説明

センサー装置

【課題】コンクリートの品質劣化を防止しつつ、測定対象物の状態を測定し、その測定結果に基づく情報を鉄筋の腐食前の計画的または予防的な保全に活用することができるセンサー装置を提供すること。
【解決手段】本発明のセンサー装置1は、金属材料で構成された電気抵抗体3と、電気抵抗体3の表面の一部との間に隙間Gを形成して設けられた隙間形成体8と、電気抵抗体3の抵抗値を測定する機能を有する機能素子とを有し、機能素子で測定された抵抗値に基づいて、測定対象部位の状態を測定し得るように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
センサー装置としては、例えば、コンクリート中の鉄筋の腐食状態を測定するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
施工直後のコンクリート構造物中のコンクリートは、通常、強アルカリ性を呈する。そのため、施工直後のコンクリート構造物中の鉄筋は、その表面に不動態膜が形成されるため、安定である。しかし、施工後に酸性雨や排気ガス等の影響を受けたコンクリート構造物は、コンクリートが徐々に酸性化していくため、鉄筋が腐食することとなる。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1に係るセンサー装置では、コンクリート構造物中の鉄筋と同種材料からなる細線をコンクリート構造物中に埋設し、腐食による細線の断線の有無を検知することにより、コンクリート中の鉄筋の腐食状況を予測する。
特許文献1に係るセンサー装置では、細線が切断されたタイミングにより、コンクリート構造物中の鉄筋の腐食が始まった時期を知ることは可能である。しかし、特許文献1に係るセンサー装置では、細線が腐食し始めてから切断に至るまでの間に鉄筋の腐食が進行してしまい、鉄筋の腐食前に予防的または計画的な保全を行うことができないという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−153568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、コンクリートの品質劣化を防止しつつ、測定対象物の状態を測定し、その測定結果に基づく情報を鉄筋の腐食前の計画的または予防的な保全に活用することができるセンサー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のセンサー装置は、金属材料で構成された電気抵抗体と、
前記電気抵抗体の表面の一部との間に隙間を形成して配置された隙間形成体と、
前記電気抵抗体の抵抗値を測定する機能を有する機能素子とを有し、
前記機能素子で測定された抵抗値に基づいて、測定対象部位の状態を測定し得るように構成されたことを特徴とする。
このように構成されたセンサー装置によれば、電気抵抗体と隙間形成体との間に局所的な隙間が形成されているので、測定対象部位の塩化物イオン濃度が比較的低い状態であっても、電気抵抗体を隙間腐食により腐食させることができる。
そのため、測定対象部位の塩化物イオン濃度が比較的低い状態であっても、電気抵抗体の抵抗値が変化し、かかる変化に基づいて塩化物イオンの侵入を検知することができる。
【0007】
本発明のセンサー装置では、前記電気抵抗体および前記隙間形成体は、それぞれ、板状またはシート状をなし、互いに重ねて配置されていることが好ましい。
これにより、電気抵抗体の隙間腐食を生じさせ得る隙間を電気抵抗体と隙間形成体との間に簡単かつ確実に形成することができる。
本発明のセンサー装置では、前記電気抵抗体は、長尺状をなし、
前記隙間形成体は、前記電気抵抗体の長手方向での一部の表面との間に前記隙間を形成していることが好ましい。
これにより、電気抵抗体の隙間腐食を生じさせ得る隙間を電気抵抗体と隙間形成体との間に簡単かつ確実に形成することができる。
【0008】
本発明のセンサー装置では、前記電気抵抗体は、前記隙間形成体に覆われていない部分の表面積が前記隙間を介して前記隙間形成体に覆われている部分の表面積よりも大きいことが好ましい。
これにより、電気抵抗体の隙間腐食を促進することができる。
本発明のセンサー装置では、前記隙間形成体は、絶縁性材料で構成されていることが好ましい。
これにより、隙間形成体が電気抵抗体の一部として機能してしまうのを防止することができる。そのため、電気抵抗体および隙間形成体の設計が容易となる。
【0009】
本発明のセンサー装置では、前記隙間形成体は、前記電気抵抗体を構成する金属材料と同種の金属材料で構成されていることが好ましい。
これにより、隙間形成体と電気抵抗体とが接触しても、その接触による電気抵抗体の腐食を防止することができる。
本発明のセンサー装置では、前記隙間形成体は、耐アルカリ性を有する材料から構成されていることが好ましい。
これにより、測定対象部位がコンクリートである場合であっても、隙間形成体の耐久性を優れたものとすることができる。そのため、コンクリートの状態を長期に亘り安定して測定することができる。
【0010】
本発明のセンサー装置では、前記隙間における前記隙間形成体と前記電気抵抗体との間の距離は、1μm以上100μm以下であることが好ましい。
これにより、電気抵抗体の隙間腐食を生じさせることができる。
本発明のセンサー装置では、前記電気抵抗体を構成する前記金属材料は、前記測定対象部位の環境変化に伴って表面に不動態膜を形成するか、または、表面に存在した不動態膜を消失させる金属材料であることが好ましい。
これにより、測定対象部位のpHが所定値以上である場合に、電気抵抗体の表面に不動態膜が形成される。
【0011】
ここで、電気抵抗体に形成された不動態膜は、測定対象部位の塩化物イオン濃度が比較的低くても、電気抵抗体と隙間形成体との間の隙間に侵入した塩化物イオンによる局所的な破壊が一旦生じると、かかる隙間内において、電気抵抗体から溶出した金属イオン(プラスイオン)の濃度が増大し、それに伴って、塩化物イオン(マイナスイオン)の濃度が増大するため、不動態膜は再生されない。そのため、測定対象部位のpHが所定値以上である場合、測定対象部位のpHが変動しても、測定対象部位に塩化物イオンが存在しないときには、電気抵抗体が腐食せず、電気抵抗体の抵抗値は変化しないが、測定対象部位に塩化物イオンが侵入すると、電気抵抗体の隙間腐食が進行し、電気抵抗体の抵抗値が増加する。
このようなことから、電気抵抗体の抵抗値に基づいて、測定対象部位に塩化物イオンが侵入したことを高精度に検知することができる。
【0012】
本発明のセンサー装置では、前記電気抵抗体を構成する前記金属材料は、鉄、ニッケルまたはこれらを含む合金であることが好ましい。
これらの金属は比較的安価で入手が容易である。また、例えば、センサー装置をコンクリート構造物の状態測定に用いた場合、電気抵抗体をコンクリート構造物中の鉄筋と同一材料(または近似した材料)で構成することが可能であり、コンクリート構造物中の鉄筋の腐食状態を効果的に検知することができる。
【0013】
本発明のセンサー装置では、前記電気抵抗体に対して離間して設けられ、金属材料からなる多孔質体で構成された多孔質電気抵抗体を有し、
