説明

セロトニン再取り込み阻害剤としての4−(2−フェニルオキシフェニル)−ピペリジンまたは−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン誘導体

本発明は、以下の式、
【化1】


で表され、式中、置換基は本明細書において定義される、化合物を提供する。上記化合物は、うつ病、全般性不安障害およびパニック障害および強迫性障害を含む不安障害を含む情動障害の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セロトニン再取り込み阻害剤であり、例えばうつ病および不安の治療に有効な新規化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
選択的セロトニン再取り込み阻害剤(以下SSRIsと呼ぶ)は、うつ病、特定の形態の不安および対人恐怖症の治療における第一選択の治療になっており、なぜならこれらは効果的で、良く許容され、そして古典的な三環系抗うつ剤と比較して良好かつ安全なプロファイルを有するからである。
【0003】
しかし、うつ病の臨床研究においては、SSRIsに対する非応答が30%に至るほどの相当な数であることが示されている。しばしば軽視されてしまう抗うつ治療におけるもう1つの要素はコンプライアンス(compliance)であり、これは薬物治療を続けるための患者の動機付けに相当大きな影響を有する。
【0004】
まず第一に、SSRIsの治療効果における遅延がある。時折、治療の第一週の間でも症状が悪化することさえある。第二に、全てのSSRIsに共通の副作用として性機能障害がある。これらの問題に対処せずに、うつ病および不安障害の薬物治療における本当の進展は生じ得ない。
【0005】
うつ病におけるセロトニン再取り込み阻害およびノルエピネフリン取り込み阻害の併用効果は、デュロキセチン(非特許文献1)およびベンラファキシン(非特許文献2)のような化合物の臨床試験において調査されている。
【非特許文献1】Wong, Duloxetine (LY-248686): an inhibitor of serotonin and noradrenaline uptake and an antidepressant drug candidate Expert Opinion on Investigational Drugs, 1998, 7, 10, 1691-1699
【非特許文献2】Khan-A et al, Venlafaxine in depressed outpatients Psychopharmacology Bulletin, 1991, 27, 141-144
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、うつ病、全般性不安障害、社会不安障害、心的外傷後ストレス精神障害、強迫性障害、パニック障害、パニック発作、特定恐怖症、対人恐怖症および広場恐怖症を含む不安障害のような情動障害の治療において、セロトニン再取り込み阻害およびノルエピネフリン取り込み阻害の併用効果を有する新規化合物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の概要)
本発明は、以下の一般式I、
【0008】
【化1】

【0009】
で表される化合物であって、式中、点線、R1、 R2、 R3、 R4、 R5、 R6、 R7、 R8および R9が以下のように定義される上記化合物を提供する。
【0010】
本発明は、薬剤として使用するための上記化合物を提供する。
【0011】
本発明は、上記化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩、および少なくとも1つの薬学的に許容される担体(carrier)または希釈剤(diluent)からなる医薬調合物を提供する。
【0012】
本発明は、うつ病、全般性不安障害、社会不安障害、心的外傷後ストレス精神障害、強迫性障害、パニック障害、パニック発作、特定恐怖症、対人恐怖症および広場恐怖症を含む不安障害のような情動障害を治療するための薬剤を製造するために、上記化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩を使用する方法を提供する。
【0013】
本発明は、薬学的に有効な量の上記化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩を投与することからなる、生きているヒトを含む動物体における、うつ病、全般性不安障害、社会不安障害、心的外傷後ストレス精神障害、強迫性障害、パニック障害、パニック発作、特定恐怖症、対人恐怖症および広場恐怖症を含む不安障害のような情動障害を治療するための方法を提供する。
(置換基の定義)
ハロゲンはフルオロ(fluoro)、クロロ(chloro)、ブロモ(bromo)またはヨード(iodo)を意味する。
【0014】
C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)という表現は、C1-6-アルキル、C2-6-アルケニルまたはC2-6-アルキニル基を意味する。
【0015】
C1-6 アルキルという語句は、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、1-ブチル、2-ブチル、2-メチル-2-プロピルおよび2-メチル-1-プロピルを含むがそれらに限定されない、1から6個までの炭素原子を有する分岐または非分岐アルキル基を示す。
【0016】
同様に、C2-6 アルケニルおよびC2-6 アルキニルはそれぞれ、エテニル、プロペニル、ブテニル、エチニル、プロピニルおよびブチニルを含むがそれらに限定されない、1つの二重結合および1つの三重結合をそれぞれ含む、2から6個までの炭素原子を有する基を表す。
【0017】
C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、C1-6 アルキル(アルケニル/アルキニル)スルファニル、ヒドロキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、シアノ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、NRzRw-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)およびハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシという語句は、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)が上記のように定義される基を表す。ハロはハロゲンを意味する。
【0018】
NRzRw-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)は、以下の式、
【0019】
【化2】

【0020】
で表される基を示す。
【0021】
C3-8 シクロアルキルという語句は、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を含むがそれらに限定されない、3から8個までのC-原子を有する単環式または二環式の炭素環を表す。
【0022】
C3-8 シクロアルケニルという語句は、3から8個までのC-原子および1つの二重結合を含む、単環式または二環式の炭素環を表す。
【0023】
C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)という語句における、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)およびC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)は、上記のように定義される。
【0024】
本明細書において使用される、場合により、N、Oまたは Sのようなヘテロ原子を1つ以上含む3-7員環は、1-モルホリニル、1-ピペリジニル、1-アゼピニル(1-azepinyl)、1-ピペラジニル、1-ホモピペラジニル、1-イミダゾリル、1-ピロリジニル、1-アゼチジニル、1-ピロリルまたはピラゾリルのような環系を示し、これら全ては、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ヒドロキシ、ヒドロキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から選択される基によってさらに置換されていてもよい。

(本発明の詳細な説明)
本発明は、セロトニン再取り込み阻害剤であって、例えばうつ病および不安の治療に有効な、4-(2-フェニルオキシフェニル)-ピペリジンまたは-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン誘導体に関する。特にピペリジンは良好なノルエピネフリン取り込み阻害剤でもある。
【0025】
従って本発明は、以下の一般式I
【0026】
【化3】

【0027】
で表される化合物またはその塩であって、
式中、点線----は単結合または二重結合であり;
R1、R2、R3、R4、R5は、水素、ハロゲン、シアノ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)スルファニル、ヒドロキシ、ヒドロキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシまたはRx および Ryが、水素、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、シアノ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から独立して選択されるNRxRy、または Rz およびRwが、水素、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、またはC3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から独立して選択されるNRzRw-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から独立して選択されるか;または、Rx および Ryは、それらが結合する窒素と一緒に、場合により1つ以上のヘテロ原子を含む3-7員環を形成し;または
R2およびR3は一緒に、以下の式、
【0028】
【化4】

