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センサー装置および測定方法
説明

センサー装置および測定方法

【課題】測定対象物のpH変化に伴う状態変化をより高精度に測定することができるセンサー装置および測定方法を提供すること。
【解決手段】本発明のセンサー装置1は、不動態膜を形成する第1の金属材料で構成された第1の電極3と、第1の電極3に対して離間して設けられ、第1の金属材料とは異なる第2の金属材料で構成された第2の電極4と、第2の電極4を覆うように設けられ、第1の金属材料および第2の金属材料とは異なる第3の金属材料で構成された被膜7とを有し、pH変化に伴う不動態膜および被膜7のそれぞれの有無により第1の電極3と第2の電極4との電位差が変化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサー装置および測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
センサー装置としては、例えば、コンクリート中の鉄筋の腐蝕状態を測定するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
施工直後のコンクリート構造物中のコンクリートは、通常、強アルカリ性を呈する。そのため、施工直後のコンクリート構造物中の鉄筋は、その表面に不動態膜が形成されるため、安定である。しかし、施工後に酸性雨や排気ガス等の影響を受けたコンクリート構造物は、コンクリートが徐々に酸性化していくため、鉄筋が腐食することとなる。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1に係るセンサー装置では、コンクリート構造物中の鉄筋と同種材料からなる細線をコンクリート構造物中に埋設し、腐蝕による細線の断線の有無を検知することにより、コンクリート中の鉄筋の腐蝕状況を予測する。
しかし、特許文献1に係るセンサー装置では、細線が腐蝕し始めてから断線するまでの間のコンクリート構造物中の鉄筋やコンクリートの状態(より具体的には、例えばpHや塩化物イオン濃度)を知ることができない。また、細線が腐蝕し始めてから断線するまでの間に、コンクリート構造物中の鉄筋の腐食が進行してしまう。そのため、コンクリート構造物中の鉄筋の腐蝕を完全には回避することができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−153568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に係るセンサー装置では、細線が切断されたタイミングにより、コンクリート構造物中の鉄筋の腐食が始まった時期を知ることは可能である。しかし、特許文献1に係るセンサー装置では、鉄筋が施工された後、腐食が始まるまでの期間、時間の経過とともに変化する鉄筋やコンクリートの状態を把握することはできないという課題があった。
本発明の目的は、鉄筋が施工された後、腐食が始まるまでの期間、測定対象物の状態変化を測定し、得られた情報をコンクリート構造物の計画的な保全に活用することができるセンサー装置および測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のセンサー装置は、第1の金属材料で構成された第1の電極と、
前記第1の電極に対して離間して設けられ、前記第1の金属材料とは異なる第2の金属材料で構成された第2の電極と、
前記第1の電極および前記第2の電極のうちの少なくとも一方の電極を覆うように設けられ、前記第1の金属材料および前記第2の金属材料とは異なる第3の金属材料で構成された被膜と、
前記第1の電極と前記第2の電極との電位差を測定する機能を有する機能素子とを有し、
前記第1の金属材料は、測定部位のpH変化に伴って、表面に第1の不動態膜が形成するかまたは表面に存在した第1の不動態膜を消失する金属であり、
pH変化に伴う前記第1の不動態膜および前記被膜のそれぞれの有無により前記第1の電極と前記第2の電極との電位差が変化することを特徴とする。
このように構成されたセンサー装置によれば、第1の電極および第2の電極の設置環境のpH変化に伴う不動態膜および被膜のそれぞれの有無により第1の電極と第2の電極との電位差が急峻に変化する。そのため、第1の電極および第2の電極の設置環境のpHが設定値以下か否かを正確に検知することができる。
【0007】
本発明のセンサー装置では、前記機能素子は、前記第1の電極と前記第2の電極との電位差に基づいて、測定対象物の測定対象部位のpHが設定値以下か否かを検知する機能をも有することが好ましい。
これにより、第1の電極と第2の電極との電位差に基づいて、第1の電極および第2の電極の設置環境のpHが設定値以下か否かを検知することができる。
【0008】
本発明のセンサー装置では、前記第2の金属材料は、測定部位のpH変化に伴って、表面に第2の不動態膜が形成するかまたは表面に存在した第2の不動態膜を消失する金属であり、
前記第1の金属材料は、第1のpHよりも大きいpHとなったときに第1の不動態膜を形成し、
前記第2の金属材料は、第2のpHよりも大きいpHとなったときに第2の不動態膜を形成し、
前記第1のpHと前記第2のpHとは異なることが好ましい。
これにより、第1の電極および第2の電極が設置された環境のpHが第1のpH以下か否かおよび第2のpH以下か否かをそれぞれ正確に検知することができる。
【0009】
本発明のセンサー装置では、前記第3の金属材料は、第3のpHよりも大きいpHとなったときに溶解し、
前記第3のpHは、前記第1のpHおよび前記第2のpHとは異なることが好ましい。
これにより、第1の電極および第2の電極が設置された環境のpHが第1のpH以下か否か、第2のpH以下か否かおよび第3のpH以上か否かをそれぞれ正確に検知することができる。
【0010】
本発明のセンサー装置では、前記第1のpHは、3以上5以下であり、
前記第2のpHは、8以上10以下であることが好ましい。
これにより、第1の電極および第2の電極の設置環境がアルカリから中性状態に近付いていることを事前に知ることができる。このようなことから、例えば、センサー装置をコンクリートの状態測定に用いた場合、コンクリート環境の中性化予測ができ、コンクリート中の鉄筋の腐食防止の対策を事前に行うことができる。また、第1の電極および第2の電極の設置環境が酸性状態になってしまったことを知ることもできる。
【0011】
本発明のセンサー装置では、前記第3の金属材料は、前記第1の金属材料が前記第1の不動態膜を形成するpHの範囲の下限値よりも大きいpHとなったときに溶解することが好ましい。
これにより、第1の電極および第2の電極の設置環境のpH変化を被膜の溶解の有無により確実に検知することができる。
【0012】
本発明のセンサー装置では、前記第1の金属材料は、鉄または鉄系合金であることが好ましい。
