説明

ゼオライト支持多孔質体、その製造方法および選択分離及び反応分離装置

【課題】気体、有機物または無機物の選択的な分離に優れたゼオライト支持多孔質体、その製造方法および選択分離及び反応分離装置を提供する。
【解決手段】
細孔を持つ多孔質支持体の少なくとも細孔部分にゼオライト結晶層が突出して設けられているゼオライト支持多孔質体、および前記ゼオライト支持多孔質体を有する選択分離及び反応分離装置。細孔を持つ多孔質支持体の少なくとも細孔部分に、ゼオライト結晶を生成するシリカとアルミナ原料の水分散液および/または水溶液を接触させる工程、前記シリカとアルミナ原料の水分散液および/または水溶液を水熱反応してゼオライト結晶層を生成する工程を有するゼオライト支持多孔質体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゼオライト支持多孔質体、その製造方法、および気体、有機物または無機物の選択分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼオライト膜に関する従来技術を俯瞰するに当たり、American Chemical Societyが編集する、Chemical AbstractをGeneral
Subject Indexをキーワード、Zeolite Membraneで、引っかかる全ての文献、報文と特許に目を通し要約した。ケミアブの1987年から、現在までの、25年にわたり展望したことになる。
ケミアブの俯瞰からわかることは、中国からの文献が最も多い。中国の文献は、オリジナルペーパーが、日本中を探しても見つからず、ケミアブの要約以外に詳しいことは不明である。一番新しいものは非特許文献1が挙げられる。非特許文献1は、四十一編の文献を展望したもので、ゼオライト膜は、二種の合成法によって製造されることが記載されている。direct growthとpost−synthetic crystal attachment methodとしている。
二番目に新しい中国の文献は、非特許文献2が挙げられる。非特許文献2は、NaA膜で、水素と窒素の透過か、Viscous flow & Knudsen proliferation togetherと決めつけている。
/N=3.36で、クヌードセン拡散の3.74よりも、少し悪いとしている。
中国に続いて多いのが、日本である。代表的には、非特許文献3が挙げられる。
非特許文献3は、四ページに過ぎないコミュニケーションであるが、窒素に対するセシウムの百五十に達する選択率は異常で、他は全て10以下であった。
一方ベンゼンとシクロヘキサンの分離のデータは、不思議である。本発明者の実験によると、ZSM−5膜が分子篩的にぴったりであり、Y膜は、少し細穴がおおき過ぎる。ケミアブの全ての俯瞰から、言えることは、ゼオライト膜と言っているものが、全てゼオライト結晶の細孔以外のそれより、大きな孔との混合であることと、大きな孔の部分の細孔径分布が狭いほど、優れた膜と評価されていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】 Xiandai Huagong 2008,28(8)33−37
【非特許文献2】 Zhongguo Taoei 2008,4482)20−22,19
【非特許文献3】 草壁、J.Membrane cience208(2002)415−418
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のゼオライト膜では、窒素・酸素やパラキシレンなどを選択的に効率よく分離できる透過膜としては十分ではなかった。
本発明は、この様な背景技術に鑑みてなされたものであり、気体、有機物または無機物の選択的な分離に優れたゼオライト支持多孔質体およびその製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記のゼオライト支持多孔質体を用いた、気体、有機物または無機物の選択的な分離に優れた選択分離及び反応分離装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のゼオライト支持多孔質体は、細孔を持つ多孔質支持体の少なくとも細孔部分にゼオライト結晶層が突出して設けられていることを特徴とする。
本発明のゼオライト支持多孔質体の製造方法は、細孔を持つ多孔質支持体の少なくとも細孔部分にゼオライト結晶層が突出して設けられているゼオライト支持多孔質体の製造方法であって、細孔を持つ多孔質支持体の少なくとも細孔部分に、ゼオライト結晶を生成するシリカとアルミナ原料の水分散液および/または水溶液を接触させる工程、前記シリカとアルミナ原料の水分散液および/または水溶液を水熱反応してゼオライト結晶層を生成する工程を有することを特徴とする。
本発明の選択分離装置は、上記のゼオライト支持多孔質体を有することを特徴とする気体、有機物または無機物の選択分離及び反応分離装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、気体、有機物または無機物の選択的な分離に優れたゼオライト支持多孔質体およびその製造方法を提供することができる。
また、本発明は、上記のゼオライト支持多孔質体を用いた、気体、有機物または無機物の選択的な分離に優れた選択分離及び反応分離装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】 本発明のゼオライト支持多孔質体を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明のゼオライト支持多孔質体は、細孔を持つ多孔質支持体の少なくとも細孔部分にゼオライト結晶層が突出して設けられていることを特徴とする。
