説明

センサ故障検知方法、センサ故障検知装置、及び、プログラム

【課題】センサの故障等を検知することができるセンサ故障検知方法、センサ故障検知装置、及び、プログラムを提供する。
【解決手段】まず、処理装置に配置されているセンサがON/OFFしたか否かを判別する(ステップS1)。センサがON/OFFしたと判別すると(ステップS1:Yes)、センサが異常パターンに該当するか否かを判別する(ステップS2)。センサが異常パターンに該当すると判別すると(ステップS2:Yes)、センサの変化情報を作成する。次に、作成したセンサの変化情報を処理装置の操作パネルに表示する(ステップS3)。そして、センサの変化情報をセンサ情報記憶部に記憶する(ステップS4)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ故障検知方法、センサ故障検知装置、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程では、被処理体、例えば、半導体ウエハの成膜処理などを行う処理装置が用いられている。このような処理装置には、その内部に各種のセンサが取り付けられており、例えば、装置内部の所定位置に半導体ウエハが収容されているかを検知している。また、このセンサにより入手したデータを用い、より高度な装置管理を行う種々な方法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、センサを備えた半導体製造装置を、管理コンピュータ、ホストコンピュータ、及び、故障診断エキスパートシステムを備えるワークステーションと接続することにより、異常発生を早期かつ適切に検出し、オペレータに指示することができる半導体製造装置管理方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−282146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような装置では、取り付けられたセンサが故障したり、センサの取り付けに問題が生じていたりしても、センサ自体の故障や取り付け不良を検知する方法がなく、実際にトラブルが発生した後に、故障したセンサを突き止めて交換している。このため、トラブルが発生すると、多くの不良品が発生したり、生産中の装置を完全に停止したりしなければならず、製品の歩留まりや装置の稼働率が悪くなるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、センサの故障等を検知することができるセンサ故障検知方法、センサ故障検知装置、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点にかかるセンサ故障検知方法は、
処理装置に配置されているセンサの状況が変化したか否かを判別するセンサ状況変化判別工程と、
前記センサ状況変化判別工程によりセンサの状況が変化したと判別されると、当該センサが異常パターンに該当するか否かを判別する異常パターン判別工程と、
前記異常パターン判別工程によりセンサが異常パターンに該当すると判別されると、当該センサの変化に関する情報を作成する作成工程と、
前記作成工程で作成されたセンサの変化に関する情報を前記処理装置の表示部に表示する表示工程と、
前記作成工程で作成されたセンサの変化に関する情報を記憶する記憶工程と、
を備える、ことを特徴とする。
【0008】
前記異常パターン判別工程では、例えば、軸が動作していないにもかかわらずセンサの状況が変化するパターン、センサ反応時にセンサの状況の変化を繰り返すパターン、シリンダリトライを繰り返すパターンの少なくとも1つのパターンに該当すると、当該センサが異常パターンに該当すると判別する。
【0009】
前記センサには、異常パターンの繰り返し頻度の許容範囲が定められており、
前記記憶工程により記憶されたセンサの異常パターンに関する情報に基づいて、当該センサによる異常パターンの繰り返し頻度を特定する繰り返し頻度特定工程と、
前記繰り返し頻度特定工程により特定された当該センサによる異常パターンの繰り返し頻度が前記許容範囲であるか否かを判別する許容範囲判別工程と、
をさらに備えてもよい。
この場合、前記表示工程では、例えば、前記許容範囲判別工程により当該センサによる異常パターンの繰り返し頻度が前記許容範囲であると判別されると、前記作成工程で作成されたセンサの変化に関する情報を前記処理装置の表示部に表示しない。