鉄または鉄系合金は比較的安価で入手が容易である。また、例えば、センサー装置をコンクリート構造物の状態測定に用いた場合、第1の金属材料をコンクリート構造物中の鉄筋と同一材料とすることが可能であり、第2の金属材料をコンクリート構造物中の鉄筋と同一材料とすることにより、コンクリート構造物中の鉄筋の腐蝕状態を効果的に検知することができる。
【0013】
本発明のセンサー装置では、前記第2の金属材料は、鉄または鉄系合金であることが好ましい。
鉄または鉄系合金は比較的安価で入手が容易である。また、例えば、センサー装置をコンクリート構造物の状態測定に用いた場合、第2の金属材料をコンクリート構造物中の鉄筋と同一材料とすることが可能であり、第2の金属材料をコンクリート構造物中の鉄筋と同一材料とすることにより、コンクリート構造物中の鉄筋の腐蝕状態を効果的に検知することができる。
【0014】
本発明のセンサー装置では、前記第2の金属材料は、不動態膜を形成しないことが好ましい。
これにより、第1の電極および第2の電極の設置環境のpH変化を第1の金属の不動態膜の有無により高精度に検知することができる。
本発明のセンサー装置では、前記第1の金属材料は、3以上5以下のpHよりも大きいpHとなったときに前記第1の不動態膜を形成することが好ましい。
これにより、第1の電極および第2の電極の設置環境が酸性状態になってしまったことを知ることができる。
【0015】
本発明のセンサー装置では、前記第1の金属材料は、8以上10以下のpHよりも大きいpHとなったときに前記第1の不動態膜を形成することが好ましい。
これにより、第1の電極および第2の電極の設置環境が中性状態に近付いていることを事前に知ることができる。このようなことから、例えば、センサー装置をコンクリートの状態測定に用いた場合、コンクリートの中性化および酸性化状況を把握でき、コンクリート中の鉄筋の腐食防止の対策を事前に行うことができる。
【0016】
本発明のセンサー装置では、前記被膜は、前記第1の電極を覆う第1の被膜と、前記第1の被膜に対して離間して設けられ、前記第1の被膜とは異なる材料で構成されているとともに前記第2の電極を覆う第2の被膜とを有することが好ましい。
これにより、第1の被膜および第2の被膜が溶解する互いに異なる2つのタイミングおよびpHを検知することができる。
【0017】
本発明のセンサー装置では、前記被膜は、前記第1の電極および前記第2の電極のうちのいずれか一方の電極を覆うことが好ましい。
これにより、被膜が溶解する1つのタイミングおよびpHを検知することができる。
本発明のセンサー装置では、前記測定対象物は、コンクリートであることが好ましい。
これにより、コンクリートのpH変化に伴う状態変化を検知することができる。
【0018】
本発明の測定方法は、本発明のセンサー装置の前記第1の電極および前記第2の電極を測定対象物内にそれぞれ埋設し、
前記第1の電極と前記第2の電極との電位差に基づいて、前記測定対象物の状態を測定することを特徴とする。
このような測定方法によれば、第1の電極および第2の電極の設置環境のpH変化に伴う不動態膜の有無により第1の電極と第2の電極との電位差が急峻に変化する。そのため、第1の電極および第2の電極の設置環境のpHが設定値以下か否かを正確に検知することができる。
【0019】
本発明の測定方法は、測定対象物内に、不動態膜を形成する第1の金属材料で構成された第1の電極と、前記第1の電極に対して離間して設けられ、前記第1の金属材料とは異なる第2の金属材料で構成された第2の電極とのうちの少なくとも一方の電極を、前記第1の金属材料および前記第2の金属材料とは異なる第3の金属材料で構成された被膜により覆った状態で、前記第1の電極および前記第2の電極をそれぞれ埋設し、
前記第1の電極と前記第2の電極との電位差に基づいて、前記測定対象物の状態を測定することを特徴とする。
このような測定方法によれば、第1の電極および第2の電極の設置環境のpH変化に伴う不動態膜の有無により第1の電極と第2の電極との電位差が急峻に変化する。そのため、第1の電極および第2の電極の設置環境のpHが設定値以下か否かを正確に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係るセンサー装置の使用状態の一例を示す図である。
【図2】図1に示すセンサー装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示す第1の電極、第2の電極および機能素子を説明するための平面図である。
【図4】図2に示す第1の電極、第2の電極を説明するための断面図(図3中のA−A線断面図)である。
【図5】図2に示す機能素子を説明するための断面図(図3中のB−B線断面図)である。
【図6】図2に示す機能素子に備えられた差動増幅回路を示す回路図である。
【図7】図2に示す第1の電極および第2の電極のpHおよび電位と状態との関係の一例を示す図である。
【図8】図1に示すセンサー装置の作用の一例を説明するための図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るセンサー装置の使用状態の一例を示す図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係るセンサー装置の第1の電極および第2の電極を説明するための断面図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係るセンサー装置の第1の電極および第2の電極を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明のセンサー装置および測定方法の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るセンサー装置の使用状態の一例を示す図、図2は、図1に示すセンサー装置の概略構成を示すブロック図、図3は、図2に示す第1の電極、第2の電極および機能素子を説明するための平面図、図4は、図2に示す第1の電極、第2の電極を説明するための断面図(図3中のA−A線断面図)、図5は、図2に示す機能素子を説明するための断面図(図3中のB−B線断面図)、図6は、図2に示す機能素子に備えられた差動増幅回路を示す回路図、図7は、図2に示す第1の電極および第2の電極のpHおよび電位と状態との関係の一例を示す図、図8は、図1に示すセンサー装置の作用の一例を説明するための図である。
【0022】
なお、以下では、本発明のセンサー装置および測定方法をコンクリート構造物の品質測定に用いる場合を例に説明する。
図1に示すセンサー装置1は、コンクリート構造物100の品質を測定するものである。
コンクリート構造物100は、コンクリート101内に複数の鉄筋102が埋設されている。そして、センサー装置1は、コンクリート構造物100のコンクリート101内の鉄筋102付近に埋設されている。なお、センサー装置1は、コンクリート構造物100の打設する際に、コンクリート101の導入前に鉄筋に固定して埋め込んでもよいし、打設後に硬化したコンクリート101に穿孔して埋め込んでもよい。
