ゼオライト材料を生成するための有機テンプレート不要の合成プロセス
【課題】YO2及びX2O3を含む、BEA骨格構造を有するゼオライト材料を生成するための、有機テンプレート不要の合成プロセスを提供する。
【解決手段】前記プロセスは、(1)種晶、少なくとも1種のYO2供給源及び少なくとも1種のX2O3供給源を含む混合物を調製する工程;(2)該混合物を結晶化する工程;及び(6)BEA骨格構造を有する前記ゼオライト材料をイオン交換処理に供する工程、を含み、ここで、Yは、四価元素であり、Xは、三価元素であり、該種晶は、BEA骨格構造を有するゼオライト材料含み、工程(6)において、BEA骨格構造を有する前記ゼオライト材料に含まれる少なくとも1つのイオン性の非骨格元素がFe及び/又はCuとイオン交換されることを特徴とする。
【解決手段】前記プロセスは、(1)種晶、少なくとも1種のYO2供給源及び少なくとも1種のX2O3供給源を含む混合物を調製する工程;(2)該混合物を結晶化する工程;及び(6)BEA骨格構造を有する前記ゼオライト材料をイオン交換処理に供する工程、を含み、ここで、Yは、四価元素であり、Xは、三価元素であり、該種晶は、BEA骨格構造を有するゼオライト材料含み、工程(6)において、BEA骨格構造を有する前記ゼオライト材料に含まれる少なくとも1つのイオン性の非骨格元素がFe及び/又はCuとイオン交換されることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、BEA骨格構造を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料、および有機テンプレートの使用を必要としない前記材料を生成するためのプロセスに関する。さらに、本発明は、触媒プロセスおよび/または排気ガスの処理における、BEA骨格構造を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料の使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
BEA骨格構造を有するゼオライト材料について最も突出して最もよく研究されている例は、ゼオライトベータであり、これは、その骨格にSiO2およびAl2O3を含むゼオライトであり、3次元12員環(12MR)ポア/チャネルシステムを有する最も重要なナノポーラス触媒の1つであると考えられており、石油精製およびファインケミカル産業において広く利用されている。ゼオライトベータは、米国特許第3,308,069号において初めて報告されたものであり、構造規定剤(structure directing agent)としてテトラエチルアンモニウムカチオンの使用が必要である。それ以来、他の構造規定剤(例えば、米国特許第4,554,145号におけるジベンジル−1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンまたは米国特許第4,642,226号におけるジベンジルメチルアンモニウム)の使用をはじめとした多数の変更および改善がその手順に対して行われてきたが、その調製について公知のプロセスは、いまだに有機テンプレート化合物の使用に頼っている。米国特許第5,139,759号では、例えば、ゼオライトベータの合成手順に有機テンプレート化合物を含めない場合は、その代わりにZSM−5が結晶化されると報告されている。
【0003】
一般に特殊ゼオライトの合成では、結晶化の速度を改善するため、ならびに得られる結晶のサイズおよび形態に影響を及ぼすために、核剤として種晶がしばしば使用される。しかしながら、これらは必ずしも、得られる生成物と同じタイプのゼオライトである必要はない。例えば、米国特許第4,650,655号では、ZSM−5を合成する際に、構造規定剤としてのテトラプロピルアンモニウムに加えて、ZSM−11、ZSM−50またはゼオライトベータ種晶を使用することが教示されている。
【0004】
ゼオライトベータなどのBEA骨格構造を有するゼオライト材料の公知の生成方法の第1の欠点は、非常に長い結晶化の時間に関係する。例えば、米国特許第5,139,759号では、種晶無添加ゲルの場合72時間ならびに種晶添加の場合66および68時間という、ゼオライトベータについての結晶化の時間が開示されている。結晶化の時間は、かき混ぜによって、例えば、回転式オートクレーブを使用することによって、さらに短縮することができるが、これにはかなり高額な装置および維持のコストが伴うので、工業規模では実行不可能である。
【0005】
さらに、これらのゼオライト材料の合成において有機テンプレート化合物を使用することには、そこで用いられるテトラアルキルアンモニウム塩類および他の有機化合物が高価なファインケミカルズであるという大きな不都合がある。このことに加えて、得られる生成物は、有機テンプレートの周りに作られたゼオライト骨格に包まれた有機テンプレートを必然的に含むことから、例えば触媒として、実際に利用するためには、その材料を多数の細孔が開いた体積のものにするために、除去工程が必要になる。
【0006】
しかしながら、その有機テンプレート化合物の完全な除去は難しく、高温、通常、200〜930℃またはそれ以上でのか焼によってしか通常達成されない。有機テンプレートは、そのプロセスにおいて破壊されて再利用され得ないので、この手順は生成コストを大いに高めるだけでなく、生成時間も長くし、過剰なエネルギー消費ももたらし、有害ガスおよび他の望まれない廃棄物も生成する。
【0007】
これらの大きな不都合に加えて、その厳しい熱処理のせいで、最終的にはその生成は、耐熱性のゼオライトベータ、特に、高シリカゼオライトベータに限定されてしまう。有機テンプレートを除去するためのか焼に対する環境に優しい代替法としてイオン交換法が開発されてきたが、有機テンプレートの一部の再利用しか成功しない可能性があり、残りはゼオライト骨格と強く相互作用しすぎて除去できない。
【0008】
したがって、ゼオライトベータなどのBEA骨格構造を有するゼオライト材料は、一連の触媒反応において優れた特性を示すが、それらのさらなる潜在用途は、その合成の際に有機テンプレートを使用することが原因で、未だ大きく限定されている。
【0009】
Xiaoら「Organotemplate−free and Fast Route for Synthesizing Beta Zeolite」,Chem.Mater.2008,20,4533−4535およびSupporting Informationには、ゼオライトベータを合成するためのプロセスが記載されており、そこでは、ゼオライトベータ種晶を使用したアルミノケイ酸ゲルの結晶化が行われている。特に、アルミノケイ酸ゲルは、シリカ源としてヒュームドシリカ、水酸化ナトリウム、アルミン酸ナトリウムおよび水から出発して調製され、次いで、前記ゲルは、140℃の温度のオートクレーブにおいて17〜19時間にわたって結晶化される。しかしながら、前記書類にはアルミノケイ酸ゲルを調製するために異なる出発物質を使用することに関して何の示唆もないし、前記書類は、結晶化のための混合物中に同形置換に適する元素を含む可能性を示していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、BEA骨格構造を有するゼオライト材料の有機テンプレート不要の合成のためのプロセスを提供することである。
【0011】
また、穏やかな条件下で行うことができ、かつゼオライト構造に対して非破壊である、BEA骨格構造を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料を生成するためのプロセスを提供することも、本発明の目的である。特に、骨格構造に存在する有機テンプレートを除去するために高温でのか焼処理または他の処理を必要としない、そのような材料を生成するためのプロセスを提供することも目的であった。
【0012】
本発明のさらなる目的は、特に、結晶化の時間、エネルギー消費および環境汚染に関して、BEA骨格構造を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料を生成するための費用効率が高い改善されたプロセスを提供することだった。
【0013】
これに加えて、結晶化プロセスから直接得られるようなインタクトな構造を示す、BEA骨格構造を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料を提供することも本発明の目的だった。
【0014】
本発明のさらなる目的は、BEA骨格構造を有する新規ゼオライト材料、特に、例えば触媒および/または触媒支持体として都合よく使用することができるゼオライト材料を提供することだった。
【0015】
本発明によれば、驚いたことに、BEA骨格構造を有するゼオライト材料はその合成において有機テンプレートを使用せずに得ることができることが見出された。特に、合成プロセスにおいてBEA骨格構造を有するゼオライト(zeoitic)材料の種晶を使用するとき、BEA骨格構造を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料は、それらの生成において有機テンプレートを使用しなくても得ることができることが見出された。したがって、BEA骨格を有するゼオライト材料を直接得るためのワンポット合成手順が提供され、ここで、その多孔性は、直接与えられるものであり、結晶化された骨格から構造規定剤を除去するための1つまたはそれ以上の合成後処理によって初めて提供されてはいけない。
【0016】
さらに、驚いたことに、BEA骨格構造を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料を直接合成するための方法を提供することのほかに、本発明のプロセスが、有機テンプレートの使用に頼るプロセスと比べて結晶化の時間をかなり短縮させることが見出された。その結果として、本発明のプロセスは、環境に優しいだけでなく、生成の時間とコストの両方を大きく減少させる。
【0017】
これらの相当の利点に加えて、驚いたことに、本発明のプロセスによれば、現在の用途および新規の用途において都合よく利用することができる新規特性を示すBEA骨格構造を有する新規ゼオライト材料を得ることができると見出された。特に、有機テンプレート(oganotemplate)によって媒介される合成ではその化学組成および/または物理的性質が得られない可能性があるBEA骨格を得ることができる。この点において、本発明のプロセスは、有機テンプレートの使用に頼った合成手順の生成物と比べて、特定の同質異像に関して濃縮されたBEA骨格構造を有するゼオライト材料をもたらすことができることが、思いがけなくも見出された。さらに、BEA骨格構造を有する新規ゼオライト材料の粉末X線回折パターンでは、有機テンプレートによって媒介される合成手順から得られるBEA骨格構造を有するゼオライト材料の粉末X線回折パターンと比べて、反射の少なくとも一部の2°シータ値が著しくシフトする。
【0018】
特に、Xiaoらに記載されているようなゼオライトベータの有機テンプレート不要の合成のためのプロセスに関して、驚いたことに、結晶化のための混合物にさらなる元素を組み込むことが可能であり、よって、単純なワンポット合成プロセスにおいてゼオライト骨格内のSiおよび/またはAlの同形置換がもたらされると見出された。したがって、ゼオライトベータの結晶化の後に行われる、コストが高くかつ時間のかかる同形置換の工程は、単純な合成手順では排除され得ることが見出された。このことに加えて、本発明に記載のワンポット合成手順は、通常そのような合成後の同形置換手順に固有の、ゼオライト構造の任意の厳しい処理を回避する。
【0019】
さらに、驚いたことに、有機テンプレート不要の合成手順においてシリカ源として新しい出発物質を使用することにより、Xiaoらに教示されたような手順(シリカ源として単独でヒュームドシリカが教示されている)と比べて、結晶化の時間がさらに短縮され得ることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0020】
従って、本発明は、YO2及びX2O3を含む、BEA骨格構造を有するゼオライト材料を生成するための、有機テンプレート不要の合成プロセスであって、前記プロセスは、
(1)種晶、少なくとも1種のYO2供給源及び少なくとも1種のX2O3供給源を含む混合物を調製する工程;
(2)該混合物を結晶化する工程;及び
(6)BEA骨格構造を有する前記ゼオライト材料をイオン交換処理に供する工程、
を含み、
ここで、Yは、四価元素であり、Xは、三価元素であり、
該種晶は、BEA骨格構造を有するゼオライト材料含み、
工程(6)において、BEA骨格構造を有する前記ゼオライト材料に含まれる少なくとも1つのイオン性の非骨格元素がFe及び/又はCuとイオン交換される。
【0021】
本発明のプロセスによれば、工程(1)において提供され、工程(2)において結晶化される混合物は、有機構造規定剤、具体的には、BEA骨格構造を有するゼオライト材料の合成において使用される有機構造規定剤、特に、特定のテトラアルキルアンモニウム塩類および/または関連する有機テンプレート(例えば、テトラエチルアンモニウム塩類および/またはジベンジルメチルアンモニウム塩類ならびにジベンジル−1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン)の不純物より多くをいずれの時点においても含まない。そのような不純物は、例えば、本発明のプロセスにおいて使用される種晶中に依然存在する有機構造規定剤が原因となり得る。しかしながら、種晶材料に含まれている有機テンプレートは、種晶骨格内に捕捉されているが従って本発明の意味の範囲内の構造規定剤として作用しない可能性があるので、その有機テンプレートは、結晶化プロセスに関与しない可能性がある。
【0022】
さらに、骨格構造によって形成される細孔および空洞に存在し得、一般にゼオライト材料にとって典型的な非骨格元素に対立するものとしての構造構築(structure building)元素として、YO2および任意にX2O3はBEA骨格構造内に含められる。
【0023】
本発明によれば、BEA骨格構造を有するゼオライト材料は、工程(2)において提供される。前記材料は、YO2を含み、ここで、Yは、考えられる任意の四価元素を表し、Yは、1種または数種の四価元素を表す。本発明に記載の好ましい四価元素としては、Si、Sn、Ti、ZrおよびGeならびにそれらの組み合わせが挙げられる。より好ましくは、Yは、Si、TiもしくはZrまたは前記三価元素の任意の組み合わせ、なおもより好ましくは、Siおよび/またはSnを表す。本発明によれば、YがSiを表すことが特に好ましい。
【0024】
さらに、本発明のプロセスによれば、YO2を含むBEA骨格構造を有するゼオライト材料が工程(2)において結晶化され得る場合、YO2は、考えられる任意の形態で工程(1)において提供され得る。好ましくは、YO2は、それ自体として、および/または化学部分としてYO2を含む化合物として、および/または本発明のプロセス中にYO2に化学的に変換される(部分的または全体的に)化合物として、提供される。YがSi、または、1種もしくはそれ以上のさらなる四価元素とSiとの組み合わせを表す本発明の好ましい実施形態において、工程(1)において提供されるSiO2に対する供給源は、考えられる任意の供給源であり得る。従って、例えば、すべてのタイプのシリカおよびケイ酸塩類、好ましくは、ヒュームドシリカ、シリカヒドロゾル、反応性アモルファス固体シリカ、シリカゲル、ケイ酸、水ガラス、メタケイ酸ナトリウム水和物、三二ケイ酸塩もしくは二ケイ酸塩、コロイドケイ酸、焼成シリカ、ケイ酸エステル類、またはテトラアルコキシシラン類、あるいはこれらの化合物のうちの少なくとも2つの混合物を使用することができる。
【0025】
工程(1)に記載の混合物がSiO2の少なくとも1つの供給源を含む本発明のプロセスの好ましい実施形態において、前記供給源は、好ましくは、シリカおよびケイ酸塩類、好ましくは、ケイ酸塩類、より好ましくは、アルカリ金属ケイ酸塩類からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む。好ましいアルカリ金属ケイ酸塩類のうち、少なくとも1つの供給源は、好ましくは、水ガラス、より好ましくは、ケイ酸ナトリウムおよび/またはケイ酸カリウム、より好ましくは、ケイ酸ナトリウムを含む。本発明の特に好ましい実施形態において、SiO2に対する供給源は、ケイ酸ナトリウムである。さらに、シリカを含む実施形態では、ヒュームドシリカが好ましい。
【0026】
特に、驚いたことに、SiO2の少なくとも1つの供給源が水ガラスを含むとき、結晶化が加速されることが見出された。このことは、水ガラスが、本発明のプロセスにおいて使用されるSiO2に対する唯一の供給源であるときに特に当てはまる。
【0027】
BEA骨格構造を有するゼオライト材料がX2O3をさらに含み、Xが考えられる任意の三価元素を表し、Xが1種または数種の三価元素を表す実施形態がさらに好ましい。本発明に記載の好ましい四価元素としては、Al、B、InおよびGaならびにそれらの組み合わせが挙げられる。より好ましくは、Yは、Al、BもしくはInまたは前記三価元素の任意の組み合わせ、なおもより好ましくは、Alおよび/またはBを表す。本発明によれば、XがAlを表すことが特に好ましい。
【0028】
例えば、ホウ素が組み込まれる場合、例えば、遊離ホウ酸および/またはホウ酸塩および/またはホウ酸エステル、例えば、ホウ酸トリエチルまたはホウ酸トリメチルを、出発物質として使用することができる。
【0029】
BEA骨格構造を有するゼオライト材料がX2O3を含む本発明の好ましい実施形態によれば、少なくとも1種のX2O3供給源は、工程(1)において提供される。X2O3を含むBEA骨格構造を有するゼオライト材料が工程(2)において結晶化され得る場合、通常、X2O3は、考えられる任意の形態で提供され得る。好ましくは、X2O3は、それ自体として、および/または化学部分としてX2O3を含む化合物として、および/または本発明のプロセス中にX2O3に化学的に変換される(部分的または全体的に)化合物として、提供される。
【0030】
XがAl、または1種もしくはそれ以上のさらなる三価元素とAlとの組み合わせを表す本発明のより好ましい実施形態において、工程(1)において提供されるAl2O3に対する供給源は、考えられる任意の供給源であり得る。例えば、任意のタイプのアルミナおよびアルミン酸塩、アルミニウム塩類、例えば、アルカリ金属のアルミン酸塩類、アルミニウムアルコラート類、例えば、トリイソプロピル酸アルミニウムもしくはアルミナ水和物、例えば、アルミナ三水和物、またはそれらの混合物を使用することができる。好ましくは、Al2O3に対する供給源は、アルミナおよびアルミン酸塩からなる群、好ましくは、アルミン酸塩、より好ましくは、アルカリ金属のアルミン酸塩から選択される少なくとも1つの化合物を含む。好ましいアルカリ金属のアルミン酸塩のうち、少なくとも1つの供給源は、好ましくは、アルミン酸ナトリウムおよび/またはアルミン酸カリウム、より好ましくは、アルミン酸ナトリウムを含む。本発明の特に好ましい実施形態において、Al2O3に対する供給源は、アルミン酸ナトリウムである。
【0031】
本発明のプロセスの特に好ましい実施形態によれば、工程(1)に記載の混合物は、YO2に対する供給源として少なくとも1つのケイ酸塩およびX2O3に対する供給源として少なくとも1つのアルミン酸塩、より好ましくは、少なくとも1つのアルカリ金属ケイ酸塩および/または少なくとも1つのアルカリ金属のアルミン酸塩、なおもより好ましくは、少なくとも1つの水ガラスを含み、ここで、前記好ましい実施形態のアルカリ金属は、好ましくは、ナトリウムおよび/またはカリウム、より好ましくは、ナトリウムを含み、なおもより好ましくは、そのアルカリ金属は、ナトリウムである。
【0032】
工程(1)に記載の混合物が少なくとも1種のX2O3供給源を含む本発明のプロセスの好ましい実施形態において、YO2とX2O3の両方を含むBEA骨格構造を有するゼオライト材料が工程(2)において結晶化される場合、その混合物のYO2:X2O3のモル比は、考えられる任意の値を有することができる。通常、そのモル比は、1〜100、好ましくは、5〜85、より好ましくは、10〜60、より好ましくは、20〜55、より好ましくは、25〜50、特に好ましくは、35〜45の範囲である。混合物のYO2:X2O3のモル比が15〜40、より好ましくは、20〜35、なおもより好ましくは、25〜30の範囲である実施形態がさらに好ましい。
【0033】
さらに好ましい本発明の実施形態において、得られるおよび/もしくは入手可能なゼオライト材料ならびに/または本発明のプロセスに記載のようなものとしての本発明の材料は、少なくとも1つの(at least on)アルカリ金属M、好ましくは、ナトリウムおよび/またはカリウム、より好ましくは、ナトリウムを含む。そのアルカリ金属は、本発明のプロセスの考えられる任意の段階において加えることができ、ここで、好ましくは、工程(1)においても加えられる。より好ましくは、BEA骨格構造を有するゼオライト材料に含まれるアルカリ金属の全量が、本発明のプロセスの工程(1)において加えられる。本発明のプロセスの特に好ましい実施形態において、そのアルカリ金属は、工程(1)において提供されるYO2および/または少なくとも1種のX2O3供給源に少しまたはすべて含められ、ここで、好ましくは、そのアルカリ金属は、それらの中にすべて含められる。
【0034】
BEA骨格構造を有するゼオライト材料が工程(2)において結晶化される場合、通常、アルカリ金属Mは、本発明のプロセスの工程(1)に記載の混合物中に考えられる任意の量で含められ得る。好ましくは、工程(1)に記載の混合物中のM:YO2のモル比は、0.1〜2、より好ましくは、0.2〜1、より好ましくは、0.3〜0.9、なおもより好ましくは、0.45〜0.75の範囲である。
【0035】
本発明のプロセスの好ましい実施形態によれば、工程(1)に記載の混合物は、少なくとも1種のX2O3供給源および少なくとも1つのアルカリ金属Mを含む。BEA骨格構造を有するゼオライト材料が工程(2)において結晶化される場合、通常、考えられる任意の量のこれらの成分を混合物中に含めることができる。好ましくは、工程(1)に記載の混合物中のYO2:X2O3:Mのモル比は、(1〜100):1:(2〜90)、より好ましくは、(5〜85):1:(5〜70)、より好ましくは、(10〜60):1:(8〜50)、より好ましくは、(20〜55):1:(11〜40)、より好ましくは、(25〜50):1:(13〜35)、なおもより好ましくは、(35〜45):1:(15〜30)の範囲である。
【0036】
本発明のプロセスによれば、工程(1)において提供される混合物は、水酸化物アニオンOH-に対する1種またはそれ以上の供給源を含むことができる。通常、OH-に対して考えられる任意の供給源を使用することができ、ここで、その少なくとも1つの供給源は、好ましくは、金属水酸化物、より好ましくは、アルカリ金属Mの水酸化物、より好ましくは、水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウム、なおもより好ましくは、水酸化ナトリウムを含む。混合物がYO2に対する供給源としてケイ酸塩および/またはX2O3に対する供給源としてアルミン酸塩を含む本発明のプロセスの好ましい実施形態では、その混合物がOH-に対する供給源を含まないことが特に好ましい。
【0037】
BEA骨格構造を有するゼオライト材料が工程(2)において結晶化される場合、通常、本発明のプロセスの工程(1)に記載の混合物のOH-:YO2のモル比は、考えられる任意の値を有することができる。好ましくは、前記モル比は、0.1〜1、より好ましくは、0.2〜0.9、より好ましくは、0.3〜0.7、より好ましくは、0.4〜0.65、なおもより好ましくは、0.43〜0.62の範囲である。
【0038】
本発明のプロセスによれば、工程(1)において種晶が提供され、ここで、前記種晶は、BEA骨格構造を有するゼオライト材料を含む。BEA骨格構造を有するゼオライト材料が工程(2)において結晶化される場合、通常、前記種晶は、BEA骨格構造を有する任意のゼオライト材料を含むことができる。好ましくは、種晶に含まれるBEA骨格構造を有するゼオライト材料は、本発明のプロセスに従って得られたゼオライト材料である。より好ましくは、種晶に含まれるBEA骨格構造を有するゼオライト材料は、その後の工程(2)において結晶化されるBEA骨格構造を有するゼオライト材料と同じものである。ゼオライトベータ、より好ましくは、本発明のプロセスに従って得られたゼオライトベータを含む種晶が、特に好ましい。特に好ましい実施形態において、種晶は、ゼオライトベータ結晶、好ましくは、本発明のプロセスに従って得られたゼオライトベータ結晶である。
【0039】
本発明のプロセスによれば、BEA骨格構造を有するゼオライト材料が工程(2)において結晶化される場合、任意の適当な量の種晶を、工程(1)に記載の混合物中に提供することができる。通常、工程(1)に記載の混合物中に含まれる種晶の量は、少なくとも1種のYO2供給源におけるYO2の100wt.%に基づいて、0.1〜50wt.%、好ましくは、0.5〜40wt.%、より好ましくは、1〜35wt.%、より好ましくは、2〜25wt.%、より好ましくは、3〜20wt.%、特に好ましくは、5〜15wt.%の範囲である。本発明のプロセスによれば、15〜45wt.%、より好ましくは、20〜40wt.%、なおもより好ましくは、25〜35wt.%の範囲である種晶の量が、さらに好ましい。
【0040】
本発明に記載の工程(1)において、混合物は、考えられる任意の手段によって調製することができ、ここで、かき混ぜによる混合、好ましくは撹拌を用いた混合が好ましい。
【0041】
本発明の好ましい実施形態において、本発明のプロセスの工程(1)に記載の混合物は、さらに溶媒を含む。BEA骨格構造を有するゼオライト材料が工程(2)において結晶化され得る場合、考えられる任意の溶媒を考えられる任意の量で使用することができる。好ましくは、その溶媒は、水を含み、ここで、混合物のH2O:YO2のモル比は、1〜100、好ましくは、2〜60、より好ましくは、5〜50、より好ましくは、7〜45、より好ましくは、10〜30、特に好ましくは、15〜25の範囲である。本発明のプロセスによれば、混合物のH2O:YO2のモル比が15〜45、より好ましくは、20〜40、なおもより好ましくは、25〜35の範囲であることがさらに好ましい。特に好ましい実施形態において、工程(1)において提供される溶媒は、蒸留水である。
【0042】
本発明のプロセスの好ましい実施形態において、工程(1)に記載の混合物は、BEA骨格構造内のY原子および/またはX原子の少なくとも一部の同形置換に適した少なくとも1つの元素の少なくとも1つの供給源をさらに含む。通常、考えられる任意の元素を使用することができる。好ましい実施形態において、その少なくとも1つの元素は、Cu、Co、Cr、Ni、Fe、VおよびNbからなる群、好ましくは、Cu、Co、Cr、Ni、Feからなる群、より好ましくは、CuおよびFeからなる群から選択され、ここで、さらにより好ましくは、その少なくとも1つの元素は、Feである。特に好ましい実施形態において、同形置換に適した少なくとも1つの元素は、Feである。