前記機能素子は、前記多孔質電気抵抗体の抵抗値を測定する機能をも有することが好ましい。
これにより、多孔質電気抵抗体および電気抵抗体が同一環境に設置されていても、多孔質電気抵抗体の塩化物イオンによる局所腐食の開始(すなわち電気抵抗増大の)タイミングを、電気抵抗体の塩化物イオンによる局所腐食の開始タイミングよりも遅らせることができる。
【0014】
また、多孔質電気抵抗体を構成する金属材料を電気抵抗体を構成する金属材料と同種とすることにより、多孔質電気抵抗体の酸性化または中性化による均一腐食の開始タイミングと、電気抵抗体の酸性化または中性化による均一腐食の開始タイミングとを一致または近似したものとすることができる。
このようなことから、測定対象部位の塩化物イオン濃度変化を測定対象部位のpH変化と区別して測定することができる。
【0015】
また、多孔質電気抵抗体の表面には腐食の生じやすい部分として微細な多数の凹部が均一に分散して形成される。そのため、多孔質電気抵抗体の表面は、塩化物イオンの存在下において、均一に腐食が生じ、局所的な腐食(孔食)が抑制される。
このようなことから、多孔質電気抵抗体の塩化物イオンによる腐食の速度を遅くすることができる。そのため、測定対象部位の塩化物イオン濃度の測定を長期にわたり行うことができる。
【0016】
本発明のセンサー装置では、前記電気抵抗体に対して離間して設けられ、金属材料からなる緻密質体で構成された緻密質電気抵抗体を有し、
前記機能素子は、前記緻密質電気抵抗体の抵抗値を測定する機能をも有することが好ましい。
これにより、多孔質電気抵抗体および電気抵抗体が同一環境に設置されていても、多孔質電気抵抗体の塩化物イオンによる局所腐食の開始タイミングを、電気抵抗体の塩化物イオンによる局所腐食の開始タイミングよりも遅らせることができる。
【0017】
また、多孔質電気抵抗体を構成する金属材料を電気抵抗体を構成する金属材料と同種とすることにより、多孔質電気抵抗体の酸性化または中性化による均一腐食の開始タイミングと、電気抵抗体の酸性化または中性化による均一腐食の開始タイミングとを一致または近似したものとすることができる。
このようなことから、測定対象部位の塩化物イオン濃度変化を測定対象部位のpH変化と区別して測定することができる。
【0018】
また、緻密質電気抵抗体の表面は、塩化物イオンの存在下において、最も腐食が生じやすい部分が最初に腐食し、その最初に腐食を生じた部位の腐食し易さが他の部分に比してさらに大きくなるため、局所的な腐食(孔食)が生じる。
このようなことから、電気抵抗体の隙間腐食の速度よりも遅いものの、多孔質電気抵抗体に比べて緻密質電気抵抗体の塩化物イオンによる局所腐食の速度を速くすることができる。そのため、測定対象部位の塩化物イオン濃度の測定を中期にわたり行うことができる。
【0019】
本発明のセンサー装置では、前記機能素子は、前記電気抵抗体の抵抗値に基づいて、前記測定対象部位のpHあるいは塩化物イオン濃度が設定値以下か否かを検知する機能をも有することが好ましい。
これにより、測定対象物のpH変化あるいは塩化物イオン濃度変化に伴う状態変化を検知することができる。
本発明のセンサー装置では、アンテナと、前記アンテナに給電する機能を有する通信用回路とを有し、
前記機能素子は、前記通信用回路を駆動制御する機能をも有することが好ましい。
これにより、無線により測定対象物の外部へ測定結果を送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係るセンサー装置の使用状態の一例を示す図である。
【図2】図1に示すセンサー装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示す電気抵抗体および機能素子を説明するための平面図である。
【図4】図2に示す電気抵抗体を説明するための断面図(図3中のA−A線断面図)である。
【図5】図2に示す電気抵抗体の塩化物イオンによる腐食を説明する模式図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るセンサー装置を示す平面図である。
【図7】図6に示す電気抵抗体を説明するための断面図(図6中のA−A線断面図)である。
【図8】本発明の第3実施形態に係るセンサー装置の使用状態の一例を示す図である。
【図9】図8に示すセンサー装置に備えられた電気抵抗体(多孔質電気抵抗体)を説明するための拡大断面図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係るセンサー装置の使用状態の一例を示す図である。
【図11】本発明の第5実施形態に係るセンサー装置を示す部分拡大斜視図である。
【図12】(a)は、図11に示すセンサー装置に備えられた電気抵抗体を示す平面図、(b)は、図11に示すセンサー装置に備えられた電気抵抗体を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明のセンサー装置の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るセンサー装置の使用状態の一例を示す図、図2は、図1に示すセンサー装置の概略構成を示すブロック図、図3は、図2に示す電気抵抗体および機能素子を説明するための平面図、図4は、図2に示す電気抵抗体を説明するための断面図(図3中のA−A線断面図)、図5は、図2に示す電気抵抗体の塩化物イオンによる腐食を説明する模式図である。
【0022】
なお、以下では、本発明のセンサー装置をコンクリート構造物の品質測定に用いる場合を例に説明する。
図1に示すセンサー装置1は、コンクリート構造物100の品質を測定するものである。
コンクリート構造物100は、コンクリート101内に複数の鉄筋102が埋設されている。そして、センサー装置1は、コンクリート構造物100のコンクリート101内の鉄筋102付近に埋設されている。なお、センサー装置1は、コンクリート構造物100の打設する際に、コンクリート101の打設前に鉄筋に固定して埋め込んでもよいし、打設後に硬化したコンクリート101に穿孔して埋め込んでもよい。
【0023】
このセンサー装置1は、本体2と、その本体2の表面に露出した電気抵抗体3、4とを有する。本実施形態では、電気抵抗体3(第1の電気抵抗体)および電気抵抗体4(第2の電気抵抗体)は、鉄筋102よりもコンクリート構造物100の外表面側において、コンクリート構造物100の外表面からの距離が互いに等しくなるように設置されている。また、電気抵抗体3および電気抵抗体4は、それぞれ、コンクリート構造物100の外表面に対して平行または略平行となるように設置されている。そして、電気抵抗体3および電気抵抗体4は、それぞれ、コンクリート101の測定対象部位の酸または塩化物イオンによって腐食し、切断するように構成されている。また、図1では説明の便宜上図示を省略しているが、センサー装置1は、電気抵抗体3の表面の一部との間に隙間を形成して設けられた隙間形成体8が設けられている(図3、4参照)。なお、電気抵抗体3、電気抵抗体4および隙間形成体8については、後に詳述する。
