説明

ソイルセメント混合体の雨天時形成方法

【課題】
本発明は、たとえ施工日の天候が雨天日であったとしても、ソイルセメント混合体の品質を維持しつつ施工工事を行うことができ、施工工期の確実性を維持出来ると共に、施工機械の稼働率を高めることが出来るため、施工能率の向上にも資するソイルセメント混合体の雨天時形成方法を提供することを目的とするものである。
【解決手段】
施工現場で、砂礫を含有する現位置土に少なくともセメント、水を含有させて練り混ぜ、固化させてソイルセメント混合体を形成する形成方法であり、施工現場での形成作業時に雨天が予想されるとき、天気予報データから雨天が予想される形成作業時の予測降雨量を、混合体形成に際して現場配合される練り混ぜ水の分量として考慮し、現場配合の練り混ぜ水量を適宜減じて調整し、雨天時形成作業を可能としたことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施工現場において砂礫分を含有する現位置土を、セメント等で固化し、例えば砂防堰堤等のソイルセメント混合体を形成する形成方法に係り、特に雨天が予想される施工日であっても、前記砂防堰堤等のソイルセメント混合体の品質を維持しつつ、雨天施工を行うことができるソイルセメント混合体の雨天時形成方法に関するものである。
なお、本発明におけるソイルセメント混合体とは、圧縮強度が1〜20N/mm2程度の砂礫分を含有する現位置土をセメント等で固化した混合体、又は固結体を指標するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、砂防堰堤等のソイルセメント混合体を造成する形成方法には、現位置攪拌混合固化工法(ISM工法)が一般的に知られている。ここで、前記ISM工法の設計・施工マニュアルによれば、降雨時等の処置としては、「降雨等によりISMの品質が低下するおそれがある場合には、施工を中止し適切な処置を講じなければならない。」とされている。
このために、いわゆるISM工法を使用する施工現場では、従来、降雨があれば施工を原則として中止せざるを得ないものであった。
しかしながら、この雨天施工中止状況が施工工期に関する大幅な遅れ等の不確実性をもたらしたり、施工能率の低下を生じさせる原因ともなっていた(非特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2500005号特許公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】現位置攪拌混合固化工法(ISM工法)設計・施工マニュアル 第1回改訂版:財団法人先端建設技術センター、ISM工法研究会編:平成19年3月、P.47
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かくして、本発明では、たとえ施工日の天候が雨天日であったとしても、前記ソイルセメント混合体の品質を維持しつつ施工工事を行うことができ、もって施工工期に関する大幅な遅れ等の不確実性を生じさせることなく、かつ施工能率の低下をも生じさせない、すなわち工期の確実性を維持出来ると共に、施工機械の稼働率を高めることが出来るため、施工能率の向上にも資するソイルセメント混合体の雨天時形成方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のソイルセメント混合体の雨天時形成方法は、
施工現場で、砂礫を含有する現位置土に少なくともセメント、水を含有させて練り混ぜ、固化させてソイルセメント混合体を形成する形成方法であり、
前記施工現場での形成作業時に雨天が予想されるとき、天気予報データから雨天が予想される形成作業時の予測降雨量を、前記混合体形成に際して現場配合される練り混ぜ水の分量として考慮し、前記現場配合の練り混ぜ水量を適宜減じて調整し、雨天時形成作業を可能とした、
ことを特徴とし、
または、
施工現場で、砂礫を含有する現位置土に少なくともセメント、水を含有させて練り混ぜ、固化させて、少なくとも砂防堰堤となるソイルセメント混合体を形成する形成方法であり、
