センサ及びセンサ装置
【課題】色素の色変化によって検出対象物質の検出が判定可能なセンサ及び当該センサを備えるセンサ装置において、安定性の向上を図る。
【解決手段】複数の細孔を有する色素固定化用担体と、当該細孔の内部に固定化され、検出対象物質の検出に応じて色変化を生じる色素と、を備える色素複合体322を有するセンシング部32を備え、色素固定化用担体が有する細孔のサイズは、色素のサイズの0.5〜2.0倍であることを特徴とする。
【解決手段】複数の細孔を有する色素固定化用担体と、当該細孔の内部に固定化され、検出対象物質の検出に応じて色変化を生じる色素と、を備える色素複合体322を有するセンシング部32を備え、色素固定化用担体が有する細孔のサイズは、色素のサイズの0.5〜2.0倍であることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ及び当該センサを備えるセンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特定の物質を検出するためのセンサとして、当該検出に伴い色変化を生じるセンサが知られている。
具体的には、例えば、イオンを含む試料のイオン濃度を検出するイオンセンサであって、骨格材料のメソポーラスシリカに色素分子を保持させて複合化したイオンセンサ(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−327887公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、色素は酸化し易い。したがって、特許文献1記載のセンサ(イオンセンサ)のような、色素の色変化によって検出対象物質の検出が判定可能なセンサは安定性に欠けるため、再現性が悪い、寿命が短い等の問題がある。
【0005】
本発明の課題は、色素の色変化によって検出対象物質の検出が判定可能なセンサ及び当該センサを備えるセンサ装置において、安定性の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
検出対象物質を検出するセンサにおいて、
複数の細孔を有する色素固定化用担体と、当該細孔の内部に固定化され、前記検出対象物質の検出に応じて色変化を生じる色素と、を備える色素複合体を有するセンシング部を備え、
前記色素固定化用担体が有する細孔のサイズは、前記色素のサイズの0.5〜2.0倍であることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載のセンサにおいて、
前記センシング部は、前記検出対象物質と選択的に反応する反応物質を備え、
前記色素は、前記検出対象物質と前記反応物質との反応に基づいて色変化を生じることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、
請求項2に記載のセンサにおいて、
前記センシング部は、複数の細孔を有する反応物質固定化用担体を備え、
前記反応物質は、生体物質であり、前記反応物質固定化用担体が有する細孔の内部に固定化された状態で、前記センシング部に備えられており、
前記反応物質固定化用担体が有する細孔のサイズは、前記反応物質のサイズの0.5〜2.0倍であることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、
気体試料中の検出対象物質を検出するセンサにおいて、
センシング部と、
前記センシング部を覆い、少なくとも前記検出対象物質が透過する透過膜と、
を備え、
前記センシング部は、
複数の細孔を有する反応物質固定化用担体と、当該細孔の内部に固定化され、前記検出対象物質と選択的に反応する反応物質と、を備える反応物質複合体と、
複数の細孔を有する色素固定化用担体と、当該細孔の内部に固定化され、前記検出対象物質と前記反応物質との反応に基づいて色変化を生じる色素と、を備える色素複合体と、
を備え、
前記反応物質は、生体物質であり、
前記センシング部は、前記検出対象物質と前記反応物質との反応に必要な水分子を含有しており、
前記反応物質固定化用担体が有する細孔のサイズは、前記反応物質のサイズの0.5〜2.0倍であり、
前記色素固定化用担体が有する細孔のサイズは、前記色素のサイズの0.5〜2.0倍であることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、
気体試料中の検出対象物質を検出するセンサ装置において、
請求項1〜4の何れか一項に記載のセンサと、
前記センサに対して前記気体試料を供給するファンと、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、センサは、複数の細孔を有する色素固定化用担体と、当該細孔の内部に固定化され、検出対象物質の検出に応じて色変化を生じる色素と、を備える色素複合体を有するセンシング部を備え、色素固定化用担体が有する細孔のサイズは、色素のサイズの0.5〜2.0倍に設定されている。
すなわち、色素を色素固定化用担体の細孔の内部にしっかりと固定することができるため、固定された色素は酸化剤等の影響を受け難い。したがって、高い再現性及び長い寿命を有する、安定性の高いセンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態のセンサ装置の一例を示す平面斜視図である。
【図2】図1のII−II線における断面図である。
【図3】本実施形態のセンサの一例を示す平面斜視図である。
【図4】図3のIV−IV線における断面図である。
【図5】本実施形態のセンサが備える収容部の一例を示す平面図である。
【図6】実施例3での結果(検量線)を示す図である。
【図7】変形例1のセンサの一例を示す断面図である。
【図8】変形例2のセンサの一例を示す断面図である。
【図9】変形例2のセンサの他の一例を示す断面図である。
【図10】図9に示すセンサが備える収容部の一例を示す平面図である。
【図11】変形例2の装置本体部の一例を示す断面図である。
【図12】変形例2の装置本体部の他の一例を示す断面図である。
【図13】変形例3のセンサの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、発明の範囲は、図示例に限定されない。
なお、以下の説明では、本実施形態のセンサ装置1において、ファン13が配置された側を上側、センサ30が配置された側を下側、コード22が配置された側を後側、コード22が配置された側と対向する側を前側とする。そして、上下方向及び前後方向の双方に直交する方向を左右方向とする。
【0014】
<センサ装置>
本実施形態のセンサ装置1は、気体試料中の検出対象物質を検出する装置である。センサ装置1は、検出対象物質の検出に伴い色変化を生じる着脱自在なセンサ30を備え、センサ30の色変化によって、検出対象物質が試料中に含有されているか否か判定できるようになっている。
【0015】
具体的には、センサ装置1は、例えば、図1及び図2に示すように、外形略円柱形状の装置本体部10と、装置本体部10の内部に着脱・交換自在に装着されたセンサ30と、を備えて構成される。
【0016】
装置本体部10は、下側本体部11と、上側本体部12と、上側本体部12に取り付けられたファン13と、下側本体部11と上側本体部12とを連結するためのネジ14…と、を備えて構成される。ここで、図2において、ファン13は、断面図ではなく側面図となっている。
【0017】
下側本体部11は、中央に開口(観察窓11a)を有する略円環形状の下面部と、下面部の縁部から全周に亘り上方に向かって突出する周面部と、を備えている。すなわち、下側本体部11は、上面が開口した平面視略円形状の凹部を有しており、センサ30は、この凹部内に配置されている。
【0018】
上側本体部12は、下側本体部11と略同一の外径を有する略円筒形状を成している。すなわち、上側本体部12は、中央に上下方向に貫通する空洞部12aを有しており、ファン13は、この空洞部12a内上側に配置されている。これにより、ファン13が回転すると、センサ装置1の外部から空洞部12a内へと気体試料(外気等)が強制的に導入されるようになっている。
上側本体部12の上下方向中央よりも下側には、空洞部12aから放射状に、複数(例えば、12個)の貫通孔12bが設けられている。空洞部12a内へと導入された気体試料は、この貫通孔12b…を介してセンサ装置1の外部へと排気されるようになっている。
【0019】
下側本体部11の周面部には、上下方向に貫通する複数(例えば、4個)の孔部11bが設けられており、また、上側本体部12には、孔部11bと重なり合う位置に、孔部11bと略同一の径を有するネジ穴12cが、各孔部11bに対応して複数(4個)設けられている。そして、下側本体部11の下方側から孔部11bを介して上側本体部12のネジ穴12cに、ネジ14が螺合されることによって、下側本体部11と上側本体部12とが連結されている。
【0020】
ファン13は、回転軸の方向が上下方向となるように回転自在に支持部131に軸支されており、支持部131によって上側本体部12に固定されている。ファン13は、例えば、センサ装置1の電源がONされると、コード22,22を介して供給された電力に基づいて回転駆動されて、センサ装置1の外部から空洞部12a内へと気体試料を強制的に導入(すなわち、センサ30に対して気体試料を供給)するようになっている。
ここで、センサ装置1の電源は、例えば、センサ装置1を遠隔操作するためのリモコン(図示省略)を操作することによって、ON/OFFできるようしても良いし、例えば、装置本体部10にスイッチ(図示省略)を設け、このスイッチを操作することによって、ON/OFFできるようにしても良い。
【0021】
支持部131は、平板略矩形状を成しており、ファン13が配置された面を下に向けて、空洞部12aの上側を覆った状態で、上側本体部12に固定されている。
支持部131には、複数(例えば、3個)の吸気口131aが設けられている。ファン13が回転すると、気体試料が、吸気口131aを介してセンサ装置1の外部から空洞部12a内へと強制的に導入され、そして、貫通孔12b…を介して空洞部12a内からセンサ装置1の外部へと排気されるようになっている。
ここで、吸気口131a…は、常時開放されていても良いし、開閉自在であっても良い。吸気口131a…が開閉自在である場合、例えば、センサ装置1の電源がONされると開き、センサ装置1の電源がOFFされると閉じるようにすると良い。
【0022】
<センサ>
本実施形態のセンサ30は、検出対象物質の検出に伴い色変化を生じる、気体試料中の検出対象物質を検出するためのセンサである。
したがって、ユーザは、例えば、ファン13を回転させる等してセンサ30に対して気体試料を供給し、下側本体部11の観察窓11aから目視により(或いは、分光光度計等の装置を用いて)そのセンサ30の色変化を観察することによって、検出対象物質が試料中に含有されているか否か判定できるようになっている。
【0023】
具体的には、センサ30は、例えば、図2〜図4に示すように、外形略円板形状を成しており、収容部31と、収容部31に収容され、検出対象物質の検出に伴い色変化を生じるセンシング部32と、収容部31に収容され、センシング部32を取り囲む保水部33と、収容部31に収容され、センシング部32及び保水部33を覆う透過膜34と、中央に開口部35aを有する蓋部35と、を備えて構成される。
【0024】
収容部31は、略円板形状の下面部311と、下面部311の縁部から全周に亘り上方に向かって突出する周面部312と、を備えている。そして、例えば、図4及び図5に示すように、下面部311には、下面部311の上面中央部の略円形領域を取り囲むように、上方に向かって突出する略円弧状の2個の仕切り部313が互いに離間して設けられている。すなわち、収容部31は、上面が開口した平面視略円形状の凹部を有し、この凹部内は、仕切り部313,313により仕切られており、センシング部32は仕切り部313,313の内側に、保水部33は仕切り部313,313の外側に収容されている。
ここで、センサ装置1においては、センシング部32の色変化を、下側本体部11の観察窓11aから観察するようになっている。したがって、収容部31は、センシング部32の色変化を観察窓11aから観察可能となるように、少なくとも下面部311のセンシング部32に対応する部分が透明又は半透明の材料(例えば、PET(Polyethylene Terephthalate)樹脂)によって形成されていることが好ましい。
【0025】
センシング部32は、例えば、図4に示すように、検出対象物質と選択的に反応する酵素を備える複数の反応物質複合体321と、検出対象物質と酵素との反応に基づいて色変化を生じる色素を備える複数の色素複合体322と、を備えて構成される。
ここで、センシング部32において、反応物質複合体321…及び色素複合体322…は、電解液323中に分散されていることとする。すなわち、センシング部32は、検出対象物質と酵素との反応に必要な水分子を含有していることとする。
【0026】
反応物質複合体321は、複数の細孔を有する反応物質固定化用担体と、当該細孔の内部に固定化された酵素と、を備えて構成され、粉状又は粒状を成している。
【0027】
反応物質固定化用担体は、複数の細孔を有する多孔体であり、その細孔のサイズは、固定された酵素の立体構造の変化を防止可能な程度に設定されている。
具体的には、反応物質固定化用担体が有する細孔のサイズは、例えば、固定される酵素(酵素分子又は活性部位を含む酵素の断片)のサイズの0.5〜2.0倍程度であることが好ましく、固定される酵素のサイズの0.7〜1.4倍程度であることがより好ましく、固定される酵素のサイズとほぼ同一であることが最も好ましい。すなわち、反応物質固定化用担体が有する細孔の直径(中心細孔直径)は、固定される酵素の直径の0.5〜2.0倍程度であることが好ましく、固定される酵素の直径の0.7〜1.4倍程度であることがより好ましく、固定される酵素の直径とほぼ同一であることが最も好ましい。
なお、具体的な中心細孔直径の値は、酵素の直径との関係で決定されるので一律には規定できないが、例えば、酵素がホルムアルデヒド脱水素酵素である場合、ホルムアルデヒド脱水素酵素の直径は約8nmであるため、4nm〜16nm程度が好ましい。
ここで、酵素が多量体を形成する場合には、固定される酵素のサイズ(直径)は、多量体のサイズ(直径)とすることができる。ここで、多量体とは、2以上の酵素(タンパク質)が、直接に、或いは、水などの低分子を介して結合してなる化合物をいい、結合には、共有結合、イオン結合、水素結合、配位結合が含まれる。しかし、これらの結合の種類は、特に制限されない。
【0028】
色素複合体322は、複数の細孔を有する色素固定化用担体と、当該細孔の内部に固定化された色素と、を備えて構成され、粉状又は粒状を成している。
【0029】
色素固定化用担体は、複数の細孔を有する多孔体であり、その細孔のサイズは、固定された色素に対する酸化剤等の影響を抑制可能な程度に設定されている。
具体的には、色素固定化用担体が有する細孔のサイズは、例えば、固定される色素(色素分子)のサイズの0.5〜2.0倍程度であることが好ましく、固定される色素のサイズの0.7〜1.4倍程度であることがより好ましく、固定される色素のサイズとほぼ同一であることが最も好ましい。すなわち、色素固定化用担体が有する細孔の直径(中心細孔直径)は、固定される色素の直径の0.5〜2.0倍程度であることが好ましく、固定される色素の直径の0.7〜1.4倍程度であることがより好ましく、固定される色素の直径とほぼ同一であることが最も好ましい。
なお、具体的な中心細孔直径の値は、色素の直径との関係で決定されるので一律には規定できないが、例えば、色素がINT(2-(4-Iodophenyl)-3-(4-nitrophenyl)-5-phenyl-2H- tetrazolium chloride)である場合、INTの直径は約1.4nmであるため、0.7nm〜2.8nm程度が好ましい。
【0030】
反応物質固定化用担体及び色素固定化用担体としては、例えば、粉状又は粒状のシリカ系メソ多孔体を好ましく用いることができる。
シリカ系メソ多孔体は、例えば、ケイ酸やアルミナなどの各種金属酸化物、ケイ酸と他種の金属との複合酸化物等によって構成することができる。
例えば、ケイ酸により構成されるシリカ系メソ多孔体の作製においては、例えば、カネマイトのような層状シリケート、アルコキシシラン、シリカゲル、水ガラス、ケイ酸ソーダ等を好ましく用いることができる。
【0031】
具体的には、シリカ系メソ多孔体は、例えば、無機材料を界面活性剤と混合反応させて、界面活性剤のミセルの周りに無機の骨格が形成された界面活性剤/無機複合体を形成させた後、例えば、400℃〜600℃で焼成したり有機溶剤で抽出したりする等して界面活性剤を除去することにより作製される。これにより、シリカ系メソ多孔体は、無機骨格中に、界面活性剤のミセルと同じ形状のメソポア細孔を有するものとなる。
【0032】
シリカ系メソ多孔体の作製において、ケイ酸等のケイ素含有化合物を出発材料とする場合には、例えば、カネマイトのような層状シリケートを形成して、この層間にミセルを挿入し、そして、ミセルが存在しない層間をシリケート分子でつなぎ、その後、ミセルを除去することによって細孔を形成することができる。
