説明

センサ装置

【課題】設定用のスイッチの機能を容易に識別して、必要な設定操作を間違うことなく行うことができるようにする。
【解決手段】数値および文字の表示が可能な表示部100と、それぞれ異なる種類の機能が設定された複数のスイッチSW1〜SW5が設けられたセンサ装置の各スイッチSW1〜SW5の上面に、それぞれ異なる形態のシンボルが記される。特に、表示部100に表示される数値を大きくなる方向に変化させるアップスイッチSW2と表示される数値を小さくなる方向に変化させるダウンスイッチSW3には、それぞれスイッチの機能を想起させるシンボルが記される。一方、その他のスイッチSW1,SW4,SW5には,数値を更新する機能を想起させないシンボルが記される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理量を計測したり、その計測結果に基づき物体を検出する機能を有するセンサ装置(たとえば光電センサ、変位センサ、磁気センサなど)であって、検出や計測に関わる設定操作を行うためのスイッチや、設定メニューや設定結果などを表示するための表示部とを有するセンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
処理の目的や検出対象物などに応じて動作の内容を変更できるようにした多機能型のセンサ装置として、設定用のメニューや設定結果を表示するための表示部や設定用のスイッチが設けられた構成の装置が知られている。
【0003】
たとえば、特許文献1〜3には、幅狭の本体部の上面に7セグの液晶表示器による表示部が設けられると共に、この表示部を挟んで複数の設定用のスイッチが配置された構成の光電センサが開示されている。
【0004】
具体的に、特許文献1に記載された光電センサには、出力切替ボタン、表示モードの切替ボタン、スイング式の上下調整スイッチ、動作モード選択用のスライドスイッチ、感度およびしきい値を自動設定するためのセットキースイッチの各設定スイッチが設けられている。これらのうち、上下調整スイッチは、表示部に表示された数値を大きくする機能を有するスイッチと表示された数値を小さくする機能を有するスイッチとを一体化した構成のもので、各スイッチに対応するボタン部には、同形状の三角形シンボルが記されている。一方のスイッチでは三角形の一頂点が筐体の前面側に向けられ、他方のスイッチでは三角形の一頂点が筐体の背面側に向けられ、これら三角形の向きの違いにより各スイッチの機能が表現される(特許文献1の段落0014〜0016,図1等参照)。
【0005】
特許文献2にも、特許文献1の上下調整スイッチ、セットキースイッチ、出力切替ボタン、スライドスイッチと同様の機能のスイッチが、それぞれ「アップダウンスイッチ」「セットスイッチ」、「モードスイッチ」、「チャンネルセレクタスイッチ」という名称で示されている。さらに、特許文献2に記載の光電センサには、表示上の受光量やしきい値をあらかじめ定められた値に揃える機能を有するスイッチ(「プリセットスイッチ」という名称)が設けられている(特許文献2の段落0028,0029,0046,図1,2,7等を参照)。
【0006】
特許文献3に記載された光電センサには、数値を変更するためのキーとして、筐体の前面側を指し示す矢印シンボルが記された「UPキー」と、筐体の背面側を指し示す矢印シンボルが記された「DOWNキー」とが設けられ、さらに、モード設定用の「MODEキー」、動作モードの切替用のスライドキー、出力方式を切り替えるもスライドキーなどが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−142627号公報
【特許文献2】特開2011−29940号公報
【特許文献3】特開2004−101446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1〜3に記載された光電センサでは、いずれも、表示部に表示される数値を大きくする方向に変化させる機能を有するスイッチ(以下、「アップスイッチ」という。)と、当該数値を小さくする方向に変化させる機能を有するスイッチ(以下、「ダウンスイッチ」という。)とを、筐体の前面側を指し示すシンボルと筐体の背面側を指し示すシンボルとにより表現しているが、このようなシンボルで各スイッチの機能を見分けるのは困難である。特に、この種のセンサの筐体は、設置される現場の実情に応じて様々な姿勢で設置されて、前後や左右の関係が操作マニュアルとは異なる状態になることが多いため、アップスイッチとダウンスイッチとが取り違えられて操作される可能性がある。
【0009】
特許文献1の光電センサでは、モード切替スイッチと出力切替スイッチとの形態が殆ど同じであるため、これら2つのスイッチが取り違えられるおそれもある。特許文献2の光電センサでも、セットスイッチとモードスイッチとの形態が殆ど同じであるため、同様に、スイッチの取り違えが生じる可能性がある。
