説明

センサー装置

【課題】コンクリート構造物のコンクリート中の塩化物イオン濃度変化をコンクリートのpH変化と区別して測定し、その測定情報をコンクリート構造物の計画的な保全に活用することができるセンサー装置を提供すること。
【解決手段】本発明のセンサー装置1は、多孔質体で構成された第1の電極3と、第1の電極3に対して離間して設けられ、第1の電極3と同種の材料からなる緻密体で構成された第2の電極4と、第1の電極3と第2の電極4との電位差を測定する機能を有する機能素子51とを有し、機能素子51で測定された電位差に基づいて、測定対象部位の状態を測定し得るように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
センサー装置としては、例えば、コンクリート中の鉄筋の腐蝕状態を測定するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
施工直後のコンクリート構造物中のコンクリートは、通常、強アルカリ性を呈する。そのため、施工直後のコンクリート構造物中の鉄筋は、その表面に不動態膜が形成されるため、安定である。しかし、施工後に酸性雨や排気ガス等の影響を受けたコンクリート構造物は、コンクリートが徐々に酸性化(中性化)していくため、鉄筋が腐食することとなる。また、コンクリート構造物は、コンクリートへ侵入した塩化物イオンによっても鉄筋が腐食する
例えば、特許文献1に記載の装置では、参照電極および対極を備えたプローブをコンクリートに埋設して、鉄筋の腐食による電位変化および分極抵抗を測定することにより、鉄筋の腐食を予測する。
しかし、かかる装置では、鉄筋の腐食の原因がコンクリート中へ侵入した塩化物イオンによるものなのか、コンクリートの中性化によるものなのかを特定することができず、その結果、コンクリート構造物の適切な保全を行うことができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−222033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、コンクリート構造物のコンクリート中の塩化物イオン濃度変化をコンクリートのpH変化と区別して測定し、その測定情報をコンクリート構造物の計画的な保全に活用することができるセンサー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のセンサー装置は、少なくとも表面付近が多孔質体で構成された第1の電極と、
前記第1の電極に対して離間して設けられ、少なくとも表面付近が前記第1の電極と同種の材料からなる緻密体で構成された第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との電位差を測定する機能を有する機能素子とを有し、
前記機能素子で測定された電位差に基づいて、測定対象部位の状態を測定し得るように構成されたことを特徴とする。
【0006】
このように構成されたセンサー装置によれば、第1の電極は、その少なくとも表面付近が多孔質体で構成されているので、第1の電極の表面には腐蝕の生じやすい部分として微細な多数の凹部が均一に分散して形成される。そのため、第1の電極の表面は、塩化物イオンの存在下において、均一に腐蝕が生じ、局所的な腐蝕(孔食)が抑制される。
一方、第2の電極は、その少なくとも表面付近が緻密体で構成されているので、第2の電極の表面は、塩化物イオンの存在下において、最も腐蝕が生じやすい部分が最初に腐食し、その最初に腐食を生じた部位の腐蝕し易さが他の部分に比してさらに大きくなるため、局所的な腐蝕(孔食)が生じる。
【0007】
このようなことから、第1の電極および第2の電極は、互いに同種の材料で構成されていながら、塩化物イオンの存在下において、互いに異なる状態で腐蝕が進行する。具体的には、第1の電極は塩化物イオンの存在によって自然電位がほとんど変化しないが、第2の電極は塩化物イオンの存在によって自然電位が大きく変化する。そのため、第1の電極と第2の電極との電位差に基づいて、測定対象部位の塩化物イオン濃度変化を測定することができる。
【0008】
また、第1の電極および第2の電極は、互いに同種の材料で構成されているため、測定対象部位のpH変化に対して、互いに同一または近似して状態が変化する。したがって、測定対象部位のpHが変化しても、第1の電極と第2の電極との電位差は全くあるいはほとんど変化しない。そのため、上述した測定対象部位の塩化物イオン濃度変化を測定対象部位のpH変化と区別して測定することができる。
【0009】
本発明のセンサー装置では、前記第1の電極および前記第2の電極は、それぞれ、前記測定対象部位の環境変化に伴って、表面に不動態膜を形成するか、または、表面に存在した不動態膜を消失させる金属材料で構成されていることが好ましい。
これにより、第1の電極および第2の電極の双方に不動態膜が形成されている状態において、測定対象部位に塩化物イオンが侵入したとき、第1の電極に形成された不動態膜は、塩化物イオンの存在下において、均一に腐蝕が生じ、局所的な腐蝕(孔食)が抑制され、自然電位がほとんど変化せず貴化した状態(高い状態)に維持される。一方、第2の電極に形成された不動態膜は、塩化物イオンの存在下において、局所的な腐蝕(孔食)が生じ、自然電位が卑化する(下がる)。
このようなことから、第1の電極と第2の電極との電位差に基づいて、測定対象部位のpH変化と区別して、測定対象部位の塩化物イオン濃度変化を正確に測定することができる。
【0010】
本発明のセンサー装置では、前記金属材料は、鉄または鉄系合金であることが好ましい。
鉄または鉄系合金(鉄系材料)は比較的安価で入手が容易である。また、例えば、センサー装置をコンクリート構造物の状態測定に用いた場合、第1の電極および第2の電極をそれぞれコンクリート構造物中の鉄筋と同一材料(または近似した材料)で構成することが可能であり、コンクリート構造物中の鉄筋の腐蝕状態を効果的に検知することができる。
【0011】
本発明のセンサー装置では、前記第1の電極および前記第2の電極の双方を覆うように設けられ、厚さ方向に貫通する貫通孔または貫通溝を有する絶縁膜を有することが好ましい。
これにより、絶縁膜の貫通孔または貫通溝による毛管凝縮効果により、より低い相対湿度で、第1の電極上および第2の電極上に水分を結露させ安定して液体の水を存在させることができる。
このようなことから、外部環境の湿度や温度の変化に伴って測定対象部位の相対湿度が変化しても、第1の電極上および第2の電極上の水分量の変動を防止することができる。その結果、外部環境の湿度や温度の変化によって第1の電極および第2の電極の自然電位がそれぞれ変動するのを防止し、測定対象部位の状態を高精度に測定することができる。
【0012】
本発明のセンサー装置では、前記絶縁膜は、連続空孔を有する多孔質体で構成され、前記連続空孔は、前記貫通孔の少なくとも一部を構成することが好ましい。
これにより、絶縁膜の貫通孔による毛管凝縮効果を効果的に生じさせることができる。
本発明のセンサー装置では、前記貫通孔または前記貫通溝は、エッチングによりパターンニングされたものであることが好ましい。
これにより、毛管凝縮効果を生じ得る貫通孔または貫通溝を有する絶縁膜を比較的簡単に形成することができる。
本発明のセンサー装置では、前記絶縁膜は、耐アルカリ性を有することが好ましい。
これにより、測定対象部位がコンクリートである場合であっても、絶縁膜の耐久性を優れたものとすることができる。そのため、コンクリートの状態を長期に亘り安定して測定することができる。
【0013】
