説明

センサ取付用のリテーナ

【課題】リテーナのバンパ孔に対する位置精度を簡易な手法により向上させ得るセンサ取付用のリテーナを提供する。
【解決手段】中心位置出し部材4は、リテーナ孔22aの中心軸線と同軸方向に延び出す芯棒部41と、芯棒部41を基端側として芯棒部41から遠ざかる向きに延び出し、リテーナ本体21の開口部24a(リテーナ側接続部)に接続されることにより芯棒部41をリテーナ孔22aに対して同軸に配置させる係合突起44(芯棒側接続部)と、芯棒部41を基端側として平面視にて円弧状に延び出し、バンパ孔3aの内周部に接触した状態で芯棒部41をバンパ孔3aに対して同軸に配置させるように芯棒部41に接近するように弾性変形する複数のばね部43とを含んで構成される。中心位置出し部材4とリテーナ2との協働によって、リテーナ孔22aがバンパ孔3aに対して同軸に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば超音波センサに代表されるセンサをバンパに取り付ける場合に用いるセンサ取付用のリテーナに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波センサに代表されるセンサをバンパに取り付ける構造として、バンパに形成されたバンパ孔の近傍内側面(裏面)にリテーナを取り付け、このリテーナを介してセンサをバンパに取り付ける技術が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。このような取付構造によれば、バンパの意匠性を損なうことなくセンサをバンパ内に組み込むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、バンパには、リテーナをバンパ側の最適な取付位置へ誘導するような突起等の誘導部は一切設けられていないため、リテーナのバンパ孔に対する位置精度を出すことが困難であり、リテーナとバンパ孔との間で位置ズレが起こりやすいという課題があった。このような位置ズレが生ずると、センサとバンパ孔との中心ズレにより意匠性が悪化するとともに、センサの検出精度が低下するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2001−527480号公報
【0005】
本発明は、上記課題に対処するためになされたものであり、その目的は、リテーナのバンパ孔に対する位置精度を簡易な手法により向上させ得るセンサ取付用のリテーナを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、円筒状のセンサ本体と、その先端部に組み込まれた検出部とを含んで構成されるセンサを、検出部がバンパに形成された円形状のバンパ孔を通して該バンパの外側へ露出した状態となるように該バンパの内側面に取り付けるセンサ取付用のリテーナであって、
リテーナは、センサ本体がその中心軸線周りの予め定められた位置に配置されるようにセンサを支持するリテーナ本体と、
リテーナ本体を基端側として該リテーナ本体から遠ざかる向きに延び出し、先端部にてバンパに貼付される貼付部とを備え、
リテーナ本体には、バンパ孔に対応してセンサ本体をリテーナ本体の内側から該バンパ孔側へ挿通させる円形状のリテーナ孔が形成されており、
リテーナ孔の中心軸線と同軸方向に延び出す芯棒部と、該芯棒部を基端側として該芯棒部から遠ざかる向きに延び出し、前記リテーナ本体のリテーナ側接続部に接続されることにより該芯棒部を該リテーナ孔に対して同軸に配置させる芯棒側接続部と、該芯棒部を基端側として平面視にて円弧状に延び出し、バンパ孔の内周部に接触した状態で該芯棒部を該バンパ孔に対して同軸に配置させるように該芯棒部に接近するように弾性変形する複数のばね部とを含んで構成される中心位置出し部材を備え、該中心位置出し部材と前記リテーナとの協働によって、リテーナ孔がバンパ孔に対して同軸に配置された状態でバンパに取り付けられることを特徴とする。
【0007】
この場合、本発明のセンサ取付用のリテーナは、例えば、リテーナ及び中心位置出し部材を一体化させた状態で、中心位置出し部材をバンパ孔内に挿入する挿入工程と、
中心位置出し部材をバンパ孔内に挿入した状態でリテーナの貼付部をバンパの裏面に貼付する貼付工程と、
中心位置出し部材をリテーナから分離して、該リテーナのみが該バンパに取り付けられた状態とする分離工程と、を含む工程によってバンパに取り付けることができる。
【0008】