【0023】
このセンサー装置1は、本体2と、その本体2の表面に露出した第1の電極3および第2の電極4とを有する。本実施形態では、第1の電極3および第2の電極4は、コンクリート構造物100の外表面からの距離が互いに等しくなるように設置されている。また、第1の電極3および第2の電極4は、それぞれ、電極面がコンクリート構造物100の外表面に平行または略平行となるように設置されている。そして、センサー装置1は、pH変化に伴って、第1の電極3と第2の電極4との電位差が変化するように構成されている。特に、本実施形態のセンサー装置1は、第2の電極4を覆う被膜7を有する。なお、第1の電極3、第2の電極4および被膜7については、後に詳述する。
また、センサー装置1は、図2に示すように、第1の電極3および第2の電極4に電気的に接続された機能素子51と、電源52と、温度センサー53と、通信用回路54と、アンテナ55と、発振器56とを有し、これらが本体2内に収納されている。
【0024】
以下、センサー装置1を構成する各部を順次説明する。
(本体)
本体2は、第1の電極3、第2の電極4および機能素子51等を支持する機能を有する。
このような本体2は、図4および図5に示すように、第1の電極3、第2の電極4および機能素子51を支持する基板21を有する。なお、基板21は、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56をも支持するが、図3〜5では、説明の便宜上、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56の図示を省略している。
【0025】
この基板21は、絶縁性を有する。基板21としては、特に限定されず、例えば、アルミナ基板、樹脂基板等を用いることができる。
この基板21上には、例えばソルダーレジストのような絶縁性の樹脂組成物で構成された絶縁層23が設けられている。そして、この絶縁層23を介して基板21上には、第1の電極3、第2の電極4および機能素子51が実装されている。
【0026】
また、本体2は、機能素子51、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56を収納する機能を有する。
特に、本体2は、機能素子51、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56を液密的に収納するように構成されている。
具体的には、図4および図5に示すように、本体2は、封止部24を有する。この封止部24は、機能素子51、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56を封止する機能を有する。これにより、センサー装置1を水分やコンクリートの存在下に設置した場合に、機能素子51、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56の劣化を防止することができる。
【0027】
ここで、封止部24は、開口部241を有し、この開口部241から第1の電極3および第2の電極4を露出させつつ、第1の電極3および第2の電極4以外の各部を覆うように設けられている(図3および図4参照)。これにより、封止部24が第1の電極3および第2の電極4以外の各部の劣化を防止しつつ、センサー装置1が測定を行うことができる。なお、開口部241は、第1の電極3の少なくとも一部および第2の電極4の少なくとも一部を露出するように形成されていればよい。
封止部24の構成材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂のような熱可塑性樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂のような熱硬化性樹脂等の各種樹脂材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0028】
(第1の電極、第2の電極)
第1の電極3および第2の電極4は、図4に示すように、それぞれ、前述した本体2の外表面上(より具体的には基板21上)に設けられている。特に、第1の電極3および第2の電極4は、同一平面上に設けられている。そのため、第1の電極3および第2の電極4の設置環境の差が生じるのを防止することができる。
【0029】
また、第1の電極3および第2の電極4は、互いに電位の影響を受けない程度(例えば数mm)に離間している。
本実施形態では、第1の電極3および第2の電極4は、それぞれ、薄膜状をなしている。
このような第1の電極3は、不動態膜を形成する第1の金属材料(以下、単に「第1の金属材料」とも言う)で構成されている。このように構成された第1の電極3は、pHの変化によって不動態膜が形成されたり破壊されたりする。このような第1の電極3に不動態膜が形成された状態では不活性(貴)であり、自然電位が高くなる(貴化する)。一方、第1の電極は、不動態膜が破壊された状態では活性(卑)である。そのため、第1の電極3の電位は、pH変化に伴う不動態膜の有無により急峻に変化する。
【0030】
第1の金属材料としては、不動態膜が形成される限り、特に限定されないが、例えば、Fe、Ni、Mg、Znまたはこれらを含む合金等が挙げられる。
Feは、pHが9よりも大きいときに不動態膜を形成する(図7参照)。また、FeAl(Al0.8%)は、pHが4よりも大きいときに不動態膜を形成する(図7参照。また、Niは、pHが8〜14であるときに不動態膜を形成する。また、Mgは、pHが10.5よりも大きいときに不動態膜を形成する。また、Znは、pHが6〜12であるときに不動態膜を形成する。
【0031】
中でも、第1の金属材料は、FeまたはFeを含む合金(特に、Alを0.1〜3.5wt%含むFe系合金)、すなわち鉄系材料(炭素鋼)であるのが好ましい。鉄系材料は安価で入手が容易である。また、本実施形態のように、センサー装置1をコンクリート構造物100の状態測定に用いた場合、第1の金属材料を鉄筋102と同一材料とすることが可能であり、第1の金属材料と鉄筋102とを同一材料とすることにより、鉄筋102の腐蝕状態を効果的に検知することができる。
【0032】
一方、第2の電極4は、第1の金属材料とは異なる第2の金属材料(以下、単に「第2の金属材料」とも言う)で構成されている。このように構成された第2の電極4は、前述したように不動態膜の有無により第1の電極3の電位が変化する際に、急激な電位の変化がない。そのため、前述したように不動態膜の有無により第1の電極3の電位が変化する際に、第1の電極3と第2の電極4との電位差が急峻に変化する。そのため、第1の電極3および第2の電極4の設置環境(本実施形態ではコンクリート101の鉄筋102付近)のpHが設定値以下か否かを正確に検知することができる。
