメチルカルボキサミド)ベンジル、1,1−ジメチル−3−(N,N−ジメチルカルボキサミド)プロピル、1,1−ジメチルプロピニル、di(2−ピリジル)メチル、2−フラニルメチル、2−ヨードエチル、イソボルニル、イソブチル、イソニコチニル、p−(p’−メトキシフェニルアゾ)ベンジル、1−メチルシクロブチル、1−メチルシクロヘキシル、1−メチル−1−シクロプロピルメチル、1−メチル−1−(p−フェニルアゾフェニル)エチル、1−メチル−1−フェニルエチル、1−メチル−1−4’−ピリジルエチル、フェニル、p−(フェニルアゾ)ベンジル、2,4,6−トリメチルフェニル、4−(トリメチルアンモニウム)ベンジル、2,4,6−トリメチルベンジルなどである。アミノ保護基の他の例は、上記のGreeneおよびWuttsにおいて与えられる。
【0102】
「カルボキシル保護基」の定義は、
2−N−(モルホリノ)エチル、コリン、メチル、メトキシエチル、9−フルオレニルメチル、メトキシメチル、メチルチオメチル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、メトキシエトキシメチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、ベンジルオキシメチル、ピバロイルオキシメチル、フェニルアセトキシメチル、トリイソプロピルシリルメチル、シアノメチル、アセトール、p−ブロモフェナシル、α−メチルフェナシル、p−メトキシフェナシル、デシル、カルボキサミドメチル、p−アゾベンゼンカルボキサミド−メチル、N−フタルイミドメチル、(メトキシエトキシ)エチル、2,2,2−トリクロロエチル、2−フルオロエチル、2−クロロエチル、2−ブロモエチル、2−ヨードエチル、4−クロロブチル、5−クロロペンチル、2−(トリメチルシリル)エチル、2−メチルチオエチル、l,3−ジチアニル−2−メチル、2−(p−ニトロフェニルスルフェニル)エチル、2−(p−トルエンスルホニル)エチル、2−(2’−ピリジル)エチル、2−(p−メトキシフェニル)エチル、2−(ジフェニルホスフィノ)エチル、1−メチル−1−フェニルエチル、2−(4−アセチル−2−ニトロフェニル)エチル、2−シアノエチル、ヘプチル、tert−ブチル、3−メチル−3−ペンチル、ジシクロプロピルメチル、2,4−ジメチル−3−ペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アリル、メタリル、2−メチルブタ−3−エン−2−イル、3−メチルブタ−2−(プレニル)、3−ブテン−1−イル、4−(トリメチルシリル)−2−ブテン−1−イル、シンナミル、α−メチルシンナミル、プロパギル、フェニル、2,6−ジメチルフェニル、2,6−ジイソプロピルフェニル、2,6−di−tert−ブチル−4−メチルフェニル、2,6−di−tert−ブチル−4−メトキシフェニル、p−(メチルチオ)フェニル、ペンタフルオロフェニル、ベンジル、トリフェニルメチル、ジフェニルメチル、bis(o−ニトロフェニル)メチル、9−アンスリルメチル、2−(9,10−ジオキソ)アンスリルメチル、5−ジベンゾスベリル、1−ピレニルメチル、2−(トリフルオロメチル)−6−クロモニルメチル、2,4,6−トリメチルベンジル、p−ブロモベンジル、o−ニトロベンジル、p−ニトロベンジル、p−メトキシベンジル、2.6−ジメトキシベンジル、4−(メチルスルフィニル)ベンジル、4−スルホベンジル、4−アジドメトキシベンジル、4−{N−[l−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキシリデン)−3−メチルブチル]アミノ}ベンジル、ピペロニル、4−ピコリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、イソプロピルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル、di−tert−ブチルメチルシリル、トリイソプロピルシリルなどを含むがそれらに限定されない。カルボキシル保護基の他の例は、上記のGreeneおよびWuttsにおいて与えられる。
【0103】
チオール保護基の定義は、
I.アルキル、ベンジル、4−メトキシベンジル、2−ヒドロキシベンジル、4−ヒドロキシベンジル、2−アセトキシベンジル、4−アセトキシベンジル、4−ニトロベンジル、2,4,6−トリメチルベンジル、2,4,6−トリメトキシベンジル、4−ピコリル、2−キノリニルメチル、2−ピコリルn−オキシド、9−アンスリルメチル、9−フルオレニルメチル、キサンテニル、フェロセニルメチルなど、
II.ジフェニルメチル、bis(4−メトキシフェニル)メチル、5−ジベンゾスベリル、トリフェニルメチル、ジフェニル−4−ピリジルメチル、フェニル、2,4−ジニトロフェニル、tert−ブチル、1−アダマンチルなど、
III.メトキシメチル、イソブトキシメチル、ベンジルオキシメチル、2−テトラヒドロピラニル、ベンジルチオメチル、フェニルチオメチル、アセトアミドメチル、トリメチルアセトアミドメチル、ベンズアミドメチル、アリルオキシカルボニルアミノメチル、フェニルアセトアミドメチル、フタルイミドメチル、アセチル、カルボキシ−、シアノメチルなど、
IV.(2−ニトロ−1−フェニル)エチル、2−(2,4−ジニトロフェニル)エチル、2−(4’−ピリジル)エチル、2−シアノエチル、2−(トリメチルシリル)エチル、2,2−bis(カルボエトキシ)エチル、l−(3−ニトロフェニル)−2−ベンゾイル−エチル、2−フェニルスルホニルエチル、l−(4−メチルフェニルスルホニル)−2−メチルプロ4−2−イルなど、
【0104】
V.トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、ジメチルイソプロピルシリル、ジエチルイソプロピルシリル、ジメチルヘキシルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、トリベンジルシリル、tri−p−キシリルシリル、トリフェニルシリル、ジフェニルメチルシリル、di−tert−ブチルメチルシリル、トリス(トリメチルシリル)シリル、(2−ヒドロキシスチリル)ジメチルシリル、(2−ヒドロキシスチリル)ジイソプロピルシリル、tert−ブチルメトキシフェニルシリル、tert−butオキシジフェニルシリルなど、
VI.ベンゾイル、トリフルオロアセチル、N−[[(4−ビフェニルイル)イソプロポキシ]カルボニル]−N−メチル−γ−アミノチオブチラート、N−(t−ブトキシカルボニル)−N−メチル−γ−アミノチオブチラートなど、
VII.2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニルなど、
VIII.N−(エチルアミノ)カルボニル、N−(メトキシメチルアミノ)カルボニルなど、
IX.エチルチオ、tert−ブチルチオ、フェニルチオ、置換されたフェニルチオなど、
X.(ジメチルホスフィノ)チオイル、(ジフェニルホスフィノ)チオイルなど、
XI.スルホナート、アルキルオキシカルボニルチオ、ベンジルオキシカルボニルチオ、3−ニトロ−2−ピリジンチオなど、
XII.トリカルボニル[l,2,3,4,5−η]−2,4−シクロヘキサジエン−1−イル]−アイロン(l+)などを含むがそれらに限定されない。チオール保護基の他の例は、上記のGreeneおよびWuttsにおいて与えられる。
【0105】
用語「アミノ酸」は、いかなる自然発生アミノ酸、ならびにその合成類似化合物および派生物をも意味する。アルファ−アミノ酸は、アミノ基、カルボキシ基、水素原子、および「側鎖」と呼ばれる特徴のある基に結合される炭素原子を含む。自然発生アミノ酸の側鎖は当技術分野においてよく知られており、例えば、水素(例:グリシンと同様)、アルキル(例:アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリンと同様)、置換されたアルキル(例:トレオニン、セリン、メチオニン、システイン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、アルギニン、およびリジンと同様)、アリールアルキル(例:フェニルアラニンと同様)、置換されたアリールアルキル(例:チロシンと同様)、ヘテロアリールアルキル(例:トリプトファン、ヒスチジンと同様)などを含む。用語「アミノ酸」がベータ−、ガンマ−、デルタ−、オメガ−アミノ酸なども含むことを、当業者は理解するであろう。Natchus,M.G.、Organic Synthesis:Theory and Applications(2001),5,89−196;Ager,D.J.、Current Opinion in Drug Discovery & Development(2001),4(6),800;Reginato,G.、Recent Research Developments in Organic Chemistry(2000),4(Pt.1),351−359;Dougherty,D.A.、Current Opinion in Chemical Biology(2000),4(6),645−652;Lesley,S.A.、Drugs and the Pharmaceutical Sciences(2000),101(Peptide and Protein Drug Analysis),191−205;Pojitkov,A.E.Journal of Molecular Catalysis B:Enzymatic(2000),10(1−3),47−55;Ager,D.J.Speciality Chemicals(1999),19(1),10−12、およびここに引用されるすべての参考文献に記載のとおり、非天然アミノ酸もまた、当技術分野において既知である。20の通常のアミノ酸、アルファ、アルファ−2基置換アミノ酸、および他の非通常のアミノ酸などの非天然アミノ酸の立体異性体(例:D−アミノ酸)はまた、本発明の化合物に対して適切な成分であってもよい。非通常のアミノ酸の例は、4−ヒドロキシプロリン、3−メチルヒスチジン、5−ヒドロキシリジン、ならびに他の同様のアミノ酸およびイミノ酸(例:4−ヒドロキシプロリン)を含む。
【0106】
用語「N−保護アミノ酸」は、アミノ機能性の窒素に結合した保護基を有する、いかなるアミノ酸をも意味する。この保護基は、アミノ官能基において反応が起こることを防ぎ、アミノ官能基を回復するための従来の化学的または酵素の段階によって、除去することができる。
【0107】
用語「O−保護アミノ酸」は、カルボキシル機能性の酸素に結合した保護基を有する、いかなるアミノ酸をも意味する。この保護基は、カルボキシル官能基において反応が起こることを防ぎ、カルボキシル官能基を回復するための従来の化学的または酵素の段階によって、除去することができる。用いられる特定の保護基は、重要ではない。
【0108】
用語「プロドラッグ」は、生体内で親薬物に変換される薬剤を意味する。プロドラッグは、場合によっては親薬物よりも投与が容易であることがあるため、しばしば有用である。例えばそれらは、親薬物がそうでないのに対して、経口投与によって生物的に利用できることがある。プロドラッグはまた、親薬物よりも医薬組成物における溶解性を高めた可能性がある。酵素プロセスおよび代謝加水分解を含む様々なメカニズムによって、プロドラッグを親薬物に変換してもよい。Harper、“Drug Latentiation”(Jucker編集、Progress in Drug Research 4:221−294(1962));Morozowich et al.、“Application of Physical Organic Principles to Prodrug Design”(E.B.Roche編集、Design of Biopharmaceutical Properties through Prodrugs and Analogs、APHA Acad.Pharm.Sci.(1977));Bioreversible Carriers in Drug in Drug Design、Theory and Application、E.B.Roche編集、APHA Acad.Pharm.Sci.(1987);Design of Prodrugs、H.Bundgaard、Elsevier(1985);Wang et al.“Prodrug approaches to the improved delivery of peptide drug”(Curr.Pharm.Design.5(4):265−287(1999);Pauletti et al.(1997)Improvement in peptide bioavailability:Peptidomimetics and Prodrug Strategies,Adv.Drug.Delivery Rev.27:235−256;Mizen et al.(1998)“The Use of Esters as Prodrugs for Oral Delivery of.beta.−Lactam antibiotics”、Pharm.Biotech.11,345−365;Gaignault et al.(1996)“Designing Prodrugs and Bioprecursors I.Carrier Prodrugs”、Pract.Med.Chem.671−696;Asgharnejad、“Improving Oral Drug Transport”(Transport Processes in Pharmaceutical Systems、G.L.Amidon、P.I.Lee、およびE.M.Topp編集、Marcell Dekker、p.185−218(2000);Balant et al.、“Prodrugs for the improvement of drug absorption via different routes of administration”、Eur.J.Drug Metab.Pharmacokinet.、15(2):143−53(1990);BalimaneおよびSinko、“Involvement of multiple transporter in the oral absorption of nucleoside analogues”、Adv.Drug Delivery Rev.