説明

センサプローブおよびその組み立て方法

【課題】センサ組み立て体内の電磁放射を低下させ、信号強度の低下を防止する。
【解決手段】センサ組立体110内で使用するセンサプローブ202は、少なくとも1つのマイクロ波信号から少なくとも1つの前方伝播電磁場224を生成し、少なくとも1つの後方伝播電磁場228を生成するように構成された放射体206と、放射体に結合されたデータ管路204からなり、データ管路204周りにほぼ円周方向に延び、センサ組立体内の電磁放射を大幅に低下させるように構成された接地導体を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で説明される実施形態は、一般に、電力システムに関し、より詳細には、センサ組立体(sensor assembly)の中で使用するセンサプローブおよびセンサプローブを組み立てる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
少なくともいくつかの知られている発電システムは、時間が経つと損傷または損耗する可能性のある少なくとも1つの構成要素を含む。例えば、少なくともいくつかの知られている発電システムは、時間が経つと損耗する軸受、歯車、および/または回転翼などの構成要素を含む、タービンなどの機械を含む。損耗した構成要素を伴った動作を継続すると、他の構成要素に付加的な損傷をもたらすか、または構成要素もしくはシステムに早期故障を引き起こす可能性がある。
【0003】
機械内の構成要素の損傷を検出するために、少なくともいくつかの知られている機械の動作が、監視システム(monitoring system)で監視される(be monitored)。少なくともいくつかの知られている監視システムは、機械構成要素の振動および/または相対位置を測定するために、近接センサおよび/またはマイクロ波放射体を使用するセンサプローブを含んでよいセンサ組立体を使用する。より具体的には、少なくともいくつかの知られているセンサプローブ内に、少なくとも1つのマイクロ波信号から少なくとも1つの前方伝播電磁場(forward propagating electromagnetic field)を生成するために、放射体が使用される。機械構成要素は、前方伝播電磁場と相互に影響し合うときに、測定および/または監視されうる。より具体的には、構成要素と前方伝播電磁場との間の相互作用によって、負荷(loading)が放射体に誘導される。そのようなシステム内で、センサプローブが、放射体に誘導された負荷に基づいて近接性測定値(proximity measurement)を生成する信号処理装置と、データ管路(data conduit)を介して結合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0061421号明細書
【発明の概要】
【0005】
そのようなセンサ組立体が、一般に、かなり正確な近接性測定値をもたらすことができる一方で、センサ組立体の種々の構成要素を接続する管路が、少量の電磁放射を放出する可能性がある。例えば、放射体は、少なくとも1つの後方伝播電磁場(backward propagating electromagnetic field)を生成する。そのため、電磁放射が放射体から放出され、それにより、組立体を通って流れる副次的電流(extraneous current)によって、センサ組立体が電磁放射を放出する。インピーダンスレベルが、放射体、データ管路および信号処理装置の間で変化するとき、少なくとも1つのコモンモード電流が生成されて、構成要素間を流れる。さらに、構成要素のインピーダンスレベルにおける変動が、管路に伝達される電磁ポテンシャルをもたらし、管路が電磁波を放射する要因となる。センサ組立体内でそのような電磁放射を放出することは、センサ組立体内のエネルギーが大幅に低下する要因となり、そのことが、放射体によって生成される信号強度が低下するという結果をもたらす。低下した信号強度は、センサ組立体の精度を、不都合に制限する。
【0006】
一実施形態では、センサ組立体の中で使用するセンサプローブを組み立てる方法が、提供される。方法は、少なくとも1つのマイクロ波信号から少なくとも1つの前方伝播電磁場を生成するように、かつ少なくとも1つの後方伝播電磁場を生成するように構成された放射体を設けるステップを含む。データ管路が、放射体に結合される。さらに、データ管路周りにほぼ円周方向に延びる接地導体(ground conductor)が、設けられる。接地導体は、センサ組立体内の電磁放射を大幅に低下させるように構成される。
【0007】