【0033】
第2の金属材料としては、第1の金属材料とは異なる金属材料であり、電極として機能し得るものであれば、特に限定されず、各種金属材料を用いることができる
また、第2の金属材料は、前述した第1の金属材料と異なる金属材料であれば、不動態膜を形成するものであってもよいし、不動態膜を形成しないものであってもよい。
第2の金属材料が不動態膜を形成するものである場合、第2の金属材料として、上述の第1の金属材料として例示した金属を挙げることができる。
【0034】
本発明の好ましい態様においては、第1の金属材料が不動態膜を形成するpHの範囲の下限値を第1のpH(第1の不動態化pH)とし、第2の金属材料が不動態膜を形成するpHの範囲の下限値を第2のpH(第2の不動態化pH)としたとき、第1のpHおよび第2のpHが互いに異なる。すなわち、第1の金属材料は、第1のpHよりも大きいpHとなったときに不動態膜を形成し、第2の金属材料は、第1のpHとは異なる第2のpHよりも大きいpHとなったときに不動態膜を形成する。これにより、第1の電極3および第2の電極4が設置された環境のpHが第1のpH以下か否かおよび第2のpH以下か否かをそれぞれ正確に検知することができる。
【0035】
この場合、第1のpHが3以上5以下であり、かつ、第2のpHが8以上10以下であるのが好ましい。これにより、第2のpH以下か否かを検知することにより、第1の電極3および第2の電極4の設置環境が酸性状態に近付いていることを事前に知ることができる。このようなことから、本実施形態にように、センサー装置1をコンクリート構造物100の状態測定に用いた場合、鉄筋102の腐食防止の対策を事前に行うことができる。また、第1のpH以下か否かを検知することにより、第1の電極3および第2の電極4の設置環境が酸性状態になってしまったことを知ることもできる。
【0036】
また、この場合、第2の金属材料は、FeまたはFeを含む合金(特に、Alを0.1〜3.5wt%含むFe系合金)、すなわち鉄系材料であるのが好ましい。鉄系材料は安価で入手が容易である。また、本実施形態のように、センサー装置1をコンクリート構造物100の状態測定に用いた場合、第2の金属材料を鉄筋102と同一材料とすることが可能であり、第2の金属材料を鉄筋102と同一材料とすることにより、鉄筋102の腐蝕状態を効果的に検知することができる。
【0037】
一方、第2の金属材料が不動態膜を形成しないものである場合、第2の金属材料として、Pt、Au等を挙げることができる。第2の金属材料が不動態膜を形成しないものである場合、第1の電極3および第2の電極4の設置環境が強アルカリ状態から中性状態へ変化するとき、その変化を1段階で正確に検知することができる。
この場合、第1の金属材料は、3以上5以下のpH、または、8以上10以下のpHよりも大きいpHとなったときに不動態膜を形成するものであるのが好ましい。3以上5以下のpH以下か否かを検知することにより、第1の電極3および第2の電極4の設置環境が酸性状態になってしまったことを知ることができる。また、8以上10以下のpH以下か否かを検知することにより、第1の電極3および第2の電極4の設置環境が中性状態に近付いていることを事前に知ることができる。このようなことから、本実施形態のように、センサー装置1をコンクリート構造物100の状態測定に用いた場合、鉄筋102の腐食防止の対策を事前に行うことができる。
【0038】
このような第1の電極3および第2の電極4は、それぞれ、例えば、プラズマCVD、熱CVD、レーザーCVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング(低温スパッタリング)、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、電解メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、溶射法、ゾル・ゲル法、MOD法、金属箔の接合等により形成することができる。
【0039】
(被膜)
被膜7は、第2の電極4を覆うように設けられている。
この被膜7は、第1の金属材料および第2の金属材料とは異なる第3の金属材料で構成されている。
第3の金属材料は、所定のpHよりも高いときに溶解するものである。これにより、所定のpH以下の環境下では、第2の電極4が被膜7により覆われ、所定のpHよりも大きい環境下では、被膜7が溶解して消失し、第2の電極4がセンサー装置1の外部へ露出することとなる。
【0040】
また、第3の金属材料は第2の金属材料とは異なるので、第2の電極4が被膜7により覆われた状態では、所定のpHよりも大きい環境下で、被膜7が溶解して電位は卑化する(下がる)。被膜7が消失した状態では、第2の電極4の不動態膜で覆われるため、貴化する(上がる)。溶解している状態と消失した状態とでは、第2の電極4の電位が異なることとなる。
【0041】
また、第3の金属材料は第1の金属材料とは異なるので、上記のような2つの状態変化が生じるタイミングにおいて、第1の電極3の電位の安定化を図ることができる。
このようなことから、pH変化に伴う被膜7の溶解有無により第1の電極3と第2の電極4との電位差が急峻に変化する。そのため、被膜7の有無によっても、第1の電極3および第2の電極4の設置環境のpHが設定値以上か否かを正確に検知することができる。
【0042】
本実施形態では、被膜7が第2の電極4のみを覆っているので、被膜7が溶解する1つのタイミングおよびpHを検知することができる。なお、被膜7が第1の電極3のみを覆うようにしても、被膜7が溶解する1つのタイミングおよびpHを検知することができる。
第3の金属材料としては、第1の金属材料および第2の金属材料とことなる金属材料であり、かつ、所定のpHの範囲において溶解するものであれば、特に限定されないが、例えば、Zn、Alまたはこれらを含む合金等が挙げられる。
【0043】
また、第3の金属材料は、前述した第1の金属材料が不動態膜を形成するpHの範囲の下限値よりも大きいpHとなったときに溶解するのが好ましい。これにより、第1の電極3および第2の電極4の設置環境のpH変化を被膜7の有無により高精度に検知することができる。
より具体的には、例えば、第1の金属材料および第2の金属材料がそれぞれ不動態膜を形成する金属材料である場合、第3の金属材料は、前述した第1のpHおよび第2のpHよりも大きいpH(第3のpH)となったときに溶解するのが好ましい。これにより、第1の電極3および第2の電極4が設置された環境のpHが第1のpH以下か否か、第2のpH以下か否かおよび第3のpH以上か否かをそれぞれ正確に検知することができる。
【0044】
