説明

センサからのデータの正確性を確認する方法および装置

【課題】センサデータの正確性を確認する
【解決手段】データ値はセンサから受け取る(2100)。データ値に関連するパラメータがしきい値と比較される(2110)。例えば、データ値の2次微分係数がしきい値と比較される。付加的なしきい値の違反はセンサから受け取った更なるデータ値に対してモニタされる(2130)。2つのパラメータがしきい値を超えるとデータの受領は終了される(2170)。センサデータから導き出される分散の限量子に基づきデータにフィルタをかけるための方法及びシステム。限量子は、センサデータにフィルタをかけるアダプティブフィルタへの入力として用いられる。センサデータの信頼性を決定することでセンサのキャリブレーションを行い、信頼性のないデータ値を破棄し、破棄されないデータ値にフィルタをかけ、及びフィルタされたデータ値を用いてセンサの出力を調節する方法及びシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、「リアルタイム自己調節キャリブレーションのアルゴリズム」と題され、2002年5月8日に出願された米国特許出願第10/141,375号の一部継続出願であり、その出願自体は、「ブドウ糖モニタキャリブレーション方法」と題された2000年2月23日に出願した米国特許出願第09/511,580号で、現在は米国特許第6,424,847号の一部継続出願であり、双方の全ての内容は本願に参照としてここに援用され、それらへの優先権を主張する。
【0002】
本発明は、ブドウ糖のモニタシステムに関し、特に実施形態として、ブドウ糖のモニタシステムについてのキャリブレーション方法に関する。
【背景技術】
【0003】
長年にわたり、身体の特性は、体液の採取により判定されてきた。例えば、糖尿病では、しばしば血糖レベルを試験する。従来の血糖の判定には、少量の血液の試料を引き出すために針を用い、痛みを伴う手からの採血を利用している。この結果、針が皮下組織の神経に触れるために針による不快感が生じる。注射による痛みや度重なり針で刺すことにより堆積する不快感は、なぜ患者が長い間身体の特性の変化を判定するのに用いる医学の試験処方に従わないか、に対する主な理由となる。非侵入式のシステムが提案され、又は開発中ではあるが、そのいずれもが今日まで、効果的であり正確な結果を示す商業化に至っていない。加えて、これらのシステムは、全て不連続な点でデータを提供するように設計されており、検査時点間での特性の変化を示す連続的なデータを提供しない。
【0004】
患者の血液の特定の物質又は組成を検出する及び/又は量を定めるための、多様な埋め込み可能な電子技術的センサが発展しつつある。例えば、糖尿病患者の血液のブドウ糖レベルの値を得るためのブドウ糖センサが開発されている。そのような読取り値は、典型的に、患者へのインスリンの定期的な投与を含む処方のモニタや調節に用いられる。このようにして、血液のブドウ糖の読取り値は、一般的に米国特許第4,562,751号、第4,678,408号及び第4,685,903号に記載される、半自動の外付け型の医薬注入ポンプ、又は、一般的に米国特許4,573,994号に記載される自動化された埋め込み可能な医薬注入ポンプによる医学療法を改善させ、これらは参照としてここに援用する。特に、薄膜センサは、共有譲渡米国特許第5,390,671号、第5,391,250号、第5,482,473号、及び第5,586,553号に開示され、これらは本願に参照としてここに援用する。また、米国特許第5,299,571号も参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2002−541883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した制限を実用的な目的で除去し、改良されたブドウ糖モニタシステム及び方法を提供することは、本発明の具現化における目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態によると、ブドウ糖のモニタデータのキャリブレーション方法は、測定期間中の予め設定された間隔ごとにブドウ糖のモニタデータを取得することが含まれる。また、予め設定された間隔ごとに得られたブドウ糖のモニタデータに対応する参照源からの少なくとも2つのブドウ糖の参照値を得ることも含まれる。加えて、少なくとも2つの参照値及び対応するブドウ糖モニタデータを用いてキャリブレーション特性を計算し、取得したブドウ糖モニタデータに戻ることを含む。そして、取得したブドウ糖モニタデータを、キャリブレーション特性を用いてキャリブレーションすることを含む。好ましい実施形態では、参照源は計測された血糖であり、少なくとも2つのブドウ糖の参照値は血液試験から得られる。追加の実施形態では、キャリブレーション特性の計算は、線形回帰を用いて得られ、特定の実施形態では、最小2乗線形回帰を用いる。代替として、キャリブレーション特性の計算は、非線形回帰又は非回帰技術により得られる。
【0008】
特定の実施形態では、予め設定された期間は24時間であり、予め設定された間隔は5分間隔である。更なる実施形態では、予め設定された、例えば10分間といった時間要素によりデータをシフトするステップを含んでも良い。好ましくは、キャリブレーションは、ブドウ糖モニタデータ得る間になされる。しかし、代替の実施形態では、他の処理装置による後処理のために集積されたブドウ糖モニタデータのキャリブレーションがなされても良い。
【0009】
本発明の実施形態によると、ブドウ糖のモニタデータのキャリブレーション方法は、予め設定された貯蔵メモリレートでブドウ糖のモニタデータを得ることを含む。また、予め設定された貯蔵メモリレートで得られる少なくとも1つのブドウ糖モニタデータポイントに対応する血糖測定器から読まれた少なくとも1つの血糖の参照値を得ることを含む。少なくとも1つの血糖の参照読込み値、及び対応する少なくとも1つのブドウ糖モニタデータポイントを用いたキャリブレーション係数を計算することを含む。そして、キャリブレーション係数を用いて、取得したブドウ糖モニタデータをキャリブレーションすることを含む。好ましい実施形態では、最初のキャリブレーション係数が計算された後には、少なくとも1つの従前のキャリブレーション係数は、血糖測定器から読込まれた少なくとも1つの血糖参照値、及びそれの少なくとも1つの対応するブドウ糖モニタデータポイントによりキャリブレーション係数を計算するために用いられる。付加の実施形態において、少なくとも2つの血糖の参照読込み値がキャリブレーションのために用いられる。さらなる実施形態では、キャリブレーション係数の計算は、線形回帰を用いて得られ、そして特に最小2乗線形回帰による。代替として、非線形回帰又は非回帰技術を用いてキャリブレーション係数を計算する。
【0010】
特定の実施形態では、キャリブレーション係数は、キャリブレーション係数を計算するのに用いられる予め設定された貯蔵メモリレートから得られた、少なくとも1つのブドウ糖モニタデータポイントに対応する血糖測定器から読込まれた、最後の血液ブドウ糖参照値の前に得られたブドウ糖モニタデータに適用する。代替として、キャリブレーション係数は、キャリブレーション係数の計算に用いられる血糖測定器から読み込まれた最後の血糖参照値の後に得られたブドウ糖モニタデータに適用する。
【0011】
特定の実施形態では、予め設定された貯蔵メモリレートは5分に1回である。そして予め設定された貯蔵メモリレートにより得られたブドウ糖モニタデータは、貯蔵メモリレートよりも速いレートでブドウ糖センサから採取された少なくとも2つのサンプル値を利用した結果である。
【0012】
好ましい実施形態では、血糖測定器から読込まれた、少なくとも1つの血糖参照値は、予め設定されたキャリブレーション期間の間に得られ、キャリブレーション係数は、全ての予め設定されたキャリブレーション期間の後にこれらの読込まれた値を用いて計算される。特定の実施形態では、予め設定された期間は24時間である。さらに好ましい実施形態では、予め設定された貯蔵メモリレートで得られた少なくとも1つのブドウ糖モニタデータポイントにより血糖測定器から読込まれた少なくとも1つの血糖参照値を、一時的に関連させるために、予め設定された時間のシフトが用いられる。特定の実施形態では、予め設定された時間のシフトは10分である。
【0013】
特定の実施形態では、最初のキャリブレーション係数を計算するための1つ又はそれ以上の計算は、それに引き続くキャリブレーション係数を計算するための1つ又はそれ以上の計算とは異なる。他の特定の実施形態では、最初のキャリブレーション係数を計算するための1つ又はそれ以上の計算は、単一点キャリブレーション式を用いる。更なる特定の実施形態では、単一点キャリブレーション式は、オフセット値を用いる。他の特定の実施形態では、最初のキャリブレーション係数以外のキャリブレーション係数を計算するための1つ又はそれ以上の計算には、線形回帰キャリブレーション式、非線形回帰キャリブレーション式、又は非回帰技術を用いる。
【0014】
本発明の実施形態によると、ブドウ糖モニタデータをキャリブレーションする方法は、ブドウ糖モニタデータを得ることを含む。また、他の血糖測定器から、それは一時的に少なくとも1つのブドウ糖モニタデータの読込みに関係する、少なくとも1つの血糖の参照読込み値を得ることを含む。少なくとも1つの血糖の参照読込み値、及び対応する少なくとも1つのブドウ糖モニタデータの読込みを用いてキャリブレーション式を決定することもまた含む。そして、キャリブレーション式を用いてブドウ糖モニタデータをキャリブレーションすることが含まれる。
【0015】
本発明の他の実施形態によると、身体の特性のモニタデータのキャリブレーション方法には、身体の特性のモニタデータを獲得することが含まれる。それ以外の特性測定器から、少なくとも1つの特性モニタのデータポイントと一時的に関連する、少なくとも1つの特性参照読込み値を獲得することもまた含まれる。少なくとも1つの特性参照読込み値を用いてキャリブレーション特性を計算すること、及び対応する少なくとも1つの特性モニタのデータポイントが含まれる。そして、キャリブレーション特性を用いた、獲得された特性モニタデータを計算することが含まれる。特定の実施形態では、少なくとも2つの身体の特性参照読込み値が、キャリブレーション特性の計算に用いられる。特定の実施形態では、キャリブレーション特性を計算するための計算は線形回帰計算である。
【0016】
発明の付加的な実施形態では、ブドウ糖モニタデータをキャリブレーションする機器には、ブドウ糖モニタ、ブドウ糖センサ、血糖測定器、およびプロセッサを含む。ブドウ糖モニタは、ブドウ糖モニタデータを貯蔵するためのブドウ糖モニタメモリを含む。ブドウ糖センサは、ブドウ糖モニタデータを供給するためにブドウ糖モニタに電気的に連結している。血糖計測器は、少なくとも1つのブドウ糖モニタのデータポイントと一時的に関連する、少なくとも1つの血糖参照読込み値を提供する。そして、プロセッサは、少なくとも1つのブドウ糖モニタのデータポイントと一時的に関連する、少なくとも1つの血糖参照読込み値を用いたキャリブレーション特性を計算するソフトウエアを含み、プロセッサは、キャリブレーション特性をブドウ糖モニタデータに適用する。特定の実施形態では、少なくとも1つの血糖読込み値が、ブドウ糖モニタに入力される。特定の実施形態では、ブドウ糖モニタはプロセッサを含み、又は代替として、プロセッサはブドウ糖モニタからブドウ糖モニタデータを受け取る分離された機器である。
【0017】
発明の他の実施形態では、ブドウ糖モニタデータを計算するための機器には、ブドウ糖モニタデータを獲得する方法も含まれる。それ以外の血糖測定器から、少なくとも1つのブドウ糖モニタ読込み値と一時的に関連する、少なくとも1つの血糖参照読込み値を得る方法もまた含まれる。少なくとも1つの血糖参照読込み値を用いたキャリブレーション式を計算するための方法、及び対応する少なくとも1つのブドウ糖モニタデータの読込み値が含まれる。そして、キャリブレーション式を用いたブドウ糖モニタデータのキャリブレーションのための方法もまた含まれる。
【0018】
本発明の実施形態によると、センサデータの正確性を確認する方法は、センサから第1データ値を受け取り;第1データ値に関連する第1パラメータと、第1しきい値とを比較し;センサから第2データ値を受け取り;第2データ値に関連する第1パラメータと、第1しきい値と比較し;第1データ値に関連する第1パラメータが、第1しきい値を超え、第2データ値に関連する第1パラメータが、第1しきい値を超えないときにセンサからのデータの受け取りを継続し;第1データ値に関連する第1パラメータ及び第2データ値に関連する第1パラメータが第1しきい値を超えるときには、センサからのデータの受け取りを終了することが含まれる。
【0019】
本方法は、第1データ値に関連する第1パラメータが、第1しきい値を超え、第2データ値に関連する第1パラメータが、第1しきい値を超えないときに第1データ値を破棄する方法を含んでも良い。第1データ値に関連する第1パラメータは、第1データ値の2次微分係数であり、第2データ値に関連する第1パラメータは、第2データ値の2次微分係数であっても良い。第1データ値に関連する第1パラメータは、第1データ値の1次微分係数であり、第2データ値に関連する第1パラメータは、第2データ値の1次微分係数であっても良い。
【0020】
本方法は、またさらに、第1データ値に関連する第2パラメータと、第2しきい値とを比較し;第1データ値に関連する第1パラメータが、第1しきい値を超え、第1データ値に関連する第2パラメータが、第2しきい値を超え、及び第2データ値に関連する第1パラメータが、第1しきい値を超えないときに、センサからデータの受け取りを継続し;第1データ値に関連する第1パラメータが、第1しきい値を超え、第1データ値に関連する第2パラメータが、第2しきい値を超え、及び第2データ値に関連する第1パラメータが、第1しきい値を超えるときに、センサからのデータの受け取りを終了することを含んでも良い。
【0021】