【0010】
本発明の第2の観点にかかるセンサ故障検知装置は、
処理装置に配置されているセンサの状況が変化したか否かを判別するセンサ状況変化判別手段と、
前記センサ状況変化判別手段によりセンサの状況が変化したと判別されると、当該センサが異常パターンに該当するか否かを判別する異常パターン判別手段と、
前記異常パターン判別手段によりセンサが異常パターンに該当すると判別されると、当該センサの変化に関する情報を作成する作成手段と、
前記作成手段で作成されたセンサの変化に関する情報を前記処理装置の表示部に表示する表示手段と、
前記作成手段により作成されたセンサの変化に関する情報を記憶する記憶手段と、
を備える、ことを特徴とする。
【0011】
前記異常パターン判別手段は、例えば、軸が動作していないにもかかわらずセンサの状況が変化するパターン、センサ反応時にセンサの状況の変化を繰り返すパターン、シリンダリトライを繰り返すパターンの少なくとも1つのパターンに該当すると、当該センサが異常パターンに該当すると判別する。
【0012】
前記記憶手段には、センサの異常パターンの繰り返し頻度の許容範囲が記憶されており、
前記記憶手段により記憶されたセンサの異常パターンに関する情報に基づいて、当該センサによる異常パターンの繰り返し頻度を特定する繰り返し頻度特定手段と、
前記繰り返し頻度特定手段により特定された当該センサによる異常パターンの繰り返し頻度が前記許容範囲であるか否かを判別する許容範囲判別手段と、
をさらに備えてもよい。
この場合、前記表示手段は、例えば、前記許容範囲判別手段により当該センサによる異常パターンの繰り返し頻度が前記許容範囲であると判別されると、前記作成手段により作成されたセンサの変化に関する情報を前記処理装置の表示部に表示しない。
【0013】
本発明の第3の観点にかかるプログラムは、
コンピュータを、
処理装置に配置されているセンサの状況が変化したか否かを判別するセンサ状況変化判別手段、
前記センサ状況変化判別手段によりセンサの状況が変化したと判別されると、当該センサが異常パターンに該当するか否かを判別する異常パターン判別手段、
前記異常パターン判別手段によりセンサが異常パターンに該当すると判別されると、当該センサの変化に関する情報を作成する作成手段、
前記作成手段で作成されたセンサの変化に関する情報を前記処理装置の表示部に表示する表示手段、
前記作成手段により作成されたセンサの変化に関する情報を記憶する記憶手段、
として機能させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、センサの故障等を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係る処理装置の構造を示す図である。
【図2】図1の制御部の構成例を示す図である。
【図3】センサ情報記憶部に記憶されるセンサ変化情報の一例を示す図である。
【図4】本実施の形態のセンサ故障検知処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】センサに定められた許容範囲の一例を示す図である。
【図6】他の実施の形態のセンサ故障検知処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のセンサ故障検知方法、センサ故障検知装置、及び、プログラムを、図1に示す処理装置に適用した場合を例に本実施の形態を説明する。
【0017】
図1に示すように、本実施の形態の処理装置1の処理室10は、隔壁11によって、作業エリアS1と、ローディングエリアS2とに区画されている。作業エリアS1は、半導体ウエハWが多数枚、例えば、25枚収納された密閉型の搬送容器であるキャリアCの搬送と、キャリアCの保管とを行うための領域であり、大気雰囲気に保たれている。一方、ローディングエリアS2は、半導体ウエハWに対して熱処理、例えば、成膜処理や酸化処理を行うための領域であり、不活性ガス、例えば、窒素ガス雰囲気に保たれている。
【0018】
作業エリアS1には、ロードポート21と、キャリア搬送機22と、トランスファーステージ23と、保管部24と、が設けられている。
【0019】
ロードポート21は、処理室10の側方位置に設けられた搬送口20から、外部の図示しない搬送機構により搬入されたキャリアCを載置する。この搬送口20に対応する位置の処理室10の外側には、例えば、ドアDが設けられており、ドアDにより搬送口20が開閉自在に構成されている。
