説明

センサユニットの残り寿命判定方法及びその装置

【課題】
センサの残り寿命を正確かつ容易に判定することが可能な残り寿命判定方法及びその装置を提供すること。
【解決手段】
周期的に動作する機械に取り付けられつつ所定の負荷サイクル数によって規定されるセンサユニット10の残り寿命判定方法において、前記センサユニットへの負荷を前記負荷サイクルによって測定し、この測定された負荷に応じて、前記センサユニット10の負荷サイクルに対する劣化モデルを用いて該センサユニット10の劣化係数を算出し、前記負荷サイクルを前記負荷係数で重み付けする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周期的に動作する機械に取り付けられつつ所定の負荷サイクル数によって規定されるセンサユニットの残り寿命判定方法及びその装置に関するものである。ここで、センサの負荷サイクルが計数され、該負荷サイクル数が内燃機関における本発明による残り寿命判定装置で使用される。
【背景技術】
【0002】
例えば内燃エンジンや射出成形機などの周期的に動作する機械には、該機械における所定の測定値を連続的に検出するためのセンサが取り付けられていることが多い。このようなセンサは、自然な磨耗の影響を受けるため、所定の寿命を有している。この寿命は、通常、特定の許容負荷サイクル数として表される。ここで、負荷サイクルとは、例えば内燃エンジンにおける燃焼サイクルや射出成形機における射出サイクルなどの周期的な動作サイクルである。
【0003】
しかして、上記センサについては、これらが故障したり十分な性能又は精度を保てなくなる前に交換する必要がある。従来では、これらセンサは、所定の動作時間後に交換されるか、又は個々の負荷サイクルを単に計数し、所定の寿命に達する前に交換されていた。
【特許文献1】オーストリア国実用新案第009242号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、実際には、センサの寿命はこのセンサへの負荷によって大きく変化するものである。仮に、センサが低負荷において動作すればその寿命は比較的長いものとなり、逆に、センサが高負荷において動作するか、又は不適切に設置されているとその寿命は比較的短いものとなってしまう。
【0005】
また、センサには他の動作領域よりも強く劣化が起きる動作領域があり、負荷サイクルを適用する寿命予測は、信用に足らないものとなっている。そして、事情によっては、残り寿命がまだ十分あるうちにセンサを交換したり、まだ違った使用目的に対しては使用可能であったり、あるいはセンサが予想より早く寿命に達してしまうこともある。
【0006】
本発明は上記問題にかんがみてなされたもので、その目的とするところは、センサの残り寿命を正確かつ容易に判定することが可能な残り寿命判定方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、センサユニットへの負荷を負荷サイクルによって測定し、この測定された負荷に応じて、前記センサユニットの負荷サイクルに対する劣化モデルを用いて該センサユニットの劣化係数を算出し、前記負荷サイクルを前記負荷係数で重み付けすることを特徴としている。
【0008】
このような本発明の方法によれば、センサの実際の劣化がセンサに対する実際の負荷によって考慮されるので、残り寿命をより高い信頼性をもって決定することが可能である。すなわち、センサがその最適な寿命の間使用されることになる。また、劣化モデルによって、負荷がよりフレキシブルかつ使用目的に応じて考慮されることになる。さらに、本発明によれば、キャリブレーション時間又はセンサの使用目的を実際の劣化に対応させることが可能である。
【0009】
また、本発明の好ましい実施形態は、劣化係数の算出をセンサユニットによって測定された測定値のみにより行うことを特徴としている。こうすることで、たの測定値が不要となるため、本発明による方法又は装置を簡易化することが可能である。
【0010】
また、本発明の他の好ましい実施形態は、重み付けされた負荷サイクルを特定の負荷サイクル数から減算したり、この負荷サイクル数によって規格化することを特徴としている。
【0011】
また、本発明の他の好ましい実施形態は、センサユニットを、算出された残り寿命に基づき、適用可能なカテゴリーに分類することを特徴としている。センサの使用目的によって、必要な精度が異なるため、劣化したセンサユニットは、所定の使用目的に対しては不適であっても、他の使用目的に対しては十分に使用可能であることがあり得る。したがって、上記のようにカテゴリーに分類することによって、センサユニットの使用可能な期間が延びるとともに、使用範囲を拡大することも可能である。
