説明

ゼオライト含有食品

【課題】人体に取り入れられたアルコール飲料から摂取されるエタノールの吸収を防止可能なゼオライト含有食品を提供する。
【解決手段】本発明は、人体に取り入れられたアルコール飲料から摂取されるエタノールの吸収を防止可能なゼオライト含有食品に関し、特にクリノプチロライト及び任意でその他の無機成分を含む組成物としてもよいゼオライト含有食品に関する。本発明はまた、純度及び粒度に特徴を有するクリノプチロライトに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゼオライト、特にクリノプチロライト、又はゼオライトとその他の任意の無機成分との組成物を含み、人体に取り入れられたアルコール飲料から摂取されるエタノールの吸収を防止しうる食品に関する。本発明はまた、純度及び粒度に特徴を有するクリノプチロライトにも関する。
【背景技術】
【0002】
ゼオライトは、その結晶中の無数の空洞により特徴付けられる規則的な微多孔性結晶構造を有する鉱物である。ゼオライトの結晶格子は、実質的に酸化ケイ素及び酸化アルミニウムからなっている。
【0003】
天然品及び合成品を含め膨大な種類のゼオライトが存在するが、その多くは工業的に有用な特性を有している。そのようなゼオライトは、例えば、石油化学工業における触媒として使用されたり、ポリリン酸塩の代わりに洗浄剤として添加されたり、さらに農業,建設業,化粧品の水軟化剤等の分野でも使用されている。
【0004】
クリノプチロライトは、湖水中又は海水中で、ガラス質の火山性物質が結晶質に変性することにより形成された特殊な天然ゼオライトである。クリノプチロライトの主な特性の1つは、その陽イオン交換容量にある。この特性は、負電荷が存在するというその電気的性質によるもので、この性質は、例えばフリーラジカルの中和に対して特に高い活性を発揮する。
【0005】
クリノプチロライトを水質浄化剤又は動物飼料用添加剤として使用することにより、例えば水中の鉛を除去したり、動物飼料中のカビを吸着したりすることができることが知られている。
【0006】
限られた量、例えば1日にグラス2杯のワイン、特に赤ワインを飲酒することにより、いわゆる悪性コレステロールであるLDLコレステロールが減少し、良性とされているコレステロールであるHDLコレステロールが増加し、かつ血小板凝集が防止されるという健康に有益な効果が得られることも知られている。ワインはまた、ポリフェノール等の抗酸化剤の供給源であり、抗癌性物質を含み、かつ動脈の開存性を維持するのに役立つ。実際に認められているように、適量のワインの飲酒は、それに含まれる栄養素の有益な特性により、循環器系疾患のリスクを減少させることができる。
【0007】
ビールにも多くの有益な特性が認められている。実際、この飲料は、赤ワインのように、循環器系疾患のリスクを減少させるのに役立つ抗酸化物質を含んでいる。ビタミンB群も含むビールの適量の飲酒は、増加すると循環器系疾患を促進する性質を有するホモシステインのコントロールにも役立つ。
【0008】
ワイン又はビール等の飲用は、上記のように、生体に有益な栄養作用をもたらす(さらに消費者に味による楽しみも与えるので、人々は日々の食事にアルコール飲料を欠かせない)けれども、アルコール、特に健康に多くの有害な影響を及ぼすことが知られているエタノールの摂取も伴うという欠点も有している。実際、エタノールの摂取及びその結果による吸収は、中でも、特にいわゆる赤みを帯びる部位(肩,首及び顔)の皮膚の血管収縮や、中枢神経系の抑制を引き起こし、さらに長期的には心筋症の原因となる不整脈や、心筋収縮の抑制を引き起こすことが認められている。さらにエタノールは、血圧上昇及び胃腸粘膜の炎症を起こし、中枢神経系に作用する薬の効果を妨げる。
【0009】
要するに、ビール及びワインの飲用による有益な効果は、上述のように、これらの飲料に含まれるエタノールが同時に吸収されるために、相殺されてしまい勝ちである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、人体に取り入れられたアルコール飲料から摂取されるエタノールの吸収を防止可能なゼオライト含有食品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