本発明のセンサー装置では、前記第1の電極および前記第2の電極に対してそれぞれ離間して設けられ、前記第1の電極および前記第2の電極とは異なる材料で構成された第3の電極を有し、
前記機能素子は、前記第1の電極または前記第2の電極と前記第3の電極との電位差を測定する機能をさらに有することが好ましい。
これにより、測定対象部位の塩化物イオン濃度変化と測定対象部位のpH変化とを区別して、これらの双方を検知することができる。
【0014】
本発明のセンサー装置では、前記第3の電極は、多孔質体で構成されていることが好ましい。
これにより、第3の電極の表面が塩化物イオンによって局所的に腐蝕するのを抑制することができる。そのため、前記第1の電極または前記第2の電極と前記第3の電極との電位差から、塩化物イオン以外の環境変化(例えば、pH)を正確に検知することができる。
【0015】
本発明のセンサー装置では、前記機能素子は、前記第1の電極または前記第2の電極と前記第3の電極との電位差に基づいて、前記測定対象部位のpHが設定値以下か否かを検知する機能をも有することが好ましい。
これにより、測定対象物のpH変化に伴う状態変化を検知することができる。
本発明のセンサー装置では、前記機能素子は、前記第1の電極と前記第2の電極との電位差に基づいて、前記測定対象部位の塩化物イオン濃度が設定値以下か否かを検知する機能をも有することが好ましい。
これにより、測定対象物の塩化物イオン濃度変化に伴う状態変化を検知することができる。
本発明のセンサー装置では、アンテナと、
前記アンテナに給電する機能を有する通信用回路とを有し、
前記機能素子は、前記通信用回路を駆動制御する機能をも有することが好ましい。
これにより、無線により測定対象物の外部へ測定結果を送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係るセンサー装置の使用状態の一例を示す図である。
【図2】図1に示すセンサー装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示す第1の電極、第2の電極および機能素子を説明するための平面図である。
【図4】図2に示す第1の電極、第2の電極を説明するための断面図(図3中のA−A線断面図)である。
【図5】図2に示す機能素子を説明するための断面図(図3中のB−B線断面図)である。
【図6】(a)は、図2に示す第1の電極の構成の一例を示す拡大断面図、(b)は、図2に示す第2の電極の構成の一例を示す拡大断面図である。
【図7】図2に示す機能素子に備えられた差動増幅回路を示す回路図である。
【図8】図2に示す機能素子に備えられた差動増幅回路を示す回路図である。
【図9】図1に示すセンサー装置の作用の一例を説明するための図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係るセンサー装置の使用状態の一例を示す図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係るセンサー装置の第1の電極、第2の電極および機能素子を説明するための平面図である。
【図12】図11に示す第1の電極、第2の電極を説明するための断面図(図11中のA−A線断面図)である。
【図13】図11に示す絶縁膜を示す拡大断面図である。
【図14】本発明の第4実施形態に係るセンサー装置の第1の電極、第2の電極および第3の電極を説明するための断面図である。
【図15】図14に示すセンサー装置の機能素子に備えられた差動増幅回路を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のセンサー装置の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るセンサー装置の使用状態の一例を示す図、図2は、図1に示すセンサー装置の概略構成を示すブロック図、図3は、図2に示す第1の電極、第2の電極および機能素子を説明するための平面図、図4は、図2に示す第1の電極、第2の電極を説明するための断面図(図3中のA−A線断面図)、図5は、図2に示す機能素子を説明するための断面図(図3中のB−B線断面図)、図6(a)は、図2に示す第1の電極の構成の一例を示す拡大断面図、図6(b)は、図2に示す第2の電極の構成の一例を示す拡大断面図、図7および図8は、それぞれ、図2に示す機能素子に備えられた差動増幅回路を示す回路図、図9は、図1に示すセンサー装置の作用の一例を説明するための図である。
なお、以下では、本発明のセンサー装置をコンクリート構造物の品質測定に用いる場合を例に説明する。
【0018】
図1に示すセンサー装置1は、コンクリート構造物100の品質を測定するものである。
コンクリート構造物100は、コンクリート101内に複数の鉄筋102が埋設されている。そして、センサー装置1は、コンクリート構造物100のコンクリート101内の鉄筋102付近に埋設されている。なお、センサー装置1は、コンクリート構造物100を打設する際に、コンクリート101の打設前に鉄筋に固定して埋め込んでもよいし、打設後に硬化したコンクリート101に穿孔して埋め込んでもよい。
【0019】
このセンサー装置1は、本体2と、その本体2の表面に露出した第1の電極3および第2の電極4とを有する。本実施形態では、第1の電極3および第2の電極4は、鉄筋102よりもコンクリート構造物100の外表面側において、コンクリート構造物100の外表面からの距離が互いに等しくなるように設置されている。また、第1の電極3および第2の電極4は、それぞれ、電極面がコンクリート構造物100の外表面に平行または略平行となるように設置されている。そして、第1の電極3および第2の電極4は、コンクリート101の測定対象部位の状態変化に伴って、これらの間の電位差が変化するように構成されている。なお、第1の電極3および第2の電極4については、後に詳述する。
また、センサー装置1は、図2に示すように、第1の電極3および第2の電極4に電気的に接続された機能素子51と、電源52と、温度センサー53と、通信用回路54と、アンテナ55と、発振器56とを有し、これらが本体2内に収納されている。
【0020】
以下、センサー装置1を構成する各部を順次説明する。
(本体)
本体2は、第1の電極3、第2の電極4および機能素子51等を支持する機能を有する。
このような本体2は、図4および図5に示すように、第1の電極3、第2の電極4および機能素子51を支持する基板21を有する。なお、基板21は、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56をも支持するが、図3〜5では、説明の便宜上、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56の図示を省略している。
この基板21は、絶縁性を有する。基板21としては、特に限定されず、例えば、アルミナ基板、樹脂基板等を用いることができる。
【0021】
図4に示すように、この基板21上には、例えばソルダーレジストのような絶縁性の樹脂組成物で構成された絶縁層23が設けられている。そして、この絶縁層23を介して基板21上には、第1の電極3、第2の電極4および機能素子51が実装されている。
図5に示すように、この基板21上には、機能素子51(集積回路チップ)が保持され、機能素子51の導体部61、62(電極パッド)が第1の電極3および第2の電極4と接続されている。
【0022】
