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センシンレン(Andrographicspaniculata)抽出物と、リン脂質と複合体を形成した銀杏抽出物とを含む組成物
説明

センシンレン(Andrographicspaniculata)抽出物と、リン脂質と複合体を形成した銀杏抽出物とを含む組成物

本発明は、リン脂質と複合体を形成した銀杏抽出物と組み合わせたセンシンレン抽出物を含む組成物に関する。さらに、ω−3多価不飽和脂肪酸に富む油で投与された該組成物は、成分間のさらなる相乗効果を示す。前記組成物は、神経変性障害、特にアルツハイマー病および多発性硬化症の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、リン脂質と複合体を形成した銀杏(Ginkgo biloba)抽出物と組み合わせたセンシンレン(Andrographis paniculata)抽出物を含有する組成物であって、神経変性障害、特にアルツハイマー病および多発性硬化症の治療に有用である組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術
アルツハイマー病および多発性硬化症などの障害は、多因子病因を有する。特に、両障害の発症原因の中で、自己免疫の問題および血管炎の問題を特定することができ、それらは、脳の領域の変性につながる。
【0003】
前記変性は、記憶喪失および末梢神経機能の喪失をもたらす。
【0004】
これらの障害は、特に先進工業国において、平均寿命が急速に伸びたので、世界中で急激に増加している。
【0005】
アルツハイマー病は、先進工業国において、認知症の最も一般的な原因である。それは、70歳を超えた人口の約10%を襲い、著しい記憶喪失をもたらす。これは、欧米諸国において、800万から1000万の人々が罹患していることを意味する。
【0006】
臨床的には、アルツハイマー病は、初期段階で記憶喪失を起こし、アルツハイマー病が、認知能力の喪失、およびしばしば機能的能力の喪失を伴う顕著な老人性認知症に進展するまで、記憶喪失は、数年にわたって悪化する。
【0007】
病理学的見地から、脳において、脳溝および脳室の拡大、およびβ−アミロイド(Ab)を含有する細胞外プラークの形成と共に、大脳皮質のびまん性萎縮が見られる。さらに、脳血管の動脈壁におけるこのタンパク質の蓄積は、脳血管の閉塞を引き起こし、侵された部分を萎縮させる。
【0008】
最近同定されたいくつかの遺伝子と関連がある、これらの変性の基礎は、上記の変化プロセスを速める(catalyse)びまん性血管炎である。
【0009】
現在利用可能な治療薬に関して述べれば、使用されている製品は、タクリン、ドネペジル、フィゾスチグミン誘導体、およびガランタミンなどの、抗アセチルコリンエステラーゼ活性を有する化合物を含んでいる。しかし、これらの製品の初期効果は良好であるが、それらの経時的有効性については、疑問が残っている。
【0010】
代替案は、女性におけるアルツハイマー病の進行を変えられるらしいエストロゲンの使用、および非ステロイド性抗炎症薬の使用であるが、どちらの場合も、有効性データが相反している。
【0011】
選択的ワクチン接種を用いたさらなる試みは、良い結果をもたらしていない。
【0012】
さらに、上述の製品は、用量を増やした場合、重篤な毒性の問題を起こす。
【0013】
銀杏を含む製品などの天然由来の製品を用いて、臨床的にアルツハイマー病を治療する最近の試みは、予備研究において有望な結果をもたらしたが、その後、恐らく、不適切な用量でそれらを投与した、および/または活性成分の吸収が低かったせいで、効果がないと証明された。
【0014】
銀杏に存在する活性成分の中で、ビロバライドおよびギンコライドなどの、ジテルペンおよびセスキテルペンが、神経変性障害の治療に潜在的に有用な化合物として同定されたが、どれも、これらの治療目的の臨床段階に達していない。
【0015】
銀杏抽出物のみは、アルツハイマー病および老人性認知症に関連する脳機能不全に有益な効果を与えることが証明されており、その抽出物の活性に著しく寄与したのは、ビロバライドであり(Sasaki et al. Life science, 67, 709-15, 2000); 脳障害を治療するための、銀杏抽出物の使用は、Kidd PMによっても知られ(Alternative medicine, 4, 144-61 , 1999)、Kidd PMはまた、ホスファチジルセリンと混合して、銀杏抽出物を使用することも報告した。
【0016】
銀杏抽出物とホスファチジルセリンとの混合物は、認知機能を高め、アルツハイマー病を予防することを目的とした(US6,572,899、JP2003 169632A、J. Geriatric and Neurology 11, 163-73, 1998)、「栄養補助食品」の形態で、米国市場に存在している。対照試験は、所望の治療有効性を裏付けていないので、良い結果を得るためには、異なる技術的方法および治療方法が必要となる。
