説明

センサネットワーク装置

【課題】通信量を抑制した、ネットワーク装置を提供。
【解決手段】状況推定部15は、接続されたそれぞれのセンサ装置100に関する推定規則を予めあるいは定期的に交換し共有保持し、推定規則に関するシミュレーションを行うことにより、状況情報とで判断した表示要求満足性を付与した表示要求送付情報、状況情報とで判断した優先度を付与した制御要求送付情報、また、センサ装置10の状況情報については変化が認められた場合にすべての送付先への状況送付情報を生成するよう動作し、表示要求管理部11は、表示要求送付情報を表示要求管理部に送るよう動作し、表示情報管理部14は、他装置から受信した表示要求送付情報の表示要求満足性で表示情報必要性が肯定されている場合にのみ、センサ装置100で生成された表示情報を要求元の他装置へ送付するよう動作し、制御要求管理部12は、制御要求送付情報を、対応する他装置の制御要求管理部へ送付する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、センサ装置ごとに接続され、複数のセンサ装置で取得した観測情報をそれぞれネットワークを介して収集し融合表示するためのセンサネットワーク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
センサ装置には、レーダ装置で代表される、観測対象の3次元位置を計測・表示・記録するもの、また赤外線レーダ装置で代表される、観測対象の方向、すなわち2次元位置を計測・表示・記録するもの、さらに電子支援装置で代表される、観測対象の方位、すなわち1次元位置を計測・表示・記録するものがある。これらのセンサ装置は、当初単独で観測を行う構成のもの(これを以下、独立稼動型センサ装置と呼ぶ)であった。これに対して、近年では複数のセンサ装置で同じあるいは隣り合う覆域に存在する観測対象を観測し、それぞれの観測情報を無線通信により収集して観測結果を融合(または統合)表示できるようにし、また自己が観測した観測情報は同タイプのセンサ装置に送信する機能を持つセンサ装置(これを以下、自律協調型センサ装置と呼ぶ)が実現されるようになった(例えば特許文献1参照)。
ところで、ネットワークを用いて複数の観測結果を共有する場合、センサ装置の数あるいは観測対象が増えるに従って、同時に扱う観測情報が増えて通信量の増加が問題になる。特に、通信路の容量制限、傍受の危険性、また電波等による場合はさらに自己存在の露見の危険性があるため、通信頻度を少なく、通信情報量を少なく抑えることが要求される。しかし、上記特許文献1に記載された技術では、通信量の制限や傍受に関する対策が考慮されていない。
【0003】
従来、通信量の増加を抑える技術として、分散配置された複数のレーダ装置からそれぞれ取得した探知データを共通の情報処理装置に送信して統合処理するようにしたレーダシステムにおいて、共通の情報処理装置が、複数のレーダ装置から送信された探知データの通信量から複数のレーダ装置と共通の情報処理装置との間の通信負荷を計算し、その通信負荷に応じた送信許可範囲を求めて複数のレーダ装置に対して通知するようにし、複数のレーダ装置では、通知された送信許可範囲に応じて、自己が取得した探知データのうち予め許可されている探知データを選択して共通の情報処理装置に送信するようにして、通信負荷が高い状況であっても重要度の高い探知データを優先して受信できるようにする技術がある(例えば特許文献2参照)。
また、複数のレーダシステムで観測結果を共有する際の通信量削減方式として、表示したい範囲や精度を他のレーダシステムに周知させることで送信する観測情報を抑えることが提案されている(例えば非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−88947号公報
【特許文献2】特開2008−51599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示されたセンサ装置は自律協調型のセンサ装置であるが、通信量を制限する方法が考慮されていない。また、特許文献1のセンサ装置を、従来タイプの独立稼動型のセンサ装置に改修を加えて作成する場合、全く新規モデルを作成すると同じような大幅な変更を要する。既存のセンサ装置を改修する場合には、改修費用および改修期間すなわち非稼動期間の両面から、改修規模はできる限り小さくすることが望まれるが、期待に応えることは困難である。また、表示装置や制御装置を追加する場合は、設置スペースに限りがあるので、十分な規模にすることは難しい。
【0006】
一方、特許文献2に開示されたレーダシステムの場合は、観測情報である探知データを専ら提供するのはレーダ装置であり、探知データを収集して統合処理するのが1箇所の統制センタなどに設置された情報処理装置で行うことになる。そのため、複数のレーダ装置から送信された探知データの全体の通信量を計測して通信負荷を計算することができ、その通信負荷に応じた送信許可範囲を求めることができる。しかし、特許文献1のセンサ装置やこの発明が対象とするセンサネットワーク装置の場合は、任意の1またはそれ以上の数のセンサ装置(またはセンサネットワーク装置)において、それぞれ任意の時間に自分以外のセンサ装置の観測情報を収集してそれぞれで融合表示処理できるようにしているので、特許文献2で行っているような全体の通信量から通信負荷を求める方法は各センサ装置(またはセンサネットワーク装置)において適用できない。また、特許文献2では、表示要求やセンサに対する制御要求については触れておらず、したがってそれらの通信量の制御は行っていないと考えられる。
