説明

センサ組立体及びセンサ組立体で使用するマイクロ波エミッタ

【課題】電磁場に対して、大きな電磁エネルギー量を放射するエミッタを有すセンサ組立体を提供する。
【解決手段】マイクロ波エミッタ206は、エミッタ本体300から半径方向外向きに延びる第1のアーム310を含む。第1のアーム310は、少なくとも部分的に非線形であり、かつ少なくとも1つのピーク334及び少なくとも1つのトラフ336を有する。本マイクロ波エミッタ206はまた、エミッタ本体300から半径方向外向きに延びる第2のアーム312を含む。第2のアーム312は、少なくとも1つのピーク334及び少なくとも1つのトラフ336を有する。第1のアーム310及び第2のアーム312は、少なくとも1つのマイクロ波信号を受信した時に電磁場を発生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、総括的にはパワーシステムに関し、より具体的には、センサ組立体及びセンサ組立体で使用するマイクロ波エミッタに関する。
【背景技術】
【0002】
公知の機械は、運転時に振動及び/又はその他の異常挙動を示す可能性がある。1つ又はそれ以上のセンサを使用して、そのような挙動を測定しかつ/又は監視し、また例えば機械駆動シャフト内に見られる振動量、機械駆動シャフトの回転速度、並びに/或いは作動機械又はモータのあらゆるその他の作動特性を判定することができる。多くの場合、そのようなセンサは、複数のモニタを備えた機械監視システムに結合される。監視システムは、1つ又はそれ以上のセンサから信号を受信し、信号に対して少なくとも1つの処理ステップを実行しかつその修正信号を診断プラットフォームに送信して、診断プラットフォームにより使用者に測定値を表示する。
【0003】
少なくとも一部の公知の機械は、渦電流センサを使用して、機械構成の振動及び/又は位置を測定する。しかしながら、公知の渦電流センサの使用は、そのようなセンサの検出範囲が渦電流検知素子の幅の約半分のみであるので、制限される可能性がある。他の公知の機械は、光センサを使用して、機械構成の振動及び/又は位置を測定する。しかしながら、公知の光センサは、汚染物質によって汚れた状態になりかつ不正確な測定値を提供し、従って、産業環境には好適でない可能性がある。さらに、公知の光センサは、液体媒体及び/又は粒子を含む媒体を通して機械構成要素の振動及び/又は位置を検出するのには好適でない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7,604,413号明細書
【発明の概要】
【0005】
1つの実施形態では、エミッタ本体を備えたマイクロ波センサ組立体で使用するマイクロ波エミッタを提供し、本マイクロ波エミッタは、エミッタ本体から半径方向外向きに延びる第1のアームを含む。第1のアームは、少なくとも部分的に非線形であり、かつ少なくとも1つのピーク及び少なくとも1つのトラフを有する。本マイクロ波エミッタはまた、エミッタ本体から半径方向外向きに延びる第2のアームを含む。第2のアームは、少なくとも1つのピーク及び少なくとも1つのトラフを有する。第1のアーム及び第2のアームは、少なくとも1つのマイクロ波信号を受信した時に電磁場を発生する。
【0006】
別の実施形態では、マイクロ波センサ組立体を提供し、本マイクロ波センサ組立体は、エミッタ本体と、エミッタ本体に結合されたマイクロ波エミッタとを含む。マイクロ波エミッタは、エミッタ本体から半径方向外向きに延びる第1のアームを含む。第1のアームは、少なくとも部分的に非線形であり、かつ少なくとも1つのピーク及び少なくとも1つのトラフを有する。マイクロ波エミッタはまた、エミッタ本体から半径方向外向きに延びる第2のアームを含む。第2のアームは、少なくとも1つのピーク及び少なくとも1つのトラフを有する。第1のアーム及び第2のアームは、少なくとも1つのマイクロ波信号を受信した時に電磁場を発生する。信号処理装置が、マイクロ波エミッタに結合されて、該マイクロ波エミッタに少なくとも1つマイクロ波信号を送信しかつ該マイクロ波エミッタが受信した信号に基づいて近接度測定値を計算するようになる。
【0007】