前記ゼオライト結晶層が、ゼオライトA、ゼオライトZSM−5、シリカライト、モルデナイト、ゼオライトXまたはゼオライトYからなることが好ましい。
前記多孔質支持体がモノリシス構造からなる多孔質体であることが好ましい。
前記多孔質支持体の細孔の平均孔径が10〜50μmであることが好ましい。
図面を用いて、本発明のゼオライト支持多孔質体の一実施態様を示す。図1は、本発明のゼオライト支持多孔質体を説明する説明図である。図1に示すゼオライト支持多孔質体において、図1(a)は濃度分極を発生させる構造である。
図1(b)は理想的な構造であり作製するのが困難である。図1(c)は本発明のゼオライト支持多孔質体の構造を示す。図中、1はゼオライト結晶層、2は細孔の表面部分、3は多孔質支持体の細孔、4は多孔質支持体、5はゼオライト支持多孔質体である。
図1(c)に示す様に、本発明のゼオライト支持多孔質体5は、細孔を持つ多孔質支持体2の少なくとも細孔部分である細孔の表面部分2に、ゼオライト結晶層1が突出して設けられている。細孔の表面部分2は、多孔質支持体の表面部分の細孔部分で、細孔の上にゼオライト結晶層1が形成されている。ゼオライト結晶層1は、多孔質支持体4の外側の表面を被覆する様にも設けられている。多孔質支持体の細孔部分に設けられたゼオライト結晶層1は、多孔質支持体の細孔の周囲の面よりも外側に突出して設けられている。
次に、本発明のゼオライト支持多孔質体の製造方法は、細孔を持つ多孔質支持体の少なくとも細孔部分にゼオライト結晶層が突出して設けられているゼオライト支持多孔質体の製造方法であって、細孔を持つ多孔質支持体の少なくとも細孔部分に、ゼオライト結晶を生成するシリカとアルミナ原料の水分散液および/または水溶液を接触させる工程、前記シリカとアルミナ原料の水分散液および/または水溶液を水熱反応してゼオライト結晶層を生成する工程を有することを特徴とする。
前記シリカとアルミナ原料の水分散液および/または水溶液は、調整後2日以内に水熱反応を行うことが好ましい。
前記多孔質支持体の細孔部分にシリカとアルミナ原料の水分散液および/または水溶液を接触させた後、ピンホールを検知する工程を有し、前記ピンホールを検出した場合には前記ピンホールに再度シリカとアルミナ原料の水分散液および/または水溶液を接触させてピンホールを塞ぐことが好ましい。
前記ピンホールの検知には、青色LEDを用いたピンホール検知器を使用することが好ましい。
前記多孔質支持体の細孔部分にシリカとアルミナ原料の水分散液を接触させた後に、シリカとアルミナ原料の水溶液を接触させて水熱反応を行うことが好ましい。
前記シリカとアルミナ原料の水分散液および/または水溶液の粘度は、5〜500c.p.であることが好ましい。
前記シリカおよび/またはアルミナの粒子が、その粒子の短径と長径の比が、短径:長径=1:1.2〜1000であるコロイド粒子からなることが好ましい。
次に、本発明の選択分離及び反応分離装置は、上記のゼオライト支持多孔質体を有することを特徴とする気体、有機物または無機物の選択分離及び反応分離装置である。
空気分離において、窒素、アルゴン、酸素を選択して分離することが好ましい。
混合キシレンの分離において、パラキシレン、パラキシレンとエチルベンゼン、メタキシレンを選択して分離することが好ましい。
六フッ化ウランの混合物の分離において、六フッ化ウラン235を選択して分離することが好ましい。
前記ゼオライト支持多孔質体の多孔質支持体がモノリシス構造からなり、これにクロスフロー回路を組み込むことが好ましい。
次に、本発明のおける好ましい実施態様を示す。
本発明のゼオライト支持多孔質体は、多孔質支持体の細孔上にある、ゼオライト結晶層は、供給側に飛び出して存在することが好ましい。
空気分離において、窒素が選択されて、酸素よりも、早く透過すること、ただし、アルゴンは、いつも酸素に従属的に遅れて透過することが好ましい。
酸素が選択的に透過し、窒素が酸素に遅れて透過し、この場合にも、アルゴンは、酸素に、従属し、酸素に遅れて透過することが好ましい。
混合キシレンを供給側にすると、パラキシレンのみが、透過することが好ましい。
混合キシレンを供給すると、透過側にパラキシレンとエチルベンゼンが透過することが好ましい。
混合キシレンを供給すると、パラキシレン、エチルベンゼンとオルキシレンが透過し、メタキシレンのみが、透過を拒否される。
メタンのみが、供給側に、供給されて、LiAゼオライト結晶に接触して、触媒反応を受けて、二量化し、エチレンとなる、そして、水素が発生する。生成した、エチレンと水素のみが選択透過する。
ゼオライト膜を太陽熱ヒートパイプに利用することが好ましい。
ゼオライト膜の分離特性は、六フッ化ウラン235に対して、遠心分離よりも、優れた性能を発揮することが好ましい。
本発明のゼオライト支持多孔質体は、不完全ゼオライト膜よりも、完全ゼオライト膜であるので、セシウムの捕集に高い性能を発揮する。
Hiroshi Suzuki,USP4,699,892(1987)によって、ゼオライト膜時代の幕が開かれた。この特許による、根本的なゼオライト膜の概念は、今日依然として不変である。しかし、水熱反応により、その場合成で、ゼオライト膜を得ると言う基本概念で、付きまとう問題は、反応室と透過室の間の関係である。濃度分極を絶対に発生させない、構造を必ず作り出すことは、至難のことである。それも、濃度分極を完全ゼオライト膜において発生させないことである。透過室に比べて、闇に高圧にすることではない、わずかな圧力差が求められる。