また、遠隔地のセンサ装置を別のセンサ装置から制御して観測情報を獲得する場合、制御側から遠隔地側への制御コマンド通信、該制御による遠隔地センサ装置の状況変化の通信、および遠隔地センサ装置による観測情報の通信を、通信路に乗せる必要がある。したがって、ネットワーク全体の通信量を効率よく制御するためには、これら制御コマンド、センサ装置の状況情報、観測要望(表示要求)および観測情報(表示情報)それぞれの通信量を制御する必要があるが、そのような制御方法を具現化した技術はこれまで存在していない。
【0007】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、表示要求、制御要求にセンサ装置の状況情報を考慮して判断した送信の要否情報を付加し、要否情報により表示要求、制御要求、表示情報の送信を制御することで通信量を抑制するセンサネットワーク装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るセンサネットワーク装置は、異なる位置に配置される複数の独立稼動型センサ装置のそれぞれに組み込まれるかあるいは隣接して有線接続され、かつ相互をネットワークを介して接続することにより、任意の1または複数台により、各センサ装置で観測された表示情報を収集して融合表示するセンサネットワーク装置であって、表示要求管理部、制御要求管理部、状況管理部、表示情報管理部、状況推定部および通信管理部を備え、状況推定部は、自他装置が接続されたそれぞれのセンサ装置に関する推定規則を予めあるいは定期的に交換し合い他装置と同一内容にして共有保持し、推定規則に関するシミュレーションを行うことにより、表示要求については表示要求満足性を付与した表示要求送付情報を、センサに対する制御要求については優先度を付与した制御要求送付情報を、また、センサ装置の状況情報については変化が認められた場合にすべての送付先への状況送付情報を生成するよう動作し、状況管理部は、ユーザ入力によるセンサ装置に関する状況情報を格納すると共に、当該状況情報を状況推定部に送って生成された状況送付情報をネットワークに接続された他装置のそれぞれに送付し、また、他装置から送付された自装置宛て状況送付情報を受領して格納するようにし、表示要求管理部は、ユーザ入力された表示要求を状況推定部に送って生成された表示要求送付情報を、当該情報に付与された表示要求満足性に従って送付先の自装置の表示情報管理部または他装置の表示要求管理部に送り、また、他装置からの自装置宛の表示要求送付情報を受領するよう動作し、表示情報管理部は、自装置に対応のセンサ装置で生成された表示情報を格納し、表示要求管理部から受け取った自装置で生成された表示要求送付情報の要求元が自装置である場合には格納した表示情報をユーザインタフェース画面で表示し、一方、他装置から受信した表示要求送付情報の表示要求満足性で表示情報必要性が肯定されている場合にのみ格納した表示情報を送付先加工済表示情報に生成して要求元の他装置へ送付し、さらに、他装置から自装置向けの送付先加工済表示情報を受領した場合にはその表示情報をユーザインタフェース画面で表示するよう動作し、制御要求管理部は、ユーザ入力された制御要求を状況推定部に送って生成された制御要求送付情報を、当該情報に付与された優先度に従って送付先が他装置の場合には対応する他装置の制御要求管理部へ送付し、一方、送付先が自装置の場合には自装置に対応のセンサ装置のセンサへ送付し、さらに他装置から自装置宛の制御要求送付情報を受信した場合には自装置に対応のセンサ装置のセンサへ送付するよう動作し、通信管理部は、他装置とネットワークを介して表示要求送付情報、制御要求送付情報、状況送付情報、表示情報、推定規則を送受信するよう動作するものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、複数の独立稼動型センサ装置がネットワーク上で自律協調型センサ装置として働くようにセンサ装置ごとに接続されるセンサネットワーク装置において、各センサネットワーク装置に全センサ装置の推定規則を同一内容にして共有保持させておき、また、観測範囲や精度などの各センサ装置の状況情報を周知させ、表示要求、制御要求の送信時に状況情報に基づいて推定規則に関するシミュレーションを実施し、自制御要求に対する他装置の受領、拒否の判断を予測し、拒否が予測される他装置への制御要求の送信を抑制し、表示要求についても同様な判断の予測により、拒否されると予測される他装置への表示要求の送信を抑制し、また、表示情報が役立たないと予測される他装置への表示情報の送信を抑制するようにしている。したがって、観測上有効な表示要求、制御要求、表示情報(観測情報)のみがネットワーク上で伝送されるよう通信量を抑制することができる。また、既存の独立稼動型センサ装置を自律協調型センサ装置に変更するに当たり、この発明のセンサネットワーク装置を接続する構成を適用すれば、簡単に改修できるため、改修費用および改修期間など改修規模も小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1によるセンサネットワーク装置を含むシステムの機能構成を示すブロック図である。
【図2】同実施の形態1に係る複数の独立稼動型センサ装置が連携する際のセンサネットワーク装置同士の接続事例を示すブロック図である。
【図3】同実施の形態1に係る状況推定部で生成される表示要求送付情報の構成を示す説明図である。
【図4】同実施の形態1に係る状況推定部で生成される制御要求送付情報の構成を示す説明図である。