【0020】
キャリア搬送機22は、ロードポート21とトランスファーステージ23との間に設けられ、作業エリアS1においてキャリアCを搬送する。キャリア搬送機22は、支柱25と、支柱25の側面に設けられた水平アーム26と、を備えている。支柱25は、処理室10内において鉛直方向に亘って長く設けられている。水平アーム26は、支柱25の下方側に設けられたモータMにより昇降可能に構成されている。また、水平アーム26には、例えば、関節アームからなる搬送アーム27が設けられ、水平アーム26を昇降させることにより搬送アーム27が昇降する。搬送アーム27は、図示しないモータにより水平方向に移動可能に構成されている。このように、水平アーム26は、搬送アーム27を昇降及び水平移動させることによって、キャリアCの受け渡しが行われるように構成されている。
【0021】
トランスファーステージ23は、隔壁11の作業エリアS1側に設けられ、キャリア搬送機22により搬送されたキャリアCを載置する。トランスファーステージ23は、例えば、上下2カ所に取り付けられている。トランスファーステージ23では、後述する移載機構42により、載置されたキャリアC内から半導体ウエハWがローディングエリアS2に取り出される。また、トランスファーステージ23の側方位置の隔壁11は開口している。この開口を塞ぐように、隔壁11のローディングエリアS2側にはシャッター30が設けられている。
【0022】
保管部24は、作業エリアS1内の上方側に設けられ、キャリアCを保管する。保管部24は、例えば、縦に4列、横に2列並ぶように組となって設けられており、この保管部24の組が支柱25(キャリアCの搬送領域)を挟むように設置されている。
【0023】
ローディングエリアS2には、下端が炉口として開口した縦型の処理部である熱処理炉40が配置されている。熱処理炉40の下方側には、多数枚の半導体ウエハWを保持するための保持具であるウエハボート41が図示しない昇降機構により昇降自在に設置されている。
【0024】
ウエハボート41と隔壁11との間には、移載機構42が設けられている。移載機構42は、トランスファーステージ23に載置されたキャリアCとウエハボート41との間で半導体ウエハWの受け渡しを行う。また、移載機構42は、例えば、複数枚の半導体ウエハWを一括して移載可能なアーム43が進退自在に設けられている。移載機構42は、図示しないモータにより鉛直軸回りに回転自在であり、昇降軸44に沿って昇降自在に構成されている。
【0025】
また、処理装置1の処理室10には、各種のセンサが配置されている。例えば、モータMには、エンコーダが組み合わされており、このエンコーダにおけるエンコーダ値によって水平アーム26の高さ位置が検知される。また、各種のモータやシリンダには、モータ位置やシリンダ位置を検知するエンドリミットセンサ、ベースポジションセンサ等の位置センサが配置されている。さらに、ウエハボート41には、収容される半導体ウエハWの収容の有無や収納位置を検知するウエハ位置センサが配置されている。また、熱処理炉40には、熱処理炉40内の温度を測定する温度センサ、及び、熱処理炉40内の圧力を測定する圧力センサが複数本配置されている。
【0026】
これら各種のセンサは、処理装置1を制御するための制御部100に接続されている。図2に制御部100の構成を示す。図2に示すように、制御部100は、操作パネル121、位置センサ122等の各種のセンサ、モータMなどが接続されている。制御部100は、位置センサ122等の各種のセンサからのデータに基づいて、例えば、モータM、水平アーム26、移載機構42等に制御信号を出力する。
【0027】
操作パネル121は、表示部(表示画面)と操作ボタンとを備え、オペレータの操作指示を制御部100に伝え、また、制御部100からの様々な情報を表示画面に表示する。また、操作パネル121は、センサの故障が検知されると、センサが故障していることを表示する。
位置センサ122等の各種のセンサは、モータ位置やシリンダ位置などを検知し、検知した情報(位置等)を制御部100に通知する。
【0028】
図2に示すように、制御部100は、センサ情報記憶部101と、レシピ記憶部102と、ROM103と、RAM104と、I/Oポート105と、CPU106と、これらを相互に接続するバス107と、から構成されている。
