説明

センサ装置

【課題】照明や空調の制御に関係する複数種類の物理量を検出可能としつつ施工作業の簡素化を図る。
【解決手段】本実施形態のセンサ装置では、それぞれが異なる物理量(赤外線量、光量、温度、湿度)を計測する複数のセンサ部2〜4が、制御部1や無線通信部6や電源部7、表示部8とともに、壁や天井などの造営物に取り付けられる筐体10内に収納されている。このため、従来であれば、照度センサと温湿度センサが個別に設置されていたのに比べ、多種類の物理量を計測可能としつつ施工作業の簡素化を図ることができる。しかも、本実施形態のセンサ装置は、各センサ部2〜4の計測結果を無線信号によって外部に出力(送信)しているので、有線信号で出力する場合と比較して配線の施工作業が不要になるという利点がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ装置に関し、特に複数種類の物理量を検出するセンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省電力化の観点から、温度や湿度や照度などの複数種類の物理量を検出し、それらの検出結果に応じて空調機器や照明器具などの設備を制御することが行われている。例えば、特許文献1記載のものでは、オフィス(執務室)内に照明器具や空調機器、複写機などの設備とともに、人感センサや照度センサ、温度センサ、湿度センサなどが設置され、これら各種のセンサの検出結果に基づいて各設備が制御されて省電力化が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−360925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1記載のものでは、各センサが単一の物理量しか検出しないため、検出対象の物理量の種類に応じた数のセンサが必要になるとともに、各センサの検出出力を取り出すための配線もセンサの個数に応じて必要になる。特に、照明や空調の制御のために使用される照度センサや温湿度センサなどは、オフィスに設置される確率が高い。そのため、センサの設置や配線などの施工作業に多大な労力と時間が掛かってしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、照明や空調の制御に関係する複数種類の物理量を検出可能としつつ施工作業の簡素化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のセンサ装置は、それぞれが異なる物理量を計測する複数のセンサ部と、複数の前記センサ部の計測結果を外部に出力する出力部と、複数の前記センサ部及び前記出力部に動作電源を供給する電源部と、複数の前記センサ部、前記出力部、前記電源部が収納される筐体とを備え、前記複数のセンサ部に、空調機器の制御に利用される物理量を計測する空調制御用のセンサ部と、照明装置の制御に利用される物理量を計測する照明制御用のセンサ部とが含まれることを特徴とする。
【0007】
このセンサ装置において、前記出力部は、前記計測結果を無線通信によって外部に出力することが好ましい。
【0008】
このセンサ装置において、複数の前記センサ部は、それぞれが互いに異なる計測時間間隔で物理量を計測し、前記出力部は、前記計測時間間隔が相対的に長い方の前記センサ部の計測結果を当該計測時間間隔に略等しい出力時間間隔で出力し、前記計測時間間隔が相対的に短い方の前記センサ部の計測結果に所定範囲を超える変化が生じた場合に当該計測結果を前記出力時間間隔と無関係なタイミングで出力することが好ましい。
【0009】
このセンサ装置において、前記出力部は、前記計測結果を無線通信によって外部に出力するものであって、前記無線通信のフレームフォーマットが別のセンサシステムにおける無線通信のフレームフォーマットと共通であることが好ましい。
【0010】
このセンサ装置において、前記出力部は、電波を媒体とする無線通信を行うことが好ましい。
【0011】
このセンサ装置において、前記出力部は、光を媒体とする無線通信を行うことが好ましい。
【0012】
このセンサ装置において、前記電源部から複数の前記センサ部への動作電源の供給を個別に入切する電源供給入切手段を備えることが好ましい。
【0013】
このセンサ装置において、前記複数のセンサ部に、人体の存否に応じて変化する物理量を計測する人体検出用のセンサ部が含まれることが好ましい。
【0014】