本方法は、またさらに、第1データ値に関連する第1パラメータが、第1しきい値を超え、第1データ値に関連する第2パラメータが、第2しきい値を超え、及び第2データ値に関連する第1パラメータが、第1しきい値を超えないときに、第1データ値を破棄することも含む。第1データ値に関連する第1パラメータは、第1データ値の2次微分係数であり、第2データ値に関連する第1パラメータは、第2データ値の2次微分係数であり、第1データ値に関連する第2パラメータは、1次微分係数であっても良い。
【0022】
第2データ値に関連する第1パラメータが、予め決められた時間の期間内に、第1しきい値を超えたときには、センサからのデータの受け取りを終了する事態が発生しても良い。センサからのデータの受け取りを終了する事態は、第2データ値に関連する第1パラメータが、予め決められた時間の期間内に、第1しきい値を超えたときに発生しても良い。第1及び第2しきい値は、血糖濃度により変化しても良い。
【0023】
本発明の実施形態では、センサからのデータをフィルタにかける方法は、センサから複数のデータ値を受け、複数のデータ値と関連する測定エラーの分散の限量子を得て;アダプティブフィルタにより複数のデータ値をフィルタすることを含んでも良い。限量子はアダプティブフィルタに対する入力であっても良い。センサはブドウ糖センサであっても良い。複数のデータ値は血糖濃度であっても良い。
【0024】
限量子を獲得することは、複数のデータポイント内に連続するデータポイントの絶対値の標準偏差を公式化することを含む。標準偏差を公式化することは、期間が定められ(windowed)、重み付けされない標準偏差、又は繰り返され(recursive)、重み付けされた標準偏差を公式化することを含んでもよい。アダプティブフィルタは、カルマンフィルタであっても良い。
【0025】
本発明の実施形態によると、センサをキャリブレーションする方法は、センサから複数のデータ値を受け取ること;複数のデータ値のそれぞれのデータ値の信頼性を決定すること;信頼性のない複数のデータ値のデータを破棄すること;破棄されない複数のデータのデータ値にフィルタをかけること;及びフィルタをかけたデータ値を用いて、センサの出力を調節することを含んでも良い。センサは、ブドウ糖センサであっても良く、複数のデータ値は血糖濃度であっても良い。
【0026】
それぞれのデータ値の信頼性を決定することは、各データ値を予め決められたしきい値と比較し、又はそれぞれのデータ値に関連するパラメータを予め決められたしきい値と比較することを含んでも良い。パラメータは、2次微分係数又は1次微分係数であっても良い。予め決められたしきい値は、最新の複数のデータ値により変化しても良い。最新の複数のデータ値は、血糖濃度であっても良い。
【0027】
データ値を破棄することは、予め決められたしきい値に関し予め確立されたクライテリアに合致しないデータ値を破棄することを含んでも良い。データ値にフィルタをかけることはアダプティブフィルタによりデータ値にフィルタをかけることを含んでも良い。アダプティブフィルタはカルマンフィルタであっても良い。
【0028】
アダプティブフィルタによりデータ値にフィルタをかけることは、破棄されない複数のデータのデータ値に基づくパラメータによりアダプティブフィルタを用いることを含んでも良い。このパラメータは、破棄されない複数のデータのデータ値の標準偏差であっても良い。同様に、パラメータは、破棄されない複数のデータのデータ値の絶対値の標準偏差であっても良い。標準偏差は、期間が定められ、重み付けされていない標準偏差、又は繰り返され、重み付けされた標準偏差であっても良い。
【0029】
本発明の他の特徴及び有利な点は、下記の発明の実施形態の多様な特徴を例示により図示した添付図面とともに、詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態による、ブドウ糖センサの皮下挿入セット及びブドウ糖モニタ装置を示す透視図である。
【図2】図1の2−2線に沿った、センサセット及びブドウ糖モニタ装置の断面図である。
【図3】図1及び図2の挿入セットに用いる、溝を有する挿入針の断面図である。
【図4】図3の4−4線に沿って示した断面図である。
【図5】図3の5−5線に沿って示した断面図である。
【図6】図2の円で囲まれた部分に一般的に対応する部分断面図である。
【図7】図2の7−7線に沿って示した断面図である。
【図8】サンプル値、インターバル値、及び貯蔵メモリ値の関係を示す説明図である。
【図9】切取制限値を示す説明図である。
【図10】ブドウ糖モニタデータの後処理解析についての、画面イメージの例を示す説明図である。
【図11】ブドウ糖解析データからの血糖の参照読込み値の組合せを図示する説明図である。
【図12】単一点キャリブレーションの例を図示する説明図である。
【図13】単一点キャリブレーション技術のブロック図である。
【図14】線形回帰キャリブレーションの例を示す説明図である。
【図15】線形回帰キャリブレーション技術のブロック図である。
【図16】本発明の実施形態に係る自己調整キャリブレーションのフロー図である。
【図17a】図16に関する自己調整キャリブレーション技術の例を示す説明図である。
【図17b】図16に関する自己調整キャリブレーション技術の例を示す説明図である。
【図18a】図16に関する自己調整キャリブレーション技術の例を示す説明である。
【図18b】図16に関する自己調整キャリブレーション技術の例を示す説明である。
【図19】本発明の実施形態によるデータの正確性を確認する一般化されたフロー図である。
【図20】本発明の実施形態によるデータの正確性の確認を実施する詳細なフロー図である。
【図21a】本発明の実施形態によるセンサ電流を示す説明図である。
【図21b】本発明の実施形態によるセンサ電流の1次微分係数を示す説明図である。
【図21c】本発明の実施形態によるセンサ電流の2次微分係数を示す説明図である。
【図21d】本発明の実施形態による計算されたセンサ信号を示す説明図である。
【図22】本発明の実施形態により、どの様に限量子が生の信号を平滑化するかを示す説明図である。
【図23】本発明の実施形態により、どの様に限量子が生の信号を平滑化するかを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
特許又は出願ファイルには、少なくとも1つのカラーを施した図面が含まれている。カラーの図面を有する特許又は特許出願公開のコピーは、請求及び必要な料金の支払いの上、局から供給される。
【0032】
本発明の実施形態の詳細な説明は、添付された図面を参照し、数枚の図面において一致する部分は同じ符号により明示する。
【0033】
図示する目的で図面に示すように、本発明は、一定期間センサからブドウ糖レベルの連続データの読込み記録を提供するセンサセットに連結されたブドウ糖モニタのキャリブレーション方法により具現化される。本発明の好ましい実施形態として、センサとモニタは、利用者の血液及び/又は体液のブドウ糖レベルを判定するブドウ糖センサ及びブドウ糖モニタである。しかし、発明の更なる実施形態は、ホルモン、コレステロール、薬物濃度、ウイルス荷重(すなわち、エイズウイルス(HIV))、バクテリアレベル、又は同様なもの等の試料(analytes)又は薬剤、化合物又は合成物を含む、他の身体の特性のレベルを判定するのに用いられても良いことが認識されるであろう。ブドウ糖センサは、元来は人間の皮下組織用として適合されていた。しかし、更なる実施形態では、1つ又はそれ以上のセンサは、他のタイプの組織、例えば、筋肉、リンパ節、器官組織、静脈、動脈、又は同様なものに置かれ、また、身体の特性を測定するために動物の組織に用いられても良い。実施形態では、断続的な、周期的な、連続した、又はアナログを基礎としたセンサからの読込み値を記録しても良い。
【0034】
図1−7は、キャリブレーション方法とともに用いるブドウ糖モニタシステム1を図示する。本発明の好ましい実施形態では、ブドウ糖モニタシステム1は、皮下ブドウ糖センサセット10及びブドウ糖モニタ100を含む。好ましい実施形態では、ブドウ糖モニタ100は、ここに本願に参照として援用する「ブドウ糖モニタシステム」と題する1999年2月25日に出願した米国特許出願第60/121,664号に記載されたタイプである。代替の実施形態として、ブドウ糖モニタ100は、ここに本願に参照として援用する「遠隔計測特性のモニタシステム及びそれを用いる方法」と題する1999年8月19日に出願した米国特許出願第09/377,472号に記載されたタイプである。
【0035】
好ましくは、ブドウ糖モニタ100は、利用者に着用され、ここに参照として援用する「ブドウ糖モニタの試験プラグ及びケーブル」と題する1999年2月25日に出願した米国特許出願第60/121,656号に記載されたタイプである電気伝導性ケーブルにより利用者の身体に装着され、表面に搭載されたブドウ糖センサセット10に接続される。好ましい実施形態では、センサのインターフェースは、利用者の身体の異なる部位に置かれる、異なるタイプの皮下ブドウ糖センサ及び/又はブドウ糖センサに機能するブドウ糖モニタ100に適応性を与える、異なる型式のケーブルを受け入れるジャックのタイプの形状であっても良い。しかし、代替の実施形態では、センサのインターフェースは、ケーブル102に永久に接続される。追加の代替の実施形態では、特性モニタは、利用者の身体の表面または内部の1つ又はそれ以上の部位から1つ又はそれ以上の身体の特性のデータを記録する1つ又はそれ以上のセンサセットに接続される。
【0036】
ブドウ糖センサセット10は、ここに本願に参照として援用する「ブドウ糖センサセット」と題する1999年2月25日に出願した米国特許出願第60/121,655号、又は、「皮下センサのための挿入セット」と題する1997年6月9日に出願した米国特許出願第08/871,831号に記載されたタイプである。ブドウ糖センサ12は、「ブドウ糖センサ」と題する1999年2月25日に出願した米国特許出願第29/101,218号、又は、ここに本願に参照として援用する、共有譲渡米国特許第5,390,671号;米国特許第5,391,250号;米国特許第5,482,473号;及び米国特許第5,586,553号に開示されたもので、ブドウ糖センサセット10から利用者の身体に、利用者の皮下組織に到達するブドウ糖センサ12の電極20を伴って伸びる。米国特許第5,299,571もまた参照されたい。しかし、代替の実施形態として、ブドウ糖センサ12は、化学を基礎とするもの、光学を基礎とするものなどの他のタイプのセンサを用いても良い。さらに代替の実施形態として、センサは、身体の特性を検出するために皮膚の外表面に用いるタイプ、又は皮膚層の下に設置されるタイプであっても良い。
【0037】
ブドウ糖モニタ100には、一般的にブドウ糖センサ12から受信されたデータを記録及び記憶する機能が含まれ、特に、ブドウ糖モニタ等とともに動作するように設計された、コンピュータ、コミュニケーション・ステーション、専用のプロセッサなどのデータ・プロセッサ200へ及び/又はデータ・プロセッサ200からデータを伝達するための、データ・ポート(図示せず)、又はワイヤレス送信機、及び/又は受信機(同様に図示せず)を含む。ブドウ糖モニタは、一般的に、ここに本願に参照として援用する「遠隔計測特性のモニタシステム及びそれを用いる方法」と題する1999年8月19日に出願した米国特許出願第09/377,472号に記載されたタイプである。
【0038】
好ましくは、ブドウ糖モニタシステム1は、複雑なモニタ処理の電子部品を2つの分離した装置;ブドウ糖センサセット10に取り付けられたブドウ糖モニタ100、及びブドウ糖モニタ100により記録されたデータをダウンロードし評価するソフトウエア及びプログラムされたインストラクションを含むデータ・プロセッサ200、に切り離すことで不便さを最小限とする。加えて、複合されたコンポーネント(即ち、ブドウ糖モニタ100及びデータ・プロセッサ200)の使用は、モニタシステム1の完全な交換を要求することなく、1つのモジュール又は他のモジュールを修正すること、再プログラムすること、又は置き換えることが可能であり、アップグレード又は交換を容易にする。さらに、複合されたコンポーネントの使用は、あるコンポーネントはより頻繁に交換を要求できるであろうし、サイズの要求はそれぞれのモジュール、組立ての環境の要求の相違により異なるであろうし、及び修正は他の部品に影響を与えることなくできることから、製造コストを改善する。
【0039】
ブドウ糖モニタ100は、ブドウ糖センサ12から生のブドウ糖センサデータを受け取り、リアルタイムでそれを評価し、及び/又は、受信したデータを順次解析し、表示し、及び記録するデータ・プロセッサ200のその後の処理又はダウンロードのために記憶する。データ・プロセッサ200は、ブドウ糖モニタ100からの記憶されたデータを用いて血糖の履歴を解析する。特定の実施形態では、ブドウ糖モニタ100は、ダウンロードされたデータを内科医に表示するためパーソナル・コンピュータに容易に送れる管理ステーション(Com‐Station)に設置される。データをダウンロードするためにソフトウエアが用いられ、データファイルを作成し、データをキャリブレーションし、データを、図表、書式、報告書、グラフ、表、リスト等を含む多様なフォーマットで表示する。更なる実施形態では、ブドウ糖モニタシステム1は、病院の環境又は同様な場所に用いられても良い。
【0040】
代替の実施形態では、ブドウ糖モニタは、上記データ・プロセッサ200内に含まれるものとして記載されたソフトウエアの少なくとも一部を含む。ブドウ糖モニタは、ブドウ糖センサ信号をキャリブレーションし、リアルタイムで血糖値を表示し、血糖の傾向を示し、警告を起動する等のために必要なソフトウエアを含んでも良い。これらの機能が加わったブドウ糖モニタは、患者にとっては、リアルタイムに彼らの血糖の特性が観察でき、患者が、コンピュータ、コミュニケーション機器、又は専用の独立したデータ・プロセッサのすぐ近くにいなくても有用である。
【0041】