また、センサー装置1は、図2に示すように、電気抵抗体3および電気抵抗体4に電気的に接続された機能素子51と、電源52と、温度センサー53と、通信用回路54と、アンテナ55と、発振器56とを有し、これらが本体2内に収納されている。
【0024】
以下、センサー装置1を構成する各部を順次説明する。
(本体)
本体2は、電気抵抗体3、電気抵抗体4および機能素子51等を支持する機能を有する。
このような本体2は、図3および図4に示すように、電気抵抗体3、電気抵抗体4および機能素子51を支持する基板21を有する。なお、基板21は、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56をも支持するが、図3および図4では、説明の便宜上、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56の図示を省略している。
【0025】
この基板21は、絶縁性を有する。基板21としては、特に限定されず、例えば、アルミナ基板、樹脂基板等を用いることができる。
この基板21上には、例えばソルダーレジストのような絶縁性の樹脂組成物で構成された絶縁層23が設けられている。そして、この絶縁層23を介して基板21上には、電気抵抗体3、電気抵抗体4および機能素子51が実装されている。
【0026】
図3に示すように、機能素子51の導体部61、62(電極パッド)が配線71、72を介して電気抵抗体3の両端部に電気的に接続され、機能素子51の導体部63、64(電極パッド)が配線73、74を介して電気抵抗体4の両端部に電気的に接続されている。
また、本体2は、機能素子51、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56を収納する機能を有する。
【0027】
特に、本体2は、機能素子51、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56を液密的に収納するように構成されている。
具体的には、図3および図4に示すように、本体2は、封止部24を有する。この封止部24は、機能素子51、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56を封止する機能を有する。これにより、センサー装置1を水分やコンクリートの存在下に設置した場合に、機能素子51、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56の劣化を防止することができる。
【0028】
ここで、封止部24は、開口部241を有し、この開口部241から電気抵抗体3および電気抵抗体4の一部をそれぞれ露出させつつ、電気抵抗体3および電気抵抗体4以外の各部を覆うように設けられている。これにより、封止部24が電気抵抗体3および電気抵抗体4以外の各部の劣化を防止しつつ、センサー装置1が測定を行うことができる。なお、開口部241は、電気抵抗体3の少なくとも一部および電気抵抗体4の少なくとも一部を露出するように形成されていればよい。
【0029】
封止部24の構成材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂のような熱可塑性樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂のような熱硬化性樹脂等の各種樹脂材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、封止部24は、必要に応じて設ければよく、省略することもできる。
【0030】
(電気抵抗体)
電気抵抗体3および電気抵抗体4は、図4に示すように、それぞれ、前述した本体2の外表面上(より具体的には基板21上)に設けられている。特に、電気抵抗体3および電気抵抗体4は、同一平面上に設けられている。そのため、電気抵抗体3および電気抵抗体4の設置環境の差が生じるのを防止することができる。
【0031】
また、電気抵抗体3および電気抵抗体4は、互いに電位の影響を受けない程度(例えば数mm)に離間している。
この電気抵抗低3、4は、それぞれ、酸または塩化物イオンにより腐食するものである。そのため、電気抵抗体3、4は、酸または塩化物イオンの環境下で、腐食により切断される。
【0032】
また、電気抵抗体3、4の外形は、それぞれ、板状またはシート状をなしている。また、電気抵抗体3、4は、それぞれ、長尺状をなしている。すなわち、電気抵抗体3、4は、それぞれ、帯状をなしている。これにより、電気抵抗体3、4をそれぞれ腐食により切断され易くすることができる。
また、電気抵抗体3は、電気抵抗体4よりも長尺となっている。なお、電気抵抗体3、4の長さの関係は、これに限定されず、例えば、電気抵抗体4が電気抵抗体3よりも長尺であってもよいし、電気抵抗体の長さと電気抵抗体4の長さが等しくてもよい。
【0033】
このような電気抵抗体3(第1の電気抵抗体)の構成材料としては、酸または塩化物イオンの存在下で腐食するものであれば、特に限定されないが、測定対象部位の環境変化に伴って表面に不動態膜を形成するか、または、表面に存在した不動態膜を消失させる金属材料を用いるのが好ましい。
これにより、測定対象部位のpHが所定値以上である場合に、電気抵抗体3の表面に不動態膜が形成される。
【0034】
このような不動態膜(第1の不動態膜)を形成する金属材料(第1の金属材料)としては、例えば、Fe、Ni、Mg、Znまたはこれらを含む合金等が挙げられる。
例えば、Feは、pHが約9よりも大きいときに不動態膜を形成する。また、FeAl(Al0.8%)系炭素鋼は、pHが約4よりも大きいときに不動態膜を形成する。また、Niは、pHが8〜14であるときに不動態膜を形成する。また、Mgは、pHが10.5よりも大きいときに不動態膜を形成する。また、Znは、pHが6〜12であるときに不動態膜を形成する。
【0035】
また、例えば、炭素鋼(SD345)は、塩化物イオン濃度が約1.2kg/mを超えたときに不動態膜の破壊が始まる。
中でも、電気抵抗体3を構成する金属材料は、FeまたはFeを含む合金(Fe系合金)、すなわち鉄系材料(具体的には、炭素鋼、合金鋼、SUS等)、ニッケルまたはこれらを含む合金であるのが好ましい。これらの材料は安価で入手が容易である。また、本実施形態のように、センサー装置1をコンクリート構造物100の状態測定に用いた場合、電気抵抗体3の構成材料をコンクリート構造物100の鉄筋102と同一または近似の材料とすることが可能であり、鉄筋102の腐食環境状態を効果的に検知することができる。例えば、電気抵抗体3がFeで構成されている場合、pHが9以上か否かの判断ができる。
【0036】
また、電気抵抗体3は、前述したような第1の金属材料からなる緻密質体で構成されているのが好ましい。これにより、電気抵抗体3の後述する隙間腐食を生じさせやすくすることができる。
一方、電気抵抗体4(第2の電気抵抗体)の構成材料としては、電気抵抗体3の構成材料と同様、酸または塩化物イオンの存在下で腐食するものであれば、特に限定されないが、不動態膜(第2の不動態膜)を形成する金属材料(第2の金属材料)、例えば、Fe、Ni、Mg、Znまたはこれらを含む合金等を用いるのが好ましい。
【0037】
