説明

センサ装置、入力装置及び制御方法

【課題】非接触で検出対象の多次元的な動きを検出することが可能なセンサ装置、これを備えた入力装置及び制御方法を提供する。
【解決手段】本発明の一形態に係るセンサ装置10は、アンテナパネル11と、発振回路12と、測定回路13と、演算回路14と、制御コマンド生成回路15とを有する。アンテナパネル11は、X方向及びY方向に配列された複数のアンテナ部111X、111Yを有する。発振回路12は、上記複数のアンテナ部と検出対象との間の距離に応じて異なる発振周波数を有する検出信号を出力する。測定回路13は、上記検出信号の周波数変化を測定する。演算回路14は、上記測定回路13によって測定された検出信号の周波数変化に基づいて、上記複数のアンテナ部の各々と上記検出対象との間の距離と、X、Y方向に沿った検出対象の動きに関する量とを算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の空間的な位置及び位置変化を検出するためのセンサ装置、それを備えた入力装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画面上の座標位置を検出するセンサとして、マウス、デジタイザ、タッチパネル等が知られている。これらはパッドあるいはパネルと接触した状態での位置検出及び動作検出を目的としており、センサ部分と離間した状態での位置検出及び動作検出は不可能である。
【0003】
一方、対象物を空間的に検出して所定の処理を実行する近接センサの一種として、テルミン回路が知られている。下記特許文献1には、アンテナと人体との相対距離に応じて、アンテナから発振される電波の周波数が変化することを利用した音響発生回路が記載されている。また、下記特許文献2には、車両のドアに設置されたアンテナから発振される電波の周波数変化に基づいて障害物の存在を検出することが可能なドア開閉システムが記載されている。
【0004】
【特許文献1】米国特許第1,661,058号明細書
【特許文献2】特開2005−134236号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1,2に記載の近接センサにおいては、アンテナと検出対象との間の相対距離を検出することは可能であるが、検出対象の多次元的な動きに対しては検出不能である。したがって、この種の近接センサにおいては、センサに非接触で検出対象の多次元的な動きに基づいた情報の入力制御を実現することができないという問題がある。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、非接触で検出対象の多次元的な動きを検出することが可能なセンサ装置、これを備えた入力装置及び制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態に係るセンサ装置は、複数の第1のアンテナ部と、第1の発振回路と、測定回路と、演算回路とを具備する。
上記複数の第1のアンテナ部は、第1の方向に沿って配置される。上記第1の発振回路は、上記複数の第1のアンテナ部とそれぞれ電気的に接続可能であり、上記第1のアンテナ部と検出対象との間の距離に応じて異なる発振周波数を有する検出信号を出力する。上記測定回路は、上記検出信号の周波数変化を測定する。上記演算回路は、上記測定回路によって測定された上記検出信号の周波数変化に基づいて、上記第1のアンテナ部の各々と上記検出対象との間の距離と、上記第1の方向に沿った上記検出対象の動きに関する量とを算出する。
【0008】
上記センサ装置においては、第1の発振回路で発振された信号電波を放射する第1のアンテナ部が第1の方向に沿って複数配置される。したがって、上記センサ装置によれば、検出対象の位置及び上記第1の方向に沿った検出対象の動きを非接触で検出することが可能となる。
【0009】
検出対象は、人体のほか、スタイラスのような入力器具など、センサ装置に対して相対的に動き得るものすべてを含む概念である。センサ装置が可動であれば、地上に設置された固定物なども検出対象に含まれる。また、アンテナから放射される電波の発振周波数の変化がアンテナと検出対象との間の静電容量の変化として検出される場合、検出対象は導電性を有することが必要とされてもよい。
【0010】
検出対象の動きに関する量は、検出対象の移動経路、移動量(移動距離)、移動速度、移動加速度などを含む。これらの物理量は、ベクトル量として算出されてもよいし、スカラー量として算出されてもよい。演算回路は、所定周期で取得される検出対象の移動情報を分析することで、上述したような検出対象の動きに関する量を取得することができる。
【0011】
検出信号の周波数は特に限定されず、例えば、50kHz〜100MHzとすることができる。
【0012】
上記検出信号の周波数変化を測定するための測定回路は、適宜の構成を採用することができる。
【0013】
一実施形態では、上記測定回路は、基準信号を発振する第2の発振回路と、上記検出信号の発振周波数を分周する分周器と、上記基準信号の発振周波数を基準として上記分周器から出力される信号の周波数を測定する測定器とを有する。
これにより、基準信号の発振周波数が比較的低周波であっても、検出信号の周波数変化を高精度かつ安定に検出することが可能となる。
【0014】
上記測定器は、例えば、分周器から出力される信号の周期を計数する計数器(カウンタ)で構成することができる。
【0015】
上記センサ装置は、検出信号の発振周波数の大きさに応じて、上記分周器の分周比を可変とする可変手段をさらに具備してもよい。
これにより、検出信号の周波数の変化量の大きさに依存しない、高精度な周波数検出が可能となる。
【0016】
他の実施形態として、上記測定回路は、基準信号を発振する第2の発振回路と、上記検出信号と上記基準信号とを混合することでビートを生成する混合器と、上記ビートの周波数を測定する測定器とを有する。
これは、ヘテロダイン方式と呼ばれる検波回路に相当するもので、簡易な構成で容易に検出信号の周波数変化を測定することが可能となる。
【0017】
