ゼロ次長期放出同軸インプラント
【課題】長期間にわたって放出し、かつ非常に制御されたゼロ次放出速度論を提供する、生分解性である制御放出デバイスを提供すること。
【解決手段】同軸インプラントが、完全に生分解性のポリマー性物質を用いて開発された。本明細書中でいう場合、同軸インプラントとは、コアからの放出速度を制御する半透過性膜によって取り囲まれた薬物含有コアを有するデバイスである。このデバイスは、ポリマー性物質内の薬物分散の均一性を最大化するために、予め製粉する工程および押出す工程を使用して、押出しによって形成される。1実施形態において、このポリマーは、非晶性ポリマーではなく、半結晶性ポリマーを得るために、処理される。薬物含有コアおよびポリマー膜は、同じポリマーであっても異なるポリマーであってもよい。このポリマーは、同じ組成でも異なる組成でもよく、同じかまたは異なる分子量でもよい。
【解決手段】同軸インプラントが、完全に生分解性のポリマー性物質を用いて開発された。本明細書中でいう場合、同軸インプラントとは、コアからの放出速度を制御する半透過性膜によって取り囲まれた薬物含有コアを有するデバイスである。このデバイスは、ポリマー性物質内の薬物分散の均一性を最大化するために、予め製粉する工程および押出す工程を使用して、押出しによって形成される。1実施形態において、このポリマーは、非晶性ポリマーではなく、半結晶性ポリマーを得るために、処理される。薬物含有コアおよびポリマー膜は、同じポリマーであっても異なるポリマーであってもよい。このポリマーは、同じ組成でも異なる組成でもよく、同じかまたは異なる分子量でもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
米国政府は、National Institute of Neurological Disorders and Strokeの認可番号第1R43NS39703−01号によって、本発明において権利を有する。
【0002】
本発明は、一般に、均一なゼロ次放出速度論の重大な必要性がある製剤の送達のための長期放出デバイスの分野に属する。
【背景技術】
【0003】
薬物送達の分野は、過去30年間にわたって発達してきており、いまや、1回の投与後に長期間、数週間から数ヶ月にわたって、密な精密度での薬物の送達を適用することができるところにある。長期制御放出は、いくつかの異なるデバイスを用いて達成されている。例としては、種々の薬物(特に化学療法剤および高度に有効な向神経活性薬)のためのミニ移植性ポンプ、避妊剤のための末端に放出制御孔を伴うシリコンチューブ、同軸インプラント、経皮パッチ、およびマイクロカプセル化処方物が挙げられる。これらは全て、利点と欠点とを有する。ミニポンプは、極度に正確であるが、製造のために非常に高価である。ミニ移植ポンプ、シリコンチューブ、および以前に記載した同軸インプラントは全て、一旦薬物が送達されたら、侵襲性の手順を用いて取り除かねばならない。マイクロカプセル化処方物は、全体に生分解性の材料を用いて形成され得るが、その放出特性は、制御されるものではなく、薬物を初期に大量放出し得る。これは、いくつかの薬物については問題であり、所望の投薬量より過剰に送達される場合、重大な副作用を有し得るか、または十分に高い投薬量で送達されない場合、無効であり得る。経皮パッチは、皮膚を通過し、そして送達の正確さが必須ではない少数の薬物でのみ有用である。
【0004】
癌は、年間100万人を超える米国人において診断され、そしてそれは、米国における5番目の死亡原因である(約1,400人/日)。この疾患の一般的な進行は、しばしば、慢性の救われない痛みに至る。麻薬性鎮痛剤(フェンタニールおよびサフェンタニルを含む)の使用は、選り抜きの処置として、より広範に受け入れられつつある。耐性の発達の可能性および毒性の副作用のため、最小限の初期の大量放出を生じる長時間作用性の投薬量形態が必要とされる。上記に記載のように、経皮パッチおよび移植性注入システムを含むいくつかの製品が現在市場にある。経皮パッチは、外来患者の処置のために使用され得、そして投薬量当たり3日間の持続期間を有する。静脈注入およびくも膜下腔内注入は麻酔薬(narcotics)を、より一貫して送達し、そしてより長期間にわたって使用され得る。現在認可されている注入製品は、一般に、外部から装着または移植されるポンプを使用し、かさ高く、移植および除去のために外科的な手順を必要とし、そして非常に高価なシステムである。Duros(登録商標)サフェンタニル(サフェンタニルの100日送達のために設計された浸透圧ポンプ)は、現在、臨床試験を受けているところである。このインプラントは、ずっとより小さく、より投与が簡易であり、現在認可されているポンプよりも利点を提供するが、投与期間の最後に除去を必要とする。このタイプのインプラントは、WO00/54745において記載される。生分解性インプラントは、除去の必要性を排除し得、それにより患者への更なる利点を提供し、費用および外科的除去手順の不快さを取り除く。
【0005】
生分解性ポリマーを含む材料で作製され得るインプラントが記載されている。例えば、Shalatiらへの特許文献1は、薬物および水不溶性薬物のコア、ならびに水不溶性ポリマーおよび水溶性孔形成剤の有機溶剤のコーティングにより形成され得る外側ポリマー膜を含む制御放出インプラント(代表的には微粒子またはペレットからなる)を記載する。Jaworowiczらへの特許文献2は、その外側コーティングがアニーリングされて多孔性を減少され、そして大量放出を回避するポリマーで作製されたインプラントを記載する。これらはともに、高価なプロセシング工程を必要とし、費用を増大させ、そして完全に生分解性ではないものであり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,666,704号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/0037309号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、長期間にわたって放出し、かつ非常に制御されたゼロ次放出速度論を提供する、生分解性である制御放出デバイスを提供することである。
【0008】
本発明のさらなる目的は、費用対効果があり、高度に再現性のある、そして効率的な、このようなインプラントを作製する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
全体的に生分解性であるポリマー材料を用いる同軸インプラントが開発されている。本明細書中で言及されるように、同軸インプラントは、コアからの材料の放出速度を制御する半透過性膜または微孔性膜によって取り囲まれた、薬物(これは、固体もしくは液体の薬物であり得るか、または固体もしくは液体マトリックス中の薬物であり得る)を含有するコアを有するデバイスである。本明細書中で使用されるように、「半透過性」とは、薬物が膜ポリマー中に溶解し、そしてそれを通して拡散するデバイスをいい、そして「微孔性」とは、薬物が膜中の孔を通して拡散するデバイスをいう。デバイスは、同軸押し出しのような押し出し加工によって形成され得るか、またはそれは、活性成分を含有する予め形成されたコアにコーティングを適用するか、または予め形成された膜材料に活性なローディングされたコア処方物を充填することにより形成され得る。1つの実施形態では、ポリマーは、無定形ポリマーよりもむしろ、半結晶性ポリマーを生じるように加工される。コアは、薬物を単独または液体キャリアまたは生分解性ポリマーのような別の材料と混合して含有し得る。コアポリマー(用いられる場合)およびポリマー膜(単数または複数)は、同じまたは異なるポリマーであり得る。ポリマーは、同じまたは異なる分子量の、および同じまたは異なる化学構造(すなわち、結晶性、半結晶性、または無定形)の、同じまたは異なる組成(すなわち、ともにポリカプロラクトン、またはともにポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(異なるモノマー比の)、またはポリ(ラクチド)のコアの外側のポリカプロラクトン)であり得る。緻密なポリマー膜を伴うデバイスの場合、コアは、薬物のレザーバとして作用し、これは、コアポリマーから膜ポリマーに分配して、コアと膜との間の界面で薬物の飽和溶液を形成する。一般に、疎水性ポリマーは、疎水性薬物と共に使用され、そして親水性ポリマーは親水性薬物と共に使用される。非常に親水性である薬物を用いる場合、膜ポリマーとして微孔性生分解性ポリマーを使用することが好ましいものであり得る。別の実施形態では、コアおよび膜の一方が、親水性であり、他方は疎水性である。
【0010】
本発明はまた、以下の項目を提供する。
(項目1)
完全に生分解性の同軸インプラントであって、そのインプラントは、送達されるべき活性薬剤を含有するコアおよび速度制御膜を備え、そのインプラントは、全てのその活性薬剤が放出されるまで完全に分解しない、インプラント。
(項目2)
上記活性薬剤が、少なくとも30日間にわたって放出される、項目1に記載のインプラント。
(項目3)
上記インプラントのコアが、そのコア内に取り込まれた活性薬剤を有する生分解性ポリマーから形成される、項目1に記載のインプラント。
(項目4)
上記膜が、微小多孔性膜である、項目1に記載のインプラント。
(項目5)
上記膜が、半透過性膜である、項目1に記載のインプラント。
(項目6)
上記コアが、活性薬剤とポリマーとの乾燥ブレンド、その後の押出しによって形成される、項目1に記載のインプラント。
(項目7)
上記コアが、二重押出し処理によって形成される、項目1に記載のインプラント。
(項目8)
上記コアが、液体である、項目1に記載のインプラント。
(項目9)
上記コアが、純粋薬物である、項目1に記載のインプラント。
(項目10)
上記膜またはコアを形成するポリマーが、半結晶性、結晶性または非晶性である、項目1に記載のインプラント。
(項目11)
上記膜を形成するポリマーおよび上記コアを形成するポリマーが、同じポリマーである、項目1に記載のインプラント。
(項目12)
0次の放出動態で活性薬剤を放出する、項目1に記載のインプラント。
(項目13)
上記インプラントが、上記膜中またはその膜に隣接して活性薬剤を含有する、項目1に記載のインプラント。
(項目14)
麻酔鎮痛薬またはそのアンタゴニストの送達のための、一体型インプラントまたは同軸インプラントを含む、ポリマー性インプラント。
(項目15)
上記鎮痛薬またはアンタゴニストが、サフェンタニール、フェンタニール、ナルトレキソンおよびナロキソンからなる群より選択される、項目14に記載のインプラント。
(項目16)
上記ポリマーが、生分解性である、項目14に記載のインプラント。
(項目17)
上記インプラントが、上記鎮痛薬またはアンタゴニストを含有するコア、および速度制御膜を備える同軸インプラントである、項目14に記載のインプラント。
(項目18)
0次の放出動態で、少なくとも30日間の期間にわたって、上記鎮痛薬またはアンタゴニストを放出する、項目14に記載のインプラント。
(項目19)
マトリクス、プロテーゼ、インプラントまたはコーティングから選択されるデバイスに形成される、項目1または14に記載のインプラント。
(項目20)
上記デバイスが、血管内移植に適切である、項目19に記載のインプラント。
(項目21)
上記デバイスが、ヘパリン、タキソールおよび再狭窄を処置または予防する際に使用される他の薬物からなる群より選択される活性薬剤を含有する、項目20に記載のインプラント。
(項目22)
体腔への移植に適切な、項目19に記載のインプラント。
(項目23)
神経叢に隣接した移植に適切な、項目19に記載のインプラント。
(項目24)
上記コア組成物が、異なる組成を有する同心層をさらに備える、項目1または14に記載のインプラント。
(項目25)
上記コアが賦形剤を含有する、項目1または14に記載のインプラント。
(項目26)
上記速度制御膜が、孔形成剤を含有する、項目1または17に記載のインプラント。
(項目27)