また、第3の金属材料は、pH7以上で溶解するのが好ましい。また、第3の金属材料は、pH8を超えると溶解するもの(例えばAl)、または、pH10を超えると溶解するものであるの(例えばZn)が好ましい。第3の金属材料がpH8を超えると溶解する場合、第1の電極3および第2の電極4が設置された環境が弱アルカリ性に達したか否かを検知することができる。また、第3の金属材料がpH10を超えると溶解する場合、第1の電極3および第2の電極4が設置された環境が強アルカリ性であるか否かを検知することができる。
このような被膜7は、例えば、プラズマCVD、熱CVD、レーザーCVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング(低温スパッタリング)、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、電解メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、溶射法、ゾル・ゲル法、MOD法、金属箔の接合等により形成することができる。
【0045】
(機能素子)
機能素子51は、前述した本体2の内部に埋設されている。なお、機能素子51は、前述した本体2の基板21に対して第1の電極3および第2の電極4とは、同一面に設けても、反対側に設けても良い。
この機能素子51は、第1の電極3と第2の電極4との電位差を測定する機能を有する。これにより、第1の電極3と第2の電極4との電位差に基づいて、第1の電極3および第2の電極4の設置環境のpHが設定値以下か否かを検知することができる。
【0046】
また、機能素子51は、第1の電極3と第2の電極4との電位差に基づいて、測定対象物であるコンクリート構造物100の測定対象部位のpHが設定値以下か否かを検知する機能をも有する。これにより、コンクリート構造物100のpH変化に伴う状態変化を検知することができる。
このような機能素子51は、例えば、集積回路である。より具体的には、機能素子51は、例えば、MCU(マイクロコントロールユニット)であり、図2に示すように、CPU511と、A/D変換回路512と、差動増幅回路514とを有する。
【0047】
より具体的に説明すると、機能素子51は、図5に示すように、基板513と、基板513上に設けられた複数のトランジスタ514a、514b、514cと、トランジスタ514a、514b、514cを覆う層間絶縁膜515a、515bと、配線および導体ポストを構成する導体部516a、516b、516c、516d、516e、515fと、保護膜25と、電極パッドを構成する導体部61、62とを有する。
【0048】
基板513は、例えばSOI基板であり、CPU511およびA/D変換回路512が形成されている。基板513としてSOI基板を用いることにより、トランジスタ514a〜514cをSOI型MOSFETとすることができる。
複数のトランジスタ514a、514b、514cは、それぞれ例えば電界効果トランジスタ(FET)であり、差動増幅回路514の一部を構成するものである。
【0049】
差動増幅回路514は、図6に示すように、3つのトランジスタ514a〜514cと、カレントミラー回路514dとで構成されている。
導体部516aは、その一端がトランジスタ514aのゲート電極に接続され、他端が前述した導体部516dに接続されている。導体部516dは、導体部61を介して第1の電極3に電気的に接続されている。これにより、トランジスタ514aのゲート電極と第1の電極3とが電気的に接続されている。そのため、第1の電極3の電位の変化に応じて、トランジスタ514aのドレイン電流が変化する。
【0050】
同様に、導体部516bは、その一端がトランジスタ514bのゲート電極に接続され、他端が前述した導体部516eに接続されている。導体部516eは、導体部62を介して第2の電極4に電気的に接続されている。これにより、トランジスタ514bのゲート電極と第1の電極4とが電気的に接続されている。そのため、第2の電極4の電位の変化に応じて、トランジスタ514bのドレイン電流が変化する。
【0051】
また、導体部516cは、その一端がトランジスタ514cのゲート電極に接続され、他端が前述した導体部516fに接続されている。
また、機能素子51は、電源52からの通電により作動する。電源52は、機能素子51を動作可能な電力を供給できるものであれば、特に限定されず、例えば、ボタン型電池のような電池であってもよいし、圧電素子のような発電機能を有する素子を用いた電源ものであってもよい。
【0052】
また、機能素子51は、温度センサー53の検知温度情報を取得し得るように構成されている。これにより、測定部位の温度に関する情報も得ることができる。このような温度に関する情報を用いることにより、測定部位の状態をより正確に測定したり、測定部位の変化を高精度に予想したりすることができる。
温度センサー53は、測定対象物であるコンクリート構造物100の測定部位の温度を検知する機能を有する。このような温度センサー53としては、特に限定されず、例えば、サーミスター、熱電対等の公知の様々な種類の温度センサーを用いることができる。
【0053】
また、機能素子51は、通信用回路54を駆動制御する機能をも有する。例えば、機能素子51は、第1の電極3と第2の電極4との電位差に関する情報(以下、単に「電位差情報」ともいう)と、測定部位のpHが設定値以下か否かに関する情報(以下、単に「pH情報」ともいう)とをそれぞれ通信用回路54に入力する。また、機能素子51は、温度センサー53によって検知された温度に関する情報(以下、単に「温度情報」ともいう)も併せて通信用回路54に入力する。
【0054】
通信用回路54は、アンテナ55に給電する機能(送信機能)を有する。これにより、通信用回路54は、入力された情報をアンテナ55を介して無線送信することができる。送信された情報は、コンクリート構造物100の外部に設けられた受信機(リーダー)で受信される。
この通信用回路54は、例えば、電磁波を送信するための送信回路、信号を変調する機能を有する変調回路等を有する。なお、通信用回路54は、信号の周波数を小さく変換する機能を有するダウンコンバータ回路、信号の周波数を大きく変換する機能を有するアップコンバータ回路、信号を増幅する機能を有する増幅回路、電磁波を受信するための受信回路、信号を復調する機能を有する復調回路等を有していてもよい。
【0055】
また、アンテナ55は、特に限定されないが、例えば、金属材料、カーボン等で構成され、巻線、薄膜等の形態をなす。
また、機能素子51は、発振器56からのクロック信号を取得し得るように構成されている。これにより、各回路の同期をとったり、各種情報に時刻情報を付加したりすることができる。
【0056】
発振器56は、特に限定されないが、例えば、水晶振動子を利用した発振回路で構成されている。
以上説明したように構成されたセンサー装置1を用いた測定方法(本発明の測定方法の一例)は、第2の電極4を被膜7で覆った状態で第1の電極3および第2の電極4を測定対象物であるコンクリート構造物100内にそれぞれ埋設し、第1の電極3と第2の電極4との電位差に基づいて、コンクリート構造物100の状態を測定する。