本発明のセンサ取付用のリテーナは、中心位置出し部材との協働によって、リテーナ孔がバンパ孔に対して同軸に配置された状態でバンパに取り付けられる。すなわち、リテーナ及び中心位置出し部材を一体化させた状態で中心位置出し部材をバンパ孔内に挿し通すことで、中心位置出し部材がバンパ孔に対して同軸に配置された位置関係となり、ひいてはリテーナ孔とバンパ孔とが同軸に配置されるようになる。このようにリテーナと中心位置出し部材との協働によりリテーナの中心位置出しが実現されるため、リテーナのバンパ孔に対する位置精度を簡易に向上させることができる。
【0009】
また、本発明のリテーナによれば、シンプルかつ容易な挿入工程、貼付工程、及び分離工程によって、リテーナの取付作業性を向上させることができる。
【0010】
この場合、中心位置出し部材とリテーナとが予め別部品として構成されており、芯棒側接続部とリテーナ側接続部とは互いに係合可能とされ、かつ、係合状態において一体化されるように構成されているとよい。これによれば、中心位置出し部材をリテーナ取付用の専用部材(治具、道具)として使い回しすることが可能となる。
【0011】
また、芯棒側接続部とリテーナ側接続部とは、中心位置出し部材をリテーナ孔の中心軸線方向へ移動させることで係合状態となる構成であるとよい。これによれば、中心位置出し部材とリテーナとをリテーナ孔の中心軸線方向に相対移動させることにより、中心位置出し部材及びリテーナを容易に一体化することができる。
【0012】
また、中心位置出し部材とリテーナとが予め一部品として構成されており、芯棒側接続部及びリテーナ側接続部が連結部にて一体に接続されてなる構成であってもよい。これによれば、部品点数の増加を抑制しつつ、リテーナ自身に中心出し機能を持たせることが可能となる。
【0013】
この場合、連結部の組が複数設けられている構成であるとよい。これによれば、中心位置出し部材とリテーナとの接続強度を確保することができる。
【0014】
また、芯棒部は円筒状に形成されており、芯棒側接続部は芯棒部の周方向にて等角度間隔で放射状に設けられている構成であるとよい。この場合、芯棒側接続部には、ばね部の基端部が一体に接続され、該芯棒側接続部が該ばね部への入力を受けるリブとして形成されていると好適である。これによれば、芯棒部の剛性を確保することができる。
【0015】
芯棒側接続部のバンパ孔側の先端部は、先細のテーパ状に形成されているとよい。これによれば、芯棒部をバンパ孔の中心軸線に対して多少ずれた角度でバンパ孔内に挿入した場合でも、芯棒部をバンパ孔内に容易に挿入することができ、芯棒部の挿入動作を良好に継続することができる。
【0016】
また、連結部は、中心位置出し部材をバンパ孔側へ押し進めることで分断され、分断により中心位置出し部材とリテーナとが別体化される構成であるとよい。これによれば、リテーナに対して中心位置出し部材をバンパ孔側へ押し進めることで中心位置出し部材をリテーナから分断することができる。このため、リテーナから中心位置出し部材を分離するに際して、リテーナに中心軸線周りの回転モーメントが作用しなくなるため、貼付部の貼付位置が中心軸線周りにずれることを良好に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例1に係り、超音波センサをリテーナを介してバンパに取り付けた状態を示す斜視図。
【図2】超音波センサをリテーナに取り付ける前の両部品を示す斜視図。
【図3】リテーナの平面図。
【図4】中心位置出し部材をリテーナに組み込む前の両部品を示す斜視図。
【図5】リテーナ側接続部と芯棒側接続部との係合状態を一部破断により示す部分拡大図。
【図6】リテーナ及び中心位置出し部材をバンパに取り付けた状態を示す斜視図。
【図7】図6の平面図。
【図8】図6に示す状態から中心位置出し部材を分離した状態を示す斜視図。
【図9】実施例1の変形例に係り、中心位置出し部材をリテーナに組み込む前の両部品を示す斜視図。
【図10】本発明の実施例2に係り、中心位置出し部材を一体に形成したリテーナを示す斜視図。
【図11】図10の正面図。
【図12】図10の側面図。
【図13】図10の平面図。
【図14】図10の底面図。
【図15】中心位置出し部材のみを示す斜視図。
【図16】中心位置出し部材のみを示す正面図。
【図17】中心位置出し部材を除いたリテーナの正面図。
【図18】中心位置出し部材を除いたリテーナの側面図。
【図19】リテーナ及び中心位置出し部材をバンパに取り付けた状態を示す斜視図。
【図20】図19に示す状態から中心位置出し部材を分離した状態を示す斜視図。
【図21】図20の平面図。
