説明

センサ装置

【課題】検出コイル及び制御基板を水や油、異物等から保護可能なセンサ装置を提供する。
【解決手段】上面に長孔121aが形成されたセンサ収納部11A及び前面が開口した基板収納部11Bが挿通孔113cを有する内壁113によって隔てられる中空箱型のケース1と、前後方向に巻回される検出コイル21を有してセンサ収納部11Aに配設されるコイルブロック2と、筒状に形成されてコイルブロック2が挿通し、前端が挿通孔113c周縁に気密接合されるコイルホルダー3と、導電性材料から筒状に形成されてコイルホルダー3が挿通するスライドパイプ41を有し、検知対象物の変位に応じて前後方向へ移動自在に配置されるスライダー本体4と、基板収納部11Bに配設されて検出コイル21と接続され、検出コイル21のインダクタンス変化に基づく信号を出力する制御基板5と、基板収納部11Bの開口に覆設されて密閉する蓋部材13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、直線的に変位する検知対象物(例えば、自動車のマニュアルバルブ等)の変位量や位置などを検出するセンサ装置として種々のものが提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記センサ装置の一例としては、ケースと、ケース内に移動自在に配設される円筒状のスライダーと、スライダーの移動に伴ってこのスライダー内への挿入量が変化する検出コイルと、検出コイルと電気的に接続される制御基板とを備えたものが提供されている。
【0004】
上記センサ装置では、ケースの一面に長孔が形成され、当該長孔を挿通した検知対象物がスライダーに接続される。そして、検知対象物が、長孔の長手方向へ移動することに伴ってスライダーも長孔の長手方向へ移動し、当該スライダーの移動によって当該スライダーに対する検出コイルの挿入量が変化する。その際、検出コイルのインダクタンスが変化し、当該インダクタンス変化に基づいて制御基板が前記検知対象物についての位置検出信号を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−278720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記センサ装置では、ケースの長孔から当該ケース内へ水や油等が侵入した場合、検出コイルが腐食したり、制御基板が短絡したりする虞があった。また、ケース内に異物が混入することで、当該異物が検出コイルに接触する等して当該検出コイルが傷ついたり、断線したりする虞があった。
【0007】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、検出コイル及び制御基板を水や油、異物等から保護可能なセンサ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明のセンサ装置は、挿通孔を有する内壁によって隔てられるセンサ収納部及び基板収納部を有し、このセンサ収納部の一面に長孔が形成され、前記基板収納部のいずれか一面が開口した中空箱型のケースと、前記長孔の長径方向に沿って巻回される検出コイルを有して前記センサ収納部に配設されるコイルブロックと、一端が開口した筒状に形成されてその内径部を前記コイルブロックが軸方向へ挿通し、一端が前記内壁における挿通孔の周縁部に気密接合されるコイルホルダーと、導電性材料から筒状に形成されてその内径部を前記コイルホルダーが軸方向へ挿通するスライドパイプを有し、検知対象物の変位に応じて軸方向へ移動自在に配置されるスライダー本体と、前記基板収納部に配設されて前記検出コイルと電気的に接続され、前記検出コイルのインダクタンス変化に基づく信号を出力する制御基板と、前記基板収納部の開口に覆設されてこの基板収納部を密閉する蓋部材とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、このセンサ装置において、前記スライダー本体は、軸方向が同一である複数のスライドパイプを有し、前記制御基板は、前記複数のスライドパイプの内径部を各々挿通する複数の検出コイルの内、少なくともいずれか一つの検出コイルのインダクタンス変化に基づいて前記位置検出信号を出力することが好ましい。
【0010】
また、このセンサ装置において、前記コイルブロックは、前記検出コイルと、略筒状に形成されて外周面に前記検出コイルが巻回するコイルボビンとを備え、前記コイルボビンと前記コイルホルダーとは、一端にそれぞれ鍔部が形成され、いずれか一方の鍔部には複数のボスが立設されていずれか他方の鍔部には前記複数のボスが各々嵌まり込む複数のボス孔が形成されることが好ましい。
【0011】
また、このセンサ装置において、前記コイルブロックは、前記検出コイルと、略筒状に形成されて外周面に前記検出コイルが巻回するコイルボビンとを備え、前記コイルボビンと前記コイルホルダーとは、一端に外周側へ突出する鍔部がそれぞれ形成され、前記コイルホルダーの鍔部には、前記コイルボビンの鍔部が嵌まり込む凹部が形成されることが好ましい。
【0012】
また、このセンサ装置において、前記スライドパイプの内周面と前記コイルホルダーの外周面との間の寸法は、予め決められた所定の範囲内に設定されることが好ましい。
【0013】
また、このセンサ装置において、前記ケースの内面及び前記スライダー本体の外周面の内、いずれか一方には、前記スライダー本体の移動方向に沿ったスライド溝が形成され、いずれか他方には、このスライダー本体の移動方向に沿って形成されて前記スライド溝に挿し込まれるスライドリブが形成され、前記スライド溝と前記スライドリブとは、前記スライダー本体の移動方向において互いに摺動可能であることが好ましい。