また、シリカ系メソ多孔体の作製において、水ガラス等のケイ素含有物質を出発材料とする場合には、例えば、ミセルの周囲にシリケート分子を集合させて重合させることによりシリカを形成し、その後、ミセルを除去することによって細孔を形成することができる。この場合、通常、ミセルの形状は柱状となり、その結果、シリカ系メソ多孔体に、柱状の細孔が形成されることになる。
【0033】
シリカ系メソ多孔体は、作製段階で、界面活性剤のアルキル鎖の長さを変えてミセルの径を変化させることによって、細孔の内径を制御することができる。また、界面活性剤と併せて、トリメチルベンゼン、トリプロピルベンゼン等の比較的疎水性の分子を添加することによって、ミセルを膨潤させ、さらに大きな内径の細孔を形成することもできる。
【0034】
シリカ系メソ多孔体の細孔のサイズ(細孔の径)は、固定する酵素や色素のサイズ(酵素や色素の径)に応じて決定される。
すなわち、反応物質固定化用担体の場合、反応物質固定化用担体(シリカ系メソ多孔体)の細孔のサイズ(細孔の径)は、固定する酵素のサイズ(酵素の径)に応じて決定される。したがって、例えば、ミセルのサイズ(ミセルの径)が、酵素のサイズの0.5〜2.0倍となる界面活性剤を用いてシリカ系メソ多孔体を作製することによって、細孔のサイズが、固定する酵素のサイズの0.5〜2.0倍となるシリカ系メソ多孔体を得ることができる。
また、色素固定化用担体の場合、色素固定化用担体(シリカ系メソ多孔体)の細孔のサイズは、固定化する色素のサイズ(色素の径)に応じて決定される。したがって、例えば、ミセルのサイズが、色素のサイズの0.5〜2.0倍となる界面活性剤を用いてシリカ系メソ多孔体を作製することによって、細孔のサイズが、固定する色素のサイズの0.5〜2.0倍となるシリカ系メソ多孔体を得ることができる。
なお、シリカ系メソ多孔体における細孔の貫通方向は、任意であり、ランダムであっても良いし、一次元シリカナノチャンネルの集合体のように方向性が制御されたものであっても良い。
【0035】
シリカ系メソ多孔体の種類としては、細孔のサイズが均一であり、かつ、大きな空隙率を持つという特徴を有する、KSW、FSM、SBA、MCM、HOM等の公知の種類を採用することができる。
さらに、シリカ系メソ多孔体の種類としては、細孔のサイズが均一であり、かつ、細孔(チャンネル)の方向が一方向に向いているという特徴を有する、CTAB−M、P123−M、F127-M等の公知の種類を採用することができる。具体的には、CTAB−M、P123−M、F127-M等は、例えば、円筒形のアルミナ細孔内に界面活性剤を鋳型として作製され、アルミナ細孔の方向と同一のチャンネル方向を有するメソポーラスシリカナノチャンネル集合体(一次元シリカナノチャンネルの集合体)が充填された膜状のシリカ系メソ多孔体である。これらを乳鉢で細砕したものや、リン酸溶液等でアルミナ基板を溶解・除去して取り出したシリカチューブなどを利用することができる。
【0036】
なお、反応物質固定化用担体及び色素固定化用担体は、シリカ系メソ多孔体に限ることはなく、複数の細孔を有する多孔体であれば任意であり、例えば、親水性テフロン(登録商標)膜、ナイロン膜やその他の材質(例えば、セルロース混合エステル、ポリビニリデンジフロライド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタートなど)からなる親水性膜、多孔質アルミナ等の多孔体、ナイロンメッシュ等のメッシュ体などであっても良い。また、反応物質固定化用担体及び色素固定化用担体は、多孔体に限ることはなく、多孔体と同等の機能を有するもの(比表面積が大きく、かつ、細孔(流路)を持つもの)であれば任意であり、例えば、カーボンナノチューブ等の繊維状集合体などであっても良い。
【0037】
酵素は、検出対象物質と選択的に反応する酵素であれば任意であり、検出対象物質の種類によって適宜選択可能である。
具体的には、酵素は、例えば、酸化還元酵素、加水分解酵素、転移酵素、異性化酵素等の酵素(酵素タンパク質)であるが、これらに限定されるものではない。
また、酵素は、例えば、生来の酵素分子であっても良いし、活性部位を含む酵素の断片であっても良い。当該酵素分子又は当該活性部位を含む酵素の断片は、例えば、動植物や微生物から抽出したものであっても良いし、所望によりそれを切断したものであっても良いし、遺伝子工学的に又は化学的に合成したものであっても良い。
【0038】
反応物質固定化用担体に固定する酵素(すなわち、反応物質複合体321を構成する酵素)は、1種類の酵素であっても良いし、2種類以上の酵素であっても良い。
また、反応物質固定化用担体に固定する酵素が2種類以上である場合、酵素は、例えば、同種の検出対象物質(基質)に作用する2種類以上の酵素であっても良いし、異種の検出対象物質に作用する2種類以上の酵素であっても良いし、同種及び/又は異種の検出対象物質に作用する2種類以上の酵素であっても良い。
また、反応物質固定化用担体に固定する酵素が2種類以上である場合、その2種類以上の酵素は、反応物質固定化用担体が有する別々の細孔の内部に固定されていても良いし、同一の細孔の内部に固定されていても良い。
【0039】
酵素を反応物質固定化用担体に固定する方法としては、例えば、反応物質固定化用担体に酵素を含む溶液を滴下するディップ法、酵素を含む溶液に反応物質固定化用担体を漬侵する漬侵法、電場などの外場を利用して酵素を反応物質固定化用担体に導入する方法等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これにより、高次構造と活性を保持したまま、酵素を反応物質固定化用担体に固定化することができる。
さらに、必要に応じて、公知の酵素固定化法(例えば、導電性高分子、グルタルアルデヒド、光架橋性樹脂等を用いる固定化法等)と併用することもできる。
【0040】
ここで、特に酵素として補酵素依存型酵素を用いる場合、電解液323は、反応物質複合体321…及び色素複合体322…に加えて、補酵素を含有していることが好ましい。これにより、酵素反応を効率よく行わせることができる。
【0041】
補酵素は、酵素(補酵素依存型酵素)の種類に応じて、適宜選択することができる。具体的には、補酵素としては、例えば、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP+)、補酵素I、補酵素II、フラビンモノヌクレオチド(FMN)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、リポ酸、アデノシン三リン酸(ATP)、チアミンピロリン酸(TPP)、ピリドキサルリン酸(PALP)、テトラヒドロ葉酸(THF,Coenzyme F)、UDPグルコース(UDPG)、補酵素A、補酵素Q、ビオチン、補酵素B12(コバラミン)、S−アデノシルメチオニン等の1種又は2種以上の組み合わせが挙げられる。
【0042】
また、特に補酵素としてNAD+やNADP+などを用いる場合、電解液323は、さらに還元型補酵素(NADHやNADPHなど)を酸化型補酵素(NAD+やNADP+など)に戻すための補酵素酸化酵素(例えば、ジアホラーゼ)を含有していることが好ましい。
なお、補酵素や補酵素酸化酵素は、所定の担体に担持された状態(すなわち、所定の担体が有する細孔の内部に固定化された状態)で、電解液323に含有されていても良い。ここで、所定の担体とは、反応物質固定化用担体や色素固定化用担体であっても良いし、その他の担体であっても良い。
【0043】
具体的に、センサ30による検出原理について説明する。
酵素としてホルムアルデヒド脱水素酵素(FDH)、色素としてINTを用いて、ホルムアルデヒド(検出対象物質)を検出するセンサ30を構成する場合、FDHは補酵素依存型酵素であるため、電解液323に補酵素(NAD+)を保持させるとともに、補酵素酸化酵素(ジアホラーゼ)が担持された担体を保持させておくことが好ましい。
この場合、(1)HCHO+NAD++3H2O―(FDH)→HCOO−+NADH+2H3O+、(2)H++NADH+INT(薄黄色)―(ジアホラーゼ)→NAD++INTH2(暗赤色)という2段階の反応が起こる。具体的には、反応の第1段階で、ホルムアルデヒドがFDHの触媒によりギ酸に変化し、同時に、NAD+がNADH/H+になる。次いで、反応の第2段階で、ジアホラーゼによりNADH/H+からH/H+が黄色テトラゾリウム塩INT(2-(4-Iodophenyl)-3-(4-nitrophenyl)-5-phenyl-2H-tetrazolium chloride)に移動して、赤色ホルマザンとなる。
なお、2酵素系を利用せず、ジアホラーゼの代わりに電子伝達体を使用して、酵素反応を高速化することも可能である。
【0044】
色素は、検出対象物質と酵素との反応に基づいて、視認可能な色変化を生じる色素(蛍光色素も含む)であれば任意であり、検出対象物質の種類、反応物質複合体321を構成する酵素の種類によって適宜選択可能である。
ここで、「色の変化」とは、発色(着色)、脱色、色相の変化、明度の変化、彩度の変化、蛍光強度の変化等、或いは、これらの組み合わせであり、目視にて判定可能な変化であることが好ましい。
具体的には、色素としては、例えば、INT、MTT(3-(4,5-dimethyl-2-thiazolyl)-2,5- diphenyl-2H-tetrazolium bromide)、NTB(3,3'-[3,3'-Dimethoxy-(1,1'-biphenyl)- 4,4'-diyl]-bis[2-(4-nitrophenyl)-5-phenyl-2H-tetrazolium chloride])、XTT(2,3- bis-(2-methoxy-4-nitro-5-sulfophenyl)-2H-tetrazolium-5-carboxanilide)、WST−1(2-(4-Iodophenyl)-3-(4-nitrophenyl)-5-(2,4-disulfophenyl)-2H-tetrazolium,monosodium salt)、WST−3(2-(4-Iodophenyl)-3-(2,4-dinitrophenyl)-5-(2,4- disulfophenyl)-2H-tetrazolium,monosodium salt)、WST−8(2-(2-methoxy-4- nitrophenyl)-3-(4-nitrophenyl)-5-(2,4-disulfophenyl)-2H-tetrazolium, monosodium salt)等のアゾ色素が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、水溶性のものであっても、水不溶性のものであっても良く、感度、安定性、検出方式の簡便さ等を考慮して、適宜、適切な色素を選択することができる。
【0045】
色素固定化用担体に固定する色素(すなわち、色素複合体322を構成する色素)は、1種類の色素であっても良いし、2種類以上の色素であっても良い。
また、色素固定化用担体に固定する色素が2種類以上である場合、色素は、例えば、同種の反応(検出対象物質と酵素との反応)に基づいて色変化を生じる2種類以上の色素であっても良いし、異種の反応に基づいて色変化を生じる2種類以上の色素であっても良いし、同種及び/又は異種の反応に基づいて色変化を生じる2種類以上の酵素であっても良い。
また、色素固定化用担体に固定する色素が2種類以上である場合、その2種類以上の色素は、色素固定化用担体が有する別々の細孔の内部に固定されていても良いし、同一の細孔の内部に固定されていても良い。
【0046】
色素を色素固定化用担体に固定する方法としては、例えば、色素固定化用担体に色素を含む溶液を滴下するディップ法、色素を含む溶液に色素固定化用担体を漬侵する漬侵法、電場などの外場を利用して色素を色素固定化用担体に導入する方法等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0047】
保水部33は、例えば、センシング部32が含有する電解液323と略同一の電解液と、当該電解液を保持する保水材と、を備えて構成される。
保水部33は、収容部31内における仕切り部313,313の外側に備えられている。仕切り部313,313の外側と内側とは、仕切り部313同士の離間領域R,Rを介して連通しており、仕切り部313,313の内側に備えられたセンシング部32は、保水部33に含まれる電解液によって、水分子を含有する状態を好適に維持できるようになっている。
ここで、保水材は、電解液を保持可能なものであれば任意であり、具体的には、例えば、ガラスエポキシ材やこれを繊維として含む紙、濾紙等の保水作用を持つ紙、各種天然繊維や加工繊維、ウレタン等の樹脂、鉱物質、細粒材、ゲル体(コラーゲン、フィブリン、アルブミン、カゼイン、セルロースファイバー、セルローストリアセタール、寒天、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、カラギーナン、アガロース等の天然高分子、ポリアクリルアミド、ポリ−2−ヒドロキシエチルメタクリル酸、ポリビニルクロリド、γ−メチルポリグルタミン酸、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリジメチルアクリルアミド、ポリウレタン、光硬化樹脂(ポリビニルアルコール誘導体、ポリエチレングリコール誘導体、ポリプロピレングリコール誘導体、ポリブタジエン誘導体等)等の合成高分子、或いはこれらの複合体等のゲル体)等であるが、これらに限定されるものではない。
【0048】
透過膜34は、少なくとも検出対象物質が透過可能な膜であり、センシング部32及び保水部33を上側から覆って、センシング部32及び保水部33の乾燥を抑制している。
蓋部35が有する開口部35aによって透過膜34は一部(センシング部32に対応する部分)が露出されているため、空洞部12aに導入された気体試料(センサ30に供給された気体試料)中の検出対象物質は、透過膜34を透過してセンシング部32に移行する。そして、電解液323内を移動して、反応物質複合体321に到達し、この反応物質複合体321を構成する酵素と反応する。そして、当該反応により生じた生成物は、電解液323内を移動して、色素複合体322に到達し、この色素複合体322を構成する色素と反応する。これにより、色素は色変化を生じることとなる。したがって、透過膜34は、少なくとも検出対象物質が透過する透過膜(ガス透過膜)であれば任意であり、検出対象物質の種類によって適宜選択可能である。
【0049】
蓋部35は、収容部31の外径と略同一の外径を有する略円環形状を成している。すなわち、蓋部35は、中央に開口部35aを有している。
開口部35aは、仕切り部313,313により取り囲まれた略円形領域と略同一の大きさとなるよう設定されており、透過膜34の中央部(具体的には、透過膜34におけるセンシング部32を覆う部分)は、この開口部35aによって露出されている。
【0050】
収容部31と蓋部35とは互いに係合可能な形状に形成されており、蓋部35で収容部31に蓋をすることによって、センシング部32、保水部33及び透過膜34が収容部31に収容された状態を維持できるようになっている。
具体的には、例えば、収容部31の周面部312の上面には、全周に亘り凸部が設けられており、また、蓋部35の下面には、この凸部と重なり合う位置に、この凸部と係合可能な凹部が全周に亘って設けられている。そして、収容部31の上側に蓋部35を被せ、収容部31の凸部と蓋部35の凹部とを係合させると、収容部31と蓋部35とが連結され、蓋部35で収容部31に蓋ができるようになっている。
【0051】
<センサの製造方法>
センサ30の製造方法は、以下の[1]〜[4]の工程を含む。
【0052】
[1]反応物質複合体作製工程
反応物質複合体作製工程は、酵素と、反応物質固定化用担体と、により反応物質複合体321…を作製する工程である。
具体的には、例えば、酵素を電解液(緩衝液)に溶解させて酵素溶液を作製する。次いで、この酵素溶液と、反応物質固定化用担体と、を接触させて、反応物質固定化用担体の細孔の内部に酵素を吸着固定することによって、反応物質複合体321…を作製する。
【0053】
[2]色素複合体作製工程
色素複合体作製工程は、色素と、色素固定化用担体と、により色素複合体322…を作製する工程である。
具体的には、例えば、色素を電解液(緩衝液)に溶解させて色素溶液を作製する。次いで、この色素溶液と、色素固定化用担体と、を接触させて、色素固定化用担体の細孔の内部に色素を吸着固定することによって、色素複合体322…を作製する。
【0054】
[3]複合体含有電解液作製工程
複合体含有電解液作製工程は、反応物質複合体321…と、色素複合体322…と、を含有する複合体含有電解液を作製する工程である。
具体的には、例えば、電解液323中に、作製した反応物質複合体321…や色素複合体322…などを分散させることによって、複合体含有電解液を作製する。
【0055】
[4]センサ作製工程
センサ作製工程は、複合体含有電解液を用いてセンサ30を作製する工程である。
