説明

ソフトキャンディ生地用保形剤、それを用いたソフトキャンディ及びソフトキャンディの製造方法

【課題】粘弾性食品生地の組成、水分含量、成形方法に拘わらず、粘弾性食品生地のべたつきを抑制して、優れた保形性を保持し、連続生産性を付与する粘弾性食品生地用成形剤、それを用いた粘弾性食品及び粘弾性食品の製造方法を提供する。
【解決手段】アルファ化澱粉を含有することを特徴とする粘弾性食品生地用成形剤、それを用いた粘弾性食品及びアルファ化澱粉を粘弾性食品生地原料と共に攪拌混合して粘弾性食品生地とした後成形することを特徴とする粘弾性食品の製造方法により達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトキャンディ等の粘弾性食品を製造する際に、粘弾性食品生地の成形性を改善するソフトキャンディ生地用保形剤、それを用いたソフトキャンディ及びソフトキャンディの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ソフトキャンディ,マシュマロ,ヌガー,タフィー,フォンダン,ファッジ等のキャンディ類や、チューインガムや、餅様食品等のような粘弾性を有する食品を工業的に連続生産するためには、原料を混合した後の粘弾性食品生地の生産ラインにおける製造適性が重要な要因となる。具体的には、該生地の伸展性や粘弾性が適度に保たれ、製造工程の途中で切れ、ダレ、べたつきが起こらない等の複数の要因を同時に良好とする必要がある。
【0003】
そこで、成形性を改善しようとするものとして、例えば、ゲル化剤と、糖類と、穀類加工食品及び/又は澱粉加工食品とを含有してなる餅様菓子が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この餅様菓子は、穀類加工食品及び/又は澱粉加工食品を、切断刃への付着防止剤及び成形剤として用い、大理石冷却盤上や型枠等に流し込んだある一定の大きさの餅用菓子生地を、連続的に切断しても切断刃への付着がなく、多様な成形方法を用いることのできる餅様菓子を提供するというものである。
しかしながら、エクストルーダー等から押出し続けて成形した餅様菓子生地を、連続的にカッターで切断するような成形方法では、保形性が弱く、途中で滞ったりする等で成形機にかからず、連続生産性に劣るという問題点があり、成形方法によっては改良の余地があった。
【0004】
また、ゼラチンを添加せずに、カラギーナンとアラビアガムとペクチンを組合せて用いるソフトキャンディ用ゲル化剤が知られている(例えば、特許文献2参照。)。このソフトキャンディ用ゲル化剤を用いてソフトキャンディを製造すると、ゼラチンを用いた場合と同等のチュウイ性や弾力性をソフトキャンディに付与し、製造時には作業性や成形性を維持することができるというものである。
しかしながら、特許文献2が課題とする製造時の作業性や成形性とは、粘度が高くなりすぎて生じる、ゼリー型や容器への充填困難性を解決することを対象とするものであり、エクストルーダー等から押出し続けて成形した該生地を、連続的にカッターで切断するような成形方法では、特許文献1と同様、保形性が弱く、途中で切断される等で成形機にかからず、連続生産性に劣るという問題点があった。
また、カラギナンは、pHやミネラル成分が共存するとソフトキャンディ生地の粘度が高くなって充填適性への影響が出るため、風味原料等の副原料が限定されるという問題点を有するものであった。
【0005】
また、水可溶性カラギナンを含有する水分含量10〜40重量%の弾性食品組成物が知られている(特許文献3参照。)。この特許文献3によれば、好ましくは弾性食品組成物の水溶性固形分を60〜90%、より好ましくは75〜85%にすることにより、製造時の攪拌、充填等の作業性を良好とするものである。
しかしながら、弾性食品組成物溶液を型に充填する製法には良好だが、押出し成形のような製法では、該流動性溶液では不可能である。そこで、押出し成形に適用させるために、水分量を更に減少させると、粘性が高くなりべたつきを生じ、作業性が悪くなるという
問題点を有するものである。