【0057】
以下、第1の電極3がFeAl(Al0.8%)で構成され、第2の電極4がFe(炭素鋼)で構成され、被膜7がZnで構成されている場合を一例として、センサー装置1の作用を説明する。
打設直後のコンクリート構造物100において、通常、適切に打設されていれば、コンクリート101は強アルカリ性を呈する。そのため、このとき、被膜7は溶解し、第2の電極4の電位が卑化する(下がる)。図7に示すように、被膜7が完全に消失した後は、強アルカリ環境において、第1の電極3(FeAl)および第2の電極4(Fe)は、それぞれ、安定な不動態膜を形成する。すなわち、図8(a)に示すように、第1の電極3は、その表面に不動態膜31が形成され、第2の電極4は、その表面に不動態膜41が形成される。これにより、第1の電極3および第2の電極4の自然電位がそれぞれ上がっている(貴化している)。その結果、コンクリートの打設直後における第1の電極3と第2の電極4との電位差は、最初にZn溶解により大きくなり、Zn消失後小さくなる。
【0058】
なお、例えば、コンクリート構造物100が適切に打設されておらず、コンクリート101が中性あるいは弱アルカリ性を呈する場合、被膜7は溶解せず、第1の電極3と第2の電極4との電位差が小さくなる。これにより、コンクリート構造物100が適切に打設されていないことを検知することができる。一方、適切に打設されていれば、かかる電位差が大きくなり、被膜7(Zn)消失後電位差が小さくなる。
【0059】
その後、コンクリート構造物100は、二酸化炭素、酸性雨、排気ガス等の影響により、コンクリート101のpHが徐々に酸性側に変化していく。
そして、コンクリート101のpHが9程度にまで下がると、図8(b)に示すように、第1の電極3は、その不動態膜31が安定であり、自然電位の変化が少ないものの、第2の電極4は、その不動態膜が崩壊し始め、自然電位が下がる(卑化する)。これにより、第1の電極3と第2の電極4との電位差が大きくなる。
【0060】
また、コンクリート101のpHが4程度まで下がると、図8(c)に示すように、第1の電極3も、その不動態膜が崩壊し始め、自然電位が下がる。このとき、第1の電極3および第2の電極4は、ともに自然電位が下がっているので、第1の電極3と第2の電極4との電位差は、再び小さくなる。なお、このとき、第1の電極3および第2の電極4の腐蝕がそれぞれ進む。
【0061】
このように、コンクリート打設直後の強アルカリ性になるタイミング、pHが9程度となるタイミングと、pHが4程度となるタイミングとの3つのタイミングで、第1の電極3と第2の電極4との電位差が急峻に変化する。そのため、打設直後に強アルカリとなったこと、測定部位のpHが9程度となったこと、および、測定部位のpHが4程度となったことをそれぞれ高精度に検知することができる。
【0062】
このような検知結果を利用することにより、コンクリート構造物100の打設後の品質の経時変化を長期にモニタリングすることができる。そのため、鉄筋102が腐蝕する前に、コンクリート101の劣化(中性化や塩分侵入)を把握することができる。これにより、鉄筋102が腐食する前に、コンクリート構造物100に塗装や防腐剤混入モルタル等による補修工事を行うことが可能となる。
【0063】
また、コンクリート構造物100の打設時に異常があった否かを判断することもできる。そのため、コンクリート構造物100の初期トラブルを防止し、コンクリート構造物100の品質を向上させることができる。
以上説明したように第1実施形態のセンサー装置1およびこれを用いた測定方法によれば、第1の電極3および第2の電極4の設置環境(すなわちコンクリート101)のpH変化に伴う不動態膜の有無および被膜7の有無により第1の電極3と第2の電極4との電位差が急峻に変化する。そのため、第1の電極3および第2の電極4の設置環境のpHが設定値以下か否かを正確に検知することができる。
【0064】
また、第1の電極3と第2の電極4との電位差に基づいて、測定対象物であるコンクリート構造物100の第1の電極3および第2の電極4が埋設された部位のpHが設定値以下か否かを検知することができる。また、第1の電極3と第2の電極4との電位差に基づいて、測定対象物であるコンクリート構造物100の品質を測定することができる。これにより、コンクリート構造物100のpH変化に伴う状態変化を検知することができる。
【0065】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
図9は、本発明の第2実施形態に係るセンサー装置の使用状態の一例を示す図である。
以下、第2実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第2実施形態のセンサー装置は、第1の電極および第2の電極の平面視形状および数が異なる以外は、第1実施形態のセンサー装置とほぼ同様である。なお、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
【0066】
本実施形態のセンサー装置1Aは、本体2Aと、その本体2Aの表面に露出した複数の第1の電極3A1、3A2、3A3および複数の第2の電極4A1、4A2、4A3と、第2の電極4A1、4A2、4A3を覆う被膜7A1、7A2、7A3とを有する。
本実施形態では、第1の電極3A1、3A2、3A3および第2の電極4A1、4A2、4A3は、互いに離間するとともに同一面上に沿って設けられている。また、第1の電極3A1、3A2、3A3および第2の電極4A1、4A2、4A3は、それぞれ、電極面がコンクリート構造物100の外表面に対して垂直または略垂直となるように設置されている。
【0067】
また、複数の第1の電極3A1、3A2、3A3は、コンクリート構造物100の外表面からの距離が互いに異なる。具体的には、コンクリート構造物100の外表面側から内側へ、複数の第1の電極3A1、3A2、3A3がこの順に並んで設けられている。
同様に、複数の第2の電極4A1、4A2、4A3は、コンクリート構造物100の外表面からの距離が互いに異なる。具体的には、コンクリート構造物100の外表面側から内側へ、複数の第2の電極4A1、4A2、4A3がこの順に並んで設けられている。
【0068】
さらに、第1の電極3A1および第2の電極4A1は、コンクリート構造物100の外表面からの距離が互いに等しくなるように設置されている。また、第1の電極3A2および第2の電極4A2は、コンクリート構造物100の外表面からの距離が互いに等しくなるように設置されている。第1の電極3A3および第2の電極4A3は、コンクリート構造物100の外表面からの距離が互いに等しくなるように設置されている。
【0069】