【図5】同実施の形態1に係る状況推定部で生成される状況送付情報の構成を示す説明図である。
【図6】同実施の形態1に係るセンサネットワーク装置の各部が持つ機能一覧を示す説明図である。
【図7】同実施の形態1に係る表示要求からの動作を示すフローチャートである。
【図8】同実施の形態1に係る制御要求からの動作を示すフローチャートである。
【図9】同実施の形態1に係る状況変化からの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるセンサネットワーク装置を含むシステムの機能構成を示すブロック図である。
図において、独立稼動型センサ装置100は基本的に観測系102と表示操作系103の構成からなる。観測系102は、観測を担うセンサ部112と、センサ部112からの観測信号を表示用データへ加工処理する信号処理部113とを有する。一方、表示操作系103は、センサ部112を制御するためのユーザインタフェースを提供する操作部111と、信号処理部113からの表示用データを表示するためのユーザインタフェースを形成する表示部114とを有する。
【0012】
この発明のセンサネットワーク装置10は、独立稼動型センサ装置100ごとに接続される装置で、センサネットワーク装置10は、表示要求管理部11、制御要求管理部12、状況管理部13、表示情報管理部14、状況推定部15および通信管理部16を備えている。通信管理部16を除いた構成は、コンピュータ、記憶装置およびソフトウェアプログラムで構成することができるものである。
センサネットワーク装置10を独立稼動型センサ装置100に接続するための改修方法について説明する。まず、独立稼動型センサ装置100の接続の一部を解除してからセンサネットワーク装置10と接続する。当初、操作部111より出力されるセンサに対する制御要求はセンサ部112に入力される構成となっているが、該操作部111の出力はセンサネットワーク装置10の制御要求管理部12の入力として一旦与えられるようにし、この制御要求管理部12の出力がセンサ部112の入力として与えられるようにする。また、当初、信号処理部113からの表示用データの出力は表示部114に入力される構成となっているが、信号処理部113からの表示用データの出力はセンサネットワーク装置10の表示情報管理部14の入力として一旦与えられるようにし、この表示情報管理部14の出力は表示部114への入力として与えられるようにする。これにより、独立稼動型センサ装置100の改修は上記2接続の4箇所に限定して行うことができる。
【0013】
なお、制御要求管理部12の出力をセンサ部112の入力とし、信号処理部113の出力を表示情報管理部14の入力とするように、センサネットワーク装置10との接続を、観測系102のみに限定して行ってもよい。また、操作部111の出力を制御要求管理部12の入力とし、表示情報管理部14の出力を表示部114の入力とするように、センサネットワーク装置10との接続を、表示操作系103のみに限定し、あるいは表示操作系に相当するセンサ統制装置のみに接続としてもよい。これにより、独立稼動型センサ装置100の改修は2接続の2箇所に限定して行うことができる。
【0014】
独立稼動型センサ装置は、他の独立稼動型センサ装置と連携する場合には、それぞれに接続されたセンサネットワーク装置(以下「他装置」と略記する)を介して通信により接続される形態を採る。この事例を図2に示す。図2では、2つの独立稼動型センサ装置100A、100Bを1対1で接続した場合を示す。独立稼動型センサ装置100Aにセンサネットワーク装置10Aが接続され、同様に独立稼動型センサ装置100Bにセンサネットワーク装置10Bが接続されている。この両者は、それぞれの通信管理部16A,16Bを介して接続される。独立稼動型センサ装置が3つ以上となった場合にも、それぞれのセンサネットワーク装置の通信管理部を介して接続される形態をとることなる。このように、従来型の独立稼動型センサ装置にこの発明のセンサネットワーク装置を接続することにより以下に述べるような自律協調型センサ装置とすることができる。
【0015】
センサネットワーク装置を構成している各部は、図6の一覧に示されるような機能を持つが、これら各部の機能について次に説明する。
表示要求管理部11の機能説明:
表示要求管理部11は、独自のユーザインタフェースを有し、「表示要求受領」、「表示要求通信抑制」、「表示要求内部送付」、「表示要求送信」および「表示要求受信」の5つの機能を有する。
「表示要求受領」は、独自のユーザインタフェースを通じて入力される表示要求を受領し、全センサの表示要求を蓄えておくデータベースに格納する機能である。表示要求は、図3に例示されるように、要求元、表示範囲、表示属性、表示詳細度を含むデータ構成を持つ。
「表示要求通信抑制」は、受領した表示要求を状況推定部15に渡し、状況推定部15で生成された表示要求送付情報を受領する機能である。表示要求送付情報は、図3に示されるように、表示要求自身に加え、表示要求送付必要性、表示情報必要性、送付先を含む。ここで、表示要求送付必要性とは、上記表示要求を、他装置の表示要求管理部へ送付する必要性の有無を示すものである。また、表示情報必要性とは、上記表示要求に対応する表示情報を獲得する必要性の有無を示すものである。さらに、送付先とは、表示要求を送付する相手装置(他装置)の識別子である。
【0016】
「表示要求内部送付」は、上記表示要求送付情報において、表示情報必要性が肯定され、送付先が自装置である場合に、上記表示要求を表示情報管理部14へ送付する機能である。
