説明

ソックスレー抽出装置

【課題】作業効率を向上させることができる、使い勝手のよいソックスレー抽出装置を提供する。
【解決手段】受け器2と、抽出器3と、冷却器4とを下から上に順に配置し、受け器で発生させた溶媒の蒸気を蒸気管6を介して抽出器に導入し、溶媒の蒸気を冷却器により凝縮して抽出器内に滴下し、抽出器内の試料に含まれる抽出対象物を溶媒に溶解させ、抽出対象物を含む溶媒をサイホン管7を介して受け器に環流するソックスレー抽出装置であって、抽出器は、側壁部31と、側壁部の下端に形成された底壁部32と、を備えた有底筒形状であり、側壁部の下端側又は底壁部には、抽出器内の空間と外部空間とを連通するとともに抽出器内の溶媒を排出可能な排出管5が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソックスレー抽出装置に関する。更に詳しくは、作業効率を向上させることができる、使い勝手のよいソックスレー抽出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、試料に含まれる抽出対象物を溶媒に溶解させることにより抽出する抽出装置として、ソックスレー抽出装置が知られている。このソックスレー抽出装置101は、図5に示すように、受け器102と、受け器102の上方に配置された抽出器103と、抽出器103の上方に配置された冷却器104と、を主な構成としており、これらはそれぞれすり合わせにより接続されている。ソックスレー抽出装置の抽出原理を図5を参照して説明すると、まず、受け器102内の溶媒を蒸発させ、蒸気管106を介して抽出器103に流入させる。抽出器103に流入した溶媒は、冷却器104により凝縮して液化し、抽出器103内の試料に滴下する。滴下した溶媒は、試料に含まれる抽出対象物を溶解する。抽出器103内の抽出物を含んだ溶媒が所定の液面高さまで達すると、サイホン管107を介して、抽出対象物を含む溶媒が受け器102内に戻される。これらを繰り返すことにより、抽出対象物の溶液が徐々に受け器内で濃縮される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように、ソックスレー抽出装置は、比較的少量の溶媒で効率よく抽出を行うことができるものである。しかしながら、その使い勝手は決してよいものではなかった。例えば、抽出が完了したか否かの確認等、抽出器内の抽出対象物の濃度を測定するために溶媒を抜き出す場合や、抽出作業中に試料や溶媒等を追加投入する場合には、抽出処理を一旦中止して、抽出装置を分解する必要があった。また、抽出器の容積が小さいため、1回の抽出処理で投入できる試料の量は極めて少ないものであった。更に、抽出のみを目的とした装置であるため、抽出対象物を分解処理するなど、他の処理を実施しようとした場合には、受け器内の抽出対象物を含む溶媒を他の処理を実施するための専用の容器に移し替える必要があった。
【0004】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、作業効率を向上させることができる、使い勝手のよいソックスレー抽出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は以下の通りである。
1.受け器と、抽出器と、冷却器とを下から上に順に配置し、前記受け器で発生させた溶媒の蒸気を蒸気管を介して前記抽出器に導入し、前記溶媒の蒸気を前記冷却器により凝縮して前記抽出器内に滴下し、前記抽出器内の試料に含まれる抽出対象物を前記溶媒に溶解させ、前記抽出対象物を含む溶媒をサイホン管を介して前記受け器に環流するソックスレー抽出装置であって、
前記抽出器は、側壁部と、前記側壁部の下端に形成された底壁部と、を備えた有底筒形状であり、
前記側壁部の下端側又は前記底壁部には、前記抽出器内の空間と外部空間とを連通するとともに前記抽出器内の溶媒を排出可能な排出管が設けられていることを特徴とするソックスレー抽出装置。
2.前記排出管には、前記抽出器内の空間と外部空間の連通状態と、非連通状態と、を切り替える排出管切替弁が設けられている上記1.記載のソックスレー抽出装置。
3.前記サイホン管には、前記抽出器内の空間と前記受け器内の空間の連通状態と、非連通状態と、を切り替えるサイホン管切替弁が設けられている上記1.又は上記2.記載のソックスレー抽出装置。
4.前記蒸気管には、前記受け器内の空間と前記抽出器内の空間の連通状態と、非連通状態と、を切り替える蒸気管切替弁が設けられている上記1.乃至上記3.のいずれかに記載のソックスレー抽出装置。
5.前記受け器には、前記受け器内の空間と外部空間とを連通する連通口が形成されている上記1.乃至上記4.のいずれかに記載のソックスレー抽出装置。
6.前記抽出器の上部には、他部材を前記抽出器内部に入れるための開口が形成されている上記1.乃至上記5.のいずれかに記載のソックスレー抽出装置。
7.前記サイホン管には、前記抽出器内の空間と前記受け器内の空間の連通状態と、非連通状態と、を切り替えるサイホン管切替弁が設けられており、
前記蒸気管には、前記受け器内の空間と前記抽出器内の空間の連通状態と、非連通状態と、を切り替える蒸気管切替弁が設けられており、
前記受け器には、前記受け器内の空間と外部空間とを連通する連通口が形成されており、
前記抽出器の上部には、他部材を前記抽出器内部に入れるための開口が形成されている上記2.記載のソックスレー抽出装置。
8.前記抽出器は、前記側壁部の上方に配置される蓋部材を備え、