【0014】
また、このセンサ装置において、前記ケースは、一面が開口した中空箱型に形成されるケース本体と、このケース本体の一面に覆設されるケースカバーとで構成され、前記コイルホルダーは、他端面に嵌合突部が形成され、前記ケース本体内には、前記嵌合突部が嵌まり込む被嵌合部が形成され、前記ケースカバーは、前記ケース本体の開口に覆設された際に前記コイルホルダーの他端部をケース本体の他面側へ押圧することが好ましい。
【0015】
また、このセンサ装置において、前記コイルブロックは、前記コイルホルダーの内底面と対向する面に嵌合突起が形成され、前記コイルホルダーの内面には、前記嵌合突起が嵌まり込む被嵌合部が形成されることが好ましい。
【0016】
また、このセンサ装置において、前記コイルボビンは、前記検出コイルが巻回する円筒状の巻線部と、前記巻線部の一端に接続される基部と、前記基部に設けられて前記検出コイルの端部が接続されるコイル端子と、前記嵌合突部が形成されて巻線部の他端に接続される嵌合部とから構成されることが好ましい。
【0017】
また、このセンサ装置において、前記コイルホルダーは、その一端に前記内壁における挿通孔の周縁部に対向する鍔部が形成され、当該鍔部にはこの鍔部を外周側の環状の第一の面と内周側の環状の第二の面とに2分して前記内壁側へ突出する環状の突壁が形成され、前記内壁には、前記突壁の突出寸法よりも長い深さ寸法を有して、前記突壁が嵌合する環状の溝部が形成され、前記第一の面及び第二の面のいずれか一方と前記内壁とは、シール材により接合され、前記第一の面及び第二の面のいずれか他方と前記内壁とは溶着されることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、検出コイル及び制御基板を水や油、異物等から保護可能なセンサ装置を提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態1におけるセンサ装置の分解斜視図を示す。
【図2】同上におけるセンサ装置の斜視図を示す。
【図3】同上におけるセンサ装置の断面図を示す。
【図4】同上におけるセンサ装置の下面図を示す。
【図5】同上におけるセンサ装置の断面図を示す。
【図6】本発明の実施形態2におけるセンサ装置の分解斜視図を示す。
【図7】同上におけるセンサ装置の要部拡大図を示す。
【図8】同上におけるセンサ装置の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
(実施形態1)
本実施形態のセンサ装置について図1〜5を用いて説明を行う。本実施形態におけるセンサ装置は、図1,2に示すように、コイルブロック2と、コイルホルダー3と、スライダー本体4と、制御基板5と、これらを収納するためのケース1とを備えている。なお、以下、図1における上下左右を基準として上下左右方向と直交する方向を前後方向として説明を行う。
【0022】
ケース1は、上面が開口した中空箱型のセンサ収納部11A及び前面が開口した中空箱型の基板収納部11Bからなるケース本体11と、センサ収納部11Aの開口に覆設されるケースカバー12と、基板収納部11Bの開口に覆設される蓋部材13とを備える。
【0023】
センサ収納部11Aは、上下左右方向における断面が略円弧状の底板部111と、底板部111の左右両端から上方向へ各々延設される一対の側壁部112と、底板部111の後端から上方へ延設されて側壁部112と一体に形成される側壁部116とからなる。つまり、センサ収納部11Aは、底板部111、側壁部112、113とから前後方向に長い断面略U字状に形成される。
【0024】
底板部111は、図3に示すように、上端に左右方向へ突出する鍔部111aが形成されており、当該鍔部111aの先端から上方向へ側壁部112が延設されている。また、底板部111には、図4に示すように、外面(下面)側の頂部に前後方向に長い補強リブ111bが形成され、更に、当該外面に沿うと共に補強リブ111bと直行する円弧状の補強リブ111cが前後方向に複数並設されている。加えて、底面部111には、図1に示すように、その内面の後端に当該内面に沿う略扇型の一対のリブ111dが形成されており、当該一対のリブ111d間にコイルホルダー3の後端を支持固定するための嵌合溝(被嵌合部)111eが形成される。
【0025】
また、側壁部112からは、前後方向に所定の間隔を空けて一対の突片112aが突設されており、各突片112aには、上下方向に挿通する挿通孔112bが形成されている。そして、図示しないねじが、挿通孔112bを挿通して図示しない取り付け部に形成されるねじ孔に嵌め合わされることで、センサ装置が取り付け部にねじ留め固定される。
【0026】
基板収納部11Bは、前面が開口した略矩形箱型に形成され、その後面113がセンサ収納部11Aの前面を兼ねている。つまり、センサ収納部11A内と基板収納部11B内とは、基板収納部11Bの後面(内壁)113によって隔てられている。
【0027】
また、基板収納部11Bの下面には、矩形箱状のコネクタ接続部114が一体に設けられており、このコネクタ接続部114の下面には、図示しないコネクタが差込接続する接続凹部114aが形成されている。
【0028】
また、コネクタ接続部114の内部には、複数(本実施形態では3本)のL字状のコネクタ端子6が並設され、その一端側がコネクタ接続部114における接続口114a内に突出し。更に、各コネクタ端子6の他端側が、基板収納部11B内に突出する。なお、これらのコネクタ端子6は、コネクタ接続部114とともにケース本体11と同時成形される。