【0012】
さらに、本発明の他の実施形態は、センサユニットのキャリブレーション時間を算出された残り寿命に基づき決定することを特徴としている。これにより、劣化したセンサをキャリブレーション時間を短縮しつつ信頼性をもって使用することが可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、センサの残り寿命を正確かつ容易に判定することが可能な残り寿命判定方法及びその装置を提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0015】
図1には内燃エンジンのシリンダ1の断面図が示されており、シリンダ内部3ではピストン2が動作するようになっているとともに、このシリンダ1には、従来公知のようにバルブ4、及びオットーサイクル機関にあっては更に点火プラグ5が設けられている。なお、本発明は、他の燃焼サイクルによる内燃エンジン(例えばディーゼルエンジン)、あるいは2サイクルエンジンや4サイクルエンジンの区別なく適用可能である。
【0016】
さらに、図示の構成においては、シリンダ1には、例えばピエゾ型圧力センサであるセンサユニット10と、シリンダ内圧を測定及び評価する例えば増幅器である処理ユニット8とが設けられている。なお、センサユニット10として、その他例えばひずみゲージ、ピエゾ抵抗型圧力センサ、音波及び超音波放射解析用の音響体型ノッキング音センサ、イオン電流プローブ、反射光センサ、バルブ又はピストンの変位センサ等としてもよい。
【0017】
また、図示の構成は、エンジン特性値、特に例えば動作サイクル中の燃焼状態などを時間又はクランク角の依存性に関する所定の解像度によって測定及び/又は評価する一般的なものである。そして、図示の構成あるいは図示の構成における処理ユニット8は、本実施の形態においては、例えばエンジン制御装置としての制御ユニット7又は例えば試験装置の処理装置としての特殊な処理ユニットに接続されている。
【0018】
なお、本発明は、例えば射出成形機などの周期的に動作する他の機械にも応用することができ、射出成形機の場合には、制御ユニット7は例えば射出成形機の制御装置として構成される。
【0019】
ところで、センサユニット10の残り寿命を判定するために寿命判定ユニット6が設けられており、この寿命判定ユニット6は、図2aに示すようにセンサユニット10に直接設けられているか、図2bに示すように処理ユニット8内に設けられているか、又は図2cに示すように制御ユニット7の上部に設けられている。ここで、この寿命判定ユニット6は、マイクロプロセッサ若しくはシグナルプロセッサ又は単純な論理回路若しくは電子回路として形成することが考えられる。
【0020】
また、処理ユニット8内には例えばマイクロプロセッサ又はDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)としての演算ユニット12が設けられており、この演算ユニット12によって、検出された特性値(ここでは例えばシリンダ1内のシリンダ内圧pzyl)が更に処理されるようになっている。また、場合によって更に必要となる測定信号のA/D変換器を、演算ユニット12に直接設けるか、又はこの演算ユニット12の前に設けることが可能である。
【0021】
しかして、処理ユニット8における演算ユニット12から送出された信号は、アナログ信号又はデジタル信号として、例えば制御ユニット7へ伝達される。また、簡易な実施形態として、寿命判定ユニット6と演算ユニット12を1つのユニットとして形成することも考えられる。
【0022】
さらに、センサユニット10又は処理ユニット8に表示装置15(例えば単純なLCDディスプレイ又は表示ランプ)を設け、該表示装置15にセンサユニット10の残り寿命を表示するように構成することもできる。
【0023】
また、図2bに示すように、センサユニット10と演算ユニット12又は寿命判定ユニット6の間に従来公知のごとく増幅器(特にピエゾ型圧力センサ用のチャージアンプリファイヤ11)を設けることも考えられる。そのほか、処理ユニット8内又はセンサユニット10と処理ユニット8の間に更に不図示の信号フィルタユニット及び/又はシグナルコンディショナを設けることが可能である。
【0024】