別の実施形態では、センサ組立体内で使用するセンサプローブが、提供される。センサプローブは、少なくとも1つのマイクロ波信号から少なくとも1つの前方伝播電磁場を生成するように構成された放射体を含む。また、放射体は、少なくとも1つの後方伝播電磁場を生成するように構成される。センサプローブは、放射体に結合されたデータ管路を含む。さらに、センサプローブは、データ管路周りにほぼ円周方向に延びる接地導体を含む。接地導体は、センサ組立体内の電磁放射を大幅に低下させるように構成される。
【0008】
さらに別の実施形態では、センサ組立体が提供される。センサ組立体は、少なくとも1つのマイクロ波信号から少なくとも1つの前方伝播電磁場を生成するように構成された放射体を含む、少なくとも1つのセンサプローブを含む。また、放射体は、少なくとも1つの後方伝播電磁場を生成するように構成される。センサプローブは、放射体に結合されるデータ管路を含む。さらに、センサプローブは、データ管路周りにほぼ円周方向に延びる接地導体を含む。接地導体は、センサ組立体内の電磁放射を大幅に低下させるように構成される。さらに、センサ組立体は、センサプローブに結合された信号処理装置を含む。信号処理装置は、放射体に誘導された負荷に基づいて近接性測定値を生成するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】例示的電力システムのブロック図である。
【図2】図1に示す電力システムと共に使用されうる例示的センサ組立体のブロック図である。
【図3】図2に示すセンサ組立体と共に使用されうる例示的センサプローブの、領域3に沿って取られた断面図である。
【図4】図3に示すセンサプローブを組み立てる例示的方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書で説明する例示的装置および方法は、監視システムおよび/または構成要素の中で使用される、知られているセンサ組立体に付随する少なくともいくつかの不利点を克服する。特に、本明細書で説明する実施形態は、信号強度が維持されるように、センサ組立体内の電磁放射を大幅に低下させることを促進するセンサプローブを含むセンサ組立体を提供する。センサプローブは、放射体に結合されたデータ管路周りにほぼ円周方向に延びる接地導体を含む。放射体によって生成された少なくとも1つの後方伝播電磁場が、接地導体に反射されて、放射体によって生成された前方伝播電磁場と相互に影響し合う。前方伝播電磁場と後方伝播電磁場との間のこの相互作用は、センサ組立体内の電磁放射を大幅に低下させる。さらに、接地導体がまた、放射体および/またはデータ管路によって生成されたコモンモード電流など、副次的電流を地面(ground)に流し、センサ組立体内の電磁放射を低下させることを促進する。
【0011】
図1は、機械102を含む例示的電力システム100を示す。例示的実施形態では、機械102は、風力タービン、水力発電タービン、ガスタービン、または圧縮機であってよいが、それらのみに限定はされない。あるいは、機械102は、電力システム内で使用される任意の他の機械であってよい。例示的実施形態では、機械102は、発電機などの負荷106に結合された駆動軸104を回転させる。
【0012】
例示的実施形態では、駆動軸104が、機械102および/または負荷106内に収容された1つまたは複数の軸受(図示せず)によって、少なくとも部分的に支持される。代わりに、または加えて、軸受が、歯車箱などの個別の支持構造108内に、または電力システム100を本明細書で説明するように機能させうる任意の他の構造もしくは構成要素内に、収容されてよい。
【0013】
例示的実施形態では、電力システム100は、機械102、駆動軸104、負荷106、および/または電力システムの100任意の他の構成要素における少なくとも1つの動作状態を測定および/または監視する、少なくとも1つのセンサ組立体110を含む。より具体的には、例示的実施形態では、センサ組立体110は、駆動軸104とセンサ組立体110との間で定められる隔たり(distance)(図1に示さず)の測定および/または監視に使用するために、駆動軸104に極めて接近して設置された近接センサ組立体110である。あるいは、センサ組立体110は、システム100を本明細書で説明するように機能させうる、機械102の任意の他のパラメータを測定および/または監視するための、任意の種類のセンサ組立体であってよい。
【0014】
例示的実施形態では、センサ組立体110は、マイクロ波信号を使用して、電力システム100の構成要素の、センサ組立体110に対する近接性を測定する。本明細書で使用するように、用語「マイクロ波」は、約300メガヘルツ(MHz)と約300ギガヘルツ(GHz)との間に1つまたは複数の周波数を有する信号を、受信および/または送信する信号または構成要素を意味する。あるいは、センサ組立体110は、電力システム100の任意の他の構成要素を測定および/または監視してよく、かつ/または電力システム100を本明細書で説明するように機能させうる任意の他のセンサ組立体または変換器組立体であってよい。さらに、例示的実施形態では、各センサ組立体110は、電力システム100内の任意の場所に設置される。さらに、例示的実施形態では、少なくとも1つのセンサ組立体110が、センサ組立体110によって生成された1つまたは複数の信号の処理および/または分析に使用するために、診断システム112に結合される。