前記側壁部の上端側には第1フランジ部が形成されており、前記蓋部材には前記第1フランジ部と着脱自在に接続する第2フランジ部が形成されており、
前記第1フランジ部と前記第2フランジ部との接続により、前記蓋部材が前記側壁部に固定されている上記1.乃至上記7.のいずれかに記載のソックスレー抽出装置。
9.前記冷却器は、前記蓋部材を介して前記抽出器に接続されている上記8.記載のソックスレー抽出装置。
10.前記抽出器は、前記底壁部の下方に形成された接続部を備え、
前記接続部には第3フランジ部が形成されており、前記受け器の上端側には前記第3フランジ部と着脱自在に接続する第4フランジ部が形成されており、
前記抽出器と前記受け器とは、前記第3フランジ部と前記第4フランジ部とにより接続している上記1.乃至上記9.のいずれかに記載のソックスレー抽出装置。
11.前記抽出器の収容空間の縦方向の長さHと横方向の幅Wとの比H/Wが、0.5≦(H/W)≦8である上記1.乃至上記10.のいずれかに記載のソックスレー抽出装置。
12.前記冷却器は、前記抽出器内の空間と外部空間とを連通するとともに鉛直軸に対して傾斜するように設けられた冷却管と、前記冷却管内に設けられた冷媒流通管と、を備える上記1.乃至上記11.のいずれかに記載のソックスレー抽出装置。
13.前記サイホン管には、上側で曲がる略U字状のU字状部が形成されており、
前記U字状部は、前記側壁部から8〜50mmの距離離れて設けられている上記1.乃至上記12.のいずれかに記載のソックスレー抽出装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明のソックスレー抽出装置によると、受け器と、抽出器と、冷却器とを下から上に順に配置し、受け器で発生させた溶媒の蒸気を蒸気管を介して抽出器に導入し、溶媒の蒸気を前記冷却器により凝縮して抽出器内に滴下し、抽出器内の試料に含まれる抽出対象物を溶媒に溶解させ、抽出対象物を含む溶媒をサイホン管を介して受け器に環流するソックスレー抽出装置であって、抽出器は、側壁部と、側壁部の下端に形成された底壁部と、を備えた有底筒形状であり、側壁部の下端側又は底壁部に、抽出器内の空間と外部空間とを連通するとともに抽出器内の溶媒を排出可能な排出管を設けるようにしている。これにより、装置を分解することなく、抽出器から抽出溶媒を抜き出すことができる。
また、前記排出管に、前記抽出器内の空間と外部空間の連通状態と非連通状態とを切り替える排出管切替弁が設けられている場合は、より容易に抽出器から抽出溶媒を抜き出すことができる。
【0007】
更に、前記サイホン管に、前記抽出器内の空間と前記受け器内の空間の連通状態と非連通状態とを切り替えるサイホン管切替弁が設けられている場合は、サイホン管内の流路を遮断することができる。これにより、サイホン管による抽出器から受け器への溶媒の環流を止めることができる。
また、前記蒸気管に、前記受け器内の空間と前記抽出器内の空間の連通状態と非連通状態とを切り替える蒸気管切替弁が設けられている場合は、蒸気管内の流路を遮断することができる。これにより、蒸気管による受け器から抽出器への溶媒の蒸気の流通を止めることができる。
【0008】
更に、前記受け器に、前記受け器内の空間と外部空間とを連通する連通口が形成されている場合は、受け器を装置から取り外すことなく、受け器内に溶媒を追加投入したり、他の薬品(例えば、抽出処理後に抽出対象物の分解処理を実施する際に用いる試薬や触媒等)を投入したりすることができる。
また、前記抽出器の上部に、他部材を前記抽出器内部に入れるための開口が形成されている場合は、抽出器内の温度を測定したり、試料を攪拌したり等の作業を、装置を分解することなく、開口を介して簡単に実行することができる。
【0009】
更に、前記サイホン管には、前記抽出器内の空間と前記受け器内の空間の連通状態と非連通状態とを切り替えるサイホン管切替弁が設けられており、前記蒸気管には、前記受け器内の空間と前記抽出器内の空間の連通状態と非連通状態とを切り替える蒸気管切替弁が設けられており、前記受け器には、前記受け器内の空間と外部空間とを連通する連通口が形成されており、前記抽出器の上部には、他部材を前記抽出器内部に入れるための開口が形成されている場合は、抽出処理から分解処理までの一連の処理において、極めて容易な操作による処理を実施できるソックスレー抽出装置とすることができる。即ち、抽出処理において、装置を分解することなく、開口から温度計を挿入して抽出器内の温度管理をすることができるとともに、開口から攪拌棒を挿入して試料を攪拌して抽出を促進することができる。また、分解処理において、サイホン管切替弁を閉止することにより、抽出溶媒を分解処理専用の他の容器に移すことなく、受け器を用いて濃縮することができる。更に、装置を分解することなく、連通口を介して受け器内に分解処理に用いる試薬や触媒を投入することができる。また、サイホン管切替弁と蒸気管切替弁をそれぞれ閉止することにより受け器内を密閉することができ、この結果、この密閉した状態で、連通口を介して、受け器内の気体を分解処理に用いる別の気体に置換することができる。
【0010】
また、前記抽出器は、前記側壁部の上方に配置される蓋部材を備え、前記側壁部の上端側には第1フランジ部が形成されており、前記蓋部材には前記第1フランジ部と着脱自在に接続する第2フランジ部が形成されており、前記第1フランジ部と前記第2フランジ部との接続により、前記蓋部材が前記側壁部に固定されている場合は、従来のように抽出器の上端側にすり合わせが形成されており、このすり合わせに他部材(通常、冷却器)が挿入されている場合と比較して、容易に抽出器を開口させることができる。また、すり合わせによる接続よりも接続箇所の高さを抑えることができる。