この導体部61は、第1の電極3と、導体部516a、516dおよびトランジスタ514aのゲート電極とを電気的に接続している。また、導体部62は、第2の電極4と、導体部516b、516eおよびトランジスタ514bのゲート電極とを電気的に接続している。第1の電極3と第2の電極4は、各々、トランジスタ514a、514bのゲート電極と接続しているためフローテイング状態にある。515aと515bは、集積回路の層間絶縁膜であり、25は、集積回路の保護膜である。
【0023】
また、本体2は、機能素子51、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56を収納する機能を有する。
特に、本体2は、機能素子51、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56を液密的に収納するように構成されている。
具体的には、図4および図5に示すように、本体2は、封止部24を有する。この封止部24は、機能素子51、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56を封止する機能を有する。これにより、センサー装置1を水分やコンクリートの存在下に設置した場合に、機能素子51、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56の劣化を防止することができる。
【0024】
ここで、封止部24は、開口部241を有し、この開口部241から第1の電極3および第2の電極4を露出させつつ、第1の電極3および第2の電極4以外の各部を覆うように設けられている(図3および図4参照)。これにより、封止部24が第1の電極3および第2の電極4以外の各部の劣化を防止しつつ、センサー装置1が測定を行うことができる。なお、開口部241は、第1の電極3の少なくとも一部および第2の電極4の少なくとも一部を露出するように形成されていればよい。
【0025】
封止部24の構成材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂のような熱可塑性樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂のような熱硬化性樹脂等の各種樹脂材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、封止部24は、必要に応じて設ければよく、省略することもできる。
【0026】
(第1の電極、第2の電極)
第1の電極3および第2の電極4は、図4に示すように、それぞれ、前述した本体2の外表面上(より具体的には基板21上)に設けられている。特に、第1の電極3および第2の電極4は、同一平面上に設けられている。そのため、第1の電極3および第2の電極4の設置環境の差が生じるのを防止することができる。
【0027】
本実施形態では、第1の電極3および第2の電極4は、それぞれ、薄膜状をなしている。また、第1の電極3および第2の電極4の平面視形状は、それぞれ、四角形をなしている。また、第1の電極3および第2の電極4は、平面視にて、互いの形状および面積が等しくなっている。
特に、第1の電極3は、図6(a)に示すように、複数の空孔31を有する多孔質体32で構成されている。そして、複数の空孔31は、隣接する空孔31同士が連通する連続空孔(細孔)をなし、その連続空孔が第1の電極3の表面に開口している。
このような第1の電極3は、多孔質体32で構成されているので、第1の電極3の表面には腐蝕の生じやすい部分として微細な多数の凹部が均一に分散して形成される。そのため、第1の電極3の表面は、塩化物イオンの存在下において、均一に腐蝕が生じ、局所的な腐蝕(孔食)が抑制される。
【0028】
一方、第2の電極4は、図6(b)に示すように、緻密体42で構成されている。この緻密体42は、前述した第1の電極3の空孔31のような空孔を実質的に有しないものである。
このような第2の電極4は、緻密体42で構成されているので、第2の電極4の表面は、塩化物イオンの存在下において、最も腐蝕が生じやすい部分が最初に腐食し、その最初に腐食を生じた部位の腐蝕し易さが他の部分に比してさらに大きくなるため、局所的な腐蝕(孔食)が生じる。
【0029】
このようなことから、第1の電極3および第2の電極4は、塩化物イオンの存在下において、互いに異なる状態で腐蝕が進行する。具体的には、第1の電極3は塩化物イオンの存在によって自然電位がほとんど変化しないが、第2の電極4は塩化物イオンの存在によって自然電位が大きく変化する。そのため、第1の電極3と第2の電極4との電位差に基づいて、測定対象部位の塩化物イオン濃度変化を測定することができる。
【0030】
また、複数の空孔31の平均径は、それぞれ、前述したような塩化物イオンによる孔食を防止し得る範囲であれば、特に限定されないが、空孔31は、孔径2〜50nmのメソポーラスあるいは孔径50nm以上のマクロポーラスであるのが好ましい。これにより、孔食を抑制する効果を発揮することができる。
このような平均径の範囲で複数の空孔31が形成されていることにより、前述したような塩化物イオンによる孔食を防止するとともに、細孔による毛管凝縮効果により、より低い相対湿度で、第1の電極3上に水分を結露させることができる。そのため、第1の電極3上に安定して液体の水を存在させることができる。すなわち、仮に第1の電極3が緻密体で構成された場合に第1の電極3上に結露が生じないような低い相対湿度においても、第1の電極3上にそれぞれ結露させて液体の水を存在させることができる。
【0031】
このようなことから、外部環境の湿度や温度の変化に伴ってコンクリート101内の相対湿度が変化しても、第1の電極3上の水分量の変動を防止することができる。その結果、外部環境の湿度や温度の変化によって第1の電極3の自然電位が大きく変動するのを防止し、コンクリート101の測定対象部位の状態を高精度に測定することができる。
さらに、第1の電極3の空孔率は、前述したように塩化物イオンによる孔食を防止し得る範囲であれば、特に限定されないが、腐食時の体積膨張を回避するためには、空孔率が高い方がよく、力学的強度の観点からは、空孔率が低い方がよく、具体的には、例えば、10%以上90%以下であるのが好ましい。
【0032】
本実施形態では、第1の電極3および第2の電極4は、互いに同種の材料(同一または近似した材料)で構成されている。これにより、第1の電極3および第2の電極4は、測定対象部位のpH変化に対して、互いに同一または近似して状態が変化する。したがって、測定対象部位のpHが変化しても、第1の電極3と第2の電極4との電位差は、全く変化しないか、あるいは、ほとんど変化しない。そのため、上述した測定対象部位の塩化物イオン濃度変化を測定対象部位のpH変化と区別して測定することができる。
【0033】
以下、第1の電極3および第2の電極4の構成材料について詳述する。
第1の電極3および第2の電極4は、それぞれ、測定対象部位の環境変化(具体的にはpH変化)に伴って、表面に不動態膜を形成するか、または、表面に存在した不動態膜を消失させる金属材料で構成されている。
このような金属材料で構成された第1の電極3および第2の電極4は、それぞれ、不動態膜が形成された状態(不動態化した状態)では不活性(貴)であり、自然電位が高くなる(貴化する)。一方、第1の電極3および第2の電極4は、それぞれ、不動態膜が破壊された状態(消失された状態)では活性(卑)である。そのため、第1の電極3および第2の電極4の電位は、それぞれ、pH変化に伴う不動態膜の有無により急峻に変化する。これにより、第1の電極3または第2の電極4の電位に基づいて、測定対象部位のpH変化を測定することができる。
