ソケットユニットを具えた締付機
【課題】ナットと反力座金との間に位相のズレがあっても、インナーソケットにナットを嵌めた状態で、アウターソケットを反力座金に容易に嵌める。
【解決手段】反力座金95とナット93を締め付けるソケットユニット20を具えた締付機10であって、ソケットユニット20は、先端がナット93に係合可能なインナーソケット30と、該インナーソケット30と同心に形成され、先端が反力座金95に係合可能なアウターソケット50とを有し、互いに逆方向に回転可能なインナーソケットホルダ70と、インナーソケットホルダ70の外周に形成されたアウターソケットホルダ80を同心に具え、インナーソケットホルダ70にインナーソケット30が着脱可能に係合し、アウターソケットホルダ80にアウターソケット50が着脱可能に係合してなるソケットユニット20を具えた締付機10において、インナーソケット30を、インナーソケットホルダ70に対して、周方向に遊びをもって係合するようにした。
【解決手段】反力座金95とナット93を締め付けるソケットユニット20を具えた締付機10であって、ソケットユニット20は、先端がナット93に係合可能なインナーソケット30と、該インナーソケット30と同心に形成され、先端が反力座金95に係合可能なアウターソケット50とを有し、互いに逆方向に回転可能なインナーソケットホルダ70と、インナーソケットホルダ70の外周に形成されたアウターソケットホルダ80を同心に具え、インナーソケットホルダ70にインナーソケット30が着脱可能に係合し、アウターソケットホルダ80にアウターソケット50が着脱可能に係合してなるソケットユニット20を具えた締付機10において、インナーソケット30を、インナーソケットホルダ70に対して、周方向に遊びをもって係合するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反力座金を介在させてナットを締結するために用いられるソケットユニット及びこれを具えた締付機に関するものであり、より具体的には、ナットと反力座金との間に位相のズレがあっても、インナーソケットにナットを嵌めた状態で、アウターソケットを反力座金に容易に嵌めることのできるソケットユニットを具えた締付機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
構造物どうしを締結する際に、図15に示すように、構造物(90)から突設されたボルト(91)に対し、反力座金(95)を嵌め、該反力座金(95)の上からナット(93)を締め付ける工法が知られている。反力座金(95)は、円盤状の座金の周面に約30°毎にV字状の溝を12条繰り返し形成した凹凸(96)を有しており、先端にソケットユニットを具えた締付機を用いて、反力座金(95)によって締付反力を受けつつ、ナット(93)の締付けが行なわれる。
【0003】
締付機は、互いに逆方向に回転する内側のインナーソケットホルダと外側のアウターソケットホルダを同心に有し、ソケットユニットは、同心に形成されたインナーソケットとアウターソケットを有する。
【0004】
インナーソケットは、基端側外周に締付機のインナーソケットホルダと着脱可能に係合する取付突条を有し、インナーソケットホルダの内周に形成された取付溝部と周方向に遊びなく嵌まっている。また、アウターソケットも、アウターソケットホルダと着脱可能に係合し、締付機を作動させることで、インナーソケットとアウターソケットは、互いに逆方向に回転可能となっている。
【0005】
ナット(93)の締付けは、インナーソケットの先端内周面をナット(93)に嵌めた後、アウターソケットの先端内周面を反力座金(95)に嵌めた状態で、締付機を作動させることにより行なわれる。
【0006】
ナット(93)は、予め設定されたトルクで締め付ける必要があるが、ナット(93)を設定トルクで締め付ける所謂本締め作業の前に、1次締め(仮締め)が行なわれる。この1次締め作業において、図16(a)に示すように、反力座金(95)とナット(93)の回転方向の位置(以下「位相」という)が一致することもあるが、殆んどの場合、図16(b)に示すように、反力座金(95)とナット(93)の位相がズレてしまう。
【0007】
ナット(93)と反力座金(95)を比べた場合、図15に示すように、ナット(93)の方が厚みがあるため、ソケットユニットをナット(93)及び反力座金(95)に嵌める際に、インナーソケットが先にナット(93)に嵌まり、ソケットユニットをさらに前進させることで、アウターソケットが反力座金(95)に嵌まる。
【0008】
インナーソケットとナット(93)を嵌める際に、インナーソケットとナット(93)との間に位相のズレがあっても、締付機自体を作業者が軸周りに回転させることで位相のズレを解消することができるから、インナーソケットをナット(93)に嵌めることができる。
【0009】
しかしながら、インナーソケットにナット(93)を嵌めた後、アウターソケットに反力座金(95)を嵌めるには、上記及び図16(a)(b)に示すように、反力座金(95)とナット(93)との位相のズレによっては、アウターソケットが反力座金(95)の凹凸(96)と上手く噛み合わず、アウターソケットを反力座金(95)に嵌めることができなかった。
【0010】
そこで、インナーソケットに形成されたナット(93)の嵌まるナット係合穴(32)を、ナット(93)と同じ六角の内面形状とするのではなく、溝部(33)の底面(33a)の幅を約30°に広げて遊びを持たせたナット係合穴(32)を有するインナーソケット(30)を用いることが提案されている。なお、このインナーソケットの溝部(33)の形状については、本発明の図12の正面図を参照のこと。
【0011】
溝部(33)の幅を広げることで、図示の例では、約30°の遊びを具備することができるから、反力座金(95)とナット(93)との位相のズレが5°や10°のように30°よりかなり小さければ、インナーソケットにナット(93)を噛合させた後、締付機自体を作業者が軸周りに回転させることで、理論上、アウターソケットに反力座金(95)を係合することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、反力座金とナットとの位相の最大ズレは理論上30°であるが部材のばらつきやナットと反力座金とが同心にないことから反力座金とナットとの位相の最大ズレが30°を超える場合があり、この場合には締付機自体を回転させても、アウターソケットに反力座金を係合させることができない。
そこで、このような場合には、締付機を少し作動させてアウターソケットとインナーソケットの位相をずらす所謂インチング作業が必要となる。また、一度のインチング作業でも位相が合わない場合もあり、インチングを何度も繰り返すことになり、作業効率の低下を招くこととなっていた。
【0013】
本発明の目的は、ナットと反力座金との間に位相のズレがあっても、インナーソケットにナットを嵌めた状態で、アウターソケットを反力座金に容易に嵌めることのできるソケットユニットを具えた締付機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明のソケットユニットを具えた締付機は、
構造物から突設されたボルトに嵌められた反力座金とナットを締め付けるソケットユニットを具えた締付機であって、
ソケットユニットは、先端がナットに係合可能なインナーソケットと、該インナーソケットと同心に形成され、先端が反力座金に係合可能なアウターソケットとを有し、
互いに逆方向に回転可能なインナーソケットホルダと、インナーソケットホルダの外周に形成されたアウターソケットホルダを同心に具え、インナーソケットホルダにインナーソケットが着脱可能に係合し、アウターソケットホルダにアウターソケットが着脱可能に係合してなるソケットユニットを具えた締付機において、
インナーソケットを、インナーソケットホルダに対して、周方向に遊びをもって係合するようにした。
【発明の効果】
【0015】