【0043】
本発明の特に好ましい実施形態において、工程(1)に記載の混合物は、同形置換に適した少なくとも1つの元素に加えて、少なくとも1つのケイ酸塩および/または少なくとも1つのアルミン酸塩を含み、ここで、好ましくは、その少なくとも1つの元素は、Feであり、より好ましくは、前記少なくとも1つの元素は、Feである。
【0044】
従って、本発明は、BEA骨格構造を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料、好ましくは、Feによって同形置換された有機テンプレート非含有ゼオライト材料を調製するためのワンポット合成手順も提供し、ここで、同形置換は、既存の骨格の合成後処理を含む従来のプロセスによっては達成されず、骨格元素は、それらが、得られる骨格構造内にその後含められる他の原子で置き換えられ得るように処理される。特に、本発明のプロセスによれば、同形置換された骨格構造を生成するために既存の骨格原子を除去する必要はない。
【0045】
その結果として、本発明は、BEA骨格構造内のY原子および/またはX原子の少なくとも一部が少なくとも1つの元素によって同形置換された、BEA骨格構造を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料を生成するためのワンポット合成手順にも関し、ここで、その少なくとも1つの元素は、好ましくは、Cu、Co、Cr、Ni、Fe、VおよびNbからなる群から選択され、より好ましくは、その少なくとも1つの元素は、Feである。
【0046】
通常、本発明のプロセスの工程(1)によれば、同形置換に適した元素または元素の合計に対するYO2のモル比は、考えられる任意の値を有することができ、ここで、そのモル比は、好ましくは、5〜300、より好ましくは、10〜200、より好ましくは、30〜150、より好ましくは、40〜100、なおもより好ましくは、50〜90の範囲である。
【0047】
BEA骨格構造を有するゼオライト材料が工程(2)において混合物から結晶化される場合、通常、本発明のプロセスの工程(1)の混合物を提供するための個々の成分は、任意の順序で加えることができる。これは、例えば、任意の溶媒、ならびに任意に少なくとも1種のX2O3供給源および/またはOH-の少なくとも1つの供給源が加えられた後に少なくとも1種のYO2供給源が加えられることを含むことがあり、ここで、種晶だけが、後で混合物に加えられる。あるいは、任意の溶媒、ならびに任意に少なくとも1種のX2O3供給源および/またはOH-の少なくとも1つの供給源がまず加えられて、その後に種晶が加えられてもよく、ここで、その後に、少なくとも1種のYO2供給源だけが加えられる。Yに関しておよび/または任意にXに関して同形置換されたBEA骨格構造を有するゼオライト材料が、工程(2)において混合物から結晶化される場合、工程(1)において提供される混合物中に任意に存在する同形置換に適した少なくとも1つの元素の少なくとも1つの供給源は、いずれの時点において加えてもよい。例としては、同形置換のための少なくとも1つの供給源は、任意の溶媒、ならびに任意に少なくとも1種のX2O3供給源および/またはOH-の少なくとも1つの供給源を加えた後、かつ少なくとも1種のYO2供給源を加える前および/または種晶を加える前に、加えられ得る。あるいは、同形置換のための少なくとも1つの供給源は、工程(1)に記載の混合物の上述の成分の前に加えられてもよいし、後に加えられてもよい。
【0048】
BEA骨格構造を有するゼオライト材料が工程(1)に記載の混合物から結晶化される場合、通常、本発明のプロセスに記載の工程(2)は、考えられる任意の様式で行うことができる。その混合物は、任意のタイプの容器内で結晶化することができ、ここで、好ましくは、容器の回転および/または撹拌、より好ましくは、混合物の撹拌による、かき混ぜの手段が好ましくは使用される。
【0049】
本発明のプロセスによれば、混合物は、好ましくは、工程(2)における結晶化プロセスの少なくとも一部において加熱される。BEA骨格構造を有するゼオライト材料が混合物から結晶化される場合、通常、その混合物は、結晶化の考えられる任意の温度に加熱することができる。好ましくは、混合物は、80〜200℃、より好ましくは、90〜180℃、より好ましくは、95〜170℃、より好ましくは、100〜160℃、より好ましくは、110〜150℃、なおもより好ましくは、115〜145℃の範囲である結晶化の温度に加熱される。本発明のプロセスによれば、120〜160℃、より好ましくは、130〜150℃、なおもより好ましくは、135〜145℃の範囲である結晶化の温度もまた好ましい。
【0050】
本発明のプロセスの工程(2)における好ましい加熱は、BEA骨格構造を有するゼオライト材料の結晶化に適した考えられる任意の様式で行うことができる。通常、加熱は、1つの温度の結晶化で行われてもよいし、異なる温度の間で変動してもよい。好ましくは、結晶化の温度に達するために加熱勾配(heat ramp)が用いられ、ここで、その加熱速度は、好ましくは、10〜100℃/h、より好ましくは、20〜70℃/h、より好ましくは、25〜60℃/h、より好ましくは、30〜50℃/h、なおもより好ましくは、35〜45℃/hの範囲である。
【0051】
本発明の好ましい実施形態において、工程(1)に記載の混合物は、工程(2)において常圧よりも高い圧力に供される。本発明の文脈において使用される用語「常圧」は、理想状態における101,325Paの圧力に関する。しかしながら、この圧力は、当業者に公知の境界内で変動し得る。例としては、この圧力は、95,000〜106,000または96,000〜105,000または97,000〜104,000または98,000〜103,000または99,000〜102,000Paの範囲内であり得る。
【0052】
工程(1)に記載の混合物中に溶媒が存在する本発明のプロセスの好ましい実施形態において、工程(2)における加熱が、ソルボサーマル条件下で行われることがさらに好ましく、それは、その混合物が、例えば、オートクレーブ内またはソルボサーマル条件をもたらすのにふさわしい他の結晶化容器内で加熱を行うことによって、使用される溶媒の自己圧力下で結晶化されることを意味する。溶媒が水(好ましくは蒸留水)を含むかまたはそれからなる特に好ましい実施形態において、工程(2)における加熱は、好ましくは、水熱条件下においてしかるべく行われる。
【0053】
特に、特定の結晶化条件を必要とする好ましい実施形態に関して、結晶化プロセスについての所望のパラメータを実現することができる場合、結晶化のために本発明において使用することができる装置は、特に制限されない。ソルボサーマル条件下で行われる好ましい実施形態において、任意のタイプのオートクレーブまたは温浸容器を使用することができ、ここで、テフロン(登録商標)加工された装置が好ましい。
【0054】
通常、本発明のプロセスの工程(2)における結晶化プロセスの継続時間は、特に限定されない。工程(1)に記載の混合物の加熱を含む好ましい実施形態において、前記結晶化プロセスは、2〜100時間、より好ましくは、8〜70時間、なおもより好ましくは、13〜60時間の範囲である時間にわたって行われる。本発明のプロセスによれば、10〜30時間、より好ましくは、12〜25時間、なおもより好ましくは、14〜20時間の範囲である時間にわたって結晶化が行われることがさらに好ましい。さらに、35〜65時間、より好ましくは、40〜60時間、なおもより好ましくは、45〜55時間の範囲である時間にわたって結晶化が行われることが好ましい。本発明の特に好ましい実施形態によれば、結晶化は、10〜16.5時間、より好ましくは、12〜16時間、なおもより好ましくは、14〜15.5時間の範囲である時間にわたって行われる。
【0055】
混合物が工程(2)において加熱される本発明の好ましい実施形態によれば、BEA骨格構造を有するゼオライト材料が結晶化される場合、前記加熱は、結晶化プロセスの全体またはその一部分のみもしくはそれ以上の部分において、行われてもよい。好ましくは、加熱は、結晶化の継続時間全体にわたって行われる。
【0056】
したがって、本発明のプロセスの特に好ましい実施形態によれば、Yは、Siを表し、工程(1)に記載の混合物は、少なくとも1種のX2O3供給源をさらに含み(ここで、XはAlである)、工程(1)に記載の混合物のSiO2:Al2O3のモル比は、20〜55、好ましくは、25〜50、より好ましくは、35〜45の範囲である。さらに、前記特に好ましい実施形態によれば、混合物は、水酸化物アニオンの少なくとも1つの供給源、好ましくは、金属水酸化物、より好ましくは、アルカリ金属Mの水酸化物、なおもより好ましくは、水酸化ナトリウムをさらに含み、ここで、混合物のOH-:SiO2のモル比は、好ましくは、0.3〜0.7、より好ましくは、0.4〜0.65、なおもより好ましくは、0.43〜0.62の範囲である。このことに加えて、前記特に好ましい実施形態に記載の混合物は、溶媒(好ましくは蒸留水)を含み、工程(1)の混合物は、120〜160℃、より好ましくは、130〜150℃、なおもより好ましくは、工程(2)において135〜145℃の範囲である温度の水熱条件下で結晶化され、前記加熱は、10〜30時間、より好ましくは、12〜25時間、なおもより好ましくは、14〜20時間の範囲である継続時間にわたって行われる。
【0057】
前記実施形態によれば、10〜30、より好ましくは、15〜25という工程(1)に記載の混合物中のH2O:SiO2のモル比、および/または3〜20wt.%、より好ましくは、5〜15wt.%という種晶の量がさらに好ましい。
【0058】
特に好ましい本発明のプロセスのさらなる実施形態によれば、Yは、Siを表し、工程(1)に記載の混合物は、少なくとも1種のX2O3供給源をさらに含み(ここで、XはAlである)、工程(1)に記載の混合物のSiO2:Al2O3のモル比は、20〜55、好ましくは、25〜50、より好ましくは、35〜45の範囲である。さらに、前記特に好ましい実施形態によれば、混合物は、水酸化物アニオンの少なくとも1つの供給源、好ましくは、金属水酸化物、より好ましくは、アルカリ金属Mの水酸化物、なおもより好ましくは、水酸化ナトリウムをさらに含み、ここで、混合物のOH-:SiO2のモル比は、好ましくは、0.3〜0.7、より好ましくは、0.4〜0.65、なおもより好ましくは、0.43〜0.62の範囲である。このことに加えて、前記特に好ましい実施形態に記載の混合物は、BEA骨格構造内の少なくとも(a least)一部のSiおよび/またはAl原子の同形置換に適した少なくとも1つの元素を含み、ここで、少なくとも1つの元素は、好ましくは、Cu、Co、Cr、Ni、Fe、VおよびNbからなる群、より好ましくは、CuおよびFeからなる群から選択され、ここで、なおもより好ましくは、少なくとも1つの元素は、Feである。さらに、前記特に好ましい実施形態の工程(1)に記載の混合物は、溶媒(好ましくは蒸留水)をさらに含み、工程(1)の混合物は、工程(2)において、120〜160℃、より好ましくは、130〜150℃、なおもより好ましくは、135〜145℃の範囲である温度の水熱条件下で結晶化され、前記加熱は、35〜65時間、より好ましくは、40〜60時間、なおもより好ましくは、45〜55時間の範囲である継続時間にわたって行われる。前記実施形態によれば、15〜45、より好ましくは、20〜40、なおもより好ましくは、25〜35という工程(1)の混合物中のH2O:SiO2のモル比、および/または3〜20wt.%、より好ましくは、5〜15wt.%の範囲である種晶の量がさらに好ましい。
【0059】
特に好ましい本発明のプロセスのなおもさらなる実施形態によれば、Yは、Siを表し、SiO2の少なくとも1つの供給源は、アルカリ金属ケイ酸塩、好ましくは、水ガラス、より好ましくは、ケイ酸ナトリウムであり、ここで、工程(1)に記載の混合物は、少なくとも1種のX2O3供給源をさらに含み(ここで、Xは、Alである)、工程(1)に記載の混合物のSiO2:Al2O3のモル比は、15〜40、より好ましくは、20〜35、なおもより好ましくは、25〜30の範囲である。さらに、前記特に好ましい実施形態によれば、混合物は、溶媒(好ましくは蒸留水)をさらに含み、工程(1)の混合物は、工程(2)において、120〜160℃、より好ましくは、130〜150℃、なおもより好ましくは、135〜145℃の範囲である温度の水熱条件下で結晶化され、前記加熱は、10〜16.5時間、より好ましくは、12〜16時間、なおもより好ましくは、14〜15.5時間の範囲である継続時間にわたって行われる。前記実施形態によれば、10〜30、より好ましくは、15〜25というH2O:SiO2のモル比、および/または20〜40wt.%、なおもより好ましくは、25〜35wt.%の範囲である種晶の量がさらに好ましい。前記特に好ましい実施形態において、工程(1)に記載の混合物は、好ましくは工程(2)における結晶化中に、好ましくは、容器の回転および/または撹拌、より好ましくは、混合物の撹拌によって、かき混ぜられる。
【0060】
通常、本発明のプロセスは、工程(1)において提供される混合物からの、工程(2)において結晶化されたBEA骨格構造を有するゼオライト材料のワークアップならびに/またはさらなる物理的および/もしくは化学的な転移のためのさらなる工程を任意に含むことができる。その結晶化された材料は、例えば、任意の順序の単離手順および/または洗浄手順に供され得、ここで、工程(2)における結晶化から得られたゼオライト材料は、好ましくは、少なくとも1つの単離手順および少なくとも1つの洗浄手順に供される。
【0061】
結晶化された生成物の単離は、考えられる任意の手段によって達成することができる。好ましくは、結晶化された生成物の単離は、濾過、限外濾過、ダイアフィルトレーション、遠心分離および/またはデカンテーション法を用いて達成することができ、ここで、濾過方法は、吸引濾過工程および/または加圧濾過工程を含み得る。
【0062】
1つまたはそれ以上の任意の洗浄手順に関して、考えられる任意の溶媒を使用することができる。使用され得る洗浄剤は、例えば、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノールまたはプロパノール)またはそれらの2つもしくはそれ以上の混合物である。混合物の例は、2つまたはそれ以上のアルコールの混合物(例えば、メタノールおよびエタノールまたはメタノールおよびプロパノールまたはエタノールおよびプロパノールまたはメタノールおよびエタノールおよびプロパノール)、または水と少なくとも1つのアルコールとの混合物(例えば、水およびメタノールまたは水およびエタノールまたは水およびプロパノールまたは水およびメタノールおよびエタノールまたは水およびメタノールおよびプロパノールまたは水およびエタノールおよびプロパノールまたは水およびメタノールおよびエタノールおよびプロパノール)である。水または水と少なくとも1つのアルコール、好ましくは、水とエタノールとの混合物が好ましく、蒸留水が唯一の洗浄剤として特に非常に好ましい。
【0063】
好ましくは、分離されたゼオライト材料は、洗浄剤、好ましくは、洗浄水のpH(標準的なガラス電極によって測定される)が、6〜8、好ましくは、6.5〜7.5の範囲内になるまで、洗浄される。
【0064】
さらに、本発明のプロセスは、1つまたはそれ以上の乾燥工程を任意に含むことができる。通常、考えられる任意の乾燥手段を使用することができる。乾燥手順は、好ましくは、BEA骨格構造を有するゼオライト材料を加熱すること、および/またはBEA骨格構造を有するゼオライト材料に真空を適用することを含む。本発明の想定される実施形態において、1つまたはそれ以上の乾燥工程は、ゼオライト材料の噴霧乾燥、好ましくは、噴霧造粒を含み得る。
【0065】
少なくとも1つの乾燥工程を含む実施形態において、乾燥温度は、好ましくは、25℃〜150℃、より好ましくは、60〜140℃、より好ましくは、70〜130℃の範囲内、なおもより好ましくは、75〜125℃の範囲内である。乾燥の継続時間は、好ましくは、2〜60時間の範囲内、より好ましくは、6〜48時間の範囲内、なおもより好ましくは、12〜24時間の範囲内である。
【0066】
本発明のプロセスによれば、工程(2)において結晶化されたゼオライト材料は、イオン交換処理の少なくとも1つの工程に任意に供され得、ここで、本発明に記載の用語「イオン交換」は、通常、ゼオライト材料に含まれているイオン性の非骨格元素および/または分子のことを指す。通常、すべての可能なイオン性の元素および/または分子との考えられる任意のイオン交換処理は、有機構造規定剤、具体的には、BEA骨格構造を有するゼオライト材料の合成において使用される有機構造規定剤、特に、特定のテトラアルキルアンモニウム塩類および/または関連する有機テンプレート(例えば、テトラエチルアンモニウム塩類および/もしくはジベンジルメチルアンモニウム塩類ならびに/またはジベンジル−1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン)を除くゼオライト材料に対して行うことができる。好ましくは、イオン性の元素として、好ましくは、H+、NH4+、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、Auからなる群、より好ましくは、Pd、AgおよびPtからなる群、なおもより好ましくは、PtおよびPdからなる群から選択される少なくとも1つのカチオンおよび/またはカチオン性元素が使用される。好ましくは、ゼオライト材料は、まず、H+および/またはNH4+、より好ましくは、NH4+とイオン交換された後、さらなるイオン交換処理に供され、より好ましくは、1つまたはそれ以上の貴金属(Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、Au)、より好ましくは、Pd、AgおよびPtからなる群から選択される1つまたはそれ以上の貴金属、なおもより好ましくは、PtおよびPdから選択される少なくとも1つの元素とのイオン交換に供される。本発明のプロセスによれば、前記好ましいイオン性の元素の代わりにまたはそれらに加えて、ゼオライト材料が、Cu、Co、Cr、Ni、Fe、VおよびNbからなる元素の群から選択される1つまたはそれ以上のカチオン元素とイオン交換されることも好ましい。
【0067】
通常、本発明のプロセスに含まれる任意の洗浄および/または単離および/またはイオン交換の手順は、考えられる任意の(any conceivably)順序で行うことができ、所望の回数だけ繰り返すことができる。
【0068】
従って、本発明に記載のプロセスは、以下の工程
(3)BEA骨格構造を有するゼオライト材料を、好ましくは、濾過によって単離する工程、および/または
(4)BEA骨格構造を有するゼオライト材料を洗浄する工程、および/または
(5)BEA骨格構造を有するゼオライト材料を乾燥する工程、および/または
(6)BEA骨格構造を有するゼオライト材料をイオン交換処理に供する工程
のうちの少なくとも1つを任意に含み、ここで、工程(3)および/または(4)および/または(5)および/または(6)は、任意の順序で行うことができ、前記工程の少なくとも1つは、好ましくは、少なくとも1回繰り返される。
【0069】
好ましくは、本発明のプロセスは、工程(2)に従って結晶化されたゼオライト材料を、より好ましくはその濾過によって、単離する少なくとも1つの工程を含む。本発明のプロセスによれば、少なくとも1つの単離工程の後、ゼオライト材料が少なくとも1つの乾燥工程に供されることがさらに好ましく、ここで、より好ましくは、ゼオライト材料は、少なくとも1つの乾燥工程の前に少なくとも1つの洗浄工程に供される。特に好ましい実施形態において、工程(2)に従って結晶化されたゼオライト材料は、少なくとも1つの単離工程に供された後、少なくとも1つの洗浄工程、それに続いて少なくとも1つの乾燥工程に供される。
【0070】
本発明のプロセスのさらなる実施形態によれば、工程(2)において結晶化されたゼオライト材料は、事前にそのゼオライト材料の単離、洗浄または乾燥を行うことなく、少なくとも1つの乾燥工程、好ましくは、噴霧乾燥およびまたは噴霧造粒に直接供される。本発明のプロセスの工程(2)から得られた混合物を噴霧乾燥または噴霧造粒の段階に直接供することは、単離および乾燥が単一の段階で行われるという利点を有する。その結果として、本発明のこの実施形態によれば、有機テンプレート化合物の除去が回避されるだけでなく、合成後のワークアップ工程の回数が最小になる、さらにより好ましいプロセスが提供され、その結果として、BEA骨格構造を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料を、高度に単純化されたプロセスから得ることができる。
【0071】
本発明のさらなる実施形態によれば、工程(2)における結晶化から得られたゼオライト材料は、少なくとも1つの単離工程に供された後、少なくとも1つのイオン交換処理、好ましくは、少なくとも1つの単離工程の後の少なくとも1つの洗浄工程、より好ましくは、少なくとも1つの単離工程の後の少なくとも1つの洗浄工程、それに続く少なくとも1つの乾燥工程に供される。
【0072】
本発明に記載のプロセスは、好ましくは、工程(2)に従って結晶化されたゼオライト材料を、500℃を超える温度で加熱することを通常含むか焼工程を含まない。より好ましくは、か焼工程を含まないBEA骨格構造を有するゼオライト材料を生成するための本発明に記載のプロセスとは、工程(2)に従って結晶化されたゼオライト材料が、450℃、より好ましくは、350℃、より好ましくは、300℃、より好ましくは、250℃、より好ましくは、200℃、なおもより好ましくは、150℃を上回る温度に供されないプロセスのことを指す。本発明によれば、本発明のプロセスの工程(2)が完了した後に(ここで、結晶化されたゼオライト材料は外界温度である)、続いて前記材料が、BEA骨格構造を有するゼオライト材料から有機テンプレートを除去するために通常または適切に行われるいかなる加熱プロセスにも供されないことが特に好ましい。
【0073】
本発明はさらに、本発明に記載のプロセスによって、または本発明のプロセスに従って入手可能であるようなBEA骨格構造を有するゼオライト材料をもたらす任意の考えられるプロセスによって得られるBEA骨格構造を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料に関する。
【0074】
それゆえ、本発明は、本発明のプロセスに従って入手可能であるおよび/または得られるBEA骨格構造を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料にも関する。
【0075】
しかしながら、本発明は、少なくとも以下の反射を含むX線回折パターンを有する、BEA骨格構造を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料にも関する:
【0076】
【表1】
【0077】
ここで、100%は、粉末X線回折パターンにおける最大ピークの強度に関し、ここで、そのBEA骨格構造は、YO2を含み、Yは、四価元素である。好ましくは、BEA骨格構造を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料は、少なくとも以下の反射を含むX線回折パターンを有する:
【0078】
【表2】
【0079】
ここで、100%は、粉末X線回折パターンにおける最大ピークの強度に関する。
【0080】
好ましい実施形態によれば、本発明の有機テンプレート非含有ゼオライト材料は、少なくとも以下の反射を含むX線回折パターンを有する:
【0081】
【表3】
【0082】
ここで、より好ましくは、上線回折パターンは、少なくとも以下の反射を含む:
【0083】
【表4】
【0084】
ここで、100%は、粉末X線回折パターンにおける最大ピークの強度に関する。
【0085】
好ましくは、本発明に記載の粉末回折パターンを示すBEA骨格構造を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料は、本発明に記載のプロセスによって、または本発明のプロセスに従って入手可能であるようなBEA骨格構造を有するゼオライト材料をもたらす任意の考えられるプロセスによって得られる有機テンプレート非含有ゼオライト材料である。
【0086】
本発明によれば、本ゼオライト材料は、有機構造規定剤、具体的には、BEA骨格構造を有するゼオライト材料の合成において使用される有機構造規定剤、特に特定のテトラアルキルアンモニウム塩類および/または関連する有機テンプレート(例えば、テトラエチルアンモニウム塩類および/もしくはジベンジルメチルアンモニウム塩類ならびにジベンジル−1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン)の不純物より多くを含まない。そのような不純物は、例えば、本発明のプロセスにおいて使用される種晶に依然存在する有機構造規定剤が原因であり得る。
【0087】
本発明によれば、BEA骨格構造を有するゼオライト材料において、Yは、考えられる任意の四価元素を表し、Yは、1種または数種の四価元素を表す。本発明に記載の好ましい四価元素としては、Si、Sn、Ti、ZrおよびGeならびにそれらの組み合わせが挙げられる。より好ましくは、Yは、Si、TiもしくはZr、または前記三価元素の任意の組み合わせ、なおもより好ましくは、Siおよび/またはSnを表す。本発明によれば、YがSiを表すことが特に好ましい。
【0088】
本発明の好ましい実施形態において、BEA構造を有するゼオライト材料の骨格は、X2O3をさらに含み、ここで、Xは、任意の考えられる三価元素を表し、Xは、1種または数種の三価元素を表す。本発明に記載の好ましい三価元素としては、Al、B、InおよびGaならびにそれらの組み合わせが挙げられる。より好ましくは、Yは、Al、BもしくはIn、または前記三価元素の任意の組み合わせ、なおもより好ましくは、Alおよび/またはBを表す。本発明によれば、XがAlを表すことが特に好ましい。
【0089】
好ましくは、本発明のゼオライト材料は、少なくとも1つのアルカリ金属M、より好ましくは、ナトリウムおよび/またはカリウム、なおもより好ましくは、ナトリウムを含み、ここで、前記少なくとも1つのアルカリ金属は、本ゼオライト材料の非骨格元素である。
【0090】
本発明によれば、BEA骨格を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料は、好ましくは、か焼されず、より好ましくは、本発明の意味の範囲内でか焼されない。さらにより好ましくは、結晶化される条件を除いて、本発明に記載のBEA骨格構造を有するゼオライト材料は、BEA骨格構造を有するゼオライト材料から有機テンプレートを除去するために通常または適切に行われる加熱プロセスに供されていない。