ここで、前述したように第1の電極3および第2の電極4は互いに同種の材料で構成されているため、第1の電極3および第2の電極4に形成される不動態膜も互いに同種の材料で構成されている。
【0034】
そして、第1の電極3および第2の電極4の双方に不動態膜が形成されている状態において、測定対象部位に塩化物イオンが侵入したとき、第1の電極3に形成された不動態膜は、塩化物イオンの存在下において、ポーラス構造では全体に均一に孔が存在するため、局所的に特定の孔のみで塩素化合物イオン濃度が高くなることは無い。このため、腐食電流は分散され、電極全体均一に腐蝕が進む。局所的な腐蝕(孔食)が抑制され、自然電位がほとんど変化せず貴化した状態(高い状態)に維持される。一方、第2の電極4に形成された不動態膜は、塩化物イオンの存在下において、局所的な腐蝕(孔食)が生じ、自然電位が卑化する(下がる)。
【0035】
このようなことから、第1の電極3と第2の電極4との電位差に基づいて、測定対象部位のpH変化と区別して、測定対象部位の塩化物イオン濃度変化を正確に測定することができる。
かかる金属材料としては、不動態膜が形成される限り、特に限定されないが、例えば、Fe、Ni、Mg、Znまたはこれらを含む合金等が挙げられる。
【0036】
例えば、Feは、pHが9.4よりも大きいときに不動態膜を形成する。また、FeAl(Al0.8%)系炭素鋼は、pHが4よりも大きいときに不動態膜を形成する。また、Niは、pHが8〜14であるときに不動態膜を形成する。また、Mgは、pHが10.5よりも大きいときに不動態膜を形成する。また、Znは、pHが6〜12であるときに不動態膜を形成する。
また、例えば、炭素鋼(SD345)は、強アルカリ環境においても、塩化物イオン濃度が約1.2kg/mを超えたときに不動態膜の破壊が始まる。
【0037】
中でも、かかる金属材料は、FeまたはFeを含む合金(Fe系合金)、すなわち鉄系材料(具体的には、炭素鋼、合金鋼、SUS等)であるのが好ましい。鉄系材料は安価で入手が容易である。また、本実施形態のように、センサー装置1をコンクリート構造物100の状態測定に用いた場合、第1の金属材料をコンクリート構造物100の鉄筋102と同一または近似の材料とすることが可能であり、鉄筋102の腐蝕環境状態を効果的に検知することができる。例えば、第1の電極3がFeで構成されている場合、pHが9.4以上か否かの判断ができる。
【0038】
このような第1の電極3は、特に限定されず、公知の多孔質体膜の形成方法を用いて形成することができる。なお、図6(a)に示す複数の空孔31の形状は、一例であり、前述したように第1の電極3の塩化物イオンによる孔食を防止し得るものであれば、図示のものに限定されず、第1の電極3は、連続空孔を有する公知の各種多孔質体で構成することができる。
また、第2の電極4は、特に限定されず、公知の成膜法を用いて形成することができる。
【0039】
(機能素子)
機能素子51は、前述した本体2の内部に埋設されている。なお、機能素子51は、前述した本体2の基板21に対して第1の電極3および第2の電極4とは、同一面に設けても、反対側に設けても良い。
この機能素子51は、第1の電極3と第2の電極4との電位差を測定する機能を有する。これにより、第1の電極3と第2の電極4との電位差に基づいて、第1の電極3および第2の電極4の設置環境の塩化物イオン濃度が設定値以下か否かを検知することができる。
また、機能素子51は、第1の電極3と第2の電極4との電位差に基づいて、測定対象物であるコンクリート構造物100の測定対象部位のpHあるいは塩化物イオン濃度が設定値以下か否かを検知する機能をも有する。これにより、コンクリート構造物100のpH変化あるいは塩化物イオン濃度変化に伴う状態変化を検知することができる。
【0040】
このような機能素子51は、例えば、集積回路である。より具体的には、機能素子51は、例えば、MCU(マイクロコントロールユニット)であり、図2に示すように、CPU511と、A/D変換回路512と、差動増幅回路514とを有する。
より具体的に説明すると、機能素子51は、図5に示すように、基板513と、基板513上に設けられた複数のトランジスタ514a、514b、514cと、トランジスタ514a、514b、514cを覆う層間絶縁膜515a、515bと、配線および導体ポストを構成する導体部516a、516b、516c、516d、516e、516fと、保護膜25と、電極パッドを構成する導体部61、62とを有する。
【0041】
基板513は、例えばSOI基板であり、CPU511およびA/D変換回路512が形成されている。基板513としてSOI基板を用いることにより、トランジスタ514a〜514cをSOI型MOSFETとすることができる。
複数のトランジスタ514a、514b、514cは、それぞれ例えば電界効果トランジスタ(FET)であり、差動増幅回路514の一部を構成するものである。
差動増幅回路514は、図7に示すように、3つのトランジスタ514a〜514cと、カレントミラー回路514dとで構成されている。
【0042】
また、差動増幅回路514は、図8に示すように、演算増幅器201、202と、演算増幅器203とを有する。
演算増幅器201は、比較用電極7を基準として第1の電極3の電位を検出する。また、演算増幅器202は、比較用電極7を基準として第2の電極4の電位を検出する。また、演算増幅器203は、演算増幅器201の出力電位と演算増幅器202の出力電位との差を検出する。
【0043】
導体部516aは、その一端がトランジスタ514aのゲート電極に接続され、他端が前述した導体部516dに接続されている。導体部516dは、導体部61を介して第1の電極3に電気的に接続されている。これにより、トランジスタ514aのゲート電極と第1の電極3とが電気的に接続されている。そのため、第1の電極3の電位の変化に応じて、トランジスタ514aのドレイン電流が変化する。
【0044】
同様に、導体部516bは、その一端がトランジスタ514bのゲート電極に接続され、他端が前述した導体部516eに接続されている。導体部516eは、導体部62を介して第2の電極4に電気的に接続されている。これにより、トランジスタ514bのゲート電極と第2の電極4とが電気的に接続されている。そのため、第2の電極4の電位の変化に応じて、トランジスタ514bのドレイン電流が変化する。
また、導体部516cは、その一端がトランジスタ514cのゲート電極に接続され、他端が前述した導体部516fに接続され、回路の一部を構成している。
【0045】
また、機能素子51は、電源52からの通電により作動する。電源52は、機能素子51を動作可能な電力を供給できるものであれば、特に限定されず、例えば、ボタン型電池のような電池であってもよいし、圧電素子のような発電機能を有する素子を用いた電源ものであってもよい。
また、機能素子51は、温度センサー53の検知温度情報を取得し得るように構成されている。これにより、測定対象部位の温度に関する情報も得ることができる。このような温度に関する情報を用いることにより、測定対象部位の状態をより正確に測定したり、測定対象部位の変化を高精度に予想したりすることができる。
温度センサー53は、測定対象物であるコンクリート構造物100の測定対象部位の温度を検知する機能を有する。このような温度センサー53としては、特に限定されず、例えば、サーミスター、熱電対等の公知の様々な種類の温度センサーを用いることができる。
【0046】
