説明

ゼンマイ旋回走行玩具

【課題】本発明は、8の字等に旋回するゼンマイ旋回走行玩具の提供にある。
【解決手段】
左右に揺動して傾斜自在に車殻を走行台車に支承して具える走行車両からなるゼンマイ旋回走行玩具において、前記走行台車には、方向舵前車輪と後車輪が前後に離隔して配備され、前記後車輪は走行台車上に配備されるゼンマイ原動機構の解弾力により回転して前進走行を行え、前記走行台車には、前記ゼンマイ原動機構の解弾力により回転するアクション出力回転用歯車に連係して左右に回動する傾斜作動杆がゼンマイ原動枠と一体の支軸に支承されて配備され、該傾斜作動杆の後端部は車殻傾斜用作動部が形成され、前記傾斜作動杆の前端部は方向舵前車輪連繋軸連繋部が形成され、前記方向舵前車輪を軸支する旋回支枠と一体に形成された連繋軸と係合し、前記方向舵前車輪を前記傾斜作動杆により車殻の傾動方向へ回動して走行するゼンマイ旋回走行玩具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、8の字等に旋回するゼンマイ旋回走行玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、動作切換機構Bを介して切換用小歯車62が係脱自在に噛合する中間歯車110を下部基盤2と上部基盤3との間に軸支し、この中間歯車110に噛合する被動歯車112をカム用軸111に固着すると共に、このカム用軸111下端部分に偏心カム113を固着し、この偏心カム113を介して前後方向に摺動せしめられる摺動片115を下部基盤2に取付け、摺動片115前端部分に係止されている揺動レバー117を介して蛇行用車輪120が左右に揺動して走行玩具Tが蛇行するように構成されている、蛇行走行機構Eが提案されている。
【0003】
特許文献2には、前輪2を一個の床面転接ボール2′で構成したこと、車体搭載の駆動装置7に後輪回転軸6と連動して回転駆動されるカム回転軸8を設け、このカム回転軸8の両端部に左右一対の偏心カム15,16を、その回転位相を同一にしたり適宜の角度に変更したりすることができるように取付けたこと、前記車体1の駆動装置7を挟む両側位置に上下に揺動可能な左右一対の回動レバー17,18を配設し、この各レバーを遊端内側突片17b,18bが前記カム下に接触するようにスプリングで上方に回動付勢したこと、前記回動レバー17,18の遊端部外側突片17c、18cの下側に車体左右穴を介して下方に突出する床面接離突起23,24を突設し、この突起の床面押圧反力によって突起接触側の後輪を車輪走行床面GLから浮上させるように構成したことを特徴とする、後輪駆動の走行車玩具が提案されている。
【0004】
特許文献3には、自動車玩具として、
(イ)互いに前後に連結された少なくとも2個の部材1、2を具えていること、
(ロ)前記2個の部材1、2は連結軸5を介して水平方向に回動可能に連結されていること、
(ハ)上記2個の部材のうち一方の部材1には、車輪3の回転に応じて上記2個の部材1、2が相対的に左右に回動する蛇行機構が設けられ、他方の部材2には走行駆動源が設けられていること、
が提案されている。
【0005】
【特許文献1】実公平4−8956号公報
【特許文献2】実開平5−58197号公報
【特許文献3】実用新案登録第3075814号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1の蛇行走行機構Eは、電動モータにより駆動される車両が衝突により走行方向の前後進切替機構Aに連繋して動作切替機構Bにより作動する、目玉体回転機構C、上下振動走行機構D及び発音機構Fと連繋して行う付随的作動機構であり、ゼンマイ玩具としての独立的、完結的な趣向に富む作動ではない。
【0007】
