説明

センサ装置

【解決手段】センサ装置(1)は、部屋内の露点特性を測定するための露点センサ(3)、及び部屋の壁面で温度特性を測定するための温度センサ(4)を備え、測定された露点特性及び測定された壁面温度特性を評価する、且つ/又は格納するための手段が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部屋、又は特に部屋の壁面のためのセンサ装置に関する。用語「部屋」は本発明の文脈の中では広く解釈されることができる。部屋は、必ずしも閉じられた空間であるとして理解されるものとは限らない。部屋は、住居、自動車、空洞、煙突などであってよい。
【背景技術】
【0002】
センサ装置は、例えば、博物館の展示品に有害である、いかなる部屋の気候の影響をも初期段階で認識することができるように博物館内で使用される。この目的のために、温度センサによって測定される空気湿度特性及び空気温度特性が、記憶媒体、例えば、1巻の紙上に一般に格納される、又は記録される。この種のセンサ装置は、かびが部屋の壁面上、つまり、部屋の天井上、壁又は床上に形成するので部屋内のかび形成の傾向を決定するためにだけ限定的に適しており、言及されたセンサ装置は、部屋の内部の空気湿度及び空気温度だけを記録する。
【0003】
自動車内ではセンサ装置は、特に、車両のフロントガラスの結露の傾向を監視するために車両の乗客空間内で使用される。この種のセンサ装置は、空気湿度センサ素子及び温度センサを有する露点センサを備え、空気湿度センサ素子及び温度センサは熱的に結合されている。温度センサは、例えば、フロントガラスの表面温度センサとして使用される。欧州特許出願公開第1380481A2号明細書及び欧州特許出願公開第1306242A1号明細書は、フロントガラスに直接又はフロントガラスのすぐ近くに空気湿度センサ素子を取り付けることを提案する。このセンサ素子は相対空気湿度を測定する。これから得られるデータから、フロントガラスが曇る傾向に関する結論が導き出される。さらに、欧州特許出願公開第1306242A1号明細書は、自動車の乗客空間内の温度も曇ることを防止するために考慮されるべきであることを提案する。
【0004】
国際特許出願公開第02/33395A1号明細書は露点センサを開示する。熱が、例えば、自動車の窓の内部表面上で生じ得るようにガス状媒質、例えば、水蒸気から奪われる場合、媒質は関連の温度で凝結し、液体、例えば、水を形成する。これは、露点を下回ったものとみなされる。液体が凝結する温度(露点温度)及び関連の相対空気湿度が露点と呼ばれる。特定の相対空気湿度において表面での温度が露点温度に近い場合又はこの表面温度が露点温度を下回る場合、表面は曇ってくる(結露傾向)、つまり液体が表面上に凝結してくる傾向にある。
【0005】
露点センサは、空気湿度センサ及び空気温度センサが配置される据え付け基部を備える。空気湿度センサ及び空気温度センサに熱的に接触する熱伝導塗装が据え付け基部に塗布される。空気湿度センサ及び空気温度センサは熱接触のために同一の温度でデータを取得するので、露点センサの据え付け基部の部位でセンサが取得したデータから、露点に達しているかどうか、つまり測定された温度において測定された空気湿度が露点の空気湿度を上回っているかどうか、又は測定された空気湿度において測定された温度が露点温度を下回っているかどうかを確定することが可能である。露点センサを有する既知のセンサ装置は、測定された空気湿度及び表面温度を記録しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従来技術の欠点を避ける部屋のためのセンサ装置を提供することである。具体的には、部屋の壁面近くの領域、又は壁面上のかび形成の傾向を信頼性のある方法で決定することが可能であることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、特許請求の範囲の請求項1によるセンサ装置によって実現される。従属請求項は本発明の好ましい実施の形態を表す。
【0008】
本発明によるセンサ装置は、少なくとも1つの部屋内、例えば、建造物内のかび形成の傾向を決定することに適している。
【0009】
露点センサ及び1つ又は複数の温度センサは、測定装置を形成するために組み合わせることができる、あるいは露点センサ及び1つ又は複数の温度センサから構成される装置を単に形成し、センサを互いに分離することができる。
【0010】
