説明

センサ組立体およびセンサに対する機械構成部品の近接度を測定する方法

【課題】機械構成部品の近接度を測定する方法の提供。
【解決手段】マイクロ波センサ組立体110は、少なくとも1つのマイクロ波信号を生成するための信号ジェネレータ218と、前記信号ジェネレータに結合された放射源206と、を含む。放射源は、少なくとも1つのマイクロ波信号から電磁場を生成するように構成され、負荷信号が生成されるように物体が電磁場内に配置されたとき、放射源は離調する。マイクロ波センサ組立体は、放射源と信号ジェネレータとに結合された検出器214も含む。検出器は、放射源までの物体の近接度を測定するうえで使用するために負荷信号の一次周波数における負荷信号の振幅、位相、および電力の少なくとも1つを算出するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電力システム全般に関し、より具体的にはセンサ組立体、およびセンサを基準とした機械構成部品の近接度を測定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
知られている機械では、動作中に振動および/または他の異常な挙動を示すことがある。1つまたは複数のセンサを使用し、このような挙動を測定および/またはモニタし、例えば、機械の駆動軸で生じている振動の量、機械の駆動軸の回転速度、および/または、動作中の機械もしくはモータのいずれか他の適した動作の特徴を決定することができる。このようなセンサは複数のモニタを含む機械モニタシステムにしばしば結合される。このモニタシステムは1個または複数のセンサから測定値を示す信号を受信し、少なくとも1つの処理ステップをその信号に対して実行し、かつ、ユーザに対して測定値を表示する診断プラットフォームに修正信号を送信する。
【0003】
少なくとも一部の知られているセンサは、物体をモニタする際、アンテナから受信した信号が含む電力の量を検出および/または決定するために1つまたは複数の電力検出デバイスを使用している。しかし、知られているアンテナは、モニタしている物体以外の複数の信号発生源から複数の周波数を受信可能である。この電力検出デバイスは、モニタしている物体に伴う周波数を他の発生源から受信した周波数から区別できないことがある。このため、知られている電力検出デバイスは、モニタしている物体に伴う1つまたは複数の周波数に含まれる電力量だけを単に決定するのではなく、上記の複数の周波数が含む電力量をも決定することがあり望ましくない。このため、不正確な電力測定に基づいた近接度測定は、同じく不正確なものとなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0211334号明細書
【発明の概要】
【0005】
一実施形態では、マイクロ波センサ組立体を提供し、この組立体は少なくとも1つのマイクロ波信号を生成するための信号ジェネレータと、この信号ジェネレータに結合された放射源と、を含む。この放射源はこの少なくとも1つのマイクロ波信号から電磁場を生成するように構成され、負荷信号が生成されるように物体が電磁場内に配置されたとき、この放射源は離調する。マイクロ波センサ組立体は、放射源と信号ジェネレータとに結合された検出器も含む。検出器は、放射源までの物体の近接度を測定するうえで使用するために、負荷信号の一次周波数における負荷信号の振幅、位相、および電力の少なくとも1つを算出するように構成されている。
【0006】
他の実施形態では、電力システムを提供し、このシステムは、少なくとも1つの構成部品を含む機械と、この少なくとも1つの構成部品に近接して配置されたマイクロ波センサ組立体と、を含む。マイクロ波センサ組立体は、少なくとも1つのマイクロ波信号を生成するための信号ジェネレータと、この信号ジェネレータに結合された放射源と、を含む。この放射源は、この少なくとも1つのマイクロ波信号から電磁場を生成するように構成され、負荷信号が生成されるように物体が電磁場内に配置されたとき、この放射源は離調する。マイクロ波センサ組立体は、放射源と、信号ジェネレータと、に結合された検出器も含む。検出器は、少なくとも1つの構成部品の放射源までの近接度を測定するうえで使用するために、負荷信号の一次周波数における負荷信号の振幅、位相、および電力の少なくとも1つを算出するように構成されている。
【0007】
さらに他の実施形態では、機械構成部品の近接度を測定する方法を提供する。この方法は、少なくとも1つのマイクロ波信号を放射源に送信する段階と、この少なくとも1つのマイクロ波信号から電磁場を生成する段階と、を含む。電磁場の乱れを示す負荷信号が生成される。この負荷信号の一次周波数における負荷信号の振幅、位相、および電力の少なくとも1つが算出される。算出した負荷信号の振幅、位相、および電力の少なくとも1つに基づいて機械構成部品の放射源までの近接度が算出される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】例示的な電力システムのブロック図。