また、電気抵抗体4の構成材料は、前述した電気抵抗体3の構成材料と同じであっても異なっていてもよい。
また、電気抵抗体4は、電気抵抗体3の後述するような隙間腐食を生じないように設けられている。そのため、電気抵抗体3および電気抵抗体4が同一環境に設置されていても、電気抵抗体4の塩化物イオンによる腐食の開始タイミングを、電気抵抗体3の塩化物イオンによる腐食の開始タイミングよりも遅らせることができる。
【0038】
また、電気抵抗体4を構成する金属材料を電気抵抗体3を構成する金属材料と同種とすることにより、電気抵抗体4の酸性化または中性化による腐食の開始タイミングと、電気抵抗体3の酸性化または中性化による腐食の開始タイミングとを一致または近似したものとすることができる。
このようなことから、測定対象部位の塩化物イオン濃度変化を測定対象部位のpH変化と区別して測定することができる。
【0039】
また、電気抵抗体4は、金属材料で構成された緻密質体で構成されていてもよいし、金属材料で構成された多孔質体で構成されていてもよい。
電気抵抗体4が金属材料からなる多孔質体で構成された多孔質電気抵抗体である場合、電気抵抗体4の表面には腐食の生じやすい部分として微細な多数の凹部が均一に分散して形成される。そのため、電気抵抗体4の表面は、塩化物イオンの存在下において、均一に腐食が生じ、局所的な腐食(孔食)が抑制される。
このようなことから、電気抵抗体4の塩化物イオンによる腐食の速度を遅くすることができる。そのため、測定対象部位の塩化物イオン濃度の測定を長期にわたり行うことができる。
【0040】
一方、電気抵抗体4が金属材料からなる緻密質体で構成された緻密質電気抵抗体である場合、電気抵抗体4の表面は、塩化物イオンの存在下において、最も腐食が生じやすい部分が最初に腐食し、その最初に腐食を生じた部位の腐食し易さが他の部分に比してさらに大きくなるため、局所的な腐食(孔食)が生じる。
このようなことから、電気抵抗体3の隙間腐食の速度よりも遅いものの、電気抵抗体4の塩化物イオンによる腐食の速度を速くすることができる。そのため、測定対象部位の塩化物イオン濃度の測定を中期にわたり行うことができる。
【0041】
このような電気抵抗体3および電気抵抗体4は、それぞれ、特に限定されず、成膜法を用いて形成することができる。
また、電気抵抗体3、4の厚さは、それぞれ、特に限定されないが、腐食による電気抵抗の変化が大きく、コンクリート強度に影響を及ぼさないためには、10nm以上5mm以下であるのが好ましい。
【0042】
(隙間形成体)
隙間形成体8は、電気抵抗体3の表面の一部との間に隙間Gを形成して配置されている。この隙間Gは、電気抵抗体3の表面に対して局所的に形成されている。
このような隙間Gを形成することより、測定対象部位の塩化物イオン濃度が比較的低い状態であっても、電気抵抗体3を隙間腐食により腐食させることができる。
そのため、測定対象部位の塩化物イオン濃度が比較的低い状態であっても、電気抵抗体3の抵抗値が変化し、かかる変化に基づいて塩化物イオンの侵入を検知することができる。
【0043】
特に、電気抵抗体3が前述したような不動態膜を形成する金属材料で構成されている場合、電気抵抗体3に形成された不動態膜は、測定対象部位の塩化物イオン濃度が比較的低くても、電気抵抗体3と隙間形成体8との間の隙間Gに侵入した塩化物イオンによる局所的な破壊が一旦生じると、かかる隙間G内において、電気抵抗体3から溶出した金属イオン(プラスイオン)の濃度が増大し、それに伴って、塩化物イオン(マイナスイオン)の濃度が増大するため、再生されない。そのため、測定対象部位のpHが所定値以上である場合、測定対象部位のpHが変動しても、測定対象部位に塩化物イオンが存在しないときには、電気抵抗体3が腐食せず、電気抵抗体3の抵抗値は変化しないが、測定対象部位に塩化物イオンが侵入すると、電気抵抗体3の隙間腐食が進行し、電気抵抗体3の抵抗値が増加する。
【0044】
このようなことから、電気抵抗体3の抵抗値に基づいて、測定対象部位に塩化物イオンが侵入したことを高精度に検知することができる。
以下、図5に基づいて、隙間形成体8との間に隙間Gが形成された電気抵抗体3の塩化物イオンによる腐食(隙間腐食)についてより具体的に説明する。
電気抵抗体3が塩化物イオン(Cl)の存在下にあるとき、隙間G内に侵入した塩化物イオンにより、電気抵抗体3の表面に形成された不動態膜の局所的な破壊が一旦生じると、電気抵抗体3を構成する第1の金属材料が金属イオン(Mn+)として隙間G内に溶出する。
【0045】
例えば、第1の金属材料が純鉄(Fe)である場合、
Fe→Fe2++2e
の反応により、隙間G内に金属イオンとしてFe2+が溶出する。
このように隙間G内に溶出した金属イオンは、拡散速度が遅く、隙間G内に滞留する。これにより、隙間G内での金属イオンの濃度が増加する。
【0046】
すると、隙間G内での電気的中性を保つように、隙間G外から隙間G内へ塩化物イオンが泳動し、塩化物イオンが隙間G内に集中する。これにより、隙間G内での塩化物イオンの濃度も増加する。
そのため、隙間G外における塩化物イオンの濃度に比し、隙間G内における塩化物イオンの濃度が高くなる。
【0047】
また、隙間G内では、金属イオンと塩化物イオンと水との反応により、水素イオンが発生し、隙間G内の水素イオン濃度が増加、すなわち隙間G内のpHが低下する。
例えば、第1の金属材料が純鉄(Fe)である場合、
Fe2++2Cl→FeCl
FeCl+2HO→Fe(OH)+HCl
の反応により、隙間G内の水素イオンの濃度が増加する。
【0048】
そのため、隙間G外における水素イオンの濃度に比し、隙間G内における水素イオンの濃度が高くなる。
以上のようなことから、隙間G外における塩化物イオンおよび水素イオンの濃度が比較的少なくても、隙間G内の塩化物イオン濃度および水素イオン濃度が高まり、電気抵抗体3の隙間腐食が進行することとなる。
ここで、電気抵抗体3の表面は、隙間腐食が生じる部分がアノード領域となり、隙間Gの外側に露出した部分がカソード領域となる。
【0049】
例えば、第1の金属材料が純鉄(Fe)である場合、
電気抵抗体3のアノード領域では、Fe→Fe2++2eのアノード反応が生じ、
電気抵抗体3のカソード領域では、1/2O+HO+2e→2OH−のカソード反応が生じる。
このようなカソード反応は、電気抵抗体3のカソード領域を大きくすることにより、アノード反応が促進される。そのため、電気抵抗体3の表面の隙間Gの外側に露出した部分の面積を大きくすることにより、測定対象部位の塩化物イオン濃度がより低い状態においても、電気抵抗体3の隙間腐食が生じるため、測定対象部位への塩化物イオンの侵入をより高感度に検知することができる。
【0050】
本実施形態では、隙間形成体8は、電気抵抗体3の長手方向での一部の表面との間に間隔Gを形成している。このように隙間形成体8を構成することにより、電気抵抗体3の隙間腐食を生じさせ得る隙間Gを電気抵抗体3と隙間形成体8との間に簡単かつ確実に形成することができる。
このような隙間形成体8は、例えば、電気抵抗体3上にアルミニウムのような金属を電解メッキにより成膜して犠牲層を形成した後、その犠牲層上に隙間形成体8を公知の成膜法により形成し、犠牲層を強アルカリ液により溶解して除去することにより形成することができる。
