説明

センサーシートおよびタッチパネル

【課題】センサーシート上で個々の検出電極を見えにくくでき、且つ検出信号を安定化することができるセンサーシートおよびタッチパネルを提供すること。
【解決手段】入力体が近接したことと入力体の位置とを入力体との間の静電容量の変化に基づいて検出するタッチパネルに用いられ入力体との間の静電容量の変化を検出する検出回路に接続されるセンサーシートであって、シート状基板11と、シート状基板11の厚さ方向から見たときに互いに離間してシート状基板11に配置され、且つ検出回路20に接続される複数の検出電極12と、複数の検出電極12における個々の検出電極12−1〜4の間に個々の検出電極12−2〜4から離間し、且つ個々の検出電極を1つずつ含む複数の区画にシート状基板11を区分けして配置された境界電極13とを備え、境界電極13は、複数の検出電極12と同じ材料からなり、且つ検出回路20に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサーシートおよびタッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、映像等を表示するディスプレイ装置の表示領域に重ねて取り付けられる光透過性を有するタッチパネルが知られている。
たとえば特許文献1には、静電容量タッチパネルを表示領域上に備える表示パネルが開示されている。特許文献1に記載された静電容量タッチパネルは、一方向へ延びる複数のX電極とこれらのX電極に交差し互いに平行に延びる複数のY電極とを備える。X電極およびY電極は、それぞれ、その延在方向にパッド部と細線部とが交互に並ぶようにして形成されている。X電極およびY電極が延びるそれぞれの方向に直交する方向からこの静電容量タッチパネルを見た場合に、X電極のパッド部とY電極のパッド部は重畳することなく配置されている。X電極のパッド部とY電極のパッド部の間には、X電極およびY電極に対してフローティングされ、電気的に浮いた状態のダミー電極が形成されている。特許文献1には、この表示パネル装置によって、電極のパターンを見えにくくするとともに座標検出精度を向上させることができることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−205321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された表示パネルでは、X電極およびY電極に対してフローティングされたダミー電極は、X電極あるいはY電極における静電容量の変化の影響を受けてその静電容量が変化する場合がある。この場合、ダミー電極における静電容量の変化によって、隙間を空けて隣接する他のX電極やY電極に対するノイズが発生し、X電極あるいはY電極における検出信号が不安定になるおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、センサーシート上で個々の検出電極を見えにくくでき、且つ検出信号を安定化することができるセンサーシートおよびタッチパネルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明のセンサーシートは、入力操作を行うための入力体が近接した際に前記入力体が近接したことと前記入力体の位置とを前記入力体との間の静電容量の変化に基づいてそれぞれ検出するタッチパネルに用いられ前記入力体との間の静電容量の変化を検出するための検出回路に接続されるセンサーシートであって、基板と、基板の厚さ方向から見たときに互いに離間して前記基板に配置され、且つ前記検出回路に接続される複数の検出電極と、前記複数の検出電極における個々の検出電極の間に前記個々の検出電極から離間し、且つ前記個々の検出電極を1つずつ含む複数の区画に前記基板を区分けして配置された境界電極と、を備え、前記境界電極は、前記複数の検出電極と光の透過度が同じ材料からなり、且つ前記検出回路に接続されることを特徴とする。
【0007】
また、前記境界電極は、前記検出回路のグランドに接続されることが好ましい。
【0008】