、39(1−3):183−209(1999);Browne、“Fosphenytoin(Cerebyx)”、Clin.Neuropharmacol.20(1):1−12(1997);Bundgaard、“Bioreversible derivatization of drugsprinciple and applicability to improve the therapeutic effects of drugs”、Arch.Pharm.Chemi86(1):1−39(1979);Bundgaard H.“Improved drug delivery by the prodrug approach”、Controlled Drug Delivery 17:179−96(1987);Bundgaard H.“Prodrugs as a means to improve the delivery of peptide drugs”、Adv.Drug Delivery Rev.8(1):1−38(1992);Fleisher et al.“Improved oral drug delivery:solubility limitations overcome by the use of prodrugs”、Adv.Drug Delivery Rev.19(2):115−130(1996);Fleisher et al.“Design of prodrugs for improved gastrointestinal absorption by intestinal enzyme targeting”、Methods Enzymol.112(Drug Enzyme Targeting,Pt.A):360−81、(1985);Farquhar D.et al.、“Biologically Reversible Phosphate−Protective Groups”、J.Phram.Sci.、72(3):324−325(1983);Freeman S,et al.、“Bioreversible Protection for the Phospho Group:Chemical Stability and Bioactivation of Di(4−acetoxy−benzyl)Methylphosphonate with Carboxyesterase”、J.Chem.Soc,Chem.Commun.、875−877(1991);FriisおよびBundgaard、“Prodrugs of phosphates and phosphonates:Novel lipophilic alpha−acyloxyalkyl ester derivatives of phosphate− or phosphonate containing drugs masking the negative charges of these groups”、Eur.J.Pharm.Sci.4:49−59(1996);Gangwar et al.、“Pro−drug,molecular structure and percutaneous delivery”、Des.Biopharm.Prop.Prodrugs Analogs,[Symp.]Meeting Date 1976,409−21.(1977);NathwaniおよびWood、“Penicillins:a current review of their clinical pharmacology and therapeutic use”、Drugs 45(6):866−94(1993);SinhababuおよびThakker、“Prodrugs of anticancer agents”、Adv.Drug Delivery Rev.19(2):241−273(1996);Stella et al.、“Prodrugs.Do they have advantages in clinical practice?”、Drugs 29(5):455−73(1985);Tan et al.“Development and optimization of anti−HIV nucleoside analogs and prodrugs:A review of their cellular pharmacology,structure−activity relationships and pharmacokinetics”、Adv.Drug Delivery Rev.39(1−3):117−151(1999);Taylor、“Improved passive oral drug delivery via prodrugs”、Adv.Drug Delivery Rev.、19(2):131−148(1996);ValentinoおよびBorchardt、“Prodrug strategies to enhance the intestinal absorption of peptides”、Drug Discovery Today 2(4):148−155(1997);WiebeおよびKnaus、“Concepts for the design of anti−HIV nucleoside prodrugs for treating cephalic HIV infection”、Adv.Drug Delivery Rev.:39(l−3):63−80(1999);Waller et al.、“Prodrugs”、Br.J.Clin.Pharmac.28:497−507(1989)を参照。
【0109】
本発明に関して記載される目的の観点から、水素、水素化物または陽子を通常含む試薬のすべての言及は、ここで概説される改良製剤原料への転換に作用するよう要求されるように、部分的、または完全に重水素化された種類(重水素、重水素化、または重陽子を含む)を含んでもよい。
【0110】
用語「ハロゲン」、「ハロゲン化物」または「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を含む。
【0111】
用語「アルキル」、および「置換されたアルキル」は互いに交換可能であり、特定の数の炭素原子を有する置換された、任意に置換された、および非置換のC1−10直鎖飽和脂肪族炭化水素基、置換された、任意に置換された、および非置換のC−C10直鎖不飽和脂肪族炭化水素基、置換された、任意に置換された、および非置換のC−C10分岐飽和脂肪族炭化水素基、置換されたおよび非置換のC−C10分岐不飽和脂肪族炭化水素基、置換された、任意に置換された、および非置換のC−C環状飽和脂肪族炭化水素基、置換された、任意に置換された、および非置換のC−C環状不飽和脂肪族炭化水素基を含む。例えば、「アルキル」の定義は、メチル(Me)、トリデューテロメチル(−CD)、エチル(Et)、プロピル(Pr)、ブチル(Bu)、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、イソプロピル(i−Pr)、イソブチル(i−Bu)、tert−ブチル(t−Bu)、sec−ブチル(s−Bu)、イソペンチル、ネオペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、メチルシクロプロピル、エチルシクロヘキセニル、ブテニルシクロペンチル、アダマンチル、ノルボルニルなどを含むがそれらに限定されないものとする。アルキル置換基は、水素、重水素、ハロゲン、−OH、−SH、−NH、−CN、−NO、=O、=CH、トリハロメチル、カルバモイル、アリールC0−10アルキル、ヘテロアリールC0−10アルキル、C1−10アルキルオキシ、アリールC0−10アルキルオキシ、C1−10アルキルチオ、アリールC0−10アルキルチオ、C1−10アルキルアミノ、アリールC0−10アルキルアミノ、N−アリール−N−C0−10アルキルアミノ、C1−10アルキルカルボニル、アリールC0−10アルキルカルボニル、C1−10アルキルカルボキシ、アリールC0−10アルキルカルボキシ、C1−10アルキルカルボニルアミノ、アリールC0−10アルキルカルボニルアミノ、テトラヒドロフリル、モルホリニル、ピペラジニル、ヒドロキシピロニル、−C0−10アルキルCOOR31および−C0−10アルキルCONR3233から成る群から独立して選択され、ここでR31、R32およびR33は、水素、重水素、アルキル、アリールから成る群から独立して選択されるか、またはR32およびR33は、それらが結合する窒素と共に、ここで定義されるように少なくとも1つの置換基で、3から8の炭素原子を含む飽和環状、または不飽和環状系を形成する。
【0112】
本発明に関して記載される目的の観点から、C−H結合を通常含む「アルキル」基、またはいかなる基のすべての言及は、本明細書で概説される改良に作用することが必要であるため、部分的、または完全に重水素化された種類を含んでもよい。
【0113】
用語「アルキルオキシ」(例:メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、アリルオキシ、シクロヘキシルオキシ)は、酸素橋を通って結合される示される数の炭素原子を有する、上述のような置換された、または非置換のアルキル基を表す。用語「アルキルオキシアルキル」は、示される数の炭素原子を有する、上述のようなアルキルまたは置換されたアルキル基を通して結合されるアルキルオキシ基を表す。
【0114】
用語「アルキルオキシカルボニル」(例:メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル)は、カルボニル橋を通して結合される示される数の炭素原子を有する、上述のような置換された、または非置換のアルキルオキシ基を表す。
【0115】
用語「アルキルチオ」(例:メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、シクロヘキセニルチオなど)は、硫黄橋を通して結合される示される数の炭素原子を有する、上述のような置換された、または非置換のアルキル基を表す。用語「アルキルチオアルキル」は、示される数の炭素原子を有する、上述のようなアルキル、または置換されたアルキルを通して結合される、アルキルチオ基を表す。
【0116】
用語「アルキルアミノ」(例:メチルアミノ、ジエチルアミノ、ブチルアミノ、N−プロピル−N−ヘキシルアミノ、(2−シクロペンチル)プロピルアミノ、ヘキセニルアミノなど)は、アミン橋を通して結合される示される数の炭素原子を有する、上述のような1つまたは2つの置換された、または非置換のアルキル基を表す。置換された、または非置換の基は、それらが結合する窒素と共に、上述のように少なくとも1つの置換基で、3から10の炭素原子を含む飽和環状、または不飽和環状系を形成してもよい。用語「アルキルアミノアルキル」は、示される数の炭素原子を有する、上述のような置換された、または非置換のアルキル基を通して結合されるアルキルアミノ基を表す。
【0117】
用語「アルキルヒドラジノ」(例:メチルヒドラジノ、ジエチルヒドラジノ、ブチルヒドラジノ、(2−シクロペンチル)プロピルヒドラジノ、シクロヘキサンヒドラジノなど)は、ヒドラジン橋の窒素原子と通して結合される示される数の炭素原子を有する、上述のような1つまたは2つの置換された、または非置換のアルキル基を表す。置換された、または非置換の基は、それらが結合する窒素と共に、上述のように少なくとも1つの置換基で、3から10の炭素原子を含む飽和環状、または不飽和環状系を形成してもよい。用語「アルキルヒドラジノアルキル」は、示される数の炭素原子を有する、上述のような置換された、または非置換のアルキル基を通して結合されるアルキルヒドラジノ基を表す。
【0118】
用語「アルキルカルボニル」(例:シクロオクチルカルボニル、ペンチルカルボニル、3−ヘキセニルカルボニルなど)は、カルボニル基を通して結合される示される数の炭素原子を有する、上述のような置換されたまたは非置換のアルキル基を表す。用語「アルキルカルボニルアルキル」は、示される数の炭素原子を有する、上述のような置換されたまたは非置換のアルキル基を通して結合される、アルキルカルボニル基を表す。
【0119】
用語「アルキルカルボキシ」(例:ヘプチルカルボキシ、シクロプロピルカルボキシ、3−ペンテニルカルボキシなど)は、カルボニルが酸素を通して順に結合されるところの、上述のようなアルキルカルボニル基を表す。用語「アルキルカルボキシアルキル」は、示される数の炭素原子を有する、上述のようなアルキル基を通して結合される、アルキルカルボキシ基を表す。
【0120】
用語「アルキルカルボニルアミノ」(例:ヘキシルカルボニルアミノ、シクロペンチルカルボニル−アミノメチル、メチルカルボニルアミノフェニルなど)は、カルボニルがアミノ基の窒素原子を通して順に結合されるところの、上述のようなアルキルカルボニル基を表す。窒素基それ自体は、置換された、もしくは非置換のアルキル、またはアリール基で置換されてもよい。用語「アルキルカルボニルアミノアルキル」は、示される数の炭素原子を有する、上述のような置換されたまたは非置換のアルキル基を通して結合される、アルキルカルボニルアミノ基を表す。
【0121】
用語「アルキルカルボニルヒドラジノ」(例:エチルカルボニルヒドラジノ、tert−ブチルカルボニルヒドラジノなど)は、カルボニルがヒドラジノ基の窒素原子を通して順に結合されるところの、上述のようなアルキルカルボニル基を表す。
【0122】
用語「アリール」は、安定した共有結合を形成することができる、いかなる環の位置においても共有結合される、非置換、一または多置換の単環式、多環式バイアリール芳香族基を表し、結合の特定の好ましい点は、当業者には明らかである(例:3−フェニル、4−ナフチルなど)。アリール置換基は、水素、重水素、ハロゲン、−OH、−SH、−CN、−NO、トリハロメチル、ヒドロキシピロニル、C1−10アルキル、アリールC0−10アルキル、C0−10アルキルオキシC0−10アルキル、アリールC0−10アルキルオキシC0−10アルキル、C0−10アルキルチオC0−10アルキル、アリールC0−10アルキルチオC0−10アルキル、C0−10アルキルアミノC0−10アルキル、アリールC0−10アルキルアミノC0−10アルキル、N−アリール−N−C0−10アルキルアミノC0−10アルキル、C1−10アルキルカルボニルC0−10アルキル、アリールC0−10アルキルカルボニルC0−10アルキル、C1−10アルキルカルボキシC0−10アルキル、アリールC0−10アルキルカルボキシC0−10アルキル、C1−10アルキルカルボニルアミノC0−10アルキル、アリールC0−10アルキルカルボニルアミノC0−10アルキル、−C0−10アルキルCOOR31、および−C0−10アルキルCONR3233から成る群から独立して選択され、ここでR31、R32およびR33は、水素、重水素、アルキル、アリールから成る群から独立して選択されるか、またはR32およびR33は、それらが結合する窒素と共に、上述のように少なくとも1つの置換基で、3から8の炭素原子を含む飽和環状、または不飽和環状系を形成する。
