ソイルセメントコラムの構築、撤去方法
【課題】簡単に構築でき、撤去できるソイルセメントコラムの構築、撤去方法を提供する。
【解決手段】中空ロッド21の周囲に攪拌翼22を取り付けた攪拌ロッド2を使用し、固化材3を吐出しながら攪拌ロッド2を地中に回転させて貫入する。中空ロッド21の周囲に土砂と固化材3を攪拌したソイルセメントコラム1を形成する。その後に中空ロッド21の内部に、支持兼ガイド管4として端部を開放した鋼管4を挿入する。支持兼ガイド管4を地中に残して攪拌ロッド2を回転しながら引き上げて杭を構築する。さらに前記の支持兼ガイド管4をガイドとして、中空オーガー5を嵌合してソイルセメントコラム1内に回転させて貫入し、ソイルセメントコラム1の先端まで粉砕する。中空オーガー5の内部から支持兼ガイド管4を引き上げ、中空オーガー5を通して埋め戻し土6を充填しながら中空オーガー5を引き上げる撤去方法である。
【解決手段】中空ロッド21の周囲に攪拌翼22を取り付けた攪拌ロッド2を使用し、固化材3を吐出しながら攪拌ロッド2を地中に回転させて貫入する。中空ロッド21の周囲に土砂と固化材3を攪拌したソイルセメントコラム1を形成する。その後に中空ロッド21の内部に、支持兼ガイド管4として端部を開放した鋼管4を挿入する。支持兼ガイド管4を地中に残して攪拌ロッド2を回転しながら引き上げて杭を構築する。さらに前記の支持兼ガイド管4をガイドとして、中空オーガー5を嵌合してソイルセメントコラム1内に回転させて貫入し、ソイルセメントコラム1の先端まで粉砕する。中空オーガー5の内部から支持兼ガイド管4を引き上げ、中空オーガー5を通して埋め戻し土6を充填しながら中空オーガー5を引き上げる撤去方法である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソイルセメントコラムがその使命を終えた後に簡単で確実に解体することができるソイルセメントコラムの構築方法と撤去方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
構造物を支持するソイルセメントコラムは、土と固化材の混合体のみで円筒状に構築するタイプと、円筒状の混合体の内部に鋼管を埋設する合成コラムが知られている。
いずれのタイプであっても、コラムがその使命を終えた場合に解体、撤去する必要に迫られることがあるが、その場合には次のような工法が採用されている。
<1> 地中のコンクリート、岩石、その他の硬質な障害物を破砕できる特殊な切削ビットを先端に取り付けたオーガーを回転貫入することによって、障害物を強制的に破壊する方法。
<2> ソイルセメントコラムの外径より大きい内径を備えたケーシングを圧入して周辺地盤の崩壊を防ぎながらコラムをケーシング内で所定の大きさに解体して撤去し、撤去後にケーシング内に土砂を埋め戻し、最後のケーシングを引き抜く方法。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−267034号公報
【特許文献2】特開2009−2056号公報
【特許文献3】特開2010−65405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来のソイルセメントコラムの撤去方法では、既設のソイルセメントコラム自体は撤去を目的として構築したものではないから、大規模な装置を使用して強力に破壊してゆくという不経済な方法であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記のような課題を解決するために本発明のソイルセメントコラムの構築方法は、中空ロッドの周囲に攪拌翼を取り付けた攪拌ロッドを使用し、固化材を吐出しながら攪拌ロッドを地中に回転させて貫入し、中空ロッドの周囲に、土砂と固化材を攪拌したソイルセメントコラムを形成し、その後に中空ロッドの内部に、支持兼ガイド管として端部を開放した鋼管を挿入し、支持兼ガイド管を地中に残して攪拌ロッドを回転しながら引き上げて構築することを特徴としたものである。