【0015】
動作中、例示的実施形態では、機械102の動作が、駆動軸104など、電力システム100の1つまたは複数の構成要素に、少なくとも1つのセンサ組立体110に対する相対位置を変化させる要因となる可能性がある。例えば、構成要素に振動が誘発される可能性があり、かつ/または電力システム100内の動作温度が変化するのにつれて、構成要素が膨脹もしくは収縮する可能性がある。例示的実施形態では、センサ組立体110は、静的近接性(static proximity)、および/または振動的近接性(vibration proximity)、および/または各センサ組立体110に対する構成要素の相対位置など、近接性を測定および/または監視し、測定した構成要素の近接性および/または位置(以後、「近接性測定値信号」と呼ぶ)を代表する信号を、処理および/または分析のために診断システム112に送信する。
【0016】
図2は、電力システム100(図1に示す)と共に使用されうる例示的センサ組立体110の概略図である。例示的実施形態では、センサ組立体110は、信号処理装置200と、データもしくは信号の管路204を介して信号処理装置200に結合されたセンサプローブ202とを含む。さらに、例示的実施形態では、プローブ202は、プローブ筐体208に結合され、かつ/またはプローブ筐体208内に設置された、放射体206を含む。より具体的には、例示的実施形態では、プローブ202は、マイクロ波放射体206を含むマイクロ波センサプローブ202である。そのため、例示的実施形態では、放射体206は、マイクロ波周波数範囲内にある少なくとも1つの共振周波数を有する。より具体的には、例示的実施形態では、放射体206は、3.3GHzの周波数で動作している。あるいは、放射体206は、センサ組立体110およびシステム100を本明細書で説明するように機能させうる任意の他の周波数レベルで動作してよい。
【0017】
例示的実施形態では、信号処理装置200は、送信電力検出器212、受信電力検出器214および信号調節装置216に結合された方向性結合装置(directional coupling device)210を含む。さらに、例示的実施形態では、信号調節装置216は、信号発生器218、減算器220およびリニアライザ222を含む。放射体206は、マイクロ波信号が放射体206を介して送信されるとき、少なくとも1つの前方伝播電磁場224を放出する。さらに、例示的実施形態では、放射体206は、少なくとも1つの後方伝播電磁場228を放出する。さらに、後方伝播電磁場228はまた、前方伝播電磁場224が、機械102(図1に示す)および/または電力システム100の駆動軸104もしくは別の構成要素など、対象物と相互に影響し合うときに生成されうる。
【0018】
動作中、例示的実施形態では、信号発生器218は、放射体206の共振周波数に等しいかまたはほぼ等しい、少なくとも1つの、マイクロ波周波数を有する電気信号(以後、「マイクロ波信号」と呼ぶ)を生成する。信号発生器218は、マイクロ波信号を方向性結合装置210に送信する。方向性結合装置210は、マイクロ波信号を、送信電力検出器212および放射体206に送信する。
【0019】
マイクロ波信号が、放射体206を通して送信されると、前方伝播電磁場224が、放射体206から、プローブ筐体208の外に放出される。機械102(図1に示す)および/または電力システム100の駆動軸104もしくは別の構成要素など、ある対象物が、前方伝播電磁場224内に入り、かつ/またはその中で相対位置を変化させるならば、電磁結合が、対象物と場224との間に発生する可能性がある。より具体的には、対象物が電磁場224内に存在すること、および/または対象物が移動することに起因して、電磁場224は、例えば、対象物内に誘導される誘導効果(induction effect)および/または容量効果(capacitive effect)によって乱され、そのことで、電磁場224の少なくとも一部が、電流および/または電荷として対象物と誘導結合および/または容量結合される要因となる可能性がある。そのような例では、放射体206が離調され(be detuned)(すなわち、放射体206の共振周波数が低下および/または変化する)、負荷が、放射体206に誘導される。放射体206に誘導された負荷は、マイクロ波信号(以後、「離調された負荷信号」と呼ぶ)の反射が、データ管路204を通して方向性結合装置210に送信される要因となる。
【0020】