【0123】
「アリール」の定義は、フェニル、ペンタデューテロフェニル、バイフェニル、ナフチル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、インデニル、インダニル、アズレニル、アントリル、フェナントリル、フルオレニル、ピレニルなどを含むがそれらに限定されない。
【0124】
用語「アリールアルキル」(例:(4−ヒドロキシフェニル)エチル、(2−アミノナフチル)ヘキセニルなど)は、示される数の炭素原子を有する、上述のような置換された、または非置換のアルキル基を通して結合される、上記のようなアリール基を表す。
【0125】
用語「アリールカルボニル」(例:2−チオフェニルカルボニル、3−メトキシアントリルカルボニルなど)は、カルボニル基を通して結合される、上述のようなアリール基を表す。
【0126】
用語「アリールアルキルカルボニル」(例:(2,3−ジメトキシフェニル)プロピルカルボニル、(2−クロロナフチル)ペンテニル−カルボニルなど)は、アルキル基がカルボニルを通して順に結合されるところの、上述のようなアリールアルキル基を表す。
【0127】
用語「アリールオキシ」(例:フェノキシ、ナフトキシ、3−メチルフェノキシなど)は、酸素橋を通して結合される示される数の炭素原子を有する、上述のようなアリール、または置換されたアリール基を表す。用語「アリールオキシアルキル」は、示される数の炭素原子を有する、置換された、または非置換のアルキル基を通して結合される、アリールオキシ基を表す。
【0128】
用語「アリールオキシカルボニル」(例:フェノキシカルボニル、ナフトキシカルボニル)は、カルボニル橋を通して結合される示される数の炭素原子を有する、上述のような置換された、または非置換のアリールオキシ基を表す。
【0129】
用語「アリールチオ」(例:フェニルチオ、ナフチルチオ、3−ブロモフェニルチオなど)は、硫黄橋を通して結合される示される数の炭素原子を有する、上述のようなアリール、または置換されたアリール基を表す。用語「アリールチオアルキル」は、示される数の炭素原子を有する、上述のような置換された、または非置換のアルキル基を通して結合される、アリールチオ基を表す。
【0130】
用語「アリールアミノ」(例:フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ナフチルアミノ、N−フェニル−N−ナフチルアミノ、o−メチルフェニルアミノ、p−メトキシフェニルアミノなど)は、アミン橋を通して結合される示される数の炭素原子を有する、上述のような1つ、または2つのアリール基を表す。用語「アリールアミノアルキル」は、示される数の炭素原子を有する、上述のような置換された、または非置換のアルキル基を通して結合される、アリールアミノ基を表す。用語「アリールアルキルアミノ」は、示される数の炭素原子を有する、上述のようなアルキルアミノ基を通して結合される、アリール基を表す。用語「N−アリール−N−アルキルアミノ」(例:N−フェニル−N−メチルアミノ、N−ナフチル−N−ブチルアミノなど)は、アミン橋を通して独立して結合される示される数の炭素原子を有する、上述のような1つのアリール、および1つの置換された、または非置換のアルキル基を表す。
【0131】
用語「アリールヒドラジノ」(例:フェニルヒドラジノ、ナフチルヒドラジノ、4−メトキシフェニルヒドラジノなど)は、ヒドラジン橋を通して結合される示される数の炭素原子を有する、上述のような1つ、または2つのアリール基を表す。用語「アリールヒドラジノアルキル」は、示される数の炭素原子を有する、上述のような置換された、または非置換のアルキル基を通して結合される、アリールヒドラジノ基を表す。用語「アリールアルキルヒドラジノ」は、示される数の炭素原子を有する、上述のようなアルキルヒドラジノ基を通して結合される、アリール基を表す。用語「N−アリール−N−アルキルヒドラジノ」(例:N−フェニル−N−メチルヒドラジノ、N−ナフチル−N−ブチルヒドラジノなど)は、ヒドラジン橋のアミン原子を通して独立して結合される示される数の炭素原子を有する、上述のような1つのアリール、および1つの置換された、または非置換のアルキル基を表す。
【0132】
用語「アリールカルボキシ」(例:フェニルカルボキシ、ナフチルカルボキシ、3−フルオロフェニルカルボキシなど)は、カルボニルが酸素橋を通して順に結合されるところの、上述のようなアリールカルボニル基を表す。用語「アリールカルボキシアルキル」は、示される数の炭素原子を有する、上述のような置換された、または非置換のアルキル基を通して結合される、アリールカルボキシ基を表す。
【0133】
用語「アリールカルボニルアミノ」(例:フェニルカルボニルアミノ、ナフチルカルボニルアミノ、2−メチルフェニルカルボニルアミノなど)は、カルボニルがアミノ基の窒素原子を通して順に結合されるところの、上述のようなアリールカルボニル基を表す。窒素基それ自体は、置換された、もしくは非置換のアルキル、またはアリール基で置換されてもよい。用語「アリールカルボニルアミノアルキル」は、示される数の炭素原子を有する、上述のような置換された、または非置換のアルキル基を通して結合される、アリールカルボニルアミノ基を表す。窒素基それ自体は、置換された、もしくは非置換のアルキル、またはアリール基で置換されてもよい。
【0134】
用語「アリールカルボニルヒドラジノ」(例:フェニルカルボニルヒドラジノ、ナフチルカルボニルヒドラジノなど)は、カルボニルがヒドラジノ基の窒素原子を通して順に結合されるところの、上述のようなアリールカルボニル基を表す。
【0135】
用語「ヘテロアリール」、「複素環」または「複素環式の」は、単環または複数の縮合環、環内で窒素、硫黄、および酸素から成る群から選択される1から13の炭素原子、および1から10のヘテロ原子を有する一価不飽和基を意味する。本発明におけるヘテロアリール基は、水素、重水素、ハロゲン、−OH、−SH、−CN、−NO、トリハロメチル、ヒドロキシピロニル、C1−10アルキル、アリールC0−10アルキル、C0−10アルキルオキシC0−10アルキル、C0−10アルキルチオC0−10アルキル、アリールC0−10アルキルチオC0−10アルキル、C0−10アルキルアミノC0−10アルキル、アリールC0−10アルキルアミノC0−10アルキル、N−アリール−N−C0−10アルキルアミノC0−10アルキル、C1−10アルキルカルボニルC0−10アルキル、アリールC0−10アルキルカルボニルC0−10アルキル、C1−10アルキルカルボキシC0−10アルキル、アリールC0−10アルキルカルボキシC0−10アルキル、C1−10アルキルカルボニルアミノC0−10アルキル、アリールC0−10アルキルカルボニルアミノC0−10アルキル、−C0−10アルキルCOOR31、および−C0−10アルキルCONR3233から成る群から選択される1から10の置換基で、任意に置換することができ、ここでR31、R32およびR33は、水素、重水素、アルキル、アリールから成る群から独立して選択されるか、またはR32およびR33は、それらが結合する窒素と共に、上述のように少なくとも1つの置換基で、3から8の炭素原子を含む飽和環状、または不飽和環状系を形成する。
【0136】
「ヘテロアリール」の定義は、チエニル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル、2,3−ジヒドロベンゾチエニル、フリル、ピラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、ピロリル、ピロリル−2,5−ジオン、3−ピロリニル、インドリル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリニル、インドリジニル、インダゾリル、フタルイミジル(またはイソインドリ−1,3−ジオン)、イミダゾリル、2H−イミダゾリニル、ベンズイミダゾリル、デューテロベンズイミダゾリル、ジデューテロベンズイミダゾリル、トリデューテロベンズイミダゾリル、テトラデューテロベンズイミダゾリル、ピリジル、デューテロピリジル、ジデューテロピリジル、トリデューテロピリジル、テトラデューテロピリジル、ピラジニル、ピラダジニル、ピリミジニル、トリアジニル、キノリル、イソキノリル、4H−キノリジニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサニリル、1,8−ナフチリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、クロマニル、ベンゾジオキソリル、ピペロニル、プリニル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ベンズチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ベンゾキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピロリジニル−2,5−ジオン、イミダゾリジニル−2,4−ジオン、2−チオキソ−イミダゾリジニル−4−オン、イミダゾリジニル−2,4−ジチオン、チアゾリジニル−2,4−ジオン、4−チオキソ−チアゾリジニル−2−オン、ピペラジニル−2,5−ジオン、テトラヒドロ−ピリダジニル−3,6−ジオン、l,2−ジヒドロ−[l,2,4,5]テトラジニル−3,6−ジオン、[1,2,4,5]テトラジナニル−3,6−ジオン、ジヒドロ−ピリミジニル−2,4−ジオン、ピリミジニル−2,4,6−トリオン、1H−ピリミジニル−2,4−ジオン、5−ヨード−1H−ピリミジニル−2,4−ジオン、5−クロロ−1H−ピリミジニル−2,4−ジオン、5−メチル−1H−ピリミジニル−2,4−ジオン、5−イソプロピル−1H−ピリミジニル−2,4−ジオン、5−プロピニル−1H−ピリミジニル−2,4−ジオン、5−トリフルオロメチル−1H−ピリミジニル−2,4−ジオン、6−アミノ−9H−プリニル、2−アミノ−9H−プリニル、4−アミノ−1H−ピリミジニル−2−オン、4−アミノ−5−フルオロ−1H−ピリミジニル−2−オン、4−アミノ−5−メチル−1H−ピリミジニル−2−オン、2−アミノ−1,9−ジヒドロ−プリニル−6−オン、1,9−ジヒドロ−プリニル−6−オン、1H−[l,2,4]トリアゾリル−3−カルボン酸アミド、2,6−ジアミノ−N6−シクロプロピル−9H−プリニル、2−アミノ−6−(4−メトキシフェニルスルファニル)−9H−プリニル、5,6−ジクロロ−1H−ベンゾイミダゾリル、2−イソプロピルアミノ−5,6−ジクロロ−1H−ベンゾイミダゾリル、2−ブロモ−5,6−ジクロロ−1H−ベンゾイミダゾリル、5−メトキシ−1H−ベンゾイミダゾリル、3−エチルピリジル、5−メチル−2−フェニル−オキサゾリル、5−メチル−2−チオフェン−2−イル−オキサゾリル、2−フラン−2−イル−5−メチル−オキサゾリル、3−メチル−3H−キナゾリン−4−オン、4−メチル−2H−フタラジン−1−オン、2−エチル−6−メチル−3H−ピリミジン−4−オン、5−メトキシ−3−メチル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジンなどを含むがそれらに限定されない。本出願の目的で、用語「ヘテロアリール」、「複素環」、または「複素環式の」は、炭水化物環(すわなち、単糖、またはオリゴ糖)を含まない。
【0137】
用語「飽和複素環式の」は、安定した共有結合を形成することができる、いかなる環の位置においても共有結合される、非置換、一または多置換の単環式、多環式飽和複素環基を表し、結合の特定の好ましい点は、当業者には明らかである(例:1−ピペリジニル、4−ピペラジニル、DBUなど)。
【0138】
飽和複素環置換基は、ハロ、−OH、−SH、−CN、−NO、トリハロメチル、ヒドロキシピロニル、C1−10アルキル、アリールC0−10アルキル、C0−10アルキルオキシC0−10アルキル、アリールC0−10アルキルオキシC0−10アルキル、C0−10アルキルチオC0−10アルキル、アリールC0−10アルキルチオC0−10アルキル、C0−10アルキルアミノC0−10アルキル、アリールC0−10アルキルアミノC0−10アルキル、N−アリール−N−C0−10アルキルアミノC0−10アルキル、C1−10アルキルカルボニルC0−10アルキル、アリールC0−10アルキルカルボニルC0−10アルキル、C1−10アルキルカルボニルアミノC0−10アルキル、アリールC0−10アルキルカルボニルアミノC0−10アルキル、−C0−10アルキルCOOR31、および−C0−10アルキルCONR3233から成る群から独立して選択され、R31、R32およびR33は、水素、重水素、アルキル、アリールから成る群から独立して選択されるか、またはR32およびR33は、それらが結合する窒素と共に、上述のように少なくとも1つの置換基で、3から8の炭素原子を含む飽和環状、または不飽和環状系を形成する。
【0139】
飽和複素環式の定義は、ピロリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、1,4−ジオキサニル、モルホリニル、1,4−ジチエニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、キヌクリジニルなどを含むがそれらに限定されない。
【0140】
用語「アルファ−ベータ−不飽和カルボニル」は、二重または三重結合炭素に直接結合されるカルボニル基を有し、当業者には明らかであろう分子を意味する。アルファ−ベータ−不飽和カルボニルの定義は、アクロレイン、メチルビニルケトンなどを含むがそれらに限定されない。
【0141】
用語「アセタール」は、水素原子(H)、置換された炭素原子(C)、および2つの酸素原子(OおよびD)に直接結合される炭素原子Cを含む分子を意味する。これらの酸素原子は、他の置換された炭素原子(CおよびC)に順に結合され、それは当業者には明らかであろう。アセタールの定義は、1,1−ジメトキシプロパン、1,1−bis−アリルオキシブタンなどを含むがそれらに限定されない。
【化9】