【0091】
本発明の好ましい実施形態において、有機テンプレート非含有ゼオライト材料のYO2:X2O3のモル比は、2〜100、より好ましくは、4〜70、より好ましくは、5〜50、より好ましくは、6〜30、より好ましくは、7〜20、より好ましくは、8〜15、なおもより好ましくは、9〜13の範囲である。
【0092】
本発明によれば、有機テンプレート非含有ゼオライト材料のYO2:X2O3のモル比が、3〜20、より好ましくは、4〜18、より好ましくは、6〜16、より好ましくは、8〜14、より好ましくは、9〜13、なおもより好ましくは、10.5〜12.5の範囲であることがさらに好ましい。
【0093】
有機テンプレート非含有ゼオライト材料が1種またはそれ以上のアルカリ金属Mを非骨格元素として含む本発明の好ましい実施形態によれば、モル比M:X2O3は、好ましくは、0.005〜10、より好ましくは、0.05〜7、より好ましくは、0.5〜6、より好ましくは、1〜5、より好ましくは、1.5〜4.5、なおもより好ましくは、2〜4の範囲である。
【0094】
本発明によれば、有機テンプレート非含有ゼオライト材料が1種またはそれ以上のアルカリ金属Mを非骨格元素として含むとき、モル比M:X2O3は、好ましくは、0.001〜2、より好ましくは、0.01〜1、より好ましくは、0.05〜0.5、より好ましくは、0.07〜0.3、なおもより好ましくは、0.1〜0.2の範囲であることがさらに好ましい。
【0095】
通常、BEA骨格構造を有するゼオライト材料内に非骨格元素として任意に存在するアルカリ金属の少なくとも一部は、有機構造規定剤、具体的にはBEA骨格構造を有するゼオライト材料の合成において使用される有機構造規定剤、特に、特定のテトラアルキルアンモニウム塩類および/または関係する有機テンプレート(例えば、テトラエチルアンモニウム塩類および/もしくはジベンジルメチルアンモニウム塩類ならびに/またはジベンジル−1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン)を除くゼオライト材料におけるイオン交換にふさわしい少なくとも1つのカチオンおよび/またはカチオン性元素によって置換され得る。好ましくは、少なくとも1つのカチオンおよび/またはカチオン性元素は、H+、NH4+、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、Auからなる群、より好ましくは、Pd、AgおよびPtからなる群、なおもより好ましくは、PtおよびPdからなる群から選択される。本発明によれば、前記好ましいイオン性元素の代わりにまたはそれに加えて、1つまたはそれ以上のカチオン性の元素が、Cu、Co、Cr、Ni、Fe、VおよびNbからなる元素の群から選択されることも好ましい。
【0096】
本発明の好ましい実施形態によれば、BEA骨格内のY原子の少なくとも一部は、少なくとも1つの元素によって同形置換される。通常、Yは、任意の適当な元素によって同形置換され得、ここで、その少なくとも1つの元素は、好ましくは、Cu、Co、Cr、Ni、Fe、VおよびNbからなる群、より好ましくは、Cu、Co、Cr、Ni、Feからなる群、より好ましくは、CuおよびFeからなる群から選択され、ここで、さらにより好ましくは、その少なくとも1つの元素は、Feである。特に好ましい実施形態において、BEA骨格内のY原子の少なくとも一部は、Feによって同形置換される。
【0097】
BEA骨格内のY原子の少なくとも一部が少なくとも1つの元素によって同形置換される本発明に記載の実施形態において、その少なくとも1つの元素に対するYO2のモル比は、好ましくは、5〜100、より好ましくは、10〜80、より好ましくは、20〜70、なおもより好ましくは、25〜65の範囲である。少なくとも1つの元素に対するYO2のモル比が5〜60、より好ましくは、10〜50、より好ましくは、20〜40、なおもより好ましくは、25〜35の範囲である実施形態がさらに好ましい。これらに加えて、少なくとも1つの元素に対するYO2のモル比が、好ましくは、30〜85、より好ましくは、35〜70、より好ましくは、40〜65、なおもより好ましくは、45〜60の範囲である実施形態が好ましい。
【0098】
本発明によれば、BEA骨格構造を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料は、好ましくは、DIN66135に従って測定される、200〜700m2/g、好ましくは、400〜650m2/g、より好ましくは、475〜575m2/g、なおもより好ましくは、500〜550m2/gというBET表面積を有する。
【0099】
本発明の材料は、その用途の特定の要求に応じて、上に記載された分離手法、例えば、デカンテーション、濾過、遠心分離または噴霧から得られる、粉末、噴霧粉末(spray powder)または噴霧顆粒(spray granulate)の形態のような、そのようなものとして使用することができる。
【0100】
多くの産業上の用途において、一部のユーザーは、粉末または噴霧された材料としてのゼオライト材料、すなわち、母液からのその材料の分離(洗浄および乾燥、ならびにその後のか焼を任意に含む)によって得られるゼオライト材料の使用を望まないことが多く、成形物が得られるようにさらに処理されたゼオライト材料を望むことが多い。そのような成形物は、特に、多くの工業プロセス、例えば、本発明のゼオライト材料が触媒または吸着剤として使用される多くのプロセスにおいて必要とされる。
【0101】
したがって、本発明は、BEA骨格構造を有する本発明のゼオライト材料を含む成形物にも関する。
【0102】
通常、粉末または噴霧された材料を、他の任意の化合物なしで、例えば、適当な圧縮によって、形づくることにより、所望の形状、例えば、タブレット、柱体、球形などの成形物を得ることができる。
【0103】
好ましくは、粉末または噴霧された材料を、適当な耐火結合剤と混和するか、またはそれでコーティングする。通常、適当な結合剤は、結合されるゼオライト材料粒子間に、結合剤なしでも存在し得る物理収着を超える接着性および/または粘着性を付与するすべての化合物である。そのような結合剤の例は、金属酸化物、例えば、SiO2、Al2O3、TiO2、ZrO2もしくはMgOまたは粘土、あるいはこれらの化合物の2つまたはそれ以上の混合物である。使用することができる天然に存在する粘土としては、モンモリロナイト族およびカオリン族が挙げられ、それらの族は、サブベントナイト、ならびにDixie、McNamee、GeorgiaおよびFlorida粘土として通常知られるカオリン、または主要な無機成分がハロイサイト、カオリナイト、ディッカイト、ナクライトもしくはアナウキサイトであるその他のものを含む。そのような粘土は、元の採掘されたままの未処理の状態で使用することもできるし、または初めにか焼、酸処理もしくは化学修飾に供することもできる。さらに、本発明に記載のゼオライト材料は、多孔性のマトリックス材(例えば、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、シリカ−トリア、シリカ−ベリリアおよびシリカ−チタニア)ならびに三元組成物(例えば、シリカ−アルミナ−トリア、シリカ−アルミナ−ジルコニア、シリカ−アルミナ−マグネシアおよびシリカ−マグネシア−ジルコニア)と混成され得る。
【0104】
また、好ましくは、粉末または噴霧された材料(任意に、上に記載されたような適当な耐火結合剤と混和した後またはそれでコーティングした後のもの)を、例えば水を用いて、スラリーにし、適当な耐火担体上に堆積させる。そのスラリーは、他の化合物(例えば、安定剤、消泡剤、促進剤など)も含んでもよい。典型的には、その担体は、それを貫通して平行に伸びる複数の微細なガス流路を有する1つまたはそれ以上の耐火物を含む、しばしば「ハニカム」担体と呼ばれる部材を備える。そのような担体は、当分野で周知であり、キンセイ石などのような任意の適当な材料から作製されていることがある。
【0105】
通常、上に記載されたゼオライト材料は、モレキュラーシーブ、吸着剤、触媒、触媒支持体またはそれらの結合剤として使用することができる。特に好ましいのは、触媒としての使用である。例えば、ゼオライト材料は、選択的分子分離のための、例えば、炭化水素またはアミドの分離のための乾性ガスまたは液体に対するモレキュラーシーブとして;イオン交換体として;化学物質担体として;吸着剤、特に、炭化水素またはアミドを分離するための吸着剤として;または触媒として、使用することができる。最も好ましくは、本発明に記載のゼオライト材料は、触媒として使用される。
【0106】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の有機テンプレート非含有ゼオライト材料は、触媒プロセスにおいて、好ましくは、触媒および/または触媒支持体として、より好ましくは、触媒として使用される。通常、本発明のゼオライト材料は、考えられる任意の触媒プロセスにおいて触媒および/または触媒支持体として使用することができ、ここで、少なくとも1つの有機化合物、より好ましくは、少なくとも1つの炭素−炭素および/または炭素−酸素および/または炭素−窒素結合を含む有機化合物、より好ましくは、少なくとも1つの炭素−炭素および/または炭素−酸素結合を含む有機化合物、なおもより好ましくは、少なくとも1つの炭素−炭素結合を含む有機化合物の変換を含むプロセスが好ましい。本発明の特に好ましい実施形態において、ゼオライト材料は、流動接触分解(FCC)プロセスにおいて触媒および/または触媒支持体として使用される。本発明のさらなる実施形態によれば、本発明のゼオライト材料は、好ましくは、少なくとも1つの窒素−酸素結合を含む少なくとも1つの化合物の変換を含む触媒プロセスにおいて使用される。
【0107】
本発明によれば、窒素酸化物NOxの選択的な還元のための選択的接触還元(SCR)プロセスにおける触媒および/または触媒支持体として;NH3の酸化、特に、ディーゼルシステムにおけるNH3スリップの酸化のために;N2Oの分解のため;すす酸化のために;予混合圧縮着火(HCCI)エンジンなどの改良型の排気ガスシステム(Advanced Emission Systems)におけるエミッションコントロールのために;流動接触分解(FCC)プロセスにおける添加物として;有機物の変換反応における触媒として;または「固定発生源(stationary source)」プロセスにおける触媒として、BEA骨格構造を有するゼオライト材料を使用することが特に好ましい。
【0108】
本発明の文脈において使用される窒素酸化物NOxという用語は、窒素の酸化物、特に、一酸化二窒素(N2O)、一酸化窒素(NO)、三酸化二窒素(N2O3)、二酸化窒素(NO2)、四酸化二窒素(N2O4)、五酸化二窒素(N2O5)、過酸化窒素(NO3)のことを指す。
【0109】
従って、本発明は、適当な還元条件下において、本発明に記載のBEA骨格構造を有するゼオライト材料を含む触媒とNOxを含む流れとを接触させることによって、窒素酸化物NOxを選択的に還元するための方法;適当な酸化条件下において、本発明に記載のBEA骨格構造を有するゼオライト材料を含む触媒とNH3を含む流れとを接触させることによって、NH3を酸化する方法、特に、ディーゼルシステムにおいてNH3スリップを酸化する方法;適当な分解条件下において、本発明に記載のBEA骨格構造を有するゼオライト材料を含む触媒とN2Oを含む流れとを接触させることによって、N2Oを分解する方法;適当な条件下において、本発明に記載のBEA骨格構造を有するゼオライト材料を含む触媒と排ガス流とを接触させることによって、予混合圧縮着火(HCCI)エンジンなどの改良型の排気ガスシステムにおける排出を管理する方法;本発明に記載のBEA骨格構造を有するゼオライト材料が添加物として使用される流動接触分解FCCプロセス;適当な変換条件下において、本発明に記載のBEA骨格構造を有するゼオライト材料を含む触媒と有機化合物とを接触させることによって、前記化合物を変換する方法;本発明に記載のBEA骨格構造を有するゼオライト材料を含む触媒が使用される「固定発生源」プロセスにも関する。
【0110】
従って、本発明は、窒素酸化物NOxを選択的に還元するための方法にも関し、ここで、窒素酸化物NOxを含む気体流、好ましくは、アンモニアおよび/尿素も含む気体流が、好ましくは、成形触媒の形態の、さらにより好ましくはゼオライト材料が適当な耐火担体上に堆積された、さらにより好ましくは「ハニカム」担体上に堆積された、成形触媒として、本発明に記載のゼオライト材料または本発明に従って入手可能であるもしくは(of)得られるゼオライト材料と接触される。
【0111】
本発明に記載のゼオライト材料または本発明に従って入手可能であるもしくは(of)得られるゼオライト材料を含む触媒を使用して還元される窒素酸化物は、任意のプロセスによって、例えば、排ガス流として得られることがある。とりわけ、アジピン酸、硝酸、ヒドロキシルアミン誘導体、カプロラクタム、グリオキサール、メチル−グリオキサール、グリオキシル酸を生成するためのプロセス、または窒素性(nitrogeneous)材料を燃焼するためのプロセスにおいて得られるような排ガス流に言及され得る。
【0112】
最も好ましくは、本発明に記載のゼオライト材料または本発明に従って入手可能であるもしくは(of)得られるゼオライト材料は、成形触媒として、さらにより好ましくは、窒素酸化物NOxの選択的還元、すなわち、窒素酸化物の選択的接触還元のための、ゼオライト材料が適当な耐火担体上に堆積された成形触媒として、さらにより好ましくは「ハニカム」担体上に堆積された成形触媒として、使用される。特に、本発明に記載のゼオライト材料が触媒的に活性な材料として使用される窒素酸化物の選択的還元は、アンモニアまたは尿素の存在下において行われる。定置式発電プラントにとってはアンモニアが最適な還元剤である一方、可搬式のSCRシステムにとっては尿素が最適な還元剤である。典型的には、SCRシステムは、エンジンおよび乗物の構造に統合されており、また、典型的には、以下の主要な構成要素を備える:本発明に記載のゼオライト材料を含むSCR触媒;尿素貯蔵タンク;尿素ポンプ;尿素噴射(urea dosing)システム;尿素インジェクター/ノズル;およびそれぞれの制御装置。
【0113】
特定の触媒組成物、または種々の目的のための組成物を調製するとき、BEA骨格構造を有する本発明に記載のゼオライト材料を、少なくとも1つの他の触媒的に活性な材料または意図される目的に関して活性である材料と混ぜることも考えられる。YO2:X2O3比、好ましくは、SiO2:Al2O3比が異なり得る、および/または遷移金属などのさらなる金属が存在することもしくは存在しないことが異なり得る、および/または遷移金属などのさらなる金属の特定の量が異なり得る、少なくとも2つの異なる本発明の材料を混ぜることも可能である。少なくとも2つの異なる本発明の材料を、少なくとも1つの他の触媒的に活性な材料または意図される目的に関して活性である材料と混ぜることも可能である。
【0114】
本発明の触媒は、他の任意の適当な形状の押出し物、ペレット、タブレットまたは粒子の形態で提供されてもよいし、粒子状の触媒の充填層として提供されてもよいし、プレート、サドル、チューブなどのような形づくられた小片として使用するために提供されてもよい。
【0115】
また、上記触媒は、基材上に配置されてもよい。その基材は、触媒を調製するために典型的に使用されるいずれの材料であってもよく、通常、セラミックまたは金属のハニカム構造を含む。任意の適当な基材(例えば、基材の入口面または出口面からその基材を貫通して平行に伸びる微細なガス流路を有する(その通路は、それを貫流する流体に対して開かれている)タイプのモノリス基材(ハニカム状の貫流基材と呼ばれる))を使用してよい。流入口から流出口まで本質的に直線である通路を流れる気体が触媒材料と接触するようにその触媒材料がウォッシュコートとして配置された壁によって、その通路は規定される。モノリス基材の流路は、薄壁のチャネルであり、任意の適当な横断面の形状(例えば、台形、長方形、正方形、正弦波状、六角形、卵形、円形など)およびサイズであり得る。そのような構造は、1平方インチ(2.54cm×2.54cm)の断面積あたり約60〜約400個またはそれ以上のガス流入開口部(すなわち、セル)を備え得る。
【0116】
上記基材は、壁流フィルター(wall−flow filter)基材でもあり得、ここで、チャネルが、交互にふさがれることにより、一方向(入口方向)からチャネルに入る気体流がチャネル壁を貫流し、そのチャネルから他方の方向(出口方向)に出ることが可能になる。本触媒組成物は、フロースルーフィルターまたは壁流フィルター上にコーティングされ得る。壁流基材が使用される場合、得られるシステムは、ガス状の汚染物質とともに粒子状の物質を除去することができる。その壁流フィルター基材は、当分野で通常知られている材料(例えば、キンセイ石、チタン酸アルミニウムまたは炭化ケイ素)から作製され得る。壁流基材上への触媒組成物のロード量は、基材の特性(例えば、多孔度および壁の厚さ)に左右され、典型的には、フロースルー基材上へのロード量よりも少ないことが理解されるだろう。
【0117】
上記セラミック基材は、任意の適当な耐火材料、例えば、キンセイ石、キンセイ石−アルミナ、窒化ケイ素、ジルコンムライト、リシア輝石、アルミナ−シリカマグネシア、ケイ酸ジルコン、珪線石、ケイ酸マグネシウム、ジルコン、葉長石、アルファ−アルミナ、アルミノケイ酸塩などから作製されていることがある。
【0118】
本発明の実施形態の触媒にとって有用な基材は、自然界において金属性のものでもあり得、1種もしくはそれ以上の金属または金属合金から構成され得る。その金属性の基材は、波形板またはモノリス型などの様々な形状で使用され得る。適当な金属支持体としては、耐熱性の金属および金属合金(例えば、チタンおよびステンレス鋼)、ならびに鉄が実質的な成分または主成分である他の合金が挙げられる。そのような合金は、ニッケル、クロムおよび/またはアルミニウムのうちの1つまたはそれ以上を含んでもよく、これらの金属の総量は、都合よく、その合金の少なくとも15wt.%、例えば、10〜25wt.%のクロム、3〜8wt.%のアルミニウムおよび最大20wt.%のニッケルを含み得る。その合金は、少量または微量の1つまたはそれ以上の他の金属(例えば、マンガン、銅、バナジウム、チタンなど)も含むことがある。基材の表面上に酸化物層を形成することによって合金の腐食に対する耐性を改善するために、その表面または金属基材は、高温、例えば、1000℃およびそれ以上において酸化されることがある。そのような高温によって誘導される酸化は、耐火金属酸化物支持体および触媒的に促進する金属成分の基材への接着を増強することがある。
【0119】
代替の実施形態において、BEA骨格構造を有する本発明に記載のゼオライト材料は、開放連続気泡発泡体基材(open cell foam substrate)上に堆積されてもよい。そのような基材は、当分野で周知であり、典型的には、耐火セラミック材料または耐火金属材料から形成される。
【0120】
ストイキ燃焼に必要な空気を越える空気を用いる燃焼条件、すなわちリーンにおいて作動する内燃機関、特に、ディーゼルエンジンの排気ガスから窒素酸化物NOxを除去するために、本発明に記載のゼオライト材料または本発明に従って入手可能であるもしくは得られるゼオライト材料を含む触媒を使用することが特に好ましい。
【0121】
従って、本発明は、ストイキ燃焼に必要な空気を越える空気を用いる燃焼条件、すなわちリーン状態において作動する内燃機関、特に、ディーゼルエンジンの排気ガスから窒素酸化物NOxを除去するための方法にも関し、ここで、本発明に記載のゼオライト材料または本発明に従って入手可能であるもしくは得られるゼオライト材料を含む触媒が、触媒的に活性な材料として使用される。
【0122】
従って、本発明は、特に、触媒の分野および/または排気ガスの処理における、本発明の有機テンプレート非含有ゼオライト材料の使用に関し、ここで、前記排気ガス処理は、産業による排気ガスまたは自動車の排気ガスの処理を含む。これらおよび他の用途において、本発明のゼオライト材料は、例として、モレキュラーシーブ、触媒および/または触媒支持体として使用することができる。
【0123】
排気ガス処理において本発明のゼオライト材料を使用することを含む本発明の実施形態において、そのゼオライト材料は、好ましくは、産業による排気ガスまたは自動車の排気ガスの処理において使用され、より好ましくは、前記用途におけるモレキュラーシーブとして使用される。特に好ましい実施形態において、排気ガス処理において使用されるゼオライト材料は、炭化水素トラップに含められる。
【0124】
図面に示される粉末X線回折パターンは、単色CuKアルファ−1放射を用いてSiemens D−5000において記録され、優先方位を回避するためにキャピラリーサンプルホルダーが使用された。8〜96°の範囲(2シータ)および0.0678°のステップ幅で、Braun製の位置敏感検出器を用いて回折データを収集した。粉末の線図の指標付けは、powder−Xに実装されているTreor90プログラムを用いて実施された(Treor90は、URL http://www.ch.iucr.org/sincris−top/logiciel/を介して自由にアクセス可能なパブリックドメインプログラムである)。図面において、°を単位とする2シータ角が横座標に示され、強度が縦座標に示される。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1a】実施例において使用されたSinopec Catalyst Companyから供給されたベータシードのX線回折(XRD)パターンおよび走査型電子顕微鏡(SEM)像を示している。
【図1b】実施例1に従って得られた結晶性の材料のX線回折パターンを示している。
【図1c】実施例1に従って得られた結晶性の生成物のサンプルから得られた走査型電子顕微鏡(SEM)像を示している。
【図1d】実施例1に記載の窒素吸着等温線を示している。相対圧力p/p0が横座標に示され、77KにおけるDIN66134に従って測定された単位をml/g(STP(標準温度および圧力))とする孔容積が縦座標に示されている。
【図2】実施例2に従って得られた結晶性の材料のX線回折パターンを示している。
【図3】実施例3に従って得られた結晶性の材料のX線回折パターンを示している。
【図4】実施例4に従って得られた結晶性の材料のX線回折パターンを示している。
【図5】実施例5に従って得られた結晶性の材料のX線回折パターンを示している。
【図6】実施例6に従って得られた結晶性の材料のX線回折パターンを示している。
【図7】実施例7に従って得られた結晶性の材料のX線回折パターンを示している。
【図8】実施例8に従って得られた結晶性の材料のX線回折パターンを示している。
【図9】実施例9に従って得られた結晶性の材料のX線回折パターンを示している。
【図10】実施例10に従って得られた結晶性の材料のX線回折パターンを示している。
【図11a】実施例11Aに従って得られた結晶性の材料のX線回折パターンを示している。
【図11b】実施例11Aから得られた結晶性の材料のX線回折パターンを、鋳型によって媒介された合成から得られたゼオライトベータの線パターンとともに示している。
【図11c】実施例11Aに従って得られた結晶性の材料の27Al MAS NMRスペクトルを示している。
【図11d】実施例11Aに従って得られた結晶性の生成物のサンプルから得られた走査型電子顕微鏡(SEM)像を示している。
【図11e】実施例11Aに記載の窒素吸着等温線を示している。相対圧力p/p0が横座標に示され、77KにおけるDIN66134に従って測定された単位をml/g(STP(標準温度および圧力))とする孔容積が縦座標に示されている。
【図12】実施例12に従って得られた結晶性の材料のX線回折パターンを示している。
【図13a】実施例13に従って得られた結晶性の材料のX線回折パターンを示している。
【図13b】実施例13に従って得られた結晶性の生成物のサンプルから得られた走査型電子顕微鏡(SEM)像を示している。
【図13c】実施例13に従って得られた結晶性の生成物のサンプルから得られた走査型電子顕微鏡(SEM)像を示している。
【図14】実施例14に従って得られた結晶性の材料のX線回折パターンを示し、鋳型によって媒介された合成から得られたゼオライトベータの線パターンと比較のためのモルデン沸石の線パターンの両方をさらに含む。
【図15a】実施例15に従って得られた結晶性の材料のX線回折パターンを示している。
【図15b】実施例15に従って得られた結晶性の生成物のサンプルから得られた走査型電子顕微鏡(SEM)像を示している。
【図15c】実施例15に従って得られた結晶性の生成物のサンプルから得られた走査型電子顕微鏡(SEM)像を示している。
【実施例】
【0126】
実施例1:
0.117gのNaAlO2および0.36gのNaOHを5.04mlのH2Oに溶解した後、1.2gのヒュームドシリカを加えた。次いで、その混合物を15分間撹拌することにより、40.28SiO2:1.00Al2O3:10.46Na2O:566.66H2Oというモル比を有するアルミノケイ酸(aluminosililcate)ゲルが得られた。次いで、0.12gのゼオライトベータシード(Sinopec Catalyst Co.から商業的に得たもの)をそのゲルに導入した後、室温で15分間撹拌した。次いで、そのゲル混合物をオートクレーブに移し、140℃で19時間結晶化した。その反応混合物を室温まで冷却させた後、濾過し、次いで、80℃で乾燥することにより、結晶性の生成物を得た。
【0127】
図1aは、Sinopec Catalyst Companyから商業的に得たゼオライトベータシードのXRDおよびSEMを示している。
【0128】
図1bには、実施例1の有機テンプレート不要の合成の濾過および乾燥後に得られた結晶性の生成物のXRDが示されている。特に、このXRDパターンは、BEA骨格構造にとって典型的である。
【0129】
図1cは、実施例1に従って得られた結晶性の材料のSEM像を示している。
【0130】
図1dには、実施例1からの結晶性の材料を用いて得られた窒素等温線が示されている。特に、微小孔性の固体に典型的なI型の階段状の吸着等温線の曲線が明白である(cf.DIN66135)ことから、合成されたままの(as−synthesized)ゼオライト材料が開口したマイクロポアを有することが示唆される。
【0131】
実施例2:
0.117gのNaAlO2および0.40gのNaOHを5.04mlのH2Oに溶解した後、1.2gのヒュームドシリカを加えた。次いで、その混合物を15分間撹拌することにより、40.28SiO2:1.00Al2O3:11.46Na2O:566.66H2Oというモル比を有するアルミノケイ酸ゲルが得られた。次いで、0.12gのゼオライトベータシード(Sinopec Catalyst Co.から商業的に得たもの)をそのゲルに導入した後、室温で15分間撹拌した。次いで、そのゲル混合物をオートクレーブに移し、140℃で19時間結晶化した。その反応混合物を室温まで冷却させた後、濾過し、次いで、80℃で乾燥することにより、結晶性の生成物を得た。
