説明

センサーシートおよびその製造方法

【課題】基材の収縮や変形、および変色が抑えられたセンサーシートおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】熱可塑性樹脂からなる平坦なフィルム状のベースフィルム10と、溶質として光透過性導電ポリマーを含有するとともに溶媒中に増粘剤を含有する溶液が固化してなり前記基材の表面に固定された透明電極20と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサーシートおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、情報端末などにおけるユーザーインターフェイスを改善するために、使用者の指などが触れたことを検出するセンサーシートの様々な構成が検討されている。また、情報端末がタッチパネルなどを備えている場合には、透明導電層(透明電極)を有するセンサーシートが採用されている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1には、透明導電層として、π共役系導電性高分子と、ポリアニオンと、増粘剤と、反応性環状エーテルを有する化合物を含んだ導電性インクを用いることが開示されている。導電性インクに含有されている増粘剤は、基材に対する印刷適性を高める目的で添加されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−168445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の導電性インクは、増粘剤を含有しているので沸点が高く、基材に導電性インクを印刷した後、高温環境下で乾燥させる必要がある。このとき、基材が加熱されることにより基材が収縮したり変色したりしてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、基材の収縮や変形、および変色が抑えられたセンサーシートおよびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明のセンサーシートは、熱可塑性樹脂からなる平坦なフィルム状の基材と、溶質として光透過性導電ポリマーを含有するとともに溶媒中に増粘剤を含有する溶液が固化してなり前記基材の表面に固定された透明電極と、を備えることを特徴とするセンサーシートである。
【0007】
本発明のセンサーシートの製造方法は、光透過性を有するセンサーシートを製造するための製造方法であって、光透過性を有する熱可塑性樹脂からなる基材をアニールするアニール工程と、前記アニール工程の後、溶質として光透過性導電ポリマーを含有するとともに溶媒中に増粘剤を含有する溶液を前記基材の表面に印刷する印刷工程と、前記印刷工程の後、前記基材に印刷された前記溶液を減圧環境下で加熱乾燥させる乾燥工程と、を備えることを特徴とするセンサーシートの製造方法である。
【0008】
また、前記乾燥工程では真空引きにより負圧環境とすることが好ましい。
また、前記乾燥工程では前記溶液を膜状に固化させ、前記溶液の固化物に一部が接続されるようにペースト状の導体を前記基材上に印刷する第二印刷工程と、前記基材上に印刷された前記導体を前記アニール工程における温度未満の温度環境下で加熱乾燥させて前記導体を固化させる第二乾燥工程と、をさらに備えることが好ましい。
【0009】
また、前記第二乾燥工程の後、前記光透過性導電ポリマーの固化物および前記ペースト状の導体の固化物を覆うように光透過性の保護層を積層する保護層積層工程をさらに備えることが好ましい。
【0010】
また、前記保護層積層工程の後、前記センサーシートを三次元成形する成形工程をさらに備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のセンサーシートおよびその製造方法によれば、基材の収縮や変形、および変色を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態のセンサーシートの平面図である。
【図2】図1のA−A線における断面図である。
【図3】本発明の一実施形態のセンサーシートの製造方法を示すフローチャートである。
【図4】同製造方法におけるベースフィルムの温度と時間との関係を示すグラフである。
【図5】同製造方法において導電性インクを印刷後のベースフィルムにかかる圧力と時間との関係を示すグラフである。
【図6】(a)ないし(d)は、同製造方法を説明するための工程説明図である。
【図7】同センサーシートを三次元形状に成形する工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態のセンサーシートおよびその製造方法について説明する。