図2に示すように、データ・プロセッサ200は、ブドウ糖モニタ100からダウンロードにより受信した、生のブドウ糖センサデータの計算結果を表示するのに用いられるディスプレイ214を含んでも良い。表示される結果及び情報は、これに限定されないが、特性に関する情報の傾向(すなわち、ブドウ糖の変化率)、履歴データのグラフ、特性レベルの平均(すなわち、ブドウ糖)、安定化及びキャリブレーションの情報、生データ、表(データ、時間、サンプル番号と相関し、血糖値、警告メッセージ、及びその他と関連する生データを示す)、及び同様なものを含む。代替の実施形態は、そのデータをスクロールする機能を含む。ディスプレイ214は、また、データをプログラムし、又はアップデートするために、データ・プロセッサ200、コンピュータ、コミュニケーション・ステーション、特性モニタ、又は同様なもののボタン(図示せず)を伴って用いられる。好ましい実施形態では、ブドウ糖モニタ100は、ディスプレイ132を含み、利用者が、ブドウ糖モニタ100のプログラミング、データ入力、データの安定化、キャリブレーション、ダウンロード、又は同様なことをするのを補助する。
【0042】
本発明のなおも更なる実施形態では、ブドウ糖モニタ100上に、モニタ100をプログラムし、データを記憶し、後の解析のために外部の状況と相関するデータにフラッグを立て、キャリブレーション値を入力し、又は同様なことをするために、1つ又はそれ以上のボタン122,124,126、及び128を含んでも良い。加えて、ブドウ糖モニタ100は、また、安全基準や法令に従うために、一時的に伝達や記憶を停止するオン/オフボタン130を含んでも良い。ブドウ糖モニタ100は、また、一般のデータネットワーク及び/又は遠隔システムを通じた患者の他のデータを受け入れる他の医療機器と結合されても良い。ブドウ糖モニタ100は、ここに本願に参照として援用する「特性計測器をもつ特性モニタ及びそれを用いる方法」と題する1999年6月17日に出願した米国特許出願第09/334,996号等に記載された、ブドウ糖キャリブレーション参照値を直接導入するか相関する血糖計測器と結合されても良い。ブドウ糖モニタ100は、また、一般的に米国特許第4,562,751号;第4,678,408号;及び第4,685,903号に記載され、ここに本願に参照として援用する、外付けタイプの半自動医薬注入ポンプ、又は、一般的に米国特許第4,573,994号に記載され、ここに本願に参照として援用する、埋め込み可能な自動医薬注入ポンプと接続されても良い。ブドウ糖モニタ100は、注入ポンプからデータを記憶しても良く、及び/又は、ブドウ糖センサの測定に基づき注入ポンプを制御するために閉ループシステム確立するため、ブドウ糖センサ12及び注入ポンプの両方からのデータを記憶しても良い。他の実施形態では、身体の他の特性がモニタされ、そのモニタは、薬物の注入レートを制御するため閉ループシステム内にフィードバックするために用いられても良い。更なる代替の実施形態では、ブドウ糖モニタ100は、ブドウ糖センサセット10と単一のユニットとして結合可能である。
【0043】
ブドウ糖センサは、汚染、酵素のコーティングの腐敗及びそれによるセンサの感度の衰え、電極の還元、及びそれらに類することを避けるため定期的に取り替えられる。利用者は、ブドウ糖センサセット10をケーブル102及びブドウ糖モニタ100から切り離す。針14は、他のブドウ糖センサセット10に取り付けるために用いられ、それから針14は取り除かれる。針14及びセンサセット10は、ここに本願に参照として援用する「皮下センサ注入セット」と題された米国特許第5,586,553号;ここに参照として援用する「皮下センサのための注入セット」と題された1999年7月2日に出願され出願中の米国特許第09/346,835号;及びここに本願に参照として援用する「注入するサイトに液体を移動又は注入する機能を有する皮下埋め込み可能なセンサセット」と題された米国特許第5,951,521号に更に記載されている。
【0044】
利用者は、ブドウ糖センサセット10の接続部24を、ケーブル102を通じてブドウ糖モニタ100に接続し、ブドウ糖センサ12は、延長された時間間隔に亘り使用される。初期読込みは、ブドウ糖センサ10及びブドウ糖モニタ100の適切な動作を確認するために、ブドウ糖センサセット10及びブドウ糖モニタ100からデータ・プロセッサ200へとダウンロードされる。好ましい実施形態では、ブドウ糖センサセット10は、交換される1日から7日前にブドウ糖モニタ100へデータを供給する。ブドウ糖センサ12は、挿入の質、清潔さ、酵素のコーティングの耐久性、センサの還元、利用者の快適性、及び同様なものに基づいて、より長い又はより短い期間利用者の身体に持続する。
【0045】
体内に挿入された後、ブドウ糖センサ12は、キャリブレーション処理を始める前に安定した動作状態に達するために初期化される。好ましくは、ブドウ糖モニタ100の3直列酸化銀357電池110により供給された電力は、ブドウ糖センサ12の初期化の速度を増すのに用いられる。代替として、例えば、リチウム、アルカリ、その他の異なる電池化学組成、異なる電池の数、ソーラー電池、ACソケットにプラグを差し込んだDCコンバータ(適切な電気的絶縁が供給された)、又は同等なものといった、他の電力供給源が用いられても良い。
【0046】
この初期化の処理を用いることは、ブドウ糖センサ12の安定化のための時間を、数時間から1時間又はそれ以下に短縮できる。好ましい初期化処理には、2つのステップによる処理を用いる。第1に、センサ12を安定させるために、1分間から2分間(異なる時間間隔を用いても良いが)センサ12の電極20間に高い電圧(好ましくは、1.0−1.1ボルト、他の電圧を用いても良いが)を適用する。それから、初期化処理のリマインド(典型的には58分又はそれ以下)のために、より低い電圧(好ましくは、0.5−0.6ボルト、他のボルトを用いても良いが)を適用する。異なる電流、電流及び電圧、異なる数のステップ、又はその他を用いた他の安定化/初期化処理を用いても良い。他の実施形態として、身体の特性センサによっては要求されないか、又はタイミングが要素ではない場合には、初期化/安定化処理を省いても良い。代替として、特性モニタ又はデータ・プロセッサ200は、センサデータに対して、初期のトランジエントが十分に減少し、センサがキャリブレーションを開始するのにかなり安定状態であると判断するアルゴリズムを適用しても良い。
【0047】
好ましい実施形態では、センサ初期化事象フラッグ(ESI)が、安定化が完了したことを示すデータにセットされるまでは、データは有効とは判断しない。好ましくは、60分後、又は利用者がブドウ糖モニタ100の1つ又はそれ以上のボタンを用いたセンサ初期化フラッグを立てたときに安定化は完了する。安定化/初期化が完了した後、ブドウ糖モニタ100は、新たに挿入されたブドウ糖センサ12からの読込み値を正確に解釈するためにキャリブレーションされる。
【0048】
安定化処理の開始とともに、ブドウ糖モニタ100は、利用者の身体の皮下組織に存在するブドウ糖濃度に関連した、ブドウ糖センサ12から発生した連続電流信号(ISIG)を測定する。好ましい実施形態では、ブドウ糖モニタ100は、ブドウ糖センサ12からISIGを、図8a‐cに示すように、10秒に1回のサンプリングレートで採取する。採取された値の例として、図8aにA‐ADというラベルが貼られている。1分に1回という間隔のレートで、最も大きい及び最も小さいサンプル値(図8aにおいて円で囲まれたサンプル値A,E,G,I,M,R,V,W,Y,及びAB)は無視され、その間隔での残りの4つのサンプル値は、インターバル値を作り出すために平均化される(図8bにおいてF’,L’,R’,X’,及びAD’)。ブドウ糖モニタメモリが5分に1回の貯蔵レートであり、最も大きい及び最も小さいインターバル値(図8bにおいてL’及びX’)が無視され、残りの3つのインターバル値が平均化され、メモリ値(図8cにおいてAD’’)としてブドウ糖モニタメモリに記憶される。メモリ値は、メモリに保存され、データ・プロセッサ200にダウンロードされても良い。メモリ値は、ブドウ糖モニタ100及び/又はポスト・プロセッサ200のキャリブレーション、及び血糖レベルの解析に用いられる。サンプリングレート、インターバルレート、及びメモリの貯蔵レートは、センサ値が変化するレートに基づいて、データの一時的な又は他の変化を確認するだけの十分な解明度の有るデータを獲得する必要性から変化させても良く、それらは、センサの感度、測定された身体の特性、利用者の身体状態、同様なものにより影響される。他の実施形態では、全てのサンプル値は、貯蔵メモリ値の平均値計算に含まれる。代替の実施形態では、信号のノイズ、センサの安定性、又は他の望まれない一時的な読込み値の発生に基づき、より多くの又はより少ないサンプル値又はインターバル値が無視される。最終的に、他の実施形態においてさえ、全てのサンプル値及び/又はインターバル値はメモリに貯蔵される。
【0049】
信号の大きさが一つの値から次の値へと変動するのを制限するために切取制限値(Clipping limit)を用い、これにより、異質のデータ、中心から離れたデータポイント、又は一時的なものの影響を減らしても良い。好ましい実施形態では、切取制限値は、インターバル値に適用される。例えば、最大切取制限値を超えるインターバル値、又は最小切取制限値に達しないインターバル値は、近い方の切取制限値に置き換えられる。
【0050】
代替の実施形態では、切取制限値の外側にあるインターバル値は無視され、次の貯蔵メモリ値の計算には用いられない。特定の実施形態では、切取制限値の外側にあるインターバル値の検出は、キャリブレーション停止事象と判断される。さらに特定の実施形態では、キャリブレーション停止事象を構成するためには、1つ以上の値が切取制限値の外側にあるとみなされねばならない(キャリブレーションの停止事象については後に議論する)。
【0051】
好ましい実施形態では、切取制限値は、個々のデータポイントによりシフトされる。切取制限値がセットされるレベルは、従前のインターバル値から最新のインターバル値への許容される変化量に基づき、それは、センサの感度、信号のノイズ、信号の流れの向き、同様なものにより影響を受ける。好ましい実施形態では、切取制限値は、従前のインターバル値の大きさに基づき計算される。例えば、従前のインターバル値が0以上で15ナノアンペア以上が含まれないとき、切取制限値は、従前のインターバル値に対してプラス・マイナス0.5ナノアンペアにセットされる。従前のインターバル値が15ナノアンペア以上で25ナノアンペア以上が含まれないとき、切取制限値は、従前のインターバル値に対し、従前のインターバル値のプラス・マイナス3%にセットされる。従前のインターバル値が25ナノアンペア以上で50ナノアンペア以上が含まれないとき、切取制限値は、従前のインターバル値に対し、従前のインターバル値のプラス・マイナス2%にセットされる。従前のインターバル値が50ナノアンペア以上であるとき、切取制限値は、従前のインターバル値に対してプラス・マイナス1%にセットされる。代替の実施形態において、異なる切取制限値を用いても良い。
【0052】
図9は、典型的な切断制限値の例を示し、従前のインターバル値500は、そのインターバルがN−1であるが、13.0ナノアンペアの大きさを有し、これは15.0ナノアンペアより小さい。従って、最新のインターバル値506について最大切断制限値502が、13.5ナノアンペアにセットされ、これは、従前のインターバル値500の大きさより0.5ナノアンペアだけ大きい。そして、最小切断制限値504が12.5ナノアンペアにセットされ、これは、従前のインターバル値よりも0.5ナノアンペアだけ小さい。最新のインターバル値506は、インターバルがNであるが、最大の切断制限値502と最小の切断制限値504との間であり、従って許容される。
【0053】
他の例が、図9に示され、最新のインターバル値508は、そのインターバルがMであるが、25.0ナノアンペアの値であり、切断制限値514の外側であり、従って切断される。従前のインターバル値510は、そのインターバルがM−1であるが、26.0ナノアンペアの値であり、それは上述したように、25.0以上で50.0以上を含まない範囲である。従って、切断制限値は±2%である。最大切断制限値512は、従前のインターバル値よりも2%大きく、
26.0+26.0×0.02=26.5ナノアンペア
である。
【0054】
同様に、最小切断制限値514は、従前のインターバル値よりも2%小さく、
26.0−26.0×0.02=25.5ナノアンペア
である。
【0055】
最新のインターバル値508は、25.0ナノアンペアであり、最小切断制限値514の25.5ナノアンペアより小さいので切断され、貯蔵メモリ値には25.0ナノアンペアに代わって25.5ナノアンペアが用いられる。更なる図示として、図8にインターバル値R’が示され、それはサンプル値NからQまでの平均化されたサンプル値であるが、従前のインターバル値L’からの結果である切断制限値412及び414の外側である。従って、インターバル値R’は、貯蔵メモリ値AD”の計算には用いず、それに代えて最小切断制限値414の大きさであるR”を用いる。
【0056】
他の実施形態として、切断制限値は、上述したセンサ特性に基づき、ナノアンペアのより小さな数値又はより大きな数値であっても良く、又は従前のインターバル値のより小さなパーセント又はより大きなパーセントであっても良い。代替として、切断制限値は、全ての従前のインターバル値からプラス・マイナス同一のパーセントの変化として計算される。他のアルゴリズムでは、次のインターバル値を外挿するために数種のインターバル値が用いられ、切断制限値を、次に予想されるインターバル値よりも、より高い及びより低いパーセントにセットする。更なる代替として、切断制限値は、サンプル値、インターバル値、貯蔵メモリ値、計算されたブドウ糖値、測定された特性の見積値、又はこれらの値のいずれかの組み合わせに適用しても良い。
【0057】
好ましい実施形態として、全てのインターバル値は、200ナノアンペアの範囲外の制限値と比較される。もし、3つの連続するインターバル値が範囲外の制限値に等しいか越える場合には、センサの感度は高すぎるものとみなされ、利用者に通知するために、再キャリブレーションが必要かセンサを取り替える必要があるとの警告が起動される。代替の実施形態として、範囲外の制限値は、センサの感度、センサの予想される寿命、許容される測定範囲、及び同様なものに基づき、より高い又はより低い値にセットされる。特定の実施形態では、範囲外の制限値はサンプル値に適用される。他の実施形態では、範囲外の制限値は貯蔵メモリ値に適用される。