【0132】
図2には、実施例2に従って得られた結晶性の生成物のXRDが示されている。XRDパターンから分かるように、その生成物は、BEA骨格構造を有する。
【0133】
実施例3:
0.117gのNaAlO2および0.45gのNaOHを5.04mlのH2Oに溶解した後、1.2gのヒュームドシリカを加えた。次いで、その混合物を15分間撹拌することにより、40.28SiO2:1.00Al2O3:12.72Na2O:566.26H2Oというモル比を有するアルミノケイ酸ゲルが得られた。次いで、0.12gのゼオライトベータシード(Sinopec Catalyst Co.から商業的に得たもの)をそのゲルに導入した後、室温で15分間撹拌した。次いで、そのゲル混合物をオートクレーブに移し、140℃で19時間結晶化した。その反応混合物を室温まで冷却させた後、濾過し、次いで、80℃で乾燥することにより、結晶性の生成物を得た。
【0134】
図3には、実施例3に従って得られた結晶性の生成物のXRDが示されている。
【0135】
実施例4:
0.15gのNaAlO2および0.45gのNaOHを5.04mlのH2Oに溶解した後、1.2gのヒュームドシリカを加えた。次いで、その混合物を15分間撹拌することにより、31.42SiO2:1.00Al2O3:10.23Na2O:442.57H2Oというモル比を有するアルミノケイ酸ゲルが得られた。次いで、0.12gのゼオライトベータシード(Sinopec Catalyst Co.から商業的に得たもの)をそのゲルに導入した後、室温で15分間撹拌した。次いで、そのゲル混合物をオートクレーブに移し、140℃で21時間結晶化した。その反応混合物を室温まで冷却させた後、濾過し、次いで、80℃で乾燥することにより、結晶性の生成物を得た。
【0136】
図4には、実施例4に従って得られた結晶性の生成物のXRDが示されており、モルデン沸石副産物から生じる追加の弱い反射が示されている。
【0137】
実施例5:
0.117gのNaAlO2および0.40gのNaOHを5.04mlのH2Oに溶解した後、1.2gのヒュームドシリカを加えた。次いで、その混合物を15分間撹拌することにより、40.28SiO2:1.00Al2O3:11.46Na2O:566.66H2Oというモル比を有するアルミノケイ酸ゲルが得られた。次いで、0.12gのゼオライトベータシード(Sinopec Catalyst Co.から商業的に得たもの)をそのゲルに導入した後、室温で15分間撹拌した。次いで、そのゲル混合物をオートクレーブに移し、140℃で21時間結晶化した。その反応混合物を室温まで冷却させた後、濾過し、次いで、80℃で乾燥することにより、結晶性の生成物を得た。
【0138】
図5には、実施例5に従って得られた結晶性の生成物のXRDが示されており、モルデン沸石副産物から生じる追加の弱い反射が示されている。
【0139】
実施例6:
0.15gのNaAlCO2および0.45gのNaOHを5.04mlのH2Oに溶解した後、1.2gのヒュームドシリカを加えた。次いで、その混合物を15分間撹拌することにより、31.42SiO2:1.00Al2O3:10.23Na2O:442.57H2Oというモル比を有するアルミノケイ酸ゲルが得られた。次いで、0.12gのゼオライトベータシード(Sinopec Catalyst Co.から商業的に得たもの)をそのゲルに導入した後、室温で15分間撹拌した。次いで、そのゲル混合物をオートクレーブに移し、140℃で24時間結晶化した。その反応混合物を室温まで冷却させた後、濾過し、次いで、80℃で乾燥することにより、結晶性の生成物を得た。
【0140】
図6には、実施例6に従って得られた結晶性の生成物のXRDが示されており、モルデン沸石およびゼオライトPの副産物から生じる追加の弱い反射が示されている。
【0141】
実施例7:
0.117gのNaAlO2および0.40gのNaOHを7.20mlのH2Oに溶解した後、1.2gのヒュームドシリカを加えた。次いで、その混合物を15分間撹拌することにより、40.28SiO2:1.00Al2O3:11.46Na2O:809.51H2Oというモル比を有するアルミノケイ酸ゲルが得られた。次いで、0.12gのゼオライトベータシード(Sinopec Catalyst Co.から商業的に得たもの)をそのゲルに導入した後、室温で15分間撹拌した。次いで、そのゲル混合物をオートクレーブに移し、140℃で19時間結晶化した。その反応混合物を室温まで冷却させた後、濾過し、次いで、80℃で乾燥することにより、結晶性の生成物を得た。
【0142】
図7には、実施例7に従って得られた結晶性の生成物のXRDが示されている。
【0143】
実施例8:
0.117gのNaAlO2および0.456gのNaOHを10.08mlのH2Oに溶解した後、1.2gのヒュームドシリカを加えた。次いで、その混合物を15分間撹拌することにより、40.28SiO2:1.00Al2O3:13.06Na2O:1133.32H2Oというモル比を有するアルミノケイ酸ゲルが得られた。次いで、0.12gのゼオライトベータシード(Sinopec Catalyst Co.から商業的に得たもの)をそのゲルに導入した後、室温で15分間撹拌した。次いで、そのゲル混合物をオートクレーブに移し、140℃で19時間結晶化した。その反応混合物を室温まで冷却させた後、濾過し、次いで、80℃で乾燥することにより、結晶性の生成物を得た。
【0144】
図8には、実施例8に従って得られた結晶性の生成物のXRDが示されている。
【0145】
実施例9:
0.117gのNaAlO2および0.44gのNaOHを11.52mlのH2Oに溶解した後、1.2gのヒュームドシリカを加えた。次いで、その混合物を15分間撹拌することにより、40.28SiO2:1.00Al2O3:12.61Na2O:1295.22H2Oというモル比を有するアルミノケイ酸ゲルが得られた。次いで、0.12gのゼオライトベータシード(Sinopec Catalyst Co.から商業的に得たもの)をそのゲルに導入した後、室温で15分間撹拌した。次いで、そのゲル混合物をオートクレーブに移し、140℃で19時間結晶化した。その反応混合物を室温まで冷却させた後、濾過し、次いで、80℃で乾燥することにより、結晶性の生成物を得た。
【0146】
図9には、実施例9に従って得られた結晶性の生成物のXRDが示されている。
【0147】
実施例10:
0.117gのNaAlO2および0.48gのNaOHを14.40mlのH2Oに溶解した後、1.2gのヒュームドシリカを加えた。次いで、その混合物を15分間撹拌することにより、40.28SiO2:1.00Al2O3:13.75Na2O:1619.03H2Oというモル比を有するアルミノケイ酸ゲルが得られた。次いで、0.12gのゼオライトベータシード(Sinopec Catalyst Co.から商業的に得たもの)をそのゲルに導入した後、室温で15分間撹拌した。次いで、そのゲル混合物をオートクレーブに移し、140℃で19時間結晶化した。その反応混合物を室温まで冷却させた後、濾過し、次いで、80℃で乾燥することにより、結晶性の生成物を得た。
【0148】
図10には、実施例10に従って得られた結晶性の生成物のXRDが示されている。
【0149】
実施例11A:
1.34gのNaAlO2および6.54gのNaOHを、142.23mlのH2Oに撹拌しながら溶解した後、1.69gのゼオライトベータシード(Zeolyst Internationalから商業的に得たもの)を加えた。次いで、その混合物に16.87gのヒュームドシリカ(Aerosil(登録商標)200)を、30分間撹拌しながら少しずつ加えた後、その混合物をさらに30分間撹拌することにより、40.28SiO2:1.00Al2O3:13.06Na2O:1132.32H2Oというモル比を有するアルミノケイ酸ゲルが得られた。次いで、そのゲル混合物をテフロン(登録商標)加工されたオートクレーブに移し、140℃で48時間結晶化した。その反応混合物を室温まで冷却させた後、濾過し、蒸留水で繰り返し洗浄し、次いで、120℃で16時間乾燥することにより、5.9gの白色の結晶性の生成物を得た。
【0150】
エネルギー分散X線分光分析(EDXS)による実施例11Aの結晶性の生成物の電子プローブ微量分析から、10.1というSiO2:Al2O3のモル比が得られた。
【0151】
図11aには、個別の反射に対する2シータ値およびそれぞれの強度を含む、実施例11Aに従って得られた結晶性の生成物のXRDが示されている。この粉末回折パターンでは、モルデン沸石副産物から生じる追加の弱い反射が認識できる。
【0152】
図11bには、実施例11AのXRDパターンが、構造規定剤として有機テンプレートを用いて合成されたゼオライトベータの線パターンと共に示されている。特に、本発明に記載の有機テンプレート不要の合成によって得られたゼオライト材料の反射が、有機テンプレートを用いて得られたゼオライトベータの反射と比べて、より小さい2シータ値に向かって著しくシフトしていることが明らかである。
【0153】
図11cは、53.1ppmに単一シグナルを示す、実施例11Aの結晶性の最終生成物について得られた27Al MAS NMRを示している。これは、Alがゼオライト骨格に全体的に組み込まれていることを示唆している。
【0154】
図11dは、実施例11Aに従って得られた結晶性の生成物のSEM像を示している。
【0155】
図11eには、実施例11Aの結晶性の生成物を用いて得られた窒素等温線が示されている。特に、微小孔性の固体に典型的なI型の階段状の吸着等温線が明白である(cf.DIN66135)ことから、合成されたままのゼオライト材料が開口したマイクロポアを有することが示唆される。このデータの評価により、Langmuir法によるところの684.45m2/gという等価表面積および523.08m2/gというBET表面積が得られた。
【0156】
実施例11B:イオン交換
1.34gのNaAlO2および6.54gのNaOHを142.23mlのH2Oに撹拌しながら溶解した後、1.69gのゼオライトベータシード(Zeolyst Internationalから商業的に得たもの)を加えた。次いで、その混合物に16.87gのヒュームドシリカ(Aerosil(登録商標)200)を、30分間撹拌しながら少しずつ加えた後、その混合物をさらに30分間撹拌することにより、40.28SiO2:1.00Al2O3:13.06Na2O:1132.32H2Oというモル比を有するアルミノケイ酸ゲルが得られた。次いで、そのゲル混合物を、140℃において48時間、オートクレーブ内で結晶化した。その反応混合物を室温まで冷却させた後、濾過し、蒸留水で繰り返し洗浄し、次いで、120℃で16時間乾燥することにより、5.7gの白色の結晶性の生成物を得た。
【0157】
前記第1の結晶性の生成物の結晶性の生成物の元素分析により、2.8:11.7:1というNa:SiO2:Al2O3のモル比が得られた。
【0158】
次いで、4.0gのその結晶性の生成物を、36gの蒸留水に溶解された4gのNH4NO3の溶液に加え、その混合物を80℃で2時間撹拌した。次いで、その固体を濾過し、蒸留水で洗浄した後、その固体を、36gの蒸留水に溶解された4gのNH4NO3の新しい溶液に加え、次いで、その混合物を80℃で2時間撹拌した。濾過し、固体を蒸留水で洗浄した後、得られた生成物を120℃で16時間乾燥することにより、イオン交換された結晶性の生成物が得られた。
【0159】
実施例11Bの最終的な結晶性の生成物の元素分析により、0.13というNa:Al2O3のモル比が得られた。
【0160】
実施例12:
18.9gのNaAlO2を701mlのH2Oに溶解した。次いで、610.9gのナトリウム−水ガラスおよび47.5gのゼオライトベータシード(Zeolyst Internationalから商業的に得たもの)を加えることにより、40.28SiO2:1.50Al2O3:14.0Na2O:936H2Oというモル比を有するアルミノケイ酸ゲルが得られた。次いで、得られた混合物を、撹拌しながら、2.5lのオートクレーブ内において140℃まで40℃/hという加熱勾配で加熱し、その温度で15時間保持した。次いで、結晶化された生成物を吸引濾過し、蒸留水で繰り返し洗浄した。次いで、その結晶性の固体を120℃で16時間乾燥することにより、96gの白色の結晶性の生成物を得た。
【0161】
実施例12の結晶性の生成物の元素分析により、2.4:11.0:1というNa:SiO2:Al2O3のモル比が得られた。
【0162】
図12には、個別の反射に対する2シータ値およびそれぞれの強度を含む、実施例12の結晶性の生成物のXRDが示されている。この粉末回折パターンでは、モルデン沸石副産物から生じる追加の弱い反射が認識できる。
【0163】
したがって、ヒュームドシリカの代わりにナトリウム−水ガラスを使用することによって、結晶化時間は、かなり短縮される可能性がある。
【0164】
実施例13:
0.474kgのNaAlO2を、15lのH2Oに撹拌しながら溶解した。次いで、2.53lのH2Oに懸濁された15.27kgのナトリウム−水ガラスおよび1.17kgのゼオライトベータシード(Zeolyst Internationalから商業的に得たもの)を加えることにより、40.28SiO2:1.50Al2O3:14.01Na2O:936.6H2Oというモル比を有するアルミノケイ酸ゲルが得られた。次いで、得られた混合物を撹拌しながら(約150rpmで)、オートクレーブ内において140℃まで36℃/hという加熱勾配で加熱し、その温度で15時間保持した。次いで、結晶化された生成物を加圧濾過し、それぞれ35lの蒸留水で3回洗浄した。次いで、その結晶性の固体を2日間100℃で乾燥することにより、1.1kgの白色の結晶性の生成物を得た。
【0165】
実施例13の結晶性の生成物の元素分析により、3.53:12.1:1というNa:SiO2:Al2O3のモル比が得られた。
【0166】
図13aには、個別の反射に対する2シータ値およびそれぞれの強度を含む、実施例13の結晶性の生成物のXRDが示されている。この粉末回折パターンでは、モルデン沸石副産物から生じる追加の弱い反射が認識できる。
【0167】
図13bおよび13cは、実施例13の結晶性の生成物のSEM像を示している。
【0168】
実施例14:
19.1gのNaAlO2を706.5mlのH2Oに溶解した。次いで、923.6gのナトリウム−水ガラスおよび48.0gのゼオライトベータシード(Zeolyst Internationalから商業的に得たもの)を加えることにより、40.28SiO2:1.0Al2O3:13.34Na2O:734H2Oというモル比を有するアルミノケイ酸ゲルが得られた。次いで、得られた混合物を撹拌しながら、2.5lのオートクレーブ内において120℃まで40℃/hという加熱勾配で加熱し、その温度で57時間保持した。次いで、結晶化された生成物を吸引濾過し、蒸留水で繰り返し洗浄した。次いで、その結晶性の固体を120℃で16時間乾燥することにより、85gの白色の結晶性の生成物を得た。
【0169】
図14には、実施例14の結晶性の生成物のXRDが、構造規定剤として有機テンプレートを用いて合成されたゼオライトベータの線パターンとモルデン沸石の線パターンの両方を共に示されている。
【0170】
実施例15:Feによる同形置換
1.34gのNaAlO2および6.54gのNaOHを142.23mlのH2Oに溶解した後、1.69gのゼオライトベータシード(Zeolyst Internationalから商業的に得たもの)および1.35gのFe3(NO3)3・9H2Oを加えた。次いで、その混合物に16.87gのヒュームドシリカ(Aerosil(登録商標)200)を、30分間撹拌しながら少しずつ加えた後、その混合物をさらに30分間撹拌することにより、40.28SiO2:1.00Al2O3:13.06Na2O:0.5Fe:1132.32H2Oというモル比を有するアルミノケイ酸ゲルが得られた。次いで、そのゲル混合物をTeflon(登録商標)加工されたオートクレーブに移し、140℃で48時間結晶化した。その反応混合物を室温まで冷却させた後、濾過し、蒸留水で繰り返し洗浄し、次いで、120℃で16時間乾燥することにより、結晶性の生成物を得た。
【0171】
エネルギー分散X線分光分析(EDXS)による実施例15の結晶性の生成物の電子プローブ微量分析から、3.3:12.0:1というNa:SiO2:Al2O3のモル比および30.7というSiO2:Feのモル比が得られた。
【0172】
図15aには、個別の反射に対する2シータ値およびそれぞれの強度を含む、実施例15の結晶性の生成物のXRDが示されている。この粉末回折パターンでは、モルデン沸石副産物から生じる追加の弱い反射が認識できる。
【0173】
図15bおよび15cは、実施例15に従って得られた結晶性の生成物のSEM像を示している。
【技術分野】
【0001】
本発明は、BEA骨格構造を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料、および有機テンプレートの使用を必要としない前記材料を生成するためのプロセスに関する。さらに、本発明は、触媒プロセスおよび/または排気ガスの処理における、BEA骨格構造を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料の使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
BEA骨格構造を有するゼオライト材料について最も突出して最もよく研究されている例は、ゼオライトベータであり、これは、その骨格にSiO2およびAl2O3を含むゼオライトであり、3次元12員環(12MR)ポア/チャネルシステムを有する最も重要なナノポーラス触媒の1つであると考えられており、石油精製およびファインケミカル産業において広く利用されている。ゼオライトベータは、米国特許第3,308,069号において初めて報告されたものであり、構造規定剤(structure directing agent)としてテトラエチルアンモニウムカチオンの使用が必要である。それ以来、他の構造規定剤(例えば、米国特許第4,554,145号におけるジベンジル−1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンまたは米国特許第4,642,226号におけるジベンジルメチルアンモニウム)の使用をはじめとした多数の変更および改善がその手順に対して行われてきたが、その調製について公知のプロセスは、いまだに有機テンプレート化合物の使用に頼っている。米国特許第5,139,759号では、例えば、ゼオライトベータの合成手順に有機テンプレート化合物を含めない場合は、その代わりにZSM−5が結晶化されると報告されている。
【0003】
一般に特殊ゼオライトの合成では、結晶化の速度を改善するため、ならびに得られる結晶のサイズおよび形態に影響を及ぼすために、核剤として種晶がしばしば使用される。しかしながら、これらは必ずしも、得られる生成物と同じタイプのゼオライトである必要はない。例えば、米国特許第4,650,655号では、ZSM−5を合成する際に、構造規定剤としてのテトラプロピルアンモニウムに加えて、ZSM−11、ZSM−50またはゼオライトベータ種晶を使用することが教示されている。
【0004】
ゼオライトベータなどのBEA骨格構造を有するゼオライト材料の公知の生成方法の第1の欠点は、非常に長い結晶化の時間に関係する。例えば、米国特許第5,139,759号では、種晶無添加ゲルの場合72時間ならびに種晶添加の場合66および68時間という、ゼオライトベータについての結晶化の時間が開示されている。結晶化の時間は、かき混ぜによって、例えば、回転式オートクレーブを使用することによって、さらに短縮することができるが、これにはかなり高額な装置および維持のコストが伴うので、工業規模では実行不可能である。
【0005】
さらに、これらのゼオライト材料の合成において有機テンプレート化合物を使用することには、そこで用いられるテトラアルキルアンモニウム塩類および他の有機化合物が高価なファインケミカルズであるという大きな不都合がある。このことに加えて、得られる生成物は、有機テンプレートの周りに作られたゼオライト骨格に包まれた有機テンプレートを必然的に含むことから、例えば触媒として、実際に利用するためには、その材料を多数の細孔が開いた体積のものにするために、除去工程が必要になる。
【0006】
しかしながら、その有機テンプレート化合物の完全な除去は難しく、高温、通常、200〜930℃またはそれ以上でのか焼によってしか通常達成されない。有機テンプレートは、そのプロセスにおいて破壊されて再利用され得ないので、この手順は生成コストを大いに高めるだけでなく、生成時間も長くし、過剰なエネルギー消費ももたらし、有害ガスおよび他の望まれない廃棄物も生成する。
【0007】
これらの大きな不都合に加えて、その厳しい熱処理のせいで、最終的にはその生成は、耐熱性のゼオライトベータ、特に、高シリカゼオライトベータに限定されてしまう。有機テンプレートを除去するためのか焼に対する環境に優しい代替法としてイオン交換法が開発されてきたが、有機テンプレートの一部の再利用しか成功しない可能性があり、残りはゼオライト骨格と強く相互作用しすぎて除去できない。
【0008】
したがって、ゼオライトベータなどのBEA骨格構造を有するゼオライト材料は、一連の触媒反応において優れた特性を示すが、それらのさらなる潜在用途は、その合成の際に有機テンプレートを使用することが原因で、未だ大きく限定されている。
【0009】
Xiaoら「Organotemplate−free and Fast Route for Synthesizing Beta Zeolite」,Chem.Mater.2008,20,4533−4535およびSupporting Informationには、ゼオライトベータを合成するためのプロセスが記載されており、そこでは、ゼオライトベータ種晶を使用したアルミノケイ酸ゲルの結晶化が行われている。特に、アルミノケイ酸ゲルは、シリカ源としてヒュームドシリカ、水酸化ナトリウム、アルミン酸ナトリウムおよび水から出発して調製され、次いで、前記ゲルは、140℃の温度のオートクレーブにおいて17〜19時間にわたって結晶化される。しかしながら、前記書類にはアルミノケイ酸ゲルを調製するために異なる出発物質を使用することに関して何の示唆もないし、前記書類は、結晶化のための混合物中に同形置換に適する元素を含む可能性を示していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、BEA骨格構造を有するゼオライト材料の有機テンプレート不要の合成のためのプロセスを提供することである。
【0011】
また、穏やかな条件下で行うことができ、かつゼオライト構造に対して非破壊である、BEA骨格構造を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料を生成するためのプロセスを提供することも、本発明の目的である。特に、骨格構造に存在する有機テンプレートを除去するために高温でのか焼処理または他の処理を必要としない、そのような材料を生成するためのプロセスを提供することも目的であった。
【0012】
本発明のさらなる目的は、特に、結晶化の時間、エネルギー消費および環境汚染に関して、BEA骨格構造を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料を生成するための費用効率が高い改善されたプロセスを提供することだった。
【0013】
これに加えて、結晶化プロセスから直接得られるようなインタクトな構造を示す、BEA骨格構造を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料を提供することも本発明の目的だった。
【0014】
本発明のさらなる目的は、BEA骨格構造を有する新規ゼオライト材料、特に、例えば触媒および/または触媒支持体として都合よく使用することができるゼオライト材料を提供することだった。
【0015】
本発明によれば、驚いたことに、BEA骨格構造を有するゼオライト材料はその合成において有機テンプレートを使用せずに得ることができることが見出された。特に、合成プロセスにおいてBEA骨格構造を有するゼオライト(zeoitic)材料の種晶を使用するとき、BEA骨格構造を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料は、それらの生成において有機テンプレートを使用しなくても得ることができることが見出された。したがって、BEA骨格を有するゼオライト材料を直接得るためのワンポット合成手順が提供され、ここで、その多孔性は、直接与えられるものであり、結晶化された骨格から構造規定剤を除去するための1つまたはそれ以上の合成後処理によって初めて提供されてはいけない。
【0016】
さらに、驚いたことに、BEA骨格構造を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料を直接合成するための方法を提供することのほかに、本発明のプロセスが、有機テンプレートの使用に頼るプロセスと比べて結晶化の時間をかなり短縮させることが見出された。その結果として、本発明のプロセスは、環境に優しいだけでなく、生成の時間とコストの両方を大きく減少させる。
【0017】
これらの相当の利点に加えて、驚いたことに、本発明のプロセスによれば、現在の用途および新規の用途において都合よく利用することができる新規特性を示すBEA骨格構造を有する新規ゼオライト材料を得ることができると見出された。特に、有機テンプレート(oganotemplate)によって媒介される合成ではその化学組成および/または物理的性質が得られない可能性があるBEA骨格を得ることができる。この点において、本発明のプロセスは、有機テンプレートの使用に頼った合成手順の生成物と比べて、特定の同質異像に関して濃縮されたBEA骨格構造を有するゼオライト材料をもたらすことができることが、思いがけなくも見出された。さらに、BEA骨格構造を有する新規ゼオライト材料の粉末X線回折パターンでは、有機テンプレートによって媒介される合成手順から得られるBEA骨格構造を有するゼオライト材料の粉末X線回折パターンと比べて、反射の少なくとも一部の2°シータ値が著しくシフトする。
【0018】
特に、Xiaoらに記載されているようなゼオライトベータの有機テンプレート不要の合成のためのプロセスに関して、驚いたことに、結晶化のための混合物にさらなる元素を組み込むことが可能であり、よって、単純なワンポット合成プロセスにおいてゼオライト骨格内のSiおよび/またはAlの同形置換がもたらされると見出された。したがって、ゼオライトベータの結晶化の後に行われる、コストが高くかつ時間のかかる同形置換の工程は、単純な合成手順では排除され得ることが見出された。このことに加えて、本発明に記載のワンポット合成手順は、通常そのような合成後の同形置換手順に固有の、ゼオライト構造の任意の厳しい処理を回避する。
【0019】
