説明

センサ素子および物理センサ装置

【課題】検出感度の向上を図ることができるセンサ素子の提供。
【解決手段】センサ素子1は、互いに逆向きに形成された第1の櫛歯電極132,133および第2の櫛歯電極134,135を有し、ベース部14に弾性的に支持されるとともに櫛歯の凹凸方向に振動する振動部13と、第1の櫛歯電極132,133と噛合する第3の櫛歯電極112,113を有し、ベース部14に固定された固定部11と、第2の櫛歯電極134,135と噛合する第4の櫛歯電極122,123を有し、ベース部14に弾性的に支持されて外力の作用により櫛歯の凹凸方向に変位する可動部12とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ素子、および、そのセンサ素子を備えた物理センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置としては、探針を有するプローブを櫛歯電極アクチュエータにより振動させ、原子間力を検出する原子間力顕微鏡装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この顕微鏡装置では、櫛歯電極アクチュエータの振動状態が一定に保たれるようにプローブをz方向に駆動し、その駆動量データから試料表面の凹凸情報を得るようにしている。
【0003】
【特許文献1】特開2007−93231号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した櫛歯電極アクチュエータで振動するプローブで、液中の試料を検出するような使い方をした場合、液体の抵抗によりプローブの振動が制限され、試料に接触したときの検出感度が低下してしまうという欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明によるセンサ素子は、互いに逆向きに形成された第1および第2の櫛歯電極を有し、ベース部に弾性的に支持されるとともに櫛歯の凹凸方向に振動する振動部と、第1の櫛歯電極と噛合する第3の櫛歯電極を有し、ベース部に固定された固定部と、第2の櫛歯電極と噛合する第4の櫛歯電極を有し、ベース部に弾性的に支持されて外力の作用により櫛歯の凹凸方向に変位する可動部とを備えたことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載のセンサ素子において、固定部、振動部および可動部を、フォトリソグラフィー法によりSOIウエハ上に一体に形成したものである。
請求項3の発明による物理センサ装置は、請求項1または2に記載のセンサ素子と、振動部を振動駆動するための電圧を、第3の櫛歯電極と第4の櫛歯電極との間に印加する駆動部と、振動部の振動状態の変化に基づいて可動部の変位を検出する検出部とを備えたことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項3に記載の物理センサ装置において、検出部は、振動状態の変化によるセンサ素子および駆動部を含む系のイミタンスの変化に基づいて、可動部の変位を検出するようにしたものである。
請求項5の発明は、請求項3に記載の物理センサ装置において、駆動部は、センサ素子が有する電気的等価回路を帰還回路として用いることにより自励発振させ、その自励発振により振動部を振動させる増幅器を備える。
請求項6の発明は、請求項5に記載の物理センサ装置において、振動状態の変化としての振動周波数の変化に基づいて、可動部の変位を検出するようにしたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、可動部の変位を検出する際の検出感度を、より向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。図1は本発明に係るセンサ素子を用いた原子間力顕微鏡装置(以下、AFM装置と呼ぶ)の概略構成を示す図である。AFM装置100は、センサ1と、センサ1が固定される支持部4と、支持部4をz方向に変位させるピエゾアクチュエータ5と、試料Sをxy方向に移動するステージ6と、センサ1を振動駆動する駆動部7と、制御装置8と、ステージ駆動制御部9と、モニタ10とを備えている。駆動部7には、直流電源71および交流電源72が設けられている。制御装置8には、アドミッタンス検出器81と、各種演算を行うとともに装置全体の制御を行う制御演算部82が設けられている。
【0008】
図2はセンサ1の構成を示す斜視図である。センサ1は、基台14と、基台14上に形成された固定部11と、第1の可動部12と、第2の可動部13とを備えている。可動部12は、基台14との間に形成された4本の梁121により弾性的に支持されている。同様に、可動部13は、基台14との間に形成された4本の梁131により弾性的に支持されている。そのため、可動部12,13はz方向に変位可能な構造となっている。