更に、前記冷却器が前記蓋部材を介して前記抽出器に接続されている場合は、フランジ部同士の接続を解除することにより、容易に抽出器と冷却器とを分離することができる。
【0011】
また、前記抽出器は、前記底壁部の下方に形成された接続部を備え、前記接続部には第3フランジ部が形成されており、前記受け器の上端側には前記第3フランジ部と着脱自在に接続する第4フランジ部が形成されており、前記抽出器と前記受け器とは、前記第3フランジ部と前記第4フランジ部とにより接続している場合は、従来のように受け器の上端側にすり合わせが形成されており、このすり合わせに抽出器の下端が挿入されて接続している場合と比較して、容易に受け器と抽出器とを分離することができるとともに、すり合わせによる接続よりも接続箇所の高さを抑えることができる。
【0012】
更に、前記抽出器の収容空間の縦方向の長さHと横方向の幅Wとの比H/Wが、0.5≦(H/W)≦8である場合は、従来の抽出器よりも、高さを抑えつつ、収容空間を大きくすることができる。その結果、一回の抽出処理における処理量を多くすることができるとともに、装置全体の高さも抑えることができる。
【0013】
また、前記冷却器は、前記抽出器内の空間と外部空間とを連通するとともに鉛直軸に対して傾斜するように設けられた冷却管と、前記冷却管内に設けられた冷媒流通管と、を備える場合は、従来のように鉛直軸に平行に設けられる冷却管を備える場合と比較して、冷却器の高さ方向の寸法を抑えることができる。これにより、抽出装置全体の高さ方向の寸法を抑えることができる。
【0014】
更に、前記サイホン管には、上側で曲がる略U字状のU字状部が形成されており、前記U字状部は、前記側壁部から8〜50mmの距離離れて設けられている場合は、サイホン管による環流をより確実に発生させることができる。即ち、従来のように、U字状部が側壁部の近傍に設けられている場合、抽出器の熱の影響によりサイホン管内に気泡が生じたりなど、サイホン管による環流が発生しない場合があった。しかしながら、本発明のようにU字状部を側壁部から所定距離離して設けることにより、従来よりも、サイホン管による環流を発生させやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施例に係るソックスレー抽出装置を示す正面図である。
【図2】本実施例に係るソックスレー抽出装置を示す部分拡大縦断面図である。
【図3】本実施例に係るソックスレー抽出装置を示す部分拡大縦断面図である。
【図4】本実施例に係るソックスレー抽出装置を示す部分拡大縦断面図である。
【図5】従来のソックスレー抽出装置の例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本実施形態に係るソックスレー抽出装置は、受け器と、抽出器と、冷却器とを下から上に順に配置し、受け器で発生させた溶媒の蒸気を蒸気管を介して抽出器に導入し、溶媒の蒸気を冷却器により凝縮して抽出器内に滴下し、抽出器内の試料に含まれる抽出対象物を溶媒に溶解させ、抽出対象物を含む溶媒をサイホン管を介して受け器に環流するソックスレー抽出装置であって、抽出器は、側壁部と、側壁部の下端に形成された底壁部と、を備えた有底筒形状であり、側壁部の下端側又は底壁部には、抽出器内の空間と外部空間とを連通するとともに抽出器内の溶媒を排出可能な排出管が設けられていることを特徴としている。
尚、上記ソックスレー抽出装置の用途は特に問わないが、土壌等に含まれるポリ塩化ビフェニル(PCB)や、焼却灰等に含まれるダイオキシン様ポリ塩化ビフェニル(DL−PCB)等の抽出に好適に用いることができる。
【0017】
上記「受け器」の形状、材質、大きさ等は特に問わない。この受け器には、上記溶媒が収容される。そして、溶媒を収容した受け器をマントルヒータ等の加熱手段によって加熱することにより、溶媒の蒸気を発生させる。
上記受け器には、例えば、受け器内の空間と外部空間とを連通する連通口が形成されていることができる。
【0018】
上記「抽出器」の構造、形状、材質等は特に問わない。この抽出器には、上記試料が収容される。この抽出器は、側壁部と、この側壁部の下端に形成された底壁部と、を備えた有底筒形状である。
上記側壁部の断面形状としては、例えば、略円形状、略楕円形状、略長円形状、略多角形状等を挙げることができる。
上記底壁部の形状としては、例えば、略半球形状、略円錐形状、略円柱形状、略多角柱形状、略多角錐形状、略平板形状等を挙げることができる。
【0019】
上記抽出器の上部には、例えば、他部材を前記抽出器内部に入れるための開口が形成されていることができる。尚、上記「他部材」としては、例えば、上記抽出器内の温度測定のための温度計や、試薬を撹拌するための撹拌棒等が挙げられるが、特に限定されるものではない。また、この開口を介して、試料や溶媒等を抽出器内に追加投入したり、抽出器内から抜き出したりすることもできる。
【0020】
また、上記抽出器の上記側壁部の下端側又は上記底壁部には、上記排出管が設けられている。
上記「排出管」の大きさ、断面形状、個数等は特に問わない。この排出管には、例えば、上記抽出器内の空間と外部空間の連通状態と非連通状態とを切り替える排出管切替弁が設けられていることができる。
