説明

センサから制御機器へのデジタルデータ伝送のための方法

センサ(PPS)から制御機器(SG)へのデジタルデータ伝送のための方法が提案され、センサ(PPS)のセンサ値はデータ伝送のために異なる分解能で分割される。センサ値は連続するセンサ値を有する第1の値域を形成する。データ伝送のための第1の値域の分割は制御機器(SG)にとって重要なパラメータに依存して行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の上位概念に記載のセンサから制御機器へのデジタルデータ伝送のための方法に関する。
【0002】
DE10229945A1からはセンサから制御機器へのデジタルデータ伝送のための方法が既に公知である。この場合、圧力センサ信号が同一成分と差圧成分とに分解され、同一成分は差圧成分よりも低い分解能によってセンサから制御機器へと伝送される。
【0003】
本発明の利点
独立請求項の特徴部分記載の構成を有するセンサから制御機器へのデジタルデータ伝送のための本発明の方法は、従来技術に対して、線形な値域が連続するセンサ値によって形成され、この値域から制御機器にとって重要なパラメータに依存してさらに別の値域が切り出され、このさらに別の値域は比較的大きい分解能でセンサから制御機器へと伝送されるという利点を有する。すなわち、これら2つの分割された値域は全値域の部分領域である。これら2つの値域はとりわけ互いに連続している。これによって、制御機器にとって重要であるパラメータに依存して、この制御機器がその評価において有利には必要とする値域を選択することが可能である。このことは、重要な値だけが高い分解能で伝送されるのでバンク幅を節約し、それにもかかわらずこれらの重要な値における高い分解能を許可する。
【0004】
従属請求項に記載の手段及び実施形態によって、独立請求項に記載のセンサから制御機器へのデジタルデータ伝送のための方法の有利な改善実施形態が可能である。
【0005】
とりわけ有利には、値域を選択する際に依存するパラメータは高い分解能でセンサから制御機器へと伝送され、このパラメータは乗員拘束手段のためのアルゴリズムの閾値が存在する値域を提供する。この値域は既に予め設定され、この値域はシミュレーションによってもとめられる。これより下にある又はこれより上にある値はより小さい分解能で伝送される。なぜなら、ここではトリガに関して非常に明確な判定が行われうるからである。通常の閾値の非常に近傍にあるこれらの値はこの場合精確なトリガ判定を行うために重要である。制御機器及びセンサの双方向伝送が設けられている場合には、制御機器がこのようなパラメータをセンサに伝送することができる。しかし、通常はセンサから制御機器への単方向伝送が設けられており、外に設置された圧力センサ、加速度センサ、重量センサ又はプリクラッシュセンサでありうるこのセンサは線路を介して付加的に制御機器からエネルギを供給され、センサはそのデータを例えば電流変調によってこのエネルギ供給に加える。
【0006】
有利には、比較的高い分解能によって伝送される値域はセンサ値の値域全体の下半分に設けられている。きわめて高いセンサ値は制御機器のトリガアルゴリズムにおける明確な判定をもたらし、他方でエアバッグ又はベルトテンショナのような乗員拘束手段のトリガのために適正かつ正確な判定を実施するために比較的低い値はより特別な検査を必要とする。
【0007】
有利には本発明の方法は走行ダイナミック制御(Fahrdynamikregelung)のためにも、よって例えばロールオーバ識別及びESPのためにも使用されうる。
【0008】
図面
本発明の実施例を図面に図示し、以下の記述においてより詳しく説明する。
【0009】
図1はセンサと制御機器との間のデータ伝送を示し、
図2は値域の分割を示し、
図3は本発明の方法のフローチャートを示す。
【0010】
記述
クラッシュセンサは線形の又は別の形の特性曲線を有し、この特性曲線によってクラッシュ信号が検出される。外に設置されたクラッシュセンサはこれらのデータを符号化してエアバッグ制御機器に伝送する。この場合、測定領域は線形に個々のデジタル伝送値にマッピングされる。
【0011】