【0142】
用語「環式アセタール」は、CおよびCが、それらが結合される酸素原子と共に、アルキル橋を通して結合し5または10員環を形成する、上述のようなアセタールを意味し、それは当業者には明らかであろう。環式アセタールの定義は、2−メチル−[l,3]ジオキソラン、2−エチル−[l,3]ジオキサン、2−フェニル−[l,3]ジオキサン、2−フェニル−ヘキサヒロド−ピラノ[3,2−d][l,3]ジオキシンなどを含むがそれらに限定されない。
【化10】

【0143】
用語「ケタール」は、2つの置換された炭素原子(CおよびC)、および2つの酸素原子(OおよびO)に直接結合される炭素原子Cを含む分子を意味する。これらの酸素原子は、他の置換された炭素原子(CおよびC)に順に結合され、それは当業者には明らかであろう。アセタールの定義は、2,2−ジメトキシ−ブタン、3,3−ジエトキシ−ペンタンなどを含むがそれらに限定されない。
【化11】

【0144】
用語「環式ケタール」は、CおよびCが、それらが結合される酸素原子と共に、アルキル橋を通して結合し5または10員環を形成する、上述のようなケタールを意味し、それは当業者には明らかであろう。環式アセタールの定義は、2,2,4,5−テトラメチル−[l,3]ジオキソラン、2,2−ジエチル−[l,3]ジオキセパン、2,2−ジメチル−ヘキサヒドロ−ピラノ[3,2−d][l,3]ジオキシンなどを含むがそれらに限定されない。
【化12】

【0145】
「C−カルボキシ」基は、Rがここで定義されるような、−C(=O)OR基を意味する。
【0146】
「アセチル」基は、−C(=O)CH,基を意味する。
【0147】
「トリハロメタンスルホニル」基は、Xがハロゲンである、XCS(=O)−基を意味する。
【0148】
「シアノ」基は、−CN基を意味する。
【0149】
「イソシアナト」基は、−NCO基を意味する。
【0150】
「チオシアナト」基は、−CNS基を意味する。
【0151】
「イソチオシアナト」基は、−NCS基を意味する。
【0152】
「スルフィニル」基は、Rがここで定義されるような、−S(=O)−R基を意味する。
【0153】
「S−スルホンアミド」基は、Rがここで定義されるような、−S(=O)NR,基を意味する。
【0154】
「N−スルホンアミド」基は、Rがここで定義されるような、RS(=O)NH−基を意味する。
【0155】
「トリハロメタンスルホンアミド」基は、XおよびRがここで定義されるような、XCS(=O)NR−基を意味する。
【0156】
「O−カルバミル」基は、Rがここで定義されるような、−OC(=O)−NR,基−を意味する。
【0157】
「N−カルバミル」基は、Rがここで定義されるような、ROC(=O)NH−基を意味する。
【0158】
「O−チオカルバミル」基は、Rがここで定義されるような、−OC(=S)−NR,基を意味する。
【0159】
「N−チオカルバミル」基は、Rがここで定義されるような、ROC(=S)NH−基を意味する。
【0160】
「C−アミド」基は、Rがここで定義されるような、−C(=O)−NR基を意味する。
【0161】
「N−アミド」基は、Rがここで定義されるような、RC(=O)NH−基を意味する。
【0162】
用語「ペルハロアルキル」は、水素原子のすべてがハロゲン原子によって置き換えられる、アルキル基を意味する。
【0163】
用語「医薬組成物」は、ここで開示される化合物と、希釈剤または担体などの他の化学成分との混合物を意味する。医薬組成物は、生物への化合物の投与を容易にする。経口、注射、エアロゾル、非経口、および局所投与を含むがそれらに限定されない、化合物投与の複数の技術が当技術分野に存在する。また、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などの無機、または有機酸と化合物を反応させることによって、医薬組成物を得ることができる。
【0164】
用語「担体」は、細胞または組織への化合物の取り入れを容易にする化合物を定義する。例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)は、生物の細胞または組織への多くの有機化合物の摂取を容易にするので、一般に利用される担体である。
【0165】
用語「希釈剤」は溶液、通常、水性または部分的に水性であり、重要な化合物を溶解し、化合物の生物学的活性型を安定させることがある溶液を定義する。緩衝液に溶解される塩は、技術的に希釈剤として利用される。ヒト血液の塩の状態を再現することから、1つの一般に使用される緩衝液はリン酸緩衝生理食塩水である。緩衝塩は、低濃度で溶液のpHを抑制できるため、緩衝希釈剤は、化合物の生物活性をほとんど変更しない。
【0166】
本化合物、組成物、および方法を開示および記載する前に、本発明の側面が、特定の合成方法、特定の薬学担体、または特定の薬学剤形、もしくは投与法に限定されず、当然ながらそれらは変更可能であることを理解されたい。また、本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を記載するためのみのものであり、限定することを目的としていないことも理解されたい。
【0167】
また、明細書および添付の請求項において使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別途明示しない限り、複数の指示対象を含むことも留意されたい。したがって、例えば、「二環式芳香族化合物」への言及は、二環式芳香族化合物の混合物を含み、「薬学担体」への言及は、2つ以上のかかる担体などの混合物を含む。
【0168】
本発明の新しい化合物を、適切な量の医薬的に許容可能な塩基で処理することによって、本発明の特定の医薬的に許容可能な塩を調製する。代表的な医薬的に許容可能な塩基は、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化第1鉄、水酸化亜鉛、水酸化銅、水酸化アルミニウム、水酸化第2鉄、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、リジン、アルギニン、ヒスチジンなどである。単独、または不活性水混和性有機溶媒と組み合わせて水またはDOにおいて、または有機溶媒のみにおいて、約0℃から約100℃の温度で、好ましくは室温で反応を行う。いかなる特定の塩にも望ましい比率を示すために、構造式1の化合物の使用される塩基とのモル比を選択する。例えば、出発物質のアンモニウム塩の調製に関して、式1の化合物を、医薬的に許容可能な塩基の約1当量で処理し、中性塩を得ることができる。カルシウム塩を調製する際、塩基の約半分のモル当量を使用するが、アルミニウム塩に対しては、塩基の約3分の1のモル当量を使用するであろう。
【0169】
本発明の化合物を、E.W.Martinによる、Remington’s Pharmaceutical Sciences最新版(Mack Publ.Co.、Easton Pa)に記載されるような、医薬的に許容可能な担体と共に、1つ以上の化合物から成る医薬組成物に適宜形成してもよい。
【0170】
経口および局所投与が通常好ましいが、本発明の化合物を、経口、非経口(例:静脈内)、筋肉注射、腹腔内注射、局所、経皮などで投与してもよい。投与される活性化合物の量は、当然、治療される対象、対象の体重、投与方法、および処方する医師の判断によるであろう。用量は、1日当たり1キログラムにつき約1マイクログラムから、1日当たり1キログラムにつき100ミリグラムの範囲になるであろう。
【0171】
投与の意図した形態により、医薬組成物は、例えばタブレット、坐薬、錠剤、カプセル、粉剤、液剤、懸濁剤、ローション、クリーム、ジェルなどの固体、半固体、または液体の投薬形態、好ましくは正確な用量の単回投与に適した単位剤形であってもよい。組成物は、上記のように医薬的に許容可能な担体との組み合わせで、効果的な量の選択される薬物を含み、さらに、他の薬剤、医薬品、担体、補助剤、希釈剤などを含んでもよい。
【0172】
固体組成物に関して、従来の非毒性固体担体は、例えばマンニトール、乳糖、スターチ、ステアリン酸マグネシウム、サリチル酸ナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、ショ糖、炭酸マグネシウムなどの医薬品等級を含む。例えば、ここに記載されるような活性化合物、および例えば、水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、エタノールなどの賦形剤における任意の薬学補助剤を溶解、分散するなどし、それによって溶液または懸濁液を形成することによって、液体の医薬的に投与可能な組成物を調製することができる。必要に応じて、投与するための医薬組成物はまた、例えば、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、酢酸ナトリウムトリエタノールアミン、オレイン酸塩トリエタノールアミンなどの、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤などの非毒性補助剤を含んでもよい。かかる投薬形態を調製する実際の方法は、当業者に既知であるか、明らかとなるであろう。例えば、上記で参照されたRemington’s Pharmaceutical Sciencesを参照されたい。
【0173】
経口投与に関して、細末または顆粒は、賦形剤、分散剤、および/または表面活性剤を含んでもよく、水またはシロップ中、乾燥状態におけるカプセルまたは小袋中、懸濁化剤が含まれてもよい非水溶液または懸濁液中、結合剤または潤滑剤が含まれてもよいタブレット中、または水またはシロップにおける懸濁液中にあってもよい。どこに必要とされようとも、香料添加剤、保存剤、懸濁化剤、増粘剤、または乳化剤もまた含んでもよい。タブレットおよび顆粒は好ましい経口投与形態であり、これらはコーティングされてもよい。
【0174】
非経口的投与が使用される場合は、通常注射を特徴とする。溶液または懸濁液、注射前の液体中の溶液または懸濁液に適した固形として、乳剤として、または持続放出製剤としてのいずれかで、従来の形態で注射物質を調整することができる。
【0175】
全身投与もまた、経粘膜的または経皮的な手段で行うことができる。経粘膜的または経皮的投与に関して、浸透されるバリアに適した浸透剤を剤形に使用する。かかる浸透剤は当技術分野において一般に知られており、例えば、経粘膜的投与用、胆汁塩、およびフシジン酸派生物を含む。さらに、浸透を促進するために、浄化剤を使用することもできる。経粘膜的投与は、例えば鼻腔用スプレーによって、または坐薬を使用して行うことができる。
【0176】
局所性投与に関して、薬剤を、オイントメント、クリーム、軟膏、パウダー、およびジェルに形成する。一側面では、経皮送達剤はDMSOであることができる。経皮送達システムは、例えばパッチなどを含むことができる。
【0177】
活性成分として本発明の化合物を含む医薬組成物は、タブレット、カプセル、粉剤、懸濁液、溶液、乳液、さらに軟膏およびクリームの形態をとることができ、非経口(静脈内、皮内、筋肉内、髄腔内など)、注射、浸透、局所使用、脊髄、経口、直腸、膣内および鼻腔内投与における中枢性注射、または局所塗布に使用することができる。かかる組成物を、本目的に通常使用される医薬的に許容可能な賦形剤と活性成分を組み合わせることによって、調製することができる。かかる賦形剤は、水性または非水溶媒、安定剤、懸濁化剤、分散剤、保湿剤などを含むことができ、製薬分野の当業者には既知となるであろう。組成物は、例えばポリエチレングリコール、および必要であれば着色剤、香料などの同様に適切な添加剤をさらに含んでもよい。
【0178】
医薬組成物は好ましくは、少なくとも約0.1重量パーセントの活性成分を含む。実際の濃度は、ヒト対象および選択された投与経路による。一般に、この濃度は、上記の使用および適応に対して、約0.1から約100%の間にある。投与される活性成分の用量はさらに、1日当たり体重1キログラムにつき約1マイクログラムから約100ミリグラム、好ましくは1日当たり体重1キログラムにつき約1マイクログラムから約50ミリグラム、および最も好ましくは、1日当たり体重1キログラムにつき約1マイクログラムから約20ミリグラムと異なることができる。
【0179】
望ましい用量は、好ましくは1日当たり好ましい間隔で投与される、1、2、3、4、5、6、またはそれ以上の日以下の用量の形態である。例えば、1用量単位につき0.5から1500ミリグラム、好ましくは0.5から200ミリグラム、および最も好ましくは、0.5から40ミリグラムの活性成分を含む用量単位の形態で、該用量または該用量以下を投与することができ、患者の症状が必要とする場合は、該用量を代替的に持続注射として投与することができる。
【0180】
(例示)
他に特に指示がない限り、ここで使用されるように、次の略語は次の意味を有する。Meはメチル(CH−)を意味し、Etはエチル(CHCH−)、i−Prはイソプロピル((CHCH−)、t−Buまたはtert−ブチルは第3ブチル((CHCH−)、Phはフェニル、Bnはベンジル(PhCH−)、Bzはベンジル(PhCO−)、MOMはメトキシメチル、Acはアセチル、TMSはトリメチルシリル、TBSはtert−ブチルジメチルシリル、Msはメタンスルホニル(CHSO−)、Tsはp−トルエンスルホニル(p−CHPhSO−)、Tfはトリフルオロメタンスルホニル(CFSO−)、TfOはトリフルオロメタンスルホン酸(CFSO−)、DOは重水、DMFはN,N−ジメチルホルムアミド、DCMはジクロロメタン(CHCl)、THFはテトラヒドロフラン、EtOAcは酢酸エチル、EtOはジエチルエーテル、MeCNはアセトニトリル(CHCN)、NMPは1−N−メチル−2−ピロリジノン、DMAはN,N−ジメチルアセトアミド、DMSOはジメチルスルホキシド、DCCは1,3−ジシクロヘキシルジカルボジイミド、EDCIはl−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルルボジイミド、Bocはtert−ブチルカルボニル、Fmocは9−フルオレニルメトキシカルボニル、TBAFはフッ化テトラブチルアンモニウム、TBAIはヨウ化テトラブチルアンモニウム、TMEDAはN,N,N,N−テトラメチルエチレンジアミン、Dess−Martinペルヨージナン、またはDess Martin試薬はl,l,1−トリアセトキシ−1,1−ジヒドロ−1,2−ベンズヨードキソール−3(1H)−オン、DMAPは4−N,N−ジメチルアミノピリジン、(i−Pr)NEtもしくはDIEA、またはヒューニッヒ塩基はN,N−ジエチルイソプロピルアミン、DBUは1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス−7−エン、(DHQ)AQNはジヒドロキニンアントラキノン−1,4−ジイルジエーテル、(DHQ)PHALはジヒドロキニンフタレイン−1,4−ジイルジエーテル、(DHQ)PYRはジヒドロキニン2,5−ジフェニル−4,6−ピリミジンジイルジエーテル、(DHQD)AQNはジヒドロキニジンアントラキノン−1,4−ジイルジエーテル、(DHQD)PHALはジヒドロキニジンフタラジン−1,4−ジイルジエーテル、(DHQD)PYRはジヒドロキニジン2,5−ジフェニル−4,6−ピリミジンジイルジエーテル、LDAはリチウムジイソプロピルアミド、LiTMPはリチウム2,2,6,6−テトラメチルピペリジンアミド、n−BuLiはn−ブチルリチウム、t−BuLiはtert−ブチルリチウム、IBAは1−ヒドロキシ−1,2−ベンズヨードキソール−3(1H)−オン1−オキシド、OsOは四酸化オスミウム、m−CPBAはmeta−クロロ過安息香酸、DMDはジメチルジオキシラン、PDCは重クロム酸ピリジニウム、NMOはN−メチルモルホリン−N−オキシド、NaHMDSはヘキサメチルジシラザンナトリウム、LiHMDSはヘキサメチルジシラザンリチウム、HMPAはヘキサメチルリン酸アミド、TMSClは塩化トリメチルシリル、TMSCNはシアン化トリメチルシリル、TBSClはtert−塩化ブチルジメチルシリル、TFAはトリフルオロ酢酸、TFAAはトリフルオロ酢酸無水物、AcOHは酢酸、AcOは無水酢酸、AcClは塩化アセチル、TsOHはp−トルエンスルホン酸、TsClはp−塩化トルエンスルホニル、MBHAは4−メチルベンズヒドリルアミン、BHAはベンズヒドリルアミン、ZnClは二塩化亜鉛(II)、BFは三フッ化ホウ素、Y(OTf)はトリフルオロメタンスルホン酸イットリウム(III)、Cu(BFテトラフルオロホウ酸銅(II)、LAHは水酸化アルミニウムリチウム(LiA1H)、LADは重水素化アルミニウムリチウム、NaHCOは重炭酸ナトリウム、KCOは炭酸カリウム、NaOHは水酸化ナトリウム、KOHは水酸化カリウム、LiOHは水酸化リチウム、HClは塩酸、HSOは硫酸、MgSOは硫酸マグネシウム、およびNaSOは硫酸ナトリウムを意味する。H NMRはプロトン核磁気共鳴を意味し、13C NMRは炭素−13核磁気共鳴、NOEは核オーバーハウザー効果、NOESYは核オーバーハウザーおよび交換分光法、COSYは等核相関分光法、HMQCはプロトン検出異核の多重量子コヒーレンス、HMBCは異核の多重結合の結合性、sはシングレット、br sはブロードシングレット、dはダブレット、br dはブロードダブレット、tはトリプレット、qはカルテット、ddはダブルダブレット、mはマルチプレット、ppmは100万分の1、IRは赤外分光光度法、MSは質量分析法、HRMSは高分解能質量分析法、EIは電子衝撃、FABは高速原子衝撃、CIは化学イオン化、HPLCは高圧液体クロマトグラフィー、TLCは薄層クロマトグラフィー、Rは保持因子、Rは保持時間、GCはガスクロマトグラフィーを意味し、minは分、hは時、rtまたはRTは、室温または周囲温度、gはグラム、mgはミリグラム、kgはキログラム、Lはリットル、mLはミリリットル、molはモル、およびmmolはミリモルである。
【0181】
次の実施例のすべてに関し、標準精密検査および精製方法を利用することができ、これらは当業者には明らかであろう。本発明を構成する合成方法論をスキーム1に示す。このスキームは、多くの利用可能な文献の予備的手段の1つにすぎず、具体的な実施例の使用によって適用される化学を例示することを目的とし、本発明の範囲を暗示するものではない。
【化13】