さらに、後方伝播電磁場228が放射体206から放出され、電磁放射(すなわち、電磁波)がプローブからセンサ組立体110内に放出されることをもたらす。その上、負荷が放射体206に誘導されるとき、放射体206は、データ管路204および信号処理装置200の両方からわずかに変化するインピーダンスレベルを有する。さらに、データ管路204のインピーダンスレベルは、信号処理装置200のインピーダンスレベルからわずかに変化する。より具体的には、例示的実施形態では、放射体のインピーダンスレベルは約50オームであり、データ管路204のインピーダンスレベルは約47オームであり、信号処理装置200のインピーダンスレベルは約49オームである。あるいは、放射体206、データ管路204および信号処理装置200に対するインピーダンスレベルは、組立体110およびシステム100を本明細書で説明するように機能させうる任意の他のレベルであってよい。インピーダンスレベルが変化した結果として、副次的電流が、放射体206および/またはデータ管路204によって生成される。より具体的には、例示的実施形態では、放射体206および/またはデータ管路204によって生成される副次的電流は、少なくとも1つのコモンモード電流を含む。さらに、例示的実施形態では、離調された負荷信号は、マイクロ波信号の電力振幅より低い電力振幅および/またはマイクロ波信号の位相と異なる位相を有する。さらに、例示的実施形態では、離調された負荷信号の電力振幅は、放射体206に対する対象物の近接性によって決まる。方向性結合装置210は、離調された負荷信号を受信電力検出器214に送信する。
【0021】
例示的実施形態では、受信電力検出器214は、離調された負荷信号に基づく電力量、および/または離調された負荷信号内に含まれる電力量を確定し、離調された負荷信号の電力を代表する信号を信号調節装置216に送信する。さらに、送信電力検出器212は、マイクロ波信号に基づく電力量、および/またはマイクロ波信号内に含まれる電力量を確定し、マイクロ波信号の電力を代表する信号を信号調節装置216に送信する。例示的実施形態では、減算器220は、マイクロ波信号の電力および離調された負荷信号の電力を受信し、マイクロ波信号の電力と離調された負荷信号の電力との間の差を計算する。
【0022】
減算器220は、計算された差を代表する信号(以後、「電力差信号」と呼ぶ)をリニアライザ222に送信する。例示的実施形態では、電力差信号の振幅は、電磁場224内の駆動軸104などの対象物と、プローブ202および/または放射体206との間で定められる隔たり226(すなわち、隔たり226は対象物近接性として知られる)に、反比例もしくは指数関数的比例などで比例する。例えば放射体206の形状(geometry)など、放射体206の特徴に応じて、電力差信号の振幅が、対象物近接性に対する非線形関係を、少なくとも部分的に呈示する可能性がある。
【0023】
例示的実施形態では、リニアライザ222は、電力差信号を、対象物近接性と信号の振幅との間にほぼ線形の関係を呈示する電圧出力信号(すなわち、「近接性測定値信号」)に変換する。さらに、例示的実施形態では、リニアライザ222は、近接性測定値信号を診断システム112(図1に示す)に、診断システム112内での処理および/または分析に適する尺度因子(scale factor)で送信する。例示的実施形態では、近接性測定値信号は、ボルト/ミリメートルの尺度因子を有する。あるいは、近接性測定値信号は、診断システム112および/またはシステム100を本明細書で説明するように機能させうる任意の他の尺度因子を有してよい。
【0024】
図3は、領域3(図2に示す)に沿って取られた、プローブ202およびプローブ筐体208の断面図である。例示的実施形態では、プローブ筐体208は、プローブキャップ300、内部スリーブ302および外部スリーブ304を含む。ほぼ円筒形の空洞306が、キャップ300、内部スリーブ302および外部スリーブ304によって、少なくとも部分的に画定される。より具体的には、プローブキャップ300、内部スリーブ302および外部スリーブ304は、それぞれほぼ中空であり、それにより、空洞306は、プローブ筐体208が組み立てられると、プローブキャップ300、内部スリーブ302および外部スリーブ304によって少なくとも部分的に画定される。さらに、例示的実施形態では、電磁吸収材料(electromagnetic absorbent material)307が、空洞306内に貼り付けられる。より具体的には、例示的実施形態では、電磁吸収材料307が、内部スリーブ302の少なくとも一部にわたって貼り付けられる。例示的実施形態では、電磁吸収材料307が、接着剤によって内部スリーブ302に貼り付けられる。あるいは、プローブ202および/またはセンサ組立体110(図1および図2に示す)を本明細書で説明するように機能させうる、当技術分野で知られている任意の方式を使用して、電磁吸収材料307が、内部スリーブ302に貼り付けられてよく、かつ/または内部スリーブ302の上に含浸されてよい。