前記特許文献2は、ゼンマイ走行車玩具であるが、前輪が一個の床面転接ボール2′で構成されるため、直進走行でも安定した直線走行はできない。また、左右の後車輪を浮上させる構造であるため、床面接離突起23、24を中心とする接地点旋回となるため、旋回半径は小さく急角度の蛇行走行ができるが、接地点が滑るため左右が同一の安定した旋回半径にならない。
【0008】
前記特許文献3のゼンマイ走行玩具の蛇行装置は、車体の前方部と後方部とか連結軸を介して水平方向に回動可能に連結されるものであるから、急角度に旋回できない構造的欠点がある。また、垂直連結軸を中心に旋回するので車体を旋回半径の中心側に傾斜させることができない。
【0009】
本発明のゼンマイ旋回走行玩具は、車両を旋回円内側に傾斜させ、臨場感あふれる走行作動と、旋回走行抵抗を極力減少させ、円滑な走行により作動が一定時間に限定されるゼンマイによる走行距離の可及的延長を図り、また、8の字等の旋回走行による作動の完結性と、テーブル上等の狭い面積の走行面で楽しめることを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
左右に揺動して傾斜自在に車殻を走行台車に支承して具えるゼンマイ旋回走行玩具において、前記走行台車には、方向舵前車輪と後車輪が前後に離隔して配備され、前記後車輪は走行台車上に配備されるゼンマイ原動機構の解弾力により回転して前進走行を行え、前記走行台車には、前記ゼンマイ原動機構の解弾力により回転するアクション出力回転用歯車に連係して左右に回動する傾斜作動杆がゼンマイ原動枠と一体の支軸に支承されて配備され、該傾斜作動杆は前記支軸を中心に前後に延びる杆状体に形成され、該傾斜作動杆の後端部は車殻傾斜用作動部が形成され、該車殻傾斜用作動部の左側面は前記車殻の後部車室内の左傾斜用当接柱と接触して車殻を左側に倒して傾斜させる左側作用面に、該車殻傾斜用作動部の右側面は前記車殻の後部車室内の右傾斜用当接柱と接触して車殻を右側に倒して傾斜させる右側作用面に夫々形成され、前記傾斜作動杆の前端部は方向舵前車輪連繋軸連繋部が形成され、前記方向舵前車輪を軸支する旋回支枠と一体に形成された連繋軸と係合し、前記方向舵前車輪を前記傾斜作動杆により車殻の傾動方向へ回動して走行するゼンマイ旋回走行玩具にある。
【0011】
前記走行台車は、前端より前方へ突出する前部センター軸と後端より後方へ突出する後部センター軸を具え、前記車殻は、前記走行台車の前部センター軸を軸受する前端側軸受部を具える前端側軸受支台が車室内の前側に、前記走行台車の後部センター軸を軸受する後端側軸受部を具える後端側軸受支台が車室内の後側に夫々配備され、前記走行台車の前部センター軸と後部センター軸に前記車殻の車室の前側と車室の後側が夫々支承されて全体が左右に傾斜自在に支架されてなるものとしてもよいものである。
【0012】
前記走行台車は台車本体から構成され、該台車本体は、前半部に鉛直方向に軸受筒が形成され、該軸受筒の上縁は、前記方向舵前車輪を軸支する旋回支枠の回転座に下面から連接して支える支承面に形成され、軸受筒内に前記旋回支枠の支脚部に軸支される前記方向舵前車輪が旋回自在に収容されると共に該方向舵前車輪の下端接面部が軸受筒より下方に突出されてなるものとしてもよいものである。
【0013】
前記旋回支枠は、回転座の上面中心に前記枢軸が、回転座の上面後部に連繋軸が夫々上方へ向けて突設されてなるものとしてもよいものである。
【0014】
前記傾斜作動杆は、傾斜作動杆本体とスライド駒と引張りバネより設けられ、前記傾斜作動杆本体は、前後に延びて杆状に形成され、その中央部が軸支部に形成され、該軸支部に前記支軸を遊嵌する軸孔が上下に貫通して具え、後端部の車殻傾斜用作動部に左側作用面と右側作用面が夫々形成され、前端部の下面には方向舵前車輪連繋軸連繋部が形成されて配備されてなるものとしてもよいものである。
【0015】