1987年以降のゼオライト膜とケミアブのゼネラルインデックスで、タイトルとなっている文献全ての内容を読んで見て、全てが不完全ゼオライト膜に関するものであった。つまり、ゼオライト結晶からなる、透過部分は、一部に過ぎずゼオライト結晶以外に、それよりも、大きな孔が併存することが、条件であった。つまり、クヌードセン流れと、ほぼ同等の挙動をするものと断定されていた。従って、このような膜から、誤解を受けなくするために、ケミアブに記載された、ゼオライト膜を不完全ゼオライト膜と称し、本発明のゼオライト膜を完全ゼオライト膜と区別した。また、分離において、窒素と酸素、すなわち空気分離が最も困難なテーマである。何しろ窒素十四、酸素十六である。全てのケミアブの中の、ゼオライト膜のゼネラルインデックスがある、文献の中を読んだが、空気分離に触れたものは、無かった。ドイツの在米資産を中心に構成された、ユニオン、カーバイド・アンド・カーボン社の研究者を第二次大戦後、ロンドンのインペリアル・カレッジの、バーラー教授の元に派遺し、合成ゼオライト結晶・粒子の研究を完成させた、チームは、これらを用いた圧力スウイング法で、酸素の生産コストを試算した。しかし、窒素の脱着コストが高すぎて深冷分離を凌駕しないことが、判明した。
USP4,699,892出願当時ゼオライト膜に適した多孔質支持体は、コーニング社の多孔質石英ガラスVYCOR7930、のみであった。その後ムライトと言われる水中に空気を溶け込ませる細管が検討されたが、未焼結品であることが明らかにされ、断念された。続いてNOK社の多孔質アルミナが検討され、優れたゼオライト結晶の支持体と認められたが、NOK社から、これらは、研究所内で、コストを無視して作られたものであり、工業化する予定がないと発表されて、がっかりさせられた。
続いて自動車の排ガス処理用に、フォード社によって開発された、ハネカム、モノリスと称される、コージェライト製の多孔質が検討された。コージェライトは、押し出し機から、水粘性のドウ状で、連続押し出され、任意の長さで切断された。切断された、二面に、薄くコージェライトの幕を張り、市松状にレーザーで、吹き飛ばして、四角い井戸状の連続孔の片方のみが、ふさがれた構造にした上、焼結された。このような規格のサンプル、直径三センチ、長さ五センチの最小のサンプルがデンソー社によって提供された。このサンプルを入れる反応器に、江口精機株式会社製作のステンレス製反応器に、二本のP−30シリコンオーリングで、固定された。ユニオン昭和製、モレキュラーシーブ4A POWDER(祖粒)大粒NaA粉末、強熱減量2.2wt%(575C)を二倍容のイオン交換水に分散させた。このまま、直接反応器に投入しても良いが、増粘剤を併用した方が好ましい結果が得られる。増粘剤は、水溶性アクリル樹脂が代表的である、CMC,HEC,PVAも、使用可能である。
この際、増粘剤が、ゼオライト膜の一部の成分となるものが更に好ましい。代表的に水ガラスと日産化学社製コロイダルアルミナである。日産化学社製シリカゾル、触媒化成、アルミナゾル、扶桑化学工業社製超高純度シリカゾル、コロイダルシリカ、日本アエロジル、煙霧状超微粒子シリカ粉末、トクヤマ、同様、Cabot Corp, GE, Hoechstなどがある。水ガラスは、中小のメーカーの手になる、不安定な商品である、しがって日産化学社製、コロイタルアルミナが一番安定的に入手可能である。塩酸安定化の100、酢酸安定化の200と硝酸安定化の520とあるが、いずれでも、用途に応じて使い分けられる。2倍容のイオン交換水にゼオライト粉末を分散させてから、50cc三角フラスコに、40cc入れて、アルミナゾル200Lot No.80302を茶さじ四杯を入れて良く撹拌した。
モノリスの細孔は、27μmも、あり大きい、ピンホールが、残りやすい。特に外周方向にピンホールが残り易い。これを防止するには、リアクターを暗室内で、透過側から、光を当てて観察すると良い。特に青色LEDがピンホール発見に最適である
閉塞させた、反応器に、メタケイ酸ナトリウム、小宗化学薬品製、同じ重さのアルミン酸ナトリウム、シグマ・アルドリッチ・ジャパン製、CP,No.U7643を四倍容のイオン交換水に溶解させた。ゼオライト粉末で閉塞させた上、反応室にメタケイ酸とアルミン酸の混合液を満たした。下の蓋と上の蓋に夫々スウェージロックで、気圧計を固定した。坂口電熱製長さ1.5メートル幅1.5センチのシリコン・ヒーターを二本並列に接続して、四十七ボルト出力、入力AC100Vで、一時間水熱反応した。絶えず透過室側が反応室よりも、少し高圧に維持されるように努めた。二本のシリコンヒートテープ以外に、透過室の下に、ドウナツ状あるいは、座布団状の追加ヒーターを併用すると効果的であった。反応後、室温に戻るのを待ち、窒素と酸素ガス透過させて、窒素選択透過ゼオライト完全膜と確認した。この状態で、ゼオライト膜は、NaA膜であり、窒素の選択透過性は、せいぜい1.2から2.0である。この状態まで、水熱反応はゼオライト結晶の成長促進がもとめられる。
水熱反応は、ゼオライト結晶・生成が促進される反応と、結晶・成長を促進させない反応に二分される。コージェライト支持体の上に完全ゼオライト膜を生成させる反応は、ゼオライト結晶・成長促進反応である。しかし、ナトリウムイオンで、完成されたゼオライトを更に、イオン交換する反応は、結晶が成長してはまずい反応である。従ってナトリウム・イオンから、成長を阻止するイオンに交換する必要がある。多孔質支持体の上で、その場合成で、完全ゼオライト膜を完成させる為の最適温度は45℃〜105℃の範囲であり、ナトリウム・イオンの支配下が好ましい。しかし、この程度の温度では、ゼオライト結晶の安定性から、不十分である。更に高温の処理が必要になる。その為には、ナトリウム・イオン以外の他のイオンによる、処理が必要になる、完全ゼオライト膜として、最終的に使用するに適したカチオンで、処理された場合は良いが、そおでない場合は、問題である。ゼオライト結晶が、それ以上、成長しないように、各種カチオンで、交換して、回りまわって終着駅に到着することになる。