「表示要求送信」は、上記表示要求送付情報において、表示情報必要性が肯定され、送付先が他装置である場合に、通信管理部16を通じて上記表示要求を対応する他装置の表示要求管理部へ送付する機能である。
「表示要求受信」は、他装置の表示要求送信機能により送られて来た、自装置を送付先とした表示要求を、通信管理部16を通じて受領する機能である。
【0017】
制御要求管理部12の機能説明:
制御要求管理部12は、独自のユーザインタフェースを有し、独立稼動型センサ装置100のセンサ部112と制御のための接続を有し、「制御要求受領」、「制御要求通信抑制」、「制御要求内部送付」、「制御要求送信」および「制御要求受信」の5つの機能を有する。独立稼動型センサ装置100の操作部111との接続を有することもできる。
「制御要求受領」は、上記インタフェースを通じて入力される制御要求を受領し、全センサの制御要求を蓄えておくデータベースに格納する機能である。制御要求は、図4に示されるように、要求元、制御センサ(制御対象とするセンサの識別子)、該センサに指示するための、制御時刻、観測範囲(指向範囲や距離範囲等)、観測属性、観測詳細度を含むデータ構成を持つ。この制御要求受領機能は、独立稼動型センサ装置100の操作部111との接続を通じて行う、独立稼動型センサ装置100自身に対する制御要求をも受領することができる。これにより、センサネットワーク装置10の接続後も、独立稼動型センサ装置100を従来通りに使用可能としている。
「制御要求通信抑制」は、状況推定部15に制御要求を渡し、状況推定部15で生成された制御要求送付情報を受領する機能である。制御要求送付情報は、図4に例示されるように、制御要求自身に加え、制御要求送付必要性、送付先を含むデータ構成を持つ。制御要求送付必要性とは、制御要求を、他装置の制御要求管理部へ送付する必要性の有無を示すものである。送付先は、例えば、制御要求を送付する他装置の識別子である。
【0018】
「制御要求内部送付」は、制御要求送付情報において、送付先が自センサ装置である場合には、その制御要求を独立稼動型センサ装置100のセンサ部112へ、その接続を通じて送付する機能である。
「制御要求送信」は、上記制御要求送付情報において、送付先が他装置である場合に、通信管理部16を通じてその制御要求を該他装置の制御要求管理部へ送付する機能である。
「制御要求受信」とは、他装置の制御要求送信機能により送られて来た、自装置を送付先とした制御要求を、通信管理部16を通じて受領し、データベースに格納する機能である。
【0019】
状況管理部13の機能説明:
状況管理部13は、ユーザインタフェースを有し、「状況設定」、「状況通信抑制」、「状況送信」および「状況受信」の4つの機能を有する。また、「状況計測」の機能を有することもできる。
「状況設定」は、上記ユーザインタフェースを通じて入力される状況情報を受領し、全センサの状況を蓄えておくデータベースに格納する機能である。ここで、状況情報とは、独立稼動型センサ装置の位置、速度、加速度、センサの覆域、精度など、観測において前提となるセンサの諸状況を指す。
「状況通信抑制」は、自装置10に接続された独立稼動型センサ装置100の状況情報を状況推定部15に送付し、状況推定部15で生成された状況送付情報を受領する機能である。状況送付情報は、図5に例示されるように、送付用加工済状況情報、当該送付用加工済状況情報の送付元(自装置の識別子)および送付先(他装置の識別子)を含む構成を持つ。送付用加工済状況情報は、図5に示すように、センサ識別子、センサ観測諸元、センサ運動諸元、環境情報を含む構成である。
【0020】
「状況送信」は、状況送付情報において、送付先が他装置である場合に、その状況送付情報を通信管理部16を通じて該他装置の状況管理部へ送付する機能である。
「状況受信」は、他装置の状況送信機能により送付され、自装置を送付先とした状況送付情報を、通信管理部16を通じて受領し、自センサ装置100の状況情報と共にデータベースに格納する機能である。なお、受信機能により、通信管理部16に設けたセンサ情報複写送付機能による表示要求送付情報および制御要求送付情報のコピーを受信して、これら情報より状況情報を生成し、ユーザ入力や直接受信して設定する状況情報の代わりとしてもよい。
また、「状況計測」は、GPS等の計測手段を有することにより、独立稼動型センサ装置100の位置、速度、加速度、現在の時刻などを計測する機能である。この計測データを基に変化に対応した状況情報を生成する。これをユーザ入力する状況情報の代わりに用いることで、センサ装置の状況変化に追随できるようになる。
【0021】
表示情報管理部14の機能説明:
表示情報管理部14は、情報を表示する独自のユーザインタフェースを有し、「表示情報受領」、「表示」、「表示情報送信」および「表示情報受信」の4つの機能を有する。独立稼動型センサ装置100の表示部114との接続を有することもできる。
「表示情報受領」は、独立稼動型センサ装置100の信号処理部113との接続を通じて、観測情報を信号処理部113で処理加工して得られる表示情報を受領し、全センサの表示情報を蓄えておくデータベースに格納する機能である。表示情報は、独立稼動型センサ装置が例えばレーダ装置である場合には、観測したレーダプロットの位置および誤差、レーダプロットから作成したトラックレットや航跡を含む情報で、一般にセンサ装置の観測情報として捉えることができる。
「表示」は、表示情報管理部14に格納した表示情報を、独自のユーザインタフェースの画面に表示する機能である。また、表示情報を独立稼動型センサ装置100の表示部114への接続を通じて送付し、該表示部114で表示させるようにしてもよい。これにより、センサネットワーク装置10の接続後も、独立稼動型センサ装置100は従来通りに使用可能となる。