本発明によるセンサ装置により、露点特性及び壁温度特性を記録することができる。これにより、壁温度特性が測定される領域の壁上のかび形成の傾向の信頼性のある決定が可能になる。この目的のために、フロントガラスが曇る傾向を測定するために自動車に使用される既知の露点センサ装置の構造と同様の構造を有する露点センサ装置が使用される。壁のかび形成の傾向が壁の湿度に依存し、したがって周囲空気内の水蒸気として存在する水が壁上で液化する(つまり、壁上で凝結する)傾向に依存するので凝結に関する部屋の気候データが、本発明によるセンサ装置を用いて測定され格納される、又は記録される。これらの部屋の気候データは、壁における露点を決定する量の値、すなわち空気湿度及び壁の温度である。測定された壁温度特性の温度が関連の空気湿度、つまり、温度測定時に測定される空気湿度の露点温度を永久に又は少なくとも高頻度で下回る場合、湿気が壁に凝結し得るので壁温度特性が測定された壁にかびが形成される確率が高い。露点温度を下回ることがまた、露点の温度範囲を下回ることを意味することとさらに理解される。この温度範囲は、壁からの湿気が非常にゆっくりとしか乾かないので実際の露点温度を摂氏数度上回っている場合であってもよい。
【0011】
本発明によるセンサ装置を用いて部屋の気候データが、比較的長い期間、例えば、複数週又は複数月にわたって記録されることができる。この結果、部屋の気候、特に空調の動作をも監視することができる。したがって、例えば、かび形成の原因に関する家主と借家人との間の争議が解決されることができる。
【0012】
本発明によるプロセスを用いて確定されるデータが、暖房システム又は冷暖房システムを制御するための基準として使用される場合、部屋の気候はかび形成を避けるための制御された方法で調整されることができる。例えば、自動車内では後部窓の暖房システムが制御されることができる。効果的な暖房を本発明を用いて実現することができる。例えば、加熱箔、電熱線又は断熱材などの熱部材が監視されるべき壁面上に配置されることができる。これは、食器棚の裏側又は構造的部材の裏側の熱部材に特に適用することができる。
【0013】
本発明によるセンサ装置は、モバイル機器の形であってよい、又は建造物もしくは自動車内に固定される方法で設置されてよい。
【0014】
壁温度特性が部屋の内部体積空間内の空気の露点の露点温度を下回る又は所定の温度境界を下回るとき、かび形成の傾向インジケータを記憶モジュール内に格納するように設定される評価ユニットが設けられることが好ましい。上述の理由のために、温度境界は露点温度を摂氏数度上回ってよい。この結果、測定されたデータは自動化された方法で評価されることができる。本発明によるセンサ装置が配置される据え付け部位、つまり、壁でかび形成の確率が増大するかどうかに関する情報が直接格納される。
【0015】
評価ユニットが、露点温度が温度センサの据え付け部位で下回っているときに警報信号を発するように設定される場合、適切な対策、例えば、換気又は暖房によってかび形成に積極的に対抗することができる。
【0016】
特に、露点センサ装置が筐体内に配置され、データ転送インターフェース、好ましくは無線通信インターフェース、特にブルートゥースインターフェース、及び/又はコネクタインターフェース、特にUSBインターフェースが筐体上に設けられることが好ましい。したがって、本発明によるセンサ装置は、測定されたデータを表示するために、且つ/又はこれらのデータを評価するために市版されているコンピュータと共に簡単な方法で使用されることができる。この目的のために、ドライバ及び評価ソフトウェアだけがコンピュータ内にインストールされる必要がある。センサ装置を使用するためにいかなるケーブルも付ける必要はない。
【0017】
筐体が、透湿膜によって少なくとも部分的に形成される場合、又は通気孔を有する場合、周囲空気が空気湿度センサ素子の周りでよく循環することができるので、部屋の内部体積空間内の空気湿度特性の信頼性のある測定が可能である。
【0018】
本発明によるセンサ装置は、特に簡単な方法で処理されることができるため、温度センサを壁に取り外すことができるように固着するための接着剤又は手段が都合よく設けられる。
【0019】
空気湿度センサ素子から温度センサが熱的に分離されることは好ましい。内部の温度が変化するときに壁はゆっくりとしか暖まらない又は冷えないので、部屋の壁の温度は内部体積の温度に高頻度で対応しない。この結果、部屋の内部体積空間内の空気湿度特性の測定は、空気湿度センサ素子が壁の温度に保持されているかどうか誤って伝えられ得る。特にこれは、相対空気湿度が空気湿度センサ素子によって直接測定されるときに当てはまる。したがって、熱的に分離されることにより、測定された空気湿度における露点に対して下回ったこと全てについて、より信頼性のある決定が可能になる。
【0020】
部屋の内部体積空間内の内部温度特性を測定するように設定される内部温度センサが設けられることが好ましい。この内部温度センサは、露点センサ装置の空気湿度センサ素子も示す温度を測定する。したがって、相対空気湿度を確定するために壁温度を使用するために誤りが生じる可能性なしに露点が下回っていることを確証する必要がある相対空気湿度の確定を信頼性のある方法で行うことが可能である。さらに、内部温度特性の変化から部屋内の空調の動作に関する結論が導き出されることができる。