このセンサ装置において、前記電源部は電池を電源とし、前記電池の残容量が所定のしきい値以下となった場合に表示素子を周期的に点滅させる報知部を備え、前記報知部は、1周期当たりの前記表示素子の点灯時間を1周期当たりの消灯時間よりも短くすることが好ましい。
【0015】
このセンサ装置において、前記報知部は、前記出力部が前記計測結果を外部に出力可能となった場合に前記表示素子を点灯して報知することが好ましい。
【0016】
このセンサ装置において、前記報知部は、前記電池の残容量が前記しきい値以下となった場合に前記出力部から外部に報知させることが好ましい。
【0017】
このセンサ装置において、前記電源部は電池を電源とし、前記筐体内において、少なくとも複数の前記センサ部及び前記出力部と前記電池との間に配設される熱遮蔽体を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明のセンサ装置は、照明や空調の制御に関係する複数種類の物理量を検出可能としつつ施工作業の簡素化を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)は本発明に係るセンサ装置の実施形態を示す回路ブロック図、(b)はセンサ装置が用いられる空調照明制御システムのシステム構成図である。
【図2】同上の分解斜視図である。
【図3】同上のケースを半透明化した状態の斜視図である。
【図4】同上の断面図である。
【図5】同上の取付金具を取り付けた状態の斜視図である。
【図6】同上の取付金具を外した状態の斜視図である。
【図7】同上の動作説明用のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本実施形態のセンサ装置のブロック図を図1(a)に示す。このセンサ装置は、制御部1、照度センサ部2、温湿度センサ部3、放射温度センサ部4、アンテナ5、無線通信部6、電源部7、報知部8などを備える。
【0021】
照度センサ部2は、光電変換素子と、光電変換素子の出力電流(光電流)の大きさに応じた電圧信号(照度信号)を所定の時間間隔(照度計測周期)で制御部1に出力する出力回路とを有する。温湿度センサ部3は、サーミスタなどの温度検出素子を用いて雰囲気温度を計測する温度センサと、検出素子の電気抵抗又は静電容量の変化を利用して湿度を計測する湿度センサとを有するハイブリッド型のセンサICからなる。そして、温湿度センサ部3は、温度センサで計測される雰囲気温度(気温)の計測出力(温度計測信号)と、湿度センサで計測される湿度の計測出力(湿度計測信号)を所定の時間間隔(温湿度計測周期)で制御部1に出力する。
【0022】
放射温度センサ部4は、サーモパイル素子や、サーモパイル素子から出力される電気信号を信号処理して非接触で対象物の温度(放射温度)を求める信号処理回路(図示せず)などを具備する。サーモパイル素子は、対象物である熱源(例えば、人体)から放射される赤外線量を計測する。信号処理回路は、各サーモパイル素子で計測される赤外線量を温度値に変換し、その温度値に対応した電気信号(放射温度計測信号)を所定の時間間隔(放射温度計測周期)で制御部1に出力する。
【0023】
制御部1はマイクロコントローラからなり、各センサ部2〜4から出力される照度信号、温度計測信号、湿度計測信号、放射温度計測信号に基づき、照度、温度(気温)、湿度、放射温度(対象物の表面温度)の各計測結果を無線通信部6に出力する。
【0024】
無線通信部6は、制御部1から入力される各計測結果を無線通信媒体(例えば、電波)を利用し、アンテナ5を介して外部に出力(送信)する。すなわち、本実施形態では制御部1とアンテナ5と無線通信部6が出力部に相当する。ただし、無線通信媒体は電波に限定されず、例えば、赤外線などの光を無線通信媒体に利用することも可能である。
【0025】
電源部7は、乾電池や乾電池型の2次電池からなる電池70と、電池70の出力電圧を安定化させる定電源回路部71とを有し、定電源回路部71から制御部1及び各センサ部2〜4、無線通信部6、報知部8に動作電源(例えば、電源電圧3ボルトの直流電源)が供給される。
【0026】
報知部8は発光ダイオードなどの表示素子を有している。制御部1は、例えば、電池70の電圧(電池電圧)から電池70の残容量を計測しており、残容量が所定のしきい値以下になると報知部8を制御して表示素子を周期的に点滅させる。つまり、表示素子が点滅することで電池70の残容量が残り少ないことを報知部8で報知することができる。なお、本実施形態では、電池70の残容量がしきい値を超えている間は報知部8の表示素子を消灯しているので、報知部8の電力消費がない分だけ電池70の長寿命化が図れる。また、残容量がしきい値以下となったことを報知する際、1周期当たりの表示素子の点灯時間を1周期当たりの消灯時間よりも短くすれば、報知部8の電力消費を可能な限り減らして電池70の使用時間を延ばすことができる。