ゼオライト含有食品、特に化学的及び物理的特性を、目的に応じて最適化可能なクリノプチロライトを含む食品を同時に摂取すると、食事時に日常的に飲まれるワイン及びビール等のアルコール飲料から摂取されるエタノールの吸収を減少できることが発見された。
【0012】
本発明は、一局面において、微粒子化ゼオライトを含む人間用食品であって、前記微粒子化ゼオライトを構成する微粒子のうち少なくとも90%が0.1μm超の粒子径を有する人用食品に関する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1aの微粒子化クリノプチロライトのエタノール吸収特性を示す表である。
【図2】実施例1bの二酸化ケイ素及び/又は酸化アルミニウムのみのエタノール吸収特性を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書において、用語「ゼオライト」は、食品に使用される如何なるゼオライトをも意味するが、クリノプチロライトが好ましく、微粒子化ゼオライトが有利であり、微粒子化クリノプチロライトが特に好ましい。
【0015】
好ましい実施態様では、本発明の食品において、前記微粒子化ゼオライトは、微粒子化クリノプチロライトである。
【0016】
微粒子化したゼオライト又はクリノプチロライトは、当業者に公知の方法で調製することができる。
【0017】
好ましい実施態様では、前記微粒子化ゼオライト又はクリノプチロライトを構成する微粒子のうち少なくとも90%は、0.1μm〜100μmの粒子径を有する。
【0018】
別の好ましい実施態様では、前記微粒子化ゼオライト又はクリノプチロライトを構成する微粒子のうち少なくとも90%は約20μmの粒子径を有する。
【0019】
本発明の目的を達成するために、粒子径は、多くの理由で重要である。一つには、粒子径が小さいほど、ゼオライト又はクリノプチロライトの吸収量は大きいことが分かっているので、粒子径は、有効なアルコール吸収能を得るために十分に小さい必要がある。一方、例えば0.1μm未満のように粒子径が小さ過ぎると、ゼオライト又はクリノプチロライトが消化器系粘膜を通して吸収されることがあるので、吸収された製品の潜在毒性はともかく、本発明の目的を達成するためには、ゼオライト又はクリノプチロライトは吸収されてはならないことは明らかである。
【0020】
本明細書では、用語「食品」は、最も一般的な意味での食品を表し、機能性食品、栄養補助食品、さらに現行法で「医療用品」として定義されている製品等も含む。
【0021】
例として、用語「食品」は、人に摂取されることを目的として加工されるか、部分加工されるか、加工されていないあらゆる物質又は製品、あるいは摂取可能であることが合理的に予想されるあらゆる物質又は製品をも意味する。飲料,チューイングガム,及び水を含め、生産、調理又は処理中の食品に意図的に添加されるあらゆる物質も含まれる。
【0022】
好ましい実施態様では、食品は液体状である。
【0023】
食品は、適切で予期される栄養的効果に加えて、生体の1つ以上の機能を対象とした有益な効果も得られることが明らかな場合、一般的に「機能的」と定義する。
【0024】
「栄養補助食品」は、正しいバランスの取れた食事に従っていない人が食べる物に含まれていない、ある種の栄養成分の摂取の促進を目的とする製品である。
【0025】
「医療用品」は、現在、イタリア法[1997年第46号令(D.L. No. 46/1997)]においては、「単独で、又は正しく作動させるためのソフトウェアと組合せて使用される器具,装置,物体又はその他の製品であって、以下の目的で人に使用されるように製造業者により意図されたもの:疾病の診断,予防,管理,治療又は緩和;損傷又は障害の診断,管理,治療,緩和又は補助;解剖学的構造又はその生理的プロセスの研究、代替又は改善;避妊手段」と定義されている。
【0026】
本発明の別の好ましい実施態様では、ゼオライトは、純粋な微粒子化クリノプチロライトである。
【0027】
公知のように、クリノプチロライトは、ナトリウム,カリウム及びカルシウムを含む水和ケイ酸アルミニウムからなる物質である。クリノプチロライトは、一般的に市販されているが、その他の鉱物性不純物に加えて、カルシウム,マグネシウム,鉄及びナトリウムの各々の酸化物を含むその他の酸化物も含んでいる。これらの不純物のために、市販品中のクリノプチロライトの含有量は低くなっており、場合によっては、クリノプチロライト含有量が80%となっている市販品もある。