本発明のソケットユニットを具えた締付機によれば、インナーソケットをインナーソケットホルダに対して回転方向に遊びを有する構造としているから、反力座金とナットとの位相のズレに影響されず、インナーソケットにナットを係合させた状態で、締付機自体を作業者が軸周りに回転させることで、インナーソケットをアウターソケットに対して回転させて、インナーソケットに対するアウターソケットの位相をずらすことができる。
従って、反力座金とアウターソケットの位相を一致させることができ、アウターソケットを反力座金に係合させることができる。
【0016】
このため、締付機を作動させて、反力座金とアウターソケットの位相を一致させるインチング等は不要とできるから、本締め作業の効率を飛躍的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】締付機からソケットユニットを取り外した状態を示す斜視図である。
【図2】ソケットユニットの正面図及び側面の一部断面図である。
【図3】反力座金係合部を取り外したアウターソケット本体の正面図、側面の一部断面図及び背面図である。
【図4】アウターソケットの反力座金係合部の断面図及び正面図である。
【図5】インナーソケットの正面図、側面の一部断面図及び背面図である。
【図6】締付機先端の側面の一部断面図である。
【図7】インナーソケットホルダの一部を断面した斜視図である。
【図8】インナーソケットホルダの正面図及び断面図である。
【図9】インナーソケットとインナーソケットホルダの係合状態を示す断面図である。
【図10】インナーソケットとナットの係合状態を示す断面図である。
【図11】本発明の異なる実施例を示す図であって、ソケットユニットの正面図及び側面の一部断面図である。
【図12】ナット側部材の正面図及び側面断面図である。
【図13】ホルダ側部材の正面図、側面断面図及び背面図である。
【図14】ホルダ側部材とナット側部材の係合状体を示す断面図である。
【図15】構造物から突出されたボルトに反力座金とナットを嵌めた状態を示す断面図である。
【図16】図16をナット側から見た図であって、図16(a)は、ナットと反力座金の位相が同じ状態を示す図、図16(b)は、ナットと反力座金の位相が異なる状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、締付機(10)からソケットユニット(20)を取り外した状態を示す斜視図である。
ソケットユニット(20)は、締付機(10)の先端に取り付けられて、図15に示すように、構造物(90)から突出したボルト(91)に反力座金(95)を介して1次締めされたナット(93)の本締めを行なうものである。
以下では、ソケットユニット(20)の構造、締付機(10)の構造を順に説明する。
【0019】
<ソケットユニット>
ソケットユニット(20)は、図1及び図2に示すように、内周側にインナーソケット(30)、外周側にアウターソケット(50)を同心に配備し、インナーソケット(30)とアウターソケット(50)間は、ブッシュ(22)が嵌められ、インナーソケット(30)がアウターソケット(50)に対して回転自在となっている。
【0020】
アウターソケット(50)は、図1乃至図4に示すように、軸方向に貫通して開口する筒状のアウターソケット本体(51)と、該アウターソケット本体(51)に取り付けられる反力座金係合部(60)を有する。
【0021】
アウターソケット本体(51)は、締付機(10)とは逆側(以下「先端」又は「先端側」という)には、反力座金係合部(60)の外周に複数等間隔に突設された取付凸部(63)(図4参照)と噛合する複数の取付凹部(52)(図3参照)を有する。また、アウターソケット本体(51)の周面には、先端近傍に反力座金係合部(60)を一体に固定するためのネジ穴(53)が開設されている。
【0022】
アウターソケット本体(51)の締付機(10)側(以下「基端」又は「基端側」という)は縮径しており、縮径した軸方向に垂直な支持面(54)に、インナーソケット(30)が回転スライド可能に当接する。
【0023】
また、アウターソケット本体(51)の縮径側の周面には、複数の切欠きを有する取付フランジ(55)が突設されており、アウターソケットホルダ(80)のフランジ受部(81)と噛合し、アウターソケットホルダ(80)にアウターソケット(50)を装着した際に回止めとなる。また、取付フランジ(55)よりもさらに基端側には、アウターソケットホルダ(80)に取り付けた際に抜止め用のロックネジ(82)が嵌まる周溝(56)が開設されている。
【0024】
アウターソケット本体(51)の先端に取り付けられる反力座金係合部(60)は、内周に反力座金(95)の外周の凹凸(96)が嵌まる反力座金係合穴(61)を有する。
反力座金係合穴(61)は、反力座金(95)が12条のV字状の凹凸(96)を有する場合、同じ12条のV底の溝条(62)が周方向に等間隔に並んで形成されている。
【0025】
反力座金係合部(60)の外周には、前述したように、アウターソケット本体(51)の取付凹部(52)に嵌まる取付凸部(63)が突設されている。図示の取付凸部(63)は、所定間隔毎に切欠きが形成されており、切欠き間に形成された凸部分が、アウターソケット本体(51)の取付凹部(52)に噛合するようになっている。
【0026】
反力座金係合部(60)の基端は、内径が反力座金係合穴(61)よりも直径が拡大しており、これにより形成された段差が、後述するインナーソケット(30)の抜止め(64)となっている。
【0027】
インナーソケット(30)は、図1、図2及び図5に示すように、軸方向に貫通して開口する筒状のインナーソケット本体(31)をベースに構成され、インナーソケット本体(31)は、先端側が拡径し、内面にナット(93)が一体回転可能に係合するナット係合穴(32)を有する。図示のナット係合穴(32)は、六角ナット(93)との位相が30°ずつズレていても係合可能となるように、12条のV底の溝部(33)が周方向に等間隔に形成されている。
【0028】
インナーソケット(30)は、ナット係合穴(32)よりも基端側で縮径しており、その段部(34)が前記アウターソケット本体(51)の支持面(54)とスライド可能に当接する。
【0029】
インナーソケット本体(31)の基端側は、アウターソケット(50)に取り付けた際に、アウターソケット本体(51)の基端よりも突出しており、突出した周面には、後述するインナーソケットホルダ(70)の凹部(71)と遊びをもって係合する複数の凸部(35)が軸心に沿う方向に突設されている。
【0030】
なお、凸部(35)及び凹部(71)の各幅は、インナーソケットホルダ(70)に対するインナーソケット(30)の要求される遊び量に応じて適宜設定することができる。遊びは30°を超える角度とすることが好適であり、この場合、凸部(35)が凹部(71)内で円周方向に30°を超えて回転可能となるよう形成すればよい。前記遊びは、35°以上45°以下の範囲で設定することが望ましく、40°以上とすることがより望ましい。このように遊びを設定することで、後述するとおり、アウターソケット(50)に反力座金(95)の位相を合わせる箇所を1箇所又は2箇所とすることができるからである。
【0031】
図示の実施例では、凸部(35)は4条であるが、強度的な余裕があれば、2条や3条等とすることもできる。また、要求される遊び量によっては、5条以上とすることも勿論可能である。
【0032】
本実施例では、インナーソケット(30)に凸部(35)、インナーソケットホルダ(70)に凹部(71)を形成するとしているが、凸部(35)と凹部(71)は説明上の呼称であり、インナーソケット(30)に凹部、インナーソケットホルダ(70)に凸部を設けてもよい。さらに、遊びは、凸部と凹部との係合に限定されず、他の構成も採用できる。
【0033】
上記構成のインナーソケット(30)を、ブッシュ(22)を介在させた状態でアウターソケット本体(51)の内部に嵌め、反力座金係合部(60)の取付凸部(63)をアウターソケット本体(51)の取付凹部(52)に噛合させてネジ止めすることにより、図1及び図2に示すソケットユニット(20)を作成することができる。
【0034】
<締付機>