【0058】
好ましい実施形態では、貯蔵メモリ値が一方から他方へ余りに多く変化したことを検出するために、不安定信号警告制限値がセットされる。この信号警告制限値は、上述したインターバル値に対する切断制限値に類似して設けられるが、貯蔵メモリ値の間隔はインターバル値の間隔よりも長いため、数値に対してより大きな変化を許容する。一旦、不安定信号警告が起動されると、ブドウ糖センサ12の再キャリブレーション又は交換が要求される。要するに、ブドウ糖モニタ100が、ISIGにおいてブドウ糖センサ12から過大なノイズを検出することによる。
【0059】
各貯蔵メモリ値は、下記に挙げるキャリブレーション停止事象が発生しない限りは有効(有効なISIG値)と判断される。それは、不安定信号警告(上記において議論したように)、センサ初期化事象(上記において議論したように)、センサ切断警告、電源オン・オフ事象、範囲外警告(上記において議論したように)、又はキャリブレーション・エラー警告である。図10に示すように、有効ISIG値のみがブドウ糖モニタ100又はポスト・プロセッサ200により血糖レベルの計算に用いられる。一旦、キャリブレーション停止事象が発生すると、連続する貯蔵メモリ値は有効ではなく、従ってブドウ糖モニタ100又はポスト・プロセッサ200が再キャリブレーションされるまで、血糖の計算には用いられない。図10は、説明的なコンピュータ画面であり、セルP3は、略語“SeDi”によりセンサ切断警告を表示する。図示するように、血糖値は、“Sensor Value(センサ値)”のタイトルのカラムKには現れず、そして有効ISIG値は、セルN17の“ESI”フラッグに表示されるように、センサが初期化されるまでカラムJには現れない。しかし、1つの例外は、電源オン/オフ事象である。もし、ブドウ糖モニタ100が十分に短い期間、一般的に30分オフとなり、電源がオンに戻ると、貯蔵メモリ値は有効なISIG値と判断される。もし、電源が30分を越えてオフとなると、ブドウ糖モニタは、ISIG値が有効と判断される前に再キャリブレーションされなければならない。代替として、電源は、30分から無制限にオフとなっても良く、一旦、電源が復帰すると、貯蔵メモリ値は有効なISIG値となる。センサ切断警告は、ブドウ糖モニタ100が信号を検知しないときに起動される。好ましい実施形態では、所定のメモリ貯蔵レート内に集められた5つのインターバル値のうち2つ又はそれ以上が1.0ナノアンペアより少ない場合には、切断警告が起動される。代替の実施形態において、許容されるセンサ読込み値の範囲及びセンサ信号の安定性に基づき、切断警告が起動するために、より大きいかより小さな値が、特定のアンペア数を下回る必要がある。残りの2つのキャリブレーション停止事象である、キャリブレーション・エラー及び範囲外警告の代替の実施形態は、下記のキャリブレーション処理との関わりで議論する。
【0060】
好ましい実施形態では、ブドウ糖センサ12からの1つ又はそれ以上の信号のリアルタイム計測の間でのブドウ糖モニタ100、又は事前に記録されダウンロードされた(図10に示す)データの後処理での間のポスト・プロセッサ200のいずれかに用いられるキャリブレーション技術を指向する。
【0061】
ブドウ糖モニタ100をキャリブレーションするために、感受性指数(SR)(血糖レベル/有効ISIG値)と呼ばれるキャリブレーション係数が、特定のブドウ糖センサ12に対して計算される。SRは、有効ISIG値(ナノアンペア)を血糖レベル(mg/dl又mmol/l)に変換するのに用いられるキャリブレーション係数である。代替の実施形態では、SRの単位は、センサから利用できる信号の型(周波数、振幅、フェーズシフト、デルタ、電流、電圧、インピーダンス、静電容量、フラックス、及び同様なもの)、信号の大きさ(magnitude)、モニタされる特性を表現する単位、又は同様なものに基づいて変化しても良い。
【0062】
好ましい実施形態では、利用者は、一般のブドウ糖計測器又は他の血糖測定器から読込まれた血糖の参照値を得るが、すぐに血糖の読込み参照値はブドウ糖モニタ100に入力される。血糖の読込み参照値は、正確であると仮定されキャリブレーションの参考値として用いられる。ブドウ糖モニタ100、又はポスト・プロセッサ200は、組み合わされたキャリブレーションのデータポイントを確立するために、一時的に読込まれた血糖の参照値を有効ISIG値と関連しなければならない。細胞組織の隙間にある体液のブドウ糖レベルは血糖レベルより遅れる傾向があるため、ブドウ糖モニタ100又はポスト・プロセッサ200は、遅れ時間を設定し、図11に示すように、血糖の読込み参照値を有効ISIG値と組み合わせる。好ましい実施形態では、経験的に導き出された10分間の遅れが用いられる。有効ISIG値は平均化され5分ごとに貯蔵されるため、読込まれた血糖の参照値が入った後(10分から15分の有効な遅れの結果)、ブドウ糖モニタ100は、読込まれた血糖の参照値を、メモリに貯蔵された3番目の有効ISIGと関連付ける。図11は、例として図示し、読込まれた血糖の参照値600の90mg/dlは、ブドウ糖モニタ100に127分に入る。次の有効ISIG値602は、130分に貯蔵される。10分の遅れを与え、読込まれた血糖の参照値600は、140分に30ナノアンペアの値として貯蔵された、有効ISIG値604と組み合わされる。1つの組み合わされたキャリブレーションのデータポイントを確立するには、血糖の読込み参照値及び有効ISIGという2つの数値が要求されることに注意する。
【0063】
利用者の新陳代謝、センサの反応時間、ブドウ糖計測器が読込み値を計算するため、及びブドウ糖モニタ100に入れる読み込みのために要求される遅れ時間、測定される試料(analyte)、センサが挿入される組織、環境的な要因、従前の有効ISIG値(又は、有効ISIG値の傾向)が最新の有効ISIG値より高いか低いか、又は同様のものに基づいて、他の遅れ時間を用いても良い。一旦、組み合わされたキャリブレーションのデータが利用可能になると、直前のキャリブレーションからどれだけの組み合わされたキャリブレーションのデータポイントが利用可能となったか、ブドウ糖センサ12が使用された全時間間隔、及びブドウ糖センサがキャリブレーションされた回数により、適切なキャリブレーション処理が適用されても良い。
【0064】
好ましい実施形態では、血糖の読込み参照値は、それぞれの使用日中に定期的にブドウ糖モニタ100に入る。好ましくは、キャリブレーションは、ブドウ糖センサ12の初期化/安定化の後すぐに、その後には1日に1回行われる。しかし、キャリブレーションは、ブドウ糖センサが交換されたか、キャリブレーション停止事象が発生したか、時間中のブドウ糖センサ12の感度の安定性、又は同様なものに基づいて、より多く又はより少ない頻度で行われても良い。
【0065】
好ましい実施形態では、血糖の読込み参照値は1日に数回集められるが、新たなキャリブレーション係数は1日に1回だけ計算される。従って、典型的には、1つ以上の組み合わされたキャリブレーションのデータポイントは、キャリブレーション間に集められる。代替の実施形態では、ブドウ糖モニタは、新たに組み合わされたキャリブレーションのデータポイントが集められるごとに、キャリブレーションされる。
【0066】
好ましい実施形態では、初期化/安定化直後のように、ただ1つの組み合わされたキャリブレーションのデータポイントが利用できる場合において、SRを計算するために、単一点(single point)キャリブレーション技術(図13のブロック図に示す)を用いる。そして、2つ又はそれ以上の組み合わされたキャリブレーションのデータポイントが利用できる場合は、修正線形回帰技術(図15のブロック図に示す)が用いられる。特定の実施形態では、1つ以上の組み合わされたキャリブレーションのデータポイントが利用できるか否かにより、単一点キャリブレーション技術を用いる。
【0067】
単一点キャリブレーション式は、血糖が0のとき有効ISIGが0となるという仮定に基づいている。図12に示すように、単一の組み合わされたキャリブレーションのポイント700は、線702を確立するためにポイント(0,0)を用いる。原点(0,0)及び単一の組み合わされたキャリブレーションのポイント700を通る線の勾配は、単一ポイントの感受性指数(SPSR)である。キャリブレーション係数SPSRを計算するための単一点キャリブレーション式は:
SPSR=血糖の読込み参照値/有効ISIG
ここに、SPSR=単一点感受性指数
【0068】
従って、キャリブレーションされた血糖レベルは、
血糖レベル=有効ISIG×SPSR
【0069】
例として、図12に示すように、20.1ナノアンペアの値と、組み合わされたキャリブレーションのデータポイントから102mg/dlの値を用いると、SPSRの計算は:
SPSR=102/20.1=5.07mg/dl ナノアンペアあたり
【0070】
引き続き、例として、一旦キャリブレーションが完了し、ブドウ糖センサの15.0ナノアンペアの読込み値が与えられると、計算された血糖レベルは:
血糖レベル=15.0×5.07=76.1mg/dl
【0071】
追加として、特定の実施形態では、より敏感なブドウ糖センサ12(すなわち、他のブドウ糖センサ12と比べ、同じ血糖レベルのときに、より高いISIG値を発生し、その結果より低いSR値であるブドウ糖センサ12)は、低感度のブドウ糖センサ12(従って、より高いSR値)と比較した場合、非常に高い血糖レベルにおいて、しばしば、より少ない線形性を示すという観察結果を補償するため、キャリブレーション式にオフセット値を用いる。上記において計算したように、もし、特定のブドウ糖センサ12のSPSRが、感受性しきい値以下であるときには、修正SPSR(MSPSR)が、修正単一点キャリブレーション式に含まれたオフセット値を用いて計算される。好ましい実施形態では、しきい値は7である。初期のSPSRの計算(上記において示された)で7より小さいときは、オフセット値3をMSPSRの計算に用いる。初期のSPSRの計算で7またはそれを越すときは、オフセット値は0である。このように、キャリブレーション係数(MSPSR)が、修正単一点キャリブレーション式にオフセット値を用いて計算され、下記に示す:
MSPSR=血糖の読込み参照値/(有効ISIG‐オフセット)
【0072】
従って、キャリブレーション血糖レベルは、
血糖レベル=(有効ISIG‐オフセット)×MSPSR
【0073】
上記計算を継続し、SPSRは5.07であり、それは7以下であり、感受性指数はMSPSR式を用いて再計算され、
MSPSR=102/(20.1-3)=5.96mg/dl
ナノアンペアあたり
【0074】
そして、キャリブレーション後のブドウ糖センサの読込み値15.0ナノアンペアが与えられると、計算された血糖レベルは、
血糖レベル=(15.0−3)×5.96=71.5mg/dl
【0075】
他の例として、典型的な血糖計測器から95の血糖の読込み参照値と、有効ISIG22.1の値が与えられたとき、その結果SPSRは95/22.1=4.3となる。ここに、SR<7であり、オフセット=3である。従って、MSPSRは、95/[22.1−3]=5.0である。SPSRが7より大きいか等しいときには、オフセット値は0であり、従ってMSPSR=SPSRである。
【0076】
代替の実施形態では、オフセット値は、下記のように血糖値を計算する式から除外される:
血糖レベル=有効ISIG×MSPSR
【0077】
しきい値7及び関連するオフセット3は、ここに本願に参照として援用する「薄いフィルムセンサの製作方法」と題された米国特許第5,391,250号、及び「ブドウ糖センサセット」と題する1999年2月25日に出願した米国特許出願第60/121,655号等に記載されたようなブドウ糖センサ12の特定タイプの試験から観察された特性に基づき経験的に選択される。他のしきい値は、多様なタイプのブドウ糖センサ12及び他の身体の特性を検知するのに用いられるセンサのために、計算されたMSPSRの正確性を最大化する他のオフセット値と関連させて用いても良い。事実、多くのオフセット値間で多くのしきい値が用いられても良い。3つの異なるオフセット値(5,3及び0)間に選択される2つの異なるしきい値(4と7)を用いた例を示す:
もし、SPSR<4のときには、オフセット値は5を用い、そうでなければ、
もし、4<=SPSR<7のときには、オフセット値は3を用い、そうでなければ、
もし、SPSR>=7のときには、オフセット値は0を用いる。
【0078】
好ましい実施形態では、MSPSRは、新たに計算されたMSPSRが合理的か否かを決定するために、有効感受性範囲と比較される。潜在的なシステムの問題を確認するために、有効MSPSRは1.5から15までの範囲が使用される。この範囲は、生体外で(in−vitro)行われた有効なブドウ糖センサ感受性測定により決定された。MSPSR値が範囲外である場合には、利用者に潜在的な問題を通知するために、キャリブレーションのエラー警報(CALエラー)となる。他の有効な感受性範囲は、キャリブレーションするセンサのタイプ、多様なセンサのタイプの許容される感度レベルの範囲、センサに予期される製造の一貫性、環境上の条件、どれだけセンサが使用されているか、又は同様なものに基づいて適用される。
【0079】
好ましい実施形態では、1つ以上の組み合わされたキャリブレーションのデータポイントが利用できる場合には、修正線形回帰技術(図15のブロック図に示す)を用いた単一点キャリブレーション技術を改良する。図14に示すように、組み合わされたキャリブレーションのデータポイント800は、組み合わされたキャリブレーションのデータポイント800に関連し最もよくフィットした直線802を計算するために、最小2乗法により線形に回帰される。線形回帰の結果得られる線の勾配は、ブドウ糖モニタ100のキャリブレーションとして用いられる線形回帰の感受性指数(LRSR)である。線形回帰キャリブレーション式を下記に示す:
【数1】