【0027】
図2〜図4はそれぞれセンサ装置の分解斜視図、一部透過した斜視図、断面図を示している。なお、以下の説明では図2において前後左右上下の各方向を規定する。
【0028】
筐体は、下面が開口した矩形箱状の合成樹脂成形体からなるケース10と、矩形平板状の合成樹脂成形体からなり、ケース10下面の開口を閉塞するベース板11とで構成される。ベース板11の上面中央には、2つの電池ホルダ110が左右方向に並設されている。これらの電池ホルダ110は、前後方向から電池70を挟持して保持するものであり、ベース板11に一体成形されている。なお、これら2個の電池70は、一方の電池70の負極と他方の電池70の正極が接触導通することで直列接続されている。また、ベース板11上面の四隅には、略直方体状の突部111がそれぞれ上向きに突設されている。つまり、これら4つの突部111がケース10下面側の4つの角とそれぞれ嵌め合わされることにより、ベース板11がケース10の下面側に位置決めされる(図3,図4参照)。なお、ベース板11の左右方向の両端部に円形のねじ挿通孔112がそれぞれ設けられ、ケース10の左右両側の内側面に突設されたボス106のねじ孔106Aに、ねじ挿通孔112に挿通された取付ねじが螺合することでケース10とベース板11が固定される。
【0029】
筐体内には、2個の電池70の他に、電池70を除く各部1〜8(以下、回路ブロックと呼ぶ。)が実装されたプリント配線板12と、熱遮蔽体13とが収納される。プリント配線板12は、左右方向を長手方向とする矩形平板状に形成され、下面(又は上下両面)に配線パターン(図示せず)が形成されている。プリント配線板12の上面には、右から左に向かって照度センサ部2、放射温度センサ部4、温湿度センサ部3、報知部8がそれぞれ実装されている。またプリント配線板12の下面には、制御部1、アンテナ5、無線通信部6、定電源回路部71がそれぞれ実装されている。そして、これらの各部がプリント配線板12の下面又は上下両面に形成されている配線パターンによって電気的に接続されている。なお、図示は省略しているが、一方の電池70(左側の電池70)の正極と他方の電池70(右側の電池70)の負極がそれぞれ図示しない端子板によってプリント配線板12に実装された定電源回路部71と接続される。
【0030】
熱遮蔽体13は、左右方向を長手方向とする矩形平板状の主部130と、主部130の四隅からそれぞれ上向きに突出する4本の脚部131とが、合成樹脂のように熱伝導度が相対的に低い材料で一体に形成されている。各脚部131は、湾曲した板状に形成されるとともに、上端には主部130と略平行な板状の平板部132が一体に形成されている。これら4つの平板部132と、プリント配線板12の四隅とにそれぞれ円形のねじ挿通孔133,120が設けられている。
【0031】
ケース10内側における上面の四隅及び左右方向中央における前後両端にそれぞれボス104が突設されている。そして、平板部132の下から平板部132及びプリント配線板12のねじ挿通孔133,120にそれぞれねじ(図示せず)が挿通され、これら4本のねじがケース10の各ボス104に設けられているねじ孔105に螺合することでプリント配線板12と熱遮蔽体13がケース10に固定される。なお、プリント配線板12は左右方向中央における前後両端にもねじ挿通孔120がそれぞれ設けられており、これら2つのねじ挿通孔120に挿通された2本のねじがケース10内側上面の左右方向中央における前後両端に突設されているボス104のねじ孔105に螺合する。つまり、プリント配線板12は合計6カ所でケース10にねじ止めされることになる。
【0032】
なお、ケース10の上面には、右から左に向かって、3つの窓孔100,101,102が設けられるとともに、中央の窓孔101と左端の窓孔102との間に、左右方向に並ぶ複数条のスリット103が形成されている。すなわち、各窓孔100,101及びスリット103を通して照度センサ部2、放射温度センサ部4、温湿度センサ部3がそれぞれの対象の物理量を計測することができ、また、窓孔102を通して報知部8の発する光を筐体の外に放射させることができる。
