説明

ゼラチンの製造及び精製方法

本発明は、豚、牛、羊又は鶏からの新鮮な脱脂骨材からなる原料から連続工程において得られるゼラチン溶液の精製方法に関するものであり、該方法は、原料を所望により水を添加して粉砕する段階、粉砕原料をより多い水と混合してスラリーを形成する段階、該スラリーを、任意の順序で、pHを2.4〜3.9に調節し、温度を90〜125℃に調節し、これらの状態を90秒〜1020秒維持することを含む。その後、スラリーを液相及び固相に分離し、pHを6.0〜7.0に調整し、形成するフロキュールを分離し、溶液を濾過により清澄化する。さらに、本発明は、この方法に従い得られるゼラチンに関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、豚、牛、羊又は鶏からの新鮮な脱脂骨材からなる原料から連続工程において得られるゼラチン溶液の精製方法に関するものであり、該方法は、原料を所望により水を添加して粉砕する段階、粉砕原料をより多い水と混合してスラリーを形成する段階、該スラリーを、任意の順序で、pHを2.4〜3.9に調節し、温度を90〜125℃に調節し、これらの状態を90秒〜1020秒維持することを含む。
【0002】
さらに、本発明は、前記方法により生産されるゼラチンに関するものである。
【背景技術】
【0003】
ゼラチンは、食品産業において広く用いられる天然物でるが、製薬、写真、織物及び紙産業においても用いられる天然物である。ゼラチンは、動物、哺乳類、並びに鳥類および魚類の皮膚、結合組織、骨及び他の部分に存在するコラーゲンから得られる蛋白である。
【0004】
ゼラチンの製造方法は、使用される原料によりかなり異なる。例えば、原料が骨の場合、透明性があり高品質のゼラチンを提供するためには、従来技術においては時間浪費の工程を必要とする。骨全体、または断片に分離された骨は、まず、脱脂、乾燥、分類された後、酸を用いて低温で数日間かけて完全に脱塩されることにより、コラーゲンマトリックスが現れ、オセインが得られる。このような脱塩の目的は、骨中のカルシウム塩を溶解することにより、コラーゲンマトリックスを露出させることにある。脱塩段階は、透明性があり高品質のゼラチンを得るために極めて重要である。脱塩後、オセインは、アルカリを用いて低温で1〜6ヶ月かけて「改良」される。この処理において分子間結合が破壊され、溶液が中和してコラーゲンが上昇温度において抽出される。コラーゲンは変性され、ゼラチンが得られる。
【0005】
また、「改良」には、アルカリ段階において施される酸処理が含まれることもあり、これにより改良時間が約1〜4日まで縮まる。
【0006】
適用の分野により、ゼラチンには品質に関する異なる要件が課せられる。例えば、ゲル強度はゼラチンの重要な特性である。従来において、ゲル強度はブルーム数により示される。すなわち、約240超のブルーム数は高品質ゼラチンを示し、約120〜240のブルーム数は平均的な品質のゼラチンを示し、約120未満のブルーム数は低品質ゼラチンを示す。
【0007】
更に、ゼラチンが透明性を有することは極めて重要である。混濁度は異なる分析方法により分析することができ、例えばNTU測定(比濁分析による混濁度単位(Nephelometric Trubidity Units)がある。6.67%の乾燥含有率(TS含有率)の溶液において、50−30NTUの測定値はゼラチンが透明であることを示し、<30NTUはかなり透明度の高いゼラチンを示す。3−6のpH変量において、6.67%のTS含有率を有する最終的なゼラチン溶液における懸濁度はいずれにも変動すべきではない。
【0008】
特許文献1には、コラーゲン含有原料からの下記段階を含むゼラチンの製造方法が開示されている:
a) 原料を1mmを超えない粒子サイズに粉砕し、
b) 粉砕原料に水を混合してスラリーを形成し、
c) 段階b)で得られたスラリーを、任意の順序で、1秒〜1時間の間、pHを2〜5に調節し、温度を60〜130℃に調節し、
d) スラリーの温度を下げて反応を完了させ、
e) スラリーをゼラチン含有液部及び固体残渣に分離し、
f) スラリーまたは液体部のpHを各々、分離前または分離後に増加させること、
g) 濾過段階及び/又は他の精製段階において、液体部からゼラチンを回収し、実質的に、段階a)〜f)において処理水を除去しない。
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示された上記方法により得られるゼラチン溶液の品質及び透明性は、更なる精製段階が必要となる程度のものである。無機物に加え、取り除かなければならない脂肪及び所望されない蛋白がある。
【0010】
特許文献2には、リン酸アンモニウムおよびリン酸アルミニウム等、特定の凝集剤を加えることにより清澄化するゼラチンの製造方法が開示されている。しかしながら、得られる清澄化に関する効果については記載されていない。更に、使用される原料は、ゼラチン抽出が生じる前に該方法において脱塩される乾燥骨粉であり、これは長時間に亘る処理と多数の化学物質と多量の水の使用を意味する。