【0028】
本発明の好ましい実施態様では、微粒子化クリノプチロライトは、ナトリウム,カリウム及びカルシウムを含む水和ケイ酸アルミニウムであるクリノプチロライトを、88%以上、有利には90%以上含んでいる。
【0029】
別の実施態様では、本発明の食品はまた、上記で定義したゼオライト及びクリノプチロライトに加えて、二酸化ケイ素(SiO2)、及び/又は酸化アルミニウム(Al2O3)及び/又は水酸化アルミニウム(Al(OH)3)を含み、好ましくは二酸化ケイ素(SiO2)及び酸化アルミニウム(Al2O3)を含んでいる。
【0030】
例として、本発明の食品は、約40〜60重量%の上記で定義した微粒子化クリノプチロライトと、40〜60重量%の二酸化ケイ素(SiO2)、及び/又は酸化アルミニウム(Al2O3)との混合物を含んでいてもよい。
【0031】
実際、ゼオライト及び/又はクリノプチロライトと、二酸化ケイ素(SiO2)及び/又は酸化アルミニウム(Al2O3)及び/又は水酸化アルミニウム(Al(OH)3)、有利には二酸化ケイ素(SiO2)及び/又は酸化アルミニウム(Al2O3)あるいは二酸化ケイ素(SiO2)のみとを組合せると、以外にも発明の目的を達成するための相乗的効果を得られることが見出された。
【0032】
換言すると、上記で定義した組成物は、生体による大量のアルコール、特にエタノールの吸収を防止する。
【0033】
本発明はまた、任意で二酸化ケイ素(SiO2)及び/又は酸化アルミニウム(Al2O3)及び/又は水酸化アルミニウム(Al(OH)3)と組合せてよい、微粒子化ゼオライト及び/又はクリノプチロライトの食品製造における使用であって、人体に取り入れられたアルコール飲料から摂取されるエタノールの吸収を防止するための食品の製造における使用に関する。
【0034】
本発明の食品は、飲料;並びにパン,ピザ,フォカッチャ,クラッカー,ビスケット,タルト,スナック,菓子及びこれらの類似物等の甘口又は辛口のベーカリー食品;クリスプ,ドライフルーツ及び堅果等のスナック,スナック菓子,トルティーヤ及びこれらの類似物;デュラム小麦粉,薄力小麦粉,スペルト小麦粉,米粉等製の生の又は乾燥したパスタ;出来合いの食品;及びソース等を含んでいる。
【0035】
本発明の食品は、適量のアルコール飲料、特にワイン又はビールとともに摂取すると、エタノールの吸収が大幅に低減されることとなり、これらの飲料の利点のみを楽しむことができる。
【0036】
よって、本発明の食品は、ワイン及びビール等の食事中に習慣的に飲まれるアルコール飲料に含まれるエタノールの有害な効果を防止するために、日々の食事において用いることができる。
【0037】
本発明の食品は、好ましくは適量のアルコール含有量の、エタノールを含む食前酒,リキュール及びその他の飲料等、ワイン及びビール以外のアルコール飲料とともに、飲食可能であることは明らかである。
【0038】
本発明の食品は、様々な理由により、アルコールを除外した食事を摂る必要のある人々が適量のアルコール含有量の飲料を少量飲むこともまた可能にする。実際、本発明の食品を同時に摂ることにより、そのような人々が、健康に対するリスクを伴わずに、ワイン及びビール等の上記飲料の有益な成分の利点を得ることができる。
【0039】
本発明の食品は、選択した食べ物を作るために必要な材料混合物に、適量の上記で定義した微粒子化クリノプチロライトを混合することにより、この食べ物を作るための通常の方法に従って製造することができる。
【0040】
よって、例えば、ベーカリー食品を製造する場合、微粒子化ゼオライト又はクリノプチロライトを、焼く前の混合物に添加すればよい。その代わりに、微粒子化ゼオライト又はクリノプチロライトを、この混合物の調製に必要な穀粉に添加した後、公知の方法に従って食品を作ってもよい。
【0041】
上記で定義した微粒子化ゼオライト、又はクリノプチロライトを含む人用穀粉もまた、本発明の主題である。人用穀粉として、デュラム小麦粉,薄力小麦粉,とうもろこし粉,米粉等が挙げられる。
【0042】
上記のように、本発明の好ましい一実施態様では、食品は液体状である。本発明の目的を達成するために、ゼオライト、有利には上記で定義した微粒子化クリノプチロライトを、水,ジュース又は果実もしくは野菜の抽出物,香料,砂糖又は甘味料,塩,精油等のその他の成分に混合してもよい。