このような第1の電極3A1、3A2、3A3および第2の電極4A1、4A2、4A3では、第1の電極3A1、3A2、3A3が、それぞれ、第1の金属材料で構成され、第2の電極4A1、4A2、4A3が、それぞれ、第2の金属材料で構成されている。そして、第1の電極3A1と第2の電極4A1とが対をなし、第1の電極3A2と第2の電極4A2とが対をなし、第1の電極3A3と第2の電極4A3とが対をなす。
【0070】
本実施形態では、センサー装置1Aは、第1の電極3A1と第2の電極4A1との電位差、第1の電極3A2と第2の電極4A2との電位差、および、第1の電極3A3と第2の電極4A3との電位差をそれぞれ図示しない機能素子により測定することができるように構成されている。
また、第2の電極4A1は、被膜7A1により覆われ、第2の電極4A2は、被膜7A2により覆われ、第2の電極4A3は、被膜7A3により覆われている。
【0071】
このような第2実施形態に係るセンサー装置1Aによれば、第1の電極3A1および第2の電極4A1の設置環境、第1の電極3A2および第2の電極4A2の設置環境、および、第1の電極3A3および第2の電極4A3の設置環境のpHがそれぞれ設定値以下か否かを正確に検知することができる。このように、コンクリート構造物100の外表面からの深さが異なる位置でのpHがそれぞれ設定値以下か否かを正確に検知することができる。これにより、コンクリート101のpHが酸性側に変化する速度を知ることができる。そのため、コンクリート構造物100の中性化や塩害の予測を効果的に行うことができる。
【0072】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態を説明する。
図10は、本発明の第3実施形態に係るセンサー装置の第1の電極および第2の電極を説明するための断面図である。
以下、第3実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0073】
第3実施形態のセンサー装置は、第1の電極および第2の電極の双方が被膜により覆われている以外は、第1実施形態のセンサー装置とほぼ同様である。なお、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
本実施形態のセンサー装置1Bでは、第1の電極3を覆う第1の被膜71と、第2の電極4を覆う第2の被膜72とを有する。
【0074】
第1の被膜71および第2の被膜72は、互いに離間して設けられ、かつ、互いに異なる材料で構成されている。
また、第1の被膜71および第2の被膜72は、それぞれ、第3の金属材料で構成されている。
このような第1の被膜71および第2の被膜72を設けることにより、第1の被膜71および第2の被膜72が溶解する互いに異なる2つのタイミングおよびpHを検知することができる。
【0075】
また、第1の被膜71および第2の被膜72は、一方の被膜を構成する第3の金属材料がpH8を超えると溶解するもの(例えばAl)であり、他方の被膜を構成する第3の金属材料がpH10を超えると溶解するものであるの(例えばZn)が好ましい。これにより、第1の電極3および第2の電極4が設置された環境が弱アルカリ性に達したか否かおよび強アルカリ性であるか否かをそれぞれ検知することができる。
【0076】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態を説明する。
図11は、本発明の第4実施形態に係るセンサー装置の第1の電極および第2の電極を説明するための平面図である。
以下、第4実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0077】
第4実施形態のセンサー装置は、第1の電極および第2の電極の平面視形状が異なる以外は、第1実施形態のセンサー装置とほぼ同様である。なお、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
本実施形態のセンサー装置1Cは、本体2Cと、その本体2Cの表面に露出した第1の電極3Cおよび第2の電極4Cと、第2の電極Cを覆う被膜7Cとを有する。
【0078】
第1の電極3Cは、複数の帯状部32Cと、基部33Cとを有し、櫛歯状をなしている。
複数の帯状部32Cは、それぞれ、帯状をなしている。そして、複数の帯状部32Cは、互いに間隔を隔てて並んで設けられている。基部33Cは、複数の帯状部32Cの一方の端同士を連結するとともに、導体部61に接続されている。
【0079】
同様に、第2の電極4Cは、複数の帯状部42Cと、基部43Cとを有し、櫛歯状をなしている。
複数の帯状部42Cは、それぞれ、帯状をなしている。そして、複数の帯状部42Cは、互いに間隔を隔てて並んで設けられている。基部43Cは、複数の帯状部42Cの一方の端同士を連結するとともに、導体部62に接続されている。
このような第1の電極3Cおよび第2の電極4Cは、互いに噛み合うように配置されている。
【0080】
そして、第2の電極4Cの複数の帯状部42Cは、それぞれ、第3の金属材料で構成された被膜7Cにより覆われている。また、第2の電極4Cの複数の帯状部42C側の部分も被膜7Cにより覆われている。なお、基部43Cの導体部62側の端部が被膜7により覆われていないが、その部分は、封止樹脂で構成された封止部25により覆われている。
このように構成されたセンサー装置1Cによれば、第1の電極3Cおよび第2の電極4Cをコンクリート構造物の外表面に平行となるように設置した場合、第1の電極3Cと第2の電極4Cは、同一コンクリート深さ環境に設置されることになり、pH検知の精度を高めることができる。
以上、本発明のセンサー装置および測定方法を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0081】
例えば、本発明のセンサー装置では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。また、例えば、本発明の測定方法では、任意の目的の工程が1または2以上追加されてもよい。
また、前述した実施形態では第1の電極および第2の電極がそれぞれ基板上に設けられた場合を例に説明したが、これに限定されず、例えば、第1の電極および第2の電極は、例えば、センサー装置の本体の封止樹脂で構成された部分の外表面上に設けてもよい。
【0082】
また、前述した実施形態では第1の電極および第2の電極がそれぞれ薄膜状をなす場合を例に説明したが、これに限定されず、第1の電極および第2の電極の形状は、それぞれ、例えば、ブロック状、線状等をなしていてもよい。また、前述した実施形態では第1の電極および第2の電極をそれぞれセンサー装置の本体の外表面に沿って設けているが、第1の電極および第2の電極をそれぞれセンサー装置の本体の外表面から突出させてもよい。
【0083】
また、前述した実施形態では機能素子がCPU、A/D変換回路および差動増幅回路を有する場合を例に説明したが、これに限定されず、例えば、機能素子には、ROM、RAM、各種駆動回路等の他の回路が組み込まれていてもよい。