上記「排出管切替弁」の大きさ、種類、切り替え形態等は特に問わない。この排出管切替弁は、例えば、コック等の手動で作動させるものであってもよいし、電磁弁等のアクチュエータを用いて自動で作動させるものであってもよい。
【0021】
上記「冷却器」の構造、材質、大きさ、個数等は特に問わない。この冷却器は、上記抽出器の上方に配置されており、受け器から蒸気管を介して抽出器に導入された溶媒の蒸気を凝縮し、抽出器内に滴下させるものである。上記冷却器は、溶媒の蒸気を冷却することにより凝縮可能であればよく、例えば、冷媒との熱交換により冷却する冷却器や、ペルチェ素子等の熱電素子との熱交換により冷却する冷却器等を用いることができる。
上記冷却器は、例えば、上記抽出器内の空間と外部空間とを連通するとともに鉛直軸に対して傾斜するように設けられた冷却管と、上記冷却管内に設けられた冷媒流通管と、を備えることができる。このような冷却器としては、例えば、ジムロート冷却器やアリーン冷却器、リービッヒ冷却器等、従来のソックスレー抽出器で一般的に用いられる冷却器を挙げることができる。上記冷却管の鉛直軸に対する傾斜角度θ(°)は、例えば、20≦θ≦80 であることができ、好ましくは、30≦θ≦70、更に好ましくは、50≦θ≦60であることができる。
【0022】
上記「蒸気管」の形状、材質、大きさ、個数等は特に問わない。この蒸気管は、通常、上記受け器内の空間と上記抽出器の空間とを連通するように設けられている。そして、この蒸気管を介して、受け器内で発生した溶媒の蒸気が抽出器内に導入されるようになっている。
上記蒸気管には、例えば、上記受け器内の空間と上記抽出器内の空間の連通状態と非連通状態とを切り替える蒸気管切替弁が設けられていることができる。このサイホン管切替弁の形態としては、例えば、上述の排出管切替弁の形態において例示した形態と同様の形態を採用可能である。
【0023】
上記「サイホン管」の形状、材質、大きさ、個数等は特に問わない。このサイホン管は、通常、上記受け器内の空間と上記抽出器の空間とを連通するように設けられているとともに、サイホンの原理を利用して、抽出器内の抽出対象物を溶解した溶媒を受け器内に環流させるものである。
上記サイホン管には、例えば、上記抽出器内の空間と上記受け器内の空間の連通状態と非連通状態とを切り替えるサイホン管切替弁が設けられていることができる。このサイホン管切替弁の形態としては、例えば、上述の排出管切替弁の形態において例示した形態と同様の形態を採用可能である。
【0024】
ここで、例えば、上記サイホン管には、上側で曲がる略U字状のU字状部が形成されていることができる。このU字状部の上記側壁部からの距離Lは、例えば、8〜50mmであることができ、好ましくは、10〜30mm、より好ましくは、15〜20mmであることができる。
【0025】
ここで、本実施形態のソックスレー抽出装置としては、例えば、上記抽出器は、上記側壁部の上方に配置される蓋部材を備え、上記側壁部の上端側には第1フランジ部が形成されており、上記蓋部材には上記第1フランジ部と着脱自在に接続する第2フランジ部が形成されており、上記第1フランジ部と上記第2フランジ部との接続により、上記蓋部材が上記側壁部に固定されている形態であることができる。この場合、上記開口は、上記蓋部材に形成されていることができる。また、上記冷却器は、上記蓋部材を介して上記抽出器に接続されていることができる。
【0026】
上記第1フランジ部と上記第2フランジ部との接続形態は特に限定されず、例えば、上記第1フランジ部と上記第2フランジ部との間にパッキンを介して接続する形態や、フランジ部同士が当接することにより接続する形態等であることができる。また、クランプ等の固定手段を用いて、より強固に固定するようにしてもよい。
【0027】
ここで、本実施形態のソックスレー抽出装置としては、例えば、上記抽出器は、上記底壁部の下方に形成された接続部を備え、上記接続部には第3フランジ部が形成されており、上記受け器の上端側には上記第3フランジ部と着脱自在に接続する第4フランジ部が形成されており、上記抽出器と上記受け器とは、上記第3フランジ部と上記第4フランジ部とにより接続している形態であることができる。上記第3フランジ部と上記第4フランジ部との接続形態は特に限定されず、例えば、上記第1フランジ部と上記第2フランジ部との接続形態において例示した接続形態と同様の接続形態を採用可能である。
【0028】
また、この場合、上記蒸気管は、一端側が上記側壁部の上部側に接続されており、他端側が、上記接続部に接続されていることができる。これにより、上記蒸気管は、上記受け器内の上部側の空間と上記抽出器の上部側の空間とを連通するように設けられることになる。
更に、この場合、上記サイホン管は、一端側が上記底壁部に接続されており、他端側が、上記接続部に接続されていることができる。これにより、上記サイホン管は、上記抽出器の下部側の空間と上記受け器内の上部側の空間とを連通するように設けられることになる。
【0029】
ここで、本実施形態のソックスレー抽出装置としては、例えば、上記抽出器の収容空間の縦方向の長さHと横方向の幅Wとの比H/Wが、0.5≦(H/W)≦8(好ましくは、 1≦(H/W)≦5、より好ましくは、2≦(H/W)≦4)である形態とすることができる。尚、上記横方向の幅Wとは、横断面の最大幅を意味する。
【実施例】
【0030】
以下、図面を用いて、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
【0031】
(1)ソックスレー抽出装置の構成