【0029】
から選択される、フェニル環と融合するヘテロ環を形成し;そしてR1、R4、R5は上記のように定義され;
R6、R7、R8、R9は、水素、ハロゲン、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)スルファニル、ヒドロキシ、ヒドロキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、またはRx および Ryが、水素、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、シアノ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から独立して選択されるNRxRy、または Rz およびRwが水素、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)またはC3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から独立して選択されるNRzRw-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から独立して選択されるか;または、Rx および Ryは、それらが結合する窒素と一緒に、場合により1つ以上のヘテロ原子を含む3-7員環を形成し; ただし、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9の少なくとも1つは水素とは異なることを条件とする、
上記化合物またはその塩に関する。
【0030】
式Iの1つの実施態様において、R1は、水素、ハロゲン、シアノ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)スルファニル、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、またはRxおよびRyが水素、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、シアノ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から独立して選択されるNRxRy、またはRzおよびRw が水素、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)またはC3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から独立して選択されるNRzRw-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から選択され、ただし、Rx およびRyの一方がNRzRw-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)である場合には、他方は水素、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、シアノ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)またはC3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から選択され;またはRx およびRyはそれらが結合する窒素とともに、場合により1つ以上のヘテロ原子を含む3-7員環を形成することを条件とする。式Iの化合物のさらなる実施態様において、R1は、水素、ハロゲン、シアノ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)スルファニル、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から選択される。さらなる実施態様において、R1は、Rx およびRyが水素、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、シアノ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、例えば、水素、シアノメチル、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から独立して選択されるNRxRyである。さらなる実施態様において、R1はNRxRyであって、Rxは、Rz およびRw が水素、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)または C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から独立して選択されるNRzRw-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)であり、そしてRyは、水素、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、シアノ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、またはC3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から選択される。さらなる実施態様において、R1は、RxおよびRyがそれらに結合する窒素と一緒に、場合により1つ以上のヘテロ原子を含む3-7員環を形成する、1-モルホリニル、1-ピペリジニル、1-アゼピニル、1-ピペラジニル、1-ホモピペラジニル、1-イミダゾリル、1-ピロリジニル、1-アゼチジニル、1-ピロリルまたはピラゾリルのようなNRxRyであって、場合によりC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ヒドロキシ、ヒドロキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から1つ以上選択される、例えば、ヒドロキシ、ヒドロキシ-C1-6-アルキル、C1-6-アルキルオキシ-C1-6-アルキル、C1-6-アルキルから1つまたは2つ、特にヒドロキシ、メトキシ-メチル、メチルから1つまたは2つ選択される置換基で置換される。典型的には、R1は水素; ハロゲン; シアノ; C1-6-アルキル; C1-6-アルキルオキシ; C1-6-アルキルスルファニル; ハロ-C1-6-アルキル; RxおよびRyが水素、C1-6-アルキル、シアノメチルから独立して選択されるNRxRy; Ryが水素またはC1-6-アルキルから選択され、RxがNRzRw-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)であり、Rz およびRw が水素またはC1-6-アルキルから独立して選択されるNRxRy; 場合により、ヒドロキシ、ヒドロキシ-C1-6-アルキル、C1-6-アルキルオキシ-C1-6-アルキル、C1-6-アルキルから選択される1つまたは2つ、特にヒドロキシ、メトキシ-メチル、メチルから選択される1つまたは2つの置換基により置換される1-モルホリニル、1-ピペリジニル、1-アゼピニル、1-ピペラジニル、1-ホモピペラジニル、1-イミダゾリル、1-ピロリジニル、1-アゼチジニル、1-ピロリルまたはピラゾリルから選択される。さらに本発明を限定することなく例証すると、R1 の1つの実施態様は水素であり; R1のもう1つの実施態様はメチルのようなC1-6-アルキルであり; R1 のさらにもう1つの実施態様はフルオロまたはクロロのようなハロゲンである。
【0031】
式Iの化合物のさらなる実施態様において、R2は水素、ハロゲン、シアノ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)スルファニル、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から選択される。典型的にはR2は、水素、ハロゲン、シアノ、C1-6-アルキル、C1-6-アルキルオキシ、C1-6-アルキルスルファニル、ハロ-C1-6-アルキルから選択される。さらに本発明を限定することなく例証すると、R2の1つの実施態様は水素であり;R2のもう1つの実施態様は、メトキシのようなC1-6-アルコキシであり;R2のもう1つの実施態様は、トリフルオロメチルのようなハロ-C1-6-アルキルであり;R2のもう1つの実施態様は、メチルのようなC1-6-アルキルであり;R2のもう1つの実施態様は、クロロのようなハロゲンである。
【0032】
式Iの化合物のさらなる実施態様において、R3は水素、ハロゲン、シアノ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)スルファニル、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から選択される。典型的にはR3は、水素、ハロゲン、シアノ、C1-6-アルキル、C1-6-アルキルオキシ、C1-6-アルキルスルファニル、ハロ-C1-6-アルキルから選択される。さらに本発明を限定することなく例証すると、R3の1つの実施態様は水素であり;R3のもう1つの実施態様は、メチルのようなC1-6-アルキルであり;R3のさらなる実施態様は、メトキシのようなC1-6-アルコキシであり;R3のさらなる実施態様は、クロロまたはフルオロのようなハロゲンであり;R3のもう1つの実施態様は、トリフルオロメチルのようなハロ-C1-6-アルキルである。
【0033】
式Iの化合物のさらなる実施態様において、R2およびR3は一緒に、以下の式、
【0034】
【化5】