上記インプラントが、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシ酸、カプロラクトンまたはこれらのコポリマーからなる群より選択されるポリマーを含有する、項目1または14に記載のインプラント。
(項目28)
上記活性薬剤が、水溶性である、項目1に記載のインプラント。
(項目29)
上記活性薬剤が、タンパク質またはペプチドである、項目1に記載のインプラント。
(項目30)
上記インプラントが、末端シールされている、項目1または14に記載のインプラント。
(項目31)
上記インプラントが、延伸または焼なましによって、押出し後にさらに処理される、項目1または14に記載のインプラント。
(項目32)
上記コアが、非ポリマー性の非水溶性液体および活性薬剤を含有する、項目1に記載のインプラント。
(項目33)
液体の薬物含有処方物で、予め形成された膜を充填することによって形成される、項目1に記載のインプラント。
(項目34)
項目1〜33のいずれか1項に記載のインプラントの使用方法。
(項目35)
同軸インプラントを作製する方法であって、その方法は、活性薬剤およびポリマーを2回押出して、その同軸インプラントの上記コアを形成する工程を包含する、方法。
(項目36)
上記活性薬剤および上記ポリマーが、上記第一の押出し工程の前に乾燥ブレンドされる、項目35に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、同軸インプラントを作製するための同軸ダイの該略図である。
【図2a】図2は、同軸インプラントからのナルトレキソン塩基の放出に対する種々の膜厚の効果のグラフ(累積放出(mg) 対 時間(日数))である。図2aは、10重量%のナルトレキソンのコア、ならびに1.1、1.4および1.9の外膜半径 対 内膜半径(ro:ri)の比を有するインプラントのグラフである。
【図2b】図2は、同軸インプラントからのナルトレキソン塩基の放出に対する種々の膜厚の効果のグラフ(累積放出(mg) 対 時間(日数))である。図2bは、30重量%のナルトレキソンのコアを有する、1.1、1.4および1.9のro:riであるインプラントのグラフである。
【図3】図3は、同軸ポリカプロラクトン(「PCL」)インプラントからのナルトレキソンの放出に対する、コア負荷(5mgおよび15mg)の効果のグラフ(累積放出(mg) 対 時間(日数))である。
【図4】図4は、それぞれ1.27、1.45、1.59および1.83のro:riについての、同軸PCLインプラントからのフェンタニールの放出に対する、膜厚の効果のグラフ(累積放出(mg) 対 時間(日数))である。
【図5】図5は、コア中の10重量%のサフェンタニールを含む同軸インプラントからのサフェンタニル塩基の放出を示す。
【図6】図6は、コア中の30重量%のサフェンタニールを含む同軸インプラントからのサフェンタニル塩基の放出を示す。
【図7】図7は、30容量%の塩化ナトリウム(孔形成剤)/PCL膜、および50重量%のクロモリンナトリウム/PCLのコアを備える同軸インプラントからのクロモリンナトリウムの放出を示す。ro:ri=1.2である。
【図8】図8は、30容量%の塩化ナトリウム(孔形成剤)/PCL膜、および50重量%のクロモリンナトリウム/PCLのコアを備える同軸インプラントからのクロモリンナトリウムの放出を示す。ro:ri=1.30および1.40である。
【図9】図9は、30容量%のラクトース/PCL膜と共に50重量%のクロモリン/PCLのコアを備える、シールされた同軸インプラントおよびシールされない同軸インプラントからのクロモリンナトリウムの累積放出(mg)を比較する。ro:ri=1.30および1.50である。
【図10】図10は、高密度の親水性ポリマー膜(ポリエチレングリコール 3000/ 90:10 DL−ポリエチレングリコール膜)と共に50重量%のクロモリン/PCLのコアを備える同軸インプラントからの、クロモリンナトリウムの累積放出(mg)を示す。ro:ri=1.1、1.4および1.7である。
【図11】図11は、疎水性PCLポリマー膜を有する同軸インプラントからの、クロモリンナトリウムの放出(mg)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(発明の詳細な説明)
(1.同軸インプラントの構造および組成物)
薬物送達のための繊維性インプラントを作製するための方法は、周知である。例えば、CowsarおよびDunn、12節「Biodegradable and Nonbiodegradable Delivery Systems」145〜162頁;Gibsonら、31節「Development of a Fibrous IUD Delivery System for Estradiol/Progesterone」215〜226頁;Dunnら、「Fibrous Polymers for the Delivery of Contraceptive Steroids to the Female Reproductive Tract」125〜146頁;Polimeric Materials in Medication、C.G.GebeleinおよびCarraher編(Plenum Publishing Corporation,1985)47〜59頁の、Dunnら、「Fibrous Delivery Systems for Antimicrobial Agents」を参照のこと。
【0013】
繊維を作製するための3つの共通の方法:湿式紡績、乾式紡績および溶解紡績が存在する。湿式紡績は、ポリマー溶液を開口部を通して、非溶媒中へと押出しポリマーを凝固させる工程を包含する。乾式紡績プロセスにおいて、ポリマー溶液を、力を掛けて開口部を通らせ、そして溶媒を蒸発させる加熱カラムに供給して繊維を形成させる。溶解紡績において、熱可塑性ポリマーを上記のその融点を越えて加熱し、開口部を通って押出し、そして冷まして繊維を形成させる。同軸紡績と一緒に、薬物を速度制御ポリマー膜と同時に繊維のコアとして押出す(または「外筒」といわれる)。代表的な同軸スピナレット(spinneret)は、2つの同心環からなる。薬物は、純粋な形態でかまたはポリマー性マトリクスもしくは非ポリマー性マトリクス内で分散されるかのいずれかで、内側の環を通ってポンプ輸送され、その場所で薬物はコアを形成する。速度制御ポリマーを外側の環を通ってポンプ輸送され、外筒を形成する。材料の両方の流れが、スピナレットから出現する場合、これらは固化して同心軸繊維またはレザバシステムを形成する。2つの材料を同軸スピナレットへとポンプ輸送する速度は、外筒膜の厚さおよび線維のサイズを決定する。
【0014】
ポリマーまたは薬物を、押出しのために、溶媒中に融解または溶解のいずれかによって液体化する。同軸インプラントの調製の好ましい方法は、融解押出しであり、この方法では2つの押出し機を使用してコア処方物および膜材料を処理する。コア処方物を同軸ダイの中央チューブに供給し、そして膜材料を同じダイの同軸の外側の環に供給して、その結果、膜材料は、この材料がダイから出るにつれてコア上に均一なコーティングを形成する。コアおよび膜の相対直径を、ダイの大きさ、押出し条件、2つの押出し機の相対押し出し速度および相対取出し(take−off)速度によって制御する。この方法において、コア直径および膜厚を独立して制御し得る。
【0015】
同軸インプラントを調製する別の方法は、最初に、単純な押し出しプロセスによってコア処方物を調製し、次いでこのモノリシックのコアの表面処理によって膜を形成することである。この表面処理を、ポリマーがその表面に薄い表皮を形成するように、ポリマー賦形剤のためにより高い(elevated)温度または溶媒に曝すことによって表面をアニーリングすることによって達成し、次いで速度制御膜として機能化し得る。膜を、溶液コーティングプロセスによる膜処方物のコーティングを適用することによってもまた、追加し得る。溶液コーティングプロセスを使用して、異なる組成物のさらなる層を適用し得、これによって多層性同軸インプラントを構築し得る。
【0016】
同軸インプラントを調製するなお別の方法は、最初に中空管として膜を調製し、次いで管の中心にコア処方物を注入することによって、このコア処方物を追加することである。例えば、コア処方物は、米国特許第5,747,058号、および米国特許出願第09/385,107号(その両方の全体の内容が本明細書によって参考として援用される)に記載される、非ポリマー性マトリクス、非水溶性マトリクスのような液体マトリクス中に組み込まれる薬物から構成され得る。
【0017】
一般的に、断面が円形である形状で形成されるが、インプラントはまた、任意の他の断面形状(例えば、楕円、葉状、正方形、または三角形)で調製され得る。
【0018】
薬物は、種々の方法で処方物に添加され得る。コア処方物が液体キャリアを含む場合、薬物およびキャリアは、スラリーを形成するために混合され得る。コア処方物がポリマーを含む場合、薬物およびポリマーは、溶媒混合、乾燥混合、または溶融混合によって混合され得る。より均一な混合は、薬物−マトリクスを2回押し出すことによって得られ得る。好ましい実施形態において、コアは、薬物およびポリマーを乾燥混合し、この混合物を溶融して押出し、そしてこの押出物を粉砕して、第2の押出しのためにフィードストックを形成することによって処方される。コア中の薬物負荷は、液体キャリアまたはポリマーのいずれかがコア処方物に使用される場合、約0.1〜80wt%の範囲であり得、そして薬物のみが使用される場合、100%の高さであり得る。より好ましい負荷は、約10〜約60wt%の範囲であり、そして最も好ましい負荷は、約20〜約50wt%の範囲である。
【0019】
いくつかの場合において、最終的なインプラントは、所望の用量のために適切な長さにコア/膜処方物を切断し、そしてコアの露出された端部をシールすることによって形成される。いくつかの適用について、初期負荷用量は、望ましくあり得、これは、より高い放出の短い期間が存在するように、露出される端部の一方のみをシールするかまたはいずれもシールしないことによって、特定の薬物について達成され得る。いくつかの方法が、インプラントの端部をシールするために使用され得る。インプラントが中実コアを含む場合、膜ポリマーの溶液でコーティングすることによって、または溶融膜ポリマーを適用することによって、または単純に、切断部が作製されるときに熱シールされるように、ホットナイフまたはワイヤで切断することによって、このインプラントは、シールされ得る。インプラントが液体コアを含む場合、端部は、熱シールされるか、またはこれらは、ポリマープラグを膜処方物の管腔内に配置することによってシールされ得る。ポリマープラグが使用される場合、必要に応じて、膜に熱シールされ得る。
【0020】
同軸インプラントは、薬物の総用量および想定される投与方法に依存して種々のサイズで調製され得る。好ましい実施形態において、全径は、0.05mmと5.0mmの間である。ヒトにおける皮下投与について、1.0mmと4.0mmとの間の全径がより好ましくあり得る。同軸インプラントの長さは、代表的に、約0.3cmと10cmとの間である。皮下インプラントについて、より好ましい長さは、約0.3cmと3.0cmとの間である。
【0021】
膜処方物は、所定の寸法のインプラントについて薬物(活性薬剤)の必要なフラックスを提供するために選択される。最も実際的な適用について、膜の厚みは、インプラントの全径の約2%〜約40%以内である。膜の厚みが全径の約5%〜約30%の間であることが好ましい。膜は、多孔性でない高密度な膜であり得るか、またはこれらは、約1〜約30ミクロンの孔および約5%と約70%との間の孔容積を有し、非常に多孔性であり得る。膜はまた、コアに含まれるよりも少ない負荷で活性成分を含み得るか、またはコアに含まれる活性成分とは異なる活性成分を含み得る。膜が高密度な膜であるか多孔性膜であるかに関わらず、材料の所望の透過性特性は、必ずしも、最初の押出工程またはコーティング工程の間に達成される必要はない。下流処理手段は、膜の最終特性を達成するために使用され得る。半結晶ポリマーが膜中で使用される場合、結晶化度は、冷却速度および条件によって制御され得る。特性はまた、押し出された処方物を延伸(drawing)することによって変更され得る。延伸は、一般的に、2つ以上のセットのゴデット(これは、材料がラインのさらに下に通過するときに、進行的により速い速度で作動する)の周りで材料を通すことによって達成される。この材料は、温度が注意深く制御されて、膜の結晶化度にさらに影響し得るように、ゴデット間の加熱したオーブンを通過し得る。延伸はまた、材料の最終直径を制御するために使用され得る。