【0033】
ここで、熱遮蔽体13の機能について説明する。筐体内においては、電池70と回路ブロックとの距離が近いため、放電中の電池70から放射される熱の影響で回路ブロックの温度が上昇し、部品の寿命を短縮してしまったり、誤動作してしまう虞がある。これに対して本実施形態のセンサ装置では、電池70と回路ブロックとの間に熱遮蔽体13が配置されているので、電池70から放射される熱が回路ブロックに伝わり難くなる。その結果、熱遮蔽体13がない場合と比較して回路ブロックの温度上昇を抑制することができる。
【0034】
ところで、筐体を構成するベース板11の左端部には、外向き(左向き)に突出する略半円盤状の取付片113がベース板11と一体に形成されている。すなわち、取付片113に設けられているねじ挿通孔114に挿通される取付ねじを用いて、センサ装置の筐体を壁板や柱などの造営材にねじ止めして取り付けることができる。
【0035】
あるいは、図5に示すような取付金具14を用いれば、オフィスなどで使用されるパーティション(間仕切り)の端部などにセンサ装置を簡単に取り付け且つ取り外すことができる。取付金具14は、弾性を有する帯板状の金属板が曲げ加工されてなり、取付ベース15に固定される固定片140と、固定部140の両端縁より同じ向きに曲げ起こされた一対のばね片141とを有する。一対のばね片141は、固定片140とのなす角度が鈍角となっており、先端に近付くに従って互いの距離が短くなる。また、ばね片141の先端部分は、互いに外向き(他のばね片141から離れる向き)に湾曲するように曲げ加工されている。
【0036】
取付ベース15は、上下方向の厚み寸法がベース板11よりも大きい矩形板状の合成樹脂成形体からなり、取付ベース15の上面に突設されている係合爪(図示せず)が取付ベース15の下面に設けられている取付溝(図示せず)に係脱自在に係合して筐体(ベース板11)に取り付けられる。また、取付ベース15の長手方向両端部には、取付金具14の固定片140が嵌め込まれる凹所151がそれぞれ形成されている。そして、固定片140に設けられた取付孔140Aに挿通されたねじが、凹所151の底面に設けられているねじ孔に螺合されることで取付金具14が取付ベース15に固定され、取付ベース15を介して筐体の下面に取り付けられる。
【0037】
而して、一対のばね片141の間にパーティションの端部を差し込めば、ばね片141の弾性力でパーティションを挟持し、センサ装置をパーティションに簡単に取り付けることができる。また、センサ装置をパーティションから離れる向きに移動させれば、一対のばね片141の間からパーティションが離れるので、簡単に取り外すことができる。ただし、図6に示すように取付ベース15を介さずに一対の取付金具14がベース板11の下面に直接取り付けられるようにしても構わない。
【0038】
ここで、図1(b)は本実施形態のセンサ装置を用いて空調機器や照明装置(照明器具)を制御する制御システムのシステム構成図を示している。この制御システムは、空調機器21を制御して運転・停止の切換や風量の調節などを行う空調制御装置20、照明器具23を制御して点灯・消灯及び調光する照明制御装置22、センサ装置から無線信号で送信される計測結果を受信する無線通信装置24を有する。無線通信装置24は、信号線25を介して空調制御装置20並びに照明制御装置22と接続されており、センサ装置から受け取った計測結果を信号線25を介した通信によって空調制御装置20並びに照明制御装置22に伝送する。
【0039】
空調制御装置20は、温度及び湿度の計測結果が目標温度及び目標湿度に一致するように、あるいは放射温度の計測結果が目標範囲内に収まるように空調機器21を制御する。また、照明制御装置22は、照度の計測結果が目標とする照度範囲内に収まるように照明器具23を点滅制御及び調光制御する。
【0040】
また、無線通信装置24とセンサ装置の無線通信部6との間では、最初に互いの識別符号(無線通信用のアドレス)を交換するプロセスが実行される。そして、当該プロセスが成功した場合、報知部8の表示素子が所定時間だけ点灯(あるいは点滅)することにより、センサ装置の出力部が計測結果を外部に出力可能となったことが報知される。なお、報知部8では電池70の残容量の報知と、出力部の外部出力(無線送信)が可能となったことの報知とを一つの表示素子で行っているので、部品点数の削減によるコストダウンが図れるものである。
【0041】