【0051】
このような隙間形成体8の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、絶縁材材料、または、電気抵抗体3を構成する第1の金属材料と同種の金属材料を用いるのが好ましい。
隙間形成体8が絶縁性材料で構成されている場合、隙間形成体8が電気抵抗体3の一部として機能してしまうのを防止することができる。そのため、電気抵抗体3および隙間形成体8の設計が容易となる。
【0052】
かかる絶縁性材料としては、特に限定されないが、例えば、SiO、Si等の絶縁性セラミックス材料、PSF(ポリサルフォン)、PAI(プリアミドイミド)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等の樹脂材料等が挙げられ、中でも、本実施形態では、前述したような犠牲層の除去に用いる強アルカリ液に耐え得るものが好ましい。
また、隙間形成体8が電気抵抗体3を構成する金属材料と同種の金属材料で構成されている場合、隙間形成体8と電気抵抗体3とが接触しても、その接触による電気抵抗体3の腐食を防止することができる。
【0053】
また、隙間形成体8は、耐アルカリ性を有する材料から構成されているのが好ましい。これにより、測定対象部位がコンクリートである場合であっても、隙間形成体8の耐久性を優れたものとすることができる。そのため、コンクリートの状態を長期に亘り安定して測定することができる。
また、隙間Gにおける隙間形成体8と電気抵抗体3との間の距離(電気抵抗体3の厚さ方向での距離)は、1μm以上100μm以下であるのが好ましく、10μm以上80μm以下であるのがより好ましく、20μm以上60μm以下であるのがさらに好ましい。これにより、電気抵抗体3の隙間腐食を生じさせることができる。
【0054】
(機能素子)
機能素子51は、前述した本体2の内部に埋設されている。なお、機能素子51は、前述した本体2の基板21に対して電気抵抗体3および電気抵抗体4とは、同一面に設けても、反対側に設けても良い。
この機能素子51は、電気抵抗体3および電気抵抗体4の抵抗値をそれぞれ測定する機能を有する。これにより、電気抵抗体3、4の抵抗値に基づいて、測定対象部位の状態を測定することができる。
【0055】
また、機能素子51は、電気抵抗体3および電気抵抗体4の抵抗値に基づいて、測定対象物であるコンクリート構造物100の測定対象部位のpHあるいは塩化物イオン濃度が設定値以下か否かを検知する機能をも有する。これにより、コンクリート構造物100のpH変化あるいは塩化物イオン濃度変化に伴う状態変化を検知することができる。
このような機能素子51は、例えば、集積回路である。より具体的には、機能素子51は、例えば、MCU(マイクロコントロールユニット)であり、図2に示すように、CPU511と、A/D変換回路512と、測定回路514とを有する。
【0056】
また、機能素子51は、電源52からの通電により作動する。電源52は、機能素子51を動作可能な電力を供給できるものであれば、特に限定されず、例えば、ボタン型電池のような電池であってもよいし、圧電素子のような発電機能を有する素子を用いた電源ものであってもよい。
また、機能素子51は、温度センサー53の検知温度情報を取得し得るように構成されている。これにより、測定対象部位の温度に関する情報も得ることができる。このような温度に関する情報を用いることにより、測定対象部位の状態をより正確に測定したり、測定対象部位の変化を高精度に予想したりすることができる。
【0057】
温度センサー53は、測定対象物であるコンクリート構造物100の測定対象部位の温度を検知する機能を有する。このような温度センサー53としては、特に限定されず、例えば、サーミスター、熱電対等の公知の様々な種類の温度センサーを用いることができる。
また、機能素子51は、通信用回路54を駆動制御する機能をも有する。例えば、機能素子51は、電気抵抗体3、4の抵抗値に関する情報(以下、単に「抵抗値情報」ともいう)と、測定対象部位のpHあるいは塩化物イオン濃度が設定値以下か否かに関する情報(以下、単に「pH情報」ともいう)とをそれぞれ通信用回路54に入力する。また、機能素子51は、温度センサー53によって検知された温度に関する情報(以下、単に「温度情報」ともいう)も併せて通信用回路54に入力する。
【0058】
通信用回路54は、アンテナ55に給電する機能(送信機能)を有する。これにより、通信用回路54は、入力された情報をアンテナ55を介して無線送信することができる。送信された情報は、コンクリート構造物100の外部に設けられた受信機(リーダー)で受信される。
この通信用回路54は、例えば、電磁波を送信するための送信回路、信号を変調する機能を有する変調回路等を有する。なお、通信用回路54は、信号の周波数を小さく変換する機能を有するダウンコンバータ回路、信号の周波数を大きく変換する機能を有するアップコンバータ回路、信号を増幅する機能を有する増幅回路、電磁波を受信するための受信回路、信号を復調する機能を有する復調回路等を有していてもよい。
【0059】
また、アンテナ55は、特に限定されないが、例えば、金属材料、カーボン等で構成され、巻線、薄膜等の形態をなす。
また、機能素子51は、発振器56からのクロック信号を取得し得るように構成されている。これにより、各回路の同期をとったり、各種情報に時刻情報を付加したりすることができる。
【0060】
発振器56は、特に限定されないが、例えば、水晶振動子を利用した発振回路で構成されている。
以上説明したように構成されたセンサー装置1を用いた測定方法は、電気抵抗体3および電気抵抗体4を測定対象物であるコンクリート構造物100内にそれぞれ埋設し、電気抵抗体3、4の抵抗値に基づいて、コンクリート構造物100の状態を測定する。
【0061】
以下、電気抵抗体3、4がFe(炭素鋼)で構成されている場合を一例として、センサー装置1の作用を説明する。
打設直後のコンクリート構造物100において、通常、適切に打設されていれば、コンクリート101は強アルカリ性を呈する。そのため、このとき、電気抵抗体3および電気抵抗体4は、それぞれ、安定な不動態膜を形成する。
その後、コンクリート構造物100は、二酸化炭素、酸性雨、排気ガス等の影響により、コンクリート101のpHが徐々に酸性側に変化していく。
【0062】
コンクリート101のpHが9程度にまで下がる前に、コンクリート構造物100のコンクリート101の測定対象部位に塩化物イオンが侵入すると、その塩化物イオン濃度が炭素鋼を腐食させる限界濃度(約1.2kg/m)に達するまでの間、電気抵抗体4に形成された不動態膜は、塩化物イオンの存在下においても、腐食せず、電気抵抗体4の抵抗値がほとんど変化せず低い状態に維持される。一方、電気抵抗体3に形成された不動態膜は、測定対象部位の塩化物イオン濃度が炭素鋼を腐食させる限界濃度に達していなくても(約0.1kg/m程度であっても)、塩化物イオンの存在下において、隙間Gにより隙間腐食が生じ、電気抵抗体3の抵抗値が大きくなる。
【0063】