【0006】
また、起泡剤、糖類、油脂及び乳化性澱粉を含有する粘土状ソフトキャンディが知られている(例えば、特許文献4参照。)。この文献では、乳化効果を有する澱粉(乳化性澱粉)を加えることにより、マジパンのような粘稠性としなやかさを持つ、粘土状の粘りのある成形自在であって、非付着性の物性を有するソフトキャンディが開示されている。
しかしながら、油脂と共に乳化性澱粉を用いているので、油脂含有食品を乳化安定化することで油脂の浸み出しを防止し、非付着性を実現しており、油脂不含の食品には適用できないという問題点があった。また、油脂要因による付着性は防止するものの、7〜30重量%という高水分由来の原料混合生地のべたつきや、ライン保形性に改良の余地があった。
【0007】
更に、糖質と油脂と増粘剤と水不溶性食物繊維とを含有するチューイングキャンディが知られている(例えば、特許文献5参照。)。このチューイングキャンディによれば、セルロース、ヘミセルロース、リグニン等の細胞壁構成物質である水不溶性食物繊維を含有することで、チューイングキャンディの保形性が高まり、製造中の形状が崩れにくいというものである。
上記ソフトキャンディは、形状が崩れにくく良好な保形性が得られるが、硬すぎるため、ソフトキャンディに必要な伸展性や粘弾性に欠けるという問題点を有するものであった。
【0008】
【特許文献1】特開2002−281906号公報
【特許文献2】特開2006−25741号公報
【特許文献3】特開2001−352915号公報
【特許文献4】特開平6−98683号公報
【特許文献5】特開平6−276946号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、以上のような事情に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、粘弾性食品生地の組成、水分含量、成形方法に拘わらず、粘弾性食品生地のべたつきを抑制して、優れた保形性を維持し、連続生産性を付与する粘弾性食品生地の成形剤、それを用いた粘弾性食品及び粘弾性食品の製造方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、アルファ化澱粉を含有することを特徴とする粘弾性食品生地用成形剤により上記目的を達成する。
【0011】
好ましくは、粘弾性食品生地がソフトキャンディ生地である。
更に好ましくは、粘弾性食品生地用成形剤を含有した粘弾性食品とする。
更に、上記粘弾性食品に、還元粉末水飴及びデキストリンのうち少なくとも1つを含有することが好ましい。
【0012】
また、本発明は、アルファ化澱粉を、粘弾性食品生地原料と共に攪拌混合して粘弾性食品生地とした後、成形することを特徴とする粘弾性食品の製造方法により上記目的を達成する。
【0013】
すなわち、本発明者らは、粘弾性食品特有の課題である製造工程中に製造ラインへの付着防止、保形性の維持等といった連続生産性を得るための成形性を付与することについて、鋭意検討を行った結果、驚くべきことに、従来の粘弾性食品に用いられていた澱粉の中
でも、アルファ化澱粉を粘弾性食品生地に添加すると、粘弾性食品生地の組成、水分含量、成形方法に拘わらず、粘弾性食品生地のべたつきを顕著に抑制して、優れた保形性を維持し、連続生産性を付与することができることを見出し、本発明に到達した。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、粘弾性食品生地の水分含量や成形方法に拘わらず、粘弾性生地のべたつきが防止され、生地の適度な伸展性や粘弾性を保ち、切れ、ダレ、べたつきを防止して生地を所望の形状に維持するという、優れた連続生産性を付与することができる。なお、本発明でいう連続生産性とは、原料を混練して得たソフトキャンディ等の粘弾性食品生地を成形(球断成形、シート成形、押出し成形、ロープ成形等)した後に、切断し、包装するまでの一連のライン操業において、コンベア、ノズル、カッター、包装機等への生地の付着が起こらず、途中で途切れることなく次のラインへの受け渡しができ、連続的に各工程が進むことを指す。