ゼオライトを構成する三大原料の品質は、大変重要な問題である。シリカ源、アルミナ源とアルカリ源は、いずれも固体が好ましい。液体での保管は、急激に劣化する。従って、液体である、水ガラスや、アルミナゾルの品質は、大変な問題である。しかし、この性質を逆に利用すると、大きな成果が得られる。
小宗化学薬品製メタケイ酸ナトリウム、シグマ・アルドリッチ・ジャパン製、アルミン酸ナトリウムと、東京化成製、テトラn−プロピル・アンモニウム・ハイトロキサイド、水20−25%溶液を使用して、完全ZSM−5膜を合成した。シリカとアルミナ源を新鮮な固体から、溶液を合成して直ちに使用した。
得れた完全膜をバリウムにイオン交換して、混合キシレンの透過実験を行った。パラキシレンのみが透過した。シリカ源とアルミナ源を水溶液で、一晩寝かせた。得られた完全ZSM−5膜をバリウムにイオン交換して、混合キシレンの透過実験を行った。パラキシレンとエチルベンゼンが共に、透過した。シリカ源とアルミナ源の水溶液を一週間放置し、完全ZSM−5膜の合成をおこなった。得られた膜の混合キシレンの透過実験で、メタキシレンのみが拒否されて、パラキシレン、エチルベンゼンとオルソキシレンが透過した。このことから、シリカ源とアルミナ源ともに、分子篩の精緻な構造に、重大な影響を与えていると言える。ZSM−5膜の細孔径は、5.8オングストローム(0.58nm)である。
新鮮なシリカ源とアルミナ源を用いたNaAゼオライト完全膜は、カチオンをカルシウムに交換して、最大窒素が酸素に対して8倍の選択率を示した。この場合、シリカ源とアルミナ源を一週間放置した。完全ゼオライトNaA膜を合成し酸素の窒素に対する選択率を測定すると、アルファO2/N2=1.3〜2.0であった。このまま、イオン交換して、カルシウムにしたCaA膜も同様であった。しかし、NaA膜を新鮮なシリカ源とアルミナ源を使用して、再度水熱反応を行った。完全CaA膜の酸素選択率は、8倍から20倍に向上した。前述のZSM−5膜のシリカ源とアルミナ源とキシレン混合体の関係は、明らかに分子篩に、新鮮と古い原料で、相違が生じているが、酸素選択透過膜の場合は、異なる現象である。ZSM−5膜の細孔径5.8オングストローム(0.58nm)は、ベンゼン核の大きさに近く、分子篩効果が強く働いている。しかし、完全CaA膜の細孔径4.2オングストローム(0.42nm)は、酸素・窒素共に分子径は、2オングストローム(0.2nm)強程度で、分子篩として説明がつかない。
CaA完全膜は、径11〜13オングストローム(1.1〜1.3nm)のソーダライ骨格を中心に前後左右四方にと、上下に、計六個の径4.2オングストローム(0.42nm)の出入り口が付いている。最初の古いシリカ源とアルミナ源によって、ソーダライトが形成される、この中には、酸素を呼びよせ、窒素を排除する情報が組み込まれている。径4.2オングストローム(0.42nm)の出入り口は、二度目の新鮮なシリカ源とアルミナ源によって、作り直されたものである。酸素とアルゴンの分離特性が思った以上に悪い。その理由はいまだに不明である。アルゴンは、地中のカリウム由来のもので、酸素とは、大幅に物性が異なるものでありながら、完全CaA膜では、酸素に従属し、窒素選択透過膜でも、酸素選択透過膜でも、酸素からは二倍遅く透過する。
空気中78%の窒素を無視して20.5%の酸素のみを取り扱う完全ゼオライト膜は、新しい時代の開拓者である。透過されるものが、単に窒素から、酸素に変わったと言うだけでなく、全ての酸素が4.2オングストローム(0.42nm)の細孔を通過していることから、完全無菌酸素と言える。健常者は、言うに及ばず、COPD、白血病などの患者の方々にも、推奨される、携帯型酸素発生器の登場となる。そおなれば、とことん膜厚を薄くして行く必要がある。もとのアメリカ特許4,699,892出願当時の膜透過抵抗は、水柱10メートル程度であった。モノリスで、酸素選択透過膜の開発当時は、水柱1メートル程度であった。猛烈な努力の結果、目下膜抵抗は、水柱0.01〜0.02m程度である。この程度に透過抵抗が低下すると、肺の持つ陰圧のみで、携帯型空気分離器を稼働可能になり、ポンプとモーターを追放することに成功した。径三センチ、長さ五センチのモノリスで、肺の陰圧のみの、稼働で酸素の透過は、三リッター/min.である。この量は、市販のCOPD患者用の圧力スウィング法の装置と同等である。ジョギング時には、テニス時には、容量不足である。窒素透過側に、細いパイプを二本接続して、それぞれの足に接続した。靴のかかととつま先のいずれかか、両方にポンプを仕込み窒素側を吸引した。それぞれの排気は、靴の中に導き、水虫の足を窒素気流中にキープした。酸素の透過容量は十リッター/min.に達した。この二法に、加えるに、ディーゼルエンジンの排気ガス用のモノリスを転用し、モーターとポンプを組み合わせたものと酸素製造コストを比較した。足ポンプ併用が最も廉価で、単に肺圧を利用が中間で、据え置き型が最も高価であったが、いずれの三法も、酸素製造コストで深冷分離を凌駕していた。
径3cm、長さ5cmのモノリスをステンレス製、モジュールに入れ、CaA完全ゼオライト膜で、酸素選択透過性のものをスウェージロック配管で、シマズ製TCD−GC(Shimazu GC−8A)に、固定した。キャリアーガス、ヘリウムで、空気を注射器で注入した。普通のガスクロと大幅に異なる、窒素酸素が完全分離された。