【0022】
同軸構造が連続押出しプロセスによって調製されるので、これらは、操作に便利な任意の長さであり得る。処方物が十分に可撓性である場合、スプール上にまたはコイル中にまかれ得、そして切断の前に、このように保持され得る。あるいは、材料は、おそらく数センチメートルまたは数メートルのより短い長さとして収集され得、そして切断の前に保持され得る。同軸ダイのちょうど下流に配置されるフライホイール型カッターを使用して作製されるときに、この材料を最終インプラント長さに切断することがまた可能である。
【0023】
(II.プロセス材料)
(A.ポリマー)
本明細書中で開示されるプロセスを使用して、種々の材料(好ましくは、生体適合性および生分解性ポリマー)から同軸インプラントを形成し得る。本明細書中に規定されるように、生分解性とは、そのポリマーが、インビボで分解または腐食して、より小さな化学種を形成することを意味し、ここで、この分解は、例えば、酵素的プロセス、化学的プロセス、および物理的プロセスから生じ得る。用語「生体適合性」は、レシピエントに対して非毒性であり、そしてレシピエントの身体に対して何の重大な有害な影響も都合の悪い影響も提示しない、ポリマーおよびそのポリマーの任意の分解産物をいうために本明細書中で使用される。適切な生体適合性、生分解性ポリマーの例としては、ポリヒドロキシ酸(例えば、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、およびポリ(乳酸−co−グリコール酸))、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリエーテルエステル、ポリエチレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリホスファジン、ポリカルボネート、ポリアミド、ならびにこれらのコポリマーおよび混合物が挙げられる。好ましい材料は、ポリカプロラクトン、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、およびこれらのコポリマーである。
【0024】
代表的な天然ポリマー材料としては、ポリサッカリドおよびタンパク質が挙げられる。
【0025】
(B.溶媒)
ポリマーおよび活性薬剤が溶媒混合される場合、このプロセスに使用される溶媒の選択は、一般的に、選択されるポリマーおよび活性薬剤、ならびに溶媒除去に使用される特定の手段に依存する。有機溶媒(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、乳酸エチル、酢酸エチル、ジクロロメタン、および酢酸エチル/アルコール混合物)が、PLGおよびPCLと共に使用するために好ましい。
【0026】
(C.活性剤)
基本的に、任意の基質または薬剤は、本明細書中に記載されるプロセスを用いて組み込まれ得る。この基質は、好ましくは、活性剤である。本明細書中で使用される場合、用語「活性剤」は、例えば、ヒトのような哺乳動物を含む動物に投与する際に、インビボでの治療的特性、予防的特性、または診断的特性を保有する薬剤をいう。適切な治療活性剤および/または予防活性剤の例としては、タンパク質(例えば、ホルモン、抗原、および増殖因子);核酸(例えば、アンチセンス分子);ならびに低分子(例えば、抗生物質、ステロイド、うっ血除去薬、神経活性剤、麻酔薬、鎮静薬)、および抗体(例えば、ヒト化抗体を含む増殖ホルモンレセプターに結合する抗体)、アジュバント、およびこれらの組み合わせが挙げられる。適切な診断活性剤および/または治療性剤の例としては、放射活性同位体および放射線不伝導性(radioopaque)剤が挙げられる。
【0027】
この活性剤としては、有機分子(例えば、薬物、ペプチド、タンパク質、炭水化物(単糖、オリゴ糖、および多糖を含む)、核タンパク質、ムコタンパク質、リポタンパク質、合成ポリペプチドまたはタンパク質、またはタンパク質に結合した低分子、糖タンパク質、ステロイド、核酸(cDNAを含む任意の形態のDNA、またはRNA、またはそのフラグメント)、ヌクレオチド、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチド(アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む)、遺伝子、脂質、ホルモン、ビタミン(ビタミンCおよびビタミンEを含む))またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0028】
代表的な治療活性剤としては、以下が挙げられる:免疫抑制剤、抗酸化剤、麻酔薬、化学治療剤、ステロイド(レチノイドを含む)、ホルモン、抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗増殖剤、抗ヒスタミン剤、抗凝血剤、抗光線加齢剤(antiphotoagingagent)、メラノトロピン(melanotropic)ペプチド、非ステロイド性抗炎症化合物およびステロイド性抗炎症化合物、抗精神病薬、ならびにUV吸収体を含む放射性吸収体。活性剤の他の非制限的な例としては、以下が挙げられる:抗感染剤(例えば、ニトロフラゾン、プロピオン酸ナトリウム)、抗生物質(ペニシリン、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、クロロテトラサイクリン、バシトラシン、ナイスタチン、ストレプトマイシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、およびアジスロマイシンを含む);スルホンアミド(スルファセタミド、スルファメチゾール、スルファメタジン、スルファジアジン、スルファメラジン、およびスルフイソキサゾールを含む)、および抗ウイルス剤(イドクスウリジンを含む);抗アレルギー剤(例えば、アンタゾリン、メタピリテン(methapyritene)、クロルフェニラミン、ピリラミン、プロフェンピリダミン、ヒドロコルチゾン、コルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾン21−ホスフェート、フルオシノロン、トリアムシノロン、メドリゾン、プレドニゾロン、プレニゾロン21−コハク酸ナトリウム、および酢酸プレニゾロン);脱感作剤(例えば、ブタクサ花粉抗原、枯草熱花粉抗原、埃抗原および牛乳抗原);うっ血除去薬(例えば、フェニレフリン、ナファゾリン、およびテトラヒドラゾリン);縮瞳薬および抗コリンエステラーゼ(例えば、ピロカルピン、サリチル酸エスペリン、カルバコール、ジイソプロピルフルオロホスフェート、ヨウ化ホスホリン、および臭化デメカリウム);副交感神経遮断薬(例えば、硫酸アトロピン、シクロペントレート、ホマトロピン、スコポラミン、トロピカミド、ユーカトロピン、およびヒドロキシアンフェタミン);交感神経作動剤(例えば、エピネフリン);鎮静薬および催眠薬(例えば、ペントバルビタールナトリウム、フェノバルビタール、セコバルビタールナトリウム、コデイン、(a−ブロモイゾバレリル(a−bromoisovareleryl))尿素、カルブロマル);精神賦活剤(例えば、3−(2−アミノプロピル)酢酸インドール、および3−(2−アミノブチル)酢酸インドール);精神安定薬(例えば、レセルピン、クロロプロマリン(chlorpromayline)、およびチオプロパゼート);アンドロゲン性ステロイド(例えば、メチル−テストステロンおよびフルオリメステロン(fluorymesterone));エストロゲン(例えば、エストロン、17−β−エストラジオール、エチニルエストラジオール、およびジエチルスチルベストロール);プロゲステロン剤(例えば、プロゲステロン、メゲストロール、メレンゲストロール、クロルマジノン、エチステロン、ノルエチノドレル、19−ノルプロゲステロン、ノルエチンドロン、メドロキシプロゲステロン、および17−β−ヒドロキシプロゲステロン);体液性剤(例えば、プロスタグランジン(例えば、PGE1、PGE2およびPGF2);解熱剤(例えば、アスピリン、サリチル酸ナトリウム、およびサリチルアミド);鎮痙薬(例えば、アトロピン、メタンテリン、パパベリン、および臭化メトスコポラミン);抗マラリア薬(例えば、4−アミノキノリン、8−アミノキノリン、クロロキノン、およびピリメタミン);抗ヒスタミン薬(例えば、ジフェンヒドラミン、ジメンヒドリネート、トリペレナミン、パーフェナジン、およびクロルフェナジン);心臓作用薬(例えば、ジベンジドロフラム(dibenzhydroflume)サイアザイド、フルメサイアザイド、クロロサイアザイド、およびアミノトレート(aminotrate))、天然および合成の生物活性ペプチドおよび生物活性タンパク質(増殖因子、細胞接着因子、サイトカイン、および生物学的応答変更因子を含む)。
【0029】
1つの実施形態において、組み込まれた材料はワクチンであり、そして送達される基質は、抗原である。抗原は、細胞、細菌、もしくはウイルス粒子、またはそれらの一部から送達され得る。本明細書中で規定されるように、抗原は、タンパク質、ペプチド、多糖、糖タンパク質、糖脂質、核酸、またはこれらの組み合わせであり得、これらは、動物(例えば、哺乳動物、鳥類、または魚類)における免疫原性応答を誘発する。この免疫原性応答は、体液媒介され得るか、または細胞媒介され得る。免疫原性応答が指向されるべき物質が抗原性に乏しいという事象において、この物質は、標準的な共有結合技術(例えば、いくつかの市販の試薬キットの1つ)を用いて、キャリア(例えば、アルブミン)またはハプテンに結合体化され得る。好ましい抗原の例としては、ウイルスタンパク質(例えば、インフルエンザタンパク質、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)タンパク質、およびA型肝炎タンパク質、B型肝炎タンパク質またはC型肝炎タンパク質)、および細菌タンパク質、リポ多糖(例えば、グラム陰性細菌の細胞壁およびNeisseria gonorrheaのタンパク質)、およびパルボウイルスが挙げられる。
【0030】
好ましい実施形態において、送達される基質は薬物(例えば、非常に強力な麻酔性鎮痛薬)であり、ここで投薬は、安全かつ有効なレベル内に注意して維持されるべきである。例としては、サフェンタニールおよびフェンタニールが挙げられる。ナルトレキソンおよび他の麻酔性鎮痛薬はまた、インターフェロン、クロモリンナトリウムおよび酢酸ロイプロリドまたは他のLHRHアゴニストもしくはLHRHアンタゴニストのような好ましい活性剤である。
【0031】
組み込まれる活性剤の量およびこのプロセスにて使用される量は、特定の活性剤、計画した放出レベルでの活性剤の所望の効果、および薬剤が放出されるべき期間に依存して変化する。
【0032】
このプロセスは、1つよりも多くの活性剤を組み込むために使用され得る。活性剤はまた、当該分野において既知の1つ以上の賦形剤(例えば、安定剤)と混合され得る。
【0033】
(D.賦形剤および孔形成剤)
所望の多孔度を達成するために膜ポリマーに添加され得る適切な物質としては、スクロース、デキストロース、塩化ナトリウム、ソルビトール、ラクトース、ポリエチレングリコール、マンニトール、フルクトース、ポリビニルピロリドンまたはこれらの適切な組み合わせが挙げられる。これらの材料はまた、混合されるか、またはコアに組み込まれて充填剤を提供し得、放出速度を変更し得、水のとりこみを増加させ得、pHを制御し得、構造的支持を提供し得、そして当業者に公知の他の使用を提供し得る。
【0034】
(III.使用の方法)
同軸インプラントは、放出が所望される部位で最小限の侵襲性手順を用いて移植される。これらは、套管針またはカテーテルを皮下的、腹腔内的、筋肉内的および管腔内的(腟内、子宮内、直腸、歯周)に用いて移植され得る。