前記施工現場に該当する地域の天気予報データから施工日当日の天候が雨天であると予測されるとき、施工現場での施工前の混合対象土含水率を測定し、該測定値を考慮して計画された現場配合のセメントミルク17のプラント練混ぜ水量に、施工日当日の施工時間中の予測降雨量が前記現場配合のセメントミルク17のプラント練混ぜ水量の分量に加算されるものとして前記現場配合中の練混ぜ水を減じて調整し、雨天時形成作業を可能とした、
ことを特徴とし、
または、
前記雨天時形成作業時の現場における降雨量を実計測し、該実計測値に基づき前記調整された練混ぜ水量を更に補正可能とした、
ことを特徴とし、
または、
前記ソイルセメント混合体の雨天時形成方法において、
前記現場配合の練り混ぜ水量を適宜減じて行う練混ぜ水量の調整量は、
前記施工現場での形成作業時に雨天が予想されるとき、天気予報データから雨天が予想される形成作業時の予測降雨量の値をコンピュータの自動算出部に入力して自動算出できる、
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によるソイルセメント混合体の雨天時形成方法であれば、
たとえ施工日の天候が雨天日であったとしても、前記ソイルセメント混合体の品質を維持しつつ施工工事を行うことができ、もって施工工期に関する大幅な遅れ等の不確実性を生じさせることなく、かつ施工能率の低下をも生じさせない、すなわち工期の確実性を維持出来ると共に、施工機械の稼働率を高めることが出来るため、施工能率の向上にも資する工期の確実性を増すと共に、施工機械の稼働率を高め、施工能率の向上に資するとの優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の概略構成を説明する構成説明図(その1)である。
【図2】本発明の概略構成を説明する構成説明図(その2)である。
【図3】本発明の概略構成を説明する構成説明図(その3)である。
【図4】本発明の概略構成を説明する構成説明図(その4)である。
【図5】本発明の概略構成を説明する構成説明図(その5)である。
【図6】本発明の概略構成を説明する構成説明図(その6)である。
【図7】インターネットによる天気予測のディスプレイ図である。
【図8】降雨量により補正した水セメント比の関係である。
【図9】標準配合表を説明する説明図である。
【図10】補正配合表を説明する説明図である。
【図11】施工面への降雨対策・処置を説明する説明図である。
【図12】雨天時施工箇所の粒径処理土の降雨対策・処置を説明する説明図である。
【図13】雨天時の粒径処理土置き場の降雨対策・処置を説明する説明図である。
【図14】インターネットでの降雨情報を取得する一例を示す説明図(その1)である。
【図15】インターネットでの降雨情報を取得する一例を示す説明図(その2)である。
【図16】インターネットでの降雨情報を取得する一例を示す説明図(その3)である
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明を図に示す実施の最良の形態に基づいて説明する。
図1乃至図6から理解されるように、本発明の工法は、施工現場1で採取された砂礫2を含有する現位置土3に、少なくともセメント4、水5を含有させて練り混ぜ、それを養生、固化させてソイルセメント混合体15を形成する形成方法であり、該形成方法は、いわゆるISM工法と称されるものである。
例えば、砂防堰堤等のソイルセメント混合体15の施工を行う現場で玉石16や砂礫2が含まれる土砂材料は現地で調達するものとなる。すなわち、施工現場である現地を掘削し、現地調達の砂礫等収集を行うのである。
この収集を行ういわゆる砂礫等収集装置については何ら限定されるものではないが、油圧ショベルなどの重機6が使用され、重機6で収集された現地の土砂材料はダンプトラックなどの運搬車11の荷台に積載され、ソイルセメント混合体15の形成位置まで運搬されるか、あるいは前記重機6により近傍のソイルセメント混合体15の形成位置まで直接運搬される。
【0010】
運搬された土砂材料は、例えば現場でも比較的空間スペースのある所定箇所に集積されることがあり、場合によって、該集積箇所では、所定の分別収集装置により一定粒径以下の大きさの土砂材料に分別収集の作業が行われたりする。