そして、センサユニット10の残り寿命を得るために、所定の負荷サイクルBkにおけるセンサユニット10の負荷状態が寿命判定ユニット6内で検出されるようになっている。これは、例えばシリンダ1内の最大圧力発生時のエンジン回転数n及びトルクTのような、負荷サイクルBkにおける1つ以上の不連続な点であるか、又は負荷サイクルBkの一部若しくは全体(例えば燃焼サイクル全体あるいは動作サイクル全体)における負荷変化を記録及び評価したものである。
【0025】
そして、例えばエンジン回転数n、トルクT、内燃エンジン温度tなどの測定値が更に必要であり、これら測定値は、図2bに示すように外部から寿命判定ユニット6へ入力されるか、又は寿命判定ユニット6内若しくは演算ユニット12内で直接検出される。
【0026】
なお、残り寿命の判定を、例えばシリンダ内圧pzylなどのセンサユニット10によって検出された測定値のみに基づいて行うのが好ましい。ここで、処理ユニット8内、演算ユニット12内又は寿命判定ユニット6内で測定された測定値は、要求に応じて評価又は処理される。
【0027】
ところで、図3には例えばシリンダ内圧センサにより検出されたシリンダ内圧pzylの典型的な時間変化の概略が示されており、この時間変化に基づき、所定の負荷サイクルBkにおけるセンサユニット10の負荷状態を反映した一連の特性値が導出される。一例として、シリンダ内圧pzylについて、その最大圧力pmax、最大圧力増加率p’max(pmaxの時間微分)又は平均シリンダ内圧pmeanが導出される。なお、その他一般的な特性値についても導出することができる。
【0028】
さらに、シリンダ内圧pzylの時間変化から直接負荷サイクルBkを算出することもできる。すなわち、この負荷サイクルBkは同じような負荷状態を繰り返すため(例えば燃焼サイクル)、測定値の時間変化を解析することによりこの負荷サイクルBkを算出することが可能である。なお、上記のような測定値の評価については、例えば特許文献1に記載されている。
【0029】
しかして、負荷サイクルBkにおける負荷状態は、図4に示すように、所定の劣化モデル9に入力される。この劣化モデル9は、寿命判定ユニット6、処理ユニット8又は制御ユニット7において実行されるようになっている。ここで、劣化モデル9とは、例えば数式、数値計算又はメモリされた表若しくはグラフ(曲線、曲面)としての所定のパラメータに依存した物理的、数学的又は経験的なモデルである。なお、劣化モデル9としてのシミュレーションも可能であるが、劣化モデル9の具体的な実行は本発明において無意味であるので、以下では例示的に説明する。
【0030】
図4に示す実施の形態においては、シリンダ内圧pzylが測定され、上記のように、これに基づき例えば最大シリンダ内圧pmaxなどの所定の特性値が導出される。そして、この特性値に基づき、劣化モデル9によって負荷サイクルBkに対する劣化係数Skが算出される。この劣化係数Skは、この実施の形態においては、例えば計算、シミュレーション又は経験に基づくデータ(例えば処理ユニット8内にメモリされた表又は数式Sk=f(pmax))により得られる劣化曲線である。
【0031】
なお、センサユニット10の劣化は一連の特性値によって決定されるものであるため、例えば最大シリンダ内圧pmax、平均シリンダ内圧pmeanなどの、測定値から導出される他の複数の特性値に基づき劣化係数Skを算出することも可能である。
【0032】
そして、負荷サイクルBkはこの算出された劣化係数Skによって重み付けされ、これに伴いこの負荷サイクルBkがセンサユニット10の残り寿命Rをある程度強く減少させることになる。ここで、センサユニット10の寿命を負荷サイクルBkを単位としてL(例えばL=108負荷サイクル)とすれば、残り寿命Rは、例えば
【0033】
【数1】

【0034】
によって算出される。これを規格化すれば、
【0035】
【数2】

【0036】
となり、残り寿命Rは0〜1の値をとることになる。なお、0は劣化なしの状態を表し、1は損傷状態を表している。この場合、センサの劣化について、その使用が進むにつれてRが1へ近づくことになる。
【0037】
一方、他の測定値によって劣化係数Skの算出を行うことも可能である。図5に示す実施の形態においては、センサユニット10によって所定の負荷サイクルBkにおけるシリンダ内圧pzylが測定される。また、これに並行して、内燃エンジンの回転数n及びトルクTが検出され、これらが寿命判定ユニット6へ入力される。
【0038】