上記第1の発振回路は、上記第1のアンテナ部の各々について上記検出信号を出力する発振回路部と、上記第1のアンテナ部の各々と上記発振回路部との接続を切り替えるスイッチ回路部とを含んでいてもよい。
これにより、単一の発振回路部で複数のアンテナ部から信号電波を放射でき、かつ、それぞれのアンテナ部で受信した検出信号を出力することが可能となる。スイッチ回路部は、例えば上記第1の方向に沿ってアンテナ部を所定周期で走査するように、発振回路部と各アンテナ部との間の接続を切り替えることができる。
【0018】
一方、上記センサ装置は、上記第1の方向と直交する第2の方向に沿って配置された複数の第2のアンテナ部をさらに具備することができる。この場合、上記第1の発振回路は、上記第1及び第2のアンテナ部の各々について上記検出信号を出力する発振回路部と、上記第1及び第2のアンテナ部の各々と上記発振回路部との接続を切り替えるスイッチ回路部とを含む。上記演算回路は、上記第1及び第2のアンテナ部の各々と上記検出対象との間の距離と、上記第1及び第2の方向に沿った上記検出対象の動きに関する量を算出する。
上記センサ装置によれば、非接触で、検出対象の3次元的な動きを検出することができる。
【0019】
上記センサ装置は、上記演算回路の算出結果に応じて、表示装置に表示される画像を制御するたえの制御コマンドを生成するコマンド生成手段をさらに具備してもよい。
これにより、検出対象の多次元的な動きに基づいた情報の入力制御が実現可能となる。
【0020】
本発明の一形態に係る入力装置は、表示部と、複数の第1のアンテナ部と、複数の第2のアンテナ部と、発振回路と、測定回路と、演算回路と、コマンド生成手段とを具備する。
上記複数の第1のアンテナ部は、第1の方向に沿って配置される。上記複数の第2のアンテナ部は、上記第1の方向と直交する第2の方向に沿って配置される。上記発振回路は、上記各アンテナ部とそれぞれ電気的に接続可能であり、上記アンテナ部と検出対象との間の距離に応じて異なる発振周波数を有する検出信号を出力する。上記測定回路は、上記検出信号の周波数変化を測定する。上記演算回路は、上記測定回路によって測定された上記検出信号の周波数変化に基づいて、上記各アンテナ部と上記検出対象との間の距離と、上記第1及び第2の方向に沿った上記検出対象の動きに関する量とを算出する。上記コマンド生成手段は、上記演算回路の算出結果に応じて、上記表示部に表示される画像を制御するための制御コマンドを生成する。
【0021】
上記入力装置においては、発振回路で発振された信号電波を放射する第1及び第2のアンテナ部がそれぞれ第1及び第2の方向に沿って複数配置される。したがって、上記入力装置によれば、検出対象の位置と、上記第1及び第2の方向に沿った検出対象の動きを非接触で検出することが可能となる。これにより、検出対象の3次元的な動きに基づいた情報の入力制御が実現可能となる。
【0022】
上記各アンテナ部は、上記表示部の上に配置されてもよい。
これにより、表示部に表示された画像の位置と検出対象の動き動作の関連付けが容易となり、操作性を高めることができる。
【0023】
本発明の一形態に係る制御方法は、第1の方向に沿って配置された複数の第1のアンテナ部と、上記第1の方向と直交する第2の方向に沿って配置された複数の第2のアンテナ部とから信号電波を発生させることを含む。上記信号電波の発振周波数は、上記アンテナ部に近接する検出対象の位置に応じて変化する。この信号電波の発振周波数の変化の大きさは、アンテナ部ごとにそれぞれ測定される。上記発振周波数の変化に応じた上記検出対象の位置情報と、上記第1及び第2の方向に沿った上記検出対象の動きに関する情報が生成される。上記生成した各情報に基づいて、コンピュータに対する制御コマンドが生成される。
【0024】
上記制御方法によれば、検出対象の位置と、上記第1及び第2の方向に沿った検出対象の動きを非接触で検出することが可能となる。これにより、検出対象の3次元的な動きに基づいた情報の入力制御が実現可能となる。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明によれば、検出対象の多次元的な動きを非接触で検出することができる。また、検出対象の多次元的な動きに基づいた情報の入力制御が実現可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0027】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0028】
[制御システム]
図1は、本発明の一実施形態に係る制御システムを示す図である。制御システム100は、センサ装置10と、表示装置50とを含む。制御システム100は、センサ装置10で、ユーザの手指やスタイラスなどの検出対象の動きを非接触で検出し、その検出結果に基づいて表示装置50の画面51に表示された画像を制御する。
【0029】
ここで、画像の制御には、画面51に表示されたポインタ(カーソル)52の移動制御、画面51に表示されたアイコン53の実行あるいはドラッグ制御、画面51のスクロールあるいはズームが含まれる。また、画面51に表示されたファイルのページ繰り、画面51に表示されたキャラクターの動作制御なども上記画像の制御に含まれる。
【0030】
[センサ装置]
本実施形態において、センサ装置10は、表示装置50に対する画像制御のための入力装置としての機能を有する。センサ装置10は、アンテナパネル11と、発振回路12と、測定回路13と、演算回路14と、制御コマンド生成回路15とを含む。センサ装置10は、発振回路12によって発振された信号電波の周波数変化に基づいて、アンテナパネル11に近接する検出対象の位置及び動きを検出する。
【0031】
後に詳述するように、アンテナパネル11は上記信号電波を放射し、発振回路12は、アンテナパネル11と検出対象との間の相対距離及び相対位置変化を当該信号電波の周波数変化として出力する。測定回路13は、発振回路12の出力に基づいて信号電波の周波数変化の大きさを所定の時間周期で測定する。演算回路14は、測定回路13の出力に基づいて、上記所定時間ごとにアンテナパネル11に対する検出対象の距離(Z軸方向の距離)及びアンテナパネル11の面内(XY平面内)の位置を算出する。制御コマンド生成回路15は、演算回路14の算出結果に基づいて、画像の制御内容に応じた検出対象の動きに関する制御コマンドを生成し、これを表示装置50へ入力する。