【0010】
このほか、ユーザへの説明において誤解が生じたり、説明が困難になる場合もある。
たとえば、ユーザ向けのマニュアルでは、一般に、各操作スイッチを製造者が付与した名称により示しながら操作手順を説明するため、ユーザは、説明中の名称が実際のどのスイッチに相当するのかが分かりづらく、説明を把握して設定作業を完了するまでに要する労力が多大なものになる。また、電話などにより操作手順を口頭で説明する場合や、言語が異なる他国のユーザに説明をする場合にも、正しい情報を相手に伝えるのが困難である。
【0011】
本発明は上記の各問題に着目し、各種設定用のスイッチの機能を容易に識別して、必要な設定操作を間違うことなく行うことができるようにすることを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、信号処理回路が組み込まれた筐体に数値および文字の表示が可能な表示部が設けられると共に、この表示部に表示される設定用の数値を大きくなる方向に変化させる機能を有するアップスイッチと前記設定用の数値を小さくなる方向に変化させる機能を有するダウンスイッチとを含む3個以上のスイッチが、表示部の近傍に配置された構成のセンサ装置に適用される。本発明によるセンサ装置では、各スイッチに、それぞれ異なる種類の機能が設定されると共に、各スイッチの上面にそれぞれ異なる形態のシンボルが記される。また、アップスイッチには数値を大きくすることを想起させるシンボル(たとえば「+印」)が記され、ダウンスイッチには数値を小さくすることを想起させるシンボル(たとえば「−印」)が記される。その他のスイッチには数値を更新する機能を想起させないシンボルが記される。
【0013】
いずれのシンボルも、記号や幾何学図形によるシンボルのほか、絵図によるシンボルや文字を含むシンボルとして設定することもできる。
また、アップスイッチおよびダウンスイッチ以外の各スイッチには、形状によって識別できるシンボルを記すほか、形状が同一で色彩がそれぞれ異なるシンボルを記してもよい。
【0014】
上記の構成によれば、各スイッチの機能とシンボルとが一対一の関係をもって結びつけられると共に、数値パラメータの値を設定するためのスイッチとその他のスイッチとが、それぞれのシンボルにより明確に区別される。よってユーザは、各スイッチに記されたシンボルにより、操作対象のスイッチを容易に見分けることができる。
【0015】
またマニュアルを作成する場合にも、各スイッチをそれぞれに対応するシンボルで示すことにより、操作対象のスイッチや操作手順を容易に伝えることができる。口頭で説明をする場合にも、各スイッチをそれぞれの形態を表す言葉で表現することによって、同様に、操作対象のスイッチや操作手順を容易に伝えることが可能になる。
【0016】
上記センサ装置の一実施形態では、アップスイッチとダウンスイッチとを除いた各スイッチに、それぞれ形状が異なる幾何学図形が記される。このようにすれば、各スイッチを、対応する図形の一般名称により表現することができるので、口頭による説明がより容易になる。
【0017】
上記センサ装置の他の実施形態では、アップスイッチとダウンスイッチとを除いたスイッチの中に、感度の調整および検出のためのしきい値を設定するチューニング処理の実行を指示するためのスイッチが含まれる。また、チューニング処理により設定されたしきい値または感度調整に用いられた数値パラメータの値が表示部に表示されている状態下において、アップスイッチに、表示されている数値を大きくなる方向に変化させる機能が設定されると共に、ダウンスイッチに、表示されている数値を小さくなる方向に変化させる機能が設定される。
【0018】
上記の実施形態によれば、チューニング処理で設定されたしきい値や感度の調整に用いられる数値パラメータの現在値を表示部に呼び出し、アップスイッチまたはダウンスイッチの操作で数値を変更することにより、しきい値や数値パラメータを容易に更新することができる。
【0019】
上記センサ装置の他の実施形態では、アップスイッチとダウンスイッチとを除いたスイッチの中に、センサ装置の動作を定義するための設定メニューを表示部に呼び出すためのスイッチが含まれる。また、設定メニュー内の一項目が表示部に表示されている状態下において、アップスイッチに、表示中の項目との置き換えが可能な複数の項目を所定の順序で1つずつ順に表示させる機能が設定されると共に、ダウンスイッチに、表示中の項目との置き換えが可能な複数の項目をアップスイッチによる表示の順序とは逆の順序で1つずつ順に表示させる機能が設定される。
【0020】