【0043】
例として、液体状の食品は、1回投与又は複数回投与の形態とすることができ、例えば25〜100 mL(例えば約35 mL)の1回投与パッケージの形態とすることができる。このような液体状の食品は、例えば5〜30%,有利には約15%の微粒子化クリノプチロライトを含んでいてもよい。
【0044】
人が取り入れたアルコール飲料から摂取されるエタノールの吸収を防止する微粒子化クリノプチロライトの効果は、インビトロ手法及びインビトロ分析により示される。これらの分析の詳細は、本明細書の実施例の欄に記載されている。
【0045】
ワイン及びビール等のアルコール飲料に含まれるアルコールによる有害な効果を防止するために必要な微粒子化クリノプチロライトの量は、4〜6mLのエタノールに対して0.5〜2gのオーダーであり、例えば4〜6mLのエタノールに対して約1gの微粒子化クリノプチロライトを用いればよいことを確認した。
【0046】
従って、例として、2〜3gの微粒子化クリノプチロライトにより、グラス1杯に相当する約100 mLのワインに含まれるエタノールの吸収を防止することができる。
【0047】
同様に、3〜6gの微粒子化クリノプチロライトにより、中型のボトル又はカンに相当する330 mLのビールに含まれるエタノールの吸収を防止することができる。
【0048】
平均的な当業者が理解できる範囲内で簡単な計算を実行することにより、習慣的に摂取されるある程度の量のアルコール飲料の有害な効果を防止するために、本発明の食品に添加する微粒子化クリノプチロライトの量を決めるのは容易である。
【0049】
本発明に従って用いるゼオライト又はクリノプチロライトを扱う人の必要に応じて、勿論上記投与量を変更してもよい。
【0050】
よって、単なる例として、食事とともに飲まれるグラス2杯のワイン,あるいは小型のボトル又はカン入りのビール当たりからの吸収を防止するために、2〜10 g、例えば3〜6gの量の上記で定義した微粒子化クリノプチロライトを含むパン又はクラッカーあるいは液体混合物を、食事用に調理することができる。
【0051】
上記で定義し、特に好ましい本発明の実施態様及び/又は有利な本発明の実施態様で定義し、任意で上記で定義した組成物としてもよい微粒子化クリノプチロライトの、食品製造のための使用もまた、本発明の主題である。
【0052】
上記で定義し、特に好ましい本発明の実施態様及び/又は有利な本発明の実施態様で定義し、任意で上記で定義した組成物としてもよい微粒子化ゼオライト又はクリノプチロライトの、人体に取り入れられたアルコール飲料、好ましくは適度にアルコール性の飲料から摂取されるエタノールの吸収の防止のための使用もまた、本発明の主題である。
【0053】
別の態様によれば、本発明は、人体に取り入れられたアルコール飲料から摂取されるエタノールの吸収を防止するための方法に関し、アルコール飲料の取り入れと同時に本発明の食品の有効量を摂取することを特徴とする方法に関する。
【0054】
実施例1a
微粒子化クリノプチロライトのエタノール吸収特性のインビトロ分析
18〜24℃の間で温度を変えながら、水性アルコール溶液からのエタノールの吸収について、微粒子化クリノプチロライト(以下単に「クリノプチロライト」と呼ぶ)の添加量の影響に関して調べる試験を行った。
【0055】
クリノプチロライト導入後の水性アルコール溶液のアルコール濃度の減少を基に、吸収量を読み取った。
【0056】
実験は、毎回95%アルコールを用いた500 mLの水性アルコール溶液を調製し、異なるスケールのゲイリュサック比重計一式を用いて実際の濃度を測定することにより行った。500 mLのガラスシリンダに溶液を入れ、その中に初めに適切な比重計を 浮かせ、溶液中のアルコール濃度を読み取った。知られているように、20℃におけるアルコール密度を0.79として、測定温度での溶液の異なる密度に基づいて比重計のキャリブレーションを行った。
【0057】
秤量したクリノプチロライトをシリンダに入れ、得られたパルプ中で、異なった時間(1分後,4分後,10分後,20分後,40分後及び60分後)において浮き秤によりアルコール濃度変化を測定した。混合物の密度変化(吸収を無視した場合)は無視することができる。実際、500 mLの純水に15 gまでクリノプチロライトを入れた場合、著しい容積変化は無かった。