ここに、Xiは、組み合わされたキャリブレーションのデータポイントのi番目の有効ISIG値であり、
iは、組み合わされたキャリブレーションのデータポイントのi番目の読込まれた血糖の参照値であり、
Nは、キャリブレーションに用いる組み合わされたキャリブレーションのデータポイントの総数であり、
iは、組み合わされたキャリブレーションのデータポイントの識別番号である。
【0080】
従って、キャリブレーションされた血糖レベルは、
血糖レベル=有効ISIG×LRSR
【0081】
この線形回帰は、固定されたゼロ点の交差(言い換えると、有効ISIGがゼロのときには、血糖値もゼロである)を用い、従って、線形回帰法は、ただ1つのパラメータである勾配を見積もることに注意する。代替の実施形態として、オフセット値のような追加の回帰パラメータを見積るような、他の線形回帰法を用いても良い。
【0082】
追加として、特定の実施形態では、修正線形回帰キャリブレーション式にオフセット値を用いる。オフセット値の目的は、上記単一点キャリブレーションで記述したが、ブドウ糖センサの感度が高くなると、しばしば、非常に高い血糖レベルではより線形性が失われるという観察結果に対して補償するためである。上記線形キャリブレーション式で計算された、特定のブドウ糖センサのLRSRが、感受性のしきい値より小さければ、修正線形回帰感受性指数(MLRSR)は修正線形回帰キャリブレーション式に含まれたオフセット値を用いて計算される。好ましい実施形態では、しきい値は7である。LRSRの初期計算が7に満たない場合には、MLRSRを計算するためにオフセット値は3が用いられる。LRSRの初期計算が7又はそれを越す場合には、オフセット値は0である。このように、MLRSRは、修正線形回帰キャリブレーション式においてオフセット値を用いて計算される。よって:
【数2】

