説明

センサ装置

【課題】対象物の検出範囲がより広いセンサ装置を提供する。
【解決手段】センサ装置1は、センサ装置1の外方向に光を照射する発光素子2及び入光レンズ3と、対象物により反射された光を集光する集光レンズとしての受光レンズ4と、受光レンズ4により集光された光を受光する受光部としてのPSD5aと、を有する。PSD5aの受光面は、凹形状に湾曲している。センサ装置1は、対象物からの反射光を、凹形状に湾曲したPSD5aの受光面により受光するため、対象物の測定範囲をより広くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ装置に関し、特に、対象物に光を照射し、対象物からの反射光を受光して該対象物を検出するセンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現金自動預け払い機(Automatic Teller Machine ; ATM)、自動受付窓口機、自動チケット発券装置、及びその他ガソリンスタンドやコンビニ等の店舗に設置され、顧客が直接操作する端末には、顧客の接近や離脱を検出する測距式センサ装置を有するものがある。このような店舗に設置された端末は、測距式センサ装置により、顧客の接近・離脱を検知して、サービスを起動し、省エネ制御を行なう。
【0003】
測距式センサ装置は、発光素子、例えば赤外線LED(Light-Emitting Diode)から光を照射し、照射した光を対象物に反射させ、反射した光を光位置センサ(Position Sensitive Detector ; PSD)により検出する。光位置センサは、光量の強さに応じた電圧レベルを発生させるため、電圧レベルにより反射光の中心を求め、対象物の距離を検出する。
【0004】
図6は、一般的な測距式センサ装置101と、対象物の位置を示す図である。測距式センサ装置101は、発光素子102と、PSD103と、受光レンズ104と、入光レンズ105とを有する。発光素子102からの光は、入光レンズ105により集光し、対象物に照射される。対象物からの反射光は、受光レンズ104により集光され、PSD103により検出される。
【0005】
ここで、対象物が設置位置106a及び106bにある場合、反射した光は受光レンズ104によりPSD103上に集光され、正常に検出される。しかし、対象物が設置位置106cにある場合、対象物で反射した光は、受光レンズ104に入射する角度が、受光レンズ104に対して浅すぎるために、PSD103上に集光されない。従って、対象物が設置位置106cにある場合は、測距式センサ装置101では、反射光を検出することができない。すなわち、対象物が測距式センサ装置101に対して一定の距離以内に近づくと、測距式センサ装置101と対象物との距離を検出できない。つまり、一般的な測距式センサ装置101では、検出範囲が狭く、一定の範囲内に対象物がある場合しか検出できない。そのため、測距式センサ装置101がATM等に設置された際、ユーザが測距式センサ装置101の近傍に手を翳すと、センサ装置は、ユーザが装置前から居なくなったものとして誤検出してしまう場合があった。
【0006】
ところで、非特許文献1には、小型デジタルレーザセンサが記載されている。非特許文献に記載の小型デジタルレーザセンサは、調節トリマを回すことにより、受光素子の角度を調整する。小型デジタルレーザセンサと、対象物とが、ある一定の範囲内にある場合を想定し、対象物と小型デジタルレーザセンサとの距離に応じて、受光素子の角度を調整する。
【0007】
また、特許文献1には、PSD測距センサを用いて、測定対象までの距離を測定する技術が記載されている。特許文献1に記載のPSD測距センサは、発光素子がPSD測距センサの内部に設けられ、受光素子と発光素子とが一体となって回転可能に構成されている。また、PSD測距センサの角度は、狙点が対象物の比較的面積の広い部位となるよう、ユーザが手動で調整する。
【0008】
なお、特許文献2には、測距光学系にかかる技術が記載されている。特許文献2に記載の技術では、受光レンズによる像位置に受光素子が位置決めされている。
【0009】
また、特許文献3には、道路に設置された撮影手段が周辺状況を撮影して、乗用車に設置された表示手段に送信する、周辺状況画像表示システムが記載されている。特許文献3に記載の技術では、撮影手段に用いられるカメラのレンズに、魚眼レンズ等の広角レンズを用い、180°に近い視野角で、複数の道路の状況を撮影する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2011−47740号公報
【特許文献2】特開平7−63551号公報