さらに別の実施形態では、パワーシステムを提供し、本パワーシステムは、機械と、機械に対して配置されたマイクロ波プローブとを含む。マイクロ波プローブは、エミッタ本体と、エミッタ本体に結合されたマイクロ波エミッタとを含む。マイクロ波エミッタは、エミッタ本体から半径方向外向きに延びる第1のアームを含む。第1のアームは、少なくとも部分的に非線形であり、かつ少なくとも1つのピーク及び少なくとも1つのトラフを有する。マイクロ波エミッタはまた、エミッタ本体から半径方向外向きに延びる第2のアームを含む。第2のアームは、少なくとも1つのピーク及び少なくとも1つのトラフを有する。第1のアーム及び第2のアームは、少なくとも1つのマイクロ波信号を受信した時に電磁場を発生する。信号処理装置が、マイクロ波エミッタに結合されて、該マイクロ波エミッタに少なくとも1つマイクロ波信号を送信しかつ該マイクロ波エミッタが受信した信号に基づいて近接度測定値を計算するようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】例示的なパワーシステムのブロック図。
【図2】図1に示すパワーシステムで使用することができる例示的なセンサ組立体のブロック図。
【図3】図2に示すセンサ組立体で使用することができる例示的なマイクロ波エミッタの前面図。
【図4】図3に示すマイクロ波エミッタの拡大部分図。
【図5】図2に示すセンサ組立体で使用することができる例示的なエミッタ本体の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、機械102を含む例示的なパワーシステム100を示している。この例示的な実施形態では、機械102は、それらのみに限定されないが、風力タービン、水力発電タービン、ガスタービン又は圧縮機とすることができる。それに代えて、機械102は、パワーシステムで使用されるあらゆるその他の機械とすることができる。この例示的な実施形態では、機械102は、発電機のような負荷106に結合された駆動シャフト104を回転させる。
【0010】
この例示的な実施形態では、駆動シャフト104は、機械102内に及び/或いは負荷106内に収容された1つ又はそれ以上の軸受(図示せず)によって少なくとも部分的に支持される。それに代えて又はそれに加えて、軸受は、ギヤボックスのような別個の支持構造体108内に或いはパワーシステム100を本明細書に説明するように機能させるのを可能にするあらゆるその他の構造体又は構成要素内に収容することができる。
【0011】
この例示的な実施形態では、パワーシステム100は、機械102の、駆動シャフト104の、負荷106の、及び/又はパワーシステム100を本明細書に説明するように機能させるのを可能にあらゆるその他の構成要素の少なくとも1つの作動条件を測定しかつ/或いは監視する少なくとも1つのセンサ組立体110を含む。より具体的には、この例示的な実施形態では、センサ組立体110は、駆動シャフト104に近接近させて配置されて、該駆動シャフト104及びセンサ組立体110間に形成された距離(図1には図示せず)を測定しかつ/又は監視するようになった近接度センサ組立体110である。さらに、この例示的な実施形態では、センサ組立体110は、マイクロ波信号を使用して、パワーシステム100の構成要素の該センサ組立体110に対する静的及び/又は振動近接度のような近接度を測定する。本明細書で使用する場合に、「マイクロ波」という用語は、約300メガヘルツ(MHz)〜約300ギガヘルツ(GHz)の1つ又はそれ以上の振動数を有する信号を受信しかつ/或いは送信する信号又は構成要素を意味する。それに代えて、センサ組立体110は、パワーシステム100のあらゆるその他の構成要素を測定しかつ/又は監視することができ、また/或いはパワーシステム100を本明細書に説明するように機能させるのを可能にするあらゆるその他のセンサ又はトランスデューサとすることができる。この例示的な実施形態では、各センサ組立体110は、パワーシステム100内のあらゆる位置に配置される。さらに、この例示的な実施形態では、少なくとも1つのセンサ組立体110は、該センサ組立体110が発生した1つ又はそれ以上の信号を処理しかつ/又は分析するのに使用する診断システム112に結合される。
【0012】