【図2】図1に示す電力システムとともに使用可能な例示的センサ組立体のブロック図。
【図3】図2に示す例示的センサ組立体の部分ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、機械102を含む例示的な電力システム100を示す。例示的実施形態において、機械102は風力タービン、水力発電タービン、ガスタービン、または、圧縮機であってよいが、それらのみには限定されない。代替として、機械102は電力システムで使用している他のいずれの機械であってもよい。例示的実施形態では、発電機などの負荷106に結合された駆動軸104を機械102が回転させている。
【0010】
例示的実施形態において、駆動軸104は、機械102および/または負荷106内に収納された(図示しない)1つまたは複数の軸受が少なくとも部分的に支持している。代替として、または、加えて、これらの軸受はギヤボックスなどの分離支持構造体108内に、もしくは、本明細書に説明している通りに電力システム100が機能することを可能にする他のいずれの構造体または構成部品内にも収納可能である。
【0011】
この例示的実施形態において、電力システム100は、機械102、駆動軸104、負荷106、および/または、本明細書に説明している通りにシステム100が機能することを可能にする電力システム100の他のいずれの構成部品の少なくとも1つの動作状態を測定および/またはモニタする少なくとも1つのセンサ組立体110を含む。より具体的には、この例示的実施形態では、センサ組立体110が、駆動軸104とセンサ組立体110との間で規定された(図1には示していない)距離を測定および/またはモニタするために、駆動軸104に対して非常に近接して配置された近接度センサ組立体110となっている。さらに、例示的実施形態では、センサ組立体110が、センサ組立体110についての電力システム100の構成部品の近接度を測定するためにマイクロ波信号を使用する。本明細書で使用しているように、用語「マイクロ波」は、約300メガヘルツ(MHz)と約300ギガヘルツ(GHz)との間の1つまたは複数の周波数を有する信号を受信および/または送信する信号または成分を指す。代替として、センサ組立体110は、電力システム100の他のいずれの構成部品も測定および/もしくはモニタすることが可能であり、かつ/または、本明細書に説明している通りに電力システム100が機能することを可能にする他のいずれのセンサもしくはトランスデューサ組立体であってもよい。例示的実施形態において、各センサ組立体110は電力システム100内のいずれの場所にも配置されている。さらに、例示的実施形態において、少なくとも1つのセンサ組立体110は、センサ組立体110によって生成された1つまたは複数の信号を処理および/または解析するうえで使用するための診断システム112に結合される。
【0012】
動作中、例示的実施形態では、機械102の動作が、駆動軸104などの電力システム100の1つまたは複数の構成部品の位置を、少なくとも1つのセンサ組立体110に関して変えることがある。例えば、各構成部品に対して振動が誘発されることがあり、かつ/または、各構成部品が電力システム100内の動作温度が変化するに従って膨張または収縮することがある。例示的実施形態において、センサ組立体110は、各センサ組立体110を基準として構成部品の近接度および/または位置を測定および/またはモニタし、かつ、構成部品の測定された近接度および/または位置を示す信号(以下、「近接度測定信号」と称する)を、処理および/または解析するために診断システム112に送信する。
【0013】
図2は(図1に示した)電力システム100とともに使用可能な例示的センサ組立体110の概略図である。例示的実施形態において、センサ組立体110は、信号処理デバイス200と、データ用ダクト204を介して信号処理デバイス200に結合されたプローブ202と、を含む。さらに、例示的実施形態において、プローブ202は、プローブ筐体208に結合されかつ/またはその内部に配置された放射源206を含む。より具体的には、例示的実施形態では、プローブ202がマイクロ波放射源206を含むマイクロ波プローブ202となっている。このため、例示的実施形態では、放射源206がマイクロ波周波数範囲内の少なくとも1つの共鳴周波数を有している。
【0014】
例示的実施形態において、信号処理デバイス200は送信信号検出器212と、受信信号検出器214と、信号状態調整デバイス216と、に結合された指向性結合デバイス210を含む。さらに、例示的実施形態において、信号状態調整デバイス216は信号ジェネレータ218と、減算器220と、線形化器222と、を含む。放射源206を介してマイクロ波信号を送信したとき、放射源206は電磁場224を放射する。
