説明

センサシステム及び該センサシステムを用いた照明システム

【課題】 検出の精度の向上が可能なセンサシステム及び該センサシステムを用いた照明システムを提供する。
【解決手段】 他のアクティブセンサ1の検出範囲3内に入るアクティブセンサ1の検出範囲3内には上記他のアクティブセンサ1が入らないように、各アクティブセンサ1がそれぞれ配置されている。言い換えると、アクティブセンサ1のうちいずれの2個をとっても、互いに互いの検出範囲3内に入ってしまうことがない。上記構成によれば、どのアクティブセンサ1においても、他のアクティブセンサ1からの送信波が直接に受信されることはないから、いずれかのアクティブセンサ1で他のアクティブセンサ1からの送信波が直接に受信される場合に比べ、S/N比が向上することにより、検出の精度の向上が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサシステム及び該センサシステムを用いた照明システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数個のアクティブセンサを備えるセンサシステムが提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
アクティブセンサは、所定の検出範囲に対して送信波を送信するとともに、送信波が検出範囲内で反射された反射波を受信することで、検出範囲内の検出対象(例えば人体)を検出するものである。このようなアクティブセンサとしては、例えば、反射波に生じたドップラーシフトに基いて検出対象(移動物体)を検出するドップラーセンサがある(例えば、特許文献2参照)。上記の送信波及び反射波の媒体としては、電磁波や超音波が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−311154号公報
【特許文献2】特開2007−155490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなセンサシステムは、例えば図4及び図5に示すような折り返し階段に設けられる。図5の例では、各階20においてそれぞれ階段21に面した壁22と、踊り場23の突き当たりの壁24とに、アクティブセンサ1が1個ずつ設けられている。すなわち、アクティブセンサ1は、互いに平行な2直線上に、全体として千鳥状に且つ等間隔に配置されている。検出範囲3(図5では左側の1個のアクティブセンサ1についてのみ図示)はアクティブセンサ1を頂点とする円錐形状であり、検出範囲3の中心軸31は水平とされている。また、上記の壁22,24に挟まれた空間全体が少なくとも1個のアクティブセンサ1の検出範囲3内に入るように、検出範囲3の半頂角(すなわち、検出範囲3の端と中心軸31とがなす角)α/2は、対向するアクティブセンサ1の仰角(=俯角)βよりも大きくされている。
【0006】
上記のセンサシステムにおいては、図6に示すように、互いに対向する壁に設けられたアクティブセンサ1同士が、互いの検出範囲3内に入っている。すると、各アクティブセンサ1にそれぞれ他のアクティブセンサ1の送信波が直接入射するという干渉が発生してしまうことにより、S/N比が低下して検出の精度が低くなる。
【0007】
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、検出の精度の向上が可能なセンサシステム及び該センサシステムを用いた照明システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のセンサシステムは、それぞれ所定の検出範囲に対して送信波を送信するとともに前記送信波が前記検出範囲内で反射された反射波を受信することで前記検出範囲内の検出対象を検出する複数個のアクティブセンサを備え、他の前記アクティブセンサの前記検出範囲内に入る前記アクティブセンサの前記検出範囲内には前記他のアクティブセンサが入らないように、各前記アクティブセンサがそれぞれ配置されていることを特徴とする。
【0009】
このセンサシステムにおいて、各前記アクティブセンサの前記検出範囲はそれぞれ円錐形状であって、各前記検出範囲の中心軸と水平面とがなす角は、全ての前記アクティブセンサで共通とされていてもよい。
【0010】
また、このセンサシステムにおいて、前記アクティブセンサを3個以上備えていてもよい。
【0011】
本発明の照明システムは、上記いずれかのセンサシステムと、それぞれ前記センサのうち少なくとも1個の出力に応じて光源を点灯させる複数個の点灯装置とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、どのアクティブセンサにおいても、他のアクティブセンサからの送信波が直接に受信されることはないから、いずれかのアクティブセンサで他のアクティブセンサからの送信波が直接に受信される場合に比べ、S/N比が向上することにより、検出の精度の向上が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態における各アクティブセンサの検出範囲間の関係を示す説明図である。
【図2】同上を示す説明図である。
【図3】同上を用いた照明システムを構成する照明器具の一例を示す説明図である。
【図4】センサシステムの使用状態の一例を示す斜視図である。
【図5】図4の例を示す説明図である。
【図6】図4の例において各アクティブセンサの検出範囲の中心軸がそれぞれ水平とされた状態での検出範囲間の関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
本実施形態のセンサシステムの基本構成は図4及び図5で説明したものと同じであるので、共通する部分については説明を省略する。
【0016】