本発明のタッチパネルは、本発明のセンサーシートと、前記検出回路と、を備え、前記検出回路は、前記個々の検出電極と前記入力体との間の静電容量の変化に基づいて前記個々の検出電極に前記入力体が近接したことを判定する第一判定部と、前記境界電極と前記入力体との間の静電容量の変化に基づいて前記境界電極に前記入力体が近接したことを判定する第二判定部と、前記個々の検出電極のうち2以上の検出電極について前記入力体が近接したと前記第一判定部が判定し、且つ前記境界電極に対して前記入力体が近接したと前記第二判定部が判定した場合に、前記個々の検出電極のうち前記境界電極を挟んで隣り合う検出電極の境界に前記入力体が近接したと判定する第三判定部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のセンサーシートおよびタッチパネルによれば、検出回路に接続された境界電極が個々の検出電極の隙間に設けられているので、センサーシート上で個々の検出電極を見えにくくでき、且つ個々の検出電極に対する検出精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(A)は本発明の第1実施形態のセンサーシートを備えるタッチパネルを示す図、(B)は(A)のA−A線における断面図である。
【図2】同センサーシートの正面図である。
【図3】図2のB−B線における断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態のタッチパネルにおけるセンサーシートおよび検出回路を示す図である。
【図5】同タッチパネルの作用を説明するための図である。
【図6】同タッチパネルの作用を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態のセンサーシート10およびタッチパネル1について説明する。
図1(A)は、本実施形態のセンサーシート10を備えるタッチパネル1を示す図である。図1(B)は図1(A)のA−A線における断面図である。
タッチパネル1は、電子機器等の操作者などが電子機器等に対して入力操作を行うための入力装置である。タッチパネル1に対して行われる入力操作とは、図1(A)および図1(B)に示すように、導体からなる入力体100をタッチパネル1に設けられたセンサーシート10に近づけたり接触させたりすることである。入力体100としては、スタイラスペンや操作者の指などを用いることができる。本実施形態では入力体100として操作者の指を用いる例を説明する。
【0012】
図1(B)に示すように、タッチパネル1は、画像を表示する表示領域2aが厚さ方向の一方の面に設けられた矩形板状の表示部2と、表示領域2aに重ねて配置された略矩形板状のセンサーシート10と、表示部2との間にセンサーシート10を挟んで表示部2の厚さ方向に重ねて設けられた外装パネル3とがこの順に重ねられている。さらに、図1(A)に示すように、タッチパネル1は、センサーシート10に接続された検出回路20を備える。以下では、表示部2が設けられている側を下、外装パネル3が設けられている側を上として説明する。
【0013】
表示部2は、画像を表示する表示素子が表示領域2a内に格子状に並べられて形成されたものであり、たとえば液晶ディスプレイ(LCD)などを採用することができる。図1(A)に示すように、表示部2における表示領域2aは、表示部2の厚さ方向から見たときに矩形形状に形成されている。
【0014】
図2は、センサーシート10の正面図である。なお、図2においては後述する保護材15の図示を省略している。
図2に示すように、センサーシート10は、表示部2を厚さ方向から見たときに表示領域2a(図1(A)、(B)参照)の全域を覆う薄板状部材であり、シート状基板11と、検出電極12と、境界電極13と、配線14と、保護材15(図1(A)参照)とを備える。
【0015】
シート状基板11は、表示部2の厚さ方向から見たときの形状が略矩形形状であり、シート状基板11の外周の一部には外側へ矩形形状に突出した形状の突出部11aが形成されている。シート状基板11は絶縁材料からなる。具体的には、シート状基板11は樹脂材料からなり、本実施形態ではポリエチレンテレフタレートの薄板材によって形成されている。
【0016】
検出電極12は、シート状基板11の厚さ方向における両面のうち外装パネル3(図1(B)参照)に向けられた側の面上に、シート状基板11を厚さ方向から見たときに2行2列に整列されて互いに離間して4つ形成されている。検出電極12における検出電極12−1、検出電極12−2、検出電極12−3、検出電極12−4(以下、これらを「各検出電極12−1〜4」と称することがある。)の形状は、シート状基板11の厚さ方向から見たときに矩形形状である。各検出電極12−1〜4の隙間は十字形になっている。検出電極12の材質は、導電性を有し且つ光透過性を有する材質からなる。具体的には、検出電極12は、ポリチオフェン系導電性高分子塗料である信越ポリマー製SEPLEGYDA(登録商標)からなる。