【0035】
同軸インプラントは、マトリクス、インプラント、人工器官またはコーティング(例えば、脈管内)の一部として作製され得る。再狭窄の処置における使用のための好ましい活性剤としては、ヘパリンおよびタキソールが挙げられる。これらのインプラントはまた、神経叢の近く、または膀胱の下、骨盤の神経叢の近くでの薬物の放出において使用され得る。
【0036】
同軸インプラントは、薬物が規定の期間にわたって所望の容量で放出されるように設計される。同軸インプラントは、放出達成後に分解するように設計される。
【実施例】
【0037】
本発明は、以下の非制限的な実施例を参照にしてさらに理解される。
【0038】
(実施例1:麻酔性鎮痛薬の送達のための生物分解性同軸インプラント)
同軸押し出しは、ゼロ次速度近くで薬物を送達し得るインプラントを生成するための効率的なプロセスとして評価されている。本研究において、生分解性ポリマーであるポリ(ε−カプロラクトン)(PCL)を、30日間薬物を送達するように設計されたインプラントにて評価した。この研究を実行して、30日間フェンタニールまたはサフェンタニールを送達し得る完全生分解性レザバ型インプラントの開発の実現可能性を決定した。
【0039】
(実験方法)
(材料)
ナルトレキソン塩基(NTX)、フェンタニール塩基およびサフェンタニル塩基を、Mallinckrodt,St.Louis,Missouriから得た。30℃でクロロホルム中で1.31dL/gの固有の粘性を有するポリ(ε−カプロラクトン)(PCL)および0.65dL/gの固有の粘性を有する75:25ポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド−コ−,−カプロラクトン)(DL−PLCL)を、Birmingham
Polymers,Inc.,Birmingham,ALから得た。
【0040】
(調合物の調製)
すべての調合物を、2つのRandcastle Microtruderおよび同軸ダイを使用して溶解押出し成形(melt−extrusion)プロセスによって調製した。活性剤(NTX、フェンタニール塩基およびサフェンタニル塩基)およびPCLを、ジクロロメタンを使用して溶媒ブレンドした。溶媒のほとんどをエバポレートした後、混合物を、真空乾燥し、そしてRetsch Ultracentrifugal Millを使用して1mmスクリーンに通して粉砕した。粉砕した材料を少なくとも24時間真空中でさらに乾燥した。10重量%または30重量%のいずれかの活性剤を含むブレンドを、調製した。
【0041】
NTXまたはフェンタニール塩基を含む同軸ロッドを、2つの押出し成形機を同時に操作することによって調製した。図1は、押出し成形の間に使用される同軸ダイ10の図を示す。活性剤/PCLブレンドを、第1の押出し成形機12を通してプロセスし、そしてダイ10の中央の開口部14を通して供給し、インプラントコア10を形成した。純粋なPCLを、第2の押出し成形機18を介してプロセスし、そして外部(同軸ダイ10の同軸リング20)へ供給し、膜22を形成した。したがって、得られた同軸ロッドは、活性剤/PCLコア16およびPCL比率コントロール膜22からなる。膜の相対的な厚さは、第1の押出し成形機の速度に関連して、第2の押出し成形機の押出し成形速度を調節することによって制御される。押出し成形の後、約1.5mmの直径を有する個々のインプラントを、2.0cmの長さに切断した。次いで、露出した末端を、ジクロロメタン中のPCLの溶液で末端をコートすることによってシールした。
【0042】
サフェンタニル塩基を含む同軸ロッドを、サフェンタニル/ポリマーブレンドを含有するモノシリックロッドを押出し成形、そして所望の量のサフェンタニル有する長さにロッドを切断することによって調製した。ロッドを、ジクロロメタ中で溶解したポリマーの溶液に浸漬することによってコートした。個々のコーティングを所望の膜厚が達成されるまで適用した。
【0043】
(ナルトレキソン含有量アッセイ)
個々のナルトレキソンインプラントの活性成分を、酢酸エチル中でインプラントを溶解し、HPLC移動相で溶液を希釈し、そして得られた抽出物をHPLCによって分析することによって測定した。
【0044】
(インビトロ溶解)
活性剤の放出を、単純な溶解試験を使用して、インビトロで測定した。個々のナルトレキソンおよびサフェンタニルインプラントを、10mLの緩衝液(0.05%のアジ化ナトリウムアジドを有するリン酸緩衝化生理食塩水、pH 7.4)と共に、2−ozの琥珀色の保存ビンに配置し、37℃でインキュベートした。定期的に、緩衝液の既知の容量を除去し、そして新しい緩衝液と置き換えた。各サンプルの緩衝液中の薬物の濃度を、HPLCによって測定した。
【0045】
個々のサフェンタニルインプラントを、20mLの緩衝液を含む8−ozの琥珀色の保存ビンに配置した。1時間後、緩衝液の全容量を、70mlまで増加させた。各々のサンプリング時に、10mlの緩衝液のアリコートを除去し、そして10mLの新しい緩衝液と置き換えた。各サンプルのサフェンタニル濃度を、HPLCによって測定した。
【0046】
(結果および議論)
いくつかの実験を、同軸押出し成形の最適な条件を決定するために行った。表1は、2つのRandcastle Extruderについて、NTX同軸性押出し成形の間に使用されたプロセス条件を示す。
【0047】
(表1:同軸押出し成形条件)
【0048】
【表1】
図2は、種々のインプラント処方物に対する、ナルトレキソン塩基のmg/日での放出を示し、この種々の処方物は、モノリシックなコアおよび異なる膜厚を有するコーティングされたロッドを含む。コアおよび膜厚を、インプラントの内半径(ri)および外半径(ro)を測定することによって決定した。期待されるように、膜はインプラントからのNTX塩基の放出速度を制御する。ポリマー膜が厚いほど、同軸インプラントからのナルトレキソン塩基の放出は遅くなる。
【0049】
図3は、1:1のro:riを有するインプラントに対するコアローディング間の比較を示す。より低くロードされたインプラントが、NTX放出速度の緩やかな減衰を示す。この速度の減衰は、コアポリマー中の、薬物の飽和溶解度に対して薬物の低い初濃度に一部起因する。薬物が放出されて、コア中の活性物の濃度が飽和より低くなるにつれて、ゼロ次の放出プロフィールは維持されない。しかし、最高のコアローディングにおいては、飽和およびゼロ次の放出プロフィールは、より長い持続時間の間、維持され得る。
【0050】
図4は、コア中に10重量%フェンタニール(fentanyl)塩基を含む同軸インプラント由来のフェンタニール塩基の放出を示す。NTXインプラントでのように、コア中の濃度が飽和より下になるにつれて、フェンタニールの放出は、一次のオーダーになる。
【0051】
図5および図6は、コア中にそれぞれ10重量%のサフェンタニル塩基および30重量%のサフェンタニル塩基を含む同軸インプラントからのサフェンタニル塩基の放出を示す。
【0052】
(実施例2:膜中の孔形成剤として塩化ナトリウムを有する、クロモリンナトリウムの送達のための生分解性同軸インプラント)
コア材料(50:50(重量/重量)のクロモリンナトリウム(クロモリン)およびPCL(30℃のクロロホルム中で0.67dL/gの固有粘度を有する))を、一緒にブレンドし、調合し、そしてRetsch Ultracentrifugal Millを使用して1mmの篩を通してすりつぶした。膜材料(30%(体積/体積)塩化ナトリウム(NaCl)およびPCL(30℃のクロロホルム中で1.37dL/gの固有粘度を有する))をブレンドし、調合し、そしてコア材料と同様にすりつぶした。コア材料および膜材料とを、最小でも16時間減圧下で乾燥した。
【0053】
同軸ロッドを、2つのRandcastle押出し成形器を同時に作用させることによって生成した。コア材料(クロモリン/PCL)を、第1の押し出し成形器におけるダイの中心開口部を通して供給し、インプラントのコアを成形した。膜材料(NaCl/PCL)を、同軸ダイの外側リングを通る第2の押出し成形器を通して供給し、膜を成形した。約2mmの直径を有する個々のインプラントを、2cmの長さに切断した。露出した末端を、膜と同じポリマーで密閉した。
【0054】
クロモリンの放出を、簡単な溶解試験を使用してインビトロで決定した。個々のインプラントを、40mLの緩衝液(0.05%のアジ化ナトリウムを有するリン酸緩衝化生理食塩水(pH7.4))と共に4−oz琥珀ジャー中に配置し、そして37℃でインキュベートした。周期的に、緩衝液のアリコートを除去し、そして新鮮な緩衝液と入れ換えた。各サンプル中のクロモリン濃度を、HPLCで決定した。
【0055】
図7は、NaClが孔形成剤として使用される同軸インプラントからのクロモリンの放出を示す。
【0056】
(実施例3:膜中の孔形成剤として塩化ナトリウムを有する、クロモリンナトリウムの送達のための生分解性同軸インプラント)
コア材料(30℃のクロロホルム中で0.67dL/gの固有粘度を有するPCLと挽かれ、調合されたクロモリンナトリウム(クロモリン)(50:50(重量/重量)))および膜材料(30℃のクロロホルム中で1.37dL/gの固有粘度を有するPCLと挽かれ、調合されたクロモリン(30%(体積/体積)))を加工し、そして実施例2と同様に分析した。図8は、このクロモリンが孔形成剤として使用される同軸インプラントからのクロモリンの放出を示す。期待されるように、膜は、クロモリンが放出される速度を制御する。より厚いポリマー膜は、より遅いクロモリンの放出を引き起こす。
【0057】
(実施例4:膜中の孔形成剤としてラクトースを使用するクロモリンナトリウムの送達のための生分解性同軸インプラント)
コア材料(30℃のクロロホルム中で0.67dL/gの固有粘度を有するPCLと挽かれ、調合されたクロモリンナトリウム(クロモリン)(50:50(重量/重量))および膜材料(30℃のクロロホルム中で1.37dL/gの固有粘度を有するPCLと挽かれ、調合されたラクトース(30%(体積/体積)))を、プロセスし、そして実施例2と同様に分析した。図9は、同軸インプラントからのクロモリンの放出を示す。グラフは、密封されたインプラントからの放出を、非密封のインプラントの放出と比較する。期待されるように、非密封のインプラントは、密封されたものより速く放出する。
【0058】
(実施例5:緻密PEG3K/90:10 DL−PLGポリマー膜からのクロモリンナトリウムの送達のための生分解性同軸インプラント)
コア材料(30℃のクロロホルム中で0.67dL/gの固有粘度を有するPCLと挽かれ、調合されたクロモリンナトリウム(クロモリン)(50:50(重量/重量)))および膜材料(30℃のクロロホルム中で0.89dL/gの固有粘度を有するPEG3K/90:10 DL−PLG)を加工し、そして実施例2と同様に分析した。
【0059】
図10は、緻密親水性ポリマー膜を有する同軸インプラントからのクロモリンの放出を示す。
【0060】
(実施例6:緻密PCL膜からのクロモリンナトリウムの送達のための生分解性同軸インプラント)
コア材料(30℃のクロロホルム中で0.67dL/gの固有粘度を有するPCLと挽かれ、調合されたクロモリンナトリウム(クロモリン)(50:50(重量/重量)))および膜材料(30℃のクロロホルム中で1.37dL/gの固有粘度を有するPCL)を加工し、そして実施例2と同様に分析した。
【0061】
図11は、緻密親水性ポリマー膜を有する同軸インプラントからのクロモリンの放出を示す。
【0062】
(実施例7:タンパク質の送達のための生分解性同軸インプラント)
コア供給として窒素ガスを使用して、PCL中に30体積%のNaClを含む混合物を、上記のように同軸ダイの外側リングを通して押し出し成形し、約3mmの全体直径を有するチュービングを形成した。α−インターフェロンを含むインプラントを、短い長さのチュービングにスクロース酢酸イソブチレート(SAIB)中に20mgのα−インターフェロンを含む懸濁物を充填し、チューブの末端を密封することによってチュービングから調製した。