【0035】
から選択される、フェニル環と融合するヘテロ環を形成する。
【0036】
式Iの化合物のさらなる実施態様において、R4は水素、ハロゲン、シアノ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)スルファニル、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から選択される。典型的にはR4は、水素、ハロゲン、シアノ、C1-6-アルキル、C1-6-アルキルオキシ、C1-6-アルキルスルファニル、ハロ-C1-6-アルキルから選択される。さらに本発明を限定することなく例証すると、R4の1つの実施態様は水素であり;R4のもう1つの実施態様はメトキシのようなC1-6-アルコキシであり;R4のもう1つの実施態様はトリフルオロメチルのようなハロ-C1-6-アルキルであり;R4のもう1つの実施態様はメチルのようなC1-6-アルキルであり;R4のもう1つの実施態様はクロロのようなハロゲンである。
【0037】
式Iの化合物のさらなる実施態様において、R5は水素、ハロゲン、シアノ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)スルファニル、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)またはRxおよびRyが水素、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、シアノ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から独立して選択されるNRxRy、またはRzおよびRwが水素、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)または C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から独立して選択されるNRzRw-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から選択され、ただし、RxおよびRyの一方がNRzRw-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)である場合には、他方が水素、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、シアノ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)または C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から選択され;またはRx およびRyはそれらに結合する窒素と一緒に、場合により1つ以上のヘテロ原子を含む3-7員環を形成することを条件とする。式Iの化合物のさらなる実施態様において、R5は水素、ハロゲン、シアノ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)スルファニル、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から選択される。さらなる実施態様において、R5は、RxおよびRyが水素、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、シアノ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、例えば、水素、シアノメチル、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から独立して選択される、NRxRyである。さらなる実施態様において、R5はNRxRyであって、Rxは、Rz およびRw が水素、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)または C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から独立して選択されるNRzRw-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)であり、Ryは水素、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、シアノ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)または C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から選択される。さらなる実施態様において、R5はNRxRyであって、RxおよびRyはそれらが結合する窒素と一緒に、場合により1つ以上のヘテロ原子を含み、場合によりC1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ヒドロキシ、ヒドロキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から選択される1つまたは2つ、例えばヒドロキシ、ヒドロキシ-C1-6-アルキル、C1-6-アルキルオキシ-C1-6-アルキル、C1-6-アルキルから選択される1つまたは2つ、特にヒドロキシ、メトキシ-メチル、メチルから選択される1つまたは2つの置換基により置換される1-モルホリニル、1-ピペリジニル、1-アゼピニル、1-ピペラジニル、1-ホモピペラジニル、1-イミダゾリル、1-ピロリジニル、1-アゼチジニル、1-ピロリルまたはピラゾリルのような3-7員環を形成する。典型的にはR5は水素; ハロゲン; シアノ; C1-6-アルキル; C1-6-アルキルオキシ; C1-6-アルキルスルファニル; ハロ-C1-6-アルキル; Rx およびRyが水素、C1-6-アルキル、シアノメチルから独立して選択されるNRxRy;Ryが水素または C1-6-アルキルから選択され、RxがNRzRw-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)であって、RzおよびRw が水素または C1-6-アルキルから独立して選択されるNRxRy;場合によりヒドロキシ、ヒドロキシ-C1-6-アルキル、C1-6-アルキルオキシ-C1-6-アルキル、C1-6-アルキルから選択される1つまたは2つ、特にヒドロキシ、メトキシ-メチル、メチルから選択される1つまたは2つの置換基により置換される1-モルホリニル、1-ピペリジニル、1-アゼピニル、1-ピペラジニル、1-ホモピペラジニル、1-イミダゾリル、1-ピロリジニル、1-アゼチジニル、1-ピロリルまたはピラゾリルから選択される。さらに本発明を限定することなく例証すると、R5の1つの実施態様は水素であり;R5のもう1つの実施態様はメチルのようなC1-6-アルキルであり;R5のさらにもう1つの実施態様はクロロまたはフルオロのようなハロゲンである。
【0038】
式Iの化合物のさらなる実施態様において、R6は水素、ハロゲン、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から選択される。典型的にはR6は水素、ハロゲン、C1-6-アルキル、ハロ-C1-6-アルキルから選択される。さらに本発明を限定することなく例証すると、R6の1つの実施態様は水素であり;R6のもう1つの実施態様はフルオロのようなハロゲンである。
【0039】
式Iの化合物のさらなる実施態様において、R7は水素、ハロゲン、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から選択される。典型的にはR7は水素、ハロゲン、C1-6-アルキル、ハロ-C1-6-アルキルから選択される。さらに本発明を限定することなく例証すると、R7の1つの実施態様は水素であり;R7のもう1つの実施態様はフルオロのようなハロゲンである。
【0040】
式Iの化合物のさらなる実施態様において、R8は水素、ハロゲン、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、または RxおよびRy が水素、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、シアノ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から独立して選択されるNRxRy、またはRzおよびRwが水素、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)またはC3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から独立して選択されるNRzRw-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から選択され、ただし、RxおよびRyの一方がNRzRw-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)である場合には、他方が水素、 C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、シアノ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、 C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)または C3-8-シクロアルキル(シクロアルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から選択され;またはRxおよびRy はそれらが結合する窒素と一緒に場合により1つ以上のヘテロ原子を含む3-7員環を形成することを条件とする。式Iの化合物のさらなる実施態様において、R8は水素、ハロゲン、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から選択される。さらなる実施態様において、R8は、RxおよびRyが水素、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、シアノ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、例えば、水素、シアノメチル、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から独立して選択されるNRxRyである。さらなる実施態様において、R8はNRxRyであり、RxはNRzRw-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)であって、RzおよびRwは、水素、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)またはC3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から独立して選択され、Ryは水素、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、シアノ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)または C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から選択される。さらなる実施態様において、R8は、場合により、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ヒドロキシ、ヒドロキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から選択される1つまたは2つ、例えばヒドロキシ、ヒドロキシ-C1-6-アルキル、C1-6-アルキルオキシ-C1-6-アルキル、C1-6-アルキルから選択される1つまたは2つ、特にヒドロキシ、メトキシ-メチル、メチルから選択される1つまたは2つの置換基で置換される1-モルホリニル、1-ピペリジニル、1-アゼピニル、1-ピペラジニル、1-ホモピペラジニル、1-イミダゾリル、1-ピロリジニル、1-アゼチジニル、1-ピロリルまたはピラゾリルのような、RxおよびRyがそれらに結合する窒素と一緒に、場合により1つ以上のへトロ原子を含む3-7員環を形成するNRxRyである。典型的にはR8は、水素; ハロゲン; シアノ; C1-6-アルキル; C1-6-アルキルオキシ; C1-6-アルキルスルファニル; ハロ-C1-6-アルキル; RxおよびRyが水素、C1-6-アルキル、シアノメチルから独立して選択されるNRxRy;Ryが水素またはC1-6-アルキルから選択され、Rx がNRzRw-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)であって、RzおよびRwが水素または C1-6-アルキルから独立して選択されるNRxRy;場合により、ヒドロキシ、ヒドロキシ-C1-6-アルキル、C1-6-アルキルオキシ-C1-6-アルキル、C1-6-アルキルから選択される1つまたは2つ、特にヒドロキシ、メトキシ-メチル、メチルから選択される1つまたは2つの置換基で置換される1-モルホリニル、1-ピペリジニル、1-アゼピニル、1-ピペラジニル、1-ホモピペラジニル、1-イミダゾリル、1-ピロリジニル、1-アゼチジニル、1-ピロリルまたはピラゾリルから選択される。さらに本発明を限定することなく例証すると、R8の1つの実施態様は水素であり;R8のもう1つの実施態様はフルオロまたはブロモのようなハロゲンであり;R8のさらにもう1つの実施態様はメチルのようなC1-6-アルキルであり;R8のさらにもう1つの実施態様はCF3のようなハロ-C1-6-アルキルである。
【0041】
式Iの化合物のさらなる実施態様において、R9は水素、ハロゲン、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から選択される。典型的にはR9は、水素、ハロゲン、C1-6-アルキル、ハロ-C1-6-アルキルから選択される。さらに本発明を限定することなく例証すると、R9の1つの実施態様は水素である。
【0042】
式Iの化合物のさらなる実施態様において、点線----は単結合を示す。
【0043】
式Iの化合物のさらなる実施態様において、点線----は二重結合を示す。
【0044】
典型的には、式Iの化合物は1個または複数のフェニル環において、R1-R9のうちいずれか1つから選択される水素とは異なる少なくとも1つの置換基、例えば、1個または複数のフェニル環におけるR1-R9のうちいずれか1つから選択され水素とは異なる1、2、3または4個の置換基を有し、そしてその残りの置換基は水素である。従って、さらなる実施態様においては、R1-R9のうちいずれか1つから選択される、水素とは異なる1つの置換基、例えばR1-R5 から選択されるか、またはR6-R9から選択される1つの置換基が、2つのフェニル環のいずれかに存在する。さらなる実施態様においては、例えば1つの置換基がR1-R5 から選択され、他方がR6-R9から選択されるか、または両方の置換基がR1-R5 から選択されるように、R1-R9のいずれかから選択され、水素とは異なる2つの置換基が2つのフェニル環のいずれかに存在し、この場合にR2 およびR3は一緒に、上記で定義されるようなヘテロ環を形成することができる。さらなる実施態様においては、例えば2つの置換基がR1-R5 から選択され、残りの1つがR6-R9から選択されるように、R1-R9から選択され、水素とは異なる3つの置換基が、2つのフェニル環のいずれかに存在する。いずれの実施態様においても上述したようにその残りの置換基は水素である。さらに本発明を限定することなく例証するために、いくつかの代表的な実施態様を以下に概説する。
【0045】