前記傾斜作動杆本体の軸支部における軸孔より前方側の下面とその下方に離隔して左右に対応して形成される左スライド用支承腕と右スライド用支承腕によりスライド用案内部が設けられ、前記スライド駒がそのスライド用案内部に前方側から嵌合されてスライド自在に配備され、前記スライド駒の後縁の左右端側の所要巾が前記ゼンマイ原動機構と連係して回転するアクション出力回転用歯車に連係して回転するカム軸の左カムと右カムと連接する左当接縁と右当接縁に形成され、前記傾斜作動杆本体の前半部の上面を開口縁とした凹陥部の底面に開孔される開孔に、前記スライド駒の前端に上方へ突設された可動バネ掛けを嵌入して凹陥部内に前後に移動自在に配備すると共に、前記可動バネ掛けに前記引張りバネの一端を掛け、該引張りバネの他端を前記傾斜作動杆本体の軸支部側に設けられた固定バネ掛けに掛け、該引張りバネの作用によりスライド駒を軸支部側に引張り、軸支部の前側ストッパー面にスライド駒の後縁を衝突させ、該衝突位置にスライド駒を弾止してなるものとしてもよいものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、前記のように構成されるから、車両を旋回円内側に傾斜させ、臨場感があふれる走行作動と、旋回走行抵抗を極力減少させ、円滑な走行により作動が一定時間に限定されるゼンマイ原動機による走行距離の可及的延長を図る8の字旋回走行玩具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明のゼンマイ旋回走行玩具の車殻を縦断面して内部機構を示す一方からの側面図である。
【図2】図2は、同じく、内部機構を示す他方からの側面図である。
【図3】図3は、同じく、車殻上半を外して内部機構を示す平面図である。
【図4】図4は、本発明のゼンマイ旋回走行玩具の外観を示す底面図である。
【図5】図5は、図1のA−A線に沿う拡大断面図である。
【図6】図6は、図1のB−B線に沿う拡大断面図である。
【図7】図7は、ゼンマイ原動機構のゼンマイ巻回機構とゼンマイの解弾による駆動車軸と旋回用のカムへの回転伝達機構を示す側面図である。
【図8】図8は、旋回用のカム単体の斜視図である。
【図9】図9は、走行台車単体の平面図である。
【図10】図10は、図9のC−C線に沿う断面図である。
【図11】図11は、方向舵前車輪単体の側面図である。
【図12】図12は、ゼンマイ原動機枠の押えと方向舵前車輪の枢軸を回転自在に支持する原動機取付枠単体の斜視図である。
【図13】図13は、傾斜作動杆を傾斜作動杆本体とスライド駒と引張りバネに分解した分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
左右に揺動して傾斜自在に車殻3を走行台車2に支承して具えるゼンマイ旋回走行玩具1において、前記走行台車2には、方向舵前車輪7と後車輪9、9が前後に離隔して配備され、前記後車輪9、9は走行台車2上に配備されるゼンマイ原動機構10の解弾力により回転して前進走行を行え、前記走行台車2には、前記ゼンマイ原動機構10の解弾力により回転するアクション出力回転用歯車21に連係して左右に回動する傾斜作動杆45がゼンマイ原動機枠11と一体の支軸44に支承されて配備され、該傾斜作動杆45は前記支軸44を中心に前後に延びる杆状体に形成され、該傾斜作動杆45の後端部は車殻傾斜用作動部47が形成され、該車殻傾斜用作動部47の左側面は前記車殻3の後部車室内の左傾斜用当接柱58aと接触して車殻3を左側に倒して傾斜させる左側作用面に、該車殻傾斜用作動部47の右側面は前記車殻の後部車室内の右傾斜用当接柱58bと接触して車殻3を右側に倒して傾斜させる右側作用面に夫々形成され、前記傾斜作動杆45の前端部は方向舵前車輪連繋軸連繋部48が形成され、前記方向舵前車輪7を軸支する旋回支枠6と一体に形成された連繋軸36と係合し、前記方向舵前車輪7を前記傾斜作動杆45により車殻3の傾動方向へ回動して走行するゼンマイ旋回走行玩具1。