【特許文献3】特開2010−272106号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】株式会社キーエンス 小型デジタルレーザセンサ LV−Sシリーズ [online] (2011年9月3日検索)http://www.keyence.co.jp/switch/laser/lv_s/menu/302/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、非特許文献1に記載の技術では、対象物と、小型レーザセンサの距離とがある一定の範囲内にある場合を想定しているため、例えばATM等に設置された場合、ユーザとATMとの距離に応じて、小型レーザセンサの受光素子の角度を変更しなければならないという問題があった。
【0013】
また、特許文献1に記載の技術では、例えばユーザが変わるたびに、ユーザと測距式センサ装置101の距離が変わるため、測距式センサ装置101の角度を調整しなければならないという問題があった。
【0014】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、より検出範囲の広いセンサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明にかかるセンサ装置は、対象物に光を照射する照射部と、前記対象物により反射された光を集光する集光レンズと、前記集光レンズにより集光された光を受光する受光部と、を有し、前記受光部の受光面が前記集光レンズ側に凹形状に湾曲しているものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる技術によれば、対象物の検出範囲がより広いセンサ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態にかかる測距式センサ装置を示す図である。
【図2】本実施の形態にかかる測距式センサ装置の変形例を示す図である。
【図3】本実施の形態にかかる受光レンズのピント位置を示す図である。
【図4】本実施の形態にかかる受光レンズ4a及び4b、PSD5a及びPSD5cを有する測距式センサ装置を示す図である。
【図5】本実施の形態にかかる受光レンズが魚眼レンズである場合を示す図である。
【図6】一般的な測距式センサ装置と、対象物の位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。この実施の形態は、本発明を、測距式センサ装置に適用したものである。図1は、本実施の形態にかかる測距式センサ装置1aを示す図である。
【0019】
測距式センサ装置1aは、照射部としての発光素子2及び入光レンズ3と、集光レンズとしての受光レンズ4と、受光部としてのPSD5aと、を有する。なお、測距式センサ装置1aの各構成要素は、例えば、図示を省略した基板に固定される。
【0020】
発光素子2は、赤外線LEDであり、例えば図示を省略した外部の制御装置の制御に基づいて赤外線を照射する。入光レンズ3は、発光素子2における赤外線の照射方向側に設置され、発光素子2から照射された光を集光して、測距式センサ装置1aの外方向側、すなわち対象物に照射する。ここで、発光素子2は、赤外線に限らず、紫外線や可視光線を発光するものであってもよい。
【0021】
入光レンズ3により集光された光は、対象物6a乃至6cにより反射する(以下、対象物を区別する必要がない場合には、対象物6という)。
【0022】
受光レンズ4は、PSD5aに対して測距式センサ1aの外方向側に設置され、対象物6で反射した光を、PSD5aの受光面上に集光する。PSD5aは、例えばエリアセンサであり、複数の受光素子がマトリックス状に配置されている。ここで、PSD5aの受光面は、凹形状に湾曲し、略球面形状である。つまり、当該球面形状を実現するために受光素子が配置されている。PSD5aは、受光レンズ4で集光された光を受光して、受光した光量に応じた電圧を、図示を省略した外部の制御部に出力する。但し、ここでは受光面を略球面形状としたが、球面形状には限定されず、PSD5aの受光面が発光素子2に対して反対側の部分が反りあがった形状であればよい。よって、PSD5aの受光面の形状は、略球面形状に限らず、2次元の湾曲面のような形状であってもよい。
【0023】
本実施の形態にかかる測距式センサ装置1aでは、PSD5aは、対象物から見て凹型に湾曲した形状である。従って、対象物6cのように、測距式センサ装置1aの近傍にある場合に、受光レンズ4に入射する反射光が、受光レンズ4に対して浅い角度で入射する場合であっても、PSD5aの受光面が湾曲し、発光素子2に対して反対側の部分が反りあがった形状となっているために、反射光を受光することができる。本実施の形態にかかる測距式センサ装置1aは、対象物が測距式センサ装置1aの近傍にあっても検出することができ、従って、検出範囲をより広くすることができる。以上より、本実施の形態にかかる測距式センサ装置1aでは、対象物と測距式センサ装置1aとの距離に応じて、PSD5aの角度を調節する必要がない。また、PSD5aの角度を調整できるように測距式センサ装置を構成せずに済むため、測距式センサをより簡易に構成することができる。