【0029】
ケースカバー12は、図3に示すように、矩形平板状の天板121と、天板121の下面に並設される一対の突壁122と、一対の突壁間に並設される一対の補強リブ123と、天板121の下面後端側に形成される押さえ部124とから構成される。
【0030】
天板121は、前後方向に長い矩形平板状に形成され、その略中央に前後方向に長い長孔121aが形成されている。
【0031】
一対の突壁122は、前後方向に長い矩形板状に形成され、天板121の下面に左右方向に並設される。また、一対の補強リブは、一対の突壁122間において、天板121の下面に左右方向に並設される。また、押さえ部124は、略矩形板状に形成されて下端に図示しない半円状の切り欠き部が形成されている。
【0032】
そして、図3に示すように、突壁122は、ケースカバー12がセンサ収納部11Aの上面に覆設される際、その外面が側壁部112の内面に対向し、突壁122の先端がセンサ収納部11Aにおける鍔部111aの上面に隙間を空けて対向する。つまり、突壁122の先端面と鍔部111aの上面とを側壁とし、側壁部112を底面とするスライド溝115が形成される。
【0033】
蓋部材13は、略矩形平板状のベース板131と、ベース板131の周縁より当該ベース板131に対して略垂直に延設される周壁132とから一面(後面)が開口した中空箱型に形成される。そして、蓋部材13は、基板収納部11Bの開口に覆設されて当該基板収納部11Bの開口周縁に形成される段部11fに周壁132が嵌合して組みつけられる。
【0034】
コイルブロック2は、略円柱体からなる合成樹脂製のコイルボビン20と、コイルボビン20の外周面を前後方向に巻回する検出コイル21とから構成される。
【0035】
コイルボビン20は、巻線部201と、巻線部201の前端に形成される直方体状の基部202と、巻線部201の後端に形成される嵌合部203と、検出コイル21の端部が接続されるコイル端子204とから構成される。
【0036】
巻線部201は、円柱状に形成されてその外周面に検出コイル21が巻回する。ここで、巻線部201は、この巻線部201単体で形成された後に他の部品(基部2020等)が組み付けられることから、上記他の部品と共に一体成型される場合に比べて寸法精度が高いものとなっている。
【0037】
基部202は、略直方体状に形成され、その後面に巻線部201の前端がレーザー溶着等により接続される。また、基部202には、一対の略L字状のコイル端子204が同時成型によって一体に設けられており、コイル端子204の一端が、基部202の上面から突出して検出コイル204の端部が半田接続され、他端が基部202の前面から突出する。また、基部202の左右両側面からは、前後方向に挿通するボス孔202bが形成された略矩形板状の鍔部202aがそれぞれ形成されている。
【0038】
嵌合部203は、略円柱状に形成され、その後端部に、上下左右方向における断面が略D型の切り欠き部(Dカット部)203aが一対形成され、当該一対のDカット部203a間に、上下左右方向における断面が略小判型の嵌合突起203bが形成される。
【0039】
コイルホルダー3は、例えば合成樹脂等により略円筒状に形成されており、前端が開口する円筒部31と、当該円筒部の開口周縁から円周方向へ突出する鍔部32と、円筒部31の後端に形成される嵌合突部33とから構成される。
【0040】
円筒部31は、前後方向の長さがコイルボビン20における巻線部201の長さの、例えば約2倍に形成され、図5に示すように、後端側の内周面に隙間31bをあけて互いに対向する一対の略矩形板状のリブ31aが立設される。
【0041】
また、図1に示すように、コイルホルダー3の鍔部32は、円環状に形成されてその前面に一対の略円柱状のボス32aが突設されている。
【0042】
続いて、嵌合突部33は、その後端に、上下左右方向における断面が略D型の切り欠き部(Dカット部)33aが形成され、当該一対のDカット部33a間に、上下左右方向における断面が略小判型の嵌合突起33bが形成される。
【0043】
そして、円筒部31内にコイルブロック2が挿し込まれ、コイルブロック2の嵌合突起203bが円筒部31内における一対のリブ31a間に挿し込まれて当該一対のリブ31aと嵌合する。つまり、一対のリブ31a間に形成される隙間(被嵌合部)31bに、嵌合突起203bが嵌まり込むことで、コイルブロック2の後端がコイルホルダー3に支持固定されている。更に、コイルホルダー3の一対のボス32aが、コイルブロック2のボス孔202bに嵌まり込んでボス32aとボス孔202bとが嵌合することで、コイルブロック2の前端がコイルホルダー3に精度よく位置決め固定される。
【0044】
このように、コイルブロック2は、その前後両端がコイルホルダー3に支持固定されていることから、コイルブロック2における検出コイル21とコイルホルダー3との位置ずれが防止され、検出コイル21とコイルホルダー3との位置関係が安定する。
【0045】
スライダー本体4は、例えばアルミニウム等の導電性材料から筒状に形成されるスライドパイプ41と、樹脂材料から略筒状に形成されてスライドパイプ41が内径部を挿通し、当該スライドパイプと一体に形成されるスライドガイド42とから構成される。
【0046】
スライドパイプ41は、前後方向における長さがコイルホルダー3における円筒部31の長さの約半分に形成されている。
【0047】