【0009】
図2に示すセンサ1は、絶縁層を挟んだ上下2つのシリコン層からなる3層構造の基板、例えばSOI(Silicon on Insulator)ウエハを用いて、半導体微細加工技術により一体で製作される。SOIウエハは、絶縁層のSiO層を2つのSi層で挟んだ3層構造の基板である。センサ1の基台14は厚く形成された下部Si層により形成され、固定部11、可動部12,13、梁121,131は、下部Si層よりも薄い上部Si層により形成される。SiO層は、基台14と固定部11との間、および、梁121,131の接続部121a,131aと基台14との間に介在するように残存している。
【0010】
固定部11および可動部13の互いに対向する部分は、櫛歯状の凹凸形状をしている。そして、固定部11および可動部13の凹凸形状部分は、固定部11の凸部112が可動部13の凹133に入り込むとともに、可動部13の凸部132が固定部11の凹部113に入り込むように、隙間を有して噛合している。同様に、可動部12および可動部13の対向部分も櫛歯状の凹凸形状をしており、可動部12の凸部122が可動部13の凹135に入り込むとともに、可動部13の凸部134が可動部12の凹部123に入り込むように、隙間を有して噛合している。可動部12にはx方向に突出したプローブ124が形成されており、プローブ124の先端には探針125が形成されている。この探針で試料Sの表面をAFM観察することで、試料Sの表面形状を計測することができる。
【0011】
駆動部7の直流電源71および交流電源72は直列接続されており、固定部11と可動部12との間には、直流電圧Eに交流電圧eを重畳した電圧が印加される。そのため、固定部11と可動部13との櫛歯形状部の隙間空間および、可動部12と可動部13との櫛歯形状部の隙間空間に電界が形成され、交流電圧eの角周波数ωに応じて可動部12,13が振動することになる。センサ1は印加電圧を変えることで可動部12,13を駆動することができる静電アクチュエータを構成しており、可動部12,13の質量,バネ定数などの変化、すなわち機械系の変化を、電気的なアドミッタンスの変化として計測することが可能となる。なお、従来の櫛歯アクチュエータと区別するために、本願の静電アクチュエータを連成櫛歯アクチュエータと呼ぶことにする。
【0012】
本実施の形態では、可動部12のバネ定数を可動部13のバネ定数よりも小さく設定し、可動部13の共振周波数あるいはその近傍で可動部13を励振する。可動部13は、直流的にはフローティングの状態になっている。一方、可動部12は、共振周波数が駆動周波数から離れているので励振されず、外力によって静的あるいは準静的な変位を行う。
【0013】
図1のアドミッタンス検出器81は電気・機械結合系のアドミッタンスを検出するものであり、検出データは制御演算部82へ入力される。探針125で試料表面を走査すると、探針125と試料表面原子との原子間力により探針125が試料表面に引き寄せられ、可動部12がx方向に変位する。この可動部12の変位は、アドミッタンスの変化としてアドミッタンス検出器81により検出される。
【0014】
制御演算部82は、アドミッタンスの変化がゼロとなるように、すなわち可動部12の変位がゼロとなるようにピエゾアクチュエータ5をx方向に駆動する。そして、このような制御を行いながら、ステージ6により試料Sをxy方向に移動する。このときの制御信号は試料Sの表面状態(凹凸の様子)を表しており、制御信号に基づいて観察画像をモニタ10に表示する。
【0015】
図3は、センサ1の解析モデルを示す図である。上述したように、電圧は固定部11と可動部12との間に印加され、可動部13は直流的にフローティングの状態になっている。なお、図3において、m,mはそれぞれ可動部12,13の質量であり、k,kは可動部12,13のバネ定数、r,rは可動部12,13の機械抵抗(振動に伴う流体抵抗も含む)である。また、Xは固定部11と可動部13との間の櫛歯の初期重なり量であり、Xは可動部12と可動部13との間の櫛歯の初期重なり量である。ωは、交流電圧eの角周波数である。
【0016】
図3に示すような電気・機械結合系のラグランジアンLおよび散逸関数Fは、それぞれ次式(1),(2)のように表される。式(1)において、x,xは可動部12,13のx方向の変位を表している。C(x,x)は、固定部11と可動部13との間の静電容量C(x,x)と、可動部12,13間の静電容量C(x,x)とを合わせた合成容量であり、式(3)で表される。式(2)のRは電気系の抵抗である。また、式(3)において、nは凸部の総数、bは図3に示す櫛歯間のy方向隙間寸法、dは櫛歯のz方向厚さ寸法(図2参照)、εは真空の誘電率である。なお、浮遊容量Cstrayに関しては、Cstray=0と仮定して説明をする。
【数1】