【実施例】
【0019】
以下、本発明の8の字等に旋回するゼンマイ旋回走行玩具を実施例として示す図面により説明すると、実施例のゼンマイ旋回走行玩具1は、前端より前方へ突出する前部センター軸2aと後端より後方へ突出する後部センター軸2bを具える走行台車2と、その前部センター軸2aを軸受する前端側軸受部3a1を具える前端側軸受支台3aを車室内の前側に、後部センター軸2bを軸受する後端側軸受部3b1を具える後端側軸受支台3bを車室内の後側に配備し、前記前部センター軸2aと後部センター軸2bに車室の前側と車室の後側が夫々支承されて全体が左右に傾斜自在に走行台車2に支架される車殻3から設けられる。
【0020】
前記走行台車2の前半部には、縦向き軸受孔4に枢軸5が嵌挿されて旋回支枠6が旋回自在に支承され、該旋回支枠6の支脚部6bに軸支されて前記方向舵前車輪7が配備される。また、前記走行台車2の後半部には、駆動車軸8が軸受けされて該駆動車軸8の両端に後車輪9、9が固着されて配備される。
【0021】
前記走行台車2は、その後半部にゼンマイ原動機構10が配備される。該ゼンマイ原動機構10のゼンマイ原動機枠11には、前記駆動車軸8が回転自在に支承され、駆動車軸8上に固着したピニオン12と常時噛み合う大径歯車部13aと小径歯車部13bとからなる中間歯車13がゼンマイ原動機枠11に配備され、中間歯車13の大径歯車部13aは、同じくゼンマイ原動機枠11の長孔14に軸部の両端が支承され、中間歯車13の回転方向に追従して移動する巻締クラッチ歯車15を介してゼンマイ原動機枠11に配備されるゼンマイ軸16上の巻締歯車17と噛み合うように設けられている。
【0022】
前記ゼンマイ軸16上には、走行用動力歯車18が一体に設けられ、ゼンマイ原動機枠11には長孔19に軸部の両端が支承され、前記走行用動力歯車18に常時噛み合う小径歯車部20bを具え、走行用動力歯車18の回転方向に追従して移動すると共に、同軸上に大径歯車部20aが一体に設けられる走行用動力用クラッチ歯車20が配備されてゼンマイ解弾回転時に前記大径歯車部20aが前記中間歯車13の小径歯車部13bに噛み合うように設けられ、走行用動力歯車18の回転が前記駆動車軸8に伝達されるように設けられている。
【0023】
前記ゼンマイ軸16上には、アクション出力回転用歯車21が一体に設けられ、該アクション出力回転用歯車21は、前記ゼンマイ軸16に軸孔22を遊嵌してその軸回りに回動自在に支承される回動支板23に軸支される中継歯車24が噛み合わせられ、アクション出力回転用歯車21の回転方向に回動支板23と共に回動し、ゼンマイ16aの巻締め時には、中継歯車24はカム軸25上の従動歯車26から離れて噛み合いを解消し、反対にゼンマイ16aの解弾時に中継歯車24はカム軸25上の従動歯車26に噛み合い、アクション出力回転が伝達できるように設けられる。前記カム軸25はゼンマイ原動機枠11の上面と走行台車2上の原動機取付枠27に形成された凹陥軸孔部27aより構成された軸受孔28に回転自在に支承される。
【0024】
前記中間歯車13の大径歯車部13aには、ゼンマイ原動機枠11に設けた長孔29に軸部の両端が支承されて調速クラッチ歯車30の小径歯車部30bが常時噛み合いかつその回転方向に全体が移動自在に配備され、該調速クラッチ歯車30の大径歯車部30aは、ゼンマイの解弾時に、中間歯車13の回転を、ゼンマイ原動機枠11に配備される増速歯車31の小径歯車部31bに噛み合って回転を伝達するように設けられ、増速歯車31には前記小径歯車部31bと一体に大径歯車部31aが設けられ、該大径歯車部31aは、ゼンマイ原動機枠11に配備される星形車32の小径歯車部32aに常時噛み合うように設けられ、該星形車32は、ゼンマイ原動機枠11に揺動自在に配備されたアンカー33のパレット33a、33bと常時連係されて配備され、アンカー33の作動で走行用動力歯車18の回転が調速されるように構成される。