【0021】
本発明による建造物管理制御センタは、本発明によるセンサ装置を少なくとも1つ有する。センサ装置の測定された壁温度特性及び測定された空気湿度特性を受け入れるためのデータ受入れ手段が設けられる。データ受入れ手段は、無線通信インターフェース、特にブルートゥースインターフェース、及び/又はコネクタインターフェース、特にUSBインターフェースの形であることが好ましい。かび形成の傾向インジケータは出力手段を使用して表示することができる。壁温度特性を測定するための測定点は、かび形成の傾向が予期される建造物の領域に設けられるべきである。
【0022】
本発明によるセンサ装置は、建造物の部屋内、つまり、部屋の内壁上のかび形成の傾向を決定するために適している。
【0023】
本発明は、ガラス窓枠又はガラス面の外側の曇りを避けるために使用されることもできる。
【0024】
さらなる利点は、説明及び添付図面からはっきりするであろう。本発明の上述の特徴及び下記に示される特徴は、個別に又は互いに組み合わせて使用されることができる。言及された実施の形態は、限定的な記載として理解されるものではなく、むしろ実質的には例に等しいものである。
【0025】
本発明は、図面を参照して実施の形態を用いて以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】USBプラグイン装置(USBスティック)の形であるセンサ装置を示す図である。
【図2】図1によるセンサ装置と連結した建造物管理制御センタを示す図である。
【図3】さらなるセンサ装置と連結した建造物管理制御センタを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、USBプラグイン装置の形である本発明によるセンサ装置1を示す。露点特性を測定するための露点センサ3、及び壁温度特性を測定するための温度センサ4が、測定された露点特性及び測定された壁温度特性を格納するための記憶モジュール5と共に据え付け基部7、例えば、基板上に固着される。
【0028】
露点センサ3を有する基板は筐体9内に配置される。温度センサ4は、温度センサ4が、例えば部屋の壁と接触することができるように筐体の壁内に配置され、この結果、壁温度特性が温度センサ4を用いて正しく測定されることができる。壁温度を測定するために設けられる温度センサ4の領域では、例えば、かび形成の傾向が決定されるべき壁にセンサ装置1を固着するために筐体の外側に接着剤11が設けられる。これらの接着剤は、例えばゴム塗装の形であってよい。さらに、取り外しできる付着のための手段が可能である。
【0029】
さらに、エネルギー源、例えば、電池がエネルギー供給のために筐体内に設けられるべきである。
【0030】
露点センサ3は内部温度センサ及び内部空気湿度センサ素子を備える。内部温度センサは空気湿度センサ素子と熱接触をしている。空気湿度センサ素子は、壁面の領域に配置されるべき温度センサ4から少し離れており、したがって内部空気湿度を測定する。したがって、内部温度センサ13を用いて部屋の内部体積空間内の、関連の内部温度特性を測定することが可能である。内部空気湿度及び/又は内部温度特性をできるだけ正確に測定することを可能にするために、通気孔15が空気湿度センサ素子及び/又は内部温度センサの領域の筐体9内に設けられる。したがって、露点特性は露点センサ3を用いて記録されることができる。建造物の壁での温度特性は温度センサ4を用いて記録されることができる。露点センサ3及び温度センサ4は、小型の測定装置のための基部を形成する装置を形成するように共に一体化される。
【0031】
センサ装置1は、この筐体9上にUSBコネクタインターフェースの形である、つまり、USBコネクタインターフェースの雄形コネクタの形であるデータ転送インターフェース17を有する。データ転送インターフェース17を用いて、露点センサ装置によって測定され、記憶モジュール内に格納される露点特性及び壁面温度特性が、記憶モジュール5から読み出され、評価ユニット、例えば、コンピュータに転送されることができる。評価ユニットを用いて、センサ装置1が固着された壁面上のかび形成の傾向を、測定された特性から確定することができる。この傾向は、壁面上の測定された温度特性が露点特性を下回るときに存在する。
【0032】
評価ユニット18が設けられる。これは、壁温度特性が部屋の内部体積空間内の空気の露点の露点温度又は所定の温度境界を下回るときに記憶モジュール5内にかび形成の傾向インジケータを格納するように設定される。
【0033】