ソケットユニット(20)が着脱可能に取り付けられる締付機(10)は、図1及び図6に示すように、先端内側に配備されたインナーソケットホルダ(70)と、該インナーソケットホルダ(70)の外周に同心に形成されたアウターソケットホルダ(80)を互いに逆方向に回転可能に有している。インナーソケットホルダ(70)とアウターソケットホルダ(80)は、遊星歯車減速機構を介して締付機(10)の動力機構(何れも図示せず)に連繋されて、回転可能となっている。
【0035】
本発明は、締付機(10)のインナーソケットホルダ(70)に対して、上記ソケットユニット(20)のインナーソケット(30)を遊びをもって係合するようにしたことを特徴とするものであり、インナーソケットホルダ(70)及びアウターソケットホルダ(80)を互いに逆方向に回転させる機構については説明を省略する。
【0036】
インナーソケットホルダ(70)は、ソケットユニット(20)のインナーソケット(30)を遊びをもった状態で回転可能に係合する筒状のホルダであり、アウターソケットホルダ(80)より後退した位置に配備され、図1、図6乃至図8に示すように、内周面に軸方向に沿う複数の凹部(71)(71)が設けられている。
凹部(71)には、インナーソケットホルダ(70)にインナーソケット(30)を嵌めたときに、図9に示すように、前述したインナーソケット(30)の凸部(35)が係合可能となっている。
凹部(71)は、インナーソケット(30)の凸部(35)と同じ条数であり、図示の実施例では、4条としている。
凹部(71)は、インナーソケット(30)の凸部(35)よりも幅が広く形成されており、望ましくは、凸部(35)が凹部(71)に嵌まった状態で、インナーソケット(30)がインナーソケットホルダ(70)に対して所望の遊び量だけ回転可能となる幅に設定される。遊びは上述のように、30°を超える角度とすることが好適であり、35°以上45°以下の範囲で設定することが望ましく、40°以上とすることがより望ましい。
【0037】
アウターソケットホルダ(80)は、インナーソケットホルダ(70)の外周にインナーソケットホルダ(70)と逆方向に回転可能に配備された筒状のホルダであり、先端に前述したアウターソケットホルダ(80)の取付フランジ(55)が噛合する複数の切欠きを有するフランジ受部(81)を有する。
また、アウターソケットホルダ(80)の先端近傍には、ネジ穴(83)(83)が開設されており、該ネジ穴(83)(83)には、アウターソケット(50)を取り付けた際に、アウターソケット(50)の基端の周溝(56)に侵入するロックネジ(82)が嵌められる。
【0038】
締付機(10)のインナーソケットホルダ(70)及びアウターソケットホルダ(80)には、ソケットユニット(20)が着脱可能に取り付けられる。
ソケットユニット(20)は、インナーソケット(30)の先端の凸部(35)が、インナーソケットホルダ(70)の内周の凹部(71)に嵌まるように位置合わせした状態で嵌め(図9参照)、次に、アウターソケット(50)の取付フランジ(55)をアウターソケットホルダ(80)のフランジ受部(81)に嵌めて、ソケットユニット(20)が脱落しないようにロックネジ(82)を締め付けることにより、締付機(10)に取り付けられる。
【0039】
アウターソケットホルダ(80)及びインナーソケットホルダ(70)は、締付機(10)の動力機構に連繋されているから、自由な回転は阻止される。従って、締付機(10)にソケットユニット(20)を取り付けると、アウターソケット(50)は、アウターソケットホルダ(80)と一体となって、回転不能となる。
一方、インナーソケット(30)は、アウターソケット(50)に対して回転自在となっており、さらに、インナーソケット(30)は、インナーソケットホルダ(70)に対して回転方向に遊びを有しているから、インナーソケット(30)を遊びの範囲内で回転させることができる。
【0040】
上記構成のソケットユニット(20)を具えた締付機(10)において、1次締めしたナット(93)に所定トルクの本締めを行なう。
本締めは、ボルト(91)の軸心とソケットユニット(20)の軸心を一致させて、ソケットユニット(20)がナット(93)及び反力座金(95)に接近するように締付機(10)を前進させ、この状態で、インナーソケット(30)のナット係合穴(32)にナット(93)を係合させる。
【0041】
ナット係合穴(32)の溝部(33)とナット(93)の位相がズレている場合には、締付機自体を作業者が軸周りに回転させればよい。なお、本実施例では、図5に示すように、ナット係合穴(32)の12条の溝部(33)を有しているから、締付機自体を作業者が軸周りに最大30°回転させることで、ナット係合穴(32)とナット(93)は係合する。
【0042】
インナーソケット(30)とナット(93)が係合した状態で、さらに締付機(10)を前進させて、アウターソケット(50)と反力座金(95)を係合させる。
このとき、反力座金(95)の凹凸(96)とアウターソケット(50)の溝条(62)に位相のズレがなければ、そのまま締付機(10)を前進させることで、アウターソケット(50)を反力座金(95)に係合させることができる。
しかしながら、図16(b)に示すように、ナット(93)と反力座金(95)に1次締めの際に生じた位相のズレがあったり、インナーソケット(30)とアウターソケット(50)に位相のずれがある場合に、上手くアウターソケット(50)を反力座金(95)に係合させることはできない。
【0043】
本発明では、インナーソケット(30)をインナーソケットホルダ(70)に対して回転方向に30°を超える遊びを有する構造としているから、インナーソケット(30)にナット(93)を係合させた状態で、締付機自体を作業者が軸周りに回転させると、インナーソケット(30)がアウターソケット(50)に対して回転して、インナーソケット(30)に対するアウターソケット(50)の位相がズレるから、反力座金(95)の凹凸(96)の位相とアウターソケット(50)の反力座金係合穴(61)の溝条(62)の位相を一致させることができ、アウターソケット(50)を反力座金(95)に係合させることができる。
また、遊びが30°であると、位相を合わせる箇所が1箇所以下になってしまうが、遊びを30°を超える角度とすることで、位相を合わせる箇所が1箇所又は2箇所となり、アウターソケット(50)に反力座金(95)を係合させやすくなる。
【0044】
従って、締付機(10)を作動させて、反力座金(95)とアウターソケット(50)の位相を一致させるインチング等は不要とできるから、本締め作業の効率を飛躍的に向上させることができる。
【0045】
なお、上記では、インナーソケット(30)のナット係合穴(32)は、12条の溝部(33)を有しているが、溝部(33)は6条や18条等とすることもできる。
【0046】
また、インナーソケット(30)のナット係合穴(32)について、図10に示すように、ナット(93)が係合する溝部(33)の底面(33a)を、円周方向に幅を有する6条の溝形状とした場合、ナット係合穴(32)に対するナット(93)の遊びと、インナーソケット(30)とインナーソケットホルダ(70)との円周方向の遊びとの合計が30°を超える角度となるようにすることもできる。なお、遊びの合計は、上記と同様、35°以上45°以下とすることが望ましく、40°以上とすることがより望ましい。
例えば、遊びの合計を40°とする場合、ナット係合穴(32)とナット(93)との遊びが30°であれば、インナーソケット(30)とインナーソケットホルダ(70)との遊びが10°となるようにすればよい。
【0047】
<他の実施例>
図11乃至図14は、本発明の異なる実施例を示している。
上記実施例では、インナーソケット(30)とインナーソケットホルダ(70)との間に遊びをもたせることで、インナーソケットホルダ(70)に対してインナーソケット(30)を回動自在としているが、本実施例では、インナーソケット(30)をナット側部材(40)とホルダ側部材(45)に2つに分割し、ナット側部材(40)とホルダ側部材(45)との間に遊びをもたせて、ナット側部材(40)をホルダ側部材(45)に対して回動自在としたものである。