さらに本発明の杭の撤去方法は、前記の工程で構築したソイルセメントコラムにおいて、切削ビット付きの中空オーガーを使用し、前記の支持兼ガイド管をガイドとして、その外周に中空オーガーを嵌合して、ソイルセメントコラム内に回転させて貫入し、ソイルセメントコラムの先端まで粉砕したら、中空オーガーの内部から支持兼ガイド管を引き上げ、中空オーガーを通して埋め戻し土を充填しながら中空オーガーを引き上げて、ソイルセメントコラムを埋め戻し土に置き換えることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明のソイルセメントコラムの構築、撤去方法は以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
<1> 地中に設置した支持兼ガイド管をガイドとして中空オーガーを貫入して撤去するから、中空オーガーが水平方向に逃げることがなく、正確に支持兼ガイド管の先端の深さまでソイルセメントコラムを切削して埋め戻し土と置き換えることができる。
<2> ソイルセメントコラムの中心に位置している支持兼ガイド管をガイド部材として切削ビット付き中空オーガーを回転貫入して撤去する方法であるために、ソイルセメントコラムを確実に破壊することができる。
<3> ソイルセメントコラムの撤去の際には、中空オーガーを引抜く際に、破砕したソイルセメントコラムの破砕片を地上に排出しながら埋め戻し土で充填するので、地盤を緩めることがない。
<4> ソイルセメントコラムは、中心に支持兼ガイド管が位置し、その内部にセメントスラリーなどの固化材が充填してあるから、硬化後の固化材に高い圧縮強度を期待できるので、鋼管である支持兼ガイド管と内部固化材との相乗効果によって高い支持補助部材として機能させることができる。
<5> 上記のように高い支持性能を期待できるから、支持兼ガイド管の肉厚を薄くすることができ、多数本を打設する場合にはきわめて経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明のソイルセメントコラムの実施例の一部断面図。
【図2】ソイルセメントコラムの構築順序の説明図。
【図3】ソイルセメントコラムの構築順序の説明図。
【図4】ソイルセメントコラムの構築順序の説明図。
【図5】ソイルセメントコラムの構築順序の説明図。
【図6】ソイルセメントコラムの構築順序の説明図。
【図7】ソイルセメントコラムの構築順序の説明図。
【図8】完成したソイルセメントコラムの説明図。
【図9】ソイルセメントコラムの撤去順序の説明図。
【図10】ソイルセメントコラムの撤去順序の説明図。
【図11】ソイルセメントコラムの撤去順序の説明図。
【図12】ソイルセメントコラムの撤去順序の説明図。
【図13】ソイルセメントコラムの撤去順序の説明図。
【図14】撤去完了状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図面を参照にしながら本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【実施例】
【0009】
<1>ソイルセメントコラムの構築方法。
まず本発明のソイルセメントコラムを構築する方法について説明する。
【0010】
<2>攪拌ロッド。(図2)
本発明のソイルセメントコラム1の構築方法では、中空ロッド21の周囲に攪拌翼22を取り付けた攪拌ロッド2を使用する。
さらに詳細に説明すれば、筒状の中空ロッド21の先端には、中空ロッド21の中心軸と直交する方向に、一定長さの腕23を突設し、その腕23に複数のビット24を固定してある。
前記したように筒状の中空ロッド21の周囲には、中空ロッド21の中心軸と直交する方向に、一定長さの攪拌翼22を突設してあるから、攪拌翼22の先端の描く軌跡が、ソイルセメントコラム1の外径となる。
中空ロッド21の内部は貫通しており、上端からセメントスラリーのような固化材3を供給すれば、中空ロッド21の下端から吐出することができる。
中空ロッド21の内径は、後述する支持兼ガイド管4を内包できる寸法に構成する。
中空ロッド21の下端には、支持兼ガイド管4に押圧力を付与することで分離可能な先端ビット25を取り付け、この先端ビット25に吐出口を開口して、固化材3の吐出が可能であるように構成する。