さらに、驚いたことに、有機テンプレート不要の合成手順においてシリカ源として新しい出発物質を使用することにより、Xiaoらに教示されたような手順(シリカ源として単独でヒュームドシリカが教示されている)と比べて、結晶化の時間がさらに短縮され得ることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0020】
従って、本発明は、YO2及びX2O3を含む、BEA骨格構造を有するゼオライト材料を生成するための、有機テンプレート不要の合成プロセスであって、前記プロセスは、
(1)種晶、少なくとも1種のYO2供給源及び少なくとも1種のX2O3供給源を含む混合物を調製する工程;
(2)該混合物を結晶化する工程;及び
(6)BEA骨格構造を有する前記ゼオライト材料をイオン交換処理に供する工程、
を含み、
ここで、Yは、四価元素であり、Xは、三価元素であり、
該種晶は、BEA骨格構造を有するゼオライト材料含み、
工程(6)において、BEA骨格構造を有する前記ゼオライト材料に含まれる少なくとも1つのイオン性の非骨格元素がFe及び/又はCuとイオン交換される。
【0021】
本発明のプロセスによれば、工程(1)において提供され、工程(2)において結晶化される混合物は、有機構造規定剤、具体的には、BEA骨格構造を有するゼオライト材料の合成において使用される有機構造規定剤、特に、特定のテトラアルキルアンモニウム塩類および/または関連する有機テンプレート(例えば、テトラエチルアンモニウム塩類および/またはジベンジルメチルアンモニウム塩類ならびにジベンジル−1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン)の不純物より多くをいずれの時点においても含まない。そのような不純物は、例えば、本発明のプロセスにおいて使用される種晶中に依然存在する有機構造規定剤が原因となり得る。しかしながら、種晶材料に含まれている有機テンプレートは、種晶骨格内に捕捉されているが従って本発明の意味の範囲内の構造規定剤として作用しない可能性があるので、その有機テンプレートは、結晶化プロセスに関与しない可能性がある。
【0022】
さらに、骨格構造によって形成される細孔および空洞に存在し得、一般にゼオライト材料にとって典型的な非骨格元素に対立するものとしての構造構築(structure building)元素として、YO2および任意にX2O3はBEA骨格構造内に含められる。
【0023】
本発明によれば、BEA骨格構造を有するゼオライト材料は、工程(2)において提供される。前記材料は、YO2を含み、ここで、Yは、考えられる任意の四価元素を表し、Yは、1種または数種の四価元素を表す。本発明に記載の好ましい四価元素としては、Si、Sn、Ti、ZrおよびGeならびにそれらの組み合わせが挙げられる。より好ましくは、Yは、Si、TiもしくはZrまたは前記三価元素の任意の組み合わせ、なおもより好ましくは、Siおよび/またはSnを表す。本発明によれば、YがSiを表すことが特に好ましい。
【0024】
さらに、本発明のプロセスによれば、YO2を含むBEA骨格構造を有するゼオライト材料が工程(2)において結晶化され得る場合、YO2は、考えられる任意の形態で工程(1)において提供され得る。好ましくは、YO2は、それ自体として、および/または化学部分としてYO2を含む化合物として、および/または本発明のプロセス中にYO2に化学的に変換される(部分的または全体的に)化合物として、提供される。YがSi、または、1種もしくはそれ以上のさらなる四価元素とSiとの組み合わせを表す本発明の好ましい実施形態において、工程(1)において提供されるSiO2に対する供給源は、考えられる任意の供給源であり得る。従って、例えば、すべてのタイプのシリカおよびケイ酸塩類、好ましくは、ヒュームドシリカ、シリカヒドロゾル、反応性アモルファス固体シリカ、シリカゲル、ケイ酸、水ガラス、メタケイ酸ナトリウム水和物、三二ケイ酸塩もしくは二ケイ酸塩、コロイドケイ酸、焼成シリカ、ケイ酸エステル類、またはテトラアルコキシシラン類、あるいはこれらの化合物のうちの少なくとも2つの混合物を使用することができる。
【0025】
工程(1)に記載の混合物がSiO2の少なくとも1つの供給源を含む本発明のプロセスの好ましい実施形態において、前記供給源は、好ましくは、シリカおよびケイ酸塩類、好ましくは、ケイ酸塩類、より好ましくは、アルカリ金属ケイ酸塩類からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む。好ましいアルカリ金属ケイ酸塩類のうち、少なくとも1つの供給源は、好ましくは、水ガラス、より好ましくは、ケイ酸ナトリウムおよび/またはケイ酸カリウム、より好ましくは、ケイ酸ナトリウムを含む。本発明の特に好ましい実施形態において、SiO2に対する供給源は、ケイ酸ナトリウムである。さらに、シリカを含む実施形態では、ヒュームドシリカが好ましい。
【0026】
特に、驚いたことに、SiO2の少なくとも1つの供給源が水ガラスを含むとき、結晶化が加速されることが見出された。このことは、水ガラスが、本発明のプロセスにおいて使用されるSiO2に対する唯一の供給源であるときに特に当てはまる。
【0027】
BEA骨格構造を有するゼオライト材料がX2O3をさらに含み、Xが考えられる任意の三価元素を表し、Xが1種または数種の三価元素を表す実施形態がさらに好ましい。本発明に記載の好ましい四価元素としては、Al、B、InおよびGaならびにそれらの組み合わせが挙げられる。より好ましくは、Yは、Al、BもしくはInまたは前記三価元素の任意の組み合わせ、なおもより好ましくは、Alおよび/またはBを表す。本発明によれば、XがAlを表すことが特に好ましい。
【0028】
例えば、ホウ素が組み込まれる場合、例えば、遊離ホウ酸および/またはホウ酸塩および/またはホウ酸エステル、例えば、ホウ酸トリエチルまたはホウ酸トリメチルを、出発物質として使用することができる。
【0029】
BEA骨格構造を有するゼオライト材料がX2O3を含む本発明の好ましい実施形態によれば、少なくとも1種のX2O3供給源は、工程(1)において提供される。X2O3を含むBEA骨格構造を有するゼオライト材料が工程(2)において結晶化され得る場合、通常、X2O3は、考えられる任意の形態で提供され得る。好ましくは、X2O3は、それ自体として、および/または化学部分としてX2O3を含む化合物として、および/または本発明のプロセス中にX2O3に化学的に変換される(部分的または全体的に)化合物として、提供される。
【0030】
XがAl、または1種もしくはそれ以上のさらなる三価元素とAlとの組み合わせを表す本発明のより好ましい実施形態において、工程(1)において提供されるAl2O3に対する供給源は、考えられる任意の供給源であり得る。例えば、任意のタイプのアルミナおよびアルミン酸塩、アルミニウム塩類、例えば、アルカリ金属のアルミン酸塩類、アルミニウムアルコラート類、例えば、トリイソプロピル酸アルミニウムもしくはアルミナ水和物、例えば、アルミナ三水和物、またはそれらの混合物を使用することができる。好ましくは、Al2O3に対する供給源は、アルミナおよびアルミン酸塩からなる群、好ましくは、アルミン酸塩、より好ましくは、アルカリ金属のアルミン酸塩から選択される少なくとも1つの化合物を含む。好ましいアルカリ金属のアルミン酸塩のうち、少なくとも1つの供給源は、好ましくは、アルミン酸ナトリウムおよび/またはアルミン酸カリウム、より好ましくは、アルミン酸ナトリウムを含む。本発明の特に好ましい実施形態において、Al2O3に対する供給源は、アルミン酸ナトリウムである。
【0031】
本発明のプロセスの特に好ましい実施形態によれば、工程(1)に記載の混合物は、YO2に対する供給源として少なくとも1つのケイ酸塩およびX2O3に対する供給源として少なくとも1つのアルミン酸塩、より好ましくは、少なくとも1つのアルカリ金属ケイ酸塩および/または少なくとも1つのアルカリ金属のアルミン酸塩、なおもより好ましくは、少なくとも1つの水ガラスを含み、ここで、前記好ましい実施形態のアルカリ金属は、好ましくは、ナトリウムおよび/またはカリウム、より好ましくは、ナトリウムを含み、なおもより好ましくは、そのアルカリ金属は、ナトリウムである。
【0032】
工程(1)に記載の混合物が少なくとも1種のX2O3供給源を含む本発明のプロセスの好ましい実施形態において、YO2とX2O3の両方を含むBEA骨格構造を有するゼオライト材料が工程(2)において結晶化される場合、その混合物のYO2:X2O3のモル比は、考えられる任意の値を有することができる。通常、そのモル比は、1〜100、好ましくは、5〜85、より好ましくは、10〜60、より好ましくは、20〜55、より好ましくは、25〜50、特に好ましくは、35〜45の範囲である。混合物のYO2:X2O3のモル比が15〜40、より好ましくは、20〜35、なおもより好ましくは、25〜30の範囲である実施形態がさらに好ましい。
【0033】
さらに好ましい本発明の実施形態において、得られるおよび/もしくは入手可能なゼオライト材料ならびに/または本発明のプロセスに記載のようなものとしての本発明の材料は、少なくとも1つの(at least on)アルカリ金属M、好ましくは、ナトリウムおよび/またはカリウム、より好ましくは、ナトリウムを含む。そのアルカリ金属は、本発明のプロセスの考えられる任意の段階において加えることができ、ここで、好ましくは、工程(1)においても加えられる。より好ましくは、BEA骨格構造を有するゼオライト材料に含まれるアルカリ金属の全量が、本発明のプロセスの工程(1)において加えられる。本発明のプロセスの特に好ましい実施形態において、そのアルカリ金属は、工程(1)において提供されるYO2および/または少なくとも1種のX2O3供給源に少しまたはすべて含められ、ここで、好ましくは、そのアルカリ金属は、それらの中にすべて含められる。
【0034】
BEA骨格構造を有するゼオライト材料が工程(2)において結晶化される場合、通常、アルカリ金属Mは、本発明のプロセスの工程(1)に記載の混合物中に考えられる任意の量で含められ得る。好ましくは、工程(1)に記載の混合物中のM:YO2のモル比は、0.1〜2、より好ましくは、0.2〜1、より好ましくは、0.3〜0.9、なおもより好ましくは、0.45〜0.75の範囲である。
【0035】
本発明のプロセスの好ましい実施形態によれば、工程(1)に記載の混合物は、少なくとも1種のX2O3供給源および少なくとも1つのアルカリ金属Mを含む。BEA骨格構造を有するゼオライト材料が工程(2)において結晶化される場合、通常、考えられる任意の量のこれらの成分を混合物中に含めることができる。好ましくは、工程(1)に記載の混合物中のYO2:X2O3:Mのモル比は、(1〜100):1:(2〜90)、より好ましくは、(5〜85):1:(5〜70)、より好ましくは、(10〜60):1:(8〜50)、より好ましくは、(20〜55):1:(11〜40)、より好ましくは、(25〜50):1:(13〜35)、なおもより好ましくは、(35〜45):1:(15〜30)の範囲である。
【0036】
本発明のプロセスによれば、工程(1)において提供される混合物は、水酸化物アニオンOH-に対する1種またはそれ以上の供給源を含むことができる。通常、OH-に対して考えられる任意の供給源を使用することができ、ここで、その少なくとも1つの供給源は、好ましくは、金属水酸化物、より好ましくは、アルカリ金属Mの水酸化物、より好ましくは、水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウム、なおもより好ましくは、水酸化ナトリウムを含む。混合物がYO2に対する供給源としてケイ酸塩および/またはX2O3に対する供給源としてアルミン酸塩を含む本発明のプロセスの好ましい実施形態では、その混合物がOH-に対する供給源を含まないことが特に好ましい。
【0037】
BEA骨格構造を有するゼオライト材料が工程(2)において結晶化される場合、通常、本発明のプロセスの工程(1)に記載の混合物のOH-:YO2のモル比は、考えられる任意の値を有することができる。好ましくは、前記モル比は、0.1〜1、より好ましくは、0.2〜0.9、より好ましくは、0.3〜0.7、より好ましくは、0.4〜0.65、なおもより好ましくは、0.43〜0.62の範囲である。
【0038】
本発明のプロセスによれば、工程(1)において種晶が提供され、ここで、前記種晶は、BEA骨格構造を有するゼオライト材料を含む。BEA骨格構造を有するゼオライト材料が工程(2)において結晶化される場合、通常、前記種晶は、BEA骨格構造を有する任意のゼオライト材料を含むことができる。好ましくは、種晶に含まれるBEA骨格構造を有するゼオライト材料は、本発明のプロセスに従って得られたゼオライト材料である。より好ましくは、種晶に含まれるBEA骨格構造を有するゼオライト材料は、その後の工程(2)において結晶化されるBEA骨格構造を有するゼオライト材料と同じものである。ゼオライトベータ、より好ましくは、本発明のプロセスに従って得られたゼオライトベータを含む種晶が、特に好ましい。特に好ましい実施形態において、種晶は、ゼオライトベータ結晶、好ましくは、本発明のプロセスに従って得られたゼオライトベータ結晶である。
【0039】
本発明のプロセスによれば、BEA骨格構造を有するゼオライト材料が工程(2)において結晶化される場合、任意の適当な量の種晶を、工程(1)に記載の混合物中に提供することができる。通常、工程(1)に記載の混合物中に含まれる種晶の量は、少なくとも1種のYO2供給源におけるYO2の100wt.%に基づいて、0.1〜50wt.%、好ましくは、0.5〜40wt.%、より好ましくは、1〜35wt.%、より好ましくは、2〜25wt.%、より好ましくは、3〜20wt.%、特に好ましくは、5〜15wt.%の範囲である。本発明のプロセスによれば、15〜45wt.%、より好ましくは、20〜40wt.%、なおもより好ましくは、25〜35wt.%の範囲である種晶の量が、さらに好ましい。
【0040】
本発明に記載の工程(1)において、混合物は、考えられる任意の手段によって調製することができ、ここで、かき混ぜによる混合、好ましくは撹拌を用いた混合が好ましい。
【0041】
本発明の好ましい実施形態において、本発明のプロセスの工程(1)に記載の混合物は、さらに溶媒を含む。BEA骨格構造を有するゼオライト材料が工程(2)において結晶化され得る場合、考えられる任意の溶媒を考えられる任意の量で使用することができる。好ましくは、その溶媒は、水を含み、ここで、混合物のH2O:YO2のモル比は、1〜100、好ましくは、2〜60、より好ましくは、5〜50、より好ましくは、7〜45、より好ましくは、10〜30、特に好ましくは、15〜25の範囲である。本発明のプロセスによれば、混合物のH2O:YO2のモル比が15〜45、より好ましくは、20〜40、なおもより好ましくは、25〜35の範囲であることがさらに好ましい。特に好ましい実施形態において、工程(1)において提供される溶媒は、蒸留水である。
【0042】
本発明のプロセスの好ましい実施形態において、工程(1)に記載の混合物は、BEA骨格構造内のY原子および/またはX原子の少なくとも一部の同形置換に適した少なくとも1つの元素の少なくとも1つの供給源をさらに含む。通常、考えられる任意の元素を使用することができる。好ましい実施形態において、その少なくとも1つの元素は、Cu、Co、Cr、Ni、Fe、VおよびNbからなる群、好ましくは、Cu、Co、Cr、Ni、Feからなる群、より好ましくは、CuおよびFeからなる群から選択され、ここで、さらにより好ましくは、その少なくとも1つの元素は、Feである。特に好ましい実施形態において、同形置換に適した少なくとも1つの元素は、Feである。
【0043】
本発明の特に好ましい実施形態において、工程(1)に記載の混合物は、同形置換に適した少なくとも1つの元素に加えて、少なくとも1つのケイ酸塩および/または少なくとも1つのアルミン酸塩を含み、ここで、好ましくは、その少なくとも1つの元素は、Feであり、より好ましくは、前記少なくとも1つの元素は、Feである。
【0044】
従って、本発明は、BEA骨格構造を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料、好ましくは、Feによって同形置換された有機テンプレート非含有ゼオライト材料を調製するためのワンポット合成手順も提供し、ここで、同形置換は、既存の骨格の合成後処理を含む従来のプロセスによっては達成されず、骨格元素は、それらが、得られる骨格構造内にその後含められる他の原子で置き換えられ得るように処理される。特に、本発明のプロセスによれば、同形置換された骨格構造を生成するために既存の骨格原子を除去する必要はない。
【0045】
その結果として、本発明は、BEA骨格構造内のY原子および/またはX原子の少なくとも一部が少なくとも1つの元素によって同形置換された、BEA骨格構造を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料を生成するためのワンポット合成手順にも関し、ここで、その少なくとも1つの元素は、好ましくは、Cu、Co、Cr、Ni、Fe、VおよびNbからなる群から選択され、より好ましくは、その少なくとも1つの元素は、Feである。
【0046】
通常、本発明のプロセスの工程(1)によれば、同形置換に適した元素または元素の合計に対するYO2のモル比は、考えられる任意の値を有することができ、ここで、そのモル比は、好ましくは、5〜300、より好ましくは、10〜200、より好ましくは、30〜150、より好ましくは、40〜100、なおもより好ましくは、50〜90の範囲である。
【0047】
BEA骨格構造を有するゼオライト材料が工程(2)において混合物から結晶化される場合、通常、本発明のプロセスの工程(1)の混合物を提供するための個々の成分は、任意の順序で加えることができる。これは、例えば、任意の溶媒、ならびに任意に少なくとも1種のX2O3供給源および/またはOH-の少なくとも1つの供給源が加えられた後に少なくとも1種のYO2供給源が加えられることを含むことがあり、ここで、種晶だけが、後で混合物に加えられる。あるいは、任意の溶媒、ならびに任意に少なくとも1種のX2O3供給源および/またはOH-の少なくとも1つの供給源がまず加えられて、その後に種晶が加えられてもよく、ここで、その後に、少なくとも1種のYO2供給源だけが加えられる。Yに関しておよび/または任意にXに関して同形置換されたBEA骨格構造を有するゼオライト材料が、工程(2)において混合物から結晶化される場合、工程(1)において提供される混合物中に任意に存在する同形置換に適した少なくとも1つの元素の少なくとも1つの供給源は、いずれの時点において加えてもよい。例としては、同形置換のための少なくとも1つの供給源は、任意の溶媒、ならびに任意に少なくとも1種のX2O3供給源および/またはOH-の少なくとも1つの供給源を加えた後、かつ少なくとも1種のYO2供給源を加える前および/または種晶を加える前に、加えられ得る。あるいは、同形置換のための少なくとも1つの供給源は、工程(1)に記載の混合物の上述の成分の前に加えられてもよいし、後に加えられてもよい。
【0048】
BEA骨格構造を有するゼオライト材料が工程(1)に記載の混合物から結晶化される場合、通常、本発明のプロセスに記載の工程(2)は、考えられる任意の様式で行うことができる。その混合物は、任意のタイプの容器内で結晶化することができ、ここで、好ましくは、容器の回転および/または撹拌、より好ましくは、混合物の撹拌による、かき混ぜの手段が好ましくは使用される。
【0049】
本発明のプロセスによれば、混合物は、好ましくは、工程(2)における結晶化プロセスの少なくとも一部において加熱される。BEA骨格構造を有するゼオライト材料が混合物から結晶化される場合、通常、その混合物は、結晶化の考えられる任意の温度に加熱することができる。好ましくは、混合物は、80〜200℃、より好ましくは、90〜180℃、より好ましくは、95〜170℃、より好ましくは、100〜160℃、より好ましくは、110〜150℃、なおもより好ましくは、115〜145℃の範囲である結晶化の温度に加熱される。本発明のプロセスによれば、120〜160℃、より好ましくは、130〜150℃、なおもより好ましくは、135〜145℃の範囲である結晶化の温度もまた好ましい。
【0050】
本発明のプロセスの工程(2)における好ましい加熱は、BEA骨格構造を有するゼオライト材料の結晶化に適した考えられる任意の様式で行うことができる。通常、加熱は、1つの温度の結晶化で行われてもよいし、異なる温度の間で変動してもよい。好ましくは、結晶化の温度に達するために加熱勾配(heat ramp)が用いられ、ここで、その加熱速度は、好ましくは、10〜100℃/h、より好ましくは、20〜70℃/h、より好ましくは、25〜60℃/h、より好ましくは、30〜50℃/h、なおもより好ましくは、35〜45℃/hの範囲である。
【0051】
本発明の好ましい実施形態において、工程(1)に記載の混合物は、工程(2)において常圧よりも高い圧力に供される。本発明の文脈において使用される用語「常圧」は、理想状態における101,325Paの圧力に関する。しかしながら、この圧力は、当業者に公知の境界内で変動し得る。例としては、この圧力は、95,000〜106,000または96,000〜105,000または97,000〜104,000または98,000〜103,000または99,000〜102,000Paの範囲内であり得る。
【0052】
工程(1)に記載の混合物中に溶媒が存在する本発明のプロセスの好ましい実施形態において、工程(2)における加熱が、ソルボサーマル条件下で行われることがさらに好ましく、それは、その混合物が、例えば、オートクレーブ内またはソルボサーマル条件をもたらすのにふさわしい他の結晶化容器内で加熱を行うことによって、使用される溶媒の自己圧力下で結晶化されることを意味する。溶媒が水(好ましくは蒸留水)を含むかまたはそれからなる特に好ましい実施形態において、工程(2)における加熱は、好ましくは、水熱条件下においてしかるべく行われる。
【0053】
特に、特定の結晶化条件を必要とする好ましい実施形態に関して、結晶化プロセスについての所望のパラメータを実現することができる場合、結晶化のために本発明において使用することができる装置は、特に制限されない。ソルボサーマル条件下で行われる好ましい実施形態において、任意のタイプのオートクレーブまたは温浸容器を使用することができ、ここで、テフロン(登録商標)加工された装置が好ましい。
【0054】
通常、本発明のプロセスの工程(2)における結晶化プロセスの継続時間は、特に限定されない。工程(1)に記載の混合物の加熱を含む好ましい実施形態において、前記結晶化プロセスは、2〜100時間、より好ましくは、8〜70時間、なおもより好ましくは、13〜60時間の範囲である時間にわたって行われる。本発明のプロセスによれば、10〜30時間、より好ましくは、12〜25時間、なおもより好ましくは、14〜20時間の範囲である時間にわたって結晶化が行われることがさらに好ましい。さらに、35〜65時間、より好ましくは、40〜60時間、なおもより好ましくは、45〜55時間の範囲である時間にわたって結晶化が行われることが好ましい。本発明の特に好ましい実施形態によれば、結晶化は、10〜16.5時間、より好ましくは、12〜16時間、なおもより好ましくは、14〜15.5時間の範囲である時間にわたって行われる。
【0055】
混合物が工程(2)において加熱される本発明の好ましい実施形態によれば、BEA骨格構造を有するゼオライト材料が結晶化される場合、前記加熱は、結晶化プロセスの全体またはその一部分のみもしくはそれ以上の部分において、行われてもよい。好ましくは、加熱は、結晶化の継続時間全体にわたって行われる。
【0056】
したがって、本発明のプロセスの特に好ましい実施形態によれば、Yは、Siを表し、工程(1)に記載の混合物は、少なくとも1種のX2O3供給源をさらに含み(ここで、XはAlである)、工程(1)に記載の混合物のSiO2:Al2O3のモル比は、20〜55、好ましくは、25〜50、より好ましくは、35〜45の範囲である。さらに、前記特に好ましい実施形態によれば、混合物は、水酸化物アニオンの少なくとも1つの供給源、好ましくは、金属水酸化物、より好ましくは、アルカリ金属Mの水酸化物、なおもより好ましくは、水酸化ナトリウムをさらに含み、ここで、混合物のOH-:SiO2のモル比は、好ましくは、0.3〜0.7、より好ましくは、0.4〜0.65、なおもより好ましくは、0.43〜0.62の範囲である。このことに加えて、前記特に好ましい実施形態に記載の混合物は、溶媒(好ましくは蒸留水)を含み、工程(1)の混合物は、120〜160℃、より好ましくは、130〜150℃、なおもより好ましくは、工程(2)において135〜145℃の範囲である温度の水熱条件下で結晶化され、前記加熱は、10〜30時間、より好ましくは、12〜25時間、なおもより好ましくは、14〜20時間の範囲である継続時間にわたって行われる。
【0057】
前記実施形態によれば、10〜30、より好ましくは、15〜25という工程(1)に記載の混合物中のH2O:SiO2のモル比、および/または3〜20wt.%、より好ましくは、5〜15wt.%という種晶の量がさらに好ましい。
【0058】
特に好ましい本発明のプロセスのさらなる実施形態によれば、Yは、Siを表し、工程(1)に記載の混合物は、少なくとも1種のX2O3供給源をさらに含み(ここで、XはAlである)、工程(1)に記載の混合物のSiO2:Al2O3のモル比は、20〜55、好ましくは、25〜50、より好ましくは、35〜45の範囲である。さらに、前記特に好ましい実施形態によれば、混合物は、水酸化物アニオンの少なくとも1つの供給源、好ましくは、金属水酸化物、より好ましくは、アルカリ金属Mの水酸化物、なおもより好ましくは、水酸化ナトリウムをさらに含み、ここで、混合物のOH-:SiO2のモル比は、好ましくは、0.3〜0.7、より好ましくは、0.4〜0.65、なおもより好ましくは、0.43〜0.62の範囲である。このことに加えて、前記特に好ましい実施形態に記載の混合物は、BEA骨格構造内の少なくとも(a least)一部のSiおよび/またはAl原子の同形置換に適した少なくとも1つの元素を含み、ここで、少なくとも1つの元素は、好ましくは、Cu、Co、Cr、Ni、Fe、VおよびNbからなる群、より好ましくは、CuおよびFeからなる群から選択され、ここで、なおもより好ましくは、少なくとも1つの元素は、Feである。さらに、前記特に好ましい実施形態の工程(1)に記載の混合物は、溶媒(好ましくは蒸留水)をさらに含み、工程(1)の混合物は、工程(2)において、120〜160℃、より好ましくは、130〜150℃、なおもより好ましくは、135〜145℃の範囲である温度の水熱条件下で結晶化され、前記加熱は、35〜65時間、より好ましくは、40〜60時間、なおもより好ましくは、45〜55時間の範囲である継続時間にわたって行われる。前記実施形態によれば、15〜45、より好ましくは、20〜40、なおもより好ましくは、25〜35という工程(1)の混合物中のH2O:SiO2のモル比、および/または3〜20wt.%、より好ましくは、5〜15wt.%の範囲である種晶の量がさらに好ましい。