スキーム1
【実施例】
【0182】
次の限定されない実施例は、本発明のプロセスを実行するための、本発明者の好適な方法を図解する。
【0183】
実施例1 d−2−(4−メトキシフェニル)−酢酸
【化14】

−(4−メトキシフェニル)−酢酸は、Ouk et al.、Green Chemistry、2002、4(5)、431−435という既知の文献の手順に従って、d−(4−ヒドロキシフェニル)−酢酸(1当量、Cambridge Isotopes Laboratories)、KCO(0.04当量)、およびd−炭酸ジメチルエステル(1.25当量、Cambridge Isotopes Laboratories)を、完了まで160℃で反応させることによって調製することができ、それは参照することにより全体として本明細書に組み込まれる。
【0184】
実施例2 d15−2−(4−メトキシフェニル)−N,N−ジメチル−アセトアミド
【化15】

表題化合物は、Yardley et al.、Journal of Medicinal Chemistry 1990、35(10)、2899−2905に記載される手順に従って調製し、それは参照することによって全体として本明細書に組み込まれる。塩化メチレン中のd−(4−メトキシフェニル)−酢酸(1当量)の溶液を、塩化オキサリル(1.22当量)およびDMF(触媒量)で処理し、次に、すべての酸が酸塩化物に変化するまで、室温で撹拌する。減圧下で溶媒を取り除き、残渣を塩化メチレン中に溶解し、d−ジメチルアミン塩酸塩(1当量、Cambridge Isotopes Laboratories)、エチルジイソプロピルアミン(2.1当量)、およびDMAP(0.2当量)で処理する。混合物を一晩撹拌し、減圧下で溶媒を取り除き、粗残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製する。
【0185】
実施例3 d24−2−(l−ヒドロキシクロヘキシル)−2−(4−メトキシフェニル)−N,N−ジメチル−アセトアミド
【化16】

表題化合物は、Yardley et al.、Journal of Medicinal Chemistry 1990、35(10)、2899−2905に記載される手順に従って調製する。THF中のd15−2−(4−メトキシフェニル)−N,N−ジメチル−アセトアミド(1当量)の溶液を、n−ブチルリチウム(1当量)で−78℃で処理する。混合物を−78℃で90分間撹拌する。d10−シクロヘキサノン(1.2当量、Sigma−Aldrich)のTHF溶液を添加し、完了するまで撹拌を持続する。DO(2当量)の添加により反応物を急冷し、混合物を室温まで温め、溶媒を減圧下で除去し、粗残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製する。
【0186】
実施例4 d26−1−[2−ジメチルアミノ−1−(4−メトキシフェニル)−エチル]−シクロヘキサノール
【化17】

表題化合物は、Yardley et al.、Journal of Medicinal Chemistry 1990、33(10)、2899−2905に記載される手順に従って調製する。THF中のd24−2−(l−ヒドロキシクロヘキシル)−2−(4−メトキシフェニル)−N,N−ジメチル−アセトアミド(1当量)を、重水素化アルミニウムリチウム(1.6当量)の混合物に0℃で滴状添加し、完了するまで撹拌する。DOで反応物を急冷し、当業者に既知の標準条件下で混合する。次に、混合物をろ過し、沈殿物をTHFで数回洗浄する。混合ろ過液を蒸発し、残渣を適切な溶媒から再結晶化する。
【0187】
実施例5 d−(4−メトキシフェニル)−アセトニトリル
【化18】