例えば、最大シリンダ内圧pmaxにおいてエンジン回転数nk及びトルクTkが検出されたとすると、これら特性値nk(pmax)及びTk(pmax)において、例えば負荷点に依存する温度などの他のパラメータがバックグラウンドで得られ、劣化モデル9へ入力される。この実施の形態では、劣化モデル9内において、エンジン回転数n及びトルクTに基づき、例えば計算、シミュレーション又は経験に基づくデータにより得られる劣化曲線によって劣化係数Sが確定される。この場合、個々の最大シリンダ内圧pmaxに対してそれぞれ異なる劣化モデル9が与えられるようになっている。
【0039】
また、劣化モデル9は、例えば数式
S=f(pmax,T,n)
として数学的に、パラメータに応じてメモリすることが可能である。そして、エンジン回転数nk及びトルクTkによって劣化係数Skが算出される。ここでも負荷サイクルBkは劣化係数Skによって重み付けされ、これに伴いこの負荷サイクルBkがセンサユニット10の残り寿命Rをある程度強く減少させることになる。ここで、センサユニット10の寿命を負荷サイクルBkを単位としてL(例えばL=108負荷サイクル)とすれば、残り寿命Rは、例えば
【0040】
【数3】

【0041】
によって算出される。これを規格化すれば、
【0042】
【数4】

【0043】
となり、残り寿命Rは0〜1の値をとることになる。なお、0は劣化なしの状態を表し、1は損傷状態を表している。この場合、センサの劣化について、その使用が進むにつれてRが1へ近づくことになる。
【0044】
また、演算負荷を低減するために、残り寿命Rの算出を、所定の負荷サイクルBk後に新規に行うか、又は所定時間経過後に新規に行うようにしてもよい。
【0045】
さらに、劣化モデル9には、例えば平均シリンダ内圧pmean(平均有効圧力)及びエンジン回転数n、平均シリンダ内圧pmean及びセンサで実測された温度などの他の入力パラメータを入力することも可能である。この場合、劣化曲線又は劣化曲面は、これら入力パラメータによって確定される。そして、劣化モデル9を2つ以上の入力パラメータに依存したものとすることで、劣化係数Sは、一般式として
S=f(P1,...Pn
と表すことができる。ここで、Pは、例えばエンジン回転数n、トルクT、センサにより測定された温度t、平均シリンダ内圧Pmean、最大シリンダ内圧pmaxなどの適当な入力パラメータである。
【0046】
したがって、上記説明したような方法においては、各負荷サイクルBkがそれぞれ迅速に評価されるとともに残り寿命Rの算出に利用される。また、所定の負荷状態の発生頻度H(単位:負荷サイクル)を算出することも可能であり、これに基づきセンサユニット10の劣化及び残り寿命Rを算出することもできる。
【0047】
ところで、図6には、内燃エンジンの例えばトルク−エンジン回転数領域(又は例えばpmax−p’max領域)を所定の負荷領域に分割したものが示されている。ここで、センサユニット10によって検出された測定値のみを処理して特性値を算出すれば、図7に示すように、所定の特性値範囲が出現する頻度Hが得られる。この場合、所定数の負荷サイクルBkの間又は所定の時間内に、特定の負荷状態(例えばエンジン回転数nm、最大シリンダ内圧pmaxにおけるトルクTn又はpmaxのみ)の頻度Hが計数される。そして、このような計数によって、図6及び図7に示すようなヒストグラムが得られる。
【0048】
このようにして得られた頻度HnmあるいはHnは、これに対応する劣化係数Sによって重み付けされ、図4又は図5に示すような劣化モデル9へ入力される。ここで、この劣化モデル9を、重要な負荷領域へ量子化するのが好ましい。あるいは、劣化モデル9における適当な平均値を負荷部分領域へ導入することも可能である。この場合、残り寿命Rは、例えば
【0049】
【数5】

【0050】
又は
【0051】
【数6】

【0052】
により算出される。
【0053】
残り寿命Rは、ここでも規格化された値として算出することが可能である。また、Lは、センサユニット10の特定された寿命、又は先行の残り寿命の算出において算出された残り寿命である。なお、所定の負荷状態の出現頻度Hを定常的に計数し、この頻度Hが所定の範囲内にある場合のみ残り寿命Rの算出を行うようにしてもよい。
【0054】
残り寿命Rは、例えばセンサユニット10又は処理ユニット8における表示装置15に直接出力されるか、又は例えば制御ユニット7、試験ソフトウェア若しくはセンサ管理ユニットの上位ユニット内で適当に処理される。そして、センサユニット10が残り寿命Rによって所定の劣化状態に達したと判断されると、このセンサユニット10は例えば交換されることになる。