【0059】
特に好ましい本発明のプロセスのなおもさらなる実施形態によれば、Yは、Siを表し、SiO2の少なくとも1つの供給源は、アルカリ金属ケイ酸塩、好ましくは、水ガラス、より好ましくは、ケイ酸ナトリウムであり、ここで、工程(1)に記載の混合物は、少なくとも1種のX2O3供給源をさらに含み(ここで、Xは、Alである)、工程(1)に記載の混合物のSiO2:Al2O3のモル比は、15〜40、より好ましくは、20〜35、なおもより好ましくは、25〜30の範囲である。さらに、前記特に好ましい実施形態によれば、混合物は、溶媒(好ましくは蒸留水)をさらに含み、工程(1)の混合物は、工程(2)において、120〜160℃、より好ましくは、130〜150℃、なおもより好ましくは、135〜145℃の範囲である温度の水熱条件下で結晶化され、前記加熱は、10〜16.5時間、より好ましくは、12〜16時間、なおもより好ましくは、14〜15.5時間の範囲である継続時間にわたって行われる。前記実施形態によれば、10〜30、より好ましくは、15〜25というH2O:SiO2のモル比、および/または20〜40wt.%、なおもより好ましくは、25〜35wt.%の範囲である種晶の量がさらに好ましい。前記特に好ましい実施形態において、工程(1)に記載の混合物は、好ましくは工程(2)における結晶化中に、好ましくは、容器の回転および/または撹拌、より好ましくは、混合物の撹拌によって、かき混ぜられる。
【0060】
通常、本発明のプロセスは、工程(1)において提供される混合物からの、工程(2)において結晶化されたBEA骨格構造を有するゼオライト材料のワークアップならびに/またはさらなる物理的および/もしくは化学的な転移のためのさらなる工程を任意に含むことができる。その結晶化された材料は、例えば、任意の順序の単離手順および/または洗浄手順に供され得、ここで、工程(2)における結晶化から得られたゼオライト材料は、好ましくは、少なくとも1つの単離手順および少なくとも1つの洗浄手順に供される。
【0061】
結晶化された生成物の単離は、考えられる任意の手段によって達成することができる。好ましくは、結晶化された生成物の単離は、濾過、限外濾過、ダイアフィルトレーション、遠心分離および/またはデカンテーション法を用いて達成することができ、ここで、濾過方法は、吸引濾過工程および/または加圧濾過工程を含み得る。
【0062】
1つまたはそれ以上の任意の洗浄手順に関して、考えられる任意の溶媒を使用することができる。使用され得る洗浄剤は、例えば、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノールまたはプロパノール)またはそれらの2つもしくはそれ以上の混合物である。混合物の例は、2つまたはそれ以上のアルコールの混合物(例えば、メタノールおよびエタノールまたはメタノールおよびプロパノールまたはエタノールおよびプロパノールまたはメタノールおよびエタノールおよびプロパノール)、または水と少なくとも1つのアルコールとの混合物(例えば、水およびメタノールまたは水およびエタノールまたは水およびプロパノールまたは水およびメタノールおよびエタノールまたは水およびメタノールおよびプロパノールまたは水およびエタノールおよびプロパノールまたは水およびメタノールおよびエタノールおよびプロパノール)である。水または水と少なくとも1つのアルコール、好ましくは、水とエタノールとの混合物が好ましく、蒸留水が唯一の洗浄剤として特に非常に好ましい。
【0063】
好ましくは、分離されたゼオライト材料は、洗浄剤、好ましくは、洗浄水のpH(標準的なガラス電極によって測定される)が、6〜8、好ましくは、6.5〜7.5の範囲内になるまで、洗浄される。
【0064】
さらに、本発明のプロセスは、1つまたはそれ以上の乾燥工程を任意に含むことができる。通常、考えられる任意の乾燥手段を使用することができる。乾燥手順は、好ましくは、BEA骨格構造を有するゼオライト材料を加熱すること、および/またはBEA骨格構造を有するゼオライト材料に真空を適用することを含む。本発明の想定される実施形態において、1つまたはそれ以上の乾燥工程は、ゼオライト材料の噴霧乾燥、好ましくは、噴霧造粒を含み得る。
【0065】
少なくとも1つの乾燥工程を含む実施形態において、乾燥温度は、好ましくは、25℃〜150℃、より好ましくは、60〜140℃、より好ましくは、70〜130℃の範囲内、なおもより好ましくは、75〜125℃の範囲内である。乾燥の継続時間は、好ましくは、2〜60時間の範囲内、より好ましくは、6〜48時間の範囲内、なおもより好ましくは、12〜24時間の範囲内である。
【0066】
本発明のプロセスによれば、工程(2)において結晶化されたゼオライト材料は、イオン交換処理の少なくとも1つの工程に任意に供され得、ここで、本発明に記載の用語「イオン交換」は、通常、ゼオライト材料に含まれているイオン性の非骨格元素および/または分子のことを指す。通常、すべての可能なイオン性の元素および/または分子との考えられる任意のイオン交換処理は、有機構造規定剤、具体的には、BEA骨格構造を有するゼオライト材料の合成において使用される有機構造規定剤、特に、特定のテトラアルキルアンモニウム塩類および/または関連する有機テンプレート(例えば、テトラエチルアンモニウム塩類および/もしくはジベンジルメチルアンモニウム塩類ならびに/またはジベンジル−1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン)を除くゼオライト材料に対して行うことができる。好ましくは、イオン性の元素として、好ましくは、H+、NH4+、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、Auからなる群、より好ましくは、Pd、AgおよびPtからなる群、なおもより好ましくは、PtおよびPdからなる群から選択される少なくとも1つのカチオンおよび/またはカチオン性元素が使用される。好ましくは、ゼオライト材料は、まず、H+および/またはNH4+、より好ましくは、NH4+とイオン交換された後、さらなるイオン交換処理に供され、より好ましくは、1つまたはそれ以上の貴金属(Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、Au)、より好ましくは、Pd、AgおよびPtからなる群から選択される1つまたはそれ以上の貴金属、なおもより好ましくは、PtおよびPdから選択される少なくとも1つの元素とのイオン交換に供される。本発明のプロセスによれば、前記好ましいイオン性の元素の代わりにまたはそれらに加えて、ゼオライト材料が、Cu、Co、Cr、Ni、Fe、VおよびNbからなる元素の群から選択される1つまたはそれ以上のカチオン元素とイオン交換されることも好ましい。
【0067】
通常、本発明のプロセスに含まれる任意の洗浄および/または単離および/またはイオン交換の手順は、考えられる任意の(any conceivably)順序で行うことができ、所望の回数だけ繰り返すことができる。
【0068】
従って、本発明に記載のプロセスは、以下の工程
(3)BEA骨格構造を有するゼオライト材料を、好ましくは、濾過によって単離する工程、および/または
(4)BEA骨格構造を有するゼオライト材料を洗浄する工程、および/または
(5)BEA骨格構造を有するゼオライト材料を乾燥する工程、および/または
(6)BEA骨格構造を有するゼオライト材料をイオン交換処理に供する工程
のうちの少なくとも1つを任意に含み、ここで、工程(3)および/または(4)および/または(5)および/または(6)は、任意の順序で行うことができ、前記工程の少なくとも1つは、好ましくは、少なくとも1回繰り返される。
【0069】
好ましくは、本発明のプロセスは、工程(2)に従って結晶化されたゼオライト材料を、より好ましくはその濾過によって、単離する少なくとも1つの工程を含む。本発明のプロセスによれば、少なくとも1つの単離工程の後、ゼオライト材料が少なくとも1つの乾燥工程に供されることがさらに好ましく、ここで、より好ましくは、ゼオライト材料は、少なくとも1つの乾燥工程の前に少なくとも1つの洗浄工程に供される。特に好ましい実施形態において、工程(2)に従って結晶化されたゼオライト材料は、少なくとも1つの単離工程に供された後、少なくとも1つの洗浄工程、それに続いて少なくとも1つの乾燥工程に供される。
【0070】
本発明のプロセスのさらなる実施形態によれば、工程(2)において結晶化されたゼオライト材料は、事前にそのゼオライト材料の単離、洗浄または乾燥を行うことなく、少なくとも1つの乾燥工程、好ましくは、噴霧乾燥およびまたは噴霧造粒に直接供される。本発明のプロセスの工程(2)から得られた混合物を噴霧乾燥または噴霧造粒の段階に直接供することは、単離および乾燥が単一の段階で行われるという利点を有する。その結果として、本発明のこの実施形態によれば、有機テンプレート化合物の除去が回避されるだけでなく、合成後のワークアップ工程の回数が最小になる、さらにより好ましいプロセスが提供され、その結果として、BEA骨格構造を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料を、高度に単純化されたプロセスから得ることができる。
【0071】
本発明のさらなる実施形態によれば、工程(2)における結晶化から得られたゼオライト材料は、少なくとも1つの単離工程に供された後、少なくとも1つのイオン交換処理、好ましくは、少なくとも1つの単離工程の後の少なくとも1つの洗浄工程、より好ましくは、少なくとも1つの単離工程の後の少なくとも1つの洗浄工程、それに続く少なくとも1つの乾燥工程に供される。
【0072】
本発明に記載のプロセスは、好ましくは、工程(2)に従って結晶化されたゼオライト材料を、500℃を超える温度で加熱することを通常含むか焼工程を含まない。より好ましくは、か焼工程を含まないBEA骨格構造を有するゼオライト材料を生成するための本発明に記載のプロセスとは、工程(2)に従って結晶化されたゼオライト材料が、450℃、より好ましくは、350℃、より好ましくは、300℃、より好ましくは、250℃、より好ましくは、200℃、なおもより好ましくは、150℃を上回る温度に供されないプロセスのことを指す。本発明によれば、本発明のプロセスの工程(2)が完了した後に(ここで、結晶化されたゼオライト材料は外界温度である)、続いて前記材料が、BEA骨格構造を有するゼオライト材料から有機テンプレートを除去するために通常または適切に行われるいかなる加熱プロセスにも供されないことが特に好ましい。
【0073】
本発明はさらに、本発明に記載のプロセスによって、または本発明のプロセスに従って入手可能であるようなBEA骨格構造を有するゼオライト材料をもたらす任意の考えられるプロセスによって得られるBEA骨格構造を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料に関する。
【0074】
それゆえ、本発明は、本発明のプロセスに従って入手可能であるおよび/または得られるBEA骨格構造を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料にも関する。
【0075】
しかしながら、本発明は、少なくとも以下の反射を含むX線回折パターンを有する、BEA骨格構造を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料にも関する:
【0076】
【表1】
【0077】
ここで、100%は、粉末X線回折パターンにおける最大ピークの強度に関し、ここで、そのBEA骨格構造は、YO2を含み、Yは、四価元素である。好ましくは、BEA骨格構造を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料は、少なくとも以下の反射を含むX線回折パターンを有する:
【0078】
【表2】
【0079】
ここで、100%は、粉末X線回折パターンにおける最大ピークの強度に関する。
【0080】
好ましい実施形態によれば、本発明の有機テンプレート非含有ゼオライト材料は、少なくとも以下の反射を含むX線回折パターンを有する:
【0081】
【表3】
【0082】
ここで、より好ましくは、上線回折パターンは、少なくとも以下の反射を含む:
【0083】
【表4】
【0084】
ここで、100%は、粉末X線回折パターンにおける最大ピークの強度に関する。
【0085】
好ましくは、本発明に記載の粉末回折パターンを示すBEA骨格構造を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料は、本発明に記載のプロセスによって、または本発明のプロセスに従って入手可能であるようなBEA骨格構造を有するゼオライト材料をもたらす任意の考えられるプロセスによって得られる有機テンプレート非含有ゼオライト材料である。
【0086】
本発明によれば、本ゼオライト材料は、有機構造規定剤、具体的には、BEA骨格構造を有するゼオライト材料の合成において使用される有機構造規定剤、特に特定のテトラアルキルアンモニウム塩類および/または関連する有機テンプレート(例えば、テトラエチルアンモニウム塩類および/もしくはジベンジルメチルアンモニウム塩類ならびにジベンジル−1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン)の不純物より多くを含まない。そのような不純物は、例えば、本発明のプロセスにおいて使用される種晶に依然存在する有機構造規定剤が原因であり得る。
【0087】
本発明によれば、BEA骨格構造を有するゼオライト材料において、Yは、考えられる任意の四価元素を表し、Yは、1種または数種の四価元素を表す。本発明に記載の好ましい四価元素としては、Si、Sn、Ti、ZrおよびGeならびにそれらの組み合わせが挙げられる。より好ましくは、Yは、Si、TiもしくはZr、または前記三価元素の任意の組み合わせ、なおもより好ましくは、Siおよび/またはSnを表す。本発明によれば、YがSiを表すことが特に好ましい。
【0088】
本発明の好ましい実施形態において、BEA構造を有するゼオライト材料の骨格は、X2O3をさらに含み、ここで、Xは、任意の考えられる三価元素を表し、Xは、1種または数種の三価元素を表す。本発明に記載の好ましい三価元素としては、Al、B、InおよびGaならびにそれらの組み合わせが挙げられる。より好ましくは、Yは、Al、BもしくはIn、または前記三価元素の任意の組み合わせ、なおもより好ましくは、Alおよび/またはBを表す。本発明によれば、XがAlを表すことが特に好ましい。
【0089】
好ましくは、本発明のゼオライト材料は、少なくとも1つのアルカリ金属M、より好ましくは、ナトリウムおよび/またはカリウム、なおもより好ましくは、ナトリウムを含み、ここで、前記少なくとも1つのアルカリ金属は、本ゼオライト材料の非骨格元素である。
【0090】
本発明によれば、BEA骨格を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料は、好ましくは、か焼されず、より好ましくは、本発明の意味の範囲内でか焼されない。さらにより好ましくは、結晶化される条件を除いて、本発明に記載のBEA骨格構造を有するゼオライト材料は、BEA骨格構造を有するゼオライト材料から有機テンプレートを除去するために通常または適切に行われる加熱プロセスに供されていない。
【0091】
本発明の好ましい実施形態において、有機テンプレート非含有ゼオライト材料のYO2:X2O3のモル比は、2〜100、より好ましくは、4〜70、より好ましくは、5〜50、より好ましくは、6〜30、より好ましくは、7〜20、より好ましくは、8〜15、なおもより好ましくは、9〜13の範囲である。
【0092】
本発明によれば、有機テンプレート非含有ゼオライト材料のYO2:X2O3のモル比が、3〜20、より好ましくは、4〜18、より好ましくは、6〜16、より好ましくは、8〜14、より好ましくは、9〜13、なおもより好ましくは、10.5〜12.5の範囲であることがさらに好ましい。
【0093】
有機テンプレート非含有ゼオライト材料が1種またはそれ以上のアルカリ金属Mを非骨格元素として含む本発明の好ましい実施形態によれば、モル比M:X2O3は、好ましくは、0.005〜10、より好ましくは、0.05〜7、より好ましくは、0.5〜6、より好ましくは、1〜5、より好ましくは、1.5〜4.5、なおもより好ましくは、2〜4の範囲である。
【0094】
本発明によれば、有機テンプレート非含有ゼオライト材料が1種またはそれ以上のアルカリ金属Mを非骨格元素として含むとき、モル比M:X2O3は、好ましくは、0.001〜2、より好ましくは、0.01〜1、より好ましくは、0.05〜0.5、より好ましくは、0.07〜0.3、なおもより好ましくは、0.1〜0.2の範囲であることがさらに好ましい。
【0095】
通常、BEA骨格構造を有するゼオライト材料内に非骨格元素として任意に存在するアルカリ金属の少なくとも一部は、有機構造規定剤、具体的にはBEA骨格構造を有するゼオライト材料の合成において使用される有機構造規定剤、特に、特定のテトラアルキルアンモニウム塩類および/または関係する有機テンプレート(例えば、テトラエチルアンモニウム塩類および/もしくはジベンジルメチルアンモニウム塩類ならびに/またはジベンジル−1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン)を除くゼオライト材料におけるイオン交換にふさわしい少なくとも1つのカチオンおよび/またはカチオン性元素によって置換され得る。好ましくは、少なくとも1つのカチオンおよび/またはカチオン性元素は、H+、NH4+、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、Auからなる群、より好ましくは、Pd、AgおよびPtからなる群、なおもより好ましくは、PtおよびPdからなる群から選択される。本発明によれば、前記好ましいイオン性元素の代わりにまたはそれに加えて、1つまたはそれ以上のカチオン性の元素が、Cu、Co、Cr、Ni、Fe、VおよびNbからなる元素の群から選択されることも好ましい。
【0096】
本発明の好ましい実施形態によれば、BEA骨格内のY原子の少なくとも一部は、少なくとも1つの元素によって同形置換される。通常、Yは、任意の適当な元素によって同形置換され得、ここで、その少なくとも1つの元素は、好ましくは、Cu、Co、Cr、Ni、Fe、VおよびNbからなる群、より好ましくは、Cu、Co、Cr、Ni、Feからなる群、より好ましくは、CuおよびFeからなる群から選択され、ここで、さらにより好ましくは、その少なくとも1つの元素は、Feである。特に好ましい実施形態において、BEA骨格内のY原子の少なくとも一部は、Feによって同形置換される。
【0097】
BEA骨格内のY原子の少なくとも一部が少なくとも1つの元素によって同形置換される本発明に記載の実施形態において、その少なくとも1つの元素に対するYO2のモル比は、好ましくは、5〜100、より好ましくは、10〜80、より好ましくは、20〜70、なおもより好ましくは、25〜65の範囲である。少なくとも1つの元素に対するYO2のモル比が5〜60、より好ましくは、10〜50、より好ましくは、20〜40、なおもより好ましくは、25〜35の範囲である実施形態がさらに好ましい。これらに加えて、少なくとも1つの元素に対するYO2のモル比が、好ましくは、30〜85、より好ましくは、35〜70、より好ましくは、40〜65、なおもより好ましくは、45〜60の範囲である実施形態が好ましい。
【0098】
本発明によれば、BEA骨格構造を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料は、好ましくは、DIN66135に従って測定される、200〜700m2/g、好ましくは、400〜650m2/g、より好ましくは、475〜575m2/g、なおもより好ましくは、500〜550m2/gというBET表面積を有する。
【0099】
本発明の材料は、その用途の特定の要求に応じて、上に記載された分離手法、例えば、デカンテーション、濾過、遠心分離または噴霧から得られる、粉末、噴霧粉末(spray powder)または噴霧顆粒(spray granulate)の形態のような、そのようなものとして使用することができる。
【0100】
多くの産業上の用途において、一部のユーザーは、粉末または噴霧された材料としてのゼオライト材料、すなわち、母液からのその材料の分離(洗浄および乾燥、ならびにその後のか焼を任意に含む)によって得られるゼオライト材料の使用を望まないことが多く、成形物が得られるようにさらに処理されたゼオライト材料を望むことが多い。そのような成形物は、特に、多くの工業プロセス、例えば、本発明のゼオライト材料が触媒または吸着剤として使用される多くのプロセスにおいて必要とされる。
【0101】
したがって、本発明は、BEA骨格構造を有する本発明のゼオライト材料を含む成形物にも関する。
【0102】
通常、粉末または噴霧された材料を、他の任意の化合物なしで、例えば、適当な圧縮によって、形づくることにより、所望の形状、例えば、タブレット、柱体、球形などの成形物を得ることができる。
【0103】
好ましくは、粉末または噴霧された材料を、適当な耐火結合剤と混和するか、またはそれでコーティングする。通常、適当な結合剤は、結合されるゼオライト材料粒子間に、結合剤なしでも存在し得る物理収着を超える接着性および/または粘着性を付与するすべての化合物である。そのような結合剤の例は、金属酸化物、例えば、SiO2、Al2O3、TiO2、ZrO2もしくはMgOまたは粘土、あるいはこれらの化合物の2つまたはそれ以上の混合物である。使用することができる天然に存在する粘土としては、モンモリロナイト族およびカオリン族が挙げられ、それらの族は、サブベントナイト、ならびにDixie、McNamee、GeorgiaおよびFlorida粘土として通常知られるカオリン、または主要な無機成分がハロイサイト、カオリナイト、ディッカイト、ナクライトもしくはアナウキサイトであるその他のものを含む。そのような粘土は、元の採掘されたままの未処理の状態で使用することもできるし、または初めにか焼、酸処理もしくは化学修飾に供することもできる。さらに、本発明に記載のゼオライト材料は、多孔性のマトリックス材(例えば、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、シリカ−トリア、シリカ−ベリリアおよびシリカ−チタニア)ならびに三元組成物(例えば、シリカ−アルミナ−トリア、シリカ−アルミナ−ジルコニア、シリカ−アルミナ−マグネシアおよびシリカ−マグネシア−ジルコニア)と混成され得る。
【0104】
また、好ましくは、粉末または噴霧された材料(任意に、上に記載されたような適当な耐火結合剤と混和した後またはそれでコーティングした後のもの)を、例えば水を用いて、スラリーにし、適当な耐火担体上に堆積させる。そのスラリーは、他の化合物(例えば、安定剤、消泡剤、促進剤など)も含んでもよい。典型的には、その担体は、それを貫通して平行に伸びる複数の微細なガス流路を有する1つまたはそれ以上の耐火物を含む、しばしば「ハニカム」担体と呼ばれる部材を備える。そのような担体は、当分野で周知であり、キンセイ石などのような任意の適当な材料から作製されていることがある。
【0105】
通常、上に記載されたゼオライト材料は、モレキュラーシーブ、吸着剤、触媒、触媒支持体またはそれらの結合剤として使用することができる。特に好ましいのは、触媒としての使用である。例えば、ゼオライト材料は、選択的分子分離のための、例えば、炭化水素またはアミドの分離のための乾性ガスまたは液体に対するモレキュラーシーブとして;イオン交換体として;化学物質担体として;吸着剤、特に、炭化水素またはアミドを分離するための吸着剤として;または触媒として、使用することができる。最も好ましくは、本発明に記載のゼオライト材料は、触媒として使用される。
【0106】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の有機テンプレート非含有ゼオライト材料は、触媒プロセスにおいて、好ましくは、触媒および/または触媒支持体として、より好ましくは、触媒として使用される。通常、本発明のゼオライト材料は、考えられる任意の触媒プロセスにおいて触媒および/または触媒支持体として使用することができ、ここで、少なくとも1つの有機化合物、より好ましくは、少なくとも1つの炭素−炭素および/または炭素−酸素および/または炭素−窒素結合を含む有機化合物、より好ましくは、少なくとも1つの炭素−炭素および/または炭素−酸素結合を含む有機化合物、なおもより好ましくは、少なくとも1つの炭素−炭素結合を含む有機化合物の変換を含むプロセスが好ましい。本発明の特に好ましい実施形態において、ゼオライト材料は、流動接触分解(FCC)プロセスにおいて触媒および/または触媒支持体として使用される。本発明のさらなる実施形態によれば、本発明のゼオライト材料は、好ましくは、少なくとも1つの窒素−酸素結合を含む少なくとも1つの化合物の変換を含む触媒プロセスにおいて使用される。
【0107】
本発明によれば、窒素酸化物NOxの選択的な還元のための選択的接触還元(SCR)プロセスにおける触媒および/または触媒支持体として;NH3の酸化、特に、ディーゼルシステムにおけるNH3スリップの酸化のために;N2Oの分解のため;すす酸化のために;予混合圧縮着火(HCCI)エンジンなどの改良型の排気ガスシステム(Advanced Emission Systems)におけるエミッションコントロールのために;流動接触分解(FCC)プロセスにおける添加物として;有機物の変換反応における触媒として;または「固定発生源(stationary source)」プロセスにおける触媒として、BEA骨格構造を有するゼオライト材料を使用することが特に好ましい。
【0108】
本発明の文脈において使用される窒素酸化物NOxという用語は、窒素の酸化物、特に、一酸化二窒素(N2O)、一酸化窒素(NO)、三酸化二窒素(N2O3)、二酸化窒素(NO2)、四酸化二窒素(N2O4)、五酸化二窒素(N2O5)、過酸化窒素(NO3)のことを指す。
【0109】
従って、本発明は、適当な還元条件下において、本発明に記載のBEA骨格構造を有するゼオライト材料を含む触媒とNOxを含む流れとを接触させることによって、窒素酸化物NOxを選択的に還元するための方法;適当な酸化条件下において、本発明に記載のBEA骨格構造を有するゼオライト材料を含む触媒とNH3を含む流れとを接触させることによって、NH3を酸化する方法、特に、ディーゼルシステムにおいてNH3スリップを酸化する方法;適当な分解条件下において、本発明に記載のBEA骨格構造を有するゼオライト材料を含む触媒とN2Oを含む流れとを接触させることによって、N2Oを分解する方法;適当な条件下において、本発明に記載のBEA骨格構造を有するゼオライト材料を含む触媒と排ガス流とを接触させることによって、予混合圧縮着火(HCCI)エンジンなどの改良型の排気ガスシステムにおける排出を管理する方法;本発明に記載のBEA骨格構造を有するゼオライト材料が添加物として使用される流動接触分解FCCプロセス;適当な変換条件下において、本発明に記載のBEA骨格構造を有するゼオライト材料を含む触媒と有機化合物とを接触させることによって、前記化合物を変換する方法;本発明に記載のBEA骨格構造を有するゼオライト材料を含む触媒が使用される「固定発生源」プロセスにも関する。