また、本発明によれば、粘弾性食品生地の組成に拘わらず、一定の成形性を得ることができるため、風味原料等の副原料が限定されることがない。
また、アルファ化澱粉が特別な風味や臭いを有さないため、粘弾性食品の風味に影響を及ぼさず、風味を自由に設計することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明を詳しく説明する。
本発明の粘弾性食品生地用成形剤は、アルファ化澱粉を含有する。
【0016】
本発明に係るアルファ化澱粉とは、加熱糊化した澱粉を、高温のまま急速に乾燥させたものである。アルファ化処理された澱粉であれば、由来原料、アルファ化処理方法及び澱粉の粒子状態(未崩壊、崩壊等)等は限定しない。
具体的には、例えば、加水し加熱糊化した澱粉懸濁液のスプレードライやドラムドライ等の乾燥によって製造される。スプレードライは、澱粉懸濁液をスプレー状態(所謂、霧状態)にして乾燥するもので、ドラムドライは、澱粉懸濁液をドラム内で乾燥し、ドラム内壁に付着した乾燥物を回収し、必要に応じて粉砕して粒度を揃えて製造される。
製品例としては、松谷化学工業(株)製「マツノリンXA」、「パインソフトS」、「パインコード」、「パインソフトB」等が挙げられる。
上記アルファ化澱粉は、粘弾性食品中の水分を保持するものであり、粘弾性食品生地のべたつきを抑制し、製造ラインへの付着を防止する点、更には優れた保形性を付与する点で重要である。特に、水分含量7%以上の高水分粘弾性食品生地へ使用する場合、べたつき防止効果を有効に発揮する点で好ましい。
【0017】
本発明の粘弾性食品生地用成形剤は、上記アルファ化澱粉を有効成分として含有する。有効成分とは、成形剤として目的とする機能が発揮される程度にアルファ化澱粉を含むことを示す。具体的には、粘弾性食品生地用成形剤全体重量中80重量%以上アルファ化澱粉を含有することが、更に好ましくは粘弾性食品用成形剤がアルファ化澱粉のみからなることが、粘弾性食品生地のべたつきを抑制し、製造ラインへの付着を防止する点、更には優れた保形性を付与する点で好適である。
【0018】
また、本発明の粘弾性食品生地用成形剤には、上記成分以外に、本願の目的を損なわない範囲で、適宜選択した副原料を用いてもよい。例えば、ベータ澱粉や化工澱粉等のアルファ化澱粉以外の澱粉、卵白,小麦,大豆等の蛋白質等が挙げられ、適宜単独もしくは複数組合せて用いればよい。
【0019】
また、本発明の粘弾性食品生地用成形剤の形態は、特に限定するものではなく、例えば、粉体、顆粒状、ペースト状等種々の形態が挙げられる。この中でも、粉体や顆粒状は、
高水分含有粘弾性食品生地に対しても良好な成形性を付与する点で好適である。
【0020】
次に、本発明の粘弾性食品生地用成形剤は、例えば次のようにして製造される。
すなわち、アルファ化澱粉と、必要に応じて副原料を準備する。そして、これら成分を混合することで、粉体状の粘弾性食品生地用成形剤が得られる。
【0021】
このようにして得られた粘弾性食品生地用成形剤は、粘弾性食品生地に含有させることにより、粘弾性食品生地のべたつきを抑制し、製造ラインへの付着が無く、成形時に優れた保形性が得られ、成形方法に拘わらず、連続生産性が得られるものである。
【0022】
上記粘弾性食品としては、粘性、弾性、展延性の少なくとも一つの物性を有する固形食品生地を用いたものであれば、特に限定するものではなく、例えば、ソフトキャンディ,マシュマロ,ヌガー,タフィー,フォンダン,ファッジ等のキャンディ類や、チューインガムや、餅様菓子等が挙げられる。
この中でも、特にソフトキャンディであることが、本発明の優れた成形性効果を十分に発揮できる点で好適である。
【0023】
上記ソフトキャンディとは、糖質甘味料が、結晶状態であるものを主に含む(糖質甘味料全体重量中45重量%以上)非ガラス質である。例えば、チューイングキャンディ、キャラメル、グミゼリー等が挙げられる。