【0058】
クリノプチロライトによるエタノール吸収についての全ての読み取りは、パルプ中、すなわち水性アルコール溶液及び粉末を含む懸濁液中で行った。種々の時間間隔におけるアルコール吸収の測定はまた、沈降した無機物質を再懸濁させるために、混合物を強く攪拌した後行った。
【0059】
図1の表から明らかなように、アルコール初期濃度30.20%の溶液に対する実験では、5gのクリノプチロライト粉末で処理した後、濃度は約1分後には25.80%に減少し、その後の測定ではほぼ不変であった。開始時の溶液量が500 mLであったので、エタノールの相対量は、160 mLから約22 mL減少した。すなわち、1gの粉末により、4.4 mLのアルコールが捕捉された。
【0060】
500 mLのアルコール初期濃度30.20%の水性アルコール溶液に対する実験では、7.5 gのクリノプチロライトによる1分の処理後、濃度は23%に減少した。すなわち、エタノールは36 mL減少した。1gの粉末により、4.8 mLのアルコールが捕捉された。
【0061】
500 mLのアルコール初期濃度30.20%の水性アルコール溶液に対する実験では、10 gのクリノプチロライトによる1分の処理後、濃度は20.20%に減少し、50 mLのアルコールが減少した。すなわち、1gの粉末により、5mLのエタノールが捕捉された。
【0062】
500 mLのアルコール初期濃度30.20%の水性アルコール溶液に対する実験では、15 gのクリノプチロライトによる1分の処理後、濃度は15.10%に減少し、75.5 mLのアルコールが減少した。すなわち、1gの粉末により、約5mLのエタノールが捕捉された。
【0063】
同様に、500 mLのアルコール初期濃度25.80%の水性アルコール溶液に対する実験では、6.4 gのクリノプチロライトによる1分の処理後、濃度は18.4%に減少し、約37 mLのエタノールが減少した。すなわち、1gの粉末により、約5.8 mLのエタノールが捕捉された。
【0064】
500 mLのアルコール初期濃度19.90%の水性アルコール溶液に対する実験では、15 gのクリノプチロライトによる1分の処理後、濃度は5.10%に減少し、74 mLのエタノールが減少した。すなわち、1gの粉末により、約5 mLのアルコールが捕捉された。
【0065】
500 mLのアルコール初期濃度13%の水性アルコール溶液に対する実験では、4.8 gのクリノプチロライトによる60分の処理後、濃度は7.7%に減少し、26.5 mLのエタノールが減少した。すなわち、1gのクリノプチロライトにより、5.5 mLのエタノールが捕捉された。
【0066】
その他の実施例からもまた、採用した実験条件において、実験で用いたクリノプチロライトに吸収されたアルコールは約5mL/gであり、これはクリノプチロライト1g当たり約4gのエタノールに相当するという事実が明らかとなった。
【0067】
実施例1b
微粒子化クリノプチロライトと二酸化ケイ素及び/又は酸化アルミニウムとの組成物のエタノール吸収特性のインビトロ分析
微粒子化クリノプチロライトと二酸化ケイ素及び/又は酸化アルミニウムとの組成物を用いた以外、実施例1aと同様にして分析を行った。結果を図2の表に示す。
【0068】
図2の表から明らかなように、二酸化ケイ素及び/又は酸化アルミニウムのみでは、エタノール吸収効果は、非常に小さいか無かった。しかし、微粒子化クリノプチロライトを組合せた場合、吸収量は驚くほど増加し、試験管No.7の場合、二酸化ケイ素及び酸化アルミニウムを含まないクリノプチロライトを用いた場合の吸収量に比較して、吸収量はほぼ30%増加した。
【0069】
実施例2
健康被験者による微粒子化クリノプチロライトのエタノール吸収特性のインビボ分析
実験のこのフェーズでは、エタノール吸収に対する微粒子化クリノプチロライトの能力を測定するために、2人の健常者に対して試験を行った。
【0070】
実験を行うにあたり、代謝病態を排除し、処方薬を服用していないことを確認するために、上記2人の被験者に既往歴検査を行った。
【0071】
2人の被験者は、それぞれ43歳及び47歳の運動家体型の健康者であり、ウエスト部位及びヒップ部位に脂肪がほとんど無く、家族歴にもアルコール依存者又は薬物依存者がいない。
【0072】