上記の実施形態によれば、アップスイッチおよびダウンスイッチには、表示部に表示された数値を更新する機能に加えて、センサの動作を定義するための設定メニューの項目の表示を切り替える機能が設定される。アップスイッチを操作した場合とダウンスイッチを操作した場合とでは、各種項目の表示の順序が反対になるので、たとえば、一方のスイッチの操作回数が多すぎて目的の項目を逃した場合でも、速やかに他方のスイッチの操作によって、目的の項目が表示された状態まで戻すことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、各スイッチの機能がそれぞれ異なるシンボルに結びつけられて表されるので、センサ装置がどのような姿勢で配置されていても、ユーザは操作対象のスイッチを容易に識別して正しい操作を行うことができる。また、マニュアルや口頭で操作手順を説明する場合にも、各スイッチをそれぞれの形態により表現することができるので、説明が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】光ファイバ式の光電センサの外観を示す斜視図である。
【図2】図1の光電センサの上面カバーを開けた状態を示す斜視図である。
【図3】上記光電センサの操作部および表示部を含む上面を正面視した図である。
【図4】アップスイッチやダウンスイッチの操作により数値パラメータが変更される例を示す図である。
【図5】アップスイッチの操作により動作の内容が変更される例を示す図である。
【図6】操作手順の記載例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1および図2は、本発明が適用される光ファイバ式の光電センサの外観を示す。
この光電センサ1は、本体部10と本体部10の前面に取り付けられる一対の光ファイバ11,12とを具備する。光ファイバ11は投光用で、他方の光ファイバ12は受光用である。各光ファイバ11,12の先端部には、それぞれレンズなどを含むヘッド部11A,12Aが取り付けられている。なお、実際の光ファイバ11,12は、図示の状態より長くすることができる。
【0024】
各光ファイバ11,12は、それぞれ本体部10の前面の挿入口11B,12Bに挿入される。投光用の光ファイバ11の挿入口11Bの近傍には投光部が設けられ、受光用の光ファイバ12の挿入口12Bの近傍には受光部が設けられる。また、本体部10内にはCPUやメモリを含む処理回路が搭載された基板が組み込まれ、本体部10の背面からは接続用のケーブル14が引き出されている。
【0025】
上記の光電センサ1は、投光部から投光された光を受光部により受光し、この光路が遮光された状態を「物体あり」と判別する透過型のセンサとして機能するが、物体からの反射光を受光して「物体あり」と判別する反射型の光電センサとして機能させることもできる。反射型の光電センサとして使用する場合には、各光ファイバ11,12の先端に共通のヘッド部が装着され、このヘッド部が検出エリアに向けて配備される。
【0026】
受光部により生成された受光量データは、制御部(CPU)に入力され、あらかじめ登録されたしきい値との比較により入光状態であるか否かが判定されて、その判定結果が出力される。
【0027】
本体部10の上面には、表示部100や複数の押ボタンスイッチSW1〜SW5が設けられる。使用時の上面にはカバー13が被せられるが、設定の際などには、カバー13が開放されて各押ボタンスイッチSW1〜SW5の操作が可能になる。図2は、カバー13が開放された状態の本体部10の斜視図であり、図3は上面を正面視した図である。なお、カバー13は透明であるので、カバー13が装着されている場合でも、カバー13を介して表示部100の表示を確認することができる。
【0028】
図2,3を参照して上面の構成を説明する。
この実施例では、本体部10の前面寄りの位置に、押ボタンスイッチSW1が配備され、その後方に表示部100が設けられ、さらに表示部100の後方に4個の押ボタンスイッチSW2,SW3,SW4,SW5が配備されている。なお、押ボタンスイッチSW2,SW3のボタン部は一体になっているが、筐体10内のスイッチ本体(図示せず。)はそれぞれ独立している。
【0029】
表示部100には、一対の表示器101,102や5個の表示灯111〜115が設けられる。表示器101,102は、4個の7セグLEDが組み合わせられたもので、それぞれ4桁以内の数字やアルファベット文字列を表示する。制御部は、各押ボタンスイッチSW1〜SW5の操作を受け付けると、その操作内容に応じた処理を行うと共に、表示部100の表示を変更する。
【0030】
前方の押ボタンスイッチSW1は、感度の調整および検出のためのしきい値を自動設定する処理に使用される。この処理は一般に「チューニング」と呼ばれるので、以下では、スイッチSW1を「チューニングスイッチSW1」という。