現場からまず無差別に収集した土砂材料から、例えば一定粒径以下の大きさの土砂材料を選別、分別して収集し、所定の集積場所に集めてストックしておくことが考えられる。
該混合体生成箇所12の形状についても何ら限定されるものではなく、方形状、楕円状、平行四辺形状であっても構わない。ただ、正方形状より長方形状の形の方が、混練り、攪拌の作業はしやすいと考えられる。
【0011】
ここで、混合体生成箇所12には前記の分別収集された場合の一定粒径以下、例えば300mm径以下の大きさの土砂材料がバックホウなどの重機6のブームアーム7先端に取り付けられたバケット13により投入される。
そして、該砂礫2など土砂材料、各種の混合体添加物及び水5、セメント4あるいはセメントミルク17などとの混練りは、バックホウなどの重機6に設けられたブームアーム先端にアタッチメントなどで交換取り付け可能な爪付き回転ドラム8などによって行われる。
そして、前記爪付き回転ドラム8の近傍位置には、近くに設けられたセメントミルク製造プラント等からセメントミルク17が簡易混合体生成箇所12に送出出来るよう設けられた送出管9の送出口10が取り付けられており、該送出管9の送出口10より、例えば現場で簡易に形成されたセメントミルク製造プラントから送出されたセメントミルク17が簡易混合体生成箇所12内に送出される。
【0012】
セメントミルク17が送出されると回転ドラム8が回転して、セメントミルク17、前記砂礫2などの土砂材料、各種混合体添加物及び水5などとの混練り、攪拌が行われる。
なお、混合体生成箇所12の近傍位置にソイルセメント混合体15を形成する場合や混合体生成箇所12自体がソイルセメント混合体15として形成される場合については図1及び図2に示すとおりである。
ところで、前述したいずれの場合であっても、すなわち、ソイルセメント混合体15の形成位置が、作業現場から離間した位置にあっても、あるいは直近の位置にあっても、前記施工現場での形成作業時に雨天が予想されるとき、本発明では、雨天であってもその施工が継続できるものとした。
すなわち、本発明では、主に天気予報データから雨天が予想される形成作業時の予測降雨量を、前記混合体形成に際して現場配合される練り混ぜ水の分量として考慮し、前記現場配合の練り混ぜ水量を適宜減じて調整し、雨天時形成作業を可能としたものである。
【0013】
ここで、予測降雨量の調査、決定については、例えば、インターネットを利用して降雨量を調査し、決定することが考えられる。
例えば、インターネットによってお天気サイトなどからお天気情報の検索を行う。すなわち図7に示すような降雨情報をインターネットにより検索し、あらかじめ調査、認識しておくのである。例えば、前記検索により施工地域とほぼ同様の地域、あるいは施工地域に一番近い地域のお天気情報をインターネットで検索して選択し、この選択された箇所での施工日当日の降雨情報を取得するのである。そして、前記降雨情報において、時間毎の降雨量を取得するのである。図14では、その一例を示すものであり、インターネットで例えばウエザーニュースとのキーワードで検索すると、当該画面が示される。そこで、キーワードとして降雨情報を取得したい施工箇所の例えば住所などを入力する。すると、図15に示すようなピンポイントでの降雨情報がたとえば時間ごとの間隔で得られるものとなる。なお降雨情報は各種の形式で示されており、図16に示すように表形式でわかりやすく示されるウエザーニュースも存在している。よって、操作者は各種のウエザーニュースから最適のサイトを選択して降雨情報を取得すればよい。
【0014】
また、前記施工日のソイルセメント混合体形成のための混合攪拌作業時間を設定しておく。この作業時間の設定に当たっては、例えば、一連の連続する混合攪拌作業を一区切りとして、その時間(t(h))を作業時間として設定するものとする。
そして、前記設定作業時間、t(h)中の累計雨量(R(m))を求める。
さらに、施工計画に設定される混合攪拌一層の厚さ(Z(m))から、プラントで製造するセメントミルク17の補正水量を求めておくのである。