上述のように本実施形態のセンサ装置では、照明や空調の制御に関係する複数種類の物理量(赤外線量、光量、温度、湿度)を計測する複数のセンサ部2〜4が、制御部1や無線通信部6や電源部7、表示部8とともに、壁や天井などの造営物に取り付けられる筐体10内に収納されている。このため、従来であれば、照度センサと温湿度センサが個別に設置されていたのに比べ、多種類の物理量を計測可能としつつ施工作業の簡素化を図ることができる。しかも、本実施形態のセンサ装置は、各センサ部2〜4の計測結果を無線信号によって外部に出力(送信)しているので、有線信号で出力する場合と比較して配線の施工作業が不要になるという利点がある。なお、人体の存否に応じて変化する物理量、例えば、人体から放射される赤外線を計測する人体検出用のセンサ部をセンサ装置に備え、当該センサ部による人体存否の検知結果に応じて空調制御装置20や照明制御装置22が制御を行うことも可能である。
【0042】
ところで、空気の温度及び湿度が変化する速さは、照明空間の明るさ(照度)が変化する速さに比べると大幅に遅い。例えば、オフィスなどの室内空間に太陽光が差し込む場合、太陽光による照度変化に比べて、太陽光による室内温度の変化は時間的に遅れて生じる。そのため、温湿度センサ部3や放射温度センサ部4が物理量(温度、湿度、放射温度)を計測する時間間隔(計測周期)は、照度センサ部2が照度を計測する時間間隔(照度計測周期)より長くて構わない。そこで本実施形態のセンサ装置では、図7(b),(c)に示すように温湿度計測周期及び放射温度計測周期(以下、空調系計測周期と呼ぶ。)T1を10秒、照度計測周期T2を1秒としている。
【0043】
一方、単位時間当たりに無線通信する回数(計測結果を含む無線信号の送信回数)が多くなるにつれて無線通信部6の電力消費が増えるので、電池70の寿命も短くなってしまう。したがって、無線通信部6の電力消費を減らして電池70の長寿命化を図るためには、無線通信部6が計測結果を送信する回数(単位時間当たりの送信回数)をできるだけ少なくすることが望ましい。
【0044】
そこで、本実施形態における出力部(制御部1)は、図7(a)に示すように空調系計測周期T1に略等しい出力時間間隔T0(=10秒)で温湿度センサ部3や放射温度センサ部4の計測結果を出力(送信)する。その一方、出力部(制御部1)は、照度センサ部2の計測値(照度)に所定範囲を超える変化が生じた場合に当該計測結果を出力時間間隔T0と無関係なタイミングで出力する(図7(a),(c)における時刻t0,t1参照)。つまり、照度を一定に保つように照明制御装置22が照明器具23を制御している場合、照度の変化が所定範囲を超えたら直ちにその変化を抑制する方向へ照明制御装置22が照明器具23を制御する必要がある。
【0045】
而して本実施形態のセンサ装置では、照度センサ部2の計測値に所定範囲を超える変化が生じていなければ、空調系計測周期T1に略等しい出力時間間隔T0で計測結果を送信するので、計測結果を送るための無線通信の回数を減らして電池70の長寿命化が図れる。
【0046】
ところで、負荷機器の消費電力を計測して計測値を無線信号で送信するセンサ子機と、無線信号を受信して取得したセンサ子機の計測値を上位の機器(例えば、パソコンなど)に転送するセンサ親機とを有するセンサシステム(電力計測システム)が既に提供されている。そこで、センサ装置の無線通信部6が使用する無線周波数や無線通信のプロトコル、無線信号のフレームフォーマットなどを電力計測システムで使用されるものと共通にすれば、センサ装置からセンサ親機を介して上位の機器に計測結果などを渡すことができる。これにより、センサ装置の用途を拡大することができる。なお、センサ装置の電池70の残容量がしきい値以下となったことを無線信号でセンサ親機に送信し、センサ親機から上位の機器に転送すれば、多数のセンサ装置の電池70の残容量を一括して管理することができる。
【0047】
ところで、本実施形態のセンサ装置は、空調制御又は照明制御の何れか一方のみに使用される場合があり、例えば、空調制御のみに使用される場合では照度センサ部2の計測が不要になる。そこで、電源部7から各センサ部2〜4への動作電源の供給を個別に入切する電源供給入切手段を設け、計測不要なセンサ部(例えば、照度センサ部2)への電源供給を切るようにすれば、不要な電力消費を減らして電池70の長寿命化を図ることができる。なお、電源供給入切手段は、例えば、電源部7から各センサ部2〜4への給電路を開閉するリレーなどで構成できる。また、ディップスイッチによって各センサ部2〜4への電源供給の入切を設定可能とし、制御部1がディップスイッチの設定状態に基づいて電源供給入切手段を制御して各センサ部2〜4への電源供給を個別に入切すればよい。