式Iの化合物のさらなる実施態様において、水素を除いて上記で定義されるようなR2である1つの置換基が存在する。式Iの化合物のさらなる実施態様において、水素を除いて上記で定義されるようなR3である1つの置換基が存在する。式Iの化合物のさらなる実施態様において、R3 およびR8である2つの置換基が存在し、R3 およびR8は水素を除いて上記のように定義される。式Iの化合物のさらなる実施態様において、R3 およびR6である2つの置換基が存在し、R3 およびR6は水素を除いて上記のように定義される。式Iの化合物のさらなる実施態様において、R3 およびR7である2つの置換基が存在し、R3 およびR7は水素を除いて上記のように定義される。式Iの化合物のさらなる実施態様において、R1 およびR3である2つの置換基が存在し、R1 およびR3は水素を除いて上記のように定義される。式Iの化合物のさらなる実施態様において、R2 およびR3である2つの置換基が存在し、R2 およびR3は水素を除いて上記のように定義され、この場合にR2 およびR3は一緒に、上記に定義されるようなヘテロ環を形成することができる。式Iの化合物のさらなる実施態様において、R1、 R3およびR8である3つの置換基が存在し、R1、 R3およびR8は水素を除いて上記のように定義される。それぞれの態様において、上記のように残りの置換基は水素である。
【0046】
式Iの化合物のさらなる実施態様において、上記化合物は、以下の化合物:
4-[2-(2,4-ジメチルフェノキシ)フェニル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン、
4-[2-(4-クロロフェノキシ)フェニル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン、
4-[2-(4-フルオロ-2-メチルフェノキシ)フェニル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン、
4-[2-(4-フルオロフェノキシ)フェニル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン、
4-[2-(4-メチルフェノキシ)フェニル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン、
4-[2-(4-メトキシフェノキシ)フェニル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン、
4-[2-(2,4-ジメチルフェノキシ)フェニル]ピペリジン、
4-[2-(4-クロロフェノキシ)フェニル]ピペリジン、
4-[2-(4-フルオロ-2-メチルフェノキシ)フェニル]ピペリジン、
4-[2-(4-フルオロフェノキシ)フェニル]ピペリジン、
4-[2-(4-メチルフェノキシ)フェニル]ピペリジン、
4-[2-(4-クロロ-2- メチル-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン、
4-[2-(2-クロロ-4-メチル-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン、
4-[2-(2,4-ジクロロ-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン、
4-[2-(ベンゾ[b]チオフェン-5-イルオキシ)-フェニル]-ピペリジン、
4-[2-(ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イルオキシ)-フェニル]-ピペリジン、
4-[2-(4-メトキシ-2-メチル-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン、
4-[2-(3,4-ジクロロ-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン、
4-[2-(3,4-ジメチル-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン、
4-[2-(2,3,4,5-テトラメチル-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン、
4-[2-(4-トリフルオロメチル-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン、
4-[2-(4-メトキシ-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン、
4-[2-(2-クロロ-4-メトキシ-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン、
4-[2-(3,4-ジメトキシ-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン、
4-[2-(4-クロロ-3-トリフルオロメチル-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン、
またはその薬学的に許容される塩から選択される。これらの化合物のそれぞれは、特定の実施態様であると考えられ、個々の請求項に従属してもよい。
【0047】
上述のように、ほとんどの試験化合物はセロトニン再取り込み阻害およびノルエピネフリン取り込み阻害の併用効果を有するが、以下の化合物:
4-[2-(2,4-ジメチルフェノキシ)フェニル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン、
4-[2-(4-クロロフェノキシ)フェニル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン、
4-[2-(4-フルオロ-2-メチルフェノキシ)フェニル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン、
4-[2-(4-フルオロフェノキシ)フェニル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン、
4-[2-(4-メチルフェノキシ)フェニル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン、
4-[2-(4-メトキシフェノキシ)フェニル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン、
4-[2-(3,4-ジメチル-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン、
4-[2-(2,3,4,5-テトラメチル-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン、
4-[2-(3,4-ジメトキシ-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン、
から選択されるいくつかの化合物は、今回の試験において、セロトニン再取り込み阻害を示したが、ノルエピネフリン取り込み阻害を示さなかった。
【0048】
本発明は、本発明化合物の塩、典型的には薬学的に許容される塩もまた含む。上記塩は、薬学的に許容される酸付加塩、薬学的に許容される金属塩、アンモニウムおよびアルキルアンモニウム塩を含む。酸付加塩は、有機酸と同様に無機酸の塩を含む。
【0049】
適当な無機酸の代表的な例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硫酸、スルファミン酸、硝酸およびそれらと同等のものが含まれる。
【0050】
適当な有機酸の代表的な例としては、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、桂皮酸、クエン酸、フマル酸、グリコール酸、イタコン酸、乳酸、メタンスルホン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、シュウ酸、ピクリン酸、ピルピン酸、サリチル酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、酒石酸、アスコルビン酸、パモン酸、ビスメチレンサリチル酸、エタンジスルホン酸、グルコン酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、EDTA、グリコール酸、p-アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、8-ハロテオフィリン酸、例えば8-ブロモテオフィリン酸と同様に、テオフィリン酢酸およびそれらと同等のものが含まれる。
【0051】
金属塩の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム塩およびそれらと同等のものが含まれる。
【0052】
アンモニウムおよびアルキルアンモニウム塩の例としては、アンモニウム、メチル-、ジメチル-、トリメチル-、エチル-、ヒドロキシエチル-、ジエチル-、n-ブチル-、sec-ブチル-、tert-ブチル-、テトラメチルアンモニウム塩およびそれらと同等のものが含まれる。
【0053】
さらに本発明の化合物は、水、エタノールおよびそれらと同等のもののような薬学的に許容される溶剤に対して、溶媒和した形態と同様に非溶媒和の形態としても存在することができる。本発明の目的においては、溶媒和形態は概して非溶媒和形態と等価であると考えられる。
【0054】
本発明の化合物は1つ以上の不斉中心を有することができ、分離され純粋なまたは部分的に精製された異性体およびラセミ体混合物を含むそれらの混合物と同じように、いずれの光学異性体(例えばエナンチオマーまたはジアステレオマー)も本発明の範囲に含まれる。
【0055】
ラセミ体は、公知の方法、例えば光学活性な酸を用いたそのジアステレオマー塩の分離により、および塩基での処理による光学活性アミンの遊離により光学対掌体に分割することができる。ラセミ体を光学対掌体に分割するもう1つの方法は、光学活性基質を用いたクロマトグラフィーに基づいたものである。本発明のラセミ化合物は、例えば、d- またはl-(酒石酸、マンデル酸またはカンファースルホン酸)塩の分別晶出(fractional crystallization)により、それらの光学対掌体に分割することができる。本発明の化合物は、ジアステレオマー誘導体の形成によっても分割することができる。
【0056】
加えてさらに、当業者に公知である光学異性体の分割のための方法を使用することができる。上記方法は、「J. Jaques, A. Collet and S. Wilen in “Enantiomers, Racemates, and Resolutions”, John Wiley and Sons, New York (1981)」において議論されているものを含む。
【0057】
光学活性化合物は、光学活性な出発物質から、または立体選択的合成により製造することができる。
【0058】
さらに、二重結合または完全にもしくは部分的に飽和した環系が、分子内に存在するときは、幾何異性体が形成される。分離され、純粋なまたは部分的に精製された幾何異性体またはそれらの混合物と同じように、いずれの幾何異性体も本発明の範囲に含まれる。同様に、回転が制限される結合を有する分子は幾何異性体を形成する。これらもまた、本発明の範囲に含まれる。
【0059】
さらに、本発明のいくつかの化合物は、異なる互変異性体で存在することができ、上記化合物が形成することができる互変異性体はいずれも、本発明の範囲に含まれる。
【0060】
本発明には、投与において、薬学的な活性物質になる前に代謝過程により化学的変換を受ける、上記化合物のプロドラッグもまた含まれる。概してこのようなプロドラッグは、一般式 (I) で表される化合物の機能的な誘導体であり、生体内において容易に所望である一般式 (I) で表される化合物に変換される。適当なプロドラッグ誘導体を選択および製造する通常の方法が、例えば「Design of Prodrugs( ed. H. Bundgaard, Elsevier, 1985)」に記載されている。
【0061】
本発明には、上記化合物の活性代謝物もまた含まれる。
【0062】
上述のように、式Iの化合物はセロトニン再取り込み阻害剤であり、従って、うつ病、全般性不安障害およびパニック障害および強迫性障害を含む不安障害のような情動障害の予防を含む治療に適用することができる。
【0063】
従って、さらなる態様において本発明は、薬剤として使用するための式Iで表される化合物に関する。
【0064】
本発明はまた、式Iで表される化合物および薬学的に許容される担体または希釈剤からなる医薬調合物に関する。上記調合物は、上述の式Iの実施態様のいずれか1つからなることができる。
【0065】
医薬調合物の実施態様においては、式Iで表される化合物は、約0.001から約100 mg/kg body weight per day(1日につき体重1 kgあたり約0.001から約100 mg)までの量で存在する。
【0066】
本発明はまた、セロトニン再取り込み阻害剤が有効な病気または疾患を治療するための薬剤を製造するために、式Iで表される化合物を使用する方法に関する。上記薬剤は上述の式Iの実施態様のいずれか1つからなることができる。
【0067】
特に、本発明はまた、情動障害の治療のための薬剤を製造するために、式Iで表される化合物を使用する方法に関する。
【0068】
さらなる実施態様において、本発明はまた、うつ病の治療のための薬剤を製造するために、式Iで表される化合物を使用する方法に関する。
【0069】
さらなる実施態様において、本発明はまた、不安障害の治療のための薬剤を製造するために、式Iで表される化合物を使用する方法に関する。
【0070】
さらなる実施態様において、本発明はまた、全般性不安障害の治療のための薬剤を製造するために、式Iで表される化合物を使用する方法に関する。
【0071】
さらなる実施態様において、本発明はまた、社会不安障害の治療のための薬剤を製造するために、式Iで表される化合物を使用する方法に関する。
【0072】
さらなる実施態様において、本発明はまた、心的外傷後ストレス精神障害の治療のための薬剤を製造するために、式Iで表される化合物を使用する方法に関する。
【0073】
さらなる実施態様において、本発明はまた、強迫性障害の治療のための薬剤を製造するために、式Iで表される化合物を使用する方法に関する。
【0074】
さらなる実施態様において、本発明はまた、パニック障害の治療のための薬剤を製造するために、式Iで表される化合物を使用する方法に関する。
【0075】
さらなる実施態様において、本発明はまた、パニック発作の治療のための薬剤を製造するために、式Iで表される化合物を使用する方法に関する。
【0076】
さらなる実施態様において、本発明はまた、特定恐怖症の治療のための薬剤を製造するために、式Iで表される化合物を使用する方法に関する。
【0077】
さらなる実施態様において、本発明はまた、対人恐怖症の治療のための薬剤を製造するために、式Iで表される化合物を使用する方法に関する。
【0078】
さらなる実施態様において、本発明はまた、広場恐怖症の治療のための薬剤を製造するために、式Iで表される化合物を使用する方法に関する。
【0079】
本発明のさらなる実施態様は、薬学的に有効な量の式Iで表される化合物をそれを必要としている対象に投与することからなり、生きているヒトを含む動物体における、うつ病、全般性不安障害、社会不安障害、心的外傷後ストレス精神障害、強迫性障害、パニック障害、パニック発作、特定恐怖症、対人恐怖症および広場恐怖症を含む不安障害のような情動障害からなる群から選択される病気または疾患を治療する方法に関する。
【0080】
さらなる実施態様において、本発明は以下のa) 〜 c):
a) 以下の式II
【0081】
【化6】