【0022】
「表示情報送信」は、表示要求管理部11から表示要求送付情報(図3参照)を受け、その中において送付先が他装置であった場合で表示情報必要性が肯定されている場合にのみ、上記格納した表示情報を送付先に合わせて送付先加工済表示情報に生成し、この送付先加工済表示情報を通信管理部16を通じて対応する他装置の表示情報管理部へ送付する機能である。この場合の送付先加工済表示情報は、送付先の位置や速度を考え、自己が見ている目標が送付先からはどのように見えるかを計算し、その計算結果を表すもので、表示情報を送付先の座標に変換したものとなる。
「表示情報受信」は、他装置の表示情報送信機能によって送付されて来た、自装置を送付先とした送付先加工済表示情報を通信管理部16を通じて受領し、他装置側の表示情報としてデータベースに格納する機能である。
【0023】
状況推定部15の機能説明:
状況推定部15は、「推定規則同期」、「制御要求評価」、「表示要求評価」および「状況変化評価」の4つの機能を基本的に持つ。また、これらに加えて「状況推定」、「制御要求生成」の機能を持つことができるようにしてもよい。
「推定規則同期」は、通信管理部16を通じて、他装置の状況推定部と、自他装置が接続されたそれぞれのセンサ装置に関する推定規則(コンピュータ・シミュレーション上のセンサのモデルと等価)を予めあるいは定期的に交換し合い、他装置と同一内容にして共有保持する機能である。なお、自装置に接続されたセンサ装置に関する推定規則は、当初、ユーザインタフェースを設けてユーザが直接入力することにより状況推定部15で受領されると共に、通信管理部16を通じて他装置の状況推定部へ配信される。
【0024】
ここで、推定規則は、上記「制御要求評価」、「表示要求評価」および「状況変化評価」の機能を実行するための、それぞれの機能に対応する制御要求評価規則、表示要求評価規則および状況変化評価規則からなる。また、状況推定部15が上記「状況推定」、「制御要求生成」の機能を持つ場合には、推定規則は、これら機能に対応する状況推定規則、制御要求生成規則も含むことになる。
ここで、制御要求評価規則とは、入力される制御要求(図4参照)と状況情報とに基づいて、制御要求に優先度を付与する規則である。表示要求評価規則とは、入力される表示要求(図3参照)と状況情報とに基づいて、表示要求に表示要求満足性を付与する規則である。ここで言う表示要求満足性とは、表示要求の満足に対する肯定あるいは否定のいずれかである。満足される場合には送付先に自装置もしくは他装置の識別子を含む。状況変化評価規則とは、入力される自装置に対応するセンサ装置の変化が認められた状況情報に基づいて、ネットワークに接続された他装置のすべてを送付先とする送付用加工済状況情報(図5参照)を生成する規則である。
また、状況推定規則とは、状況情報、表示要求および制御要求に基づいて、将来の状況情報を推定により生成する規則である。また、制御要求生成規則とは、表示要求と状況情報に基づいて、制御要求を生成する規則である。
【0025】
上記各規則が適用される事例について説明する。
複数のセンサ装置A,B,Cがそれぞれこの発明のセンサネットワーク装置を接続してネットワーク化されており、センサ装置Aが目標Xを検出し、センサ装置B,Cで目標Xの情報を共有したとする。目標Xは、間もなくセンサ装置Aから見える範囲を離れ、センサ装置Bから見える範囲に入ろうとしている。この発明のセンサネットワーク装置を備えている場合、センサ装置Bは指示を待たずにセンサ装置Aから目標Xの情報を受領できるため、追尾の準備を整えることができる。
センサ装置Aは、目標Xが他のセンサ装置から見える範囲に入るかどうか、それによっていずれかのセンサ装置に対して制御要求を出すべきかどうか、その制御要求はそのセンサ装置で模擬可能な入力情報から判定できるものか、を判定する制御要求評価規則を持っている。また、センサ装置Aは、センサ装置Bが表示要求を出してくるかどうか、換言するとセンサ装置Aがセンサ装置Bの表示要求を満たすような精度の情報を持っているかどうかを判定する表示要求評価規則を持っている。また、センサ装置Aは、自分の状況が変化しているかどうかを判定してセンサ装置Bに合わせて加工する状況変化評価規則を持っている。さらに、センサ装置Bは、目標Xを自分が見るべきかどうかを判定する表示要求評価規則を持っている。
また、センサ装置Bは、自分から見える範囲に入るかどうか、これに関してセンサ装置Aがどのような制御要求を生成するかを推定する制御要求生成規則を持っている。この制御要求生成規則は無くてもシステムは成立するが、あれば制御要求が来る場合にも、制御の内容を推定することで通信を制御するシステムとなる。また、センサ装置Aの状況が変化するかどうか、どんな変化をするかを推定する状況推定規則を持っている。この状況推定規則は無くてもシステムは成立するが、状況変化は必ず送信されることになる。
【0026】
「制御要求評価」は、制御要求管理部12から受領した制御要求と状況管理部13から受領した状況情報とに基づいて上記制御要求評価規則に関するシミュレーションを行って、制御要求に優先度を付与した制御要求送付情報(図4参照)を生成して制御要求管理部12へ送付する機能である。同じ装置を送付先とし、同じ時間帯を制御対象時刻に持つ制御要求について、優先度が最優先である制御要求に対しては、制御要求送付必要性を肯定とした制御要求送付情報を生成する。優先度が最優先でない制御要求に対しては、制御要求送付必要性を否定とした制御要求送付情報を生成する。