本実施例に係るソックスレー抽出装置(以下、単に抽出装置とも略記する)1は、図1に示すように、それぞれガラス製の受け器2、抽出器3及び冷却器4を、下から上に順に配置して構成されている。これらは、図示しないジャッキによりそれぞれ支持されている。
受け器2は、図2に示すように、底壁が半球形状で、側壁が上方に向かって緩やかに縮径する所謂なす型の形状をしている。また、受け器2の上端には、フランジ部21(本発明にかかる第4フランジ部として例示する)が形成されている。更に、受け器2の側壁には連通口22が形成されている。連通口22には、連通口22の内側周縁とすり合わせにより接続されるキャップ22Aが挿入されている。
【0032】
抽出器3は、図3に示すように、略円筒形状の側壁部31と、この側壁部31の下端に形成された底壁部32と、を備えた有底筒状の容器である。本実施例において、抽出器3の収容空間は、縦方向の長さ(高さ)Hが約150mm、横方向の幅(直径)Wが約50mmに設定されている。従って、縦方向の長さHと横方向の幅Wとの比H/Wは、約3となっている。
【0033】
また、底壁部32の下側には、受け器2と接続するための接続部33が設けられている。接続部33は下方に開口する筒形状であり、その下端には、受け器2のフランジ部21と接続するフランジ部34(本発明にかかる第3フランジ部として例示する)が形成されている。即ち、受け器2と抽出器3とは、フランジ部21とフランジ部34とにより接続している。フランジ部21とフランジ部34との間にはパッキンが介在しており、固定部材(図示せず)によりフランジ部21、34を上下から挟みこむようにして固定されている。また、側壁部31の上端には、フランジ部35(本発明にかかる第1フランジ部として例示する)が形成されている。
【0034】
図1に示すように、底壁部32には、排出管5が設けられている。この排出管5は、その一端側が底壁部32に接続されており、他端側が外側に開放されている。これにより、排出管5は、抽出器3内の空間と外部空間とを連通しており、抽出器3内の溶媒を外部へ排出可能となっている。また、排出管5には、排出管コック51(本発明にかかる排出管切替弁として例示する)が設けられている。そして、この排出管コック51により、抽出器3内の空間と外部空間との連通状態と非連通状態とを切り替え可能となっている。
【0035】
図3に示すように、側壁部31の外側側方には、蒸気管6が設けられている。蒸気管6は、その一端側が側壁部31の上部に接続されており、他端側が接続部33に接続されている。これにより、蒸気管6は、受け器2内の空間と抽出器3内の空間とを連通しており、受け器2内で発生する溶媒の蒸気を抽出器3内へ流通可能となっている。また、蒸気管6には、蒸気管コック61(本発明にかかる蒸気管切替弁として例示する)が設けられている。そして、この蒸気管コック61により、受け器2内の空間と抽出器3内の空間の連通状態と非連通状態とを切り替え可能となっている。
【0036】
また、図3に示すように、側壁部31の外側側方には、サイホン管7が設けられている。このサイホン管7は、その一端側が底壁部32に接続されており、他端側が接続部33に接続されている。また、サイホン管7には、上側で曲がる略U字状のU字状部71が形成されている。これにより、サイホン管7は、抽出器3内の空間と受け器2内の空間とを連通しており、抽出器3内の抽出対象物を溶解した溶媒を、サイホンの原理を利用して、受け器2内へ還流させるようになっている。本実施例において、U字状部71と側壁部31との間の距離Lは約15mmに設定されている。尚、サイホン管7の接続部33側の端部は、接続部33の側壁を貫通するように接続されており、その先端は下方を向くように曲げられている。また、サイホン管7には、サイホン管コック72(本発明にかかるサイホン管切替弁として例示する)が設けられている。そして、このサイホン管コック72により、抽出器3内の空間と受け器2内の空間の連通状態と非連通状態とを切り替え可能となっている。
【0037】
また、抽出器3は、側壁部31の上方に、抽出器3の上側の開口を塞ぐように設けられた蓋部材8を備えている。この蓋部材8は、略円筒形状の周壁部81と、周壁部81の上端側に形成された上壁部82と、を備えた有底筒状の容器である。周壁部81の下端には、抽出器3のフランジ部35と接続するフランジ部83(本発明にかかる第2フランジ部として例示する)が形成されている。即ち、抽出器3と蓋部材8とは、フランジ部35とフランジ部83とにより接続している。フランジ部35とフランジ部83との間にはパッキンが介在しており、固定部材(図示せず)によりフランジ部35、83を上下から挟みこむようにして固定されている。尚、周壁部81の直径は側壁部31の直径と略同等となっている。
【0038】
蓋部材8の上壁部82には、上下方向に開口する開口84が形成されている。この開口84は、温度計や攪拌棒等の他部材を抽出器3の内部に挿入するためのものである。開口84には、開口84を形成する周縁部とすり合わせにより接続されるキャップ84Aが挿入されている。
また、上壁部82には、開口84に隣接するように、冷却器接続部85が設けられている。冷却器接続部85は、斜め上方に開口するように設けられており、この開口には冷却器4の下端部が挿入されており、冷却器接続部85と冷却器4の下端部とはすり合わせにより接続されている。
【0039】