スライドガイド42は、上下左右方向における断面において、内周が円形で外周が略矩形状に形成されている。そして、スライドガイド42は、その左右両側面に前後方向に長い略直方体状のスライドリブ42aが各々突設されている。また、スライドガイド42における上面の略中央には、ケースカバー12の長孔121aを挿通してケース1外に突出し、図示しない検知対象物(例えば、マニュアルバルブ)と接続される略円柱状の接続突起42bが形成されている。
【0048】
そして、コイルホルダー3が、基板収納部11Bの後面(内壁)113に形成される挿通孔113cを、基板収納部11B側から挿通し、更に、スライダー本体4におけるスライドパイプ41の内径部を挿通する。そして、コイルホルダー3は、基板収納部11B内において、鍔部32が挿通孔113cの周縁にレーザー溶着等によって気密接合される。これにより、コイルホルダー3の前端が内壁113に固定される。
【0049】
更に、センサ収納部11A内においてコイルホルダー3における嵌合突起33bの下端側が、センサ収納部11Aにおける嵌合溝111eに嵌まり込む。そして、センサ収納部11Aにケースカバー12が覆設された際に、ケースカバー12における押さえ部124の切り欠き部が、嵌合突起33bの上端側に嵌まり込んで当該嵌合突起33bを下方へ押圧する。これにより、コイルホルダー3の後端側が、センサ収納部11A内に支持固定される。
つまり、ケース1とコイルコイルホルダー3との間に、当該ケース1とコイルホルダー3以外の別部材を用いて、ケース1とコイルホルダー3とを固定する必要がない。従って、コイルホルダー3の設置位置のばらつきを抑制できると共に、構造を簡略化できる。
【0050】
ここで、スライドパイプ41の内周面とコイルホルダー3の外周面との間の寸法は、予め決められた所定の範囲内に設定される。具体的に説明すると、上記寸法は、周囲温度の変化によって、コイルホルダー3の円筒部31及びスライドパイプ41が、膨張または収縮したとしても、円筒部31の外面とスライドパイプ41の内周面とが接触することがない寸法に設定される。これにより、周囲温度の変化によって、スライドパイプ41が摺動不可能(ロック状態)となることを防止できる。
【0051】
また、スライドガイド42は、スライドリブ42aがケース1のスライド溝115に嵌まり込み、スライドパイプ41の前後方向への摺動に伴って、リブ42aがスライド溝115内を前後方向に摺動する。つまり、スライドリブ42aとスライド溝115とは、スライダー本体4が摺動する際のガイド手段として働いている。これにより、スライダー本体4は、スムーズに摺動することができ、摺動時にスライドパイプ41へ負荷がかかることを低減できる。
【0052】
また、スライド溝115の前後両端には、スライダー本体4が前後に移動した際、スライドパイプ41の端部がセンサ収納部11Aの内面に衝突するよりも前に、スライドリブ42aが接触するストッパー111fが形成されている。ストッパー111fは、立方体状に形成されて鍔部111aの前後両端に各々配設されている。これにより、スライダー本体4の可動範囲の端部において、当該スライダー本体4に対して前後方向に過度な力が加えられたとしても、この力はスライドガイド42で受け、スライドパイプ41に過度な力が加わることを抑制できる。従って、スライドパイプ41の変形や破損を防止することができる。
【0053】
また、スライドパイプ41が可動範囲における後端に位置する際、スライドパイプ41の内径部に対する検出コイル21の挿入量は0となる。そして、スライドパイプ41が、前方側へ移動するに従って上記挿入量が徐々に増加し、挿入量に比例して検出コイル21のインダクタンスが増加する。次に、スライドパイプ41が可動範囲における前端まで移動した時に、上記挿入量が最大となって、上記インダクタンスも最大となる。
【0054】
制御基板5は、略矩形板状のプリント基板50からなり、基板収納部11Bに収納される。ここで、基板収納部11Bにおける後面(内壁)113の4隅にはリブ113aが形成されており、当該リブ113aの前面からは略円柱状の位置決め片113bが立設されている。そして、制御基板5は、その4隅近傍に挿通孔53がそれぞれ形成されており、各挿通孔53に位置決め片113がそれぞれ挿通することで位置決めがなされる。そして、制御基板5には、上述の各コネクタ端子6に対応する部位にそれぞれスルーホール51が貫設され、コネクタ端子6の他端がスルーホール51を挿通した状態で当該コネクタ端子6と半田接続される
また、制御基板5には、コイル端子204に対応する部位にそれぞれスルーホール52が貫設され、コイル端子204がスルーホール52を挿通した状態で当該コイル端子204と半田接続される。
【0055】
さらに、プリント基板50には、信号処理用ICなどの図示しない電子部品も実装されている。この信号処理用ICは、コイル端子204を介して入力される検出コイル21のインダクタンス変化に基づいて上記の検知対象物の変位に比例した位置信号を作成し、作成した位置信号をコネクタ端子6を介して図示しない外部機器へ出力する。
【0056】
次に、本センサ装置の動作について説明する。スライダー本体4における接続突起42bに接続されるマニュアルバルブ等の検知対象物が、前後方向に移動すると、検知対象物の移動に連動してスライダー本体4が前後方向に移動する。このとき、スライドパイプ41に対する検出コイル21の挿入量が変化し、その結果検出コイル21のインダクタンスが変化する。そして、制御基板5は、コイル端子204を介して上記インダクタンス変化を検出し、検出したインダクタンス変化に基づいて検知対象物の変位量に比例した電圧信号を作成する。続いて、制御基板5は、コネクタ端子6を介して上記電圧信号を例えば、ECU(エンジンコントロールユニット)等の外部機器にアナログ出力する。ここで、上記電圧信号は、アナログ信号であることから、外部機器は上記位置信号に基づいて緻密な制御を行うことができる。