中空ロッド21の周辺にも吐出口を開口することもできる。
【0011】
<3>攪拌ロッドの貫入。(図3)
上記した攪拌ロッド2を地表面に鉛直に設置する。
そして攪拌ロッド2の上端から固化材3を注入しつつ、回転を与える。
こうして先端から固化材3を吐出しながら攪拌ロッド2を地中に回転させて攪拌翼22の先端の描く軌跡の範囲内に土砂と固化材3を攪拌した攪拌域11を形成しながら貫入して行く。
【0012】
<4>攪拌域の形成。(図4)
攪拌ロッド2の回転によって攪拌翼22が中空ロッド21の周囲の土砂と、先端や周囲から吐出した固化材3を攪拌する。
このような攪拌によって、土砂と固化材3を攪拌できるから、中空ロッド21の周囲には、攪拌翼22の先端の軌跡を外径とした円柱状の攪拌域11を形成することができる。
【0013】
<5>鋼管の挿入。(図5)
攪拌ロッド2の中心の中空ロッド21の内部にも固化材3が充填されている。
そこで攪拌ロッド2が計画深さまで到達したら回転を停止し、中空ロッド21の内部に鋼管4を挿入する。
この鋼管4が、支持兼ガイド管4としての機能を果たすものである。
中空ロッド21の内部の固化材3はまだ固化していないので、支持兼ガイド管4としての鋼管(支持兼ガイド管)4を容易に挿入することができる。
支持兼ガイド管4は、その端部を開口した管体なので、支持兼ガイド管4は挿入にしたがってその内部にも固化材3が充填される。
【0014】
<6>攪拌ロッドの引き上げ。
支持兼ガイド管4の先端が中空ロッド21の先端の位置に達するまで、中空ロッド21の内部に挿入する。(図6)
挿入が完了したら、その支持兼ガイド管4を地中に残して攪拌ロッド2を引き上げる。(図7)
その際に中空ロッド21の先端の蓋は地中に残しておく。
攪拌ロッド2の引き上げに際しては、攪拌ロッド2を回転しながら引き上げて行くので周囲の土砂はさらに固化材3との攪拌が促進されて均一で良質な攪拌域11を構築することができる。
このように支持兼ガイド管4の周囲の土砂が攪拌されるので、支持兼ガイド管4の外周に付着していた固化材3の膜は破砕されて周囲のソイルセメントコラム1内に分散してゆく。
こうして、中心の鋼管(支持兼ガイド管)4の内部に高強度の固化材3が充填してあり、その周囲には円筒状の攪拌域11を備えたソイルセメントコラム1が完成する。(図1、8)
【0015】
<7>ソイルセメントコラムの撤去方法。
次に上記の工程で構築したソイルセメントコラム1の撤去方法について説明する。
【0016】
<8>中空オーガー(図9)。
杭の撤去に際しては、ソイルセメントコラム1を破砕して地上に押し出して排除する必要がある。
そのために中心の中空筒51の外周に螺旋翼52を取り付けた中空オーガー5を使用する。
この中空オーガー5の先端にはソイルセメントコラム1を切削するための切削ビット53を設けてある。
中空オーガー5の先端の切削ビット53は、中空筒51の中心軸と直交する方向に突出させた腕に掘削刃を固定したものである。
この腕の先端の回転軌跡が、構築したソイルセメントコラム1の外径にほぼ等しい。
【0017】
<9>支持兼ガイド管の嵌合。(図9)
前記の工程で構築したソイルセメントコラム1の支持兼ガイド管4の真上の、中空オーガー5の中心の中空筒51を嵌合する。
中空オーガー5の中空筒51の内径は、支持兼ガイド管4の外径よりも多少大きい寸法に構成してあるので、中空筒51を支持兼ガイド管4の外周に嵌合することができる。
【0018】
<10>ソイルセメントコラムの粉砕(図10)。
支持兼ガイド管4の外周に中空オーガー5を嵌合して回転を与えると、中空オーガー5は中心の支持兼ガイド管4をガイドとして正確に地中に侵入することになる。
一般に中空オーガー5は切削中に、地盤の軟弱な方へ移動しやすく、正確に鉛直性を維持することが困難である。
しかし本願発明の工法では中心に支持兼ガイド管4が位置しており、その支持兼ガイド管4をガイドとして貫入して行くので正確な鉛直性を確保することが容易である。
こうして、中空オーガー5を、ソイルセメントコラム1内に回転させて貫入し、先端の切削ビット53でソイルセメントコラム1を粉砕してその先端まで破壊してゆく。(図11)
【0019】