【0032】
ここで、X軸及びY軸は互いに直交し、アンテナパネル11の横方向及び縦方向にそれぞれ相当する。X軸方向及びY軸方向は、表示装置50の画面51の横方向及び縦方向にそれぞれ一致する。Z軸方向は、X軸及びY軸にそれぞれ直交する方向である。
【0033】
制御コマンド生成回路15から表示装置50への制御コマンドの送信は、有線で行われてもよいし、無線で行われてもよい。また、制御コマンド生成回路15は、センサ装置10の一構成要素としてではなく、表示装置50に組み込まれていても構わない。この場合も同様に、演算回路14から制御コマンド生成回路15への情報の送信は、有線あるいは無線で行われる。
【0034】
[アンテナパネル]
図2は、アンテナパネル11の構成を示す概略平面図である。図3は、アンテナパネルの分解斜視図及び要部の斜視図である。
アンテナパネル11は、第1のアンテナシート11Xと第2のアンテナシート11Yの積層構造を有する。
【0035】
第1のアンテナシート11Xは、基材110Xと、その上に形成された第1のアンテナ部111Xとを有する。第1のアンテナ部111Xは、X軸方向に向かって直線状に形成された導体パターンで構成されている。第1のアンテナ部111Xは、Y軸方向(第1の方向)に沿って基材110Xの表面に等間隔で複数配置されている。
【0036】
第2のアンテナシート11Yは、基材110Yと、その上に形成された第2のアンテナ部111Yとを有する。第2のアンテナ部111Yは、Y軸方向に向かって直線状に形成された導体パターンで構成されている。第2のアンテナ部111Yは、X軸方向(第2の方向)に沿って基材110Yの表面に等間隔で複数配置されている。
【0037】
基材110X、110Yは、絶縁性シートあるいはフィルムで構成され、本実施形態ではPETフィルムなどの高分子フィルムが用いられている。基材110X、110Yは光学的に透明なシートで構成できるが、これに限られない。基材110X、110Yの厚みは特に限定されず、適宜の厚みに設定される。
【0038】
第1、第2のアンテナ部111X、111Yは、金属、導電性酸化物または導電性ペーストで構成される。アンテナ部111X,111Yは、例えば、基材110X、110Yの表面におけるパターンエッチングあるいはパターンめっきによって形成することができる。これ以外にも、基材110X、110Yの表面への印刷によってアンテナ部111X、111Yを形成することが可能である。さらに、短冊状に形成した複数の導体箔を基材110X、110Y上に貼り合わせたり転写したりすることによってアンテナ部111X、111Yを形成することが可能である。アンテナ部111X、111Yは、透明な導電性材料で形成されるが、勿論これに限られない。導電性材料としては、ITO、SnOなどの透明導電性酸化物を用いることができる。
【0039】
アンテナ部111X、111Yの本数、長さ、厚み、幅、配列間隔などは、信号電波の発振周波数、センサ装置の大きさなどに応じて、適宜設定することができる。
【0040】
第1のアンテナシート11X及び第2のアンテナシート12Yは、接着シート(図示略)を介して貼り合わされている。接着シートは透明な粘着性絶縁シートが用いられるが、透明である場合に限られない。第1及び第2のアンテナシート11X、12Yは、第1のアンテナ部111Xと第2のアンテナ部111Yとが互いに直交するように、貼り合わされる。積層体の最表層には、例えば透明な絶縁保護シート(図示略)が積層される。図3の例では、第2のアンテナシート11Yの上に第1のアンテナシート11Xが積層された様子を示しているが、積層順番を逆にすることも勿論可能である。
【0041】
[発振回路]
図4は、センサ装置10の要部のブロック図である。アンテナパネル11の各アンテナ部111X、111Yはそれぞれ、発振回路12と電気的に接続されている。発振回路12は、アンテナ部111X、111Yから信号電波を発振する発振回路部121(第1の発振回路部)と、この発振回路部121とアンテナ部111X、111Yの各々との接続を切り替えるスイッチ回路部122とを含む。
【0042】
発振回路部121は、検出対象を検出しないときは所定の基本周波数で発振する。スイッチ回路部122を介して発振回路部121と電気的に接続されたアンテナ部は、当該基本周波数の信号電波を放射する。基本周波数の大きさは特に限定されず、例えば、50kHzから100MHzの範囲の任意の周波数を選定することができる。
【0043】
図5に発振回路部121の構成の一例を示す。発振回路部121は、ノットゲート(インバータ)121Aと、抵抗121Rと、コンデンサ121Cの基本構成を有する。上記基本周波数は、抵抗121Rの抵抗値(R)と、コンデンサ121Cの容量(C)によって定められる。発振回路部121はアンテナパネル11に電気的に接続される。
【0044】
ここで、アンテナパネル11の近傍に検出対象(例えばユーザの手指)が存在すると、アンテナパネル11がコンデンサとして働き、容量が変化する。アンテナパネル11はコンデンサ121Cと並列に接続されており、その結果コンデンサ121Cとの合成容量が変化するため、発振回路部121の発振周波数が変化する。センサ装置10は、この発振回路部121の発振周波数の変化を利用して、アンテナパネル11と検出対象との間の相対距離およびアンテナパネル11に対する検出対象の相対的な動きを検出する。
【0045】
発振回路部121は上述のようなRC発振器を基本とする構成に限られず、LC発振器や誘電体発振器などの他の発振器を用いてもよい。
【0046】
スイッチ回路部122は、発振回路部121と接続されるアンテナ部を選択する。スイッチ回路部122は、例えば、アンテナパネル11の各アンテナ部111X、111Yを水平(X軸)方向及び垂直(Y軸)方向に所定の周波数で走査可能なように、各アンテナ部111X、111Yと発振回路部121との間の接続を切り替える。スイッチ回路部122は、半導体で構成されたアナログスイッチでもよいし、接点式スイッチでもよい。