【符号の説明】
【0048】
1 制御部(出力部)
2 照度センサ部(センサ部)
3 温湿度センサ部(センサ部)
4 放射温度センサ部(センサ部)
5 アンテナ(出力部)
6 無線通信部(出力部)
10 ケース(筐体)
11 ベース板(筐体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが異なる物理量を計測する複数のセンサ部と、複数の前記センサ部の計測結果を外部に出力する出力部と、複数の前記センサ部及び前記出力部に動作電源を供給する電源部と、複数の前記センサ部、前記出力部、前記電源部が収納される筐体とを備え、前記複数のセンサ部に、空調機器の制御に利用される物理量を計測する空調制御用のセンサ部と、照明装置の制御に利用される物理量を計測する照明制御用のセンサ部とが含まれることを特徴とするセンサ装置。
【請求項2】
前記出力部は、前記計測結果を無線通信によって外部に出力することを特徴とする請求項1記載のセンサ装置。
【請求項3】
複数の前記センサ部は、それぞれが互いに異なる計測時間間隔で物理量を計測し、前記出力部は、前記計測時間間隔が相対的に長い方の前記センサ部の計測結果を当該計測時間間隔に略等しい出力時間間隔で出力し、前記計測時間間隔が相対的に短い方の前記センサ部の計測結果に所定範囲を超える変化が生じた場合に当該計測結果を前記出力時間間隔と無関係なタイミングで出力することを特徴とする請求項1又は2記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記出力部は、前記計測結果を無線通信によって外部に出力するものであって、前記無線通信のフレームフォーマットが別のセンサシステムにおける無線通信のフレームフォーマットと共通であることを特徴とする請求項3記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記出力部は、電波を媒体とする無線通信を行うことを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記出力部は、光を媒体とする無線通信を行うことを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記電源部から複数の前記センサ部への動作電源の供給を個別に入切する電源供給入切手段を備えることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のセンサ装置。
【請求項8】
前記複数のセンサ部に、人体の存否に応じて変化する物理量を計測する人体検出用のセンサ部が含まれることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のセンサ装置。
【請求項9】
前記電源部は電池を電源とし、前記電池の残容量が所定のしきい値以下となった場合に表示素子を周期的に点滅させる報知部を備え、前記報知部は、1周期当たりの前記表示素子の点灯時間を1周期当たりの消灯時間よりも短くすることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載のセンサ装置。
【請求項10】
前記報知部は、前記出力部が前記計測結果を外部に出力可能となった場合に前記表示素子を点灯して報知することを特徴とする請求項9記載のセンサ装置。
【請求項11】
前記報知部は、前記電池の残容量が前記しきい値以下となった場合に前記出力部から外部に報知させることを特徴とする請求項9又は10記載のセンサ装置。
【請求項12】
前記電源部は電池を電源とし、前記筐体内において、少なくとも複数の前記センサ部及び前記出力部と前記電池との間に配設される熱遮蔽体を備えることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載のセンサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−57452(P2013−57452A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196114(P2011−196114)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】