【0057】
上記構成からなる本実施形態のセンサ装置では、制御基板5が収納される基板収納部11Bが、内壁113によってセンサ収納部11Aと仕切られ、内壁113に形成された挿通孔113cの周縁部にコイルホルダー3の鍔部32が気密接合されている。ここで、コイルホルダー3は、鍔部32が形成されている前端のみが開放した円筒状であるため、当該コイルホルダー3の鍔部32が、内壁113における挿通孔113cの周縁部に気密接続されることで、基板収納部11Bはセンサ収納部11Aから隔離される。また、基板収納部11Bは、その開口に蓋部材13が覆設されることでケース1の外部空間から隔離される。以上により、基板収納部11Bは、センサ収納部11A及びケース1の外部空間から隔離されて気密状態が確保される。
【0058】
また、コイルホルダー3の内径部は、気密状態となっている基板収納部11Bと連通し、センサ収納部11Aとは隔離されていることから、コイルホルダー3内に収納されたコイルブロック2もセンサ収納部11A、及びケース1の外部空間から隔離される。
【0059】
従って、本実施形態のセンサ装置は、長孔121aを介してセンサ収納部11A内に水や油等の異物が侵入したとしても、当該異物が検出コイル21や制御基板5に接触することがなく、検出コイル21の腐食や制御基板5の短絡を防止することができる。また、長孔121aを介してセンサ収納部11A内に異物(例えば、石等)が侵入したとしても、当該異物が検出コイル21や基板5に接触することがないため、検出コイル21及び制御基板5の破損を防止することができる。
【0060】
また、本実施形態のセンサ装置は、検出コイル21とスライドパイプ41とのギャップが、検出精度に大きな影響を与える。ここで、上記記載の通り、コイルブロック2は、スライドパイプ41が摺動するコイルホルダー3に、ボス32aとボス孔202bとからなるボス構造によって精度よく位置決め固定されている。そのため、組み立て時における製造ばらつきを抑制でき、スライドパイプ41と検出コイル21とのギャップが安定する。従って、センサ装置ごとの検出精度のばらつきを抑制することができる。
【0061】
更に、コイルブロック2は、後端に形成される嵌合突起203bがコイルホルダー3内の被嵌合部31bに嵌合することから、コイルホルダー3に対してより安定し固定されるため、上記検出精度のばらつきをより抑制することができる。
【0062】
また、スライドリブ42aとスライド溝115とからなるガイド手段によって、スライダー本体4は、ケース1に対してスムーズに摺動することができる。そのため、スライダー本体4の摺動時に、当該スライダー本体4からコイルホルダー3へ負荷がかかることを低減できる。従って、基板収納部11Bを密閉するコイルホルダー3の破損や変形を防止でき、基板収納部11Bの密閉状態を安定して保つことができる。
【0063】
(実施形態2)
本実施形態のセンサ装置について図6,7を用いて説明を行う。本実施形態のセンサ装置は、コイルブロック2とスライドパイプ41とをそれぞれ2つずつ備える点が実施形態1のセンサ装置と大きく異なる点である。なお、以下、図6における上下左右を基準とし、上下左右方向と直交する方向を前後方向として説明を行う。
【0064】
本実施形態のセンサ装置は、図6に示すように、2組のコイルブロック2と、2組のコイルホルダー3と、スライダー本体4と、制御基板5と、これらを収納するためのケース1とを備えている。
【0065】
ケース1は、上面が開口した中空箱型のセンサ収納部14A及び前面が開口した矩形箱型の基板収納部14Bからなるケース本体14と、センサ収納部14Aの開口に覆設されるケースカバー15と、基板収納部14Bの開口に覆設される蓋部材16とを備える。
【0066】
センサ収納部14Aは、上面が開口した略矩形箱型に形成され、底面の略中央には前後方向に長い長孔141が形成され、当該長孔141の左右両縁部からは当該縁部に沿って前後方向に長い一対のガイドリブ142が上方へ向けて各々立設されている。また、長孔141の長手方向における両端(前後両端)には、ガイドリブ142よりも高さ(突出量)の大きい略矩形枠状のストッパーリブ143が各々立設されている。
【0067】
加えて、センサ収納部14Aにおける底面の後端には、ストッパーリブ143の左右両隣に一対の被嵌合部144が形成されている。被嵌合部144は、上下左右方向における断面が略U字状に形成されている。
【0068】
また、センサ収納部14Aにおける左右側壁の外面には、前後方向に所定の間隔を空けて一対の突片112aがそれぞれ突設されており、各突片112aには、上下方向に挿通する挿通孔112bが形成されている。そして、図示しないねじが、挿通孔112bを挿通して図示しない取り付け部に形成されるねじ孔に嵌め合わされることで、センサ装置が取り付け部にねじ留め固定される。
【0069】
基板収納部14Bは、前面が開口した略矩形箱型に形成され、後面145がセンサ収納部14Aの前面を兼ねている。つまり、センサ収納部14A内と基板収納部14B内とは、基板収納部14Bの後面(内壁)145によって隔てられている。
【0070】
また、基板収納部14Bの下面には、矩形箱状のコネクタ接続部114が一体に設けられており、このコネクタ接続部114の下面には、図示しないコネクタが差込接続する接続凹部114aが形成されている。
【0071】