【0047】
図6に発振回路の構成の一例を示す。図示する発振回路12Aは、発振回路部121とスイッチ回路部122とを含む。スイッチ回路部122は、第1のスイッチ部122Xと、第2のスイッチ部122Yと、第3のスイッチ部122Sとを備えたアナログスイッチで構成されている。第1のスイッチ部122Xは、第1のアンテナ部111Xの配列群から任意のアンテナ部を選択する。第2のスイッチ部122Yは、第2のアンテナ部111Yの配列群から任意のアンテナ部を選択する。第3のスイッチ部122Sは、発振回路部121と接続されるスイッチ部を、第1のスイッチ部122X及び第2のスイッチ部122Yの中から選択する。
【0048】
上記構成の発振回路12Aは、例えば、第3のスイッチ部122Sが第1のスイッチ部122Xと発振回路部121との間を接続した状態で、第1のアンテナ部111Xの各々が第1のスイッチ部122XによってY軸方向に順次選択される(垂直走査)。第1のアンテナ部111Xが全て選択された後、第3のスイッチ部122Sは、発振回路部121と第1のスイッチ部122Xとの接続を遮断し、発振回路部121と第2のスイッチ部122Yとを接続する。そして、第2のアンテナ部111Yの各々は、第2のスイッチ部122YによってX軸方向に順次選択される(水平走査)。第2のアンテナ部111Yが全て選択された後、第3のスイッチ部122Sは、発振回路部121と第2のスイッチ部122Yとの接続を遮断し、発振回路部121と第1のスイッチ部122Xとを接続する。
【0049】
以後、上述の動作が繰り返されることにより、各アンテナ部111X,111Yから順次、発振回路部121で発振された信号電波が放射される。また、発振回路部121は、接続された個々のアンテナ部111X、111Yごとに、当該アンテナ部と検出対象との間の距離に固有の発振周波数を出力する。これにより、後述する測定回路13において、上記基本周波数からの差分周波数が個々のアンテナ部111X、111Yごとに測定される。
【0050】
発振回路12の構成は上記の例に限定されず、種々の構成を採用することが可能である。この発振回路12の他の構成例については後述する。
【0051】
[測定回路]
次に、測定回路13について説明する。図7は、その構成の一例を示している。図示する測定回路13Aは、基準発振部131(第2の発振回路)と、混合器132と、ローパスフィルタ133とを含む。
【0052】
基準発振部131は、基準信号を発振し、これを混合器132の第2の入力端子に入力する。基準信号の発振周波数は、発振回路部121の基本周波数と同じ周波数に設定されている。混合器132の第1の入力端子には、発振回路部121の出力が入力される。この発振回路部121の出力は、アンテナパネル11の個々のアンテナ部111X、111Yによって受信された、検出対象との距離情報を含む検出信号を意味する。したがって、この検出信号は、アンテナ部111X,111Yと検出対象との距離に応じて異なる発振周波数(以下、信号周波数という。)を有する。
【0053】
混合器132は、発振回路部121の検出信号と基準発振部131の基準信号をそれぞれ混合した合成信号を生成する。この合成信号は、基本周波数と信号周波数の差に相当する周波数のビートが含まれる。ローパスフィルタ133は、混合器132から出力される合成信号から上記ビート周波数に属する周波数以下の信号を後述する演算回路14へ出力することが可能なカットオフ周波数を有している。
【0054】
図7に示した測定回路13Aは、ヘテロダイン方式の検波器を基本構造とする。この方式の測定回路13Aは、発振回路部121から出力される検出信号をより低い周波数に変換し、これをコンパレータ134でパルスに変換し、その周期をカウンタ等で測定する。
【0055】
ここでは、ローパスフィルタ133として、抵抗、コンデンサ、コイル等を用いたアナログフィルタを用いた。これに限られず、ローパスフィルタとして、デジタルマルチバイブレータを用いることができる。この場合、混合器132の出力信号から、短い周期部分を除いたパルス信号に変換することで、コンパレータが不要となる。デジタル式ヘテロダイン検波器を用いることで、回路の小型化を図ることができる。
【0056】
発振回路部121の検出周波数をカウンタ回路で直接測定することも可能である。図8を参照して、以下、このカウンタ方式による周波数測定方法を説明する。
【0057】
アンテナパネル11を用いた発振回路部121の周波数変化は、典型的には、3%程度である。したがって、アンテナパネル11に対する検出対象の位置及び動きを検出するためには、発振回路部121の基本周波数が100kHzの場合、97kHz〜100kHzの周波数を高精度に検出する必要がある。
【0058】
例えば、発振回路部の周波数変化を10段階程度の測定精度にて検出する場合、0.3kHzの分解能が必要である。この場合、図8(a)に示す回路構成で発振回路部121の検出周波数をカウントすることが可能である。図示の例では、カウンタ回路136のクロック入力端子に発振回路部121が接続され、カウンタ回路136のゲート端子に基準発振部135が接続されている。しかしこの方法では、測定時間が最低3.3msec必要となり、アンテナパネルを構成する各アンテナ部を全て走査するまでの期間(フレーム期間)が長くなってしまう。
【0059】
一方、図8(b)に示すように、高周波の基準信号をクロックに用いることで、測定時間の短縮を図ることが可能である。図示の例では、カウンタ回路136のクロック入力端子に基準発振部135が接続され、カウンタ回路136のゲート端子に発振回路部121が接続されている。このように、発振回路部121からの信号をゲートとしてカウントする場合、カウンタ用基準信号の周波数は50MHz程度の高周波発振器が必要となる。このため、回路の設計規模が大きくなり、コスト高を招くという不都合がある。
【0060】
そこで、本実施の形態では、図8(c)に示す構成の測定回路13Bが用いられる。図示する測定回路13Bは、第1のカウンタ回路136Aと第2のカウンタ回路136Bとを含む。すなわち、発振回路部121の出力を第2のカウンタ回路136Bを介して第1のカウンタ回路136Aのゲート端子へ入力することで、第1のカウンタ回路136Aにおけるゲート時間を延長し、基準発振部135(第2の発振回路)の低周波数化を図るようにしている。