【0025】
例示的実施形態では、プローブキャップ300は、下流面310および対向する上流面312を有するほぼ円筒形の端壁308を含む。また、プローブキャップ300は、下流面310と外接するほぼ環状の側壁314を含む。側壁314は、空洞306を少なくとも部分的に画定する外面316および対向する内面318を含む。例示的実施形態では、プローブキャップ300は、プローブ筐体208が組み立てられると、プローブ筐体208を通して延びる中心軸320に対してほぼ対称である。より具体的には、側壁314は、中心軸320周りにほぼ等距離に間隔を空けられる。
【0026】
例示的実施形態では、プローブキャップ300は、内面318と外接するねじ部322を含む。例示的実施形態では、プローブキャップ300は、電力システム100の動作中に実質的に劣化することなく、プローブキャップ300を産業環境(industrial environment)内および/または機械102内に設置することを可能にする、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのポリケトン材料、および/または任意の他の熱可塑性材料から製造される(機械102および電力システム100は共に図1に示す)。あるいは、プローブキャップ300は、プローブ202を本明細書で説明するように機能させうる、任意の他の材料および/または化合物から製造されてよい。
【0027】
例示的実施形態では、接地導体323が、空洞306内に設置され、放射体206から隔たり360で設置される。例示的実施形態では、接地導体323の位置は、隔たり360が変化できるように調節可能である。さらに、例示的実施形態では、接地導体323は、ほぼ環状の接地板(ground plane)であり、外部スリーブ304とデータ管路204との間の空洞306内に設置され、それにより、接地導体323は、空洞306の少なくとも一部を、少なくとも部分的に画定する。より具体的には、外部スリーブ304は、接地導体323周りに設置され、接地導体323は、データ管路204周りに設置される。さらに、例示的実施形態では、接地導体323は、データ管路204周りにほぼ円周方向に延びる。例示的実施形態では、接地導体323は、電流を接地導体323から地面に伝達することを可能にする、外部スリーブ304内および/またはデータ管路204内の導電材料もしくは導電要素(図示せず)に結合される。例示的実施形態では、接地導体323は、接地導体323が電流を吸収し、その電流を地面に伝達することを可能にする任意の金属材料で製造される。
【0028】
さらに、例示的実施形態では、接地導体323は、上流面327と、上流面327から所定の隔たり331で間隔を空けられる下流面329とを含む。例示的実施形態では、隔たり331は、約0.10インチ(2.54mm)より小さい。あるいは、隔たり331は、プローブ202および/または組立体110を本明細書で説明するように機能させうる、任意の長さであるように選択されてよい。さらに、例示的実施形態では、電磁吸収材料307が、接地導体323にわたって貼り付けられる。例示的実施形態では、電磁吸収材料307が、接着剤によって接地導体323に貼り付けられる。あるいは、プローブ202および/または組立体110を本明細書で説明するように機能させうる、当技術分野で知られている任意の方式を使用して、電磁吸収材料307が接地導体323に貼り付けられてよく、または接地導体323の上に含浸されてよい。さらに、いくつかの実施形態では、接地導体323は、溶接、ろう付け、またはねじ結合によって、プローブ外部スリーブ304および/またはデータ管路204に結合されてよい。あるいは、接地導体323は、スリーブ304および/または管路204と一体に形成されてよい。
【0029】
例示的実施形態では、内部スリーブ302は環状であり、少なくとも部分的にはプローブキャップ300内に受けられるように寸法を決められる。内部スリーブ302は、外面324および対向する内面325を含む。例示的実施形態では、内部スリーブ302は、外面324に外接するねじ部326を含む。ねじ部326は、プローブキャップのねじ部322と協働して、プローブキャップ300および内部スリーブ302が互いにねじ結合することを可能にする。例示的実施形態では、内部スリーブ302は、熱可塑性材料または任意の他の樹脂材料など、実質的に非導電性の材料で製造される。そのため、内部スリーブ302は、放射体206を、外部スリーブ304から、および/またはプローブ202に隣接する、機械102の任意の部分から、電磁的に分離することを促進する。あるいは、内部スリーブ302は、プローブ202を本明細書で説明するように機能させうる、任意の材料および/または化合物で製造されてよい。