また、コネクタ接続部114の内部には、複数(本実施形態では4本)のL字状のコネクタ端子6が並設され、その一端側がコネクタ接続部114における接続口114a内に突出し。更に、各コネクタ端子6の他端側が、基板収納部14B内に突出する。なお、これらのコネクタ端子6は、コネクタ接続部114とともにケース本体14と同時成形される。
【0072】
ケースカバー15は、前後方向に長い略矩形平板状の天板151と、天板151の下面後方に形成される一対の押さえリブ152とから構成される。
【0073】
天板151は、その略中央に前後方向に長い長孔151aが形成されている。
【0074】
また、一対の押さえリブ152は、上下左右方向における断面が逆U字状に形成されており、ケースカバー15がセンサ収納部14Aに覆設された際に、センサ収納部14Aの被嵌合部144に対向する。
【0075】
蓋部材16は、略矩形平板状のベース板161と、ベース板161の周縁より当該ベース板161に対して略垂直に延設される周壁162とから一面(後面)が開口した中空箱型に形成される。そして、蓋部材16は、基板収納部14Bの開口に覆設されて当該基板収納部14Bの開口周縁に形成される段部14cに周壁162が嵌合して組み付けられる。
【0076】
また、センサ収納部14Aと基板収納部14Bとを仕切る基板収納部14Bの後面(内壁)145には、左右方向に一対の挿通孔14aが形成されている。そして、基板収納部14B側において、内壁145の各挿通孔14aの周囲には、当該挿通孔14aと同心となる円環状の凹部14bがそれぞれ形成される。
【0077】
コイルブロック2は、略円柱体からなる合成樹脂製のコイルボビン20と、コイルボビン20の外周面を前後方向に巻回する検出コイル21とから構成される。
【0078】
コイルボビン20は、巻線部201と、巻線部201の前端に形成される略円柱状の基部205と、巻線部201の後端に形成される嵌合部203と、検出コイル21の端部が接続されるコイル端子204とから構成される。つまり、本実施形態で用いられるコイルボビン20は、実施形態1で用いられているコイルボビン20において略直方体状基部202の代わりに略円柱状の基部205を備える点のみが異なっている。なお、その他の構成については共通であるため共通の符号を付して説明を省略する。
【0079】
基部205は、略円柱状に形成され、その前端に外周方向へ突出する円環状の鍔部206が形成されている。そして、基部205には、一対の略L字状のコイル端子204が同時成型によって一体に設けられており、コイル端子204の一端が、基部205の上面から突出して検出コイル204の端部が溶接され、他端が基部205の前面から突出する。
【0080】
コイルホルダー3は、例えば合成樹脂等により略円筒状に形成されており、前端が開口する円筒部31と、当該円筒部の開口周縁から円周方向へ突出する鍔部34と、円筒部31の後端に形成される嵌合突部33とから構成される。つまり、本実施形態で用いられるコイルホルダー3は、実施形態1で用いられているホイルホルダー3において鍔部32の代わりに鍔部34を備える点のみが異なっており、その他の構成については共通であるため共通の符号を付して説明を省略する。
【0081】
鍔部34は、円筒部31の前端から外周方向へ突出して略円環状に形成される。そして、鍔部34の前面側における内径の周縁には、当該内径と同心であってコイルボビン20の鍔部206が嵌まり込む円柱状の凹部34bが形成される。そして、コイルホルダー3の円筒部31内にコイルブロック2が挿し込まれて、コイルボビン20の鍔部206が、凹部34bに嵌まり込んで嵌合することで、コイルブロック2がコイルホルダー3に位置決め固定される。また、実施形態1で説明した通り、コイルブロック2の後端に形成された嵌合突起203bが、コイルホルダー3内に形成された被嵌合部31bに嵌まり込むことで、コイルブロック2は、コイルホルダー3に対してより安定して固定される。
【0082】
また、鍔部34の後面(内壁145と対向する面)には、図7に示すように、鍔部34の後面を外周側と内周側とに2分する円環状の突壁34aが形成される。ここで、鍔部34の後面は、突壁34aよりも内側が接着面34Aとして用いられ、突壁34aよりも外側が溶着面34Bとして用いられる。ここで、突壁34aは、その突出長さL1が、内壁145における凹部14bの深さL2よりも短く形成されている(L1<L2)。
【0083】
そして、コイルホルダー3は、円筒部31が基板収納部11B側から挿通孔14aを挿通して円筒部31がセンサ収納部14A内に突出し、円筒部31の先端に形成された嵌合突部33の下半分が、センサ収納部14Aにおける被嵌合部144に嵌め込まれる。更に、センサ収納部14Aの上面にケースカバー15が覆設された際、当該ケースカバー15の押さえリブ152が、コイルホルダー3における嵌合突部33の上半分に嵌まり込む。これにより、コイルホルダー3の後端が、センサ収納部14A内で支持固定される。
【0084】
また、コイルホルダー3における鍔部34の突壁34aが、内壁145の凹部14bに嵌まり込み、接着面34Aと内壁145とが液体ガスケット等のシール材により接着されて、更に、溶着面34Bと内壁113とがレーザー溶着等により接合される。つまり、接着面34Aと内壁113とが、シール材を用いて接着されることにより基板収納部14Bの気密性を高く保つことができ、溶着面34Bと内壁113とが溶着により接合されることで、鍔部34と内壁145との接合強度を高く保つことができる。これにより、内壁145の挿通孔14aが、コイルホルダー3によって閉塞され、センサ収納部14Aと基板収納部14Bとが隔離されて基板収納部14Bが気密される。