なお、アウターソケット(50)については、上記実施例と同様であるため説明を省略する。
【0048】
インナーソケット(30)は、図11に示すように、先端のナット側部材(40)と基端のホルダ側部材(45)から構成され、アウターソケット(50)に収容される。
【0049】
ナット側部材(40)は、ナット(93)とホルダ側部材(45)が夫々係合可能な係合穴(42)が軸方向に貫通して略全長に亘って形成されている。
係合穴(42)は、内周にナット(93)とホルダ側部材(45)を係合可能な溝部(33)を有しており、該溝部(33)は、図12に示すように、底面(33a)に円周方向の幅を有し、ナット(93)とホルダ側部材(45)を夫々円周方向に遊びをもって嵌めることができる(上記実施例の図10参照)。
【0050】
図示の実施例では、溝部底面(33a)は約30°の幅を有し、ナット(93)とホルダ側部材(45)を夫々係合穴(42)に対して約30°ずつ遊びをもって嵌めることができる。
【0051】
ナット側部材(40)の基端は、内周が拡径し、次に説明するホルダ側部材(45)の受部(43)をなしている。
【0052】
ホルダ側部材(45)は、先端に図11及び図13に示すように、締め付けられるナット(93)と略同一外形の六角形状の嵌合部材(46)を具え、該嵌合部材(46)は図11及び図14に示すように、ナット側部材(40)の係合穴(42)に嵌合している。
【0053】
嵌合部材(46)の基端は、拡径しており、前記ナット側部材(40)の受部(43)に回動自在に嵌まる突条(47)が構成されている。
さらに、突条(47)よりも基端側は、軸心に沿う方向に複数の取付突条(48)が突設されており、インナーソケットホルダ(70)に形成された取付凹溝(図示せず)と遊びなく係合し、インナーソケットホルダ(70)に従動して回転する。
【0054】
ホルダ側部材(45)は、嵌合部材(46)をナット側部材(40)の係合穴(42)に嵌めて、アウターソケット本体(51)に収容し、アウターソケット(50)の反力座金係合部(60)で脱落不能となっている。
【0055】
上記構成のソケットユニット(20)について、インナーソケット(30)は、図14に示すように、ホルダ側部材(45)の嵌合部材(46)とナット側部材(40)の係合穴(42)は遊びを有して係合されているから、ナット側部材(40)は、ホルダ側部材(45)に対して遊び量だけ回動自在となっている。本実施例では、ホルダ側部材(45)とナット側部材(40)の遊びは約30°である。
また、ナット側部材(40)の係合穴(42)は、ナット(93)に対しても遊びを有して係合可能であるから、ナット(93)は、係合穴(42)に対して円周方向に遊びをもって嵌めることができる。本実施例では、ナット側部材(40)とナット(93)との遊びは約30°である。
【0056】
従って、インナーソケットホルダ(70)に対して回動不能に取り付けられたホルダ側部材(45)に対して、ナット(93)は、上記遊びの2倍、すなわち、本実施例では約60°の遊びを有することとなる。
【0057】
上記ソケットユニット(20)を具えた締付機(10)において、1次締めしたナット(93)に所定トルクの本締めを行なう。
本締めは、ボルト(91)の軸心とソケットユニット(20)の軸心を一致させて、ソケットユニット(20)がナット(93)及び反力座金(95)に接近するように締付機(10)を前進させ、この状態で、インナーソケット(30)の係合穴(42)にナット(93)を係合させる。
【0058】
ナット係合穴(32)の溝部(33)とナット(93)の位相がズレている場合には、締付機自体を作業者が軸周りに回転させればよい。なお、本実施例では、図10に示すように、係合穴(42)は、溝部(33)が約30°の底面(33a)を有しているから、締付機自体を作業者が軸周りに最大30°回転させることで、係合穴(42)とナット(93)は係合する。
【0059】
インナーソケット(30)とナット(93)が係合した状態で、さらに締付機(10)を前進させて、アウターソケット(50)と反力座金(95)を係合させる。
このとき、反力座金(95)の凹凸(96)とアウターソケット(50)の溝条(62)に位相のズレがなければ、そのまま締付機(10)を前進させることで、アウターソケット(50)を反力座金(95)に係合させることができる。
しかしながら、図16(b)に示すように、ナット(93)と反力座金(95)に1次締めの際に生じた位相のズレがあったり、インナーソケット(30)とアウターソケット(50)に位相のずれがある場合に、上手くアウターソケット(50)は反力座金(95)に係合させることはできない。
【0060】
本発明では、インナーソケット(30)は、ホルダ側部材(45)に対してナット側部材(40)が周方向に遊びを有し、さらに、ナット側部材(40)に対してナット(93)が周方向に遊びを有する構造としているから、インナーソケット(30)にナット(93)を係合させた状態で、締付機自体を作業者が軸周りに回転させると、ホルダ側部材(45)に対してナット側部材(40)が回転し、さらに、ナット側部材(40)に対してナット(93)が回転するため、ナット(93)に対するアウターソケット(50)の位相をずらすことができ、反力座金(95)の凹凸(96)の位相とアウターソケット(50)の反力座金係合穴(61)の溝条(62)の位相を一致させて、アウターソケット(50)を反力座金(95)に係合させることができる。
【0061】
従って、締付機(10)を作動させて、反力座金(95)とアウターソケット(50)の位相を一致させるインチング等は不要とできるから、本締め作業の効率を飛躍的に向上させることができる。
【0062】
上記実施例では、ナット側部材(40)とホルダ側部材(45)及びナット(93)との遊びを約30°(合計約60°)としている。しかしながら、遊びの合計は、これに限定されるものではなく、30°を超える角度とすることが好適であり、35°以上45°以下とすることが望ましく、40°以上とすることがより望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、ナットと反力座金との間に位相のズレがあっても、インナーソケットにナットを嵌めた状態で、アウターソケットを反力座金に容易に嵌めることのできるソケットユニットを具えた締付機として有用である。
【符号の説明】
【0064】
(10) 締付機
(20) ソケットユニット
(30) インナーソケット
(35) 凸部
(50) アウターソケット
(60) 反力座金係合部
(70) インナーソケットホルダ
(71) 凹部
(80) アウターソケットホルダ
(93) ナット
(95) 反力座金
【技術分野】
【0001】
本発明は、反力座金を介在させてナットを締結するために用いられるソケットユニット及びこれを具えた締付機に関するものであり、より具体的には、ナットと反力座金との間に位相のズレがあっても、インナーソケットにナットを嵌めた状態で、アウターソケットを反力座金に容易に嵌めることのできるソケットユニットを具えた締付機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
構造物どうしを締結する際に、図15に示すように、構造物(90)から突設されたボルト(91)に対し、反力座金(95)を嵌め、該反力座金(95)の上からナット(93)を締め付ける工法が知られている。反力座金(95)は、円盤状の座金の周面に約30°毎にV字状の溝を12条繰り返し形成した凹凸(96)を有しており、先端にソケットユニットを具えた締付機を用いて、反力座金(95)によって締付反力を受けつつ、ナット(93)の締付けが行なわれる。
【0003】
締付機は、互いに逆方向に回転する内側のインナーソケットホルダと外側のアウターソケットホルダを同心に有し、ソケットユニットは、同心に形成されたインナーソケットとアウターソケットを有する。
【0004】
