説明

ゼンマイ動力式無線操縦玩具

【技術課題】 乾電池等の電源なしで使用できるゼンマイを動力源とする無線操縦玩具を提供する。
【解決手段】 手動巻きにより蓄勢されるゼンマイ2が搭載されていて、このゼンマイ2が解放されるときの蓄力により発電機5を回転させて発電し、かつこの電力を充電した充電式電池6からの出力により前後進切替サーボ12及びステアリングサーボ13を駆動して自動車100を走行させる。また、無線操縦用受信機8の電源も前記充電式電池6を電源とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手巻きで蓄勢されたゼンマイが解放されるときの蓄力を利用して充電機に充電を行い、この電力を利用して走行及び無線操縦用機器の電源として利用する無線操縦玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼンマイの蓄力により走行する玩具及び乾電池を利用してモータを駆動させて走行する玩具あるいは電池を電源とした無線通信回路を駆動して走行を遠隔操作できる玩具は良く知られている。
【0003】
しかし、ゼンマイで走行する玩具の場合には、走行距離も短く、子供の興味は半減する。
【0004】
一方、乾電池駆動のものは、乾電池が無くなると走行ができなくなると共にこの乾電池を購入するためには費用がかかり、併せて廃棄物公害の問題もある。
【0005】
また、遠隔操作のできる玩具の場合も、この遠隔操作のための制御回路を駆動するための乾電池等が必要となる。
【0006】
例えば、実開平7−494号公報には、走行玩具側に充電式の二次電池を搭載し、この二次電池に充電するための手動ハンドル回転式の発電機を別に設けてこの発電機で発生させた電力をケーブルを経由して二次電池に充電する乾電池を用いない玩具が紹介されている。
【0007】
しかし、この玩具の場合、玩具と発電機とは別体であることから、いちいちコネクターでケーブルを玩具に接続して充電を行ったり、これが終るとコネクターを取り外したりする必要があり、面倒である。
【0008】
また、実用新案登録第3106592号公報には、充電可能で負荷に補助電力を供給する電池と、回転力が付与されたゼンマイが回転力付与前の状態に戻ろうとする復元力により駆動されて直流電力を発生し、上記負荷に主電力を供給する直流モータと、上記電池による補助電力と上記直流モータで得られる主電力とを比較する電圧コンパレータと、上記補助電力と上記主電力とを合成して上記負荷に適正電力を供給する電圧レギュレータと、上記コンパレータの比較結果から上記直流モータが余剰電力の発生状態にある場合には、その余剰電力で上記電池を充電させるとともに、上記電圧レギュレータに対して上記負荷に上記適正電力を供給させる演算処理手段と、を備えるゼンマイ式電源装置が紹介されている。
【0009】
しかし、このゼンマイ式電源装置は、装置が複雑化して高価になると共に玩具としてはもっと単純化した内容のものが望まれる。
【0010】
また、特開2008−113973号公報には、送信機と受信機のいずれにおいても玩具とは別に発電機を携帯する必要のない送信機と受信機並びに無線操縦走行玩具を提供するとして、起電力生成と信号発生とを兼ね備えた起電力信号生成部と、高周波信号を発生する高周波信号生成部と、高周波を放射する空中線とを有して、電池を使用することなく信号と起電力を発生させて信号を送信可能となし、受信機は、駆動力を発生させる駆動力生成部と、駆動力を起電力に変換する起電力生成部と、制御信号を受信する制御信号受信部と、高周波を放射する空中線とを有して、電池を使用することなく駆動力と起電力を発生させて信号を受信可能とした玩具が紹介されている。
【0011】
しかし、この公知例の玩具は、機能的には子供の興味を惹くには不十分である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、玩具としての完成度が高く、子供の興味を十分に惹きつけることができると共に乾電池を一切利用しないゼンマイで発生させた電力を動力源とする無線操縦玩具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、手動巻きにより蓄勢されるゼンマイが搭載されていて、このゼンマイが解放されるときの蓄力により発電機を回転させて発電し、かつこの発電した電力を充電した充電機からの出力により回転するモータで車輪を前進又は後退方向に回転させることができると共にこの車輪の回転方向を切り替えるための走行制御手段を有し、且つこの走行制御手段を無線信号を受けて制御する運転制御回路を搭載してなることを特徴とするものである。
【0014】
この発明によると、乾電池を一切使用しないで走行したり、操縦することができる玩具を提供できる。
【0015】
更に請求項2に記載の発明は、前記ゼンマイに蓄勢を行うためのゼンマイ巻き上げ用ハンドルを自動車玩具の屋根部分に下向きに取り付けると共にこのハンドルの摘みの部分にLEDを取り付け、このLEDに前記電源からの電力を自動車玩具が走行しているときにのみ供給して、緊急車輌の点滅灯のイメージでLEDが点滅するように構成してなることを特徴とするものである。
【0016】
この発明によると、玩具としての興味を一層増大させることができる。
【0017】
更に請求項3に記載の発明は、向きを制御できる前輪を取り付けると共に駆動用のサーボにより前進又は後退自在の後輪を取り付けた車体と、
前記車体の屋根上に露出して取り付けたハンドルを回転させることにより蓄勢自在のゼンマイと、
前記ゼンマイが解放されるときの蓄力により回転されるギア群を経由して駆動軸が高速回転して起電力を発生する発電機と、
前記発電機で発生した電力を充電するための充電式電池と、