【図22】図20の底面図。
【図23】実施例2の変形例に係り、(a)はリテーナ側接続部と芯棒側接続部との接続状態を示す斜視図。(b)は(a)の正面断面図。
【図24】実施例2の別の変形例に係り、(a)はリテーナ側接続部と芯棒側接続部との接続状態を示す斜視図。(b)は(a)の正面断面図。
【図25】実施例2のさらに別の変形例に係り、(a)はリテーナ側接続部と芯棒側接続部との接続状態を示す斜視図。(b)は(a)の正面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明のセンサ取付用のリテーナ2(以下、単にリテーナ2という)を介して超音波センサ1(以下、単にセンサ1という)をバンパ3に取り付けた状態を示す斜視図であり、図2は、センサ1をリテーナ2に取り付ける前の両部品を示す斜視図である。
【0020】
センサ1は、例えば圧電効果により圧電セラミック振動子を振動させて超音波を発射し、また圧電セラミック振動子に入射した超音波の振動を電気信号に変換する送受信兼用型のものであり、センサ本体11、筐体部12などを含んで構成されている。
【0021】
センサ本体11は、その先端部11a(下端部)が最小径とされた段付き円筒状に形成されている。センサ本体11の先端部11aには、圧電セラミック振動子を内蔵したマイクロホン13(検出部)が組み込まれている。センサ本体11の中間部11bには、センサ本体11がリテーナ2に取り付けられたときにリテーナ2との位置決めを行い、かつ、センサ本体11の中心軸線周りの回転を阻止する複数の位置決め部11cが設けられている。
【0022】
筐体部12は、平面視にてセンサ本体11を包含する大きさに形成されている。筐体部12には、図示を省略する制御基板、充填材などが収容されている。筐体部12の、センサ本体11が配置される側とは反体側の側面には、図示を省略するケーブルを接続する接続端子部14が設けられている。
【0023】
また、筐体部12の、接続端子部14が設けられていない両側面には、センサ1がリテーナ2に取り付けられたときに、後述するリテーナ2の開口部24aに係合し、センサ1がリテーナ2から抜け出ることを阻止する係合突起12aがそれぞれ設けられている。
【0024】
リテーナ2は、例えばポリブチンテレフタレート等の樹脂材料で形成されており、センサ本体11がその中心軸線周りの予め定められた位置に配置されるようにセンサ1を支持するリテーナ本体21と、リテーナ本体21を基端側としてリテーナ本体21から遠ざかる向きに延び出し、先端側にてバンパ3に貼付される一対の貼付部31,31と、それら貼付部31,31よりも延出し量が短く設定された他の一対の貼付部32,32とを備えている。
【0025】
リテーナ本体21は、図2及び図3に示すように、略長方形状の底壁22と、底壁22の各周縁部を基端側として向かい合うように立設された一対の側壁23,23と、それら側壁23,23よりも高く設定された他の一対の側壁24,24とを備えている。
【0026】
底壁22には、バンパ3に形成された円形状のバンパ孔3aに対応してセンサ本体11をリテーナ本体21の内側からバンパ孔3a側へ挿通させる円形状のリテーナ孔22aが形成されている。リテーナ孔22aはバンパ孔3aよりも大径に設定されている。
【0027】
各側壁23には、後述する中心位置出し部材4がリテーナ2に取り付けられたときに中心位置出し部材4における対応する位置決めリブ42を中心軸線方向に誘導するとともに、中心位置出し部材4がリテーナ本体21に対して中心軸線周りに回転することを阻止するガイド凹部23aが設けられている。
【0028】
各側壁24は、その内幅がセンサ1の筐体部12の外幅とほぼ同じ長さに設定され、それぞれの下部には、互いの対応位置にて貫通形状の開口部24aが形成されている。各開口部24aは、センサ1の係合突起12aと係合する機能を有する。
【0029】
各貼付部31は、底壁22における各側壁23が設けられた側の周縁部から斜め下方に向けて延設されている。一方、各貼付部32は、底壁22における各側壁24が設けられた側の周縁部から斜め下方に向けて延設されている。また、各貼付部31,32は、下面がほぼ同一の平面上に位置するように下方への延出し量が設定されている。リテーナ2は、各貼付部31,32の裏面に取り付けられた両面接着テープ等の接着部材によって、バンパ3に貼付される。
【0030】
図1に示したように、センサ1がリテーナ2に取り付けられた状態では、センサ本体11がリテーナ本体21のリテーナ孔22aに挿通され、その先端部11aがリテーナ本体21よりも下方位置に突出配置される。また、接続端子部14が側壁23,23のうちの一方を越えて突出配置される。