【0030】
例示的実施形態では、外部スリーブ304は環状であり、その中に、少なくとも部分的に内部スリーブ302を受けるように寸法を決められる。外部スリーブ304は、内面328および対向する外面330を含む。例示的実施形態では、外部スリーブ304は、内面328と外接する内部ねじ部332と、外面330と外接する外部ねじ部334とを含む。内部ねじ部332は、内部スリーブのねじ部326と協働して、内部スリーブ302が、少なくとも部分的に外部スリーブ304内にねじ結合することを可能にする。外部ねじ部334は、機械102などの機械内に形成されたねじ穴(図示せず)と協働するように、寸法および形状を決められる。そのため、プローブ202が組み立てられると、プローブ202は、機械102内にねじ結合されてよく、それにより、プローブ202は、測定および/または監視される機械構成要素に隣接して設置される。あるいは、外部スリーブ304は、ほぼ滑らかに作製されてよく、かつ/または外部ねじ部334を含まなくてよく、それにより、プローブ202および/または外部スリーブ304は、電力システム100(図1に示す)を本明細書で説明するように機能させうる、1つまたは複数のボルト、ブラケット、および/または任意の他の結合機構によって機械102に結合されてよい。さらに、例示的実施形態では、接地導体323が、内面328に結合される。
【0031】
例示的実施形態では、放射体組立体336が、プローブ筐体208内に設置されてプローブ202を形成する。より具体的には、例示的実施形態では、放射体組立体336内で、放射体206が、放射体本体338に結合される。放射体本体338は、下流面340および対向する上流面342を含む。例示的実施形態では、放射体本体338は、ほぼ平面状のプリント基板(PCB)であり、放射体206は、放射体本体の下流面340と、一体に形成され、かつ/または結合される、1つまたは複数の配線(trace)および/または他の管路(図示せず)を含む。かわりに、放射体206および/または放射体本体338は、プローブ202を本明細書で説明するように機能させうる、任意の他の構造および/または構成を有してよい。さらに、例示的実施形態では、電磁吸収材料307が、放射体本体338にわたって貼り付けられる。より具体的には、電磁吸収材料307が、放射体本体の下流面340にわたって貼り付けられる。例示的実施形態では、電磁吸収材料307が、接着剤によって放射体本体の下流面340に貼り付けられる。あるいは、プローブ202および/または組立体110を本明細書で説明するように機能させうる、当技術分野で知られている任意の方式を使用して、電磁吸収材料307が、放射体本体の下流面340に貼り付けられてよく、かつ/または放射体本体の下流面340の上に含浸されてよい。
【0032】
結合装置344が、放射体本体338および放射体206を、信号処理装置200(図2に示す)に信号を送信し、信号処理装置200から信号を受信するために使用するデータ管路204など、データもしくは信号の管路に結合する。例示的実施形態では、結合装置344は、放射体組立体336を本明細書で説明するように機能させうる、1つまたは複数のボルト、ブラケット、溶接、および/または任意の他の結合機構を含む。あるいは、データ管路204が、放射体206、放射体本体338および/または信号処理装置200と一体に形成されてよい。
【0033】
例示的実施形態では、動作中、プローブキャップ300が、上流面312が測定および/または監視されている対象物に面し、下流面310が接地導体323に面するように設置される。そのため、前方伝播電磁場224(図2に示す)が放射体206によって生成されるとき、場224が、放射体本体の上流面342から外に向かって延び、後方伝播電磁場228が、放射体本体の下流面340から接地導体323に向かって外に延びる。
【0034】
さらに、動作中、後方伝播電磁場228は、電磁放射(すなわち、電磁波)がセンサ組立体110内で放出されるという結果をもたらす。その上、負荷が放射体206に誘導されると、放射体206、データ管路204および信号処理装置200(図2に示す)の間のインピーダンスレベルの変化が、放射体206および/またはデータ管路204によって生成される副次的電流を、結果としてもたらす。より具体的には、例示的実施形態では、放射体206および/またはデータ管路204によって生成される副次的電流は、少なくとも1つのコモンモード電流を含む。
【0035】