【0024】
図2は、本実施の形態にかかる測距式センサ装置を示す図である。測距式センサ1bは、測距式センサ装置1aの一つの変形例である。PSD5bは、図1のPSD5aの受光面と同様に、PSD5bの受光面は凹形状に湾曲し、略球面形状である。しかし、発光素子2の光軸L1に対して、PSD5bの受光面の中心点Oを通る法線L2が傾斜している点が、PSD5aとは異なる。これにより、PSD5bの受光面形状は、発光素子2に対して反対側の部分がより反りあがった形状となり、対象物6a乃至6cからの反射光をより確実に受光することができる。
【0025】
PSD5a、5bの形状について更に説明する。図3は、受光レンズ4のピント位置を示す図である。受光レンズ4の光軸L3から離れた点から入射する光は、像面湾曲により、光軸L3に垂直におかれたスクリーン上ではなく、図のように受光レンズ4の中心部からの同心円7上に沿って結像することがある。そのため、PSD5a、5bの受光面を、同心円7に沿って湾曲する形状とすることが望ましい。これにより、反射光を、PSD5a、5b上の受光面状にピントを合わせることができ、より精密に対象物を検出することができる。
【0026】
また、PSD5a、5bの受光面形状が曲面である場合、PSDの受光面が平面の形状である場合よりも、対象物と受光面上の結像とが1対1の関係となり、かつPSD5a、5bによる焦点の検出がより容易になるため、より測距式センサ装置と対象物6との距離を測定しやすくすることができる。
【0027】
また、測距式センサ装置は、受光レンズ及びPSDを複数有するようにしてもよい。図4は、受光レンズ4a及び4b、PSD5c及びPSD5dを有する測距式センサ装置1cを示す図である。測距式センサ装置1cは、受光レンズとPSDを複数有することにより、より検出範囲を広くすることができる。
【0028】
また、魚眼レンズのような、画角が通常のレンズより広いレンズを用いるようにしてもよい。図5は、測距式センサ装置1dを示す図である。測距式センサ装置1dは、受光レンズ4cが魚眼レンズである。魚眼レンズを用いることにより、対象物からの反射光を、より広い角度でPSD5eに集めることができる。従って、受光レンズ4cに対してより浅い角度で入射する反射光をPSD5e上に集めることができ、検出範囲を広くすることができる。
【0029】
本実施の形態にかかる測距式センサ装置1は、一般的な小型形状を維持したまま、遠距離から至近距離までの対象物を検知することが可能となり、例えば、センサ近傍に対象物が近づいた場合にも、対象物がないと誤検出することを防ぐことができる。
【0030】
なお、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0031】
1、(1a、1b、1c、1d) 測距式センサ装置
2 発光素子
3 入光レンズ
4 受光レンズ
4a、4b、4c 受光レンズ
5a PSD
5b PSD
5c PSD
5d PSD
6 対象物
7 同心円
101 測距式センサ装置
102 発光素子
103 PSD
104 受光レンズ
105 入光レンズ
106 対象物



【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に光を照射する照射部と、
前記対象物により反射された光を集光する集光レンズと、
前記集光レンズにより集光された光を受光する受光部と、を有し、
前記受光部の受光面が、凹形状に湾曲しているセンサ装置。
【請求項2】
前記受光面は、当該受光面の中心を通る法線が、前記照射部の光軸に対して傾斜している請求項1記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記受光面は、前記集光レンズに入射する光が結像する点に沿って湾曲する請求項1又は2記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記受光部を複数有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記集光レンズは、魚眼レンズである請求項1乃至4のいずれか1項に記載のセンサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−61268(P2013−61268A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200432(P2011−200432)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】