【0031】
上記したリテーナ2は、図4に示すように、別部品である中心位置出し部材4を用いてバンパ3に取り付けられるように構成されている。中心位置出し部材4は、芯棒部41、複数の位置決めリブ42、ばね部43及び係合突起44を含んで構成されている。
【0032】
芯棒部41は、二段式の略段付き円筒状に形成され、図中の上側が大径部41aとされ、下側が小径部41bとされている。大径部41aは、リテーナ孔22aの直径よりも大きく設定される一方で、小径部41bは、リテーナ孔22aの直径よりも小さく設定されている。
【0033】
各位置決めリブ42は、大径部41aの周方向にて等角度間隔、かつ、大径部41aの側面にて中心軸線方向に一体形成されている。この実施例1では、4つの位置決めリブ42が大径部41aの周方向にて90°間隔で設けられた例が示してある。各位置決めリブ42は、リテーナ本体21に対して中心軸線周りの回転が阻止された状態で、対応するガイド凹部23aによって中心軸線方向に誘導される。
【0034】
各ばね部43は、芯棒部41の小径部41bを基端側として平面視にて円弧状に延び出すように、小径部41bの周方向にて等角度間隔で一体形成されている。この実施例1では、3つのばね部43が小径部41bの周方向にて120°間隔で設けられた例が示してある。
【0035】
各ばね部43の、芯棒部41から最大に突出した部位を仮想的に結んで形成される最大径は、リテーナ孔22aの直径よりも小さいが、バンパ孔3aの直径よりも大きくなるように設定されている。ばね部43の全てがバンパ孔3aの内周部に接触すると、各ばね部43は、ほぼ同じ量だけ撓み、芯棒部41に接近する向きに弾性変形する。つまり、芯棒部41をバンパ孔3aに挿し通すと、芯棒部41がバンパ孔3aに対して同軸に配置されるようになる。
【0036】
各係合突起44は、芯棒部41の大径部41aを基端側として芯棒部41から遠ざかる向きに突出形成されている。各係合突起44は、各位置決めリブ42の下端がリテーナ本体21の底壁22に接触した状態でリテーナ本体21の各側壁24における開口部24aに係合するようになっている。この実施例1では、中心位置出し部材4の各係合突起44が本発明の芯棒側接続部として機能し、リテーナ2の各開口部24aが本発明のリテーナ側接続部として機能する。この実施例1では、センサ1の係合突起12aと係合する開口部24aがリテーナ側接続部として機能するように構成したが、開口部24aに加えて又は代えて、例えばリテーナ本体21にリテーナ側接続部として機能する専用部位を設けるようにしてもよい。この場合、芯棒側接続部及びリテーナ側接続部は複数設ける場合に限らず、一組だけ設けるようにしてもよい。
【0037】
次に、上記したリテーナ2をバンパ3に取り付ける方法について説明する。最初に、準備工程では、リテーナ2に中心位置出し部材4を組み込む(図4参照)。この場合、リテーナ本体21のリテーナ孔22aと中心位置出し部材4の芯棒部41とを同軸に保ちつつ、中心位置出し部材4の各位置決めリブ42をリテーナ本体21の各ガイド凹部23aに沿わせるようにして中心位置出し部材4の小径部41bをリテーナ孔22aに挿し通す。
【0038】
中心位置出し部材4の小径部41bをリテーナ孔22aに挿し通すのに従って、中心位置出し部材4の各係合突起44は、図5に示すように、リテーナ本体21の各側壁24を互いに離間する向きに撓ませつつ、最終的には各開口部24aに係合する。なお、指等により各側壁24を互いに離間する向きに予め撓ませておき、この状態で各係合突起44を各開口部24aに係合させるようにしてもよい。
【0039】
次に、挿入工程では、リテーナ2及び中心位置出し部材4を一体化させた状態で、中心位置出し部材4をバンパ孔3aへ挿入する(図6、図7参照)。この挿入工程において、ばね部43の全てがバンパ孔3aの周面に接触した状態になると、芯棒部41がバンパ孔3aに対して同軸に配置される。
【0040】
次に、貼付工程では、中心位置出し部材4をバンパ孔3aへ挿入した状態でリテーナ2の各貼付部31,32をバンパ3の裏面に貼付する(図6、図7参照)。この貼付工程により、リテーナ孔22aがバンパ孔3aに対して同軸に配置された状態でリテーナ2をバンパ3に取り付けることができる。
【0041】