運転時に、この例示的な実施形態では、機械102の作動は、駆動シャフト104のようなパワーシステム100の1つ又はそれ以上の構成要素を少なくとも1つのセンサ組立体110に対してその位置を変化させる。例えば、構成要素に対して振動が生じる可能性があり、また/或いは構成要素は、パワーシステム100内の運転温度が変化するにつれて膨張又は収縮する可能性がある。この例示的な実施形態では、センサ組立体110は、各センサ組立体110に対する構成要素の近接度及び/又は位置を測定しかつ/或いは監視し、また構成要素の測定近接度及び/又は位置を表す信号(以下、「近接度測定信号」と呼ぶ)を処理及び/又は診断のために診断システム112に送信する。
【0013】
図2は、パワーシステム100(図1に示す)で使用することができる例示的なセンサ組立体110の概略図である。この例示的な実施形態では、センサ組立体110は、信号処理装置200と、データ導管204を介して信号処理装置200に結合されたプローブ202とを含む。さらに、この例示的な実施形態では、プローブ202は、プローブハウジング208に結合されかつ/又は該プローブハウジング208内に配置されたエミッタ206を含む。より具体的には、この例示的な実施形態では、プローブ202は、マイクロ波エミッタ206を備えたマイクロ波プローブ202である。従って、この例示的な実施形態では、エミッタ206は、マイクロ波周波数範囲内に少なくとも1つの共振周波数を有する。
【0014】
この例示的な実施形態では、信号処理装置200は、送信電力検出器212に、受信電力検出器214に及び信号調整装置216に結合された方向性結合装置210を含む。さらに、この例示的な実施形態では、信号調整装置216は、信号発生器218、減算器220及びリニアライザ222を含む。エミッタ206は、該エミッタ206を通してマイクロ波信号が送信された時に電磁場224を放射する。
【0015】
運転時に、この例示的な実施形態では、信号発生器218は、エミッタ206の共振周波数に等しいか又はほぼ等しいマイクロ波周波数を有する少なくとも1つの電気信号(以下、「マイクロ波信号」と呼ぶ)を発生する。信号発生器218は、マイクロ波信号を方向性結合装置210に送信する。方向性結合装置210は、マイクロ波信号を送信電力検出器212に及びエミッタ206に送信する。エミッタ206を通してマイクロ波信号が送信されると、電磁場224がエミッタ206からかつプローブハウジング208の外方に放射される。機械102(図1に示す)の及び/或いはパワーシステム100の駆動シャフト104又は別の構成要素のような物体が電磁場224内に入り込みかつ/或いは該電磁場224内での相対位置が変化した場合には、物体及び電磁場224間に電磁結合が発生する可能性がある。より具体的には、電磁場224内における物体の存在により及び/又はそのような物体の移動により、例えば電磁場224の少なくとも一部分を電流及び/又は負荷として物体に誘導的に及び/又は容量的に結合させる可能性がある誘導及び/又は容量作用が該物体内に生じるので、電磁場224が崩壊する可能性がある。そのような場合には、エミッタ206が離調され(つまり、エミッタ206の共振周波数が減少しかつ/又は変更される)、またエミッタ206に負荷が生じる。エミッタ206に生じた負荷により、マイクロ波信号の反射(以下、「離調負荷信号」と呼ぶ)がデータ導管204を通して方向性結合装置210に送信される。この例示的な実施形態では、離調負荷信号は、マイクロ波信号の出力振幅及び/又は位相よりも低い出力振幅及び/又はそれとは異なる位相を有する。さらに、この例示的な実施形態では、離調負荷信号の出力振幅は、エミッタ206に対する物体の近接度に応じて決まる。方向性結合装置210は、離調負荷信号を受信電力検出器214に送信する。
【0016】
この例示的な実施形態では、受信電力検出器214は、離調負荷信号に基づいて及び/又はそれに含まれた電力量を測定し、かつマイクロ波信号出力を表す信号を信号調整装置216に送信する。この例示的な実施形態では、減算器220は、マイクロ波信号電力及び離調負荷信号電力を受信しかつマイクロ波信号電力及び離調負荷信号電力間の差を計算する。減算器220は、その計算した差(以下、「電力差信号」と呼ぶ)をリニアライザ222に送信する。この例示的な実施形態では、電力差信号の振幅は、電磁場224内における駆動シャフト104のような物体とプローブ202及び/又はエミッタ206との間に形成された距離226(つまり、距離226は物体近接度として知られている)に例えば反比例及び/又は指数関数比例のように比例している。例えばエミッタ206のジオメトリのような該エミッタ206の特性に応じて、電力差信号の振幅は、物体近接度に対して少なくとも部分的に非線形関係を示す可能性がある。