表示部100の後方の一対の押ボタンスイッチSW2,SW3は、表示器101,102に表示される数値や設定メニューの表示を変更するために用いられる。押ボタンスイッチSW2には、表示された数値を大きくなる方向に変化させる機能が付与されるので、以下ではこのスイッチSW2を「アップスイッチSW2」と呼ぶ。押ボタンスイッチSW3には、表示された数値を小さくなる方向に変化させる機能が付与されるので、以下ではこのスイッチSW3を「ダウンスイッチSW3」と呼ぶ。
【0031】
押ボタンスイッチSW4は、計測処理や検出処理の各種様式(モード)を設定するために用いられる。以下では、このスイッチSW4を「モードスイッチSW4」と呼ぶ。
【0032】
押ボタンスイッチSW5は、センサ1の出力形式を切り替えるためのものである。具体的には、受光量がしきい値以上となったときに出力をオン状態にする「ライトオンモード」か、受光量がしきい値以下となったときに出力をオン状態とする「ダークオンモード」が選択される。以下、このスイッチSW5を「出力切替スイッチSW5」という。
【0033】
表示灯111は、検出処理において、センサ1からの検出信号がオン状態になったときに点灯する。表示灯112はライトオンモードが選択されているときに点灯し、表示灯113はダークオンモードが選択されているときに点灯する。
表示灯114は、表示上の受光量を自動的に調整する処理が有効に設定されている場合に点灯する。表示灯115は、チューニング処理が行われている間とチューニング終了後とに点灯する。
【0034】
図3に示すように、各スイッチSW1〜SW5の下端縁の近傍には、それぞれそのスイッチの機能を表す文字列(「TUNE」「UP」「DOWN」「MODE」「L/D」)が記されている。また、各スイッチSW1〜SW5のボタン部には、それぞれ異なる形状のシンボルが記されている。これらの文字列やシンボルは、ボタン部を成形する際の金型の形状によって形成することができる。または、エンボス加工、パターン印刷、刻印処理などの手法により形成することもできる。
【0035】
アップスイッチSW2およびダウンスイッチSW3の各ボタン部には、それぞれその機能を想起させる「+」「−」のシンボルが記されている。
チューニングスイッチSW1,モードスイッチSW4,出力切替スイッチSW5の各ボタン部には、それぞれ円(○)、四角形(□)、三角形(△)のシンボルが記されている。
【0036】
この実施例のチューニング処理では、ユーザがあらかじめ定めた手順に従ってチューニングスイッチSW1の操作を含む作業を行うと、受光量が検出に適した目標値になるように感度が調整された後に、しきい値が自動設定される。設定されたしきい値は、表示部100に表示され、その表示状態下でのアップスイッチSW2やダウンスイッチSW3の操作に応じて、しきい値を更新することができる。
【0037】
図4(A)(B)は、チューニング処理により設定されたしきい値がユーザの操作に応じて変更される場合に表示部100に生じる表示の変遷例を示す。この表示は、チューニング処理の終了直後のほか、計測中にも、標準の表示として実施される。
表示器101に表示されている数値はしきい値であり、表示器102に表示されている数値は受光量である。また図4(A)(B)ともに、上段が変更前の表示であり、下段が変更後の表示である。
【0038】
上記の表示状態下において、「+」マークが付されたアップスイッチSW2のボタン部を押すと、表示器101の数値は現在値に1を加算した値に更新される。「−」マークが付されたダウンスイッチSW3のボタン部を押すと、表示器101の数値は現在値から1を減算した値に更新される。またいずれのスイッチSW2,SW3でも、押下された状態が所定時間以上続いた場合には、表示器101の数値が早い速度で更新され続ける状態になる。
【0039】
表示器101に表示されたしきい値と表示器102に表示された受光量とを見比べたユーザは、しきい値を上げた方が良いと判断した場合には、図4(A)に示すように、アップスイッチSW2を操作して、しきい値をより大きな値に変更する。一方、しきい値を下げた方が良いと判断した場合には、ユーザは、図4(B)に示すように、ダウンスイッチSW3を操作して、しきい値をより小さな値に変更する。
【0040】
アップスイッチSW2およびダウンスイッチSW3による変更対象の数値パラメータはしきい値に限定されるものではない。たとえば、感度調整処理に用いられる受光量の目標値に関しても、スイッチSW2,SW3の操作に応じて、デフォルトの値をより高い値またはより低い値に変更することができる。また、所定時間内の受光量の変化量を計測するように設定されている場合に、その計測の対象となる時間の長さをスイッチSW2,SW3の操作により変更することもできる。
【0041】