最後に、分離工程では、各側壁24を互いに離間する向きに撓ませ、各係合突起44と各開口部24aとの係合状態を解除した上で、中心位置出し部材4をリテーナ孔22aから遠ざかる方向へ直線的に移動(復動)、すなわち中心位置出し部材4をリテーナ孔22aから引き抜いてリテーナ2から分離し、リテーナ2のみがバンパ3に取り付けられた状態とする(図8参照)。そして、このリテーナ2にセンサ1を組み込めば、センサ本体11がバンパ孔3aに対して同軸に配置された状態とすることができる。
【0042】
以上の説明からも明らかなように、上記実施例1のリテーナ2は、中心位置出し部材4との協働によって、リテーナ孔22aがバンパ孔3aに対して同軸に配置された状態でバンパ3に取り付けられる。このようにリテーナ2と中心位置出し部材4との協働によりリテーナ2の中心位置出しが実現されるため、リテーナ2のバンパ孔3aに対する位置精度を簡易に向上させることができる。
【0043】
また、上記実施例1のリテーナによれば、シンプルかつ容易な挿入工程、貼付工程及び分離工程によって、リテーナ2の取付作業性を向上させることができる。
【0044】
また、上記実施例1では、中心位置出し部材4とリテーナ2とが予め別部品として構成されており、中心位置出し部材4の各係合突起44と、リテーナ2の各開口部24aとは互いに係合可能とされ、かつ、係合状態において一体化されるように構成されている。これにより、中心位置出し部材4をリテーナ取付用の専用部材(治具、道具)として使い回しすることができる。
【0045】
また、中心位置出し部材4の各係合突起44と、リテーナ2の各開口部24aとは、中心位置出し部材4をリテーナ孔22aの中心軸線方向へ移動(往動)させることで係合状態となるように構成されている。これにより、中心位置出し部材4及びリテーナ2を容易に一体化することができる。
【0046】
(実施例1の変形例)
上記実施例1では、中心位置出し部材4に複数の位置決めリブ42を形成し、中心位置出し部材4をリテーナ孔22aの中心軸線方向へ移動させることにより、中心位置出し部材4の各係合突起44と、リテーナ2の各開口部24aとが係合状態となるように構成したが、この中心位置出し部材4に代えて、例えば図9に示すように、位置決めリブを省略した中心位置出し部材40を用いるとともに、係合突起44との係合状態を解除させる係合解除溝部24bを付加したリテーナ20を用いるようにしてもよい。その他の構成は、上記実施例1に係る中心位置出し部材4又はリテーナ2とほぼ同じであるため、対応する部材、部位には同一の符号を付して説明を省略する。
【0047】
この変形例においても、上記実施例1と同様、リテーナ20のリテーナ孔22aと中心位置出し部材40の芯棒部41とを同軸に保ちつつ、中心位置出し部材40の小径部41bをリテーナ孔22aに挿し通すことで、中心位置出し部材40の各係合突起44を、リテーナ20の各側壁24における各開口部24aに係合させることができる。
【0048】
ただし、上記実施例1とは異なり、この変形例では、中心位置出し部材40をリテーナ孔22aの中心軸線方向へ直線的に移動させる以外にも、中心位置出し部材40をリテーナ孔22aの中心軸線周りに回転させ、各係合突起44を各係合解除溝部24bを通して各開口部24aの外側へ開放することで、中心位置出し部材40の小径部41bをリテーナ孔22aから抜き出せる構成とされている。この場合、中心位置出し部材40からリテーナ20には、各貼付部31,32の貼付位置をずらすほど大きな回転モーメントは作用しないようになっている。
【0049】
つまり、上記実施例1では、中心位置出し部材4をリテーナ2から分離するのに先立って、各側壁24を互いに離間する向きに撓ませるようにしているが、このとき各側壁24の撓み量が十分でないと、中心位置出し部材4をリテーナ孔22aから遠ざかる方向へ直線的に移動させる際に、各係合突起44から各開口部24aに対して係合に伴う引き抜き方向の力が作用する。この力が所定の大きさを超えると各貼付部31,32がバンパ3から剥がれてしまうおそれがある。
【0050】
しかし、上記変形例のように、中心位置出し部材40をリテーナ20の中心軸線周りに回転させても中心位置出し部材40からリテーナ20に対して回転モーメントが作用することがなく、中心位置出し部材40の中心軸線周りの回転に応じて、各係合突起44(芯棒側接続部)と各開口部24a(リテーナ側接続部)との係合状態が解除されることにより、中心位置出し部材40の小径部41bをリテーナ孔22aから抜き出す(中心位置出し部材40をリテーナ20から分離する)ことが可能な構成とすることで、各貼付部31,32がバンパ3から剥がれることを良好に防止できるようになる。