特に、ソフトキャンディの水分含量が、好ましくは、ソフトキャンディ全体重量中5〜20重量%、更に好ましくは7〜15重量%に設定されることが、ソフトキャンディ生地の成形性を効果的に発揮できる。
本発明における水分含量は、真空減圧乾燥機等で測定すればよい。
【0024】
粘弾性食品における粘弾性食品生地用成形剤の含有量は、アルファ化澱粉固形分換算で、粘弾性食品全体重量中、好ましくは1〜10重量%に設定することが、製造時の粘弾性食品生地のべたつき及び製造ラインへの付着を防止し、連続生産性を有し、更には、包装紙への付着を防止する点で好適である。
【0025】
また、本発明の粘弾性食品には、本発明の目的を損なわない範囲で、適宜選択した副原料を用いてもよい。例えば、糖質甘味料(果糖,ブドウ糖,タガトース,アラビノース等の単糖類や、乳糖,トレハロース,麦芽糖,ショ糖等の二糖類や、マルトオリゴ糖,ガラクトオリゴ糖等のオリゴ糖や、糖アルコール等の結晶性糖類や、水飴,還元水飴,還元粉末水飴,デキストリン,カップリングシュガー等の非結晶性糖類等)、非糖質甘味料(アセスルファムK、ステビア、スクラロース等)、増粘剤(アラビアガム、アルギン酸ナトリウムまたはその塩、カラギナン、寒天、キサンタンガム、グアーガム、コンニャクイモ抽出物、ジェランガム、タラガム、プルラン、ペクチン、ローカストビーンガム等)、油脂類(植物性油脂,動物性油脂等)、酸味料、安定剤、乳化剤、香料、着色料、乾燥果肉、種実類、豆乳原料、各種風味原料(コーヒー、茶類、ココア、酒類、ハーブ類等)、ビタミン類、ミネラル類、食物繊維、美肌成分(コラーゲン、ヒアルロン酸等)等が挙げられ、適宜単独もしくは複数組合せて用いればよい。この中でも、還元粉末水飴及びデキストリンのうちの少なくとも一つを用いると、製造時に更に安定した成形性を付与する点で特に効果的である。すなわち、粘弾性食品生地がダレることなく、成形工程で成形された形状をそのまま保ち、製造ライン同士の受け渡しが良好となる保形性の点で特に好適である。
【0026】
上記還元粉末水飴は、水飴に水素添加して得られる糖アルコールを脱水乾燥したものである。例えば、松谷化学工業(株)製「H−PDX」等が挙げられる。
【0027】
上記デキストリンとは、澱粉を酸、酵素、熱等による加水分解する際に生じる種々の分解生成物の総称である。特に、好ましくはDE8〜25、更に好ましくはDE15〜25のデキストリンを用いることが、成形性の点で好ましい。なお、DEとは、dextrose equivalentの略称で、澱粉の加水分解の度合いを示すものである。例えば、松谷化学工業(株)製の「パインデックス#1」、「パインデックス#2」、「パインデックス#3」、「パインデックス#4」等が挙げられる。
【0028】
また、上記還元粉末水飴及びデキストリンうち少なくとも一つが併用されており、該還元粉末水飴又はデキストリンが単独で用いられている場合には、その含有量が、また、上記成分が併用されている場合には、その合計含有量が、好ましくは、粘弾性食品全体重量中5〜40重量%、更に好ましくは10〜20重量%であることが、粘弾性食品生地の保形性及び粘弾性や伸張性が得られ、連続生産性の点で好ましい。また、油脂等の原料と併用されていなくても、本発明の効果を発揮する。
【0029】
上記乾燥果肉とは、果実、種実類や野菜等を乾燥させたもので、砂糖等の糖液に浸漬する等の加糖処理後、或いは未処理のまま、適宜の方法で乾燥させたものである。また、果汁浸漬処理や、褐変防止のための亜硝酸塩等による処理等を、適宜乾燥工程前後に施してもよい。
一般に、乾燥果肉を粘弾性食品に含有させると、乾燥果肉由来の水分で成形性が劣るという問題点を有するものであるが、本発明では上記問題を解決することができるため、該乾燥果肉を好適に用いることができる。
【0030】
乾燥果肉の原料としては、例えば、マンゴー、いちご、パイナップル、りんご、キウイ、みかん、柑橘類、メロン、洋ナシ、モモ、チェリー、パパイヤ、サンザシ、ビワ、トマト、クランベリー、レーズン、ラズベリー、ブルーベリー、いちじく、アプリコット、プルーン、バナナ等の果実類や、栗、栃の実、クルミ、蓮の実等の種実類、サツマイモ、かぼちゃ、サトイモ、じゃがいも、アロエ等の野菜類等が挙げられる。特に、上記種実類、野菜類の中でも、食物繊維を含有する種実類及び野菜類が食感の点で望ましい。また、ペクチン等の水溶性食物繊維を比較的多く含有し、増粘剤を配合しなくても製造中の成形性が良好となる点で果実類が好適である。