【0017】
境界電極13は、各検出電極12−1〜4によって形成された十字形の隙間に配置された電極である。境界電極13はシート状基板11の厚さ方向の両面のうち検出電極12が形成された側の面上に形成されており、各検出電極12−1〜4から離間して配置されている。
【0018】
境界電極13の形状は、シート状基板11の厚さ方向から見たときに十字形に延びた形状であり、各検出電極12−1〜4を1つずつ含む矩形形状の区画にシート状基板11を区分けするように配置されている。シート状基板11の厚さ方向から見たときの境界電極13の厚さは同方向から見たときの検出電極12の厚さと等しい。
【0019】
図3は、図2のB−B線における断面図である。
図3に示すように、境界電極13と各検出電極12−1〜4との間の最短距離WA、WBは互いに等しく、各検出電極12−1〜4の最短距離W1から境界電極13の幅W2を引いた大きさの半分になっている。この最短距離WAおよびWBは、センサーシート10の製造過程において境界電極13と各検出電極12−1〜4とが導通しない大きさであればよく、境界電極13と各検出電極12−1〜4との間の隙間はより小さいほうがより好ましい。
【0020】
境界電極13の材質は、検出電極12と光の透過度が同じ導体である。具体的には、境界電極13の材質は、検出電極12と同色の材質である。すなわち、検出電極12および境界電極13が透過可能な光の波長の範囲は互いに等しい。さらに、境界電極13と検出電極12の厚さが等しいので、境界電極13を厚さ方向に透過する光と検出電極12を厚さ方向に透過する光の光量は、境界電極13あるいは検出電極12を透過することで同じ割合でそれぞれ減少するようになっている。これにより、センサーシート10を厚さ方向から見たときに検出電極12と境界電極13とは見た目の色が同様に見えるようになっている。本実施形態では、境界電極13は、検出電極12と同一の材質からなる。
【0021】
図2に示すように、配線14は、一端が各検出電極12−1〜4に接続され他端が突出部11aの突出端まで延ばして設けられた検出配線14aと、一端が境界電極13に接続され他端が突出部11aの突出端まで延ばして設けられた境界配線14bとを備える。検出配線14aと境界配線14bとのそれぞれの他端は、シート状基板11の突出部11aの突出端において互いに等間隔に整列配置されている。また、突出部11aの突出端における検出配線14aおよび境界配線14bのピッチは、フレキシブル基板(FPC)およびフレキシブルフラットケーブル(FFC)用のコネクタに接続できるピッチとされている。検出配線14aおよび境界配線14bの他端によって、検出回路20に対してコネクタを介して電気的に接続される接続端子が構成されている。
【0022】
配線14は、金属を含有するペーストによって形成されている。本実施形態では、配線14は銀ペーストがシート状基板11上にパターン形成されることによって形成されている。
【0023】
保護材15は、絶縁性を有する薄板あるいはフィルム状の部材であり、検出電極12および境界電極13の全てと、配線14の一部とをシート状基板11との間に挟みこんで封止するものである。図1(A)に示すように、保護材15は、突出部11aの突出端には設けられておらず、突出部11aの突出端に配置された上記接続端子は外部に露出されており、配線14の他端と上述のコネクタとが電気的に接続できるようになっている。
【0024】
図1(A)および図1(B)に示すように、外装パネル3は、表示部2の表示領域2aの全面を覆う矩形板状の保護パネル16と、保護パネル16の外周を囲む外枠17とを備える。
保護パネル16は、光透過性を有するとともに硬質な材料によって形成されている。保護パネル16には入力体100を接触させることができる。センサーシート10の上に硬質な保護パネル16が設けられていることにより、入力体100とセンサーシート10とが直接接触することがない。このため、センサーシート10に入力体100が接触することでセンサーシート10が傷つくことを防止することができる。
【0025】
図2に示すように、検出回路20は、センサーシート10の検出電極12と境界電極13とのそれぞれに接続端子を介して電気的に接続されており、検出電極12に接続された静電容量検出部21と、境界電極13に接続されたグランド22とを有する。
【0026】