【実施例2】
【0051】
上記実施例1では、中心位置出し部材4とリテーナ2とを予め別部品として構成したが、これに代えて、例えば図10〜図18に示すように、中心位置出し部材140を一体に形成した中心出し機能付きのリテーナ120として構成してもよい。
【0052】
中心位置出し部材140は、図15及び図16に示すように、円筒状の芯棒部141と、芯棒部141の外周面に形成された複数のリブ142及びばね部143を含んで構成されている。
【0053】
芯棒部141は、円筒状に形成されている。各リブ142は、芯棒部141の周方向にて等角度間隔で放射状に形成され、かつ、芯棒部141の側面にて中心軸方向に一体形成されている。この実施例1では、3つのリブ142が芯棒部141の周方向にて120°間隔で設けられた例が示してある。なお、芯棒部141がバンパ孔3a内に挿入された場合、バンパ3の表側からリブ142の配置方向を目安にして、リテーナ120の向きを推定することもできる。
【0054】
各リブ142は、図中の下端に相当する先端部142aが先細のテーパ状に形成され、芯棒部141をバンパ孔3a内に容易に挿入することが可能である。各リブ142には、各ばね部143の基端部が一体に接続され、各ばね部143への入力が各リブ142を経て芯棒部141に伝達されるように構成されている。
【0055】
リテーナ120は、図17及び図18に示すように、上記実施例1に係るリテーナ2と同様、センサ本体11がその中心軸線周りの予め定められた位置に配置されるようにセンサ1を支持するリテーナ本体121と、リテーナ本体121を基端側としてリテーナ本体121から遠ざかる向きに延び出し、先端部にてバンパ3に貼付される一対の貼付部131,131と、それら貼付部131,131よりも延出し量が短く設定された他の一対の貼付部132,132とを備えている。
【0056】
リテーナ本体121は、図13、図17及び図18に示すように、略長方形状の底壁122と、底壁122の各周縁部を基端側として向かい合うように立設された一対の側壁123,123と、それら側壁123,123よりも高く設定された他の一対の側壁124,124とを備えている。
【0057】
底壁122には、バンパ3に形成された円形状のバンパ孔3aに対応してセンサ本体11をリテーナ本体121の内側からバンパ孔3a側へ挿通させる円形状のリテーナ孔122aが形成されている。リテーナ孔122aはバンパ孔3aよりも大径に設定されている。
【0058】
各側壁124は、その内幅がセンサ1の筐体部12の外幅とほぼ同じ長さに設定され、それぞれの下部には、互いの対応位置にて貫通孔形状の開口部124aが形成されている。各開口部124aは、センサ1の係合突起12aと係合する機能を有する。
【0059】
各貼付部131は、底壁122における各側壁123が設けられた側の周縁部から斜め下方に向けて延設されている。一方、各貼付部132は、底壁122における各側壁124が設けられた側の周縁部から斜め下方に向けて延設されている。また、各貼付部131,132は、下面がほぼ同一の平面上に位置するように下方への延出し量が設定されている。リテーナ120は、各貼付部131,132の裏面に取り付けられた両面接着テープ等の接着部材によって、バンパ3に貼付される。
【0060】
ところで、中心位置出し部材140及びリテーナ本体121は、図13に示すように、中心位置出し部材140の各リブ142と、リテーナ本体121のリテーナ孔122aにおける内周部とで一体に接続されている。すなわち、各リブ142のリテーナ孔122aに対向する部位には、三角錐状に突出する芯棒側連結突起142bが形成される一方(図15、図16参照)、リテーナ孔122aの各リブ142に対向する部位にも同様な形状のリテーナ側連結突起122bが形成されており、対応する芯棒側連結突起142b及びリテーナ側連結突起122b同士が点接触状態で連結されている。
【0061】
芯棒側連結突起142b及びリテーナ側連結突起122bからなる連結部の組数は複数設けられており、この実施例2では、連結部が3組設けられた例を示してある。なお、芯棒側連結突起142b及びリテーナ側連結突起122bからなる連結部の組数は、複数設ける場合に限らず、一組だけ設けるようにしてもよい。中心位置出し部材140の各リブ142が本発明の芯棒側接続部として機能し、リテーナ本体121のリテーナ孔122aにおける内周部が本発明のリテーナ側接続部として機能する。また、芯棒側連結突起142b及びリテーナ側連結突起122bが本発明の連結部として機能する。
【0062】