図4に示すように、冷却器4は、抽出器3内の空間と外部空間とを連通するように設けられた冷却管41と、冷却管41内に設けられた冷媒流通管42と、からなる所謂ジムロート冷却器を採用している。上述のように、冷却管41の下端は冷却器接続部85に挿入されており、これにより、冷却器4は、鉛直軸に対して傾斜するようにして抽出器3と接続されている。尚、本実施例において、この冷却器4の鉛直軸に対する傾斜角度θは約60°に設定されている。
【0040】
(2)ソックスレー抽出器の作用
次に、上記構成のソックスレー抽出装置の作用について説明する。尚、本実施例では、PCB汚染石英砂からPCBを抽出して分解する場合を例示する。
【0041】
最初に、PCBの抽出処理について説明する。まず、蓋部材8を取り外し、試料となるPCB汚染石英砂を入れた円筒ろ紙を抽出器3内にセットする。蓋部材8を取り外す際には、抽出器3及び冷却器4をそれぞれ支持するジャッキのうちの一方を上下方向にわずかにずらし、フランジ部83,35の接続を解除する。また、連通口22より、受け器2に溶媒となる液体状態のヘキサンを投入する。尚、この溶媒の投入に際しては、受け器2を接続部33から取り外した状態で、受け器2の上端開口から投入してもよい。受け器2を取り外す際には、受け器2及び抽出器3をそれぞれ支持するジャッキのうちの一方を上下方向にわずかにずらし、フランジ部21,34の接続を解除する。
【0042】
そして、この状態で、冷却器4の冷媒流通管42へ冷媒となる水の流通を開始させるとともに、マントルヒータに通電して受け器2の加熱を開始する。
加熱された受け器2内のヘキサンは次第に蒸発する。蒸発したヘキサンは、蒸気管6を流通して抽出器3内まで上昇し、更に冷却器4に到達する。冷却器4に到達したヘキサンの蒸気は、冷却され、凝縮し、再び液体となって抽出器3内に滴下する。
【0043】
滴下したヘキサンは、抽出器3内に溜まり、PCB汚染石英砂に含まれるPCBを溶解する。また、滴下したヘキサンにより、抽出器3内の液面が次第に上昇してサイホン管7のU字状部71の上部の高さまで達すると、抽出器3内のヘキサンは、サイホンの原理により、サイホン管7を介して、受け器2に環流する。このとき、U字状部71は、抽出器3の側壁部31から十分離れた位置に設けられているため、抽出器3からの熱の影響を受けることなく、サイホン管7が機能する。
【0044】
PCBを溶解したヘキサンが受け器2に環流すると、加熱されることによりヘキサンのみが再び蒸発し、上述のサイクルが繰り返される。受け器2内のPCBは、蒸発することなく受け器2内に蓄積されてゆく。
【0045】
尚、この抽出過程の作業として、開口84から温度計を適宜挿入して抽出器3内の温度管理をしたり、開口84から攪拌棒を抽出器3内に挿入して円筒ろ紙内の石英砂を攪拌したりする。また、石英砂に含まれるPCBが十分に抽出されたか否かの確認をする。この際には、排出管コック51を適宜開いて抽出器3内のヘキサンを抜き出し、このヘキサン中のPCB濃度を測定する。このように、これらの作業は、ソックスレー抽出装置1を分解することなく実行される。
PCBが十分に抽出されたことが確認できたら、PCBの分解処理に移行する。
【0046】
PCBの分解処理にあたっては、まず、受け器2内のヘキサンを蒸発させ、ヘキサンのPCB溶液を濃縮する。具体的には、まず、サイホン管7のサイホン管コック72を閉じ、引き続き受け器2を加熱する。すると、受け器2内の液量が次第に減少してゆき、抽出器3内に溜まってゆく。また、サイホン管コック72によってサイホン管7の環流路が閉止されているため、受け器2への環流が発生しない。これにより、受け器2内のヘキサンの量が減少し、濃縮される。
【0047】
十分に濃縮されたら、連通口22から受け器2内に、分解反応に用いる試薬及び触媒を投入する。具体的には、試薬として、メタノール(MeOH)及びトリエチルアミン(EtN)、触媒として、パラジウムカーボン(Pd/C)をそれぞれ投入する。また、サイホン管コック72及び蒸気管コック61を閉じて受け器2内を密閉状態とするとともに、連通口22を通じて受け器2内の雰囲気を水素置換する。これらが完了すると、PCBの分解反応が始まる。また、これらの作業についても、ソックスレー抽出装置1を分解することなく実行される。尚、この分解反応により、PCB(C12(10−n)Cl)が脱塩素化(水素化)されて、ビフェニル(C1210)とトリエチルアミンの塩酸塩(EtNHCl)とが生成される。
【0048】
(3)実施例の効果
【0049】
以上より、本実施例のソックスレー抽出装置1によると、抽出器3の底壁部32に、抽出器3内の空間と外部空間とを連通するとともに抽出器3内の溶媒を排出可能な排出管5が設けられているので、抽出装置1を分解することなく、抽出器3から抽出溶媒であるPCBのヘキサン溶液を抜き出すことができる。
【0050】
また、排出管5には、抽出器3内の空間と外部空間の連通状態と非連通状態とを切り替える排出管コック51が設けられているので、より容易に抽出器3からPCBのヘキサン溶液を抜き出すことができる。
【0051】
更に、サイホン管7には、抽出器3内の空間と受け器2内の空間の連通状態と非連通状態とを切り替えるサイホン管コック72が設けられているので、サイホン管7内の流路を遮断することができる。これにより、サイホン管7による抽出器3から受け器2への溶媒の環流を止めることができる。
【0052】
また、蒸気管6には、受け器2内の空間と抽出器3内の空間の連通状態と非連通状態とを切り替える蒸気管コック61が設けられているので、蒸気管6内の流路を遮断することができる。これにより、蒸気管6による受け器2から抽出器3への溶媒の蒸気の流通を止めることができる。
【0053】