そして、測定対象部位の塩化物イオン濃度が炭素鋼を腐食させる限界濃度に達すると、電気抵抗体4も腐食し、電気抵抗体4の抵抗値が大きくなる。
このような電気抵抗体3、4の抵抗値に基づいて、測定対象部位への塩化物イオンの侵入を段階的に検知することができる。
また、コンクリート構造物100のコンクリート101の測定対象部位に塩化物イオンが侵入していなくても、コンクリート101のpHが9程度にまで下がると、電気抵抗体3、4がともに腐食し、電気抵抗体3、4の抵抗値がともに大きくなる。
【0064】
このような電気抵抗体3、4の抵抗値に基づいて、測定対象部位のpHが9程度になったことを検知することができる。
このような検知結果を利用することにより、コンクリート構造物100の打設後の品質の経時変化をモニタリングすることができる。そのため、鉄筋102が腐食する前に、コンクリート101の劣化(中性化や塩分侵入)を把握することができる。これにより、鉄筋102が腐食する前に、コンクリート構造物100に塗装や防腐剤混入モルタル等による補修工事を行うことが可能となる。
【0065】
また、コンクリート構造物100の打設時に異常があった否かを判断することもできる。そのため、コンクリート構造物100の初期トラブルを防止し、コンクリート構造物100の品質を向上させることができる。
以上説明したように第1実施形態のセンサー装置1によれば、電気抵抗体3と隙間形成体8との間に局所的な隙間Gが形成されているので、測定対象部位の塩化物イオン濃度が比較的低い状態であっても、電気抵抗体3を隙間腐食により腐食させることができる。
【0066】
そのため、測定対象部位の塩化物イオン濃度が比較的低い状態であっても、電気抵抗体3の抵抗値が変化し、かかる変化に基づいて塩化物イオンの侵入を検知することができる。
また、本実施形態では、隙間腐食を生じない電気抵抗体4が電気抵抗体3とは別体として設けられているので、測定対象部位の塩化物イオン濃度変化を測定対象部位のpH変化と区別して測定することができる。
【0067】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
図6は、本発明の第2実施形態に係るセンサー装置を示す平面図、図7は、図6に示す電気抵抗体を説明するための断面図(図6中のA−A線断面図)である。
以下、第2実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0068】
第2実施形態のセンサー装置は、電気抵抗体の形状および数が異なるとともに、隙間形成体の構成が異なる以外は、第1実施形態のセンサー装置とほぼ同様である。なお、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
図6に示すセンサー装置1Aは、本体2上に設けられた電気抵抗体3Aと、電気抵抗体3Aの表面に一部との間に隙間Gを形成して設けられた隙間形成体8Aとを有する。
【0069】
電気抵抗体3Aは、互いに離間した2つの第1の部分31、32と、この2つの第1の部分31、32間に形成された第2の部分33とから構成されている。
第1の部分31、32は、それぞれ、平面視にて四角形をなしている。
そして、第2の部分33は、第1の部分31と第1の部分32とを連結している。本実施形態では、第2の部分33は、長尺状をなし、その一端が第1の部分31に接続され、他端が第1の部分32に接続されている。
【0070】
この第2の部分33の平面視での面積は、第1の部分31の平面視での面積、および、第1の部分32の平面視での面積よりも小さくなっている。すなわち、第1の部分31の平面視での面積、および、第1の部分32の平面視での面積は、それぞれ、第2の部分33の平面視での面積よりも大きくなっている。これにより、電気抵抗体3Aの隙間腐食時にカソード反応を生じる部分の表面積を大きくすることができる。また、電気抵抗体3Aの隙間腐食時にアノード反応を生じる部分の横断面(電流が流れる方向に直交する断面)の面積を小さくし、電気抵抗体3Aが隙間腐食により切断されやすくすることができる。
【0071】
隙間形成体8Aは、前述した電気抵抗体3Aの第2の部分33の両側面との間に隙間Gを形成して設けられている。本実施形態では、隙間形成体8は、図7に示すように、シート状または板状をなし、基板21上に設けられている。
このような隙間形成体8Aは、公知の成膜法により形成することができる。
このようなセンサー装置1Aによれば、電気抵抗体3Aの第2の部分33を隙間腐食させることができる。
【0072】
特に、電気抵抗体3Aは、隙間G外に露出する部分の表面積が隙間G内に露出する部分の表面積よりも大きい。すなわち、電気抵抗体3Aは、隙間形成体8Aに覆われていない部分の表面積が隙間Gを介して隙間形成体8Aに覆われている部分の表面積よりも大きい。これにより、電気抵抗体3Aの隙間腐食を促進することができる。
以上説明したような第2実施形態に係るセンサー装置1Aによっても、コンクリート101の品質劣化を防止しつつ、測定対象物の状態を測定し、その測定結果に基づく情報を鉄筋102の腐食前の計画的または予防的な保全に活用することができる
【0073】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態を説明する。
図8は、本発明の第3実施形態に係るセンサー装置の使用状態の一例を示す図、図9は、図8に示すセンサー装置に備えられた電気抵抗体(多孔質電気抵抗体)を説明するための拡大断面図である。
【0074】
以下、第3実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第3実施形態のセンサー装置は、電気抵抗体の数が異なる以外は、第1実施形態のセンサー装置とほぼ同様である。なお、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
【0075】
図8に示すセンサー装置1Bは、本体2B上に設けられた電気抵抗体3、4、9を有する。
本実施形態では、電気抵抗体3、4、9は、コンクリート構造物100の外表面からの距離が、コンクリート構造物100の外表面と鉄筋102との間に距離(すなわち鉄筋102のかぶり深さ)とほぼ等しくなるように設置されている。
【0076】
電気抵抗体3、4は、前述した第1実施形態の電気抵抗体3、4と同様に構成されている。なお、図8では図示しないが、センサー装置1Bは、電気抵抗体3の表面の一部に隙間を形成して設けられた隙間形成体を有する。また、電気抵抗体4は、隙間腐食を生じないように設けられている。
本実施形態では、電気抵抗体4は、金属材料からなる緻密質体で構成されている。
【0077】
また、電気抵抗体9は、電気抵抗体3、4に対して離間して設けられている。そして、電気抵抗体9は、金属材料からなる多孔質体で構成された多孔質電気抵抗体である以外は、電気抵抗体4と同様に構成されている。
具体的には、図9に示すように、電気抵抗体9は、複数の空孔91を有する多孔質体92で構成されている。
【0078】
また、複数の空孔91の平均径は、特に限定されないが、例えば、2nm以上50nm以下であるのが好ましい。すなわち、空孔91は、それぞれ、メソ孔であるのが好ましい。