【0025】
前記走行台車2は、実施例では、図9、10に示すような台車本体34から構成され、該台車本体34は、前半部34aに鉛直方向に軸受筒35が形成され、該軸受筒35の上縁35aは、前記方向舵前車輪7を軸支する旋回支枠6の回転座6aに下面から連接して支える支承面に形成され、軸受筒35内に前記方向舵前車輪7が旋回自在に収容されると共に該方向舵前車輪7の下端接面部7aが軸受筒35より下方に突出される。前記旋回支枠6は、回転座6aの上面中心に前記枢軸5が、回転座6aの上面後部に連繋軸36が夫々突設される。
【0026】
前記台車本体34の後半部34bは、床面を載置面に形成して前記ゼンマイ原動機構10を構成するゼンマイ原動機枠11を載置し、台車本体34の後半部の後端に形成する支承壁37の基部の内面に突出する係止縁37aにゼンマイ原動機枠11の後面下縁の接続用突縁11aが係合されてゼンマイ原動機枠11の後部側が固定される。前記支承壁37の上縁に、互いに先端部を対向する係止爪38a、38bが形成される。
【0027】
前記原動機取付枠27は、後端に前記係止爪38a、38bと係合する係合部39が形成され、前部に前記旋回支枠6上の枢軸5を嵌挿する縦向きの軸受孔4と、台車本体34の前部上面の左右に形成された左筒状取付台40a、右筒状取付台40bにネジ41により固着される左取付孔42aと右取付孔42bを具えた左取付部43aと右取付部43bが形成される。
前記原動機取付枠27は、上面に支軸44が突設されて傾斜作動杆45が左右に旋回自在に支承される。
【0028】
前記傾斜作動杆45は、傾斜作動杆本体45aとスライド駒45bと傾斜作動杆本体45aの定位置にスライド駒45bを弾止する引張りバネ45cから設けられる。
【0029】
前記傾斜作動杆本体45aは、前後に延びて杆状に形成され、その中央部が軸支部46に形成され、該軸支部46に前記支軸44を遊嵌する軸孔46aが上下に貫通して具え、後端部には車殻傾斜用作動部47が、前部の下面には方向舵前車輪連繋軸連繋部48が夫々形成されて具える。
【0030】
前記傾斜作動杆本体45aの軸支部46における軸孔46aより前方側の下面49とその下方に離隔して左右に対応して形成される左スライド用支承腕50aと右スライド用支承腕50bによりスライド用案内部51が設けられ、前記スライド駒45bがそのスライド用案内部51に前方側から嵌合されてスライド自在に配備される。
【0031】
前記スライド駒45bは、その後縁の左右端側の所要巾が前記カム軸25の両端に180度齟齬して形成されるエキセン型の左カム52aと右カム52bと連接する左当接縁53aと右当接縁53bに形成される。
【0032】
前記傾斜作動杆本体45aの前半部の上面に開孔される開孔54に前記スライド駒45bの前端に上方へ突設された可動バネ掛け55を嵌入して前後に移動自在に配備すると共に、前記可動バネ掛け55に前記引張りバネ45cの一端を掛け、該引張りバネ45cの他端を前記傾斜作動杆本体45aの軸支部46側に設けられた固定バネ掛け56に掛け、該引張りバネ45cの作用によりスライド駒45bを軸支部46側に引張り、軸支部46の前側ストッパー面57にスライド駒45bの後縁45b1を衝突させ、該衝突位置にスライド駒45bを弾止している。そこで、スライド駒45bに掛かる前記カム軸25の左カム52aと右カム52bの作動圧力を一定圧に調整し、かつカム周面の形状を変えることなく作用時間を延長し、傾斜作動杆45の左又は右への回動時間を長くし、8の字旋回が行えるようにしている。
【0033】