【0017】
上述したラグランジアンLおよび散逸関数Fから、(4),(5),(6)に示すような機械系の外力f,f2および電気系の交流電圧eに関するラグランジュ方程式を導出する。式(4),(5)はそれぞれ可動部12と可動部13に関する式であり、式(6)は電気回路に関する式である。なお、F、F2は、直流バイアス電圧Eによる力を示す。
【数2】

【0018】
ここで、角周波数ωの交流電圧eの大きさがバイアス電圧Eに対して十分小さく、かつ、R≒0であると仮定すると、式(4)〜(6)は式(7)で示すような線形近似基本方程式で表される。なお、式(7)では、3つの方程式を行列を用いて表現した。また、C,C,Cは、変移量x、xがゼロの場合における静電容量であり、次式で表される。破線で囲んだ外力fの式の第2項および外力fの式の第1項のいずれにも、(1/C−1/C)という因数が含まれており、このことから、可動部12と可動部13とは電界を介して相互にカップリングしていることがわかる。
【数3】

【0019】
式(7)に関して、外力f、fをゼロとし、Cramerの公式を用いて電圧eを求めると次式(8)のようになる。なお、式(8)を求める際には、機械抵抗r,rをゼロとみなして計算を行っている。この電圧eの式を用いることにより、インピーダンスZは式(9)のように表される。なお、式(8)の分母に現れる|H|は、式(7)の右辺の行列に関する行列式である。
【数4】

【0020】
また、アドミッタンスYは、式(10)のように表される。なお、式(8)〜(10)において、定数A,B,D,Gは以下の通りであり、ω=k/m、ω=k/mである。
【数5】

【0021】
このように、センサ1の振動状態の変化、すなわち振動系の変化は電気系のインピーダンスZまたはアドミッタンスYの変化(より一般的にはイミタンスの変化)を計測することにより検出することができる。アドミッタンスYの絶対値は、インピーダンスアナライザーによって直接に計測することができる。なお、アドミッタンスの検出方法については、特開2007−93231号公報に詳細に記載されており、ここでは説明を省略する。
【0022】
前述したように、本実施の形態では、可動部12のバネ定数は可動部13のバネ定数よりも小さく設定されている。そのため、可動部13が共振周波数あるいはその近傍で励振されても、可動部12は可動部13の振動には追従せず、外力が加わらない限りほぼ静止した状態となる。そして、外力によって可動部12が変位すると、可動部12と可動部13との間のカップリングの強さが変化するので、その変化が電気系の変化として現れる。この電気的な変動を電子回路で例えばアドミッタンス変化として検出することにより、可動部12の変位を検出することができる。
【0023】
可動部12のバネ定数が小さくて可動部12が振動しない場合、v=0としてラグランジアンLおよび散逸関数Fを立てる。それぞれ、式(11),(12)のようになる。そして、ラグランジアンLおよび散逸関数Fをx1,v2,eについて解くと、式(13)で与えられるような可動部12(f)、可動部13(f)、電気回路系(i)のそれぞれの系に対応した行列が得られる。
【数6】

【0024】
この場合も、前述した場合と同様に、式(13)に関して、外力f、fをゼロとし、Cramerの公式を用いて電圧eを求めると次式(14)のようになる。この電圧eの式を用いることにより、インピーダンスZは式(15)のように表される。
【数7】