反応分離膜と言う、新しい専門用語を導入します。完全ゼオライトLiA膜に、メタンを導入します。メタン2モルから、エチレン1モルと水素2モル生成する。従来この反応は、進行しなかった。つまりメタンから、エチレンを得るには、まずメタンから、一酸化炭素と水素を得て、これをメタノールに変えて、メタノール2モルから、1モルのエチレンを得ていた。これは反応の平衡が存在して、メタンから、直ちにエチレンに反応は進行しなかった。しかし、膜が存在しメタンとエチレンを共存させない。つまり、生成したエチレンと水素を直ちに反応系外に除去することにより、メタンから、直接的にエチレンが得られることが成立した。同様にエチルベンゼンから、スチレンと水素を直接的に得ようとすると、平衡があって、容易に進行しない。しかし、反応分離膜が存在すると、容易に反応が進行する。メタンハイドレートは、日本沿海に広く分布しているが、深海に存在する、更に水とメタンの組み合わさったもので、水は氷である。このように、取りだし条件悪いものであり、氷を環境汚染に寄与させないために、深海から、採取して、直ちに海上に向かって氷の溶け出すところまで、上昇して、氷から、メタンがかい離したら、直ちに氷を深海に戻し、直ちにメタンを完全ゼオライトLiA膜に取りこんでエチレンに変換した。ゼオライト膜による、反応分離膜反応は、スケールメリットの全然無い反応である、従って、反応分離のみをメタンハイドレートの発生地点で行い、後続の反応は、化学コンビナート内で行うことが合理的である。エチレンは、ポリエチレンの原料、酸化エチレン、エチレングリコールになるが、オリゴメリゼーションして、イソオクテンに、更に水添しイソオクタンにされた。
ヒートパイプ現象でも、素晴らしい効果が発揮された。完全ゼオライト膜は、気体は、容易に透過するが、液体は、容易に透過しない。この特性を利用したヒートパイプは素晴らしい。ゼオライト膜面に、液体の水が薄く存在し、太陽の直射を受けている、大気中および、水中に拡散したセシウム同位体の補足除去は、大きな問題である。草壁は不完全ゼオライト膜で、大気中の最大の成分窒素と比較して、百五十倍の選択吸着率は信じられない。完全ゼオライト膜では、確実な数字が示された。
放射性同位元素の分離で、六フッ化ウランは、238質量が、99.3%と235が0.7%からなり、核分裂をするのは、後者のみである。遠心分離で質量の大きい238の方を壁よりに集めで、分離するが、その作業は大変なものである、原発に必要な低濃度ウランで235が20%以下、高濃度ウランになると、20%以上の濃度を必要としている。また、軽水炉では、たったの3〜5%の濃度で実用になる。
【実施例】
【0009】
実施例1
使用した、径30mm×長さ50mmのデンソー製モノリスの特性は、次の通りである。平方インチあたりのセル数二百、セルピッチ1.8mm、セル壁厚0.15mm、開口径1.5mm、細孔容積0.6cc/g、細孔径27μm、表面積257平方cmである。シリコン・ゴム製二本のP−30オーリングで、江口精機製リアクターに固定し、ユニオン昭和製疎粒NaAに、少量の日産化学社製アルミナ100を添加した。ユニオン昭和製NaA水分散液をモノリス上から、万辺に流し、乾燥させた。上下の蓋を取り、暗室内で、透過側に、青色LEDで観察した。最外周部分にピンホールが見られたので、スポイドで、NaA水分散液を滴下して、ピンホールをふさいだ。
イワキ製三角フラスコに、イオン交換水40mlを入れ、小宗化学薬品製メタケイ酸ナトリウムと、シグマ・アルドリッチ・ジャパン製アルミン酸ナトリウムCP,No.U7643を夫々10g入れ、更に日産化学社製アルミナゾル100を耳かき1/2杯入れて良く撹拌した。この水熱反応液をモノリスの上部に満たし上下に、圧力計を取りつけた。反応器の胴部分に、熱電対を固定し、その上を坂口電熱製シリコン・テープ、幅1.5cm、長さ1.5mをぐるぐる巻きにした。下蓋部分にドーナツ状のヒーターを当てて、幅1.5cm、長さ1.5mのテープで縦方向ぐるぐる巻きにした。このものをレンガで取り囲んだ炉に入れて、東京理工社製スライダックRSA−5型で、47Vにセットした。圧力計を監視して、絶対に上室が下室よりも、高圧にならないように、また、圧差が微小に維持されるよう努め、一時間通電した。最高温度は90℃であった。暗室内ピンホール・テストの結果青色が少し透過した。メタケイ酸ナトリウムとアルミン酸ナトリウムのみの水熱反応液をスポイドで流し、同じ水熱反応液で、47V30分水熱反応した。
酸素より、窒素が1.2倍早く透過した。空気も、分離し濃度分極を発生しないことを確認した。小宗化学薬品製塩化カルシウム二水和物を10gをイワキ製三角フラスコ50mlに取り、撹拌した。上室に満たしスライダックを55Vで、イオン交換した。窒素が酸素よりも、7倍早く選択透過した。モノリスをリアクターから、取り出し、上室、反応室側に、神田ゴム化学製、外径1.1mmの塩ビ管を長さ10cmに切り、各孔に突き刺した。モノリスの外に出た部分をエポキシ樹脂で結束し、塩ビケースに入れた。これで、クロスフロー付き携帯モシュールが完成した。
実施例2
デンソー製モノリス径30mm,長さ50mmを江口製リアクターに固定した。ユニオン昭和製NaAを使ってピンホールの無い状態に固定した。メタケイ酸ナトリウムとアルミン酸ナトリウム水溶液を室温一週間放置した。十分ピンホールを除去したものは、酸素が窒素の1.3倍早く透過した。更に新鮮な水熱反応液で、水熱反応させてから、CaAにイオン交換すると、酸素の選択透過性が窒素の十倍を超えた。クロスフロー回路をつけて、石英綿で、プレフィルターを作り肺の陰圧のみで、駆動させて、3L/min.の酸素が得られた。窒素流れ部分を二本の細い管で、両足に導き、靴の底にポンプを作り窒素流れを吸引した。酸素の流量は10L/min.に向上した。ジョギングとテニスに好都合であった。靴の中は、窒素で満たされ、水虫の治療に効果があった。
実施例3