【0011】
従って、新鮮な骨からなる材料から、透明性が高く高品質のゼラチンを提供すること、更に、それを可能とする製造方法であって、処理時間がより短く、工程数及び化学物質がより少なく、環境に対する害のない製造方法を提供することが必要とされる。
【特許文献1】EP−A1−0689570
【特許文献2】EP0323790
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
発明の概要
本発明の目的は、前記問題点及び欠点が除去又は解消されたゼラチンの精製方法(例えば、脂肪含有率並びに所望されない蛋白(すなわち、非コラーゲン蛋白)の含有率を低下させること)及び清澄化方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、本発明による、下記段階を含む豚、牛、羊又は鶏からの新鮮な脱脂骨材からなる材料から連続工程において得られるゼラチン溶液の精製方法により達成される:
a)原料を、所望により水を添加して粉砕し、
b)粉砕された原料をより多くの水と混合してスラリーを形成し、
c)段階b)で得られたスラリーを任意の順序で、pHを2.4〜3.9に調節し、温度を90〜125℃に調節し、これらの状態を90秒〜1020秒維持することを含み、
d)その後、スラリーを液相と固相とに、好ましくはデカンター遠心分離機中で分離し、
e)その後、任意に固相についてもう一度、段階b)乃至d)を施し、その後液相を混合し、
f)pHを6.0〜7.0に調節し、
g)ゼラチン溶液から形成したフロキュールを、好ましくはセパレーター中で徐々に分離し、
h)フィルター(好ましくは、圧力フィルター)を通して濾過により溶液を清澄化すること、
を含むことを特徴とするゼラチン溶液の精製方法。
【0014】
好ましい態様において、本発明に係る方法は、段階g)及びh)の間に、任意の順序で、更に以下の段階:
i)溶液を50〜70℃、好ましくは55℃に急冷する、
j)酸を添加してpH4.5〜5.0にする、
ことを含む。
【0015】
他の好ましい本発明の態様において、本方法は、更に以下の段階:
k)溶液を、好ましくは限外濾過器を用いて濃縮し脱塩し、
l)濃縮溶液を研磨フィルター、好ましくは、シートフィルターを通して濾過し、
m)従来技術に従い、溶液を商業用の乾燥ゼラチンに濃縮し、滅菌し、乾燥すること、を含む。
【0016】
更に、他の好ましい本発明の態様において、段階g)においてフロキュールを連続高速セパレーター中で徐々に分離する。また更なる態様において、該セパレーターは2相セパレーターであり、また他の態様において密閉セパレーター(様々な放出システム(OWMC)及び密閉設計を有する高速浄化器)である。
【0017】
更なる態様において、段階h)におけるフィルターは、特に珪藻土を含有するフィルター補助を用いた圧力フィルターである。
【0018】
他の好ましい態様において、段階f)においてpHが6.5に、好ましくはNaOHにより調整される。
【0019】
更に他の好ましい態様において、段階i)において酸を添加してpHを4.9とし、好ましくはHPO添加により行う。
【発明の効果】
【0020】
本発に係る方法により、ブルーム数が高く且つ脂肪含有率の低い、透明性を有するゼラチン溶液を得ることができる。溶液をセパレーターに徐々に送ることにより、pHの増加に関連して形成される脆弱なフロキュールは分断されず、溶液から分離することができる。他の主たる利点は、脂肪が重相と共になくなるので、脂肪がゼラチン溶液中に残存しないことである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明において使用される原料は、食肉加工場(meat-cuttlng centres)などから得られる牛、豚、羊および鶏からの切断骨からなる。骨は格付けされた食物であり、ナショナル・スウェディッシュ・フード・アドミニストレーション FS 1994:10「Allmanna rad om kottbiprodukter mm.」およびディレクティブ92/5/EECの要件に適合する。牛、羊および豚各々の骨は、別々に、あるいは混合して使用される。豚骨という表現は、豚足および豚頭骨をも包含する。
【0022】
骨は直ちに冷却並びに冷凍され得る。原料は容器に移され、1又は2以上の供給スクリューによりコンベヤーベルトに輸送され、プラスチック及び他の所望されない物質が除去される。原料はまた、金属が工程に入り込むことを防止するために金属探知機に通される。原料はコンベヤーベルトにより粉砕機に送られ、<28mmの粒子サイズに粉砕される。粉砕された原料は、溶融管を通って供給され、輸送スクリュー中で工程を進行し、原料に直接加熱蒸気をあてることにより脂肪精製が生ずる。溶融管は可変速式のギアモーターを装備し、これにより加熱時間を変えることができる。温度は取り付けられた参照値に基づき自動的に調節され、産生材料において約70〜95℃である。脂肪精製の後、対象物はデカンター遠心分離機にポンプを使って供給され、材料は液相と固相とに分離される。デカンテーションは約70〜90℃においてなされ、得られる固相における乾燥脂肪含有率は6%を超えない。