具体的には、例えば、収容部31内の仕切り部313,313の外側に保水部33を設置する。次いで、作製した複合体含有電解液を、収容部31内の仕切り部313,313の内側にマイクロピペット等を用いて滴下することによって、センシング部32を設置する。次いで、設置した保水部33及びセンシング部32を透過膜34で覆い、蓋部35で収容部31に蓋をすることによって、センサ30を作製する。
【0056】
なお、上記センサ30の製造方法は、一例であって、これに限定されるものではない。
【0057】
さらに、例えば、作製したセンサ30を装置本体部10の下側本体部11上に載置し、ネジ14…により、センサ30が載置された下側本体部11と、ファン13が取り付けられた上側本体部12と、を連結することによって、センサ装置1を組み立てる。
そして、組み立てたセンサ装置1の電源をONし、ファン13を回転させてセンサ30に対して気体試料を供給する。これにより、気体試料中の物質のうちの透過膜34を透過可能な物質をセンシング部32と接触させ、観察窓11aから目視により(或いは、分光光度計等の装置を用いて)センシング部32の色変化を観察することによって、検出対象物質が気体試料中に含有されているか否かを判定する。
【0058】
<実施例>
以下に、具体的な実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0059】
<実施例1>
実施例1では、色素複合体322を評価した。
【0060】
具体的には、色素(INT(20mg))をpH7.4のリン酸緩衝液(5cc)に溶解させ、それを、色素固定化用担体(FSM1.5(100mg))が入ったファルコンチューブに添加し、一晩攪拌して、色素複合体322を作製した。
比較のために、色素(INT(20mg))をpH7.4のリン酸緩衝液(5cc)に溶解させ、一晩攪拌し、それを、色素固定化用担体(FSM1.5(100mg))が入ったファルコンチューブに添加して、比較用の複合体を作製した。
【0061】
そして、作製した色素複合体322と、作製した比較用の複合体と、の色を目視にて観察した。
その結果、色素複合体322の色は淡黄色、比較用の複合体の色は赤色であることが分かった。すなわち、比較用の複合体においては、色素固定化用担体にINTを担持させる前(すなわち、一晩攪拌している間)に、有機色素であるINTが酸化してしまって赤色に変色したのに対し、色素複合体322においては、FSM(色素固定化用担体)にINTを担持させた状態で一晩攪拌したため、INTの酸化が抑えられ、変色(自然発色)しないことが分かった。
以上の結果から、色素(特に有機色素)は溶液に含まれる酸化剤等の影響によって当該溶液中で酸化されて徐々に変色するが、色素を色素固定化用担体に担持させると(すなわち、色素固定化用担体が有する細孔内に色素を固定化すると)、色素の変色を抑制でき、溶液中での色素の安定性が向上することが分かった。これは、色素が、色素固定化用担体の細孔の内部に、酸化剤等の影響を受け難い程度にしっかりと固定されているためであると考えられる。また、本実施例で使用した色素固定化用担体は還元剤であるFSMであるため、より一層、色素の酸化を抑えることができたと考えられる。
【0062】
<実施例2>
実施例2では、色素固定化用担体の細孔のサイズを評価した。
【0063】
具体的には、色素(INT(20mg))をpH7.4のリン酸緩衝液(5cc)に溶解させ、それを、細孔径が1.5nmの色素固定化用担体(FSM1.5(100mg))が入ったファルコンチューブに添加し、一晩攪拌して、色素複合体322を作製した。
比較のために、色素(INT(20mg))をpH7.4のリン酸緩衝液(5cc)に溶解させ、それを、細孔径が4.0nmの色素固定化用担体(FSM4.0(100mg))が入ったファルコンチューブに添加し、一晩攪拌して、比較用の複合体を作製した。
【0064】
そして、作製した色素複合体322と、作製した比較用の複合体と、をpH7.4のリン酸緩衝液中で2か月間保存(保存温度:室温)し、色変化を目視にて観察した。
その結果、2か月後の色素複合体322の色は淡黄色、比較用の複合体の色は赤色であることが分かった。すなわち、比較用の複合体においては、FSMにINTを担持させても、保存している間にINTが酸化してしまって赤色に変色したのに対し、色素複合体322においては、FSM(色素固定化用担体)の細孔のサイズがINTのサイズ(直径:約1.4nm)の0.5〜2.0倍の範囲内にあり、INTを、酸化剤等の影響を受け難い程度にFSMの細孔の内部にしっかりと固定することができるため、INTの酸化が抑えられ、変色(自然発色)しないことが分かった。
【0065】
また、作製した色素複合体322と、作製した比較用の複合体と、をpH7.4のリン酸緩衝液中で60分間保存(保存温度:50℃)し、色変化を目視にて観察した。
その結果、時間が経過するにつれて、色素複合体322も比較用の複合体も徐々に変色していったが、変色の度合いは、比較用の複合体の方が大きかった。
【0066】
以上の結果から、細孔のサイズが色素のサイズの0.5〜2.0倍の範囲内にある色素固定化用担体に色素を担持させると、色素の変色を抑制でき、溶液中での色素の安定性が向上することが分かった。
【0067】
<実施例3>
実施例3では、検出対象物質(ホルムアルデヒド)を含有するガスを用いて、センサ30を評価した。
【0068】
(センサの作製)
まず、センサ30を作製した。
具体的には、絶縁体であるピーク材を使用して、旋盤やフライス盤を用いて、装置本体部10、収容部31(周面部312の外径:20mm、仕切り部313,313が取り囲む円形領域の直径:5mm、仕切り部313の高さ(上下方向の長さ):1.5mm)、蓋部35(開口部35aの直径:5mm)等を作製した。
次いで、上側本体部12にファン13を取り付けた。
【0069】
次に、検出対象物質と選択的に反応する酵素(ホルムアルデヒド脱水素酵素(20mg))をpH7.4のリン酸緩衝液(3cc)に溶解させ、それを、細孔径が8.0nmの反応物質固定化用担体(FSM8.0(100mg))が入ったファルコンチューブに添加して、一晩攪拌した。
次いで、遠心分離を行い、上澄み液を捨てて、反応物質複合体321を取り出した。
次いで、取り出した反応物質複合体321にpH7.4のリン酸緩衝液を加えて3ccとした。以下、これを「反応物質複合体含有液」という。
【0070】
また、補酵素酸化酵素(ジアホラーゼ(10mg)をpH7.4のリン酸緩衝液(3cc)に溶解させ、それを、所定の担体(FSM8.0(100mg))が入ったファルコンチューブに添加して、一晩攪拌した。
次いで、遠心分離を行い、上澄み液を捨てて、補酵素酸化酵素複合体を取り出した。
次いで、取り出した補酵素酸化酵素複合体にpH7.4のリン酸緩衝液を加えて3ccとした。以下、これを「補酵素酸化酵素複合体含有液」という。
【0071】
また、色素(INT(20mg))をpH7.4のリン酸緩衝液(5cc)に溶解させ、それを、色素固定化用担体(FSM1.5(100mg))が入ったファルコンチューブに添加して、一晩攪拌した。
次いで、遠心分離を行い、上澄み液を捨てて、色素複合体322を取り出した。
【0072】
次に、収容部31内における仕切り部313,313の外側に保水部33を設置した。
【0073】
次に、色素複合体322に、反応物質複合体含有液(1.5cc)及び補酵素酸化酵素複合体含有液(1.5cc)を加えて攪拌し、それを、マイクロピペットにて10μL採取して、収容部31内における仕切り部313,313の内側に滴下した。
次いで、補酵素(NAD+(50mg))をpH7.4のリン酸緩衝液(5cc)に溶解したものを、マイクロピペットにて10μL採取して、収容部31内における仕切り部313,313の内側に滴下することによって、センシング部32を設置した。
次いで、設置したセンシング部32及び保水部33を透過膜34で覆い、蓋部35で収容部31に蓋をすることによって、センサ30を作製した。
【0074】
(センサの評価1)
次に、作製したセンサ30を、分光光度計を用いて評価した。
具体的には、作製したセンサ30を、ホルムアルデヒド濃度が6ppbのホルムアルデヒドガスと15分間接触させ、分光光度計を用いて波長500nmでの反射による吸光度を測定することにより、センサ30の色変化を観察した。また、ホルムアルデヒド濃度が60ppb、100ppb、200ppb、300ppb、400ppb及び1200ppbのホルムアルデヒドガスそれぞれを使用して同様の測定を行った。そして、これらの測定結果に基づいて、ホルムアルデヒド濃度と吸光度(=Log(I0/I)、I0:入射光の強度,I:反射光の強度)との関係を示す検量線を作成した。その結果を図6に示す。
【0075】
図6に示すように、センサ30においては、6ppb〜400ppbの濃度範囲で高い線形性を有する検量線が得られることが分かった。
以上の結果から、センサ30は、迅速かつ高感度に検出対象物質を検出できることが分かった。
【0076】
(センサの評価2)
次に、作製したセンサ30を4個用意し、そのうちの3個を50℃に保たれたデシケータ中で保存し(保存時間15分、30分及び60分)、残りの1個は室温中で放置した。次いで、デシケータ中の3個のセンサ30をデシケータから取り出して、室温中に放置したセンサ30と一緒に、ホルムアルデヒド濃度が60ppbのホルムアルデヒドガス中に暴露し、各センサ30の色変化を目視にて観察した。
その結果、センサ30は何れも、ホルムアルデヒドガスと15分程度接触させただけで明瞭な色変化を確認でき、色の劣化も見られなかった。
【0077】
以上の結果から、センサ30は、迅速かつ高感度に検出対象物質を検出できるとともに、保存温度を50℃として15分間、30分間及び60分間保存した後であっても、酵素活性が残る安定性の高いセンサであることが分かった。これは、色素が、色素固定化用担体の細孔の内部に酸化剤等の影響を受け難い程度にしっかりと固定されているとともに、酵素が、反応物質固定化用担体の細孔の内部に酵素の立体構造の変化を防止できる程度にしっかりと固定されているためであると考えられる。
【0078】
以上説明した本発明のセンサ30及びセンサ装置1によれば、センサ30は、複数の細孔を有する色素固定化用担体と、当該細孔の内部に固定化され、検出対象物質の検出に応じて色変化を生じる色素と、を備える色素複合体322を有するセンシング部32を備え、色素固定化用担体が有する細孔のサイズは、色素のサイズの0.5〜2.0倍に設定されている。
すなわち、色素を色素固定化用担体の細孔の内部にしっかりと固定することができ、固定された色素は酸化剤等の影響を受け難い。したがって、高い再現性及び長い寿命を有する、安定性の高いセンサ30を提供することができる。
また、センサ30は、検出対象物質の検出をセンサ30の色変化によって判定可能であるとともに、装置本体部10に装着するだけで(或いは、そのままでも)使用できるため、取り扱い易い。したがって、センサ30は、一般家庭等でも気軽に使うことができる。
【0079】
また、以上説明した本発明のセンサ30及びセンサ装置1によれば、センシング部32は、複数の細孔を有する反応物質固定化用担体と、当該細孔の内部に固定化され、検出対象物質と選択的に反応する酵素と、を備える反応物質複合体321を備え、色素複合体322を構成する色素は、検出対象物質と酵素との反応に基づいて色変化を生じる色素であり、反応物質固定化用担体が有する細孔のサイズは、酵素のサイズの0.5〜2.0倍に設定されている。
すなわち、酵素を、反応物質固定化用担体の細孔の内部にしっかりと固定することができるため、酵素の立体構造の変化を防止することができる。したがって、より安定性の高いセンサ30を提供することができる。
【0080】
さらに、酵素や色素は溶液中での経時変化が大きく、すぐに劣化してしまうため、溶液中で安定的に保存することは困難である。そのため、酵素や色素を使用した従来のセンサにおいては、例えば、乾燥状態のまま冷蔵庫等で保存して、使用時に高純度蒸留水等を滴下する必要があり、使い勝手が悪いという問題があった。これに対し、本発明のセンサ30においては、酵素は反応物質固定化用担体の細孔の内部に固定化されるとともに、色素は色素固定化用担体の細孔の内部に固定化されているため、電解液323に分散された状態でも安定的に保存することができる。したがって、センサ30においては、使用時に高純度蒸留水等を滴下する等の前処理が不要であり、そのまま使用できるため、使い勝手が良い。
【0081】
また、以上説明した本発明のセンサ30及びセンサ装置1によれば、センシング部32は、水分子を含有している。
したがって、センシング部32内で、検出対象物質と酵素との反応や、当該反応により生じる生成物と色素との反応などが効率よく行われるため、センサ30の感度を向上させることができる。
また、色素は、特に溶液中で保存すると、溶液中に溶存する酸化剤等の影響によって劣化(酸化)し易いが、センサ30においては、色素が色素固定化用担体に固定されており劣化し難くいため、好適である。
また、酵素は、特に溶液中で保存すると、劣化(立体構造が変化)し易いが、センサ30においては、酵素が反応物質固定化用担体に固定されており劣化し難いため、好適である。
【0082】
また、以上説明した本発明のセンサ30及びセンサ装置1によれば、センシング部32は、少なくとも検出対象物質が透過する透過膜34により覆われている。
すなわち、センシング部32中の水の蒸発を抑制できる。したがって、センサ30は、ファン13により気体試料が吹き付けられても、センシング部32に水分子が含有された状態を長時間維持することができるため、好適である。
【0083】
また、以上説明した本発明のセンサ装置1によれば、センサ30に対して気体試料を供給するファン13を備えている。
したがって、センサ30に対して強制的に気体試料を供給しない場合と比較して、透過膜34に対する検出対象物質の透過性が向上するため、センサ30の感度を向上させることができる。
【0084】
なお、本発明は、上記した実施の形態のものに限るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0085】
<変形例1>
センサ30は、少なくともセンサ30の使用時に、蓋部35が有する開口部35aによって透過膜34の一部(センシング部32に対応する部分)が露出されているのであれば、例えば、図7に示すセンサ30Aのように、蓋部35が有する開口部35aを塞ぐ密閉用シール36Aを備えるものであっても良い。
【0086】
密閉用シール36Aは、気体及び液体を透過させない(或いは、透過し難い)材質のシール材によって形成されている。ユーザは、例えば、この密閉用シール36Aを剥がしてから、センサ30Aを装置本体部10に装着する等して、センサ30Aを使用するようになっている。
【0087】
以上説明した変形例1のセンサ30Aによれば、蓋部35が有する開口部35aを塞ぐ密閉用シール36Aを備えている。
したがって、密閉用シール36Aで開口部35aが塞がれている間は、センシング部32中の水の蒸発を防止することができるとともに、センシング部32(反応物質複合体321)と検出対象物質との接触を防止することもできる。そのため、例えば、センサ30Aを未使用のまま長期間保存したとしても、密閉用シール36Aで開口部35aが塞がれている状態であれば、センシング部32に水分子が含有された状態を維持でき、また、センシング部32の色変化を防止できるため、保存安定性の高いセンサ30Aを提供することができる。
【0088】
<変形例2>
センサ30は、少なくともセンサ30の使用時に、反応物質複合体321…及び色素複合体322…が電解液323中に分散したセンシング部32が形成されているのであれば、例えば、図8に示すセンサ30Bのように、蓋部35Bで収容部31Bに蓋をすると、センシング部32が形成されるものであっても良い。
【0089】
センサ30Bは、例えば、収容部31Bと、収容部31Bに収容された反応物質複合体321…、色素複合体322…及び電解液323と、収容部31Bに収容され、反応物質複合体321…、色素複合体322…及び電解液323を覆う透過膜34と、中央に開口部35aを有する蓋部35Bと、を備えて構成されており、蓋部35Bは、例えば、センサ30Bを使用する直前に収容部31Bに装着されるようになっている。
【0090】
収容部31Bは、下面部311と、周面部312と、下面部311の上面中央部の略円形領域を取り囲むように上方に向かって突出する略円環形状の仕切り部313Bと、周面部312の上端と連結する略円環形状の上面部314Bと、を備えている。
変形例2のセンサ30Bが備える仕切り部313Bは、例えば、上記実施形態のセンサ30が備える仕切り部313,313同士を連結した形状を成している。すなわち、センサ30Bにおいて、仕切り部313,313の外側と内側とは、連通していないこととする。
また、上面部314Bが有する開口は、仕切り部313Bの外径よりも大きくなるよう設定されており、当該開口によって透過膜34のセンシング部32に対応する部分は露出されている。
【0091】
蓋部35Bは、収容部31Bの外径と略同一の外径を有する略円環形状を成している。すなわち、蓋部35Bは、中央に開口部35aを有しており、この開口部35aは、仕切り部313Bの内径と略同一の大きさとなるよう設定されている。