【0063】
リン酸緩衝化生理食塩水中でインキュベートされる場合、インプラントは、数日間インターフェロンを放出した。
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
米国政府は、National Institute of Neurological Disorders and Strokeの認可番号第1R43NS39703−01号によって、本発明において権利を有する。
【0002】
本発明は、一般に、均一なゼロ次放出速度論の重大な必要性がある製剤の送達のための長期放出デバイスの分野に属する。
【背景技術】
【0003】
薬物送達の分野は、過去30年間にわたって発達してきており、いまや、1回の投与後に長期間、数週間から数ヶ月にわたって、密な精密度での薬物の送達を適用することができるところにある。長期制御放出は、いくつかの異なるデバイスを用いて達成されている。例としては、種々の薬物(特に化学療法剤および高度に有効な向神経活性薬)のためのミニ移植性ポンプ、避妊剤のための末端に放出制御孔を伴うシリコンチューブ、同軸インプラント、経皮パッチ、およびマイクロカプセル化処方物が挙げられる。これらは全て、利点と欠点とを有する。ミニポンプは、極度に正確であるが、製造のために非常に高価である。ミニ移植ポンプ、シリコンチューブ、および以前に記載した同軸インプラントは全て、一旦薬物が送達されたら、侵襲性の手順を用いて取り除かねばならない。マイクロカプセル化処方物は、全体に生分解性の材料を用いて形成され得るが、その放出特性は、制御されるものではなく、薬物を初期に大量放出し得る。これは、いくつかの薬物については問題であり、所望の投薬量より過剰に送達される場合、重大な副作用を有し得るか、または十分に高い投薬量で送達されない場合、無効であり得る。経皮パッチは、皮膚を通過し、そして送達の正確さが必須ではない少数の薬物でのみ有用である。
【0004】
癌は、年間100万人を超える米国人において診断され、そしてそれは、米国における5番目の死亡原因である(約1,400人/日)。この疾患の一般的な進行は、しばしば、慢性の救われない痛みに至る。麻薬性鎮痛剤(フェンタニールおよびサフェンタニルを含む)の使用は、選り抜きの処置として、より広範に受け入れられつつある。耐性の発達の可能性および毒性の副作用のため、最小限の初期の大量放出を生じる長時間作用性の投薬量形態が必要とされる。上記に記載のように、経皮パッチおよび移植性注入システムを含むいくつかの製品が現在市場にある。経皮パッチは、外来患者の処置のために使用され得、そして投薬量当たり3日間の持続期間を有する。静脈注入およびくも膜下腔内注入は麻酔薬(narcotics)を、より一貫して送達し、そしてより長期間にわたって使用され得る。現在認可されている注入製品は、一般に、外部から装着または移植されるポンプを使用し、かさ高く、移植および除去のために外科的な手順を必要とし、そして非常に高価なシステムである。Duros(登録商標)サフェンタニル(サフェンタニルの100日送達のために設計された浸透圧ポンプ)は、現在、臨床試験を受けているところである。このインプラントは、ずっとより小さく、より投与が簡易であり、現在認可されているポンプよりも利点を提供するが、投与期間の最後に除去を必要とする。このタイプのインプラントは、WO00/54745において記載される。生分解性インプラントは、除去の必要性を排除し得、それにより患者への更なる利点を提供し、費用および外科的除去手順の不快さを取り除く。
【0005】
生分解性ポリマーを含む材料で作製され得るインプラントが記載されている。例えば、Shalatiらへの特許文献1は、薬物および水不溶性薬物のコア、ならびに水不溶性ポリマーおよび水溶性孔形成剤の有機溶剤のコーティングにより形成され得る外側ポリマー膜を含む制御放出インプラント(代表的には微粒子またはペレットからなる)を記載する。Jaworowiczらへの特許文献2は、その外側コーティングがアニーリングされて多孔性を減少され、そして大量放出を回避するポリマーで作製されたインプラントを記載する。これらはともに、高価なプロセシング工程を必要とし、費用を増大させ、そして完全に生分解性ではないものであり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,666,704号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/0037309号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、長期間にわたって放出し、かつ非常に制御されたゼロ次放出速度論を提供する、生分解性である制御放出デバイスを提供することである。
【0008】
本発明のさらなる目的は、費用対効果があり、高度に再現性のある、そして効率的な、このようなインプラントを作製する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
全体的に生分解性であるポリマー材料を用いる同軸インプラントが開発されている。本明細書中で言及されるように、同軸インプラントは、コアからの材料の放出速度を制御する半透過性膜または微孔性膜によって取り囲まれた、薬物(これは、固体もしくは液体の薬物であり得るか、または固体もしくは液体マトリックス中の薬物であり得る)を含有するコアを有するデバイスである。本明細書中で使用されるように、「半透過性」とは、薬物が膜ポリマー中に溶解し、そしてそれを通して拡散するデバイスをいい、そして「微孔性」とは、薬物が膜中の孔を通して拡散するデバイスをいう。デバイスは、同軸押し出しのような押し出し加工によって形成され得るか、またはそれは、活性成分を含有する予め形成されたコアにコーティングを適用するか、または予め形成された膜材料に活性なローディングされたコア処方物を充填することにより形成され得る。1つの実施形態では、ポリマーは、無定形ポリマーよりもむしろ、半結晶性ポリマーを生じるように加工される。コアは、薬物を単独または液体キャリアまたは生分解性ポリマーのような別の材料と混合して含有し得る。コアポリマー(用いられる場合)およびポリマー膜(単数または複数)は、同じまたは異なるポリマーであり得る。ポリマーは、同じまたは異なる分子量の、および同じまたは異なる化学構造(すなわち、結晶性、半結晶性、または無定形)の、同じまたは異なる組成(すなわち、ともにポリカプロラクトン、またはともにポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(異なるモノマー比の)、またはポリ(ラクチド)のコアの外側のポリカプロラクトン)であり得る。緻密なポリマー膜を伴うデバイスの場合、コアは、薬物のレザーバとして作用し、これは、コアポリマーから膜ポリマーに分配して、コアと膜との間の界面で薬物の飽和溶液を形成する。一般に、疎水性ポリマーは、疎水性薬物と共に使用され、そして親水性ポリマーは親水性薬物と共に使用される。非常に親水性である薬物を用いる場合、膜ポリマーとして微孔性生分解性ポリマーを使用することが好ましいものであり得る。別の実施形態では、コアおよび膜の一方が、親水性であり、他方は疎水性である。
【0010】
本発明はまた、以下の項目を提供する。
(項目1)
完全に生分解性の同軸インプラントであって、そのインプラントは、送達されるべき活性薬剤を含有するコアおよび速度制御膜を備え、そのインプラントは、全てのその活性薬剤が放出されるまで完全に分解しない、インプラント。
(項目2)
上記活性薬剤が、少なくとも30日間にわたって放出される、項目1に記載のインプラント。
(項目3)
上記インプラントのコアが、そのコア内に取り込まれた活性薬剤を有する生分解性ポリマーから形成される、項目1に記載のインプラント。
(項目4)
上記膜が、微小多孔性膜である、項目1に記載のインプラント。
(項目5)
上記膜が、半透過性膜である、項目1に記載のインプラント。
(項目6)
上記コアが、活性薬剤とポリマーとの乾燥ブレンド、その後の押出しによって形成される、項目1に記載のインプラント。
(項目7)
上記コアが、二重押出し処理によって形成される、項目1に記載のインプラント。
(項目8)
上記コアが、液体である、項目1に記載のインプラント。
(項目9)
上記コアが、純粋薬物である、項目1に記載のインプラント。
(項目10)
上記膜またはコアを形成するポリマーが、半結晶性、結晶性または非晶性である、項目1に記載のインプラント。
(項目11)
上記膜を形成するポリマーおよび上記コアを形成するポリマーが、同じポリマーである、項目1に記載のインプラント。
(項目12)
0次の放出動態で活性薬剤を放出する、項目1に記載のインプラント。
(項目13)
上記インプラントが、上記膜中またはその膜に隣接して活性薬剤を含有する、項目1に記載のインプラント。
(項目14)
麻酔鎮痛薬またはそのアンタゴニストの送達のための、一体型インプラントまたは同軸インプラントを含む、ポリマー性インプラント。
(項目15)
上記鎮痛薬またはアンタゴニストが、サフェンタニール、フェンタニール、ナルトレキソンおよびナロキソンからなる群より選択される、項目14に記載のインプラント。
(項目16)
上記ポリマーが、生分解性である、項目14に記載のインプラント。
(項目17)
上記インプラントが、上記鎮痛薬またはアンタゴニストを含有するコア、および速度制御膜を備える同軸インプラントである、項目14に記載のインプラント。
(項目18)
0次の放出動態で、少なくとも30日間の期間にわたって、上記鎮痛薬またはアンタゴニストを放出する、項目14に記載のインプラント。
(項目19)
マトリクス、プロテーゼ、インプラントまたはコーティングから選択されるデバイスに形成される、項目1または14に記載のインプラント。
(項目20)
上記デバイスが、血管内移植に適切である、項目19に記載のインプラント。
(項目21)
上記デバイスが、ヘパリン、タキソールおよび再狭窄を処置または予防する際に使用される他の薬物からなる群より選択される活性薬剤を含有する、項目20に記載のインプラント。
(項目22)
体腔への移植に適切な、項目19に記載のインプラント。
(項目23)
神経叢に隣接した移植に適切な、項目19に記載のインプラント。
(項目24)
上記コア組成物が、異なる組成を有する同心層をさらに備える、項目1または14に記載のインプラント。
(項目25)
上記コアが賦形剤を含有する、項目1または14に記載のインプラント。
(項目26)
上記速度制御膜が、孔形成剤を含有する、項目1または17に記載のインプラント。
(項目27)
上記インプラントが、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシ酸、カプロラクトンまたはこれらのコポリマーからなる群より選択されるポリマーを含有する、項目1または14に記載のインプラント。
(項目28)
上記活性薬剤が、水溶性である、項目1に記載のインプラント。
(項目29)
上記活性薬剤が、タンパク質またはペプチドである、項目1に記載のインプラント。
(項目30)
上記インプラントが、末端シールされている、項目1または14に記載のインプラント。
(項目31)
上記インプラントが、延伸または焼なましによって、押出し後にさらに処理される、項目1または14に記載のインプラント。
(項目32)
上記コアが、非ポリマー性の非水溶性液体および活性薬剤を含有する、項目1に記載のインプラント。
(項目33)
液体の薬物含有処方物で、予め形成された膜を充填することによって形成される、項目1に記載のインプラント。
(項目34)
項目1〜33のいずれか1項に記載のインプラントの使用方法。
(項目35)
同軸インプラントを作製する方法であって、その方法は、活性薬剤およびポリマーを2回押出して、その同軸インプラントの上記コアを形成する工程を包含する、方法。
(項目36)
上記活性薬剤および上記ポリマーが、上記第一の押出し工程の前に乾燥ブレンドされる、項目35に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、同軸インプラントを作製するための同軸ダイの該略図である。