【0027】
「表示要求評価」は、表示要求管理部11から受領した表示要求と状況管理部13から受領した状況情報とに基づいて上記表示要求評価規則に関するシミュレーションを行って、表示要求に表示要求満足性を付与した表示要求送付情報(図3参照)を生成して表示要求管理部11へ送付する機能である。他装置の参加によって表示要求満足性が肯定となっている場合には、表示要求送付必要性を肯定とし、上記他装置を送付先とした表示要求送付情報を生成する。自装置のみによって表示要求満足性が肯定となっている場合には、表示要求送付必要性を否定とした表示要求送付情報を生成する。表示要求満足性が否定となっている場合には、表示要求送付必要性を否定とした表示要求送付情報を生成する。
「状況変化評価」は、状況管理部13から受領した状況情報に基づいて上記状況変化評価規則に関するシミュレーションを行って、変化が認められた状況情報から送付用加工済状況情報を生成し、ネットワークに接続された他装置のすべてを送付先とする状況送付情報(図5参照)にして状況管理部13へ送る機能である。
【0028】
また、「状況推定」は、状況管理部13から受領した状況情報に基づいて上記状況推定規則に関するシミュレーションを行って、将来時刻における状況情報を生成する機能である。これにより、通信量を時間的に分散させて、単位時間あたりの通信量を削減できる。
また、「制御要求生成」は、表示要求管理部11から受領した表示要求と状況管理部13から受領した状況情報に基づいて上記制御要求評価規則に関するシミュレーションを行って、制御要求を生成する機能である。これにより、制御要求の通信を削減できる。
【0029】
通信管理部16の機能説明:
通信管理部16は、「通信」および「センサ情報複写送付」の2つの機能を有する。
「通信」は、送付先に従い他装置の通信管理部へセンサ情報を送信し、自装置を送付先とする他装置の通信管理部からのセンサ情報を受信する機能である。ここで、センサ情報とは、表示要求管理部11を送付元あるいは送付先とする表示要求送付情報、制御要求管理部12を送付元あるいは送付先とする制御要求送付情報、状況管理部13を送付元あるいは送付先とする状況送付情報、表示情報管理部14を送付元あるいは送付先とする表示情報、状況推定部15を送付元あるいは送付先とする推定規則の少なくともいずれかを、送受信のタイミングにおいて含むものである。また、送受信のパッケージ化に関する機能を含むこともできる。すなわち、同一の他装置への複数種類のセンサ情報をパッケージにして送付し、同一の他装置からのそのようなパッケージを、センサ情報の種類に応じた宛先に振り分けて送付する機能である。
「センサ情報複写送付」は、通信管理部16を通じて送信され、あるいは受信される、表示要求送付情報、送付先加工済表示情報および制御要求送付情報をコピーして、状況情報を生成するために状況管理部13に対して送付する機能である。
【0030】
次に、センサネットワーク装置の全体動作について説明する。動作は、(1)規則同期動作、(2)表示要求からの動作、(3)制御要求からの動作、(4)状況変化からの動作の4つからなる。
規則同期動作
状況推定部15の推定規則同期機能と、通信管理部16の通信機能によって、他装置から推定規則、すなわち制御要求評価規則、表示要求評価規則、状況変化評価規則、その他必要に応じて状況推定規則、制御要求生成規則を獲得する。他装置が存在していない状態であれば、状況推定部15のインタフェースを通じてユーザから推定規則の設定を受領する。規則同期動作は定期的に実施させることもできる。これにより、推定規則の同一性を用いて通信量を削減することができる。
【0031】
表示要求からの動作
図7に示すフローチャートに従って説明する。まず、表示要求管理部11では、ユーザインタフェースにより表示要求IR1が入力されると、表示要求受領機能によりこの表示要求IR1を獲得し(ステップST701)、続いて表示要求通信抑制機能により、該表示要求IR1を状況推定部15へと送付する(ステップST702)。状況推定部15では、表示要求評価機能により、表示要求管理部11から受領した表示要求IR1と状況管理部13から受領した状況情報に基づいて、表示要求評価規則に関するシミュレーションを行って、表示要求満足性を付与した表示要求送付情報IRS1を生成し、表示要求管理部11へ送付する(ステップST703)。
【0032】
表示要求管理部11では、状況推定部15で生成された表示要求送付情報IRS1の送付先が他装置であって、かつ表示要求満足性で制御要求送付必要性が肯定されている場合にのみ、表示要求送信機能により、送付先である他装置の表示要求管理部へ送付する(ステップST704)。一方、表示要求送付情報IRS1の送付先が自装置である場合には、表示要求内部送付機能により、表示情報管理部14へ送付される(ステップST706)。また、表示要求管理部11では、他装置から自装置宛の表示要求送付情報IRS2の送付を受けた場合には、これを表示要求受信機能によって獲得し(ステップST705)、表示要求内部送付機能によって表示情報管理部14へ送付する(ステップST706)。
【0033】