【0055】
また、センサユニット10は、例えば下記の表のように、残り寿命Rに応じてその使用目的につきカテゴリーに分けることができる。
【0056】
【表1】

【0057】
センサユニット10は、所定の残り寿命Rに到達した場合には、所定の使用目的についてもはや適さなくなるが、例えばより精度について要求度の低い使用目的については使用可能である。センサユニット10が、例えば、高い精度が要求される熱力学的な調査に用いられるような圧力センサに対してもはや不適となったとしても、エンジンへの利用については適当に使用することが可能である。
【0058】
また、センサユニット10のキャリブレーション時にも、実際の劣化状態あるいは残り寿命Rを適用することが可能である。この場合、例えば、残り寿命Rが少なくなるのに伴い、キャリブレーション時間を短く設定することができる。
【0059】
さらに、劣化モデル9を、動作中に補正して適用することも可能である。すなわち、センサユニット10の動作又はこのセンサユニット10における寿命判定の実行よって、多くの新規な値を追加的に劣化モデル9へ入力し、この劣化モデル9の精度をより向上させるとともに、センサユニット10の使用性を拡大することが可能である。なお、このような処理を自動化することもできる。
【0060】
そして、図8に示すように、算出された残り寿命Rを有するセンサユニット10を、センサ管理ユニット14内で管理することも可能である。このようなセンサ管理ユニット14内には、例えばいつあるいはどのくらいの偏差でセンサユニット10のキャリブレーションを行うかがメモリされている。そのため、キャリブレーション時又はセルフテスト時にセンサユニット10の実際の劣化を考慮することが可能であり、あるいは、センサユニット10がどのような用途にならまだ使用することができるのかを把握するのに役に立つ。
【0061】
なお、センサ管理ユニット14は、例えばセンサユニット10を管理するデータベースであり、各センサユニット10(又は図8に示すような処理ユニット8若しくは制御ユニット7)のデータを収容している。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】内燃エンジンのシリンダの断面図である。
【図2】残り寿命の判定を行う装置の概要を示す図である。
【図3】測定値の時間変化を示すグラフである。
【図4】センサユニットの劣化モデルの概要を示すグラフである。
【図5】センサユニットの劣化モデルの概要を示すグラフである。
【図6】所定の負荷状態の出現頻度のヒストグラムである。
【図7】所定の負荷状態の出現頻度のヒストグラムである。
【図8】センサ管理ユニットを備えた構成を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
1 シリンダ
2 ピストン
3 シリンダ内部
4 バルブ
5 点火プラグ
6 寿命判定ユニット
7 制御ユニット
8 処理ユニット
9 劣化モデル
10 センサユニット
11 チャージアンプリファイヤ
12 演算ユニット
14 センサ管理ユニット
15 表示装置
k 負荷サイクル
H 所定特性値範囲の出現頻度
n エンジン回転数
max 最大シリンダ内圧
p’max 最大シリンダ内圧増加率
mean 平均シリンダ内圧
zyl シリンダ内圧
R 残り寿命
S,Sk 劣化係数
t 温度
T トルク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期的に動作する機械に取り付けられつつ所定の負荷サイクル(B)数によって規定されるセンサユニット(10)の残り寿命(R)判定方法において、
前記センサユニットへの負荷を前記負荷サイクル(B)によって測定し、
この測定された負荷に応じて、前記センサユニット(10)の負荷サイクル(B)に対する劣化モデル(9)を用いて該センサユニット(10)の劣化係数(S)を算出し、
前記負荷サイクル(B)を前記負荷係数(S)で重み付けする
ことを特徴とするセンサユニットの残り寿命判定方法。
【請求項2】
前記劣化係数(S)の算出を前記センサユニット(10)によって測定された測定値のみにより行うことを特徴とする請求項1記載のセンサユニットの残り寿命判定方法。
【請求項3】
前記負荷サイクル(B)ごとにそれぞれ重み付けするとともに、当該残り寿命(R)判定を連続的に行うことを特徴とする請求項1又は2記載のセンサユニットの残り寿命判定方法。
【請求項4】