前記充電式電池を電源として前記後輪の駆動を制御する前後進切替サーボと、
前記充電式電池を電源として前輪の向きを制御するステアリングサーボと、
前記前後進切替サーボ及びステアリングサーボを制御する無線通信制御器と、
からなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明は以上のとおり、手巻き式のゼンマイにより発電機を駆動してこの起電力を充電池に一旦充電を行い、この充電池を電源として自動車の走行と運転を遠隔操作するように構成したことにより、玩具としての完成度が高く、自己完結で駆動源を確保できるため、乾電池等が不要となる。
【0019】
この結果、電池切れで遊べなくなったり、乾電池購入費あるいは廃棄物公害等の問題を解消できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の構成の要部の説明図。
【図3】本発明を自動車玩具に適用した例の外観図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、所謂自動車玩具に適用が可能であって、この自動車の種類は問わない。
【実施例】
【0022】
以下、図1〜3を用いて本発明の実施例を詳細に説明する。
【0023】
符号の1は自動車(車体)100の屋根に下向きに露出するようにして取り付けられたゼンマイを巻くためのハンドルであって、このハンドル1の回転軸1aには、自動車100内に組み付けられたゼンマイ2の中心端2cが連結されていて、ハンドル1を回転することによりゼンマイ2を巻いて蓄勢を行うことができる。
【0024】
3はゼンマイ2の出力軸2aに取り付けられた出力ギア2bに噛合したワンウエイギアであって、このワンウエイギア3の回転は発電用ギア4を経由して増速されて発電機5の回転軸5aに伝達される。6は充電池であって、前記発電機5で発電された電力はケーブル6aを経由して充電池6に送られてここに充電される。
【0025】
この充電池6に充電された電力は、無線受信アンテナ7から入力された信号により制御される受信機8からケーブル12cを経由して前後進切替え用サーボ12及びケーブル13aを経由してステアリングサーボ13へ供給される。
【0026】
11は自動車100の後輪であって、この後輪11は、前記前後進切替え用サーボ12で駆動されるレバー12aと円盤12bにより前進と後退が前後進切替用ギア9により切り替えられて車軸10のギア10aにより駆動される。
【0027】
図3において15は遠隔操縦機であって、この操縦機15で自動車100の運転信号をアンテナ16からアンテナ7を介して前記受信機8へ送信し、自動車の運転を遠隔操縦することができる。
【0028】
図3において、17はハンドル1の摘み1b部分に取り付けられた前記充電池6を電源とするLED発光体であって(請求項2)、自動車100が走行するときにこのLED17が点滅するようにすると、例えばパトカー、救急車、消防車等の緊急車輌おもちゃとして質感を高めることができる。このとき、同時にピーポーといった緊急信号音を発するようにしても良い。
【符号の説明】
【0029】
1 ゼンマイ巻上げハンドル
2 ゼンマイ
3 ワンウエイギア
4 発電機用ギア
5 発電機
6 充電式電池
7 受信アンテナ
8 受信機
9 前後進切替えギア
10 車輌
11 車輪
12 前後進切替え用サーボ
13 ステアリングサーボ
15 遠隔操縦機
16 アンテナ
17 LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手動巻きにより蓄勢されるゼンマイが搭載されていて、このゼンマイが解放されるときの蓄力により発電機を回転させて発電し、かつこの発電した電力を充電した充電機からの出力により回転するモータで車輪を前進又は後退方向に回転させることができると共にこの車輪の回転方向を切り替えるための走行制御手段を有し、且つこの走行制御手段を無線信号を受けて制御する運転制御回路を搭載してなるゼンマイ動力式無線操縦玩具。
【請求項2】
前記ゼンマイに蓄勢を行うためのゼンマイ巻き上げ用ハンドルを自動車玩具の屋根部分に下向きに取り付けると共にこのハンドルの摘みの部分にLEDを取り付け、このLEDに前記電源からの電力を自動車玩具が走行しているときにのみ供給して、緊急車輌の点滅灯のイメージでLEDが点滅するように構成してなる請求項1に記載のゼンマイ動力式無線操縦玩具。
【請求項3】
向きを制御できる前輪を取り付けると共に駆動用のサーボにより前進又は後退自在の後輪を取り付けた車体と、
前記車体の屋根上に露出して取り付けたハンドルを回転させることにより蓄勢自在のゼンマイと、
前記ゼンマイが解放されるときの蓄力により回転されるギア群を経由して駆動軸が高速回転して起電力を発生する発電機と、
前記発電機で発生した電力を充電するための充電式電池と、
前記充電式電池を電源として前記後輪の駆動を制御する前後進切替サーボと、
前記充電式電池を電源として前輪の向きを制御するステアリングサーボと、
前記前後進切替サーボ及びステアリングサーボを制御する無線通信制御器と、
からなるゼンマイ動力式無線操縦玩具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−239806(P2012−239806A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115842(P2011−115842)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(509267719)株式会社NIKKO (2)
【Fターム(参考)】