走行台車2に揺動自在に支架された車殻3の車室後部の左内壁面側と右内壁面側とに離隔して対応する左傾斜用当接柱58aと右傾斜用当接柱58bが前記後端側軸受支台3b上に配備される。該後端側軸受支台3bは、車殻3の車室後部の天井面から垂下設される左取付支柱台59aと右取付支柱台59bに嵌合する左凹陥取付部60aと右凹陥取付部60bが形成され、ネジ61により車殻3と一体に固着される。
【0034】
本発明の実施例のゼンマイ旋回走行玩具1は、前述のように構成されるから、ゼンマイ旋回走行玩具1を掴んで後進させると、後車輪9、9の後進回転で駆動車軸8を回転し、駆動車軸8上のピニオン12、中間歯車13、巻締クラッチ歯車15を介してゼンマイ軸16上の巻締歯車17を回転し、ゼンマイ16aを巻締める。
【0035】
次に、ゼンマイ旋回走行玩具1を釈放すると、ゼンマイ16aの解弾力でゼンマイ軸16は反対方向に回転し、ゼンマイ軸16上の走行用動力用歯車18は、常時噛み合う走行用動力用クラッチ歯車20を長孔19に沿って移動し、該走行用動力用クラッチ歯車20の大径歯車部20aが中間歯車13の小径歯車部13bに噛み合い中間歯車13を回転する。この中間歯車13の回転は前記巻締め回転方向とは反対になるので、前記巻締クラッチ歯車15を反対方向に回転し、長孔14に沿って移動し、前記巻締歯車17との噛み合いを解消して遊転する。中間歯車13の大径歯車部13aは、常時、小径歯車部30bを噛み合う調速クラッチ歯車30と関連するから、中間歯車13の回転方向が解弾方向の時には、長孔29に沿って移動し、調速クラッチ歯車30の大径歯車部30aが増速歯車31の小径間車部31bに噛み合い回転を伝達し、星形車32を介してアンカー33を揺動し走行用動力用歯車18の回転を調速する。この調速した回転が中間歯車13の大径歯車部13aからピニオン12を回転し、駆動車軸8を回転してゼンマイ動力によりゼンマイ旋回走行玩具1を前進させる。
【0036】
ゼンマイ16aの解弾作用で前記ゼンマイ軸16が回転すると、一体のアクション出力回転用歯車21が回転し、回動支板23上の中継歯車24が回転し、回動支板23は軸受けされるゼンマイ軸16を中心としてアクション出力回転用歯車21の回転方向に回転しようとするが、回動支板23は下縁が走行台車2の上面に接触して支承されているので定位置が確保され、回動支板23上の定位置で中継歯車24を回転し、従動歯車26を回転してカム軸25を回転する。
【0037】
前記カム軸25の両端に180度齟齬して形成されるエキセン型の左カム52aと右カム52bは回転し、傾斜作動杆45は、例えば、スライド駒45bの右当接縁53bに接面する右カム52bにより押し出され、支軸44を中心に、後部を右側、前部を左側に回動される。そこで、傾斜作動杆本体45aの後部の車殻傾斜用作動部47は、車殻3と一体の後端側軸受支台3b上の右傾斜用当接柱58bに接面して押し出し、走行台車2の前部センター軸2aと後部センター軸2bを中心に、車殻3を右側に傾斜させる。傾斜作動杆本体45aの前部の方向舵前車輪連繋軸連繋部48は、連繋する連繋軸36を、枢軸5を中心に右方向に回動し、走行台車2を右旋回に進行させてゼンマイ旋回走行玩具1を走行させる。
【0038】
前記左カム52aがスライド駒45bの左当接縁53aに接面して押し出すと、傾斜作動杆45は、支軸44を中心に、後部を左側、前部を右側に回動されるから、傾斜作動杆本体45aの後端部の車殻傾斜用作動部47は、車殻3と一体の後端側軸受支台3b上の左傾斜用当接柱58aに接面して押し出し、走行台車2の前部センター軸2aと後部センター軸2bを中心に、車殻3を左側に傾斜させる。傾斜作動杆本体45aの前部の方向舵前車輪連繋軸連繋部48は、左連接面48aを連接して連繋する連繋軸36を、枢軸5を中心に右方向に回動し、走行台車2を左旋回に進行させる。
【0039】