ここで、前記補正水量は、以下の式で求められる。

補正水量:δ(リットル)=R(m)×1/Z(m2)×1000(リットル/m3)

ただし、1/Zは、混合攪拌対象土1m3に対し、混合攪拌層厚Z(m)の場合の混合攪拌対象面積を表し、その単位は、1m3÷Z(m)=1/Z(m2)である。
【0015】
次に、例えば、現場に設置されるセメントミルク製造プラントにおけるいわゆる補正された標準配合の練混ぜ水量(W’(リットル))を求める。しかして、補正された標準配合の練混ぜ水量は、以下の式で求められる。

補正された練混ぜ水量:W‘(リットル)=W−δ(標準配合における練混ぜ水量:W(リットル))

次いで、前記補正された練混ぜ水量にて標準配合を組み直す。そして、組み直され、補正された標準配合にてプラント1バッチ当たりの配合を計算するのである。
【0016】
なお、雨天時での施工中に、さらなる練混ぜ水量の補正を必要とする場合がある。例えば、予測された降雨量が天候の急変などにより急に変化し、例えば全く降雨がなくなったときなどが該当する。この様な場合にはさらに補正された練混ぜ水量に補正しなければならない。
かかる施工中の補正練混ぜ水量の再度の補正は、まず、施工中の現場における観測降雨量(実測降雨量)を計測することにより行われる。該計測は現場に設置した簡易な降雨計14で行えばよい。
そして、実際の実測降雨量を考慮して、一度補正された練混ぜ水量で行った施工以降について、施工箇所での施工時間中の累計雨量を再度算出するのである。そして、その算出された再度の補正水量の追加分を施工中の現場で加えたりすることにより補正が行われる。
なお、天候の急変で降雨量が増加したときは、施工現場に部分的に覆いなどを施し、再度設定した補正水量に近づけるものとする。
【0017】
(実施例)
本発明の実施例として、いわゆるISM工法の雨天時における施工例を以下に示す。
所定の現場におけるISM混合体(ISM工法により造成したソイルセメント混合体を称する。以下同じ)1m3当りのセメントミルク17の標準配合は下記の(表1)の通りとなる。
このセメントミルク17の容積218リットル(=0.218m3)は、現場の混合対象土の表乾状態における空隙率から求めた容積である。ただし、以下に標準配合として示すセメントミルク17のプラントにおける配合は、一般のコンクリート分野における標準配合と異なり、混合攪拌対象土砂の表面水量を考慮しプラントの練混ぜ水量から差し引いた重量、容積となっている。
【0018】
【表1】


ここで、施工日に降雨が予測されるとき、インターネットで例えばお天気サイトなどを検索し、施工日の施工時間中の雨量予測を検索する。
しかして、例えばインターネットにより検索した施工日の施工時間中の雨量予測を以下の(表2)に示す。

【表2】

【0019】
上記の情報に基づき、練混ぜ水量の補正を行う。

(a)午前に行う施工の補正について
施工開始時間9:00〜12:00における1m2当りの雨量は、表2より、2+2+2=6mm/m2である。
表1のセメントミルク17の標準配合から、このセメントミルク218リットルを現位置の混合対象土と混練して1m3のISM混合体が造成されることより、練混ぜ水量の補正としては、混合対象深度が1mなので、このセメントミルク17の標準配合の練混ぜ水量から、混練作業中に降雨により混練中のISM混合体に加えられる6リットル(=1m2×6mm)を差し引いた練混ぜ水量とすればよいことになる。よって、補正後の練混ぜ水量に基づいたセメントミルク17の標準配合表は、下記の通りとなる。
【0020】
【表3】


なお、本施工日に、現場における実際の降雨量を測定した結果、9:00から12:00までの降雨量は、実測の降雨量として6mmであったので、予測降雨量と変わらないものであった。よって、更なる練混ぜ水量の補正量はゼロとした。
【0021】
(b)午後に行う施工の補正について
施工開始時間13:00〜16:00における1m2当りの雨量は、1+2+2=5mm/m2である。
なお、12:00〜13:00の間の時間も継続して降雨があり、その時間の降雨量が予測され、降雨確認されているが、12:00〜13:00の間は昼食時でもあり、現場の施工作業は中断される。そして、該当する施工箇所には、雨水が入らないように施工面への降雨対策・処置がされるものとなる。
当該処置の具体例につき、図11乃至図13を参照して説明する。すなわち、まず、図11に示すように、法面小段部18に堰堤19を設け、かかる部分に法面の雨水を集積し、例えば、水中ポンプ20などによって場外に排出することが考えられる。
また、施工面への降雨対策、処置としては図12に示すように、例えば施工箇所に雨水が直接入らないよう、養生シート21などで養生しながら施工することが考えられる。
【0022】
さらに、雨天時施工箇所における粒径処理土22の降雨対策、処置としては、図13に示すように、水はけのよい箇所を粒径処理土置き場とし、著しく含水率が変わらないよう心がけ、直接雨水が当たらないよう養生シート21を敷設することが考えられる。
よって、この間の降雨量は考慮しないものとされるのである。
しかして、表1のセメントミルク17の標準配合から、練混ぜ水量の補正としては、このセメントミルク17の標準配合の練混ぜ水量から、混練作業中に降雨により混練中のISM混合体に加えられる5リットル(=1m2×5mm)を差し引いた練混ぜ水量とすればよい。よって、補正後の練混ぜ水量に基づいたセメントミルク17の標準配合表は、下記の表4の通りとなった。

【表4】

【0023】
ところで、本施工日に現場における実際の降雨量を測定した結果、13:00から16:00までの降雨量は5mmではなく4mmと実測された。従って、この様なときには、さらなる練混ぜ水量の補正をしなければならない。すなわち、更なる練混ぜ水の補正量は4リットルと補正しなければならないのである。しかして、その再補正後の標準配合表を以下の表5に示す。
表5によると、練混ぜ水量は147リットルであり、表4に示すものより1リットル不足していることがわかる。よってその不足分は施工現場で追加されるものとなる。