インナーソケットは、基端側外周に締付機のインナーソケットホルダと着脱可能に係合する取付突条を有し、インナーソケットホルダの内周に形成された取付溝部と周方向に遊びなく嵌まっている。また、アウターソケットも、アウターソケットホルダと着脱可能に係合し、締付機を作動させることで、インナーソケットとアウターソケットは、互いに逆方向に回転可能となっている。
【0005】
ナット(93)の締付けは、インナーソケットの先端内周面をナット(93)に嵌めた後、アウターソケットの先端内周面を反力座金(95)に嵌めた状態で、締付機を作動させることにより行なわれる。
【0006】
ナット(93)は、予め設定されたトルクで締め付ける必要があるが、ナット(93)を設定トルクで締め付ける所謂本締め作業の前に、1次締め(仮締め)が行なわれる。この1次締め作業において、図16(a)に示すように、反力座金(95)とナット(93)の回転方向の位置(以下「位相」という)が一致することもあるが、殆んどの場合、図16(b)に示すように、反力座金(95)とナット(93)の位相がズレてしまう。
【0007】
ナット(93)と反力座金(95)を比べた場合、図15に示すように、ナット(93)の方が厚みがあるため、ソケットユニットをナット(93)及び反力座金(95)に嵌める際に、インナーソケットが先にナット(93)に嵌まり、ソケットユニットをさらに前進させることで、アウターソケットが反力座金(95)に嵌まる。
【0008】
インナーソケットとナット(93)を嵌める際に、インナーソケットとナット(93)との間に位相のズレがあっても、締付機自体を作業者が軸周りに回転させることで位相のズレを解消することができるから、インナーソケットをナット(93)に嵌めることができる。
【0009】
しかしながら、インナーソケットにナット(93)を嵌めた後、アウターソケットに反力座金(95)を嵌めるには、上記及び図16(a)(b)に示すように、反力座金(95)とナット(93)との位相のズレによっては、アウターソケットが反力座金(95)の凹凸(96)と上手く噛み合わず、アウターソケットを反力座金(95)に嵌めることができなかった。
【0010】
そこで、インナーソケットに形成されたナット(93)の嵌まるナット係合穴(32)を、ナット(93)と同じ六角の内面形状とするのではなく、溝部(33)の底面(33a)の幅を約30°に広げて遊びを持たせたナット係合穴(32)を有するインナーソケット(30)を用いることが提案されている。なお、このインナーソケットの溝部(33)の形状については、本発明の図12の正面図を参照のこと。
【0011】
溝部(33)の幅を広げることで、図示の例では、約30°の遊びを具備することができるから、反力座金(95)とナット(93)との位相のズレが5°や10°のように30°よりかなり小さければ、インナーソケットにナット(93)を噛合させた後、締付機自体を作業者が軸周りに回転させることで、理論上、アウターソケットに反力座金(95)を係合することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、反力座金とナットとの位相の最大ズレは理論上30°であるが部材のばらつきやナットと反力座金とが同心にないことから反力座金とナットとの位相の最大ズレが30°を超える場合があり、この場合には締付機自体を回転させても、アウターソケットに反力座金を係合させることができない。
そこで、このような場合には、締付機を少し作動させてアウターソケットとインナーソケットの位相をずらす所謂インチング作業が必要となる。また、一度のインチング作業でも位相が合わない場合もあり、インチングを何度も繰り返すことになり、作業効率の低下を招くこととなっていた。
【0013】
本発明の目的は、ナットと反力座金との間に位相のズレがあっても、インナーソケットにナットを嵌めた状態で、アウターソケットを反力座金に容易に嵌めることのできるソケットユニットを具えた締付機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明のソケットユニットを具えた締付機は、
構造物から突設されたボルトに嵌められた反力座金とナットを締め付けるソケットユニットを具えた締付機であって、
ソケットユニットは、先端がナットに係合可能なインナーソケットと、該インナーソケットと同心に形成され、先端が反力座金に係合可能なアウターソケットとを有し、
互いに逆方向に回転可能なインナーソケットホルダと、インナーソケットホルダの外周に形成されたアウターソケットホルダを同心に具え、インナーソケットホルダにインナーソケットが着脱可能に係合し、アウターソケットホルダにアウターソケットが着脱可能に係合してなるソケットユニットを具えた締付機において、
インナーソケットを、インナーソケットホルダに対して、周方向に遊びをもって係合するようにした。
【発明の効果】
【0015】
本発明のソケットユニットを具えた締付機によれば、インナーソケットをインナーソケットホルダに対して回転方向に遊びを有する構造としているから、反力座金とナットとの位相のズレに影響されず、インナーソケットにナットを係合させた状態で、締付機自体を作業者が軸周りに回転させることで、インナーソケットをアウターソケットに対して回転させて、インナーソケットに対するアウターソケットの位相をずらすことができる。
従って、反力座金とアウターソケットの位相を一致させることができ、アウターソケットを反力座金に係合させることができる。
【0016】
このため、締付機を作動させて、反力座金とアウターソケットの位相を一致させるインチング等は不要とできるから、本締め作業の効率を飛躍的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】締付機からソケットユニットを取り外した状態を示す斜視図である。
【図2】ソケットユニットの正面図及び側面の一部断面図である。
【図3】反力座金係合部を取り外したアウターソケット本体の正面図、側面の一部断面図及び背面図である。
【図4】アウターソケットの反力座金係合部の断面図及び正面図である。
【図5】インナーソケットの正面図、側面の一部断面図及び背面図である。
【図6】締付機先端の側面の一部断面図である。
【図7】インナーソケットホルダの一部を断面した斜視図である。
【図8】インナーソケットホルダの正面図及び断面図である。
【図9】インナーソケットとインナーソケットホルダの係合状態を示す断面図である。
【図10】インナーソケットとナットの係合状態を示す断面図である。
【図11】本発明の異なる実施例を示す図であって、ソケットユニットの正面図及び側面の一部断面図である。
【図12】ナット側部材の正面図及び側面断面図である。
【図13】ホルダ側部材の正面図、側面断面図及び背面図である。
【図14】ホルダ側部材とナット側部材の係合状体を示す断面図である。
【図15】構造物から突出されたボルトに反力座金とナットを嵌めた状態を示す断面図である。
【図16】図16をナット側から見た図であって、図16(a)は、ナットと反力座金の位相が同じ状態を示す図、図16(b)は、ナットと反力座金の位相が異なる状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、締付機(10)からソケットユニット(20)を取り外した状態を示す斜視図である。
ソケットユニット(20)は、締付機(10)の先端に取り付けられて、図15に示すように、構造物(90)から突出したボルト(91)に反力座金(95)を介して1次締めされたナット(93)の本締めを行なうものである。
以下では、ソケットユニット(20)の構造、締付機(10)の構造を順に説明する。
【0019】
<ソケットユニット>
ソケットユニット(20)は、図1及び図2に示すように、内周側にインナーソケット(30)、外周側にアウターソケット(50)を同心に配備し、インナーソケット(30)とアウターソケット(50)間は、ブッシュ(22)が嵌められ、インナーソケット(30)がアウターソケット(50)に対して回転自在となっている。
【0020】
アウターソケット(50)は、図1乃至図4に示すように、軸方向に貫通して開口する筒状のアウターソケット本体(51)と、該アウターソケット本体(51)に取り付けられる反力座金係合部(60)を有する。
【0021】