図2は、本発明による建造物管理制御センタを示す。建造物管理制御センタは、コンピュータ20及び本発明による数個のセンサ装置1を有する。センサ装置1は夫々、建造物22の各部屋の隅の壁上に固着される。コンピュータ20は、無線方法でセンサ装置1と通信する。センサ装置1は、例えば、図1に示されるような無線通信インターフェース、例えば、ブルートゥースインターフェースを構築され、加えて筐体内に設けられることができる。図で双方向矢印によって表された無線通信25は、センサ装置1によって測定された温度特性及び内部空気湿度を評価ユニットとして働くコンピュータ20に送信するために使用される。コンピュータ20の画面は、かび形成の傾向インジケータを出力するための出力手段27として働く。
【0034】
図3は、本発明によるさらなる建造物管理制御センタを示す。建造物管理制御センタは、コンピュータ20、露点センサ28及び数個の温度センサ29を有する。温度センサ29は夫々、建造物22の各部屋の隅の壁上に固着される。コンピュータ20は、無線方法でセンサ1と通信する。図で双方向矢印によって表される無線通信25は、センサによって測定された特性を評価ユニットとして働くコンピュータ20に送信するために使用される。コンピュータ20の画面は、かび形成の傾向インジケータを出力するための出力手段27として働く。
【符号の説明】
【0035】
1 センサ装置
3 露点センサ
4 温度センサ
5 記憶モジュール
7 据え付け基部
9 筐体
11 接着剤
13 内部温度センサ
15 通気孔
17 データ転送インターフェース
18 評価ユニット
20 コンピュータ
22 建造物
25 無線通信
27 出力手段
28 露点センサ
29 温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部屋内の露点特性を測定するための露点センサ(3,28)を有し、前記部屋の壁面で温度特性を測定するための温度センサ(4,29)を有するセンサ装置(1)であって、前記測定された露点特性及び前記測定された壁面温度特性を評価し、且つ/又は格納するための手段が設けられているセンサ装置。
【請求項2】
壁温度特性が前記部屋の内部体積空間内の空気の露点の露点温度又は所定の温度境界を下回るとき、かび形成の傾向インジケータを格納するように設定される評価ユニット(18)を記憶モジュール(5)内に備えることを特徴とする請求項1記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記評価ユニット(18)は、前記露点温度が下回っているときに暖房システムを制御するように設定されることを特徴とする請求項2記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記評価ユニット(18)は、前記露点温度が前記温度センサの据え付け部位で下回っているときに警報信号を発するように設定されることを特徴とする請求項2記載のセンサ装置。
【請求項5】
露点センサ装置が筐体(9)内に配置され、データ転送インターフェース(17)、好ましくは無線通信インターフェース、特にブルートゥースインターフェース、及び/又はコネクタインターフェース、特にUSBインターフェースが前記筐体(9)上に設けられることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記筐体(9)は、少なくとも一部分が透湿膜によって形成される、又は通気穴(15)を有することを特徴とする請求項5記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記温度センサを前記壁面に固着するための接着剤(11)が設けられることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項8】
前記センサ装置の前記測定された壁温度特性及び測定された空気湿度特性を受け入れるためのデータ受入れ手段が設けられ、かび形成の傾向インジケータを出力するための出力手段(27)が設けられることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のセンサ装置(1)を少なくとも1つ有する建造物管理制御センタ。
【請求項9】
建造物の部屋内のかび形成の傾向を決定するための請求項1乃至8のいずれか1項に記載の前記センサ装置の使用法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−133858(P2009−133858A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−296640(P2008−296640)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(503145110)シトリニック ゲス フュール エレクトロテクニッシュ オウスルゥスタング エム ベー ハー ウント コー カー ゲー (12)
【氏名又は名称原語表記】sitronic Ges.  fur elektrotechnische Ausrustung mbH & Co. KG
【Fターム(参考)】