次に、上記したリテーナ120をバンパ3に取り付ける方法について説明する。最初に、挿入工程では、中心位置出し部材140の芯棒部141をバンパ孔3aに挿し通す(図19参照)。この場合、各リブ142の先端部142aがテーパ状に形成されているため、芯棒部141をバンパ孔3aの中心軸線に対して多少ずれた角度でバンパ孔3a内に挿入した場合でも、芯棒部141の挿入動作を良好に継続することができる。そして、ばね部143の全てがバンパ孔3aの内周部に接触した状態となることで、芯棒部141がバンパ孔3aに対して同軸に配置されるようになる。
【0063】
次に、貼付工程では、中心位置出し部材140をバンパ孔3a内に挿入した状態でリテーナ120の各貼付部131,132をバンパ3の裏面に貼付する(図19参照)。この貼付工程により、リテーナ孔122aがバンパ孔3aに対して同軸に配置された状態でリテーナ120をバンパ3に取り付けることができる。
【0064】
最後に、分離工程では、リテーナ本体121に対して中心位置出し部材140をバンパ孔3a側へ押し進める。芯棒側連結突起142b及びリテーナ側連結突起122bからなる連結部が分断され、分断により中心位置出し部材140とリテーナ本体121とが別体化され、図20〜図22に示すように、リテーナ本体121が各貼付部131,132を介してバンパ3に取り付けられた状態となる。なお、リテーナ本体121に対して中心位置出し部材140をその中心軸線周りに回転させるようにしても、芯棒側連結突起142b及びリテーナ側連結突起122bからなる連結部を分断することができる。
【0065】
上記実施例2によれば、リテーナ本体121に対して中心位置出し部材140をバンパ孔3a側へ押し進めることで、中心位置出し部材140をリテーナ本体121から分断することができる。これにより、各貼付部131,132の貼付位置の位置ズレを防止することができるため、リテーナ本体121のバンパ3に対する位置精度を良好に確保することができる。
【0066】
上記実施例2では、リテーナ本体121に対して中心位置出し部材140をその中心軸線周りに回転させるようにしても、芯棒側連結突起142b及びリテーナ側連結突起122bからなる連結部を分断することが可能である。しかし、この場合には、各貼付部131,132の貼付位置が中心軸線周りにずれるおそれがある。そこで、上記実施例2のように、リテーナ本体121に対して中心位置出し部材140をバンパ孔3a側へ押し進めて中心位置出し部材140をリテーナ本体121から分断するようにすれば、中心位置出し部材140から芯棒側連結突起142b及びリテーナ側連結突起122bを経てリテーナ本体121に中心軸線周りの回転モーメントが作用しなくなるため、各貼付部131,132の貼付位置が中心軸線周りにずれることを良好に防止することができる。
【0067】
(実施例2の変形例)
リテーナ本体121に対して中心位置出し部材140をバンパ孔3a側へ押し進めて中心位置出し部材140をリテーナ本体121から分断する構造は、上記実施例2の場合に限らず、例えば図23〜図25のうちのいずれかの構造としてもよい。
【0068】
図23〜図25は、いずれも中心位置出し部材140の各リブ142に芯棒側接続用突起142cが一体形成され、芯棒側接続用突起142cが、その先端部142c1にてリテーナ本体121の側壁123に形成されたリテーナ側接続用凹部123aの底面123a1と一体に接続された例を示している。芯棒側接続用突起142cとリテーナ側接続用凹部123aとの連結面は、中心位置出し部材140をバンパ孔3a側へ押し進める方向に対して直交配置された位置関係にある。この実施例2の各変形例では、リブ142及び芯棒側接続用突起142cが本発明の芯棒側接続部として機能し、リテーナ側接続用凹部123aが本発明のリテーナ側接続部として機能し、芯棒側接続用突起142cの先端部142c1、及びリテーナ側接続用凹部123aの底面123a1が本発明の連結部として機能する。
【0069】
このような実施例2の各変形例では、中心位置出し部材140をバンパ孔3a側へ押し進めると、芯棒側接続用突起142cの先端部142c1、及びリテーナ側接続用凹部123aの底面123a1からなる連結部を容易に分断することができる。これにより、各貼付部131,132の貼付位置が中心位置出し部材140の中心軸線周りにずれることをほぼ確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 センサ(超音波センサ)
2,20,120 リテーナ(センサ取付用のリテーナ)