例示的実施形態では、後方伝播電磁場228が放出されると、場228は、接地導体323で反射され、それにより、後方伝播電磁場228は、前方伝播電磁場224と相互に影響し合う。さらに、後方伝播電磁場228と前方伝播電磁場224との間の相互作用は、隔たり360に左右される。例示的実施形態では、隔たり360の値が大きいほど、後方伝播電磁場228と前方伝播電磁場224との間に存在する相互作用は小さい。より具体的には、例えば、隔たり360が、3.3GHzの動作周波数における離調された負荷信号に対する四分の一波長にほぼ等しいならば、後方伝播電磁場228と前方伝播電磁場224との間に存在する相互作用は、より小さくなる。さらに、例示的実施形態では、相互作用によって、後方伝播電磁場228の大幅な引き下げが可能になる。さらに、接地導体323から反射しない後方伝播電磁場228の一部が、接地導体323に貼り付けられた電磁吸収材料307によって吸収される。
【0036】
その結果、センサ組立体110(図2に示す)内および/またはプローブ202内の電磁放射が、大幅に低下する。より具体的には、例示的実施形態では、後方伝播電磁場228の強度および振幅が、大幅に低下する。さらに、例示的実施形態では、後方伝播電磁場228が大幅に低下するにつれて、前方伝播電磁場224の強度が、狭い範囲内に集中する。大幅に低下した後方伝播電磁場228に加えて、放射体206および/またはデータ管路204によって生成されたコモンモード電流が、接地導体323によって吸収される。接地導体323は、コモンモード電流を地面に伝達し、それにより、センサ組立体内および/またはプローブ202内の電磁放射が、より大幅に低下する。
【0037】
図4は、センサプローブ202(図1および図2に示す)などのセンサプローブを組み立てる例示的方法400を示す流れ図である。402で放射体206(図2に示す)が設けられ、放射体206は、少なくとも1つのマイクロ波信号から少なくとも1つの前方伝播電磁場224(図2に示す)を生成し、少なくとも1つの後方伝播電磁場228(図2に示す)を生成するように構成される。404でデータ管路204(図2および図3に示す)が放射体206に結合される。406でデータ管路204周りにほぼ円周方向に延びる接地導体323(図3に示す)が設けられ、接地導体323は、センサ組立体110(図1および図2に示す)内の電磁放射を大幅に低下させるように構成される。さらに、408で放射体本体338(図3に示す)が放射体206に結合される。
【0038】
知られているセンサプローブと比較すると、本明細書で説明される例示的センサプローブは、センサ組立体内の信号強度を維持するために、センサ組立体内の電磁放射を大幅に低下させることを促進する。特に、本明細書で説明されるセンサプローブは、放射体で生成された少なくとも1つの後方伝播電磁場が反射して、放射体で生成された前方伝播電磁場と相互に影響し合うように構成される。この相互作用によって、センサ組立体内の電磁放射を大幅に低下させることが促進される。さらに、本明細書で説明されるセンサ組立体内で、放射体および/またはデータ管路で生成されるコモンモード電流など、副次的電流が地面に流れる。また、そのような副次的電流を地面に流すことで、センサ組立体内の電磁放射の大幅な低下が促進される。
【0039】
電磁放射を低下させるためのセンサ組立体および方法の例示的実施形態を、上で詳細に説明した。方法およびセンサ組立体は、本明細書で説明される特定の実施形態に限定されるものではなく、センサ組立体の構成要素および/または方法のステップは、本明細書で説明される他の構成要素および/またはステップとは独立にかつ個別に使用されてよい。例えば、センサ組立体はまた、他の測定システムおよび測定方法と組み合わせて使用されてよく、本明細書で説明されるような電力システムのみと共に実施されることに限定されるものではない。むしろ、例示的実施形態は、多くの他の測定用途および/または監視用途に接続して実施および使用されうる。
【0040】
本発明の種々の実施形態の特定の特徴を、いくつかの図面の中に示し、他の図面の中に示していないが、このことは、利便性のためにすぎない。本発明の原理によれば、図面の任意の特徴は、任意の他の図面の任意の特徴と組み合わせて参照され、かつ/または特許請求されてよい。
【0041】
この書面による説明は、本発明を、その最良のモードを含めて開示するために、かつ、当業者が、任意の装置またはシステムを作製し使用すること、および任意の組み込まれた方法を実施することを含めて本発明を実施することを可能にするために、例を使用する。本発明の特許性のある範囲は特許請求の範囲によって定義され、かつ、当業者が想到する他の例を含んでよい。そのような他の例は、特許請求の範囲の字義通りの言葉に相違しない構造要素を有するならば、または特許請求の範囲の字義通りの言葉とごくわずかな差違を有する等価な構造要素を有するならば、特許請求の範囲の中にあることが意図されている。
【符号の説明】
【0042】
100 電力システム
102 機械
104 駆動軸
106 負荷
108 支持構造
110 センサ組立体
112 診断システム
200 信号処理装置
202 プローブ
204 データ管路
206 放射体
208 プローブ筐体