また、機能素子51は、通信用回路54を駆動制御する機能をも有する。例えば、機能素子51は、第1の電極3と第2の電極4との電位差に関する情報(以下、単に「電位差情報」ともいう)と、測定対象部位のpHや塩化物イオン濃度が設定値以下か否かに関する情報(以下、単に「pH情報」ともいう)とをそれぞれ通信用回路54に入力する。また、機能素子51は、温度センサー53によって検知された温度に関する情報(以下、単に「温度情報」ともいう)も併せて通信用回路54に入力する。
【0047】
通信用回路54は、アンテナ55に給電する機能(送信機能)を有する。これにより、通信用回路54は、入力された情報をアンテナ55を介してRF帯またはLF帯(好ましくはLF帯)を用いて無線送信することができる。送信された情報は、コンクリート構造物100の外部に設けられた受信機(リーダー)で受信される。
この通信用回路54は、例えば、電磁波を送信するための送信回路、信号を変調する機能を有する変調回路等を有する。なお、通信用回路54は、信号の周波数を小さく変換する機能を有するダウンコンバータ回路、信号の周波数を大きく変換する機能を有するアップコンバータ回路、信号を増幅する機能を有する増幅回路、電磁波を受信するための受信回路、信号を復調する機能を有する復調回路等を有していてもよい。
【0048】
また、アンテナ55は、特に限定されないが、例えば、金属材料、カーボン等で構成され、巻線、薄膜等の形態をなす。
また、機能素子51は、発振器56からのクロック信号を取得し得るように構成されている。これにより、各回路の同期をとったり、各種情報に時刻情報を付加したりすることができる。
発振器56は、特に限定されないが、例えば、水晶振動子を利用した発振回路で構成されている。
以上説明したように構成されたセンサー装置1を用いた測定方法は、第1の電極3および第2の電極4を測定対象物であるコンクリート構造物100内にそれぞれ埋設し、第1の電極3と第2の電極4との電位差に基づいて、コンクリート構造物100の状態を測定する。
【0049】
以下、第1の電極3および第2の電極4がそれぞれFeで構成されている場合を一例として、センサー装置1の作用を説明する。
打設直後のコンクリート構造物100において、通常、適切に打設されていれば、コンクリート101は強アルカリ性を呈する。そのため、このとき、図9(a)に示すように、第1の電極3および第2の電極4は、それぞれ、安定な不動態膜を形成する。すなわち、図9(a)に示すように、第1の電極3は、その表面に不動態膜33が形成され、第2の電極4は、その表面に不動態膜43が形成される。これにより、第1の電極3および第2の電極4の自然電位がそれぞれ上がっている(貴化している)。その結果、コンクリートの打設直後における第1の電極3と第2の電極4との電位差は小さくなる。
【0050】
その後、コンクリート構造物100のコンクリート101の測定対象部位に塩化物イオンが侵入すると、不動態膜33、43が形成されている状態において、第1の電極3に形成された不動態膜33は、塩化物イオンの存在下において、腐蝕電流が分散し、局所的な腐蝕(孔食)が抑制され、自然電位がほとんど変化せず貴化した状態(高い状態)に維持される。一方、第2の電極4に形成された不動態膜は、塩化物イオンの存在下において、局所的な塩化物イオン濃度増大と腐蝕(孔食)が生じる。すなわち、第2の電極4の不動態膜43には、図9(b)に示すように、貫通した局所的欠損部431が形成され、その欠損部431を通じて第2の電極4の不動態化されていない部分が露出し、Fe腐食が加速する。これにより、第2の電極4の自然電位が卑化する(下がる)。
【0051】
このようなことから、不動態膜43の塩化物イオンによる破壊とFe腐蝕の程度に応じて、第1の電極3と第2の電極4との電位差が大きくなる。そのため、第1の電極3と第2の電極4との電位差に基づいて、測定対象部位の塩化物イオン濃度変化を測定することができる。
また、コンクリート構造物100は、二酸化炭素、酸性雨、排気ガス等の影響により、コンクリート101のpHが徐々に酸性側に変化(中性化)していく。
【0052】
そして、コンクリート101のpHが9程度にまで下がると、図9(c)に示すように、第1の電極3および第2の電極4は、不動態膜33、43がともに崩壊し始め、それぞれ自然電位が下がる(卑化する)。このとき、第1の電極3および第2の電極4は、ともに自然電位が下がっているので、第1の電極3と第2の電極4との電位差は、小さくなる。また、第1の電極3と比較用電極との電位差、および、第2の電極4と比較用電極7との電位差がそれぞれ急峻に変化する。そのため、測定対象部位のpHが9程度となったことを高精度に検知することができる。なお、このとき、第1の電極3および第2の電極4の腐蝕がそれぞれ進む。
【0053】
このような検知結果を利用することにより、コンクリート構造物100の打設後の品質の経時変化をモニタリングすることができる。そのため、鉄筋102が腐蝕する前に、コンクリート101の劣化(中性化や塩分侵入)を把握することができる。これにより、鉄筋102が腐食する前に、コンクリート構造物100に塗装や防腐剤混入モルタル等による補修工事を行うことが可能となる。
また、コンクリート構造物100の打設時に異常があった否かを判断することもできる。そのため、コンクリート構造物100の初期トラブルを防止し、コンクリート構造物100の品質を向上させることができる。
【0054】
以上説明したように第1実施形態のセンサー装置1によれば、第1の電極3は、多孔質体32で構成されているので、第1の電極3の表面には腐蝕の生じやすい部分として微細な多数の凹部が均一に分散して形成される。そのため、第1の電極3の表面は、塩化物イオンの存在下において、腐蝕電流が分散し、局所的な腐蝕(孔食)が抑制される。
一方、第2の電極4は、緻密体42で構成されているので、第2の電極4の表面は、塩化物イオンの存在下において、最も腐蝕が生じやすい部分が最初に腐食し、その最初に腐食を生じた部位に塩化物イオンが集まり腐蝕し易さが他の部分に比してさらに大きくなるため、局所的な塩化物イオン濃度の増大と腐蝕加速(孔食)が生じる。
【0055】
このようなことから、第1の電極3および第2の電極4は、互いに同種の材料で構成されていながら、塩化物イオンの存在下において、互いに異なる状態で腐蝕が進行する。そのため、第1の電極3と第2の電極4との電位差に基づいて、測定対象部位の塩化物イオン濃度変化を測定することができる。
また、第1の電極3および第2の電極4は、互いに同種の材料で構成されているため、測定対象部位のpH変化に対して、互いに同一または近似して均一腐食が発生し、電位差は発生しない。そのため、上述した測定対象部位の塩化物イオン濃度変化を測定対象部位のpH変化と区別して測定することができる。
【0056】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
図10は、本発明の第2実施形態に係るセンサー装置の使用状態の一例を示す図である。
以下、第2実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第2実施形態のセンサー装置は、第1の電極および第2の電極の数が異なる以外は、第1実施形態のセンサー装置とほぼ同様である。なお、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
【0057】
本実施形態のセンサー装置1Aは、本体2Aと、その本体2Aの表面に露出した複数の第1の電極3a、3b、3cおよび複数の第2の電極4a、4b、4cとを有する。