【0029】
センサ情報記憶部101には、センサの異常検出(変化)に関する情報(センサの変化情報)が記憶されている。センサ変化情報としては、図3に示すように、例えば、異常を検出した日時、異常となったセンサの名称、異常の判定理由などがあり、これらの情報がセンサ情報記憶部101に記憶されている。異常の判定理由としては、センサ故障検知処理において後述するが、例えば、軸が動作せずにON/OFFする、センサ反応時にON/OFFを繰り返す、シリンダリトライを繰り返す等がある。
【0030】
レシピ記憶部102には、この処理装置1で実行される処理の種類に応じて、制御手順を定めるプロセス用レシピが記憶されている。プロセス用レシピは、ユーザが実際に行う処理(プロセス)毎に用意されるレシピである。このレシピには、装置各部の所定の動作プログラムが含まれている。
【0031】
ROM103は、EEPROM、フラッシュメモリ、ハードディスクなどから構成され、CPU106の動作プログラムなどを記憶する記録媒体である。
RAM104は、CPU106のワークエリアなどとして機能する。
I/Oポート105は、例えば、センサからの情報をCPU106に供給するとともに、CPU106が出力する制御信号を装置の各部へ出力する。
【0032】
CPU(Central Processing Unit)106は、制御部100の中枢を構成し、ROM103に記憶された動作プログラムを実行する。また、CPU106は、操作パネル121からの指示に従って、レシピ記憶部102に記憶されているプロセス用レシピに沿って、処理装置1の動作を制御する。
バス107は、各部の間で情報を伝達する。
【0033】
次に、センサの異常を検知するセンサ故障検知方法(センサ故障検知処理)について説明する。本発明のセンサ故障検知方法は、例えば、10分間に一度、0.1秒程度、ON/OFFを繰り返した後、このON/OFFの繰り返し頻度が増し(繰り返す間隔が短くなり)、センサが故障に至るように、センサ自体が故障し始めている場合、センサが検知する軸の調整不良の場合、センサの取り付け不良の場合、ティーチングが悪い場合など、今後、センサとしての機能を奏しなくなるものか(異常パターンに該当するか)を検知し、警告(ワーニング)するものである。すなわち、本発明のセンサ故障検知方法は、センサの故障を事前に検知し、警告するものである。図4は、センサ故障検知処理を説明するためのフローチャートである。
【0034】
まず、制御部100(CPU106)は、処理装置1に配置されているセンサの状況が変化(センサがON/OFF)したか否かを判別する(ステップS1)。CPU106は、センサがON/OFFしていないと判別すると(ステップS1:No)、この処理を終了する。CPU106は、センサがON/OFFしたと判別すると(ステップS1:Yes)、センサが異常パターンに該当するか否かを判別する(ステップS2)。
【0035】
センサが異常パターンに該当する場合としては、例えば、以下の場合がある。
(1)軸が動作していないにもかかわらず、ON/OFFするセンサ
シリンダ軸の動作位置センサやモータ軸のエンドリミットセンサなどの軸が移動しなければON/OFFしないはずのセンサが勝手に変化した場合、そのセンサを異常と検知する。この異常パターンは、例えば、0.1秒程度、センサが変化するような場合に発生することが多く、センサ単体が故障し始めている場合に発生することが多い。
【0036】
(2)センサ反応時にON/OFFを繰り返すセンサ
センサが反応するとき、センサのON/OFFを繰り返した後、目的の状態(ONかOFF)に落ち着く。このように、目的の状態になるまでON/OFFを繰り返すセンサを異常と検知する。この異常パターンは、センサ位置の取り付けやティーチングが悪い場合、センサ単体が故障し始めている場合に発生することが多い。
【0037】
(3)シリンダリトライを繰り返すセンサ
シリンダリトライとは、シリンダ動作でタイムアウトを起こした場合に、一旦動作方向の出力をOFFにした後、再度ONにして、シリンダ動作を完了させようとする機能をいう。この機能が作動してシリンダリトライした場合に、シリンダリトライ前にONにならないセンサを異常と検知する。この異常パターンは、センサの故障というよりも、むしろシリンダ軸の調整不良の場合に発生することが多い。
【0038】