【0017】
この例示的な実施形態では、リニアライザ222は、電力差信号を物体近接度及び近接度測定信号の振幅間においてほぼ線形関係を示す電圧出力信号(つまり、「近接度測定信号」)に変換する。さらに、この例示的な実施形態では、リニアライザ222は、近接度測定信号を診断システム112内での処理及び/又は分析に好適なスケール係数で診断システム112(図1に示す)に送信する。この例示的な実施形態では、近接度測定信号は、ミリメートル当りのボルトのスケール係数を有する。それに代えて、近接度測定信号は、診断システム112及び/又はパワーシステム100が本明細書に説明するように機能するのを可能にするあらゆるその他のスケール係数を有することができる。
【0018】
図3は、センサ組立体110(図2に示す)で使用することができる例示的なマイクロ波エミッタ206及びエミッタ本体300の前面図である。図4は、エミッタ206の拡大部分図である。図5は、センサ組立体110で使用することができる例示的なエミッタ本体300及びデータ導管204の斜視図である。この例示的な実施形態では、エミッタ本体300は、プローブハウジング208(図2に示す)内に配置されかつ/又は該プローブハウジング208に結合される。さらに、エミッタ206は、エミッタ本体300に結合される。
【0019】
この例示的な実施形態では、エミッタ本体300は、前部表面302及び対向する後部表面304を含む。この例示的な実施形態では、各エミッタ206は、前部表面302に結合されかつ前部表面302の中心306から半径方向外向きに延びる。より具体的には、この例示的な実施形態では、エミッタ本体300は、ほぼ平面のプリント回路基板であり、またエミッタ206は、エミッタ本体前部表面302と一体形に形成されまた/又は該エミッタ本体前部表面302に結合された1つ又はそれ以上の配線或いは導体を含む。それに代えて、エミッタ206及び/又はエミッタ本体300は、センサ組立体110が本明細書に説明するように機能するのを可能にするあらゆるその他の配置として構成しかつ/或いは作製することができる。
【0020】
さらに、この例示的な実施形態では、導体308は、その各々が中心306から半径方向外向きに延びる第1のアーム310及び第2のアーム312を形成する。第1のアーム310は、中心306に近接して配置された第1の端部314及び中心306から半径方向外側に配置された第2の端部316を含む。第2のアーム312は、中心306に近接して配置された第1の端部318及び中心306から半径方向外側に配置された第2の端部320を含む。さらに、この例示的な実施形態では、第1のアーム310及び第2のアーム312は、前部表面302とほぼ同一平面になっており、エミッタ206が該前部表面302から大きな距離だけ軸方向外側に延び出さないようになっている。それに代えて、エミッタ206及び/又はエミッタ本体300は、あらゆる数のエミッタアームを含むことができ、かつ/或いはマイクロ波センサ組立体110が本明細書に説明するように機能するのを可能にするあらゆる形状とすることができる。
【0021】
この例示的な実施形態では、第1のアーム310及び第2のアーム312は、互いに半径方向に交互配置される。より具体的には、第1のアーム310及び第2のアーム312は、中心306の周りに互いに交互配置される。従って、第1のアーム310の半径方向外側端縁部322は、第2のアーム312の半径方向内側端縁部324によって実質的に境界付けられ、また第2のアーム312の半径方向外側端縁部326は、第1のアーム310の半径方向内側端縁部328によって実質的に境界付けられる。さらに、アーム310及び312は、それらアーム310及び312が中心306から半径方向外向きに反時計方向に延びるので、中心306の周りでほぼ螺旋形状を有する。