【0025】
図4は実験データを示したものであり、(a)は図2の連成櫛歯アクチュエータの部分を従来の櫛歯アクチュエータで置き換えた場合のデータを示し、(b)は連成櫛歯アクチュエータを用いたセンサ1の場合を示す。この実験データは、櫛歯アクチュエータを駆動部7により励振させた状態で、探針125をSi基板に接触させない場合と、探針125を基板方向に押し込んで可動部12を変位させた場合とを示す。なお、図4(a)に示す従来の櫛歯アクチュエータの場合は、駆動周波数とインピーダンスアナライザーで計測されるアドミッタンス値|Y|との関係を示し、図4(b)の場合には、駆動周波数とロックインアンプで計測される電流値との関係を示す。
【0026】
図4(a)に示す従来の櫛歯アクチュエータの場合、探針125を接触させないフリー状態(曲線a)では、典型的なアドミッタンスカーブが得られるが、探針125が基板に接触して可動部12に変位が生じると、曲線b〜dのようにピーク部分の波形が潰れたような形状となる。これは、探針125が基板に接触すると櫛歯アクチュエータの可動部の振動が制限されるために生じるものであり、押し込み量が大きくなるほど波形の潰れが顕著になる。そのため、変位測定の感度が低下するという欠点があった。
【0027】
一方、図4(b)に示す計測結果では、探針125が基板に接触して可動部12が変位した状態(b〜d)でも波形の潰れは計測されず、接触量(=変位量)を変えたときの容量の変化が波形に明確に現れている。そのため、可動部13の変位を感度良く計測することができる。なお、接触量は押し込み量と同じ内容のものである。図4(b)に示すデータでは、f=10.8kHz〜11kHzの周波数範囲においては接触量の変化に対して電流値が大きく変化している。そのため、この周波数範囲(例えば、10.9kHz)で可動部13を励振し、電流値の変化量から可動部12の変位量を高精度に推定することができる。もちろん、変位量と可動部12に付加される外力との対応関係を予めテーブルとして用意し、変位量とテーブルとから外力の大きさを求めるようにしても良い。
【0028】
また、図5はセンサ1をタッチセンサに適用した場合を示す図である。図5(a)は従来の櫛歯アクチュエータをタッチセンサに用いた場合を示す図であり、図5(b)はセンサ1を接触検出用センサに適用した場合を示す。図5(a)に示す場合には、接触を検出するためのアーム138が、振動している可動部13に形成されている。アーム138が試料50に接触すると可動部13の振動状態が変化し、その振動状態の変化をアドミタンス変化として計測することにより、試料50への接触を検出することができる。
【0029】
一方、図5(b)に示す連成櫛がアクチュエータを用いる場合には、静止状態の可動部12に接触用のアーム128が形成されている。そして、アーム128が試料50に接触して可動部12が可動部13方向へ変位すると、電極部のカップリング強度が変化する。その結果、可動部13の振動状態が変化し、アーム128が試料50に接触したことを検出することができる。
【0030】
しかしながら、水中にある試料50を計測する場合、図5(a)に示す例では、アーム138の一部が水中に侵入したときに水の粘性抵抗により、可動部13の振動状態が変化する。そのため、アドミッタンス変化が、振動する可動部13が静的に変位したことに起因するのか、粘性抵抗に起因するのかを判別し難くい。さらに、粘性抵抗により振動が制限されるため、検出感度も低下してしまう。
【0031】
一方、図5(b)に示す例では、可動部12は振動していないので、アーム128の一部が水中に入った場合でも可動部13の振動状態は変化しない。そして、アーム128が試料50に接触して可動部12が図示左側に変位すると、電極部のカップリング強度が変化してアドミッタンス変化として計測される。そのため、アーム128が水中にある場合でも大気中にある場合でも、同様の検出精度で接触を検知することができる。
【0032】
なお、センサ1を物理センサとして用いる他の例としては、メンブレン方式の圧力センサがある。この場合、可動部12をメンブレンに密着するように設け、圧力によるメンブレンの変形を可動部12の変位として検出するように構成する。
【0033】
[変形例]
図6は本実施の形態の変形例を示す図であり、センサ1および駆動部7を示すブロック図である。上述した実施の形態では、駆動部7に交流電源72を設けて可動部13を励振させたが、変形例では、センサ1の連成櫛歯アクチュエータ(静電アクチュエータ)を共振回路とし、その出力を増幅器23を介してフィードバックすることにより、自励発振させるようにした。そして、自励発振するセンサ1の振動状態の変化を、例えば周波数変化として検出することにより、可動部12の変位を検出することができる。
【0034】
図6では、センサ1は、それが本来的に有しているL,C,R共振回路に基づいて描いてある。すなわち、センサ1を受動2端子素子とみなして示した。駆動部7は、センサ1を帰還回路として有する増幅器73と、センサ1に対して直流バイアス電圧Eを印加する直流電源71とを備えている。
【0035】