【図2a】図2は、同軸インプラントからのナルトレキソン塩基の放出に対する種々の膜厚の効果のグラフ(累積放出(mg) 対 時間(日数))である。図2aは、10重量%のナルトレキソンのコア、ならびに1.1、1.4および1.9の外膜半径 対 内膜半径(ro:ri)の比を有するインプラントのグラフである。
【図2b】図2は、同軸インプラントからのナルトレキソン塩基の放出に対する種々の膜厚の効果のグラフ(累積放出(mg) 対 時間(日数))である。図2bは、30重量%のナルトレキソンのコアを有する、1.1、1.4および1.9のro:riであるインプラントのグラフである。
【図3】図3は、同軸ポリカプロラクトン(「PCL」)インプラントからのナルトレキソンの放出に対する、コア負荷(5mgおよび15mg)の効果のグラフ(累積放出(mg) 対 時間(日数))である。
【図4】図4は、それぞれ1.27、1.45、1.59および1.83のro:riについての、同軸PCLインプラントからのフェンタニールの放出に対する、膜厚の効果のグラフ(累積放出(mg) 対 時間(日数))である。
【図5】図5は、コア中の10重量%のサフェンタニールを含む同軸インプラントからのサフェンタニル塩基の放出を示す。
【図6】図6は、コア中の30重量%のサフェンタニールを含む同軸インプラントからのサフェンタニル塩基の放出を示す。
【図7】図7は、30容量%の塩化ナトリウム(孔形成剤)/PCL膜、および50重量%のクロモリンナトリウム/PCLのコアを備える同軸インプラントからのクロモリンナトリウムの放出を示す。ro:ri=1.2である。
【図8】図8は、30容量%の塩化ナトリウム(孔形成剤)/PCL膜、および50重量%のクロモリンナトリウム/PCLのコアを備える同軸インプラントからのクロモリンナトリウムの放出を示す。ro:ri=1.30および1.40である。
【図9】図9は、30容量%のラクトース/PCL膜と共に50重量%のクロモリン/PCLのコアを備える、シールされた同軸インプラントおよびシールされない同軸インプラントからのクロモリンナトリウムの累積放出(mg)を比較する。ro:ri=1.30および1.50である。
【図10】図10は、高密度の親水性ポリマー膜(ポリエチレングリコール 3000/ 90:10 DL−ポリエチレングリコール膜)と共に50重量%のクロモリン/PCLのコアを備える同軸インプラントからの、クロモリンナトリウムの累積放出(mg)を示す。ro:ri=1.1、1.4および1.7である。
【図11】図11は、疎水性PCLポリマー膜を有する同軸インプラントからの、クロモリンナトリウムの放出(mg)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(発明の詳細な説明)
(1.同軸インプラントの構造および組成物)
薬物送達のための繊維性インプラントを作製するための方法は、周知である。例えば、CowsarおよびDunn、12節「Biodegradable and Nonbiodegradable Delivery Systems」145〜162頁;Gibsonら、31節「Development of a Fibrous IUD Delivery System for Estradiol/Progesterone」215〜226頁;Dunnら、「Fibrous Polymers for the Delivery of Contraceptive Steroids to the Female Reproductive Tract」125〜146頁;Polimeric Materials in Medication、C.G.GebeleinおよびCarraher編(Plenum Publishing Corporation,1985)47〜59頁の、Dunnら、「Fibrous Delivery Systems for Antimicrobial Agents」を参照のこと。
【0013】
繊維を作製するための3つの共通の方法:湿式紡績、乾式紡績および溶解紡績が存在する。湿式紡績は、ポリマー溶液を開口部を通して、非溶媒中へと押出しポリマーを凝固させる工程を包含する。乾式紡績プロセスにおいて、ポリマー溶液を、力を掛けて開口部を通らせ、そして溶媒を蒸発させる加熱カラムに供給して繊維を形成させる。溶解紡績において、熱可塑性ポリマーを上記のその融点を越えて加熱し、開口部を通って押出し、そして冷まして繊維を形成させる。同軸紡績と一緒に、薬物を速度制御ポリマー膜と同時に繊維のコアとして押出す(または「外筒」といわれる)。代表的な同軸スピナレット(spinneret)は、2つの同心環からなる。薬物は、純粋な形態でかまたはポリマー性マトリクスもしくは非ポリマー性マトリクス内で分散されるかのいずれかで、内側の環を通ってポンプ輸送され、その場所で薬物はコアを形成する。速度制御ポリマーを外側の環を通ってポンプ輸送され、外筒を形成する。材料の両方の流れが、スピナレットから出現する場合、これらは固化して同心軸繊維またはレザバシステムを形成する。2つの材料を同軸スピナレットへとポンプ輸送する速度は、外筒膜の厚さおよび線維のサイズを決定する。
【0014】
ポリマーまたは薬物を、押出しのために、溶媒中に融解または溶解のいずれかによって液体化する。同軸インプラントの調製の好ましい方法は、融解押出しであり、この方法では2つの押出し機を使用してコア処方物および膜材料を処理する。コア処方物を同軸ダイの中央チューブに供給し、そして膜材料を同じダイの同軸の外側の環に供給して、その結果、膜材料は、この材料がダイから出るにつれてコア上に均一なコーティングを形成する。コアおよび膜の相対直径を、ダイの大きさ、押出し条件、2つの押出し機の相対押し出し速度および相対取出し(take−off)速度によって制御する。この方法において、コア直径および膜厚を独立して制御し得る。
【0015】
同軸インプラントを調製する別の方法は、最初に、単純な押し出しプロセスによってコア処方物を調製し、次いでこのモノリシックのコアの表面処理によって膜を形成することである。この表面処理を、ポリマーがその表面に薄い表皮を形成するように、ポリマー賦形剤のためにより高い(elevated)温度または溶媒に曝すことによって表面をアニーリングすることによって達成し、次いで速度制御膜として機能化し得る。膜を、溶液コーティングプロセスによる膜処方物のコーティングを適用することによってもまた、追加し得る。溶液コーティングプロセスを使用して、異なる組成物のさらなる層を適用し得、これによって多層性同軸インプラントを構築し得る。
【0016】
同軸インプラントを調製するなお別の方法は、最初に中空管として膜を調製し、次いで管の中心にコア処方物を注入することによって、このコア処方物を追加することである。例えば、コア処方物は、米国特許第5,747,058号、および米国特許出願第09/385,107号(その両方の全体の内容が本明細書によって参考として援用される)に記載される、非ポリマー性マトリクス、非水溶性マトリクスのような液体マトリクス中に組み込まれる薬物から構成され得る。
【0017】
一般的に、断面が円形である形状で形成されるが、インプラントはまた、任意の他の断面形状(例えば、楕円、葉状、正方形、または三角形)で調製され得る。
【0018】
薬物は、種々の方法で処方物に添加され得る。コア処方物が液体キャリアを含む場合、薬物およびキャリアは、スラリーを形成するために混合され得る。コア処方物がポリマーを含む場合、薬物およびポリマーは、溶媒混合、乾燥混合、または溶融混合によって混合され得る。より均一な混合は、薬物−マトリクスを2回押し出すことによって得られ得る。好ましい実施形態において、コアは、薬物およびポリマーを乾燥混合し、この混合物を溶融して押出し、そしてこの押出物を粉砕して、第2の押出しのためにフィードストックを形成することによって処方される。コア中の薬物負荷は、液体キャリアまたはポリマーのいずれかがコア処方物に使用される場合、約0.1〜80wt%の範囲であり得、そして薬物のみが使用される場合、100%の高さであり得る。より好ましい負荷は、約10〜約60wt%の範囲であり、そして最も好ましい負荷は、約20〜約50wt%の範囲である。
【0019】
いくつかの場合において、最終的なインプラントは、所望の用量のために適切な長さにコア/膜処方物を切断し、そしてコアの露出された端部をシールすることによって形成される。いくつかの適用について、初期負荷用量は、望ましくあり得、これは、より高い放出の短い期間が存在するように、露出される端部の一方のみをシールするかまたはいずれもシールしないことによって、特定の薬物について達成され得る。いくつかの方法が、インプラントの端部をシールするために使用され得る。インプラントが中実コアを含む場合、膜ポリマーの溶液でコーティングすることによって、または溶融膜ポリマーを適用することによって、または単純に、切断部が作製されるときに熱シールされるように、ホットナイフまたはワイヤで切断することによって、このインプラントは、シールされ得る。インプラントが液体コアを含む場合、端部は、熱シールされるか、またはこれらは、ポリマープラグを膜処方物の管腔内に配置することによってシールされ得る。ポリマープラグが使用される場合、必要に応じて、膜に熱シールされ得る。
【0020】
同軸インプラントは、薬物の総用量および想定される投与方法に依存して種々のサイズで調製され得る。好ましい実施形態において、全径は、0.05mmと5.0mmの間である。ヒトにおける皮下投与について、1.0mmと4.0mmとの間の全径がより好ましくあり得る。同軸インプラントの長さは、代表的に、約0.3cmと10cmとの間である。皮下インプラントについて、より好ましい長さは、約0.3cmと3.0cmとの間である。
【0021】
膜処方物は、所定の寸法のインプラントについて薬物(活性薬剤)の必要なフラックスを提供するために選択される。最も実際的な適用について、膜の厚みは、インプラントの全径の約2%〜約40%以内である。膜の厚みが全径の約5%〜約30%の間であることが好ましい。膜は、多孔性でない高密度な膜であり得るか、またはこれらは、約1〜約30ミクロンの孔および約5%と約70%との間の孔容積を有し、非常に多孔性であり得る。膜はまた、コアに含まれるよりも少ない負荷で活性成分を含み得るか、またはコアに含まれる活性成分とは異なる活性成分を含み得る。膜が高密度な膜であるか多孔性膜であるかに関わらず、材料の所望の透過性特性は、必ずしも、最初の押出工程またはコーティング工程の間に達成される必要はない。下流処理手段は、膜の最終特性を達成するために使用され得る。半結晶ポリマーが膜中で使用される場合、結晶化度は、冷却速度および条件によって制御され得る。特性はまた、押し出された処方物を延伸(drawing)することによって変更され得る。延伸は、一般的に、2つ以上のセットのゴデット(これは、材料がラインのさらに下に通過するときに、進行的により速い速度で作動する)の周りで材料を通すことによって達成される。この材料は、温度が注意深く制御されて、膜の結晶化度にさらに影響し得るように、ゴデット間の加熱したオーブンを通過し得る。延伸はまた、材料の最終直径を制御するために使用され得る。
【0022】
同軸構造が連続押出しプロセスによって調製されるので、これらは、操作に便利な任意の長さであり得る。処方物が十分に可撓性である場合、スプール上にまたはコイル中にまかれ得、そして切断の前に、このように保持され得る。あるいは、材料は、おそらく数センチメートルまたは数メートルのより短い長さとして収集され得、そして切断の前に保持され得る。同軸ダイのちょうど下流に配置されるフライホイール型カッターを使用して作製されるときに、この材料を最終インプラント長さに切断することがまた可能である。
【0023】
(II.プロセス材料)
(A.ポリマー)