静電容量検出部21は、各検出電極12−1〜4における静電容量の変化を検出するようになっている。さらに、検出回路20は、静電容量が変化した検出電極12の位置を特定する情報を外部の電子機器等に対して出力するようになっている。検出電極12の位置を特定する情報としては、たとえば、各検出電極12−1〜4に対して個別に割り振られて検出回路20に予め記憶された符号などとすることができる。
グランド22は、境界電極13に接続されることによって、境界電極13の電位を静電容量検出部21の基準電位と同電位にするものである。
【0027】
以上に説明した構成のセンサーシート10およびタッチパネル1の作用について説明する。
タッチパネル1の使用時には、表示部2の表示素子が発光することによって表示領域2a上に画像が表示される。図3に示すように表示部2の表示領域2aに画像が表示されると、表示領域2aから発せられた光は図3において矢印で示すようにセンサーシート10を透過してタッチパネル1の外側へ照射される。これにより、タッチパネル1の操作者は、表示領域2aに表示された画像をセンサーシート10を通して見ることができる。
【0028】
検出電極12および境界電極13は、シート状基板11と異なる材料によって形成されており、シート状基板11と完全に同色ではない。また、検出電極12および境界電極13とシート状基板11とをともに完全に無色にすることは困難である。このため、シート状基板11上に検出電極12および境界電極13を形成すると、シート状基板11のみを透過する光と、シート状基板11および検出電極12あるいは境界電極13と透過する光との色および光量がわずかに異なる。
【0029】
本実施形態では、各検出電極12−1〜4の隙間に境界電極13が配置されているので、境界電極13が配置されていない場合と比較して、シート状基板11のみを透過する光を少なくすることができる。検出電極12を透過した光と境界電極13を透過した光は、同じ波長の光が吸収され、同程度に光量が減少するので、操作者は、検出電極12と境界電極13とを目視によって識別することは困難である。このため、表示領域2aの上に重ねられたセンサーシート10を見た操作者にとって、本実施形態のセンサーシート10では、境界電極13が配置されていない場合と比較して個々の検出電極12を識別しにくくなっている。さらに、本実施形態のセンサーシート10では、センサーシート10を通して見た表示領域2a上の画像に各検出電極12−1〜4の隙間による線が重畳していても操作者に違和感を与えることを軽減することができる。
【0030】
図1(A)に示すように、表示部2の表示領域2aには、たとえば各検出電極12−1〜4が配置された各位置と厚さ方向で重なるように1または複数の選択肢が表示される。操作者は、保護パネルおよびセンサーシートを通してこれらの選択肢表示(たとえば選択肢表示X1〜X4)を目視することができる。操作者は、保護パネル16の厚さ方向の上面において所望の選択肢が表示された部分に入力体100を接触させる。すると、入力体100が近接した検出電極12においては、入力体100との間の静電容量が増加する。検出回路20は、入力体100が近接した検出電極12(図2参照)において静電容量が増加したことを検出し、外部の電子機器等に対してこの検出電極12に対して入力体100による入力操作があったことを出力する。このように、タッチパネル1は、検出電極12と入力体100との間の静電容量の変化に基づいて、入力体100がどの検出電極12に近接したかを検出することができる。
【0031】
入力体100を保護パネル16の上面に接触させる場合、表示部2の厚さ方向から見たときに境界電極13を挟んで隣りにある検出電極12に近い位置に入力体100が接触する場合がある。たとえば、図2に示すように、検出電極12−1に重なる位置のうち検出電極12−2側の辺の近傍の位置Paに入力体100を近接させると、入力体100は検出電極12−2に対しても近接する。
【0032】
本実施形態では、隣り合う検出電極12の間には境界電極13が配置されており、境界電極13は静電容量検出部21の基準電位と同電位となっている。これにより、境界電極13を挟んで隣り合う検出電極12における静電容量の変化は、境界電極13が設けられていない場合や境界電極13が電気的に浮いた状態とされている場合と比較して少ない。その結果、静電容量検出部21に入力される検出信号が安定し、静電容量検出部21において操作者が意図しない入力を誤って検出する可能性を抑えることができる。