表示情報管理部14では、表示情報受領機能により、独立稼動型センサ装置100の信号処理部113からの観測情報である表示情報DS1を獲得して格納する(ステップST711)。表示要求管理部11から、状況推定部15で生成された自装置宛の表示要求送付情報IRS1を受領した場合には、表示情報管理部14は表示機能により、上記格納した表示情報DS1を自らのユーザインタフェースの画面または独立稼動型センサ装置100の表示部114で表示する(ステップST712)。一方、他装置からの表示要求送付情報IRS2を受信した場合であって、表示要求満足性で表示情報必要性が肯定されている場合には、上記格納した表示情報DS1を表示情報送信機能によって送付先加工済表示情報ODS1に生成して表示要求送付情報IRS2の要求元の他装置の表示情報管理部へ送付する(ステップST713)。このことにより表示情報の送信量を抑制することができる。さらに、他装置から送信されてきた送信先加工済表示情報ODS2については、表示情報受信機能によって受信し(ステップST714)、表示機能によって自装置のユーザインタフェースの画面または独立稼動型センサ装置100の表示部114で表示する(ステップST712)。
【0034】
(3)制御要求からの動作
図8に示すフローチャートに従って説明する。制御要求管理部12では、自らのユーザインタフェースまたは操作部111からのユーザ入力による制御要求CR1を制御要求受領機能により獲得し(ステップST801)、制御要求通信抑制機能により当該制御要求CR1を状況推定部15へと送付する(ステップST802)。状況推定部15では、制御要求評価機能により、制御要求管理部12から受領した制御要求CR1と状況管理部13から受領した状況情報に基づいて制御要求評価規則に関するシミュレーションを行って、優先度を付与した制御要求送付情報CRS1を生成し、制御要求管理部12へ送付する(ステップST803)。制御要求管理部12では、受領した制御要求送付情報CRS1を、その優先度に従って送付先が他装置の場合には、制御要求送信機能により他装置の制御要求管理部へ送付する(ステップST804)。また、制御要求管理部12では、他装置からの制御要求送付情報CRS2を制御要求受信機能によって受信する(ステップST805)。この受信した制御要求送付情報CRS2、あるいは自装置からの送付先が自センサ装置である制御要求送付情報CRS1は、制御要求内部送付機能によって自装置が接続されている独立稼動型センサ装置100のセンサ部112へ送付され(ステップST806)、センサ制御を行う。
【0035】
(4)状況変化からの動作
図9に示すフローチャートに従って説明する。状況管理部13では、まず、基本的なルートとして、状況設定機能により、自己のユーザインタフェースにより入力された自装置に対応するセンサ装置の状況情報を受領し設定する(ステップST901)。また、受信機能により、他装置の状況管理部からの送付用加工済状況情報STS1を受信する(ステップST903)。状況管理部13は、このようにして設定した状況情報を、状況通信抑制機能により、状況推定部15へ送付する(ステップST905)。状況推定部15では、状況変化評価機能により、状況管理部13から送付されてきた状況情報に基づいて、状況変化評価規則に関するシミュレーションを行って、変化が認められた状況情報から図5に示したようなデータ構成の送付用加工済状況情報STS2を生成し(ステップST906)、状況管理部13へ送付する(ステップST907)。また、状況推定部15は、他装置から受信した送付用加工済状況情報STS1を、表示要求から表示要求送付情報IRS4を生成する表示要求評価機能(ステップST908)、および制御要求から制御要求送付情報IRS4を生成する制御要求評価機能に用いる(ステップST909)。
【0036】
また、状況情報を入手する方法として、通信管理部16のセンサ情報複写送付機能(ステップST902)によって与えられる表示要求送付情報IRS3および制御要求送付情報CRS3を状況管理部13で受信し(ステップST903)、これらの情報から状況情報を生成という方法を用いてもよい。あるいは、状況管理部13に設けたGPS等の状況計測機能により、センサ装置の位置、速度、加速度、現在の時刻などを計測し(ステップST904)、この計測データを基に変化に対応した状況情報を生成する方法を用いてもよい。
【0037】
以上のように、この実施の形態1によれば、複数の独立稼動型センサ装置がネットワーク上で自律協調型センサ装置として働くようにセンサ装置ごとにセンサネットワーク装置を接続し、各センサネットワーク装置に全センサ装置の推定規則を同一内容にして共有保持させておき、また、観測範囲や精度などの各センサ装置の状況情報を周知させ、表示要求、制御要求の送信時に状況情報に基づいて推定規則に関するシミュレーションを実施し、自制御要求に対する他装置の受領、拒否の判断を予測し、拒否が予測される他装置への制御要求の送信を抑制し、表示要求についても同様な判断の予測により、拒否されると予測される他装置への表示要求の送信を抑制し、また、表示情報が役立たないと予測される他装置への表示情報の送信を抑制するようにしている。したがって、観測上有効な表示要求、制御要求、表示情報(観測情報)のみがネットワーク上で伝送されるよう通信量を抑制することができる。また、既存の独立稼動型センサ装置を自律協調型センサ装置に変更するに当たり図1に示したようにセンサネットワーク装置を接続する構成を適用すれば、簡単に改修できるため、改修費用および改修期間など改修規模も小さくできる。
【符号の説明】
【0038】
10 センサネットワーク装置、11 表示要求管理部、12 制御要求管理部、13 状況管理部、14 表示情報管理部、15 状況推定部、16 通信管理部、100 独立稼動型センサ装置、102 観測系、103 表示操作系、111 操作部、112 センサ部、113 信号処理部、114 表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる位置に配置される複数の独立稼動型センサ装置のそれぞれに組み込まれるかあるいは隣接して有線接続され、かつ相互をネットワークを介して接続することにより、任意の1または複数台により、各センサ装置で観測された表示情報を収集して融合表示するセンサネットワーク装置であって、