炭酸カリウム(6.21g、45mmol)を含む、アセトン(30mL)中の(4−ヒドロキシフェニル)−アセトニトリル(4.50g、30mmol)の撹拌溶液に、周囲温度でd−ヨードメタン(8.70g、60mmol)を添加し、混合物を還流で一晩加熱し、周囲温度に冷却し、粗生成物を得るために濃縮し、望ましい生成物、d−(4−メトキシフェニル)−アセトニトリルを淡黄色油として得るために、ヘキサン−酢酸エチルを使用したフラッシュクロマトグラフィーによって、その粗生成物を精製した。
収率:3.99g(89%)。H−NMR(CDCl)δ ppm:3.67(s、2H)、6.88(d、2H、J=8.7Hz)、7.22(d、2H、J=8.7Hz)。
【0188】
実施例5 d−(1−ヒドロキシクロヘキシル)−(4−メトキシフェニル)−アセトニトリル
【化19】

激しく撹拌されたd−(4−メトキシフェニル)−アセトニトリル(0.85g、5.66mmol)に、硫酸水素テトラ−n−ブチルアンモニウム(0.10g、0.29mmol)および2N NaOH(1.2mL)を0℃で順次添加し、撹拌を30分間持続した。この混合物に、シクロヘキサノン(0.67g、6.8mmol)を0〜5℃で10分以上添加した。反応混合物を周囲温度に温め、激しい撹拌をさらに1時間継続した。白色沈殿物をろ過し、望ましい生成物、d−(l−ヒドロキシクロヘキシル)−(4−メトキシフェニル)−アセトニトリルを白色固体として得るために、水およびヘキサンで洗浄した。
収率:1.28g(91%)。H−NMR(CDCl)δ ppm:1.05−1.80(m、10H)、3.73(s、1H)、6.90(d、2HJ=8.7Hz)、7.27(d、2H、J=8.7Hz)。
【0189】
実施例6 d−1−[2−アミノ−1−(4−メトキシフェニル)−エチル]−シクロヘキサノール
【化20】

望ましい生成物、d−1−[2−アミノ−1−(4−メトキシフェニル)−エチル]−シクロヘキサノールを無色透明油として得るために、Raney Ni触媒カートリッジ(溶離液:メタノール中2.0Mアンモニア、流速:1mL/min、温度:80℃、圧力80bar)を備えた、H−CubeTM連続流式水素化反応器(Thales Nanotechnology、Budapest,Hungary)上で、d−(1−ヒドロキシクロヘキシル)−(4−メトキシフェニル)−アセトニトリル(400.0mg、1.61mmol)を還元した。
収率:280mg(69%)。H−NMR(CDCl)δ ppm:1.05−1.80(m、10H)、2.59(br s、2H)、2.68(t、1H、6.9Hz)、3.21(m、2H)、6.83(d、2H、J=9.0Hz)、7.17(d、2H、J=9.0Hz)。
【0190】
実施例7 d−1−[2−ジメチルアミノ−1−(4−メトキシフェニル)−エチル]−シクロヘキサノール(d−ベンラファクシン)
【化21】

−1−[2−アミノ−1−(4−メトキシフェニル)−エチル]−シクロヘキサノール(207mg、0.82mmol)、37%含水ホルムアルデヒド(0.3mL)、ギ酸(0.3mL)および水(2mL)を、80〜90℃で12時間撹拌し、1.5mLの容積に真空濃縮し、含水20%水酸化ナトリウムの滴状添加により塩基性にし、酢酸エチルで抽出した。粗残渣を得るために、混合有機層を塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)、ろ過および真空濃縮し、望ましい生成物、d−1−[2−ジメチルアミノ−1−(4−メトキシフェニル)−エチル]−シクロヘキサノールを得るために、シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル−メタノール−水酸化アンモニウム)によって、その粗残渣を精製した。
収率:24.4mg(11%)。H−NMR(メタノール−d)δ ppm:0.84−1.54(m、10H)、2.42(s、6H)、2.84−2.92(m、2H)、3.26−3.36(m、1H)、6.87(d、2H)、7.18(d、2H)。
【0191】
実施例8 d−1−[2−ジメチルアミノ−1−(4−メトキシフェニル)−エチル]−シクロヘキサノール(d−ベンラファクシン)
【化22】

−1−[2−アミノ−1−(4−メトキシフェニル)−エチル]−シクロヘキサノール(0.126g、0.5mmol)の溶液、d−ギ酸(0.3mL)、およびDO(1.5mL)中d−ホルムアルデヒド(DO中20wt%、0.25mL)を、100℃で16時間加熱し、周囲温度に冷却、水(5mL)で希釈、35%アンモニア水で中和、および酢酸エチルで抽出した。混合有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、粗残渣を得るために減圧下で濃縮し、望ましい生成物、d−1−[2−メチルアミノ−1−(4−メトキシフェニル)−エチル]−シクロヘキサノールを淡黄色の半固体として得るために、フラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル−メタノール−NHOH)によって、その粗残渣を精製した。
収率:0.024g(20%)。H−NMR(CDCl)δ ppm:0.78−1.80(m、10H)、2.33(dd、1H、J=12.0、3.3Hz)、2.96(dd、1H、J=12.0、3.3Hz)、3.31(t、1H、J=12.0Hz)、6.81(d、2H、J=9.0Hz)、7.17(d、2H、J=9.0Hz)。MS(m/z):287(M+l)。
【0192】
実施例9 d14−(l−ヒドロキシクロヘキシル)−(4−メトキシフェニル)−アセトニトリル
【化23】

【0193】
シクロヘキサノンの代わりにd10−シクロヘキサノン(Sigma−Aldrich)を、また水中の2N NaOHの代わりに2N NaODを用いることによって、表題化合物を実施例5と同様に調製した。最終生成物を、酢酸エチル−ヘキサンからの再結晶化によって精製した。
収率(60%)。H−NMR(CDCl)δ ppm:1.60(br s、1H)、6.90(d、2H、J=8.4Hz)、7.26(d、2H、J=8.4Hz)。
【0194】
実施例10 d14−1−[2−アミノ−1−(4−メトキシフェニル)−エチル]−シクロヘキサノール
【化24】

望ましい生成物、d14−1−[2−アミノ−1−(4−メトキシフェニル)−エチル]−シクロヘキサノールを無色透明油として得るために、Raney Ni触媒カートリッジ(溶離液:メタノール中2.0Mアンモニア、流速:1mL/min、温度:80℃、圧力80bar)を備えた、H−CubeTM連続流式水素化反応器(Thales Nanotechnology、Budapest、Hungary)上で、d14−(l−ヒドロキシクロヘキシル)−(4−メトキシフェニル)−アセトニトリル(570.0mg、2.21mmol)を還元した。
収率:530mg(92%)。H−NMR(CDCl)δ ppm:2.62(br s、3H)、3.21(dd、2H)、6.83(d、2H)、7.17(d、2H)。
【0195】
実施例11 d14−1−[2−ジメチルアミノ−1−(4−メトキシフェニル)−エチル]−シクロヘキサノール(d14−ベンラファクシン)
【化25】

14−1−[2−アミノ−1−(4−メトキシフェニル)−エチル]−シクロヘキサノール(257.0mg、0.98mmol)の溶液、ギ酸(0.334mL)、および水中(2.32mL)のホルムアルデヒド(水中37%、を室温で45分間撹拌した。ホルムアルデヒド(水中37%、0.146mL)を添加し、混合物を17時間加熱還流し、室温に冷却、酢酸エチルで洗浄、20%含水水酸化ナトリウムで塩基性にし、酢酸エチルで抽出した。粗残渣を得るために、混合有機層を塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)、ろ過および真空濃縮し、望ましい生成物、d14−1−[2−ジメチルアミノ−1−(4−メトキシフェニル)−エチル]−シクロヘキサノールを無色透明油として得るために、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−メタノール−水酸化アンモニウム)によって、その粗残渣を精製した。
収率:154.4mg(54%)、H−NMR(メタノール−d)δ ppm:2.25(s、6H)、2.55(d、1H)、3.14(d、1H)、6.84(d、2H)、7.13(d、2H)。
【0196】
実施例12 d20−1−[2−ジメチルアミノ−1−(4−メトキシフェニル)−エチル]−シクロヘキサノール(d20−ベンラファクシン)
【化26】


表題化合物を実施例8と同様に調製した。
【0197】
収率:(31%)。H−NMR(CDCl)δ ppm:2.33(d、1H、J=12.6Hz)、3.30(d、1H、J=12.6Hz)、6.81(d、2H、J=9.0Hz)、7.05(d、2H、J=9.0Hz).MS(m/z):298(M+l)。
【0198】
実施例13 生体外肝ミクロソーム安定性アッセイ
2%NaHCO中のNADPH発生系(2.2mM NADPH、25.6mM グルコース6−リン酸、1mLにつき6単位のグルコース6−リン酸脱水素酵素、および3.3mM MgCl)で、1mLにつき1mgの肝ミクロソームタンパク質に肝ミクロソーム安定性アッセイを行った。試験化合物を、20%アセトニトリル−水中の溶液として調製し、アッセイ混合物(終末アッセイ濃度:5マイクログラム/mL)に添加、および37℃で培養した。アッセイにおけるアセトニトリルの終末濃度は、<1%であった。一定分量(50μL)を、0、15、30、45および60分の時点で取り出し、反応を止めるために氷のように冷たい水アセトニトリル(200μL)で希釈した。タンパク質を沈殿させるために、12000 RPMで10分間、試料を遠心分離した。上清を微小遠心管に移動し、試験化合物の分解半減期のLC/MS/MS分析のために保管した。このようにして、このアッセイにおいて試験済みの、本発明による式(1)の化合物は、非同位体濃縮薬剤と比較して、分解半減期において10%以上の増加を示したことがわかっている。例えば、d−ベンラファクシン、d−ベンラファクシン、d14−ベンラファクシン、およびd20−ベンラファクシンの分解半減期は、非同位体濃縮ベンラファクシンと比較して、50〜300%増加した。
【0199】
実施例14 ヒトシトクロムP450酵素を使用した生体外代謝
バキュロウイルス発現系(BD Biosciences)を使用して、対応するヒトcDNAからシトクロムP450酵素を発現する。1ミリリットルにつき0.8ミリグラムのタンパク質、1.3ミリモルのNADP、3.3ミリモルのグルコース−6−リン酸、0.4U/mLのグルコース−6−リン酸脱水素酵素、3.3ミリモルの塩化マグネシウム、および0.2ミリモルの式1の化合物を含む、0.25ミリリットルの反応混合物、対応する非同位体濃縮化合物、または100ミリモルのリン酸カリウム(pH7.4)中の標準もしくは対照を、37℃で20分間培養する。培養後、適切な溶媒(例:アセトニトリル、20%トリクロロ酢酸、94%アセトニトリル/6%氷酢酸、70%過塩素酸、94%アセトニトリル/6%氷酢酸)の添加により反応を止め、3分間遠心分離する(10,000g)。上清をHPLC/MS/MSにより分析する。
【表1】