なお、上記乾燥果肉は、皮付きであっても、剥皮したものであってもよく、特に限定するものではない。
【0031】
上記乾燥果肉の水分含有量は、好ましくは、乾燥果肉全体重量中5〜30重量%に設定されていることが、粘弾性食品特有の食べ応えのある食感を有し、製造工程中の製造ラインへの付着を防止し、成形性が良好であり、従来の製造方法、製造時間及び製造コストで製造できる点で好ましい。更に好ましくは、乾燥果肉全体重量中10〜25重量%であることが、原料由来の果肉風味を損なわず、成形性の点で望ましい。
【0032】
上記乾燥果肉は、生果肉を適宜の方法で所定の水分値まで乾燥させることにより得られるものである。乾燥方法は、特に限定するものではなく、例えば、天日乾燥、自然換気及び人工通風による加熱乾燥、真空乾燥、乾燥剤による乾燥等が挙げられる。なお、この乾燥前後に、適宜果汁浸漬や、褐変防止等の処理を行ってもよい。
【0033】
上記乾燥果肉の含有量は、好ましくは、粘弾性食品全体重量中30〜60重量%、更に好ましくは40〜60重量%であることが、原料由来の果肉風味や粘弾性食品特有の食べ応えのある食感が得られ、製造ラインへの付着防止性及び成形性の点で好ましい。
【0034】
上記乾燥果肉を本発明の粘弾性食品に用いる場合には、乾燥果肉由来の水分が粘弾性食品の水分全体重量中65重量%以上とすることが、果肉本来の風味を得る点で好適である

【0035】
上記副原料の中でも、植物由来の副原料を用いると、動物性原料未使用の植物性粘弾性食品と設定することができる点で好適である。植物性とは、動物性原料が固形分換算で植物性粘弾性食品全体重量中1.5重量%未満であるという主旨であるが、好ましくは動物性原料を全く用いないことが望ましい。なお、塩等の鉱物等が含有されていてもよい。
【0036】
次に、本発明の粘弾性食品の一例としてソフトキャンディは、例えば、下記のようにして調製することができる。
【0037】
すなわち、まず、ソフトキャンディ生地を調製する。
アルファ化澱粉を含有する粘弾性食品生地用成形剤及びソフトキャンディ原料を準備する。
そして、菓子製造用ニーダーに、上記配合原料を全て投入し、攪拌混合することによりソフトキャンディ生地を得る。
【0038】
次いで、上記ソフトキャンディ生地を成形する。
成形方法は、特に限定するものではないが、例えば、球断機による成形の場合、ソフトキャンディ生地をそのまま球断成形する。シート成形の場合、エクストルーダーを用いてソフトキャンディ生地を押出した後、圧延し、カット成形する。球断成形やシート成形以外には、エクストルーダーまたはバッチフォーマー等によって押出した生地をサイジング等によってロープ成形等し、次にスタンピング成形、ブロック成形する等が挙げられる。これらの方法は、必要に応じて適宜選択すればよい。
【0039】
このようにすることで、本発明のソフトキャンディが得られる。
このソフトキャンディを製品化する際には、適宜包装体で包装すればよい。好ましくは、包装体の材質がアルミ、アルミ蒸着、ガラス蒸着等の防湿性で密封可能な材質であることが、包装後ソフトキャンディの水分値が変化せず、風味及び食感を維持できる点で好適である。
【実施例】
【0040】
以下、実施例を用いて説明する。
【0041】
<実施例1〜7、比較例1>
表1に示す組成にて、ソフトキャンディ生地を調製した。
まず、ソフトキャンディ生地用成形剤としてアルファ化澱粉を用い、その他のソフトキャンディ成分として還元粉末水飴、デキストリン、パイナップ果肉或いはマンゴー果肉(最終乾燥前に糖浸漬処理を施している)、ショ糖、クエン酸、香料、パーム油、乳化剤、増粘剤溶液、ベータ澱粉を準備した後、上記成分を菓子製造用ニーダー(佐竹化学機械工業(株)製「KC−3FT」)に全て投入し、25rpm、3分間攪拌混合してソフトキャンディ生地を得た。攪拌混合時の品温は45℃であった。なお、香料は、各実施例及び比較例で用いた果肉と同じ種類の果肉の香料を用いた。