それに代えて、第1のアーム310及び/又は第2のアーム312は、エミッタ206が本明細書に説明するように機能するのを可能にするあらゆる形状及び/又は構成を有することができる。この例示的な実施形態では、第1のアーム310の幅330及び第2のアーム312の幅332は、互いにほぼ等しく、かつ該アーム310及び312が中心306から外向きに延びる時にほぼ一定である。それに代えて、幅330及び332は互いに異なっており、また/或いは幅330及び/又は幅332は、アーム310及び312が中心306から外向きに延びるにつれて変化する。1つの実施形態では、幅330及び332は、アーム310及び312が中心306から外向きに延びるにつれて増大する。
【0022】
さらに、第1のアーム310及び第2のアーム312は各々、少なくとも1つのピーク334及び少なくとも1つのトラフ336を含む。より具体的には、この例示的な実施形態では、第1のアーム310は、結合部分338及び螺旋状部分340を含み、螺旋状部分340は、中心306から内側端縁部328までの半径342が増大するにつれてその振幅が徐々に増大した交互するピーク334及びトラフ336を有する状態で、中心306の周りで半径方向外向きに螺旋状になっている。第2のアーム312は、結合部分344及び螺旋状部分346を含み、螺旋状部分346は、中心306から内側端縁部324までの半径348が増大するにつれてその振幅が徐々に増大した交互するピーク334及びトラフ336を有する状態で、中心306の周りで半径方向外向きに螺旋状になっている。従って、第1のアーム310及び第2のアーム312は各々、螺旋状「ジグザグ」パターンとして又はその上に「ジグザグ」パターンを付加した状態のほぼ螺旋形状として形成されており、そのことにより、螺旋状ジグザグパターンを有しないエミッタと比較して小型のエミッタ本体300内に大きな電気的長さが得られる。
【0023】
この例示的な実施形態では、第1のアーム310のピーク334及びトラフ336は、第2のアーム312のピーク334及びトラフ336と整列していない。より具体的には、中心306から延びかつ第2のアーム312の半径方向外側ピーク352と交差する半径350は、中心306から延びかつ第1のアーム310の半径方向内側ピーク358と交差する半径356から角距離354だけオフセットしている。従って、互いに整列したピーク334及び/又はトラフ336を備えている可能性があるエミッタと比較して、第1のアーム310及び第2のアーム312間の容量結合量の減少が得られまたエミッタ本体300内の並びに/或いは第1のアーム310及び第2のアーム312内のエネルギー量の減少が制限される。従って、従来技術のエミッタと比較して、マイクロ波信号によるエネルギー量の増大を電磁場224に送信することができる。
【0024】
この例示的な実施形態では、データ導管204は、内側導体360と、内側導体360を該導体360及び362が同軸になるように実質的に囲んだ外側導体362とを含む。さらに、この例示的な実施形態では、データ導管204は、エミッタ206を信号処理装置200(図2に示す)に結合した半剛性ケーブル364である。それに代えて、データ導管204は、センサ組立体110が本明細書に説明するように機能するのを可能にするあらゆるその他のケーブル又は導管である。この例示的な実施形態では、第1のアーム310は、結合部分338を介して内側導体360に結合され、また第2のアーム312は、結合部分344を介して外側導体362に結合される。
【0025】
運転時に、少なくとも1つのマイクロ波信号が、データ導管204を介してエミッタ206に送信される。マイクロ波信号は、それぞれ内側導体360及び外側導体362を介して第1のアーム310及び第2のアーム312に送信される。マイクロ波信号が第1のアーム310及び第2のアーム312を通して送信されると、電磁場224(図2に示す)が放射される。近接度測定値が、上記に十分に説明するように、エミッタ206に生じた負荷に基づいて測定される。エミッタ206のほぼ螺旋状ジグザグパターンにより、従来技術のエミッタと比較して小型のエミッタ本体300内に大きな電気的長さが得られる。さらに、エミッタ206の螺旋状ジグザグパターン並びに第1のアーム310及び第2のアーム312の不整列ピーク334及びトラフ336は、従来技術のエミッタと比較して電磁場224に対して大きな電磁エネルギー量を放射するのを可能にする。