本明細書中で開示されるプロセスを使用して、種々の材料(好ましくは、生体適合性および生分解性ポリマー)から同軸インプラントを形成し得る。本明細書中に規定されるように、生分解性とは、そのポリマーが、インビボで分解または腐食して、より小さな化学種を形成することを意味し、ここで、この分解は、例えば、酵素的プロセス、化学的プロセス、および物理的プロセスから生じ得る。用語「生体適合性」は、レシピエントに対して非毒性であり、そしてレシピエントの身体に対して何の重大な有害な影響も都合の悪い影響も提示しない、ポリマーおよびそのポリマーの任意の分解産物をいうために本明細書中で使用される。適切な生体適合性、生分解性ポリマーの例としては、ポリヒドロキシ酸(例えば、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、およびポリ(乳酸−co−グリコール酸))、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリエーテルエステル、ポリエチレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリホスファジン、ポリカルボネート、ポリアミド、ならびにこれらのコポリマーおよび混合物が挙げられる。好ましい材料は、ポリカプロラクトン、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、およびこれらのコポリマーである。
【0024】
代表的な天然ポリマー材料としては、ポリサッカリドおよびタンパク質が挙げられる。
【0025】
(B.溶媒)
ポリマーおよび活性薬剤が溶媒混合される場合、このプロセスに使用される溶媒の選択は、一般的に、選択されるポリマーおよび活性薬剤、ならびに溶媒除去に使用される特定の手段に依存する。有機溶媒(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、乳酸エチル、酢酸エチル、ジクロロメタン、および酢酸エチル/アルコール混合物)が、PLGおよびPCLと共に使用するために好ましい。
【0026】
(C.活性剤)
基本的に、任意の基質または薬剤は、本明細書中に記載されるプロセスを用いて組み込まれ得る。この基質は、好ましくは、活性剤である。本明細書中で使用される場合、用語「活性剤」は、例えば、ヒトのような哺乳動物を含む動物に投与する際に、インビボでの治療的特性、予防的特性、または診断的特性を保有する薬剤をいう。適切な治療活性剤および/または予防活性剤の例としては、タンパク質(例えば、ホルモン、抗原、および増殖因子);核酸(例えば、アンチセンス分子);ならびに低分子(例えば、抗生物質、ステロイド、うっ血除去薬、神経活性剤、麻酔薬、鎮静薬)、および抗体(例えば、ヒト化抗体を含む増殖ホルモンレセプターに結合する抗体)、アジュバント、およびこれらの組み合わせが挙げられる。適切な診断活性剤および/または治療性剤の例としては、放射活性同位体および放射線不伝導性(radioopaque)剤が挙げられる。
【0027】
この活性剤としては、有機分子(例えば、薬物、ペプチド、タンパク質、炭水化物(単糖、オリゴ糖、および多糖を含む)、核タンパク質、ムコタンパク質、リポタンパク質、合成ポリペプチドまたはタンパク質、またはタンパク質に結合した低分子、糖タンパク質、ステロイド、核酸(cDNAを含む任意の形態のDNA、またはRNA、またはそのフラグメント)、ヌクレオチド、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチド(アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む)、遺伝子、脂質、ホルモン、ビタミン(ビタミンCおよびビタミンEを含む))またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0028】
代表的な治療活性剤としては、以下が挙げられる:免疫抑制剤、抗酸化剤、麻酔薬、化学治療剤、ステロイド(レチノイドを含む)、ホルモン、抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗増殖剤、抗ヒスタミン剤、抗凝血剤、抗光線加齢剤(antiphotoagingagent)、メラノトロピン(melanotropic)ペプチド、非ステロイド性抗炎症化合物およびステロイド性抗炎症化合物、抗精神病薬、ならびにUV吸収体を含む放射性吸収体。活性剤の他の非制限的な例としては、以下が挙げられる:抗感染剤(例えば、ニトロフラゾン、プロピオン酸ナトリウム)、抗生物質(ペニシリン、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、クロロテトラサイクリン、バシトラシン、ナイスタチン、ストレプトマイシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、およびアジスロマイシンを含む);スルホンアミド(スルファセタミド、スルファメチゾール、スルファメタジン、スルファジアジン、スルファメラジン、およびスルフイソキサゾールを含む)、および抗ウイルス剤(イドクスウリジンを含む);抗アレルギー剤(例えば、アンタゾリン、メタピリテン(methapyritene)、クロルフェニラミン、ピリラミン、プロフェンピリダミン、ヒドロコルチゾン、コルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾン21−ホスフェート、フルオシノロン、トリアムシノロン、メドリゾン、プレドニゾロン、プレニゾロン21−コハク酸ナトリウム、および酢酸プレニゾロン);脱感作剤(例えば、ブタクサ花粉抗原、枯草熱花粉抗原、埃抗原および牛乳抗原);うっ血除去薬(例えば、フェニレフリン、ナファゾリン、およびテトラヒドラゾリン);縮瞳薬および抗コリンエステラーゼ(例えば、ピロカルピン、サリチル酸エスペリン、カルバコール、ジイソプロピルフルオロホスフェート、ヨウ化ホスホリン、および臭化デメカリウム);副交感神経遮断薬(例えば、硫酸アトロピン、シクロペントレート、ホマトロピン、スコポラミン、トロピカミド、ユーカトロピン、およびヒドロキシアンフェタミン);交感神経作動剤(例えば、エピネフリン);鎮静薬および催眠薬(例えば、ペントバルビタールナトリウム、フェノバルビタール、セコバルビタールナトリウム、コデイン、(a−ブロモイゾバレリル(a−bromoisovareleryl))尿素、カルブロマル);精神賦活剤(例えば、3−(2−アミノプロピル)酢酸インドール、および3−(2−アミノブチル)酢酸インドール);精神安定薬(例えば、レセルピン、クロロプロマリン(chlorpromayline)、およびチオプロパゼート);アンドロゲン性ステロイド(例えば、メチル−テストステロンおよびフルオリメステロン(fluorymesterone));エストロゲン(例えば、エストロン、17−β−エストラジオール、エチニルエストラジオール、およびジエチルスチルベストロール);プロゲステロン剤(例えば、プロゲステロン、メゲストロール、メレンゲストロール、クロルマジノン、エチステロン、ノルエチノドレル、19−ノルプロゲステロン、ノルエチンドロン、メドロキシプロゲステロン、および17−β−ヒドロキシプロゲステロン);体液性剤(例えば、プロスタグランジン(例えば、PGE1、PGE2およびPGF2);解熱剤(例えば、アスピリン、サリチル酸ナトリウム、およびサリチルアミド);鎮痙薬(例えば、アトロピン、メタンテリン、パパベリン、および臭化メトスコポラミン);抗マラリア薬(例えば、4−アミノキノリン、8−アミノキノリン、クロロキノン、およびピリメタミン);抗ヒスタミン薬(例えば、ジフェンヒドラミン、ジメンヒドリネート、トリペレナミン、パーフェナジン、およびクロルフェナジン);心臓作用薬(例えば、ジベンジドロフラム(dibenzhydroflume)サイアザイド、フルメサイアザイド、クロロサイアザイド、およびアミノトレート(aminotrate))、天然および合成の生物活性ペプチドおよび生物活性タンパク質(増殖因子、細胞接着因子、サイトカイン、および生物学的応答変更因子を含む)。
【0029】
1つの実施形態において、組み込まれた材料はワクチンであり、そして送達される基質は、抗原である。抗原は、細胞、細菌、もしくはウイルス粒子、またはそれらの一部から送達され得る。本明細書中で規定されるように、抗原は、タンパク質、ペプチド、多糖、糖タンパク質、糖脂質、核酸、またはこれらの組み合わせであり得、これらは、動物(例えば、哺乳動物、鳥類、または魚類)における免疫原性応答を誘発する。この免疫原性応答は、体液媒介され得るか、または細胞媒介され得る。免疫原性応答が指向されるべき物質が抗原性に乏しいという事象において、この物質は、標準的な共有結合技術(例えば、いくつかの市販の試薬キットの1つ)を用いて、キャリア(例えば、アルブミン)またはハプテンに結合体化され得る。好ましい抗原の例としては、ウイルスタンパク質(例えば、インフルエンザタンパク質、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)タンパク質、およびA型肝炎タンパク質、B型肝炎タンパク質またはC型肝炎タンパク質)、および細菌タンパク質、リポ多糖(例えば、グラム陰性細菌の細胞壁およびNeisseria gonorrheaのタンパク質)、およびパルボウイルスが挙げられる。
【0030】
好ましい実施形態において、送達される基質は薬物(例えば、非常に強力な麻酔性鎮痛薬)であり、ここで投薬は、安全かつ有効なレベル内に注意して維持されるべきである。例としては、サフェンタニールおよびフェンタニールが挙げられる。ナルトレキソンおよび他の麻酔性鎮痛薬はまた、インターフェロン、クロモリンナトリウムおよび酢酸ロイプロリドまたは他のLHRHアゴニストもしくはLHRHアンタゴニストのような好ましい活性剤である。
【0031】
組み込まれる活性剤の量およびこのプロセスにて使用される量は、特定の活性剤、計画した放出レベルでの活性剤の所望の効果、および薬剤が放出されるべき期間に依存して変化する。
【0032】
このプロセスは、1つよりも多くの活性剤を組み込むために使用され得る。活性剤はまた、当該分野において既知の1つ以上の賦形剤(例えば、安定剤)と混合され得る。
【0033】
(D.賦形剤および孔形成剤)
所望の多孔度を達成するために膜ポリマーに添加され得る適切な物質としては、スクロース、デキストロース、塩化ナトリウム、ソルビトール、ラクトース、ポリエチレングリコール、マンニトール、フルクトース、ポリビニルピロリドンまたはこれらの適切な組み合わせが挙げられる。これらの材料はまた、混合されるか、またはコアに組み込まれて充填剤を提供し得、放出速度を変更し得、水のとりこみを増加させ得、pHを制御し得、構造的支持を提供し得、そして当業者に公知の他の使用を提供し得る。
【0034】
(III.使用の方法)
同軸インプラントは、放出が所望される部位で最小限の侵襲性手順を用いて移植される。これらは、套管針またはカテーテルを皮下的、腹腔内的、筋肉内的および管腔内的(腟内、子宮内、直腸、歯周)に用いて移植され得る。
【0035】
同軸インプラントは、マトリクス、インプラント、人工器官またはコーティング(例えば、脈管内)の一部として作製され得る。再狭窄の処置における使用のための好ましい活性剤としては、ヘパリンおよびタキソールが挙げられる。これらのインプラントはまた、神経叢の近く、または膀胱の下、骨盤の神経叢の近くでの薬物の放出において使用され得る。
【0036】
同軸インプラントは、薬物が規定の期間にわたって所望の容量で放出されるように設計される。同軸インプラントは、放出達成後に分解するように設計される。
【実施例】
【0037】
本発明は、以下の非制限的な実施例を参照にしてさらに理解される。
【0038】
(実施例1:麻酔性鎮痛薬の送達のための生物分解性同軸インプラント)
同軸押し出しは、ゼロ次速度近くで薬物を送達し得るインプラントを生成するための効率的なプロセスとして評価されている。本研究において、生分解性ポリマーであるポリ(ε−カプロラクトン)(PCL)を、30日間薬物を送達するように設計されたインプラントにて評価した。この研究を実行して、30日間フェンタニールまたはサフェンタニールを送達し得る完全生分解性レザバ型インプラントの開発の実現可能性を決定した。
【0039】
(実験方法)
(材料)