【0061】
例えば、100kHzの基本周波数の周期を20倍、基準信号を10MHzにすると、97kHz〜100kHzの間の周波数変化について、60段階(分解能)、0.2msecの計測時間にて測定が完了する。これにより、測定時間の短縮と分解能の向上を同時に実現することができる。検出周波数の周波数変化は、当該検出周波数の周期を測定することで検出される。
【0062】
第2のカウンタ回路136Bは、分周器としての機能を有する。すなわち、第2のカウンタ回路136Bは、発振回路部121から出力される検出周波数(f)を所定の分周比(n)で分周する(f/n)。これにより、第1のカウンタ回路136Aへ入力されるゲート時間がn倍延長されるため、測定精度が向上する。また、ゲート時間が長くなることで、基準信号の発振周波数の低下を図れるようになる。
【0063】
第2のカウンタ回路136Bで延長されるゲート時間の倍率(カウンタ規定値)は、センサ装置10に要求される感度、応答性などに応じて適宜調整される。また、上記カウンタ規定値は、センサ装置10の作動中に可変としてもよい。この場合、測定回路13Bは、第2のカウンタ回路136Bのカウンタ規定値を変更する変更手段(可変手段)を備える。
【0064】
この変更手段は、センサ装置10の動作状態を監視する監視部と、第2のカウンタ回路136Bのカウンタ規定値を制御する制御回路などで構成される。変更手段は、例えば、発振回路部121の検出周波数の大きさに応じてカウンタ規定値を変更することができる。この場合、アンテナパネル11と検出対象との距離が近いときほどカウンタ規定値を大きくすることで、検出対象の位置及び動きをより高精度に検出することが可能となる。
【0065】
[演算回路]
次に、演算回路14について説明する。
【0066】
演算回路14は、例えばMPU等の半導体集積回路で構成されており、測定回路13において測定された各アンテナ部111X、111Yの周波数(周期)に関する情報に基づいて、アンテナパネル11の検出面に相当する平面上での検出対象の位置情報を数値化する。図9(a)は、演算回路14の構成を示す機能ブロック図である。演算回路14は、第1の演算部14aと、第2の演算部14bと、出力部14cとを有する。
【0067】
第1の演算部14aは、発振回路12及び測定回路13を介して入力された各行及び各列のアンテナ部111X、111Yの検出周波数から各アンテナ部111X、111Yと検出対象との距離を数値化する。ここでは、アンテナ部と検出対象との距離が近いほど数値が大きくなるように設定されている。
【0068】
第2の演算部14bは、第1の演算部14aで算出された各アンテナ部111X、111Yの距離データを座標データに変換する。図9(b)に、生成される座標データの一例を示す。ここでは、各行のアンテナ部111Xの距離データと、各列のアンテナ部111Yの距離データとを相互に乗算した値を、各々の交点に関する距離データとして算出する。
【0069】
出力部14cは、第2の演算部14bで生成された各座標位置の距離データを制御コマンド生成回路15へ出力する。
【0070】
図10は、検出対象であるユーザの手指とアンテナパネル11との関係を示す図である。図11は、図10に示した状態における発振回路部12、測定回路及び演算部14の処理手順を示すフロー図である。図11において、「X Line 1」、「X Line 2」及び「X Line N1」は、図9のアンテナ部「X1」、「X2」及び「X5」にそれぞれ相当する。同様に、「Y Line 1」、「Y Line 2」及び「Y Line N2」は、図9のアンテナ部「Y1」、「Y2」及び「Y8」にそれぞれ相当する。
【0071】
発振回路部12のスイッチ回路部122は、時間分割で各行のアンテナ部X1〜X5及び各列のアンテナ部Y1〜Y8と発振回路部121との間の接続を切り替える。測定回路13は、スイッチ回路部122の切替動作ごとに、スイッチ回路部122の切替動作と同期して、選択されたアンテナ部の発振周波数を測定する。アンテナ部の切替と周波数の測定は、X列及びY列をそれぞれ1単位として処理される。演算回路14は、取得した各アンテナ部の周波数の変化量に対応する距離データを算出及び記録する。各時刻の距離データの算出は、スイッチ回路部122の切替動作と同期して行ってもよいし、全てのアンテナ部を走査した後に一括して行ってもよい。演算回路14は、算出したアンテナ部ごとの距離データに基づいて、図9(b)に示したようなXY座標系における距離分布データを生成する。
【0072】
上記処理を繰り返し行うことで、アンテナパネル11に対する検出対象の移動経路と距離変化を検出し、図12及び図13にその一例を示すような移動情報及び距離情報をそれぞれ生成することができる。図12はXY平面内における検出対象の移動の軌跡を表す移動情報を示し、図13はアンテナパネルに対する検出対象の距離の時間変化を表す距離情報を示している。
【0073】
図12より、アンテナパネル11の左下側から右上側に向かって検出対象が推移している様子がわかる。また、図13より、検出対象の移動動作に伴って、検出対象が徐々にアンテナパネル11に接近している様子がわかる。測定周期を短くしたり、最近接位置のプロットから近似曲線を算出したりすることで、実際に即したユーザの動作検出が可能となる。
【0074】
演算回路14は、所定周期で取得される検出対象の移動情報を分析することで、検出対象の動きに関する量を取得することができる。検出対象の動きに関する量には、検出対象の移動経路、移動量(移動距離)、移動速度、移動加速度などが含まれる。これらの物理量は、ベクトル量として算出されてもよいし、スカラー量として算出されてもよい。これらのパラメータは、制御対象に応じて使い分けることができる。
【0075】
また、演算回路14は、上記移動情報及び距離情報の算出に際して、時間ごとの距離データの軌跡の形状を判定する。この判定には、高速フーリエ、離散フーリエ、2次元ウォルシュ変換などを用いた簡易的パターン認識法が適用可能である。これにより、ユーザによる情報の入力操作を適正に判定し、操作性の向上を図ることができる。