【0200】
薬理学
式1の化合物、または対応する非同位体濃縮化合物、または標準もしくは対照の薬理学的特性を、次のとおり明示することができる。例示される好適な化合物は、以下に記載するシンチレーション近接アッセイ(SPA)を使用して決定されたとおり、セロトニン輸送体で1マイクロモル未満、より好ましくは500ナノモル未満のK値を示す。WO 2005/060949を参照。さらに、例示される好適な化合物は、かかるSPAを使用した少なくとも5つの因子によって、ノルエピネフリンおよびドーパミン輸送体に関連するセロトニン輸送体を選択的に抑制する。
【0201】
実施例15 ヒトドーパミン、ノルエピネフリン、およびセロトニン輸送体を発現する安定細胞株の生成
ヒトドーパミン、ノルエピネフリン、およびセロトニン輸送体を発現する安定細胞株を生成するために、標準の分子クローニング技術を使用する。適切なcDNAライブラリーから、3つのフルレングスcDNAのそれぞれを単離および増幅するために、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用する。次の神経伝達物質輸送体に対するPCRプライマーを、公開された配列データを使用して設計する。標準の結紮技術を使用して、PCR生成物を、例えばpcDNA3.1(Invitrogen)のような哺乳類発現ベクターにクローン化し、次に、製造会社の手順に従って市販のリポフェクション試薬(リポフェクトアミンTM−Invitrogen)を使用し、HEK293細胞を同時形質転換する。
【0202】
ヒトドーパミン輸送体:ジェンバンク M95167。Vandenbergh et al、Molecular Brain Research 1992、15、161−166、それは参照することにより全体として本明細書に組み込まれる。
【0203】
ヒトノルエピネフリン輸送体:ジェンバンク M65105。Pacholczyk et al、Nature 1991、350、350−354、それは参照することにより全体として本明細書に組み込まれる。
【0204】
ヒトセロトニン輸送体:ジェンバンク L05568。Ramamoorthy et al、Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA 1993、90、2542−2546、それは参照することにより全体として本明細書に組み込まれる。
【0205】
実施例16 ノルエピネフリン輸送体に対する生体外SPA結合アッセイ
Gobel et al、Journal of Pharmacological and Toxicological Methods 1999、42(4)、237−244に記載される手順に従ってアッセイを行い、それは参照することにより全体として本明細書に組み込まれる。式1の化合物、または対応する非同位体濃縮化合物は、セロトニン/ノルエピネフリン再摂取抑制剤であり、ノルエピネフリン輸送体でのリガンドの親和性を決定するために、タンパク質に結合するヒトノルエピネフリン輸送体をエンコードするDNAでトランスフェクトされた細胞株中のノルエピネフリン再摂取部位に結合するH−ニソキセチンを使用してきた。
【0206】
膜画分
クローン化ヒトノルエピネフリン輸送体を発現するHEK−293細胞の大規模生成からの細胞ペーストを、300ミリモルのNaClおよび5ミリモルのKCl、pH 7.4を含む50ミリモルのTris−HClの4容積において均質化する。ホモジネートを2回遠心分離し(40,000g、10分、4℃)、最初の回転後、上記の試薬を含むTris−HClバッファーの4容積、および2回目の回転後8容積において、沈殿物の再懸濁を行う。懸濁したホモジネートを遠心分離し(100g、10分、4℃)、上清を保持し再遠心分離する(40,000g、20分、4℃)。10%w/vのショ糖および0.1ミリモルのフェニルメチルスルホニルフッ化物(PMSF)と共に、上記の試薬を含むTris−HClバッファー中で、沈殿物を再懸濁する。膜画分を、一定分量(1.0ミリリットル)で−80℃で、必要となるまで保管する。ビシンコニン酸(BCA)タンパク質アッセイ試薬キット(Pierceより入手可能)を使用して、膜画分のタンパク濃度を決定する。
【0207】
H]−ニソキセチン結合アッセイ
50マイクロリットルの2ナノモル[N−メチル−H]−ニソキセチン塩酸塩(70−87Ci/ミリモル、NEN Life Science Productsから)、75マイクロリットルのアッセイバッファー(300ミリモルのNaCl、および5ミリモルのKClを含む50ミリモルのTris−HCl pH7.4)、25マイクロリットルの式1の希釈化合物、または対応する非同位体濃縮化合物、アッセイバッファー(全結合)、または10マイクロモルのデシプラミンHCl(非特異結合)、50マイクロリットルの小麦胚凝集素被膜ポリ(ビニルトルエン)(WGA PVT)SPAビーズ(Amersham Biosciences RPNQ0001)(10ミリグラム/ミリリットル)、50マイクロリットルの膜(1ミリリットルにつき、0.2ミリグラムのタンパク質)を含むために、96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルを配置する。Triluxシンチレーションカウンターにおける表示の前に、マイクロタイタープレートを室温で10時間培養する。試験化合物のそれぞれに対するK値を示すために、自動スプラインフィットプログラム(Multicalc、Packard、英国、ミルトンキーンズ)を使用して、結果を分析する。
【0208】
実施例17 セロトニン輸送体に対する生体外SPA結合アッセイ
Ramamoorthy et al、J.Biol.Chem.1998、273(4)、2458−2466に記載される手順に従ってアッセイを行い、それは参照することにより全体として本明細書に組み込まれる。式1の化合物、または対応する非同位体濃縮化合物の、膜を含むクローン化ヒトセロトニン輸送体上のその結合部位をめぐって[H]−シタロプラムと競う能力を、試験化合物がその特異的輸送体によるセロトニン吸収を抑制する能力の尺度として使用してきた。
【0209】
膜画分
膜画分は、上述の膜を含むノルエピネフリン輸送体のそれと、本質的に同様である。膜画分は、一定分量(1ミリリットル)で−70℃で、必要となるまで保管する。BCAタンパク質アッセイ試薬キットを使用して、膜画分のタンパク濃度を決定する。
【0210】
H]−シタロプラム結合アッセイ
50マイクロリットルの2ナノモル[H]−シタロプラム(60−86Ci/ミリモル、Amersham Biosciences)、75マイクロリットルのアッセイバッファー(150ミリモルのNaCl、および5ミリモルのKClを含む50ミリモルのTris−HCl pH7.4)、25マイクロリットルの式1の希釈化合物、または対応する非同位体濃縮化合物、アッセイバッファー(全結合)、または100マイクロモルのフルオキセチン(非特異結合)、50マイクロリットルのWGA PVT SPAビーズ(40ミリグラム/ミリリットル)、50マイクロリットルの膜画分(1ミリリットルにつき、0.4ミリグラムのタンパク質)を含むために、96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルを配置する。Triluxシンチレーションカウンターにおける表示の前に、マイクロタイタープレートを室温で10時間培養する。試験化合物のそれぞれに対するK(ナノモル)値を示すために、自動スプラインフィットプログラム(Multicalc、Packard、Milton、UK)を使用して、結果を分析する。
【0211】
実施例18 ドーパミン輸送体に対する生体外SPA結合アッセイ
Ramamoorthy et al、J.Biol.Chem.1998、273(4)、2458−2466に記載される手順に従ってアッセイを行い、それは参照することにより全体として本明細書に組み込まれる。試験化合物の、クローン化ヒトドーパミン輸送体を含むヒト細胞膜上のその結合部位をめぐって[H]−WIN35,428と競う能力を、かかる試験化合物がその特異的輸送体によるドーパミン吸収を抑制する能力の尺度として使用してきた。
【0212】
膜画分
これは、上述のクローン化ヒトセロトニン輸送体を含む膜のものと、本質的に同じである。
H]−WIN35,428結合アッセイ
[0216]50マイクロリットルの4ナノモル[H]−WIN35,428(84−87Ci/ミリモル、NEN Life Science Productsから)、5マイクロリットルのアッセイバッファー(150ミリモルのNaCl、および5ミリモルのKClを含む50ミリモルのTris−HCl pH7.4)、25マイクロリットルの式1の希釈化合物、または対応する非同位体濃縮化合物、アッセイバッファー(全結合)、または100マイクロモルのノミフェンシン(非特異結合)、50マイクロリットルのWGA PVT SPAビーズ(10ミリグラム/ミリリットル)、50マイクロリットルの膜画分(1ミリリットルにつき、0.2ミリグラムのタンパク質)を含むために、96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルを配置する。Triluxシンチレーションカウンターにおける表示の前に、マイクロタイタープレートを室温で120分培養する。試験化合物のそれぞれに対するK値を示すために、自動スプラインフィットプログラム(Multicalc、Packard、Milton Keynes,UK)を使用して、結果を分析する。
【0213】
実施例19 ラットにおける行動絶望に対する生体外アッセイ
Porsolt et al、Archives Internationales de Pharmacodynamie et de Therapie、1977、229(2)、327−336に記載される手順に従ってアッセイを行い、それは参照することにより全体として本明細書に組み込まれる。ラットにおける試験化合物の腹腔内注射後、水を含んだシリンダーに動物を6分入れる。最後の4分間に不動時間を測定する。不動時間の減少は、有効性の増加を示す。
【0214】
本発明は上記の実施例を参照して記載されてきたが、本発明の精神と範囲内で修正や変更が包含されることは理解されるであろう。したがって、本発明は次の請求項によってのみ制限される。
【0215】
引用文献−以下の文献のそれぞれの開示は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
特許文献
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米国5,386,032号1995年1月31日Brandstrom
欧州0654264号1995年5月24日Thor
米国5,846,514号1998年12月8日Foster
米国6,221,335号2001年4月24日Foster
米国6,333,342号2001年12月25日Foster
米国6,334,997号2002年1月1日Foster
米国6,342,507号2002年1月29日Foster
米国6,476,058号2002月11月5日Foster
米国6,503,921号2003年1月7日Naicker
米国6,605,593号2003年8月12日Naicker
米国6,613,739号2003年9月2日Naicker
米国6,710,053号2004年3月23日Naicker
米国6,818,200号2004年11月16日Foster
米国6,884,429号2005年4月26日Koziak
【0216】
その他の文献
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【0220】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1の化合物、
【化1】

式1
[ここで、
式1の前記化合物が、少なくとも1つの重水素原子を含有し、
式1の前記化合物中の重水素濃縮が少なくとも約1%である場合、
式中、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、およびR18は、水素、および重水素より成る群から独立して選択され、
19、R20、およびR21は、−CH、および−CDより成る群から独立して選択される]
またはその単一エナンチオマー、(+)−エナンチオマーと(−)−エナンチオマーの混合物、約90重量%以上の前記(−)−エナンチオマーと約10重量%以下の前記(+)−エナンチオマーの混合物、約90重量%以上の前記(+)−エナンチオマーと約10重量%以下の前記(−)−エナンチオマーの混合物、単独ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、あるいは医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ。
【請求項2】
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

より成る群から選択される化合物、
またはその単一エナンチオマー、(+)−エナンチオマーと(−)−エナンチオマーの混合物、約90重量%以上の前記(−)−エナンチオマーと約10重量%以下の前記(+)−エナンチオマーの混合物、約90重量%以上の前記(+)−エナンチオマーと約10重量%以下の前記(−)−エナンチオマーの混合物、単独ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、あるいは医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ。
【請求項3】
【化6】


より成る群から選択される化合物、
またはその単一エナンチオマー、(+)−エナンチオマーと(−)−エナンチオマーの混合物、約90重量%以上の前記(−)−エナンチオマーと約10重量%以下の前記(+)−エナンチオマーの混合物、約90重量%以上の前記(+)−エナンチオマーと約10重量%以下の前記(−)−エナンチオマーの混合物、単独ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、あるいは医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ。
【請求項4】
治療上有効量の、請求項1に記載の化合物、または請求項1に記載の化合物の単一エナンチオマー、請求項1に記載の化合物の前記(+)−エナンチオマーと前記(−)−エナンチオマーの混合物、請求項1に記載の化合物の約90重量%以上の前記(−)−エナンチオマーと約10重量%以下の前記(+)−エナンチオマーの混合物、請求項1に記載の化合物の約90重量%以上の前記(+)−エナンチオマーと約10重量%以下の前記(−)−エナンチオマーの混合物、請求項1に記載の化合物の単独ジアステレオマー、請求項1に記載の化合物のジアステレオマーの混合物、あるいは医薬的に許容可能な担体を有する、その医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを含む、医薬組成物。
【請求項5】
組成物が、適切な経口、非経口、または静脈内注射投与である、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
経口投与が、錠剤またはカプセルを投与するステップを含む、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の化合物が、0.5ミリグラムから400ミリグラムの総日用量にて投与される、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項8】
モノアミン再摂取またはモノアミン受容体に関連する疾患を伴う疾病または症状に罹患している哺乳動物を処置する方法であって、治療上有効量の、下記構造
【化7】