さらに、電気抵抗体9の空孔率は、特に限定されないが、例えば、10%以上90%以下であるのが好ましい。
【0079】
このような電気抵抗体4、9は、電気抵抗体3と同一環境に設置されていても、電気抵抗体4、9の塩化物イオンによる局所腐食の開始タイミングを、電気抵抗体3の塩化物イオンによる局所腐食の開始タイミングよりも遅らせることができる。
また、電気抵抗体4、9を構成する金属材料を電気抵抗体3を構成する金属材料と同種とすることにより、電気抵抗体4、9の酸性化または中性化による均一腐食の開始タイミングと、電気抵抗体3の酸性化または中性化による均一腐食の開始タイミングとを一致または近似したものとすることができる。
【0080】
このようなことから、測定対象部位の塩化物イオン濃度変化を測定対象部位のpH変化と区別して測定することができる。
また、電気抵抗体9が金属材料からなる多孔質体で構成されているので、電気抵抗体9の表面には腐食の生じやすい部分として微細な多数の凹部が均一に分散して形成される。そのため、塩化物イオンも局所的に一点に集まることなく分散される。従って、電気抵抗体9の表面は、塩化物イオンの存在下において、均一に腐食が生じ、局所的な腐食(孔食)が抑制される。
【0081】
このようなことから、電気抵抗体9の塩化物イオンによる腐食の速度を遅くすることができる。そのため、測定対象部位の塩化物イオン濃度の測定を長期にわたり行うことができる。
一方、電気抵抗体4が金属材料からなる緻密質体で構成されているので、電気抵抗体4の表面は、塩化物イオンの存在下において、最も腐食が生じやすい部分が最初に腐食し、その最初に腐食を生じた部位の腐食し易さが他の部分に比してさらに大きくなるため、局所的な腐食(孔食)が生じる。
【0082】
このようなことから、電気抵抗体3の隙間腐食の速度よりも遅いものの、電気抵抗体4の塩化物イオンによる腐食の速度を、電気抵抗体9の塩化物イオンによる腐蝕の速度よりも速くすることができる。そのため、測定対象部位の塩化物イオン濃度の測定を中期にわたり行うことができる。
以上説明したような第3実施形態に係るセンサー装置1Bによっても、コンクリート101の品質劣化を防止しつつ、測定対象物の状態を測定し、その測定結果に基づく情報を鉄筋102の腐食前の計画的または予防的な保全に活用することができる
【0083】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態を説明する。
図10は、本発明の第4実施形態に係るセンサー装置の使用状態の一例を示す図である。
以下、第4実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0084】
第4実施形態のセンサー装置は、使用状態が異なる以外は、第3実施形態のセンサー装置とほぼ同様である。なお、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
図10に示すセンサー装置1Cは、複数の電気抵抗体3、4、9は、コンクリート構造物100の外表面からの距離が互いに異なる。具体的には、コンクリート構造物100の外表面側から内側へ、複数の電気抵抗体3、4、9がこの順に並んで設けられている。コンクリート構造物100の中性化(や塩害)の深さ方向への侵入予測を効果的に行うことができる。
以上説明したような第4実施形態に係るセンサー装置1Cによっても、コンクリート101の品質劣化を防止しつつ、測定対象物の状態を測定し、その測定結果に基づく情報を鉄筋102の腐食前の計画的または予防的な保全に活用することができる
【0085】
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態を説明する。
図11は、本発明の第5実施形態に係るセンサー装置を示す部分拡大斜視図、図12(a)は、図11に示すセンサー装置に備えられた電気抵抗体を示す平面図、図12(b)は、図11に示すセンサー装置に備えられた電気抵抗体を示す側面図である。
【0086】
以下、第5実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第5実施形態のセンサー装置は、隙間腐食を生じさせるための電気抵抗体および隙間形成体の構成が異なる以外は、第1実施形態のセンサー装置とほぼ同様である。
図11に示すセンサー装置1Dは、本体2Dと、その本体2D状に設けられた電気抵抗体3Dと、この電気抵抗体3Dの表面の一部との間に隙間Gを形成して設けられた隙間形成体8Dとを有する。
【0087】
本実施形態では、電気抵抗体3Dおよび隙間形成体8Dは、それぞれ、板状またはシート状をなし、互いに重ねて配置されている。これにより、電気抵抗体3Dの隙間腐食を生じさせ得る隙間Gを電気抵抗体3Dと隙間形成体8Dとの間に簡単かつ確実に形成することができる。
より具体的に説明すると、電気抵抗体3Dおよび隙間形成体8Dは、互いに重ねられた状態で隙間形成体8Dが電気抵抗体3Dに対して固定部材11により固定されている。
【0088】
固定部材11は、ボルト111と、ワッシャー112、113と、ナット114とを有している。
そして、電気抵抗体3Dおよび隙間形成体8Dは、互いに重ねられた状態にて、双方を貫通する貫通孔(図示せず)が形成されており、その貫通孔に一方側からワッシャー112を介してボルト111を挿通し、他方側からワッシャー113を介してボルト111にナット114を螺合させることにより、隙間形成体8Dが電気抵抗体3Dに対して固定部材11により固定されている。
【0089】
このようなボルト111およびナット114は、隙間形成体8Dを局所的に電気抵抗体3Dに対して圧着させるので、隙間形成体8Dの圧着された部部分以外の部分が電気抵抗体3Dに対して若干浮き上がり、隙間Gが形成される。なお、ワッシャー112、113は、省略してもよい。
この隙間Gにおける電気抵抗体3Dと隙間形成体8Dとの間の距離は、ボルト111およびナット114の締付トルクに応じて調整することができる。なお、かかる距離は、前述した第1実施形態における隙間Gにおける電気抵抗体3と隙間形成体8との間の距離と同様の大きさ、すなわち、電気抵抗体3Dの隙間腐食を生じ得る大きさに設定すればよい。
【0090】
また、隙間形成体8Dの電気抵抗体3D側の面には、隙間Gの大きさに応じた微小な突起が形成されていてもよい。この場合、ボルト111およびナット114の締付トルクによらず、隙間Gの大きさを所望の大きさに規定することができる。
ボルト111、ワッシャー112、113およびナット113の構成材料としては、それぞれ、特に限定されないが、絶縁性材料、電気抵抗体3Dと同種の金属材料を用いるのが好ましい。
【0091】
また、本実施形態では、電気抵抗体3Dの中央部には、貫通孔34が形成されている。これにより、電気抵抗体3Dは、2つの第1の部分31D、32Dと、この2つの第1の部分31D、32D間に設けられた2つの第2の部分33Dとで構成されている。
この各第2の部分33Dの平面視での面積は、第1の部分31Dの平面視での面積、および、第1の部分32Dの平面視での面積よりも小さくなっている。
【0092】