<11>支持兼ガイド管の引き上げ。(図12)
中空オーガー5がソイルセメントコラム1の先端まで切削したら、中空オーガー5の回転を停止する。
そして中空オーガー5の中心の中空筒51内に取り込んだ支持兼ガイド管4を地上に引き上げて抜き取る。
その結果、中空オーガー5の中空筒51の内部は空洞となる。
【0020】
<12>埋め戻し土の充填。(図13)
空洞になった中空筒51の内部に、地上から埋め戻し土6を投入する。
そして中空オーガー5に引抜き方向の回転とは逆の回転を与えつつ引き上げてゆく。
この中空オーガー5の引き上げによって螺旋翼52の周囲にある、破壊されたソイルセメントコラム1の粒子は地上に押し出されて回収できる。
同時に中空筒51を通して供給した埋め戻し土6は、その先端からソイルセメントコラム1と置き換わって充填が行われる。
このように、地上に排出するソイルセメントコラム1の量に応じて、埋め戻し土6を供給して置き換えるから、周囲の地盤が緩むことがない。
こうしてソイルセメントコラム1の撤去が完了する。(図14)
【符号の説明】
【0021】
1:ソイルセメントコラム
11:攪拌域
2:攪拌ロッド
3:固化材
4:鋼管(支持兼ガイド管)
5:中空オーガー
6:埋め戻し土
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソイルセメントコラムがその使命を終えた後に簡単で確実に解体することができるソイルセメントコラムの構築方法と撤去方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
構造物を支持するソイルセメントコラムは、土と固化材の混合体のみで円筒状に構築するタイプと、円筒状の混合体の内部に鋼管を埋設する合成コラムが知られている。
いずれのタイプであっても、コラムがその使命を終えた場合に解体、撤去する必要に迫られることがあるが、その場合には次のような工法が採用されている。
<1> 地中のコンクリート、岩石、その他の硬質な障害物を破砕できる特殊な切削ビットを先端に取り付けたオーガーを回転貫入することによって、障害物を強制的に破壊する方法。
<2> ソイルセメントコラムの外径より大きい内径を備えたケーシングを圧入して周辺地盤の崩壊を防ぎながらコラムをケーシング内で所定の大きさに解体して撤去し、撤去後にケーシング内に土砂を埋め戻し、最後のケーシングを引き抜く方法。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−267034号公報
【特許文献2】特開2009−2056号公報
【特許文献3】特開2010−65405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来のソイルセメントコラムの撤去方法では、既設のソイルセメントコラム自体は撤去を目的として構築したものではないから、大規模な装置を使用して強力に破壊してゆくという不経済な方法であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記のような課題を解決するために本発明のソイルセメントコラムの構築方法は、中空ロッドの周囲に攪拌翼を取り付けた攪拌ロッドを使用し、固化材を吐出しながら攪拌ロッドを地中に回転させて貫入し、中空ロッドの周囲に、土砂と固化材を攪拌したソイルセメントコラムを形成し、その後に中空ロッドの内部に、支持兼ガイド管として端部を開放した鋼管を挿入し、支持兼ガイド管を地中に残して攪拌ロッドを回転しながら引き上げて構築することを特徴としたものである。
さらに本発明の杭の撤去方法は、前記の工程で構築したソイルセメントコラムにおいて、切削ビット付きの中空オーガーを使用し、前記の支持兼ガイド管をガイドとして、その外周に中空オーガーを嵌合して、ソイルセメントコラム内に回転させて貫入し、ソイルセメントコラムの先端まで粉砕したら、中空オーガーの内部から支持兼ガイド管を引き上げ、中空オーガーを通して埋め戻し土を充填しながら中空オーガーを引き上げて、ソイルセメントコラムを埋め戻し土に置き換えることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明のソイルセメントコラムの構築、撤去方法は以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