【0023】
脂肪精製工程はゆるやかであり、この工程段階の継続時間は、5分程度と判断される。
【0024】
固相(ゼラチン原料)は、更なる処置を施すことなく、即座にゼラチン工程に輸送される。固相(脱脂骨)は、表1に示す通りの典型的な組成物である。
【表1】

【0025】
約70〜90℃の温度を有する脱脂骨物質は、水を添加し又は添加しないで行う更なる粉砕のため、ベルト秤量機1を介して、輸送スクリューにより1または2以上の磨砕機2に輸送される。連続する二つの磨砕機は、水を添加して骨材を<1mm、好ましくは<0.2mmの粒子サイズに粉砕するために使用される。微細に粉砕された骨−水スラリーは、タンク3に直接輸送され、そこではより多くの水が5〜20%のTS含有率のスラリーに添加される。
【0026】
流れが鎮静化するのを抑制し、乱流を得るために、導管系の形態において、スラリーが、好ましくは2m/sの速度で(但し、1m/s未満になることはない。)、タンク3から反応器5へ連続的にポンプにより供給される。スラリーは、蒸気を直接加えることにより、あるいは適当な熱交換機4(例えば、スクレーパー熱交換機)を使って95〜125℃に迅速に加熱され、その後、高温スラリーに酸(好適には濃縮(75%)されたリン酸(food-quality))が、酸添加後約3分測定されるpHが2.4〜3.9となるよう添加される。ここで、スラリーのpH値が極端に低くなることを避けるため、酸は迅速且つ規則的に混合することが重要である。次いで、加熱酸性スラリーを、90〜1020秒(1.5〜17分)間、1m/s以上、好ましくは2ma/sの速度で導管系にポンプを使って供給する。
【0027】
好ましくは、導管系は、その表面における特にCa塩の析出を防止するために電解研磨されたステンレス材から形成され、抽出時間の間中、所望される溶液の温度を維持するために断熱されている。抽出の間、正確なパラメーターを維持するためには、流れの容量および質量、温度及びpHを、オンラインの機器を用いて連続的に測定することが必要とされる。導管系抽出時間は、導管の容量及び導管を通る流れに基づき推断される。酸添加時にガス(二酸化炭素)が形成されるので、系において大気を超える圧力が維持されることが必要となる。溶液が>100℃の温度で沸騰することを防ぐために、過圧もまた必要となる。
【0028】
スラリーが高温、低pHに維持され、攪拌される時、コラーゲンはゼラチンに転化する。処理条件(低pH、高温)により蛋白がより小さな成分に分解され、このことは、所望されるゼラチン品質および収率に依存して温度、pH及び滞留時間が選択されることを意味する。
【0029】
所望される抽出時間に及んだ時、圧力は大気圧に等化され、次いで、スラリーはデカンター遠心分離機6にポンプを用いて供給され、固相及びゼラチン溶液に分離される。固相は再度水と混合され、上記と同じ方法においてもう一度処理される。すなわち、加熱、酸の添加、抽出時間及びデカンター遠心分離機を用いての固相とゼラチン溶液への分離処理がなされる。2回目の抽出においては、所望される場合には、特定差以内において異なるプロセスパラメーターを使用することが可能である。
【0030】
約2.4〜3.9のpHと約85〜98℃の温度を有する二つのゼラチン溶液が、タンク7において混合され、ポンプ(好ましくは、置換ポンプ(displacement pump))により徐々に移される。ポンプによる供給後、塩基(好適には濃NaOH(food-quality))を加えてpHを6.0〜7.0、好ましくは6.5にする。Ca塩、脂肪及び蛋白からなる脆弱なフロキュールがこの段階で形成される。フロキュールは、密閉式セパレーター8(好ましくは、2相セパレーター(例えばアルファ・ラベル・BRPX714 HGV−34C)内で極めてゆっくり分離される。フロキュールに大きな剪断力がかかり、破壊される場合には、実質的に分離が不可能な安定な懸濁液が形成され、混濁したゼラチン溶液が最終的に得られる。加えられるカセイ溶液の量は、ビーカーに抽出される場合には、溶液が内発的に2つの明確な相、すなわち、透明なゼラチン清澄液と、カルシウム塩、脂肪及び蛋白からなる沈降液(subnatant)を形成することができるよう決定される。
【0031】