本実施形態では、第1の電極3a、3b、3cおよび第2の電極4a、4b、4cは、互いに離間して設けられている。また、第1の電極3a、3b、3cおよび第2の電極4a、4b、4cは、それぞれ、電極面がコンクリート構造物100の外表面に対して垂直または略垂直となるように設置されている。
【0058】
また、複数の第1の電極3a、3b、3cは、コンクリート構造物100の外表面からの距離が互いに異なる。具体的には、コンクリート構造物100の外表面側から内側へ、複数の第1の電極3a、3b、3cがこの順に並んで設けられている。
同様に、複数の第2の電極4a、4b、4cは、コンクリート構造物100の外表面からの距離が互いに異なる。具体的には、コンクリート構造物100の外表面側から内側へ、複数の第2の電極4a、4b、4cがこの順に並んで設けられている。
【0059】
さらに、第1の電極3aおよび第2の電極4aは、コンクリート構造物100の外表面からの距離が互いに等しくなるように設置されている。また、第1の電極3bおよび第2の電極4bは、コンクリート構造物100の外表面からの距離が互いに等しくなるように設置されている。第1の電極3cおよび第2の電極4cは、コンクリート構造物100の外表面からの距離が互いに等しくなるように設置されている。
このような第1の電極3a、3b、3cおよび第2の電極4a、4b、4cでは、第1の電極3aと第2の電極4aとが対をなし、第1の電極3bと第2の電極4bとが対をなし、第1の電極3cと第2の電極4cとが対をなす。
【0060】
本実施形態では、センサー装置1Aは、第1の電極3aと第2の電極4aとの電位差、第1の電極3bと第2の電極4bとの電位差、および、第1の電極3cと第2の電極4cとの電位差をそれぞれ図示しない機能素子により測定することができるように構成されている。
このような第2実施形態に係るセンサー装置1Aによれば、第1の電極3aおよび第2の電極4aの設置環境、第1の電極3bおよび第2の電極4bの設置環境、および、第1の電極3cおよび第2の電極4cの設置環境のpHや塩化物イオン濃度がそれぞれ設定値以下か否かを正確に検知することができる。すなわち、コンクリート構造物100の外表面からの深さが異なる位置でのpHがそれぞれ設定値以下か否かを正確に検知することができる。これにより、コンクリート101のpHが酸性側に変化する速度や塩化物イオン濃度が増加する速度を知ることができる。そのため、コンクリート構造物100の中性化や塩害の深さ方向への侵入予測を効果的に行うことができる。
【0061】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態を説明する。
図11は、本発明の第3実施形態に係るセンサー装置の第1の電極、第2の電極および機能素子を説明するための平面図、図12は、図11に示す第1の電極、第2の電極を説明するための断面図(図11中のA−A線断面図)、図13は、図11に示す絶縁膜を示す拡大断面図である。
【0062】
以下、第3実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第3実施形態のセンサー装置は、第1の電極および第2の電極を覆うように設けられた絶縁膜8を有する以外は、第1実施形態のセンサー装置とほぼ同様である。なお、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
【0063】
本実施形態のセンサー装置1Bは、本体2Bと、その本体2B上に設けられた第1の電極3および第2の電極4と、第1の電極3および第2の電極4を覆うように設けられた絶縁膜8とを有する。
絶縁膜8は、第1の電極3および第2の電極4の双方を覆うように設けられている。そして、絶縁膜8は、図13に示すように、複数の空孔82を有する多孔質体83で構成されている。そして、複数の空孔82は、隣接する空孔82同士が連通する連続空孔(細孔)をなし、その連続空孔が絶縁膜8の表面に開口している。ここで、かかる連続空孔は、絶縁膜8の厚さ方向に貫通する貫通孔を構成する。
このような連続空孔を通じて、測定対象部位の水分を第1の電極3上および第2の電極4上に供給することができる。
特に、このような連続空孔(細孔)による毛管凝縮効果により、より低い相対湿度で、第1の電極3上および第2の電極4上にそれぞれ水分を結露させることができる。
【0064】
本実施形態では、絶縁膜8が前述したような連続空孔を有する多孔質体83で構成されているので、絶縁膜8の各連続空孔貫通孔による毛管凝縮効果を効果的に生じさせることができる。
そのため、第1の電極3上および第2の電極4上に安定して液体の水を存在させることができる。すなわち、仮に絶縁膜8を省略した場合に第1の電極3上および第2の電極4上に結露が生じないような低い相対湿度においても、第1の電極3上および第2の電極4上にそれぞれ結露させて液体の水を存在させることができる。
【0065】
このようなことから、外部環境の湿度や温度の変化に伴ってコンクリート101内の相対湿度が変化しても、第1の電極3上および第2の電極4上の水分量の変動を防止することができる。その結果、外部環境の湿度や温度の変化によって第1の電極3および第2の電極4の自然電位が変動するのを防止し、コンクリート101の測定対象部位の状態を高精度に測定することができる。
【0066】
また、複数の空孔82の平均径は、前述したように毛管凝縮効果を生じ得る範囲であれば、特に限定されないが、例えば、2nm以上50nm以下であるのが好ましい。すなわち、空孔82は、メソ孔であるのが好ましい。
また、絶縁膜8の構成材料としては、絶縁性を有するものであれば、特に限定されないが、絶縁性および耐久性に優れるという観点から、例えば、金属やシリコンの酸化物、窒化物、フッ化物等(セラミックス材料)を用いるのが好ましい。なお、絶縁膜8の構成材料として、樹脂材料を用いることもできる。
【0067】
また、図11、12に示すように、絶縁膜8には、その厚さ方向に貫通する貫通孔81が形成されている。
この絶縁膜8に形成された貫通孔81は、エッチングによりパターンニングされたものである。
本実施形態では、絶縁膜8が連続空孔を有する多孔質体で構成されているので、貫通孔81自体は、毛管凝縮効果を生じさせるものであってもよいし、毛管凝縮効果を生じさせないものであってもよい。
【0068】
貫通孔81自体が毛管凝縮効果を生じさせる場合、絶縁膜8を構成する多孔質体の連続空孔および貫通孔81が毛管凝集効果を効果的に生じさせることができる。また、貫通孔81自体が毛管凝集効果を生じさせない場合であっても、貫通孔81の存在により、絶縁膜8を構成する多孔質体の空孔と貫通孔を通じて第1の電極3および第2の電極4へ水分を供給するのを促進させることができる。
【0069】
また、このような貫通孔81は、コンクリート101中の骨材が第1の電極3上または第2の電極4上の絶縁膜8に接触しても、絶縁膜8と骨材との間に隙間を生じさせることができる。そのため、その隙間を通じてコンクリート101中の成分(水分やCaイオン等)を第1の電極3または第2の電極4に供給して、第1の電極3上および第2の電極4上の水分量の安定化を図ることができる。
【0070】
本実施形態では、貫通孔81は、平面視にて互いに平行に延びる複数の第1の部分(スリット)811と、平面視にて第1の部分811に直交し互いに平行に延びる複数の第2の部分(スリット)812とで構成されている。すなわち、貫通孔81は、平面視にて、格子状をなしている。
このような第1の部分811および第2の部分812の幅(スリットの幅)は、それぞれ、特に限定されないが、例えば、貫通孔81自体が前述したような毛管凝縮効果を生じさせないものである場合、骨材の大きさ(数十mm)より小さければ良く、特に制限は無いが、貫通孔81自体が前述したように毛管凝縮効果を生じさせるものである場合、2nm以上50nm以下であるのが好ましい。