このような隙間形成体8Dは、前述した電気抵抗体3Dの各第2の部分33Dの上面との間に隙間Gを形成して設けられている。これにより、電気抵抗体3Dの各第2の部分33Dを隙間腐食させることができる。
以上説明したような第5実施形態に係るセンサー装置1Dによっても、コンクリート101の品質劣化を防止しつつ、測定対象物の状態を測定し、その測定結果に基づく情報を鉄筋102の腐食前の計画的または予防的な保全に活用することができる
以上、本発明のセンサー装置を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0093】
例えば、本発明のセンサー装置では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。また、例えば、本発明の測定方法では、任意の目的の工程が1または2以上追加されてもよい。
また、前述した実施形態では電気抵抗体がそれぞれ基板上に設けられた場合を例に説明したが、これに限定されず、例えば、電気抵抗体は、例えば、センサー装置の本体の封止樹脂で構成された部分の外表面上に設けてもよい。
【0094】
また、電気抵抗体の設置位置、大きさ(大小関係)、数等についても、前述したような測定が可能であれば、前述した実施形態に限定されず、任意である。
また、前述した実施形態では機能素子がCPU、A/D変換回路および測定回路を有する場合を例に説明したが、これに限定されず、例えば、機能素子には、ROM、RAM、各種駆動回路等の他の回路が組み込まれていてもよい。
【0095】
また、前述した実施形態では電気抵抗体の抵抗値に関する情報をアクティブタグ通信により無線送信によりセンサー装置外部へ送信する場合を例に説明したが、これに限定されず、例えば、パッシブタグ通信を用いて情報をセンサー装置の外部へ送信してもよいし、有線により情報をセンサー装置の外部へ送信してもよい。
また、前述した実施形態では機能素子51、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56を本体2内に収納し、これらを電気抵抗体3および電気抵抗体4とともに測定対処物であるコンクリート構造物100内に埋設する場合を例に説明したが、機能素子51、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56を測定対象物の外部に設けてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1‥‥センサー装置 1A‥‥センサー装置 1B、1C、1D‥‥センサー装置 11‥‥固定部材 2‥‥本体 2A、2B、2D‥‥本体 21、21A‥‥基板 22a‥‥導体部 22b‥‥導体部 22c‥‥導体部 23、23A‥‥絶縁層 24、24A‥‥封止部 25‥‥保護膜 3、3A、3D‥‥電気抵抗体 31、32、31D、32D‥‥第1の部分 33、33D‥‥第2の部分 34‥‥貫通孔 4、4A‥‥電気抵抗体 41、41A‥‥空孔 51‥‥機能素子 52‥‥電源 53‥‥温度センサー 54‥‥通信用回路 55‥‥アンテナ 56‥‥発振器 61、61A‥‥導体部 62、62A‥‥導体部 63、63A‥‥導体部 64、64A‥‥導体部 71、72、73、74、75、76、71A、72A、73A、74A‥‥配線 8、81、82、83‥‥電気抵抗体 8A、8D‥‥隙間形成体 8c‥‥電気抵抗体 9‥‥電気抵抗体 91‥‥空孔 92‥‥多孔質体 100‥‥コンクリート構造物 101‥‥コンクリート 102‥‥鉄筋 111‥‥ボルト 112、113‥‥ワッシャー 114‥‥ナット 241‥‥開口部 511‥‥CPU 512‥‥A/D変換回路 513‥‥基板 514‥‥測定回路 G‥‥隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属材料で構成された電気抵抗体と、
前記電気抵抗体の表面の一部との間に隙間を形成して配置された隙間形成体と、
前記電気抵抗体の抵抗値を測定する機能を有する機能素子とを有し、
前記機能素子で測定された抵抗値に基づいて、測定対象部位の状態を測定し得るように構成されたことを特徴とするセンサー装置。
【請求項2】
前記電気抵抗体および前記隙間形成体は、それぞれ、板状またはシート状をなし、互いに重ねて配置されている請求項1に記載のセンサー装置。
【請求項3】
前記電気抵抗体は、長尺状をなし、
前記隙間形成体は、前記電気抵抗体の長手方向での一部の表面との間に前記隙間を形成している請求項1に記載のセンサー装置。
【請求項4】
前記電気抵抗体は、前記隙間形成体に覆われていない部分の表面積が前記隙間を介して前記隙間形成体に覆われている部分の表面積よりも大きい請求項1ないし3のいずれかに記載のセンサー装置。
【請求項5】
前記隙間形成体は、絶縁性材料で構成されている請求項1ないし4のいずれかに記載のセンサー装置。
【請求項6】
前記隙間形成体は、前記電気抵抗体を構成する金属材料と同種の金属材料で構成されている請求項1ないし4のいずれかに記載のセンサー装置。
【請求項7】
前記隙間形成体は、耐アルカリ性を有する材料から構成されている請求項1ないし6のいずれかに記載のセンサー装置。
【請求項8】
前記隙間における前記隙間形成体と前記電気抵抗体との間の距離は、1μm以上100μm以下である請求項1ないし7のいずれかに記載のセンサー装置。
【請求項9】
前記電気抵抗体を構成する前記金属材料は、前記測定対象部位の環境変化に伴って表面に不動態膜を形成するか、または、表面に存在した不動態膜を消失させる金属材料である請求項1ないし8のいずれかに記載のセンサー装置。
【請求項10】
前記電気抵抗体を構成する前記金属材料は、鉄、ニッケルまたはこれらを含む合金である請求項9に記載のセンサー装置。
【請求項11】
前記電気抵抗体に対して離間して設けられ、金属材料からなる多孔質体で構成された多孔質電気抵抗体を有し、
前記機能素子は、前記多孔質電気抵抗体の抵抗値を測定する機能をも有する請求項1ないし10のいずれかに記載のセンサー装置。
【請求項12】
前記電気抵抗体に対して離間して設けられ、金属材料からなる緻密質体で構成された緻密質電気抵抗体を有し、
前記機能素子は、前記緻密質電気抵抗体の抵抗値を測定する機能をも有する請求項1ないし11のいずれかに記載のセンサー装置。
【請求項13】
前記機能素子は、前記電気抵抗体の抵抗値に基づいて、前記測定対象部位のpHあるいは塩化物イオン濃度が設定値以下か否かを検知する機能をも有する請求項1ないし12のいずれかに記載のセンサー装置。
【請求項14】
アンテナと、前記アンテナに給電する機能を有する通信用回路とを有し、
前記機能素子は、前記通信用回路を駆動制御する機能をも有する請求項1ないし13のいずれかに記載のセンサー装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2013−19827(P2013−19827A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154507(P2011−154507)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】