更に、受け器2には、受け器2内の空間と外部空間とを連通する連通口22が形成されているので、受け器2を抽出装置1から取り外すことなく、受け器2内に溶媒を追加投入したり、抽出処理後に抽出対象物の分解処理を実施する際に用いる試薬や触媒等の他の薬品を投入したりすることができる。
【0054】
また、抽出器3の上部には、温度計や攪拌棒等の他部材を抽出器3内部に入れるための開口84が形成されているので、抽出器内の温度を測定したり、試料を攪拌したり等の作業を、抽出装置1を分解することなく、開口84を介して簡単に実行することができる。
【0055】
更に、サイホン管7には、抽出器3内の空間と受け器2内の空間の連通状態と非連通状態とを切り替えるサイホン管コック72が設けられており、蒸気管6には、受け器2内の空間と抽出器3内の空間の連通状態と非連通状態とを切り替える蒸気管コック61が設けられており、受け器2には、受け器2内の空間と外部空間とを連通する連通口22が形成されており、抽出器3の上部には、他部材を抽出器3内部に入れるための開口84が形成されているので、抽出処理から分解処理までの一連の処理において、極めて容易な操作による処理を実施できるソックスレー抽出装置1とすることができる。即ち、抽出処理において、抽出装置1を分解することなく、開口84から温度計を挿入して抽出器内の温度管理をすることができるとともに、開口84から攪拌棒を挿入して試料を攪拌して抽出を促進することができる。また、分解処理において、サイホン管コック72を閉止することにより、抽出溶媒を分解処理専用の他の容器に移すことなく、受け器2を用いて濃縮することができる。更に、抽出装置1を分解することなく、連通口22を介して受け器2内に、分解処理に用いる試薬や触媒を投入することができる。また、サイホン管コック72と蒸気管コック61をそれぞれ閉止することにより受け器2内を密閉することができるので、この密閉した状態で、連通口22を介して、受け器2内の気体を分解処理に用いる別の気体に置換することができる。
【0056】
また、抽出器3は、側壁部31の上方に配置される蓋部材8を備え、側壁部31の上端側にはフランジ部35が形成されており、蓋部材8にはフランジ部35と着脱自在に接続するフランジ部83が形成されており、フランジ部35とフランジ部83との接続により、蓋部材8が側壁部31に固定されているので、従来のように抽出器の上端側にすり合わせが形成されており、このすり合わせに他部材が挿入されている場合と比較して、容易に抽出器3を開口させることができる。また、すり合わせによる接続よりも接続箇所の高さを抑えることができる。
【0057】
更に、開口84が蓋部材8に形成されているので、温度計を挿入して抽出器内の温度を測定したり、攪拌棒を挿入して試料を攪拌したり等の作業をする場合には、これらの作業を抽出装置1を分解することなく、開口84を介して実行することができるとともに、円筒ろ紙の出し入れ等の作業をする場合には、フランジ部35,83同士の接続を解除することにより、容易に抽出器を開口させることができる。
【0058】
また、冷却器4が蓋部材8を介して抽出器3に接続されているので、フランジ部35,83同士の接続を解除することにより、容易に抽出器3と冷却器4とを分離することができる。
【0059】
更に、抽出器3は、底壁部32の下方に形成された接続部33を備え、接続部33にはフランジ部34が形成されており、受け器2の上端側にはフランジ部34と着脱自在に接続するフランジ部21が形成されており、抽出器3と受け器2とは、フランジ部34とフランジ部21とにより接続しているので、従来のように受け器の上端側にすり合わせが形成されており、このすり合わせに抽出器の下端が挿入されて接続している場合と比較して、容易に受け器2と抽出器3とを分離することができるとともに、すり合わせによる接続よりも接続箇所の高さを抑えることができる。
【0060】
また、抽出器3の収容空間の縦方向の長さHと横方向の幅Wとの比H/Wが約3であるので、従来の抽出器よりも、高さを抑えつつ、収容空間を大きくすることができる。その結果、一回の抽出処理における処理量を多くすることができるとともに、抽出装置1全体の高さも抑えることができる。
【0061】
更に、冷却器4は、抽出器3内の空間と外部空間とを連通するとともに鉛直軸に対して傾斜するように設けられた冷却管41と、冷却管41内に設けられた冷媒流通管42と、を備えるので、従来のように鉛直軸に平行に設けられる冷却管を備える場合と比較して、冷却器4の高さ方向の寸法を抑えることができる。この結果、抽出装置1全体の高さ方向の寸法を抑えることができる。
【0062】
また、サイホン管7には、上側で曲がる略U字状のU字状部71が形成されており、側壁部31からU字状部71までの距離Lは、約15mmに設定されているので、従来のようにU字状部が側壁部の近傍に設けられている場合と比較して、抽出器3の熱の影響を受けにくくすることができる。その結果、従来よりも、サイホン管7による環流が発生しやすくなる。
【0063】
尚、本発明においては、上記の具体的な実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例では、ソックスレー抽出装置1をガラス製としたが、これに限定されず、例えば、ステンレス等の耐熱耐蝕性金属材料製のソックスレー抽出装置としてもよい。これにより、従来のような実験室で使用するような比較的小型のソックスレー抽出装置のみならず、工業プラント用の比較的大型のソックスレー抽出装置を実現することができる。