実際にジーゼル・エンジンに使われるNGK製径140m,高さ150mmのモノリスを江口製リアクターに固定し、ユニオン昭和製顆粒NaAを増粘剤を併用して、ピンホールレスに固定した。更に新鮮な水熱反応液で、水熱反応した。90℃の反応で、塩化リチウムで、130℃イオン交換した。フィードが、メタンのみで、透過側は、水素とエチレンのみである。非透過流れ、リテンダントがない流れで、クロスフローの回路が不要である。メタンハイドレートは、日本近海の深海部に豊富に存在する。しかし、氷の中にメタンが閉じ込められた状態である。深海から、メタンハイドレートを採取して、海上に向かって持ち上げて、氷が解けて、メタンが解離した時、氷を海底に戻し、メタンを完全ゼオライト膜モジュールに取り込んだ。反応分離膜装置には、スケールメリットがなく、この部分のみメタンハイドレートの存在する海上で、操作し、以降の反応の場は、化学コンビナート内に移して実行された。同様ZSM−5膜で、原料がエチルベンゼンのみで、透過側がスチレンと水素のみであった。
実施例4
セントラルガラス製中空糸の両端をジメチルシロキサンで、結束して、ステンレス製モジュールとした。供給側に、ユニオン昭和がUOPから輸入したZSM−5粉末を充填した。新鮮なメタケイ酸ナトリウム9gとアルミン酸ナトリウム1gとで、増粘剤に触媒化成製アルミナゾル耳かき1/2杯使用した。ビンホールを完全に除去して、塩化バリウムにイオン交換した。水熱反応とイオン交換反応で、シリコンゴムは、ボロボロになり、反応後日産化学製BondXで、結束したが、更に粉末ガラス旭硝子フリットAP5717と複合化させた。混合キシレンを透過させると、パラキシレンのみが透過した。水熱反応液を室温一夜放置した、得られたBaZSM−5膜では、パラキシレンとエチルベンゼンが透過した。一週間放置した、水熱反応液でのBaZSM−5膜では、メタキシレンのみが、リジェクトされた。この三種のBaZSM−5膜の組み合わせで、キシレン異性体四種全てが分画されることが証明された。
実施例5
ピンホール検出用の各種LEDを比較した。AgAが最も効果的にピンホールを発見できた。CaAとLiAは、ピンホール発見が不明確であった。700nmにピークを持つ赤Rは、よく見えた。白Wも、よく見えた。515nmにピークのある緑Gは、見えにくい。青B450nmは、もっともよく見えたが、減衰も大きかった。赤Rは、よく見えたが、減衰は、低かった。昼光DLは、ほとんど見えない。1300nmの赤外は、全然みえなかった。365nmの紫外は、全然みえなかったし、発熱が大きかった。590nmの黄色Yは、最大によく見えたが、選択性が低かった。大きなピンホールで、赤Rが、最も強力であったが、細孔が一層小さくなると選択性が低下した。以上の結果、青BのLEDを最も優れたものと断定した。
実施例6
六フッ化ウランの濃縮には、一般に遠心分離法が使われる、遠心分離法の陰に隠れているのが、ガス拡散法である。この方法は理想的分離係数は、1.00429とされるが、実際は1.003程度の分離係数しかない、ガス拡散法を色々と検討すると、この方法はクヌードセン流れと同等である。ガス拡散法の壁には数十オングストロームの細孔が開けられているが、完全ゼオライト膜AgYには、7.8オングストロームの細孔のみである。ケミカルアブストラクトの全ての、ゼオライト膜は、クヌードセン流れであった。つまり不完全ゼオライト膜は、ガス拡散法と同等の性能ということである。完全ゼオライト膜で、NaY膜を合成し銀にイオン交換した。AgY膜で、原料が、235ウランを0.7%含む六フッ化ウランを供給して、分離係数8.0で、ウラン235が、5.6%に濃縮された。
実施例7
径30mm、長さ50mmのデンソー製モリノスで、完全ゼオライト膜CaAを合成した。江口製モジュールに固定し、スゥージロックで、シマズ製GC−8AのTCD−GCに接続した。キャリアガスのヘリウムの流量を徐々に増加させた、ヘリウムが多いほど、分離特性は優れたものになった。ゼオライト粒子を充填した、カラムでは、大きな窒素のピークのテイルに酸素のピークが、乗って、分離されることなく、記録されるが、完全ゼオライト膜では、窒素の大きなピークと酸素のピークは、完全に分離し、一番遅く現れたアルゴンも、分離していた。酸素選択透過完全膜では、まず酸素のピーク、続いてアルゴン、そして窒素のピークが見られた。
実施例8
ヒートパイプは、一般的に銅管の熱伝導率を利用したものであるが、完全ゼオライト膜は、銅よりも優れた性能を発揮する。完全ゼオライト膜を極限まで薄くした膜では、気体の透過抵抗が大変低く、液体の透過は、大変遅い。この特性を生かして多段あるいは、カスケード、更には、多段とカスケードを同時に利用した、ヒートパイプが実験された一般のヒートパイプは、相変化を頻発させて、熱伝動するために、その効率に限界があった。完全ゼオライト膜では、膜を挟んで相変化するが、全体としては、相変化していないと言う不思議な現象に支持されております。
実施例9
セシウムCs55の同位体137は、半減期約三十年と長く、健康障害をもたらすことから、恐れられている。ケミアブの1992年のVol.109から、最新のものまで、読んだが草壁の論文のみが、異常に高い分離係数百五十を示した。窒素を大気の代表とするデータで、それ以外のデータでは、全てクヌードセンとチョボチョボで10以下となっていた
VYCOR商標で代表されるコーニング社の多孔質石英ガラスは、水熱反応の高いアルカリに耐久性がなかった。しかし、トム・エルマーから、郵送された最後のサンプルのみが、高アルカリ性に耐久性をしめした。この中空糸の両端をジメチルシロキサンで、結束し、NaZSM−5微粒子、新鮮なシリカ・アルミナ源、東京化成テトラn−プロピル・アンモニウム・ハイドロキサイド、水20−25%溶液を使用し、完全ゼオライト膜を完成させた。膜反応器の供給側に充填した、NaZSM−5粉末を除去し、塩化バリウムにイオン交換した。ゼオライト粉末の充填されていた部分に楽天市場、あす楽対応関東活性炭を充填した。放射線同位元素セシウム137の吸着特性を評価した。完全ゼオライト膜を透過させるまでもなく、十分活性炭に選択吸着されることが証明された。