【0015】
動作中、例示的実施形態において、信号ジェネレータ218は放射源206の共鳴周波数と等しいか、または、ほぼ等しいマイクロ波周波数を有する少なくとも1つの電気信号(以下、「マイクロ波信号」と称する)を生成する。信号ジェネレータ218は指向性結合デバイス210にマイクロ波信号を送信する。指向性結合デバイス210はマイクロ波信号を送信信号検出器212と、放射源206と、に送信する。放射源206を介してマイクロ波信号を送信したとき、放射源206から、かつ、プローブ筐体208の外に電磁場224が放射される。(図1に示した)機械102および/または電力システム100の駆動軸104または他の構成部品などの物体が電磁場224に進入、かつ/または、電磁場224内での相対位置を変えた場合、その物体と場224との間には電磁結合が生じることがある。より具体的には、電磁場224内の物体の存在および/またはその物体の動きが電磁場224を乱すことがある。これは、例えば、電磁場224の少なくとも一部を電流および/または電荷として、物体に誘電的および/または容量的に結合させることが可能な物体内で誘導される誘導効果および/または容量効果によるものである。このような場合、放射源206は離調し(すなわち、放射源206の共鳴周波数が低下および/または変化し)、放射源206に負荷が誘導される。放射源206に誘導された負荷は、データ用ダクト204を介して指向性結合デバイス210に送信されたマイクロ波信号(以下、「離調負荷信号」と称する)の反射を引き起こす。例示的実施形態において、離調負荷信号は、マイクロ波信号の電力の振幅および/または位相よりも小さな電力の振幅および/またはこの信号の位相とは異なった位相を有する。さらに、例示的実施形態において、離調負荷信号の電力の振幅は物体の放射源206に対する近接度に依存する。指向性結合デバイス210は離調負荷信号を受信信号検出器214に送信する。
【0016】
例示的実施形態において、受信信号検出器214は、離調負荷信号に基づく、かつ/または、この信号が含む電力の量を決定し、離調負荷信号電力を示す信号を信号状態調整デバイス216に送信する。さらに、送信信号検出器212は、マイクロ波信号に基づく、かつ/または、この信号が含む電力の量を決定し、マイクロ波信号電力を示す信号を信号状態調整デバイス216に送信する。例示的実施形態において、減算器220はマイクロ波信号電力および離調負荷信号電力を受信し、かつ、マイクロ波信号電力と離調負荷信号電力との間の差を算出する。減算器220は算出した差(以下、「電力差信号」と称する)を示す信号を線形化器222に送信する。例示的実施形態において、電力差信号の振幅は、電磁場224内の駆動軸104などの物体とプローブ202および/または放射源206との間で規定の距離226(すなわち、距離226は物体近接度として知られている)と、逆比例または指数比例などの比例関係にある。例えば、放射源206の幾何形状などの放射源206の特徴によっては、電力差信号の振幅が物体近接度に関して少なくとも部分的に非線形な関係を示してもよい。
【0017】
例示的実施形態において、線形化器222は、電力差信号を、物体近接度と近接度測定信号の振幅との間のほぼ線形な関係を示す電圧出力信号(すなわち、「近接度測定信号」)に変換する。さらに、例示的実施形態において、線形化器222は、近接度測定信号を、診断システム112内での処理および/または解析に適した換算係数とともに(図1に示した)診断システム112に送信する。例示的実施形態において、近接度測定信号は「ミリメートル当たりボルト」の換算係数を有する。代替として、近接度測定信号は、本明細書に説明する通りに診断システム112および/または電力システム100が機能することを可能にする他のいずれの換算係数も有することが可能である。
【0018】
図3は、例示的信号ジェネレータ218と、例示的受信信号検出器214と、を含むセンサ組立体110の部分ブロック図である。例示的実施形態において、信号ジェネレータ218は、電圧源スイッチ302に結合された電圧源300を含む。電圧源スイッチ302は、電圧制御発振器304と、周波数電圧(F−V)変換器306に結合される。さらに、例示的実施形態において、電圧制御発振器304は指向性結合デバイス210を介して放射源206に結合され、位相同期ループ(PLL)308は指向性結合デバイス210と、F−V変換器306と、に結合される。
【0019】
例示的実施形態において、受信信号検出器214は、互いに結合される信号復調器310および電力算出器312を含む。さらに、信号復調器310は、指向性結合デバイス210を介して放射源206に、およびPLL308に結合される。例示的実施形態において、電力算出器312は、減算器220に結合される。