ナルトレキソン塩基(NTX)、フェンタニール塩基およびサフェンタニル塩基を、Mallinckrodt,St.Louis,Missouriから得た。30℃でクロロホルム中で1.31dL/gの固有の粘性を有するポリ(ε−カプロラクトン)(PCL)および0.65dL/gの固有の粘性を有する75:25ポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド−コ−,−カプロラクトン)(DL−PLCL)を、Birmingham
Polymers,Inc.,Birmingham,ALから得た。
【0040】
(調合物の調製)
すべての調合物を、2つのRandcastle Microtruderおよび同軸ダイを使用して溶解押出し成形(melt−extrusion)プロセスによって調製した。活性剤(NTX、フェンタニール塩基およびサフェンタニル塩基)およびPCLを、ジクロロメタンを使用して溶媒ブレンドした。溶媒のほとんどをエバポレートした後、混合物を、真空乾燥し、そしてRetsch Ultracentrifugal Millを使用して1mmスクリーンに通して粉砕した。粉砕した材料を少なくとも24時間真空中でさらに乾燥した。10重量%または30重量%のいずれかの活性剤を含むブレンドを、調製した。
【0041】
NTXまたはフェンタニール塩基を含む同軸ロッドを、2つの押出し成形機を同時に操作することによって調製した。図1は、押出し成形の間に使用される同軸ダイ10の図を示す。活性剤/PCLブレンドを、第1の押出し成形機12を通してプロセスし、そしてダイ10の中央の開口部14を通して供給し、インプラントコア10を形成した。純粋なPCLを、第2の押出し成形機18を介してプロセスし、そして外部(同軸ダイ10の同軸リング20)へ供給し、膜22を形成した。したがって、得られた同軸ロッドは、活性剤/PCLコア16およびPCL比率コントロール膜22からなる。膜の相対的な厚さは、第1の押出し成形機の速度に関連して、第2の押出し成形機の押出し成形速度を調節することによって制御される。押出し成形の後、約1.5mmの直径を有する個々のインプラントを、2.0cmの長さに切断した。次いで、露出した末端を、ジクロロメタン中のPCLの溶液で末端をコートすることによってシールした。
【0042】
サフェンタニル塩基を含む同軸ロッドを、サフェンタニル/ポリマーブレンドを含有するモノシリックロッドを押出し成形、そして所望の量のサフェンタニル有する長さにロッドを切断することによって調製した。ロッドを、ジクロロメタ中で溶解したポリマーの溶液に浸漬することによってコートした。個々のコーティングを所望の膜厚が達成されるまで適用した。
【0043】
(ナルトレキソン含有量アッセイ)
個々のナルトレキソンインプラントの活性成分を、酢酸エチル中でインプラントを溶解し、HPLC移動相で溶液を希釈し、そして得られた抽出物をHPLCによって分析することによって測定した。
【0044】
(インビトロ溶解)
活性剤の放出を、単純な溶解試験を使用して、インビトロで測定した。個々のナルトレキソンおよびサフェンタニルインプラントを、10mLの緩衝液(0.05%のアジ化ナトリウムアジドを有するリン酸緩衝化生理食塩水、pH 7.4)と共に、2−ozの琥珀色の保存ビンに配置し、37℃でインキュベートした。定期的に、緩衝液の既知の容量を除去し、そして新しい緩衝液と置き換えた。各サンプルの緩衝液中の薬物の濃度を、HPLCによって測定した。
【0045】
個々のサフェンタニルインプラントを、20mLの緩衝液を含む8−ozの琥珀色の保存ビンに配置した。1時間後、緩衝液の全容量を、70mlまで増加させた。各々のサンプリング時に、10mlの緩衝液のアリコートを除去し、そして10mLの新しい緩衝液と置き換えた。各サンプルのサフェンタニル濃度を、HPLCによって測定した。
【0046】
(結果および議論)
いくつかの実験を、同軸押出し成形の最適な条件を決定するために行った。表1は、2つのRandcastle Extruderについて、NTX同軸性押出し成形の間に使用されたプロセス条件を示す。
【0047】
(表1:同軸押出し成形条件)
【0048】
【表1】
図2は、種々のインプラント処方物に対する、ナルトレキソン塩基のmg/日での放出を示し、この種々の処方物は、モノリシックなコアおよび異なる膜厚を有するコーティングされたロッドを含む。コアおよび膜厚を、インプラントの内半径(ri)および外半径(ro)を測定することによって決定した。期待されるように、膜はインプラントからのNTX塩基の放出速度を制御する。ポリマー膜が厚いほど、同軸インプラントからのナルトレキソン塩基の放出は遅くなる。
【0049】
図3は、1:1のro:riを有するインプラントに対するコアローディング間の比較を示す。より低くロードされたインプラントが、NTX放出速度の緩やかな減衰を示す。この速度の減衰は、コアポリマー中の、薬物の飽和溶解度に対して薬物の低い初濃度に一部起因する。薬物が放出されて、コア中の活性物の濃度が飽和より低くなるにつれて、ゼロ次の放出プロフィールは維持されない。しかし、最高のコアローディングにおいては、飽和およびゼロ次の放出プロフィールは、より長い持続時間の間、維持され得る。
【0050】
図4は、コア中に10重量%フェンタニール(fentanyl)塩基を含む同軸インプラント由来のフェンタニール塩基の放出を示す。NTXインプラントでのように、コア中の濃度が飽和より下になるにつれて、フェンタニールの放出は、一次のオーダーになる。
【0051】
図5および図6は、コア中にそれぞれ10重量%のサフェンタニル塩基および30重量%のサフェンタニル塩基を含む同軸インプラントからのサフェンタニル塩基の放出を示す。
【0052】
(実施例2:膜中の孔形成剤として塩化ナトリウムを有する、クロモリンナトリウムの送達のための生分解性同軸インプラント)
コア材料(50:50(重量/重量)のクロモリンナトリウム(クロモリン)およびPCL(30℃のクロロホルム中で0.67dL/gの固有粘度を有する))を、一緒にブレンドし、調合し、そしてRetsch Ultracentrifugal Millを使用して1mmの篩を通してすりつぶした。膜材料(30%(体積/体積)塩化ナトリウム(NaCl)およびPCL(30℃のクロロホルム中で1.37dL/gの固有粘度を有する))をブレンドし、調合し、そしてコア材料と同様にすりつぶした。コア材料および膜材料とを、最小でも16時間減圧下で乾燥した。
【0053】
同軸ロッドを、2つのRandcastle押出し成形器を同時に作用させることによって生成した。コア材料(クロモリン/PCL)を、第1の押し出し成形器におけるダイの中心開口部を通して供給し、インプラントのコアを成形した。膜材料(NaCl/PCL)を、同軸ダイの外側リングを通る第2の押出し成形器を通して供給し、膜を成形した。約2mmの直径を有する個々のインプラントを、2cmの長さに切断した。露出した末端を、膜と同じポリマーで密閉した。
【0054】
クロモリンの放出を、簡単な溶解試験を使用してインビトロで決定した。個々のインプラントを、40mLの緩衝液(0.05%のアジ化ナトリウムを有するリン酸緩衝化生理食塩水(pH7.4))と共に4−oz琥珀ジャー中に配置し、そして37℃でインキュベートした。周期的に、緩衝液のアリコートを除去し、そして新鮮な緩衝液と入れ換えた。各サンプル中のクロモリン濃度を、HPLCで決定した。
【0055】
図7は、NaClが孔形成剤として使用される同軸インプラントからのクロモリンの放出を示す。
【0056】
(実施例3:膜中の孔形成剤として塩化ナトリウムを有する、クロモリンナトリウムの送達のための生分解性同軸インプラント)
コア材料(30℃のクロロホルム中で0.67dL/gの固有粘度を有するPCLと挽かれ、調合されたクロモリンナトリウム(クロモリン)(50:50(重量/重量)))および膜材料(30℃のクロロホルム中で1.37dL/gの固有粘度を有するPCLと挽かれ、調合されたクロモリン(30%(体積/体積)))を加工し、そして実施例2と同様に分析した。図8は、このクロモリンが孔形成剤として使用される同軸インプラントからのクロモリンの放出を示す。期待されるように、膜は、クロモリンが放出される速度を制御する。より厚いポリマー膜は、より遅いクロモリンの放出を引き起こす。
【0057】
(実施例4:膜中の孔形成剤としてラクトースを使用するクロモリンナトリウムの送達のための生分解性同軸インプラント)
コア材料(30℃のクロロホルム中で0.67dL/gの固有粘度を有するPCLと挽かれ、調合されたクロモリンナトリウム(クロモリン)(50:50(重量/重量))および膜材料(30℃のクロロホルム中で1.37dL/gの固有粘度を有するPCLと挽かれ、調合されたラクトース(30%(体積/体積)))を、プロセスし、そして実施例2と同様に分析した。図9は、同軸インプラントからのクロモリンの放出を示す。グラフは、密封されたインプラントからの放出を、非密封のインプラントの放出と比較する。期待されるように、非密封のインプラントは、密封されたものより速く放出する。
【0058】
(実施例5:緻密PEG3K/90:10 DL−PLGポリマー膜からのクロモリンナトリウムの送達のための生分解性同軸インプラント)
コア材料(30℃のクロロホルム中で0.67dL/gの固有粘度を有するPCLと挽かれ、調合されたクロモリンナトリウム(クロモリン)(50:50(重量/重量)))および膜材料(30℃のクロロホルム中で0.89dL/gの固有粘度を有するPEG3K/90:10 DL−PLG)を加工し、そして実施例2と同様に分析した。
【0059】
図10は、緻密親水性ポリマー膜を有する同軸インプラントからのクロモリンの放出を示す。
【0060】
(実施例6:緻密PCL膜からのクロモリンナトリウムの送達のための生分解性同軸インプラント)
コア材料(30℃のクロロホルム中で0.67dL/gの固有粘度を有するPCLと挽かれ、調合されたクロモリンナトリウム(クロモリン)(50:50(重量/重量)))および膜材料(30℃のクロロホルム中で1.37dL/gの固有粘度を有するPCL)を加工し、そして実施例2と同様に分析した。
【0061】
図11は、緻密親水性ポリマー膜を有する同軸インプラントからのクロモリンの放出を示す。
【0062】
(実施例7:タンパク質の送達のための生分解性同軸インプラント)
コア供給として窒素ガスを使用して、PCL中に30体積%のNaClを含む混合物を、上記のように同軸ダイの外側リングを通して押し出し成形し、約3mmの全体直径を有するチュービングを形成した。α−インターフェロンを含むインプラントを、短い長さのチュービングにスクロース酢酸イソブチレート(SAIB)中に20mgのα−インターフェロンを含む懸濁物を充填し、チューブの末端を密封することによってチュービングから調製した。
【0063】
リン酸緩衝化生理食塩水中でインキュベートされる場合、インプラントは、数日間インターフェロンを放出した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。
【請求項1】
明細書中に記載の発明。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−268915(P2009−268915A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−181060(P2009−181060)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【分割の表示】特願2003−506605(P2003−506605)の分割
【原出願日】平成14年6月20日(2002.6.20)
【出願人】(500391132)デュレクト コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【分割の表示】特願2003−506605(P2003−506605)の分割
【原出願日】平成14年6月20日(2002.6.20)
【出願人】(500391132)デュレクト コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]