説明

センサ装置

【課題】多種類の物理量を検出可能としつつ施工作業の簡素化を図る。
【解決手段】本実施形態のセンサ装置では、それぞれが異なる物理量(赤外線量、光量、温度、湿度)を検出する複数のセンサ部2〜5が、制御部1や無線通信部7や電源部8とともに、壁や天井などの造営物に取り付けられる筐体10内に収納されている。このため、従来であれば、人感センサと照度センサと温度センサと湿度センサが個別に設置されていたのに比べ、多種類の物理量を検出可能としつつ施工作業の簡素化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ装置に関し、特に多種類の物理量を検出するセンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省電力化の観点から、温度や湿度や照度などの多種類の物理量を検出し、それらの検出結果に応じて空調機器や照明器具などの設備を制御することが行われている。例えば、特許文献1記載のものでは、オフィス(執務室)内に照明器具や空調機器、複写機などの設備とともに、人感センサや照度センサ、温度センサ、湿度センサなどが設置され、これら各種のセンサの検出結果に基づいて各設備が制御されて省電力化が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−360925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1記載のものでは、各センサが単一の物理量しか検出しないため、検出対象の物理量の種類に応じた数のセンサが必要になるとともに、各センサの検出出力を取り出すための配線もセンサの個数に応じて必要になる。そのため、センサの設置や配線などの施工作業に多大な労力と時間が掛かってしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、多種類の物理量を検出可能としつつ施工作業の簡素化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のセンサ装置は、それぞれが異なる物理量を検出する複数のセンサ部と、当該複数のセンサ部の検出出力を電気信号に変換して外部に出力する出力部と、前記複数のセンサ部及び前記出力部に動作電源を供給する電源部と、壁や天井などの造営物に取り付けられて前記複数のセンサ部、前記出力部、前記電源部が収納される筐体とを備えることを特徴とする。
【0007】
このセンサ装置において、検出領域の赤外線量を検出する赤外線センサ部、前記検出領域における照度を検出する照度センサ部、前記検出領域における雰囲気温度を検出する温度センサ部、前記検出領域における湿度を検出する湿度センサ部、前記検出領域における空気の流れを検出する流速センサ部、前記検出領域における二酸化炭素の濃度を検出するガスセンサ部のうちの少なくとも2つ以上のセンサ部を備えることが好ましい。
【0008】
このセンサ装置において、前記赤外線センサ部と、前記照度センサ部と、前記温度センサ部と、前記湿度センサ部とを備えることが好ましい。
【0009】
このセンサ装置において、前記電源部は、太陽電池と、当該太陽電池の発電電力で充電される2次電池とを有することが好ましい。
【0010】
このセンサ装置において、前記出力部は、電波などの無線通信媒体を利用して前記電気信号を外部に出力することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のセンサ装置は、多種類の物理量を検出可能としつつ施工作業の簡素化を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態1のブロック図である。
【図2】同上の外観斜視図である。
【図3】同上の簡略化した断面図である。
【図4】本発明の実施形態2のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態1)
本実施形態のセンサ装置のブロック図を図1に示す。このセンサ装置は、制御部1、赤外線センサ部2、照度センサ部3、温度センサ部4、湿度センサ部5、アンテナ6、無線通信部7、電源部8などを備える。
【0014】
赤外線センサ部2は、多数のサーモパイル素子が縦横に配置されてなる赤外線アレイセンサ(図示せず)や、赤外線アレイセンサから出力される電気信号を信号処理して検出領域の温度分布を求める信号処理回路(図示せず)などを具備する。赤外線アレイセンサは、検出領域に存在する熱源(例えば、人体)から放射される赤外線を各サーモパイル素子で検出する。信号処理回路は、各サーモパイル素子で検出される赤外線量を温度値に変換するとともに各サーモパイル素子の温度値をその位置座標と対応付けたもの(以下、熱画像と呼ぶ。)を一定のフレーム周期で外部(制御部1)に出力する。
【0015】