<1> 地中に設置した支持兼ガイド管をガイドとして中空オーガーを貫入して撤去するから、中空オーガーが水平方向に逃げることがなく、正確に支持兼ガイド管の先端の深さまでソイルセメントコラムを切削して埋め戻し土と置き換えることができる。
<2> ソイルセメントコラムの中心に位置している支持兼ガイド管をガイド部材として切削ビット付き中空オーガーを回転貫入して撤去する方法であるために、ソイルセメントコラムを確実に破壊することができる。
<3> ソイルセメントコラムの撤去の際には、中空オーガーを引抜く際に、破砕したソイルセメントコラムの破砕片を地上に排出しながら埋め戻し土で充填するので、地盤を緩めることがない。
<4> ソイルセメントコラムは、中心に支持兼ガイド管が位置し、その内部にセメントスラリーなどの固化材が充填してあるから、硬化後の固化材に高い圧縮強度を期待できるので、鋼管である支持兼ガイド管と内部固化材との相乗効果によって高い支持補助部材として機能させることができる。
<5> 上記のように高い支持性能を期待できるから、支持兼ガイド管の肉厚を薄くすることができ、多数本を打設する場合にはきわめて経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明のソイルセメントコラムの実施例の一部断面図。
【図2】ソイルセメントコラムの構築順序の説明図。
【図3】ソイルセメントコラムの構築順序の説明図。
【図4】ソイルセメントコラムの構築順序の説明図。
【図5】ソイルセメントコラムの構築順序の説明図。
【図6】ソイルセメントコラムの構築順序の説明図。
【図7】ソイルセメントコラムの構築順序の説明図。
【図8】完成したソイルセメントコラムの説明図。
【図9】ソイルセメントコラムの撤去順序の説明図。
【図10】ソイルセメントコラムの撤去順序の説明図。
【図11】ソイルセメントコラムの撤去順序の説明図。
【図12】ソイルセメントコラムの撤去順序の説明図。
【図13】ソイルセメントコラムの撤去順序の説明図。
【図14】撤去完了状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図面を参照にしながら本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【実施例】
【0009】
<1>ソイルセメントコラムの構築方法。
まず本発明のソイルセメントコラムを構築する方法について説明する。
【0010】
<2>攪拌ロッド。(図2)
本発明のソイルセメントコラム1の構築方法では、中空ロッド21の周囲に攪拌翼22を取り付けた攪拌ロッド2を使用する。
さらに詳細に説明すれば、筒状の中空ロッド21の先端には、中空ロッド21の中心軸と直交する方向に、一定長さの腕23を突設し、その腕23に複数のビット24を固定してある。
前記したように筒状の中空ロッド21の周囲には、中空ロッド21の中心軸と直交する方向に、一定長さの攪拌翼22を突設してあるから、攪拌翼22の先端の描く軌跡が、ソイルセメントコラム1の外径となる。
中空ロッド21の内部は貫通しており、上端からセメントスラリーのような固化材3を供給すれば、中空ロッド21の下端から吐出することができる。
中空ロッド21の内径は、後述する支持兼ガイド管4を内包できる寸法に構成する。
中空ロッド21の下端には、支持兼ガイド管4に押圧力を付与することで分離可能な先端ビット25を取り付け、この先端ビット25に吐出口を開口して、固化材3の吐出が可能であるように構成する。
中空ロッド21の周辺にも吐出口を開口することもできる。
【0011】
<3>攪拌ロッドの貫入。(図3)
上記した攪拌ロッド2を地表面に鉛直に設置する。
そして攪拌ロッド2の上端から固化材3を注入しつつ、回転を与える。
こうして先端から固化材3を吐出しながら攪拌ロッド2を地中に回転させて攪拌翼22の先端の描く軌跡の範囲内に土砂と固化材3を攪拌した攪拌域11を形成しながら貫入して行く。