まず、本実施形態のセンサーシートの構成について説明する。図1は、本実施形態のセンサーシートの平面図である。図2は、図1のA−A線における断面図である。本実施形態のセンサーシートは、たとえば液晶ディスプレイのタッチ型入力装置として使用されるものである。
【0014】
図1および図2に示すように、センサーシート1は、ベースフィルム(基材)10と、ベースフィルム10に接触して配置された透明電極20と、透明電極20に検出信号を印加する信号ライン30と、透明電極20のうちベースフィルム10とは反対側の面を覆う保護層40とを備えている。
【0015】
ベースフィルム10は、光透過性を有する絶縁性材料で形成された平坦なフィルム状の部材である。ベースフィルム10の材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの熱可塑性樹脂を採用することができる。また、本実施形態では、ベースフィルム10として、プレス成形、圧空成形、あるいは真空成形などによって成形可能ないわゆる易成形フィルムを採用することができる。
【0016】
透明電極20は、ポリチオフェン、ポリアニリンなどの光透過性導電ポリマーなどの光透過性を有する導電性材料を用いて、印刷や塗布などによりベースフィルム10上に矩形状に形成されている。
【0017】
信号ライン30は、透明電極20よりも低い電気抵抗を有する。信号ライン30の一部は、ベースフィルム10の周縁部まで延びており、カーボンなどからなる接続パッド33が端部に設けられている。接続パッド33は、上述の保護層40に覆われておらず、図示しない検出回路との接続に使用される。
信号ライン30は、透明電極20と接続される補助電極31と、補助電極31と接続パッド33とを接続する引出し部32とを有する。補助電極31は、平面視矩形状の透明電極20の4辺(外周部)のうち、隣接する2辺と接続するように配置されている。信号ライン30の材料としては、銀ペースト、カーボンペースト、金属膜などの導電性の高い材料を用いることができる。
【0018】
保護層40は、信号ライン30の一部および透明電極20を覆うように、透明電極20と略同形状の矩形状に形成されている。保護層40は、ベースフィルム10と同じ材料で形成することができる。また、熱硬化型やUV硬化型のレジスト材を印刷することによって保護層40とすることもできる。
透明電極20と保護層40とは、粘着層50により接合されている。
【0019】
次に、本実施形態のセンサーシートの製造方法について、上述のセンサーシート1を製造する工程を例に説明する。
まず、本実施形態のセンサーシートの製造方法において使用されるベースフィルム10の材料について説明する。
ベースフィルム10の材料としては、光透過性を有する熱可塑性樹脂であって、プレス成形、圧空成形、あるいは真空成形に好適に使用することができる材料を用いる。このようなベースフィルム10の具体例としては、易成形2軸延伸PETフィルムである東洋紡績株式会社製ソフトシャイン(登録商標)を挙げることができる。
【0020】
次に、透明電極20の材料について説明する。
透明電極20の材料としては、溶質として光透過性導電ポリマーを含有するとともに溶媒中に増粘剤を含有する導電性インク20A(図6(b)参照)を用いる。
【0021】
本実施形態では、光透過性導電ポリマーとして、π共役系導電性高分子が採用される。
π共役系導電性高分子としては、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば特に制限されず、例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアニリン類、ポリアセン類、ポリチオフェンビニレン類、及びこれらの共重合体等が挙げられる。空気中での安定性の点からは、ポリピロール類、ポリチオフェン類及びポリアニリン類が好ましい。
【0022】
π共役系導電性高分子は、無置換のままでも充分な導電性を得ることができる。また、π共役系導電性高分子の導電性をより高めるために、アルキル基、カルボキシ基、スルホ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基等の官能基をπ共役系導電性高分子に導入してもよい。
【0023】
増粘剤としては、印刷インクに使用される公知のものを使用できるが、増粘性が高いことから、グリシジル基及び/又はヒドロキシ基と、メタクリル基、アクリル基、メタクリルアミド基、アクリルアミド基から選ばれる1種とを含有する化合物(以下、化合物Aという。)が好ましい。