照度センサ部3は、光電変換素子と、光電変換素子の出力電流(光電流)の大きさに応じた電圧信号(照度信号)を出力する出力回路とを有する。温度センサ部4は、サーミスタなどの温度検出素子を用いて検出領域における雰囲気温度を検出し、当該雰囲気温度に応じた温度検出信号を外部(制御部1)に出力する。湿度センサ部5は、検出素子の電気抵抗又は静電容量の変化を利用して検出領域における湿度を検出し、当該湿度に応じた湿度検出信号を外部(制御部1)に出力する。
【0016】
制御部1はマイクロコントローラからなり、各センサ部2〜5の検出出力を信号処理する。例えば、制御部1では、赤外線センサ部2からフレーム周期毎に出力される熱画像に基づき、検出領域における人の存在や人数、さらに各人の移動方向などを検出し、その検出結果を示す情報(人体検出情報)を無線通信部7に出力する。同様に、制御部1は照度センサ部3、温度センサ部4、湿度センサ部5から出力される照度信号、温度検出信号、湿度検出信号に基づき、検出領域における照度、温度、湿度の各検出結果を示す情報(照度情報、温度情報、湿度情報)を電気信号として無線通信部7に出力する。
【0017】
無線通信部7は、制御部1から入力される電気信号(人体検出情報、照度情報、温度情報、湿度情報)を無線通信媒体(電波)を利用し、アンテナ6を介して外部に出力(送信)する。すなわち、本実施形態では制御部1とアンテナ6と無線通信部7が出力部に相当する。ただし、アンテナ6及び無線通信部7に代えて、通信ケーブルを介して電気信号を伝送する有線の通信インターフェース(例えば、USBインターフェース)を出力部に採用しても構わない。
【0018】
電源部8は、太陽電池80と、2次電池81と、太陽電池80の発電電力で2次電池81を充電し且つ2次電池81の放電電力と太陽電池80の発電電力を択一的に切り換えて出力する充放電部82と、充放電部82の出力電力を安定化させる定電源回路部83とを有する。定電源回路部83から制御部1及び各センサ部2〜5、無線通信部7に動作電源(例えば、電源電圧3ボルトの直流電源)が供給される。
【0019】
図2は本実施形態のセンサ装置の外観斜視図を示し、図3は簡略化した断面図を示している。筐体10は、絶縁性を有する合成樹脂材料によって扁平な略角錐台形状に形成され、その内部に制御部1、各センサ部2〜5、アンテナ6、無線通信部7、電源部8が収納される。赤外線センサ部2は、筐体10内の前方(図2,図3における下方)中央に配置され、筐体10前面の中央に開口する窓孔11を通して、赤外線アレイセンサに赤外線が照射される。また、照度センサ部3と温度センサ部4と湿度センサ部5は、プリント配線板12に実装されており、筐体10前面に開口する丸孔13を通して、照度センサ部3に外光(可視光)が照射される。さらに、筐体10の前面には太陽電池80が配設されている。なお、電源部8の充放電部82や定電源回路部83は照度センサ部3などともにプリント配線板12に実装され、無線通信部7は別のプリント配線板14に実装されている(図3参照)。また、筐体10はねじなどの適宜の固定手段を用いて壁や天井などの造営物に取り付けられる。
【0020】
ここで、本実施形態のセンサ装置は、従来技術で説明したように空調機器や照明器具などの設備を制御する制御システムなどに用いられる。例えば、センサ装置で検出領域内に人が検出されると、制御システムのコントローラが照明器具を点灯させ、人が検出されなくなるとコントローラが照明器具を消灯させる。また、センサ装置で検出される照度に応じて、コントローラが照明器具を調光して室内の明るさを適正なレベルに維持する。あるいは、センサ装置で検出される温度及び湿度に応じて、コントローラが空調機器の設定温度及び設定湿度を調整することにより、室内を快適な環境に維持しつつ省電力化を図る。
【0021】
上述のように本実施形態のセンサ装置では、それぞれが異なる物理量(赤外線量、光量、温度、湿度)を検出する複数のセンサ部2〜5が、制御部1や無線通信部7や電源部8とともに、壁や天井などの造営物に取り付けられる筐体10内に収納されている。このため、従来であれば、人感センサと照度センサと温度センサと湿度センサが個別に設置されていたのに比べ、多種類の物理量を検出可能としつつ施工作業の簡素化を図ることができる。しかも、本実施形態のセンサ装置は、各センサ部2〜5の検出結果を無線信号によって外部に出力(送信)しているので、有線信号で出力する場合と比較して配線の施工作業が不要になるという利点がある。
【0022】
なお、本実施形態では電源部8が太陽電池80と2次電池81と充放電部82を有しているが、これらの代わりにプラグ付きの電源コードを設け、電源コードを介して商用電源から供給される交流を定電源回路部83で直流に変換して動作電源を作成しても構わない。ただし、電源部8が太陽電池80と2次電池81と充放電部82を有する場合、電源コードを介して商用電源から給電される場合と比較して配線の施工作業が不要になるという利点がある。