式1
[ここで、
式1の前記化合物が、少なくとも1つの重水素原子を含有し、
式1の前記化合物中の重水素濃縮が少なくとも約1%である場合、
式中、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、およびR18は、水素、および重水素より成る群から独立して選択され、
19、R20、およびR21は、−CH、および−CDより成る群から独立して選択される]を有する式1の化合物、またはその単一エナンチオマー、(+)−エナンチオマーと(−)−エナンチオマーの混合物、約90重量%以上の前記(−)−エナンチオマーと約10重量%以下の前記(+)−エナンチオマーの混合物、約90重量%以上の前記(+)−エナンチオマーと約10重量%以下の前記(−)−エナンチオマーの混合物、単独ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、あるいは医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを前記哺乳動物に投与するステップを含む方法。
【請求項9】
モノアミン疾病または症状が、向精神病、不安障害、全般性不安障害、鬱病、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害、パニック障害、体のほてり、老年性認知症、片頭痛、肝肺症候群、慢性疼痛、侵害受容性疼痛、神経因性疼痛、有痛性糖尿病性網膜症、双極性鬱病、閉塞性睡眠時無呼吸、精神障害、月経前不快気分障害、対人恐怖、社会不安障害、尿失禁、拒食症、神経性大食症、肥満、虚血、頭部損傷、脳細胞カルシウム過負荷、薬物依存症、および早漏より成る群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
式1の化合物が、非同位体濃縮化合物と比較すると、該化合物またはその代謝産物の血漿中濃度における個人間の偏差の減少に影響を与える、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
式1の化合物が、非同位体濃縮化合物と比較すると、投薬単位当たりの該化合物の平均血漿中濃度の上昇に影響を与える、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
式1の化合物が、非同位体濃縮化合物と比較すると、投薬単位当たりの該化合物の少なくとも1つの代謝産物の平均血漿中濃度の低下に影響を与える、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
式1の化合物が、非同位体濃縮化合物と比較すると、投薬単位当たりの哺乳動物の対象における少なくとも1つの多様な形態で発現するシトクロムP450アイソフォームによる代謝作用の低下に影響を与える、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
シトクロムP450アイソフォームが、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、およびCYP2D6より成る群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
式1の化合物が、非同位体濃縮化合物と比較すると、投薬単位当たりの哺乳動物の対象における少なくとも1つのシトクロムP450アイソフォームの抑制の低下に影響を与える、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
シトクロムP450アイソフォームが、CYPlAl、CYP1A2、CYPlBl、CYP2A6、CYP2A13、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C18、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP2G1、CYP2J2、CYP2R1、CYP2S1、CYP3A4、CYP3A5、CYP3A5P1、CYP3A5P2、CYP3A7、CYP4A11、CYP4B1、CYP4F2、CYP4F3、CYP4F8、CYP4F11、CYP4F12、CYP4X1、CYP4Z1、CYP5A1、CYP7A1、CYP7B1、CYP8A1、CYP8B1、CYP11Al、CYP11Bl、CYP11B2、CYP17、CYP19、CYP21、CYP24、CYP26A1、CYP26B1、CYP27A1、CYP27B1、CYP39、CYP46、およびCYP51より成る群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
式1の化合物が、非同位体濃縮化合物と比較すると、投薬単位当たりの哺乳動物における処置中の臨床効果の向上を誘発する、請求項8に記載の方法。
【請求項18】
臨床効果の向上は、治癒の促進率、症状緩和の促進率、患者の薬剤服用順守の強化、および処置中の薬物乱用禁断症状の緩和より成る群から選択される効果を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
第1の成分および第2の成分を同時投与するステップを含む、哺乳動物の薬物中毒の処置の方法であって、前記第1の成分が、治療上有効量の式1の化合物を含み、前記第2の成分は、治療上有効量のオピオイド拮抗薬を含み、
式1の化合物である、成分Aは、下記構造、
【化8】

式1
[ここで、
式1の前記化合物が、少なくとも1つの重水素原子を含有し、
式1の前記化合物中の重水素濃縮が少なくとも約1%である場合、
式中、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、およびR18は、水素、および重水素より成る群から独立して選択され、
19、R20、およびR21は、−CH、および−CDより成る群から独立して選択される]
またはその単一エナンチオマー、(+)−エナンチオマーと(−)−エナンチオマーの混合物、約90重量%以上の前記(−)−エナンチオマーと約10重量%以下の前記(+)−エナンチオマーの混合物、約90重量%以上の前記(+)−エナンチオマーと約10重量%以下の前記(−)−エナンチオマーの混合物、単独ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、あるいは医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを有する、
方法。
【請求項20】
オピオイド拮抗薬が、ナルメフェン、ナルトレキソン、およびナロキソンより成る群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
薬物中毒が、たばこ中毒、アルコール中毒、マリファナ中毒、およびコカイン中毒より成る群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
第1の成分が、第2の成分の投与後に投与される、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
第1の成分が、第2の成分と実質上同時に投与される、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
第1の成分が、第2の成分の前に投与される、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
第1の成分が、第1の成分の非同位体濃縮類似体と比較すると、薬物中毒の処置に対する臨床効果の向上を誘発する、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
臨床効果の向上は、治癒の促進率、症状緩和の促進率、患者の薬剤服用順守の強化、および処置中の薬物乱用禁断症状学の緩和より成る群から選択される効果を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
モノアミン再摂取またはモノアミン受容体に関連する疾病または症状の治療用医薬の調製のための式1の化合物の使用であって、式1の化合物は、下記構造、
【化9】

式1
[ここで、式1の前記化合物が、少なくとも1つの重水素原子を含有し、
式1の前記化合物中の重水素濃縮が少なくとも約1%である場合、
式中、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、およびR18は、水素、および重水素より成る群から独立して選択され、
19、R20、およびR21は、−CH、および−CDより成る群から独立して選択される]
またはその単一エナンチオマー、(+)−エナンチオマーと(−)−エナンチオマーの混合物、約90重量%以上の前記(−)−エナンチオマーと約10重量%以下の前記(+)−エナンチオマーの混合物、約90重量%以上の前記(+)−エナンチオマーと約10重量%以下の前記(−)−エナンチオマーの混合物、単独ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、あるいは医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを有する、
使用。
【請求項28】
モノアミン疾病または症状が、向精神病、不安障害、全般性不安障害、鬱病、心的外傷後ストレス障害、強迫性障害、パニック障害、体のほてり、老年性認知症、片頭痛、肝肺症候群、慢性疼痛、侵害受容性疼痛、神経因性疼痛、有痛性糖尿病性網膜症、双極性鬱病、閉塞性睡眠時無呼吸、精神障害、月経前不快気分障害、対人恐怖、社会不安障害、尿失禁、拒食症、神経性大食症、肥満、虚血、頭部損傷、脳細胞カルシウム過負荷、薬物依存症、および早漏より成る群から選択される、請求項27に記載の使用。
【請求項29】
式1の化合物が、非同位体濃縮化合物と比較すると、該化合物またはその代謝産物の血漿中濃度における個人間の偏差の減少に影響を与える、請求項27に記載の使用。
【請求項30】
式1の化合物が、非同位体濃縮化合物と比較すると、投薬単位当たりの該化合物の平均血漿中濃度の上昇に影響を与える、請求項27に記載の使用。
【請求項31】
式1の化合物が、非同位体濃縮化合物と比較すると、投薬単位当たりの該化合物の少なくとも1つの代謝産物の平均血漿中濃度の低下に影響を与える、請求項27に記載の使用。
【請求項32】
式1の化合物が、非同位体濃縮化合物と比較すると、投薬単位当たりの哺乳動物の対象における、少なくとも1つの多様な形態で発現するシトクロムP450アイソフォームによる代謝作用の低下に影響を与える、請求項27に記載の使用。
【請求項33】
シトクロムP450アイソフォームが、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、およびCYP2D6より成る群から選択される、請求項32に記載の使用。
【請求項34】
式1の化合物が、非同位体濃縮化合物と比較すると、投薬単位当たりの哺乳動物の対象における少なくとも1つのシトクロムP450アイソフォームの抑制の低下に影響を与える、請求項27に記載の使用。
【請求項35】
シトクロムP450アイソフォームが、CYPlAl、CYP1A2、CYPlBl、CYP2A6、CYP2A13、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C18、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP2G1、CYP2J2、CYP2R1、CYP2S1、CYP3A4、CYP3A5、CYP3A5P1、CYP3A5P2、CYP3A7、CYP4A11、CYP4B1、CYP4F2、CYP4F3、CYP4F8、CYP4F11、CYP4F12、CYP4X1、CYP4Z1、CYP5A1、CYP7A1、CYP7B1、CYP8A1、CYP8B1、CYP11Al、CYP11Bl、CYP11B2、CYP17、CYP19、CYP21、CYP24、CYP26A1、CYP26B1、CYP27A1、CYP27B1、CYP39、CYP46、およびCYP51より成る群から選択される、請求項34に記載の使用。
【請求項36】
式1の化合物が、非同位体濃縮化合物と比較すると、投薬単位当たりの哺乳動物における処置中の臨床効果の向上を誘発する、請求項27に記載の使用。
【請求項37】
臨床効果の向上が、治癒の促進率、症状緩和の促進率、患者の薬剤服用順守の強化、および処置中の薬物乱用禁断症状の緩和より成る群から選択される効果を含む、請求項36に記載の使用。
【請求項38】
第1の成分および第2の成分を含む、薬物中毒の処置のための医薬の調製のための式1の化合物の使用であって、前記第1の成分は、治療上有効量の式1の化合物を含み、前記第2の成分は治療上有効量のオピオイド拮抗薬を含んでおり、
式1の化合物は、下記構造
【化10】


式1
またはその単一エナンチオマー、(+)−エナンチオマーと(−)−エナンチオマーの混合物、約90重量%以上の前記(−)−エナンチオマーと約10重量%以下の前記(+)−エナンチオマーの混合物、約90重量%以上の前記(+)−エナンチオマーと約10重量%以下の前記(−)−エナンチオマーの混合物、単独ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、あるいは医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグを有し、
式1の前記化合物が、少なくとも1つの重水素原子を含有し、
式1の前記化合物中の重水素濃縮が少なくとも約1%である場合、
式中、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、およびR18は、水素、および重水素より成る群から独立して選択され、
19、R20、およびR21は、−CH、および−CDより成る群から独立して選択される、
使用。
【請求項39】
オピオイド拮抗薬が、ナルメフェン、ナルトレキソン、およびナロキソンより成る群から選択される、請求項38に記載の使用。
【請求項40】
薬物中毒が、たばこ中毒、アルコール中毒、マリファナ中毒、およびコカイン中毒より成る群から選択される、請求項38に記載の使用。
【請求項41】
第1の成分が、第2の成分の投与後に投与される、請求項38に記載の使用。
【請求項42】
第1の成分が、第2の成分と実質上同時に投与される、請求項38に記載の使用。
【請求項43】
第1の成分が、第2の成分の前に投与される、請求項38に記載の使用。
【請求項44】
第1の成分が、第1の成分の非同位体濃縮類似体と比較すると、薬物中毒の処置に対する臨床効果の向上を誘発する、請求項38に記載の使用。
【請求項45】
臨床効果の向上が、治癒の促進率、症状緩和の促進率、患者の薬剤服用順守の強化、および処置中の薬物乱用禁断症状学の緩和より成る群から選択される効果を含む、請求項44に記載の使用。

【公表番号】特表2009−517480(P2009−517480A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543418(P2008−543418)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際出願番号】PCT/US2006/045673
【国際公開番号】WO2007/064697
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(508105728)オースペックス・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (17)
【氏名又は名称原語表記】AUSPEX PHARMACEUTICALS, INC.
【Fターム(参考)】