蓋部35Bの下面中央部には、開口部35aと同一の大きさの内径を有し、かつ、上面部314Bの開口よりも小さい外径を有する略円環形状の凸部351Bが設けられている。
凸部351Bは、下面端部から全周に亘り下方に向かって突出する突出部352Bを有しており、この突出部352Bは、蓋部35Bで収容部31Bに蓋をした状態(図8における下図)において、仕切り部313Bの外側に配置されるようになっている。
【0092】
ここで、蓋部35Bで収容部31Bに蓋をする前の状態(図8における上図)において、反応物質複合体321…及び色素複合体322…は、収容部31B内における仕切り部313Bの内側に収容されており、電解液323は、収容部31B内における仕切り部313Bの外側に収容されている。また、透過膜34は、仕切り部313Bの上面に載置され、収容部31Bに収容された反応物質複合体321…、色素複合体322…及び電解液323を覆っている。
蓋部35Bで収容部31Bに蓋をするために、蓋部35Bを押し込んでいくと、仕切り部313Bの外側において、透過膜34が突出部352Bに押されて変形するため、仕切り部313Bの外側に収容されている電解液323の一部が仕切り部313Bの内側へと移動して、仕切り部313Bの内側に電解液323が供給されていく。これにより、仕切り部313Bの内側に、反応物質複合体321…及び色素複合体322…が電解液323中に分散したセンシング部32が形成される。
そして、蓋部35Bが収容部31Bに装着されると(図8における下図)、蓋部35Bの端部は、収容部31Bの上面部314Bと接し、凸部351Bは、上面部314Bが有する開口の内部に配置されて、凸部351Bの下面と仕切り部313Bの上面とで透過膜34を挟み込み、透過膜34を押さえつけている。これにより、仕切り部313Bの内側にセンシング部32が形成された状態が維持される。
【0093】
以上説明した変形例2のセンサ30Bによれば、蓋部35Bで収容部31Bに蓋をする前の状態においては、収容部31Bに、反応物質複合体321…及び色素複合体322…と、電解液323と、が別々に収容されている。
すなわち、例えば、センサ30Aを未使用のまま長期間保存したとしても、蓋部35Bで収容部31Bに蓋をする前の状態であれば、色素複合体322…中の色素及び反応物質複合体321…中の酵素は電解液323と接触していない。したがって、当該色素及び当該酵素の劣化をより一層抑制することができるため、保存安定性の高いセンサ30Bを提供することができる。
【0094】
なお、変形例2のセンサ30Bは、収容部31Bの上面部314Bが有する開口を塞ぐ密閉用シールを備えるものであっても良い。この場合、ユーザは、例えば、この密閉用シールを剥がして、蓋部35Bで収容部31Bに蓋をしてから、センサ30Bを装置本体部10に装着する等して、センサ30Bを使用するようになっている。
【0095】
また、変形例2において、仕切り部313Bの内側に電解液323を供給してセンシング部32を形成する手法は、蓋部35Bで透過膜34を変形させる手法に限ることはなく、例えば、図9に示すセンサ30Cのように、蓋部35Cで離間領域R,Rを塞ぐ突起315Cを除去する手法であっても良い。
【0096】
センサ30Cの収容部31Cは、例えば、図9及び図10に示すように、下面部311の上面中央部の略円形領域を取り囲む略円弧状の2個の仕切り部313と、仕切り部313同士の離間領域R,Rを除去自在に塞ぐ突起315C,315Cと、を備えている。
また、センサ30Cの蓋部35Cは、突出部352C,352Cを備えており、蓋部35Cで収容部31Cに蓋をして、その状態で蓋部35Cを回すと、突出部352C,352Cの側面で仕切り部313,313を除去できるようになっている。
仕切り部313,313が除去されると、離間領域R,Rを介して、仕切り部313,313の外側に収容されている電解液323の一部が仕切り部313,313の内側へと移動し、仕切り部313,313の内側に電解液323が供給されていく。これにより、仕切り部313,313の内側に、反応物質複合体321…及び色素複合体322…が電解液323中に分散したセンシング部32が形成される。
この場合、透過膜34を破らずに、突出部352C,352Cの側面で、突起315C315Cを除去することが望ましいため、透過膜34は、例えば、100μm程度の厚みを有する弾性のあるテフロン膜等であることが好ましい。
【0097】
また、変形例2において、仕切り部313Bの内側に電解液323を供給してセンシング部32を形成する手法は、蓋部35Bで収容部31Bに蓋をする手法に限ることはなく任意である。
【0098】
具体的には、例えば、図11及び図12に示す装置本体部10Dのように、仕切り部313,313の内側に電解液323を供給可能なインクジェット素子等の電解液供給部40Dを備えて、この電解液供給部40Dを作動させると、仕切り部313,313の内側に電解液323が供給されてセンシング部32が形成されるようにしても良い。
【0099】
具体的には、図11に示す装置本体部10Dは、電解液供給部40Dによって、センサ30の上側から電解液323を供給するようになっている。したがって、センサ30の透過膜34は少なくとも検出対象物質及び電解液323が透過可能な膜(例えば、親水処理を施したPTFE(Polytetrafluoroethylene)膜)であることが好ましい。
また、図12に示す装置本体部10Dは、電解液供給部40Dによって、センサ30の下側から電解液323を供給するようになっている。したがって、センサ30の収容部31は、少なくとも下面部311のセンシング部32に対応する部分が、電解液323が透過可能な材料(例えば、親水処理を施したPTFE等)で形成されていることが好ましい。さらに、図12に示す装置本体部10Dには、センシング部32の色変化をセンサ30の上方から観察可能となるような位置に、観察窓11aが設けられていることとする。
【0100】
なお、電解液供給部40Dにより仕切り部313,313の内側に電解液が供給される場合、センサ30の保水部33は、予め電解液を含んでいなくても良く、例えば、電解液供給部40Dにより仕切り部313,313の内側に供給され、離間領域R,Rを介して仕切り部313,313の外側に移動してきた電解液を含むようにしても良い。
【0101】
<変形例3>
センサ30は、例えば、図13に示すセンサ30Eのように、複数の反応物質複合体321と、複数の色素複合体322と、反応物質複合体321…と色素複合体322…とを保持するゲル体324Eと、により構成されるゲル状のセンシング部32Eを備えるものであっても良い。
【0102】
ゲル体324Eは、検出対象物質や生成物が透過可能であり、かつ検出対象物質と酵素との反応に必要な水分子を含有するヒドロゲルであれば任意であり、具体的には、例えば、コラーゲン、フィブリン、アルブミン、カゼイン、セルロースファイバー、セルローストリアセタール、寒天、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、カラギーナン、アガロース等の天然高分子、ポリアクリルアミド、ポリ−2−ヒドロキシエチルメタクリル酸、ポリビニルクロリド、γ−メチルポリグルタミン酸、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリジメチルアクリルアミド、ポリウレタン、光硬化樹脂(ポリビニルアルコール誘導体、ポリエチレングリコール誘導体、ポリプロピレングリコール誘導体、ポリブタジエン誘導体等)等の合成高分子、或いはこれらの複合体等のゲル体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0103】
センシング部32Eは、例えば、ゾル化した電解液中に、反応物質複合体321…や色素複合体322…などを分散させることによって、複合体含有ゾルを作製し、作製した複合体含有ゾルを、マイクロピペット等を用いて所定の水溶液中に滴下し、略球状に形成することによって作製することができる。
【0104】
センサ30Eは、例えば、収容部31Bと、収容部31Bに収容され、略球状に形成されたゲル状のセンシング部32Eと、収容部31Bに収容され、センシング部32Eを覆う透過膜34と、中央に開口部35aを有する蓋部35Eと、を備えて構成される。
【0105】
蓋部35Eは、収容部31Bの外径と略同一の外径を有する略円環形状を成している。すなわち、蓋部35Bは、中央に開口部35aを有しており、開口部35aは、仕切り部313Bの外径よりも大きくなるよう設定されている。
蓋部35Eの下面には、開口部35aと同心円であるとともに、開口部35aよりも大きい内径を有し、かつ、上面部314Bの開口よりも小さい外径を有する略円環形状の突出部352Eが設けられている。センシング部32E及び透過膜34が収容された収容部31Bに、上側から蓋部35Eを被せると、蓋部35Eの突出部352Eと収容部31Bの下面部311とで透過膜34を挟み込み、透過膜34を押さえつけることができるようになっている。
【0106】
以上説明した変形例3のセンサ30Eによれば、センシング部32Eは、複数の反応物質複合体321と、複数の色素複合体322と、反応物質複合体321…と色素複合体…とを保持するゲル体324Eと、により構成されている。
すなわち、センシング部32Eは、ゲル体324Eによって、複数の反応物質複合体321と複数の色素複合体322とをまとめて一体的に保持されており、反応物質複合体321や色素複合体322が飛び散ったり壊れたりしてしまうことがなく、また、指やピンセットなどで摘みやすい形状に形成できるため、取り扱い易くなっている。したがって、収容部31B内に収容し易く、精度及び再現性が高いセンサ30Eを容易に作製することができる。
【0107】
なお、変形例3のセンサ30Eにおいて、センシング部32Eの形状は、略球状に限ることはなく任意である。
また、作製したゲル状のセンシング部32Eを、所定の油溶液(大豆油、サラダ油、パラフィンオイル、シリコンオイル等)中に浸漬したり、界面活性剤に浸した後に所定の油溶液中に浸漬したり、或いは、作製した複合体含有ゾルを、マイクロピペット等を用いて所定の油溶液中に滴下することによりゲル状のセンシング部32Eを形成したりする等して、センシング部32Eの表面(ゲル体324Eの表面)を油脂膜で覆うようにしても良い。これにより、センシング部32E内部の水分の蒸発を防ぐことができる。ここで、ホルムアルデヒド等の検出対象物質は油脂膜を透過することができる。したがって、高い検出性能を維持したまま、ゲル体324E内部の水分の蒸発を防ぐことができるため、安定性をより一層向上させることができ、かつ、更なる長寿命化を図ることができる。
【0108】
なお、上記実施形態及び変形例1〜3において、検出対象物質と選択的に反応する酵素と、補酵素酸化酵素と、を別々の担体に固定化するようにしたが、これに限ることはなく、同一の担体に固定化しても良い。この場合、当該担体としては、酵素のサイズの0.5〜2.0倍のサイズを有する細孔(第1細孔)と、補酵素酸化酵素のサイズの0.5〜2.0倍のサイズを有する細孔(第2細孔)と、の双方を有する担体が好ましい。
また、検出対象物質と選択的に反応する酵素と、当該反応に基づいて色変化を生じる色素と、を別々の担体に固定化するようにしたが、これに限ることはなく、同一の担体に固定化するようにしても良い。この場合、当該担体としては、酵素のサイズの0.5〜2.0倍のサイズを有する細孔(第1細孔)と、色素のサイズの0.5〜2.0倍のサイズを有する細孔(第3細孔)と、の両方を有する担体が好ましい。
【0109】
上記実施形態及び変形例1〜2において、酵素を、反応物質固定化用担体が有する細孔の内部に固定化された状態で、電解液323中に分散するようにしたが、これに限ることはなく、例えば、酵素は、反応物質固定化用担体に担持されずに、電解液323中に直接分散されていても良い。
また、変形例3において、酵素を、反応物質固定化用担体が有する細孔の内部に固定化された状態で、ゲル体324Eに保持するようにしたが、これに限ることはなく、例えば、酵素は、反応物質固定化用担体に担持されずに、ゲル体324Eに直接保持されていても良い。
【0110】
実施例では、反応物質複合体321を構成する酵素としてホルムアルデヒド脱水素酵素を用いたが、酵素はホルムアルデヒド脱水素酵素に限ることはなく、検出対象物質(グルコース、アルコール、コレステロール、乳酸、尿酸、農薬、VOC(Volatile Organic Compounds)等)に応じて適宜任意に変更可能である。
【0111】
反応物質複合体321を構成する反応物質は、酵素に限ることはなく、検出対象物質と選択的に反応する物質であれば任意であり、検出対象物質に応じて適宜任意に変更可能である。具体的には、反応物質としては、例えば、生体由来の分子識別素子(タンパク質等の生体物質(生体触媒)など)、パラジウムや白金などの金属触媒、酸化ルテニウムや酸化マンガン、酸化鉄、酸化チタンなどの酸化触媒、その他の有機触媒又は無機触媒、各種ポリマー、ポリマーコンプレックス、ポリイオンコンプレックス等が挙げられる。
なお、反応物質複合体321を構成する反応物質の種類は、1種類であっても良いし、複数種類であっても良い。
【0112】
上記実施形態及び変形例1〜2において、収容部31,31B,31C及び蓋部35,35B,35Cの構成は、上記したものに限るものではなく、液体状(或いは、粉体状であっても良い)のセンシング部32を収容できるものであれば任意である。
また、上記変形例3において、収容部31B及び蓋部35Eの構成は、上記したものに限るものではなく、ゲル状のセンシング部32Eを収容できるものであれば任意である。
【0113】
センサ30,30A,30B,30C,30Eは、装置本体部10,10Dに装着せずにそのまま使用しても良い。
また、センサ30,30A,30B,30C,30Eは、液体試料中の検出対象物質を検出するために使用しても良い。
【0114】
装置本体部10,10Dは、1個のセンサ30,30A,30B,30C,30Eを装着可能な構成のものに限ることはなく、複数個のセンサ30,30A,30B,30C,30Eを装着可能な構成のものであっても良い。この場合、装置本体部10,10Dは、各センサ30,30A,30B,30Cそれぞれに対応して複数のファン13を備えていても良いし、各センサ30,30A,30B,30C,30Eそれぞれに対応して複数の電解液供給部40Dを備えていても良い。
【0115】
センサ30,30A,30B,30C,30Eは、装置本体部10に着脱自在な構成のものに限ることはなく、装置本体部10と一体的に構成されたものであっても良い。
【符号の説明】
【0116】
1 センサ装置
13 ファン
30,30A,30B,30C,30E センサ
32,32E センシング部
34 透過膜
321 反応物質複合体
322 色素複合体
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ及び当該センサを備えるセンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特定の物質を検出するためのセンサとして、当該検出に伴い色変化を生じるセンサが知られている。
具体的には、例えば、イオンを含む試料のイオン濃度を検出するイオンセンサであって、骨格材料のメソポーラスシリカに色素分子を保持させて複合化したイオンセンサ(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−327887公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、色素は酸化し易い。したがって、特許文献1記載のセンサ(イオンセンサ)のような、色素の色変化によって検出対象物質の検出が判定可能なセンサは安定性に欠けるため、再現性が悪い、寿命が短い等の問題がある。
【0005】
本発明の課題は、色素の色変化によって検出対象物質の検出が判定可能なセンサ及び当該センサを備えるセンサ装置において、安定性の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
検出対象物質を検出するセンサにおいて、
複数の細孔を有する色素固定化用担体と、当該細孔の内部に固定化され、前記検出対象物質の検出に応じて色変化を生じる色素と、を備える色素複合体を有するセンシング部を備え、
前記色素固定化用担体が有する細孔のサイズは、前記色素のサイズの0.5〜2.0倍であることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載のセンサにおいて、
前記センシング部は、前記検出対象物質と選択的に反応する反応物質を備え、
前記色素は、前記検出対象物質と前記反応物質との反応に基づいて色変化を生じることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、
請求項2に記載のセンサにおいて、
前記センシング部は、複数の細孔を有する反応物質固定化用担体を備え、
前記反応物質は、生体物質であり、前記反応物質固定化用担体が有する細孔の内部に固定化された状態で、前記センシング部に備えられており、