【0012】
<4>攪拌域の形成。(図4)
攪拌ロッド2の回転によって攪拌翼22が中空ロッド21の周囲の土砂と、先端や周囲から吐出した固化材3を攪拌する。
このような攪拌によって、土砂と固化材3を攪拌できるから、中空ロッド21の周囲には、攪拌翼22の先端の軌跡を外径とした円柱状の攪拌域11を形成することができる。
【0013】
<5>鋼管の挿入。(図5)
攪拌ロッド2の中心の中空ロッド21の内部にも固化材3が充填されている。
そこで攪拌ロッド2が計画深さまで到達したら回転を停止し、中空ロッド21の内部に鋼管4を挿入する。
この鋼管4が、支持兼ガイド管4としての機能を果たすものである。
中空ロッド21の内部の固化材3はまだ固化していないので、支持兼ガイド管4としての鋼管(支持兼ガイド管)4を容易に挿入することができる。
支持兼ガイド管4は、その端部を開口した管体なので、支持兼ガイド管4は挿入にしたがってその内部にも固化材3が充填される。
【0014】
<6>攪拌ロッドの引き上げ。
支持兼ガイド管4の先端が中空ロッド21の先端の位置に達するまで、中空ロッド21の内部に挿入する。(図6)
挿入が完了したら、その支持兼ガイド管4を地中に残して攪拌ロッド2を引き上げる。(図7)
その際に中空ロッド21の先端の蓋は地中に残しておく。
攪拌ロッド2の引き上げに際しては、攪拌ロッド2を回転しながら引き上げて行くので周囲の土砂はさらに固化材3との攪拌が促進されて均一で良質な攪拌域11を構築することができる。
このように支持兼ガイド管4の周囲の土砂が攪拌されるので、支持兼ガイド管4の外周に付着していた固化材3の膜は破砕されて周囲のソイルセメントコラム1内に分散してゆく。
こうして、中心の鋼管(支持兼ガイド管)4の内部に高強度の固化材3が充填してあり、その周囲には円筒状の攪拌域11を備えたソイルセメントコラム1が完成する。(図1、8)
【0015】
<7>ソイルセメントコラムの撤去方法。
次に上記の工程で構築したソイルセメントコラム1の撤去方法について説明する。
【0016】
<8>中空オーガー(図9)。
杭の撤去に際しては、ソイルセメントコラム1を破砕して地上に押し出して排除する必要がある。
そのために中心の中空筒51の外周に螺旋翼52を取り付けた中空オーガー5を使用する。
この中空オーガー5の先端にはソイルセメントコラム1を切削するための切削ビット53を設けてある。
中空オーガー5の先端の切削ビット53は、中空筒51の中心軸と直交する方向に突出させた腕に掘削刃を固定したものである。
この腕の先端の回転軌跡が、構築したソイルセメントコラム1の外径にほぼ等しい。
【0017】
<9>支持兼ガイド管の嵌合。(図9)
前記の工程で構築したソイルセメントコラム1の支持兼ガイド管4の真上の、中空オーガー5の中心の中空筒51を嵌合する。
中空オーガー5の中空筒51の内径は、支持兼ガイド管4の外径よりも多少大きい寸法に構成してあるので、中空筒51を支持兼ガイド管4の外周に嵌合することができる。
【0018】
<10>ソイルセメントコラムの粉砕(図10)。
支持兼ガイド管4の外周に中空オーガー5を嵌合して回転を与えると、中空オーガー5は中心の支持兼ガイド管4をガイドとして正確に地中に侵入することになる。
一般に中空オーガー5は切削中に、地盤の軟弱な方へ移動しやすく、正確に鉛直性を維持することが困難である。
しかし本願発明の工法では中心に支持兼ガイド管4が位置しており、その支持兼ガイド管4をガイドとして貫入して行くので正確な鉛直性を確保することが容易である。
こうして、中空オーガー5を、ソイルセメントコラム1内に回転させて貫入し、先端の切削ビット53でソイルセメントコラム1を粉砕してその先端まで破壊してゆく。(図11)
【0019】
<11>支持兼ガイド管の引き上げ。(図12)
中空オーガー5がソイルセメントコラム1の先端まで切削したら、中空オーガー5の回転を停止する。
そして中空オーガー5の中心の中空筒51内に取り込んだ支持兼ガイド管4を地上に引き上げて抜き取る。
その結果、中空オーガー5の中空筒51の内部は空洞となる。
【0020】
<12>埋め戻し土の充填。(図13)
空洞になった中空筒51の内部に、地上から埋め戻し土6を投入する。