【0017】
銀杏抽出物がリン脂質と複合体を形成すると、活性成分と考えられている、その抽出物の化学種の生物学的利用能が高まることが知られている。脳における、活性成分の吸収およびそれらの適切な濃度が、その臓器の障害の治療で極めて重要である。
【0018】
最近、WO2005/074956およびHuman Psychopharmacology 22, 1999-2010, 2007において、銀杏とリン脂質、特に、10から50%のホスファチジルセリンを含有するリン脂質との複合体の投与が、老年性認知症およびアルツハイマー病などの、認知能力の低下と関連した障害の治療および予防に有効であることが実証された。
【0019】
EP0441297B1は、局所的または全身的に投与すると、著明な抗炎症効果を示す、ビロバライドとホスファチジルセリンを含むリン脂質との複合体を開示している。
【0020】
より最近では、銀杏とリン脂質との複合体を投与した結果として、非複合体形態の投与よりも、脳において、はるかに多い量の活性成分が検出されることが報告された(Rossi R. et al., J. Pharmaceutical and Biomedical Analysis, 50, 224-27, 2009)。
【0021】
WO2005/074953は、自己免疫疾患およびアルツハイマー病の治療に有用である、センシンレンから抽出されたラブダンジテルペン組成物を開示している。
【発明の概要】
【0022】
文献に記載された混合物および市場に存在する混合物のすべてが、治療的要求を十分に満たすわけではない。したがって、神経変性障害、特にアルツハイマー病および多発性硬化症の治療に有効である、新規の組成物を特定し、かつ、免疫調節効果、抗炎症効果、および血管動力学的(vasokinetic)効果などの異なる効果を考慮する必要性が存在する。
【0023】
神経変性障害の病因は、複雑かつ多因子であるので、単一の活性成分では、それらの進行を変えそうもないことは明らかであり;したがって、様々な理由でこれらの障害のいくつかの誘発因子に作用して、それらの進行を抑えることができる、抽出物の組合せが必要となる。
発明の概要
本発明は、
(a)センシンレンの抽出物、または純粋なアンドログラホリドと、
(b)リン脂質と複合体を形成した、銀杏の抽出物と
を含む組成物に関する。
【0024】
本発明はまた、神経変性障害、特にアルツハイマー病および多発性硬化症を治療するための、
(a)センシンレンの抽出物、または純粋なアンドログラホリドと、
(b)リン脂質と複合体を形成した、銀杏の抽出物と
を含む組成物の使用に関する。
発明の詳細な説明
驚いたことに、センシンレン抽出物を、リン脂質と複合体を形成した銀杏抽出物と組み合わせることにより得られる組成物は、神経変性障害、特にアルツハイマー病および多発性硬化症の治療に有用であることが、今や判明した。
【0025】
本発明は、
(a)センシンレンの抽出物、または純粋なアンドログラホリドと、
(b)リン脂質と複合体を形成した、銀杏の抽出物と
を含む組成物に関する。
【0026】
センシンレン抽出物は、水と混和したアルコール、好ましくはエタノール、あるいは、出発植物材料に応じて、ケトン、および/または脂肪族のエステルおよびエーテルを用いた、バイオマスの抽出によって、新鮮なまたは乾燥させた植物の地上部から好ましくは調製される。一次抽出物を、減圧下で小体積に濃縮した後、最終抽出物が所望の濃度に達するまで、残留物を、水と非混和性溶媒の間に分配し、活性成分、すなわちアンドログラホリドを選択的に濃縮する。
【0027】
センシンレン抽出物は、好ましくは、アンドログラホリド(アンドログラホリド、14−デオキシ−11,12−ジデヒドロアンドログラホリド、およびネオアンドログラホリドなど)を、20%から60%、より好ましくは35%含有する。
【0028】
さらに、本発明の別の態様によると、既知のプロセスに従って得ることが可能な、純粋なアンドログラホリドを、特定の製剤に使用することができる。しかし、センシンレンが富化された抽出物は、最良の生物学的利用能および活性データをもたらすので、特に好ましい。
【0029】
使用される銀杏抽出物は、20から30%、より好ましくは24%のギンコフラボングリコシド、および好ましくは2%と10%の間の範囲、より好ましくは約6%のジテルペン/セスキテルペン混合物を好ましくは含有する。
【0030】
リン脂質の混合物と複合体を形成した銀杏抽出物は、(US5,043,323およびUS5,202,313などの)公知の調製法に従って調製される。
【0031】
活性成分の生物学的利用能を向上させる、5から50%のホスファチジルセリンを好ましくは含有する未精製のリン脂質混合物を、銀杏とリン脂質との複合体を形成するために使用することができる。本発明の好ましい態様によると、リン脂質混合物は、20%のホスファチジルセリンを含有する。
【0032】