【0082】
で表される化合物の脱保護または高分子支持体からの切断。式中、R1-R9は上記のとおりであり、Rがtert-ブチル、メチル、エチル、アリルまたはベンジル基であるか、またはROCOが、固体が支持するカルバメート基(solid supported carbamate group)である;または、
b) 式III
【0083】
【化7】

【0084】
で表される化合物の脱水および場合により同時の脱保護。式中、R1-R9は上述のとおりであり、R’’ は水素原子、またはカルバメート基ROCOであって、R はtert-ブチル、メチル、エチル、アリルまたはベンジル基であるか、もしくはROCOは固体が支持するカルバメート基である;または
c) 式 IV
【0085】
【化8】

【0086】
で表される化合物中の二重結合の還元。式中、R1-R9は上記に定義されたとおりである、
からなる、式Iで表される化合物を製造する方法に関する。
(医薬調合物)
本発明の化合物は、単回または複数回の投与において、単独でまたは薬学的に許容される担体または賦形剤と組み合わせて投与することができる。本発明の医薬調合物は、他の公知のアジュバントおよび賦形剤と同様に、「Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19 Edition, Gennaro, Ed., Mack Publishing Co., Easton, PA, 1995」に開示されているような従来の技術のとおりに、薬学的に許容される担体または希釈剤とともに製剤化することができる。
【0087】
上記医薬調合物は、経口、直腸、経鼻、肺、局所(口腔内および舌下腺(sublingual)を含む)、経皮、嚢内(intracisternal)、腹腔内、膣および非経口(皮下、筋肉内、髄腔内、静脈、皮内を含む)経路、好ましくは経口経路のような適当な投与経路による投与のために特異的に製剤化することができる。好ましい経路が、治療される対象者の一般的な状態および年齢、治療される状態の性質および選択される有効成分に依存することは認識されるだろう。
【0088】
経口投与のための医薬調合物には、カプセル剤、錠剤、糖衣剤(dragees)、丸剤(pills)、ドロップ剤(lozenges)、粉剤および顆粒剤のような固体の剤形が含まれる。適当な場合には、当業者に公知の方法により、それらは腸溶コーティング(enteric coatings)のようなコーティングを施して製造することができ、またはそれらは有効成分を徐放もしくは持続放出のような制御放出(controlled release)をするように製剤化することもできる。
【0089】
経口投与のための液体の剤形には、液剤(solutions)、 乳剤、懸濁剤(suspensions)、シロップ剤およびエリキシル剤が含まれる。
【0090】
非経口投与のための医薬調合物としては、使用する前に注射用滅菌溶液または分散剤で溶解または懸濁させる滅菌した粉剤と同様に、注射用滅菌水溶液および注射用非水溶液、分散剤、懸濁剤または乳剤が含まれる。デポー注射(Depot injectable)製剤もまた本発明の範囲に含まれる。
【0091】
その他の適当な投与形態には、座剤、スプレー剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、吸入剤、皮膚パッチ(dermal patches)、インプラント等が含まれる。
【0092】
通常の経口用量は、約0.001から約100 mg/kg body weight per dayまでの範囲内で、好ましくは、約0.01から約50 mg/kg body weight per dayまで、さらに好ましくは、約0.05から約10 mg/kg body weight per dayまでの範囲で、1から3回までの投薬のような1回以上の投薬によって投与される。正確な用量は、投与の頻度や形態、治療される対象の性別、年齢、体重および一般的な状態、治療される状態の性質および重篤度および治療されるべき付随した疾患および当業者にとって明らかなその他の因子に依存する。
【0093】
製剤は、好ましくは当業者に公知の方法により単位用量の形態で存在することができる。1日あたり1から3回といったような1日あたり1回以上の経口投与のための、通常の単位用量の形態には、0.01から約1000 mgまで、好ましくは、約0.05から約500 mgまで、そしてさらに好ましくは、約0.5 mgから約200 mgまでが含まれる。
【0094】
静脈内、髄腔内、筋肉内および類似の投与のような非経口経路のための用量は通常、経口投与で必要とされる用量の約半分の次数である。
【0095】
本発明の化合物は、一般的に遊離物質としてまたはその薬学的に許容される塩として利用される。1つの例としては、遊離塩基の有効性を有する化合物の酸付加塩である。式 (I)で表される化合物が遊離塩基を含む場合には、上記塩は式 (I)で表される遊離塩基の溶液または懸濁液を、化学的に当量の薬学的に許容される酸で処理することにより、通常の方法で製造される。代表的な例については、上述した。
【0096】
非経口投与においては、滅菌水溶液、プロピレングリコール水溶液、ビタミンE水溶液またはゴマもしくはピーナッツ油における、式 (I)で表される新規化合物の溶液を用いることができる。上記水溶液は必要な場合には適当に緩衝されなくてはならず、そして十分な生理食塩水またはグルコースを用いて液体の希釈剤により、まず等張化される。上記水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下および腹腔内投与のために特に適している。利用される滅菌水系媒体は、当業者に公知の標準的な技術により、すべて容易に利用することができる。
【0097】
適当な薬学的な担体には、不活性な固体の希釈剤または充填剤(fillers)、滅菌水溶液および種々の有機溶剤が含まれる。固体担体の例としては、乳糖、石膏、ショ糖、シクロデキストリン、滑石、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸およびセルロースの低級アルキルエーテルが挙げられる。液体の担体の例としては、シロップ剤、ピーナッツ油、オリーブ油、リン脂質、脂肪酸、脂肪酸アミン、ポリオキシエチレンおよび水が挙げられる。同様に、上記担体または希釈剤には、単独のまたはワックス(wax)と混合したモノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリンのような当業者に公知の除放性の物質が含まれる。式 (I)で表される新規化合物および薬学的に許容される担体を組み合わせることにより形成される医薬調合物は、従って、開示されている投与の経路に適した種々の投薬形態で、容易に投与される。製剤は、好ましくは当業者に公知の方法により単位用量の形態で存在することができる。
【0098】
経口投与に適した本発明の製剤は、それぞれが所定の量の有効成分を含むカプセル剤または錠剤のような個別の単位として存在することができ、それは適当な賦形剤を含むことができる。さらに、経口に利用できる製剤は、粉剤または顆粒剤、水系または非水系液体における溶液または懸濁液、または水中油もしくは油中水型の液体乳剤の形態でよい。
【0099】
固体の担体が経口投与に使用される場合には、上記調合物は錠剤でよく、硬ゼラチンカプセルに収納された粉剤または小丸薬(pellet)の形態でよく、またはトローチ剤もしくはドロップ剤の形態でもよい。
【0100】
固体の担体の量は、通常約25 mgから約1 gまで広く変化する。
【0101】
液体の担体が使用される場合には、上記調合物は、シロップ剤、乳剤、軟ゼラチンカプセルまたは水系もしくは非水系液体の懸濁液もしくは溶液のような注射用滅菌液体の形態でよい。
【0102】
本発明の化合物は以下の一般的な方法により、または本明細書の実施例部分において記載されるように製造することができる。
a) 以下の式II
【0103】
【化9】

【0104】
で表される化合物の脱保護または高分子支持体からの切断を行う。式中、R1-R9は上記のとおりであり、Rはtert-ブチル、メチル、エチル、アリルまたはベンジル基であるか、またはROCOが、ワングレジン結合カルバメートリンカー(Wang resin-based carbamate linker)のような固体が支持するカルバメート基である;
b) 以下の式III
【0105】
【化10】

【0106】
で表される化合物の脱水、および場合により同時の脱保護を行う。式中、R1-R9は上記のとおりであり、R’’ は水素原子、またはカルバメート基ROCOであって、R はtert-ブチル、メチル、エチル、アリルまたはベンジル基であるか、もしくはROCOは、ワングレジン結合カルバメートリンカーのような固体が支持するカルバメート基である;
c) 以下の式IV
【0107】
【化11】

【0108】
で表される化合物中の二重結合の還元を行う。式中、R1-R9は上記に定義されたとおりである。
【0109】
方法a)の脱保護は当業者によって公知の標準的な技術によって行われ、詳細は、「Protective Groups in Organic Synthesis T.W.Greene and P.G.M. Wuts, Wiley Interscience, (1991) ISBN 0471623016」に記載されている。方法a) におけるワング(Wang)レジン結合のカルバメートリンカーからのような、高分子支持体からの切断は、文献(Zaragoza Tetrahedron Lett. 1995, 36, 8677-8678 and Conti et al. Tetrahedron Lett. 1997, 38, 2915-2918)によって公知の方法により行うことができる。
【0110】
式IIの出発物質は、当業者に公知のいくつかの方法、例えば、トリフルオロ酢酸中のトリエチルシランおよび三フッ化ホウ素ジエチルエーテルの使用により、式IIIで表される化合物のヒドロキシル基を除去することによって製造される(Encyclopaedia of Reagents for Organic Synthesis, vol 7, Paquette, ed.; John Wiley & Sons, Chichester, 1995, 5122-5123参照)。式IIの出発物質、ピペリジンは、対応するテトラヒドロピリジンの二重結合をパールの装置(Parr apparatus)における低圧(< 3気圧)下での、例えば接触水素化のような水素化処理により還元することによって製造することができる。
【0111】
方法b)における、式IIIで表される化合物の脱水反応および任意に同時に行う脱保護は、「Palmer et al J. Med. Chem. 1997, 40, 1982-1989」に記載の方法と同様の方法で行う。
【0112】
式IIIの出発物質を、対応する適当に置換された式VI
【0113】
【化12】

【0114】
で表される1-ブロモ-2-フェノキシベンゼン(式中、R1-R9は上記に定義されたとおりであり、Gは臭素またはヨウ素原子である)から、「Palmer et al. J. Med. Chem. 1997, 40, 1982-1989」中の記載と同様の方法で、金属−ハロゲン交換、引き続いて式V
【0115】
【化13】