【0076】
[制御コマンド生成回路]
制御コマンド生成回路15は、例えばMPU等の半導体集積回路で構成されており、演算回路14で生成された検出対象の移動情報及び距離情報に基づいて、表示装置50の情報処理部(コンピュータ)に対して、画面51上に表示される画像の制御信号を生成する。
【0077】
制御コマンド生成回路15は、制御すべき画像の種類や、制御する際の場面の種類などに応じて、演算回路14から入力される検出対象の移動情報及び距離情報に対応した種々の制御コマンドをあらかじめ記憶していてもよい。そして、制御コマンド生成回路15は、その中から適宜の制御コマンドを選択する処理を実行するように構成されてもよい。
【0078】
例えば、制御すべき画像の種類が画面上に表示されたポインタである場合には、制御コマンド生成回路15は、演算回路14で生成された移動情報に応じて当該ポインタを移動させる制御コマンドを生成する。また、制御コマンド生成回路は、演算回路14で生成された距離情報に基づいて、当該距離に応じた制御コマンド、例えば近接距離が所定以下になった場合に選択されたアイコンの実行処理を行わせるための制御コマンドを生成する。
【0079】
また、制御すべき画像の種類が画面全体である場合には、検出対象の移動方向に沿って画面の表示範囲を移動させるための制御コマンドを生成する。例えば、移動方向が縦方向(Y軸方向)であれば画面のスクロール、移動方向が横方向(X軸方向)であれば画面の頁繰りなどが該当する。さらに、距離情報に基づいて、近接距離が所定以下になった場合に当該近接位置を画面上で発光させたり、明滅させたりする制御コマンドを生成してもよい。発光色や明滅パターンは距離の大きさに応じて異ならせてもよい。
【0080】
以上のように、本実施形態のセンサ装置10によれば、発振回路12で発振された信号電波を放射する第1のアンテナ部111X及び第2のアンテナ部111YがそれぞれY軸方向及びX軸方向に沿って複数配置される。したがって、上記センサ装置によれば、検出対象の位置及びXY平面内における検出対象の動きを非接触で検出することが可能となる。
【0081】
また、検出対象の多次元的な動きに基づいた情報の入力制御が実現可能となる。したがって、複雑あるいは煩雑なキー操作を必要とすることなく手指の動きのみで必要な情報の入力が可能となるので、操作性、利便性の向上を図ることができる。
【0082】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0083】
図14は、本実施形態に係るセンサ装置を内蔵した表示装置の概略斜視図である。表示装置200は、筐体201、操作画面205(表示部)、及び、電源ボタン202などを有する。表示装置200は、例えば、画面上に手をかざすことで情報の入力や表示画像の制御などが可能な入力装置として構成される。
【0084】
表示装置200は、例えば、現金自動預入支払機(ATM:automated teller machine)やカーナビゲーションシステムにおける操作ディスプレイなどの据付型機器に適用可能である。また、表示装置200は、機器のリモートコントローラ、ハンドヘルド型入力装置、ゲーム機器などのような携帯型機器にも適用可能である。
【0085】
図15は、操作画面205の構成を示す分解斜視図である。操作画面205は、各種画像が表示される画面203と、その画面203の表示面側に設置されたアンテナパネル211とを備える。
【0086】
図16は、表示装置200の構成を示す機能ブロック図である。筐体201は、センサユニット210及び制御回路216を備えている。センサユニット210は、アンテナパネル211、発振回路212、測定回路213、演算回路214及び制御コマンド生成回路215を含む。センサユニット210は、上述の第1の実施形態におけるセンサ装置10と同様の構成及び機能を有しており、その説明は省略する。制御回路216は、表示装置200の全体の機能を制御し、各種画面203に対する表示の制御のほか、各種の情報処理を実行する。
【0087】
画面203は、複数のアイコン204a〜204fの配列を表示する。センサユニット210は、ユーザによるアイコン204a〜204fの選択操作を検出する。すなわち、センサユニット210は、選択されたアイコン上に位置するユーザの手指を検出し、ユーザとアンテナパネル211との相対距離が所定以下となったときに当該アイコンに対する入力信号(制御コマンド)を生成する。制御回路216は、上記制御コマンドに基づいて、当該アイコンの入力操作に対応する画面の制御や各種処理を実行する。
【0088】
図17(a)〜(c)は、制御回路216による画面203の表示制御の一例を示している。図示の例では、アイコン204bを選択操作するユーザ(の手指)Uの動きの様子と、それに対応する画面203の表示の変化を示している。制御回路216は、アンテナパネル211とユーザU間の距離が比較的遠い場合、すべてのアイコンを例えば緑色に発光させる(図17(a))。次に、ユーザUがアイコン204bに近接し、その距離が第1の閾値に達したことがセンサユニット210によって検出されると、制御回路216は、アイコン204bのみを例えば黄色に発光させる(図17(b))。これにより、ユーザUに対して、アイコン204bの選択動作を確認させることができる。そして、ユーザUとアイコン204bの間の距離が第2の閾値を越えて近接したことがセンサユニット210によって検出されると、制御回路216は、アイコン204bを例えば赤色に発光させる(図17(c))。これにより、操作感が向上するとともに、操作の確実性を高めることが可能となる。
【0089】
発光色や発光条件の閾値の設定は任意に設定することが可能である。発光対象はアイコンに限られず、筐体201に設けた表示灯(例えばLEDランプ)などであってもよい。発光制御は色の変更に限られず、発光輝度や明滅パターンの制御も含まれる。また、アイコンの発光制御コマンドは制御回路216で生成される場合に限られず、センサユニット210の制御コマンド生成回路215によって生成されてもよい。図18は、演算回路214で算出されたユーザとアンテナパネル間距離の時間変化に応じて発光パターンを異ならせる例を示している。アンテナパネルとユーザとの間の近接距離が近づくにつれて、例えば上記表示灯の点滅、点灯を順次切り替えてもよい。さらに、ユーザの視覚に訴える発光制御のほか、ユーザの操作態様に応じて音響を発生させる制御や、画面を振動させる制御を単独またはこれらを組み合わせて実施されてもよい。