【0071】
また、絶縁膜8は、耐アルカリ性を有するのが好ましい。例えば、絶縁膜8の構成材料として、SiO、Si等の耐アルカリ性に優れた材料を用いるのが好ましい。これにより、測定対象部位がコンクリート101である場合であっても、絶縁膜8の耐久性を優れたものとすることができる。そのため、コンクリート101の状態を長期に亘り安定して測定することができる。
【0072】
また、絶縁膜8の平均厚さは、特に限定されないが、貫通孔81自体が前述したように毛管凝縮効果を生じさせるものである場合、5nm以上1000nm以下であるのが好ましい。これにより、前述したような毛管凝集効果を生じ得る貫通連続空孔を有する絶縁膜8を比較的簡単に形成することができる。これに対し、かかる平均厚さが厚すぎると、貫通孔81の形成が困難になり、貫通孔や連続空孔を通じて水分等を第1の電極3および第2の電極4に供給するのが難しくなる。
【0073】
このような絶縁膜8は、特に限定されず、公知の多孔質体膜の形成方法を用いて形成することができる。例えば、絶縁膜8が金属酸化物で構成されている場合、金属酸化物の前駆体である金属オキソ種と、ポリスチレン系界面活性剤とを極性溶媒に溶解した前駆溶液をスピンコート、インクジェット法等の塗布法により成膜し、乾燥、焼成することにより絶縁膜8を形成することができる。
【0074】
なお、図13に示す複数の空孔82の形状は、一例であり、前述したように絶縁膜8の連続空孔が毛管凝縮効果を発揮し得るものであれば、図示のものに限定されず、絶縁膜8は、連続空孔を有する公知の各種多孔質体で構成することができる。
なお、本実施形態では、1つの絶縁膜8が第1の電極3および第2の電極4を覆うように設けられているが、第1の電極3を覆う絶縁膜と、第2の電極4を覆う絶縁膜とを別々に設けてもよい。この場合、2つの絶縁膜の構成(厚さ、材料、空孔率等)は、互いに同じであっても異なっていてもよい。
以上説明したような第3実施形態のセンサー装置1Bによっても、コンクリート構造物100のコンクリート101の塩化物イオン濃度変化をコンクリート101のpH変化と区別して測定し、その測定情報をコンクリート構造物100の計画的な保全に活用することができる。
【0075】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態を説明する。
図14は、本発明の第4実施形態に係るセンサー装置の第1の電極、第2の電極および第3の電極を説明するための断面図、図15は、図14に示すセンサー装置の機能素子に備えられた差動増幅回路を示す回路図である。
以下、第4実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0076】
第4実施形態のセンサー装置は、絶縁膜、比較用電極、第1の電極および第2の電極の構成が異なる以外は、第3実施形態のセンサー装置とほぼ同様である。なお、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
本実施形態のセンサー装置1Cは、本体2Cと、その本体2C上に設けられた第1の電極3C、第2の電極4Cおよび比較用電極7Cと、第1の電極3C、第2の電極4Cおよび比較用電極7Cを覆うように設けられた絶縁膜8Cとを有する。
【0077】
第1の電極3Cの表面には、凹部34が形成され、同様に、第2の電極4Cの表面には、凹部44が形成され、また、比較用電極7Cの表面には、凹部74が形成されている。このような凹部34、44、74を形成しておくと、絶縁膜8C上に後述する凹部81を比較的簡単に形成することができる。
この凹部34、44、74は、それぞれ、例えば、エッチングにより形成することができる。
【0078】
第1の電極3Cは、前述した第1実施形態の第1の電極3と同様、例えば、炭素鋼からなる多孔質体で構成されている。一方、第2の電極4Cは、前述した第1実施形態の第2の電極4と同様、炭素鋼からなる緻密体で構成されている。
このような第1の電極3Cおよび第2の電極4Cは、互いに同種の材料で構成され、また、それぞれ、前述した第1実施形態の第1の電極3および第2の電極4と同様の材料で構成されている。
【0079】
比較用電極7C(第3の電極)は、第1の電極3Cおよび第2の電極4Cに対してそれぞれ離間して設けられ、第1の電極3Cおよび第2の電極4Cとは異なる材料で構成されている。例えば、比較用電極7Cは、Pt、Au等の貴金属で構成されている。また、比較用電極7Cは、塩化物イオンや中性化による腐食耐性に優れた種々のSUS系鉄合金、例えば、SUS316Lで構成されていてもよい。
【0080】
また、比較用電極7CがSUS系鉄合金で構成されている場合には、第1の電極3Cと同様、多孔質体で構成されているのが好ましい。これにより、比較用電極7Cの表面が塩化物イオンによって局所的に腐蝕するのを抑制することができる。そのため、第1の電極3Cと比較用電極7Cとの電位差から電極が置かれた環境の中性化を検知することができる。
【0081】
このような比較用電極7C、第1の電極3Cおよび第2の電極4Cは、絶縁膜8Cにより覆われている。
絶縁膜8Cは、その厚さ方向に貫通する貫通孔82Cが形成されている。この絶縁膜8Cは、前述した第3実施形態の絶縁膜8Bと同様に構成することができる。
また、本実施形態では、絶縁膜8Cの比較用電極7C、第1の電極3Cおよび第2の電極4Cとは反対側の面、すなわち表面には、複数の凹部81が形成されている。これにより、コンクリート101中の骨材が比較用電極7C、第1の電極3C上または第2の電極4C上の絶縁膜8Cに接触しても、絶縁膜8Cと骨材との間に隙間を生じさせることができる。そのため、その隙間を通じてコンクリート101中の成分(水分やCaイオン等)を比較用電極7C、第1の電極3Cまたは第2の電極4Cに供給して、比較用電極7C、第1の電極3C上および第2の電極4C上の水分量の安定化を図ることができる。
この凹部81は、前述した凹部34、44、74に追従して形成されている。
この凹部81の平均径(平均幅)は、骨材サイズよりも小さく前述した空孔82の平均径よりも大きければ特に限定されない。
【0082】
本実施形態のセンサー装置1Cは、図15に示す差動増幅回路514Cを含む機能素子を有する。かかる機能素子は、第1の電極3Cと比較用電極7Cとの電位差を測定する機能を有する。これにより、測定対象部位の塩化物イオン濃度変化と測定対象部位のpH変化とを区別して、これらの双方を測定することができる。なお、かかる機能素子は、第2の電極4Cと比較用電極7Cとの電位差を測定するように構成されていてもよい。
【0083】
具体的に説明すると、差動増幅回路514Cは、図15に示すように、演算増幅器201、202と、演算増幅器203と、スイッチ204とを有する。
演算増幅器201は、第1の電極3Cの電位を検出する。また、演算増幅器202は、スイッチ204の切り換えに応じて比較用電極7Cまたは第2の電極4Cの電位を検出する。また、演算増幅器203は、演算増幅器201の出力電位と演算増幅器202の出力電位との差を検出する。すなわち、演算増幅器203は、スイッチ204の切り換えに応じて、第1の電極3Cと第2の電極4Cとの電位差、または、第1の電極3Cと比較用電極7Cとの電位差を検出する。
【0084】
ここで、第1の電極3Cと第2の電極4Cとの電位差に基づき、測定対象部位の塩化物イオン濃度変化を測定することができる。また、第1の電極3Cと比較用電極7Cとの電位差に基づき、測定対象部位のpH変化を測定することができる。