【0010】
実施例10
ヘリウム3は、月の表面に豊富に存在する元素で、これをボール一個分持ち帰ると、アメリカ中の一年分の全ての電力を賄うことが可能になる。ガスクロ用にアメリカから、輸入されたヘリウム・ガスを使って模擬試験した。完全酸素選択透過膜がヘリウムの選択性が高かった。この膜モジュールを月に持ち込みロボットにより、操作されて、地球にヘリウム3の高純度品を持ち帰ることを実証した。
実施例11
反応/分離膜の最適反応条件を見つけることは、困難である。しかし、フーリエ変換された、赤外分光機(FT−IR)に、ゼオライト完全膜を組み込んだFT(reac/sep)IRを組み込んで、反応・分離の最適条件を発見すると簡単である。この装置が開発されたことにより、誰でも容易に反応分離を実験可能にした。
実施例12
メタン嫌気性発酵によって発生するバイオガスは、相対湿度100%、メタンと炭酸ガスが等量のカロリーの低いガスである。このものから湿度と炭酸ガスを除去すれば、ほぼ純メタンになり、カロリーが著しく向上し、付加価値も向上する。しかし、そのような精製する手段が今までなかった。本発明のゼオライト膜及び反応分離膜によって見事この難題が解決された。
実施例13
軽質ナフサは、付加価値の低い存在である。n−ペンタン、n−ヘキサンと言った付加価値の高い溶媒として有用な成分を除去すれば、残りの軽質ナフサは、著しくオクタン価が向上して一石二鳥である。しかし、従来の圧力スウィング法では、脱パラフィン・コストが高かった。そこで、ゼオライト膜法の登場である。きわめて簡単にかつ廉価に達成された。
実施例14
シュナーベル率いるドイツ・ショツト社は、ビースバーデンにパイロットプラントを建設して、多孔質石英中空糸膜の開発に臨んだ。しかし、シュナーベルの中空糸結束には、エポキシ樹脂しかなく、バイオ分野に限定されていた。その頃小生のグループには、既に無機接着剤があり、シュナーベルから、無償供与の要請があったが、応じなかった。それで、シュナーベルは、間もなく撤退した。これほど大切な無機接着剤は、リン酸アルミ、ケイ酸ソーダ、ケイ酸カリ、ケイ酸リチウム、粘土鉱物のモンモリロナイト、サポナイトなどから、選ばれた水溶液または水分散液と必要に応じて無機充填剤として、シリカ、アルミナ、ジルコニアなどの化合物からなるセラミックス粉末などと混合したものである。この無機接着剤は、かたくてもろい欠点がある。ガラスフリットとの複合化が大変効果的である。半導体封止剤用に各種融点のガラスフリットが開発されている。これらは、いずれも複合化に有用である。
実施例15
A型ゼオライト、X型Y型ゼオライトは、いずれもソーダライト骨格をビルディングユニットとする、1950年代ロンドン・イペリアル・カレッジのバラー教授の基UCCリンデ事業部の研究者によって確立されたものである。A型は酸素八員環からなる最小の細孔径4.2オングストローム(0.42nm)である。アルミとシリカがほぼ半々で構成されている。XYは、アルミの含有量大の方がX型、アルミの含有量の少ない方がY型で、酸素十二員環、細孔7.8オングストローム(0.78nm)である。酸素10員環からなるZSM−5あるいはシリカライトは、細孔径5.8オングストーム(0.58nm)である。シリカライトは、アルミ含有量ゼロである。続いてZS−5がアルミ含有量が少なく、A型が50%とアルミ含有量が最も多く、続いてX型がアルミ含有量が多い。モルデナイトは、天然ゼオライトの一種であるが、日本に良質の鉱山が多く細孔径5.0〜8.0オングストローム(0.5〜0.8nm)ライト・ナフサから、重質ナフサまでの炭化水素を選択処理に好適なゼオライトである。直枝、分枝、飽和、不飽和、ナフテン系炭化水素を反応分離して、芳香族炭化水素に変える。A型X型Y型は、ソーダライト骨格を有するゼオライトであるから、コークを生成しやすい欠点があるしかし、ペンタシルや、モルデナイトは、コークを生成しにくく、工業的に有用なゼオライト膜である。Wilsonらが開発した、リン酸系ゼオライト膜も、今後注目されるゼオライト膜である。AlPO、SAPOを中心に展開されよう。
【産業上の利用可能性】
【0011】
本発明のゼオライト支持多孔質体は、気体、有機物または無機物の選択的な分離に優れた選択分離及び反応分離装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0012】
1 ゼオライト結晶層
2 細孔の表面部分
3 多孔質支持体の細孔
4 多孔質支持体
5 ゼオライト支持多孔質体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細孔を持つ多孔質支持体の少なくとも細孔部分にゼオライト結晶層が突出して設けられていることを特徴とするゼオライト支持多孔質体。
【請求項2】
前記ゼオライト結晶層が、ゼオライトA、ゼオライトZSM−5、シリカライト、モルデナイト、ゼオライトXまたはゼオライトYからなる請求項1に記載のゼオライト支持多孔質体。
【請求項3】
前期多孔質支持体が中空糸構造からなる多孔体である請求項1に記載のゼオライト支持多孔体。
【請求項4】
前記多孔質支持体がモノリシス構造からなる多孔質体である請求項1に記載のゼオライト支持多孔質体。
【請求項5】
前記多孔質支持体の細孔の平均孔径が10〜50μmである請求項1乃至3のいずれかの項に記載のゼオライト支持多孔質体。