驚いたことに、センシンレン抽出物を、ホスファチジルセリンを好ましくは含有するリン脂質混合物と複合体を形成した、銀杏抽出物と組み合わせることによって、たった1週間だけの経口処置の後、アルツハイマー病に典型的で、多発性硬化症に幾分かある、神経血管変性(neurovascular degeneration)を、実験動物において抑えることができ、認知能力を高めることが、今や判明した。
【0033】
該組成物において有効であると証明された、センシンレン抽出物の用量は、体重1kgあたり0.5mgと2mgの間の範囲であり、1日1回から3回投与される。銀杏とリン脂質との複合体については、用量は、下記の例に示した通りの医薬形態あたり、100mgと300mgの間の範囲である。
【0034】
特定の試験で、本発明による組成物は、アルツハイマー病および多発性硬化症などの神経変性障害の進行を抑制する能力を示している。
【0035】
さらに、本出願人は、驚いたことに、上記の組成物は、ω−3多価不飽和脂肪酸に富む油で投与された場合に、センシンレン抽出物と、リン脂質と複合体を形成した銀杏抽出物との間でさらなる相乗効果を示すことを発見した。
【0036】
該組成物は、軟または硬ゼラチンカプセル剤およびセルロースカプセル剤、特に油を含有するのに適したカプセル剤、錠剤、ならびに坐剤などの最も一般的な医薬製剤に組み込むことができる。
【0037】
セルロースカプセル剤の使用が、特に好ましい。
【0038】
好ましい製剤は、セルロース製剤であり、ここで、該組成物の活性成分は、ω−3多価不飽和脂肪酸に富む植物油または動物油中に懸濁される。
【0039】
使用される油は、亜麻(Linum usitatissimum)油、メマツヨイグサ(Oenothera biennis)油、およびクロフサスグリ(Ribes nigrum)油、ならびにそれらの誘導体、または魚油などの動物油、およびそれらの誘導体であり得る。
【0040】
別の好ましい態様によると、銀杏と、ホスファチジルセリンを含有するリン脂質との複合体250mgを、アンドログラホリド含有量が35%である、150mgのセンシンレン抽出物と共に、油で製剤中に分散させることができる。
【0041】
さらなる態様によると、本発明による組成物は、有用または相補的な活性を有する他の物質と一緒に投与することができる。
【0042】
本発明による医薬組成物は、「Remington's Pharmaceutical Handbook」、Mack Publishing Co., N.Y., USAに記載されている技術などの、従来の技術に従って製剤化することができる。特に、本発明による組成物は、添加剤およびカプセルマトリックスとの相互作用を回避することに特に注意を要する、従来の植物成分製剤技術に従って製剤化される。

以下に示す例は、本発明をさらに例示する。
例1−メマツヨイグサ油を用いたセルロースカプセル剤の調製
センシンレン抽出物(35%のアンドログラホリド)150mg
リン脂質と複合体を形成した銀杏抽出物 250mg
メマツヨイグサ油 q.s. for 600mg
例2−改質魚油を用いたセルロースカプセル剤の調製
センシンレン抽出物(35%のアンドログラホリド)150mg
リン脂質と複合体を形成した銀杏抽出物 250mg
エイコサペンタエン酸エチル q.s. for 600mg
例3−硬ゼラチンカプセル剤の調製
センシンレン抽出物(35%のアンドログラホリド)150mg
ホスファチジルセリンとの銀杏 150mg
例4−組成物(例1)のAPPswe/PS1ダブルトランスジェニックマウスの逃避時間(time of flight)への効果
研究を行った実験モデルは、APPswe/PS1トランスジェニックマウスである。
【0043】
この動物モデルは、ヒト遺伝子プレセニリン1(ΔE9)、およびアミロイド前駆体タンパク質(APP)のマウス/ヒトキメラ遺伝子を発現し、このキメラ遺伝子は、スウェーデン変異を含む。
【0044】
この動物モデルは、異常なアミロイド沈着と共に、進行性記憶喪失を特徴とすることが、これまでに実証されており(Borchelt D. et al. Neuron 19, 1997, 939-945)、アルツハイマー病を治療することを目的とした薬を研究するための、最も予測しやすいモデルの1つを示している。
【0045】
例1に記述した組成物およびその個々の成分を用いた、一群あたり20匹のトランスジェニックマウスの処置は、Morris水迷路パラダイム試験(Morris RGM, J. Neurosci. Methods 1984; 11 :47-60)で示される通り、本発明による組成物が、トランスジェニックマウスにおいて、アミロイド蓄積により引き起こされる記憶喪失を有意に抑えることを示す。
【0046】
特に、該組成物の成分間の驚くべき相乗作用が判明した(表1)。
【0047】
【表1】

【0048】
例5−組成物(例1)のマウスの自己免疫性脳炎への効果