【0020】
例示的実施形態において、動作中、電圧源300は規定の振幅を有した第1の電圧信号を電圧源スイッチ302に送信する。電圧源スイッチ302は電圧源300から第1の電圧信号を、およびF−V変換器306から第2の電圧信号を受信し、かつ、以下にさらに詳細に説明するように電圧制御発振器304に第1の電圧信号または第2の電圧信号を選択的に送信する。より具体的には、例示的実施形態において、電圧源300からの第1の電圧信号は、信号ジェネレータ218および/またはセンサ組立体110の動作を開始するために使用されている。このため、電圧源スイッチ302は、センサ組立体110の起動中に、電圧源300からの第1の電圧信号を電圧制御発振器304に送信する。F−V変換器306が第2の電圧信号を出力した後、電圧源スイッチ302は、F−V変換器306からの第2の電圧信号を電圧制御発振器304に送信する。さらに、F−V変換器306が第2の電圧信号を電圧源スイッチ302に出力した後、F−V変換器306のみが電圧信号を電圧源スイッチ302と、電圧制御発振器304と、に供給するように電圧源300は動作不能および/または通電停止にすることが可能である。
【0021】
例示的実施形態において、電圧制御発振器304は、電圧源スイッチ302からの受信電圧信号に基づく、かつ/または、この信号に比例した周波数を有したマイクロ波信号を生成する。このため、電圧制御発振器304は所望の周波数のマイクロ波信号を放射源206に送信する。本明細書に説明しているように、放射源206はマイクロ波信号を受信し、本明細書にさらに完全に説明するように、(図2に示した)電磁場224に干渉している物体に応じて、離調負荷信号が指向性結合デバイス210に送信される。指向性結合デバイス210は離調負荷信号をPLL308と、信号復調器310と、に送信する。さらに、例示的実施形態において、離調負荷信号は、物体が(図2に示した)電磁場224に誘導した負荷を示す周波数(以下、「負荷周波数」と称する)、1つまたは複数の雑音周波数、および/または、放射源206によって受信可能ないずれか他の周波数などの複数の周波数成分を含むことが可能である。
【0022】
例示的実施形態において、PLL308は離調負荷信号の一次周波数を検出および/または抽出し、かつ、一次離調負荷信号周波数を示す信号(以下、「一次周波数信号」と称する)をF−V変換器306と、信号復調器310と、に送信する。本明細書で使用されているように、用語「一次周波数」は、1つの信号内で他のいずれの周波数よりも振幅および/または電力が大きい周波数を指す。例示的実施形態において、一次周波数は負荷周波数に等しいか、または、ほぼ等しい。さらに、例示的実施形態において、PLL308は、PLL308が放射源206の共鳴周波数シフトを検出し、一次周波数信号に組み込むように、一次周波数信号を「追跡」する。
【0023】
例示的実施形態において、F−V変換器306は一次周波数信号をこれに比例した電圧信号に変換し、電圧制御発振器304に通電するためにこの電圧信号を電圧源スイッチ302に送信する。さらに、例示的実施形態において、F−V変換器306が電圧信号を電圧源スイッチ302に送信した後、電圧源300は電力消費を低減するために通電停止され、電圧制御発振器304はF−V変換器306からの電圧信号のみによって通電される。このため、一次周波数信号は、放射源周波数の閉ループ制御を維持するために電圧制御発振器304を介して放射源206に通電するためにフィードバックされる。
【0024】
例示的実施形態において、信号復調器310は、PLL308から受信した一次周波数信号に同期した離調負荷信号を復調する。すなわち、信号復調器310は、一次周波数における離調負荷信号のピーク振幅および/または振幅包絡線を抽出および/または検出するために、PLL308から受信した一次周波数信号を使用する。代替として、信号復調器310は、一次周波数に等しくない、かつ/または、一次周波数を中心とした規定の周波数帯内の周波数に等しくない雑音などの信号周波数をフィルタリングまたはその他で除去することによって、一次周波数信号にほぼ等しい周波数におけるピーク振幅を検出する。このため、例示的実施形態において、信号復調器310は、一次周波数の電力レベルが正確に決定できるように、一次周波数における離調負荷信号(以下、「復調負荷信号」と称する)の振幅の検出および/または測定を促進する。
【0025】