【0064】
尚、参考までに、一端側に受け器2のフランジ部21に接続可能なフランジ部を備えるとともに、他端側にすり合わせ接続用の開口を備える受け器専用ジョイントを用意するようにしてもよい。この受け器専用ジョイントにより、従来すり合わせにより受け器に接続されていた機器(例えば、減圧留去等の処理に用いる機器)を、受け器2に接続することができる。
【符号の説明】
【0065】
1,101;ソックスレー抽出装置、2,102;受け器、21;フランジ部、22;連通口、22A;キャップ、3,103;抽出器、31;側壁部、32;底壁部、33;接続部、34;フランジ部、35;フランジ部、4,104;冷却器、41;冷却管、42;冷媒流通管、5;排出管、51;排出管コック、6,106;蒸気管、61;蒸気管コック、7,107;サイホン管、71;U字状部、72;サイホン管コック、8;蓋部材、81;周壁部、82;上壁部、83;フランジ部、84;開口、84A;キャップ、85;冷却器接続部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受け器と、抽出器と、冷却器とを下から上に順に配置し、前記受け器で発生させた溶媒の蒸気を蒸気管を介して前記抽出器に導入し、前記溶媒の蒸気を前記冷却器により凝縮して前記抽出器内に滴下し、前記抽出器内の試料に含まれる抽出対象物を前記溶媒に溶解させ、前記抽出対象物を含む溶媒をサイホン管を介して前記受け器に環流するソックスレー抽出装置であって、
前記抽出器は、側壁部と、前記側壁部の下端に形成された底壁部と、を備えた有底筒形状であり、
前記側壁部の下端側又は前記底壁部には、前記抽出器内の空間と外部空間とを連通するとともに前記抽出器内の溶媒を排出可能な排出管が設けられていることを特徴とするソックスレー抽出装置。
【請求項2】
前記排出管には、前記抽出器内の空間と外部空間の連通状態と、非連通状態と、を切り替える排出管切替弁が設けられている請求項1記載のソックスレー抽出装置。
【請求項3】
前記サイホン管には、前記抽出器内の空間と前記受け器内の空間の連通状態と、非連通状態と、を切り替えるサイホン管切替弁が設けられている請求項1又は2記載のソックスレー抽出装置。
【請求項4】
前記蒸気管には、前記受け器内の空間と前記抽出器内の空間の連通状態と、非連通状態と、を切り替える蒸気管切替弁が設けられている請求項1乃至3のいずれか一項に記載のソックスレー抽出装置。
【請求項5】
前記受け器には、前記受け器内の空間と外部空間とを連通する連通口が形成されている請求項1乃至4のいずれか一項に記載のソックスレー抽出装置。
【請求項6】
前記抽出器の上部には、他部材を前記抽出器内部に入れるための開口が形成されている請求項1乃至5のいずれか一項に記載のソックスレー抽出装置。
【請求項7】
前記サイホン管には、前記抽出器内の空間と前記受け器内の空間の連通状態と、非連通状態と、を切り替えるサイホン管切替弁が設けられており、
前記蒸気管には、前記受け器内の空間と前記抽出器内の空間の連通状態と、非連通状態と、を切り替える蒸気管切替弁が設けられており、
前記受け器には、前記受け器内の空間と外部空間とを連通する連通口が形成されており、
前記抽出器の上部には、他部材を前記抽出器内部に入れるための開口が形成されている請求項2記載のソックスレー抽出装置。
【請求項8】
前記抽出器は、前記側壁部の上方に配置される蓋部材を備え、
前記側壁部の上端側には第1フランジ部が形成されており、前記蓋部材には前記第1フランジ部と着脱自在に接続する第2フランジ部が形成されており、
前記第1フランジ部と前記第2フランジ部との接続により、前記蓋部材が前記側壁部に固定されている請求項1乃至7のいずれか一項に記載のソックスレー抽出装置。
【請求項9】
前記冷却器は、前記蓋部材を介して前記抽出器に接続されている請求項8記載のソックスレー抽出装置。
【請求項10】
前記抽出器は、前記底壁部の下方に形成された接続部を備え、
前記接続部には第3フランジ部が形成されており、前記受け器の上端側には前記第3フランジ部と着脱自在に接続する第4フランジ部が形成されており、
前記抽出器と前記受け器とは、前記第3フランジ部と前記第4フランジ部とにより接続している請求項1乃至9のいずれか一項に記載のソックスレー抽出装置。
【請求項11】
前記抽出器の収容空間の縦方向の長さHと横方向の幅Wとの比H/Wが、0.2≦(H/W)≦8である請求項1乃至10のいずれか一項に記載のソックスレー抽出装置。
【請求項12】
前記冷却器は、前記抽出器内の空間と外部空間とを連通するとともに鉛直軸に対して傾斜するように設けられた冷却管と、前記冷却管内に設けられた冷媒流通管と、を備える請求項1乃至11のいずれか一項に記載のソックスレー抽出装置。
【請求項13】
前記サイホン管には、上側で曲がる略U字状のU字状部が形成されており、
前記U字状部は、前記側壁部から8〜50mmの距離離れて設けられている請求項1乃至12のいずれか一項に記載のソックスレー抽出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−189259(P2011−189259A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56649(P2010−56649)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(805000018)財団法人名古屋産業科学研究所 (55)
【Fターム(参考)】