多発性硬化症の治療における製品の評価に使用される動物モデルは、マウスの実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)である。この実験モデルは、中枢神経系の限局的領域の脱髄の発症と共に、軸索機能の喪失、および後肢および前肢の進行性上行性麻痺を特徴とする(Iruretagoyena M.I. et al., J. Pharm. Exp. Therapeutics, 312, 366-372, 2005)。
【0049】
不活性化結核菌(Mycobacterium tuberculosis)H37RA(Difco Laboratories、Detroit、MI)を加えたフロイントアジュバント(Gibco BRL、JPET#725128NY)中に乳化させた、50μgのMOG35−55ペプチド(略号MOGは、マウスのミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質と同一である)を、雌のC57BL/6マウスに皮下注射する。マウスはまた、感作時およびその48時間後に、500ngの百日咳毒素(Calbiochem La Jolla、CA)の腹腔内注射も受ける。その疾患の臨床徴候は、感作後、15日と18日の間に現れ、以下のスコアに基づいて、それらを毎日記録する:
0=EAEの徴候なし
1=尾の弛緩(limp tail)
2=後肢衰弱または異常歩行
3=後肢の完全麻痺
4=後肢および前肢の完全麻痺
5=死亡
平均臨床データは、同じ処置群に属するマウスの毎日のスコアを加算し、マウスの数で除算することによって算出する。例1に記述した組成物およびその個々の成分を用いた、一群あたり20匹のトランスジェニックマウスの処置(MOGペプチドによる感作の1週間前に開始し、実験中ずっと継続した)は、本発明による組成物が、評価する全パラメーターを有意に減少させることを示すのと同時に、該組成物の成分間の驚くべき相乗作用を示す(表2)。
【0050】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)センシンレンの抽出物、または純粋なアンドログラホリドと、
(b)リン脂質と複合体を形成した、銀杏の抽出物と
を含む組成物。
【請求項2】
センシンレンの抽出物が、20%から60%、好ましくは35%のアンドログラホリドを含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
アンドログラホリドが、アンドログラホリド、14−デオキシ−11,12−ジデヒドロアンドログラホリド、およびネオアンドログラホリドである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
銀杏の抽出物が、20%から30%のギンコフラボングリコシド、および2%から10%のジテルペン/セスキテルペン混合物を含有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
リン脂質が、ホスファチジルセリンを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
ホスファチジルセリンが、5から50%の範囲である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
ω−3多価不飽和脂肪酸に富む植物油または動物油をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記油が、亜麻油、メマツヨイグサ油、クロフサスグリ油、魚油;およびそれらの誘導体から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
神経変性疾患の治療に使用するための、
(a)センシンレンの抽出物、または純粋なアンドログラホリドと、
(b)リン脂質と複合体を形成した、銀杏の抽出物と
を含む組成物。
【請求項10】
神経変性疾患を治療する医薬品を製造するための、
(a)センシンレンの抽出物、または純粋なアンドログラホリドと、
(b)リン脂質と複合体を形成した、銀杏の抽出物と
を含む組成物の使用。
【請求項11】
アルツハイマー病を治療するための、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
多発性硬化症を治療するための、請求項10に記載の使用。

【公表番号】特表2013−517234(P2013−517234A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548385(P2012−548385)
【出願日】平成23年1月3日(2011.1.3)
【国際出願番号】PCT/EP2011/050016
【国際公開番号】WO2011/086007
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(591092198)インデナ エッセ ピ ア (52)
【Fターム(参考)】