なお、直流バイアス電圧Eを印加する直流電源71の内部抵抗は非常に小さいので、帰還信号が直流電源71側を通過しないようにする必要がある。そこで、本実施の形態では、高抵抗Rhighを直流電源71と直列に挿入してある。このことにより、直流電源71が帰還パスに影響を与えないようにしている。また、直流電源71が、増幅器73を含んだ回路系統からDC回路としてフローティング状態とされる同時に、増幅器73の端子(出力端子&入力端子)に直流電圧が直接印加されないよう、ブロッキング・コンデンサCを挿入してある。
【0036】
増幅器73とセンサ(静電アクチュエータ)1とで発振回路を構成することにより、センサ1に電圧を印加すると、可動部13は共振周波数で自励振動することになる。外力により可動部12に変位が生じると、等価回路のR,C,Lが変化して振動の振幅および周波数が変化する。増幅器73からの出力信号は、振動状態の変化を周波数変化として検出する検出部60に入力される。検出部60には、例えば、周波数コンパレータが設けられ、増幅器23から出力される信号の周波数を周波数コンパレータによりモニタする。
【0037】
なお、上述した実施の形態では、振動状態の変化をアドミッタンスの変化として検出したが、図4(b)で示したように電流値の変化として検出するようにしても良い。以上説明した実施の形態と特許請求の範囲の要素との対応において、可動部12は可動部を、可動部13は振動部を、基台14はベース部をそれぞれ構成する。また、以上の説明はあくまでも一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係るセンサ素子を用いた原子間力顕微鏡装置の概略構成を示す図である。
【図2】センサ1の構成を示す斜視図である。
【図3】センサ1(連成櫛歯アクチュエータ)の解析モデルを示す図である。
【図4】実験データを示す図であり、(a)は従来の櫛歯アクチュエータを用いたセンサの場合を示し、(b)は連成櫛歯アクチュエータを用いたセンサ1の場合を示す。
【図5】センサ1をタッチセンサに適用した場合を示す図であり、(a)は従来の櫛歯アクチュエータを用いた場合を示す、(b)はセンサ1をタッチセンサに適用した場合を示す。
【図6】変形例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0039】
1:センサ、5:ピエゾアクチュエータ、6:ステージ、7:駆動部、8:制御部、9:ステージ駆動制御部、11:固定部、12,13:可動部、14:基台、50:試料、60:検出部、71:直流電源、72:交流電源、73増幅器、81:アドミッタンス検出器、82:制御演算部、121,131:梁、128,138:アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに逆向きに形成された第1および第2の櫛歯電極を有し、ベース部に弾性的に支持されるとともに櫛歯の凹凸方向に振動する振動部と、
前記第1の櫛歯電極と噛合する第3の櫛歯電極を有し、前記ベース部に固定された固定部と、
前記第2の櫛歯電極と噛合する第4の櫛歯電極を有し、前記ベース部に弾性的に支持されて外力の作用により櫛歯の凹凸方向に変位する可動部とを備えたことを特徴とするセンサ素子。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサ素子において、
前記固定部、前記振動部および前記可動部を、フォトリソグラフィー法によりSOIウエハ上に一体に形成したことを特徴とするセンサ素子。
【請求項3】
請求項1または2に記載のセンサ素子と、
前記振動部を振動駆動するための電圧を、前記第3の櫛歯電極と前記第4の櫛歯電極との間に印加する駆動部と、
前記振動部の振動状態の変化に基づいて前記可動部の変位を検出する検出部とを備えたことを特徴とする物理センサ装置。
【請求項4】
請求項3に記載の物理センサ装置において、
前記検出部は、前記振動状態の変化による前記センサ素子および前記駆動部を含む系のイミタンスの変化に基づいて、前記可動部の変位を検出することを特徴とする物理センサ装置。
【請求項5】
請求項3に記載の物理センサ装置において、
前記駆動部は、前記センサ素子が有する電気的等価回路を帰還回路として用いることにより自励発振させ、その自励発振により前記振動部を振動させる増幅器を備えることを特徴とする物理センサ装置。
【請求項6】
請求項5に記載の物理センサ装置において、
前記検出部は、前記振動状態の変化としての振動周波数の変化に基づいて、前記可動部の変位を検出することを特徴とする物理センサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−85729(P2009−85729A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−254822(P2007−254822)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(390022471)アオイ電子株式会社 (85)
【出願人】(304028346)国立大学法人 香川大学 (285)
【Fターム(参考)】