アウターソケット本体(51)は、締付機(10)とは逆側(以下「先端」又は「先端側」という)には、反力座金係合部(60)の外周に複数等間隔に突設された取付凸部(63)(図4参照)と噛合する複数の取付凹部(52)(図3参照)を有する。また、アウターソケット本体(51)の周面には、先端近傍に反力座金係合部(60)を一体に固定するためのネジ穴(53)が開設されている。
【0022】
アウターソケット本体(51)の締付機(10)側(以下「基端」又は「基端側」という)は縮径しており、縮径した軸方向に垂直な支持面(54)に、インナーソケット(30)が回転スライド可能に当接する。
【0023】
また、アウターソケット本体(51)の縮径側の周面には、複数の切欠きを有する取付フランジ(55)が突設されており、アウターソケットホルダ(80)のフランジ受部(81)と噛合し、アウターソケットホルダ(80)にアウターソケット(50)を装着した際に回止めとなる。また、取付フランジ(55)よりもさらに基端側には、アウターソケットホルダ(80)に取り付けた際に抜止め用のロックネジ(82)が嵌まる周溝(56)が開設されている。
【0024】
アウターソケット本体(51)の先端に取り付けられる反力座金係合部(60)は、内周に反力座金(95)の外周の凹凸(96)が嵌まる反力座金係合穴(61)を有する。
反力座金係合穴(61)は、反力座金(95)が12条のV字状の凹凸(96)を有する場合、同じ12条のV底の溝条(62)が周方向に等間隔に並んで形成されている。
【0025】
反力座金係合部(60)の外周には、前述したように、アウターソケット本体(51)の取付凹部(52)に嵌まる取付凸部(63)が突設されている。図示の取付凸部(63)は、所定間隔毎に切欠きが形成されており、切欠き間に形成された凸部分が、アウターソケット本体(51)の取付凹部(52)に噛合するようになっている。
【0026】
反力座金係合部(60)の基端は、内径が反力座金係合穴(61)よりも直径が拡大しており、これにより形成された段差が、後述するインナーソケット(30)の抜止め(64)となっている。
【0027】
インナーソケット(30)は、図1、図2及び図5に示すように、軸方向に貫通して開口する筒状のインナーソケット本体(31)をベースに構成され、インナーソケット本体(31)は、先端側が拡径し、内面にナット(93)が一体回転可能に係合するナット係合穴(32)を有する。図示のナット係合穴(32)は、六角ナット(93)との位相が30°ずつズレていても係合可能となるように、12条のV底の溝部(33)が周方向に等間隔に形成されている。
【0028】
インナーソケット(30)は、ナット係合穴(32)よりも基端側で縮径しており、その段部(34)が前記アウターソケット本体(51)の支持面(54)とスライド可能に当接する。
【0029】
インナーソケット本体(31)の基端側は、アウターソケット(50)に取り付けた際に、アウターソケット本体(51)の基端よりも突出しており、突出した周面には、後述するインナーソケットホルダ(70)の凹部(71)と遊びをもって係合する複数の凸部(35)が軸心に沿う方向に突設されている。
【0030】
なお、凸部(35)及び凹部(71)の各幅は、インナーソケットホルダ(70)に対するインナーソケット(30)の要求される遊び量に応じて適宜設定することができる。遊びは30°を超える角度とすることが好適であり、この場合、凸部(35)が凹部(71)内で円周方向に30°を超えて回転可能となるよう形成すればよい。前記遊びは、35°以上45°以下の範囲で設定することが望ましく、40°以上とすることがより望ましい。このように遊びを設定することで、後述するとおり、アウターソケット(50)に反力座金(95)の位相を合わせる箇所を1箇所又は2箇所とすることができるからである。
【0031】
図示の実施例では、凸部(35)は4条であるが、強度的な余裕があれば、2条や3条等とすることもできる。また、要求される遊び量によっては、5条以上とすることも勿論可能である。
【0032】
本実施例では、インナーソケット(30)に凸部(35)、インナーソケットホルダ(70)に凹部(71)を形成するとしているが、凸部(35)と凹部(71)は説明上の呼称であり、インナーソケット(30)に凹部、インナーソケットホルダ(70)に凸部を設けてもよい。さらに、遊びは、凸部と凹部との係合に限定されず、他の構成も採用できる。
【0033】
上記構成のインナーソケット(30)を、ブッシュ(22)を介在させた状態でアウターソケット本体(51)の内部に嵌め、反力座金係合部(60)の取付凸部(63)をアウターソケット本体(51)の取付凹部(52)に噛合させてネジ止めすることにより、図1及び図2に示すソケットユニット(20)を作成することができる。
【0034】
<締付機>
ソケットユニット(20)が着脱可能に取り付けられる締付機(10)は、図1及び図6に示すように、先端内側に配備されたインナーソケットホルダ(70)と、該インナーソケットホルダ(70)の外周に同心に形成されたアウターソケットホルダ(80)を互いに逆方向に回転可能に有している。インナーソケットホルダ(70)とアウターソケットホルダ(80)は、遊星歯車減速機構を介して締付機(10)の動力機構(何れも図示せず)に連繋されて、回転可能となっている。
【0035】
本発明は、締付機(10)のインナーソケットホルダ(70)に対して、上記ソケットユニット(20)のインナーソケット(30)を遊びをもって係合するようにしたことを特徴とするものであり、インナーソケットホルダ(70)及びアウターソケットホルダ(80)を互いに逆方向に回転させる機構については説明を省略する。
【0036】
インナーソケットホルダ(70)は、ソケットユニット(20)のインナーソケット(30)を遊びをもった状態で回転可能に係合する筒状のホルダであり、アウターソケットホルダ(80)より後退した位置に配備され、図1、図6乃至図8に示すように、内周面に軸方向に沿う複数の凹部(71)(71)が設けられている。
凹部(71)には、インナーソケットホルダ(70)にインナーソケット(30)を嵌めたときに、図9に示すように、前述したインナーソケット(30)の凸部(35)が係合可能となっている。
凹部(71)は、インナーソケット(30)の凸部(35)と同じ条数であり、図示の実施例では、4条としている。
凹部(71)は、インナーソケット(30)の凸部(35)よりも幅が広く形成されており、望ましくは、凸部(35)が凹部(71)に嵌まった状態で、インナーソケット(30)がインナーソケットホルダ(70)に対して所望の遊び量だけ回転可能となる幅に設定される。遊びは上述のように、30°を超える角度とすることが好適であり、35°以上45°以下の範囲で設定することが望ましく、40°以上とすることがより望ましい。
【0037】
アウターソケットホルダ(80)は、インナーソケットホルダ(70)の外周にインナーソケットホルダ(70)と逆方向に回転可能に配備された筒状のホルダであり、先端に前述したアウターソケットホルダ(80)の取付フランジ(55)が噛合する複数の切欠きを有するフランジ受部(81)を有する。
また、アウターソケットホルダ(80)の先端近傍には、ネジ穴(83)(83)が開設されており、該ネジ穴(83)(83)には、アウターソケット(50)を取り付けた際に、アウターソケット(50)の基端の周溝(56)に侵入するロックネジ(82)が嵌められる。
【0038】
締付機(10)のインナーソケットホルダ(70)及びアウターソケットホルダ(80)には、ソケットユニット(20)が着脱可能に取り付けられる。
ソケットユニット(20)は、インナーソケット(30)の先端の凸部(35)が、インナーソケットホルダ(70)の内周の凹部(71)に嵌まるように位置合わせした状態で嵌め(図9参照)、次に、アウターソケット(50)の取付フランジ(55)をアウターソケットホルダ(80)のフランジ受部(81)に嵌めて、ソケットユニット(20)が脱落しないようにロックネジ(82)を締め付けることにより、締付機(10)に取り付けられる。
【0039】