【0083】
従って、キャリブレーションされた血糖レベルは、
血糖レベル=(有効ISIG‐オフセット)×MLRSR
【0084】
上述した単一点キャリブレーション技術の場合には、多様なブドウ糖センサのタイプ及び他の特性のセンサにより計算されたMLRSRの正確性を最適化するために、修正線形回帰キャリブレーション式において、他のオフセット値と関連する他のしきい値が用いられても良い。
【0085】
好ましい実施形態では、新たに計算されたMLRSRが合理的か否かを決定するために、MLRSRは有効感受性範囲と比較される。潜在的なシステムの問題を認識するために、有効MLRSRの範囲は2.0から10.0を採用する。MLRSR値が範囲外である場合、利用者に潜在的な問題を通知するためにキャリブレーションのエラー警告(CALエラー)が発せられる。単一点キャリブレーション技術について上述したように、他の有効感受性範囲が適用されても良い。
【0086】
好ましい実施形態では、ブドウ糖モニタデータは、24時間間隔(又は期間(window))にわたり線形的に回帰し、新たな感受性指数が、それぞれの24時間の時間間隔に用いられる。代替の実施形態では、時間間隔は、単に数時間に減少されるか、又はブドウ糖センサによる全モニタ期間をカバーするために延長される(すなわち、数日間又はさらに数週間挿入されたセンサとともに)。更なる実施形態では、時間期間は、予め一定値に、例えば、24時間、12時間、6時間、又は同様なものに固定されても良く、期間はセンサの動作寿命に亘り変動する。
【0087】
特定の実施形態では、直前のキャリブレーションにより測定された、組み合わされたキャリブレーションのデータポイントは、新たな感受性指数の計算に用いられても良い。例えば、6時間ごとのブドウ糖モニタをキャリブレーションするために、組み合わされたキャリブレーションのデータポイントは、6時間ごとに確立される。そして、上述した線形回帰技術は、最新に獲得されたポイント、及び6,12及び18時間前のポイントの4つの組み合わされたキャリブレーションのデータポイントを用いて実施される。代替として、キャリブレーションで用いられる、組み合わされたキャリブレーションのデータポイントの数は、1つほどに少なくても良く、又はブドウ糖センサが挿入されてから集められた組み合わされたキャリブレーションのデータポイントの総数ほどに多くても良い。代替の実施形態では、キャリブレーション式に用いる、組み合わされたキャリブレーションのデータポイントの数は、ブドウ糖センサの変則性(anomalies)により、ブドウ糖センサの適用期間において増大しても減少しても良い。
【0088】
他の実施形態では、ブドウ糖センサ12の時間による劣化特性は、位置の特性、酵素の減少、身体の動作、又は同様なものによるブドウ糖センサ12の典型的な低下の特性を考慮するために、式中に因子として組み込んでも良い。キャリブレーション式のこれらの付加的なパラメータを考慮することは、ブドウ糖モニタ100又はポスト・プロセッサ200により用いられたキャリブレーション式をさらに正確に仕立てる。特定の実施形態では、血糖とともに、温度、pH,塩度、又は同様なものといった他のパラメータを測定しても良い。そして、これらの他のパラメータは、非線技術を用いたブドウ糖センサのキャリブレーションに用いる。
【0089】
好ましい実施形態では、ブドウ糖センサ12のライフスパンの間におけるセンサの感度の変化を考慮し、及びセンサの故障を検出するために、リアルタイムなキャリブレーション調整が実施され得る。図16(図17及び18に関連し)には、本発明の実施形態に基づき、キャリブレーションの公式を調整するか、又はセンサの故障を検出する自己調整キャリブレーションのテクニックのロジックが記載されている。
【0090】
ブロック1000にて、利用者は、一般のブドウ糖計測器、又は他の血糖測定器から血糖参照値を獲得し、読込まれた血糖参照値は、即座にブドウ糖モニタ100に入力する。全ての計測された血糖の入力により、即座にキャリブレーションのチェックが実施され、ブロック1010で、キャリブレーションのチェック値の予想範囲と比較される。好ましい実施形態では、ISIG値の最小限のクライテリアである、CFc(キャリブレーション・ファクタ電流)比率が1.5から12(クライテリア1)かどうかを決定するために、キャリブレーション・ファクタ電流が計算される(すなわち、CFc=計測BG/電流ISIG値)。データがこの範囲外のときは、センサ故障、又は計測BG値の不正確な決定/入力の可能性が提起され、ブロック1030でCalエラー警告及び再キャリブレーション変数(Recal)が発せられ、これは元来NOFAILにセットされたものがFAILCLに変更される。このポイントで、実際にセンサの故障があったがどうか、又は計測血糖値が不正に入力されたかを決定するために、他の血糖読込み参照値が要求され、ブドウ糖モニタ100に入力される。エラーを発生した従前のMBGは、完全に破棄され得る。クライテリア1が、ブロック1010で再度満たされないときは、ブロック1020でRecal変数がFAILCLとして認識されるので、ブロック1040でセンサの寿命の終了のメッセージが作成される。しかし、ブロック1010でクライテリア1に合致すると、ロジックは1200に進み、そこでは、Recal変数がFAILC2と等しくないかどうかが確認される。Recal変数は、クライテリア2aに合致しない場合にのみFAILC2にセットされるが、このことは後段にて議論する。このポイントで、Recall変数が与えられると単にNOFAIL又はFAILC1がセットされ、ロジックは1210に進む。
【0091】
ブロック1210で、存在するキャリブレーション勾配の見積(従前に見積もられた勾配、又はPES)が、新たな計測血糖値を用いて行われた同時のキャリブレーションのチェック(CFc)から大きく異なるときにはチェックが実行される。重大な差異の場合には、センサが故障であることを示すことができる。好ましい実施形態では、従前の見積もられた勾配(PES)と、最新のキャリブレーションのチェック(CFc)との間の差異が、パーセント(しきい値1)及びmg/dl(しきい値2)について行われる。しきい値1及び2は、特定のセンサ特性によってセットされ得る。PESとCFcとの間の変化のチェックの例を以下に示す:
Abs(1−PES/CFc)×100=しきい値1、及び
Abs(CFc−PES)×Isig=しきい値2
【0092】
パーセント及び/又は絶対的な差異がしきい値1及び/又はしきい値2(集合的に“クライテリア2a)を越えると、Recal変数(ブロック1220)の如何により、ブロック1040(ブロック1220でRecal変数がFAILC1又はFAILC2に等しい)のセンサメッセージの終了のトリガーが発せられるか、又はブロック1230(ブロック1220でRecal変数がNOFAILに等しい)でCalエラー警告が発生されるかのいずれかとなる。Calエラー警告がブロック1230で発生されると、Recal変数は、FAILC2にセットされ、最新の計測血糖の読込み値はMBGpに貯蔵され、他の血糖参照値が要求され、ブロック1000のブドウ糖モニタ100(MBGcとして)に入力される。新たな計測血糖の読込み値が要求されることで、センサの故障の有無を判断するために、ブロック1230の従前の計測血糖読込み値と、ブロック1000に入った新たな計測血糖読込み値との比較が可能となる。ロジックは、ブロック1000の後、ロジックがブロック1200に到るまでの、上述したのと同一の経路をたどる。ブロック1200において、ブロック1230でRecal変数がFAILC2にセットされるため、FAILC2警告が発生された従前のキャリブレーションのチェック(CFp)と、最新のキャリブレーションのチェック(CFc)との差異がブロック1300で実行される。好ましい実施形態では、従前のキャリブレーションのチェックと、最新のキャリブレーションのチェックとの間の差異が、パーセント(しきい値1)及びmg/dl(しきい値2)について行われる。追加で、CFpとCFcと(集合的に”クライテリア2b“)の方向性の変化があるかどうかについてのチェックが行われる。クライテリア2bの例を下記に示す:
Abs(1−CFp/CFc)×100=しきい値1、及び
Abs(CFc−CFp)×Isig=しきい値2、及び
(CFp−PES)×(CFc−CFp)=0
【0093】
パーセント及び/又は絶対的な差異が、しきい値1及び/又はしきい値2を越え、第2血糖計測器の読込み値に対して勾配における方向性の変化がないときは、ブロック1040でセンサ終了のメッセージが発せられる。クライテリア2bと合致すると、ロジックはブロック1310へと進む。ブロック1310で、ロジックは、従前の値と最新の値との差異が、センサの感受性の変化によるものか、又は単に読込みにノイズがあるからなのかを決定する。好ましい実施形態では、感受性における変化対ノイズの決定には、クライテリア3bを用いる。クライテリア3bは、ブロック1420で、(従前に見積もられた勾配(PES)及び最新のキャリブレーションのチェック(CFc))、及び(従前のキャリブレーションのチェック(CFp)対最新のキャリブレーションのチェック(CFc))の差異を比較する。例えば、
Abs(PES−CFc)<Abs(CFp−CFc)
【0094】
図17aに示すように、見積もられた勾配(PES)及び最新のキャリブレーションのチェック(CFc)の差異が、従前のキャリブレーションのチェック(CFp)及び最新のキャリブレーションのチェック(CFc)の差異よりも少なければ、クライテリア3bに合致し、従前のCFpは、孤立した(outlier)読込みである(すなわち、例外である)。それから、MBGp(従前の計測血糖)は、ブロック1320で取り除かれ、有効ISIGと組み合わされたMBGcだけが勾配の計算に用いられ、それはブロック1430で再開され、ブロック1130でセンサの読み込みを解釈するのに適用される。
【0095】
図17bに示すように、クライテリア3bにより、見積もられた勾配(PES)と最新のキャリブレーションのチェック(CFc)との差異が、従前のキャリブレーションのチェック(CFp)と最新のキャリブレーションのチェック(CFc)との差異よりも大きいと示されたときは、クライテリア3bには合致せず、センサの感受性の変化を示すことになる。勾配の計算は、ブロック1330における直前の勾配による組み合わされた新たな(人工の)ISIG(Seeding)を伴う計測血糖値(MBGN)を作り出すことで微調整する。組合わされたMBGp及びMBGcを伴う新たに組み合わされたMBG(MBGN)を用いて、勾配の計算は、図17bに見られるように、ブロック1340で再出発(あるいはリセット)される。センサの計算は、ブロック1130で新たな勾配の計算を用いて行われる。勾配の計算をリセットすることで、勾配の計算はセンサの感受性の変化を自動的に考慮して修正することができる。
【0096】
ブロック1210からロジックを継続し、ブロック1210で、PESとCFcとのパーセント及び/又は絶対的な差異が、しきい値1及び/又はしきい値2以内であるときには、有効なキャリブレーションであることを示し、Recal変数は再びブロック1400でチェックされる。Recal変数が、FAILC1(計測BGが2度チェックされることを示す)に等しいときは、微調整による決定は飛ばされ、有効ISIGと組み合わされたMBGは、ブロック1430で勾配の計算を最新とするのに用いられ、ブロック1130でセンサの読み込みを解釈するのに用いられる。Recall変数がFAILC1に等しくないときは、ロジックは、ブロック1410及び1420で、勾配の計算の微調整が必要かどうか決定する。好ましい実施形態では、微調整の決定は、まずブロック1410で、しきい値3及び/又はしきい値4(“クライテリア4”)により、PESとCFc(ブロック1210で行われる)との間のパーセント及び/又は絶対的差異を比較する。例えば:
Abs(1−PES/CFc)×100<しきい値3、及び
Abs(CFc−PES)×ISIG<しきい値4
【0097】
再度、しきい値3及び4は、特定のセンサの特性に基づき決定することができる。ブロック1410で、PESとCFcとのパーセント及び/又は絶対的な差異が、しきい値1及び/又はしきい値2より小さいときは、ブロック1430で、勾配の計算は、単純に新たなMBGc及び組み合わされたISIG値により最新とすることができ、ブロック1130でセンサの読込みを解釈するために適用される。
【0098】
他方、ブロック1410で、クライテリア4に合致しないときは、ロジックは、予期された値及び最新の値との差異がセンサの感受性の変化によるものかどうか、又は読み込まれたものが単にノイズなのかを判断する。好ましい実施形態では、感受性の変化対ノイズの決定は、クライテリア3aを用いて行われる。クライテリア3aは、ブロック1420で、(従前の見積もられた勾配(PES)と従前のキャリブレーションのチェック(CFp)及び(最新のキャリブレーションのチェック(CFc)対従前のキャリブレーションのチェック(CFp))との差異を比較する。例えば:
Abs(PES−CFp)<Abs(CFc−CFp)
【0099】
図18aに見られるように、見積もられた勾配(PES)と、従前のキャリブレーションのチェック(CFp)との差異が、最新のキャリブレーションのチェック(CFc)と、従前のキャリブレーションのチェック(CFp)との差異よりも少ないときは、クライテリア3aに合致し、CFcについての予測された値と実際の値との間の誤差は、従前のキャリブレーションでのノイズ、又は、次のキャリブレーションの実施でピックアップされる、センサの感受性の変化の開始によることを示す。勾配の計算は、ブロック1430で、新たな組み合わされた血糖の入力(MBGc)により単純に最新にされ、ブロック1130でセンサの読み込みの解釈に適用される。
【0100】
図18bに見られるように、見積もられた勾配(PES)と、従前のキャリブレーションのチェック(CFp)との差異が、最新のキャリブレーションのチェック(CFc)と、従前のキャリブレーションのチェック(CFp)との差異よりも大きいときは、クライテリア3bに合致せず、センサの感受性の変化を示し微調整が行われる。典型的には、微調整は、連続した2つのMBG入力が勾配の変化を示す場合に実行される。勾配の計算は、ブロック1330の直前の勾配による組み合わされた新たな(人工の)ISIG(Seeding)を伴う計測血糖値(MBGN)を作り出すことで微調整する。組合わされたMBGp及びMBGcを伴う新たに組み合わされたMBG(MBGN)を用いて、勾配の計算は、図18bに見られるように、ブロック1340で再出発(あるいはリセット)される。センサの計算は、ブロック1130で新たな勾配の計算を用いて行われる。再度、勾配の計算をリセットすることで、勾配の計算は、センサの感受性の変化を自動的に考慮して修正することができる。
【0101】
(代替のキャリブレーション技術)
上記の記載は、好ましい実施形態での基本的なキャリブレーション技術ではあるが、上記記載されたキャリブレーション技術には多くの修正が可能である。例えば、代替の実施形態として、キャリブレーション係数は、それぞれの組み合わされたキャリブレーションのデータポイントに対してMSPSRを計算するために、最初に単一点技術を用いて計算し、次に、経過時間による時間的な順序により、重み付けされないか又は重み付けされて、それらを共に平均化しても良い。他の実施形態では、SRとして用いられる、他の直線の曲線適合技術を勾配の計算に用いても良い。付加的な代替の実施形態では、他の非回帰曲線適合技術が、有効ISIGに関連した血糖レベルを表現する式を発生するのに用いられても良い。その式は、多項式、放物線、双曲線、漸近線、対数、指数、ガウス関数、又は同様のものであっても良い。これらの実施形態では、SRは、単一の値(勾配のように)ではなく、むしろ、ブドウ糖センサ12からの有効ISIGをブドウ糖モニタ100又はポスト・プロセッサ200の血糖値を変換するのに用いられる曲線を表現する式である。付け加えて、勾配を近似するより強固な公式を用いることで、より古いISIGよりもより最新のISIGに重みをつけるために、異なる重みを有する異なるIS:Gが与えられる。例えば、連続した8つのISIG(すなわち、n=8)が利用できる場合:
【数3】