セパレーター8を経た後に得られる、脂肪フリー(すなわち、<0.05%)で、NTU値が<100である溶液を、ゼラチン溶液の品質の更なる劣化を縮小するために冷却装置9(好ましくは、(プレート)熱交換機)内で約50〜70℃、好ましくは約55℃に冷却し、タンク10を介してポンピングにより輸送する。次いで、酸(例えば、濃リン酸)を加えてpHを4.5〜5.0、好ましくは4.9にする。ここにおいても、酸を乱流又は静的混合装置のいずれかにより、あるいはこれらの組合せにおいて注意深く溶液に混合することが重要である。タンク10は、セパレーターから噴射する空気に関係なく一様な流れを得るために使用される。目的産物、すなわちゼラチンにおける混濁を引き起こす蛋白を沈殿させるために、酸を加える。とりわけ珪藻土を含有するフィルター補助を使用する圧力フィルター11において、沈殿蛋白を濾過して除く。これにより、TS含有率が約1.5%である溶液における測定値がNTU<10、好ましくはNTU<5である溶液の準備ができる。
【0032】
pH3〜6の酸性環境において最終ゼラチンが使用される際に、混濁度に関して安定なゼラチンを得るために、ゼラチン溶液のpHを調整することが必要である。
【0033】
透明性のある溶液がフィルター12(好ましくは、例えばカットオフが5000ドルトンである限外濾過器(UF))において濃縮される。濃縮の間、純水が、好ましくはフィルター13からRO浸透(RO=逆浸透)して加えられ、次いでエバポレートされ、塩が洗浄される。RO浸透を使用する時、環境にやさしい方法において水が再生利用される。このように灰含有率は、所望とするレベルにまで削減され得る。目的産物の灰含有率は、添加する水、好ましくはRO透過した水、の量により調整され得る。最終的には、最後の処理(濃縮、滅菌、冷却および乾燥)が施される前に、溶液は特別な清澄化のためにいわゆるシートフィルター14を介してポンプにより供給される。
【0034】
シートフィルター14を通った後のゼラチン溶液においては、25%までの乾燥含有率と、商用乾燥ゼラチンの<0.02%に相当する脂肪含有率を有し得る。
【0035】
NTU(TS含有率 6.67%)の形態における混濁度はNTU<30であり得、好ましくはNTU<15である。ゼラチンは許容可能な匂いと味覚を有し、所望されるpHは4.5〜5.5である。限外濾過における脱塩の間、pHは増加する。ゲル強度(ブルーム数)および粘度の形態における品質パラメーターは、抽出工程のパラメーター(例えば、収率)により調節される。
【0036】
本発明に係る方法は、新鮮な骨から乾燥ゼラチンまでの処理時間を、数ヶ月から<12時間に短縮する。これは、特に原料の乾燥、分類および脱塩が必要とされないためである。それにもかかわらず、高い透明性を有するゼラチンが得られる。
【0037】
以下に実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。これら実施例は本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0038】
実験1−3
これらの実験において、豚の脱脂骨を、連結された二つの磨砕機を用い、水を添加して粉砕した。より多くの水を加え、スラリーをスクレーパー熱交換機を用いて加熱し、濃リン酸を、酸添加後約3分に測定される所望のpHまで加えた。高温の酸性スラリーを、所望の時間、1m/s以上の速度において導管系を介して圧力下にポンプにより供給した。滞留時間を調節でき、且つ添加後の所望される瞬間にpHを詳細に記録できるような形態に導管系を設計した。導管系を、熱損失を最小限とするために絶縁した。所望される反応時間に達した時、圧力を大気に解放し、スラリーをいわゆるデカンターを用いて二つの相、溶液および固相に移した。固相を、上記と同様の態様において、水添加、加熱、酸添加し且つ導管系を介しポンプを使って供給することによりもう一度処理した。スラリーをデカンターに移し、2回目の溶液を得た。二つの溶液を混合し、ポンプを使って3000l/hの流速で移送した。ポンプ(この場合には、置換ポンプ(ジョンソン・ポンプ・トップ・ウィング・ロブローターポンプ TW 2(Johnson Pump Top Wing Lobrotorpump TW 2)))による供給後、濃水酸化ナトリウムを加え、スリットを有し0.4mm間隔でディスクスタックを備える連続密閉式2相高速セパレーター(0.4mmのコーキング及びスリットを有するアルファ・ラバル・高速セパレータータイプ BRPX 714 HGV −34C ディスクスタック)中で、3分の送風時間インターバルにおいて溶液を分離した。溶液をセパレーターからポンプにより供給し、プレート熱交換機中で急冷した後、連続的にタンクを介して圧力フィルターにポンプを使って供給した。タンクと圧力フィルターの間に、濃リン酸をインラインに添加した。酸性溶液を、カットオフが5000ドルトンである限外濾過器で濃縮し脱塩する前に、珪藻土で被覆された圧力フィルターを通して濾過した。溶液をポンプによりシートフィルターを通した後、サンプルを採取し、例えば透明性に関する分析をした。
【0039】
関連するすべての工程変数が下記表2および表3に示されている。所望されるすべてのpH値において、許容範囲内の透明性を有する安定なゼラチン溶液であることが結果からわかった(表5を参照)。最終的な産物の品質については表4を参照されたい。
【0040】
比較例1