そして中空オーガー5に引抜き方向の回転とは逆の回転を与えつつ引き上げてゆく。
この中空オーガー5の引き上げによって螺旋翼52の周囲にある、破壊されたソイルセメントコラム1の粒子は地上に押し出されて回収できる。
同時に中空筒51を通して供給した埋め戻し土6は、その先端からソイルセメントコラム1と置き換わって充填が行われる。
このように、地上に排出するソイルセメントコラム1の量に応じて、埋め戻し土6を供給して置き換えるから、周囲の地盤が緩むことがない。
こうしてソイルセメントコラム1の撤去が完了する。(図14)
【符号の説明】
【0021】
1:ソイルセメントコラム
11:攪拌域
2:攪拌ロッド
3:固化材
4:鋼管(支持兼ガイド管)
5:中空オーガー
6:埋め戻し土
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空ロッドの周囲に攪拌翼を取り付けた攪拌ロッドを使用し、
固化材を吐出しながら攪拌ロッドを地中に回転させて貫入し、
中空ロッドの周囲に土砂と固化材を攪拌したソイルセメントコラムを形成し、
その後に中空ロッドの内部に、支持兼ガイド管として端部を開放した鋼管を挿入し、
内部に固化材を充填した支持兼ガイド管を地中に残して攪拌ロッドを回転しながら引き上げることを特徴とする、
ソイルセメントコラムの構築方法。
【請求項2】
請求項1記載の工程で構築したソイルセメントコラムにおいて、
切削ビット付きの中空オーガーを使用し、
前記の支持兼ガイド管をガイドとして、
その外周に中空オーガーを嵌合して、ソイルセメントコラム内に回転させて貫入し、
ソイルセメントコラムの先端まで粉砕したら、中空オーガーの内部から支持兼ガイド管を引き上げ、
中空オーガーを通して埋め戻し土を充填しながら中空オーガーを引き上げて、ソイルセメントコラムを埋め戻し土に置き換えることを特徴とする、
ソイルセメントコラムの撤去方法。
【請求項1】
中空ロッドの周囲に攪拌翼を取り付けた攪拌ロッドを使用し、
固化材を吐出しながら攪拌ロッドを地中に回転させて貫入し、
中空ロッドの周囲に土砂と固化材を攪拌したソイルセメントコラムを形成し、
その後に中空ロッドの内部に、支持兼ガイド管として端部を開放した鋼管を挿入し、
内部に固化材を充填した支持兼ガイド管を地中に残して攪拌ロッドを回転しながら引き上げることを特徴とする、
ソイルセメントコラムの構築方法。
【請求項2】
請求項1記載の工程で構築したソイルセメントコラムにおいて、
切削ビット付きの中空オーガーを使用し、
前記の支持兼ガイド管をガイドとして、
その外周に中空オーガーを嵌合して、ソイルセメントコラム内に回転させて貫入し、
ソイルセメントコラムの先端まで粉砕したら、中空オーガーの内部から支持兼ガイド管を引き上げ、
中空オーガーを通して埋め戻し土を充填しながら中空オーガーを引き上げて、ソイルセメントコラムを埋め戻し土に置き換えることを特徴とする、
ソイルセメントコラムの撤去方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−21310(P2012−21310A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159562(P2010−159562)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(598027847)株式会社設計室ソイル (15)
【出願人】(591002234)株式会社樋口技工 (7)
【出願人】(596091428)報国エンジニアリング株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(598027847)株式会社設計室ソイル (15)
【出願人】(591002234)株式会社樋口技工 (7)
【出願人】(596091428)報国エンジニアリング株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
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