ここに、重み(i)=Wi=[0.9231 0.7261 0.4868 0.2780 0.1353 0.0561 0.0198 0.0060]
【0102】
連続した8つのISIGが利用できない場合(n<8)、(すなわち、初期化の後、又は、伝達において3度飛んだ(skip)した後)重み式は下記のようになる:
【数4】

ここに、n=連続したISIGsの個数。
【0103】
一旦、全ての組み合わされた計測BGs/ISIGs(組み合わせの重み)の重みが分配されると、修正回帰式は勾配を生成する。好ましい代替の実施形態では、センサのデータに適合する曲線としてガウス関数、
【数5】

が用いられ、重み付け係数を含むことで、ガウス勾配は、下記の修正回帰モデルを用いて計算される:
【数6】

ここに、i=ガウスバッファにおける組み合わせの個数、及び、
【数7】

ここに、Tcは、電流の時間、T1は、組み合わされたMBG/フィルタがかけられたISIG時間及びσ=15時間(又は、180レコード、これはガウス曲線の幅である)
【0104】
代替として、上記計算は、ガウスによる計算よりも指数勾配による計算を用いることができる。指数勾配は、下記の修正回帰モデルを用いて計算する:
【数8】

ここに、Δt=経過時間、σ=評価時間(すなわち、5時間、7時間、15時間他、及び、
【数9】

【0105】
議論したように、好ましい実施形態は、センサのデータを解析するためブドウ糖モニタ100又はポスト・プロセッサ200をキャリブレーションする最小2乗線形回帰式を利用する。しかし、代替の実施形態では、多重要素(multipul component)線形回帰、又は、環境、個々の利用者の特性、センサの寿命、製造の特性(ロットの特性等)、還元、酵素集中の変動及び低下、電源の変動、又は同様なもの等の付加的なキャリブレーションの効果的なパラメータを考慮するために、単なる組合わされたキャリブレーションのデータポイントよりも多くの変数を有する式を利用しても良い。さらに他の実施形態では、単一の及び重複した非線形回帰技術を用いても良い。
【0106】
好ましい実施形態では、特定のブドウ糖センサ12についての最初のキャリブレーションが実施された後、引き続くキャリブレーションは、最後のキャリブレーション以来集められたデータから計算された感受性指数(SPSR、MSPSR、LRSR、又はMLRSR)、及び従前のキャリブレーションから計算された従前の感受性指数を用いる重み付けされた平均を使用する。そのように、初期の感受性指数(SR1)は、組合わされたキャリブレーションのデータポイントを用い、初期化/安定化後すぐに計算され、第2感受性指数(SR2)が計算されるまで、ブドウ糖モニタ100又はポスト・プロセッサ200により用いられる。第2感受性指数(SR2)は、SR1の平均であり、初めのキャリブレーション(SRday1)以来の組合わされたキャリブレーションのデータポイントを用いて計算された感受性指数である。式は下記のものである:
SR2=(SR1+SRday1)/2
【0107】
第3感受性指数(SR3)は、SR2の平均であり、第2キャリブレーション(SRday2)以来の組合わされたキャリブレーションのデータポイントを用いて計算された感受性指数である。式は下記のものである:
SR3=SR2+SRday2)/2
【0108】
連続する曜日の感受性指数は、同じフォーマットを用い、一般項により下記のように表される:
SRn=(SR(n-1)+SRday(n-1))/2
ここに、SRnは、時間間隔(n−1)からのデータを用い、リアルタイムなブドウ糖モニタ100より用いられ、有効ISIGsを時間間隔nに亘って血糖の読込み値に変換する、時間間隔nの開始時に計算された新たな感受性指数である。
【0109】
SR(n-1)は、時間間隔(n−2)からのデータを用い、時間間隔n−1の開始時に計算された従前の感受性指数である。
【0110】
SRday(n-1)は、直前のキャリブレーション以来集められた、組合わされたキャリブレーションのデータポイントを用いて計算された感受性指数である。
【0111】
代替として、従前の感受性指数は無視し、SRは直前のキャリブレーション以来の組合わされたキャリブレーションのデータポイントのみを用いて計算されても良い。他の代替は、直前のキャリブレーション以来の組合わされたキャリブレーションのデータポイントのみを用いて計算された直近のSRを有する全ての従前のSRsについて平均を取ることである。代替の実施形態では、組合わされたキャリブレーションのデータポイントは、時間に亘ってSRを表す曲線式を確立するために用いられる。この曲線は、次の組合わされたキャリブレーションのデータポイントが入力されるまで用いられる外挿SRに用いられる。
【0112】
感受性指数を評価するポスト・プロセッサ200を用いる実施形態において、感受性指数は、直近のキャリブレーション以来の期間全体に亘って組合わされたキャリブレーションのデータポイントを用いて計算され、従前のSRは平均化されない。時間間隔での感受性指数は、したがって組合わされたキャリブレーションのデータポイントが集められた間の同じ時間間隔に適用する。これは、ブドウ糖モニタ100について上述した実際のケースよりもより正確であり、というのは、実際のケースでは、従前の時間間隔からの感受性指数は、最新の時間間隔での血糖レベルを計算するために用いられなければならないからである。もし感受性指数が時間に亘って変化すると、古い感受性指数を用いた血糖の計算はエラーを引き起こす。
【0113】
特定の実施形態では、一旦キャリブレーションが完了すると、有効ISIG値は、感受性指数の特定のバージョンに基づき血糖の読込み値に変換され、そして、血糖の読込み値の結果は、範囲外の制限と比較される。計算された血糖レベルの結果が、最大の範囲外の制限である200nAmpsより大きいときは、範囲外警告が動作する。これは、キャリブレーション停止事象であり、したがって、ISIG値は、一旦この警告が動作すると、もはや有効ではない。血糖の読込み値は、ブドウ糖モニタ100又はポスト・プロセッサ200が再度キャリブレーションされるまでは、計算されないだけではなく、少なくとも信頼がおけるものとは判断されない。利用者には、この警告により、再度のキャリブレーションが必要であることが通知される。代替の実施形態では、センサの特性、計測された特性、利用者の身体の特性、及び同様なものにより、より高い又はより低い最大の範囲外の制限が用いられても良い。特定の実施形態では、最小限の範囲外制限を用いても良く、最大及び最小双方の範囲外制限を用いても良い。他の特定の実施形態では、範囲外制限により血糖の読込み値を無効にしない、及び/又は再キャリブレーションは要求しない;しかし、警告はなおも提供される。付加的な特定の実施形態では、1つ以上のISIG値が、キャリブレーション停止事象がトリガーされ警告が起動される前に、範囲外制限を越えなければならない。範囲外であるISIG値は、血糖値の表示には用いられない。
【0114】
代替の実施形態では、キャリブレーションは、既知のブドウ糖の値を含む液体をブドウ糖センサセット10の周りのサイトに注入し、そして、1つ又はそれ以上のブドウ糖センサの読込み値はブドウ糖モニタ100に送られる。読込み値は、処理され(フィルタにかけられ、平滑化され(smoothed)、切り取られ(clipped)、平均化され、及び同様にされ)、既知のブドウ糖値とともにブドウ糖センサ12を計算するために用いられる。特定の実施形態では、「挿入サイトに液体を移動又は注入する機能を有する皮下に埋め込み可能なセンサセット」と題する米国特許第5,951,521号に記載された型のブドウ糖センサセットを用いる。
【0115】
他の代替の実施形態では、ブドウ糖センサ12は、参考として用いられる既知のブドウ糖の濃縮溶液を含む容器で提供され、ブドウ糖センサ12は、キャリブレーションの間に参考のブドウ糖溶液に付けられる。ブドウ糖センサ12は、参考のブドウ糖溶液により発送されても良い。上述したように、ブドウ糖センサの読込みは、与えられた既知の溶液のブドウ糖濃縮度から感受性指数を計算するために用いられる。
【0116】
他の代替の実施形態では、ブドウ糖センサ12は、製造プロセスの段階でキャリブレーションされる。同じ製造ロットからのセンサは、同様な特性を持つが、母集団からブドウ糖センサ12のサンプリング、及び既知のブドウ糖濃度の溶液を用いてキャリブレーションされる。感受性指数は、ブドウ糖センサ12を用いて提供され、利用者やそれ以外の個人により、ブドウ糖モニタ100又はポスト・プロセッサ200に入力される。
【0117】
付け加えて、図18の好ましいロジックは、特定の順序に生じる特定の操作を記載するが、代替の実施形態として、あるロジックの操作は、異なる順序で行われ、修正され、又は除外されるが、なおも本発明の好ましい実施形態を実施するものであっても良い。さらに、上述したロジックにステップを追加し、なおも好ましい実施形態に合致するものであっても良い。例えば、図16の好ましい実施形態において、Recal変数は、故障がなければ決してリセットされないが、潜在的に、もしも予め決められた数のキャリブレーションの後に、calエラー警告がトリガーされないときは、故障がなくてもRecal変数をリセットする追加のステップを付加することができる。
【0118】
本発明の実施形態によると、前記技術の更なる修正を、ISIG値の正確性に対する追加の保証を提供するために行っても良い。例えば、図19には、ISIG値の正確さを確認し、ISIG値にフィルタをかけるための一般化されたフロー図を示す。図19に記載した、正確さのチェック及びフィルタをかける技術は、前述した切断制限値及びガウスフィルタに付加して、又は置き換えて用いることができる。追加として、図19は、センサが、どのように連続して受け取るISIG値に対して正確性のチェックとフィルタをかけることの両方を適用できるかについて記載されているが、代替の実施形態では、正確性のチェック又はフィルタをかけることは、独立に、平行して、又は互いに除外して行うことができる。
【0119】
ステップ2000では、ISIG値は、例えばブドウ糖センサ12のようなセンサから受け取る。ISIG値は、特定の時間の長さにおいて単一のISIG値を導き出すために、ある前処理を受けても良い。このようにして、ステップ2000のISIG値は、前述した(すなわち、図8a−c)周期的な間隔においてISIG値を平均することができる。特定の実施形態では、5分間のISIG値が用いられるが、代替の実施形態では、ISIG間隔の値は、1分、3分、10分等を含む任意の値である。
【0120】
ステップ2010では、データの正確性が確認される。このように、センサから受けたISIG値は、ISIG値が正確で使用可能あるか、又はISIG値が不正確で使用不可であるかを決定するために評価される。ステップ2010は、図20に関してさらに詳細に記載される。
【0121】
ステップ2020では、データの正確性に関して決定が下される。もしもデータが正確で使用可能ならば、ISIG値に対応するブドウ糖の値を引き出すためのデータにフィルタがかけられる。正確性のチェック後のフィルタをかけるプロセスは、より多くは下記に記載される。もしもデータが不正確で使用不可ならば、プロセスはステップ2040に進み、数個の事象が起こり得る。例えば、センサは閉鎖されるかもしれず、データの確認は停止されるかもしれず、及び/又はフィルタのデータフラッグは、「送るな」にセットされるかもしれない。ロジック2040の実施形態は、ブロック2120から始まる図20に関して記載される。
【0122】
ステップ2030では、データは、フィルタのフラッグが「送るな」に等しくない限り、又はある他のメカニズム(例えばCalエラー)が、データはフィルタに送るべきではない、又はもはやフィルタに送らないと決定するまで、フィルタに送られても良い。ステップ2030に送られたデータは、データの正確性を確認するステップ2010で、受け取られたデータにセンサの閉鎖を保証するような異常がないことを確認する限り進行しても良い。
【0123】
図20は、本発明の実施形態によるデータの正確性の確認を実施する詳細フロー図を示す。ステップ2100では、ISIG値は、例えばブドウ糖センサ12から受け取る。ISIG値は、連続してまたは周期的な間隔で受け取っても良い。このポイントで、センサは、例えば、「通常」モードといった第1のモードである。
【0124】
ステップ2110では、ISIG値又はISIG値に関連するパラメータは、予め決められたしきい値と比較される。例えば、本発明の実施形態によると、ISIG値の2次微分係数は、予め決められたしきい値と比較されても良く、この予め決められたしきい値は、センサそれ自体の感受性に基づき、インスリン/ブドウ糖の反応や変化の経験的な研究に基づく。一般的に、2次微分係数は、患者の血糖濃度の加速度を定義する。患者の血糖濃度の明らかな低下は、センサの突然の低電流行動又は高振幅ノイズ状態であることを示す。本発明の実施形態によると、2次微分係数は、5ポイントによる3項の多項式による適合を用いて導き出しても良い。
【0125】
加えて、本発明の実施形態によると、1次微分係数もまた予め決められたしきい値と比較されても良い。1次微分係数は、典型的には、患者の血糖が特定のレートで変化していることを示す。1次微分係数は、血糖濃度の変化率で定義され、センサの異常性もまた示すことができる。本発明の実施形態によると、1次微分係数の計算は、ISIG値そのものよりも最終のブドウ糖の読込み値に基づくことができる。しかし、代替の実施形態では、1次微分係数は、最終のセンサの読込み値よりもISIG値を用いても良く、又は2次微分係数は、ISIG値よりも最終のセンサの読込み値を用いても良い。言い換えると、ISIG値は、直接的に最終のセンサの読込み値に関連するからであり、1次又は2次微分係数の計算は、しきい値が適切に調整されている限り、任意のデータポイントから導くことができるからである。
【0126】
予め決められたしきい値は、患者の血糖の最新のレベルによって変化しても良い。しきい値は、患者の血糖の最新のレベルの関数であっても良い。高い血糖レベルでは、ブドウ糖のレベルは、低い血糖レベルより、潜在的に、より早いレートで変化するかもしれない。このように、高い血糖レベルでは、しきい値は、低い血糖レベルのそれよりもより否定的(negative)になるかもしれない。
【0127】
本発明の実施形態によると、ISIG値又はISIG値に関連したパラメータが予め決められたしきい値を越えないときは、センサは、第1のモードに留まり、受け取るデータは正確性の確認を連続して通過する。ステップ2110では、ISIG値又はISIG値に関連したパラメータが予め決められたしきい値を越えたとき、又は、例えば、ISIG値のコンビネーション又はISIG値に関連したパラメータが予め決められたしきい値を越えたときは、センサは、第2のモード、例えば、ステップ2120の「検査(probation)」モードに入り、その間にデータは、付加的なしきい値の違反についてモニタされ、付加的なしきい値の違反が発見されると行動がとられるかもしれない。更なる実施形態では、ステップ2110では、単一のトリガー、トリガーのある種のコンビネーション、又は多重のトリガーを要求することができる。このように、例えば、ステップ2110では、第1の正確性のチェック(すなわち、第1しきい値に対する2次微分係数)又は第2の正確性のチェック(すなわち、第2しきい値に対する1次微分係数)又はそれらの両方の正確性のチェックができる。加えて、「検査」モードは、1つの正確性チェックの失敗、又は幾つかの或いは全部の正確性のチュックが失敗することに基づいてステップ2120でトリガーされることが可能である。
【0128】
ステップ2130では、付加のしきい値違反が、引き続くISIGs又はセンサから受け取ったセンサのブドウ糖の値に対してモニタされても良い。例えば、本発明の実施形態によると、ISIG値の2次微分係数が予め決められたしきい値より小さいときは、センサは、検査モードに入る。一旦、センサが検査モードに入ると、ISIG値の他の2次微分係数が、予め規定された時間の間隔、例えば1時間内に、予め決められたしきい値を越えるときには、センサは、ステップ2140で第3のモードに入っても良い。ISIG値の他の2次微分係数に、予め規定された時間の間隔内に、予め決められたしきい値を越えるものがないときには、予め決められたしきい値に違反するデータは破棄され、センサは操作の第1モードに戻り、そしてデータを受け取り、しきい値との比較を継続しても良い。
【0129】
ステップ2140では、センサは第3のモード、「休止(sleep)」モード等に入り、その間にはブドウ糖のディスプレイは消される。多様な条件がセンサを第3のモードにしても良い。例えば、前述した1時間内での2つの正確性チェックの失敗の条件に加えて、患者の血糖濃度の急激な低下を伴う、1つの正確性チェックの失敗を受けると、センサは、休止モードに入っても良い。患者の血糖濃度の急激な低下は、1次微分係数により説明されるかもしれない。例えば、本発明の実施形態によると、患者の血糖濃度の急激な低下は、もしも1次微分係数が−80mg/dl/minより少ないときに推量される。また、Isigが10ナノアンペアを下回り、1次微分係数が与えられたしきい値より少ないときには、正確性のチェックは新たな参照ポイントにトリガーするかもしれない。血糖濃度の1次微分係数は、多様な方法で導かれても良い。例えば、本発明の実施形態によると、1次微分係数は、5ポイントによる2項の多項式による適合を用いて導き出しても良い。
【0130】
他の条件もまたセンサを第3のモードにしても良い。例えば、本発明の他の実施形態によると、2つの連続したキャリブレーションのエラーもまた、センサを操作の第3のモードにしても良い。
【0131】
ステップ2160では、センサが通常の操作に戻るべきか、終了すべきかの決定が行われる。通常の操作への復帰は、予め規定された時間間隔の後、又は他のクライテリアにより実施されても良い。いずれにせよ、センサが通常の操作に戻るためには、参照ポイントが必要である。このように、このシステムは、患者から血糖の読込み値を引き出す、すなわち、患者は、「指に針を刺す」手続をしなければならず、その間に、患者は彼又は彼女の血液のサンプルを引き出し、血液内のブドウ糖濃度を測定する。血糖の測定がキャリブレーションのエラーではないと判断されるとセンサは通常の操作に戻る。血糖の測定がキャリブレーションのエラーであると判断されると、センサはステップ2170で終了する。
【0132】
図21a‐21dは、センサ電流のグラフであり、センサ電流の1次微分係数、センサ電流の2次微分係数、及び計算されたセンサ信号をそれぞれ示す。図21aでは、ノイズの多いセンサ信号2200がみられる。図21cでは、対応する高振幅な2次微分係数2210がみられる。
【0133】
データをフィルタするのに多様なフィルタのタイプが用いられても良い。多くのセンサのフィルタは、線形かつ非アダプティブな性質を有し、それぞれの周波数における振幅は、振幅に無関係の固定されたパーセントにより抑えるといったように、特定の周波数領域においてノイズを抑える。他のフィルタは、アダプティブな性質を有し、関心のある信号と入り組まれた(convoluted)状況から、ノイズの分布の程度及び分散に基づいて信号にフィルタをかける。フィルタをかける量と、フィルタをかけられた信号に生じる遅れの量との間で交換(trade−off)があるため、生の信号が付加的なフィルタをかけることを要求しないときは、遅れを減少させるために、アダプティブなフィルタの量を弱めても良い。
【0134】
本発明の実施形態によると、例えば、カルマンフィルタのようなアダプティブなフィルタが、ISIG値にフィルタをかけることに用いられると、ISIG値の計測エラーの分散に対して適切な限量子(quantifier)が望まれるかもしれない。限量子は、アダプティブなフィルタに対する入力として用いても良い。
【0135】
限量子は、多様な方法で導き出して良い。例えば、ノイズの多いセンサ及びもはや機能しないセンサは、連続するデータポイントの差異の短時間の履歴の標準偏差の形式を用いて測定される、類似した測定のサインを有するかもしれない。本発明の実施形態によると、期間が定められ(windowed)、重み付けされない、連続するデータポイントの相違の絶対値の標準偏差を、限量子を引き出すために用いても良い。例えば、限量子Rkは、下記の式により決定しても良い:
k=c×δk+b
ここに、c及びbは定数であり、Rkは生の信号のk番目の分離した時間のインターバルにおけるノイズの分散の評価値である。定数c及びbは、生の信号を平滑にし、遅れを最小限とするために最適に調整できる。項δkは、下記のように計算しても良い:
【数10】

ここに、Skは、k番目の分離した時間のインターバルにおいて採取された生の信号であり、lは、生の信号の連続する差異の履歴の期間(window)のサイズである。
【0136】
本発明の他の実施形態によると、繰り返され(recursive)、重み付けされた連続するデータポイントの相違の絶対値の標準偏差は、限量子を引き出すために用いても良い。例えば、限量子Rkは、前式と同様に、次式により決定される:
k=c×δk+b
ここに、項δkは下記のように計算しても良い:
【数11】

ここに、Skは、k番目の分離した時間のインターバルにおいて採取された生の信号であり、αkは、大きくなる(growing)指数による重み付けであり、
【数12】

τは時間(hours)で示される指数の時間定数でありΔtは分で示される採取時間である。
【0137】
本発明の実施形態によると、繰り返しの手続は、下記のように行われても良い、
【数13】