CPU106は、センサが異常パターンに該当しないと判別すると(ステップS2:No)、この処理を終了する。CPU106は、センサが異常パターンに該当すると判別すると(ステップS2:Yes)、センサの変化情報(センサの異常検出に関する情報)を作成し、作成したセンサの変化情報を操作パネル121に表示する(ステップS3)。
【0039】
このように、軸が動作していないにもかかわらず、ON/OFFしたり、センサ反応時にON/OFFを繰り返す場合に、処理装置1のオペレータにセンサの故障を知らせる警告(ワーニング)が行われるので、処理装置1のオペレータに故障し始めているセンサを知らせることができる。また、センサ位置の取り付けやティーチングが悪い場合、シリンダ軸の調整不良の場合にもワーニングが行われるので、処理装置1のオペレータにセンサの取り付け等の不良を知らせることができる。
【0040】
最後に、CPU106は、センサの変化情報をセンサ情報記憶部101に記憶し(ステップS4)、この処理を終了する。
【0041】
以上説明したように、本実施の形態によれば、センサの故障を事前に検知し、ワーニング(警告)しているので、処理装置1のオペレータは、故障し始めているセンサを確認することができる。このため、調子が悪いセンサを早期に修理することで処理装置1の安全性を向上させることができる。また、トラブル発生時にセンサの故障箇所をすぐに確認でき、迅速な対処が可能になる。この結果、処理装置1の破損を防くことができ、処理装置1の稼働率を向上させることができる。
【0042】
また、本実施の形態によれば、センサの取り付け不良などの場合に、これを事前に警告することで、確実にスタートアップが行え、処理装置1の故障を未然に防ぐことができる。また、装置出荷時に取り付け不良なセンサなどを確認すれば、確実に動作する処理装置1を出荷することができる。
【0043】
さらに、本実施の形態によれば、センサの変化情報をセンサ情報記憶部101に記憶されているので、異常パターンとなったセンサの一覧を確認することができる。
【0044】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な他の実施の形態について説明する。
【0045】
上記実施の形態では、センサが異常パターンに該当すると判別すると、そのセンサの変化情報を操作パネル121に表示し、警告する場合を例に本発明を説明したが、例えば、センサが異常パターンに該当したもの中から、所定の場合のみ、そのセンサの変化情報を操作パネル121に表示し、警告してもよい。
【0046】
例えば、まだセンサが故障する可能性が低いときには、処理装置1のオペレータにセンサの故障を警告しないようにしてもよい。具体的には、センサが異常パターンに該当すると判別したもののうち、センサによる異常パターンの繰り返し頻度が所定範囲を超える(異常パターンを繰り返す間隔が所定範囲より短くなる)場合のみ、そのセンサの変化情報を操作パネル121に表示し、警告する。このような方法としては、例えば、センサ情報記憶部101に、図5に示すような、センサに応じて異常パターンを繰り返す間隔の所定範囲(許容範囲)を記憶し、この許容範囲に基づいてセンサの故障の警告の有無を決定する方法がある。図6に、このセンサ故障検知処理を説明するためのフローチャートを示す。
【0047】
図6に示すように、CPU106は、処理装置1に配置されているセンサがON/OFFしたか否かを判別し(ステップS1)、センサがON/OFFしていないと判別すると(ステップS1:No)、この処理を終了する。CPU106は、センサがON/OFFしたと判別すると(ステップS1:Yes)、センサが異常パターンに該当するか否かを判別し(ステップS2)、センサが異常パターンに該当しないと判別すると(ステップS2:No)、この処理を終了する。
【0048】
CPU106は、センサが異常パターンに該当すると判別すると(ステップS2:Yes)、センサ情報記憶部101に記憶されたセンサの変化情報に基づいて、該当するセンサによる異常パターンの繰り返し頻度(異常パターンを繰り返す間隔)を特定する(ステップS11)。次に、CPU106は、特定した繰り返し頻度が許容範囲であるか否かを判別する(ステップS12)。具体的には、CPU106は、該当するセンサについてセンサ情報記憶部101に記憶されている許容範囲と、特定した繰り返し頻度(間隔)とを対比し、繰り返し頻度が許容範囲であるか否かを判別する。CPU106は、許容範囲であると判別すると(ステップS12:Yes)、ステップS4に進む。