次に、カム軸25が回転して前記右カム52bがスライド駒45bの右当接縁53bに接面して押し出すと、傾斜作動杆45は、支軸44を中心に、後部を右側、前部を左側に回動させるから、傾斜作動杆本体45aの後端部の車殻傾斜用作動部47は、車殻3と一体の後端側軸受支台3b上の右傾斜用当接柱58bに接面して押し出し、走行台車2の前部センター軸2aと後部センター軸2bを中心に、車殻3を右側に傾斜させる。傾斜作動杆本体45aの前部の方向舵前車輪連繋軸連繋部48は、右連接面48bを連接して連繋する連繋軸36を、枢軸5を中心左方向に回動し、走行台車2を右旋回に進行させる。この左右の旋回走行により8の字走行をゼンマイ旋回走行玩具1にさせることができる。
よって、車殻3を夫々旋回円内側に傾斜させて8の字等の旋回走行を行えるのである。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明のゼンマイ旋回走行玩具は、以上のようになるから、車両を旋回円内側に傾斜させ、臨場感があふれる傾斜走行作動と、該傾斜走行作動により旋回走行抵抗を極力減少させ、作動が一定時間に限定されるゼンマイによる走行距離の可及的延長を図ることができ、また、旋回走行が8の字等になることによって作動の完結性と、テーブル上等の狭い面積の走行面で走行作動を楽しめるものである。
【符号の説明】
【0041】
1 ゼンマイ旋回走行玩具
2 走行台車
2a 前部センター軸
2b 後部センター軸
3 車殻
3a 前端側軸受支台
3a1 前端側軸受部
3b 後端側軸受支台
3b1 後端側軸受部
4 軸受孔
5 枢軸
6 旋回支枠
6a 回転座
6b 支脚部
7 方向舵前車輪
7a 下端接面部
8 駆動車軸
9 後車輪
10 ゼンマイ原動機構
11 ゼンマイ原動機枠
11a 接続用突縁
12 ピニオン
13 中間歯車
13a 大径歯車部
13b 小径歯車部
14 長孔
15 巻締クラッチ歯車
16 ゼンマイ軸
16a ゼンマイ
17 巻締歯車
18 走行用動力歯車
19 長孔
20 走行用動力用クラッチ歯車
20a 大径歯車部
20b 小径歯車部
21 アクション出力回転用歯車
22 軸孔
23 回動支板
24 中継歯車
25 カム軸
26 従動歯車
27 原動機取付枠
27a 凹陥軸孔部
28 軸受孔
29 長孔
30 調速クラッチ歯車
30a 大径歯車部
30b 小径歯車部
31 増速歯車
31a 大径歯車部
31b 小径歯車部
32 星形車
32a 小径歯車部
33 アンカー
33a パレット
33b パレット
34 台車本体
34a 前半部
34b 後半部
35 軸受筒
35a 上縁
36 連繋軸
37 支承壁
37a 係止縁
38a 係止爪
38b 係止爪
39 係合部
40a 左筒状取付台
40b 右筒状取付台
41 ネジ
42a 左取付孔
42b 右取付孔
43a 左取付部
43b 右取付部
44 支軸
45 傾斜作動杆
45a 傾斜作動杆本体
45b スライド駒
45b1 後縁
45c 引張りバネ
46 軸支部
46a 軸孔
47 車殻傾斜用作動部
48 方向舵前車輪連繋軸連繋部
48a 左連接面
48b 右連接面
49 下面
50a 左スライド用支承腕
50b 右スライド用支承腕
51 スライド用案内部
52a 左カム
52b 右カム
53a 左当接縁
53b 右当接縁
54 開孔
55 可動バネ掛け
56 固定バネ掛け
57 前側ストッパー面
58a 左傾斜用当接柱
58b 右傾斜用当接柱
59a 左取付支柱台
59b 右取付支柱台
60a 左凹陥取付部
60b 右凹陥取付部