前記反応物質固定化用担体が有する細孔のサイズは、前記反応物質のサイズの0.5〜2.0倍であることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、
気体試料中の検出対象物質を検出するセンサにおいて、
センシング部と、
前記センシング部を覆い、少なくとも前記検出対象物質が透過する透過膜と、
を備え、
前記センシング部は、
複数の細孔を有する反応物質固定化用担体と、当該細孔の内部に固定化され、前記検出対象物質と選択的に反応する反応物質と、を備える反応物質複合体と、
複数の細孔を有する色素固定化用担体と、当該細孔の内部に固定化され、前記検出対象物質と前記反応物質との反応に基づいて色変化を生じる色素と、を備える色素複合体と、
を備え、
前記反応物質は、生体物質であり、
前記センシング部は、前記検出対象物質と前記反応物質との反応に必要な水分子を含有しており、
前記反応物質固定化用担体が有する細孔のサイズは、前記反応物質のサイズの0.5〜2.0倍であり、
前記色素固定化用担体が有する細孔のサイズは、前記色素のサイズの0.5〜2.0倍であることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、
気体試料中の検出対象物質を検出するセンサ装置において、
請求項1〜4の何れか一項に記載のセンサと、
前記センサに対して前記気体試料を供給するファンと、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、センサは、複数の細孔を有する色素固定化用担体と、当該細孔の内部に固定化され、検出対象物質の検出に応じて色変化を生じる色素と、を備える色素複合体を有するセンシング部を備え、色素固定化用担体が有する細孔のサイズは、色素のサイズの0.5〜2.0倍に設定されている。
すなわち、色素を色素固定化用担体の細孔の内部にしっかりと固定することができるため、固定された色素は酸化剤等の影響を受け難い。したがって、高い再現性及び長い寿命を有する、安定性の高いセンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態のセンサ装置の一例を示す平面斜視図である。
【図2】図1のII−II線における断面図である。
【図3】本実施形態のセンサの一例を示す平面斜視図である。
【図4】図3のIV−IV線における断面図である。
【図5】本実施形態のセンサが備える収容部の一例を示す平面図である。
【図6】実施例3での結果(検量線)を示す図である。
【図7】変形例1のセンサの一例を示す断面図である。
【図8】変形例2のセンサの一例を示す断面図である。
【図9】変形例2のセンサの他の一例を示す断面図である。
【図10】図9に示すセンサが備える収容部の一例を示す平面図である。
【図11】変形例2の装置本体部の一例を示す断面図である。
【図12】変形例2の装置本体部の他の一例を示す断面図である。
【図13】変形例3のセンサの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、発明の範囲は、図示例に限定されない。
なお、以下の説明では、本実施形態のセンサ装置1において、ファン13が配置された側を上側、センサ30が配置された側を下側、コード22が配置された側を後側、コード22が配置された側と対向する側を前側とする。そして、上下方向及び前後方向の双方に直交する方向を左右方向とする。
【0014】
<センサ装置>
本実施形態のセンサ装置1は、気体試料中の検出対象物質を検出する装置である。センサ装置1は、検出対象物質の検出に伴い色変化を生じる着脱自在なセンサ30を備え、センサ30の色変化によって、検出対象物質が試料中に含有されているか否か判定できるようになっている。
【0015】
具体的には、センサ装置1は、例えば、図1及び図2に示すように、外形略円柱形状の装置本体部10と、装置本体部10の内部に着脱・交換自在に装着されたセンサ30と、を備えて構成される。
【0016】
装置本体部10は、下側本体部11と、上側本体部12と、上側本体部12に取り付けられたファン13と、下側本体部11と上側本体部12とを連結するためのネジ14…と、を備えて構成される。ここで、図2において、ファン13は、断面図ではなく側面図となっている。
【0017】
下側本体部11は、中央に開口(観察窓11a)を有する略円環形状の下面部と、下面部の縁部から全周に亘り上方に向かって突出する周面部と、を備えている。すなわち、下側本体部11は、上面が開口した平面視略円形状の凹部を有しており、センサ30は、この凹部内に配置されている。
【0018】
上側本体部12は、下側本体部11と略同一の外径を有する略円筒形状を成している。すなわち、上側本体部12は、中央に上下方向に貫通する空洞部12aを有しており、ファン13は、この空洞部12a内上側に配置されている。これにより、ファン13が回転すると、センサ装置1の外部から空洞部12a内へと気体試料(外気等)が強制的に導入されるようになっている。
上側本体部12の上下方向中央よりも下側には、空洞部12aから放射状に、複数(例えば、12個)の貫通孔12bが設けられている。空洞部12a内へと導入された気体試料は、この貫通孔12b…を介してセンサ装置1の外部へと排気されるようになっている。
【0019】
下側本体部11の周面部には、上下方向に貫通する複数(例えば、4個)の孔部11bが設けられており、また、上側本体部12には、孔部11bと重なり合う位置に、孔部11bと略同一の径を有するネジ穴12cが、各孔部11bに対応して複数(4個)設けられている。そして、下側本体部11の下方側から孔部11bを介して上側本体部12のネジ穴12cに、ネジ14が螺合されることによって、下側本体部11と上側本体部12とが連結されている。
【0020】
ファン13は、回転軸の方向が上下方向となるように回転自在に支持部131に軸支されており、支持部131によって上側本体部12に固定されている。ファン13は、例えば、センサ装置1の電源がONされると、コード22,22を介して供給された電力に基づいて回転駆動されて、センサ装置1の外部から空洞部12a内へと気体試料を強制的に導入(すなわち、センサ30に対して気体試料を供給)するようになっている。
ここで、センサ装置1の電源は、例えば、センサ装置1を遠隔操作するためのリモコン(図示省略)を操作することによって、ON/OFFできるようしても良いし、例えば、装置本体部10にスイッチ(図示省略)を設け、このスイッチを操作することによって、ON/OFFできるようにしても良い。
【0021】
支持部131は、平板略矩形状を成しており、ファン13が配置された面を下に向けて、空洞部12aの上側を覆った状態で、上側本体部12に固定されている。
支持部131には、複数(例えば、3個)の吸気口131aが設けられている。ファン13が回転すると、気体試料が、吸気口131aを介してセンサ装置1の外部から空洞部12a内へと強制的に導入され、そして、貫通孔12b…を介して空洞部12a内からセンサ装置1の外部へと排気されるようになっている。
ここで、吸気口131a…は、常時開放されていても良いし、開閉自在であっても良い。吸気口131a…が開閉自在である場合、例えば、センサ装置1の電源がONされると開き、センサ装置1の電源がOFFされると閉じるようにすると良い。
【0022】
<センサ>
本実施形態のセンサ30は、検出対象物質の検出に伴い色変化を生じる、気体試料中の検出対象物質を検出するためのセンサである。
したがって、ユーザは、例えば、ファン13を回転させる等してセンサ30に対して気体試料を供給し、下側本体部11の観察窓11aから目視により(或いは、分光光度計等の装置を用いて)そのセンサ30の色変化を観察することによって、検出対象物質が試料中に含有されているか否か判定できるようになっている。
【0023】
具体的には、センサ30は、例えば、図2〜図4に示すように、外形略円板形状を成しており、収容部31と、収容部31に収容され、検出対象物質の検出に伴い色変化を生じるセンシング部32と、収容部31に収容され、センシング部32を取り囲む保水部33と、収容部31に収容され、センシング部32及び保水部33を覆う透過膜34と、中央に開口部35aを有する蓋部35と、を備えて構成される。
【0024】
収容部31は、略円板形状の下面部311と、下面部311の縁部から全周に亘り上方に向かって突出する周面部312と、を備えている。そして、例えば、図4及び図5に示すように、下面部311には、下面部311の上面中央部の略円形領域を取り囲むように、上方に向かって突出する略円弧状の2個の仕切り部313が互いに離間して設けられている。すなわち、収容部31は、上面が開口した平面視略円形状の凹部を有し、この凹部内は、仕切り部313,313により仕切られており、センシング部32は仕切り部313,313の内側に、保水部33は仕切り部313,313の外側に収容されている。
ここで、センサ装置1においては、センシング部32の色変化を、下側本体部11の観察窓11aから観察するようになっている。したがって、収容部31は、センシング部32の色変化を観察窓11aから観察可能となるように、少なくとも下面部311のセンシング部32に対応する部分が透明又は半透明の材料(例えば、PET(Polyethylene Terephthalate)樹脂)によって形成されていることが好ましい。
【0025】
センシング部32は、例えば、図4に示すように、検出対象物質と選択的に反応する酵素を備える複数の反応物質複合体321と、検出対象物質と酵素との反応に基づいて色変化を生じる色素を備える複数の色素複合体322と、を備えて構成される。
ここで、センシング部32において、反応物質複合体321…及び色素複合体322…は、電解液323中に分散されていることとする。すなわち、センシング部32は、検出対象物質と酵素との反応に必要な水分子を含有していることとする。
【0026】
反応物質複合体321は、複数の細孔を有する反応物質固定化用担体と、当該細孔の内部に固定化された酵素と、を備えて構成され、粉状又は粒状を成している。
【0027】
反応物質固定化用担体は、複数の細孔を有する多孔体であり、その細孔のサイズは、固定された酵素の立体構造の変化を防止可能な程度に設定されている。
具体的には、反応物質固定化用担体が有する細孔のサイズは、例えば、固定される酵素(酵素分子又は活性部位を含む酵素の断片)のサイズの0.5〜2.0倍程度であることが好ましく、固定される酵素のサイズの0.7〜1.4倍程度であることがより好ましく、固定される酵素のサイズとほぼ同一であることが最も好ましい。すなわち、反応物質固定化用担体が有する細孔の直径(中心細孔直径)は、固定される酵素の直径の0.5〜2.0倍程度であることが好ましく、固定される酵素の直径の0.7〜1.4倍程度であることがより好ましく、固定される酵素の直径とほぼ同一であることが最も好ましい。
なお、具体的な中心細孔直径の値は、酵素の直径との関係で決定されるので一律には規定できないが、例えば、酵素がホルムアルデヒド脱水素酵素である場合、ホルムアルデヒド脱水素酵素の直径は約8nmであるため、4nm〜16nm程度が好ましい。
ここで、酵素が多量体を形成する場合には、固定される酵素のサイズ(直径)は、多量体のサイズ(直径)とすることができる。ここで、多量体とは、2以上の酵素(タンパク質)が、直接に、或いは、水などの低分子を介して結合してなる化合物をいい、結合には、共有結合、イオン結合、水素結合、配位結合が含まれる。しかし、これらの結合の種類は、特に制限されない。
【0028】
色素複合体322は、複数の細孔を有する色素固定化用担体と、当該細孔の内部に固定化された色素と、を備えて構成され、粉状又は粒状を成している。
【0029】
色素固定化用担体は、複数の細孔を有する多孔体であり、その細孔のサイズは、固定された色素に対する酸化剤等の影響を抑制可能な程度に設定されている。
具体的には、色素固定化用担体が有する細孔のサイズは、例えば、固定される色素(色素分子)のサイズの0.5〜2.0倍程度であることが好ましく、固定される色素のサイズの0.7〜1.4倍程度であることがより好ましく、固定される色素のサイズとほぼ同一であることが最も好ましい。すなわち、色素固定化用担体が有する細孔の直径(中心細孔直径)は、固定される色素の直径の0.5〜2.0倍程度であることが好ましく、固定される色素の直径の0.7〜1.4倍程度であることがより好ましく、固定される色素の直径とほぼ同一であることが最も好ましい。
なお、具体的な中心細孔直径の値は、色素の直径との関係で決定されるので一律には規定できないが、例えば、色素がINT(2-(4-Iodophenyl)-3-(4-nitrophenyl)-5-phenyl-2H- tetrazolium chloride)である場合、INTの直径は約1.4nmであるため、0.7nm〜2.8nm程度が好ましい。
【0030】
反応物質固定化用担体及び色素固定化用担体としては、例えば、粉状又は粒状のシリカ系メソ多孔体を好ましく用いることができる。
シリカ系メソ多孔体は、例えば、ケイ酸やアルミナなどの各種金属酸化物、ケイ酸と他種の金属との複合酸化物等によって構成することができる。
例えば、ケイ酸により構成されるシリカ系メソ多孔体の作製においては、例えば、カネマイトのような層状シリケート、アルコキシシラン、シリカゲル、水ガラス、ケイ酸ソーダ等を好ましく用いることができる。
【0031】
具体的には、シリカ系メソ多孔体は、例えば、無機材料を界面活性剤と混合反応させて、界面活性剤のミセルの周りに無機の骨格が形成された界面活性剤/無機複合体を形成させた後、例えば、400℃〜600℃で焼成したり有機溶剤で抽出したりする等して界面活性剤を除去することにより作製される。これにより、シリカ系メソ多孔体は、無機骨格中に、界面活性剤のミセルと同じ形状のメソポア細孔を有するものとなる。
【0032】
シリカ系メソ多孔体の作製において、ケイ酸等のケイ素含有化合物を出発材料とする場合には、例えば、カネマイトのような層状シリケートを形成して、この層間にミセルを挿入し、そして、ミセルが存在しない層間をシリケート分子でつなぎ、その後、ミセルを除去することによって細孔を形成することができる。
また、シリカ系メソ多孔体の作製において、水ガラス等のケイ素含有物質を出発材料とする場合には、例えば、ミセルの周囲にシリケート分子を集合させて重合させることによりシリカを形成し、その後、ミセルを除去することによって細孔を形成することができる。この場合、通常、ミセルの形状は柱状となり、その結果、シリカ系メソ多孔体に、柱状の細孔が形成されることになる。
【0033】
シリカ系メソ多孔体は、作製段階で、界面活性剤のアルキル鎖の長さを変えてミセルの径を変化させることによって、細孔の内径を制御することができる。また、界面活性剤と併せて、トリメチルベンゼン、トリプロピルベンゼン等の比較的疎水性の分子を添加することによって、ミセルを膨潤させ、さらに大きな内径の細孔を形成することもできる。
【0034】
シリカ系メソ多孔体の細孔のサイズ(細孔の径)は、固定する酵素や色素のサイズ(酵素や色素の径)に応じて決定される。
すなわち、反応物質固定化用担体の場合、反応物質固定化用担体(シリカ系メソ多孔体)の細孔のサイズ(細孔の径)は、固定する酵素のサイズ(酵素の径)に応じて決定される。したがって、例えば、ミセルのサイズ(ミセルの径)が、酵素のサイズの0.5〜2.0倍となる界面活性剤を用いてシリカ系メソ多孔体を作製することによって、細孔のサイズが、固定する酵素のサイズの0.5〜2.0倍となるシリカ系メソ多孔体を得ることができる。
また、色素固定化用担体の場合、色素固定化用担体(シリカ系メソ多孔体)の細孔のサイズは、固定化する色素のサイズ(色素の径)に応じて決定される。したがって、例えば、ミセルのサイズが、色素のサイズの0.5〜2.0倍となる界面活性剤を用いてシリカ系メソ多孔体を作製することによって、細孔のサイズが、固定する色素のサイズの0.5〜2.0倍となるシリカ系メソ多孔体を得ることができる。
なお、シリカ系メソ多孔体における細孔の貫通方向は、任意であり、ランダムであっても良いし、一次元シリカナノチャンネルの集合体のように方向性が制御されたものであっても良い。
【0035】
シリカ系メソ多孔体の種類としては、細孔のサイズが均一であり、かつ、大きな空隙率を持つという特徴を有する、KSW、FSM、SBA、MCM、HOM等の公知の種類を採用することができる。
さらに、シリカ系メソ多孔体の種類としては、細孔のサイズが均一であり、かつ、細孔(チャンネル)の方向が一方向に向いているという特徴を有する、CTAB−M、P123−M、F127-M等の公知の種類を採用することができる。具体的には、CTAB−M、P123−M、F127-M等は、例えば、円筒形のアルミナ細孔内に界面活性剤を鋳型として作製され、アルミナ細孔の方向と同一のチャンネル方向を有するメソポーラスシリカナノチャンネル集合体(一次元シリカナノチャンネルの集合体)が充填された膜状のシリカ系メソ多孔体である。これらを乳鉢で細砕したものや、リン酸溶液等でアルミナ基板を溶解・除去して取り出したシリカチューブなどを利用することができる。
【0036】