つぎに、この実施例のセンサ1は、機能別に設けられた複数の設定項目毎にモードの設定を行うように設計されている。具体的には、計測状態においてモードスイッチSW4が所定時間以上長押しされると、複数の設定項目の中の1項目に関するサブ項目として現在設定されているモードの名称が表示部100に表示される。ここでモードスイッチSW4が短時間押されると、表示は他の設定項目の設定内容を表す状態に更新される。以下同様に、モードスイッチSW4の操作を繰り返すことにより、各設定項目の現在の設定内容が順に呼び出されて表示部100に表示される。
いずれかの設定項目の設定内容が表示されている状態においてアップスイッチSW2またはダウンスイッチSW3が操作されると、表示中の設定項目につき設定されているモードを他のモードに切り替えることができる。
【0042】
図5は、センサの検出能力に関するモード(以下、「検出モード」という。)がスイッチSW2,SW3の操作により切り替えられる場合の表示の変遷の例を示す。
この表示例では、表示器101に現在の検出モードの名称の略称が表示され、表示器102に受光量が表示される。(a)の「HS」は高速の検出処理を意味する「ハイスピード」の略であり、(b)の「Stnd」は標準的な速度の検出処理を意味する「スタンダード」の略である。また「GIGA」は処理時間および検出距離が共に長い検出モード「ギガ」の略であり、「SHS」は処理時間および検出距離が共に短い検出モード「スーパー・ハイスピード」の略である。
【0043】
モードスイッチSW4の操作に応じて検出能力に関して現在設定されている検出モードが表示され、アップスイッチSW2またはダウンスイッチSW3が操作されると、制御部は、操作に応じて検出モードを切り替えると共に、表示器101の表示も切り替える。また、切り替え後の検出モードに応じて感度が調整されて、その調整後の感度により取得された受光量が表示器102に表示される。
【0044】
図5の例では、(a)に示す「HSモード」が現在の設定状態であるものとして、アップスイッチSW2が操作される都度、(a)→(b)→(c)→(d)→(a)の順に表示が切り替えられるものとしている。ダウンスイッチSW3が操作された場合には、上記とは逆廻り、すなわち(a)→(d)→(c)→(b)→(a)の順に表示が切り替えられる。この後、モードスイッチSW2が操作されて他の設定項目への表示に移動、またはモードスイッチSW2が長押しされて計測モードに戻ると、操作の直前に表示されていたモードが確定し、以後は、その確定したモードにより動作する状態となる。
【0045】
他の設定項目に関しても同様に、その項目のサブメニューとして準備されている複数のモードの名称を、アップスイッチSW2やダウンスイッチSW3の操作に応じて順に表示することができる。また、アップスイッチSW2の操作による表示の切り替わりの順序は、ダウンスイッチSW3の操作による表示の切り替わりの順序とは逆になる。
【0046】
この実施例のアップスイッチSW2およびダウンスイッチSW3には、それぞれその機能を想起させる「+」「−」のシンボルが記されているので、本体部10がどのような姿勢で配置された場合でも、これらのスイッチSW2,SW3をそれぞれの機能と共に識別することができる。また、チューニングスイッチSW1,モードスイッチSW4,出力切替スイッチSW5には、数値を更新する機能を想起させない幾何学図形が記されているので、これらのスイッチSW1,SW4,SW5がアップスイッチSW2やダウンスイッチSW3として取り違えられるおそれもない。よって、ユーザは、表示器101の数値を所望の方向に変更するのに必要なスイッチを容易に見分けて、変更のための操作を行うことができる。
【0047】
上記のとおり、この実施例の各スイッチSW1〜SW5には、それぞれ特定の機能が割り当てられているが、そのほかに、2個以上のスイッチを組み合わせた操作によって行われる特殊な設定がいくつかある。従来は、このような特殊な設定にかかる操作手順を説明するのが困難であったが、この実施例のスイッチSW1〜SW5にはそれぞれ異なる形状のシンボルが割り当てられているので、各スイッチSW1〜SW5を、それぞれの名称ではなく、それぞれのシンボルを基づき表現することが可能になる。
【0048】
図6は、特殊な設定操作に関する操作マニュアルにおける記載の一例として、設定を初期状態に戻すための操作手順が記載された箇所を抜粋して示す。
この記載では、チューニングスイッチSW1を絵図gにより、アップスイッチSW2およびダウンスイッチSW3を絵図gにより、モードスイッチSW3を絵図gにより、モードスイッチSW4を絵図gにより、それぞれ表している。各絵図g,g,g,gは、実際のスイッチSW1〜SW5のボタン部の構成を模したものであるので、ユーザは、説明中の絵図g,g,g,gのシンボルにより、これらの絵図がどのスイッチに対応するかを容易に認識して、説明されている手順に沿って操作を進めることができる。
【0049】