また、前述した実施形態では第1の電極と第2の電極との電位差に関する情報をアクティブタグ通信により無線送信によりセンサー装置外部へ送信する場合を例に説明したが、これに限定されず、例えば、パッシブタグ通信を用いて情報をセンサー装置の外部へ送信してもよいし、有線により情報をセンサー装置の外部へ送信してもよい。
【0084】
また、前述した実施形態では機能素子51、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56を本体2内に収納し、これらを第1の電極3および第2の電極4とともに測定対処物であるコンクリート構造物100内に埋設する場合を例に説明したが、機能素子51、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56を測定対象物の外部に設けてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1‥‥センサー装置 1A‥‥センサー装置 1B‥‥センサー装置 1C‥‥センサー装置 2‥‥本体 2A、2C‥‥本体 3‥‥第1の電極 4‥‥第2の電極 7、71、72、7C‥‥被膜 21‥‥基板 22a‥‥導体部 22b‥‥導体部 22c‥‥導体部 23‥‥絶縁層 24‥‥封止部 25‥‥保護膜 31‥‥不動態膜 3A1、3A2、3A3‥‥第1の電極 41‥‥不動態膜 4A1、4A2、4A3‥‥第2の電極 32C、42C‥‥帯状部 33C、43C‥‥基部 51‥‥機能素子 52‥‥電源 53‥‥温度センサー 54‥‥通信用回路 55‥‥アンテナ 56‥‥発振器 61‥‥導体部 62‥‥導体部 100‥‥コンクリート構造物 101‥‥コンクリート 102‥‥鉄筋 241‥‥開口部 512‥‥変換回路 513‥‥基板 514‥‥差動増幅回路 514a‥‥トランジスタ 514b‥‥トランジスタ 514c‥‥トランジスタ 514d‥‥カレントミラー回路 515a、515b‥‥層間絶縁膜 516a‥‥導体部 516b‥‥導体部 516c‥‥導体部 516d‥‥導体部 516e‥‥導体部 516f‥‥導体部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の金属材料で構成された第1の電極と、
前記第1の電極に対して離間して設けられ、前記第1の金属材料とは異なる第2の金属材料で構成された第2の電極と、
前記第1の電極および前記第2の電極のうちの少なくとも一方の電極を覆うように設けられ、前記第1の金属材料および前記第2の金属材料とは異なる第3の金属材料で構成された被膜と、
前記第1の電極と前記第2の電極との電位差を測定する機能を有する機能素子とを有し、
前記第1の金属材料は、測定部位のpH変化に伴って、表面に第1の不動態膜が形成するかまたは表面に存在した第1の不動態膜を消失する金属であり、
pH変化に伴う前記第1の不動態膜および前記被膜のそれぞれの有無により前記第1の電極と前記第2の電極との電位差が変化することを特徴とするセンサー装置。
【請求項2】
前記機能素子は、前記第1の電極と前記第2の電極との電位差に基づいて、測定対象物の測定対象部位のpHが設定値以下か否かを検知する機能をも有する請求項1に記載のセンサー装置。
【請求項3】
前記第2の金属材料は、測定部位のpH変化に伴って、表面に第2の不動態膜が形成するかまたは表面に存在した第2の不動態膜を消失する金属であり、
前記第1の金属材料は、第1のpHよりも大きいpHとなったときに第1の不動態膜を形成し、
前記第2の金属材料は、第2のpHよりも大きいpHとなったときに第2の不動態膜を形成し、
前記第1のpHと前記第2のpHとは異なる請求項1または2に記載のセンサー装置。
【請求項4】
前記第3の金属材料は、第3のpHよりも大きいpHとなったときに溶解し、
前記第3のpHは、前記第1のpHおよび前記第2のpHとは異なる請求項3に記載のセンサー装置。
【請求項5】
前記第1のpHは、3以上5以下であり、
前記第2のpHは、8以上10以下である請求項3または4に記載のセンサー装置。
【請求項6】
前記第3の金属材料は、前記第1の金属材料が前記第1の不動態膜を形成するpHの範囲の下限値よりも大きいpHとなったときに溶解する請求項1ないし4にずれかに記載のセンサー装置。
【請求項7】
前記第1の金属材料は、鉄または鉄系合金である請求項1ないし6のいずれかに記載のセンサー装置。
【請求項8】
前記第2の金属材料は、鉄または鉄系合金である請求項1ないし7のいずれかに記載のセンサー装置。
【請求項9】
前記第2の金属材料は、不動態膜を形成しない請求項1または2に記載のセンサー装置。
【請求項10】
前記第1の金属材料は、3以上5以下のpHよりも大きいpHとなったときに前記第1の不動態膜を形成する請求項9に記載のセンサー装置。
【請求項11】
前記第1の金属材料は、8以上10以下のpHよりも大きいpHとなったときに前記第1の不動態膜を形成する請求項9に記載のセンサー装置。
【請求項12】
前記被膜は、前記第1の電極を覆う第1の被膜と、前記第1の被膜に対して離間して設けられ、前記第1の被膜とは異なる材料で構成されているとともに前記第2の電極を覆う第2の被膜とを有する請求項1ないし10のいずれかに記載のセンサー装置。
【請求項13】
前記被膜は、前記第1の電極および前記第2の電極のうちのいずれか一方の電極を覆う請求項1ないし10のいずれかに記載のセンサー装置。
【請求項14】
前記測定対象物は、コンクリートである請求項1ないし12のいずれかに記載のセンサー装置。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれかに記載のセンサー装置の前記第1の電極および前記第2の電極を測定対象物内にそれぞれ埋設し、
前記第1の電極と前記第2の電極との電位差に基づいて、前記測定対象物の状態を測定することを特徴とする測定方法。
【請求項16】
測定対象物内に、不動態膜を形成する第1の金属材料で構成された第1の電極と、前記第1の電極に対して離間して設けられ、前記第1の金属材料とは異なる第2の金属材料で構成された第2の電極とのうちの少なくとも一方の電極を、前記第1の金属材料および前記第2の金属材料とは異なる第3の金属材料で構成された被膜により覆った状態で、前記第1の電極および前記第2の電極をそれぞれ埋設し、
前記第1の電極と前記第2の電極との電位差に基づいて、前記測定対象物の状態を測定することを特徴とする測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−198121(P2012−198121A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62764(P2011−62764)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】