なお、反応物質固定化用担体及び色素固定化用担体は、シリカ系メソ多孔体に限ることはなく、複数の細孔を有する多孔体であれば任意であり、例えば、親水性テフロン(登録商標)膜、ナイロン膜やその他の材質(例えば、セルロース混合エステル、ポリビニリデンジフロライド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタートなど)からなる親水性膜、多孔質アルミナ等の多孔体、ナイロンメッシュ等のメッシュ体などであっても良い。また、反応物質固定化用担体及び色素固定化用担体は、多孔体に限ることはなく、多孔体と同等の機能を有するもの(比表面積が大きく、かつ、細孔(流路)を持つもの)であれば任意であり、例えば、カーボンナノチューブ等の繊維状集合体などであっても良い。
【0037】
酵素は、検出対象物質と選択的に反応する酵素であれば任意であり、検出対象物質の種類によって適宜選択可能である。
具体的には、酵素は、例えば、酸化還元酵素、加水分解酵素、転移酵素、異性化酵素等の酵素(酵素タンパク質)であるが、これらに限定されるものではない。
また、酵素は、例えば、生来の酵素分子であっても良いし、活性部位を含む酵素の断片であっても良い。当該酵素分子又は当該活性部位を含む酵素の断片は、例えば、動植物や微生物から抽出したものであっても良いし、所望によりそれを切断したものであっても良いし、遺伝子工学的に又は化学的に合成したものであっても良い。
【0038】
反応物質固定化用担体に固定する酵素(すなわち、反応物質複合体321を構成する酵素)は、1種類の酵素であっても良いし、2種類以上の酵素であっても良い。
また、反応物質固定化用担体に固定する酵素が2種類以上である場合、酵素は、例えば、同種の検出対象物質(基質)に作用する2種類以上の酵素であっても良いし、異種の検出対象物質に作用する2種類以上の酵素であっても良いし、同種及び/又は異種の検出対象物質に作用する2種類以上の酵素であっても良い。
また、反応物質固定化用担体に固定する酵素が2種類以上である場合、その2種類以上の酵素は、反応物質固定化用担体が有する別々の細孔の内部に固定されていても良いし、同一の細孔の内部に固定されていても良い。
【0039】
酵素を反応物質固定化用担体に固定する方法としては、例えば、反応物質固定化用担体に酵素を含む溶液を滴下するディップ法、酵素を含む溶液に反応物質固定化用担体を漬侵する漬侵法、電場などの外場を利用して酵素を反応物質固定化用担体に導入する方法等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これにより、高次構造と活性を保持したまま、酵素を反応物質固定化用担体に固定化することができる。
さらに、必要に応じて、公知の酵素固定化法(例えば、導電性高分子、グルタルアルデヒド、光架橋性樹脂等を用いる固定化法等)と併用することもできる。
【0040】
ここで、特に酵素として補酵素依存型酵素を用いる場合、電解液323は、反応物質複合体321…及び色素複合体322…に加えて、補酵素を含有していることが好ましい。これにより、酵素反応を効率よく行わせることができる。
【0041】
補酵素は、酵素(補酵素依存型酵素)の種類に応じて、適宜選択することができる。具体的には、補酵素としては、例えば、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP+)、補酵素I、補酵素II、フラビンモノヌクレオチド(FMN)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、リポ酸、アデノシン三リン酸(ATP)、チアミンピロリン酸(TPP)、ピリドキサルリン酸(PALP)、テトラヒドロ葉酸(THF,Coenzyme F)、UDPグルコース(UDPG)、補酵素A、補酵素Q、ビオチン、補酵素B12(コバラミン)、S−アデノシルメチオニン等の1種又は2種以上の組み合わせが挙げられる。
【0042】
また、特に補酵素としてNAD+やNADP+などを用いる場合、電解液323は、さらに還元型補酵素(NADHやNADPHなど)を酸化型補酵素(NAD+やNADP+など)に戻すための補酵素酸化酵素(例えば、ジアホラーゼ)を含有していることが好ましい。
なお、補酵素や補酵素酸化酵素は、所定の担体に担持された状態(すなわち、所定の担体が有する細孔の内部に固定化された状態)で、電解液323に含有されていても良い。ここで、所定の担体とは、反応物質固定化用担体や色素固定化用担体であっても良いし、その他の担体であっても良い。
【0043】
具体的に、センサ30による検出原理について説明する。
酵素としてホルムアルデヒド脱水素酵素(FDH)、色素としてINTを用いて、ホルムアルデヒド(検出対象物質)を検出するセンサ30を構成する場合、FDHは補酵素依存型酵素であるため、電解液323に補酵素(NAD+)を保持させるとともに、補酵素酸化酵素(ジアホラーゼ)が担持された担体を保持させておくことが好ましい。
この場合、(1)HCHO+NAD++3H2O―(FDH)→HCOO−+NADH+2H3O+、(2)H++NADH+INT(薄黄色)―(ジアホラーゼ)→NAD++INTH2(暗赤色)という2段階の反応が起こる。具体的には、反応の第1段階で、ホルムアルデヒドがFDHの触媒によりギ酸に変化し、同時に、NAD+がNADH/H+になる。次いで、反応の第2段階で、ジアホラーゼによりNADH/H+からH/H+が黄色テトラゾリウム塩INT(2-(4-Iodophenyl)-3-(4-nitrophenyl)-5-phenyl-2H-tetrazolium chloride)に移動して、赤色ホルマザンとなる。
なお、2酵素系を利用せず、ジアホラーゼの代わりに電子伝達体を使用して、酵素反応を高速化することも可能である。
【0044】
色素は、検出対象物質と酵素との反応に基づいて、視認可能な色変化を生じる色素(蛍光色素も含む)であれば任意であり、検出対象物質の種類、反応物質複合体321を構成する酵素の種類によって適宜選択可能である。
ここで、「色の変化」とは、発色(着色)、脱色、色相の変化、明度の変化、彩度の変化、蛍光強度の変化等、或いは、これらの組み合わせであり、目視にて判定可能な変化であることが好ましい。
具体的には、色素としては、例えば、INT、MTT(3-(4,5-dimethyl-2-thiazolyl)-2,5- diphenyl-2H-tetrazolium bromide)、NTB(3,3'-[3,3'-Dimethoxy-(1,1'-biphenyl)- 4,4'-diyl]-bis[2-(4-nitrophenyl)-5-phenyl-2H-tetrazolium chloride])、XTT(2,3- bis-(2-methoxy-4-nitro-5-sulfophenyl)-2H-tetrazolium-5-carboxanilide)、WST−1(2-(4-Iodophenyl)-3-(4-nitrophenyl)-5-(2,4-disulfophenyl)-2H-tetrazolium,monosodium salt)、WST−3(2-(4-Iodophenyl)-3-(2,4-dinitrophenyl)-5-(2,4- disulfophenyl)-2H-tetrazolium,monosodium salt)、WST−8(2-(2-methoxy-4- nitrophenyl)-3-(4-nitrophenyl)-5-(2,4-disulfophenyl)-2H-tetrazolium, monosodium salt)等のアゾ色素が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、水溶性のものであっても、水不溶性のものであっても良く、感度、安定性、検出方式の簡便さ等を考慮して、適宜、適切な色素を選択することができる。
【0045】
色素固定化用担体に固定する色素(すなわち、色素複合体322を構成する色素)は、1種類の色素であっても良いし、2種類以上の色素であっても良い。
また、色素固定化用担体に固定する色素が2種類以上である場合、色素は、例えば、同種の反応(検出対象物質と酵素との反応)に基づいて色変化を生じる2種類以上の色素であっても良いし、異種の反応に基づいて色変化を生じる2種類以上の色素であっても良いし、同種及び/又は異種の反応に基づいて色変化を生じる2種類以上の酵素であっても良い。
また、色素固定化用担体に固定する色素が2種類以上である場合、その2種類以上の色素は、色素固定化用担体が有する別々の細孔の内部に固定されていても良いし、同一の細孔の内部に固定されていても良い。
【0046】
色素を色素固定化用担体に固定する方法としては、例えば、色素固定化用担体に色素を含む溶液を滴下するディップ法、色素を含む溶液に色素固定化用担体を漬侵する漬侵法、電場などの外場を利用して色素を色素固定化用担体に導入する方法等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0047】
保水部33は、例えば、センシング部32が含有する電解液323と略同一の電解液と、当該電解液を保持する保水材と、を備えて構成される。
保水部33は、収容部31内における仕切り部313,313の外側に備えられている。仕切り部313,313の外側と内側とは、仕切り部313同士の離間領域R,Rを介して連通しており、仕切り部313,313の内側に備えられたセンシング部32は、保水部33に含まれる電解液によって、水分子を含有する状態を好適に維持できるようになっている。
ここで、保水材は、電解液を保持可能なものであれば任意であり、具体的には、例えば、ガラスエポキシ材やこれを繊維として含む紙、濾紙等の保水作用を持つ紙、各種天然繊維や加工繊維、ウレタン等の樹脂、鉱物質、細粒材、ゲル体(コラーゲン、フィブリン、アルブミン、カゼイン、セルロースファイバー、セルローストリアセタール、寒天、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、カラギーナン、アガロース等の天然高分子、ポリアクリルアミド、ポリ−2−ヒドロキシエチルメタクリル酸、ポリビニルクロリド、γ−メチルポリグルタミン酸、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリジメチルアクリルアミド、ポリウレタン、光硬化樹脂(ポリビニルアルコール誘導体、ポリエチレングリコール誘導体、ポリプロピレングリコール誘導体、ポリブタジエン誘導体等)等の合成高分子、或いはこれらの複合体等のゲル体)等であるが、これらに限定されるものではない。
【0048】
透過膜34は、少なくとも検出対象物質が透過可能な膜であり、センシング部32及び保水部33を上側から覆って、センシング部32及び保水部33の乾燥を抑制している。
蓋部35が有する開口部35aによって透過膜34は一部(センシング部32に対応する部分)が露出されているため、空洞部12aに導入された気体試料(センサ30に供給された気体試料)中の検出対象物質は、透過膜34を透過してセンシング部32に移行する。そして、電解液323内を移動して、反応物質複合体321に到達し、この反応物質複合体321を構成する酵素と反応する。そして、当該反応により生じた生成物は、電解液323内を移動して、色素複合体322に到達し、この色素複合体322を構成する色素と反応する。これにより、色素は色変化を生じることとなる。したがって、透過膜34は、少なくとも検出対象物質が透過する透過膜(ガス透過膜)であれば任意であり、検出対象物質の種類によって適宜選択可能である。
【0049】
蓋部35は、収容部31の外径と略同一の外径を有する略円環形状を成している。すなわち、蓋部35は、中央に開口部35aを有している。
開口部35aは、仕切り部313,313により取り囲まれた略円形領域と略同一の大きさとなるよう設定されており、透過膜34の中央部(具体的には、透過膜34におけるセンシング部32を覆う部分)は、この開口部35aによって露出されている。
【0050】
収容部31と蓋部35とは互いに係合可能な形状に形成されており、蓋部35で収容部31に蓋をすることによって、センシング部32、保水部33及び透過膜34が収容部31に収容された状態を維持できるようになっている。
具体的には、例えば、収容部31の周面部312の上面には、全周に亘り凸部が設けられており、また、蓋部35の下面には、この凸部と重なり合う位置に、この凸部と係合可能な凹部が全周に亘って設けられている。そして、収容部31の上側に蓋部35を被せ、収容部31の凸部と蓋部35の凹部とを係合させると、収容部31と蓋部35とが連結され、蓋部35で収容部31に蓋ができるようになっている。
【0051】
<センサの製造方法>
センサ30の製造方法は、以下の[1]〜[4]の工程を含む。
【0052】
[1]反応物質複合体作製工程
反応物質複合体作製工程は、酵素と、反応物質固定化用担体と、により反応物質複合体321…を作製する工程である。
具体的には、例えば、酵素を電解液(緩衝液)に溶解させて酵素溶液を作製する。次いで、この酵素溶液と、反応物質固定化用担体と、を接触させて、反応物質固定化用担体の細孔の内部に酵素を吸着固定することによって、反応物質複合体321…を作製する。
【0053】
[2]色素複合体作製工程
色素複合体作製工程は、色素と、色素固定化用担体と、により色素複合体322…を作製する工程である。
具体的には、例えば、色素を電解液(緩衝液)に溶解させて色素溶液を作製する。次いで、この色素溶液と、色素固定化用担体と、を接触させて、色素固定化用担体の細孔の内部に色素を吸着固定することによって、色素複合体322…を作製する。
【0054】
[3]複合体含有電解液作製工程
複合体含有電解液作製工程は、反応物質複合体321…と、色素複合体322…と、を含有する複合体含有電解液を作製する工程である。
具体的には、例えば、電解液323中に、作製した反応物質複合体321…や色素複合体322…などを分散させることによって、複合体含有電解液を作製する。
【0055】
[4]センサ作製工程
センサ作製工程は、複合体含有電解液を用いてセンサ30を作製する工程である。
具体的には、例えば、収容部31内の仕切り部313,313の外側に保水部33を設置する。次いで、作製した複合体含有電解液を、収容部31内の仕切り部313,313の内側にマイクロピペット等を用いて滴下することによって、センシング部32を設置する。次いで、設置した保水部33及びセンシング部32を透過膜34で覆い、蓋部35で収容部31に蓋をすることによって、センサ30を作製する。
【0056】
なお、上記センサ30の製造方法は、一例であって、これに限定されるものではない。
【0057】
さらに、例えば、作製したセンサ30を装置本体部10の下側本体部11上に載置し、ネジ14…により、センサ30が載置された下側本体部11と、ファン13が取り付けられた上側本体部12と、を連結することによって、センサ装置1を組み立てる。
そして、組み立てたセンサ装置1の電源をONし、ファン13を回転させてセンサ30に対して気体試料を供給する。これにより、気体試料中の物質のうちの透過膜34を透過可能な物質をセンシング部32と接触させ、観察窓11aから目視により(或いは、分光光度計等の装置を用いて)センシング部32の色変化を観察することによって、検出対象物質が気体試料中に含有されているか否かを判定する。
【0058】
<実施例>
以下に、具体的な実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0059】
<実施例1>
実施例1では、色素複合体322を評価した。
【0060】
具体的には、色素(INT(20mg))をpH7.4のリン酸緩衝液(5cc)に溶解させ、それを、色素固定化用担体(FSM1.5(100mg))が入ったファルコンチューブに添加し、一晩攪拌して、色素複合体322を作製した。
比較のために、色素(INT(20mg))をpH7.4のリン酸緩衝液(5cc)に溶解させ、一晩攪拌し、それを、色素固定化用担体(FSM1.5(100mg))が入ったファルコンチューブに添加して、比較用の複合体を作製した。
【0061】
そして、作製した色素複合体322と、作製した比較用の複合体と、の色を目視にて観察した。
その結果、色素複合体322の色は淡黄色、比較用の複合体の色は赤色であることが分かった。すなわち、比較用の複合体においては、色素固定化用担体にINTを担持させる前(すなわち、一晩攪拌している間)に、有機色素であるINTが酸化してしまって赤色に変色したのに対し、色素複合体322においては、FSM(色素固定化用担体)にINTを担持させた状態で一晩攪拌したため、INTの酸化が抑えられ、変色(自然発色)しないことが分かった。
以上の結果から、色素(特に有機色素)は溶液に含まれる酸化剤等の影響によって当該溶液中で酸化されて徐々に変色するが、色素を色素固定化用担体に担持させると(すなわち、色素固定化用担体が有する細孔内に色素を固定化すると)、色素の変色を抑制でき、溶液中での色素の安定性が向上することが分かった。これは、色素が、色素固定化用担体の細孔の内部に、酸化剤等の影響を受け難い程度にしっかりと固定されているためであると考えられる。また、本実施例で使用した色素固定化用担体は還元剤であるFSMであるため、より一層、色素の酸化を抑えることができたと考えられる。
【0062】
<実施例2>
実施例2では、色素固定化用担体の細孔のサイズを評価した。
【0063】