その後、上記生地をエクストルーダーにより押出し、サイジングによってロープ成形後、カッターで切断しソフトキャンディ(チューイングキャンディ)とした。
【0042】
<実施例8、比較例2>
チューインガム生地用成形剤としてアルファ化澱粉を用い、その他のチューインガム成分としてマンゴー果肉、ショ糖、クエン酸、香料、ベータ澱粉、ガムベースを準備した後、上記成分を菓子製造用ニーダー(佐竹化学機械工業(株)製「KC−3FT」)に全て投入し、25rpm、3分間攪拌混合してチューインガム生地を得た。攪拌混合時の品温
は45℃であった。なお、香料は、マンゴー香料を用いた。
その後、上記生地をエクストルーダーを用いて押出し成形を行い、縦20mm×横13.5mm、厚み10.5mmのチューインガムとした。
【0043】
【表1】

【0044】
上記のようにして得られた各ソフトキャンディ及びチューインガムについて、製造工程時の調製生地の成形性(ライン付着性、保形性)について評価を行った。
ライン付着性は、原料を攪拌混合して得られた各生地を成形する際、該生地がベルトコンベア等の成形機に付着するか否かの確認をした。
また、保形性は、生地の伸展性や弾力性が良好で、成形生地が滞ることなく成形機を通
過するか否かについて確認した。
以上の結果を、表1に合わせて示す。
【0045】
評価の結果、実施例のソフトキャンディ及びチューインガムは、製造時にライン付着が防止され、保形性についても良好な結果が得られ、連続生産性に適したものであった。特に、アルファ化澱粉と、還元粉末水飴及びデキストリンの少なくとも一方を併用した場合には、顕著に優れた評価が得られた。
【0046】
これに対し、比較例のソフトキャンディ及びチューインガムは、調製生地のべたつきがひどく、成形機に付着したり、生地が軟らか過ぎて、ラインからラインへの受渡しができず、連続生産性に全く適したものではなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥果肉を含有するソフトキャンディ生地用保形剤であって、粉体や顆粒状のアルファ化澱粉が該ソフトキャンディ生地用保形剤全体重量中80重量%以上である乾燥果肉を含有するソフトキャンディ生地用保形剤。
【請求項2】
請求項1記載の乾燥果肉を含有するソフトキャンディ生地用保形剤を含有し、下記の工程を経て製造されるソフトキャンディ。
(1)ソフトキャンディ生地用保形剤と、乾燥果肉と、ソフトキャンディ原料とを準備する工程
(2)上記ソフトキャンディ生地用保形剤と、上記乾燥果肉と、上記ソフトキャンディ原料とをすべて攪拌混練してソフトキャンディ生地を得る工程
(3)上記ソフトキャンディ生地を球断成形もしくはシート成形もしくはロープ成形もしくはスタンピング成形、もしくはブロック成形する工程
【請求項3】
下記工程を順次備えてなることを特徴とする乾燥果肉を含有するソフトキャンディの製法。
(1)ソフトキャンディ生地用保形剤と、乾燥果肉と、ソフトキャンディ原料とを準備する工程
(2)上記ソフトキャンディ生地用保形剤と、上記乾燥果肉と、上記ソフトキャンディ原料とをすべて攪拌混練してソフトキャンディ生地を得る工程
(3)上記ソフトキャンディ生地を球断成形もしくはシート成形もしくはロープ成形もしくはスタンピング成形、もしくはブロック成形する工程

【公開番号】特開2013−9689(P2013−9689A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−228083(P2012−228083)
【出願日】平成24年10月15日(2012.10.15)
【分割の表示】特願2011−260329(P2011−260329)の分割
【原出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【出願人】(393029974)クラシエフーズ株式会社 (64)
【Fターム(参考)】