【0049】
CPU106は、許容範囲でないと判別すると(ステップS12:No)、センサの変化情報(センサの異常検出に関する情報)を作成し、作成したセンサの変化情報を操作パネル121に表示する(ステップS3)。最後に、CPU106は、センサの変化情報をセンサ情報記憶部101に記憶し(ステップS4)、この処理を終了する。
【0050】
このように、本例のセンサ故障検知処理では、異常パターンの繰り返し頻度が許容範囲でないときにのみ、そのセンサの変化情報を操作パネル121に表示し、警告するので、まだセンサが故障する可能性が低い状況では、処理装置1のオペレータにセンサの故障を警告しないようにすることができる。なお、許容範囲であると判別すると、ステップS4に進んでいることから、センサが故障する可能性が低い場合にもセンサの変化情報をセンサ情報記憶部101に記憶される。
【0051】
なお、許容範囲は、センサ情報記憶部101に記憶したものに限定されるものではなく、例えば、処理装置1が処理を終了して停止するまでの時間、センサの推定寿命等から、CPU106が自動的に特定してもよい。CPU106は、操作パネル121からの指示に従ってレシピ記憶部102に記憶されているプロセス用レシピに沿って処理装置1の動作を制御しており、例えば、操作パネル121からの指示とプロセス用レシピとに基づいて、処理装置1が処理を終了して停止するまでの時間を特定する。また、CPU106は、例えば、センサ情報記憶部101に記憶されている、そのセンサの変化情報に基づいてセンサの推定寿命を算出する。
【0052】
上記実施の形態では、センサの異常パターンにシリンダ軸の調整不良により発生するシリンダリトライを繰り返す場合を含めているが、本発明はセンサの故障を事前に検知し、警告するものであればよく、センサの異常パターンにシリンダリトライを繰り返す場合を含めなくてもよい。
【0053】
上記実施の形態では、本発明を図1に示す処理装置に適用した場合を例に本発明を説明したが、例えば、枚葉式の処理装置やバッチ式の処理装置に本発明を適用することも可能である。また、本発明は、半導体ウエハの処理に限定されるものではなく、例えば、FPD基板、ガラス基板、PDP基板などの処理にも適用可能である。
【0054】
本発明の実施の形態にかかる制御部100は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、汎用コンピュータに、上述の処理を実行するためのプログラムを格納した記録媒体(フレキシブルディスク、CD−ROMなど)から当該プログラムをインストールすることにより、上述の処理を実行する制御部100を構成することができる。
【0055】
そして、これらのプログラムを供給するための手段は任意である。上述のように所定の記録媒体を介して供給できる他、例えば、通信回線、通信ネットワーク、通信システムなどを介して供給してもよい。この場合、例えば、通信ネットワークの掲示板(BBS)に当該プログラムを掲示し、これをネットワークを介して搬送波に重畳して提供してもよい。そして、このように提供されたプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の処理を実行することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、センサの故障等の検知に有用である。
【符号の説明】
【0057】
1 処理装置
21 ロードポート
22 キャリア搬送機
23 トランスファーステージ
25 支柱
26 水平アーム
27 搬送アーム
40 熱処理炉
41 ウエハボート
42 移載機構
43 アーム
44 昇降軸
100 制御部
101 モデル記憶部
102 レシピ記憶部
103 ROM
104 RAM
105 I/Oポート
106 CPU
107 バス
121 操作パネル
122 位置センサ
C キャリア
M モータ
W 半導体ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理装置に配置されているセンサの状況が変化したか否かを判別するセンサ状況変化判別工程と、
前記センサ状況変化判別工程によりセンサの状況が変化したと判別されると、当該センサが異常パターンに該当するか否かを判別する異常パターン判別工程と、