【0033】
以上説明したように、本実施形態のセンサーシート10およびタッチパネル1によれば、センサーシート10上で個々の検出電極12を目視により識別しにくくでき、且つ検出信号を安定化することができる。
【0034】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態のタッチパネル1Aについて説明する。なお、以下では、第1実施形態で説明した構成と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0035】
図4は、タッチパネル1Aにおけるセンサーシート10と検出回路20Aとを示す図である。なお、図4においては表示部3および外装パネル3の図示を省略している。
図4に示すように、タッチパネル1Aは、第1実施形態で説明した検出回路20に代えて設けられた検出回路20Aを備える点で第1実施形態のタッチパネル1と構成が異なっている。
タッチパネル1やタッチパネル1Aに対して入力操作を行う場合には、意図的に表示領域2a上の2つの領域に入力体100を近接させる場合と、センサーシート10において境界電極13によって区画分けされた区画の境界に入力体100を近接させる場合とがある。4つに区画分けされた表示領域2aの境界に入力体100が近接する場合としては、1つの区画に入力体100を近接させる意図である場合も考えられる。
【0036】
本実施形態のタッチパネル1Aは、区画分けされた表示領域2aの境界に入力体100が近接したことを検出する機能を有するものである。
検出回路20Aは、各検出電極12−1〜4と境界電極13とにそれぞれ接続された静電容量検出部21Aを備える点で上述の検出回路20と構成が異なっている。本実施形態の検出回路20Aは、境界電極13においても静電容量の変化を検出するようになっている。
【0037】
次に、静電容量検出部21Aの構成について詳述する。
静電容量検出部21Aは、検出電極12に接続された第一判定部23と、境界電極13に接続された第二判定部24と、第一判定部23および第二判定部24に接続された第三判定部25とを備える。
【0038】
第一判定部23は、各検出電極12−1〜4と入力体100との間の静電容量の変化に基づいて各検出電極12−1〜4に入力体100が近接したことを判定するものである。第一判定部23は、2以上の検出電極12において静電容量が増加した場合には、静電容量が増加した検出電極12にそれぞれ入力体100が近接したものと判定して第三判定部25に出力する。
【0039】
第二判定部24は、境界電極13と入力体100との間の静電容量の変化に基づいて境界電極13に入力体100が近接したことを判定して第三判定部25に出力するものである。
【0040】
第三判定部25は、各検出電極12−1〜4のうち2以上の検出電極12について入力体100が近接したと第一判定部23が判定し、且つ境界電極13に対して入力体100が近接したと第二判定部24が判定した場合に、各検出電極12−1〜4のうち境界電極13を挟んで隣り合う検出電極12の境界に前記入力体100が近接したと判定するものである。
【0041】
次に、本実施形態のタッチパネル1Aの作用について上述のタッチパネル1と異なる点を中心に説明する。
図5および図6は、タッチパネル1Aの作用を説明するための図である。
タッチパネル1Aの使用時には、上述のタッチパネル1Aと同様に表示部2の表示領域2aに選択肢が表示される。操作者は、保護パネル16の上面に入力体100を接触させて選択肢表示X1〜X4における所望の選択肢表示を選択しようとする。
【0042】
たとえば、図5に示すように、操作者は、保護パネル16の上面において離間する2箇所の位置Pb、Pcにそれぞれ入力体100を接触させて保護パネル16上の2箇所に対して同時に入力操作をする場合がある。
この場合、図4に示す2箇所の検出電極12−3、12−4に対して入力体100が近接することで、この2箇所の検出電極12−3、12−4と入力体100との間の静電容量は増加する。すると、検出回路20Aの静電容量検出部21Aは、第一判定部23において2箇所の検出電極12−3、12−4に入力体100が近接したものと判定する。
【0043】
このとき、保護パネル16の上面において境界電極13に重なる位置には入力体100は接触していないので、第二判定部24においては入力体100が近接したとは判定されない。