またこの実施例では、幾何学図形が割り当てられたスイッチSW1,SW4,SW5について、「丸印のスイッチ」「四角印のスイッチ」「三角印のスイッチ」というように、各スイッチに付されたシンボルに基づき表現することができる。スイッチSW2,SW3についても同様に、「プラスのスイッチ」「マイナスのスイッチ」のように、それぞれに付されたシンボルに基づき表現することができる。よって、操作手順を口頭で説明する場合でも、ユーザに誤解されることなく、必要な情報を正確に伝授することができる。
【0050】
また、各スイッチSW1〜SW5には、使用言語に関わらず、容易に理解できる概念のシンボルが記されているので、いずれの国の人に対しても、図6に示したような構成のマニュアルや口頭の説明によって、各スイッチSW1〜SW5の機能や操作手順などを説明することができる。
【0051】
ただし、スイッチSW1〜SW5に割り当てられるシンボルは上記の例に限定されるものではない。たとえば、アップスイッチSW2には、「UP」を意味する文字「U」のシンボルを付し、ダウンスイッチSW3には、「DOWN」を意味する文字「D」のシンボルを付すことができる。また、スイッチSW1,SW4,SW5にも、上記実施例とは異なる幾何学図形や記号のシンボルを割り当てても良いし、数値の更新を想起させない文字のシンボルを割り当ててもよい。
【0052】
また、スイッチSW1,SW4,SW5に対しては、形状は同じで色彩が異なるシンボルを割り当て、これらのスイッチSW1,SW4,SW5を、割り当てられたシンボルの色彩により表現してもよい。
【0053】
また、上記の実施例では、各スイッチSW1〜SW5を押ボタンスイッチとしたが、これに限らず、表示部100を含めたタッチパネルを本体部10の上面に配備して、各スイッチSW1〜SW5を画像により設定してもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 光電センサ
10 本体部
100 表示部
101,102 表示器
SW1 チューニングスイッチ
SW2 アップスイッチ
SW3 ダウンスイッチ
SW4 モードスイッチ
SW5 出力切替スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号処理回路が組み込まれた筐体に数値および文字の表示が可能な表示部が設けられると共に、この表示部に表示される設定用の数値を大きくなる方向に変化させる機能を有するアップスイッチと前記設定用の数値を小さくなる方向に変化させる機能を有するダウンスイッチとを含む3個以上のスイッチが、前記表示部の近傍に配置されて成るセンサ装置であって、
各スイッチには、それぞれ異なる種類の機能が設定されると共に、各スイッチの上面にそれぞれ異なる形態のシンボルが記されており、
前記アップスイッチには数値を大きくする機能を想起させるシンボルが記され、前記ダウンスイッチには数値を小さくする機能を想起させるシンボルが記され、その他のスイッチには数値を更新する機能を想起させないシンボルが記されている、センサ装置。
【請求項2】
前記アップスイッチとダウンスイッチとを除いた各スイッチには、それぞれ形状が異なる幾何学図形が記されている、請求項1に記載されたセンサ装置。
【請求項3】
前記アップスイッチとダウンスイッチとを除いたスイッチの中に、感度の調整および検出のためのしきい値を設定するチューニング処理の実行を指示するためのスイッチが含まれており、
前記チューニング処理により設定されたしきい値または感度調整に用いられた数値パラメータの値が表示部に表示されている状態下において、前記アップスイッチに、表示されている数値を大きくなる方向に変化させる機能が設定されると共に、前記ダウンスイッチに、表示されている数値を小さくなる方向に変化させる機能が設定される、請求項1または2に記載されたセンサ装置。
【請求項4】
前記アップスイッチとダウンスイッチとを除いたスイッチの中に、センサ装置の動作を定義するための設定メニューを表示部に呼び出すためのスイッチが含まれており、
前記設定メニュー内の一項目が表示部に表示されている状態下において、前記アップスイッチに、表示中の項目との置き換えが可能な複数の項目を所定の順序で1つずつ順に表示させる機能が設定されると共に、前記ダウンスイッチに、表示中の項目との置き換えが可能な複数の項目を前記アップスイッチによる表示の順序とは逆の順序で1つずつ順に表示させる機能が設定される、請求項1〜3のいずれかに記載されたセンサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−114839(P2013−114839A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258647(P2011−258647)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】