以上説明したような第4実施形態のセンサー装置1Cによっても、コンクリート構造物100のコンクリート101中の塩化物イオン濃度変化をコンクリート101のpH変化と区別して測定し、その測定情報をコンクリート構造物100の計画的な保全に活用することができる。
【0085】
以上、本発明のセンサー装置を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、本発明のセンサー装置では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
また、前述した実施形態では第1の電極および第2の電極がそれぞれ基板上に設けられた場合を例に説明したが、これに限定されず、例えば、第1の電極および第2の電極は、例えば、センサー装置の本体の封止樹脂で構成された部分の外表面上に設けてもよい。
【0086】
また、前述した実施形態では第1の電極および第2の電極がそれぞれ薄膜状をなす場合を例に説明したが、これに限定されず、第1の電極および第2の電極の形状は、それぞれ、例えば、ブロック状、線状等をなしていてもよい。また、前述した実施形態では第1の電極および第2の電極をそれぞれセンサー装置の本体の外表面に沿って設けているが、第1の電極および第2の電極をそれぞれセンサー装置の本体の外表面から突出させてもよい。また、第1の電極および第2の電極の設置位置、大きさ(大小関係)等についても、前述したような測定が可能であれば、前述した実施形態に限定されず、任意である。
【0087】
また、前述した実施形態では機能素子がCPU、A/D変換回路および差動増幅回路を有する場合を例に説明したが、これに限定されず、例えば、機能素子には、ROM、RAM、各種駆動回路等の他の回路が組み込まれていてもよい。
また、前述した実施形態では測定情報をアクティブタグ通信により無線送信によりセンサー装置外部へ送信する場合を例に説明したが、これに限定されず、例えば、パッシブタグ通信を用いて情報をセンサー装置の外部へ送信してもよいし、有線により情報をセンサー装置の外部へ送信してもよい。
【0088】
また、前述した実施形態では機能素子51、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56を本体2内に収納し、これらを第1の電極3および第2の電極4とともに測定対処物であるコンクリート構造物100内に埋設する場合を例に説明したが、機能素子51、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56を測定対象物の外部に設けてもよい。
また、前述した実施形態では、第1の電極の全体が多孔質体で構成されている場合を例に説明したが、第1の電極の少なくとも表面付近が多孔質体で構成されていればよい。
また、前述した実施形態では、第2の電極の全体が緻密体で構成されている場合を例に説明したが、第2の電極の少なくとも表面付近が緻密体で構成されていればよい。
【符号の説明】
【0089】
1‥‥センサー装置 1A、1B、1C‥‥センサー装置 2‥‥本体 2A、2B、2C‥‥本体 3、3a、3b、3c‥‥第1の電極 4、4B、4C‥‥第2の電極 7、7C‥‥比較用電極 8、8B、8C‥‥絶縁膜 21‥‥基板 23‥‥絶縁層 24‥‥封止部 25‥‥保護膜 31‥‥空孔 32‥‥多孔質体 33、43‥‥不動態膜 34、44‥‥凹部 42‥‥緻密体 4a、4b、4c‥‥第2の電極 51‥‥機能素子 52‥‥電源 53‥‥温度センサー 54‥‥通信用回路 55‥‥アンテナ 56‥‥発振器 61‥‥導体部 62‥‥導体部 74‥‥凹部 81‥‥凹部 81B、82C‥‥貫通孔 82‥‥空孔 83‥‥多孔質体 100‥‥コンクリート構造物 101‥‥コンクリート 102‥‥鉄筋 201、202、203‥‥演算増幅器 204‥‥スイッチ 241‥‥開口部 431‥‥欠損部 511‥‥CPU 512‥‥A/D変換回路 513‥‥基板 514、514C‥‥差動増幅回路 514a‥‥トランジスタ 514b‥‥トランジスタ 514c‥‥トランジスタ 514d‥‥カレントミラー回路 515a、515b‥‥層間絶縁膜 516a‥‥導体部 516b‥‥導体部 516c‥‥導体部 516d‥‥導体部 516e‥‥導体部 516f‥‥導体部 811‥‥第1の部分 812‥‥第2の部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも表面付近が多孔質体で構成された第1の電極と、
前記第1の電極に対して離間して設けられ、少なくとも表面付近が前記第1の電極と同種の材料からなる緻密体で構成された第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との電位差を測定する機能を有する機能素子とを有し、
前記機能素子で測定された電位差に基づいて、測定対象部位の状態を測定し得るように構成されたことを特徴とするセンサー装置。
【請求項2】
前記第1の電極および前記第2の電極は、それぞれ、前記測定対象部位の環境変化に伴って、表面に不動態膜を形成するか、または、表面に存在した不動態膜を消失させる金属材料で構成されている請求項1に記載のセンサー装置。
【請求項3】
前記金属材料は、鉄または鉄系合金である請求項2に記載のセンサー装置。
【請求項4】
前記第1の電極および前記第2の電極の双方を覆うように設けられ、厚さ方向に貫通する貫通孔または貫通溝を有する絶縁膜を有する請求項1ないし3のいずれかに記載のセンサー装置。
【請求項5】
前記絶縁膜は、連続空孔を有する多孔質体で構成され、前記連続空孔は、前記貫通孔の少なくとも一部を構成する請求項4に記載のセンサー装置。
【請求項6】
前記貫通孔または前記貫通溝は、エッチングによりパターンニングされたものである請求項4または5に記載のセンサー装置。
【請求項7】
前記絶縁膜は、耐アルカリ性を有する請求項4ないし6のいずれかに記載のセンサー装置。
【請求項8】
前記第1の電極および前記第2の電極に対してそれぞれ離間して設けられ、前記第1の電極および前記第2の電極とは異なる材料で構成された第3の電極を有し、
前記機能素子は、前記第1の電極または前記第2の電極と前記第3の電極との電位差を測定する機能をさらに有する請求項1ないし7のいずれかに記載のセンサー装置。
【請求項9】
前記第3の電極は、多孔質体で構成されている請求項8に記載のセンサー装置。
【請求項10】
前記機能素子は、前記第1の電極または前記第2の電極と前記第3の電極との電位差に基づいて、前記測定対象部位のpHが設定値以下か否かを検知する機能をも有する請求項8または9に記載のセンサー装置。
【請求項11】
前記機能素子は、前記第1の電極と前記第2の電極との電位差に基づいて、前記測定対象部位の塩化物イオン濃度が設定値以下か否かを検知する機能をも有する請求項1ないし10のいずれかに記載のセンサー装置。
【請求項12】
アンテナと、
前記アンテナに給電する機能を有する通信用回路とを有し、
前記機能素子は、前記通信用回路を駆動制御する機能をも有する請求項1ないし11のいずれかに記載のセンサー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−11500(P2013−11500A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143845(P2011−143845)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】