すると、第三判定部25は、第一判定部23によって判定された2箇所の検出電極12−3、12−4にそれぞれ入力体100による入力操作があったものと判定し、検出電極12−3、12−4を特定する情報を外部の電子機器等へ出力する。
【0044】
また、図5および図6に示すように、入力体100の大きさが大きい場合には、表示部2の厚さ方向から見たときに、境界電極13を挟んで隣り合う2つあるいは4つの検出電極12に重なる位置Pdに入力体100が接触する場合もある。
たとえば、幅W2の境界電極13を挟んで最短距離W1を空けて隣り合う2つの検出電極12−1、検出電極12−2に、保護パネル16に接したときに検出電極12−1と検出電極12−2との最短距離W1を越える大きさW100となるような入力体100が重なると、検出電極12−1、検出電極12−2の何れも入力体100との間の静電容量が増加する。すると、第一判定部23は、検出電極12−1、検出電極12−2に対して入力体100が近接したものと判定し、第三判定部25に出力する。さらに、入力体100は境界電極13にも重なっているので、境界電極13と入力体100との間の静電容量も増加する。すると、第二判定部24は境界電極13に入力体100が近接したことを判定し、第三判定部25に出力する。
【0045】
第三判定部25には、第一判定部23および第二判定部24からの出力が入力される。第三判定部25は、境界電極13と複数の検出電極12との両方に対して入力体100が近接していることから、境界電極13を挟んで隣り合う検出電極12−1、検出電極12−2の境界に入力体100が近接したと判定する。
すると、第三判定部25は、外部の電子機器に対して、入力体100が近接した検出電極12−1、検出電極12−2を特定する情報と、検出電極12−1、検出電極12−2の境界に入力体100が近接したことを示す所定の符号等の情報を出力する。
これにより、外部の電子機器は、たとえば複数の選択肢が誤って同時に選択されたと判定して再入力を促すなど、複数の選択肢が1つの入力体100によって選択されたことに対応する適宜の処理を行うことができるようになる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態のタッチパネル1Aによれば、第一判定部23および第二判定部24において検出電極12と境界電極13とにともに入力体100が近接したことが判定された場合に、境界電極13を挟んで隣り合う検出電極12に1つの入力体100が近接したことを第三判定部25が検出することができる。このため、本実施形態のタッチパネル1Aは、入力体100が境界電極13をまたいで複数の検出電極12に重なる位置に接触したことを検出することができる。
【0047】
本実施形態の検出回路20Aおよびセンサーシート10を備えるタッチパネル1Aは、たとえば、スタイラスペンに比べて保護パネル16に対する接触面積が大きい操作者の指などによってタッチパネル1に対して入力操作を行う場合に、誤って2つの選択肢が同時に選択されてしまう可能性を抑えることができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
たとえば、シート状基板11の材質としては、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ナイロン樹脂、ビニロン樹脂、アセテート樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などのプラスチックシートを使用することができる。また、シート状基板11の材料としては、必要に応じて色付きの材料や偏光特性を有するものを採用することもできる。
【0049】
また、シート状基板11上に形成された検出電極12、境界電極13、および配線14の例として、シート状基板11の厚さ方向の両面のうち外装パネル3に向けられた側の面上に検出電極12、境界電極13、および配線14が形成された例を示したが、検出電極12、境界電極13、および配線14の配置はこれに限られない。たとえば、検出電極12、境界電極13、および配線14は、シート状基板11の両面のうち表示部2に向けられた側の面上に形成されていてもよい。
【0050】