210 方向性結合装置
212 送信電力検出器
214 受信電力検出器
216 信号調節装置
218 信号発生器
220 減算器
222 リニアライザ
224 前方伝播電磁場
226 隔たり
228 後方伝播電磁場
300 プローブキャップ
302 内部スリーブ
304 外部スリーブ
306 空洞
307 電磁吸収材料
308 円筒形の端壁
310 下流面
312 上流面
314 側壁
316 外面
318 内面
320 中心軸
322 プローブキャップのねじ部
323 接地導体
324 外面
325 内面
326 内部スリーブのねじ部
327 上流面
328 内面
329 下流面
330 外面
331 隔たり
332 内部ねじ部
334 外部ねじ部
336 放射体組立体
338 放射体本体
340 放射体本体の下流面
342 放射体本体の上流面
344 結合装置
360 隔たり
400 例示的方法
402 放射体が設けられる
404 データ管路が放射体に結合される
406 データ管路周りにほぼ円周方向に延びる接地導体が設けられる
408 放射体本体が放射体に結合される

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ組立体(110)内で使用するセンサプローブ(202)であって、
少なくとも1つのマイクロ波信号から少なくとも1つの前方伝播電磁場(224)を生成し、少なくとも1つの後方伝播電磁場(228)を生成するように構成された放射体(206)と、
前記放射体に結合されたデータ管路(204)と、
前記データ管路(204)周りにほぼ円周方向に延び、前記センサ組立体内の電磁放射を大幅に低下させるように構成された、接地導体(323)とを備える、センサプローブ(202)。
【請求項2】
前記接地導体(323)が、前記少なくとも1つの後方伝播電磁場(228)を反射し、前記少なくとも1つの前方伝播電磁場(224)と相互に影響し合うようにさらに構成される、請求項1記載のセンサプローブ(202)。
【請求項3】
前記接地導体(323)が、少なくとも1つのコモンモード電流を地面に流すようにさらに構成され、前記少なくとも1つのコモンモード電流が、前記放射体(206)および前記データ管路(204)の少なくとも一方によって生成される、請求項1記載のセンサプローブ(202)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの後方伝播電磁場(228)が、前記少なくとも1つの前方伝播電磁場(224)と相互に影響し合い、それにより、前記少なくとも1つの後方伝播電磁場の強度および振幅の少なくとも一方が大幅に低下する、請求項1記載のセンサプローブ(202)。
【請求項5】
前記放射体(206)に結合された放射体本体(338)をさらに備え、前記放射体本体が、その上に貼り付けられた電磁吸収材料(307)を備える、請求項1記載のセンサプローブ(202)。
【請求項6】
前記接地導体(323)が金属材料で作製される、請求項1記載のセンサプローブ(202)。
【請求項7】
前記接地導体(323)が、その上に貼り付けられた電磁吸収材料(307)を備える、請求項1記載のセンサプローブ(202)。
【請求項8】
前記接地導体(323)が、上流面(327)と、前記上流面から所定の隔たり(331)で間隔を空けられた下流面(329)とを備える、請求項1記載のセンサプローブ(202)。
【請求項9】
少なくとも1つのセンサプローブ(202)であって、
少なくとも1つのマイクロ波信号から少なくとも1つの前方伝播電磁場(224)を生成し、少なくとも1つの後方伝播電磁場(228)を生成するように構成された放射体(206)と、
前記放射体に結合されたデータ管路(204)と、
前記データ管路周りにほぼ円周方向に延び、前記センサ組立体内の電磁放射を大幅に低下させるように構成された、接地導体(323)と、を備えるセンサプローブ(202)と、
前記少なくとも1つのセンサプローブに結合され、前記放射体に誘導された負荷に基づいて近接性測定値を生成するように構成された、信号処理装置(200)と、を備える、センサ組立体(110)。
【請求項10】
前記接地導体(323)が、前記少なくとも1つの後方伝播電磁場(228)を反射して、前記少なくとも1つの前方伝播電磁場(224)と相互に影響し合うようにさらに構成される、請求項9記載のセンサ組立体(110)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−150113(P2012−150113A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−9226(P2012−9226)
【出願日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】