具体的には、色素(INT(20mg))をpH7.4のリン酸緩衝液(5cc)に溶解させ、それを、細孔径が1.5nmの色素固定化用担体(FSM1.5(100mg))が入ったファルコンチューブに添加し、一晩攪拌して、色素複合体322を作製した。
比較のために、色素(INT(20mg))をpH7.4のリン酸緩衝液(5cc)に溶解させ、それを、細孔径が4.0nmの色素固定化用担体(FSM4.0(100mg))が入ったファルコンチューブに添加し、一晩攪拌して、比較用の複合体を作製した。
【0064】
そして、作製した色素複合体322と、作製した比較用の複合体と、をpH7.4のリン酸緩衝液中で2か月間保存(保存温度:室温)し、色変化を目視にて観察した。
その結果、2か月後の色素複合体322の色は淡黄色、比較用の複合体の色は赤色であることが分かった。すなわち、比較用の複合体においては、FSMにINTを担持させても、保存している間にINTが酸化してしまって赤色に変色したのに対し、色素複合体322においては、FSM(色素固定化用担体)の細孔のサイズがINTのサイズ(直径:約1.4nm)の0.5〜2.0倍の範囲内にあり、INTを、酸化剤等の影響を受け難い程度にFSMの細孔の内部にしっかりと固定することができるため、INTの酸化が抑えられ、変色(自然発色)しないことが分かった。
【0065】
また、作製した色素複合体322と、作製した比較用の複合体と、をpH7.4のリン酸緩衝液中で60分間保存(保存温度:50℃)し、色変化を目視にて観察した。
その結果、時間が経過するにつれて、色素複合体322も比較用の複合体も徐々に変色していったが、変色の度合いは、比較用の複合体の方が大きかった。
【0066】
以上の結果から、細孔のサイズが色素のサイズの0.5〜2.0倍の範囲内にある色素固定化用担体に色素を担持させると、色素の変色を抑制でき、溶液中での色素の安定性が向上することが分かった。
【0067】
<実施例3>
実施例3では、検出対象物質(ホルムアルデヒド)を含有するガスを用いて、センサ30を評価した。
【0068】
(センサの作製)
まず、センサ30を作製した。
具体的には、絶縁体であるピーク材を使用して、旋盤やフライス盤を用いて、装置本体部10、収容部31(周面部312の外径:20mm、仕切り部313,313が取り囲む円形領域の直径:5mm、仕切り部313の高さ(上下方向の長さ):1.5mm)、蓋部35(開口部35aの直径:5mm)等を作製した。
次いで、上側本体部12にファン13を取り付けた。
【0069】
次に、検出対象物質と選択的に反応する酵素(ホルムアルデヒド脱水素酵素(20mg))をpH7.4のリン酸緩衝液(3cc)に溶解させ、それを、細孔径が8.0nmの反応物質固定化用担体(FSM8.0(100mg))が入ったファルコンチューブに添加して、一晩攪拌した。
次いで、遠心分離を行い、上澄み液を捨てて、反応物質複合体321を取り出した。
次いで、取り出した反応物質複合体321にpH7.4のリン酸緩衝液を加えて3ccとした。以下、これを「反応物質複合体含有液」という。
【0070】
また、補酵素酸化酵素(ジアホラーゼ(10mg)をpH7.4のリン酸緩衝液(3cc)に溶解させ、それを、所定の担体(FSM8.0(100mg))が入ったファルコンチューブに添加して、一晩攪拌した。
次いで、遠心分離を行い、上澄み液を捨てて、補酵素酸化酵素複合体を取り出した。
次いで、取り出した補酵素酸化酵素複合体にpH7.4のリン酸緩衝液を加えて3ccとした。以下、これを「補酵素酸化酵素複合体含有液」という。
【0071】
また、色素(INT(20mg))をpH7.4のリン酸緩衝液(5cc)に溶解させ、それを、色素固定化用担体(FSM1.5(100mg))が入ったファルコンチューブに添加して、一晩攪拌した。
次いで、遠心分離を行い、上澄み液を捨てて、色素複合体322を取り出した。
【0072】
次に、収容部31内における仕切り部313,313の外側に保水部33を設置した。
【0073】
次に、色素複合体322に、反応物質複合体含有液(1.5cc)及び補酵素酸化酵素複合体含有液(1.5cc)を加えて攪拌し、それを、マイクロピペットにて10μL採取して、収容部31内における仕切り部313,313の内側に滴下した。
次いで、補酵素(NAD+(50mg))をpH7.4のリン酸緩衝液(5cc)に溶解したものを、マイクロピペットにて10μL採取して、収容部31内における仕切り部313,313の内側に滴下することによって、センシング部32を設置した。
次いで、設置したセンシング部32及び保水部33を透過膜34で覆い、蓋部35で収容部31に蓋をすることによって、センサ30を作製した。
【0074】
(センサの評価1)
次に、作製したセンサ30を、分光光度計を用いて評価した。
具体的には、作製したセンサ30を、ホルムアルデヒド濃度が6ppbのホルムアルデヒドガスと15分間接触させ、分光光度計を用いて波長500nmでの反射による吸光度を測定することにより、センサ30の色変化を観察した。また、ホルムアルデヒド濃度が60ppb、100ppb、200ppb、300ppb、400ppb及び1200ppbのホルムアルデヒドガスそれぞれを使用して同様の測定を行った。そして、これらの測定結果に基づいて、ホルムアルデヒド濃度と吸光度(=Log(I0/I)、I0:入射光の強度,I:反射光の強度)との関係を示す検量線を作成した。その結果を図6に示す。
【0075】
図6に示すように、センサ30においては、6ppb〜400ppbの濃度範囲で高い線形性を有する検量線が得られることが分かった。
以上の結果から、センサ30は、迅速かつ高感度に検出対象物質を検出できることが分かった。
【0076】
(センサの評価2)
次に、作製したセンサ30を4個用意し、そのうちの3個を50℃に保たれたデシケータ中で保存し(保存時間15分、30分及び60分)、残りの1個は室温中で放置した。次いで、デシケータ中の3個のセンサ30をデシケータから取り出して、室温中に放置したセンサ30と一緒に、ホルムアルデヒド濃度が60ppbのホルムアルデヒドガス中に暴露し、各センサ30の色変化を目視にて観察した。
その結果、センサ30は何れも、ホルムアルデヒドガスと15分程度接触させただけで明瞭な色変化を確認でき、色の劣化も見られなかった。
【0077】
以上の結果から、センサ30は、迅速かつ高感度に検出対象物質を検出できるとともに、保存温度を50℃として15分間、30分間及び60分間保存した後であっても、酵素活性が残る安定性の高いセンサであることが分かった。これは、色素が、色素固定化用担体の細孔の内部に酸化剤等の影響を受け難い程度にしっかりと固定されているとともに、酵素が、反応物質固定化用担体の細孔の内部に酵素の立体構造の変化を防止できる程度にしっかりと固定されているためであると考えられる。
【0078】
以上説明した本発明のセンサ30及びセンサ装置1によれば、センサ30は、複数の細孔を有する色素固定化用担体と、当該細孔の内部に固定化され、検出対象物質の検出に応じて色変化を生じる色素と、を備える色素複合体322を有するセンシング部32を備え、色素固定化用担体が有する細孔のサイズは、色素のサイズの0.5〜2.0倍に設定されている。
すなわち、色素を色素固定化用担体の細孔の内部にしっかりと固定することができ、固定された色素は酸化剤等の影響を受け難い。したがって、高い再現性及び長い寿命を有する、安定性の高いセンサ30を提供することができる。
また、センサ30は、検出対象物質の検出をセンサ30の色変化によって判定可能であるとともに、装置本体部10に装着するだけで(或いは、そのままでも)使用できるため、取り扱い易い。したがって、センサ30は、一般家庭等でも気軽に使うことができる。
【0079】
また、以上説明した本発明のセンサ30及びセンサ装置1によれば、センシング部32は、複数の細孔を有する反応物質固定化用担体と、当該細孔の内部に固定化され、検出対象物質と選択的に反応する酵素と、を備える反応物質複合体321を備え、色素複合体322を構成する色素は、検出対象物質と酵素との反応に基づいて色変化を生じる色素であり、反応物質固定化用担体が有する細孔のサイズは、酵素のサイズの0.5〜2.0倍に設定されている。
すなわち、酵素を、反応物質固定化用担体の細孔の内部にしっかりと固定することができるため、酵素の立体構造の変化を防止することができる。したがって、より安定性の高いセンサ30を提供することができる。
【0080】
さらに、酵素や色素は溶液中での経時変化が大きく、すぐに劣化してしまうため、溶液中で安定的に保存することは困難である。そのため、酵素や色素を使用した従来のセンサにおいては、例えば、乾燥状態のまま冷蔵庫等で保存して、使用時に高純度蒸留水等を滴下する必要があり、使い勝手が悪いという問題があった。これに対し、本発明のセンサ30においては、酵素は反応物質固定化用担体の細孔の内部に固定化されるとともに、色素は色素固定化用担体の細孔の内部に固定化されているため、電解液323に分散された状態でも安定的に保存することができる。したがって、センサ30においては、使用時に高純度蒸留水等を滴下する等の前処理が不要であり、そのまま使用できるため、使い勝手が良い。
【0081】
また、以上説明した本発明のセンサ30及びセンサ装置1によれば、センシング部32は、水分子を含有している。
したがって、センシング部32内で、検出対象物質と酵素との反応や、当該反応により生じる生成物と色素との反応などが効率よく行われるため、センサ30の感度を向上させることができる。
また、色素は、特に溶液中で保存すると、溶液中に溶存する酸化剤等の影響によって劣化(酸化)し易いが、センサ30においては、色素が色素固定化用担体に固定されており劣化し難くいため、好適である。
また、酵素は、特に溶液中で保存すると、劣化(立体構造が変化)し易いが、センサ30においては、酵素が反応物質固定化用担体に固定されており劣化し難いため、好適である。
【0082】
また、以上説明した本発明のセンサ30及びセンサ装置1によれば、センシング部32は、少なくとも検出対象物質が透過する透過膜34により覆われている。
すなわち、センシング部32中の水の蒸発を抑制できる。したがって、センサ30は、ファン13により気体試料が吹き付けられても、センシング部32に水分子が含有された状態を長時間維持することができるため、好適である。
【0083】
また、以上説明した本発明のセンサ装置1によれば、センサ30に対して気体試料を供給するファン13を備えている。
したがって、センサ30に対して強制的に気体試料を供給しない場合と比較して、透過膜34に対する検出対象物質の透過性が向上するため、センサ30の感度を向上させることができる。
【0084】
なお、本発明は、上記した実施の形態のものに限るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0085】
<変形例1>
センサ30は、少なくともセンサ30の使用時に、蓋部35が有する開口部35aによって透過膜34の一部(センシング部32に対応する部分)が露出されているのであれば、例えば、図7に示すセンサ30Aのように、蓋部35が有する開口部35aを塞ぐ密閉用シール36Aを備えるものであっても良い。
【0086】
密閉用シール36Aは、気体及び液体を透過させない(或いは、透過し難い)材質のシール材によって形成されている。ユーザは、例えば、この密閉用シール36Aを剥がしてから、センサ30Aを装置本体部10に装着する等して、センサ30Aを使用するようになっている。
【0087】
以上説明した変形例1のセンサ30Aによれば、蓋部35が有する開口部35aを塞ぐ密閉用シール36Aを備えている。
したがって、密閉用シール36Aで開口部35aが塞がれている間は、センシング部32中の水の蒸発を防止することができるとともに、センシング部32(反応物質複合体321)と検出対象物質との接触を防止することもできる。そのため、例えば、センサ30Aを未使用のまま長期間保存したとしても、密閉用シール36Aで開口部35aが塞がれている状態であれば、センシング部32に水分子が含有された状態を維持でき、また、センシング部32の色変化を防止できるため、保存安定性の高いセンサ30Aを提供することができる。
【0088】
<変形例2>
センサ30は、少なくともセンサ30の使用時に、反応物質複合体321…及び色素複合体322…が電解液323中に分散したセンシング部32が形成されているのであれば、例えば、図8に示すセンサ30Bのように、蓋部35Bで収容部31Bに蓋をすると、センシング部32が形成されるものであっても良い。
【0089】
センサ30Bは、例えば、収容部31Bと、収容部31Bに収容された反応物質複合体321…、色素複合体322…及び電解液323と、収容部31Bに収容され、反応物質複合体321…、色素複合体322…及び電解液323を覆う透過膜34と、中央に開口部35aを有する蓋部35Bと、を備えて構成されており、蓋部35Bは、例えば、センサ30Bを使用する直前に収容部31Bに装着されるようになっている。
【0090】
収容部31Bは、下面部311と、周面部312と、下面部311の上面中央部の略円形領域を取り囲むように上方に向かって突出する略円環形状の仕切り部313Bと、周面部312の上端と連結する略円環形状の上面部314Bと、を備えている。
変形例2のセンサ30Bが備える仕切り部313Bは、例えば、上記実施形態のセンサ30が備える仕切り部313,313同士を連結した形状を成している。すなわち、センサ30Bにおいて、仕切り部313,313の外側と内側とは、連通していないこととする。
また、上面部314Bが有する開口は、仕切り部313Bの外径よりも大きくなるよう設定されており、当該開口によって透過膜34のセンシング部32に対応する部分は露出されている。
【0091】
蓋部35Bは、収容部31Bの外径と略同一の外径を有する略円環形状を成している。すなわち、蓋部35Bは、中央に開口部35aを有しており、この開口部35aは、仕切り部313Bの内径と略同一の大きさとなるよう設定されている。
蓋部35Bの下面中央部には、開口部35aと同一の大きさの内径を有し、かつ、上面部314Bの開口よりも小さい外径を有する略円環形状の凸部351Bが設けられている。
凸部351Bは、下面端部から全周に亘り下方に向かって突出する突出部352Bを有しており、この突出部352Bは、蓋部35Bで収容部31Bに蓋をした状態(図8における下図)において、仕切り部313Bの外側に配置されるようになっている。
【0092】
ここで、蓋部35Bで収容部31Bに蓋をする前の状態(図8における上図)において、反応物質複合体321…及び色素複合体322…は、収容部31B内における仕切り部313Bの内側に収容されており、電解液323は、収容部31B内における仕切り部313Bの外側に収容されている。また、透過膜34は、仕切り部313Bの上面に載置され、収容部31Bに収容された反応物質複合体321…、色素複合体322…及び電解液323を覆っている。
蓋部35Bで収容部31Bに蓋をするために、蓋部35Bを押し込んでいくと、仕切り部313Bの外側において、透過膜34が突出部352Bに押されて変形するため、仕切り部313Bの外側に収容されている電解液323の一部が仕切り部313Bの内側へと移動して、仕切り部313Bの内側に電解液323が供給されていく。これにより、仕切り部313Bの内側に、反応物質複合体321…及び色素複合体322…が電解液323中に分散したセンシング部32が形成される。
そして、蓋部35Bが収容部31Bに装着されると(図8における下図)、蓋部35Bの端部は、収容部31Bの上面部314Bと接し、凸部351Bは、上面部314Bが有する開口の内部に配置されて、凸部351Bの下面と仕切り部313Bの上面とで透過膜34を挟み込み、透過膜34を押さえつけている。これにより、仕切り部313Bの内側にセンシング部32が形成された状態が維持される。
【0093】
以上説明した変形例2のセンサ30Bによれば、蓋部35Bで収容部31Bに蓋をする前の状態においては、収容部31Bに、反応物質複合体321…及び色素複合体322…と、電解液323と、が別々に収容されている。
すなわち、例えば、センサ30Aを未使用のまま長期間保存したとしても、蓋部35Bで収容部31Bに蓋をする前の状態であれば、色素複合体322…中の色素及び反応物質複合体321…中の酵素は電解液323と接触していない。したがって、当該色素及び当該酵素の劣化をより一層抑制することができるため、保存安定性の高いセンサ30Bを提供することができる。
【0094】
なお、変形例2のセンサ30Bは、収容部31Bの上面部314Bが有する開口を塞ぐ密閉用シールを備えるものであっても良い。この場合、ユーザは、例えば、この密閉用シールを剥がして、蓋部35Bで収容部31Bに蓋をしてから、センサ30Bを装置本体部10に装着する等して、センサ30Bを使用するようになっている。
【0095】
また、変形例2において、仕切り部313Bの内側に電解液323を供給してセンシング部32を形成する手法は、蓋部35Bで透過膜34を変形させる手法に限ることはなく、例えば、図9に示すセンサ30Cのように、蓋部35Cで離間領域R,Rを塞ぐ突起315Cを除去する手法であっても良い。
【0096】