セパレーターの後、リン酸を少量加えたこと以外は上記実験1−3と同様の方法を用いた。得られたゼラチン溶液の透明性は許容範囲内であったが(表5を参照)、上記実験1−3ほど透明性に安定性はない。
【0041】
関連するすべての工程変数が下記表2および表3に示されている。最終的な産物の品質については表4を参照されたい。
【0042】
比較例2
セパレーターの後、リン酸を加えないこと以外は上記実験1−3と同様の方法を用いた。得られたゼラチン溶液の透明性は許容範囲内であったが(表5を参照)、上記実験1−3ほど透明性に安定性はない。
【0043】
関連するすべての工程変数が下記表2および表3に示されている。最終的な産物の品質については表4を参照されたい。
【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の方法を説明するフローチャート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
豚、牛、羊又は鶏からの新鮮な脱脂骨からなる原料から連続工程において得られるゼラチン溶液の精製方法であって、
a)原料を、所望により水を添加して粉砕し、
b)粉砕された原料をより多くの水と混合してスラリーを形成し、
c)段階b)で得られたスラリーを任意の順序で、pHを2.4〜3.9に調節し、温度を90〜125℃に調節し、これらの状態を90秒〜1020秒維持することを含み、
d)その後、スラリーを液相と固相とに、好ましくはデカンター遠心分離機中で分離し、
e)その後、任意に固相についてもう一度、段階b)乃至d)を施し、その後液相を混合し、
f)pHを6.0〜7.0に調節し、
g)ゼラチン溶液から形成したフロキュールを、好ましくはセパレーター中で徐々に分離し、
h)フィルター(好ましくは、圧力フィルター)を通して濾過により溶液を清澄化すること、
を含むことを特徴とするゼラチン溶液の精製方法。
【請求項2】
段階g)及びh)の間に、任意の順序で、更に以下の段階:
i)溶液を50〜70℃、好ましくは55℃に急冷すること、
j)酸を添加してpH4.5〜5.0にすること、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
段階g)において、フロキュールを連続高速セパレーター中で徐々に分離する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
段階g)において、フロキュールを2相セパレーター中で徐々に分離する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
段階g)において、フロキュールを密閉セパレーター中で徐々に分離する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
段階h)におけるフィルターが、特に珪藻土を含有するフィルター補助を用いた圧力フィルターである、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
更に以下の段階:
k)溶液を、好ましくは限外濾過器を用いて濃縮し脱塩し、
l)濃縮溶液を研磨フィルター(好ましくは、シートフィルター)を通して濾過し、
m)従来技術に従い、溶液を商業用の乾燥ゼラチンに濃縮し、滅菌し、乾燥すること、
を含む、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
段階f)においてpHを6.5に調節する、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
段階j)において、酸を添加してpHを4.9にする、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
段階f)において、pHをNaOHにより調節する、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
段階j)において加えられた酸がHPOである、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法により得られるゼラチン。

【図1】
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【公表番号】特表2008−505200(P2008−505200A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519149(P2007−519149)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【国際出願番号】PCT/SE2005/000059
【国際公開番号】WO2006/004473
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(506420533)エルコ・フード・エービー (1)