また、検出電極12、境界電極13、および配線14のうちの一部が外装パネル3側、他が表示部2側となるようにシート状基板11の厚さ方向の両面のそれぞれに検出電極12、境界電極13、および配線14が分かれて配置されていてもよい。たとえば、シート状基板11の厚さ方向における一方の面上に検出電極12が形成され、他方の面上に境界電極13が形成されていてもよい。この場合、シート状基板11の厚さ方向における検出電極12と境界電極13との位置が互いに異なるので、検出電極12と境界電極13とが導通することはない。シート状基板11において検出電極12が形成された側と反対側の面に、検出電極12の隙間の最短距離と等しい幅の境界電極13を配置することによって、シート状基板11の厚さ方向から見たときの検出電極12の隙間を境界電極13によって完全に塞ぐことができる。
【0051】
また、上述の実施形態では検出電極12は4つ設けられている例を示したが、検出電極12の数は4つには限られない。また、検出電極12の形状は矩形形状には限られず、円形、楕円形、その他自由曲線によって囲まれた形状など適宜の形状とすることができる。
【0052】
また。上述の実施形態では境界電極13の形状はシート状基板11の厚さ方向から見たときに十字形である例を示したが、境界電極13の形状は十字形には限られない。たとえば、検出電極12が4つ以上ある場合には、境界電極13は格子状となっていてもよい。また、検出電極12の形状に応じて、複数の検出電極の隙間にそれぞれ境界電極13が配置されていればよく、境界電極13は曲線状に延びた形状、あるいは複数の直線が組み合わされた形状であってもよい。
【0053】
また、境界電極13の複数の異なる位置で検出回路20のグランド22に接続してもよい。グランド22と接続されて基準電位が供給される箇所が多い方が境界電極13の電位が安定する。
【0054】
また、境界電極13がシート状基板11の面上で分断されて複数個所に配置されていてもよい。また、この場合、境界電極13の一部は電気的に浮いた状態であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1、1A タッチパネル
2 表示部
2a 表示領域
3 パネル
10 センサーシート
11 状基板
11a 突出部
12 各検出電極
12 検出電極
13 境界電極
14 配線
14a 検出配線
14b 境界配線
15 保護材
16 パネル
17 外枠
20、20A 検出回路
21、21A 静電容量検出部
22 グランド
23 第一判定部
24 第二判定部
25 第三判定部
100 入力体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力操作を行うための入力体が近接した際に前記入力体が近接したことと前記入力体の位置とを前記入力体との間の静電容量の変化に基づいてそれぞれ検出するタッチパネルに用いられ前記入力体との間の静電容量の変化を検出するための検出回路に接続されるセンサーシートであって、
基板と、
基板の厚さ方向から見たときに互いに離間して前記基板に配置され、且つ前記検出回路に接続される複数の検出電極と、
前記複数の検出電極における個々の検出電極の間に前記個々の検出電極から離間し、且つ前記個々の検出電極を1つずつ含む複数の区画に前記基板を区分けして配置された境界電極と、
を備え、
前記境界電極は、前記複数の検出電極と光の透過度が同じ材料からなり、且つ前記検出回路に接続されることを特徴とするセンサーシート。
【請求項2】
前記境界電極は、前記検出回路のグランドに接続されることを特徴とする請求項1に記載のセンサーシート。
【請求項3】
請求項1に記載のセンサーシートと、
前記検出回路と、
を備え、
前記検出回路は、
前記個々の検出電極と前記入力体との間の静電容量の変化に基づいて前記個々の検出電極に前記入力体が近接したことを判定する第一判定部と、
前記境界電極と前記入力体との間の静電容量の変化に基づいて前記境界電極に前記入力体が近接したことを判定する第二判定部と、
前記個々の検出電極のうち2以上の検出電極について前記入力体が近接したと前記第一判定部が判定し、且つ前記境界電極に対して前記入力体が近接したと前記第二判定部が判定した場合に、前記個々の検出電極のうち前記境界電極を挟んで隣り合う検出電極の境界に前記入力体が近接したと判定する第三判定部と、
を有する
ことを特徴とするタッチパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−32923(P2012−32923A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170453(P2010−170453)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】