【0116】
で表される適当な求電子物質(R’ は上記のとおりである)の付加を行うことにより製造した。
【0117】
適切に置換された1-ブロモ-2-フェノキシベンゼンは、適当に置換されたフェノール(フェノールのナトリウム塩を水素化ナトリウムを用いることによりin situで製造した)を、ジメチルホルムアミド(DMF)中の適当に置換された1-ブロモ-2-フルオロベンゼンと高温で反応させることにより製造した。
【0118】
ジアリールエーテルは、ウルマンの条件(Ullmann conditions)下で、またはアリールボロン酸を用いたフェノールのアリール化(Evans et al Tetrahedron Lett 1998, 39, 2937-2940)を経て、この方法(e.g. Schmittlinger et al J.Org.Chem. 1993, 58, 3229-3230; Beugelmans et al Tetrahedron Lett. 1994, 35, 5649-5652; Sawyer et al J.Org.Chem. 1998, 63, 6338-6343参照)の種々の改法により製造することができる。フェノールおよび1-ブロモ-2-フルオロベンゼンは市販のものを使用することができる。
【0119】
方法c) による二重結合の還元は、一般にパール装置における低圧下(< 3気圧)での接触水素化により実施される。式IVの出発物質は、上記のような脱保護により、式IIで表される化合物から製造することができる。
【実施例】
【0120】
分析LC-MSデータは、イオンスプレー源(IonSpray source)を装備したPE Sciex API 150EX 装置およびShimadzu LC-8A/SLC-10A LCシステムにより得た。カラム: 粒子サイズ3.5 μmの 30 X 4.6 mm Waters Symmetry C18 カラム; 溶剤系: A = 水/トリフルオロ酢酸 (100:0.05) および B = 水/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸 (5:95:0.03); 方法: 4分間で90% A から100% Bまでおよび流速2 mL/minの直線的勾配による溶出。純度は、UV (254 nm) およびELSD トレース(trace)の積分(integration)により決定した。保持時間(RT)は分で表す。
LC-MS-分取精製(Preparative LC-MS-purification)は、同一の装置で行った。カラム: 粒子サイズ5 μmの 50 X 20 mm YMC ODS-A; 方法: 7分間で80% A から100% Bまでおよび流速22.7 mL/minの直線的勾配による溶出。フラクションの回収は、分流式 MS 検出(split-flow MS detection)により行った。
【0121】
反応は、2450 MHzで操作されるPersonal Chemistry 社製のSmithSynthesizer中、マイクロウエーブ条件下で実施した。
(中間体の製造)
(置換された2-ブロモ-(置換-フェノキシ)ベンゼン(substituted 2-bromo-(substituted-phenoxy)benzenes)の製造)
1-ブロモ-2-(2,4-ジメチル-フェノキシ)-ベンゼン
2,4-ジメチルフェノール(2.4 g)の乾燥ジメチルホルムアミド(DMF)溶液(10 mL)を水素化ナトリウム(1.0 g, ミネラルオイル中に60%)および乾燥DMF(25 mL)の混合物に滴加し、その結果生じる混合物を100 °Cで30分間撹拌した。この混合物にさらに、乾燥DMF(5 mL)中の1-ブロモ-2-フルオロベンゼン(3.5 g)を滴加し、その結果生じる混合物を150°Cで6時間撹拌した。引き続き、上記混合物を氷/水混合物に注ぎ入れ、水相をジエチルエーテルで抽出した。混合した有機相を2Nの水酸化ナトリウムで洗浄し、乾燥(MgSO4)、濾過および真空下(in vacuo)での濃縮を行った。残留物をシリカゲルを用いたフラッシュクロマトグラフィー(溶出液:ヘプタン)により精製して、粗生成物(1.2 g, 純度70%)を得た。上記粗生成物はさらに精製することなく次段階において使用した。
【0122】
以下の化合物を同様の方法で製造した。
1-ブロモ-2-(4-クロロフェノキシ)-ベンゼン
1-ブロモ-2-(4-フルオロ-2-メチルフェノキシ)-ベンゼン
1-ブロモ-2-(4-フルオロフェノキシ)-ベンゼン
1-ブロモ-2-(4-メチルフェノキシ)-ベンゼン
1-ブロモ-2-(4-メトキシフェノキシ)-ベンゼン
(アルキル 4-[2-(置換-フェノキシ)- 置換-フェニル]-4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボキシラートの製造)
tert-ブチル 4-[2-(2,4-ジメチルフェノキシ)フェニル]-4-ヒドロキシ-ピペリジン-1-カルボキシラート(tert-Butyl 4-[2-(2,4-Dimethylphenoxy)phenyl]-4-hydroxy-piperidine-1-carboxylate)
1-ブロモ-2-(2,4-ジメチル-フェノキシ)-ベンゼン(0.7 g)の乾燥テトラヒドロフラン溶液(3 mL)を、nBuLi(ヘキサン中1.6 M、2 mL)の乾燥THF溶液(15 mL)に-78 °Cで添加した。その結果生じる混合物を-78 °Cで1時間撹拌し、引き続き、tert-ブチル 4-オキソ-ピペリジン-1-カルボキシラート(1.0 g)の乾燥THF溶液(3 mL)を添加した。上記混合物を室温で16時間撹拌し、その後塩化アンモニウムの飽和溶液に注ぎ入れた。水相をジエチルエーテルで抽出し、そして混合した有機相を水およびブライン(brine)で洗浄して、引き続き、乾燥(MgSO4)、ろ過および減圧下での濃縮を行った。残留物をシリカゲルを用いたフラッシュクロマトグラフィー(溶出液:ヘプタン/酢酸エチル 4:1)により精製して、粗生成物(0.55 g)を得た。上記粗生成物はさらに精製することなく次段階において使用した。
【0123】
以下の化合物を同様の方法で製造した。
エチル4-[2-(2,4-ジメチルフェノキシ)フェニル]-4-ヒドロキシ-ピペリジン-1-カルボキシラート
エチル4-[2-(4-クロロフェノキシ)フェニル]-4-ヒドロキシ-ピペリジン-1-カルボキシラート
tert-ブチル4-[2-(4-フルオロ-2-メチルフェノキシ)フェニル]-4-ヒドロキシ-ピペリジン-1-カルボキシラート
エチル4-[2-(4-フルオロ-2-メチルフェノキシ)フェニル]-4-ヒドロキシ-ピペリジン-1-カルボキシラート
エチル4-[2-(4-フルオロフェノキシ)フェニル]-4-ヒドロキシ-ピペリジン-1-カルボキシラート
tert-ブチル4-[2-(4-メチルフェノキシ)フェニル]-4-ヒドロキシ-ピペリジン-1-カルボキシラート
エチル4-[2-(4-メチルフェノキシ)フェニル]-4-ヒドロキシ-ピペリジン-1-カルボキシラート
tert-ブチル4-[2-(4-メトキシフェノキシ)フェニル]-4-ヒドロキシ-ピペリジン-1-カルボキシラート
(エチル 4-(2-メトキシ-フェニル)-ピペリジン-1-カルボキシラートの製造)
乾燥ジクロロメタン100 ml中の4-(2-メトキシフェニル)-ピペリジン (Maybridge社) 26 mmolに、28.6 mmolのトリエチルアミンおよび78 mmolのクロロギ酸エチルを0 oCで添加した。上記溶液を室温で一晩撹拌し、0.5 M HCl(125 ml)で2回洗浄して、その後MgSO4での乾燥および蒸発を行った。上記生成物は、以下の段階に用いるのに十分な純度であった。
(エチル4-(2-ヒドロキシ-フェニル)-ピペリジン-1-カルボキシラートの製造)
乾燥ジクロロメタン150 ml中のエチル4-(2-メトキシ-フェニル)-ピペリジン-1-カルボキシラート24 mmolに、48 mmolのBBr3を0 oCで添加した。上記溶液を室温で一晩撹拌し、0.5 M HCl(125 ml)で2回洗浄して、その後MgSO4での乾燥および蒸発を行った。上記生成物は、以下の段階に用いるのに十分な純度であった。
(本発明の化合物)
(4-[2-(置換-フェノキシ)- 置換-フェニル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジンの製造)
1a, 4-[2-(2,4-ジメチルフェノキシ)フェニル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン
tert-ブチル 4-[2-(2,4-ジメチルフェノキシ)フェニル]-4-ヒドロキシ-ピペリジン-1-カルボキシラート (0.5 g)と、酸性の酸(acidic acid)および濃塩酸(3:1)の混合物との混合物を、還流下で16時間煮沸した。上記混合物を冷却し、アルカリ水に注ぎ入れ、酢酸エチルで抽出した。混合した有機相を乾燥(MgSO4)し、ろ過および減圧下での濃縮を行った。残留物をシリカゲルを用いたフラッシュクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル/メタノール/トリエチルアミン 8:2:1)により精製して、目的の化合物(11 mg, 3%)を得た。LC/MS (m/z) 280 (MH+); RT = 2.16; 純度 (UV, ELSD): 85%, 97% 。
【0124】
以下の化合物を同様の方法で製造した。
1b, 4-[2-(4-クロロフェノキシ)フェニル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン
エチル4-[2-(4-クロロフェノキシ)フェニル]-4-ヒドロキシ-ピペリジン-1-カルボキシラートより。 LC/MS (m/z) 286 (MH+); RT = 2.10; 純度(UV, ELSD): 85%, 95%; 収量: 33 mg (6%) 。
1c, 4-[2-(4-フルオロ-2-メチルフェノキシ)フェニル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン
tert-ブチル 4-[2-(4-フルオロ-2-メチルフェノキシ)フェニル]-4-ヒドロキシ-ピペリジン-1-カルボキシラートより。 LC/MS (m/z) 284 (MH+); RT = 2.08; 純度 (UV, ELSD): 97%, 99%; 収量: 100 mg (21%) 。
1d, 4-[2-(4-フルオロフェノキシ)フェニル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン
エチル4-[2-(4-フルオロフェノキシ)フェニル]-4-ヒドロキシ-ピペリジン-1-カルボキシラートより。 LC/MS (m/z) 270 (MH+); RT = 1.93; 純度 (UV, ELSD): 87%, 97%; 収量: 45 mg (11%) 。
1e, 4-[2-(4-メチルフェノキシ)フェニル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン
tert-ブチル 4-[2-(4-メチルフェノキシ)フェニル]-4-ヒドロキシ-ピペリジン-1-カルボキシラートより。 LC/MS (m/z) 266 (MH+); RT = 2.04; 純度 (UV, ELSD): 98%, 99%; 収量: 250 mg (24%) 。
1f, 4-[2-(4-メトキシフェノキシ)フェニル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン
tert-ブチル 4-[2-(4-メトキシフェノキシ)フェニル]-4-ヒドロキシ-ピペリジン-1-カルボキシラートより。 LC/MS (m/z) 282 (MH+); RT = 1.95; 純度 (UV, ELSD): 79%, 99%; 収量: 14.7 mg (19%) 。
(4-[2-(置換-フェノキシ)- 置換-フェニル]ピペリジンの製造)
方法A
2a, 4-[2-(2,4-ジメチルフェノキシ)フェニル]ピペリジン
エチル4-[2-(2,4-ジメチルフェノキシ)フェニル]-4-ヒドロキシ-ピペリジン-1-カルボキシラート(0.6 g)、ジクロロメタン(25 mL)、トリエチルシラン(1 mL)、トリフルオロ酢酸(0.1 mL)および三フッ化ホウ素ジエチルエーテル(0.2 mL)の混合物を室温で16時間撹拌した。その結果生じる混合物をアルカリ水に注ぎ入れ、引き続き酢酸エチルで抽出した。混合した有機相を乾燥(MgSO4)して、ろ過および減圧下での濃縮を行った(0.4 g)。残留物を濃塩酸および酢酸(1:3)の混合物(25 mL)中に溶解させ、還流下で16時間煮沸した。上記混合物をアルカリ水に注ぎ入れ、引き続き酢酸エチルで抽出した。混合した有機相を乾燥(MgSO4)して、ろ過および減圧下での濃縮を行った。残留物をシリカゲルを用いたフラッシュクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル/メタノール/トリエチルアミン 8:2:2)により精製して、目的の化合物(10.6 mg, 3%)を得た。LC/MS (m/z) 282 (MH+); RT = 2.22; 純度 (UV, ELSD): 67%, 83% 。
以下の化合物を同様の方法で製造した。
2b, 4-[2-(4-クロロフェノキシ)フェニル]ピペリジン
エチル4-[2-(4-クロロフェノキシ)フェニル]-4-ヒドロキシ-ピペリジン-1-カルボキシラートより。 LC/MS (m/z) 288 (MH+); RT = 2.1; 純度 (UV, ELSD): 96%, 97%; 収量: 41 mg (7%) 。
2c, 4-[2-(4-フルオロ-2-メチルフェノキシ)フェニル]ピペリジン
エチル4-[2-(4-フルオロ-2-メチルフェノキシ)フェニル]-4-ヒドロキシ-ピペリジン-1-カルボキシラートより。 LC/MS (m/z) 286 (MH+); RT = 2.1; 純度 (UV, ELSD): 89%, 99%; 収量: 51 mg (8%) 。
2d, 4-[2-(4-フルオロフェノキシ)フェニル]ピペリジン
エチル4-[2-(4-フルオロフェノキシ)フェニル]-4-ヒドロキシ-ピペリジン-1-カルボキシラートより。LC/MS (m/z) 272 (MH+); RT = 1.97; 純度 (UV, ELSD): 91%, 99%; 収量: 7 mg (5%) 。
2e, 4-[2-(4-メチルフェノキシ)フェニル]ピペリジン
エチル4-[2-(4-メチルフェノキシ)フェニル]-4-ヒドロキシ-ピペリジン-1-カルボキシラートより。 LC/MS (m/z) 268 (MH+); RT = 2.12; 純度 (UV, ELSD): 88%, 93%; 収量: 8 mg (1%) 。
方法 B
エチル 4-(2-ヒドロキシ-フェニル)-ピペリジン-1-カルボキシラート(0.1 mmol)を、0.5 mLの1-メチル-ピロリジン-2-オン中で、0.12 mmolの適当な臭化アリールまたはヨウ化アリールと合わせた。CuI触媒(0.037 mmol)を添加し、マイクロウェーブオーブン中220 oCで1時間加熱する前に、バイアルを密閉した。溶剤をサンプルから除去し、KOH水溶液(3.7 mmol)、ジオキサンおよびエタノール(99,9%)を添加して、混合物をマイクロウェーブオーブン中130 oCで1時間加熱した。その後上記サンプルに水およびNaClを添加し、引き続いて酢酸エチルで抽出した。有機相を蒸発させ、粗生成物を分取LC-MSによって精製した。単離した生成物をSCXカラムに付し、遊離アミンをDMSO溶液として試験に用いた。以下の化合物をこの方法により製造し、測定分子量、測定したHPLC保持時間(RT, 分)ならびにUV- およびELSD-純度(%)を表1に記載した。
3a, 4-[2-(4-クロロ-2- メチル-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン
3b, 4-[2-(3-クロロ-2- メチル-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン
3c, 4-[2-(2-クロロ-4-メチル-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン
3d, 4-[2-(2,4-ジクロロ-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン
3e, 4-[2-(ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イルオキシ)-フェニル]-ピペリジン
3f, 4-[2-(4-メトキシ-2-メチル-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン
3g, 4-[2-(3,4-ジクロロ-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン
3h, 4-[2-(3,4-ジメチル-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン
3i, 4-[2-(2,3,4,5-テトラメチル-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン
3j, 4-[2-(4-トリフルオロメチル-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン
3k, 4-[2-(4-メトキシ-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン
3l, 4-[2-(2-クロロ-4-メトキシ-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン
3m, 4-[2-(3,4-ジメトキシ-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン
3n, 4-[2-(4-クロロ-3-トリフルオロメチル-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン
表1:測定分子量、測定したHPLC保持時間(RT, 分)ならびにUV- およびELSD-純度(%)
【0125】
【表1】