表示要求管理部、制御要求管理部、状況管理部、表示情報管理部、状況推定部および通信管理部を備え、
前記状況推定部は、自他装置が接続されたそれぞれのセンサ装置に関する推定規則を予めあるいは定期的に交換し合い他装置と同一内容にして共有保持し、前記推定規則に関するシミュレーションを行うことにより、表示要求については表示要求満足性を付与した表示要求送付情報を、センサに対する制御要求については優先度を付与した制御要求送付情報を、また、センサ装置の状況情報については変化が認められた場合にすべての送付先への状況送付情報を生成するよう動作し、
前記状況管理部は、ユーザ入力によるセンサ装置に関する状況情報を格納すると共に、当該状況情報を前記状況推定部に送って生成された状況送付情報をネットワークに接続された他装置のそれぞれに送付し、また、他装置から送付された自装置宛て状況送付情報を受領して格納するよう動作し、
前記表示要求管理部は、ユーザ入力された表示要求を前記状況推定部に送って生成された表示要求送付情報を、当該情報に付与された表示要求満足性に従って送付先の自装置の表示情報管理部または他装置の表示要求管理部に送り、また、他装置からの自装置宛の表示要求送付情報を受領するよう動作し、
前記表示情報管理部は、自装置に対応のセンサ装置で生成された表示情報を格納し、前記表示要求管理部から受け取った自装置で生成された表示要求送付情報の要求元が自装置である場合には前記格納した表示情報をユーザインタフェース画面で表示し、一方、他装置から受信した表示要求送付情報の表示要求満足性で表示情報必要性が肯定されている場合にのみ前記格納した表示情報を送付先加工済表示情報に生成して要求元の他装置へ送付し、さらに、他装置から自装置向けの送付先加工済表示情報を受領した場合にはその表示情報をユーザインタフェース画面で表示するよう動作し、
前記制御要求管理部は、ユーザ入力された制御要求を前記状況推定部に送って生成された制御要求送付情報を、当該情報に付与された優先度に従って送付先が他装置の場合には対応する他装置の制御要求管理部へ送付し、一方、送付先が自装置の場合には自装置に対応のセンサ装置のセンサへ送付し、さらに他装置から自装置宛の制御要求送付情報を受信した場合には自装置に対応のセンサ装置のセンサへ送付するよう動作し、
前記通信管理部は、他装置とネットワークを介して表示要求送付情報、制御要求送付情報、状況送付情報、表示情報、推定規則を送受信するよう動作することを特徴とするセンサネットワーク装置。
【請求項2】
状況推定部は、
制御要求管理部から受領した制御要求と状況管理部から受領した状況情報とに基づいて、推定規則を制御要求評価規則としたシミュレーションを行って、制御要求に優先度を付与した制御要求送付情報を生成し、
表示要求管理部から受領した表示要求と前記状況管理部から受領した状況情報とに基づいて、推定規則を表示要求評価規則としたシミュレーションを行って、表示要求に表示要求満足性を付与した表示要求送付情報を生成し、
前記状況管理部から受領した状況情報に基づいて、推定規則を状況変化評価規則としたシミュレーションを行って、変化が認められた状況情報から送付用加工済状況情報を生成してネットワークに接続された他装置のすべて宛の状況送付情報を生成することを特徴とする請求項1記載のセンサネットワーク装置。
【請求項3】
状況推定部は、推定規則として状況推定規則を持ち、状況管理部から受領した状況情報、表示要求管理部から受領した表示要求および制御要求管理部から受領した制御要求に基づいて、前記状況推定規則に関するシミュレーションを行って将来時刻における状況情報を生成することを特徴とする請求項2記載のセンサネットワーク装置。
【請求項4】
状況推定部は、推定規則として制御要求生成規則を持ち、状況管理部から受領した状況情報および表示要求管理部から受領した表示要求に基づいて、前記制御要求生成規則に関するシミュレーションを行って制御要求を生成することを特徴とする請求項2または請求項3記載のセンサネットワーク装置。
【請求項5】
通信管理部は、他装置との間で送信あるいは受信する表示要求送付情報および制御要求送付情報をコピーして状況管理部に送付し、
前記状況管理部は、状況情報をユーザ入力や直接受信して設定する代わりに、前記通信管理部から送付された表示要求送付情報および制御要求送付情報から状況情報を生成し設定するようにしたことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載のセンサネットワーク装置。
【請求項6】
状況管理部は、センサ装置の位置、速度、加速度、現在の時刻を含む情報を計測する計測手段を有し、計測データを基に状況情報を生成することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載のセンサネットワーク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−281683(P2010−281683A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135185(P2009−135185)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】