20分間で、5グラムの微粒子化クリノプチロライトを含むピーナッツバター(試験)又は微粒子化クリノプチロライトを含まないピーナッツバター(対照)を付けた3切れのトーストとともに、アルコール濃度14体積%の250 mLのワインを飲食するという手順を用いた。
【0073】
2つの試験セッションを記録した。第1に、酒気検査器によるBAC(血中アルコール濃度)測定を、微粒子化クリノプチロライトの摂取なしで行い、第2に、5グラムの微粒子化クリノプチロライトを摂取して行った。
【0074】
BAC測定は、以下の時間に行った。
1) アルコール飲料の摂取終了後20分
2) 同40分
3) 同50分
4) 同65分
5) 同80分
【0075】
BAC測定は、上記に従って、クリノプチロライトの摂取なし、及びアルコール飲料の摂取前に5グラムの微粒子化クリノプチロライトを摂取した後において、アルコール飲料(アルコール度数14%のワイン)の摂取後、同じ被験者に対して行った。
【0076】
2つの試験セッションは、それぞれ3日間行った。
【0077】
記録したデータを以下の結果に示す。
【0078】
第1の被験者:20分間で、微粒子化クリノプチロライトを含まないピーナッツバターを付けた3切れのトーストとともに、アルコール濃度14体積%の250 mLのワインを飲食後、BAC測定による以下の結果が得られた(対照)。
【0079】
1) アルコール飲料の摂取終了後20分:0.56
2) 同40分:0.45
3) 同50分:0.39
4) 同65分:0.36
5) 同80分:0.33
【0080】
第1の被験者:20分間で、5グラムの微粒子化クリノプチロライトを含むピーナッツバターを付けた3切れのトーストとともに、アルコール濃度14体積%の250 mLのワインを飲食後、BAC測定による以下の結果が得られた(試験)。
【0081】
6) アルコール飲料の摂取終了後20分:0.30
7) 同40分:0.31
8) 同50分:0.29
9) 同65分:0.27
10) 同80分:0.23
【0082】
第2の被験者: 20分間で、微粒子化クリノプチロライトを含まないピーナッツバターを付けた3切れのトーストとともに、アルコール濃度14体積%の250 mLのワインを飲食後、BAC測定による以下の結果が得られた(対照)。
【0083】
11) アルコール飲料の摂取終了後20分:0.58
12) 同40分:0.50
13) 同50分:048
14) 同65分:0.45
15) 同80分:0.40
【0084】
第2の被験者: 20分間で、5グラムの微粒子化クリノプチロライトを含むピーナッツバターを付けた3切れのトーストとともに、アルコール濃度14体積%の250 mLのワインを飲食後、BAC測定による以下の結果が得られた(試験)。
【0085】
16) アルコール飲料の摂取終了後20分:0.31
17) 同40分:0.36
18) 同50分:0.36
19) 同65分:0.32
20) 同80分:0.29
【0086】
試験により、食べ物に含まれた微粒子化クリノプチロライトのエタノール吸収能力に関する有意なデータが得られた。
【0087】
実施例3
液体状食品
任意で、又は望ましくは濾過した後、以下の成分:果実ジュース,野菜ジュース,デキストロース,塩,精油、及び微粒子化クリノプチロライト(組成物の全重量に対して15重量%の含有量)を完全に混合した。
【0088】
望ましくは、又は必要により、液体混合物(食品)を、例えば2〜3分間、50〜90℃で加熱することにより、パック前に殺菌した。食品は、1回投与用又は複数回投与用の容器にパックした。
【0089】
実施例4
液体状食品
任意で、又は望ましくは濾過した後、以下の成分:果実ジュース,野菜ジュース,デキストロース,塩,精油,微粒子化クリノプチロライト(組成物の全重量に対して15重量%の含有量)、二酸化ケイ素(SiO2,組成物の全重量に対して約25%の含有量)、及び酸化アルミニウム(Al2O3,組成物の全重量に対して約25%の含有量)を完全に混合した。
【0090】
望ましくは又は必要により、液体混合物(食品)を、例えば2〜3分間、50〜90℃で加熱することにより、パック前に殺菌した。食品は、1回投与用又は複数回投与用の容器にパックした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒子化ゼオライトを含む人用食品であって、前記微粒子化ゼオライトを構成する微粒子のうち少なくとも90%は、0.1μm超の粒子径を有することを特徴とする微粒子化ゼオライト含有人用食品。