本実施形態は、図2に示すように、各アクティブセンサ1について、それぞれ、検出範囲3の中心軸31を水平面25に対して所定の角度θだけ下方に傾けたものである。上記の角度θは、水平方向が検出範囲3に含まれるように検出範囲3の半頂角α/2よりも小さくされている。さらに、上記の角度θは、対向する壁22,24に設けられて上下方向において近接するアクティブセンサ1のうち下側のアクティブセンサ1のみが検出範囲3に入るように、つまり式(α/2)−θ<βを満たすように決定されている。すなわち、上記の角度θは、(α/2)−β<θ<α/2の範囲内の角度とされている。
【0017】
例えば、壁22,24の間隔が8.5mであって、互いに対向する壁22,24に設けられて上下方向において近接する2個のアクティブセンサ1間での上下位置(高さ)の差が2mの場合、対向するアクティブセンサ1の仰角(=俯角)βはarctan(2/8.5)≒13.3°となるので、検出範囲3の頂角αが60°であれば、(α/2)−β=(60/2)−arctan(2/8.5)≒16.7°となる。すなわち、上記のような2個のアクティブセンサ1間での上下位置の差が2mであり、各アクティブセンサ1の検出範囲3の頂角αが60°であり、壁22,24の間隔が3.5m〜8.5mの範囲内の場合、17°<θ<30°とすれば、壁22,24の間隔が上記範囲内のどのような数値であっても上記の条件(α/2)−β<θ<α/2は満たされる。
【0018】
つまり、他のアクティブセンサ1の検出範囲3内に入るアクティブセンサ1の検出範囲3内には上記他のアクティブセンサ1が入らないように、各アクティブセンサ1がそれぞれ配置されている。言い換えると、アクティブセンサ1のうちいずれの2個をとっても、互いに互いの検出範囲3内に入ってしまうことがない。
【0019】
また、各アクティブセンサ1において、送信波が送信される範囲と、受信されうる反射波の入射範囲とは、ともに検出範囲3に一致している。
【0020】
以上により、図1に示すように、各アクティブセンサ1の検出範囲3にはそれぞれ下側の1個のアクティブセンサ1しか入ることがないから、アクティブセンサ1が送信波を照射する可能性がある他のアクティブセンサ1は下側の1個のアクティブセンサ1のみとなる。しかも、下側の1個のアクティブセンサ1の検出範囲3には上側のアクティブセンサ1は入っていないから、上側のアクティブセンサ1からの送信波が反射を経ずに下側のアクティブセンサ1に直接に受信されることはない。つまり、どのアクティブセンサ1においても、他のアクティブセンサ1からの送信波が直接に受信されることはない。
【0021】
上記構成によれば、どのアクティブセンサ1においても、他のアクティブセンサ1からの送信波が直接に受信されることはないから、いずれかのアクティブセンサ1で他のアクティブセンサ1からの送信波が直接に受信される場合に比べ、S/N比が向上することにより、検出の精度の向上が可能である。
【0022】
上記のようなアクティブセンサ1は、図3に示すように、電気的な光源4と、この光源4を点灯させる点灯装置(図示せず)とともに適宜形状の器具本体51に保持されて照明器具5を構成することができ、このような照明器具5は複数個で照明システムを構成する。光源4としては例えば熱陰極型の蛍光灯を用いることができ、この場合には点灯装置は周知のインバータ回路を用いて実現することができる。上記の点灯装置は、例えば、検出対象たる人体(図示せず)がアクティブセンサ1によって検出されてから所定の制御遅れ時間が経過するまでの期間(以下、「検出期間」と呼ぶ。)中には光源4を点灯させ、検出期間外には光源4を消灯又は光源4の光出力を検出期間中よりも低くする。各照明器具5において、それぞれ、光源4によって照明される範囲(以下、「照明範囲」と呼ぶ。)40は、アクティブセンサ1の検出範囲3に一致することが望ましい。上記のような照明範囲40は、例えば適宜形状の反射板(図示せず)を照明器具5に設けることで実現することができる。なお、点灯装置は、複数個のアクティブセンサ1の出力の論理積又は論理和に応じて動作するものとしてもよい。
【0023】
なお、アクティブセンサ1は、壁22,24等に固定された状態で検出範囲3の向きを変更可能な構造であってもよいし、検出範囲3の向きを変更不可能な構造であってもよい。アクティブセンサ1の構造を、壁22,24等に固定された状態での検出範囲3の向きの変更が不可能な構造とする場合、想定される使用状態で上式(α/2)−β<θ<α/2が満たされるようにアクティブセンサ1が設計されていればよい。
【符号の説明】
【0024】
1 アクティブセンサ
3 検出範囲
4 光源
31 中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ所定の検出範囲に対して送信波を送信するとともに前記送信波が前記検出範囲内で反射された反射波を受信することで前記検出範囲内の検出対象を検出する複数個のアクティブセンサを備え、
他の前記アクティブセンサの前記検出範囲内に入る前記アクティブセンサの前記検出範囲内には前記他のアクティブセンサが入らないように、各前記アクティブセンサがそれぞれ配置されていることを特徴とするセンサシステム。
【請求項2】
各前記アクティブセンサの前記検出範囲はそれぞれ円錐形状であって、
各前記検出範囲の中心軸と水平面とがなす角は、全ての前記アクティブセンサで共通とされていることを特徴とする請求項1記載のセンサシステム。
【請求項3】
前記アクティブセンサを3個以上備えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のセンサシステム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のセンサシステムと、それぞれ前記センサのうち少なくとも1個の出力に応じて光源を点灯させる複数個の点灯装置とを備えることを特徴とする照明システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−202733(P2012−202733A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65239(P2011−65239)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】