前記負荷サイクル(B)ごとにそれぞれ重み付けするとともに、当該残り寿命(R)判定を所定の前記負荷サイクル(B)後又は所定時間経過後に行うことを特徴とする請求項1又は2記載のセンサユニットの寿命判定方法。
【請求項5】
所定の負荷状態の発生頻度(H)を前記負荷サイクルを単位として計数するとともに、この計数された発生頻度(H)を前記負荷サイクル(B)に対して算出された劣化係数(S)で重み付けすることを特徴とする請求項1又は2記載のセンサユニットの残り寿命判定方法。
【請求項6】
前記重み付けされた負荷サイクル(B)及び前記重み付けされた発生頻度(H)を特定の負荷サイクル数(L)から減算することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のセンサユニットの残り寿命判定方法。
【請求項7】
前記重み付けされた負荷サイクル(B)及び前記重み付けされた発生頻度(H)を所定の値、特に特定の許容負荷サイクル数(L)によって規格化することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のセンサユニットの残り寿命判定方法。
【請求項8】
前記センサユニット(10)を、前記算出された残り寿命(R)に基づき、適用可能なカテゴリーに分類することを特徴とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のセンサユニットの残り寿命判定方法。
【請求項9】
前記センサユニット(10)のキャリブレーション時間又はセルフテスト時間を前記算出された残り寿命(R)に基づき決定することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の残り寿命判定方法。
【請求項10】
周期的に動作する機械に取り付けられつつ所定の負荷サイクル(B)数によって規定されるセンサユニット(10)の残り寿命(R)判定装置において、
判定ユニット(6)を設けるとともに劣化モデル(9)を設定し、
前記判定ユニット(6)内で、前記センサユニット(10)の負荷に応じて、前記劣化モデル(9)に基づき所定の前記負荷サイクル(B)に対する劣化係数(S)を算出するとともに、該劣化係数(S)で前記負荷サイクル(B)を重み付けする
ことを特徴とするセンサユニットの残り寿命判定装置。
【請求項11】
前記判定ユニット(6)を前記センサユニット(10)内に設けたことを特徴とする請求項10記載のセンサユニットの残り寿命判定装置。
【請求項12】
前記判定ユニット(6)を、前記センサユニット(10)に接続された処理ユニット(8)内に設けたことを特徴とする請求項10記載のセンサユニットの残り寿命判定装置。
【請求項13】
前記判定ユニット(6)を、前記センサユニット(10)に接続された処理ユニット(8)に更に接続された制御ユニット(7)内に設けたことを特徴とする請求項10記載のセンサユニットの残り寿命判定装置。
【請求項14】
前記センサユニット(10)、前記処理ユニット(8)又は前記制御ユニットに、前記センサユニット(10)の残り寿命(R)を表示する表示装置(15)を設けたことを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載のセンサユニットの残り寿命判定装置。
【請求項15】
センサ管理ユニットを設けるとともに、該センサ管理ユニット内で、前記センサユニット及びその算出された残り寿命(R)を共に管理するよう構成したことを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載のセンサユニットの残り寿命判定装置。
【請求項16】
当該内燃機関についての測定値を検出するセンサユニット(10)と、請求項10〜15のいずれかに記載のセンサユニットの残り寿命判定装置とを備えて成ることを特徴とする内燃機関。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−150882(P2009−150882A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−319182(P2008−319182)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(398055255)アー・ファウ・エル・リスト・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (30)
【Fターム(参考)】