61 ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に揺動して傾斜自在に車殻を走行台車に支承して具えるゼンマイ旋回走行玩具において、前記走行台車には、方向舵前車輪と後車輪が前後に離隔して配備され、前記後車輪は走行台車上に配備されるゼンマイ原動機構の解弾力により回転して前進走行を行え、前記走行台車には、前記ゼンマイ原動機構の解弾力により回転するアクション出力回転用歯車に連係して左右に回動する傾斜作動杆がゼンマイ原動枠と一体の支軸に支承されて配備され、該傾斜作動杆は前記支軸を中心に前後に延びる杆状体に形成され、該傾斜作動杆の後端部は車殻傾斜用作動部が形成され、該車殻傾斜用作動部の左側面は前記車殻の後部車室内の左傾斜用当接柱と接触して車殻を左側に倒して傾斜させる左側作用面に、該車殻傾斜用作動部の右側面は前記車殻の後部車室内の右傾斜用当接柱と接触して車殻を右側に倒して傾斜させる右側作用面に夫々形成され、前記傾斜作動杆の前端部は方向舵前車輪連繋軸連繋部が形成され、前記方向舵前車輪を軸支する旋回支枠と一体に形成された連繋軸と係合し、前記方向舵前車輪を前記傾斜作動杆により車殻の傾動方向へ回動して走行するゼンマイ旋回走行玩具。
【請求項2】
前記走行台車は、前端より前方へ突出する前部センター軸と後端より後方へ突出する後部センター軸を具え、前記車殻は、前記走行台車の前部センター軸を軸受する前端側軸受部を具える前端側軸受支台が車室内の前側に、前記走行台車の後部センター軸を軸受する後端側軸受部を具える後端側軸受支台が車室内の後側に夫々配備され、前記走行台車の前部センター軸と後部センター軸に前記車殻の車室の前側と車室の後側が夫々支承されて全体が左右に傾斜自在に支架されてなる請求項1のゼンマイ旋回走行玩具。
【請求項3】
前記走行台車は台車本体から構成され、該台車本体は、前半部に鉛直方向に軸受筒が形成され、該軸受筒の上縁は、前記方向舵前車輪を軸支する旋回支枠の回転座に下面から連接して支える支承面に形成され、軸受筒内に前記旋回支枠の支脚部に軸支される前記方向舵前車輪が旋回自在に収容されると共に該方向舵前車輪の下端接面部が軸受筒より下方に突出されてなる請求項1又は請求項2のゼンマイ旋回走行玩具。
【請求項4】
前記旋回支枠は、回転座の上面中心に前記枢軸が、回転座の上面後部に連繋軸が夫々上方へ向けて突設されてなる請求項3のゼンマイ旋回走行玩具。
【請求項5】
前記傾斜作動杆は、傾斜作動杆本体とスライド駒と引張りバネより設けられ、前記傾斜作動杆本体は、前後に延びて杆状に形成され、その中央部が軸支部に形成され、該軸支部に前記支軸を遊嵌する軸孔が上下に貫通して具え、後端部の車殻傾斜用作動部に左側作用面と右側作用面が夫々形成され、前端部の下面には方向舵前車輪連繋軸連繋部が形成されて配備されてなる請求項1のゼンマイ旋回走行玩具。
【請求項6】
前記傾斜作動杆本体の軸支部における軸孔より前方側の下面とその下方に離隔して左右に対応して形成される左スライド用支承腕と右スライド用支承腕によりスライド用案内部が設けられ、前記スライド駒がそのスライド用案内部に前方側から嵌合されてスライド自在に配備され、前記スライド駒の後縁の左右端側の所要巾が前記ゼンマイ原動機構と連係して回転するアクション出力回転用歯車に連係して回転するカム軸の左カムと右カムと連接する左当接縁と右当接縁に形成され、前記傾斜作動杆本体の前半部の上面に開口縁とした凹陥部の底面に開孔される開孔に、前記スライド駒の前端に上方へ突設された可動バネ掛けを嵌入して凹陥部内に前後に移動自在に配備すると共に、前記可動バネ掛けに前記引張りバネの一端を掛け、該引張りバネの他端を前記傾斜作動杆本体の軸支部側に設けられた固定バネ掛けに掛け、該引張りバネの作用によりスライド駒を軸支部側に引張り、軸支部の前側ストッパー面にスライド駒の後縁を衝突させ、該衝突位置にスライド駒を弾止してなる請求項5のゼンマイ旋回走行玩具走行。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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