さらに、信号復調器310は復調負荷信号を示す信号を電力算出器312に送信する。例示的実施形態において、電力算出器312は、復調負荷信号が含む電力の量を測定および/または数量化し、測定および/または数量化した電力量を示す信号を減算器220に送信する。例示的実施形態において、減算器220は、復調負荷信号の電力を、送信されて来たマイクロ波信号の電力と比較し、上記にさらに完全に説明したように比較に基づいて近接度測定値を生成する。代替実施形態において、電力算出器312は、ピーク検出器、二乗平均(RMS)検出器、位相検出器、共鳴幅検出器、さらに/または、復調負荷信号の電圧および/あるいは電流の振幅などの復調負荷信号の振幅、ならびに/もしくは、一次周波数における復調負荷信号の位相を測定する他のいずれの検出器も含むことが可能であるか、または、これらによって代替可能である。このような実施形態において、(図2に示した)送信信号検出器212は、送信されて来たマイクロ波信号の振幅および/または位相を測定し、減算器220は、放射源206までの物体の近接度を測定するうえで使用するために、送信されて来たマイクロ波信号の振幅および/または位相を復調負荷信号の振幅および/または位相と比較する。
【0026】
本明細書に説明したように、センサ組立体110は、放射源までの物体の近接度を示す放射源負荷信号から雑音および/または他の不要な周波数成分を除去することによって、従来技術の短所を克服している。知られているマイクロ波センサに対して、センサ組立体110は、放射源から受信した離調負荷信号の一次周波数の振幅を検出し、一次周波数のみにおいて離調負荷信号が含む電力の量を算出する。このため、電力の算出は他の不要な周波数を含くんでいない。さらに、近接度測定値は電力の算出に基づいて算出される。したがって、センサ組立体110は、従来技術のセンサに比較して、さらに正確な近接度測定を可能にしている。
【0027】
本システムおよび装置の技術的効果は、(a)少なくとも1つのマイクロ波信号の放射源までの送信、(b)少なくとも1つのマイクロ波信号からの電磁場の生成、(c)電磁場の乱れを示す負荷信号の生成、(d)負荷信号の一次周波数における負荷信号の振幅、位相、および電力のうちの少なくとも1つの算出、および(e)負荷信号の一次周波数における負荷信号の振幅、位相、および電力のうちの少なくとも1つに基づく放射源までの機械構成部品の近接度の算出、のうちの少なくとも1つを含む。
【0028】
説明した実施形態は、機械の構成部品などの物体の近接度を測定するうえで使用するための効率的かつ費用対効果の大きいセンサ組立体を提供する。このセンサ組立体は、電磁場を生成するために、マイクロ波信号を使用して放射源に通電する。機械の構成部品を電磁場内に配置すると、放射源に負荷が誘導される。放射源の負荷を示す信号を信号処理デバイスに送信する。不要な周波数成分を信号から除去し、信号が含む電力の量を算出する。さらに、センサ組立体は、放射源から受信した負荷信号が含む電力の量と、放射源に送信したマイクロ波信号が含む電力の量と、に基づいて構成部品の近接度を算出する。これにより、本明細書に説明したセンサ組立体は、安定かつ確実な近接度測定を容易にする。
【0029】
センサ組立体およびセンサを基準とした機械構成部品の近接度を測定するための方法の例示的実施形態を上記に詳細に説明した。これらの方法およびセンサ組立体は本明細書に説明した具体的な実施形態には限定しないが、むしろ、センサ組立体の各構成部品および/または方法の各ステップは、本明細書に説明した他の構成部品および/またはステップから独立かつ分離して使用可能である。例えば、センサ組立体は他の測定のシステムおよび方法と組み合わせても使用可能であり、かつ、本明細書に説明した電力システムのみを伴った実施に限定もしない。むしろ、例示的実施形態は、多くの他の測定および/またはモニタの用途に関して実施および利用が可能である。
【0030】
本発明の様々な実施形態の具体的な特徴は、一部の図面に示され、他の図面に示されていないことがあるが、これは便宜的なものである。本発明の原理によれば、一図面のどの特徴も、任意の他の図面のどの特徴とも組み合わせて参照および/または特許請求可能である。
【0031】
本書では、最良の形態を含めて本発明を開示するために、また任意のデバイスまたはシステムを作成および使用すること、ならびに、任意の組み込まれた方法を実行することを含めて、当業者による本発明の実施を可能にするためにも、例を使用している。本発明の特許性のある範囲は特許請求の範囲によって規定されており、かつ、当業者が考えつく他の例も含むことが可能である。そのような他の例が特許請求の範囲の文字通りの文言と異ならない構造要素を有する場合、または、特許請求の範囲の文字通りの文言とほとんど差のない均等な構造要素を含む場合、そのような他の例は特許請求の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0032】
100 電力システム
102 機械
104 駆動軸
106 負荷
108 支持構造体
110 センサ組立体
112 診断システム
200 信号処理デバイス