【請求項6】
細孔を持つ多孔質支持体の少なくとも細孔部分にゼオライト結晶層が突出して設けられているゼオライト支持多孔質体の製造方法であって、細孔を持つ多孔質支持体の少なくとも細孔部分に、ゼオライト結晶を生成するシリカとアルミナ原料の水分散液および/または水溶液を接触させる工程、前記シリカとアルミナ原料の水分散液および/または水溶液を水熱反応してゼオライト結晶層を生成する工程を有することを特徴とするゼオライト支持多孔質体の製造方法。
【請求項7】
前記シリカとアルミナ原料の水分散液および/または水溶液は、調整後2日以内に水熱反応を行う請求項5に記載のゼオライト支持多孔質体の製造方法。
【請求項8】
前記多孔質支持体の細孔部分にシリカとアルミナ原料の水分散液および/または水溶液を接触させた後、ピンホールを検知する工程を有し、前記ピンホールを検出した場合には前記ピンホールに再度シリカとアルミナ原料の水分散液および/または水溶液を接触させてピンホールを塞ぐ請求項5または6に記載のゼオライト支持多孔質体の製造方法。
【請求項9】
前記ピンホールの検知には、青色LEDを用いたピンホール検知器を使用する請求項5乃至7のいずれかの項に記載のゼオライト支持多孔質体の製造方法。
【請求項10】
前記多孔質支持体の細孔部分にシリカとアルミナ原料の水分散液を接触させた後に、シリカとアルミナ原料の水溶液を接触させて水熱反応を行う請求項5乃至8のいずれかの項に記載のゼオライト支持多孔質体の製造方法。
【請求項11】
水熱反応、ゼオライト結晶化促進反応の条件である、ナトリウム・イオン水溶液中の反応を比較的低温で行い、後の反応である、イオン交換反応を比較的高温で行う製造方法。
【請求項12】
前記シリカおよび/またはアルミナの粒子が、その粒子の短径と長径の比が、短径:長径=1:1.2〜1000であるコロイド粒子からなる請求項5乃至10のいずれかの項に記載のゼオライト支持多孔質体の製造方法。
【請求項13】
請求項1乃至4のいずれかに記載のゼオライト支持多孔質体を有することを特徴とする気体、有機物または無機物の選択分離及び反応分離装置。
【請求項14】
ゼオライト膜面のカチオン、触媒を利用して、反応させて直ちに、選択分離する反応分離装置。
【請求項15】
前期反応分離装置において、メタンが原料として、供給されて、透過物として、エチレンと水素が得られる反応分離装置。
【請求項16】
空気分離において、窒素、アルゴン、酸素を選択して分離する請求項12に記載の選択分離装置。
【請求項17】
前期請求項15において、水熱反応液を一週間室温放置して水熱反応に使用し、更に新鮮なシリカ源とアルミナ現を使用して、もう一度水熱反応するゼオライト膜製造法。
【請求項18】
携帯型酸素発生器の膜透過抵抗を水柱0.01〜0.02m程度に低下させて、ポンプとモーターを不要とさせ、肺の持つ陰圧のみで、運転可能にさせた選択分離装置。
【請求項19】
前期選択分離装置において、窒素流れを日本の配管で、両足の土ふまずに導き、靴底の吸引ポンプで、窒素を靴中に導き、酸素の発生量を増大させる方法。
【請求項20】
混合キシレンの分離において、パラキシレン、パラキシレンとエチルベンゼン、メタキシレンを選択して分離する請求項12に記載の選択分離装置。
【請求項21】
六フッ化ウランの混合物の分離において、六フッ化ウラン235を選択して分離する請求項12に記載の選択分離装置。
【請求項22】
前記ゼオライト支持多孔質体の多孔質支持体がモノリシス構造からなり、これにクロスフロー回路を組み込む請求項12に記載の選択分離及び反応分離装置。
【請求項23】
メタンの嫌気性発酵において、炭酸ガス選択透過ゼオライト膜装置を利用する方法。
【請求項24】
メタンの嫌気性発酵において、メタン選択透過ゼオライト膜装置を使用する方法。
【請求項25】
ライト・ナフサを原料としてオクタン価を向上させるシリカライト膜選択分離装置。
【請求項26】
ブタジエン、プロパジエン、BTXなどの溶剤抽出法よりも優れたゼオライト膜分離装置。
【請求項27】
エチレン、プロピレン、ブテンなどの軽質炭化水素の選択分離・精製装置。
【請求項28】
ゼオライト膜を持った多孔質支持体からなる中空糸結束体あるいは、膜モジュールを金属、セラミックス、あるいはガラス、ガラスホーロウからなる容器に密封する無機接着剤。
無機接着剤はリン酸アルミニウム、ケイ酸ソーダ、ケイ酸カリ、ケイ酸リチウム、粘土鉱物のモンモリロナイト、サポナイトなどから選ばれた水溶液または水分散液、と必要に応じ無機充填剤として、シリカ、アルミナ、ジルコニアなど化合物からなるセラミックス粉末などと混合したものである。
【請求項29】
前期において、更に必要に応じて、増粘効果を目的として、粒子の短径と長径の比が1:1.2〜1:1000からなるコロイダルシリカ、コロイタルアルミナやベントナイトなど及び、PVA,CMC,ガム類など水溶性有機高分子から選択させた添加材を含む。
【請求項30】
前期請求項27及び28において、無機接着剤がガラス・フリットと複合化してなるもの。
【請求項31】
酸素または高濃度酸素による内燃機関、あるいは、スターリングのような外燃機関用の酸素発生器。

【図1】
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【公開番号】特開2013−43170(P2013−43170A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196519(P2011−196519)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(511220371)
【Fターム(参考)】