アウターソケットホルダ(80)及びインナーソケットホルダ(70)は、締付機(10)の動力機構に連繋されているから、自由な回転は阻止される。従って、締付機(10)にソケットユニット(20)を取り付けると、アウターソケット(50)は、アウターソケットホルダ(80)と一体となって、回転不能となる。
一方、インナーソケット(30)は、アウターソケット(50)に対して回転自在となっており、さらに、インナーソケット(30)は、インナーソケットホルダ(70)に対して回転方向に遊びを有しているから、インナーソケット(30)を遊びの範囲内で回転させることができる。
【0040】
上記構成のソケットユニット(20)を具えた締付機(10)において、1次締めしたナット(93)に所定トルクの本締めを行なう。
本締めは、ボルト(91)の軸心とソケットユニット(20)の軸心を一致させて、ソケットユニット(20)がナット(93)及び反力座金(95)に接近するように締付機(10)を前進させ、この状態で、インナーソケット(30)のナット係合穴(32)にナット(93)を係合させる。
【0041】
ナット係合穴(32)の溝部(33)とナット(93)の位相がズレている場合には、締付機自体を作業者が軸周りに回転させればよい。なお、本実施例では、図5に示すように、ナット係合穴(32)の12条の溝部(33)を有しているから、締付機自体を作業者が軸周りに最大30°回転させることで、ナット係合穴(32)とナット(93)は係合する。
【0042】
インナーソケット(30)とナット(93)が係合した状態で、さらに締付機(10)を前進させて、アウターソケット(50)と反力座金(95)を係合させる。
このとき、反力座金(95)の凹凸(96)とアウターソケット(50)の溝条(62)に位相のズレがなければ、そのまま締付機(10)を前進させることで、アウターソケット(50)を反力座金(95)に係合させることができる。
しかしながら、図16(b)に示すように、ナット(93)と反力座金(95)に1次締めの際に生じた位相のズレがあったり、インナーソケット(30)とアウターソケット(50)に位相のずれがある場合に、上手くアウターソケット(50)を反力座金(95)に係合させることはできない。
【0043】
本発明では、インナーソケット(30)をインナーソケットホルダ(70)に対して回転方向に30°を超える遊びを有する構造としているから、インナーソケット(30)にナット(93)を係合させた状態で、締付機自体を作業者が軸周りに回転させると、インナーソケット(30)がアウターソケット(50)に対して回転して、インナーソケット(30)に対するアウターソケット(50)の位相がズレるから、反力座金(95)の凹凸(96)の位相とアウターソケット(50)の反力座金係合穴(61)の溝条(62)の位相を一致させることができ、アウターソケット(50)を反力座金(95)に係合させることができる。
また、遊びが30°であると、位相を合わせる箇所が1箇所以下になってしまうが、遊びを30°を超える角度とすることで、位相を合わせる箇所が1箇所又は2箇所となり、アウターソケット(50)に反力座金(95)を係合させやすくなる。
【0044】
従って、締付機(10)を作動させて、反力座金(95)とアウターソケット(50)の位相を一致させるインチング等は不要とできるから、本締め作業の効率を飛躍的に向上させることができる。
【0045】
なお、上記では、インナーソケット(30)のナット係合穴(32)は、12条の溝部(33)を有しているが、溝部(33)は6条や18条等とすることもできる。
【0046】
また、インナーソケット(30)のナット係合穴(32)について、図10に示すように、ナット(93)が係合する溝部(33)の底面(33a)を、円周方向に幅を有する6条の溝形状とした場合、ナット係合穴(32)に対するナット(93)の遊びと、インナーソケット(30)とインナーソケットホルダ(70)との円周方向の遊びとの合計が30°を超える角度となるようにすることもできる。なお、遊びの合計は、上記と同様、35°以上45°以下とすることが望ましく、40°以上とすることがより望ましい。
例えば、遊びの合計を40°とする場合、ナット係合穴(32)とナット(93)との遊びが30°であれば、インナーソケット(30)とインナーソケットホルダ(70)との遊びが10°となるようにすればよい。
【0047】
<他の実施例>
図11乃至図14は、本発明の異なる実施例を示している。
上記実施例では、インナーソケット(30)とインナーソケットホルダ(70)との間に遊びをもたせることで、インナーソケットホルダ(70)に対してインナーソケット(30)を回動自在としているが、本実施例では、インナーソケット(30)をナット側部材(40)とホルダ側部材(45)に2つに分割し、ナット側部材(40)とホルダ側部材(45)との間に遊びをもたせて、ナット側部材(40)をホルダ側部材(45)に対して回動自在としたものである。
なお、アウターソケット(50)については、上記実施例と同様であるため説明を省略する。
【0048】
インナーソケット(30)は、図11に示すように、先端のナット側部材(40)と基端のホルダ側部材(45)から構成され、アウターソケット(50)に収容される。
【0049】
ナット側部材(40)は、ナット(93)とホルダ側部材(45)が夫々係合可能な係合穴(42)が軸方向に貫通して略全長に亘って形成されている。
係合穴(42)は、内周にナット(93)とホルダ側部材(45)を係合可能な溝部(33)を有しており、該溝部(33)は、図12に示すように、底面(33a)に円周方向の幅を有し、ナット(93)とホルダ側部材(45)を夫々円周方向に遊びをもって嵌めることができる(上記実施例の図10参照)。
【0050】
図示の実施例では、溝部底面(33a)は約30°の幅を有し、ナット(93)とホルダ側部材(45)を夫々係合穴(42)に対して約30°ずつ遊びをもって嵌めることができる。
【0051】
ナット側部材(40)の基端は、内周が拡径し、次に説明するホルダ側部材(45)の受部(43)をなしている。
【0052】
ホルダ側部材(45)は、先端に図11及び図13に示すように、締め付けられるナット(93)と略同一外形の六角形状の嵌合部材(46)を具え、該嵌合部材(46)は図11及び図14に示すように、ナット側部材(40)の係合穴(42)に嵌合している。
【0053】
嵌合部材(46)の基端は、拡径しており、前記ナット側部材(40)の受部(43)に回動自在に嵌まる突条(47)が構成されている。
さらに、突条(47)よりも基端側は、軸心に沿う方向に複数の取付突条(48)が突設されており、インナーソケットホルダ(70)に形成された取付凹溝(図示せず)と遊びなく係合し、インナーソケットホルダ(70)に従動して回転する。
【0054】
ホルダ側部材(45)は、嵌合部材(46)をナット側部材(40)の係合穴(42)に嵌めて、アウターソケット本体(51)に収容し、アウターソケット(50)の反力座金係合部(60)で脱落不能となっている。
【0055】
上記構成のソケットユニット(20)について、インナーソケット(30)は、図14に示すように、ホルダ側部材(45)の嵌合部材(46)とナット側部材(40)の係合穴(42)は遊びを有して係合されているから、ナット側部材(40)は、ホルダ側部材(45)に対して遊び量だけ回動自在となっている。本実施例では、ホルダ側部材(45)とナット側部材(40)の遊びは約30°である。
また、ナット側部材(40)の係合穴(42)は、ナット(93)に対しても遊びを有して係合可能であるから、ナット(93)は、係合穴(42)に対して円周方向に遊びをもって嵌めることができる。本実施例では、ナット側部材(40)とナット(93)との遊びは約30°である。
【0056】
従って、インナーソケットホルダ(70)に対して回動不能に取り付けられたホルダ側部材(45)に対して、ナット(93)は、上記遊びの2倍、すなわち、本実施例では約60°の遊びを有することとなる。
【0057】
上記ソケットユニット(20)を具えた締付機(10)において、1次締めしたナット(93)に所定トルクの本締めを行なう。