【0090】
本実施形態の表示装置200によれば、上述の第1の実施形態と同様な作用効果を得ることができる。また、本実施の形態では、画面203の上にアンテナパネル211を貼り合わせることで操作画面205が構成されている。これにより、表示部に表示された画像の位置と検出対象の動き動作の関連付けが容易となり、操作性を高めることができる。
【0091】
以上、本発明の実施形態について説明したが、勿論、本発明はこれに限定されることはなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0092】
例えば以上の実施形態では、アンテナパネル11、211を第1のアンテナ部111Xと第2のアンテナ部111Yで構成したが、これに限られず、第1のアンテナ部111X及び第2のアンテナ部111Yのうち何れか一方のみでアンテナパネルを構成してもよい。あるいは、上記アンテナパネル11、211において、使用条件に応じて、第1、第2のアンテナ部111X、111Yのうち何れか一方のみ使用する動作モードを選択可能に構成されてもよい。画像の制御内容によっては、X方向及びY方向のうち何れか一方のみが操作の検出対象とされる場合があるからである。
【0093】
また、アンテナパネル11、211において、第1、第2のアンテナ部111X、111Yはそれぞれ画面の縦方向及び横方向に沿って配列される例に限られず、互いに直交する斜め方向に配列させてもよい。
【0094】
センサ装置10(センサユニット210)の発振回路12(212)は、図6に示した例に限られず、例えば図19〜図21に示すような構成が採用されてもよい。
【0095】
図19に示す発振回路12Bにおいて、スイッチ回路部122は、第1のアンテナ部111X及び第2のアンテナ部111Yについて共通のアナログスイッチで構成されている。スイッチ回路部122は、例えば、第1のアンテナ部111Xを順次選択した後、第2のアンテナ部111Yを順次選択する。上記構成によれば、図6の構成に比べて、スイッチ回路部122の構成を簡素化できるという利点がある。
【0096】
図20に示す発振回路12Cは、アンテナパネル11とスイッチ回路部122X、122Yとの間に発振回路部121が配置されている点で図6の構成と異なっている。発振回路部121は、個々のアンテナ部111X、111Yに対応して複数配置されている。アンテナ部111X、111Yは、第1のアンテナ部111Xと第2のアンテナ部111Yの各アンテナ群に対応して配置されており、それぞれ独立して切替動作可能に構成されている。
【0097】
この発振回路12Cにおいては、第1のアンテナ部111Xと第2のアンテナ部111Yを個々に独立して走査可能である。図示するように、発振回路12Cの後段に配置される測定回路13を各スイッチ回路部122X、122Yに対応して配置することができる。アンテナ部111Xとこれらに接続される各発振回路部121、及び、アンテナ部111Yとこれらに接続される発振回路部121の基本発振周波数を互いに干渉しない周波数に設定することにより、アンテナ部111X及び111Yによって互いに独立して、対象物との距離・位置を同時に検出することができる。その結果、フレーム周期の短縮化が図られ、高速に動作検出が可能となる。
【0098】
図21に示す発振回路12Dは、発振回路部121がアンテナユニット11とスイッチ回路部122との間に配置されている点で図20の発振回路12Cと共通するが、スイッチ回路部122が発振ON/OFF回路と、OR回路の組み合わせにて、切り替えスイッチと同等の役割を果たしている点で発振回路12Cと異なる。本例においては、スイッチ回路部122は、個々の発振回路部121の駆動及びその停止を制御するオン/オフ回路122Sと、発振回路部121の出力の論理和を後段の測定回路13へ出力するOR回路122Pとを含む。
【0099】
発振回路12Dにおいて、オン/オフ回路122Sは、発振回路部121を個々に駆動制御して、OR回路122Pへ出力するアンテナ部111X,111Yの出力信号を順次切り替える。OR回路122Pは、発振回路部121の出力の論理和を出力する。これにより、OR回路122Pは、オン/オフ回路122Sで選択された発振回路部121に接続されたアンテナ部の出力信号が測定回路13へ出力される。
【0100】
なお図示せずとも、発振回路部121及びOR回路122Pは、第1のアンテナ部111X及び第2のアンテナ部111Yの各配列群に対応してそれぞれ複数設置されていてもよい。また、OR回路122Pに代えて、図19に示したスイッチ回路部122を設置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の実施形態に係るセンサ装置を備えた制御システムの構成を示すブロック図である。
【図2】上記センサ装置のアンテナパネルの構成を示す図である。
【図3】上記アンテナパネルを構成するアンテナシートの構成を説明する斜視図である。
【図4】上記センサ装置における発振回路の構成を説明するブロック図である。
【図5】上記発振回路における発振回路部の等価回路図である。
【図6】上記発振回路の一構成例を示すブロック図である。
【図7】上記センサ装置における測定回路の概略構成図である。
【図8】上記センサ装置における測定回路の他の構成例を説明する図である。
【図9】上記センサ装置における演算回路のブロック図及び算出データの一例を示す図である。
【図10】上記アンテナパネルと検出対象(ユーザの手指)との関係を示す斜視図である。
【図11】上記センサ装置の動作の一例を示す制御フローである。
【図12】上記演算回路で算出される検出対象の移動情報の一例を示す図である。
【図13】上記演算回路で算出される検出対象とアンテナパネル間の距離情報の一例を示す図である。