【0110】
従って、本発明は、窒素酸化物NOxを選択的に還元するための方法にも関し、ここで、窒素酸化物NOxを含む気体流、好ましくは、アンモニアおよび/尿素も含む気体流が、好ましくは、成形触媒の形態の、さらにより好ましくはゼオライト材料が適当な耐火担体上に堆積された、さらにより好ましくは「ハニカム」担体上に堆積された、成形触媒として、本発明に記載のゼオライト材料または本発明に従って入手可能であるもしくは(of)得られるゼオライト材料と接触される。
【0111】
本発明に記載のゼオライト材料または本発明に従って入手可能であるもしくは(of)得られるゼオライト材料を含む触媒を使用して還元される窒素酸化物は、任意のプロセスによって、例えば、排ガス流として得られることがある。とりわけ、アジピン酸、硝酸、ヒドロキシルアミン誘導体、カプロラクタム、グリオキサール、メチル−グリオキサール、グリオキシル酸を生成するためのプロセス、または窒素性(nitrogeneous)材料を燃焼するためのプロセスにおいて得られるような排ガス流に言及され得る。
【0112】
最も好ましくは、本発明に記載のゼオライト材料または本発明に従って入手可能であるもしくは(of)得られるゼオライト材料は、成形触媒として、さらにより好ましくは、窒素酸化物NOxの選択的還元、すなわち、窒素酸化物の選択的接触還元のための、ゼオライト材料が適当な耐火担体上に堆積された成形触媒として、さらにより好ましくは「ハニカム」担体上に堆積された成形触媒として、使用される。特に、本発明に記載のゼオライト材料が触媒的に活性な材料として使用される窒素酸化物の選択的還元は、アンモニアまたは尿素の存在下において行われる。定置式発電プラントにとってはアンモニアが最適な還元剤である一方、可搬式のSCRシステムにとっては尿素が最適な還元剤である。典型的には、SCRシステムは、エンジンおよび乗物の構造に統合されており、また、典型的には、以下の主要な構成要素を備える:本発明に記載のゼオライト材料を含むSCR触媒;尿素貯蔵タンク;尿素ポンプ;尿素噴射(urea dosing)システム;尿素インジェクター/ノズル;およびそれぞれの制御装置。
【0113】
特定の触媒組成物、または種々の目的のための組成物を調製するとき、BEA骨格構造を有する本発明に記載のゼオライト材料を、少なくとも1つの他の触媒的に活性な材料または意図される目的に関して活性である材料と混ぜることも考えられる。YO2:X2O3比、好ましくは、SiO2:Al2O3比が異なり得る、および/または遷移金属などのさらなる金属が存在することもしくは存在しないことが異なり得る、および/または遷移金属などのさらなる金属の特定の量が異なり得る、少なくとも2つの異なる本発明の材料を混ぜることも可能である。少なくとも2つの異なる本発明の材料を、少なくとも1つの他の触媒的に活性な材料または意図される目的に関して活性である材料と混ぜることも可能である。
【0114】
本発明の触媒は、他の任意の適当な形状の押出し物、ペレット、タブレットまたは粒子の形態で提供されてもよいし、粒子状の触媒の充填層として提供されてもよいし、プレート、サドル、チューブなどのような形づくられた小片として使用するために提供されてもよい。
【0115】
また、上記触媒は、基材上に配置されてもよい。その基材は、触媒を調製するために典型的に使用されるいずれの材料であってもよく、通常、セラミックまたは金属のハニカム構造を含む。任意の適当な基材(例えば、基材の入口面または出口面からその基材を貫通して平行に伸びる微細なガス流路を有する(その通路は、それを貫流する流体に対して開かれている)タイプのモノリス基材(ハニカム状の貫流基材と呼ばれる))を使用してよい。流入口から流出口まで本質的に直線である通路を流れる気体が触媒材料と接触するようにその触媒材料がウォッシュコートとして配置された壁によって、その通路は規定される。モノリス基材の流路は、薄壁のチャネルであり、任意の適当な横断面の形状(例えば、台形、長方形、正方形、正弦波状、六角形、卵形、円形など)およびサイズであり得る。そのような構造は、1平方インチ(2.54cm×2.54cm)の断面積あたり約60〜約400個またはそれ以上のガス流入開口部(すなわち、セル)を備え得る。
【0116】
上記基材は、壁流フィルター(wall−flow filter)基材でもあり得、ここで、チャネルが、交互にふさがれることにより、一方向(入口方向)からチャネルに入る気体流がチャネル壁を貫流し、そのチャネルから他方の方向(出口方向)に出ることが可能になる。本触媒組成物は、フロースルーフィルターまたは壁流フィルター上にコーティングされ得る。壁流基材が使用される場合、得られるシステムは、ガス状の汚染物質とともに粒子状の物質を除去することができる。その壁流フィルター基材は、当分野で通常知られている材料(例えば、キンセイ石、チタン酸アルミニウムまたは炭化ケイ素)から作製され得る。壁流基材上への触媒組成物のロード量は、基材の特性(例えば、多孔度および壁の厚さ)に左右され、典型的には、フロースルー基材上へのロード量よりも少ないことが理解されるだろう。
【0117】
上記セラミック基材は、任意の適当な耐火材料、例えば、キンセイ石、キンセイ石−アルミナ、窒化ケイ素、ジルコンムライト、リシア輝石、アルミナ−シリカマグネシア、ケイ酸ジルコン、珪線石、ケイ酸マグネシウム、ジルコン、葉長石、アルファ−アルミナ、アルミノケイ酸塩などから作製されていることがある。
【0118】
本発明の実施形態の触媒にとって有用な基材は、自然界において金属性のものでもあり得、1種もしくはそれ以上の金属または金属合金から構成され得る。その金属性の基材は、波形板またはモノリス型などの様々な形状で使用され得る。適当な金属支持体としては、耐熱性の金属および金属合金(例えば、チタンおよびステンレス鋼)、ならびに鉄が実質的な成分または主成分である他の合金が挙げられる。そのような合金は、ニッケル、クロムおよび/またはアルミニウムのうちの1つまたはそれ以上を含んでもよく、これらの金属の総量は、都合よく、その合金の少なくとも15wt.%、例えば、10〜25wt.%のクロム、3〜8wt.%のアルミニウムおよび最大20wt.%のニッケルを含み得る。その合金は、少量または微量の1つまたはそれ以上の他の金属(例えば、マンガン、銅、バナジウム、チタンなど)も含むことがある。基材の表面上に酸化物層を形成することによって合金の腐食に対する耐性を改善するために、その表面または金属基材は、高温、例えば、1000℃およびそれ以上において酸化されることがある。そのような高温によって誘導される酸化は、耐火金属酸化物支持体および触媒的に促進する金属成分の基材への接着を増強することがある。
【0119】
代替の実施形態において、BEA骨格構造を有する本発明に記載のゼオライト材料は、開放連続気泡発泡体基材(open cell foam substrate)上に堆積されてもよい。そのような基材は、当分野で周知であり、典型的には、耐火セラミック材料または耐火金属材料から形成される。
【0120】
ストイキ燃焼に必要な空気を越える空気を用いる燃焼条件、すなわちリーンにおいて作動する内燃機関、特に、ディーゼルエンジンの排気ガスから窒素酸化物NOxを除去するために、本発明に記載のゼオライト材料または本発明に従って入手可能であるもしくは得られるゼオライト材料を含む触媒を使用することが特に好ましい。
【0121】
従って、本発明は、ストイキ燃焼に必要な空気を越える空気を用いる燃焼条件、すなわちリーン状態において作動する内燃機関、特に、ディーゼルエンジンの排気ガスから窒素酸化物NOxを除去するための方法にも関し、ここで、本発明に記載のゼオライト材料または本発明に従って入手可能であるもしくは得られるゼオライト材料を含む触媒が、触媒的に活性な材料として使用される。
【0122】
従って、本発明は、特に、触媒の分野および/または排気ガスの処理における、本発明の有機テンプレート非含有ゼオライト材料の使用に関し、ここで、前記排気ガス処理は、産業による排気ガスまたは自動車の排気ガスの処理を含む。これらおよび他の用途において、本発明のゼオライト材料は、例として、モレキュラーシーブ、触媒および/または触媒支持体として使用することができる。
【0123】
排気ガス処理において本発明のゼオライト材料を使用することを含む本発明の実施形態において、そのゼオライト材料は、好ましくは、産業による排気ガスまたは自動車の排気ガスの処理において使用され、より好ましくは、前記用途におけるモレキュラーシーブとして使用される。特に好ましい実施形態において、排気ガス処理において使用されるゼオライト材料は、炭化水素トラップに含められる。
【0124】
図面に示される粉末X線回折パターンは、単色CuKアルファ−1放射を用いてSiemens D−5000において記録され、優先方位を回避するためにキャピラリーサンプルホルダーが使用された。8〜96°の範囲(2シータ)および0.0678°のステップ幅で、Braun製の位置敏感検出器を用いて回折データを収集した。粉末の線図の指標付けは、powder−Xに実装されているTreor90プログラムを用いて実施された(Treor90は、URL http://www.ch.iucr.org/sincris−top/logiciel/を介して自由にアクセス可能なパブリックドメインプログラムである)。図面において、°を単位とする2シータ角が横座標に示され、強度が縦座標に示される。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1a】実施例において使用されたSinopec Catalyst Companyから供給されたベータシードのX線回折(XRD)パターンおよび走査型電子顕微鏡(SEM)像を示している。
【図1b】実施例1に従って得られた結晶性の材料のX線回折パターンを示している。
【図1c】実施例1に従って得られた結晶性の生成物のサンプルから得られた走査型電子顕微鏡(SEM)像を示している。
【図1d】実施例1に記載の窒素吸着等温線を示している。相対圧力p/p0が横座標に示され、77KにおけるDIN66134に従って測定された単位をml/g(STP(標準温度および圧力))とする孔容積が縦座標に示されている。
【図2】実施例2に従って得られた結晶性の材料のX線回折パターンを示している。
【図3】実施例3に従って得られた結晶性の材料のX線回折パターンを示している。
【図4】実施例4に従って得られた結晶性の材料のX線回折パターンを示している。
【図5】実施例5に従って得られた結晶性の材料のX線回折パターンを示している。
【図6】実施例6に従って得られた結晶性の材料のX線回折パターンを示している。
【図7】実施例7に従って得られた結晶性の材料のX線回折パターンを示している。
【図8】実施例8に従って得られた結晶性の材料のX線回折パターンを示している。
【図9】実施例9に従って得られた結晶性の材料のX線回折パターンを示している。
【図10】実施例10に従って得られた結晶性の材料のX線回折パターンを示している。
【図11a】実施例11Aに従って得られた結晶性の材料のX線回折パターンを示している。
【図11b】実施例11Aから得られた結晶性の材料のX線回折パターンを、鋳型によって媒介された合成から得られたゼオライトベータの線パターンとともに示している。
【図11c】実施例11Aに従って得られた結晶性の材料の27Al MAS NMRスペクトルを示している。
【図11d】実施例11Aに従って得られた結晶性の生成物のサンプルから得られた走査型電子顕微鏡(SEM)像を示している。
【図11e】実施例11Aに記載の窒素吸着等温線を示している。相対圧力p/p0が横座標に示され、77KにおけるDIN66134に従って測定された単位をml/g(STP(標準温度および圧力))とする孔容積が縦座標に示されている。
【図12】実施例12に従って得られた結晶性の材料のX線回折パターンを示している。
【図13a】実施例13に従って得られた結晶性の材料のX線回折パターンを示している。
【図13b】実施例13に従って得られた結晶性の生成物のサンプルから得られた走査型電子顕微鏡(SEM)像を示している。
【図13c】実施例13に従って得られた結晶性の生成物のサンプルから得られた走査型電子顕微鏡(SEM)像を示している。
【図14】実施例14に従って得られた結晶性の材料のX線回折パターンを示し、鋳型によって媒介された合成から得られたゼオライトベータの線パターンと比較のためのモルデン沸石の線パターンの両方をさらに含む。
【図15a】実施例15に従って得られた結晶性の材料のX線回折パターンを示している。
【図15b】実施例15に従って得られた結晶性の生成物のサンプルから得られた走査型電子顕微鏡(SEM)像を示している。
【図15c】実施例15に従って得られた結晶性の生成物のサンプルから得られた走査型電子顕微鏡(SEM)像を示している。
【実施例】
【0126】
実施例1:
0.117gのNaAlO2および0.36gのNaOHを5.04mlのH2Oに溶解した後、1.2gのヒュームドシリカを加えた。次いで、その混合物を15分間撹拌することにより、40.28SiO2:1.00Al2O3:10.46Na2O:566.66H2Oというモル比を有するアルミノケイ酸(aluminosililcate)ゲルが得られた。次いで、0.12gのゼオライトベータシード(Sinopec Catalyst Co.から商業的に得たもの)をそのゲルに導入した後、室温で15分間撹拌した。次いで、そのゲル混合物をオートクレーブに移し、140℃で19時間結晶化した。その反応混合物を室温まで冷却させた後、濾過し、次いで、80℃で乾燥することにより、結晶性の生成物を得た。
【0127】
図1aは、Sinopec Catalyst Companyから商業的に得たゼオライトベータシードのXRDおよびSEMを示している。
【0128】
図1bには、実施例1の有機テンプレート不要の合成の濾過および乾燥後に得られた結晶性の生成物のXRDが示されている。特に、このXRDパターンは、BEA骨格構造にとって典型的である。
【0129】
図1cは、実施例1に従って得られた結晶性の材料のSEM像を示している。
【0130】
図1dには、実施例1からの結晶性の材料を用いて得られた窒素等温線が示されている。特に、微小孔性の固体に典型的なI型の階段状の吸着等温線の曲線が明白である(cf.DIN66135)ことから、合成されたままの(as−synthesized)ゼオライト材料が開口したマイクロポアを有することが示唆される。
【0131】
実施例2:
0.117gのNaAlO2および0.40gのNaOHを5.04mlのH2Oに溶解した後、1.2gのヒュームドシリカを加えた。次いで、その混合物を15分間撹拌することにより、40.28SiO2:1.00Al2O3:11.46Na2O:566.66H2Oというモル比を有するアルミノケイ酸ゲルが得られた。次いで、0.12gのゼオライトベータシード(Sinopec Catalyst Co.から商業的に得たもの)をそのゲルに導入した後、室温で15分間撹拌した。次いで、そのゲル混合物をオートクレーブに移し、140℃で19時間結晶化した。その反応混合物を室温まで冷却させた後、濾過し、次いで、80℃で乾燥することにより、結晶性の生成物を得た。
【0132】
図2には、実施例2に従って得られた結晶性の生成物のXRDが示されている。XRDパターンから分かるように、その生成物は、BEA骨格構造を有する。
【0133】
実施例3:
0.117gのNaAlO2および0.45gのNaOHを5.04mlのH2Oに溶解した後、1.2gのヒュームドシリカを加えた。次いで、その混合物を15分間撹拌することにより、40.28SiO2:1.00Al2O3:12.72Na2O:566.26H2Oというモル比を有するアルミノケイ酸ゲルが得られた。次いで、0.12gのゼオライトベータシード(Sinopec Catalyst Co.から商業的に得たもの)をそのゲルに導入した後、室温で15分間撹拌した。次いで、そのゲル混合物をオートクレーブに移し、140℃で19時間結晶化した。その反応混合物を室温まで冷却させた後、濾過し、次いで、80℃で乾燥することにより、結晶性の生成物を得た。
【0134】
図3には、実施例3に従って得られた結晶性の生成物のXRDが示されている。
【0135】
実施例4:
0.15gのNaAlO2および0.45gのNaOHを5.04mlのH2Oに溶解した後、1.2gのヒュームドシリカを加えた。次いで、その混合物を15分間撹拌することにより、31.42SiO2:1.00Al2O3:10.23Na2O:442.57H2Oというモル比を有するアルミノケイ酸ゲルが得られた。次いで、0.12gのゼオライトベータシード(Sinopec Catalyst Co.から商業的に得たもの)をそのゲルに導入した後、室温で15分間撹拌した。次いで、そのゲル混合物をオートクレーブに移し、140℃で21時間結晶化した。その反応混合物を室温まで冷却させた後、濾過し、次いで、80℃で乾燥することにより、結晶性の生成物を得た。
【0136】
図4には、実施例4に従って得られた結晶性の生成物のXRDが示されており、モルデン沸石副産物から生じる追加の弱い反射が示されている。
【0137】
実施例5:
0.117gのNaAlO2および0.40gのNaOHを5.04mlのH2Oに溶解した後、1.2gのヒュームドシリカを加えた。次いで、その混合物を15分間撹拌することにより、40.28SiO2:1.00Al2O3:11.46Na2O:566.66H2Oというモル比を有するアルミノケイ酸ゲルが得られた。次いで、0.12gのゼオライトベータシード(Sinopec Catalyst Co.から商業的に得たもの)をそのゲルに導入した後、室温で15分間撹拌した。次いで、そのゲル混合物をオートクレーブに移し、140℃で21時間結晶化した。その反応混合物を室温まで冷却させた後、濾過し、次いで、80℃で乾燥することにより、結晶性の生成物を得た。
【0138】
図5には、実施例5に従って得られた結晶性の生成物のXRDが示されており、モルデン沸石副産物から生じる追加の弱い反射が示されている。
【0139】
実施例6:
0.15gのNaAlCO2および0.45gのNaOHを5.04mlのH2Oに溶解した後、1.2gのヒュームドシリカを加えた。次いで、その混合物を15分間撹拌することにより、31.42SiO2:1.00Al2O3:10.23Na2O:442.57H2Oというモル比を有するアルミノケイ酸ゲルが得られた。次いで、0.12gのゼオライトベータシード(Sinopec Catalyst Co.から商業的に得たもの)をそのゲルに導入した後、室温で15分間撹拌した。次いで、そのゲル混合物をオートクレーブに移し、140℃で24時間結晶化した。その反応混合物を室温まで冷却させた後、濾過し、次いで、80℃で乾燥することにより、結晶性の生成物を得た。
【0140】
図6には、実施例6に従って得られた結晶性の生成物のXRDが示されており、モルデン沸石およびゼオライトPの副産物から生じる追加の弱い反射が示されている。
【0141】
実施例7:
0.117gのNaAlO2および0.40gのNaOHを7.20mlのH2Oに溶解した後、1.2gのヒュームドシリカを加えた。次いで、その混合物を15分間撹拌することにより、40.28SiO2:1.00Al2O3:11.46Na2O:809.51H2Oというモル比を有するアルミノケイ酸ゲルが得られた。次いで、0.12gのゼオライトベータシード(Sinopec Catalyst Co.から商業的に得たもの)をそのゲルに導入した後、室温で15分間撹拌した。次いで、そのゲル混合物をオートクレーブに移し、140℃で19時間結晶化した。その反応混合物を室温まで冷却させた後、濾過し、次いで、80℃で乾燥することにより、結晶性の生成物を得た。
【0142】
図7には、実施例7に従って得られた結晶性の生成物のXRDが示されている。
【0143】
実施例8:
0.117gのNaAlO2および0.456gのNaOHを10.08mlのH2Oに溶解した後、1.2gのヒュームドシリカを加えた。次いで、その混合物を15分間撹拌することにより、40.28SiO2:1.00Al2O3:13.06Na2O:1133.32H2Oというモル比を有するアルミノケイ酸ゲルが得られた。次いで、0.12gのゼオライトベータシード(Sinopec Catalyst Co.から商業的に得たもの)をそのゲルに導入した後、室温で15分間撹拌した。次いで、そのゲル混合物をオートクレーブに移し、140℃で19時間結晶化した。その反応混合物を室温まで冷却させた後、濾過し、次いで、80℃で乾燥することにより、結晶性の生成物を得た。
【0144】
図8には、実施例8に従って得られた結晶性の生成物のXRDが示されている。
【0145】
実施例9:
0.117gのNaAlO2および0.44gのNaOHを11.52mlのH2Oに溶解した後、1.2gのヒュームドシリカを加えた。次いで、その混合物を15分間撹拌することにより、40.28SiO2:1.00Al2O3:12.61Na2O:1295.22H2Oというモル比を有するアルミノケイ酸ゲルが得られた。次いで、0.12gのゼオライトベータシード(Sinopec Catalyst Co.から商業的に得たもの)をそのゲルに導入した後、室温で15分間撹拌した。次いで、そのゲル混合物をオートクレーブに移し、140℃で19時間結晶化した。その反応混合物を室温まで冷却させた後、濾過し、次いで、80℃で乾燥することにより、結晶性の生成物を得た。
【0146】
図9には、実施例9に従って得られた結晶性の生成物のXRDが示されている。
【0147】
実施例10:
0.117gのNaAlO2および0.48gのNaOHを14.40mlのH2Oに溶解した後、1.2gのヒュームドシリカを加えた。次いで、その混合物を15分間撹拌することにより、40.28SiO2:1.00Al2O3:13.75Na2O:1619.03H2Oというモル比を有するアルミノケイ酸ゲルが得られた。次いで、0.12gのゼオライトベータシード(Sinopec Catalyst Co.から商業的に得たもの)をそのゲルに導入した後、室温で15分間撹拌した。次いで、そのゲル混合物をオートクレーブに移し、140℃で19時間結晶化した。その反応混合物を室温まで冷却させた後、濾過し、次いで、80℃で乾燥することにより、結晶性の生成物を得た。
【0148】
図10には、実施例10に従って得られた結晶性の生成物のXRDが示されている。
【0149】
実施例11A:
1.34gのNaAlO2および6.54gのNaOHを、142.23mlのH2Oに撹拌しながら溶解した後、1.69gのゼオライトベータシード(Zeolyst Internationalから商業的に得たもの)を加えた。次いで、その混合物に16.87gのヒュームドシリカ(Aerosil(登録商標)200)を、30分間撹拌しながら少しずつ加えた後、その混合物をさらに30分間撹拌することにより、40.28SiO2:1.00Al2O3:13.06Na2O:1132.32H2Oというモル比を有するアルミノケイ酸ゲルが得られた。次いで、そのゲル混合物をテフロン(登録商標)加工されたオートクレーブに移し、140℃で48時間結晶化した。その反応混合物を室温まで冷却させた後、濾過し、蒸留水で繰り返し洗浄し、次いで、120℃で16時間乾燥することにより、5.9gの白色の結晶性の生成物を得た。
【0150】
エネルギー分散X線分光分析(EDXS)による実施例11Aの結晶性の生成物の電子プローブ微量分析から、10.1というSiO2:Al2O3のモル比が得られた。
【0151】
図11aには、個別の反射に対する2シータ値およびそれぞれの強度を含む、実施例11Aに従って得られた結晶性の生成物のXRDが示されている。この粉末回折パターンでは、モルデン沸石副産物から生じる追加の弱い反射が認識できる。
【0152】
図11bには、実施例11AのXRDパターンが、構造規定剤として有機テンプレートを用いて合成されたゼオライトベータの線パターンと共に示されている。特に、本発明に記載の有機テンプレート不要の合成によって得られたゼオライト材料の反射が、有機テンプレートを用いて得られたゼオライトベータの反射と比べて、より小さい2シータ値に向かって著しくシフトしていることが明らかである。
【0153】
図11cは、53.1ppmに単一シグナルを示す、実施例11Aの結晶性の最終生成物について得られた27Al MAS NMRを示している。これは、Alがゼオライト骨格に全体的に組み込まれていることを示唆している。
【0154】
図11dは、実施例11Aに従って得られた結晶性の生成物のSEM像を示している。
【0155】
図11eには、実施例11Aの結晶性の生成物を用いて得られた窒素等温線が示されている。特に、微小孔性の固体に典型的なI型の階段状の吸着等温線が明白である(cf.DIN66135)ことから、合成されたままのゼオライト材料が開口したマイクロポアを有することが示唆される。このデータの評価により、Langmuir法によるところの684.45m2/gという等価表面積および523.08m2/gというBET表面積が得られた。
【0156】
実施例11B:イオン交換
1.34gのNaAlO2および6.54gのNaOHを142.23mlのH2Oに撹拌しながら溶解した後、1.69gのゼオライトベータシード(Zeolyst Internationalから商業的に得たもの)を加えた。次いで、その混合物に16.87gのヒュームドシリカ(Aerosil(登録商標)200)を、30分間撹拌しながら少しずつ加えた後、その混合物をさらに30分間撹拌することにより、40.28SiO2:1.00Al2O3:13.06Na2O:1132.32H2Oというモル比を有するアルミノケイ酸ゲルが得られた。次いで、そのゲル混合物を、140℃において48時間、オートクレーブ内で結晶化した。その反応混合物を室温まで冷却させた後、濾過し、蒸留水で繰り返し洗浄し、次いで、120℃で16時間乾燥することにより、5.7gの白色の結晶性の生成物を得た。
【0157】
前記第1の結晶性の生成物の結晶性の生成物の元素分析により、2.8:11.7:1というNa:SiO2:Al2O3のモル比が得られた。
【0158】
次いで、4.0gのその結晶性の生成物を、36gの蒸留水に溶解された4gのNH4NO3の溶液に加え、その混合物を80℃で2時間撹拌した。次いで、その固体を濾過し、蒸留水で洗浄した後、その固体を、36gの蒸留水に溶解された4gのNH4NO3の新しい溶液に加え、次いで、その混合物を80℃で2時間撹拌した。濾過し、固体を蒸留水で洗浄した後、得られた生成物を120℃で16時間乾燥することにより、イオン交換された結晶性の生成物が得られた。
【0159】
実施例11Bの最終的な結晶性の生成物の元素分析により、0.13というNa:Al2O3のモル比が得られた。
【0160】