測定領域が線形に個々の許容伝送値に分配されることによって、測定領域全体にわたる固定的な一定の分解能が生じる。しかし、これは不利である。なぜなら、他の値域よりも高い分解能を有する特定の値域が評価のために存在するべきであるからである。圧力センサにおいては、例えばトリガと非トリガとの間の分離が行われる領域は、トリガ閾値より明らかに上にある圧力経過よりもはるかに精確さが重要である。このようなトリガ閾値は固定されるか又はアダプティブに変化されうる。すなわち、これらのトリガ閾値はクラッシュを特徴付ける値に依存してアダプティブに変化される。この変化はこの場合所定の時間の間は保持され、この結果、次いでクラッシュメルクマール(Crashmerkmale)に依存して場合によっては改めて変化される。比較的高い分解能で値域全体を伝送することは、しばしばコストの理由から不可能である。
【0012】
センサの値域は異なる領域に分割され、これらの異なる領域において値はまた線形に既存のトリガ値に分配される。当然、例えば圧力センサの場合には、測定領域が例えば2つの同一の半分に分割される。比較的低い圧力信号を有する第1の半分は今や可能な伝送値の3/4に分配され、他方で比較的高い圧力値を有する第2の半分は可能な伝送値の残りの1/4に線形に分配される。これによって、比較的低い圧力値は比較的高い分解能を得るが、高い圧力値は比較的低い分解能で伝送される。
【0013】
領域における値の分割はセンサに応じて及び所定のインターバルにおける精度への要求に応じて異なって及び適応的に行われる。この分割はインターフェース、すなわちセンサの送信器モジュールによって実現されうる。この場合、例えば圧力値の場合にはデータ伝送のビット幅が少なくとも16ビットから8ビットに低減され、これは大幅なコスト節減及びデータリダクションを可能にする。
【0014】
この方法のためのさらに別の適用事例は例えばアップフロントセンサ、ペリフェラル加速度センサ及び制御機器における加速度センサである。比較的低い加速度におけるアップフロントセンサの信号の比較的高い分解能によって、これらは歩行者保護に対しても、例えば他のセンサ、例えば接触センサによる妥当性(Plausibilitaet)のために使用されうる。トラックの下へのもぐりこみ(LKW-Unterfahrt)も比較的良好に検出されうる。
【0015】
ペリフェラル加速度センサ及び制御機器におけるセンサの場合には、小さい信号における改善された分解能によって妥当性及びクラッシュ開始がより精確に検出されうる。これらのセンサはこの場合走行ダイナミックパラメータの決定にも使用され、従って、ロールオーバセンシング及びESPのために利用される。これによってはずれ方向(Verbaurichtung)の検査のための取り付け方向(Einbaurichtung)の検出も容易になる。プリクラッシュセンサ装置は非常に高い大量データフロー(Datenflut)を発生するので、本発明の方法はこの場合にも有利である。
【0016】
図1はセンサから制御機器への伝送をブロック線図において示す。センサとしてはこの場合圧力センサPPSが示されており、この圧力センサPPSは後置接続された電子装置及びセンサ値を伝送するための送信器モジュール11を有するセンサ素子10を有する。センサ素子は送信器モジュール11にセンサ値を伝送する。この送信器モジュール11は制御機器にとって重要なパラメータに依存してセンサ値を本発明のやり方で分割することを実施する。この場合、例えば、圧力信号の評価のための閾値が存在する値域が比較的高い分解能で伝送される。より大ざっぱな分割も可能であり、例えば圧力センサ値の下半分だけが比較的高い分解能によって伝送される。伝送されたセンサ値は次いで制御機器SGの受信器モジュール12により受信される。この場合センサ値の分解能が取り消され、すなわち分解されたセンサ値の元々のセンサ値へのマッピングが再び行われ、これらの元々のセンサ値が次いで制御機器SGのプロセッサ13において評価される。この場合、ここには図示されていない接続された乗員拘束手段をトリガケースの際に制御するために、トリガアルゴリズムにおいて評価が行われる。
【0017】
代替的に、圧力センサPPSの代わりに、サイド又は車両フロントのペリフェラル加速度センサ又は制御機器自体の中のセンサも本発明の方法によって使用することが可能である。ここで示されたような乗員拘束手段のための制御機器の代わりに、走行ダイナミック制御のための制御機器も可能である。運動学的センサプラットフォームもそのセンサ値の伝送のために本発明の方法を使用することができる。
【0018】