【0026】
上述の実施形態は、機械構成要素の近接度を測定するのに使用する効率的かつコスト効果があるセンサ組立体を提供する。センサ組立体は、マイクロ波信号によりエミッタにエネルギー供給する。エミッタは、該エミッタの中心からジグザグパターンで半径方向外向きに螺旋状になった2つのアームを含む。機械構成要素のような物体が電磁場内に配置されると、電磁場の崩壊によりエミッタに負荷が生じる。センサ組立体は、エミッタに生じた負荷に基づいて該エミッタに対する物体の近接度を計算する。螺旋状ジグザグパターンを備えていない公知のエミッタと対照的に、本明細書に説明したマイクロ波エミッタは、大きなエネルギー量が物体に向けて放射されるのを可能にする。従って、マイクロ波エミッタは、物体及びエミッタ間の近接度を測定するのに使用する安定電磁場を形成するのを可能にする。
【0027】
上記には、センサ組立体及びマイクロ波エミッタの例示的な実施形態を詳細に説明している。センサ組立体及びエミッタは、本明細書で説明する特定の実施形態に限定されるものではなく、むしろ、センサ組立体及び/又はエミッタの構成要素は、本明細書で説明する他の構成要素及び/又はステップから独立してかつ別個に利用することができる。例えば、エミッタはまた、他の測定システム及び方法と組合せて使用することもでき、また本明細書で説明するようなセンサ組立体又はパワーシステムのみでの実施に限定されるものではない。むしろ、例示的な実施形態は、多くのその他の測定及び/又は監視用途と関連させて実施しかつ利用することができる。
【0028】
本発明の様々な実施形態の特定の特徴的構成は、幾つかの図面において示しまたその他の図面において示していないが、このことは単なる便宜上のためである。本発明の原理によると、図面のあらゆる特徴的構成は、あらゆるその他の図面のあらゆる特徴的構成と組合せて参照しかつ/又は特許請求することができる。
【0029】
本明細書は最良の形態を含む実施例を使用して、本発明を開示し、また当業者が、あらゆる装置又はシステムを製作しかつ使用しまたあらゆる組込み方法を実行することを含む本発明の実施を行なうことを可能にもする。本発明の特許性がある技術的範囲は、特許請求の範囲により定めており、また当業者が想到するその他の実施例を含むことができる。そのようなその他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文言と相違しない構造的要素を有するか又はそれらが特許請求の範囲の文言と本質的でない相違を有する均等な構造的要素を含む場合には、特許請求の範囲の技術的範囲内に属することになることを意図している。
【符号の説明】
【0030】
100 パワーシステム
102 機械
104 駆動シャフト
106 負荷
108 支持構造体
110 センサ組立体
112 診断システム
200 信号処理装置
202 プローブ
204 データ導管
206 エミッタ
208 プローブハウジング
210 方向性結合装置
212 送信電力検出器
214 受信電力検出器
216 信号調整装置
218 信号発生器
220 減算器
222 リニアライザ
224 電磁場
226 距離
300 エミッタ本体
302 前部表面
304 後部表面
306 中心
308 配線又は導体
310 第1のアーム
312 第2のアーム
314 第1の端部
316 第2の端部
318 第1の端部
320 第2の端部
322 半径方向外側端縁部
324 半径方向内側端縁部
326 半径方向外側端縁部
328 半径方向内側端縁部
330 幅
332 幅
334 ピーク
336 トラフ
338 結合部分
340 螺旋状部分
342 半径
344 結合部分
346 螺旋状部分
348 半径
350 半径
352 半径方向外側ピーク
354 角距離
356 半径
358 半径方向内側ピーク
360 内側導体
362 外側導体
364 半剛性ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エミッタ本体(300)を備えたマイクロ波センサ組立体(110)で使用するマイクロ波エミッタ(206)であって、