【請求項2】
前記微粒子化ゼオライトは、微粒子化クリノプチロライトであることを特徴とする請求項1に記載の食品。
【請求項3】
前記微粒子化ゼオライト又はクリノプチロライトを構成する微粒子のうち少なくとも90%は、0.1μm〜100μmの粒子径を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の食品。
【請求項4】
前記微粒子化ゼオライト又はクリノプチロライトを構成する微粒子のうち少なくとも90%は、約20μmの粒子径を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の食品。
【請求項5】
前記微粒子化クリノプチロライトは、ナトリウム,カリウム及びカルシウムを含む水和ケイ酸アルミニウムであるクリノプチロライトを、88%以上含むことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の食品。
【請求項6】
二酸化ケイ素(SiO2)及び/又は酸化アルミニウム(Al2O3)及び/又は水酸化アルミニウム(Al(OH)3)とともに、ゼオライト又はクリノプチロライトを含むことを特徴とする食品。
【請求項7】
二酸化ケイ素(SiO2)及び/又は酸化アルミニウム(Al2O3)とともに、ゼオライト又はクリノプチロライトを含むことを特徴とする請求項6に記載の食品。
【請求項8】
前記ゼオライト又はクリノプチロライトは、請求項1〜5のいずれか1項に記載されたものであることを特徴とする請求項6又は7に記載の食品。
【請求項9】
40〜60重量%の微粒子化クリノプチロライトと、40〜60重量%の二酸化ケイ素(SiO2)及び/又は酸化アルミニウム(Al2O3)とを含むことを特徴とする組成物。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の微粒子化ゼオライト及び/又はクリノプチロライト、あるいは請求項9に記載の組成物の食品製造における使用であって、人体に取り入れられたアルコール飲料から摂取されるエタノールの吸収を防止するための食品の製造における使用。
【請求項11】
二酸化ケイ素(SiO2)及び/又は酸化アルミニウム(Al2O3)及び/又は水酸化アルミニウム(Al(OH)3)を伴う、ゼオライト及び/又はクリノプチロライトの食品製造における使用であって、人体に取り入れられたアルコール飲料から摂取されるエタノールの吸収を防止するための食品の製造における使用。
【請求項12】
微粒子化ゼオライト又はクリノプチロライトを含むことを特徴とする人用穀粉。
【請求項13】
人体に取り入れられたアルコール飲料から摂取されるエタノールの吸収を防止する方法であって、前記アルコール飲料の飲酒時に、請求項1〜8のいずれか1項に記載の食品又は請求項9に記載の組成物の有効量を投与することを特徴とする方法。
【請求項14】
飲料;パン,ピザ,フォカッチャ,クラッカー,ビスケット,タルト,スナック,菓子,クリスプ,堅果,甘味又は塩味のスナック菓子,トルティーヤ,生の又は乾燥したパスタ等の甘口又は辛口のベーカリー食品;出来合いの食品;及びソースから選択されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の食品。
【請求項15】
液体状であることを特徴とする請求項14に記載の食品。
【請求項16】
医療用であることを特徴とする請求項14又は15に記載の食品。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−528586(P2012−528586A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513687(P2012−513687)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【国際出願番号】PCT/IB2010/001100
【国際公開番号】WO2010/140034
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(511294202)アッカエッフェ エウロペ ソチエタ ア レスポンサビリタ リミタータ (1)
【Fターム(参考)】