、Σα=0、Σβ=0、Σγ=0、及びα=1とすると、
【数14】

【0138】
このように、上記公式の1つは、生の信号における、ノイズの分散Rkの評価値を得るために用いられても良い。一旦、Rkが得られると、アダプティブフィルタへの入力に用いられても良い。そして、アダプティブフィルタは、Rkの大きさに従って必要な程度に生の信号データを平滑化しても良い。
【0139】
図22及び図23は、どのように限量子Rkが生の信号データを平滑化するかを図示する。図22及び図23において、“isig”は生のデータ信号を表し、“fisigKM”は有限インパルスレスポンス(FIR)フィルタによりフィルタがかけられた生の信号を示し、“kisigKM”は、本実施形態ではカルマンフィルタを示す、アダプティブフィルタへの入力として限量子Rkを有するアダプティブフィルタによりフィルタがかけられた生の信号を示す。特に、図22は低いRkを示し、計算されたR(限量子)が非常に低いため、ほとんどフィルタがなく信号の最小限の遅れが発生する。図23はRkの変化により異なるフィルタの程度が混合された場合を示す。図22及び図23は、ともに典型的なFIRフィルタによるアダプティブフィルタ手法の利益を示す。
【0140】
従って、上記明細書は、本発明の特定の実施形態を参照するが、多くの修正が、その精神から逸脱することなく行われることが理解されるであろう。付随するクレームは、本発明の真の範囲及び精神内に収まる、そのような修正を包含することを意図している。
【0141】
本開示による実施形態は、従って、図示された全ての側面であるが、それに限定されないと考えられ、発明の範囲は、先行する明細書の記載よりもむしろ添付されたクレームにより指し示めされたものであり、クレームと同等な意味及び範囲内での全ての変更は、従ってそれらに包含されることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサのデータの正確性を確認する方法であって、
当該センサから第1データ値を受け取ること、
当該第1データ値に関連する第1パラメータを第1しきい値と比較すること、
当該センサから第2データ値を受け取ること、
当該第2データ値に関連する第1パラメータを当該第1しきい値と比較すること、
当該第1データ値に関連する当該第1パラメータが、当該第1しきい値を超え、当該第2データ値に関連する当該第1パラメータが、当該第1しきい値を超えないときには、当該センサからのデータの受け取りを継続すること、
当該第1データ値に関連する当該第1パラメータ、及び当該第2データ値に関連する当該第1パラメータが、当該第1しきい値を超えるときには、当該センサからのデータの受け取りを終了すること、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、当該センサは、ブドウ糖センサであることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、当該データ値は、血糖濃度であることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、当該第1データ値に関連する当該第1パラメータが、当該第1しきい値を超え、当該第2データ値に関連する当該第1パラメータが、当該第1しきい値を超えないときには、当該第1データ値を破棄すること、をさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、当該第1データ値に関連する当該第1パラメータは、当該第1データの2次微分係数であり、当該第2データ値に関連する当該第1パラメータは、当該第2データの2次微分係数であることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、当該第1データ値に関連する当該第1パラメータは、当該第1データの1次微分係数であり、当該第2データ値に関連する当該第1パラメータは、当該第2データの1次微分係数であることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、当該第1データ値に関連する第2パラメータを第2しきい値と比較すること、
当該第1データ値に関連する当該第1パラメータが、当該第1しきい値を超え、当該第1データ値に関連する当該第2パラメータが、当該第2しきい値を超え、当該第2データ値に関連する当該第1パラメータが、当該第1しきい値を超えないとき、当該センサからのデータの受け取りを継続すること、
当該第1データ値に関連する当該第1パラメータが、当該第1しきい値を超え、当該第1データ値に関連する当該第2パラメータが、当該第2しきい値を超え、当該第2データ値に関連する当該第1パラメータが、当該第1しきい値を超えるとき、当該センサからのデータの受け取りを終了すること、
をさらに備えること特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、当該センサは、ブドウ糖センサであることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法において、当該データ値は、血糖濃度であることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項7に記載の方法において、当該第1データ値に関連する当該第1パラメータが、当該第1しきい値を超え、当該第1データ値に関連する当該第2パラメータが、当該第2しきい値を超え、当該第2データ値に関連する当該第1パラメータが、当該第1しきい値を超えないとき、当該第1データ値を破棄すること、
をさらに備えることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項7に記載の方法において、当該第1データ値に関連する当該第1パラメータは、当該第1データの2次微分係数であり、当該第2データ値に関連する当該第1パラメータは、当該第2データの2次微分係数であり、当該第1データ値に関連する当該第2パラメータは、1次微分係数であることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法において、予め決められた時間の期間内に、当該第2データ値に関連する第1パラメータが、当該第1しきい値を超えるときに、当該センサからのデータの受け取りを終了することを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項7に記載の方法において、予め決められた時間の期間内に、当該第2データ値に関連する当該第1パラメータが、当該第1しきい値を超えたときに、当該センサからのデータの受け取りを終了することを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項3に記載の方法において、当該第1しきい値は、当該血糖濃度により変化することを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項8に記載の方法において、当該第2しきい値は、当該血糖濃度により変化することを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項7に記載の方法において、当該第2しきい値は、当該血糖濃度により変化することを特徴とする方法。
【請求項17】
センサからのデータにフィルタをかける方法であって、
当該センサから複数のデータ値を受け取ること、
当該複数のデータ値と関連する測定エラーの分散の限量子を獲得すること、及び
アダプティブフィルタにより当該複数のデータ値にフィルタをかること、を備え、
当該限量子は、当該アダプティブフィルタへの入力であることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、当該センサは、ブドウ糖センサであることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、当該データ値は、血糖濃度であることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項17に記載の方法において、限量子を獲得することは、連続する当該複数のデータポイントの絶対値の標準偏差を公式化すること、を備えることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法において、当該標準偏差を公式化することは、期間が定められ、重み付けされない標準偏差を公式化すること、を備えることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法において、当該限量子は、Rk=c×δk+bに等しく、
ここに、
【数1】

であり、
kは、kthの分離した時間のインターバルにおいて採取された生の信号であり、lは生の信号の連続した相違の履歴の期間のサイズであることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項20に記載の方法において、当該標準偏差を公式化することは、繰り返され、重み付けされた標準偏差を公式化すること、を備えることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法において、当該限量子は、Rk=c×δk+bに等しく、
ここに、
【数2】

であり、
kは、kthの分離した時間のインターバルにおいて採取された生の信号であり、αkは、大きくなる指数による重み付けであり:
【数3】

τは時間(hours)で示される指数の時間定数でありΔtは分で示される採取時間であることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項17に記載の方法において、当該アダプティブフィルタは、カルマンフィルタであることを特徴とする方法。
【請求項26】
センサをキャリブレーションする方法であって、
当該センサから複数のデータ値を受け取ること、
当該複数のデータ値のそれぞれのデータ値の当該信頼性を決定すること、
信頼性のない、当該複数のデータ値のデータ値を破棄すること、
破棄されない当該複数のデータの当該データ値にフィルタをかけること、及び
当該フィルタをかけたデータ値を用いて、当該センサの出力を調整すること、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法において、当該センサは、ブドウ糖センサであることを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項26に記載の方法において、当該複数のデータ値は、血糖濃度であることを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項26に記載の方法において、各データ値の当該信頼性の決定は、各データ値を予め決定されたしきい値と比較すること、を備えることを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項26に記載の方法において、各データ値の当該信頼性の決定は、各データ値に関連するパラメータを予め決定されたしきい値と比較すること、を備えることを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法において、当該パラメータは、2次微分係数であることを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項30に記載の方法において、当該パラメータは、1次微分係数であることを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項30に記載の方法において、当該予め決定されたしきい値は、最新の複数のデータ値により変化することを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項30に記載の方法において、当該最新の複数のデータ値は、血糖濃度であることを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項30に記載の方法において、破棄されたデータ値は、当該予め決定されたしきい値に関係する予め確立されたクライテリアに合致しない破棄されたデータ値、を備えることを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項26に記載の方法において、当該データ値にフィルタをかけることは、アダプティブフィルタにより当該データ値にフィルタをかけること、を備えることを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項26に記載の方法において、当該アダプティブフィルタは、カルマンフィルタであることを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項36に記載の方法において、アダプティブフィルタにより当該データ値にフィルタをかけることは、破棄されない当該複数のデータの当該データ値に基づくパラメータにより当該アダプティブフィルタを用いること、を備えることを特徴とする方法。
【請求項39】
請求項38に記載の方法において、当該パラメータは、破棄されない当該複数のデータの当該データ値の標準偏差であることを特徴とする方法。
【請求項40】
請求項38に記載の方法において、当該パラメータは、破棄されない当該複数のデータの当該データ値の絶対値の標準偏差であることを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項39に記載の方法において、当該標準偏差は、期間が定められ、重み付けされない標準偏差であることを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項39に記載の方法において、当該標準偏差は、繰り返され、重み付けされた標準偏差であることを特徴とする方法。
【請求項43】
センサのデータの正確性を確認する装置であって、
当該センサから第1データ値を受け取る手段と、
当該第1データ値に関連する第1パラメータを第1しきい値と比較する手段と、
当該センサから第2データ値を受け取る手段と、
当該第2データ値に関連する第1パラメータを第1しきい値と比較する手段と、
当該第1データ値に関連する当該第1パラメータが、当該第1しきい値を超え、当該第2データ値に関連する当該第1パラメータが、当該第1しきい値を超えないときには、当該センサからのデータの受け取りを継続する手段と、
当該第1データ値に関連する当該第1パラメータ、及び当該第2データ値に関連する当該第1パラメータが、当該第1しきい値を超えるときには、当該センサからのデータの受け取りを終了する手段と、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項44】
請求項43に記載の装置において、当該センサは、ブドウ糖センサであることを特徴とする装置。
【請求項45】
請求項44に記載の装置において、当該データ値は、血糖濃度であることを特徴とする装置。
【請求項46】
請求項43に記載の装置において、当該第1データ値に関連する当該第1パラメータが、当該第1しきい値を超え、当該第2データ値に関連する当該第1パラメータが、当該第1しきい値を超えないときには、当該第1データを破棄する手段を、さらに備えることを特徴とする装置。
【請求項47】
請求項43に記載の装置において、当該第1データ値に関連する当該第1パラメータは、当該第1データの2次微分係数であり、当該第2データ値に関連する当該第1パラメータは、当該第2データの2次微分係数であることを特徴とする装置。
【請求項48】
請求項43に記載の装置において、当該第1データ値に関連する当該第1パラメータは、当該第1データの1次微分係数であり、当該第2データ値に関連する当該第1パラメータは、当該第2データの1次微分係数であることを特徴とする装置。
【請求項49】
請求項43に記載の装置において、当該第1データ値に関連する第2パラメータを第2しきい値と比較する手段と、
当該第1データ値に関連する当該第1パラメータが、当該第1しきい値を超え、当該第1データ値に関連する当該第2パラメータが、当該第2しきい値を超え、当該第2データ値に関連する当該第1パラメータが、当該第1しきい値を超えないとき、当該センサからのデータの受け取りを継続する手段と、
当該第1データ値に関連する当該第1パラメータが、当該第1しきい値を超え、当該第1データ値に関連する当該第2パラメータが、当該第2しきい値を超え、当該第2データ値に関連する当該第1パラメータが、当該第1しきい値を超えるとき、当該センサからのデータの受け取りを終了する手段と、
を、さらに備えることを特徴とする装置。
【請求項50】
センサからのデータにフィルタをかける装置であって、
当該センサから複数のデータ値を受け取る手段と、
当該複数のデータ値と関連する測定エラーの分散の限量子を獲得する手段と、及び
アダプティブフィルタにより当該複数のデータ値にフィルタをかける手段と、を備え、
当該限量子は、当該アダプティブフィルタへの入力であることを特徴とする装置。
【請求項51】
請求項50に記載の装置において、当該センサは、ブドウ糖センサであることを特徴とする装置。
【請求項52】
請求項51に記載の装置において、当該複数のデータ値は、血糖濃度であることを特徴とする装置。
【請求項53】
請求項50に記載の装置において、限量子を獲得する手段は、連続する当該複数のデータポイントの絶対値の標準偏差を公式化する手段を備えることを特徴とする装置。
【請求項54】
請求項53に記載の装置において、当該標準偏差を公式化する手段は、期間が定められ、重み付けされない標準偏差を公式化する手段を備えることを特徴とする装置。
【請求項55】
請求項53に記載の装置において、当該標準偏差を公式化する手段は、繰り返され、重み付けされた標準偏差を公式化する手段を備えることを特徴とする装置。
【請求項56】
請求項50に記載の装置において、当該アダプティブフィルタは、カルマンフィルタであることを特徴とする装置。
【請求項57】
センサをキャリブレーションする装置であって、
当該センサから複数のデータ値を受け取る手段と、
当該複数のデータ値のそれぞれのデータ値の当該信頼性を決定する手段と、
信頼性のない当該複数のデータ値のデータ値を破棄する手段と、
破棄されない当該複数のデータの当該データ値にフィルタをかけ、及び当該フィルタをかけたデータ値を用いて当該センサの出力を調整する手段と、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項58】
請求項57に記載の装置において、当該センサは、ブドウ糖センサであることを特徴とする装置。
【請求項59】
請求項57に記載の装置において、当該複数のデータ値は、血糖濃度であることを特徴とする装置。
【請求項60】
請求項57に記載の装置において、各データ値の当該信頼性を決定する手段は、各データ値を予め決定されたしきい値と比較する手段を備えることを特徴とする装置。
【請求項61】
請求項57に記載の装置において、各データ値の当該信頼性を決定する手段は、各データ値に関連するパラメータを予め決定されたしきい値と比較する手段を備えることを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17a】
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【図17b】
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【図18a】
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【図18b】
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【図19】
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【図20】
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【図21a】
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【図21b】
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【図21c】
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【図21d】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−71177(P2012−71177A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−316(P2012−316)
【出願日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【分割の表示】特願2006−547604(P2006−547604)の分割
【原出願日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(595038051)メドトロニック ミニメド インコーポレイテッド (71)
【Fターム(参考)】