【0126】
(ラット皮質シナプトソームへの[3H]-5-HT取り込みの測定)
雄ウィスターラット(Wistar rats)(125-225 g)由来の全脳を、小脳を除いて、ガラス/テフロン・ホモジナイザーを用いて、1mM のニアラミドを加えた0.32 Mショ糖中で均質化(homogenized)した。ホモジネート(homogenate)を4 oC において600 x gで10分間遠心分離した。ペレット(pellet)を廃棄し、上清を20.000 x g で55分間遠心分離した。最終的に得られたペレットをこのアッセイ緩衝液(assay buffer)中で均質化(20 sec)した(元の組織0.5 mg /ウェル)。試験化合物(または緩衝液)および10 nMの[3H]-5-HTを96ウェルプレートに添加し、短時間振盪した。アッセイ緩衝液の組成:123 mM NaCl、4.82 mM KCl、0.973 mM CaCl2、1.12 mM MgSO4、12.66 mM Na2HPO4、2.97 mM NaH2PO4、0.162 mM EDTA、10 mM グルコースおよび1 mM アスコルビン酸。緩衝液は、37 °Cにおいて10分間、95% 02/5% C02で処理することにより酸素を包含させ、pHを 7.4に調整した。組織を0.2 mLの最終のアッセイ容量に添加することによりインキュベーションを開始した。放射性リガンドとともに37 oCで15分間インキュベーションした後に、サンプルを減圧下、ユニフィルターGF/Cガラスファイバーフィルター(0.1%のポリエチレンイミンで1時間浸漬)で直接ろ過し、3 x 0.2 mLのアッセイ緩衝液で直ちに洗浄した。非特異的な取り込みは、シタロプラム(最終濃度10 μM)を用いて測定した。シタロプラムは、用量反応曲線のようなすべての実験において対照基準として含まれる。
([3H]ノルアドレナリンのラット皮質シナプトソームへの取り込みの測定)
雄ウィスターラット(125-225 g)由来の新鮮な皮質を、ガラス/テフロン・ホモジナイザーを用いて、0.4Mショ糖中で均質化した。ホモジネートを4 oC において600 x gで10分間遠心分離した。ペレットを廃棄し、上清を20.000 x g で55分間遠心分離した。最終的に得られたペレットをこのアッセイ緩衝液中で均質化(20 sec)した(元の組織6 mg/mL = 4 mg/ウェル(6 mg original tissue/mL = 4 mg/well))。試験化合物(または緩衝液)および10 nMの[3H]-ノルアドレナリンを96ウェルのディープウェルプレートに添加し、短時間振盪した。アッセイ緩衝液の組成:123 mM NaCl、4.82 mM KCl、0.973 mM CaCl2、1.12 mM MgSO4、12.66 mM Na2HPO4、2.97 mM NaH2PO4、0.162 mM EDTA、10 mMグルコースおよび1 mM アスコルビン酸。緩衝液は、37 °Cにおいて10分間、95% 02/5% C02で処理することにより酸素を包含させ、pHを 7.4に調整した。組織を1 mLの最終アッセイ容量に添加することによりインキュベーションを開始した。放射性リガンドとともに37 oCで15分間インキュベーションした後に、サンプルを減圧下、ユニフィルターGF/Cガラスファイバーフィルター(0.1%のポリエチレンイミンで1時間浸漬)で直接ろ過し、3 x 1 mLの試験緩衝液で直ちに洗浄した。非特異的な取り込みは、タルスプラム(talsupram)(最終濃度10 μM)を用いて測定した。デュロキセチン(Duloxetine)は、用量反応曲線のようなすべての実験において対照基準として含まれる。
【0127】
上記実験の結果より、本発明の試験化合物がノルエピネフリンおよびセロトニンの再取り込みを、200 nM未満のIC50で阻害することが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の一般式I、
【化1】