センサ30Cの収容部31Cは、例えば、図9及び図10に示すように、下面部311の上面中央部の略円形領域を取り囲む略円弧状の2個の仕切り部313と、仕切り部313同士の離間領域R,Rを除去自在に塞ぐ突起315C,315Cと、を備えている。
また、センサ30Cの蓋部35Cは、突出部352C,352Cを備えており、蓋部35Cで収容部31Cに蓋をして、その状態で蓋部35Cを回すと、突出部352C,352Cの側面で仕切り部313,313を除去できるようになっている。
仕切り部313,313が除去されると、離間領域R,Rを介して、仕切り部313,313の外側に収容されている電解液323の一部が仕切り部313,313の内側へと移動し、仕切り部313,313の内側に電解液323が供給されていく。これにより、仕切り部313,313の内側に、反応物質複合体321…及び色素複合体322…が電解液323中に分散したセンシング部32が形成される。
この場合、透過膜34を破らずに、突出部352C,352Cの側面で、突起315C315Cを除去することが望ましいため、透過膜34は、例えば、100μm程度の厚みを有する弾性のあるテフロン膜等であることが好ましい。
【0097】
また、変形例2において、仕切り部313Bの内側に電解液323を供給してセンシング部32を形成する手法は、蓋部35Bで収容部31Bに蓋をする手法に限ることはなく任意である。
【0098】
具体的には、例えば、図11及び図12に示す装置本体部10Dのように、仕切り部313,313の内側に電解液323を供給可能なインクジェット素子等の電解液供給部40Dを備えて、この電解液供給部40Dを作動させると、仕切り部313,313の内側に電解液323が供給されてセンシング部32が形成されるようにしても良い。
【0099】
具体的には、図11に示す装置本体部10Dは、電解液供給部40Dによって、センサ30の上側から電解液323を供給するようになっている。したがって、センサ30の透過膜34は少なくとも検出対象物質及び電解液323が透過可能な膜(例えば、親水処理を施したPTFE(Polytetrafluoroethylene)膜)であることが好ましい。
また、図12に示す装置本体部10Dは、電解液供給部40Dによって、センサ30の下側から電解液323を供給するようになっている。したがって、センサ30の収容部31は、少なくとも下面部311のセンシング部32に対応する部分が、電解液323が透過可能な材料(例えば、親水処理を施したPTFE等)で形成されていることが好ましい。さらに、図12に示す装置本体部10Dには、センシング部32の色変化をセンサ30の上方から観察可能となるような位置に、観察窓11aが設けられていることとする。
【0100】
なお、電解液供給部40Dにより仕切り部313,313の内側に電解液が供給される場合、センサ30の保水部33は、予め電解液を含んでいなくても良く、例えば、電解液供給部40Dにより仕切り部313,313の内側に供給され、離間領域R,Rを介して仕切り部313,313の外側に移動してきた電解液を含むようにしても良い。
【0101】
<変形例3>
センサ30は、例えば、図13に示すセンサ30Eのように、複数の反応物質複合体321と、複数の色素複合体322と、反応物質複合体321…と色素複合体322…とを保持するゲル体324Eと、により構成されるゲル状のセンシング部32Eを備えるものであっても良い。
【0102】
ゲル体324Eは、検出対象物質や生成物が透過可能であり、かつ検出対象物質と酵素との反応に必要な水分子を含有するヒドロゲルであれば任意であり、具体的には、例えば、コラーゲン、フィブリン、アルブミン、カゼイン、セルロースファイバー、セルローストリアセタール、寒天、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、カラギーナン、アガロース等の天然高分子、ポリアクリルアミド、ポリ−2−ヒドロキシエチルメタクリル酸、ポリビニルクロリド、γ−メチルポリグルタミン酸、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリジメチルアクリルアミド、ポリウレタン、光硬化樹脂(ポリビニルアルコール誘導体、ポリエチレングリコール誘導体、ポリプロピレングリコール誘導体、ポリブタジエン誘導体等)等の合成高分子、或いはこれらの複合体等のゲル体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0103】
センシング部32Eは、例えば、ゾル化した電解液中に、反応物質複合体321…や色素複合体322…などを分散させることによって、複合体含有ゾルを作製し、作製した複合体含有ゾルを、マイクロピペット等を用いて所定の水溶液中に滴下し、略球状に形成することによって作製することができる。
【0104】
センサ30Eは、例えば、収容部31Bと、収容部31Bに収容され、略球状に形成されたゲル状のセンシング部32Eと、収容部31Bに収容され、センシング部32Eを覆う透過膜34と、中央に開口部35aを有する蓋部35Eと、を備えて構成される。
【0105】
蓋部35Eは、収容部31Bの外径と略同一の外径を有する略円環形状を成している。すなわち、蓋部35Bは、中央に開口部35aを有しており、開口部35aは、仕切り部313Bの外径よりも大きくなるよう設定されている。
蓋部35Eの下面には、開口部35aと同心円であるとともに、開口部35aよりも大きい内径を有し、かつ、上面部314Bの開口よりも小さい外径を有する略円環形状の突出部352Eが設けられている。センシング部32E及び透過膜34が収容された収容部31Bに、上側から蓋部35Eを被せると、蓋部35Eの突出部352Eと収容部31Bの下面部311とで透過膜34を挟み込み、透過膜34を押さえつけることができるようになっている。
【0106】
以上説明した変形例3のセンサ30Eによれば、センシング部32Eは、複数の反応物質複合体321と、複数の色素複合体322と、反応物質複合体321…と色素複合体…とを保持するゲル体324Eと、により構成されている。
すなわち、センシング部32Eは、ゲル体324Eによって、複数の反応物質複合体321と複数の色素複合体322とをまとめて一体的に保持されており、反応物質複合体321や色素複合体322が飛び散ったり壊れたりしてしまうことがなく、また、指やピンセットなどで摘みやすい形状に形成できるため、取り扱い易くなっている。したがって、収容部31B内に収容し易く、精度及び再現性が高いセンサ30Eを容易に作製することができる。
【0107】
なお、変形例3のセンサ30Eにおいて、センシング部32Eの形状は、略球状に限ることはなく任意である。
また、作製したゲル状のセンシング部32Eを、所定の油溶液(大豆油、サラダ油、パラフィンオイル、シリコンオイル等)中に浸漬したり、界面活性剤に浸した後に所定の油溶液中に浸漬したり、或いは、作製した複合体含有ゾルを、マイクロピペット等を用いて所定の油溶液中に滴下することによりゲル状のセンシング部32Eを形成したりする等して、センシング部32Eの表面(ゲル体324Eの表面)を油脂膜で覆うようにしても良い。これにより、センシング部32E内部の水分の蒸発を防ぐことができる。ここで、ホルムアルデヒド等の検出対象物質は油脂膜を透過することができる。したがって、高い検出性能を維持したまま、ゲル体324E内部の水分の蒸発を防ぐことができるため、安定性をより一層向上させることができ、かつ、更なる長寿命化を図ることができる。
【0108】
なお、上記実施形態及び変形例1〜3において、検出対象物質と選択的に反応する酵素と、補酵素酸化酵素と、を別々の担体に固定化するようにしたが、これに限ることはなく、同一の担体に固定化しても良い。この場合、当該担体としては、酵素のサイズの0.5〜2.0倍のサイズを有する細孔(第1細孔)と、補酵素酸化酵素のサイズの0.5〜2.0倍のサイズを有する細孔(第2細孔)と、の双方を有する担体が好ましい。
また、検出対象物質と選択的に反応する酵素と、当該反応に基づいて色変化を生じる色素と、を別々の担体に固定化するようにしたが、これに限ることはなく、同一の担体に固定化するようにしても良い。この場合、当該担体としては、酵素のサイズの0.5〜2.0倍のサイズを有する細孔(第1細孔)と、色素のサイズの0.5〜2.0倍のサイズを有する細孔(第3細孔)と、の両方を有する担体が好ましい。
【0109】
上記実施形態及び変形例1〜2において、酵素を、反応物質固定化用担体が有する細孔の内部に固定化された状態で、電解液323中に分散するようにしたが、これに限ることはなく、例えば、酵素は、反応物質固定化用担体に担持されずに、電解液323中に直接分散されていても良い。
また、変形例3において、酵素を、反応物質固定化用担体が有する細孔の内部に固定化された状態で、ゲル体324Eに保持するようにしたが、これに限ることはなく、例えば、酵素は、反応物質固定化用担体に担持されずに、ゲル体324Eに直接保持されていても良い。
【0110】
実施例では、反応物質複合体321を構成する酵素としてホルムアルデヒド脱水素酵素を用いたが、酵素はホルムアルデヒド脱水素酵素に限ることはなく、検出対象物質(グルコース、アルコール、コレステロール、乳酸、尿酸、農薬、VOC(Volatile Organic Compounds)等)に応じて適宜任意に変更可能である。
【0111】
反応物質複合体321を構成する反応物質は、酵素に限ることはなく、検出対象物質と選択的に反応する物質であれば任意であり、検出対象物質に応じて適宜任意に変更可能である。具体的には、反応物質としては、例えば、生体由来の分子識別素子(タンパク質等の生体物質(生体触媒)など)、パラジウムや白金などの金属触媒、酸化ルテニウムや酸化マンガン、酸化鉄、酸化チタンなどの酸化触媒、その他の有機触媒又は無機触媒、各種ポリマー、ポリマーコンプレックス、ポリイオンコンプレックス等が挙げられる。
なお、反応物質複合体321を構成する反応物質の種類は、1種類であっても良いし、複数種類であっても良い。
【0112】
上記実施形態及び変形例1〜2において、収容部31,31B,31C及び蓋部35,35B,35Cの構成は、上記したものに限るものではなく、液体状(或いは、粉体状であっても良い)のセンシング部32を収容できるものであれば任意である。
また、上記変形例3において、収容部31B及び蓋部35Eの構成は、上記したものに限るものではなく、ゲル状のセンシング部32Eを収容できるものであれば任意である。
【0113】
センサ30,30A,30B,30C,30Eは、装置本体部10,10Dに装着せずにそのまま使用しても良い。
また、センサ30,30A,30B,30C,30Eは、液体試料中の検出対象物質を検出するために使用しても良い。
【0114】
装置本体部10,10Dは、1個のセンサ30,30A,30B,30C,30Eを装着可能な構成のものに限ることはなく、複数個のセンサ30,30A,30B,30C,30Eを装着可能な構成のものであっても良い。この場合、装置本体部10,10Dは、各センサ30,30A,30B,30Cそれぞれに対応して複数のファン13を備えていても良いし、各センサ30,30A,30B,30C,30Eそれぞれに対応して複数の電解液供給部40Dを備えていても良い。
【0115】
センサ30,30A,30B,30C,30Eは、装置本体部10に着脱自在な構成のものに限ることはなく、装置本体部10と一体的に構成されたものであっても良い。
【符号の説明】
【0116】
1 センサ装置
13 ファン
30,30A,30B,30C,30E センサ
32,32E センシング部
34 透過膜
321 反応物質複合体
322 色素複合体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象物質を検出するセンサにおいて、
複数の細孔を有する色素固定化用担体と、当該細孔の内部に固定化され、前記検出対象物質の検出に応じて色変化を生じる色素と、を備える色素複合体を有するセンシング部を備え、
前記色素固定化用担体が有する細孔のサイズは、前記色素のサイズの0.5〜2.0倍であることを特徴とするセンサ。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサにおいて、
前記センシング部は、前記検出対象物質と選択的に反応する反応物質を備え、
前記色素は、前記検出対象物質と前記反応物質との反応に基づいて色変化を生じることを特徴とするセンサ。
【請求項3】
請求項2に記載のセンサにおいて、
前記センシング部は、複数の細孔を有する反応物質固定化用担体を備え、
前記反応物質は、生体物質であり、前記反応物質固定化用担体が有する細孔の内部に固定化された状態で、前記センシング部に備えられており、
前記反応物質固定化用担体が有する細孔のサイズは、前記反応物質のサイズの0.5〜2.0倍であることを特徴とするセンサ。
【請求項4】
気体試料中の検出対象物質を検出するセンサにおいて、
センシング部と、
前記センシング部を覆い、少なくとも前記検出対象物質が透過する透過膜と、
を備え、
前記センシング部は、
複数の細孔を有する反応物質固定化用担体と、当該細孔の内部に固定化され、前記検出対象物質と選択的に反応する反応物質と、を備える反応物質複合体と、
複数の細孔を有する色素固定化用担体と、当該細孔の内部に固定化され、前記検出対象物質と前記反応物質との反応に基づいて色変化を生じる色素と、を備える色素複合体と、
を備え、
前記反応物質は、生体物質であり、
前記センシング部は、前記検出対象物質と前記反応物質との反応に必要な水分子を含有しており、
前記反応物質固定化用担体が有する細孔のサイズは、前記反応物質のサイズの0.5〜2.0倍であり、
前記色素固定化用担体が有する細孔のサイズは、前記色素のサイズの0.5〜2.0倍であることを特徴とするセンサ。
【請求項5】
気体試料中の検出対象物質を検出するセンサ装置において、
請求項1〜4の何れか一項に記載のセンサと、
前記センサに対して前記気体試料を供給するファンと、
を備えることを特徴とするセンサ装置。
【請求項1】
検出対象物質を検出するセンサにおいて、
複数の細孔を有する色素固定化用担体と、当該細孔の内部に固定化され、前記検出対象物質の検出に応じて色変化を生じる色素と、を備える色素複合体を有するセンシング部を備え、
前記色素固定化用担体が有する細孔のサイズは、前記色素のサイズの0.5〜2.0倍であることを特徴とするセンサ。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサにおいて、
前記センシング部は、前記検出対象物質と選択的に反応する反応物質を備え、
前記色素は、前記検出対象物質と前記反応物質との反応に基づいて色変化を生じることを特徴とするセンサ。
【請求項3】
請求項2に記載のセンサにおいて、
前記センシング部は、複数の細孔を有する反応物質固定化用担体を備え、
前記反応物質は、生体物質であり、前記反応物質固定化用担体が有する細孔の内部に固定化された状態で、前記センシング部に備えられており、
前記反応物質固定化用担体が有する細孔のサイズは、前記反応物質のサイズの0.5〜2.0倍であることを特徴とするセンサ。
【請求項4】
気体試料中の検出対象物質を検出するセンサにおいて、
センシング部と、
前記センシング部を覆い、少なくとも前記検出対象物質が透過する透過膜と、
を備え、
前記センシング部は、
複数の細孔を有する反応物質固定化用担体と、当該細孔の内部に固定化され、前記検出対象物質と選択的に反応する反応物質と、を備える反応物質複合体と、
複数の細孔を有する色素固定化用担体と、当該細孔の内部に固定化され、前記検出対象物質と前記反応物質との反応に基づいて色変化を生じる色素と、を備える色素複合体と、
を備え、
前記反応物質は、生体物質であり、
前記センシング部は、前記検出対象物質と前記反応物質との反応に必要な水分子を含有しており、
前記反応物質固定化用担体が有する細孔のサイズは、前記反応物質のサイズの0.5〜2.0倍であり、
前記色素固定化用担体が有する細孔のサイズは、前記色素のサイズの0.5〜2.0倍であることを特徴とするセンサ。
【請求項5】
気体試料中の検出対象物質を検出するセンサ装置において、
請求項1〜4の何れか一項に記載のセンサと、
前記センサに対して前記気体試料を供給するファンと、
を備えることを特徴とするセンサ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−271217(P2010−271217A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−123881(P2009−123881)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(505303059)株式会社船井電機新応用技術研究所 (108)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(505303059)株式会社船井電機新応用技術研究所 (108)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
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