【図14】本発明の実施形態に係るセンサ装置を備えた入力装置の概略構成を示す斜視図である。
【図15】上記入力装置の操作画面の構成を示す斜視図である。
【図16】上記入力装置の構成を示すブロック図である。
【図17】上記入力装置の動作例を示す斜視図である。
【図18】上記入力装置の他の動作例の説明図である。
【図19】上記センサ装置における発振回路の他の構成例を示すブロック図である。
【図20】上記発振回路の他の構成例を示すブロック図である。
【図21】上記発振回路の他の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0102】
10…センサ装置
11、211…アンテナパネル
11X、11Y…アンテナシート
12、12A、12B、12C、12D…発振回路
13…測定回路
14…演算回路
15…制御コマンド生成回路
50…表示装置
100…制御システム
111X…第1のアンテナ部
111Y…第2のアンテナ部
110X、110Y…基材
121…発振回路部(第1の発振回路)
122…スイッチ回路部
131…基準発振部(第2の発振回路)
200…表示装置(入力装置)
201…筐体
203…画面
205…操作画面
U…ユーザ(検出対象)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に沿って配置された複数の第1のアンテナ部と、
前記複数の第1のアンテナ部とそれぞれ電気的に接続可能であり、前記第1のアンテナ部と検出対象との間の距離に応じて異なる発振周波数を有する検出信号を出力する第1の発振回路と、
前記検出信号の周波数変化を測定する測定回路と、
前記測定回路によって測定された前記検出信号の周波数変化に基づいて、前記第1のアンテナ部の各々と前記検出対象との間の距離と、前記第1の方向に沿った前記検出対象の動きに関する量とを算出する演算回路と
を具備するセンサ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサ装置であって、
前記測定回路は、
基準信号を発振する第2の発振回路と、
前記検出信号の発振周波数を分周する分周器と、
前記基準信号の発振周波数を基準として前記分周器から出力される信号の周波数を測定する測定器とを有する
センサ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のセンサ装置であって、
前記検出信号の発振周波数の大きさに応じて、前記分周器の分周比を可変とする可変手段をさらに具備する
センサ装置。
【請求項4】
請求項1に記載のセンサ装置であって、
前記測定回路は、
基準信号を発振する第2の発振器と、
前記検出信号と前記基準信号とを混合することでビートを生成する混合器と、
前記ビートの周波数を測定する測定器とを有する
センサ装置。
【請求項5】
請求項1に記載のセンサ装置であって、
前記第1の発振回路は、
前記第1のアンテナ部の各々について前記検出信号を出力する発振回路部と、
前記第1のアンテナ部の各々と前記発振回路部との接続を切り替えるスイッチ回路部とを含む
センサ装置。
【請求項6】
請求項1に記載のセンサ装置であって、
前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って配置された複数の第2のアンテナ部をさらに具備し、
前記第1の発振回路は、
前記第1及び第2のアンテナ部の各々について前記検出信号を出力する発振回路部と、
前記第1及び第2のアンテナ部の各々と前記発振回路部との接続を切り替えるスイッチ回路部とを含み、
前記演算回路は、前記第1及び第2のアンテナ部の各々と前記検出対象との間の距離と、前記第1及び第2の方向に沿った前記検出対象の動きに関する量を算出する
センサ装置。
【請求項7】
請求項1に記載のセンサ装置であって、
前記演算回路の算出結果に応じて、表示装置に表示される画像を制御するための制御コマンドを生成するコマンド生成手段をさらに具備する
センサ装置。
【請求項8】
表示部と、
第1の方向に沿って配置された複数の第1のアンテナ部と、
前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って配置された複数の第2のアンテナ部と、
前記各アンテナ部とそれぞれ電気的に接続可能であり、前記アンテナ部と検出対象との間の距離に応じて異なる発振周波数を有する検出信号を出力する発振回路と、
前記検出信号の周波数変化を測定する測定回路と、
前記測定回路によって測定された前記検出信号の周波数変化に基づいて、前記各アンテナ部と前記検出対象との間の距離と、前記第1及び第2の方向に沿った前記検出対象の動きに関する量とを算出する演算回路と、
前記演算回路の算出結果に応じて、前記表示部に表示される画像を制御するための制御コマンドを生成するコマンド生成手段と
を具備する入力装置。
【請求項9】
請求項8に記載の入力装置であって、
前記各アンテナ部は、前記表示部の上に配置されている
入力装置。
【請求項10】
第1の方向に沿って配置された複数の第1のアンテナ部と、前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って配置された複数の第2のアンテナ部とから信号電波を発生させ、
前記アンテナ部に近接する検出対象の位置に応じた前記信号電波の発振周波数の変化の大きさを、前記アンテナ部ごとにそれぞれ測定し、
前記発振周波数の変化に応じた前記検出対象の位置情報と、前記第1及び第2の方向に沿った前記検出対象の動きに関する情報を生成し、
前記生成した各情報に基づいて、コンピュータに対する制御コマンドを生成する
制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−139280(P2010−139280A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−313714(P2008−313714)
【出願日】平成20年12月9日(2008.12.9)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】