図2は伝送値へのセンサ値の分割を図示して説明している。センサ素子10では0〜200までのセンサ値が発生され、これは第1の部分20において図示されている。しかし、制御機器SGにおける閾値は領域22に存在し、この領域22は0〜50までである。すなわち、50〜200までのもう一つの領域23はあまり重要ではない。なぜなら、この領域は明確なトリガをもたらすからであり、これらの値は閾値よりかなり上にあるからである。従って、領域22は比較的高い分解能で伝送される。これは可能な伝送値21へのマッピングによって行われる。この場合、伝送値21は0〜255までの8ビットである。0〜180までの伝送値の第1の領域24には、領域22の値が線形にマッピングされ、従って比較的高い分解能で伝送される。領域23は値域25にマッピングされ、従って、比較的低い分解能で制御機器SGに伝送される。相応の分解能はデータテレグラムにおいてセンサPPSから制御機器SGへシグナリングされうる。
【0019】
図3は本発明の方法の経過をフローチャートにおいて説明する。方法ステップ300では、センサ素子10によってセンサ値が発生され、これに所属の電子装置において増幅され、デジタル化され、フィルタリングされる。このようにデジタル化されたセンサ値は次いで送信器モジュール11に供給され、この送信器モジュール11は方法ステップ301においてセンサ値を本発明に従って分割する。送信器モジュール301は制御機器にとって重要なパラメータ、この場合はトリガアルゴリズムのための可能な閾値に依存してセンサ値の分割を実施する。この送信器モジュールはこれらの閾値が存在しうる値域を比較的高い分解能で伝送するために選択し、他方でこの送信器モジュールはそれの外にある値域を比較的低い分解能で伝送する。方法ステップ302では、次いでこのように分割されたセンサ値の伝送が行われる。方法ステップ303では、制御機器SGによって受信器モジュール12を用いてこれらのセンサ値が受信され、プロセッサ13にトリガアルゴリズムにおける処理のために供給される。
【0020】
例として図2のセンサ値48が発生される。これは領域22に存在する。従って、この測定値48は領域24の比較的高い分解能で伝送される。この場合、例として伝送値168〜171がこの測定値48に対して使用される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】センサと制御機器との間のデータ伝送を示す。
【図2】値域の分割を示す。
【図3】本発明の方法のフローチャートを示す。
【符号の説明】
【0022】
PPS 圧力センサ
SG 制御機器
10 センサ素子
11 送信器モジュール
12 受信器モジュール
13 プロセッサ
20 第1の部分
21 可能な伝送値
22 領域
23 領域
24 値域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ(PPS)から制御機器(SG)へのデジタルデータ伝送のための方法であって、
センサ(PPS)のセンサ値(20)はデータ伝送のために異なる分解能(24、25)で分割される、センサ(PPS)から制御機器(SG)へのデジタルデータ伝送のための方法において、
センサ値は連続するセンサ値を有する第1の値域(22、23)を形成し、データ伝送のための前記第1の値域(22、23)の分割は制御機器(SG)にとって重要なパラメータに依存して行われることを特徴とする、センサ(PPS)から制御機器(SG)へのデジタルデータ伝送のための方法。
【請求項2】
パラメータは乗員拘束手段のトリガアルゴリズムの閾値の第2の値域(22)であり、該第2の値域におけるセンサ値(22)は比較的高い分解能(24)によってセンサ(PPS)から制御機器(SG)に伝送されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
第2の値域(22)は第1の値域の下半分から選択されることを特徴とする、請求項2記載の方法。
【請求項4】
請求項1〜3のうちの1項記載の方法を実施するためのセンサ(PPS)における送信器モジュール(11)の使用。
【請求項5】
請求項1〜3のうちの1項記載の方法を実施するための制御機器(SG)における受信器モジュール(12)の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−528799(P2006−528799A)
【公表日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520657(P2006−520657)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【国際出願番号】PCT/DE2004/001482
【国際公開番号】WO2005/012046
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】