実施例12:
18.9gのNaAlO2を701mlのH2Oに溶解した。次いで、610.9gのナトリウム−水ガラスおよび47.5gのゼオライトベータシード(Zeolyst Internationalから商業的に得たもの)を加えることにより、40.28SiO2:1.50Al2O3:14.0Na2O:936H2Oというモル比を有するアルミノケイ酸ゲルが得られた。次いで、得られた混合物を、撹拌しながら、2.5lのオートクレーブ内において140℃まで40℃/hという加熱勾配で加熱し、その温度で15時間保持した。次いで、結晶化された生成物を吸引濾過し、蒸留水で繰り返し洗浄した。次いで、その結晶性の固体を120℃で16時間乾燥することにより、96gの白色の結晶性の生成物を得た。
【0161】
実施例12の結晶性の生成物の元素分析により、2.4:11.0:1というNa:SiO2:Al2O3のモル比が得られた。
【0162】
図12には、個別の反射に対する2シータ値およびそれぞれの強度を含む、実施例12の結晶性の生成物のXRDが示されている。この粉末回折パターンでは、モルデン沸石副産物から生じる追加の弱い反射が認識できる。
【0163】
したがって、ヒュームドシリカの代わりにナトリウム−水ガラスを使用することによって、結晶化時間は、かなり短縮される可能性がある。
【0164】
実施例13:
0.474kgのNaAlO2を、15lのH2Oに撹拌しながら溶解した。次いで、2.53lのH2Oに懸濁された15.27kgのナトリウム−水ガラスおよび1.17kgのゼオライトベータシード(Zeolyst Internationalから商業的に得たもの)を加えることにより、40.28SiO2:1.50Al2O3:14.01Na2O:936.6H2Oというモル比を有するアルミノケイ酸ゲルが得られた。次いで、得られた混合物を撹拌しながら(約150rpmで)、オートクレーブ内において140℃まで36℃/hという加熱勾配で加熱し、その温度で15時間保持した。次いで、結晶化された生成物を加圧濾過し、それぞれ35lの蒸留水で3回洗浄した。次いで、その結晶性の固体を2日間100℃で乾燥することにより、1.1kgの白色の結晶性の生成物を得た。
【0165】
実施例13の結晶性の生成物の元素分析により、3.53:12.1:1というNa:SiO2:Al2O3のモル比が得られた。
【0166】
図13aには、個別の反射に対する2シータ値およびそれぞれの強度を含む、実施例13の結晶性の生成物のXRDが示されている。この粉末回折パターンでは、モルデン沸石副産物から生じる追加の弱い反射が認識できる。
【0167】
図13bおよび13cは、実施例13の結晶性の生成物のSEM像を示している。
【0168】
実施例14:
19.1gのNaAlO2を706.5mlのH2Oに溶解した。次いで、923.6gのナトリウム−水ガラスおよび48.0gのゼオライトベータシード(Zeolyst Internationalから商業的に得たもの)を加えることにより、40.28SiO2:1.0Al2O3:13.34Na2O:734H2Oというモル比を有するアルミノケイ酸ゲルが得られた。次いで、得られた混合物を撹拌しながら、2.5lのオートクレーブ内において120℃まで40℃/hという加熱勾配で加熱し、その温度で57時間保持した。次いで、結晶化された生成物を吸引濾過し、蒸留水で繰り返し洗浄した。次いで、その結晶性の固体を120℃で16時間乾燥することにより、85gの白色の結晶性の生成物を得た。
【0169】
図14には、実施例14の結晶性の生成物のXRDが、構造規定剤として有機テンプレートを用いて合成されたゼオライトベータの線パターンとモルデン沸石の線パターンの両方を共に示されている。
【0170】
実施例15:Feによる同形置換
1.34gのNaAlO2および6.54gのNaOHを142.23mlのH2Oに溶解した後、1.69gのゼオライトベータシード(Zeolyst Internationalから商業的に得たもの)および1.35gのFe3(NO3)3・9H2Oを加えた。次いで、その混合物に16.87gのヒュームドシリカ(Aerosil(登録商標)200)を、30分間撹拌しながら少しずつ加えた後、その混合物をさらに30分間撹拌することにより、40.28SiO2:1.00Al2O3:13.06Na2O:0.5Fe:1132.32H2Oというモル比を有するアルミノケイ酸ゲルが得られた。次いで、そのゲル混合物をTeflon(登録商標)加工されたオートクレーブに移し、140℃で48時間結晶化した。その反応混合物を室温まで冷却させた後、濾過し、蒸留水で繰り返し洗浄し、次いで、120℃で16時間乾燥することにより、結晶性の生成物を得た。
【0171】
エネルギー分散X線分光分析(EDXS)による実施例15の結晶性の生成物の電子プローブ微量分析から、3.3:12.0:1というNa:SiO2:Al2O3のモル比および30.7というSiO2:Feのモル比が得られた。
【0172】
図15aには、個別の反射に対する2シータ値およびそれぞれの強度を含む、実施例15の結晶性の生成物のXRDが示されている。この粉末回折パターンでは、モルデン沸石副産物から生じる追加の弱い反射が認識できる。
【0173】
図15bおよび15cは、実施例15に従って得られた結晶性の生成物のSEM像を示している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
YO2及びX2O3を含む、BEA骨格構造を有するゼオライト材料を生成するための、有機テンプレート不要の合成プロセスであって、前記プロセスは、
(1)種晶、少なくとも1種のYO2供給源及び少なくとも1種のX2O3供給源を含む混合物を調製する工程;
(2)該混合物を結晶化する工程;及び
(6)BEA骨格構造を有する該ゼオライト材料をイオン交換処理に供する工程、
を含み、
ここで、Yは、四価元素であり、Xは、三価元素であり、
該種晶は、BEA骨格構造を有するゼオライト材料含み、
工程(6)において、BEA骨格構造を有する該ゼオライト材料に含まれる少なくとも1つのイオン性の非骨格元素がFe及び/又はCuとイオン交換されることを特徴とするプロセス。
【請求項2】
Yが、Si、Sn、Ti、Zr、Geおよびそれらの2つまたはそれ以上の混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
少なくとも1種のYO2供給源が、少なくとも1つのケイ酸塩を含む、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
少なくとも1種のYO2供給源が、水ガラスを含む、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
Xが、Al、B、In、Gaおよびそれらの2つまたはそれ以上の混合物からなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
少なくとも1種のX2O3供給源が、少なくとも1つのアルミン酸塩を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
少なくとも1種のX2O3供給源が、アルミン酸ナトリウムおよび/またはアルミン酸カリウムを含む、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
工程(1)に記載の該混合物の該YO2:X2O3のモル比が、20から55の範囲である、請求項1から7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
工程(1)に記載の該混合物中の種晶の量が、少なくとも1種のYO2供給源におけるYO2の100wt.%に基づいて1から35wt.%の範囲である、請求項1から8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
工程(1)に記載の混合物が、溶媒をさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
該溶媒が水を含み、工程(1)に記載の混合物のH2O:YO2のモル比が、7から45の範囲である、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
工程(1)に記載の該混合物が、OH-の少なくとも1つの供給源をさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
工程(1)に記載の混合物のOH-:YO2のモル比が、0.3から0.7の範囲である、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
工程(1)に記載の混合物が、該BEA骨格構造内のY原子および/またはX原子の少なくとも一部の同形置換に適した少なくとも1つの元素の少なくとも1種の供給源をさらに含む、請求項1から13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
該BEA骨格構造内の該Y原子および/または該X原子の少なくとも一部の同形置換に適した少なくとも1つの元素に対するYO2のモル比が、40から100の範囲である、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記ゼオライト材料が、少なくとも1つのアルカリ金属Mを含み、工程(1)に記載の該混合物中のM:YO2のモル比が、0.2から1の範囲である、請求項1から15のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項17】
工程(1)に記載の該混合物中のYO2:X2O3:Mのモル比が、(20〜55):1:(11〜40)の範囲である、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
工程(2)における該結晶化が、該混合物の加熱を含む、請求項1から17のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項19】
工程(2)における該結晶化が、ソルボサーマル条件下で行われる、請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
工程(2)における該結晶化が、10から16.5時間の範囲である時間にわたる混合物の加熱を含む、請求項18または19に記載のプロセス。
【請求項21】
工程(2)における該結晶化が、該混合物をかき混ぜることを含む、請求項1から20のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項22】
以下の工程
(3)BEA骨格構造を有する該ゼオライト材料を単離する工程、および/または
(4)BEA骨格構造を有する該ゼオライト材料を洗浄する工程、および/または
(5)BEA骨格構造を有する該ゼオライト材料を乾燥する工程、
のうちの少なくとも1つをさらに含み、
ここで、該工程(3)および/または(4)および/または(5)および/または(6)は、任意の順序で行うことができる、請求項1から21のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項23】
工程(2)において形成されたBEA骨格構造を有する該ゼオライト材料が、ゼオライトベータを含む、請求項1から22のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項24】
該種晶が、請求項1から23のいずれか一項のプロセスに従って合成されたBEA骨格構造を有するゼオライト材料を含む、請求項1から23のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項25】
該有機テンプレート不要の合成が、か焼工程を含まない、請求項1から24のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項26】
請求項1から25のいずれか一項に従って入手可能であるおよび/または得られる、BEA骨格構造を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料。
【請求項27】
少なくとも以下の反射を含むX線回折パターンを有するBEA骨格構造を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料であって:
【表1】
ここで、100%は、該粉末X線回折パターンにおける最大ピークの強度に関し、
該BEA骨格構造は、YO2を含み、任意にX2O3を含み、
Yは、四価元素であり、Xは、三価元素であり、
該ゼオライト材料は、少なくとも1つのアルカリ金属Mを含み、該アルカリ金属の原子Mの少なくとも一部がFe及び/又はCuで置換されている、BEA骨格構造を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料。
【請求項28】
前記ゼオライト材料が、請求項1から25のいれか一項に従って入手可能であるおよび/または得られる、請求項27に記載の有機テンプレート非含有ゼオライト材料。
【請求項29】
X線回折パターンが以下の反射:
【表2】
を含む、請求項27または28に記載の有機テンプレート非含有ゼオライト材料。
【請求項30】
該YO2:X2O3のモル比が、3から20の範囲である、請求項26から29のいずれか一項に記載の有機テンプレート非含有ゼオライト材料。
【請求項31】
該アルカリ金属M:X2O3のモル比が、1から5の範囲である、請求項26から30のいずれか一項に記載の有機テンプレート非含有ゼオライト材料。
【請求項32】
Yが、Si、Sn、Ti、Zr、Geおよびそれらの2つまたはそれ以上の混合物からなる群から選択される、請求項26から31のいずれか一項に記載の有機テンプレート非含有ゼオライト材料。
【請求項33】
Xが、Al、B、In、Gaおよびそれらの2つまたはそれ以上の混合物からなる群から選択される、請求項26から32のいずれか一項に記載の有機テンプレート非含有ゼオライト材料。
【請求項34】
前記材料が、少なくともナトリウムおよび/またはカリウムを含む、請求項26から33のいずれか一項に記載の有機テンプレート非含有ゼオライト材料。
【請求項35】
該BEA骨格構造内の該Y原子および/または該X原子の少なくとも一部が、少なくとも1つの元素によって同形置換されている、請求項26から34のいずれか一項に記載の有機テンプレート非含有ゼオライト材料。
【請求項36】
該少なくとも1つの元素に対するYO2の該モル比が、20から70の範囲である、請求項35に記載の有機テンプレート非含有ゼオライト材料。
【請求項37】
DIN66135に従って測定された該ゼオライト材料の該BET表面積が、400から650m2/gの範囲である、請求項26から36のいずれか一項に記載の有機テンプレート非含有ゼオライト材料。
【請求項38】
前記材料が、ゼオライトベータを含む、請求項26から37のいずれか一項に記載の有機テンプレート非含有ゼオライト材料。
【請求項39】
触媒プロセスにおける、請求項26から38のいずれか一項に記載の有機テンプレート非含有ゼオライト材料の使用法。
【請求項40】
流動接触分解(FCC)プロセスまたは選択的接触還元(SCR)における、請求項39に記載の使用法。
【請求項41】
排気ガスの処理における、請求項26から39のいずれか一項に記載の有機テンプレート非含有ゼオライト材料の使用法。
【請求項42】
該ゼオライト材料が、炭化水素トラップに含められる、請求項41に記載の使用法。
【請求項1】
YO2及びX2O3を含む、BEA骨格構造を有するゼオライト材料を生成するための、有機テンプレート不要の合成プロセスであって、前記プロセスは、
(1)種晶、少なくとも1種のYO2供給源及び少なくとも1種のX2O3供給源を含む混合物を調製する工程;
(2)該混合物を結晶化する工程;及び
(6)BEA骨格構造を有する該ゼオライト材料をイオン交換処理に供する工程、
を含み、
ここで、Yは、四価元素であり、Xは、三価元素であり、
該種晶は、BEA骨格構造を有するゼオライト材料含み、
工程(6)において、BEA骨格構造を有する該ゼオライト材料に含まれる少なくとも1つのイオン性の非骨格元素がFe及び/又はCuとイオン交換されることを特徴とするプロセス。
【請求項2】
Yが、Si、Sn、Ti、Zr、Geおよびそれらの2つまたはそれ以上の混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
少なくとも1種のYO2供給源が、少なくとも1つのケイ酸塩を含む、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
少なくとも1種のYO2供給源が、水ガラスを含む、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
Xが、Al、B、In、Gaおよびそれらの2つまたはそれ以上の混合物からなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
少なくとも1種のX2O3供給源が、少なくとも1つのアルミン酸塩を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
少なくとも1種のX2O3供給源が、アルミン酸ナトリウムおよび/またはアルミン酸カリウムを含む、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
工程(1)に記載の該混合物の該YO2:X2O3のモル比が、20から55の範囲である、請求項1から7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
工程(1)に記載の該混合物中の種晶の量が、少なくとも1種のYO2供給源におけるYO2の100wt.%に基づいて1から35wt.%の範囲である、請求項1から8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
工程(1)に記載の混合物が、溶媒をさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
該溶媒が水を含み、工程(1)に記載の混合物のH2O:YO2のモル比が、7から45の範囲である、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
工程(1)に記載の該混合物が、OH-の少なくとも1つの供給源をさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
工程(1)に記載の混合物のOH-:YO2のモル比が、0.3から0.7の範囲である、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
工程(1)に記載の混合物が、該BEA骨格構造内のY原子および/またはX原子の少なくとも一部の同形置換に適した少なくとも1つの元素の少なくとも1種の供給源をさらに含む、請求項1から13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
該BEA骨格構造内の該Y原子および/または該X原子の少なくとも一部の同形置換に適した少なくとも1つの元素に対するYO2のモル比が、40から100の範囲である、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記ゼオライト材料が、少なくとも1つのアルカリ金属Mを含み、工程(1)に記載の該混合物中のM:YO2のモル比が、0.2から1の範囲である、請求項1から15のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項17】
工程(1)に記載の該混合物中のYO2:X2O3:Mのモル比が、(20〜55):1:(11〜40)の範囲である、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
工程(2)における該結晶化が、該混合物の加熱を含む、請求項1から17のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項19】
工程(2)における該結晶化が、ソルボサーマル条件下で行われる、請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
工程(2)における該結晶化が、10から16.5時間の範囲である時間にわたる混合物の加熱を含む、請求項18または19に記載のプロセス。
【請求項21】
工程(2)における該結晶化が、該混合物をかき混ぜることを含む、請求項1から20のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項22】
以下の工程
(3)BEA骨格構造を有する該ゼオライト材料を単離する工程、および/または
(4)BEA骨格構造を有する該ゼオライト材料を洗浄する工程、および/または
(5)BEA骨格構造を有する該ゼオライト材料を乾燥する工程、
のうちの少なくとも1つをさらに含み、
ここで、該工程(3)および/または(4)および/または(5)および/または(6)は、任意の順序で行うことができる、請求項1から21のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項23】
工程(2)において形成されたBEA骨格構造を有する該ゼオライト材料が、ゼオライトベータを含む、請求項1から22のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項24】
該種晶が、請求項1から23のいずれか一項のプロセスに従って合成されたBEA骨格構造を有するゼオライト材料を含む、請求項1から23のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項25】
該有機テンプレート不要の合成が、か焼工程を含まない、請求項1から24のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項26】
請求項1から25のいずれか一項に従って入手可能であるおよび/または得られる、BEA骨格構造を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料。
【請求項27】
少なくとも以下の反射を含むX線回折パターンを有するBEA骨格構造を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料であって:
【表1】
ここで、100%は、該粉末X線回折パターンにおける最大ピークの強度に関し、
該BEA骨格構造は、YO2を含み、任意にX2O3を含み、
Yは、四価元素であり、Xは、三価元素であり、
該ゼオライト材料は、少なくとも1つのアルカリ金属Mを含み、該アルカリ金属の原子Mの少なくとも一部がFe及び/又はCuで置換されている、BEA骨格構造を有する有機テンプレート非含有ゼオライト材料。
【請求項28】
前記ゼオライト材料が、請求項1から25のいれか一項に従って入手可能であるおよび/または得られる、請求項27に記載の有機テンプレート非含有ゼオライト材料。
【請求項29】
X線回折パターンが以下の反射:
【表2】
を含む、請求項27または28に記載の有機テンプレート非含有ゼオライト材料。
【請求項30】
該YO2:X2O3のモル比が、3から20の範囲である、請求項26から29のいずれか一項に記載の有機テンプレート非含有ゼオライト材料。
【請求項31】
該アルカリ金属M:X2O3のモル比が、1から5の範囲である、請求項26から30のいずれか一項に記載の有機テンプレート非含有ゼオライト材料。
【請求項32】
Yが、Si、Sn、Ti、Zr、Geおよびそれらの2つまたはそれ以上の混合物からなる群から選択される、請求項26から31のいずれか一項に記載の有機テンプレート非含有ゼオライト材料。
【請求項33】
Xが、Al、B、In、Gaおよびそれらの2つまたはそれ以上の混合物からなる群から選択される、請求項26から32のいずれか一項に記載の有機テンプレート非含有ゼオライト材料。
【請求項34】
前記材料が、少なくともナトリウムおよび/またはカリウムを含む、請求項26から33のいずれか一項に記載の有機テンプレート非含有ゼオライト材料。
【請求項35】
該BEA骨格構造内の該Y原子および/または該X原子の少なくとも一部が、少なくとも1つの元素によって同形置換されている、請求項26から34のいずれか一項に記載の有機テンプレート非含有ゼオライト材料。
【請求項36】
該少なくとも1つの元素に対するYO2の該モル比が、20から70の範囲である、請求項35に記載の有機テンプレート非含有ゼオライト材料。
【請求項37】
DIN66135に従って測定された該ゼオライト材料の該BET表面積が、400から650m2/gの範囲である、請求項26から36のいずれか一項に記載の有機テンプレート非含有ゼオライト材料。
【請求項38】
前記材料が、ゼオライトベータを含む、請求項26から37のいずれか一項に記載の有機テンプレート非含有ゼオライト材料。
【請求項39】
触媒プロセスにおける、請求項26から38のいずれか一項に記載の有機テンプレート非含有ゼオライト材料の使用法。
【請求項40】
流動接触分解(FCC)プロセスまたは選択的接触還元(SCR)における、請求項39に記載の使用法。
【請求項41】
排気ガスの処理における、請求項26から39のいずれか一項に記載の有機テンプレート非含有ゼオライト材料の使用法。
【請求項42】
該ゼオライト材料が、炭化水素トラップに含められる、請求項41に記載の使用法。
【図1b】
【図1d】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図11e】
【図12】
【図13a】
【図14】
【図15a】
【図1a】
【図1c】
【図11d】
【図13b】
【図13c】
【図15b】
【図15c】
【図1d】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図11e】
【図12】
【図13a】
【図14】
【図15a】
【図1a】
【図1c】
【図11d】
【図13b】
【図13c】
【図15b】
【図15c】
【公開番号】特開2013−49624(P2013−49624A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−231436(P2012−231436)
【出願日】平成24年10月19日(2012.10.19)
【分割の表示】特願2012−515511(P2012−515511)の分割
【原出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月19日(2012.10.19)
【分割の表示】特願2012−515511(P2012−515511)の分割
【原出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】
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