このような化合物Aの具体例として、グリシジル基とメタクリル基(アクリル基)を有する化合物として、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート等が挙げられる。
【0024】
また、化合物Aの具体例としては、ヒドロキシ基とメタクリル基、アクリル基、メタクリルアミド基、アクリルアミド基を有する化合物として、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、エチル−α−ヒドロキシメチルアクリレート、ジペンタエリストリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド等を挙げることもできる。これらの化合物は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。
【0025】
化合物Aの中でも、2−ヒドロキシエチルアクリルアミドが好ましい。2−ヒドロキシエチルアクリルアミドは増粘性を示すだけではなく、極性が高いため、π共役系導電性高分子とポリアニオンを含有する水溶液の水を、ゲル化または固体粒子化を生成せずに置換することができる。
【0026】
増粘剤の含有量は、導電性インク100質量%に対して1〜99質量%であることが好ましい。導電性インク20Aにおける増粘剤の含有量を調整することによって、ベースフィルム10に対する導電性インク20Aの印刷適性を調整することができる。
【0027】
本実施形態では、増粘剤として2−ヒドロキシエチルアクリルアミドを含有する場合について例示する。本実施形態では、印刷適性を最適化する目的で導電性インク20Aに増粘剤(2−ヒドロキシエチルアクリルアミド)が添加されていることにより、導電性インク20Aの沸点は270℃(0kPa(G))になっている。
【0028】
その他、本実施形態において採用できる導電性インク20Aの例として、たとえば特開2008−300063号公報や特開2010−168445号公報に開示された組成を有する導電性インクを挙げることができる。
【0029】
次に、センサーシートの製造工程について説明する。図3は、センサーシートの製造方法を示すフローチャートである。図4は、センサーシートの製造工程における時間と温度との関係を示すグラフである。図5は、センサーシートの製造工程における時間と圧力との関係を示すグラフである。図6は、センサーシートを製造する各工程を説明するための工程説明図である。
【0030】
センサーシート1を製造するためには、まず、ベースフィルム10をアニールする(アニール工程、図3に示すステップS1)。ステップS1は、ベースフィルム10の残留応力によるひずみを解消するとともに、後続の各工程における熱収縮を抑えるための工程である(図6(a)参照)。
ステップS1では、後述するステップS6における処理温度T(図4参照、本実施形態では140℃)を僅かに超える温度環境T(図4参照、本実施形態では155℃)でベースフィルム10を静置する。これにより、ベースフィルム10は熱収縮する。ステップS1においてアニールを行うことにより、ステップS1の終了後は、温度環境T以下の温度環境ではベースフィルム10には熱収縮が生じない。
これでステップS1は終了し、ステップS2へ進む。
【0031】
ステップS2は、上述の導電性インク20Aをベースフィルム10の表面に印刷する印刷工程である(図6(b)参照)。
ステップS2では、導電性インク20Aをたとえばスクリーン印刷によってベースフィルム10の表面に印刷して、導電性インク20Aによるパターンをベースフィルム10上に形成する。
これでステップS2は終了し、ステップS3へ進む。
【0032】
ステップS3は、ベースフィルム10に印刷された導電性インク20Aを負圧環境下で加熱乾燥させる乾燥工程である。
上記ステップS2においてベースフィルム10上に印刷された導電性インク20Aは、ベースフィルム10上への印刷適性を最適化する目的で増粘剤が添加されている。このため、常圧環境下(約0kPa(G))で導電性インク20Aを加熱乾燥させようとすると、ベースフィルム10が熱収縮して変形したり、変色したりする可能性がある。
【0033】
ステップS3では、まず、導電性インク20Aが印刷されたベースフィルム10を、内部に発熱体を有する減圧容器内に配置し、減圧容器を真空引きして負圧環境とする。真空引きすることにより、減圧容器の内圧は−100kPa以下とされる(図5参照)。図4および図5に示すように、ステップS3において、時間tにおいて減圧が開始されてから、減圧容器の内圧が−100kPaとなる時間tに達した後、発熱体が発熱することによって減圧容器の内部温度が上がる。