【0023】
(実施形態2)
近年、快適性を表す指数として、PMV(Predicted Mean Vote)と呼ばれる温熱体感指標が用いられている。このPMV値を計算することによって、温度環境に関する6要素(空気温度、相対湿度、放射温度、気流速度、代謝量、着衣量)の組み合わせに対する快適度を求めることができる。
【0024】
そこで本実施形態のセンサ装置では、PMV値の算出に必要となる気流速度を検出するために、検出領域における空気の流れ(流速)を検出する流速センサ部9を備えている。さらに、室内の空気の汚れ具合を示す指標として二酸化炭素濃度が用いられていることに鑑み、本実施形態のセンサ装置は、検出領域における二酸化炭素濃度を検出するガスセンサ部20を備えている。なお、流速センサ部9及びガスセンサ部20を備えている点を除けば、本実施形態のセンサ装置は実施形態1のセンサ装置と共通の構成を有しているので、共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0025】
流速センサ部9は、例えば、ヒータと、ヒータを挟んで対向する位置に配置されたサーモパイルとを有している。つまり、空気の流れがない状態では、ヒータを中心とした温度分布が対称となり、空気が流れている状態では、風上側の温度が低下するとともに風下側の温度が上昇して温度の平衡状態が崩れる。このような温度差をサーモパイルの熱起電力差として検出することにより、質量流量に応じた流速を計測することができる。ただし、流速の検出方式には様々な方式が実用化されており、本実施形態における流速センサ部9の検出方式は一例であって、これ以外の検出方式であっても構わない。
【0026】
ガスセンサ部20は、例えば、二酸化炭素分子が吸収する波長に合わせた赤外線を電気信号に変換することにより、検出領域における二酸化炭素濃度を検出するものである。ただし、二酸化炭素濃度の検出方式は一例であって、これ以外の検出方式であっても構わない。なお、流速センサ部9及びガスセンサ部20の検出結果も制御部1に出力され、制御部1から無線通信部7を介して外部(例えば、制御システムのコントローラ)に出力(送信)される。
【0027】
本実施形態のセンサ装置も実施形態1と同様に、多種類の物理量を検出可能としつつ施工作業の簡素化を図ることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 制御部(出力部)
2 赤外線センサ部
3 照度センサ部
4 温度センサ部
5 湿度センサ部
6 アンテナ(出力部)
7 無線通信部(出力部)
8 電源部
10 筐体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが異なる物理量を検出する複数のセンサ部と、当該複数のセンサ部の検出出力を電気信号に変換して外部に出力する出力部と、前記複数のセンサ部及び前記出力部に動作電源を供給する電源部と、壁や天井などの造営物に取り付けられて前記複数のセンサ部、前記出力部、前記電源部が収納される筐体とを備えることを特徴とするセンサ装置。
【請求項2】
検出領域の赤外線量を検出する赤外線センサ部、前記検出領域における照度を検出する照度センサ部、前記検出領域における雰囲気温度を検出する温度センサ部、前記検出領域における湿度を検出する湿度センサ部、前記検出領域における空気の流れを検出する流速センサ部、前記検出領域における二酸化炭素の濃度を検出するガスセンサ部のうちの少なくとも2つ以上のセンサ部を備えることを特徴とする請求項1記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記赤外線センサ部と、前記照度センサ部と、前記温度センサ部と、前記湿度センサ部とを備えることを特徴とする請求項2記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記電源部は、太陽電池と、当該太陽電池の発電電力で充電される2次電池とを有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記出力部は、電波などの無線通信媒体を利用して前記電気信号を外部に出力することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のセンサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−215403(P2012−215403A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79279(P2011−79279)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】