3 バンパ
3a バンパ孔
4,40,140 中心位置出し部材
11 センサ本体
12 筐体部
13 マイク(検出部)
14 接続端子部
21,121 リテーナ本体
22,122 底壁
22a リテーナ孔
23,24,123,124 側壁
24a,124a 開口部(リテーナ側接続部)
24b 係合解除溝部
31,32,131,132 貼付部
41,141 芯棒部
42 位置決めリブ
43,143 ばね部
44 係合突起(芯棒側接続部)
122a リテーナ孔(リテーナ側接続部)
122b リテーナ側連結突起(連結部)
123a リテーナ側接続用凹部(リテーナ側接続部)
123a1 リテーナ側接続用凹部の底面(連結部)
142 リブ(芯棒側接続部)
142a 先端部
142b 芯棒側連結突起(連結部)
142c 芯棒側接続用突起(芯棒側接続部)
142c1 芯棒側接続用突起の先端部(連結部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状のセンサ本体と、その先端部に組み込まれた検出部とを含んで構成されるセンサを、前記検出部がバンパに形成された円形状のバンパ孔を通して該バンパの外側へ露出した状態となるように該バンパの内側面に取り付けるセンサ取付用のリテーナであって、
前記リテーナは、前記センサ本体がその中心軸線周りの予め定められた位置に配置されるように前記センサを支持するリテーナ本体と、
前記リテーナ本体を基端側として該リテーナ本体から遠ざかる向きに延び出し、先端部にて前記バンパに貼付される貼付部とを備え、
前記リテーナ本体には、前記バンパ孔に対応して前記センサ本体を前記リテーナ本体の内側から該バンパ孔側へ挿通させる円形状のリテーナ孔が形成されており、
前記リテーナ孔の中心軸線と同軸方向に延び出す芯棒部と、該芯棒部を基端側として該芯棒部から遠ざかる向きに延び出し、前記リテーナ本体のリテーナ側接続部に接続されることにより該芯棒部を該リテーナ孔に対して同軸に配置させる芯棒側接続部と、該芯棒部を基端側として平面視にて円弧状に延び出し、前記バンパ孔の内周部に接触した状態で該芯棒部を該バンパ孔に対して同軸に配置させるように該芯棒部に接近するように弾性変形する複数のばね部とを含んで構成される中心位置出し部材を備え、該中心位置出し部材と前記リテーナとの協働によって、前記リテーナ孔が前記バンパ孔に対して同軸に配置された状態で前記バンパに取り付けられることを特徴とするセンサ取付用のリテーナ。
【請求項2】
前記中心位置出し部材と前記リテーナとが予め別部品として構成されており、前記芯棒側接続部と前記リテーナ側接続部とは互いに係合可能とされ、かつ、係合状態において一体化されるように構成されている請求項1に記載のセンサ取付用のリテーナ。
【請求項3】
前記芯棒側接続部と前記リテーナ側接続部とは、前記中心位置出し部材を前記リテーナ孔の中心軸線方向へ移動させることで係合状態となる請求項2に記載のセンサ取付用のリテーナ。
【請求項4】
前記中心位置出し部材と前記リテーナとが予め一部品として構成されており、前記芯棒側接続部及び前記リテーナ側接続部が連結部にて一体に接続されてなる請求項1に記載のセンサ取付用のリテーナ。
【請求項5】
前記連結部の組が複数設けられている請求項4に記載のセンサ取付用のリテーナ。
【請求項6】
前記芯棒部は円筒状に形成されており、前記芯棒側接続部は前記芯棒部の周方向にて等角度間隔で放射状に設けられている請求項4又は5に記載のセンサ取付用のリテーナ。
【請求項7】
前記芯棒側接続部には、前記ばね部の基端部が一体に接続され、該芯棒側接続部が該ばね部への入力を受けるリブとして形成されている請求項6に記載のセンサ取付用のリテーナ。
【請求項8】
前記芯棒側接続部の前記バンパ孔側の先端部は、先細のテーパ状に形成されている請求項7に記載のセンサ取付用のリテーナ。
【請求項9】
前記連結部は、前記中心位置出し部材を前記バンパ孔側へ押し進めることで分断され、分断により前記中心位置出し部材と前記リテーナとが別体化される請求項4ないし8のいずれか1項に記載のセンサ取付用のリテーナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−242353(P2012−242353A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115820(P2011−115820)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】