前記異常パターン判別工程によりセンサが異常パターンに該当すると判別されると、当該センサの変化に関する情報を作成する作成工程と、
前記作成工程で作成されたセンサの変化に関する情報を前記処理装置の表示部に表示する表示工程と、
前記作成工程で作成されたセンサの変化に関する情報を記憶する記憶工程と、
を備える、ことを特徴とするセンサ故障検知方法。
【請求項2】
前記異常パターン判別工程では、軸が動作していないにもかかわらずセンサの状況が変化するパターン、センサ反応時にセンサの状況の変化を繰り返すパターン、シリンダリトライを繰り返すパターンの少なくとも1つのパターンに該当すると、当該センサが異常パターンに該当すると判別する、ことを特徴とする請求項1に記載のセンサ故障検知方法。
【請求項3】
前記センサには、異常パターンの繰り返し頻度の許容範囲が定められており、
前記記憶工程により記憶されたセンサの異常パターンに関する情報に基づいて、当該センサによる異常パターンの繰り返し頻度を特定する繰り返し頻度特定工程と、
前記繰り返し頻度特定工程により特定された当該センサによる異常パターンの繰り返し頻度が前記許容範囲であるか否かを判別する許容範囲判別工程と、
をさらに備え、
前記表示工程では、前記許容範囲判別工程により当該センサによる異常パターンの繰り返し頻度が前記許容範囲であると判別されると、前記作成工程で作成されたセンサの変化に関する情報を前記処理装置の表示部に表示しない、ことを特徴とする請求項1または2に記載のセンサ故障検知方法。
【請求項4】
処理装置に配置されているセンサの状況が変化したか否かを判別するセンサ状況変化判別手段と、
前記センサ状況変化判別手段によりセンサの状況が変化したと判別されると、当該センサが異常パターンに該当するか否かを判別する異常パターン判別手段と、
前記異常パターン判別手段によりセンサが異常パターンに該当すると判別されると、当該センサの変化に関する情報を作成する作成手段と、
前記作成手段で作成されたセンサの変化に関する情報を前記処理装置の表示部に表示する表示手段と、
前記作成手段により作成されたセンサの変化に関する情報を記憶する記憶手段と、
を備える、ことを特徴とするセンサ故障検知装置。
【請求項5】
前記異常パターン判別手段は、軸が動作していないにもかかわらずセンサの状況が変化するパターン、センサ反応時にセンサの状況の変化を繰り返すパターン、シリンダリトライを繰り返すパターンの少なくとも1つのパターンに該当すると、当該センサが異常パターンに該当すると判別する、ことを特徴とする請求項4に記載のセンサ故障検知装置。
【請求項6】
前記記憶手段には、センサの異常パターンの繰り返し頻度の許容範囲が記憶されており、
前記記憶手段により記憶されたセンサの異常パターンに関する情報に基づいて、当該センサによる異常パターンの繰り返し頻度を特定する繰り返し頻度特定手段と、
前記繰り返し頻度特定手段により特定された当該センサによる異常パターンの繰り返し頻度が前記許容範囲であるか否かを判別する許容範囲判別手段と、
をさらに備え、
前記表示手段は、前記許容範囲判別手段により当該センサによる異常パターンの繰り返し頻度が前記許容範囲であると判別されると、前記作成手段により作成されたセンサの変化に関する情報を前記処理装置の表示部に表示しない、ことを特徴とする請求項4または5に記載のセンサ故障検知装置。
【請求項7】
コンピュータを、
処理装置に配置されているセンサの状況が変化したか否かを判別するセンサ状況変化判別手段、
前記センサ状況変化判別手段によりセンサの状況が変化したと判別されると、当該センサが異常パターンに該当するか否かを判別する異常パターン判別手段、
前記異常パターン判別手段によりセンサが異常パターンに該当すると判別されると、当該センサの変化に関する情報を作成する作成手段、
前記作成手段で作成されたセンサの変化に関する情報を前記処理装置の表示部に表示する表示手段、
前記作成手段により作成されたセンサの変化に関する情報を記憶する記憶手段、
として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−187664(P2011−187664A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51089(P2010−51089)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】