導電性インク20Aが印刷されたベースフィルム10が負圧環境下にある場合の沸点は、常圧状態における導電性インク20Aの沸点よりも低い。たとえば、−100kPaの負圧環境下では、導電性インク20Aに含まれる増粘剤(2−ヒドロキシエチルアクリルアミド)の沸点は130℃程度となり、上記ステップS1におけるアニール時の温度付近の温度環境で導電性インク20Aの溶媒は容易に蒸発する。
本実施形態では、ステップS3における加熱温度は、減圧状態における増粘剤の沸点以上、且つ上記ステップS1におけるアニール温度未満の温度であることが好ましい。具体的には、下記ステップS6における処理温度Tと同じ温度か、あるいは処理温度Tより僅かに高い温度(たとえば145℃)に設定される。これにより、ベースフィルム10が熱収縮することなく、導電性インク20Aを乾燥させることができる。また、ステップS3において加熱状態を持続する時間は、減圧容器における圧力と温度とに基づいて、導電性インク20Aが乾燥して膜状となる適宜の時間に設定される。導電性インク20Aが乾燥した後、減圧容器内の温度を常温(図4に符号Tで示す)まで下げる。
導電性インク20Aが十分に乾燥した時間Tの後、減圧容器の内圧を徐々に常圧まで戻し、減圧容器の内圧が常圧となった後に減圧容器内からベースフィルム10を取り出す。
これでステップS3は終了し、ステップS4へ進む。
【0034】
ステップS4は、加熱乾燥されたベースフィルム10上の導電性インク20Aに対して紫外線を照射するUV固化工程である。
ステップS4では、導電性インク20Aに対して紫外線を照射することにより導電性インク20Aを固化させる。ステップS4によって、導電性インク20Aの膜は、透明電極20となる(図6(c)参照)。
これでステップS4は終了し、ステップS5へ進む。
【0035】
ステップS5は、信号ライン30を形成する第二印刷工程である。
ステップS5では、まず、信号ライン30の材料となる銀ペーストなどのペースト状の導体を所定のパターン形状にスクリーン印刷によって形成する。ステップS5において、銀ペーストなどからなるパターン31A(図6(c)参照)は、一端が透明電極20に接続され、他端はベースフィルム10の周縁に配置される。
これでステップS5は終了し、ステップS6へ進む。
【0036】
ステップS6は、例えば赤外線(IR)乾燥によって上記銀ペーストなどのパターン31Aを加熱乾燥させることにより固化させる第二乾燥工程である。
ステップS6において、IR乾燥を行う温度は、上記銀ペーストなどのパターンを乾燥させることができる温度であり、本実施形態では140℃の温度環境下でIR乾燥を行う。上記ステップS1においてベースフィルム10が155℃でアニールされていることにより、ステップS6において140℃の温度環境としても、ベースフィルム10の熱収縮による変形は生じない。
ステップS6によって、銀ペーストなどからなるパターン31Aは信号ライン30となる(図6(d)参照)。
これでステップS6は終了し、ステップS7へ進む。
【0037】
ステップS7は、ベースフィルム10の周縁部に位置する信号ライン30の端部に接続パッド33を形成する接続パッド形成工程である。
ステップS7では、たとえばカーボンペーストのパターンをスクリーン印刷によって形成し、カーボンペーストのパターンをIR乾燥させることによって接続パッド33を形成する。
これでステップS7は終了し、ステップS8へ進む。
【0038】
ステップS8は、保護層40を積層する保護層積層工程である。
ステップS8では、信号ライン30の一部と透明電極20とを覆うように保護層40を積層する(図2参照)。保護層40は、粘着層50によって、ベースフィルム10、透明電極20、および信号ライン30と密着する。信号ライン30のうち接続パッド33は外部に露出されており、接続パッド33は外部の回路に接続できるようになっている。
これでステップS8は終了する。
【0039】
以上の一連のステップによって、平坦なセンサーシート1が製造される。
次に、平坦なセンサーシート1を三次元形状に成形する工程について説明する。図7は、平坦なセンサーシートを三次元形状に成形する工程を示すフローチャートである。
【0040】
図7に示すステップS11は、上記ステップS8の後に開始する工程であり、センサーシートをたとえば成形型内に配置し、圧空成形により成形型に沿った三次元形状に成形する成形工程である。
成形工程では、センサーシート1を加熱して軟化させ、成形型に沿った所定の形状に成形した後に冷却する。
これでステップS11は終了し、ステップS12へ進む。
【0041】
ステップS12は、三次元成形後のセンサーシート1の外周の不要部分をカットするトリミング工程である。
トリミング工程では、例えばプレス加工などによってセンサーシート1の不要部分をカットする。
これでステップS12は終了し、一連の工程は終了する。
【0042】