202 プローブ
204 データ用ダクト
206 放射源
208 プローブ筐体
210 指向性結合デバイス
212 送信信号検出器
214 受信信号検出器
216 信号状態調整デバイス
218 信号ジェネレータ
220 減算器
222 線形化器
224 電磁場
226 距離
300 電圧源
302 電圧源スイッチ
304 電圧制御発振器
306 周波数電圧変換器
308 位相同期ループ
310 信号復調器
312 電力算出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのマイクロ波信号を生成するための信号ジェネレータ(218)と、
前記信号ジェネレータに結合され、前記少なくとも1つのマイクロ波信号から電磁場を生成するように構成され、負荷信号が生成されるように物体が電磁場内に配置されたとき離調する放射源(206)と、
前記放射源および前記信号ジェネレータに結合され、前記放射源までの物体の近接度を測定するうえで使用するために前記負荷信号の一次周波数における前記負荷信号の振幅、位相、および電力の少なくとも1つを算出するように構成された検出器(214)と
を備えたマイクロ波センサ組立体(110)。
【請求項2】
前記負荷信号を受信し、前記負荷信号の前記一次周波数にほぼ等しい負荷周波数信号を生成するように構成された位相同期ループ(308)をさらに備えた請求項1記載のマイクロ波センサ組立体(110)。
【請求項3】
前記位相同期ループ(308)に結合され、前記負荷周波数信号を受信し、前記マイクロ波信号を生成するうえで使用するために前記負荷周波数信号を第1の電圧信号に変換するように構成された周波数電圧変換器(306)をさらに備えた請求項2記載のマイクロ波センサ組立体(110)。
【請求項4】
第2の電圧信号を生成するように構成された電圧源(300)と、
前記電圧源および前記周波数電圧変換器(306)に結合され、前記マイクロ波信号を生成するうえで使用するために前記第1の電圧信号および前記第2の電圧信号を選択的に送信する電圧源スイッチ(302)と
をさらに備えた請求項3記載のマイクロ波センサ組立体(110)。
【請求項5】
前記周波数電圧変換器(306)が前記第1の電圧信号を前記電圧源スイッチ(302)に送信したとき、前記電圧源(300)が通電停止となる請求項4記載のマイクロ波センサ組立体(110)。
【請求項6】
信号復調器(310)が、前記負荷周波数信号を受信し、前記一次周波数における前記負荷信号のピーク振幅を決定する請求項2記載のマイクロ波センサ組立体(110)。
【請求項7】
前記信号復調器(310)に結合された電力算出器(312)をさらに備え、前記電力算出器(312)が、
前記負荷信号のピーク振幅を示す信号を受信し、かつ、
前記放射源(206)までの前記物体の近接度を決定するうえで使用するために前記ピーク振幅信号が含む電力の量を算出するように構成された、請求項6記載のマイクロ波センサ組立体(110)。
【請求項8】
少なくとも1つの構成部品(104)を備えた機械(102)と、
前記少なくとも1つの構成部品に近接して配置されたマイクロ波センサ組立体(110)とを備え、前記マイクロ波センサ組立体(110)が、
少なくとも1つのマイクロ波信号を生成するための信号ジェネレータ(218)と、
前記信号ジェネレータに結合され、前記少なくとも1つのマイクロ波信号から電磁場を生成するように構成され、負荷信号が生成されるように物体が前記電磁場内に配置されたとき離調する放射源(206)と、
前記放射源および前記信号ジェネレータに結合され、前記放射源までの前記少なくとも1つの構成部品の近接度を測定するうえで使用するために前記負荷信号の一次周波数における前記負荷信号の振幅、位相、および電力の少なくとも1つを算出するように構成された検出器(214)と
を備えた、電力システム(100)。
【請求項9】
前記負荷信号を受信し、前記負荷信号の前記一次周波数にほぼ等しい負荷周波数信号を生成するように構成された位相同期ループ(308)をさらに備えた請求項8記載の電力システム(100)。
【請求項10】
前記位相同期ループ(308)に結合され、前記負荷周波数信号を受信し、前記マイクロ波信号を生成するうえで使用するために前記負荷周波数信号を第1の電圧信号に変換するように構成された周波数電圧変換器(306)をさらに備えた請求項9記載の電力システム(100)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−154916(P2012−154916A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−251179(P2011−251179)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】