本締めは、ボルト(91)の軸心とソケットユニット(20)の軸心を一致させて、ソケットユニット(20)がナット(93)及び反力座金(95)に接近するように締付機(10)を前進させ、この状態で、インナーソケット(30)の係合穴(42)にナット(93)を係合させる。
【0058】
ナット係合穴(32)の溝部(33)とナット(93)の位相がズレている場合には、締付機自体を作業者が軸周りに回転させればよい。なお、本実施例では、図10に示すように、係合穴(42)は、溝部(33)が約30°の底面(33a)を有しているから、締付機自体を作業者が軸周りに最大30°回転させることで、係合穴(42)とナット(93)は係合する。
【0059】
インナーソケット(30)とナット(93)が係合した状態で、さらに締付機(10)を前進させて、アウターソケット(50)と反力座金(95)を係合させる。
このとき、反力座金(95)の凹凸(96)とアウターソケット(50)の溝条(62)に位相のズレがなければ、そのまま締付機(10)を前進させることで、アウターソケット(50)を反力座金(95)に係合させることができる。
しかしながら、図16(b)に示すように、ナット(93)と反力座金(95)に1次締めの際に生じた位相のズレがあったり、インナーソケット(30)とアウターソケット(50)に位相のずれがある場合に、上手くアウターソケット(50)は反力座金(95)に係合させることはできない。
【0060】
本発明では、インナーソケット(30)は、ホルダ側部材(45)に対してナット側部材(40)が周方向に遊びを有し、さらに、ナット側部材(40)に対してナット(93)が周方向に遊びを有する構造としているから、インナーソケット(30)にナット(93)を係合させた状態で、締付機自体を作業者が軸周りに回転させると、ホルダ側部材(45)に対してナット側部材(40)が回転し、さらに、ナット側部材(40)に対してナット(93)が回転するため、ナット(93)に対するアウターソケット(50)の位相をずらすことができ、反力座金(95)の凹凸(96)の位相とアウターソケット(50)の反力座金係合穴(61)の溝条(62)の位相を一致させて、アウターソケット(50)を反力座金(95)に係合させることができる。
【0061】
従って、締付機(10)を作動させて、反力座金(95)とアウターソケット(50)の位相を一致させるインチング等は不要とできるから、本締め作業の効率を飛躍的に向上させることができる。
【0062】
上記実施例では、ナット側部材(40)とホルダ側部材(45)及びナット(93)との遊びを約30°(合計約60°)としている。しかしながら、遊びの合計は、これに限定されるものではなく、30°を超える角度とすることが好適であり、35°以上45°以下とすることが望ましく、40°以上とすることがより望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、ナットと反力座金との間に位相のズレがあっても、インナーソケットにナットを嵌めた状態で、アウターソケットを反力座金に容易に嵌めることのできるソケットユニットを具えた締付機として有用である。
【符号の説明】
【0064】
(10) 締付機
(20) ソケットユニット
(30) インナーソケット
(35) 凸部
(50) アウターソケット
(60) 反力座金係合部
(70) インナーソケットホルダ
(71) 凹部
(80) アウターソケットホルダ
(93) ナット
(95) 反力座金
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物から突設されたボルトに嵌められた反力座金とナットを締め付けるソケットユニットを具えた締付機であって、
ソケットユニットは、先端がナットに係合可能なインナーソケットと、該インナーソケットと同心に形成され、先端が反力座金に係合可能なアウターソケットとを有し、
互いに逆方向に回転可能なインナーソケットホルダと、インナーソケットホルダの外周に形成されたアウターソケットホルダを同心に具え、インナーソケットホルダにインナーソケットが着脱可能に係合し、アウターソケットホルダにアウターソケットが着脱可能に係合してなるソケットユニットを具えた締付機において、
インナーソケットは、インナーソケットホルダに対して、周方向に遊びをもって係合していることを特徴とするソケットユニットを具えた締付機。
【請求項2】
インナーソケットホルダに対して、インナーソケットは円周方向に30°を超えて回転できる遊びを有する請求項1に記載のソケットユニットを具えた締付機。
【請求項3】
インナーソケットホルダ又はインナーソケットの一方に軸心に沿う方向に凸部が形成され、他方には、軸心に沿う方向に形成された凹部であって、前記凸部が円周方向に遊びをもって嵌まる凹部が形成されている請求項1に記載のソケットユニットを具えた締付機。
【請求項4】
前記凹部と凸部は、インナーソケットホルダに対してインナーソケットを円周方向に30°を超えて回転できる遊びを有し、
インナーソケットは、ナットが係合する12条の溝条が周方向に等間隔に形成されたナット係合穴を有する請求項3に記載のソケットユニット。
【請求項5】
インナーソケットは、ナットが係合する6条の溝部が周方向に等間隔に形成されたナット係合穴を具え、各溝部の底面は、円周方向に幅を具備して、ナットに対して周方向に遊びを有しており、該遊びと、前記凹部と凸部の円周方向の遊びとの合計が30°を超える請求項3に記載のソケットユニット。
【請求項1】
構造物から突設されたボルトに嵌められた反力座金とナットを締め付けるソケットユニットを具えた締付機であって、
ソケットユニットは、先端がナットに係合可能なインナーソケットと、該インナーソケットと同心に形成され、先端が反力座金に係合可能なアウターソケットとを有し、
互いに逆方向に回転可能なインナーソケットホルダと、インナーソケットホルダの外周に形成されたアウターソケットホルダを同心に具え、インナーソケットホルダにインナーソケットが着脱可能に係合し、アウターソケットホルダにアウターソケットが着脱可能に係合してなるソケットユニットを具えた締付機において、
インナーソケットは、インナーソケットホルダに対して、周方向に遊びをもって係合していることを特徴とするソケットユニットを具えた締付機。
【請求項2】
インナーソケットホルダに対して、インナーソケットは円周方向に30°を超えて回転できる遊びを有する請求項1に記載のソケットユニットを具えた締付機。
【請求項3】
インナーソケットホルダ又はインナーソケットの一方に軸心に沿う方向に凸部が形成され、他方には、軸心に沿う方向に形成された凹部であって、前記凸部が円周方向に遊びをもって嵌まる凹部が形成されている請求項1に記載のソケットユニットを具えた締付機。
【請求項4】
前記凹部と凸部は、インナーソケットホルダに対してインナーソケットを円周方向に30°を超えて回転できる遊びを有し、
インナーソケットは、ナットが係合する12条の溝条が周方向に等間隔に形成されたナット係合穴を有する請求項3に記載のソケットユニット。
【請求項5】
インナーソケットは、ナットが係合する6条の溝部が周方向に等間隔に形成されたナット係合穴を具え、各溝部の底面は、円周方向に幅を具備して、ナットに対して周方向に遊びを有しており、該遊びと、前記凹部と凸部の円周方向の遊びとの合計が30°を超える請求項3に記載のソケットユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−125874(P2012−125874A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279170(P2010−279170)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(000201467)前田金属工業株式会社 (22)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(000201467)前田金属工業株式会社 (22)
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