以上説明したように、本実施形態のセンサーシートおよびその製造方法によれば、ベースフィルム10をアニールする温度以下の温度環境下で導電性インク20Aを加熱乾燥することができるので、ベースフィルム10の収縮や変形、および変色を抑えることができる。
ベースフィルム10の収縮を抑えることができると、透明電極20と、透明電極20の形成後に形成する信号ライン30との位置ずれを軽減することができる。
【0043】
また、本実施形態のセンサーシートの製造方法では、信号ライン30や接続パッド33を形成するために必要な温度以下で導電性インク20Aを乾燥させることができるので、導電性インク20Aの沸点によってベースフィルム10の材料が制限されることがなく、多様な易成形フィルムを採用することができる。
【0044】
また、増粘剤を含有し粘性が高く沸点も高い導電性インク20Aを使用することができるので、基材上で導電性インク20Aが流れるのを抑えることができ、導電性インク20Aの微細なパターンを基材上に形成することができる。
また、導電性インク20Aを乾燥させる際に真空引きにより負圧環境とするので、導電性インク20Aを乾燥させる際における熱がベースフィルム10に与える影響を抑えることができる。
【0045】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
たとえば、本実施形態では、導電性インクを加熱乾燥させる際に負圧状態とする例を示したが、必要に応じて、常圧より減圧された状態で導電性インクを加熱乾燥させることもできる。
【0046】
また、上述の実施形態では、ベースフィルムの形状をフィルム状と表現したが、ベースフィルムの形状は、シート状や板状であっても構わない。
【0047】
また、上述の実施形態で説明した透明電極の具体的な材料としては、たとえば、ポリチオフェン系の導電性インク(たとえば、信越ポリマー(株)製、製品名SEPLEGYDA(登録商標))などを好適に用いることができる。
【0048】
また、接続パッドの材料としては、カーボン以外にも、金など耐腐食性の高い導体を採用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1、1A センサーシート
10 ベースフィルム
20 透明電極
30 信号ライン
40 保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂からなる平坦なフィルム状の基材と、
溶質として光透過性導電ポリマーを含有するとともに溶媒中に増粘剤を含有する溶液が固化してなり前記基材の表面に固定された透明電極と、
を備えることを特徴とするセンサーシート。
【請求項2】
光透過性を有するセンサーシートを製造するための製造方法であって、
光透過性を有する熱可塑性樹脂からなる基材をアニールするアニール工程と、
前記アニール工程の後、溶質として光透過性導電ポリマーを含有するとともに溶媒中に増粘剤を含有する溶液を前記基材の表面に印刷する印刷工程と、
前記印刷工程の後、前記基材に印刷された前記溶液を減圧環境下で加熱乾燥させる乾燥工程と、
を備えることを特徴とするセンサーシートの製造方法。
【請求項3】
前記乾燥工程では真空引きにより負圧環境とすることを特徴とする請求項2に記載のセンサーシートの製造方法。
【請求項4】
前記乾燥工程では前記溶液を膜状に固化させ、
前記溶液の固化物に一部が接続されるようにペースト状の導体を前記基材上に印刷する第二印刷工程と、
前記基材上に印刷された前記導体を前記アニール工程における温度未満の温度環境下で加熱乾燥させて前記導体を固化させる第二乾燥工程と、
をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載のセンサーシートの製造方法。
【請求項5】
前記第二乾燥工程の後、前記光透過性導電ポリマーの固化物および前記ペースト状の導体の固化物を覆うように光透過性の保護層を積層する保護層積層工程をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載のセンサーシートの製造方法。
【請求項6】
前記保護層積層工程の後、前記センサーシートを三次元成形する成形工程をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載のセンサーシートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−174368(P2012−174368A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32451(P2011−32451)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】