で表される化合物またはその塩であって、
式中、点線----は単結合または二重結合を示し;
R1、R2、R3、R4、R5は、水素、ハロゲン、シアノ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)スルファニル、ヒドロキシ、ヒドロキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、またはRx および Ryが、水素、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、シアノ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から独立して選択されるNRxRy、または Rz およびRwが、水素、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、またはC3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から独立して選択されるNRzRw-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から独立して選択されるか;または、Rx および Ryは、それらが結合する窒素と一緒に、場合により1つ以上のヘテロ原子を含む3-7員環を形成し;または
R2およびR3は一緒に、以下の式、
【化2】

から選択される、フェニル環と融合するヘテロ環を形成し;そしてR1、R4、R5は上記のように定義され;
R6、R7、R8、R9は、水素、ハロゲン、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)スルファニル、ヒドロキシ、ヒドロキシ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、またはRx および Ryが、水素、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、シアノ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から独立して選択されるNRxRy、または Rz およびRwが、水素、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)またはC3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から独立して選択されるNRzRw-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から独立して選択されるか;または、Rx および Ryは、それらが結合する窒素とともに、場合により1つ以上のヘテロ原子を含む3-7員環を形成し; ただし、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9の少なくとも1つは水素とは異なることを条件とする、
上記化合物またはその塩。
【請求項2】
R1が、水素、ハロゲン、シアノ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)スルファニル、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、またはRxおよびRyが水素、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、シアノ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から独立して選択されるNRxRy、またはRzおよびRwが水素、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)またはC3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から独立して選択されるNRzRw-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から選択され、ただし、RxおよびRyのうちの一方がNRzRw-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)である場合には、他方が水素、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、シアノ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)またはC3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から選択され;または、RxおよびRyが、それらが結合する窒素と一緒に、場合により1つ以上のヘテロ原子を含む3-7員環を形成し;典型的には、R1が水素、C1-6-アルキルまたはハロゲンから選択されることを条件とする、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R2が、水素、ハロゲン、シアノ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)スルファニル、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から選択され;典型的には、R2が水素、C1-6-アルコキシ、ハロ-C1-6-アルキル、 C1-6-アルキルまたはハロゲンから選択され;さらに典型的には、R2が水素または C1-6-アルコキシから選択される、請求項1〜2のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項4】
R3が、水素、ハロゲン、シアノ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)スルファニル、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から選択され;典型的には、R3が水素、C1-6-アルキル、C1-6-アルコキシ、ハロゲンまたはハロ-C1-6-アルキルから選択され;さらに典型的にはR3が、水素、C1-6-アルキル、C1-6-アルコキシまたはハロゲンから選択される、請求項1〜3のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項5】
R2およびR3が一緒に、以下の式、
【化3】

から選択される、フェニル環と融合するヘテロ環を形成する、請求項1〜2のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項6】
R4が、水素、ハロゲン、シアノ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)スルファニル、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から選択され;典型的には、R4が水素、C1-6-アルコキシ、ハロ-C1-6-アルキル、C1-6-アルキルまたはハロゲンから選択され;さらに典型的には、R4が水素または C1-6-アルコキシから選択される、請求項1〜5のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項7】
R5が、水素、ハロゲン、シアノ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)オキシ、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)スルファニル、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、またはRxおよびRyが水素、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、シアノ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から独立して選択されるNRxRy、またはRzおよびRwが水素、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)または C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から独立して選択されるNRzRw-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から選択され、ただし、RxおよびRyのうちの一方がNRzRw-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)である場合には、他方が水素、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、シアノ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)またはC3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から選択され;または、RxおよびRyが、それらが結合する窒素と一緒に、場合により1つ以上のヘテロ原子を含む3-7員環を形成し;典型的には、R5が水素、C1-6-アルキルまたはハロゲンから選択されることを条件とする、請求項1〜6のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項8】
R6が、水素、ハロゲン、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から選択され;典型的には、R6が水素またはハロゲンから選択される、請求項1〜7のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項9】
R7が、水素、ハロゲン、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から選択され;典型的には、R7が水素またはハロゲンから選択される、請求項1〜8のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項10】
R8が、水素、ハロゲン、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、またはRxおよびRyが水素、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、シアノ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から独立して選択されるNRxRy、またはRzおよびRwが水素、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)またはC3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から独立して選択されるNRzRw-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から選択され、ただし、RxおよびRyのうちの一方がNRzRw-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)である場合には、他方が水素、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、シアノ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、C3-8-シクロアルキル(アルケニル)またはC3-8-シクロアルキル(アルケニル)-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から選択されるか;または、RxおよびRyが、それらが結合する窒素と一緒に、場合により1つ以上のヘテロ原子を含む3-7員環を形成し;典型的には、R8が水素、ハロ-C1-6-アルキル、C1-6-アルキルまたは ハロゲンから選択されることを条件とする、請求項1〜9のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項11】
R9が、水素、ハロゲン、C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)、ハロ-C1-6-アルキル(アルケニル/アルキニル)から選択され;典型的には、R9が水素である、請求項1〜10のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項12】
点線----が、単結合を示す、請求項1〜11のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項13】
点線----が、二重結合を示す、請求項1〜11のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項14】
式Iの化合物が、1個または複数のフェニル環において、R1-R9のうちのいずれか1つから選択される、水素とは異なる1〜4個の置換基を有し、そしてその残りの置換基が水素である、請求項1〜13のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項15】
上記化合物が、
4-[2-(2,4-ジメチルフェノキシ)フェニル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン、
4-[2-(4-クロロフェノキシ)フェニル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン、
4-[2-(4-フルオロ-2-メチルフェノキシ)フェニル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン、
4-[2-(4-フルオロフェノキシ)フェニル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン、
4-[2-(4-メチルフェノキシ)フェニル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン、
4-[2-(4-メトキシフェノキシ)フェニル]-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン、
4-[2-(2,4-ジメチルフェノキシ)フェニル]ピペリジン、
4-[2-(4-クロロフェノキシ)フェニル]ピペリジン、
4-[2-(4-フルオロ-2-メチルフェノキシ)フェニル]ピペリジン、
4-[2-(4-フルオロフェノキシ)フェニル]ピペリジン、
4-[2-(4-メチルフェノキシ)フェニル]ピペリジン、
4-[2-(4-クロロ-2- メチル-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン、
4-[2-(3-クロロ-2- メチル-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン、
4-[2-(2-クロロ-4-メチル-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン、
4-[2-(2,4-ジクロロ-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン、
4-[2-(ベンゾ[1,3]ジオキソール-5-イルオキシ)-フェニル]-ピペリジン、
4-[2-(4-メトキシ-2-メチル-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン、
4-[2-(3,4-ジクロロ-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン、
4-[2-(3,4-ジメチル-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン、
4-[2-(2,3,4,5-テトラメチル-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン、
4-[2-(4-トリフルオロメチル-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン、
4-[2-(4-メトキシ-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン、
4-[2-(2-クロロ-4-メトキシ-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン、
4-[2-(3,4-ジメトキシ-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン、
4-[2-(4-クロロ-3-トリフルオロメチル-フェノキシ)-フェニル]-ピペリジン、
である化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項1記載の化合物。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1つに記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩および少なくとも1つの薬学的に許容される担体または希釈剤からなる医薬調合物。
【請求項17】
うつ病、全般性不安障害、社会不安障害、心的外傷後ストレス精神障害、強迫性障害、パニック障害、パニック発作、特定恐怖症、対人恐怖症および広場恐怖症を含む不安障害のような情動障害を治療するための薬剤を製造するために、請求項1〜15のいずれか1つに記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩を使用する方法。
【請求項18】
薬学的に有効な量の請求項1〜15のいずれか1つに記載の化合物またはその薬学的に許容される酸付加塩を投与することからなる、生きているヒトを含む動物体において、うつ病、全般性不安障害、社会不安障害、心的外傷後ストレス精神障害、強迫性障害、パニック障害、パニック発作、特定恐怖症、対人恐怖症および広場恐怖症を含む不安障害のような情動障害を治療する方法。
【請求項19】
薬剤として使用するための、請求項1〜15のいずれか1つに記載の化合物。

【公表番号】特表2006−522027(P2006−522027A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504346(P2006−504346)
【出願日】平成16年4月2日(2004.4.2)
【国際出願番号】PCT/DK2004/000241
【国際公開番号】WO2004/087155
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
テフロン
【出願人】(591143065)ハー・ルンドベック・アクチエゼルスカベット (129)
【Fターム(参考)】