前記エミッタ本体に結合され、前記エミッタ本体から半径方向外向きに延び、少なくとも部分的に非線形であり、かつ少なくとも1つのピーク(334)及び少なくとも1つのトラフ(336)を有する第1のアーム(310)と、
前記エミッタ本体に結合され、前記エミッタ本体から半径方向外向きに延び、かつ少なくとも1つのピーク及び少なくとも1つのトラフを有する第2のアーム(312)と、を含み、
前記第1のアーム及び第2のアームが、少なくとも1つのマイクロ波信号を受信した時に電磁場を発生する、
マイクロ波エミッタ(206)。
【請求項2】
前記第1のアーム(310)及び第2のアーム(312)が各々、前記エミッタ本体(300)の中心(306)から半径方向外向きに延びる螺旋形状を有する、請求項1記載のマイクロ波エミッタ(206)。
【請求項3】
前記第1のアーム(310)が、前記エミッタ本体(300)の中心(306)から第1の方向に半径方向外向きに延びる螺旋形状を有し、また
前記第2のアーム(312)が、前記中心から前記第1の方向に半径方向外向きに延びる螺旋形状を有する、
請求項1記載のマイクロ波エミッタ(206)。
【請求項4】
前記第1のアーム(310)が、前記エミッタ本体(300)の中心(306)の周りに前記第2のアーム(312)と交互配置される、請求項1記載のマイクロ波エミッタ(206)。
【請求項5】
前記第1のアーム(310)及び第2のアーム(312)が各々、前記エミッタ本体(300)の中心(306)からジグザグパターンで半径方向外向きに延びる螺旋形状を有する、請求項1記載のマイクロ波エミッタ(206)。
【請求項6】
前記ジグザグパターンが、前記第1のアーム(310)及び第2のアーム(312)内に複数のピーク(334)を形成し、
前記第1のアームのピーク及び前記第2のアームのピークが、該第1のアーム及び第2のアームが前記中心(306)から外向きに延びるにつれて、その大きさが増大する、
請求項5記載のマイクロ波エミッタ(206)。
【請求項7】
前記第1のアーム(310)のピーク(334)が、前記中心(306)から延びる半径に関して前記第2のアーム(312)のピークと整列していない、請求項6記載のマイクロ波エミッタ(206)。
【請求項8】
マイクロ波センサ組立体(110)であって、
エミッタ本体(300)と、
前記エミッタ本体に結合されたマイクロ波エミッタ(206)と、
前記マイクロ波エミッタに結合されて、該マイクロ波エミッタに少なくとも1つマイクロ波信号を送信しかつ該マイクロ波エミッタが受信した信号に基づいて近接度測定値を計算するようになった信号処理装置(200)と、
を含み、前記マイクロ波エミッタが、
前記エミッタ本体から半径方向外向きに延び、少なくとも部分的に非線形であり、かつ少なくとも1つのピーク(334)及び少なくとも1つのトラフ(336)を有する第1のアーム(310)と、
前記エミッタ本体から半径方向外向きに延び、かつ少なくとも1つのピーク及び少なくとも1つのトラフを有する第2のアーム(312)と、を含み、
前記第1のアーム及び第2のアームが、前記少なくとも1つのマイクロ波信号を受信した時に電磁場を発生する、
マイクロ波センサ組立体(110)。
【請求項9】
前記マイクロ波エミッタ(206)を前記信号処理装置(200)に結合した半剛性ケーブル(364)をさらに含み、
前記半剛性ケーブル(364)が、内側導体(360)及び外側導体(362)を含む、
請求項8記載のマイクロ波センサ組立体(110)。
【請求項10】
前記内側導体(360)が、前記第1のアーム(310)に結合され、また
前記外側導体(362)が、前記第2のアーム(312)に結合される、
請求項9記載のマイクロ波センサ組立体(110)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−112945(P2012−112945A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−252142(P2011−252142)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】