【表5】


【0024】
ここで、実際の施工においては、図8に示すような、例えば、単位セメント量が215kgの場合のセメントミルク17の設計水セメント比と降雨量により補正した水セメント比の関係表が使用される。
当該関係表は、データとしてあらかじめコンピュータの記憶部に格納されており、単位セメント量の数値を変更して入力し、前記関係表を出力出来るようになっており、該単位セメント量の数値が変更されると、表の各数値が各々変更されて出力されるようになっている。
図8では、単位セメント量の数値が215kgの場合の関係表が示されている。この関係表で、水セメント比:W/C(%)が70%で、累計雨量が6mm/mの場合には水セメント比:W/Cが67.2%になることが示されている。
【0025】
なお、コンピュータ内の記憶部に格納、記憶されている当該関係表のデータは、最新のデータにより日々更新可能となっており、常に最新のデータにより関係表が示されるものとなっている。
また、図9に標準配合表を、図10にその補正配合表を示す。図9の標準配合表において、混練り作業中に降雨が予測され、その累計雨量が6mm/mであるとき、図8から理解されるように、当該関係表を使用し、すなわち、水セメント比:W/C(%)が70%で、累計雨量が6mm/mの場合には水セメント比:W/Cが67.2%になることを確認する。
そして、図9において、水セメント比:W/C(%)が70%との値を67.2%と補正して入力する。
すると、図10に示すように、各数値は補正された補正配合表が自動的に得られるものとなるのである。

【0026】
なお、本発明に基づく施工結果として、材齢28日におけるISM混合体の圧縮強度の試験結果を表6に示す。この様に本発明によって好適な結果が得られた。

【表6】


【符号の説明】
【0027】
1 施工現場
2 砂礫
3 現位置土
4 セメント
5 水
6 重機
7 ブームアーム
8 回転ドラム
9 送出管
10 送出口
11 運搬車
12 簡易混合体生成箇所
13 バケット
14 降雨計
15 ソイルセメント混合体
16 玉石
17 セメントミルク
18 法面小段部
19 堰堤
20 水中ポンプ
21 養生シート
22 粒径処理土

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工現場で、砂礫を含有する現位置土に少なくともセメント、水を含有させて練り混ぜ、固化させてソイルセメント混合体を形成する形成方法であり、
前記施工現場での形成作業時に雨天が予想されるとき、天気予報データから雨天が予想される形成作業時の予測降雨量を、前記混合体形成に際して現場配合される練り混ぜ水の分量として考慮し、前記現場配合の練り混ぜ水量を適宜減じて調整し、雨天時形成作業を可能とした、
ことを特徴とするソイルセメント混合体の雨天時形成方法。
【請求項2】
施工現場で、砂礫を含有する現位置土に少なくともセメント、水を含有させて練り混ぜ、固化させて、少なくとも砂防堰堤、護岸の裏込となるソイルセメント混合体を形成する形成方法であり、
前記施工現場に該当する地域の天気予報データから施工日当日の天候が雨天であると予測されるとき、施工現場での施工前の混合対象土含水率を測定し、該測定値を考慮して計画された現場配合のセメントミルクのプラント練混ぜ水量に、施工日当日の施工時間中の予測降雨量が前記現場配合のセメントミルクのプラント練混ぜ水量の分量に加算されるものとして前記現場配合中の練混ぜ水を減じて調整し、雨天時形成作業を可能とした、
ことを特徴とするソイルセメント混合体の雨天時形成方法。
【請求項3】
前記雨天時形成作業時の現場における降雨量を実測し、該実測値に基づき前記調整された練混ぜ水量を更に補正可能とした、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のソイルセメント混合体の雨天時形成方法。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載されたソイルセメント混合体の雨天時形成方法であって、
前記現場配合の練り混ぜ水量を適宜減じて行う練混ぜ水量の調整量は、
前記施工現場での形成作業時に雨天が予想されるとき、天気予報データから雨天が予想される形成作業時の予測降雨量の値をコンピュータの自動算出部に入力して自動算出できる、
ことを特徴とするソイルセメント混合体の雨天時形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−84882(P2011−84882A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−236769(P2009−236769)
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【出願人】(000185972)小野田ケミコ株式会社 (58)
【出願人】(000207621)大日本土木株式会社 (13)
【Fターム(参考)】