【0085】
ここで、突壁34aは、上記の通り、その突出長さL1が内壁145における凹部14bの深さL2よりも短く形成されていることから、突壁34aが凹部14bに嵌まり込んだ際に、突壁34aと凹部14bとの間に隙間Sが形成される。そのため、溶着面34Bを溶着する前に、接着面34Aと内壁145とを接着する場合には、接着面34Aからシール材が溢れ出したとしても、当該シール材は隙間Sに溜まる。つまり、シール材が、隙間Sに溜まることで、当該シール材が溶着面34B側へ流れ込むことを抑制でき、溶着面34Bがシール材に汚染されることを抑制できて当該溶着面34Bの溶着不良を防止することができる。
【0086】
また接着面34Aを接着するよりも前に、溶着面34Bと内壁145とを溶着する場合には、溶着面34B、または、コイルボビン20の鍔部34が溶けて、溶着面34Bの周囲に溶けた樹脂が流出する虞がある。しかしながら、溶け出た樹脂は、隙間Sに溜まることで、接着面34Bに上記樹脂が流れ込むことを抑制でき、接着面34Aが溶け出た樹脂に汚染されることを抑制でき、接着面34Aの接着不良を防止することができる。
【0087】
スライダー本体4は、一対のスライドパイプ41と当該一対のスライドパイプ41を支持するスライドガイド43とを備える。
【0088】
スライドガイド43は、例えば合成樹脂成形品であって、矩形箱型の本体部431と、本体部431の左右両端に当該本体部431とそれぞれ一体に設けられる略筒状の保持体432とから構成される。そして、各保持体432の内径部にスライドパイプ41がそれぞれ前後方向(軸方向)に挿し込まれ、スライドパイプ41の前後方向における中間部が、保持体432の内径部と嵌合する。これにより、一対のスライドパイプ41とスライドガイド43とが一体に形成される。そして、一対のスライドパイプ41に一対のコイルホルダー3が各々挿通し、スライダー本体4は、一対のコイルホルダー3に対して摺動可能に設けられる。
【0089】
また、本体部431における中央部には、上下方向に挿通孔43aが形成されており、図8に示すように、マニュアルバルブ7等の検知対象物の一端側がこの挿通孔43aに挿し込まれ、検知対象物の前後方向への移動に伴ってスライダー本体4も前後に移動する。更に、図6に示すように、本体部431の下面には、前後方向に沿って断面矩形状の溝部43bが形成されており、当該溝部43bに一対のガイドリブ143が嵌まり込み、当該一対のガイドリブ143が溝部43bの左右側壁に摺接する。これにより、スライダー本体4は、センサ収納部14A内を前後方向にスムーズに摺動することができる。
【0090】
また、スライダー本体4は、前後方向へ移動する際、スライドパイプ41がセンサ収納部14Aの内壁に接触するよりも前に、スライドガイド43がストッパーリブ143に当接する。これにより、スライダー本体4の可動範囲の端部において、当該スライダー本体4に対して前後方向に過度な力が加えられたとしても、この力はスライドガイド43で受け、スライドパイプ41に過度な力が加わることを抑制できる。従って、スライドパイプ41の変形や破損が防止することができ、センサの検出精度の低下を防止することができる。
【0091】
制御基板5は、略矩形板状のプリント基板54からなり、基板収納部14Bに収納される。ここで、基板収納部14Bにおける後面(内壁)145の4隅にはリブ14dが形成されており、当該リブ14dの前面からは略円柱状の位置決め片14eが立設されている。そして、プリント基板54の4隅近傍に挿通孔54aがそれぞれ形成されており、各挿通孔54aに位置決め片14eがそれぞれ挿通することで位置決めがなされる。そして、制御基板5には、各コネクタ端子6に対応する部位にそれぞれスルーホール55が貫設され、コネクタ端子6の他端がスルーホール55を挿通した状態で当該コネクタ端子6と半田接続される
また、制御基板5には、コイル端子204に対応する部位にそれぞれスルーホール56が貫設され、コイル端子204がスルーホール56を挿通した状態で当該コイル端子204と半田接続される。
【0092】
ここにおいて、本実施形態のセンサ装置では、検出コイル21と導電性筒体31とで構成される、検知対象物の変位量または位置に対する検出手段を2組備えている。そして、検知対象物の移動に伴ってスライダー本体4が移動した際、制御基板5は、各検出手段の検出結果(つまり検出コイル21のインダクタンス変化)の差を算出する。そして、その差が所定の基準範囲を超えている場合には、少なくともいずれか一方の検出手段が故障していると判断し、検出手段が故障したまま使用されることを防止することができる。
【0093】
なお、本実施形態では、検出コイル21及びスライドパイプ41を各2個ずつ(すなわち、検出手段を2組)設けているが、これらの個数は本実施形態に限定されるものではなく3組以上であってもよい。また、スライドガイド43の可動範囲は、当該スライドガイド43に取着される検知対象物の移動範囲に応じて適宜設定すればよい。
【0094】
また、本実施形態では、コイルホルダー3の鍔部34の後面において、突壁34aよりも内側を接着面34Aとし、突壁34aよりも外側を溶着面34Bとしているが、実施形態はこれに限定されない。つまり、突壁34aよりも内側を溶着面34Bとし、突壁34aよりも外側を接着面34Aとしてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1 ケース
2 コイルブロック
3 コイルホルダー
4 スライダー本体
5 制御基板
11A センサ収納部
11B 基板収納部
13 蓋部材
20 コイルボビン
21 検出コイル
31b 隙間(被嵌合部)
32 鍔部
32a ボス
33 嵌合突部
33b 嵌合突起
41 スライドパイプ
111e 被嵌合部
113 内壁
113c 挿通孔
202a 鍔部
202b ボス孔
203b 嵌合突起
204 コイル端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿通孔を有する内壁によって隔てられるセンサ収納部及び基板収納部を有し、このセンサ収納部の一面に長孔が形成され、前記基板収納部のいずれか一面が開口した中空箱型のケースと、
前記長孔の長径方向に沿って巻回される検出コイルを有して前記センサ収納部に配設されるコイルブロックと、
一端が開口した筒状に形成されてその内径部を前記コイルブロックが軸方向へ挿通し、一端が前記内壁における挿通孔の周縁部に気密接合されるコイルホルダーと、
導電性材料から筒状に形成されてその内径部を前記コイルホルダーが軸方向へ挿通するスライドパイプを有し、検知対象物の変位に応じて軸方向へ移動自在に配置されるスライダー本体と、
前記基板収納部に配設されて前記検出コイルと電気的に接続され、前記検出コイルのインダクタンス変化に基づく信号を出力する制御基板と、
前記基板収納部の開口に覆設されてこの基板収納部を密閉する蓋部材とを備えることを特徴とするセンサ装置。
【請求項2】
前記スライダー本体は、軸方向が同一である複数のスライドパイプを有し、前記制御基板は、前記複数のスライドパイプの内径部を各々挿通する複数の検出コイルの内、少なくともいずれか一つの検出コイルのインダクタンス変化に基づいて前記位置検出信号を出力することを特徴とする請求項1記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記コイルブロックは、前記検出コイルと、略筒状に形成されて外周面に前記検出コイルが巻回するコイルボビンとを備え、
前記コイルボビンと前記コイルホルダーとは、一端にそれぞれ鍔部が形成され、いずれか一方の鍔部には複数のボスが立設されていずれか他方の鍔部には前記複数のボスが各々嵌まり込む複数のボス孔が形成されることを特徴とする請求項1または2記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記コイルブロックは、前記検出コイルと、略筒状に形成されて外周面に前記検出コイルが巻回するコイルボビンとを備え、
前記コイルボビンと前記コイルホルダーとは、一端に外周側へ突出する鍔部がそれぞれ形成され、前記コイルホルダーの鍔部には、前記コイルボビンの鍔部が嵌まり込む凹部が形成されることを特徴とする請求項1または2記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記スライドパイプの内周面と前記コイルホルダーの外周面との間の寸法は、予め決められた所定の範囲内に設定されることを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記ケースの内面及び前記スライダー本体の外周面の内、いずれか一方には、前記スライダー本体の移動方向に沿ったスライド溝が形成され、いずれか他方には、このスライダー本体の移動方向に沿って形成されて前記スライド溝に挿し込まれるスライドリブが形成され、前記スライド溝と前記スライドリブとは、前記スライダー本体の移動方向において互いに摺動可能であることを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記ケースは、一面が開口した中空箱型に形成されるケース本体と、このケース本体の一面に覆設されるケースカバーとで構成され、
前記コイルホルダーは、他端面に嵌合突部が形成され、前記ケース本体内には、前記嵌合突部が嵌まり込む被嵌合部が形成され、前記ケースカバーは、前記ケース本体の開口に覆設された際に前記コイルホルダーの他端部をケース本体の他面側へ押圧することを特徴とする請求項1乃至6いずれか記載のセンサ装置。
【請求項8】
前記コイルブロックは、前記コイルホルダーの内底面と対向する面に嵌合突起が形成され、前記コイルホルダーの内面には、前記嵌合突起が嵌まり込む被嵌合部が形成されることを特徴とする請求項1乃至7いずれか記載のセンサ装置。
【請求項9】
前記コイルボビンは、前記検出コイルが巻回する円筒状の巻線部と、前記巻線部の一端に接続される基部と、前記基部に設けられて前記検出コイルの端部が接続されるコイル端子と、前記嵌合突起が形成されて巻線部の他端に接続される嵌合部とから構成されることを特徴とする請求項8記載のセンサ装置。
【請求項10】
前記コイルホルダーは、その一端に前記内壁における挿通孔の周縁部に対向する鍔部が形成され、当該鍔部にはこの鍔部を外周側の環状の第一の面と、内周側の環状の第二の面とに2分して前記内壁側へ突出する突壁が形成され、
前記内壁には、前記突壁の突出寸法よりも長い深さ寸法を有して、前記突壁が嵌合する環状の溝部が形成され、
前記第一の面及び第二の面のいずれか一方と前記内壁とは、シール材により接合され、前記第一の面及び第二の面のいずれか他方と前記内壁とは溶着されることを特徴とする請求項1乃至9いずれか記載のセンサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−8049(P2012−8049A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145355(P2010−145355)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】